JP2010510345A - 精油処理 - Google Patents
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Abstract
使用済み潤滑油(ULO)を加熱して、このULO内から、蒸留可能な成分を脱水および/または回収する処理が開示されている。ULO原料は、熱分解しない溶融流体、溶融金属、または溶融塩との直接接触熱交換によって加熱され、好ましくは連続相溶液として保持され、水の沸点を超える温度かつ600℃未満の温度で機能する。このULO原料は加熱されて、少なくとも部分的には上記溶融流体内または上記溶融流体の上に、あるいは上記溶融流体内との接触によって、蒸発させられる。潤滑油沸点範囲の炭化水素が蒸気生成物として回収される。ULO内の添加物パッケージ、またはその分解生成物は、液体相として回収される。
Description
〔技術分野〕
本発明は、通常液状である炭化水素等の直接接触加熱に関し、特に、熱的に不安定または加熱が困難な通常液状である炭化水素等の直接接触加熱に関し、例えば、蒸留可能および蒸留不可能な炭化水素を回収するための使用済みエンジンオイルの処理に関する。
本発明は、通常液状である炭化水素等の直接接触加熱に関し、特に、熱的に不安定または加熱が困難な通常液状である炭化水素等の直接接触加熱に関し、例えば、蒸留可能および蒸留不可能な炭化水素を回収するための使用済みエンジンオイルの処理に関する。
〔背景技術〕
自動車用および多くの産業用の潤滑油は、通常は、パラフィンベースの石油蒸留油または合成ベース潤滑油から作られている。潤滑油は、例えば石鹸、極圧(E.P.:extreme pressure)添加剤、粘度指数(V.I.:viscosity index)向上剤、消泡剤、さび止め剤、摩耗防止剤、抗酸化剤、およびポリマー分散剤などの添加物と組み合わされ、これにより、粘度がSAE5〜SAE60であるエンジン潤滑油が、生成される。
自動車用および多くの産業用の潤滑油は、通常は、パラフィンベースの石油蒸留油または合成ベース潤滑油から作られている。潤滑油は、例えば石鹸、極圧(E.P.:extreme pressure)添加剤、粘度指数(V.I.:viscosity index)向上剤、消泡剤、さび止め剤、摩耗防止剤、抗酸化剤、およびポリマー分散剤などの添加物と組み合わされ、これにより、粘度がSAE5〜SAE60であるエンジン潤滑油が、生成される。
この油は、使用後に、トラックおよびバス、自動車サービス施設、地域のエンジンオイルリサイクルセンター、ならびに小売店から回収される。産業部門からも、例えば切削油、スタンピングオイル、およびクーラント油などの大量の油が回収される。これは、直接回収されるか、または油水脱水施設から回収される。この回収された油は、例えば元の潤滑油調合物からのジアルキルチオリン酸亜鉛などの有機金属添加物、エンジン内で形成されるスラッジ、および水を含有している。使用済みの油は、廃グリース、ブレーキ液、トランスミッションオイル、変圧器油、鉄道の潤滑油、原油、不凍剤、ドライクリーニング液、脱脂溶剤(例えばトリクロロエチレン)、食用脂、食用油、鉱酸、煤煙、土、および出所不明の廃棄物質などの汚染物質も含有している場合がある。
廃油の再生利用は、利用可能な廃油、製品需要、およびその地域における環境への配慮に合わせた様々な処理を利用して、主に小型の処理装置によって行われる。このような処理は、少なくとも部分的な脱水および粗濾過を含んでいる。より洗練された一部の処理装置は、化学的脱金属化または蒸留を行い得る。廃油内における有機金属(例えばジアルキルチオリン酸亜鉛)の存在によって、ジアルキルジチオリン酸亜鉛が分解して亜鉛過剰な炭素質層が形成される。また、添加物として他の金属(例えばカルシウム、マグネシウム、および他の金属)が存在していることによって、そのような廃油の処理が不可能とはならないまでも困難となる場合が多い。様々な金属を含有する炭素質層が加熱面上に急速に生じ、24時間以内に厚さ1mmを超えるまでに成長し得る。この層は、管状炉の熱伝導係数を急速に低下させるだけではなく、これらの管を数日以内に顕著にまたは完全に閉塞する。
再生利用処理を成功裏に行うには、高温の油が加熱面を汚染しないレベルまで、有機金属(または灰)の含有量を低減する必要がある。このような低減は、陽イオン性リン酸または陽イオン性硫酸塩を化学的結合金属と反応させて金属リン酸塩または金属硫酸塩を形成する工程を含む、化学的処理によって行うことができる。米国特許第4,432,865号において、Normanは、使用済みエンジンオイルを多官能無機酸およびポリヒドロキシ化合物と接触させることで望ましくない汚染物質と反応させて、容易に除去できる反応生成物を形成する技術を開示している。これらの化学的処理は、形成される金属副産物に応じてこの処理に付随する廃棄の問題を有している。
使用済み潤滑油を加熱して有機金属添加物を分解することによって、灰の含有量も減少させることができる。しかしながら、広範な汚染および添加物からの金属の堆積なくしては、間接熱交換面を200〜205℃以上に長期間維持することができない。使用済み潤滑油は、Harrisonらの米国特許第5,447,628号に開示されているように、加熱油と混合することによる直接熱交換によって205〜540℃の添加物分解温度に加熱することができる。しかし、生成物油を使用済み油で希釈するには、処理済みの生成物油を再処理する必要がある。
米国特許第5,244,565号、米国特許第5,302,282号、および他の多くの特許文献に記載されているUOPのHy−Lube処理は、分解された有機金属化合物が加熱面に堆積するのを防ぐために、高熱の循環水素を加熱媒体として用いている。
加熱面の汚染の問題は、加熱をより緩やかにすることによって、ある程度まで改善することができる。一部の処理、例えば接触分解の固定床バージョンである、フードリー法では、溶融塩浴を用いて、塩浴に浸漬された触媒管を通過する蒸発した液化炭化水素を制御しながらやや穏やかに加熱している。溶融金属浴もまた、処理困難な物質を制御温度に加熱するための便利な手段として用いられている。例えば、溶融金属の浴槽内にプラスチックを含んだフラスコを置くことによって、一部のプラスチックの燃焼性が試験される。溶融塩浴、または溶融金属浴、または凝縮高温蒸気の使用によって、熱交換面の不均一な加熱が低減し、これによって金属面全体のdTが低下し、そしておそらくULOサービスにおける金属面の汚染が減速される。しかしULO内の添加物は、最も高温の面(おそらく熱交換管)上において分解するという傾向を依然として有する。
ULO加熱には関連していないが、様々な物質の直接接触加熱のための溶融金属の使用が、商業的に行われているか、または特許文献で報告されている。ガラスをマスキングするためのフロート法は、約50年用いられている。溶融金属(主に鉛)、石炭または頁岩の加熱は、何らかの形態で約100年行われている。ごみ熱分解に溶融金属浴を使用する、及びラテックスの変換に溶融金属浴を使用する特許があり、金属浴槽内でグラウンドアッププラントを加熱することで油性塔頂生成物を製造している。上述の内容にいくらか関係はしているが異なる技術として、様々な原料資源を溶解するために溶融鉄浴を用いるHyMelt(登録商標)処理がある。HyMelt処理での温度は非常に高いため、液化炭化水素原料は、HyMeltリアクターに供給されたときにほぼ瞬時に水素と炭素とに分離し、炭素は溶融鉄に溶解する。これは、炭化水素を元素成分に分離する優良な処理であるが、潤滑油の沸点範囲成分を蒸発させるためには十分な加熱だけでよいという場合には、ULOの再処理に対しては過剰となる。
特開昭59−124,991号の実施例1では、分解蒸気および炭素質の固形残渣を形成するために、溶融金属浴を用いてULO(好ましくは水が添加されたULO)を熱分解している。分解された蒸気は凝縮されて、熱分解ナフサのようなものが形成されている。この固形残渣は、ねじコンベヤによって溶融金属浴との接触から除去されている。
一部の研究者は、ULO処理中に金属面の汚染が生じるであろうという見解を示し、その最良の対処法は、金属をきれいにこすり落とすものをULO内に注入する(すなわち、研削材を注入する)ことであるという見解を示した。
Interlineおよびその他の者によって、軽質パラフィン溶媒(例えばプロパン、ブタン、ペンタン、およびこれらの混合物)を用いた溶媒抽出が行われている。Interline法の詳細は、米国特許第5,286,380号および米国特許第5,556,548号に記載されている。この抽出方法は、ULO処理の問題の見事な解決策のように思われるが、実施するのには比較的コストがかかる。Interlineの2002年5月15日付けの四半期報告書には、「生産に基づいてロイヤルティを請求することは、多くの状況および国々において非現実的であることが明らかとなった。プラントにおいて製造される再精製油を潤滑油基油と同程度の価格で売ることができるようになるまでは、生産に基づいてロイヤルティを回収することは困難であろう。この現実は、第1プラントのロイヤルティが打ち切られた韓国、および、プラントが利益を上げるまではロイヤルティが減少および保留にされたイングランドにおいて経験済みである。」と記載されている。
ULO処理における飛躍的進歩は、蒸気または非水素化ガスを用いたULOの直接接触加熱によってなされた。この方法は、ULOを保持している金属面を常に比較的低温にしておくことを確実にすることによって、高温の金属面における亜鉛添加物分解汚染の問題を解決した。最も高温な位置は、蒸気が注入される位置である。分解添加物は、自らを凝縮させるのみであった。このような蒸気注入ULO処理は、本願出願人と同一出願人による米国特許第6,068,759号「使用済みエンジンオイルから潤滑油基油資源を回収する処理方法」、および、米国特許第6,447,672号「使用済みエンジンオイルからの潤滑油基油から資源を回収するための、連続的に複数段階で加熱される蒸気注入処理方法」に開示されている。ULO蒸気注入処理の他の例は、米国特許第6,402,937号「ポンプで汲み上げられる再生蒸気」、および米国特許第6,402,938号「非水素化再生蒸気を利用した、使用済みエンジンオイルの蒸発方法」に開示されている。
使用済みエンジンオイルの「最先端技術」は、次のように要約することができる:
化学的添加および抽出方法を用いて、亜鉛添加物と反応させることができ、または亜鉛添加物以外の全ての物質を抽出することができる。高いコストおよび低い信頼性によって、多くの商業的利用が阻まれている。
化学的添加および抽出方法を用いて、亜鉛添加物と反応させることができ、または亜鉛添加物以外の全ての物質を抽出することができる。高いコストおよび低い信頼性によって、多くの商業的利用が阻まれている。
加熱炉内での間接加熱によって、金属面の汚染が急速に進む。より軽度な加熱、溶融金属、または溶融塩加熱媒体の使用によって、高温の金属面上における汚染を最小化することができるが、除去することはできない。
高圧水素を用いた直接接触加熱は、汚染を除去し得るが、高額な資本および操業費用が必要となる。再生された生成物油の直接接触加熱は有用であるが、ULOを2回処理する必要がある。
溶融金属浴を用いた直接接触による熱分解を用いて、ULOをより軽い分解生成物および固形残渣に分解することができるが、このような方法は軽産物を熱的に劣化させる。
蒸気または非水素化蒸気を用いた直接接触加熱は有用であるが、最適な解決策ではない。
蒸気を用いた直接加熱は、本願出願人と同一出願人による米国特許第6,068,759号において報告されているように、良好な解決策ではあったが完全ではない。蒸気が注入されるとき、その処理は水処理問題を発生させる。またその処理は、熱効率が低い。これは、蒸気が凝縮されるときに蒸気の潜熱が失われるためである。例えばプロパンが注入される場合、十分な入熱のために大量の蒸気が必要となり、そのような蒸気流を加熱および再利用するためのコストが高くなる。
本願出願人は、ULOおよび他の熱的に不安定な原料を再精製するためのより良い方法を求めた。本願出願人は、高温のものをULO内に注入することによるULO加熱の有益な特徴を保持することを望む一方で、加熱媒体として蒸気または軽質炭化水素蒸気のいずれかを用いることによって生じる問題を回避することを望んだ。本願出願人は、加熱液として熱分解しない溶融流体を用いることによって、これらの欠陥を克服する方法を発見した。
〔発明の概要〕
従って本発明は、潤滑油沸点範囲の成分と熱分解可能な添加物とを含有する、使用済み潤滑油(ULO:used lubricating oil)を精製する方法であって、溶融金属と溶融塩とから成る群より選択される熱分解しない溶融流体との直接接触熱交換によって、上記潤滑油沸点範囲の成分の少なくとも一部が蒸発するのに十分な温度および時間で、上記ULOを加熱する工程と、上記潤滑油沸点範囲の蒸気化炭化水素を蒸気生成物として除去する工程とを含んでいる、方法を提供する。
従って本発明は、潤滑油沸点範囲の成分と熱分解可能な添加物とを含有する、使用済み潤滑油(ULO:used lubricating oil)を精製する方法であって、溶融金属と溶融塩とから成る群より選択される熱分解しない溶融流体との直接接触熱交換によって、上記潤滑油沸点範囲の成分の少なくとも一部が蒸発するのに十分な温度および時間で、上記ULOを加熱する工程と、上記潤滑油沸点範囲の蒸気化炭化水素を蒸気生成物として除去する工程とを含んでいる、方法を提供する。
〔図面の簡単な説明〕
図1は、溶融金属の連続相を用いた直接接触加熱によって使用済み油を精製する好ましい一実施形態の簡略概略図である。
図1は、溶融金属の連続相を用いた直接接触加熱によって使用済み油を精製する好ましい一実施形態の簡略概略図である。
図2は、図1と同様であるが、溶融金属ではなくULOが連続相である点において異なっている図である。
図3は、溶融金属加熱領域の上流に脱水部を有する一実施形態を示す図である。
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
図1では、受け入れたままの使用済み潤滑油(ULO)が、原料貯蔵システム10からライン12を経由して供給ポンプ13へ流れていき、そして接触器14内の底部または底部付近に流れていく。非混合性であってULOよりも遥かに高密度である溶融金属または溶融塩伝熱流体15が、接触器14の底部から、ライン16を経由して加熱器18へと循環する。加熱器18は、上記伝熱流体を所望の温度まで加熱する。加熱は、接触器14内の伝熱流体相内の電気抵抗素子を動作させることによっても行うことができる。伝熱流体は、ライン20を経由して再び接触器に流れていく。加熱器15への伝熱流体の流れは、図示されているように自然対流によるものであってよく、または、ポンプ(図示せず)を用いて液体を加熱器18へ送ることもできる。接触器14内の液面全体は、垂直出口管22によって保たれている。全ての気体、蒸気および液体は、垂直出口管22を介して接触器から流れ出て、そしてライン22を経由して分離器26に流れていく。伝熱流体の在庫量によって、接触器14内における伝熱流体のレベルが設定される。図1に示されているように伝熱流体15のレベルが比較的高い場合、ULOは主に分散相であり、伝熱流体は主に連続相である。図2に示されているように伝熱流体のレベルが比較的低い場合、ULOは主に連続相であり、伝熱流体は主に分散相である。
図1では、受け入れたままの使用済み潤滑油(ULO)が、原料貯蔵システム10からライン12を経由して供給ポンプ13へ流れていき、そして接触器14内の底部または底部付近に流れていく。非混合性であってULOよりも遥かに高密度である溶融金属または溶融塩伝熱流体15が、接触器14の底部から、ライン16を経由して加熱器18へと循環する。加熱器18は、上記伝熱流体を所望の温度まで加熱する。加熱は、接触器14内の伝熱流体相内の電気抵抗素子を動作させることによっても行うことができる。伝熱流体は、ライン20を経由して再び接触器に流れていく。加熱器15への伝熱流体の流れは、図示されているように自然対流によるものであってよく、または、ポンプ(図示せず)を用いて液体を加熱器18へ送ることもできる。接触器14内の液面全体は、垂直出口管22によって保たれている。全ての気体、蒸気および液体は、垂直出口管22を介して接触器から流れ出て、そしてライン22を経由して分離器26に流れていく。伝熱流体の在庫量によって、接触器14内における伝熱流体のレベルが設定される。図1に示されているように伝熱流体15のレベルが比較的高い場合、ULOは主に分散相であり、伝熱流体は主に連続相である。図2に示されているように伝熱流体のレベルが比較的低い場合、ULOは主に連続相であり、伝熱流体は主に分散相である。
残渣分離器26に流入する液体および蒸気は、液体流28と蒸気流32とに分離する。液体流28は、残渣貯蔵システム30に流れていく。蒸気流32は、冷却器34に流れていく。冷却器34は、図1および図2に示されているように、冷却液として空気を用いるか、あるいは他の冷媒(例えば、沸騰水、冷却水または他の液体)を用いることができる。冷却器34の出口温度は、原料10内の実質的に全ての油を凝縮するのに十分な低さでなければならない。通常は、65℃未満の出口温度によって、ほぼ全ての原料が凝縮する。凝縮された蒸気は、ライン36を経由して塔頂分離器38に流れていく。ここで、原料10内のあらゆる水が分離し、水はライン40を経由して水貯蔵システム42に流れていく。蒸気流36内の液体油は、ライン44を経由して塔頂油貯蔵システム46に流れていく。凝縮不可能なあらゆる気体は、ライン48を経由して気体処理システム50に流れていく。凝縮不可能な気体の流動性が低いため、また作動中には塔頂分離器38の圧力のために、この気体処理システムは単純な排出孔であってよい。流量がより多い場合には、フレアまたは他の適切な気体処置システムが必要となり得る。この気体処理システムは、接触器14、残渣分離器26、および塔頂分離器38が減圧下で動作するように、真空システムであってよい。
図3は、本発明のより好ましい実施形態を示している。原料ULO10は、ライン12を経由してチャージポンプ13へ、そして部分凝縮器50へと流れていく。部分凝縮器50は、塔頂分離器42からの蒸気を部分的に凝縮することによって、ULOを約175〜180℃の温度まで加熱する。加熱された原料は、ライン14を経由して減圧弁16へ、そしてフラッシュ蒸発器18へと流れていく。原料10内に含まれる全ての水および約1%の炭化水素は蒸発し、そしてライン22を経由して熱酸化器24または他の適切な処置システムへ流れていく。ここで、炭化水素は二酸化炭素および水に変換されて、ライン26を介して排出される。
乾燥された原料は、ライン20を経由して供給ポンプ28へ流れ、ここで接触器30の底部へ流入し、ここで伝熱流体31と接触する。この伝熱流体は、前述した通りに連続相または分散相であってよい。垂直出口管32は、接触器14内の液面全体を保っている。全ての気体、蒸気および液体は、接触器からライン34を経由して残渣分離器42へと流れていく。液体残渣は、ライン44を経由して残渣貯蔵システム46へと流れていく。蒸気は、ライン48を経由して部分凝縮器50へと流れる。この部分凝縮器50において、蒸気は、前述の通りに原料を加熱することによって部分的に凝縮される。部分的に凝縮された蒸気は、ライン51を経由して冷却器52へ流れていき、ここで冷却液との熱交換によって約65℃まで冷却される。冷却および凝縮された蒸気流は、ライン53を経由して塔頂分離器54へと流れていく。塔頂液体は、ライン56を介して塔頂貯蔵システム58へと流れていく。凝縮不可能なあらゆる気体は、ライン60を介して気体処理システムへと流れていく。この気体処理システムは、接触器30、残渣分離器42および塔頂分離器54が減圧下で動作するように、真空システムであってよい。
〔好ましい実施形態の説明〕
ULO(あるいはその他の油)原料と混ざらず、また使用時に適度に安定な任意の溶融流体を用いることができる。溶融金属は、一部の理由として、高い熱伝導率を有しており、また、他の目的のためではあるが溶融金属浴に関連する操作経験が豊富にあるため好ましい。比較的低い温度において流体であって、ここでの使用に理想的な特性を有するいくつかの金属合金が利用可能である。これらは非腐食性である。これらは高伝導性であり、金属を加熱するための小型の炉設計を可能にする。これらの金属は高密度であり、流体における体積当たり有するエネルギーが多いため、使用済み潤滑油(ULO)の再処理プラントを小さくすることができる。これらは揮発性ではないため、空気汚染または水質汚染に関与することもない。これらは、高い表面張力を有する。つまり、ULO内において発見される分解生成物およびごみが溶融金属に付着または残留することがないため、金属浴槽の長期的な使用が可能となる。溶融金属はさらに、同等の結果が得られるとは限らないが、油への金属注入またはその逆を可能にする柔軟な設計手法を可能にする。油が溶融金属浴槽に注入されるとき、浴槽内における溶融金属の深さ、または溶融金属浴槽内の金属の温度もしくは圧力を変えることによって、処理の厳格性を容易に上下させることができる。
ULO(あるいはその他の油)原料と混ざらず、また使用時に適度に安定な任意の溶融流体を用いることができる。溶融金属は、一部の理由として、高い熱伝導率を有しており、また、他の目的のためではあるが溶融金属浴に関連する操作経験が豊富にあるため好ましい。比較的低い温度において流体であって、ここでの使用に理想的な特性を有するいくつかの金属合金が利用可能である。これらは非腐食性である。これらは高伝導性であり、金属を加熱するための小型の炉設計を可能にする。これらの金属は高密度であり、流体における体積当たり有するエネルギーが多いため、使用済み潤滑油(ULO)の再処理プラントを小さくすることができる。これらは揮発性ではないため、空気汚染または水質汚染に関与することもない。これらは、高い表面張力を有する。つまり、ULO内において発見される分解生成物およびごみが溶融金属に付着または残留することがないため、金属浴槽の長期的な使用が可能となる。溶融金属はさらに、同等の結果が得られるとは限らないが、油への金属注入またはその逆を可能にする柔軟な設計手法を可能にする。油が溶融金属浴槽に注入されるとき、浴槽内における溶融金属の深さ、または溶融金属浴槽内の金属の温度もしくは圧力を変えることによって、処理の厳格性を容易に上下させることができる。
用いることのできる金属は、鉛、スズ、アンチモン、水銀、カドミウム、ナトリウム、カリウム、ビスマス、インジウム、亜鉛、ガリウムが挙げられる。用いられる金属は、約300〜325℃未満で溶解するか、または合金を形成することが好ましい。全ての金属が同等の結果を生み出すわけではなく、一部には重大な安全性の問題がある(例えば鉛または水銀)が、所望であればこれらを溶融金属浴の一部として含ませることができる。
熱的に不安定な通常液状である炭化水素を含有するあらゆる原料は、本発明の処理を用いて加熱することができる。通常液状である炭化水素は、C5およびより大きい炭化水素を含み、例えば、オレフィン、ジオレフィンまたは従来の加熱炉内での加熱を困難にする他の成分を十分な量含有する残留留分によって沸点範囲が上昇するナフサを含む。原料としては、室温で液体ではないほどの重質な原料(例えば、グリース、蝋、ペトロラタム、または融点の高い任意の炭化水素)を用いることができる。これらの材料は、加熱されると液体を形成し、原料として用いることができる。固体の処理は本発明の範囲外である。すなわち、油で汚染された石炭または土の処理は本発明の範囲外である。
本発明の実施において重要なことは、溶融流体と液体原料との直接接触熱交換である。液体は、炭化水素を含有していなければならない。原料は、通常は、好ましくない軽質または重質成分によって汚染されている。これら軽質または重質成分は、残渣留分から所望の原料成分を蒸発させるため、または所望の残渣物留分から好ましくない軽質の汚染物質を除去するために、加熱して、除去することができる。
ULOは、軽質および重質の汚染物質を両方とも含有している場合が多い。軽質の汚染物質は、水、ナフサを含んでおり、またULOの回収処理中に取り込まれる一部の不純物(例えば溶媒)を含んでいる場合もある。重質の汚染物質は、添加剤パッケージを含んでいる。
経済的には、ULOの処理時に可能な限り多くの原料を蒸発させることが奨励される。通常は、処理の「厳格性」および蒸発の割合(%)に2つの制限がある。残渣留分を、単純に液体として回収することによって、溶融流体との接触から開放させることが重要である。残渣は、ULOの処理時において、原料の83〜85%が蒸発したときには流動しない。本願出願人は、実用的な限度は乾性油の80%の蒸発であると考える。別の制限は、生成物の過度の劣化なしに蒸発を行うことである。劣化または熱分解は、塔頂留分または底部留分のいずれかが熱分解したときに生じ得る。塔頂留分が熱分解した場合、値が低下する。特開昭59-124991号公報に記載されているように、ULO原料の著しい分解によって、利用可能性のある潤滑油過剰留分が熱分解ナフサに格下げされ得る。残留液体留分は固体残留留分よりも価値があり、かつ除去が遥かに容易であるため、底部留分も熱分解によって分解され得る。一般的には、残渣留分の過剰分解の方が容易である。これは、溶融加熱流体と接触している滞留時間が一般的には遥かに短い蒸気留分とは異なり、この材料が、溶融流体加熱浴に接触したまま長時間放置することができるためである。
ULOを加熱し、ULOの潤滑油沸点範囲成分を蒸発させるために溶融金属を使用することの驚くべき特徴は、ULOの困難な脱油(deep de-oiling)を容易に達成できることである。溶融金属連続浴の浴槽の底部における金属温度、および接触器の最上部における油であって、溶融金属の表面において浮遊している油の温度は、非常に近い。本願出願人は、これらに3℃を越える差を見たことはなく、汚染の痕跡もない。
本発明は、強力な乾燥処理および/または加熱処理のための溶融金属または溶融塩の範囲での使用を想定する。これらは、融点の低い金属合金を含む。単純な乾燥、または少量の熱処理のみが所望である場合、候補となる溶融流体の融点は、典型的には60〜230℃の範囲であってよい。
加熱流体は、ULOと混ざらない流体であって、十分に高密度であることが重要である。
溶融金属伝熱媒体または処理される原料と混ざらない他の流体と、液体原料との間における界面張力は、溶融流体が湿潤面に付着するのを防ぐために十分に高いことが好ましい。溶融流体の熱伝導率も、この溶融流体が少なくとも処理中には確実に液体状態を維持できるように、十分高くなければならない。これによって、流体が凝固してULOとの接触点において固体膜または凍結コーンが形成されることはない。
流体の熱伝導率が十分に高い場合、流体は、溶融浴槽の本体から界面接触領域へと熱を伝導する。この界面接触領域は、ULOの滴もしくは流れと溶融加熱媒体との界面接触領域、または、ULOが連続相である場合にはULOの滴もしくは流れと溶融加熱媒体の滴もしくは流れとの界面接触領域である。溶融金属合金は、ULOから形成され得る分解生成物およびULO内において発見され得るごみとの界面張力が高いため、溶融金属合金の使用が好ましい。金属も熱伝導率が高いため、他の非混合性流体よりも好ましい。さらなる利点として、ULOに対する溶融金属の高い密度がある。この利点によって、一方の流体が他方の流体へと迅速に通過することが促進され、バッフルまたは充てん剤が用いられる場合は、多くの推進力が促進される。
表1には、厳格性が緩やかな加熱のみが必要である場合における、推奨されるいくつかの溶融金属共融合金材料の、推定される一部の特性が要約されている。この合金情報は、米国特許第5,619,806号で報告された情報からの抜粋である。本文献は、参照として援用される。
鋼浴の金属材料は、以下を含む群から選択された合金からなっていてもよい:
i) Ga/In
ii) Bi/In
iii) In/Sn
iv) Bi/Pb
v) Bi/Sn
vi) Sn/Pb
vii) Sn/Zn
viii)Sn/Cu。
i) Ga/In
ii) Bi/In
iii) In/Sn
iv) Bi/Pb
v) Bi/Sn
vi) Sn/Pb
vii) Sn/Zn
viii)Sn/Cu。
溶融金属温度のスペクトルを高い値から低い値まで用いることができる。厚板ガラスを形成するためのフロートバス処理に基づくと、比較的高温の鋼浴が所望される場合にはスズが理想的な特性を有している。スズは、融点が232℃であり、沸点が2623℃である。これは、水の沸点に近い温度(ウッド金属のような低融点合金が用いられる場合)から500℃を超える温度まで及ぶ範囲の温度を溶融金属浴で達成できることを意味している。開始を容易にするために、すなわち融点を比較的低くするために、スズとビスマスとの合金が好ましい。
〔実験〕
長さが約10cmID(4インチのschedule40)のステンレス鋼パイプにおいて実験が行われた。使用された金属合金は、スズが42%でビスマスが58%の、スズとビスマスとの共融合金であった。溶融金属の深さは約50cmで、この溶融金属の上には約30cmのフリーボードまたは蒸気空間を設けた。ステンレス鋼パイプは、円筒形の加熱器、サーモスタットを有する電気ジャケットによって加熱された。最初の一連のULOへの試験は、約316℃の溶融金属床温で行われた。ULO原料は、6mmのニップルを介して溶融金属浴槽の底部に供給された。このニップルには、長さ3mmのSS管が取り付けられている。この管は、溶融金属浴槽内には伸びていない。処理は、潤滑油回収処理において慣習的に行われているように真空下で行われた。圧力は約0.5〜1psiaであったと推定されるが、使用した圧力計はこれらの低圧力ではあまり正確ではなかった。
長さが約10cmID(4インチのschedule40)のステンレス鋼パイプにおいて実験が行われた。使用された金属合金は、スズが42%でビスマスが58%の、スズとビスマスとの共融合金であった。溶融金属の深さは約50cmで、この溶融金属の上には約30cmのフリーボードまたは蒸気空間を設けた。ステンレス鋼パイプは、円筒形の加熱器、サーモスタットを有する電気ジャケットによって加熱された。最初の一連のULOへの試験は、約316℃の溶融金属床温で行われた。ULO原料は、6mmのニップルを介して溶融金属浴槽の底部に供給された。このニップルには、長さ3mmのSS管が取り付けられている。この管は、溶融金属浴槽内には伸びていない。処理は、潤滑油回収処理において慣習的に行われているように真空下で行われた。圧力は約0.5〜1psiaであったと推定されるが、使用した圧力計はこれらの低圧力ではあまり正確ではなかった。
第1の試験は、自動車エンジン内に存在する割合よりも遥かに高い約10wt%の水を含んだULOの不良サンプルを用いて行われた。この水がどこから来たのかは不明であるが、そこに含まれていたものであり、処理に多大な困難をもたらした。これはおそらく水性相のスラグ追加物に起因するものであり、これによって装置が振動し、金属が飛散した。原料の異常な水含有量によって多量の金属が失われたが、ULOから潤滑油成分を蒸発させる処理はうまくいった。
次のセットの試験は、ULO原料の脱水後に行われ、実質全ての水を除去した。この一連の試験は、図3に示されているプロセスフロー、すなわち溶融金属浴槽内のULOの「蒸留」前に行われる脱水に近似している。この処理は、最初の一連の試験に関連する振動および飛散もなく円滑に行われた。塔頂生成物は、ほとんど蜂蜜のように見える金色の透明な液体であった。塔頂および液体残渣の両方に関連する臭気があったが、液体残渣の臭気はULO原料よりも弱かった。
初期段階において、原料注入位置付近における金属の凍結という問題に直面した。この問題は、ステンレス鋼管に熱テープを取り付けることによって克服された。これは、おそらく商業用サイズの装置では問題にはならないだろうが、もし問題がある場合には、この問題の克服のために、原料注入手段を加熱する何らかの様式を用いることができる。
これらの実験は、実験室で行われる実際の作業を表しているが、処理の限定またはその最適化であると解釈されるべきではない。ULOの再精製業者は、存在し得る水および/または「ライトエンド」を除去するためのみに溶融金属浴または溶融塩浴を用いて、さらに低い温度で作業を行うことができる。この技術の穏やかな利用によって、車両の運転者が、自動車で使用されるエンジンオイルから水およびクランクケースダイリューションを除去することによって定期的にエンジンオイルを調整し、調整されたエンジンオイルを、おそらくはいくらかの添加物とともに、自動車に戻すことができる。一部の再精製業者、特に重液残渣生成物のための市場を持たない再精製業者は、蒸留可能な炭化水素の生産を最大限にし、ULOからの重質の「残油」液の生産を最小限にするために、より高い温度を用いてもよい。この使用によって、生成物の回収の改善および廃棄コストの最小限化が同時に達成されであろう。
〔考察〕
本願発明者にとって最も驚くべき実験結果は、溶融金属浴槽の浴槽最上部と浴槽底部との間における低い温度差、および残留液体油留分の最上部と底部との間における低い温度差であり、全て約3℃以内であった。金属壁付きの熱交換器または金属管を有する加熱炉を使用する従来の精製処理では、金属面における温度差は、いずれの位置においても、典型的には6〜30℃であり、装置の注入口と排出口との間における温度差は非常に大きい。一実施例として、ULO原料を加熱および蒸発させるために加熱炉が使用された場合、加熱器または加熱器の注入口内における油原料温度は周辺温度であるか、または、一部の熱交換がULO原料において行われた場合にはおそらく65℃となるであろう。加熱器の排出口では、管壁およびULO内に熱を推進させるために十分なΔTを与えるために、ULOは所望の処理温度(典型的には260〜400℃)であり、管の炉側における温度は290〜485℃であろう。熱交換管または加熱器管の表面積を手ごろな大きさに縮小するためには、比較的大きいΔTが必要である。熱伝導は、固体金属面全体に渡って比較的遅い。このため熱エネルギーは、高温の炉内部から、加熱器管の外面への対流および放射によって、金属管(これは、典型的には効率的である)を経由して、内管壁と管壁付近にある蒸気/液体の層との界面全体へ、そして最終的にはULO原料のバルク流へと伝導しなければならない。熱伝導の全体的な速度を遅くする多くの「ピンチポイント」がある。加熱炉内における問題の一部として、比較的高温の金属管面によって蒸発および汚染が起こり、これら両方によって熱伝導が劇的に低減されるという問題がある。蒸発が熱伝導を低減させるのは、液体よりも気体を加熱する方がおおよそ1桁の違いで困難だからである。汚染が熱伝導を低減させるのは、厚くはないけれども成長する炭素質堆積物の層が絶縁体として機能する一方で、炭化水素の液体および蒸気を長時間保持する比較的多孔性の場所を提供することによって、熱分解およびさらなる汚染を可能にするからである。
本願発明者にとって最も驚くべき実験結果は、溶融金属浴槽の浴槽最上部と浴槽底部との間における低い温度差、および残留液体油留分の最上部と底部との間における低い温度差であり、全て約3℃以内であった。金属壁付きの熱交換器または金属管を有する加熱炉を使用する従来の精製処理では、金属面における温度差は、いずれの位置においても、典型的には6〜30℃であり、装置の注入口と排出口との間における温度差は非常に大きい。一実施例として、ULO原料を加熱および蒸発させるために加熱炉が使用された場合、加熱器または加熱器の注入口内における油原料温度は周辺温度であるか、または、一部の熱交換がULO原料において行われた場合にはおそらく65℃となるであろう。加熱器の排出口では、管壁およびULO内に熱を推進させるために十分なΔTを与えるために、ULOは所望の処理温度(典型的には260〜400℃)であり、管の炉側における温度は290〜485℃であろう。熱交換管または加熱器管の表面積を手ごろな大きさに縮小するためには、比較的大きいΔTが必要である。熱伝導は、固体金属面全体に渡って比較的遅い。このため熱エネルギーは、高温の炉内部から、加熱器管の外面への対流および放射によって、金属管(これは、典型的には効率的である)を経由して、内管壁と管壁付近にある蒸気/液体の層との界面全体へ、そして最終的にはULO原料のバルク流へと伝導しなければならない。熱伝導の全体的な速度を遅くする多くの「ピンチポイント」がある。加熱炉内における問題の一部として、比較的高温の金属管面によって蒸発および汚染が起こり、これら両方によって熱伝導が劇的に低減されるという問題がある。蒸発が熱伝導を低減させるのは、液体よりも気体を加熱する方がおおよそ1桁の違いで困難だからである。汚染が熱伝導を低減させるのは、厚くはないけれども成長する炭素質堆積物の層が絶縁体として機能する一方で、炭化水素の液体および蒸気を長時間保持する比較的多孔性の場所を提供することによって、熱分解およびさらなる汚染を可能にするからである。
本発明の処理では、特に金属浴連続相を用いて実施される場合、加熱中に起こる自然現象が不都合点ではなく利点となる。ULOは、浴槽の底部に注入されるときにほぼ瞬時に加熱され、これによって、形成しようとするULOのあらゆる大きさの液滴の一部が蒸発し、破砕する。生成されるULO蒸気は、残留ULO液体よりも遥かに軽く、溶融金属シェル内の最上部に蒸気および底部に液体油がある三相気泡のようなものを形成すると考えられる。大きい気泡が形成された場合、軽い蒸気部分は、残留ULO液体から飛び出すか、または少なくとも、大きい多相気泡が生じるときに何らかの激しい攪拌の形態を生じさせる。蒸気部分が飛び出した場合、これは残留ULO液体を残して新しいバブル(液泡)を形成させるか、あるいは少なくとも、蒸気相が飛び出す前よりも遥かに多い液体を形成させる。より高密度のこのバブルは、溶融金属浴槽内ほど急速に生じないため、溶融金属がULOを加熱するのにより長い時間が与えられる。
放射熱伝導もまた、重要な役割を果たすと考えられる。泡の下部におけるレンズ形の油のプールは、体積当たりの表面積の比率が大きく、加熱炉内においてULOが10〜15cmまたは同様の直径を有する金属管を通過するときに生じるよりも1桁以上も熱伝導において有利である。高温の金属熱交換面からこの面内または面周囲を循環する油への熱伝導において、放射熱伝導が果たす役割はごくわずかであると考えられる。本発明の処理では、顕著な放射熱伝導が生じるように、泡は小さく、また十分な高温の溶融金属を「見る」。
今日までに行われた研究に基づくと、好ましい金属組成は、スズが42%でビスマスが58%であるスズとビスマスとの共融合金である。温度および圧力の最適な条件は、約315〜330℃および50〜75mmHgの圧力であると見られる。実際には、所望とする80%の塔頂歩留まりを達成する温度および圧力の組み合わせは無限にある。ULOに対しては、圧力および温度の組み合わせの制限は、0.5mmHgの圧力での約300℃から、ほぼ気圧での425℃までの範囲内であってよい。これら極値のいずれも、作業不可能な状況を生じさせ得る。重要なパラメータは、処理を不可能にする問題を生じさせることなく原料の75〜80%を蒸発させることである。
塔頂潤滑油留分と残渣留分という両生成物の最終的な利用は、作業条件に重要な影響を有し得る。高品質の潤滑油基油資源を回収するための処理が行われているとき、または基油資源にするためのさらなる従来処理が施される材料を回収するための処理が行われているときは、比較的低い温度および生成物のやや低い回収が最適であり得る。残渣生成物がアスファルトエクステンダになる場合は、ULO内に存在する可能な限り多くのプラスチック(主に粘度調整剤)を保持して、アスファルト特性を改善することが望まれる。塔頂生成物がFCC原料になる場合は、より低い品質の生成物を許容することができるため、より高い温度およびより高い回収が最適となり得る。低価値な廃棄物、これは通常はULOの残留留分である、の製造を最小限にするため、潤滑油沸点範囲炭化水素が除去された後、非常に高い温度および/または低い圧力として残留留分を可能な限り少なくすることが重要となり得る。
〔塩浴〕
溶融塩浴が用いられる場合、処理中に還元状態を維持することが重要である。塩浴は、特に酸化性雰囲気で用いられるときに反応性を示す。酸化性雰囲気が潤滑油の回収中に存在する場合は、塔頂において回収される潤滑油沸点範囲炭化水素の品質が劣化するため、還元性雰囲気を維持することが好ましい。
溶融塩浴が用いられる場合、処理中に還元状態を維持することが重要である。塩浴は、特に酸化性雰囲気で用いられるときに反応性を示す。酸化性雰囲気が潤滑油の回収中に存在する場合は、塔頂において回収される潤滑油沸点範囲炭化水素の品質が劣化するため、還元性雰囲気を維持することが好ましい。
溶融塩浴が、ULOの単純な脱水に用いられる場合、またはしばしば「クランクケースダイリューション」として存在するライトエンド(例えばナフサ)もしくは他の材料の除去に用いられる場合、還元性雰囲気を維持することはあまり重要ではない。これは、関連する温度が通常は低いために、酸化反応が起こらないか、あるいは問題とならないほどゆっくりと起こるかのいずれかであるためである。
熱伝導媒体として従来使用されている任意の塩を用いることができる。熱伝導に使用される一部の一般的な塩は以下の通りである:
KNO3、KNO2、NaNO3およびNaNO2
Na2CO3、Li2CO3、K2CO3
NaF、ZrF、LiF、BeF2
多くの場合、複数の塩が組み合わせされて、共融合金あるいは他の低融点混合物が形成される。これらは例えば、Sun Salt;60%のNaNO3および40%のKNO3、またはHi Tech XL;48%のCa(NO3)2、7%のNaNO3および45%のKNO3である。Na2CO3とK2CO3との混合物は、石炭のガス化および熱分解において長い間使用されている。
KNO3、KNO2、NaNO3およびNaNO2
Na2CO3、Li2CO3、K2CO3
NaF、ZrF、LiF、BeF2
多くの場合、複数の塩が組み合わせされて、共融合金あるいは他の低融点混合物が形成される。これらは例えば、Sun Salt;60%のNaNO3および40%のKNO3、またはHi Tech XL;48%のCa(NO3)2、7%のNaNO3および45%のKNO3である。Na2CO3とK2CO3との混合物は、石炭のガス化および熱分解において長い間使用されている。
〔全体的考察〕
所望の処理目的において必要な「熱範囲」内の熱範囲を有する溶融流体を使用することが重要である。必要な処理がULOの単純な脱水のみである場合、これは通常は処理全体ではなく第1の処理または予備処理であるが、溶融塩ではなく溶融金属が好ましい。これは、原料内の水が溶融塩と反応するか、あるいは溶融塩に溶解するからである。脱水では、80℃+温度範囲内で溶融する溶融金属が適している。ULOから潤滑油沸点範囲成分を蒸留する場合、溶融流体は、100℃を超える温度から約600℃までの温度において溶融状態でなければならない。
所望の処理目的において必要な「熱範囲」内の熱範囲を有する溶融流体を使用することが重要である。必要な処理がULOの単純な脱水のみである場合、これは通常は処理全体ではなく第1の処理または予備処理であるが、溶融塩ではなく溶融金属が好ましい。これは、原料内の水が溶融塩と反応するか、あるいは溶融塩に溶解するからである。脱水では、80℃+温度範囲内で溶融する溶融金属が適している。ULOから潤滑油沸点範囲成分を蒸留する場合、溶融流体は、100℃を超える温度から約600℃までの温度において溶融状態でなければならない。
溶融塩または溶融金属の温度の上限/選択は、通常は、揮発度および処理制約によって決定される。「ダスティング」または他の理由による溶融金属の損失が1日1%未満となるように、使用される温度における蒸気圧が低い溶融金属または溶融塩が好ましい。選択される金属または塩は、処理条件下において腐食性であってはならず、また安全のため非毒性であることが好ましい。
本発明によって、使用済みエンジンオイルから、潤滑油基油資源および/または他の炭化水素を乾燥および/または回収することができる。また、本発明の処理方法および装置は、従来の処理では実施不可能である、乳化された水および/または添加物を大量に含有する他の廃棄物または低価油の効率的な処理を可能にする。
本発明は、ULOを処理するために使用された場合、廃エンジンオイル内の貴重な蒸留可能な炭化水素から、これら蒸留可能な炭化水素のわずかな分解のみまたは分解なしに、金属添加物パッケージを分離することができる。ULOからの残留留分がアスファルトエクステンダとして使用される予定である場合は、添加物パッケージの一部、大部分、または全部をそのままにしておくと有益である。一部の潤滑油において使用されるプラスチック粘度調整剤は、アスファルトにおいて有益な効果を有し得るため、添加物パッケージを分解するか分解しないかの選択肢を再精製業者に与える工程があるとよい。
本発明の処理方法および装置は、他の、熱的に不安定な液体または加熱困難な液体を加熱するためにも用いることができる。
我々の試験は比較的低い圧力で行われたが、再精製業者は、潤滑油成分の回収を最大限にし、添加物の分解を最小限にするために、より強力な真空下で作業することができる。他の再精製業者は、蒸気量を最小限にし、多量の水を含む流れの処理を促進するために、1〜100気圧、またはそれ以上の気圧で作業することができる。気圧をより高くすることによって、建設する施設をより小規模にすることができる。
これらの実験は、単一の溶融金属浴を用いて行われたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。生成物分留装置が、それぞれがわずかに異なる温度で動作する複数の蒸留トレイを使用するように、複数の溶融金属浴が使用されてもよい。
Claims (10)
- 潤滑油沸点範囲の成分と熱分解可能な添加物とを含有する使用済み潤滑油(ULO)を精製する方法であって、
a.溶融金属と溶融塩とからなる群より選択される熱分解しない溶融流体との直接接触熱交換によって、上記潤滑油沸点範囲の成分の少なくとも一部が蒸発するのに十分な温度および時間で、上記ULOを加熱する工程と、
b.上記潤滑油沸点範囲の蒸気化炭化水素を蒸気生成物として除去する工程とを含んでいることを特徴とする方法。 - 上記溶融流体が連続相として保持されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 上記溶融流体が1つ以上の浴槽として配置され、上記ULOが上記溶融流体内に注入されるか、または上記溶融流体の中を通って泡立つことを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 上記ULOが連続相として保持され、上記溶融流体が連続ULO相に注がれるか、吹き付けられるか、または送られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 上記溶融流体が溶融金属であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 上記溶融流体が100〜600℃の温度に保持され、上記ULOと上記溶融流体との上記接触が真空下において起こることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 上記熱分解可能な添加物が液体相として回収されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 上記ULO液が上記溶融流体との接触前に脱水されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 上記ULO内の上記潤滑油沸点範囲の炭化水素の少なくとも大部分〜約85LV%が、蒸気生成物として回収されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 上記蒸気生成物が凝縮されて、蜂蜜のような金色を有する液体生成物潤滑油沸点範囲の油留分が生成されることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
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Legal Events
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120221 |
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A02 | Decision of refusal |
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