JP2010520157A - リグニンの分解法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、液体媒体中にて、少なくとも1種のポリオキソメタレートの存在下、且つ好ましくはラジカル捕捉剤の存在下での、リグニン、リグニン誘導体、リグニン断片、及び/又はリグニン含有物質、あるいはその混合物の分解による、最小分子量78g/モルをもつ分子類の直接製造法を説明する。

Description

本発明は、リグニンから化学品への制御された変換に関する。
バイオマスから化学品を製造する代替法は、化石原料物質がより乏しくなるにつれて重要性が増大しつつある。
たとえば、植物のセルロース又はヘミセルロース成分から燃料を得る方法が開発されている。再生可能な植物性原料物質には、セルロース及びヘミセルロースばかりでなくリグニンも含まれ、リグニンはセルロースに続いて地球上で二番目に最もありふれた有機物質である。
リグニンは植物の主要な構成物であり、細胞構造に剛性を付与する機能をもつ。リグニン含量は植物ごとに変動しうる。同様にリグニンの化学構造も、植物に特異的な差異を有する。例えば、リグニン高分子は、植物の種類に応じて、様々な割合のコニフェリルアルコール、シナピルアルコール、及びクマリルアルコールモノマー類から構成され、多くの場合にコニフェリルアルコールの割合が主である(特に針葉樹の場合)。そのうえ、その他の細胞壁成分からリグニンを除去するための多くの方法が存在し、そのいくつかは天然リグニンの化学構造をかなり変える。
セルロースから化学品を製造するための様々な方法が大きな工業規模に達している一方で、バイオマスのリグニン成分を、化学品を製造するための出発物質として用いるいかなる経済的に実行可能な手段も現在のところまだほとんどない。製紙業においては、大量のリグニンが副生成物又は廃棄物として得られる。製紙業で毎年得られる約5000万トンのわずか1〜2%だけが、商業的にさらに加工されるだけである。
リグニンの用途は、割安な分散剤及びバインダーに主に限られている。バニリンは商業的に製造されている唯一のリグニン系のフェノール性生成物である。全世界のバニリン生産(12000トン/年)の一部は、リグニンスルホン酸類の酸化的分解によって行われている。
文献には、原料物質としてリグニンを用いる多数の方法が記載されている。しばしば用いられるやり方は、合成ガス(CO、H、CO、及びCH)を得るための、空気及び/又はスチームを用いた高温(800〜1000℃)でのバイオマスのガス化である。さらなる段階においては、様々なコモディティ化学品、例えば、メタノール、エーテル、ギ酸、及び、(Fischer-Tropschによる)より大きな分子量の炭化水素を、この合成ガスから製造できる。
米国特許第5,302,248号明細書 米国特許第5,552,019号明細書 国際公開WO95/26438号パンフレット
Hill (1998) Chemical Reviews 98: 1-389 Pope (1983) Heteropoly and Isopoly Oxometalates, Springer, Berlin Okuharaら, (2001) Applied Catalysis A: General 222: 63-77 G. X. Wu, M. Heitz, E. Chornet, Ind. Eng. Chem. Res. 33, 718 (Mar, 1994)
これらの方法では、元来存在する複雑な化学構造が完全に失われる。この分解及び再結合法は大量のエネルギーを必要とし、望まない副生物を作り出す。さらに、この方法はかなり単純で安価な分子しか作り出すことができない。したがって、経済的実行可能性のためには、非常に多量の転化(conversion)が必要である。それに代えて、様々な方法(例えば、酸化的加水分解及び非酸化的加水分解、水素化分解、熱分解)が、モノマー又は低分子量化学品の直接生産について公知である。これらの方法はリグニンをより小さな部分に分けるために適しているが、単一生成物を高収率で製造するために充分に選択的な反応はない。
[本発明のまとめ]
ここで提案する本発明の方法は、これまでの手法からは、思想の点で顕著に異なっている。
リグニンをモノマー性化学品へと変換するための、文献記載の試みは、純粋に物理的な方法(高い温度及び圧力)、単純な酸又は塩基触媒加水分解、又はバイオテクノロジーに限られる。
その化学をより詳細に検討すると、これらのかなり単純な方法は、モノマー性化学品の高収率を達成するためには適していないことが明らかとなる。
この理由は、リグニンの変換における所望の生成物は分解生成物であるという事実にある。これらの分解生成物は、さらなる反応のために、簡単な方法によって大量に得ることはできない。
本発明は、分解生成物の収率を最大にするという課題を考慮しており、これは化学的観点から2つの点で複雑である。第一に、リグニンの転化(conversion)は、触媒系(触媒システム)の存在下で行なわれる。
この触媒システムは、ポリオキソメタレートとして公知のものを含み、これはかなり低温でさえ、結合の選択的切断を可能にする。
第二に、フリーラジカル捕捉剤(フリーラジカルスカベンジャー)として公知のものを反応混合物に添加する。これらが、リグニン断片の重合反応又は結合反応を防ぎ、所望する標的生成物を安定化する。
本明細書で示す、本発明に用いることができる標準は、リグニンのアルカリ性酸化である。1.4MPaの酸素下、170℃で、Cu(II)/Fe(III)触媒を用いた10gの硬木(hardwood)リグニンの転化(蒸気分解)は、4.7質量%のバニリンと9.5質量%のシリングアルデヒドをもたらした。硬木リグニンについての非常に類似した研究では、アルデヒド類(バニリン及びシリングアルデヒド)の収率は15質量%だった。
様々なポリオキソメタレートが脱リグニンに既に用いられ且つ特許されており、例えば、米国特許第5,302,248号明細書、米国特許第5,552,019号明細書、又は国際公開WO95/26438号パンフレットに記載されているとおりである。これらの方法では、無漂白の繊維状物質が最初の工程において、不活性雰囲気下にてポリオキソメタレート水溶液(例えば、NaAlVW1140)で処理されて、リグニンは最終的に二酸化炭素と水に転化される。
これらの方法は、望ましくないリグニンからセルロースを遊離させる目的だけを行なっている。セルロースを分解させることなく、リグニンはCOとHOに完全に転化されなければならない。ポリオキソメタレートを用いた処理によって、分解生成物又は化学品を直接得る可能性は考慮されていない。
したがって、本発明の目的は、ポリオキソメタレートを用いて、リグニンを化学品に直接転化することである。本発明では、ポリオキソメタレートのみならず、フリーラジカル捕捉剤(フリーラジカルスカベンジャー)として知られているものも用いることができる。
「リグニン」及び「ポリオキソメタレート」の用語は、それぞれ全ての物質群を包含し、したがって、以下に簡単に示す。
「フリーラジカル捕捉剤(フリーラジカルスカベンジャー」及び「化学品」の用語がどのように理解されるべきかの定義も、本明細書の文脈に存在する。
〔リグニン〕
本発明で示す方法によって、その由来及び前処理に関わり無く全てのリグニンタイプのものから化学品を得ることができる。例えば、有機溶媒又は無機溶媒中の溶解性を変えるために、用いるリグニンの制御された前処理を行なうこともできる。既に部分的に分解されたリグニンを用いることもできる。リグニン含有バイオマス、例えば、木材を、そのバイオマスに含まれるリグニンを前もって除去することなく用いることもできる。
〔ポリオキソメタレート〕
ポリオキソメタレートは、金属-酸素クラスターアニオンの化合物群の一部を形成している。ポリオキソメタレートは、他の性質のなかでも、その通常簡単な合成、その構造の修飾可能性、及びその特異的な酸化還元(レドックス)挙動について特に目立つ。多くの反応系にとって重要な鍵となる特性、例えば、有機/無機媒体中での溶解挙動、酸化還元電位及びpHは、制御した合成によって調節されうる。ポリオキソメタレートはここでは、全ての成分を所望の化学量論比で含む酸性水溶液を加熱することによって、一段階で通常は合成される。ポリオキソメタレート、又はポリオキソメタレート混合物は、したがって、用いた成分の量に起因して生じる。したがって、非常に多くの種類のポリオキソメタレートが存在することもまた明らかとなる。文献には、次の2つの用語が、構造的に異なるポリオキソメタレートに対して確立されている:「イソポリアニオン」及び「ヘテロポリアニオン」。これらのアニオンは以下の一般的な実験式によって表される。
[Mp− イソポリアニオン
[Xq− (x ≠ m) ヘテロポリアニオン
上記の「M」部分は追補原子(addenda atom)と称され、「X」部分はヘテロ原子といわれる。本明細書では、「ポリオキソメタレート」の用語は、両方のアニオンタイプ:イソポリアニオン及びヘテロポリアニオンを含む。
ポリオキソメタレートのなかの重要なサブグループは、ヘテロポリ酸のサブグループである。ヘテロポリ酸は、対カチオンとしてプロトンをもつヘテロポリアニオンから構成されている非常に強い酸である。全ての対カチオンがその他の元素のみからなる場合には、ヘテロポリ塩ともいわれる。一連のこれらのポリオキソメタレートが、触媒のために特に興味深いことが発見されている。
最も一般的な追補原子(「M」)は、モリブデン又はタングステンであり、それよりは一般的でないものは、バナジウムもしくはニオブ、又は最も高い酸化状態(d、d)のそれらの元素の混合物である。有用なヘテロ原子(「X」)には、基本的に、周期律表の全ての元素が含まれる。P5+、Si4+、As5+、Ge4+、B3+の元素が、触媒として用いられるポリオキソメタレートに関連してもっとも頻繁に言及される。
非常に多数のポリオキソメタレートと比較して、現在は非常にわずかなポリオキソメタレートしか触媒として用いられておらず、これらは主にケギン(Keggin)アニオンの群及びそれから誘導された構造に限定されている。したがって、非常に単純化された命名法を用いることで通常は充分である。これによってポリオキソメタレートは擬似配位錯体(quasi-coordinated complex)として取り扱われる。ヘテロ原子が存在する場合、それはその錯体の中心原子として考えられ、それが、配位子としての追補部分によって取り囲まれている。ヘテロポリアニオンの実験式においては、ヘテロ原子が追補原子より前にきて、対カチオンがヘテロ原子よりも前にくる。ヘテロポリアニオンはカギ括弧の間に置かれ、したがって対カチオンから分離される。
このことは以下の例で明確になる:
[SiW12404− 12−タングストシリケート
[PMo1240] 12−ホスホモリブデン酸
ときどき、簡単化された表示においては、対カチオン、ポリアニオンの電荷、及び酸素原子ですら、明示的には記載されない。Na[PMo1862]は、したがって、[PMo1862]又はPMo18としてさえ表されうる。
全てのポリオキソメタレート(イソポリアニオン及びヘテロポリアニオン)、並びにそれらの酸、塩、及び部分塩は、製造法に関係なく本発明のために用いることができる。異なるポリオキソメタレートの混合物を用いることもできる。実際に、pHに応じて、多くの化学種が、互いに並んで平衡して溶液中に存在することができ、結晶形態で単離された化合物が主要成分である必要すらない。
用いられるポリオキソメタレートは、好ましくは、可逆的に酸化及び還元されることができ、このことは、ケギン(Keggin)及びウェルズ/ドーソン(Wells/Dawson)構造の全てのポリオキソメタレートについてそうである。好ましい種類のポリオキソメタレートは、[Y3−18n+[X1−41−3610−60n−形態(式中、それぞれの「X」は周期律表の元素から自由に選択でき且つ/又は4つもしくはそれ以下の原子をもつ、分子状部分であることもできる)の成分の種類である。「M」は金属の群から自由に選択可能であり、「Y」は対カチオンを表し、「n」は整数である。さらなる好ましい種類は、[Y3−18n+[M1−3610−60n−形態(式中、「Y」、「M」、及び「n」はそれぞれ上で定義したとおりである)のポリオキソメタレートの種類である。
好ましい態様では、各「X」は、P、Si、As、Ge、B、Al、Co、S、Fe元素から自由に選択される。各「M」は好ましくは以下の群から自由に選択される:Mo、W、V、Ti、Co、Cu、Zn、Fe、Ni、Mn、Cr、ランタニド、Ce、Al、Ga、In、Tl。対カチオン「Y」は、好ましくは、H、Zn、Co、Cu、Bi、Na、Li、K、Rb、Cs、Ba、Mg、Sr、アンモニウム、C1−12−アルキルアンモニウム及びC1−12−アルキルアミンから自由に選択される。
特に好ましい態様では、[Y]n+[XM1240n−形態(式中、上の「Y」、「X」、「M」、及び「n」に対する同じ定義が適用される)のポリオキソメタレートが用いられる。最も好ましいポリオキソメタレートは、[Y]n+[XM1240n−形態であり、式中「Y」及び「n」はそれぞれ上で定義したとおりであり、「X」はSi、P、Ge、又はAsであり、各「M」はMo、V、及びWから自由に選択される。
さらなる好ましい態様では、好適な担体に適用された、上で特定した定義に従うポリオキソメタレートが用いられる。ポリオキソメタレートの担体(例えば、SiO、Al、及びゼオライト)への適用、及び、例えば酸素での酸化のための不均一触媒としての使用は、文献に既に記載されている。
可能性のあるポリオキソメタレートに関しては、Hill (1998) Chemical Reviews 98: 1-389; Pope (1983) Heteropoly and Isopoly Oxometalates, Springer, Berlin、及びOkuharaら, (2001) Applied Catalysis A: General 222: 63-77に記載されているシステムが参照され、これらの開示内容をこれらの点についてはっきりと援用する。
簡単のために、略語「POM」を、上で特定した定義にしたがうポリオキソメタレートに対して以下で使用する。
〔フリーラジカル捕捉剤(フリーラジカルスカベンジャー)〕
本発明の好ましい態様では、1種以上の成分をフリーラジカル捕捉剤として用いる。
本発明との関連では、フリーラジカル捕捉剤は、リグニンの分解中に形成されたフリーラジカルを捕捉し、それゆえ、再重合反応を低下させるために働く。より特には、このことは、所望する化学品の収率を増加させる。
有用なフリーラジカル捕捉剤(フリーラジカルスカベンジャー)は、通常、与えられた条件下で、1以上の工程でラジカルを形成し又は既にフリーラジカルとして存在する全ての成分である。
フリーラジカル捕捉剤の作用様式は、以下の模式的な、完全ではない反応式に図示されている。本明細書で提案する機構は現在の知識を反映しており、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
例えば、リグニンの開裂で形成され、したがってリグニン断片(フラグメント)を構成する2つのフリーラジカルR・及びR’・を考慮すると、相互のそのリグニン断片のカップリングは、安定な結合の形成をもたらし、したがって、リグニン断片の所望の開裂に対して逆効果を有する(式1)。S・ラジカルを形成するか又は既にフリーラジカルとして存在しているフリーラジカル捕捉剤を添加する場合は、リグニン断片R・及びR’・がカップリング生成物R−S及びR’−Sへ転化されることができる(式2及び3)。したがって、リグニン断片の再重合を、S・ラジカルとの制御されたカップリングによって低減させることができる。
例えば、S・形態で既にフリーラジカルとして存在するフリーラジカル捕捉剤を用いることができる。例は、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル)であり、これは、例えば、リビングフリーラジカル重合においてフリーラジカル捕捉剤として用いられる。
共有結合の均一開裂(ホモ開裂)によってフリーラジカルを形成することができるフリーラジカル捕捉剤を用いることもできる(式4)。熱力学的観点からは、フリーラジカル捕捉剤の選択においては、可能なカップリング生成物R−S、R’−S、R−S’、及びR’−S’の結合エネルギーと比較して、S−S’結合が相対的に低い結合エネルギーであることが好ましい。例は、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、パーオキシド類である。
多段階でフリーラジカルを形成するフリーラジカル捕捉剤を用いることもできる。特に触媒と関連して、多段階でフリーラジカルS・が形成されうる。例えば、酸触媒としてのPOMの存在下でのメタノールのジメチルエーテルへの酸触媒縮合は、エーテル結合の実質的な均一開裂を伴って、CHO・及びCH・ラジカルへと導くことができる。
フリーラジカル捕捉剤は、第一に水素供与体として作用し、第二にリグニン断片の再重合を防止することができる。したがって、一般形態S−Hの成分が可能であり、ここでHは反応に利用可能な水素原子を表し、Sはフリーラジカル捕捉剤の残り部分、すなわち、式中の水素原子を差し引いたものを表す。フリーラジカル捕捉剤は、複数の利用可能な水素原子を有していてもよい。
フリーラジカル捕捉剤の作用の様式は、以下の模式的な第二の反応式に図示されている。例として、リグニンのエーテル結合の開裂によって形成されるフリーラジカルがこの場合には考えられており(式5)、Rはここでもリグニン断片を表す。
以下の反応式は、可能性のあるフリーラジカル捕捉剤の機構をここでも単に図示をしているに過ぎない。フリーラジカル捕捉剤は一段階で活性化される必要はなく、純粋な水素引き抜きによって活性化される必要もない。実際に、フリーラジカルは、特にPOM及び/又は酸素の存在下で、様々な反応に関与することができる。例えば、R・(又はS・)形態のフリーラジカルは、酸素の存在下で、ROO・(又はSOO・)形態のフリーラジカルを形成する。POMが電子(及びプロトンを取り込む)時々非常に強い傾向のために、POMとフリーラジカル捕捉剤との相互作用がさらに存在しうる。この時点では、リグニンのフェノール性分解生成物はそれ自体がフリーラジカル捕捉剤であることに注目すべきである。
フリーラジカル捕捉剤からの水素原子の引き抜きは、リグニンの所望の分解生成物ROH及びRHをもたらしうる(式6及び7)。加えて、フリーラジカル捕捉剤の残り(すなわち、水素原子を差し引いたもの)が生成物中に結合されて、フリーラジカル再重合反応を低減させること(式9及び10)も可能である。
原則として、有用なフリーラジカル捕捉剤には、例えば、その与えられた条件下で水素原子を放出できる分子が含まれる。したがって、その化学構造を考えた場合、Hが最も簡単なフリーラジカル捕捉剤である。アルコール類及び酸類も可能である。
上で説明したとおり、フリーラジカル捕捉剤として、水素の引き抜きなしに、与えられた条件下でフリーラジカルを形成する物質、例えば、過酸化水素などを含めたパーオキシドを用いることもできる。
〔化学品〕
リグニンの構造は、工業にとって興味ある多数の通常のフェノール性化合物を含んでいる。本発明の目的は、これらのフェノール性化合物をリグニンから直接、経済的に興味ある量で得ることである。
本発明は、ここで製造される化学品が合成ガスから再構成されていない点でそのほかの方法から明らかに区別される。さらに、本発明においては、最小分子量MWmin=78g/モルをもつ分子類が作られる。
好ましい態様では、その構造中に少なくとも1つのベンゼン環を含む分子類が作られる。さらなる好ましい態様では、その構造中に少なくとも1つ乃至3つ以下のベンゼン環を有する分子が作られる。最も好ましいのは、その構造中に1つだけベンゼン環を含む分子が作られる態様である。上述した好ましい態様においては、ベンゼン環は基本骨格として用いられる。この場合、官能基群及び複数のベンゼン環の間の結合は、所望に応じて選択することができる。より特に、用いることができるフリーラジカル捕捉剤は、製造された化学品の構造中に組み込まれることができる。本発明で説明した方法によって、複数の化学品の混合物を得ることができる。
一つの態様では、適切な反応器中でPOMを用いてリグニンを転化することが考えられる。このために、リグニン及びPOMは、適切な液体媒体中に溶解又は懸濁される。この混合物は、リグニンの分解を進行させる条件に、充分に長い時間おかれる。ここでの温度は0℃〜500℃、しかし好ましくは25℃〜300℃であってよい。リグニンは、ここでは、不活性ガス、酸素含有ガス、オゾン含有ガス、又は水素含有ガスのもとで、300bar以下の圧力で分解されうる。pHは0〜10の範囲内であるか、その範囲内に設定される。リグニンの分解は、上で定義した化学品群からの生成物を形成するであろう。したがって、ここで得られる生成物は、リグニンの完全な分解から実質的に変化していないリグニンまでの間の範囲内にある。このやり方は、適切なPOMシステム、温度、反応時間などに関して、新たな最適化の仕事を構成する。
分解生成物から不要なものを除く困難な課題は、フリーラジカル捕捉剤の使用を含む方法によって達成することができる。
一つの態様では、したがって、フリーラジカル捕捉剤の存在下にPOMを用いてリグニンを回収することが考えられる。ここでの方法は、最初の態様と類似している。本質的な違いは、フリーラジカル捕捉剤が、適当な時点で反応混合物に添加されることである。フリーラジカル捕捉剤は、固体、液体、又は気体として存在してよい。有用なフリーラジカル捕捉剤には、一般に、与えられた条件下で、1以上のステップでフリーラジカルを形成するか、又は既にフリーラジカルとして存在する全ての成分が含まれる。用いられるフリーラジカル捕捉剤は、例えば、用いられる条件下で1つ以上の水素原子を放出できる物質であってよい。POMが、一般に強いその電子(及びプロトン)親和性によって、フリーラジカル捕捉剤の活性化(又はフリーラジカルの形成)を促進できることは、特別な特徴である。安定ラジカル、例えば、ニトロキシルラジカルを、フリーラジカル捕捉剤として用いることもできる。フリーラジカル形成剤、例えば、パーオキシド類の群からのジベンゾイルパーオキシドを、フリーラジカル捕捉剤として用いることもできる。
さらなる態様では、2つの液相の存在下でPOMを用いてリグニンを転化することが考えられる。ここでの方法は、最初の態様に類似している。本質的な違いは、2つの部分的にしか混和しない又は非混和性である液相が、リグニンの分解の間に互いに接触していることである。選択した液相(複数)中での、POM、リグニン、及びリグニンに基づく分解生成物の異なる溶解度によって、リグニン、POM、及びリグニンに基づく分解生成物成分の部分的な又は完全な分離がありうる。例えば、リグニンとPOMが第一の液相(例えば、水)中に原理的に溶解又は懸濁され、第二の液相(例えば、クロロホルム)はリグニンの分解生成物に対して高い溶解度を提供する2つの液相を用いたシステムを選択することができる。したがって、リグニンの所望の分解生成物を、それらがさらなる反応においてさらに反応する前に反応媒体から取出すことができる。その結果、2つの液相の適切な選択を通して、ただ1つの液相を備えたシステムと比較して、生成物の収率を高めることができる。
したがって、さらなる態様は、フリーラジカル捕捉剤と2つの液相の存在下でPOMを用いてリグニンを転化することが考えられる。
さらなる態様は、上述した態様の一つと関連して金属触媒を用いることが考えられる。金属触媒(一般的にはパラジウム)とポリオキソメタレートとの組み合わせは、一連の酸化及び還元において既に研究されている。追加の金属触媒は、より低温でのリグニンの分解を可能にし、目的とする生成物に関する選択性に対してプラスの効果を有する。同様に、所望の生成物の収率を、追加の金属触媒を用いて高めることができることも事実である。処理の過程でリグニンの望ましくない分解生成物のかなり実質的に完全な酸化のために、金属触媒をポリオキソメタレートと組み合わせて用いることができる。
処理プラントで本発明を実施するためには、例えば、以下に記載した操作を行なうことができる。以下のスキームは可能な操作を説明するためだけの役割を果たすものであり、完全性に対していかなる要求をするものでもない。
・ 上述した態様にしたがうリグニンの転化(反応段階)
・ 反応媒体からの生成物の取り出し(例えば、抽出による)
・ 生成物の処理(生成物混合物の分離)
・ フリーラジカル捕捉剤の除去(例えば、蒸留による)
・ フリーラジカル捕捉剤のリサイクル
・ 目的生成物に転化されていないリグニン断片を、酸素を用いて酸化して二酸化炭素と水にすること
・ 目的化合物に転化されていないリグニン断片又はリグニンの、エネルギーを生産するための使用(例えば、酸化による熱エネルギー)
・ POMの再酸化又は再生(一般には、リグニン断片の酸化と同時に)
・ 反応工程へのPOMのリサイクル
・ 目的に適った時点での固体の排出(例えば、ろ過による)
・ 目的に適った時点での溶媒の添加
・ 目的に適った時点での溶媒の排出
リグニンの転化と同時に生成物の取り出しを行なうことも、例えば、一つの操作中の抽出によって、可能である(反応抽出)。
まとめると、したがって、本発明の核心は、とりわけ、液体媒体中で、すくなくとも1種のポリオキソメタレートの存在下での、リグニン、リグニン誘導体、リグニン断片及び/又はリグニン含有物質又は混合物の分解によって、78g/モルの最小分子量をもつ分子類(molecules)を直接作る方法を提供することにある。
この方法では、少なくとも分解時にフリーラジカル捕捉剤を用いることが好ましく、そのフリーラジカル捕捉剤はフリーラジカル(例えば、原子状水素)を提供し及び/又はリグニン断片の再重合もしくは結合反応を防止又は少なくとも妨害するシステム又はシステムの混合であることが好ましく、そのフリーラジカル捕捉剤はガス状、液状、及び/又は固体で使うことができ、且つそのフリーラジカル捕捉剤は特に以下のものから選択されることが好ましい:
分子状水素、パーオキシド(例えば、過酸化水素又はジベンゾイルパーオキシド)、アルコール(例えば、メタノール及び/又はエタノール)、安定化されたフリーラジカル(例えば、ニトロキシルラジカル)、有機酸(例えば、アスコルビン酸)、フェノール(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)、エーテル(例えば、ジメチルエーテル)、エステル(例えば、酢酸エチル)、酸無水物(例えば、無水酢酸)、又はそのようなシステムの混合。
第二の液相を上記混合物に添加することができ、その第二の液相は第一の媒体と顕著に異なる極性を有することが好ましい。
金属触媒、特に、遷移元素含有触媒の群からの、好ましくはVIIIB族の金属及び/又はIB族の金属を含むものの群からの金属触媒を用いることも追加して可能であり、前記の触媒は好ましい多孔質基材上及び/又は多孔質基材中に結合されていることができる。
この反応は、不活性ガス下、酸素含有ガス相下、水素含有ガス相下、又はオゾン含有ガス相下で、0〜300barの範囲の圧力、好ましくは5barより高い圧力下で、行なうことができる。
ポリオキソメタレートは、好ましくは、HPMo1240であり、液体媒体は、アルコール系フリーラジカル捕捉剤(好ましくは、メタノール及び/又はエタノールから選択される)を用いる場合には水であり、水とアルコール系フリーラジカル捕捉剤との体積比は、特に、1:10〜10:1の範囲であることが好ましく、圧力は2barよりも高いことが好ましい。
一般的には、液体媒体が水、場合によってアルコールと組み合わせた水である場合が有利である。2〜200gのポリオキソメタレートが100mlの液体媒体当たり使用でき、特に好ましくは8〜12gである。したがって、0.01モル/L〜1モル/Lの範囲の濃度を用いることが好ましい。典型的には、上記分子へのリグニンの分解の後に、特に好ましくは抽出又は蒸留による、反応媒体からのその分子の取り出しが続く。
さらなる好ましい態様は従属請求項に記載されている。
本発明を以下に図面と組み合わせて実施例を参照して詳細に説明する。
図1は、POMとフリーラジカル捕捉剤とを用いたリグニンの分解による化学品を示す。
POMとフリーラジカル捕捉剤とを用いた、リグニンから化学品を製造するための本発明の方法を、代表的な試験を参照して以下に説明する。
より特に、POMとフリーラジカル捕捉剤の有効性が実証されている。
従来技術の方法と比較して、本発明の方法は、より高い生成物の収率を達成することができる。
[試験方法]
試験01〜11及びブランク試料(表1を参照されたい)
典型的な試験では、9.13gのPOM(HPMo1240)を100mlの水又は水/アルコール混合物に溶かしたが、これは正式に0.05モル溶液に相当する。これを次に500mlのオートクレーブ(Premex Reactor AG, Lengnau, Switzerland)に移した。反応器を閉じる前に、1gの粉状のリグニンを添加した。最初に存在する空気を置換するために、この反応混合物を次に5barの酸素又は窒素と3回接触させて、換気した。最後に、反応器を5barの酸素又は10barの窒素で満たした。反応混合物を、8K/分の速度、1200rad/分の撹拌速度で、170℃に加熱した。混合物を170℃に20分間保った。液相を20分後に取り出した。これに続いて、水冷冷却コイルを通しての試料採取を行った。試料は一度濾過し、次に10mlのクロロホルムで3回抽出した。30μlのn−デカンをGC−MS分析(Fisons instruments GC8000/MD800; Restek社からのカラム Rtx-5MS 30 m x 0.25 mm x 0.25 μm)のための内部標準として有機相に添加した。
試験03、04、08、09、10、及び11では、フリーラジカル捕捉剤(メタノール、エタノール)を用いた。
試験02では、反応器を閉じる前に、30mlのクロロホルムの形態の第二の液相を添加した。
試験05では、9.45gのPOM(NaPMo1240)を用いた。ブランク試料ではPOMは用いなかった。
試験12及びWuら(G. X. Wu, M. Heitz, E. Chornet, Ind. Eng. Chem. Res. 33, 718 (Mar, 1994))(表1を参照されたい):
試験12の試験方法は、Wuらと同様にした。10gのリグニンを100mlの3モル水酸化ナトリウム溶液に溶かした。この溶液を500mlのオートクレーブに添加し、500mgの硫酸銅と50mgの塩化鉄とからなる触媒システムを添加した。最初に存在する空気を置換するために、反応器を閉じ、10barにて3回酸素で満たし空にした。次に、反応容器を13.2barの酸素を用いて圧力下に置いた。反応混合物を8K/分の速度で、1200rad/分の撹拌速度にて、170℃に加熱した。この混合物を170℃に20分間保った。液相を20分後に抜き出した。サンプリングは水冷冷却コイルを通して行った。
試験01では、リグニンを0.05モルのHPMo1240の水溶液中、不活性ガス下で処理した。この過程で、溶液の色が黄色から暗青色に変化した。これは用いたポリモリブデートが還元されたことを明らかに示している。GC−MS分析を用いて、0.56mgの、リグニンに基づく生成物(リグニンベース生成物)が定量された(主にバニリン)。
リグニンベース生成物(リグニンに基づく生成物)の収率は、その場での抽出によって約30%増大しうる(試験01と試験02を参照されたい)。このために、第二の液相(クロロホルム)を反応混合物に添加した。これは所望する分解生成物に対してより高い溶解性を持っており、したがって、可能性のあるさらなる反応が、形成された生成物を再び分解する前に、実際の反応媒体(POM水溶液)から、形成されたいずれかの生成物を取り出すことができる。
酸素下で0.05モルのHPMo1240溶液を用いるリグニンの分解(試験06)は、同様に、不活性ガス下での分解(試験01)と比べて、収率を増大させた。酸素下での試験の後、不活性ガス下での試験とは対照的に、黄緑色への溶液のほんのわずかな変色しか検出されず、即ち、たとえあったとしても、ポリオキソモリブデートは非常に僅かにしか還元されなかった。このことは、POMが用いた条件下で再酸化可能であり、この場合は、リグニンの分解中に、酸素がPOMによって消費されているということを疑わせる。
試験07は、様々なリグニンのタイプを用いることができること、及びこの場合の化学品の収率は同じ程度の高さの範囲内であることを示している。製造業者によれば、Aldrich社からのリグニン(バッチ番号09724CE)は、クラフト法で得られた軟材リグニン(softwood lignin)(主としてトウヒ材から)である。グラニット(Granit)(登録商標)法によるリグニンは、これとは対照的に、農業で利用される植物から得られ、したがって異なる化学構造をもっている。
試験05では、用いたPOMは、HPMo1240に対応するナトリウム塩NaPMo1240だった。化学品の収率は、この試験では顕著に高かった。したがって、用いるPOMシステムの変更(化学的な観点からはわずかである)は、所望の生成物の収率に影響を及ぼしうることがわかった。したがって、非常に実質的に最適なPOMシステムの使用は、高収率を達成するためには大変重要である。
化学品の収率に関するフリーラジカル捕捉剤のプラスの効果は、試験01及びブラック試料と比較して試験03及び04で実証されている。試験03及び04では、エタノール及びメタノールをフリーラジカル捕捉剤として用いた。フリーラジカル捕捉剤を用いると、収率は0.56mgからエタノールの場合には1.17mg、メタノールの場合には2.38mgへと高くなった。POMなしのブランク試料の場合には、リグニンに基づく生成物は検出されなかった。
図1は対応するGC−MSクロマトグラフを示し、フリーラジカル捕捉剤を用いた場合には、生成したバニリンと4-ヒドロキシアセチル-2-メトキシフェノールがさらに多いだけでなく、新規な成分もバニリンに匹敵する量で作られることを明らかにしている。
試験04におけるバニリン酸メチルエステルの形成は、メタノールが生成物中に組み込まれることを示している(式11を参照されたい)。
フリーラジカル捕捉剤としてエタノールを用いると、対照的に、バニリン酸エチルエステルが形成される(式12を参照されたい)。
さらに、式11及び12に示した機構を検証するために試験を行なった。重水素化メタノールCDODを用いることで、メタノール残基がバニリン酸メチルエステル生成物中に組み込まれることを明確に示すことができた。重水素化していないメタノールの存在下でのリグニンの反応で生成したバニリン酸メチルエステルの分子量を、GC−MS分析によって測定したところ182g/モルだった。重水素化メタノールを用いると、その分子量は185g/モルであると決定された。さらには、バニリン酸メチルエステルの形成が、バニリンから、例えば、バニリン→バニリン酸→バニリン酸メチルエステルの反応経路によって可能であるかどうかについてもチェックした。窒素下、メタノールの存在下で、0.05モルのHPMo1240溶液中でのバニリンの処理は、どのようなものであれいかなる生成物も与えない。したがって、式11及び12に示されたアシル基は、リグニン中のCα‐Cβ結合の切断の結果として生じると推測することができる。
メタノールからのCHO・ラジカルの形成も詳細に検討した。メタノールのO−H結合の均一開裂は、104kcal/モルというその高い結合エネルギーのために、熱力学的には起こりそうもない。しかし、窒素下でHPMo1240水溶液中のメタノールは、一部がジメチルエーテルに転化されることがわかった。ジメチルエーテルのC−O結合の均一開裂は、84kcal/モルという相対的に低い結合エネルギーのために起こりうる。したがって、メタノールは、酸触媒によるエーテル形成を介してフリーラジカルを形成することができ、したがって、本発明との関連ではフリーラジカル捕捉剤であると考えられる。窒素下で且つメタノールの不存在下で、HPMo1240水溶液中でのリグニンの転化のためにフリーラジカル捕捉剤としてジメチルエーテルを直接添加することは、少量のバニリン酸メチルエステルの生成をもたらす。したがって、ジメチルエーテルはフリーラジカル捕捉剤として直接に活性であり、ジメチルエーテルの均一開裂とそれに伴うバニリン酸メチルエステルの形成が可能であることが示された。
POM及びフリーラジカル捕捉剤を用いたリグニンの分解の結果を従来技術と比較することができるようにするために、Wuらによって用いられた方法(標準)を、我々の例で用いたAldrich社からのリグニンに適用した。
結果の比較は、軟材リグニンを用いたリグニンに基づく化学品の収率は、Wuらと比較して非常に低いことを明らかにした(ほぼ10の因数一つ)。この理由は、非常に異なるリグニンのタイプを用いたことであろう。我々の試験で用いたSigma-Aldrich社からのリグニンは、製造業者によれば、クラフト法によってトウヒ材から単離された典型的な軟材リグニンである。Wuらは、これとは対照的に、蒸気分解によって硬材から製造した自ら製造したリグニンタイプを用いた。硬材リグニンは、非常に高い割合(〜50%)のシリンギル単位を有することが知られている。シリンギル単位のこの比較的高い割合も、Wuらの結果において、かなりの量の生成したシリングアルデヒドに反映されている(7.8質量%)。軟質リグニン(トウヒ材から)は、これとは対照的に、非常に高い割合のグアイアシル単位(〜90%)を有している。このことは、わずかに微量のシリングアルデヒドしか生成しないという我々の結果と合致している。加えて、硬材リグニンの分解は、軟材リグニンの分解よりもずっと容易に且つ迅速に進むことが知られている。さらに、Wuらによって作られた硬材リグニンは、完全には特性分析されていない。酸に不溶性のそのリグニンの組成はWuらによって以下のように報告されている:クラソンリグニン(Klason lignin)=84.7%、酸可溶性リグニン=3.0%、及びその他(未知)=12.3%。
経済的に実施可能な方法には、確実且つ安価なリグニン供給源が必要である。したがって、化学的生産のための出発原料として大量に入手できる軟材リグニンを用いることが望ましいと思われる。既に示したように、軟材リグニンは製紙業(例えば、クラフト法もしくは亜硫酸法)において廃棄物として得られる。したがって、Wuらの方法は、基準として、以下では、我々に入手可能なリグニンに適用されている。
試験10(ここではリグニンを、酸素下で、POM及びフリーラジカル捕捉剤の存在下にて転化した)と従来技術の方法(試験12)との比較は、より高い生成物収率が本発明の方法を用いて達成されることを示している。生成する化学品は主にバニリン(16.5mg)及びバニリン酸メチルエステル(13.5mg)である。
試験11では、ポプラ材のリグニンを使用した。生成物の収率は同様に3.5質量%の領域である。ここでの主生成物は、比較的高い割合のシリンギル単位をもつポプラ材リグニンの化学構造に対応して、バニリン(5.0mg)、バニリン酸メチルエステル(6.2mg)、シリングアルデヒド(8.2mg)、及びシリング酸メチルエステル(12.2mg)である。
本明細書に提示した例は最初の一組の試験を示していることに留意しなければならない。したがって、比較的高い収率の達成が特に見込まれ、なぜなら、本発明の方法は未だ最適化されていないからである。POM、フリーラジカル捕捉剤、及び結局はリグニンのタイプのたくさんの組み合わせからみれば、収率の向上の非常に大きな余地がまだある。さらには、いくつかの反応技術による解決法、例えば、その場での抽出が、なお利用可能である。その潜在可能性は、とりわけ、試験06及び10の比較で明らかになる。ここでは、化学品の収率は、メタノール水溶液の使用のみによって、30倍増大した。本明細書に示した本発明の一つの利点は、フリーラジカル捕捉剤に応じて様々な化学品を調製することができる可能性にもある。例えば、バニリン酸メチルエステルは、メタノールを用いた場合に形成され、バニリン酸エチルエステルは、エタノールを用いた場合に形成される。したがって、POMとフリーラジカル捕捉剤の適切な組み合わせによって、収率だけでなく、目的生成物の選択性にも大きく影響しうることがわかる。

Claims (17)

  1. 液体媒体中にて、すくなくとも1種のポリオキソメタレートの存在下で、リグニン、リグニン誘導体、リグニン断片及び/又はリグニン含有物質又は混合物の分解によって、78g/モルの最小分子量をもつ分子類を直接製造する方法。
  2. 少なくとも前記分解時にフリーラジカル捕捉剤を用い、前記フリーラジカル捕捉剤は好ましくはフリーラジカル、例えば水素原子を提供し、及び/又はリグニン断片の再重合もしくは結合反応を防止又は少なくとも妨害するシステム又はシステムの混合であり、前記フリーラジカル捕捉剤はガス状、液状、及び/又は固体で使うことができ、且つ前記フリーラジカル捕捉剤は特に以下の:
    分子状水素、パーオキシド(例えば、過酸化水素)、アルコール(例えば、メタノール及び/又はエタノール)、有機酸(例えば、アスコルビン酸)、フェノール(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)、安定化されたフリーラジカル(例えば、ニトロキシルラジカル)、又は前記のシステムの混合、
    から好ましくは選択されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 第二の液相を混合物に添加し、前記第二の液相は第一の媒体と顕著に異なる極性を好ましくは有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 金属触媒、特に、遷移元素含有触媒の群からの、好ましくはVIIIB族の金属及び/又はIB族の金属を含むものの群からの金属触媒を追加して用い、前記触媒は好ましい多孔質基材上及び/又は多孔質基材中に結合されていることができることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記反応を、不活性ガス下、酸素含有ガス相下、水素含有ガス相下、又はオゾン含有ガス相下で、0〜300barの範囲の圧力で行なうことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記反応を0℃〜500℃、好ましくは25℃〜300℃の温度範囲で行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 用いた前記ポリオキソメタレートの少なくとも1つがケギン(Keggin)構造を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 用いた前記ポリオキシメタレートの少なくとも1つが下記式(I)又は(II):
    (I) [Y3−18n+[X1−41−3610−60n−
    (II) [Y3−18n+[M1−3610−60n−
    (式中、それぞれの「X」は、原子、又は4つより少ない原子を有する分子から選択され、原子は好ましくはP、Si、As、Ge、B、Co、S、及びFeからなる群からのものであり、それぞれの「M」は金属、好ましくは、Mo、W、V、Ti、Co、Cu、Zn、Fe、Ni、Mn、Cr、ランタニド、Ce、Al、Ga、In、及びTlから選択され、「Y」は対カチオンを表し、好ましくは、H、Zn、Co、Cu、Bi、Na、Li、K、Rb、Cs、Ba、Mg、Sr、アンモニウム、C1−12−アルキルアンモニウム及びC1−12−アルキルアミンから選択され、「n」は整数である。)
    で表されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記ポリオキソメタレートが下記式(III):
    (III) [Yn+[XM1240n−
    (式中、「X」は、Si、P、及びGeからなる群から選択され、「M」は、Mo、V、及びWからなる群から選択され、対カチオン「Y」は、H、Zn、Co、Cu、Bi、Na、Li、K、Rb、Cs、Ba、Mg、Sr、アンモニウム、C1−12-アルキルアンモニウム、及びC1−12-アルキルアミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、「n」及び「y」は整数である。)
    で表されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記ポリオキソメタレートが基材上に、特に好ましくは二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、活性炭、又はゼオライト上に結合されており、前記基材が好ましくは多孔質であり且つ前記ポリオキソメタレートの一部は前記基材の孔の中に存在することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記分子類が少なくとも1つのベンゼン環、多くても3つ以下のベンゼン環を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記分子類の少なくとも1つがバニリン又はバニリン誘導体、例えば、メチルもしくはエチルエステルであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記ポリオキソメタレートがHPMo1240であり、前記液体媒体が水であり、且つ、アルコール系フリーラジカル捕捉剤を用い、アルコール系フリーラジカル捕捉剤はメタノール及び/又はエタノールから選択されることが好ましく、水とアルコール系フリーラジカル捕捉剤との体積比が特に好ましくは1:10〜10:1の範囲であり、圧力が好ましくは2barよりも高いことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記液体媒体が水、場合により、液状のフリーラジカル捕捉剤と組み合わせた水であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. ポリオキソメタレート又はポリオキソメタレート混合物が前記液体媒体中に溶けており、その濃度が好ましくは0.01モル/L〜1モル/Lの範囲であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記分子類が、前記反応媒体から、特に好ましくは抽出及び/又は蒸留によって、前記分子類へのリグニンの分解中又は分解後に取り出されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. フリーラジカル捕捉剤を少なくとも前記分解時に用い、
    前記フリーラジカル捕捉剤は、間接又は直接にフリーラジカルを提供し且つリグニン断片の再重合もしくは結合反応を防止又は少なくとも妨害するシステム又はシステムの混合であり、
    前記フリーラジカル捕捉剤はガス状、液状、及び/又は固体で使うことができ、且つ前記フリーラジカル捕捉剤は特に好ましくは以下の:
    分子状水素、パーオキシド(例えば、ジベンゾイルパーオキシド又は過酸化水素)、アルコール(例えば、メタノール及び/又はエタノール)、安定化されたフリーラジカル(例えば、ニトロキシルラジカル)、有機酸(例えば、アスコルビン酸)、フェノール(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)、エーテル(例えば、ジメチルエーテル)、エステル(例えば、酢酸エチル)、酸無水物(例えば、無水酢酸)、又はそのようなシステムの混合、
    から選択されることが好ましい、
    ことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
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