JP2010513536A - ホウ酸第四級アンモニウム組成物およびこれらを含有する基質防腐用溶液 - Google Patents
ホウ酸第四級アンモニウム組成物およびこれらを含有する基質防腐用溶液 Download PDFInfo
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Abstract
シロアリ忌避処理セルロース基質およびこれの製造方法。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は第四級アンモニウム化合物に関する。より詳細には、本発明は、ホウ酸第四級アンモニウム化合物およびこれらを含有させた基質防腐用溶液に関する。
第四級化合物または簡単に「クアト(quats)」と呼ばれる種類の分子は数多くの産業用途で用いられる。クアトは、1個の窒素原子が4個の有機基と結合している群の化合物であるとして大まかに定義される。前記基の中の1つは必ずしもではないが典型的に長鎖アルキル基である。大部分の産業用途で、「活性」分子が生じるように、そのようなクアト分子を対イオン(アニオン)と一緒にして複合体を形成させている。
クアトが用いられる産業の範囲は、木材防腐剤/殺生物剤産業からヘアケア製品、クリーニング製品、布柔軟剤、薬剤、界面活性剤、消臭剤、マウスウォッシュ、木材防腐剤、乳化剤、化粧品および鉱物採鉱の如き産業に及ぶ。
発明の要約
本発明は、処理されたセルロース基質を含んで成る組成物に関し、前記処理されたセルロース基質は式:
本発明は、処理されたセルロース基質を含んで成る組成物に関し、前記処理されたセルロース基質は式:
[式中、Yは、H2BO3 −、HBO3 −2、BO3 −3、B4O7 −2、HB4O7 −、B3O5 −、B5O8 −2およびBO2 −から選択され、R1、R2、R3およびR4は、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは、Yの選択に応じて1、2または3である]
で表される第四級アンモニウム化合物を含有して成る。
で表される第四級アンモニウム化合物を含有して成る。
いくつかの態様における前記処理されたセルロース基質は、以下に定義するようにシロアリ忌避性および/または難燃性である。
発明の詳細な説明
用語「第四級アンモニウム化合物」と「クアト」を本明細書では時として互換的に用いそしてこれらは少なくとも1個の窒素原子が正味正電荷が残るように4個の有機基と結合
している化合物を指すことを意味する。特定の面において、前記有機基はアルキルまたはアルケニル(不飽和アルキル)基であり得、これらは直鎖もしくは分枝、置換もしくは非置換またはこれらの混合形態である。別の面において、用語「第四級アンモニウム化合物」または「クアト」にまた2個以上の窒素が4個の有機基と結合している化合物も包含させることを意図する。例えば、クアトが有する4個の有機基の中の1つが2番目のクアトと「共有している」基であることもあり得る。
用語「第四級アンモニウム化合物」と「クアト」を本明細書では時として互換的に用いそしてこれらは少なくとも1個の窒素原子が正味正電荷が残るように4個の有機基と結合
している化合物を指すことを意味する。特定の面において、前記有機基はアルキルまたはアルケニル(不飽和アルキル)基であり得、これらは直鎖もしくは分枝、置換もしくは非置換またはこれらの混合形態である。別の面において、用語「第四級アンモニウム化合物」または「クアト」にまた2個以上の窒素が4個の有機基と結合している化合物も包含させることを意図する。例えば、クアトが有する4個の有機基の中の1つが2番目のクアトと「共有している」基であることもあり得る。
第四級アンモニウム化合物
本明細書で用いる如き用語「第四級アンモニウム化合物」、「クアト」および「ボレート−クアト」は、一般式R1R2R3R4−N+Y−[式中の基は同じか、異なるか或は環の一部であってもよく、そしてYは対アニオンである]で表される化合物を指す。前記有機基、即ちR1、R2、R3およびR4はアルキルまたはアルケニル(不飽和アルキル)基であり得、これらは直鎖もしくは分枝、置換もしくは非置換またはこれらの混合形態である。用語「第四級アンモニウム化合物」または「クアト」にまたクアトが有する4個の有機基の中の1つが2番目のクアトと「共有している」基であってもよい化合物も包含させることを意図する。
本明細書で用いる如き用語「第四級アンモニウム化合物」、「クアト」および「ボレート−クアト」は、一般式R1R2R3R4−N+Y−[式中の基は同じか、異なるか或は環の一部であってもよく、そしてYは対アニオンである]で表される化合物を指す。前記有機基、即ちR1、R2、R3およびR4はアルキルまたはアルケニル(不飽和アルキル)基であり得、これらは直鎖もしくは分枝、置換もしくは非置換またはこれらの混合形態である。用語「第四級アンモニウム化合物」または「クアト」にまたクアトが有する4個の有機基の中の1つが2番目のクアトと「共有している」基であってもよい化合物も包含させることを意図する。
本発明のクアトは一般式:
[式中、Yは対アニオンであり、R1、R2、R3およびR4は有機基でありそしてmは1、2、3、4または5である(これらは全部以下に記述する如くである)]
で表され得る。
で表され得る。
本発明で用いる第四級アンモニウム化合物の対アニオンであるYは、ホウ酸塩アニオン、燐酸塩アニオン、炭酸塩アニオン(CO3 −2)、重炭酸塩アニオン(HCO3 −)およびカルボン酸塩アニオン([CO2 −]nR5)から選択可能である。このように、いくつかの態様におけるYは、ホウ酸塩アニオン、または燐酸塩アニオン、または炭酸塩アニオン、または重炭酸塩アニオンまたはカルボン酸塩アニオンである。第四級アンモニウム化合物が2個存在する場合、そのクアトの中の一方が有する対アニオンは重炭酸塩アニオンおよび/または炭酸塩アニオンまたは燐酸塩イオンまたはカルボン酸塩アニオンであり、そしてもう一方の第四級アンモニウム化合物が有する対アニオンはホウ酸塩アニオンであるのが好適である。
本明細書で用いるに適したホウ酸塩アニオンには、二水素ホウ酸塩アニオンH2BO3 −、水素ホウ酸塩アニオンHBO3 −2、ホウ酸塩アニオンBO3 −3、四ホウ酸塩アニオンB4O7 −2、水素四ホウ酸塩アニオンHB4O7 −、B3O5 −、五ホウ酸塩B5O8 −2およびBO2 −が含まれる。このようにYを適切にはH2BO3 −、HBO3 −2、BO3 −3、B4O7 −2、HB4O7 −、B3O5 −、B5O8 −2およびBO2 −から選択する。Yがホウ酸塩アニオンの場合、いくつかの態様におけるYはBO3 −3
であり、そしてmは3である。
であり、そしてmは3である。
本明細書で用いるに適した燐酸塩アニオンには、燐酸塩アニオンPO4 −3、水素燐酸塩アニオンHPO4 −2、二水素燐酸塩アニオンH2PO4 −、二燐酸塩アニオンP2O7 −4および三燐酸塩アニオンP3O10 −5が含まれる。このように、Yを適切にはPO4 −3、HPO4 −2、H2PO4 −、P2O7 −4、P3O10 −5およびPO3 −から選択する。Yが燐酸塩アニオンの場合、いくつかの態様におけるYはPO4 −3であり、そしてmは3である。
本明細書で用いるに適したカルボン酸塩アニオンは、一般式[CO2 −]nR5[式中、nは1に相当するか或はそれ以上の整数であり、そしてR5は炭素原子数が1から25の範囲の置換、非置換、飽和もしくは不飽和アルキル基から選択される]で表される。いくつかの態様において、R5が含有する炭素原子の数は約10から約20の範囲、いくつかの態様における炭素原子の数は10から12の範囲、他の態様における炭素原子の数は12から14の範囲、他の態様における炭素原子の数は14から16の範囲、更に他の態様における炭素原子の数は16から18の範囲内である。
本発明で用いるクアトが有する4個の炭素鎖、即ちR1、R2、R3およびR4は独立してi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する。そのようなクアトで用いるに適したアルキルおよびアルケニル基は炭素原子数が1から20の範囲内のそれらである。いくつかの態様では、R1およびR2を独立して炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基から選択し、そしてR3およびR4を独立して炭素原子を6から20個の範囲の数で含有する基から選択しかつそれらをi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは1、2または3である。別の態様におけるR1およびR2はメチル基であり、そしてR3およびR4を独立して炭素原子を8から14個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基から選択する。1つの態様において、R3またはR4の中の一方は炭素原子を8から10個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基であり、そしてR3またはR4の中の一方は炭素原子を12から14個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基である。そのような態様のいくつかでは、R3とR4が含有する炭素原子の数は同じでない。更に他の態様において、R1、R2、R3およびR4は炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基、時にはメチル基である。
本発明の他の態様では、前記4個の炭素鎖、即ちR1、R2、R3およびR4の中の少なくとも1個、時には1個のみ、他の態様では2個のみをi)炭素原子を13から16、時には14から16、時には14個含有する置換もしくは非置換アルキル基またはii)炭素原子を13から16、時には14から16、時には14個含有する置換もしくは非置換アルケニルから選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する。そのような炭素鎖は飽和もしくは不飽和であってもよく、好適には置換されていない。そのような態様では、前記炭素鎖を炭素原子を13から16、時には14から16、時には14個含有する不飽和の置換もしくは非置換、好適には非置換アルキル基から選択する。そのような態様では、R1、R2、R3およびR4の中の少なくとも2個、いくつかの態様では2個のみ、他の態様では3個を独立して炭素原子数が1から4、好適には1から3、いくつ
かの態様では2から4のアルキル基から選択する。そのような態様では、また、R1、R2、R3およびR4の中の1つをi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有することも意図する。そのようなアルキルおよびアルケニル基は、炭素原子を1から20個含有するそれらである。いくつかの態様では、R1、R2、R3およびR4の中の1つを炭素原子を6から20個含有する基から選択し、それらをi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは1、2または3である。いくつかの態様では、それを炭素原子を8から14個含有する非置換アルキル基から選択する。他の態様では、それを炭素原子を8から10個含有する非置換アルキル基から選択し、他の態様では、それを炭素原子を12から14個含有する非置換アルキル基から選択する。そのような態様のいくつかでは、前記4個の炭素鎖の中で含有する炭素原子の数が他の3個の炭素鎖のそれとは異なる炭素鎖の数は少なくとも1、時には1のみ、他の態様では2のみである。
かの態様では2から4のアルキル基から選択する。そのような態様では、また、R1、R2、R3およびR4の中の1つをi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有することも意図する。そのようなアルキルおよびアルケニル基は、炭素原子を1から20個含有するそれらである。いくつかの態様では、R1、R2、R3およびR4の中の1つを炭素原子を6から20個含有する基から選択し、それらをi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは1、2または3である。いくつかの態様では、それを炭素原子を8から14個含有する非置換アルキル基から選択する。他の態様では、それを炭素原子を8から10個含有する非置換アルキル基から選択し、他の態様では、それを炭素原子を12から14個含有する非置換アルキル基から選択する。そのような態様のいくつかでは、前記4個の炭素鎖の中で含有する炭素原子の数が他の3個の炭素鎖のそれとは異なる炭素鎖の数は少なくとも1、時には1のみ、他の態様では2のみである。
本発明のいくつかの態様では、前記4個の炭素鎖の中の2個を独立して炭素原子数が1から4、時には1から3、いくつかの態様では2から4のアルキル基から選択し、そして前記4個の炭素鎖の中の2個を独立して炭素原子を6から20個含有する基から選択し、それらをi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは1、2、3、4または5であり、かつ上述した如き範囲を意図しそして炭素原子を6から20個含有する基から独立して選択した前記4個の炭素鎖の中の前記2個が含有する炭素原子の数は異なる。
別の態様におけるmは2であり、そしてクアトが有する4個の有機基の中の1個は2番目のクアトと「共有する」基であってもよい。この態様ではR4をそのような共有基として示したが、その共有基はR1、R2、R3およびR4のいずれであってもよいことを注目すべきである。このような態様において、本発明のコーティング配合物で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
で表される。
この態様におけるR1、R2、R3、R4は上述した通りであり、そしてYを−2のイオン電荷を有する上述したアニオンから選択し、いくつかの態様におけるそれは−2のイオン電荷を有するホウ酸塩アニオン、いくつかの態様ではHBO3 −2である。
別の態様において、mが2でありそしてクアトが有する4個の有機基の中の1個が2番目のクアトと「共有する」基であってもよい場合、本発明で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
で表される。
この態様におけるR1、R2、R3、R4は上述した通りであり、そして各Yを独立して−1のイオン電荷を有する上述したアニオンから選択し、いくつかの態様におけるそれは−1のイオン電荷を有するホウ酸塩アニオン(H2BO3 −、HB4O7 −、B3O5 −およびBO2 −)であり、他の態様における各YはH2BO3 −である。この態様ではR4をそのような共有基として示したが、その共有基はR1、R2、R3またはR4のいずれであってもよいことを注目すべきである。
別の態様では、mが3でありそしてクアトが有する4個の有機基の中の1個が2番目のクアトと「共有する」基である。この態様において、本発明のコーティング配合物で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
で表され得る。
この態様におけるR1、R2、R3およびR4は上述した通りであり、そして一方のYを独立して−2のイオン電荷を有する上述した対アニオンから選択しそしてもう一方のYを−1のイオン電荷を有する対アニオンから選択する。いくつかの態様では、一方のYをH2BO3 −、HB4O7 −、B3O5 −およびBO2 −から選択しそしてもう一方のYをHBO3 −2、B4O7 −2およびB5O8 −2から選択する。この態様ではR4をそのような共有基として示したが、その共有基はR1、R2、R3またはR4のいずれであってもよいことを注目すべきである。
別の態様において、mが3でありそしてクアトが有する4個の有機基の中の1個が2番目のクアトと「共有する」基であってもよい場合、本発明で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
で表される。
この態様におけるR1、R2、R3またはR4は上述した通りであり、そして各Yを独立して−1の正味イオン電荷を有するアニオンから選択する。いくつかの態様では、各Yを独立してH2BO3 −、HB4O7 −、B3O5 −から選択する。この態様ではR4をそのような共有基として示したが、その共有基はR1、R2、R3およびR4のいずれであってもよいことを注目すべきである。
いくつかの態様では、mが3でありそしてYがBO3 −3である。この態様において、本発明で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
で表される。
この態様におけるR1、R2、R3またはR4は上述した通りである。この態様ではR4およびR2をそのような共有基として示したが、その共有基は独立してR1、R2、R3またはR4のいずれかまたはそれら任意組み合わせであってもよいことを注目すべきである。例えばR4およびR1が共有基であってもよい、R1およびR3が共有基であってもよい、等々。また、3個の窒素原子全部がR1、R2、R3またはR4から独立して選択される同じ基を共有していることもあり得る。
本発明者らは、予想外に、本発明のクアト1種または2種以上が基質、特に木に少なくとも抗菌特性を与えるに有効であることを見いだした。また、従来技術には炭酸塩および/または重炭酸塩のクアトが殺シロアリ剤であることが教示されてはいるが、本発明の発明者らは、本発明で用いるクアトのいくつか、例えばボレート−クアトなどはシロアリ忌避に有効であることを見いだした。シロアリ忌避は、シロアリがクアトで処理されたセルロース基質を餌にせず、クアトで処理されたセルロース基質を餌にすることなくそれを横切りそして時にはクアトで処理されたセルロース材料を餌にする代わりに共食いを起こす挙動を示すことを意味する。本発明者らは、理論で範囲を限定することを望むものでないが、シロアリはその処理されたセルロース基質を餌源として認識しないと考えている。いくつかの態様において、本発明のクアトは、クアト処理セルロース材料にある程度の難燃特性を与えるに有効である。
また、Yがホウ酸塩の場合、本発明者らは、本クアトが示す染み出し易さの方が異なる対アニオンYを含有するクアトのそれよりも低いことも見いだした。染み出し易さが低いことは、セルロース材料に含有させた本ボレート−クアトが前記材料が水にさらされた後、即ち雨、洗浄などにさらされた後にそれが有効な量(この上で定義した如き)で残存することを意味する。いくつかの態様では、水に繰り返し、即ち3回以上さらされた後でも有効な量で残存する。本ボレート−クアトは染み出し易さが低いことから、本ボレート−クアトで処理したセルロース材料は、伝統的な炭酸塩/重炭酸塩のクアトで処理された基質に比べて長時間に渡って殺菌・殺カビ特性を維持する。このように、炭酸塩および重炭酸塩のクアトおよびそれらの組み合わせの場合には、そのようなクアトで処理されたセルロース材料の方が同じ量の本発明に従うボレート−クアトで処理したセルロース材料に比べて表面上で菌・カビが容易に増殖する。本発明者らは、そのような特性は本ボレート−クアト処理セルロース材料が長期のシロアリ忌避を示すことにとって重要であることを見いだした。本発明者らは、理論で範囲を限定することを望むものでないが、そのように菌
・カビが増殖すると炭酸塩/重炭酸塩クアト処理濃度が急速に低下することでそのようなクアトで処理されたセルロース材料が所望の殺シロアリ特性を失うと理論付けする。しかしながら、本発明のボレート−クアトで処理したセルロース材料が示すシロアリ忌避特性は同様な様式では悪化しない、と言うのは、菌・カビの増殖が容易には起こらないからである。
・カビが増殖すると炭酸塩/重炭酸塩クアト処理濃度が急速に低下することでそのようなクアトで処理されたセルロース材料が所望の殺シロアリ特性を失うと理論付けする。しかしながら、本発明のボレート−クアトで処理したセルロース材料が示すシロアリ忌避特性は同様な様式では悪化しない、と言うのは、菌・カビの増殖が容易には起こらないからである。
本発明のクアトの調製は当該技術分野で公知の方法のいずれかを用いて実施可能であり、典型的な方法には、共通所有の同時係属中出願であるPCT US2005/010162およびUS 60/730,821(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されている方法が含まれる。いくつかの態様では、本クアトの製造をイオン交換技術を用いて実施する。
セルロース基質
本明細書で用いる如きセルロース基質は、木、綿、厚紙、ライナーボード、他の同様な紙製品、板壁、例えば石膏ボードなど上の紙製「被覆材」、シーリングタイル材料、複合組み立て品、パーティクルボードまたは建物の建築で用いられる他の同様な複合品または設計材料、即ち繊維板、プレスボードなど、セルロースで出来ている他の材料のいずれか、それらの任意組み合わせなどを指すことを意味する。いくつかの態様におけるセルロース基質は木またはパーティクルボード、または建物の建築で用いられる他の同様な複合品または設計木材、即ち繊維板、プレスボードなどである。
本明細書で用いる如きセルロース基質は、木、綿、厚紙、ライナーボード、他の同様な紙製品、板壁、例えば石膏ボードなど上の紙製「被覆材」、シーリングタイル材料、複合組み立て品、パーティクルボードまたは建物の建築で用いられる他の同様な複合品または設計材料、即ち繊維板、プレスボードなど、セルロースで出来ている他の材料のいずれか、それらの任意組み合わせなどを指すことを意味する。いくつかの態様におけるセルロース基質は木またはパーティクルボード、または建物の建築で用いられる他の同様な複合品または設計木材、即ち繊維板、プレスボードなどである。
そのようなセルロース基質1種または2種以上に本発明のクアトによる処理または含浸を当該技術分野で公知のいずれかの方法に従って受けさせてもよい。基質に処理または含浸を受けさせる方法の非限定例には、浸し塗り、浸漬、ハケ塗り、加圧処理などが含まれる。処理時間の長さは選択する処理方法、基質および所望特性に応じて変わるであろう。通常の当業者は処理時間を容易に選択することができるであろう。
しかしながら、あらゆる処理は一般に当該セルロース基質に本クアト1種または2種以上が入っている水溶液による処理をその処理されたセルロース基質が本クアト1種または2種以上を有効な量で含有するまで受けさせることを伴う。有効な量は、その処理されたセルロース基質が本クアト1種または2種以上をその処理されたセルロース基質の重量を基準にして約1から約30重量%含有することを意味する。好適な態様では、その処理されたセルロース基質が含有する本クアト1種または2種以上の量が同じ基準で約5から約10重量%になるようにする。
本発明の実施では、当該セルロース基質の処理で用いる水溶液に金属カプラーを入れない。金属カプラーを入れないは、当該水溶液に銅、水銀、鉛、カドミウム、六価のクロム、ヒ素、アンチモンまたは亜鉛などの如き金属を入れないことを意味する。そのような金属は一般に殺生物特性を有することが理由で使用されている。しかしながら、前記および他の「重」金属は特定の環境上の懸念を有し、従って、処理されたセルロース基質がそのような重金属を含有しないようにするのが有益であろう。このことは、その処理されたセルロース材料がそのセルロース材料に天然には存在しない重金属を含有しないこと、即ちそのような重金属を当該セルロース材料に天然に存在し得る以外はそのセルロース材料に添加しないことを意味する。
クアトの製造で用いられる方法、例えば共通譲渡の同時係属中出願であるPCT US2005/010162およびUS 60/730,821に記述されている方法などを用いて典型的にはクアトを水溶液の状態で生じさせる。その水溶液には典型的に水、少なくとも1種の極性有機共溶媒および本明細書に記述する如き1種以上のクアトが入っている。そのような水溶液に入っている極性有機共溶媒と水の比率を一般に約10:90から
約99:1(水と極性有機共溶媒の組み合わせを基準にした共溶媒の重量:水の重量)の範囲内にするが、そのような極性有機共溶媒と水の正確な量をR1、R2、R3およびR4の選択に応じて選択する。一般的には、共溶媒:水の重量比を同じ基準で約50:50から約99:1の範囲内にするのが好適であり、約60:40から約99:1がより好適であり、約70:30から約98:2が更により好適であり、約80:20から約95:5が更により好適である。
約99:1(水と極性有機共溶媒の組み合わせを基準にした共溶媒の重量:水の重量)の範囲内にするが、そのような極性有機共溶媒と水の正確な量をR1、R2、R3およびR4の選択に応じて選択する。一般的には、共溶媒:水の重量比を同じ基準で約50:50から約99:1の範囲内にするのが好適であり、約60:40から約99:1がより好適であり、約70:30から約98:2が更により好適であり、約80:20から約95:5が更により好適である。
一般的には、疎水性が非常に高いアルキル置換基を含有するクアト、例えばアルキル基がC10−C20である二重尾もしくは双尾クアトなどの場合には水に対する共溶媒の比率が高い水溶液の方が好適である一方、疎水性が低いアルキル置換基を有するホウ素−クアト、例えば(C2−C6)アルキルトリメチルアンモニウム塩などの場合には水に対する共溶媒の比率が低い水溶液が好適であることを見いだした。
そのような水溶液には水、少なくとも1種の極性有機共溶媒および本発明に従うクアト1種または2種以上が入っていると理解されるべきである。しかしながら、この上に示した水溶液に入っている水および極性有機共溶媒の量を記述する時のそれらの比率は極性有機共溶媒と水の量を基準にした比率である。このように、そのような予防用溶液に入っている前記成分および本クアトの量を考慮する時、その混合物は、少なくとも3種類の主成分である水と極性有機共溶媒と本クアト「塩」を含有して成る3成分組成物である。従って、そのような水溶液の成分の比率をこの水溶液を基準にしたクアトの重量:極性有機共溶媒の重量:水の重量の比率として表すことができる。例として、メタノール:水が重量で表して85:15の混合物から成る混合物にクアト塩を25重量%添加することで生じさせた水溶液は、この水溶液を基準にした重量で表してクアト塩:メタノール:水が重量で表して25:64:11の3成分組成を有するであろう。
経済および/または工程の考慮が理由で、本クアトを一般に水溶液の状態で製造し、それのクアト1種または2種以上の濃度を一般にクアトが水溶液を基準にして約1から約50重量%の範囲にする。その水溶液のクアト濃度をこの水溶液を基準にして約1から約10重量%の範囲内にするならば、その水溶液をそのままセルロース基質に塗布してもよいが、商業的に入手可能なそのような水溶液は、一般に、クアトの濃度が水溶液を基準にして約10から約30重量%の範囲、より典型的にはクアト1種または2種以上の濃度が同じ基準で約20から約30重量%の範囲内の水溶液のみである。本発明者らは、クアト1種または2種以上の濃度をそのように高くする必要はなく、上述したように、クアト1種または2種以上を有効な量で含有する処理されたセルロース基質を生じさせようとする時にその濃度の範囲をずっと低くしても有効でありかつ費用が低いことを見いだした。従って、本発明の実施では、そのような水溶液に希釈剤を添加して水溶液のクアト濃度を約1から約10重量%の範囲、いくつかの態様では約2から約8重量%の範囲、いくつかの態様では約4から約6重量%(全部水溶液を基準)の範囲内にまで低くしてもよい。本明細書で用いるに適した希釈剤は、上述した如き極性有機共溶媒、水およびこれらの混合物から選択可能である。いくつかの態様における希釈剤は水である。
代替態様
1つの態様において、本発明は、式:
1つの態様において、本発明は、式:
[式中、R1、R2、R3、Yおよびmは、上述した通りであり、R’は、炭素原子数が1−10、時には1−5、時には1−3の炭化水素基であり、そしてR”およびR”’は、独立して、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する]
で表される1種、いくつかの態様では2種以上の第四級アンモニウム化合物を包含し得る。R”およびR”’を好適には炭素原子数が1−20、好適には1−15、より好適には6−14の非置換アルキル基から選択する。
で表される1種、いくつかの態様では2種以上の第四級アンモニウム化合物を包含し得る。R”およびR”’を好適には炭素原子数が1−20、好適には1−15、より好適には6−14の非置換アルキル基から選択する。
別の態様において、本発明は、セルロース基質と1番目および2番目、時には3番目の第四級アンモニウム化合物を包含する。別の態様では、1番目および2番目の第四級アンモニウム化合物を本発明の実施で用いる。そのような1番目の第四級アンモニウム化合物は上述した式のいずれかで表され得るが、いくつかの態様において、その1番目の第四級アンモニウム化合物は式:
[式中、mは上述した通りであり、そしてYは、好適な態様を包含する上述した如きホウ酸塩から選択される]
で特徴づけ可能である。この態様では、前記1番目の第四級アンモニウム化合物の4個の炭素基、即ちR1、R2、R3およびR4を好適な態様を包含する上述したそれらから選択する。
で特徴づけ可能である。この態様では、前記1番目の第四級アンモニウム化合物の4個の炭素基、即ちR1、R2、R3およびR4を好適な態様を包含する上述したそれらから選択する。
この態様における2番目の第四級アンモニウム化合物は、上述した式のいずれかで表さ
れ得るが、いくつかの態様において、その2番目の第四級アンモニウム化合物は式:
れ得るが、いくつかの態様において、その2番目の第四級アンモニウム化合物は式:
[式中、mは上述した通りであり、そしてYは、ホウ酸塩以外の対アニオン、即ち炭酸塩および/または重炭酸塩、燐酸塩、カルボン酸塩およびこれらの混合物、いくつかの態様では炭酸塩および/または重炭酸塩から選択される]
で特徴づけ可能である。この態様では、前記2番目の第四級アンモニウム化合物の4個の炭素基、即ちR1、R2、R3およびR4を上述したそれらから選択する。
で特徴づけ可能である。この態様では、前記2番目の第四級アンモニウム化合物の4個の炭素基、即ちR1、R2、R3およびR4を上述したそれらから選択する。
前記2番目の第四級アンモニウム化合物のYが重炭酸塩または炭酸塩である時に前記2番目の第四級アンモニウム化合物と同じ一般式で表される3番目の第四級アンモニウム化合物を存在させることは本発明の範囲内である。この態様では、その3番目の第四級アンモニウム化合物に金属カプラーを存在させず、かつこの3番目の第四級アンモニウム化合物の4個の炭素基、即ちR1、R2、R3およびR4を上述したそれらから選択する。この態様における3番目の第四級アンモニウム化合物のY対アニオンは重炭酸塩もしくは炭酸塩であるが、前記2番目の第四級アンモニウム化合物のそれと同じではない。例えば、前記2番目の第四級アンモニウム化合物のYが炭酸塩の場合、3番目の第四級アンモニウム化合物のYは重炭酸塩であり、そしてその逆も当てはまる。
この上で行った説明は本発明のいくつかの態様に向けたものである。当業者は、等しく有効な他の態様を認識し、本発明の精神を実行するに適した他の態様を考案することができるであろう。また、本発明の好適な態様は本明細書で考察するあらゆる範囲が低い方のいずれかの量から高い方のいずれかの量までの範囲を包含することを意図したものであることも注目すべきである。
以下の実施例は本発明を例示するものであり、決して限定することを意味するものでない。
実施例
本発明に従うボレート−クアトの効果および保持を示す目的で、寸法が1.8x1.8x0.6の木(松)サンプルに下記の溶液を用いた処理を受けさせた:
表1に示した木処理剤の各々を個別に脱イオン水で希釈することで、木処理剤含有量が溶液を基準にして5重量%の木処理剤溶液を生じさせた。次に、各溶液を用いて上述した如き40個のサンプルを処理した。
40個のサンプルを400mlの木処理剤溶液に入れてそれらを振とう器で24時間振とうすることで、それらに木処理剤溶液による処理を受けさせた。次に、そのサンプルをフード内で24時間乾燥させた後、アルミ箔で包んで24時間貯蔵した。
次に、各処理から6個のサンプルを無作為に選択した。各処理の6個のサンプルを個別に50mlの脱イオン水に入れて振とう器で24時間振とうした。この過程を2回繰り返すことで水洗浄回数が全体で3回になるようにした。3回目および最終的な水洗浄段階後の木片をフード内で5日目から乾燥させた。
5日目の乾燥が終了した後のサンプルにシロアリをAmerican Wood−Preservers’ Associationの単一選択標準方法に従って与えた。ねじぶた付きガラス製ジャー(直径が80mmで高さが150mm)を用いて、それらの各々に洗浄した後にオートクレーブにかけそして30mlの蒸留水で湿らせておいた砂を150g入れた。
この実施例では、本ボレート−クアトの保持を通常のシロアリ処理剤であるTim−Bor(商標)、即ち98重量%の八ホウ酸二ナトリウム四水化物のそれと比較した。この実施例では、上述したようにして調製したボレート−クアトが5%の溶液(100ml)およびTim−Bor(商標)に上述した如き木(松)サンプルを10個浸漬した。前記5%の溶液の調製を表1に記述した如きボレート−クアトおよびTim−Bor(商標)木処理剤を用いて実施した。
これらのサンプルを100mlの木処理剤溶液に入れてそれらを振とう器で24時間振とうすることで、それらに木処理剤溶液による処理を受けさせた。次に、これらのサンプルをフード内で24時間乾燥させた後、アルミ箔に包んで24時間貯蔵した。
次に、各サンプルをpHが6の脱イオン水を6ml用いて湿らせておいた砂を50g入れて番号を付けておいた100x15mmのペトリ皿に入れた。200匹の台湾シロアリ(180匹の働きアリおよび20匹の兵隊アリ)を各皿に入れた後、その皿を28℃のインキュベーターに入れた。必要に応じて水を前記ペトリ皿に加えた。Tim−Bor(商標)で処理したサンプルのシロアリ死亡率がほぼ100%になった時点で実験を止めた。穴掘り、死亡率およびシロアリの場所(木の上/外)に関する観察を毎日行った。
Tim−Bor(商標)で処理したサンプルのペトリ皿のシロアリ死亡率が14日後に約90%になったことを観察した。Tim−Bor(商標)で処理した木では4週間後に死亡率が100%に到達したことで実験を止めた。この実験の過程中、シロアリはTim−Bor(商標)で処理した木の上およびそれを取り巻く砂の表面の上に存在したままであった。予測通り、シロアリはTim−Bor(商標)で処理したサンプルを食べて死亡した。
しかしながら、本ボレート−クアトで処理したサンプルを入れておいたペトリ皿に入っているシロアリは木サンプルを食べなかった。その代わりに、シロアリは木片から離れて砂の中に穴を掘った。この実験終了時、本ボレート−クアトで処理したサンプルが入っている10個のペトリ皿の中の2個に生存シロアリが存在していた。一方の皿に49匹の働きアリが残存し、そしてもう一方の皿に2匹の働きアリが残存していた。それらを皿から取り出し、そして腹部が平らであることを確認しかつ縮んだように見られたが、それは、それらが皿の中に居る間に餌を取らなかったことによるものである。実際、実験中に死亡したシロアリを共食い行動が理由で皿から取り出す必要があった。
従って、この実施例は、ボレート−クアトは殺シロアリ剤ではなく、シロアリ忌避剤であることを立証している。シロアリは、本発明に従うボレート−クアトで処理した木を食べず、本発明者らは、それらが示した穴掘り挙動で見られるように、木を餌源として認識しなかったと理論付けする。
ボレート−クアトの保持が優れていることを示す目的で、この上に示した実施例2で用いたサンプルをペトリ皿から取り出した後、それらに別の水洗浄段階を実施例2に記述したようにして受けさせた。次に、これらのサンプルをペトリ皿に入れた後、シロアリを実施例2に記述したようにして加えた。Tim−Bor(商標)で処理した木サンプルでは14日後のシロアリ死亡率が非常に低いことを観察し、かつシロアリの活動は実施例2で観察したそれと同様であった、即ちシロアリはサンプルの表面および砂の上に存在しかつサンプルを食べた。
本ボレート−クアトで処理したサンプルを入れておいたペトリ皿に入っているシロアリもまた同じ挙動を示した。それらは木を食べず、表面の上に残存する代わりに穴を掘り続けた。このことは、ボレート−クアトは他の処理剤ほど容易には滲出せず、その代わりに木の中に存在したままであることを示している。このように、ボレート−クアト含有木処理剤はシロアリ忌避性でありかつ伝統的なシロアリ処理剤に比べて染み出し易さが低い。
本発明に従うボレート−クアトが優れた殺菌殺カビ効果を有することを示す目的で、木片に前記表1に概略を示した材料を用いた処理を受けさせた。木片に上述したようにして調製した5%の木処理剤水溶液を用いた処理を個別に受けさせた。これらの木片に実施例2に記述した如き溶液を用いた処理を受けさせた、即ち振とうを行った後にフードの中で乾燥させた。
この処理を受けさせた木片をpHが5の水の中に20分間浸漬した後、それらをオートクレーブに充分な温度でかけた。その処理木片を個別のペトリ皿に入れた後、そのオートクレーブにかけた後に湿らせておいたチップの上に無菌状態で白金耳量の褐色腐朽菌を移した。次に、そのペトリ皿をパラフィルム(商標)で密封した後、25℃で充分な時間インキュベートした。同じ溶液を用いて同じ様式で処理した異なる3群の木片を用いて前記実験を3回繰り返した。
各実験毎に充分な時間が経過した後の前記木片をジャガイモデキストロース酵母菌寒天培地に移すことで褐色腐朽菌の生存度を測定した。水のみで処理した木片ではそれらの全部で褐色腐朽菌が生存しかつ活動的であった。本ボレート−クアト、BorocareおよびTim−Bor(商標)で処理した片では褐色腐朽菌が全部死滅した。しかしながら、金属カプラーを入れないで実施した3つの炭酸塩/重炭酸塩試験の中の1つで褐色腐朽菌が糸菌生長することを観察した。従って、このことは、本発明に従うボレート−クアトが示す殺菌殺カビ効果の方が金属カプラーが入っていない炭酸塩/重炭酸塩第四級アンモニウム化合物が示すそれよりも高いことを示している。
この実施例では、長さが11インチの「暖炉用マッチ」を試験サンプルとして用いてセルロース基質にある程度の難燃性を与える能力を試験した。
1組が3本のマッチを以下の表2に記述する如き処理用溶液を8.0mL入れておいた10mLのシリンダーの中に浸漬することで3本のマッチを一度に処理した。これらのマッチを浸漬した時点で処理剤流体の高さがシリンダーの上部になるようにすることで、木の約4インチ(マッチの頭末端部)が処理されないままであるようにした。
各処理段階後の処理マッチを前記シリンダーから取り出した後、吸い取り紙の上に置くことでいくらか存在する余分な流体を除去した。次に、その処理マッチの全部を周囲条件の空気で30分間乾燥させた後、それらを175度Fに前以て加熱しておいた通常のオーブンに5分間入れることで完全に乾燥させた。
当該「処理剤」を難燃剤として評価する目的で、各種類の処理で得たマッチを未処理/マッチ頭末端部を下方にして45°の角度で保持して、ブタンライターを用いてマッチの頭に火を着けた。そのライターを取り外した後、マッチを燃焼させた。
処理ID jds−9087−15−1およびjds−9087−15−2で処理したマッチは木が燃焼しないまま残存することなくマッチ棒の末端部まで完全に燃焼した。
しかしながら、jds−9087−15−3およびjds−9087−15−4で処理したマッチは両方とも炎が「処理」線(末端部から約4インチ)に到達するまでは前記実
施例と同様に燃焼したが、その地点で炎は自動消火を起こして、処理しておいた残りの木は燃焼しなかった。
施例と同様に燃焼したが、その地点で炎は自動消火を起こして、処理しておいた残りの木は燃焼しなかった。
Claims (35)
- 処理されたセルロース基質を含んで成る組成物であって、前記処理されたセルロース基質が式:
で表される少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物を含有して成りかつ前記処理されたセルロース基質がシロアリ忌避性である組成物。 - YがBO3 −3でありそしてmが3である請求項1記載の組成物。
- 前記アルキルおよびアルケニル基が炭素原子を1から20個含有するそれらから選択される請求項1記載の組成物。
- R1およびR2が独立して炭素原子数が1から3のアルキル基から選択されそしてR3およびR4が独立して炭素原子を6から20個含有する基から選択されかつそれらがi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらがアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する請求項1記載の組成物。
- R1およびR2がメチル基でありそしてR3およびR4が独立して炭素原子を8から16個含有する非置換アルキル基から選択される請求項1記載の組成物。
- R3またはR4の一方が炭素原子を8から10個含有する非置換アルキル基でありそしてR3またはR4のもう一方が炭素原子を12から14個含有する非置換アルキル基である請求項4記載の組成物。
- R3またはR4の一方が炭素原子を8から14個含有する非置換アルキル基でありそしてR3またはR4のもう一方が炭素原子を13から16個含有する非置換アルキル基である請求項4記載の組成物。
- R3またはR4の一方が炭素原子を14個含有する非置換アルキル基でありそしてR3またはR4のもう一方が炭素原子を14から16個含有する非置換アルキル基である請求
項4記載の組成物。 - R3およびR4が異なる数の炭素原子を含有する請求項3記載の組成物。
- 前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物が式:
で表される請求項1記載の組成物。 - R’が炭素原子数が1−5のアルキル基である請求項10記載の組成物。
- R’が炭素原子数が1−3のアルキル基である請求項10記載の組成物。
- R”およびR”’が独立して炭素原子数が1−20の非置換アルキル基から選択される請求項10記載の組成物。
- R”およびR”’が独立して炭素原子数が1−15の非置換アルキル基から選択される請求項11記載の組成物。
- R”およびR”’が独立して炭素原子数が6−14の非置換アルキル基から選択される請求項12記載の組成物。
- 前記処理されたセルロース基質が前記第四級アンモニウム化合物が入っていて金属カプラーが入っていない溶液で処理された基質である請求項1または10のいずれか記載の組
成物。 - 前記金属カプラーが入っていない溶液がイオン交換製造工程で得られた溶液である請求項16記載の組成物。
- 前記処理されたセルロース基質が難燃性である請求項1または10のいずれか記載の組成物。
- 前記処理されたセルロース基質が難燃性である請求項9記載の組成物。
- R1、R2、R3またはR4の中の少なくとも1つが共有基である請求項1または10のいずれか記載の組成物。
- 前記処理されたセルロース基質が1番目、2番目および場合により3番目の第四級アンモニウム化合物を含有して成り、かつ
a)前記1番目の第四級アンモニウム化合物が式:
で特徴づけられ、そして
b)前記2番目の第四級アンモニウム化合物が式:
ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは、Yの選択に応じて1、2、3、4または5である]
で特徴づけられ、そして
前記処理されたセルロース基質がシロアリ忌避性である、
請求項1記載の組成物。 - 前記1番目および2番目の第四級アンモニウム化合物の各R1およびR2が独立して炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基から選択されそして前記1番目および2番目の第四級アンモニウム化合物の各R3およびR4が独立して炭素原子を6から20個含有する基から選択されかつそれらがi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらがアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する請求項21記載の組成物。
- 前記1番目の第四級アンモニウム化合物のR3が有する炭素の数が前記1番目の第四級アンモニウム化合物のR4が有するそれとは異なる請求項22記載の組成物。
- 前記2番目の第四級アンモニウム化合物のR3が有する炭素の数が前記2番目の第四級アンモニウム化合物のR4が有するそれとは異なる請求項23記載の組成物。
- 前記任意の3番目の第四級アンモニウム化合物を含有して成り、前記2番目第四級アンモニウム化合物の対アニオンYがCO3 −2でありそして前記3番目の第四級アンモニウム化合物が式:
で特徴づけられる請求項21記載の組成物。 - 前記3番目の第四級アンモニウム化合物のR1およびR2が独立して炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基から選択されそして前記3番目の第四級アンモニウム化合物のR3が有する炭素の数が前記3番目の第四級アンモニウム化合物のR4が有するそれとは異なる請求項25記載の組成物。
- 前記処理されたセルロース基質が難燃性である請求項21または25のいずれか記載の組成物。
- 前記1番目、2番目および3番目の第四級アンモニウム化合物の中の少なくとも1つのR1、R2、R3またはR4の中の少なくとも1つが共有基である請求項21または25のいずれか記載の組成物。
- 前記1番目、2番目および任意の3番目の第四級アンモニウム化合物の各々のR1およびR2がメチル基でありそして前記1番目、2番目および任意の3番目の第四級アンモニウム化合物の各々のR3およびR4が独立して炭素原子を8から16個含有する非置換アルキル基から選択される請求項25記載の組成物。
- 前記1番目、2番目および任意の3番目の第四級アンモニウム化合物の各々のR3またはR4の一方が炭素原子を8から10個含有する非置換アルキル基でありそして前記1番目、2番目および任意の3番目の第四級アンモニウム化合物の各々のR3またはR4のもう一方が炭素原子を12から14個含有する非置換アルキル基である請求項29記載の組成物。
- 前記1番目、2番目および任意の3番目の第四級アンモニウム化合物の各々のR3またはR4の一方が炭素原子を8から14個含有する非置換アルキル基でありそしてR3またはR4のもう一方が炭素原子を13から16個含有する非置換アルキル基である請求項29記載の組成物。
- 前記1番目、2番目および任意の3番目の第四級アンモニウム化合物の各々のR3またはR4の一方が炭素原子を14個含有する非置換アルキル基でありそしてR3またはR4のもう一方が炭素原子を14から16個含有する非置換アルキル基である請求項29記載の組成物。
- R1、R2、R3およびR4が独立して炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基から選択される請求項1または2のいずれか記載の組成物。
- シロアリ忌避方法であって、
a)セルロース基質に式:
で表される少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物が約1から約10重量%の範囲内
の量で入っていて金属カプラーが入っていない溶液による処理を受けさせることで、シロアリ忌避性である処理されたセルロース基質を生じさせる、
ことを含んで成る方法。 - 前記セルロース基質を木、綿、厚紙、ライナーボードおよび他の同様な紙製品、複合組み立て品、繊維またはプレスボードなどから選択する請求項34記載の方法。
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