JP2010508375A - イソシアネートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の対象は、アミンとホスゲンとを気相中で少なくとも1つの反応帯域において反応させることによってイソシアネートを製造するにあたり、該反応混合物を、少なくとも1種の液体が噴霧される少なくとも1つの帯域に導いて反応を停止させる、イソシアネートの製造方法において、反応混合物を、急冷帯域の横断面を完全に満たす急冷液体からなる閉じたカーテンに導くことを特徴とする方法である。

Description

本発明の対象は、気相中でイソシアネートを製造する方法である。
ポリイソシアネートは、多量に製造され、ポリウレタンの製造のための出発物質として主に用いられる。その製造は、主に相応のアミンとホスゲンとの反応によって行われる。
イソシアネートの製造の1つの手法は、気相中での反応である。前記方法実施の利点は、低減されたホスゲン滞留、ホスゲン化困難な中間生成物の回避と、高められた反応収率にある。出発物質流の効果的な混合の他に、狭い滞留時間スペクトルの実現と、狭い滞留時間ウインドウの保持は、係る方法の工業的な実施可能性のために重要な要求である。この要求は、例えば乱流駆動される管型反応器の使用によって又は内部取付物を有する流動管によって満たすことができる。
先行技術から、アミンとホスゲンとを気相中で反応させることによってイソシアネートを製造するための種々の方法が知られている。EP−A−59334号は、可動部がなく且つ管型反応器の長手方向軸に沿った内壁が縮小した管型反応器中でホスゲンとジアミンの反応を生じさせることを特徴とする、気相での芳香族ジイソシアネートの製造方法を記載している。しかしながら、単なる内壁の縮小による供給流の混合が相当する混合装置の使用と比較して十分に機能していないため、当該方法には問題がある。十分でない混合は、通常は、望ましくなく高い固体の形成を招く。
EP−A−699657号は、全反応器容積の20%〜80%からなる第一領域が理論的に混合され、全反応器溶液の80%〜20%からなる第二領域が栓流を有する二領域反応器中で、ホスゲンとそれぞれのジアミンとの反応を生じさせることを特徴とする気相における芳香族ジイソシアネートの製造方法を記載している。しかしながら、反応容積の少なくとも20%が理論的に逆混合されるので、不均一な滞留時間分布が生じ、望ましくない固体形成を招き得る。
EP−A−289840号は、可動部のない円筒空間中、200℃〜600℃の温度での乱流中で当該発明に従って製造が行われる気相ホスゲン化によるジイソシアネートの製造を記載している。可動部の削除はホスゲンの損失リスクを減じる。円筒空間(管)中の乱流によれば、管中の非常に均一な流れ分布(内壁に近接する流体要素を除外した場合)及び狭い底流時間分布が達成され、これは、EP−A−570799号に記載されるように、固体形成の減少をもたらすことがある。
EP−A−570799号は、ホスゲンとそれぞれのジアミンとの反応を、0.5〜5秒の平均接触時間内で、ジアミンの沸点を超えた管型反応器中で実施する気相における芳香族ジイソシアネートの製造方法に関する。当該文献に開示されるように、過度に長い反応時間及び過度に短い反応時間は双方とも望ましくない固体形成を招く。したがって、当該文献は、平均接触時間からの平均偏差が6%未満である方法を開示している。この接触時間の順守は、4000を超えるレイノルズ数又は100を超えるボーデンシュタイン数のいずれかを有する管を通って流れる流れ中で実施される反応によって達成される。
EP−A−749958号は、少なくとも3m/sの流速で、200℃〜600℃で加熱された円筒型反応空間中でトリアミン及びホスゲンを相互に反応させることを特徴とする、第3級アミノ基を有する(脂環式)脂肪族トリアミンの気相ホスゲン化によるトリイソシアネートの製造方法を記載している。
詳細に開示された実施例において、該反応混合物は溶剤中に導かれ、これにより反応生成物の非特異的な分離のみが可能であり、広い急冷時間分布が引き起こされる。
EP−A−928785号は、気相でのアミンのホスゲン化のための微細構造混合機の使用を記載している。微細混合機使用の不利点は、非常に微量の固体でさえ、その形成をイソシアネートの合成において完全に除外することができず、混合器を詰まらせ、これはホスゲン化装置の利用時間を減じることである。
しかしながら、すべての場合において、イソシアネートの後の反応による固体形成を抑制するため、最適な反応時間後に反応を効率的に止める必要がある。
EP1403248号A1は、円筒形急冷領域における、イソシアネート、ホスゲン及び塩化水素からなる反応混合物の急冷を記載している。急冷領域は、1もしくは複数の別々のノズルを有する少なくとも二個のノズルヘッドからなる。それらのノズルは、その際、外側の方向に広がっている。急冷領域において、反応ガスは噴霧された液滴とともに混合される。液体の蒸発はガス混合物の温度を急速に減じるため、高温の結果物としての所望するイソシアネート生成物の損失を減じる。さらに、ノズル配列が急冷領域の内壁との高温反応ガスの早期の接触を抑制するため、表面の堆積物の形成を減じる。
しかしながら図面に開示される実施形態の場合に、急冷液体の連行を考慮に入れて、流入する反応混合物によって特に急冷空間の壁部でチャネルは開いたままであり、それを通じて反応混合物は急冷媒体と密接することなく案内されることを示している。このことは、急冷されていない反応混合物の割合をもたらし、従って急冷時間分布の拡大をもたらす。
前記方法の不利点は0.2〜3.0秒の急冷時間であり、これは回避可能なイソシアネートの著しい損失を招く。
国際特許出願2005/123665号は、反応帯域と急冷の間に狭窄部を有するイソシアネートの製造方法を記載している。そこに詳細に開示される規定されたソーター(Sauter)直径及び規定された導入の速度での実施例は、0.01秒の急冷時間を可能にする。
しかしながら、そこで開示される措置では、依然として、急冷において最適な作用を達成できない。
本発明の課題は、気相中でイソシアネートを製造する方法において、最適な滞留時間を達成した後に、反応が十分に短い時間内で停止され、かつイソシアネートを反応混合物の他の成分から容易に分離を達成できる方法を開発することであった。
前記課題は、反応帯域での反応を、少なくとも98%の転化率まで実施し、そして該反応混合物を、1つの液体が導入される1つの帯域に導いて反応を停止することによって解決できた。以下に、この帯域を急冷帯域と呼ぶ。この場合に、反応帯域と反応停止が引き起こされる帯域との間に、急冷帯域及び反応帯域に対して変更された横断面を有してよい領域が存在する。この領域の横断面積は、その際、反応帯域の横断面積より小さいかもしくは大きくてよい。本発明によれば、気体状の反応混合物は、急冷帯域の全横断面積を満たす急冷液体からなるカーテンに導かれる。
反応領域としては、管型反応器、内部取付物を有するもしくは有さない流動管又はプレート型反応器を使用することができる。
気相中でのアミンとホスゲンとの反応は、公知の条件下で実施することができる。
反応成分であるアミンとホスゲンとの混合は、反応器の前で又は反応器中で行うことができる。ここで、反応器の前に混合ユニット、例えばノズルを接続させることができ、それによってホスゲン及びアミンを含有する混合されたガス流でさえも反応器へと到達する。
本発明による方法の一実施態様においては、まずホスゲン流が分配エレメントによって反応器の全幅にできる限り均一に分配される。アミン流の供給は、開口又は混合ノズルを有する分配チャネルが反応チャネルに取り付けられている反応器の初期段階で行われ、その際、この分配チャネルは、有利には反応器の全幅にわたって達している。前記の開口もしくは混合ノズルから、場合により不活性媒体と混合されているアミンがホスゲン流に供給される。
不活性媒体は、反応温度で気体状で存在し、かつ出発物質と反応しない媒体である。例えば、窒素、希ガス、例えばヘリウムもしくはアルゴン又は芳香族化合物、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼンもしくはキシレンを使用することができる。好ましくは窒素が不活性媒体として使用される。
本発明による方法のためには、好ましくは分解なくして気相に変換できる、第一級アミン、好ましくはジアミン又はトリアミン、特に有利にはジアミンを使用することができる。特に適しているのは、ここでは、1〜15個の炭素原子を有する脂肪族もしくは脂環式の炭化水素を基礎とするアミン、特にジアミンである。このための例は、1,6−ジアミノヘキサン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン(IPDA)、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−もしくは1,4−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(BIC)並びに3(もしくは4),8(もしくは9)−ビス(アミノメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン異性体混合物である。好ましくは、1,6−ジアミノヘキサン(HDA)が使用される。
本発明による方法のためには、分解なく気相へと変換できる芳香族アミンを使用することもできる。好ましい芳香族アミンのための例は、トルイレンジアミン(TDA)、好ましくは2,4−もしくは2,6−異性体又はそれらの混合物、ジアミノベンゼン、ナフチルジアミン(NDA)及び2,4′−もしくは4,4′−メチレン(ジフェニルアミン)(MDA)もしくはそれらの異性体混合物である。
本発明による方法では、ホスゲンは、アミノ基に対して過剰に使用することが好ましい。通常、ホスゲン対アミノ基のモル比は、1.1:1〜20.1、有利には1.2〜5:1である。
本発明による方法の実施のために、反応物流を、混合前に、通常は100〜600℃、有利には200〜500℃の温度に予熱することが好ましいことがある。反応チャネル中での反応は、通常は、150〜600℃、有利には250〜500℃の温度で行われる。本発明による方法は、有利には連続的に実施される。
反応空間中でのホスゲンとアミンとの反応は、0.1バール超〜20バール未満、有利には0.5バール〜15バール及び特に有利には0.7〜10バールの絶対圧力で行う。(脂環式)脂肪族アミンの反応の場合、絶対圧は殊に有利には0.7バール〜5バール、特に0.8〜3バール、とりわけ1〜2バール、殊に1.1〜1.5バールである。
好ましい実施態様においては、反応空間の容積及び流速は、反応混合物が乱流を示し、すなわち、少なくとも2300、好ましくは少なくとも2700、特に好ましくは少なくとも10000のレイノルズ数を有する(レイノルズ数は、反応空間の水力直径に基づいて計算される)ように決定される。レイノルズ数は、流動様式、ひいては反応管中の滞留時間分布を決定する(H.Schlichting:Grenzschichttheorie,Verlag G.Braun,1982;M.Baerns:Chemische Reaktionstechnik,Georg Thime Verlag Stuttgart,1992)。ガス状の反応物質は、2〜220メートル/秒、好ましくは20〜150メートル/秒、好ましくは30〜100メートル/秒の流速で反応器を通過するのが好ましい。
一般的には、本発明の方法において、平均接触時間は、0.05〜5秒、好ましくは0.06〜1秒、特に好ましくは0.1〜0.45秒である。平均接触時間とは、出発物質の混合開始から急冷を用いた反応停止時までを表す。好ましい実施態様においては、本発明の方法における流れは、10を超え、好ましくは100を超え、特に好ましくは500を超えるボーデンシュタイン数を有する。ボーデンシュタイン数は、流通装置における逆混合度の尺度である。ボーデンシュタイン数が増加するにつれて、逆混合が減少する(M.Baerns:Chemische Reaktionstechnik,Georg Thieme Verlag Stuttgart,1992)。
上述した通り、急冷領域は、乱流条件下で操作された管型反応器、内部取付物を有する流動管又はプレート型反応器であってもよい反応器の末端に位置する。
反応空間は、少なくとも98%の変換、すなわち、導入されたアミンの消費は好ましくは少なくとも99%、特に好ましくは99.5%、非常に好ましくは99.7%、特には99.9%、特には99.99%の変換が起こる容積である。
本発明の対象は、従って、アミンとホスゲンとを気相中で少なくとも1つの反応帯域中で反応させることによってイソシアネートを製造するにあたり、反応混合物を少なくとも1つの少なくとも1つの液体が導入される帯域に供給して反応を停止させるイソシアネートの製造方法において、該反応混合物を、急冷帯域の横断面を完全に満たす急冷液体からなる閉じられたカーテンに導く方法である。
反応帯域と急冷帯域との間の流動横断面の変更は、その際、他のプロセス技術的パラメータと、装置の絶対的寸法に依存して規定される。ここで、小さい装置寸法の場合及び/又は激しく堆積物を形成するイソシアネートの場合に、例えば反応帯域と急冷帯域との間の横断面の拡大をして、断面の閉塞を回避することが好ましいことがある。横断面を拡大する場合に、流動を分離無く行うことを顧慮すべきである。それというのも、それをもとに同様に堆積の形成が想定されるからである。分離無い流動を達成するために必要な措置は、特にそのために必要な部材内部もしくは部材間の移行部での角度は当業者には自体公知である。
十分に大きい装置寸法の場合にもしくは僅かしか堆積物を形成しないイソシアネートの場合にそれに対して、反応帯域と急冷帯域との間の同じままの流動横断面又は有利には狭窄する流動横断面が好ましい。
その際、激しく堆積物を形成するイソシアネートは、特にモノイソシアネート及び(脂環式)脂肪族のイソシアネート、特に1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。
それに対して、僅かしか堆積物を形成しないイソシアネートは、例えば芳香族のイソシアネート及び、特にトルイレンジイソシアネートである。
一般的な規則として、イソシアネートの堆積物形成の傾向は、官能性、反応性及び/又はモル質量の増大とともに高まる。
流動横断面の狭窄は、その際好ましくは、狭窄部を出る際の反応ガスが一方で著しく冷却されており、他方で十分に高い流動速度を有し、それが効果的な急冷液体の二次噴霧をもたらすように選択される。二次噴霧とは、その際、例えば噴霧ノズルによって生じた液体小滴が、ガス流動中の力、特に空気力学的力によって更に分割されて、より大きい熱伝達面及び物質伝達面が生ずることを意味する。
両方の要求は、横断面の辺縁条件に応じた反応混合物の流動の速度の調整によって達成できる。
反応混合物の流動の過程での流動横断面の拡大に際して、反応混合物の流動のマッハ数は急冷帯域への入口で、一般に、0.05〜1.0未満であり、好ましくは0.1〜1.0未満であり、特に有利には0.2〜1.0未満であり、殊に有利には0.3〜1.0未満であってよい。
反応混合物の流動の過程で流動横断面が狭窄している場合に、横断面狭窄の後方でのマッハ数は、付加的にまた、1.0であってよく、例えば5.0まで、好ましくは3.5まで、特に好ましくは2.5まで、殊に有利には1.5までであってよい。反応帯域を出た後と急冷液体と合わさる前の反応混合物の断熱的な後膨張が考えられる。その結果として、既に予備冷却された反応混合物が、急冷媒体と合わさる直前に圧縮衝撃を受け、その温度上昇は急冷過程によって緩衝される。
マッハ数とは、この場合に、反応混合物の局所的な音速に対する局所的な流動速度を表す。マッハ数の要求から、規定の質量流、圧力及び温度での物質収支に基づき、直接的に急冷帯域への入口横断面の寸法が得られる。
反応帯域及び急冷帯域におけるそれぞれの最も狭い流動横断面の比率は、十分に大きな装置寸法の場合に、もしくは堆積物の形成傾向が低いイソシアネートの場合に、1/1〜10/1、好ましくは1.2/1〜10/1、特に有利には2/1〜10/1、殊に有利には3/1〜10/1である。閉塞を受けやすい小さい装置寸法の場合又は堆積物を激しく形成するイソシアネートの場合に、反応帯域と急冷帯域の間の流動横断面の拡大は、反応管の流動横断面積に対して、1/1〜1/10、有利には1/1.2〜1/10、特に有利には1/2〜1/10、特に有利には1/3〜1/10である。
閉塞を受けやすい寸法は、堆積物を形成しうる最小の直径又は間隙寸法である。
反応帯域と急冷帯域との間の移行部は、好ましくはその場合に円錐体形で構成される。しかしながら、楕円もしくは長円形の断面を有する円錐又は凹面もしくは凸面に形成された移行部、従って例えば半球空間も考えられる。
この急冷帯域で、実質的にイソシアネート、ホスゲン及び塩化水素からなる反応混合物を、供給される液体と強力に混合する。
反応混合物と液体の混合は、その際に本発明によれば、反応混合物が部分的に急冷液体を迂回して流過しないように行わねばならない。それによって、全反応混合物は、非常に短時間以内で冷却されることが保証される。更に、この冷却は一様に行われること、すなわち平均冷却時間から殆ど逸脱せずに行われることが保証される。
これが、先行技術によって確認できなかった。それというのも、先行技術で開示されたノズルは、反応混合物が急冷媒体に流過しうるチャネルが開いたままでないこと、又は急冷帯域への入口と急冷媒体との接触の間の時間が十分に短くできる限り同一であることを確認しないからである。
混合は、反応混合物の温度は、150〜600℃、有利には250〜500℃から始まって、50〜300℃だけ、好ましくは100〜250℃だけ、100〜200℃、有利には140〜180℃に低下し、かつ反応混合物中に含有されているイソシアネートが、凝縮によって完全に、もしくは部分的に供給される液滴に変換され、他方、ホスゲン及び塩化水素は実質的に完全に気相中に残留するように行う。
この場合、急冷帯域で液相に変換され、気体状の反応混合物中に含有されているイソシアネートの割合は反応混合物中に含有されているイソシアネートに対して、有利には20〜100質量%、特に有利には50〜99.5質量%、及び特に70〜99質量%である。
急冷帯域で液相に移行する、気体状の反応混合物中に含まれる塩化水素の割合は、その際、好ましくは20質量%未満、特に有利には15質量%未満、殊に有利には10質量%未満、特に5質量%未満である。
急冷帯域で液相に移行する、気体状の反応混合物中に含まれるホスゲンの割合は、その際、好ましくは20質量%未満、特に有利には15質量%未満、殊に有利には10質量%未満、特に5質量%未満である。
反応混合物は、急冷帯域を有利には上から下へと貫流する。急冷帯域の出口には、回収容器が配置されており、ここで液相が分離され、回収され、かつ排出部を介して除去され、かつ引き続き後処理される。残留する気相は、第二の排出部を介して除去され、かつ同様に後処理される。
急冷媒体の液体小滴は、好適なノズル、例えば一成分噴霧ノズルもしくは二成分噴霧ノズル、有利には一成分噴霧ノズルによって生成され、そして有利には、5〜5000μm、特に有利には5〜500μm、特に5〜250μmの平均ソーター直径D32を有する。
ソーター直径d32(ソーター平均直径、SMD)は、恒常的要件を除く平均液滴体積と平均液滴表面積との比を示し(K.Schwister:Taschenbuch der Verfahrenstechnik Fachbuchverlag Leipzig,Carl Hanser Verlag 2003)、従って急冷法に必須の生成された液滴サイズ分布の変数である。それは、体積/表面積の比率が考慮される集合における全ての小滴の合計について同じ比率である小滴直径であり、反応表面に関する噴霧の微細度を示す。
小滴サイズ分布の幅は、できる限り狭いことが望ましい。それというのも、大きな小滴については迅速な温度低下がもたらされえず、小さい小滴については、依然として高い困難をもって後にガス流動から分離できるにすぎないからである。
噴霧ノズルは、実施形態に応じて、10〜140゜、好ましくは10〜120゜、特に好ましくは10〜100゜の噴霧円錐角を生ずる。図7は、噴霧円錐角α(アルファ)の定義を示している。
噴霧像とは、液体小滴が流過する、噴霧軸に対して垂直(回転対称ノズルの場合)の面の部分面もしくは鏡面に対して垂直(鏡像対称ノズルの場合)の面の部分面を呼称する。噴霧像の外側の輪郭は、一般に円形(中実円錐ノズルの場合)又は環形(中空円錐ノズルの場合)である。しかし、その輪郭は、楕円もしくは長円ないし長方形であってもよい(例えば平形噴射ノズルの場合)。
噴射された小滴の外被は、一般に、円錐形であり、ノズルの近くで理想的に円錐を形成する。中空円錐も考慮できる。しかしながら、急冷帯域の形に応じて、非円錐形の外被を生ずる噴霧ノズルも好ましくは使用できる。更に、例えばスリットノズルもしくは平形噴射ノズルによって生成される扇形の外被を考慮できる。
必要な小滴サイズを調整するために、一成分噴霧ノズルは、一般に、少なくとも1バール、好ましくは少なくとも4バール、特に有利には少なくとも10バール、殊に有利には少なくとも20バール、特に少なくとも50バールの急冷帯域圧力に対して過圧で駆動される。
一成分噴霧ノズルの場合には、一般に、1000バール以下、好ましくは500バール以下、特に有利には200バール以下、殊に有利には100バール以下、特に80バール以下の過圧が十分である。
二成分噴霧ノズルの場合に、ノズルは、液体側で、圧力ノズルとしても吸引ノズルとしても駆動できる。すなわち急冷帯域圧力に対する液体前圧は正でも負であってもよい。噴霧ガスは、一般に、前圧と急冷帯域圧との比率が、臨界圧力比より大きい、好ましくは臨界圧力比より2倍大きい、特に好ましくは臨界圧力比より4倍大きいほど高い前圧を有する。臨界圧力比は、最も狭い噴霧ガスチャネルの断面の圧力がノズル後方の圧力とは無関係である圧力比を示す。
ノズルから小滴が流出する速度は、噴霧の種類に依存し、一般に少なくとも15m/s、好ましくは少なくとも40m/s、特に有利には少なくとも100m/sである。速度の上限は、重要ではない。しばしば、350m/sまでの速度が十分である。
好ましくは、反応帯域と急冷帯域の間に、横断面狭窄部が存在してよく、それを通じて、反応物の濃度低下及び反応ガスの第一の温度低下と結びついた放圧が達成される。更に、横断面狭窄部から高められた速度で生ずる反応ガス流は、急冷液体噴霧と合わさった場合に、急冷液体の付加的な二次噴霧をもたらす。
液滴の大きい比表面積と、反応ガス及び急冷液体の間の高い相対速度とに基づき、反応ガス及び急冷液体の間の物質交換及び熱交換が強化される。それとともに、反応混合物の迂回流動の回避と一緒に、反応混合物の冷却に必要な接触時間は大きく低減され、そして更なる副生成物への反応の結果としてのイソシアネート有用生成物の損失が低減される。
最も狭い横断面における反応ガス流の速度は、有利には20m/s超、特に有利には50m/s超、特に100m/s超であり、そして上限はそれぞれの条件下で反応ガス混合物の音速によって制限される。最も狭い横断面の臨界的な流過の場合に、最も狭い横断面の後方で、反応ガス混合物の後膨張がもたらされ、そして更なる加速がもたらされる。
急冷帯域における自由流動横断面は、反応帯域内の自由流動横断面に対して、一般に25/1〜1/2、有利には10/1〜1/1である。
急冷帯域中の噴霧ノズルの配置は、反応ガス混合物の急冷液体の通過した迂回流動が十分に回避されるように選択される。それは、急冷帯域中の急冷液滴が、1もしくは複数の反応混合物入口の領域と急冷帯域からの出口の領域とを完全に分離する閉じたカーテンを形成することによって達成される。それによって、全体の反応混合物は、急冷液体によって形成されるカーテン、従って急冷ノズルからの液滴が通過する時間平均体積の全体を通り抜けねばならず、従って効果的に冷却される。
その液体カーテンは、使用される噴霧装置に応じて種々に形成することができる。ここで、例えば円形の噴霧像(例えば円錐形の外被)を有する又は楕円形の噴霧増を有する噴霧装置を使用することができる。その他にも、ほぼ楕円もしくは長円ないし長方形の噴霧像を有するスリット形のノズルを使用することもできる(平形の外被)。円錐形もしくは楕円形の円錐形の外被の場合に、それは更に中空円錐もしくは中実円錐であってよい。
噴霧ノズルは、急冷帯域において、個々のノズルの外被を定義する急冷液体体積割合の等表面が、急冷帯域壁部と反応ガス入口と一緒に、閉じた体積を取り囲むように配置されている。円錐形のノズルの場合に噴霧円錐の中心軸によって定義される噴霧ノズルの噴霧方向と、急冷帯域中のガスの主流動方向は、0゜〜180゜、好ましくは0゜〜90゜、特に有利には0゜〜60゜の角度を取り囲む。その際、0゜の角度は、噴霧ノズル軸が厳密に主流動方向に対して平行であり、かつノズルが主流動の方向で噴霧することを意味する一方で、90゜の角度は、噴霧ノズル軸が厳密に急冷帯域中の主流動方向に垂直にあることを意味する。180゜の角度は、噴霧ノズルが、急冷液体を厳密に、主流動方向と反対向きに噴霧することを意味する。
急冷液体カーテンは、1もしくは複数の急冷液体の噴霧のための装置によって作成することができる。噴霧装置の数と急冷帯域への反応混合物入口の数との比率は、その際、10/1〜1/10、有利には4/1〜1/4、特に有利には4/1〜1/1、殊に有利には3/1〜1/1、特に2/1〜1/1である。
1つのノズルを有する好ましい一実施態様(図1)においては、急冷ノズル2は、円筒形もしくは円錐形の急冷領域5の中央で同軸状に存在する。図1において、円錐が重ね合わされた円筒からなる急冷帯域が示されている。反応混合物3は、環状間隙4を介して、急冷ノズル2に対して同軸状で急冷帯域5へと導入される。急冷帯域壁部7と噴霧円錐6は、狭窄空間8を形成し、その中を反応混合物が流れる。該反応混合物は、この構成的な措置によって、次いで噴霧円錐によって形成されたカーテンを通過せねばならない。この好ましい実施態様においては、噴霧円錐角は、急冷帯域壁部の円錐角よりも大きくなければならない。
1つのノズルを有する第二の好ましい一実施態様(図2)においては、ノズル2は、同様に円筒形もしくは円錐形の急冷領域5の中央で同軸状に存在する。該反応混合物は、ここでは入口3を介して、噴霧ノズル軸に対して角度β(ベータ)で急冷帯域へと導入され、その際、角度βは0〜90゜、有利には45゜〜90゜、特に有利には70゜〜90゜である。0゜の角度βは、その際、噴霧ノズル軸に対して平行であることを意味し、かつ90゜の角度βは、噴霧ノズル軸に対して垂直であることを意味する。特に好ましい一実施態様において、反応混合物流は、接線方向で急冷帯域に入る。それは、反応混合物流が噴霧ノズル軸に直接的に供給されずに、反応混合物入口3と噴霧ノズル軸との結合軸で、5゜〜45゜、有利には10゜〜45゜、特に有利には20゜〜45゜、殊に有利には30゜〜45゜の角度を閉じている。該反応混合物は、次いで再び、噴霧円錐6と急冷帯域壁部7によって形成される狭窄している空間8に再び流動し、最終的に急冷液体カーテンを通過する。この好ましい実施態様においては、噴霧円錐角は、急冷帯域壁部の円錐角よりも大きくなければならない。
複数の噴霧装置2を有する更なる好ましい一実施態様においては、例えば2〜10個の噴霧ノズル2は、反応混合物3の入口の周りに環状に配置されている(図3a及び3b)。図3aにおいて、例示的に6つの噴霧ノズルを示す。それらの噴霧ノズルは、その際、個々の噴霧像の重ね合わせによって楕円形もしくは円形の噴霧像6を生成する。環内部に、反応混合物入口3が存在する。噴霧円錐の軸は、反応混合物入口方向に対して角度γ(ガンマ)だけ傾斜している。ガンマγは、その際、0゜であり、噴霧は、従って反応混合物に対して平行に行われ、90゜までで、従って噴霧は、反応混合物に対して垂直に行われ、好ましくは0〜60゜、特に好ましくは0〜45゜である。複数のノズルの利点は、一般により小さい小滴を生成することで迅速な液体の急冷を可能にするより小さいノズルを使用できることにある。再び、急冷帯域形状と噴霧装置の配列の好適な組み合わせによって、閉じた噴霧カーテンが形成されることを保証する。
図4は、図3からの実施態様の別形であって、反応帯域と急冷帯域の間に横断面狭窄部11を有するものを示している。
この横断面狭窄部は、反応混合物の加速をもたらし、それによって、反応混合物の急冷をもたらす圧力降下をもたらす。その加速によって、反応混合物は、最も狭い横断面において1.0マッハまでの速度を達成できる。最も狭い横断面以降で、1.0マッハより高い速度を得ることもできる。
この冷却によって、反応混合物は、急冷過程までよりわずかに熱的に負荷される。更に、高められた反応混合物の速度は、急冷小滴の二次分配をもたらし、従って反応混合物と急冷液体との間の改善された熱伝達と物質伝達をもたらす。確かに、反応混合物と急冷小滴との衝突は短時間でもう一度温度上昇をもたらすが、これは急冷過程を通じて急冷液体によって吸収され、従って更なる反応混合物の熱的負荷はもたらされない。
更なる好ましい一実施態様においては、反応ガス混合物は、1つの間隙を介して正面で急冷帯域へと入る。該間隙は、その際、環状もしくは楕円形であってよく、又は別の任意の曲線を示してもよい。間隙幅は、その際可変であってよいが、好ましくは一定である。間隙の両方の側で、間隙の範囲に応じて1もしくは複数の噴霧ノズルが配置されていてよく、それらは反応ガス混合物の主流動方向に対して平行にもしくは角度γで急冷液体を噴霧する。角度γは、その際、0゜〜90゜、好ましくは0゜〜60゜、特に有利には0゜〜30゜である。間隙の両方の側の噴霧ノズルによって、反応ガス混合物のための先細った流動チャネルが形成され、それは噴霧ノズルの噴霧像を合わせることによって閉じられる。再び、閉じたカーテンが生じ、それを通じて反応ガス混合物が通過せねばならず、それにより迅速に冷却される。好ましくは、該間隙は環状間隙であり、それを通じて反応混合物が供給され、その中には内側の少なくとも1つの噴霧ノズル並びに環状間隙の範囲に応じて複数の外側の噴霧ノズルが、例えば2〜10個の、有利には2〜8個の、特に有利には3〜6個の急冷液体用のノズルが存在する。
複数の反応ガス入口3と複数の噴霧装置2を有する更なる好ましい一実施態様においては、多数の噴霧ノズル2及び反応ガス入口3とが、急冷帯域の正面10にある。噴霧装置2及び反応混合物入口3は、その際、有利には一様に分配されている(図5)。再び、噴霧装置は、図3aと同様に閉じたカーテンを形成する。その際、図5に示されるような噴霧装置2の配置が好ましく、その際に、該噴霧装置は外部環を形成し、従って急冷帯域7の側壁部と反応混合物入口3との間に存在するので、反応混合物が壁部と接触せずに、急冷媒体に当たることが保証される。
更なる好ましい一実施態様を、図6に示す。そこでは、反応ガス3は、急冷帯域の長軸に沿って供給され、そこで反応ガスの流動方向に対して横方向で、複数の、図6では4つの重なった扇形の外被からなるカーテンが存在する。この重なった扇形の外被は、急冷ノズルの前横断面を満たすので、該反応ガスは急冷液体と接触する。
図6で例えば急冷帯域に側方に固定されている急冷ノズルの噴霧ノズル軸は、急冷帯域の長軸と、特に有利には90゜の角度を形成し、従って急冷帯域の長軸と垂直であってよい。しかしながら、急冷ノズル軸は、長軸と約−45゜〜+135゜の角度を形成することができ、従って反応ガスの流動方向と反対に、もしくは好ましくは流動方向と一緒に整列されている。
好ましくは、急冷帯域へと、反応帯域からの排出物が案内されるが、複数の反応帯域からの排出物も1もしくは複数の入口を介して急冷帯域へと供給されうる。
また、1つの反応帯域からの排出物を分けて、複数の入口を介して1もしくは複数の急冷帯域へと供給することもできる。
噴霧ノズルを介して噴霧される液体は、良好なイソシアネートの溶解性と、塩化水素及び/又はホスゲンについての僅かな溶解性を有さねばならない。有利には有機溶剤を使用する。特に芳香族溶剤を使用し、該溶剤はハロゲン原子により置換されていてもよい。係る液体の例は、トルエン、ベンゼン、ニトロベンゼン、アニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(オルト、パラ)、トリクロロベンゼン、キシレン、ヘキサン、ジエチルイソフタレート(DEIP)であるが、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)及びそれらの混合物でもある。
本発明による方法の特定の一実施態様において、噴霧される液体は、イソシアネートからなる混合物、イソシアネートと溶剤との混合物又はイソシアネートである(その際、それぞれ使用される急冷液体は、20質量%まで、好ましくは10質量%まで、特に有利には5質量%まで、殊に有利には2質量%までの低沸点物、例えばHCl及び/又はホスゲンの割合を有してよい)。好ましくは、その際、それぞれの方法で製造されるイソシアネートが使用される。急冷帯域中の温度降下によって反応が停滞するので、排除されない場合には、噴霧されたイソシアネートとの副反応を低減できる。この実施形態の利点は、特に、溶剤の分離を省けることにある。
噴霧される液体の温度は、好ましくは0〜300℃、特に有利には50〜250℃、殊に70〜200℃であるので、噴霧される液体量によって、イソシアネートの所望の冷却と凝縮が達成される。それは、反応の十分な停止を引き起こす。
急冷帯域での反応ガスの速度は、好ましくは1m/sより大きく、特に好ましくは10m/sより大きく、特に20m/sより大きい。
急冷帯域での反応ガスの速度は、好ましくは1m/sより大きく、特に好ましくは10m/sより大きく、特に20m/sより大きい。反応帯域と急冷帯域との間の横断面狭窄部の場合に、最も狭い横断面において、それぞれの系内で音速までが達成できる。最も狭い横断面と急冷帯域との間の流動の更なる膨張によって、その際、流動速度は、音速を超えて達成でき、それによりガスの明らかな冷却がもたらされる。この場合に、次いで急冷帯域の領域において圧縮衝撃を受け、それが急速な減速とガスの圧力増大をもたらす。
急冷帯域内での気体状の反応混合物の迅速な冷却と、イソシアネートの液相への迅速な移行を達成するために、噴霧された液体の小滴を、非常に迅速に、反応ガスの全流動断面にわたって細かく分配せねばならない。所望の温度低下と、イソシアネートの小滴への所望の移行は、その際、好ましくは10秒までで、特に有利には1秒までで、特に0.2秒までで行われる。示される数値は、平均急冷時間である。急冷帯域の特定の構成によって、最低急冷時間と最高急冷時間の、前記の平均値からの偏差が小さく保持される。該平均値に対する標準偏差。急冷時間分布の、平均値に対する相対標準偏差は、多くても1、好ましくは多くても0.5、特に好ましくは多くても0.25、特に0.1である。上記の時間(急冷時間)は、その際、急冷領域への反応ガスの入口と、該反応ガスが急冷領域への入口温度から断熱最終温度まで90%の温度変化を受けた時点との間の時間として定義される。断熱最終温度は、反応混合物と急冷液体がそれぞれの流量と流入温度へと断熱条件下で混合され、熱力学的平衡に達した場合に生じる温度である。選択された時間によって、副反応もしくは更なる反応によるイソシアネートの損失は、実質的に完全に回避することができる。
噴霧された液体量と気体状の反応混合物の量との質量比は、好ましくは100:1〜1:10、特に有利には50:1〜1:5、特に10:1〜1:2である。
急冷帯域から取り出される液相と気相は、後処理される。噴霧された液体として溶剤を使用する場合には、イソシアネートと溶剤の分離は、たいていは蒸留によって行われる。実質的にホスゲン、塩化水素及び場合により未分離のイソシアネートを含有する気相は、同様に、好ましくは蒸留もしくは吸着によって、その成分へと分解でき、その際、ホスゲンは再び反応へと供給でき、そして塩化水素は、更なる化学反応のために用いられて更なる処理がなされて塩酸となるか、又は塩素及び水素に分解することができる。
図1〜5において、本発明による方法の実施態様を示す。
図1は、急冷帯域にわたり同軸状の急冷ノズル、環状間隙を介した反応混合物の導入を示している。 図2は、急冷帯域にわたり同軸状の急冷ノズル、角度β(ベータ)を介した反応混合物の導入を示している。 図3は、aにて多数の噴霧ノズルでの導入を示し、かつbにてaからの断面1−1を示している。 図4は、反応帯域と急冷帯域との間の横断面狭窄部を示している。 図5は、多数の反応混合物入口と噴霧ノズルでの導入を示している。 図6は、反応ガスの流動方向に対して横方向での急冷媒体の導入を示している。 図7は、噴霧円錐角α(アルファ)の定義を示している。
本発明が以下の実施例で詳細に説明されることが望ましい。
実施例1:
前接続された混合機構を有する8mmの直径を有する管型反応器において、トルエンジイソシアネート、ホスゲン及び塩化水素を含有した反応ガス20kg/hを製造した。
該反応ガスを、次いで17mmの内径(DO,I)及び19mmの外径(D1)を有する環状間隙を介して急冷帯域に供給した。該急冷帯域において、環状間隙の内側に同心円状に配置された一成分ノズルが存在していた(図1)。ノズルの噴霧円錐開放角は、70゜であった。該ノズルは、その際、約60μmのソーター直径を有する小滴を生じた。急冷帯域は、10mm(L1)長の19mmの直径(D1)を有する円筒部と、それに続く40mm長(L2−L1)の円錐部(そこには19mmから70mmまでの端部の広がりがある)と、引き続き70mm長(L3)の70mmの直径(D2)を有する円筒部と、最後に狭窄角60゜と最終直径12mmを有する更なる円錐部(図1に示さず)とからなっていた。噴霧された液体量は、17.4kg/hであった。噴霧された急冷液体は、モノクロロベンゼンからなっていた。急冷帯域への入口での反応ガスの温度は、363℃であり、かつ該ガスの圧力は1.35バールであった。急冷液体の入口温度は、100℃であり、噴霧ノズルからの液体小滴の出口速度は、約60m/sであった。急冷帯域の前方の円錐領域における反応ガスの滞留時間は、約0.029秒であった。その際、急冷ガスの温度は、約156℃にまで低下した。所望の温度低下は、その際、約8msで起こった。反応ガス混合物中のトルエンジイソシアネート量は、急冷帯域中での初期濃度に対して80%だけ低下した。
図面のリスト:
図1: 急冷帯域にわたり同軸状の急冷ノズル、環状間隙を介した反応混合物の導入。
図2: 急冷帯域にわたり同軸状の急冷ノズル、角度β(ベータ)を介した反応混合物の導入。
図3a: 多数の噴霧ノズルでの導入。
図3b: 図3aからの断面1−1。
図4: 反応帯域と急冷帯域との間の横断面狭窄部。
図5: 多数の反応混合物入口と噴霧ノズルでの導入。
図6: 反応ガスの流動方向に対して横方向での急冷媒体の導入。左側:側面図、右側:断面A−Aに対して垂直の視線。
図7: 噴霧円錐角α(アルファ)の定義。
1 急冷液体供給路、 2 噴霧装置、 3 反応混合物入口、 4 環状間隙、 5 急冷帯域、 6 噴霧円錐、 7 壁部、 8 閉じた空間、 9 液体出口及びガス出口、 10 急冷帯域の正面、 11 横断面狭窄部

Claims (15)

  1. アミンとホスゲンとを気相中で少なくとも1つの反応帯域中で反応させることによってイソシアネートを製造するにあたり、反応混合物を少なくとも1種の液体が導入される少なくとも1つの帯域に供給して反応を停止させる、イソシアネートの製造方法において、該反応混合物を、急冷帯域の横断面を完全に満たす急冷液体からなる閉じられたカーテンに導くことを特徴とする方法。
  2. アミンとホスゲンとを気相中で少なくとも1つの反応帯域中で反応させることによってイソシアネートを製造するにあたり、反応混合物を少なくとも1種の液体(急冷液体)が噴霧される少なくとも1つの帯域(急冷帯域)に導いて反応を停止させる、イソシアネートの製造方法において、急冷帯域が円筒形もしくは円錐形の形状であり、かつ急冷液体を、該急冷液体の噴霧像が急冷帯域の壁部と閉じた空間を形成するように噴霧し、そしてこの空間に反応混合物を導くことを特徴とするイソシアネートの製造方法。
  3. 請求項2に記載の方法において、急冷液体を同軸状に噴霧することを特徴とする方法。
  4. 請求項2又は3に記載の方法において、反応混合物を、噴霧ノズル軸に対して45゜〜90゜の角度β(ベータ)で急冷帯域に導入することを特徴とする方法。
  5. 請求項2から4までのいずれか1項に記載の方法において、反応混合物を接線方向で急冷帯域に導入することを特徴とする方法。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法において、急冷時間が0.001〜0.2秒であることを特徴とする方法。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、急冷時間の相対標準偏差が1未満であることを特徴とする方法。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法において、急冷帯域への入口での反応混合物の流動が0.05〜1.0マッハの速度を有することを特徴とする方法。
  9. 請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法において、急冷帯域への入口での反応混合物の流動が少なくとも1.0〜5.0マッハの速度を有することを特徴とする方法。
  10. 請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法において、反応帯域と急冷帯域との間の最も狭い流動横断面の流動横断面の比率が10/1〜1/10であることを特徴とする方法。
  11. 請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法において、急冷帯域における流動横断面と反応帯域における自由流動横断面との比率が25/1〜1/2であることを特徴とする方法。
  12. 請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法において、反応混合物が150〜600℃の温度で急冷帯域に入ることを特徴とする方法。
  13. 請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法において、急冷媒体の液体小滴が5〜5000μmのソーター直径D32を有することを特徴とする方法。
  14. 請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法において、急冷媒体の液体小滴が、少なくとも15m/sの速度でノズルを出て行くことを特徴とする方法。
  15. 請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法において、噴霧装置の数と、急冷帯域への反応混合物入口の数との比率が10/1〜1/10であることを特徴とする方法。
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