JP2010509913A - ローズマリー抽出物を含有したたばこフィルター及び当該フィルターを使用することによりたばこの煙に含まれる有害物に起因したdna損傷を低減する方法 - Google Patents

ローズマリー抽出物を含有したたばこフィルター及び当該フィルターを使用することによりたばこの煙に含まれる有害物に起因したdna損傷を低減する方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 本発明は、ローズマリー抽出物を含有した紙巻きたばこ(たばこ)のフィルターと、たばこの煙に含まれる種々の有害物に起因したDNA損傷を低減する方法とに関する。より具体的には、本発明は、ヒトの肺内でベンゾ[a]ピレンジオールエポキシド−dG(BPDE−dG)付加体の還元により、ヒト細胞においてベンゾ[a]ピレンにより引き起こされるDNA損傷を、前記フィルターを使って低減することに関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ローズマリー抽出物を含有した紙巻きたばこ(以下「たばこ」)のフィルターと、たばこの煙に含まれる種々の有害物に起因したDNA損傷を低減する方法とに関する。より具体的には、本発明は、前記フィルターを用いることにより、ヒトの肺内におけるベンゾ[a]ピレンジオールエポキシド−dG(BPDE−dG)付加体を還元することにより、ヒト細胞におけるベンゾ[a]ピレンによるDNA損傷を低減することに関する。
ヒト肺内のベンゾ[a]ピレンジオールエポキシド−dG(BPDE−dG)付加体は、気管支細胞内に集中する。現在、この付加体は、ベンゾ[a]ピレンによる腫瘍形成について決定的な要因となる事象と認められている。たばこの煙は、BPDE−dG形成に対する有意な寄与因子である。たばこの使用は、公知の発癌性物質へのばく露と癌による死とをつなぐものとして群を抜いて一般的であり、そのため、癌誘発の機構を理解する上でのモデルとなっている。ベンゾ[a]ピレン(BP)は、排気ガス、焦げた食べ物、およびたばこの煙(少量)中に存在する高発癌性の多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon、略称PAH)で、通常、たばこ1本あたり10ng未満含まれている。BPは、たばこの煙に含まれる60を超える発癌性物質の1つで、肺癌の一因として疑われている。BPは、代謝的に活性化されてベンゾ[a]ピレン−7,8−ジオール−9,10−エポキシド(BPDE)になり、大多数グアニンのN位でDNAと反応して、ベンゾ[a]ピレン−7,8−ジオール−9,10−エポキシド−N−デオキシグアノシン(BPDE−dG)付加体などのN−グアニン損傷を主に生成する。BPDE−DNA付加体は、ヒト組織に存在することが結論付けられており、BPDE−dG付加体が気管支細胞だけに集中することから、これがヒト肺癌を発現することが示唆されている。
ローズマリー(Rosmarinus officinalis Labiatae)の薬草および油、ローズマリー抽出物、カルノシン酸、およびカルノソールは、望ましい風味および高い抗酸化活性を有するため、食品加工においてスパイス(薬味)および香味料として一般に使用されている。
ただし、本発明以前には、たばこのフィルターにローズマリー抽出物を使うと、ベンゾ[a]ピレン、特にベンゾ[a]ピレンによる腫瘍形成について決定的要因となる事象と認められているヒト肺中のベンゾ[a]ピレンジオールエポキシド−dG(BPDE−dG)付加体によるヒト細胞のDNA損傷が減少するという認識はなかった。
BPは喫煙者の肺癌誘発に関与する重要な発癌性物質と見なされており、この研究で示すように、活性酸素種は、肺癌誘発について決定的な要因である肺発癌性付加体の形成に実質的に寄与する。たばこ依存症(中毒)を防ぐことも、禁煙および喫煙量低減用のプログラムの有効性を高めることも非常に重要であるが、それらのアプローチはこれまでほとんど効果を上げていない。BPDE−dG付加体形成の防止は、喫煙常習者の肺癌リスクの減少につながる可能性のあるアプローチの1つである。
本発明は、ローズマリー抽出物を含有した紙巻きたばこ(たばこ)のフィルターと、たばこの煙に含まれる有害物に起因したDNA損傷を低減する方法とに関する。より具体的には、本発明は、前記フィルターを用いることにより、ヒト肺内でベンゾ[a]ピレンジオールエポキシド−dG(BPDE−dG)付加体を還元することにより、ベンゾ[a]ピレンがヒト細胞に入り込むことに起因したDNA損傷を低減するものである。
(−)−anti−BPDE−dG付加体の量は、(+)−BP−7,8−ジオールの存在下におけるたばこ煙の濃度とともに直線的に増加することがわかっている。カタラーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼは、(−)−anti−BPDE−dG付加体形成を80%を超えて阻害する。MCF−7細胞を(+)−BP−7,8−ジオールで2時間処理した場合、たばこの煙の用量に依存して、(−)−anti−BPDE−dGの形成が増加し、(+)−syn−BPDE付加体のCYP依存形成が減少する。
ベンゾ[a]ピレンにより最高1日にわたり細胞を処理したのち、これをたばこの煙に2時間ばく露した。この2時間の間に、たばこの煙で処理した細胞内の前記付加体の形成が、CYP活性により、未処理細胞でのレベルと比べて2倍増加したことを発見した。このように、たばこの煙に含まれる活性酸素種により、BPDE−dG付加体の形成につながる第2の段階であるベンゾ[a]ピレン代謝経路が活性化されることを発見した。
上記のように、たばこの煙は、肺癌誘発について決定的な要因である発癌性付加体の形成につながる。
最終的に、ローズマリー抽出物を含有するよう修正を加えたたばこのフィルターがMCF−7細胞でのたばこ煙によるBPDE−dG付加体レベルを、70%を超えて低下させることを発見した。この発見は、喫煙常習者の肺癌リスクを低減する上での著しい進展であると考えられる。
図1は、発癌性物質ベンゾ[a]ピレンの主な代謝経路およびDNA結合を示した図である。ベンゾ[a]ピレンは、酵素的に、または活性酸素種により、in vivoで変換されて、DNA反応性ジヒドロジオールエポキシドを生成するたばこ発癌性物質である。(−)−BP−7,8−ジヒドロジオールからの変異原性(+)−r−7,t−8−ジヒドロキシ−t−9,10−オキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−BP[(+)−anti−BPDE]の立体選択的生成は、シトクロムP450依存モノオキシゲナーゼ(P450)または活性酸素種の触媒作用による。それに続くこの求電子性中間体およびゲノムDNAの反応により、ジヒドロジオールエポキシドとグアノシンの環外アミノ基との間に安定した付加体が生成される。この種のDNA損傷は、この付加体が修復されない限り、以下の複製サイクル内での突然変異に変換される可能性がある。 図2は、無細胞系を使い、同時にDNA付加を行って得られた結果を示した図である。6mgの仔ウシ胸腺DNAを2mlの水に混合したものを5mlのCSSに加え、異なる希釈液を使用して、(+)−BP−7,8−ジオール(最終濃度3.6μM)と室温で2時間反応させた。DNAを加水分解し、放出されたBP−テトラオールIを、「材料および方法」で概略説明したように測定した。 図3は、(a)BP−7,8−ジオールの、ペルオキシルラジカルおよびシトクロムP450による、DNAに結合可能な反応種(anti−BPDEおよびsyn−BPDE)へのエポキシ化の立体化学および(b)この研究で測定された、DNAのBP−テトラオールへの酸加水分解を示した図である。(−)−anti−BPDE−dGおよび(−)−syn−BPDEの加水分解により、BP−テトラオールI−2およびBP−テトラオールII−1が形成されるが、これらは不安定で、BP−テトラオールI−1およびBP−テトラオールII−2に変換される。 図4は、MCF−7を用いて得られた結果を示した図である。総容積20mlの10×10細胞/150cmのフラスコを、(+)−BP−7,8−ジオール(0.2μM)単独、またはCSSの異なる希釈液の存在下で2時間処理した。DNAを単離して加水分解し、放出されたBP−テトラオールを、「材料および方法」で概略説明したように測定し、結合レベルを決定した。(−)−anti−BPDE−dGおよび(+)−syn−BPDE−dGからそれぞれ得られたBP−テトラオールIおよびBP−テトラオールIIに対応したクロマトグラムには、明確に区別できる2つのピークが観測された(参照文献32〜34)。示した値は、3〜4回HPLCを行った2つの独立した実験についての平均+標準偏差を表している。図4a(上図)は、CSS希釈に伴う(−)−anti−BPDE−dG付加体の増加を示している。図4b(下図)は、CSS希釈に伴う1/(+)−syn−BPDE−dG付加体の減少を示している。 図5は、BP2.5μMまたはBP2.5μM+CS溶液(希釈20倍)に、示した時間だけばく露した後のMCF−7細胞におけるBPDE−dG結合を示した図である。このBPばく露中、最後の2時間は、たばこ煙溶液を加えた(スキーム1)。「材料および方法」に記載のとおり、BPDE−dGの分析を行った。示した値は、4〜6回のHPLCおよび標準実験を行った2つの独立実験についての平均+標準偏差を表している。BPDE−dG値は、培養12時間後に11.7±0.5(平均±標準偏差)μg付加体/mg DNA、18時間後および24時間後にそれぞれ17.6±0.4付加体/mg DNA、、26.1±0.9付加体/mg DNAであった。CYPの自然代謝は、これらの値を基準時間である12時間、18時間、および24時間それぞれの2時間後、17.2±0.5、27.8±0.8、および42.2±1.0に増加させた。たばこ煙溶液(CSS)を加えたところ、この2時間の間に、はるかに大きな劇的変化が誘発され、12時間、18時間、および24時間経過後に、最終的なBPDE−dG値36.9±1.2、56.7±0.9、および80.2±1.2(平均±標準偏差)μg付加体/mg)が得られた。 図6は、標準的フィルターと、ローズマリー抽出物を含んだフィルターとを使って得られた、BP2.5μMまたはBP2.5μM+CS溶液にばく露した後のMCF−7細胞中のBPDE−dG結合を示した図である。示した時間だけBPにばく露している間、最後の2時間は、たばこ煙溶液を加えた(スキーム1)。「材料および方法」に記載のとおり、BPDE−dGの分析を行った。HPLC実験では、(+)−anti−BPDE−dG由来のBP−テトラオールIに対応するクロマトグラムのピークは1つだけであることが示された。示した値は、4〜6回HPLCを行った2つの独立した実験についての平均+標準偏差を表している。 図7は、MCF−7細胞を12時間および18時間、BPで処理したのち、さらに2時間、たばこの煙およびBPで処理した図である(それぞれ実験AおよびB)。この実験の目標は、BPを異なる時間で活性化させてBP−7,8−ジオールを生成したのち、たばこの煙で細胞を処理し、その効果を最後の2時間の間、調べることであった。その対照試料は、BPだけで処理した細胞である。
Figure 2010509913
標準CSS系には、2mlの仔ウシ胸腺DNA(3mg/ml)、600μlの30μM(+)BaP−7,8−ジオール、およびpH7.4、5mlのCSSのPBSでの希釈液(1:19)が含まれ、これを室温で2時間培養した。各値は、重複して行った3つの独立した実験から得られたものである。その平均誤差は、各重複実験において約12%であった。標準実験のBPDE−dG値は、56±6.3(平均±標準偏差)付加体/mg DNAであった。
喫煙は、多数のヒト癌と因果関係がある。たばこの使用は、公知の発癌性物質へのばく露と癌による死とをつなぐものとして群を抜いて一般的であり、そのため、癌誘発の機構を理解する上でのモデルとなっている。
ベンゾ[a]ピレン(BP)は、排気ガス、焦げた食べ物、およびたばこの煙(少量)中に存在する高発癌性の多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon、略称PAH)で、通常、たばこ1本あたり10ng未満含まれている。BPは、たばこの煙に含まれる60を超える発癌性物質の1つで、肺癌の一因として疑われている。BPは、代謝的に活性化されてベンゾ[a]ピレン−7,8−ジオール−9,10−エポキシド(BPDE)になり、大多数グアニンのN位でDNAと反応して、ベンゾ[a]ピレン−7,8−ジオール−9,10−エポキシド−N−デオキシグアノシン(BPDE−dG)付加体などのN−グアニン損傷を主に生成する。
BPDE−DNA付加体は、ヒト組織に存在することが結論付けられており、BPDE−dG付加体が気管支細胞だけに集中することから、これがヒト肺癌を発現することが示唆されている。
この発癌性物質は、第1相酵素により代謝され、フェノール、アレーンオキシド、キノン、ジヒドロジオール、およびジオールエポキシドを含む多数の代謝産物が生成される。(+)−anti−BPDE−dG付加体の形成につながるBP代謝経路の概要を図1に示す。
より詳しく説明すると、BPから、シトクロムP450(チトクロームP450)を介した酸化を2回経た後、究極発癌性物質(+)−anti−BPDEが形成される。この酸化の第1段階により、(−)−7,8−ジヒドロ−7,8−ジヒドロベンゾ(a)ピレン[(−)BP −7,8−ジオール]が優先的に生成される。そのジオールがさらに酸化され、主に変異原性の強い(+)−r−7,t−8−ジヒドロキシ−t−9,10−オキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−BP[(+)−anti−BPDE]が生成される。多くの研究によると、[(+)−anti−BPDE]はBPの主な発癌性代謝産物であり、in vitro(生体外)およびin vivo(生体内)でBPより強力な変異原活性を呈することが明らかに認められている。肺発癌性物質の代謝における遺伝的変異について、これまでの研究の大半は、種々のシトクロムP450による代謝活性化に主眼を置いてきた(これらの酵素が肺内で発現する可能性は一般に低いが)。肺上皮細胞によるBP−7,8−ジオールの活性化は、典型的なCYP/GST依存生体内変換の過程だけで生じるものではなく、CYP以外の代謝経路もいくつか関与する。これらには、リポキシゲナーゼ、脂質過酸化生成物、ペルオキシダーゼ、COX−1、およびCOX−2に依存する経路などがある。
喫煙者における肺癌誘発については、現在、たばこフリーラジカルの有意な因果性を示唆する証拠が増えている。たばこを1回吸うたび、10兆を超えるフリーラジカルが煙中に形成され、細胞巨大分子に繰り返されるROSの攻撃が腫瘍発現および各種形態のヒト癌の進行の双方の一因となるおそれがある。主要なフリーラジカル種は、セミキノン、ハイドロキノン、およびキノンの平衡混合物であると仮定される。このフリーラジカル複合体は、酸化還元サイクルを生じ、これにより酸素分子からスーパーオキシドアニオンが生成して過酸化水素およびヒドロキシルラジカルの形成につながることが示唆されている。これらの反応種は、げっ歯類およびヒトの培養細胞においてDNA切断およびDNAの1本鎖切断を生じる。これらの作用には、キノンに伴う酸化還元サイクルが関与している可能性があり、ハイドロキノンおよびカテコールが大きな役割を果たすと考えられている。
たばこの煙が、酸素により生じるラジカルのため、BP代謝経路の第2段階が活性化され、おそらく細胞内での(−)−BP−7,8−ジオールから(+)−r−7,t−8−ジヒドロキシ−t−9,10−オキシ−7,8,9,10−テトラヒドロ−BP[(+)−anti−BPDE]への代謝により、BPDE−dG付加体が形成される可能性があることを発見した(図1)。
この活性化がCYP機構の場合より少なくとも2倍高いことも発見した。
さらに、たばこの煙からのROSがBPDE−dG付加体形成増加の一因となっている可能性があることを発見した。
また、ローズマリー粉末製剤を含んだフィルターにより、たばこの煙から来る酸素により生じるラジカルに起因したBPDE−dGレベルを有意に低下させることができ、上記の発見をたばこのフィルターに応用すると、気管支上皮細胞における発癌性BPDE−dG付加体の形成を低減できることも発見した。
この発明では、(i)シトクロムP450との比較による、たばこの煙中のROSのBP−7,8−ジオール活性化への相対寄与を決定する手段と、(ii)たばこの煙のROSが、BP−7,8−ジオールの代謝に寄与して決定的な要因である肺内BPDE−dGの形成を高めることにより、発癌過程を促進するかどうかを決定する手段と、(iii)BPDE−dGの形成を有意に減少させるたばこフリーラジカルのスカベンジャー(消去剤または捕捉剤)を含有したフィルターと、(iv)BPDE−dG付加体の作用を有意に減少させるための前記フィルターの使用とを提供する。
化学物質(化学品)。プロテイナーゼK(EC 3.4.21.64、Proteinase K from Tritirachium album)をSigma(米国ミズーリ州St.Louis)から、RNase T1(EC 3.1.21.3、RNase T1 from Aspergillus oryzae)およびRNase(DNaseなし、ウシ膵臓からのRNaseの不均一混合物)をBoehringer Mannheim(ドイツMannheim)から、それぞれ購入した。リン酸緩衝生理食塩水(phosphate−buffered saline、略称PBS)は、E.Merck(ドイツDarmstadt)製の分光測定用のもので、3.0mMのKCl、1.5mMのKHHPO、140mMのNaCl、8.0mMのNaHPO(pH7.4)、HPLCグレード水、MeOH、エーテル、およびエタノールを含むものであった。他の化学物質は、別段の断りがない限り、Sigma(フランスL'Isle d'Abeau Chesnes)、Boehringer Ingelheim(ドイツHeidelberg)、およびBoehringer Mannheim(ドイツMannheim)から購入した。すべてのBP代謝産物基準は、米国国立癌研究所の発癌性化学物質参照基準リポジトリミッドウェスト研究所(National Cancer institute, Chemical Carcinogen Reference Standard Repository Midwest Research Institute、米国ミズーリ州Kansas City)から取得した。
装置。島津製作所RF−10AXL蛍光検出器を備えたHewlett−Packardの高圧アイソクラティックおよびグラジエントシステムをHewlett−Packard(ドイツWaldborn)インテグレーターに連結して、高速液体クロマトグラフィー(high−performance liquid chromatography、略称HPLC)を行った。
たばこ煙/PBS溶液(CSS)の調製。Pryorらの方法に従って「ケンブリッジ」フィルターなしで喫煙が行われた。煙収集方法としては、原則としてNakayamaらと同じ方法が使用された。長さ8cmの燃焼中の紙巻きたばこ(Marlboro(マルボロ))から出る煙を、ウォーターポンプでの常時減圧により3.8分間収集し、その気泡が10mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を通過して、たばこ煙に含まれる気相化学物質およびタール化学物質の双方が当該溶液に取り込まれるようにした。洗浄瓶壁には不水溶性タール化合物が不在だったことから、1本のたばこの煙からの水溶性化合物の大部分は、10mlのPBS溶液に含有された。たばこ煙溶液(cigarette smoke solution、略称CSS)と呼ばれるこの水溶液を、ベンゾ[a]ピレンまたはそれに最も近い代謝産物(+)−BaP−7,8−ジオールの存在下で、外来DNAとただちに反応させ、または培養物中のMCF−7細胞に加えた。CSSの種々の希釈液が使用された(下記参照)。
たばこフィルターへのローズマリー粉末抽出物の導入。
従来のたばこのフィルターを取り外し、フィルターがあった位置に、たばこ自体に近接させて、40mgのローズマリー粉末抽出物を導入した。この作業を行った後、前記フィルターを再設置した。このフィルターの効果を、質量分析法により評価した。簡潔に説明すると、スピントラップ付加体である3,3,5,5−テトラメチル−1−ピロリン−N−オキシド(3,3,5,5−tetramethyl−1−pyrroline−N−oxide:TMPO)を含んだ有機溶液を前記たばこ煙の気泡が通過するようにした。次に、液体クロマトグラフィーおよび質量分析により、ヒドロキシルラジカル付加体の量を定量化した。使用した喫煙条件では、ヒドロキシルラジカルに30%の減少が見られた。
希釈たばこ煙溶液(CSS)の存在下における外来DNAの(+)−BP−7,8−ジオールとの反応。20倍に希釈した5mlのCSSに2mlの仔ウシ胸腺DNA(3mg/ml)を加え、室温で2時間、次の反応に従い(+)−BP−7,8−ジオール(最終濃度3.6μM)と反応させた。
Figure 2010509913
結果的に得られた(−)−anti−BPDE−dG付加体のレベルを測定した(下記参照)。対照実験として、CSSなしのものを行った。
細胞の培養条件および処理。150cmの細胞培養フラスコを使い、総体積20mlの最小必須培地E−MEMに10%のFCSと15mMのHEPES緩衝液と抗生物質(200ユニット/mlのペニシリン、200μg/mlのストレプトマイシン、および25μg/mlのアンピシリン)とを補足したもので、ヒト乳癌細胞株MCF−7を成長させた。細胞は、37℃で、5%CO/95%空気の雰囲気下で維持および処理した。MCF−7細胞が前記フラスコ表面積の90%を覆った後(密集した(コンフルエントな)培養物の分割から2〜3日後に)、当該培地を、10%の血清を含んだ20mlの新鮮培地で置き換えた。24時間後、略密集した細胞、例えばG0/G1相の細胞の90%超をDMSO単独で、またはDMSOおよびたばこ煙/PBS(上記CSS参照)に発癌性物質(下記参照)を溶解したもので処理した。DMSOの最終濃度は、総培養体積の0.1%を超えなかった。各培養セットに含まれた対照試料は、DMSO単独で処理した。
a)(+)−BP−7,8−ジオールおよびたばこ煙によるMCF−7細胞の処理(+)−BP−7,8−ジオール(0.2μM)だけで、または異なるCSS希釈液の存在下で細胞を2時間処理した。CSから生成したROO°および細胞CYPで(+)−BaP−7, 8−ジオールを活性化させて、(−)−anti−BPDE−dGおよび(+)−syn−BPDE−dGをそれぞれ形成した。それらのレベルを、BP−テトラオールI−1およびBP−テトラオールII−2の形成により測定した(下記および図3を参照)。
b)BPでの時間/用量ばく露実験。BPおよびBPDE−dGレベルに対する時間/用量ばく露を特徴付けるため、細胞(10×10細胞/150cmフラスコ、総体積20ml)を、最終濃度1.25、2.5、および5.0μMの培地で、それぞれ6、12、18、および24時間処理した(2フラスコ/用量/時間ポイント)。細胞内に形成されたBPDE−dG付加体は、他の研究で示されたように(30)、用量および時間に依存した態様で線形的に増加した。得られた結果を踏まえ、BP用の作業用濃度として2.5μMを選択した。
c)BPおよびたばこ煙によるMCF−7細胞の処理CS濃度の効果を見るため、異なるCSS希釈液(体積/体積比1:79、1:39、1:19、1:9)でスキーム1の経験Aを行った。この経験から得られた結果を踏まえ、1:19(体積/体積比)の希釈液を作業用CS濃度として選択した。このように、スキーム1(図6−スキーム1を参照)に従い、細胞(上記「細胞の培養条件および処理」参照)をBP(2.5μM)およびCSS(1:19体積/体積比で希釈)で処理した。
すべての培養セットを、複製試料で2〜3回繰り返した。処理終了時には、細胞の形態的な変化を微視的に調べたのち、0.05%トリプシン−EDTA(0.05%のトリプシン、0.14MのNaCl、3mMのKCl、0.1MのNaHPO、1.5mMのKHPO、0.5mMのEDTA)でのトリプシン処理により集菌した。10%FCSを含んだ培地を等しい体積だけ加えた後、その細胞を1000gで遠心分離し、PBSで3回洗浄したのち、その細胞沈殿物を−20℃で冷凍保管した。BPおよびたばこ煙で処理し、または(+)−BP−7,8−ジオールおよびたばこ煙で処理した前記細胞の生存率は、集菌時にトリパンブルー色素排除試験法で決定したところ、約90%であった。使用した用量については、乳酸脱水素酵素の活性測定(Boehringer製ELISA Kit、ドイツMannheim)による測定で、細胞毒性は示されなかった。
DNAの調製および加水分解。MCF−7細胞沈殿物からのDNAの単離は、RNase、プロテイナーゼK、塩析手順(31)、およびクロロホルムでの処理により行った。前記細胞沈殿物を短時間、EDTA−ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate、略称SDS)緩衝液[10mMのトリス緩衝液、1mMのNaEDTA、1%のSDS(重量/体積)、pH8]で再懸濁し、1時間37℃でRNase T1(2000U/ml)およびRNase A(DNasなし、100μg/ml)によりシェーカー(100rpm)で培養した。次に、プロテイナーゼK(300μg/ml)を加え、37℃で一晩培養を続けた。その分解後、6MのNaClを加え、10000gでの遠心分離の後、最終濃度1Mを得た。上清中のDNAをその体積の2倍のエタノールで沈殿させ、70%エタノールおよび100%エーテルで洗浄し、乾燥させて、10mMのトリス緩衝液に溶解した。再びRNase A(100μg/ml)およびRNase T1(2000U/ml)を加え、その溶液を37℃で1時間培養したのち、プロテイナーゼK(100μg/ml)を加えてさらに37℃で2時間培養した。その溶液を、一度クロロホルムで抽出して遠心分離し、1MのNaCl溶液とした。その2倍体積の冷却エタノールでDNAを沈殿させた。
加水分解するDNAの一部を100%エタノールで洗って、結合していないBP−テトラオールを取り除いた。これにより得られた非結合BP−テトラオールを含まないDNAを水に溶解し、そのDNA濃度をA260nmにより決定した。その純度を、A260/A280およびA260/A230での比により確定した。分析用の量のDNAを、最終濃度0.1NのHClで、90℃で4時間培養して、これまで説明したとおり加水分解した。これにより、テトラオールが放出され(図3)、BPDE−DNA付加体が90%を超える回収率で得られる。前記加水分解物の注入用体積は700μlとし、これに5〜10μgのDNAが含まれていた。
BPDE−N−dG付加体レベルの決定。付加体レベルは、r−7,c−9,t−8,t−10−テトラヒドロキシ−7,8,9,10−テトラヒドロベンゾ(a)ピレン(BP−テトラオールII−1)を内部標準として使って[34]、これまで説明されているように[32,33]、HPLC−FDにより決定した。10%のMeOHで平衡化した5μmのC18逆相物質(Nucleosil 100)を含むラテックスプレカラムモジュール(HD−ドイツ)に、前記加水分解物を充填し、20分間12mlの10%MeOHで洗浄した。次いで前記プレカラムをValco Instrumentsの切り替えバルブで、4.6mm×25cm 5μm C18の逆相(Nucleosil 100)分析カラム(Alltech GmbH、ドイツUnterhaching)へ流れを切り替えた。加水分解により得られた生成物を、50% 0〜17分間、50〜60% 17〜32分間、60% 32〜42分間、60〜100% 42〜57分間のMeOH/HO勾配で溶出させた。前記BP−テトラオールの保持時間は、BP−テトラオールI−1(trans−anti−BP−テトラオール)(35.2分間)、BP−テトラオールII−1(trans−syn−BP−テトラオール)内部標準(36.9分間)、BP−テトラオールII−2(cis−syrc−BP−テトラオール)(42.3分間)であった。励起波長344nmおよび発光波長398nmで蛍光を評価した。別個のMCF−7試料分析でBP−テトラオールII−1の形成が検出されなかったことから、これを内部標準(各HPLC実験で2pgを加えた)として相対保持時間の確認用に使用した。検出限界値は、BP−テトラオールI−1およびBP−テトラオールII−1について0.5pgであった。各BP−テトラオールのレベルは、MCF−7試料分析の直前に分析した信頼できるBP−テトラオール基準の蛍光ピーク領域から生成された標準曲線を使って決定した。検出されたBP−テトラオールI−1は、(+)−anti−BPDE−DNA付加体の加水分解後に導出された。(−)−anti−BPDE−dGの加水分解により、BP−テトラオールI−2が形成されるが、これは不安定で、BP−テトラオールI−1に変換される(図3)(38)。このため、HPLC実験で見られたBP−テトラオールI−1の量により、形成された(−)−anti−BPDE−dGのレベルを測定した。DNAと反応したBPDEが主にBPDE−N−dG(7)を生成するという結果に基づき、私は、BP−テトラオールI−1のレベルがBPDE−N−dGのレベルに対応すると仮定した。MCF−7DNAに結合したBPDEのレベルを重複測定で定量化した。その付加体レベルを、式1pmol/mg DNA/3.125=1付加体/10ヌクレオチドから計算した。前記HPLCの実験結果は定量的に再現可能であり、2つのアッセイ間の変動性は5%より低かった。
BPによる変異原性の機構は詳しく定義されているため、これを「分子署名」として使い、腫瘍の進行および癌を誘発するばく露における特定の遺伝的事象間の因果関係(の決定的証拠)を確立する。「BPの分子署名」には、たばこの煙がヒト肺癌の原因であることを正確に指摘し、たばこ喫煙を最小限に抑え若しくはその予防措置を導入する具体的な戦略を策定する上で大きな意味合いがある。癌の化学予防に使用される具体的な薬剤は、発癌性物質がDNAに及ぼす損傷、突然変異誘発、腫瘍促進、および/または腫瘍進行を抑制することにより、作用するように見られる。
私は、ヒト細胞で安定したDNA付加体形成を可能とするBP−7,8−ジオールからBPDEへの生体内変換におけるCSの相対的役割を詳しく調べた。多数の研究では、安定したPAH−DNA付加体がヌクレオチドの誤取り込みまたは欠失を介した突然変異につながりうることが実証されている。CSは、有機化合物および無機化合物の双方をこれまで特定されただけでも4800含む複雑な化学組成のエアロゾルである。煙の気相も粒子相もフリーラジカルを含有することが知られている。気相中のラジカルは全般的に短寿命であるが、粒子相中のラジカルは比較的安定でハイドロキノン、セミキノン、キノン複合体から成り、この複合体は、酸素分子を還元してスーパーオキシド、最終的には過酸化水素およびヒドロキシルラジカルを生成できる活性酸化還元系である。また、少なくとも60の異なるCS発癌性物質が腫瘍の発現および促進の原因として示唆されてきており、CSに含まれる強力な発癌性物質は、その大半がBPおよびNNK(4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン)である。
無細胞系を使用し同時にDNA付加を行った場合の(+)−anti−BPDE−dGに対するたばこ煙の効果たばこの煙から生じた活性酸素に依存するBPDE−dG形成の機構を解明するため、この付加体について、無細胞in vitro系で同時にDNA付加を行って調べた。たばこ煙の気相およびタールのラジカルを含んだCSS溶液を、(+)−BP−7,8−ジオールの存在下でDNAとただちに反応させた(上記プロトコルを参照)。この実験で得られた結果により、CSが(+)−BP−7,8−ジオールを酸化して(−)−anti−BPDEを生成し、これから(−)−anti−BPDE−dG付加体が形成されうることが示された。(−)−anti−BPDE−dGの量は、用量に依存して線形的に増加した(図2を参照)。
PBSに捕獲したたばこの煙からは、HやO などの活性酸素が大量に生成されることがこれまでにわかっている。たばこの煙から生成されるこの活性酸素は、これまで観測されている(−)−anti−BPDE−dG形成をもたらす可能性がある。これを確認するため、(−)−anti−BPDE−dG生成に対するカタラーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase、略称SOD)の効果を調べたところ、どちらの酵素も当該付加体の形成を阻害することがわかった。不活性化したカタラーゼは、何の効果も示さなかった(表1)。これらの結果から、たばこの煙は(+)−BP−7,8−ジオールを酸化し、これにより(−)−anti−BPDE−dGを形成できると結論し、またそのような能力は、主にたばこ煙からの酸素生成作用により説明できると結論した。
(+)−BP−7,8−ジオールで処理したMCF−7細胞内で形成される(−)−anti−BPDE−dG付加体に対するたばこ煙の効果。BP−7,8−ジオールからBPDEへの代謝に参与する経路としては、独立に2つのものが示されている(図3)。(+)−鏡像異性体のシトクロムP450依存代謝では(+)−syn−BPDEが優先的に生成される一方、過酸化物(過酸化脂質など)とヘム含有タンパク質が関与する経路では、(−)−anti−BPDEが優先的に生成される。他方、(−)−BP−7,8−ジオールはどちらの経路でも代謝され、結果的にBPおよび(−)−syn−BPDEの最終形態である(+)−anti−BPDEが形成される。anti−BPDEおよびsyn−BPDE由来のテトラオールは本明細書の条件でそれぞれ明確に分離されるため、上記の異なる経路は、HPLC分析で区別することができる。
(−)−anti−BPDE、さらにDNA (−)−anti−BPDE−dG付加体の形成につながる(+)−BP−7,8−ジオールのたばこ煙依存エポキシ化の役割についてさらに調べるため、ヒト乳癌細胞株MCF−7を使用した。(+)−BP−7,8−ジオールの活性化に関するたばこ煙ROSの効果を調べるためMCF−7細胞を使用した理由は、この細胞にペルオキシダーゼ活性がほとんどないためである。ROS依存経路およびCYP依存経路で形成された付加体を区別できる立体化学的プローブ、(+)−BP−7,8−ジオールで、前記細胞を処理した(図3)。(−)−anti−BPDE−dGおよび(+)−syn−BPDE−dGからそれぞれ得られたBP−テトラオールIおよびBP−テトラオールIIに対応したクロマトグラムには、明確に区別できる2つのピークが観測された(参照文献32〜34)。たばこの煙が線形的に増加すると、その用量に依存して(−)−anti−BPDE−dGのROS依存形成が高まり(図4a)、BP−テトラオールIIの形成により測定した(+)−syn−BPDE−dG付加体のCYP依存形成は減少した。この減少は用量にも依存し、DNA付加体の逆数は、たばこ煙の濃度とともに線形的に増加した(図4b)。(+)−syn−BPDE−dGのCYP依存形成に対するCSの阻害作用と、(−)−anti−BPDE−dG付加体の形成増加とにより、たばこの煙から生じた酸素の(−)−anti−BPDE−dG付加体形成における役割が確認された。
他の研究では、誘発されたCYP活性が、酸化的攻撃により損なわれたことが示されている。そのような現象の基にある機構は、シトクロムP4501A1遺伝子のダウンレギュレーション(下方制御)である。ペルオキシダーゼ活性がほとんど場合、MCF細胞は「ストレス」条件下に置かれ、DNA損傷が高まり、修復能力が低下する。その結果、BPDE−DNA付加体がBP−7,8−ジオール活性化とは独立に増加する。
BP処理した細胞内で形成されるBPDE−dG付加体に対するたばこ煙の効果。MCF−7細胞培養に関するこれまでの研究では、それらの細胞がP4501B1およびP4501A1の誘導活性を有することが明らかにされている。P450を触媒としたBP代謝回転の存在と、MCF−7細胞における検出可能なペルオキシダーゼ活性の不在とにより、ヒト細胞培養物でのBP活性化におけるたばこ煙の酸素ラジカルの役割を評価することが可能になった。MCF−7細胞はBPの代謝活性化に対し高いCYP1A1酵素活性を有するため、(−)−BP−7,8−ジオールが形成され、これにより(+)−anti−BPDE−dGが形成される(図1)。ばく露6時間後の付加体形成レベルは、同12時間後および24時間後に観測された値より有意に低かった。2.5μMのBPで6時間処理した後には、約2000pg付加体/mg DNAが形成され、12時間後および24時間後には、それぞれ11000pg付加体/mg DNAを超え、20000pg付加体/mg DNAを超える付加体が形成された(ウイルコクソンの順位和検定ではp=0.0022)。
前記細胞は、BPで12時間および18時間処理されて、ROSの基質である(−)−BP−7,8−ジオールの形成を誘発した。優先的に形成された(−)−Bp−7,8−ジオールの間接的な確認は、(+)−BP−7,8−ジオールを前駆体とするsyn−BPDE由来のBP−テトラオールII不在をHPLCで確認することによる(図3)。次いで前記細胞を、たばこ煙のCSSおよびBPに2時間ばく露する。HPLC実験では、(+)−anti−BPDE−dG由来のBP−テトラオールIに対応するクロマトグラムのピークは1つだけであることが示された。CSSで処理した細胞と未処理細胞(対照試料)との違いを図5に示す。上記のとおり、この研究に使った細胞株は、CSからの酸化的攻撃後にCYP1A1発現を減少させる能力を保った。シトクロムP450の抑制は、おそらくBPから(−)−BP−7,8−ジオールおよび(+)−anti−BPDEへの活性化を低下させる。このように、CSによる差の拡大は、CSから生じたROSによる(−)−BaP−7,8−ジオールの代謝の高まりによるものである。ウイルコクソンの順位和検定では、上記14時間後および20時間後の各対照試料に対し、CS処理した細胞はp=0.0022であった。先般、BPによるDNAの劇的な損傷がヒト気管支上皮細胞に生じて、ヒト気管支上皮細胞での肺癌発現に「決定的な要因」と見なせるBPDE−dG付加体を形成することがわかった。このように、たばこの煙に生じる活性酸素種は、気管支上皮細胞におけるこの「決定的な要因」である付加体の形成に重要な役割を果たす可能性がある(図1)。
BPDE−dG付加体形成に対する、ローズマリー抽出物を含有したフィルターの効果。ローズマリー(Rosmarinus officinalis Labiatae)の薬草および油は、望ましい風味および高い抗酸化活性を有するため、食品加工においてスパイスおよび香味料として一般に使用されている。ローズマリー抽出物、カルノソール、またはウルソル酸をマウスの皮膚に局所適用すると、ベンゾ[a]ピレンおよび表皮DNAの共有結合、7,12−ジメチルベンゾ[a]アントラセン(7,12−dimethylbenz(a)antracene、略称DMBA)による腫瘍発現、TPAにより誘発される腫瘍促進、オルニチンデカルボキシラーゼ活性、および炎症が阻害された。ローズマリー抽出物は、促進段階だけでなく発現段階にも有効であることが実証されている。ローズマリー抽出物、カルノシン酸、およびカルノソールは、第1相酵素であるCYP450の活性を強力に抑制し、第2相酵素であるグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)の発現およびcjuinone還元酵素活性を誘発する。カルノソールは、活性化マクロファージにおける一酸化窒素(NO)生成を阻害する。この抗酸化特性は、ローズマリー抽出物、カルノソール、またはウルソル酸の防御効果の基本機構と呼ばれてきた。
たばこの煙に含まれるフリーラジカルおよび活性酸素種の除去を目的として、少量のローズマリー粉末を標準的フィルターに導入した(「材料」を参照)。ローズマリー抽出物を導入した前記フィルターにより誘発された凝縮物中のフリーラジカル減少については、LC−ESI−MS/MSを使ったスピントラップ(TMPO)でのCSSのヒドロキシルラジカル含有量の定量化により推定した。使用した喫煙条件では、ヒドロキシルラジカルに30%の減少が見られた。たばこ煙中のフリーラジカルレベルを低下させる本発明のフィルターの効率を、上記添加剤を含まない同等な標準的マルボロフィルターと比較するため、MCF−7細胞を使った場合のBPDE−dGの形成に関し、本発明のフィルターを通過するCSの効果を双方について比較した。
MCF−7細胞をBPで処理した場合に得られた結果を図6に示す。2つの実験群(AおよびB)が実施された。細胞は、BPで12時間および18時間それぞれ処理した後、さらに2時間、BPと併せ2つのフィルターからのCSSで処理した(スキーム1)。これら最後の2時間中のCYPに依存した前記付加体の増加を評価するため、各群に2つの対照実験を行った。A群については12時間および14時間、B群については18時間および20時間とした。標準的フィルターからのCSSは、14時間および20時間について得られた結合レベルの2倍であった。
ただし、ローズマリーフィルターは、標準的フィルターにより得られた増加を、前記2群において70%を超えて、強力に妨げている(図6)。前記修正フィルターはROSを除去し、その結果、(−)−BP−7,8−ジオールの活性化を低減した(図3)。このフリーラジカルの低減とは別に、ローズマリー粉末は、BPDE−dG形成を減少させる他の機構も有する可能性がある。
またローズマリー全体の抽出物(6μg/ml)を使っても、ヒト気管支上皮細胞における6時間の1.5μM BPとの共培養後、CYP1A1活性およびDNA付加体形成を80%阻害できる(BEAS−2B)。このように、フリーラジカルの量を低減することにより、決定的な要因である発癌性付加体の形成を低下させるフィルターを使用すると、喫煙常習者に著しく有益である。
したがって、本発明の進歩性のあるローズマリーたばこフィルターは、気管支上皮細胞におけるBPDE−dG低減を目的とした化学予防プログラムに使用するものの候補として有望である。
本発明に関する上記の説明は、種々の修正、変更、および適応を施すことが可能であり、それらは添付の請求項の均等物(等価物)の意味内および範囲内に包含されると理解すべきであることが理解されるであろう。最も明白な変更(修正)は、例えば電気応答性組成物として種々のゲル材料を使用することである。
そのため、以上の説明から明らかな上記の目的等は効率的に達成され、上記の方法(工程)を実施する際、本発明の要旨を逸脱しない範囲で特定の変更が可能であり、上記の説明に含まれる全内容は例示的かつ非限定的であると解釈しなければならないことが理解されるであろう。また言うまでもなく、以下の請求項は、本明細書に説明する本発明の総称的および具体的な特徴と、その双方の間に含まれるものとして言語的に表現されうる当該範囲の全記述とをすべて対象とすることを目的としている。

Claims (10)

  1. フィルターを有するたばこの喫煙により生じるたばこの煙からのヒト肺内ベンゾ[a]ピレンジオールエポキシド−dG(BPDE−dG)付加体を低減する方法であって、
    ポリフェノール化合物またはその誘導体を含有するシソ科植物の抽出物を含浸させた前記フィルターに、前記たばこの煙を通過させる工程
    を有する方法。
  2. 請求項1記載の方法において、前記植物はローズマリーである。
  3. 請求項1記載の方法において、前記抽出物は、アルコール溶媒または水溶性アルコール溶媒での抽出により生成されるものである。
  4. フィルターを有するたばこの喫煙により生じるたばこの煙のヒト肺内ベンゾ[a]ピレンジオールエポキシド−dG(BPDE−dG)付加体を低減する方法であって、
    少なくとも1つのポリフェノール化合物またはその誘導体を有する混合物を含浸させた前記フィルターに、前記たばこの煙を通過させる工程
    を有する方法。
  5. 請求項4記載の方法において、前記混合物は、カルノソール、ロスマノール、ロスマリン酸、およびカルノシン酸から成る群から選択される少なくとも1つのポリフェノール化合物またはその誘導体を有するものである。
  6. 請求項5記載の方法において、前記混合物は、カルノソール、カルノシン酸、ロスマリン酸、およびロスマノールを含有するものである。
  7. 請求項6記載の方法において、前記混合物は、カルノシン酸またはカルノソールを含有するものである。
  8. 請求項7記載の方法において、前記フィルターは、少なくとも1つのポリフェノール化合物またはその誘導体を0.5g〜0.1mg含有するものである。
  9. 請求項7記載の方法において、前記フィルターは、少なくとも1つのポリフェノール化合物またはその誘導体を0.01g含有するものである。
  10. 請求項7記載の方法において、前記少なくとも1つのポリフェノールまたはその誘導体は、高分子担体(基剤)に結合し、マイクロカプセル基質中にあり、またはフィルターの繊維に加えられるものである。
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