JP2010505598A - 歯科インプラント用外科的ガイドおよびその使用方法 - Google Patents

歯科インプラント用外科的ガイドおよびその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望のドリリングトラジェクトリをコントロール可能にかつ的確に決定しかつ調節する改善された方法および装置を提供することにある。
【解決手段】ガイド組立体は、無歯領域に隣接する1本以上の歯に装着するように構成された装着部材と、該装着部材に連結されかつ無歯領域上に配置される寸法を有するベースと、該ベースに対して調節可能な転位部材と、該転位部材に対して調節可能な回転部材とを有している。該回転部材は、X線写真マーカまたはドリルを受入れるように構成された孔を備えている。転位部材および回転部材は、X線写真マーカの近位側−遠位側(MD)回転整合および頬側−舌側(BL)回転整合の一方を調節すると同時に、機械的に固定されたをMD回転整合およびBL回転整合の他方を保持するように構成されている。また、転位部材および回転部材は、X線写真マーカのMD転位整合およびBL転位整合の他方を調節するように構成されている。
【選択図】図1A

Description

関連出願の相互参照
本願は、2006年10月10日付米国仮特許出願第60/850,605号(名称「モデルベース・インプラント位置決めシステム(Implant Positioning System Model Based)」の優先権を主張する。尚、この米国仮特許出願の全内容は本願に援用する。
本発明は、インプラント現場で歯科インプラントの位置決めを行う方法に関する。より詳しくは、本発明は、歯科キャスト(dental cast:歯科模型)を用い、外科的ガイドを用意し、外科的ガイドそのものを用い、またはモデル骨切り術(model osteotomy)のドリリングと組合せて、歯科インプラントの支台および/または暫間クラウンおよび口内装着ができるようにして、歯科インプラントの位置決めを行う方法に関する。
歯科インプラントは、過度の未処置歯、骨または歯肉の損傷または肉体的置換等を伴う事故により歯を喪失した患者にとってポピュラーになりつつあるオプションである。歯科インプラントは、自然に見えかつメインテナンスが不要であるため、義歯に代わる魅力が得られる。インプラントは更に、より強い咬合面が得られかつ患者が普通の食事を摂ることを可能にする。
しかしながら、義歯等と比較して、歯科インプラント手術はコストが嵩みかつ複雑な手術を必要とする。より正確には、歯科インプラント手術は、一般に、床支持組織として下に横たわる顎骨内に歯科インプラントまたは支台の装着、次に、歯肉ラインの上方でのインプラントへのプロテーゼの装着が含まれる。一般に、インプラントを装着するには、そのための骨を用意すべく、歯科骨切り術を遂行しなければならない。次に、インプラントが、歯科プロテーゼを保持すべく機能する骨内に挿入されかつ固定される。したがって、骨切り術およびインプラント装着は正確でなくてはならない。
インプラント手術の最も困難でかつ熟練を要する部分は、一般に、インプラントを受入れる顎骨に孔を形成するドリルを位置決めすることである。孔は、自然で魅力的なルックスを得るため、隣接歯に対して正確な位置に形成しなければならない。孔は、プロテーゼのための強固な基礎を確保すべく、骨内の適正位置に配置しなければならない。孔の配置が不正確であると、神経、血管、空洞および隣接歯等の近くの生体構造に損傷を与えてしまう。
また、インプラント用の孔の配置が不適正であると、インプラント手術中に外科医に問題を生じさせる。孔が顎骨内の適正位置に配置されないと、更なるドリリングが必要になる。より面倒なことは、骨が誤って除去されてしまうと、除去部位には新しい骨を移植または付加しなければならず、新しい試みを行う前に3−6ヶ月の治癒期間が必要になる。
これらの理由から、インプラント手術は、一般に口腔外科医の専門的技術を必要とし、一般歯科医によるインプラント手術は回避されている。ユニークな技術および経験が必要とされるため、口腔外科医であってもインプラント手術をためらうことがある。
位置決めの過誤はまた、患者の追加的な歯科医への通院、完了までの付加時間および無用の不快感を招く。この理由から、不正確な位置での過誤によるドリリングの危険性を低減させることが強く望まれている。
外科医がドリリング作業を遂行するときの精度、信頼性および容易性を高めるための多くのツールおよび方法が存在する。最もポピュラーな技術として、フリーハンドアライメントがある。フリーハンドドリリングの場合には、外科医はその経験からインプラントの適正トラジェクトリおよび最終位置を決定する。この場合には、堅実な腕前が必要とされるだけでなく、外科医は、歯肉面の下のどこに骨が位置しているかの判断を行う必要がある。骨は歯肉組織の下に覆われておりかつ骨部位を完全に調べることは困難であるため、外科医は、一般に、この最初の段階で適正位置を決定することは非常に困難である。
歯肉ラインの下の骨位置の決定の問題を解決する一般的な方法は、フラップ法である。フラップ法は、インプラント部位近くの皮膚のフラップを物理的に切断しかつインプラント部位を調査して、顎骨の位置を決定する。この方法は感染の危険が高くかつ患者に大きい不快感を与える。
フリーハンドドリリングも安全上の危険および精度上の問題がある。外科医は最初にどこをドリリングするかを決定できるが、ドリリング中にドリルビットが「ジャンプ」すなわちスリップすることがある。ドリルビットはまた、ビットのチップが骨内に食い込む前に、「ウォーク」すなわち移動することがある。また、フリーハンドドリリングは、外科医が口の内部およびインプラント部位の全体を見ないで作業することを必要とする。
モデルベース (model-based method)法すなわちラボベース(lab-based)法は、インプラント部位の侵襲性が小さい調査が可能であるため、改善された位置決めが可能である。この方法はまた、測定結果をキャスト(cast:模型)から実際の部位に移さなくてはならない。従来技術の一例が、下記特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示の方法は、モデルキャスト(model cast)上での歯科インプラントのサイズ、角度および位置を決定するツールを使用する段階を有している。キャストは、骨位置を決定すべく切断される。次に、モデル(模型)上にグラフィックが引かれ、かつツールを使用してグラフィックの装着情報をインプラント部位に移す。ラボラトリでは、ボーンサウンディング(bone sounding)により口内で測定した組織深さを減算することにより、骨の頬側−舌側(buccal-lingual:BL)体積を求める。アナトミーを続けるならば、インプラント装着のために利用できる骨の体積の正確な反映を決定できる。X線写真からキャスト上への情報の移動(transpositioning)すなわち転位(translation)により、インプラントの近心側−遠心側(mesio-distal:MD)位置決めを行うことができる。
上記方法には幾つかの制限がある。ラボラトリ内でのMD位置決めは単なる見積りに過ぎず、モデルおよび口に移すまでは検証できるものではない。また、この方法は、外科医がモデル上でドリリングを実行できるに過ぎず、決定されたドリリング位置をモデルからインプラント部位に移動することすなわち正確にマッピングすることを補助するものではない。また、キャストモデルは、上記ドリリングの問題を解決するものではない。
下記特許文献2は、外科医が、モデル上で決定されたドリリング位置を口内のインプラント部位により正確に移すことを可能にするテンプレートに関するものである。この特許文献2には、インプラント部位の周りでモールド成形され、次にモデル上に置かれる歯のセットアップが開示されている。外科医は次に、セットアップを通してドリリングする。この孔を通してガイドポストが挿入され、ガイドポスト上にスリーブが挿入される。次に、モデルとレジンとの間に離型剤を付して、レジンが全部位上に置かれる。レジンが乾燥したならば、レジンは、除去されて、正確な位置をモデルからインプラント部位に移すためのテンプレートとして使用される。また、ガイドスリーブはX線写真マーカとして機能し、これにより、外科医は、口内の所定位置に置かれたテンプレートを用いてX線撮影することにより、骨内に形成すべき孔の位置およびトラジェクトリを決定できる。
特許文献2に開示の装置は、ドリル位置を比較的正確にモデルからインプラント部位に移すことができるが、モデルとインプラント部位との間の変化により依然として誤差が生じる。また、外科医はモデルを用いて位置を決定し、いつテンプレートおよびスリーブをインプラント部位で撮影するかを後で再考する。この場合には、テンプレートを最初から再び形成しなければならず、患者は余分の通院を課せられかつ長く待機される。
他の技術として、ツールおよび補助具を用いてドリルのトラジェクトリを決定し、次にトラジェクトリ情報をインプラント部位に移すものがある。このような技術の一例が、下記特許文献3に開示されている。外科医は、X線を用いて、骨内にインプラントを配置すべき位置を決定し、次にドリルビットの案内を補助するブシュを使用する。この特許文献3の発明者はまた、放射線不透過性グリッドを備えたX線ステントを創出している。いかなるドリルブシュも備えていないこのステントは、患者の口内にある間にX線照射される。次にステントは患者の顎のモデル上に置かれ、ここでグリッドは、モデルの顎に対するドリルビットの手による位置決めを補助する基準フレームを形成する。1つの孔がモデルにドリリングされ、得られた孔は、モデルに対してドリルブシュを整合させることを補助する。次に、ドリルブシュを捕捉するためのキャストがモデル上に形成される。次に、ドリルブシュを備えたキャストが患者の口内に置かれて、患者の顎骨内に孔をドリリングするドリルビットを案内することを補助する。特許文献3に開示のシステムでは、ドリルブシュが、患者の実際の顎に直接整合されるのではなく、モデルに整合されるものであるため、或る位置的精度が犠牲になる。
より近年になると、コンピュータおよび精巧な周辺イメージング装置により、インプラントシステムの位置決めが非常に精巧に行われるようになっている。口のX線イメージおよび視覚イメージを用いて、コンピュータ支援製図(CAD/CAM)のような詳細コンピュータモデルを構成できる。コンピュータは、技術者および外科医が、3次元空間内で多くの異なる位置およびトラジェクトリの実験が行えるようにする。コンピュータはまた、ユーザが、手術に種々の変数を入力して、ドリルのための正確なトラジェクトリを計算することを可能にする。また、ひとたびこの方法が構成されてトラジェクトリが計算されたならば、データを使用してドリル用の手術ガイドのプロトタイプを作ることができる。
かくして、コンピュータを上記多くの手術と組合せることによって、骨切り術およびインプラント手術の用意において、外科医および技術者に大きいフレキシビリティを与えることができる。これらのツールはまた、モデルからのデータをインプラント部位に正確に転位(translation)させることができる。しかしながら、このような装置は極めてコストが嵩むものである。また、精巧な装置は精巧な技術的熟練を必要とし、限定された技術的熟練しかもたない者が到達できる域を超えるものである。
インプラント骨切り術を行う他の方法は、直接、口内でドリルトラジェクトリを調節し直す方法を提供する。下記特許文献4には、ドリル位置を最初に設定した後に調節できる熱可塑性外科的テンプレートが開示されている。このテンプレートは、ベースおよびドリルガイドを有している。ドリルガイドの整合は、慣用方法を用いて決定される。或いは、テンプレートは、最初のドリル位置を設定しないで口内に固定することもできる。
特許文献4に開示のテンプレートは、テンプレートをモールディングできる状態まで加熱できるように熱特性が選択された熱可塑性プラスチックで作られる。熱可塑性プラスチックは、冷却されると硬化する。かくして外科医は、テンプレートを設置し、加熱し、特定ツールでドリルガイドを再調節し、次に、決定した位置でテンプレートを硬化させることができる。この方法は、通院回数および骨切り術の段階を最小にできる。外科医は、多数の段階または製造手順を経ることなく、随意にテンプレートを調節できる。
特許文献4に開示のテンプレートは、外科医が、モデリングと、インプラント部位へのデータの比較的正確な転位とを組合せることを可能にするが、このようなテンプレートおよび方法は再調節コントロールを欠いている。外科医は口内部位でテンプレートを再調節できるが、再調節量はフリーハンド整合までである。ひとたび熱可塑性プラスチックがモールディング可能な状態まで加熱されると、テンプレートは、全ての方向に自由に流動する。重要なことは、外科医が自由空間(これは、360°回転の3次元空間を意味する)内でドリルガイドを再位置決めしなければならないことである。また、支台および暫間クラウンは、大まかな再調節手術であるため、外科的ガイドが臨床的に満足できるものになった後に作られるに過ぎない。上記他の方法と同様に、特許文献4に開示の方法は、歯科キャストに対してコントロール可能で的確な位置決め方法を提供するものではない。
米国特許第7,086,860号明細書(Schuman等) 米国特許第5,556,278号明細書(Meitner) 米国特許第5,015,183号明細書(Fenick) 米国特許第7,097,451号明細書(Tang)
上記を斟酌すれば、既知のインプラント位置決めシステムおよび位置決め方法の上記および他の欠点を解消できる、歯科インプラントを整合させる方法および装置を提供することは有益であろう。必要とされるものは、歯科インプラントの骨切り術を正確かつ反復して遂行できかつインプラントのラボラトリ類似物(laboratory analog)を装着できる、所望のドリリングトラジェクトリをコントロール可能にかつ的確に決定しかつ調節する改善された方法および装置である。
要約すれば、本発明の一態様は、インプラント部位に対して歯科インプラントを位置決めするための外科的ガイドを用意する方法において、整合組立体を設ける段階を有し、該整合組立体は、インプラント部位の無歯領域に隣接する1本以上の歯に装着するように構成された装着部材と、該装着部材に連結されかつ無歯領域上に配置される寸法を有するベースと、該ベースに対して調節可能な転位部材と、該転位部材に対して調節可能な回転部材とを有し、該回転部材は、X線写真マーカまたはドリルを受入れるように構成された孔を備えており、X線写真マーカを回転部材に挿通する段階と、整合組立体を、歯科インプラントを配置すべき無歯領域に配置する段階と、X線写真マーカの近位側−遠位側(MD)回転整合を調節すると同時に、機械的に固定された頬側−舌側(BL)回転整合を保持する段階と、X線写真マーカのMD転位整合を調節すると同時に、機械的に固定されたBL回転整合を保持する段階とを更に有する、外科的ガイドを用意する方法に関する。
本発明の方法は更に、無歯領域のモデル上に整合組立体を配置する段階と、X線写真マーカのBL回転整合を調節すると同時に、機械的に固定されたMD回転整合を保持する段階と、X線写真マーカのBL転位整合を調節すると同時に、機械的に固定されたMD転位整合を保持する段階とを有している。本発明の方法は更に、X線写真マーカの代わりにガイド部材を挿入する段階と、整合組立体を用いて、インプラント部位のモデル上に、顎骨のドリリングをモデル化する段階と、インプラント部位に対するガイド部材の位置を評価する段階とを有している。本発明の方法は更に、整合組立体に基いて外科的ガイドを製造し、これにより整合組立体内のガイド部材を使用して口内でドリルを案内する段階と、インプラント部位に外科的ガイドを配置する段階とを有している。
装着部材は、無歯領域に対してベース部材を空間を隔てて設定する型押材料で形成できる。ベース部材および転位部材は、MD転位整合を調節すべく、転位部材がベース部材に対して長手方向に調節可能に転位できるように構成されている。
転位部材は増分的MDオフセットを有する1組の転位部材から選択され、MD転位整合は所望のMDオフセットを有する前記組のそれぞれ1つを選択することにより調節できる。前記転位部材の組は、前記組のそれぞれ1つを上下にひっくり返すことによりネガティブなMDオフセットが得られるように反転可能である。転位部材および回転部材は、BL転位整合を調節すべく、回転部材が転位部材に対して横方向に調節可能に転位できるように構成されている。
回転部材は、転位部材内で横方向に調節されるときに、回転できないように固定されている。回転部材は、増分的MD回転オフセットおよびBL回転オフセットを有する1組の回転部材から選択される。前記回転部材の組は、MD回転整合およびBL回転整合の一方を調節できるのに対し、MD回転整合およびBL回転整合の他方は保持できるMD角度およびBL角度を有している。前記回転部材の組は、0°、3°および7°のMD角度および0°、4°および10°のBL角度を有している。
外科的ガイド整合に基いて暫間クラウンを用意する段階を更に有している。ベースは金属で形成でき、転位部材および回転部材は射出成形プラスチックで形成できる。
本発明の他の態様は、歯科インプラント手術時にドリルビットを位置決めする外科的ガイド組立体において、無歯領域に隣接する1本以上の歯に装着するように構成された装着部材と、該装着部材に連結されかつ無歯領域上に配置される寸法を有するベースと、該ベースに対して調節可能な転位部材と、該転位部材に対して調節可能な回転部材とを有し、該回転部材は、X線写真マーカまたはドリルを受入れるように構成された孔を備えており、転位部材および回転部材は、前記孔内に挿入されたX線写真マーカの近位側−遠位側(MD)回転整合および頬側−舌側(BL)回転整合の一方を調節すると同時に、機械的に固定されたをMD回転整合およびBL回転整合の他方を保持するように構成され、転位部材および回転部材は、X線写真マーカのMD転位整合およびBL転位整合の他方を調節すると同時に、機械的に固定されたをMD転位整合およびBL転位整合の前記一方を保持するように構成されている、外科的ガイド組立体に関する。
ベース、転位部材および回転部材は、X線写真マーカのMD転位整合およびBL転位整合の一方を調節すると同時に、機械的に固定されたをMD回転整合およびBL回転整合の他方を保持するように構成され、かつX線写真マーカのMD転位整合およびBL転位整合の他方を調節すると同時に、機械的に固定されたをMD転位整合およびBL転位整合の前記一方を保持するように構成されている。
装着部材は、無歯領域に対してベース部材を空間を隔てて設定する型押材料で形成できる。ベース部材および転位部材は、MD転位整合を調節すべく、転位部材がベース部材に対して長手方向に調節可能に転位できるように構成されている。
転位部材は増分的MDオフセットを有する1組の転位部材から選択され、MD転位整合は所望のMDオフセットを有する前記組のそれぞれ1つを選択することにより調節できる。前記転位部材の組は、前記組のそれぞれ1つを上下にひっくり返すことによりネガティブなMDオフセットが得られるように反転可能である。転位部材および回転部材は、BL転位整合を調節すべく、回転部材が転位部材に対して横方向に調節可能に転位できるように構成されている。
回転部材は、増分的MD回転オフセットおよびBL回転オフセットを有する1組の回転部材から選択できる。前記回転部材の組は、MD回転整合およびBL回転整合の一方を調節できるのに対し、MD回転整合およびBL回転整合の他方は保持できるMD角度およびBL角度を有している。前記回転部材の組は、0°、3°および7°のMD角度および0°、4°および10°のBL角度を有している。前記転位部材の組は、前記組のそれぞれ1つを上下にひっくり返すことによりネガティブなMD角度および/またはBL角度が得られるように反転可能である。
ベースは金属で形成でき、転位部材および回転部材は射出成形プラスチックで形成できる。
本発明の整合方法およびガイドは他の特徴および長所を有し、これらの特徴および長所は、添付図面においてより詳細に説明されており、より明白になるであろう。添付図面は、本明細書に組込まれておりかつ本明細書および下記の発明の詳細な説明の一部を形成し、本明細書とともに本発明の原理を説明する役割を有するものである。
本発明による歯科インプラント部位のモデルに装着された整合組立体の斜視図であり、1つの装着部材を示すものである。 本発明による歯科インプラント部位のモデルに装着された整合組立体の斜視図であり、他の装着部材を示すものである。 患者の歯に取付けられた図1Aおよび図1Bの整合組立体を示す側面図である。 図1Aおよび図1Bの整合組立体の一部を示す拡大斜視図である。 図3の整合組立体を示す分解図である。 図1Aおよび図1Bの整合組立体と組合せて使用される1組の転位部材内の図1Aおよび図1Bの整合組立体の転位部材を示す拡大斜視図である。 図1Aおよび図1Bの整合組立体の回転部材の斜視図である。 図1Aおよび図1Bの整合組立体と組合せて使用される1組の回転部材を示す平面図である。 図1Aおよび図1Bの整合組立体の一部の斜視図であり、別々の調節の1つを示すものである。 図1Aおよび図1Bの整合組立体の一部の斜視図であり、別々の調節の1つを示すものである。 図1Aおよび図1Bの整合組立体の一部の斜視図であり、別々の調節の1つを示すものである。 図1Aおよび図1Bの整合組立体の一部の斜視図であり、別々の調節の1つを示すものである。 図1Aおよび図1Bの整合組立体の一部の斜視図であり、別々の調節の1つを示すものである。 図1Aおよび図1Bのモデルに対して位置決めされた図3の整合組立体の一部を示す断面図である。 本発明による他の整合組立体を示す、図3と同様な斜視図である。 図9の整合組立体を示す断面図である。
以下、添付図面に示す種々の実施形態の例を詳細に説明する。本発明は例示の実施形態に関連して説明するが、本発明はこれらの例示実施形態に限定されるものではないことを理解すべきである。一方、本発明は例示実施形態のみをカバーするものではなく、特許請求の範囲の記載により定められた本発明の精神および範囲内に包含される種々の変更形態、均等物および他の実施形態をもカバーするものである。
本発明の目的から、インプラント部位は、歯科プロテーゼを装着すべき無歯領域の周囲の領域、または置換すべき歯が残存しているけれども、この試作がなされる時点で無歯領域となる領域の周囲の領域であると定義される。また、インプラント部位には、隣接する歯肉組織および下に横たわる顎骨も含まれる。無歯領域は、インプラントアバットメント(インプラント−歯肉接触部)が存在する位置より上に位置する。義歯は、最終的には無歯領域内に存在しかつ無歯領域を占有する。
本発明によれば、整合テンプレートは、患者の口内に配置されて、必要なドリルトラジェクトリをコントロール可能かつ定量可能に調節する案内を行う。例えば、本発明は、所望のドリルトラジェクトリを確立するドリルガイドのコントロール可能かつ定量可能な近位側−遠位側整合および頬側−舌側整合が可能である。明瞭化の目的から、近位側−遠位側(MD)方向とは、口の前方から後方に向かう方向であり、頬側−舌側(BL)方向とは、頬から舌に向かう方向である。
ここで図面(全図面において、同じコンポーネンツは同じ参照番号で示されている)を参照すると、図1および図2には、本発明による例示の整合組立体の全体が参照番号30で示されている。図2には、患者の口33内の無歯領域32上に置かれた整合組立体が示されており、一方図1には、患者の上顎37のキャストモデル35の対応無歯領域上に置かれた整合組立体が示されている。整合組立体は、概略的に、装着部材39と、ベース部材40と、転位部材42と、回転部材44と、X線写真インプラントレプリカ(radiographic implant replica:RIR)46と、任意のドリルガイド(図8参照)とを有している。装着部材39を除去した整合組立体30の拡大図が図3に示され、かつ該整合組立体30の分解図が図4に示されている。
装着部材は、患者の歯列弓49の少なくとも一部に取付けられる大部分が慣用的な特注モールド成形テンプレートの形態に構成できる。装着部材は、比較的慣用的な方法で歯列弓の少なくとも一部の形状にぴったり一致する一体成形部材であるのが好ましい。例えば装着部材39は、図1および図2に仮想線で示すように、患者の全歯列弓に一致する特注モールド成形プラスチックテンプレート51で構成できる。或いは、テンプレートは、無歯領域の両側の1本以上の歯に沿って配置されるように構成できる。いずれの場合も、プラスチックテンプレートは、無歯領域32に隣接する1本以上の歯を解放可能に固定できるように固定される。装着部材は、無歯領域の両側の少なくとも1本の歯と係合するように構成するのが好ましく、充分な数の歯と係合して、装着部材が患者の歯または該歯のキャストモデルに装着されるときに安定したプラットホームを構成するのがより好ましい。後で明白になるであろうが、装着部材には、無歯領域へのアクセスを行うための孔をドリルによりまたは他の方法で形成できることは理解されよう。
ベース部材40は比較的剛性の大きい部材であり、装着部材に固定されかつ無歯領域を架橋できる寸法を有している。ベース部材に適した材料として、金属、合金、熱可塑性プラスチックおよび他の比較的剛性の大きい材料がある。剛性部材は、装着部材39に設定されるのが好ましい。例えば、特注モールド成形プラスチックテンプレート51は、ベース部材の回りで現場で形成できる。さもなくば、ベース部材は、慣用手段により装着部材に接着するか、固定できる。ベース部材を装着部材に固定する方法の如何にかかわらず、ベース部材は、該ベース部材が患者の歯並びに該歯のモデルに対して安定したプラットホームを形成するように、装着部材に固定的に取付けられる。或いは装着部材は、信号成形シートで作るか、剛性咬合位置決め材料(rigid bite registration material)で形成するか、他の適当な手段で形成できる。
一実施形態では、装着部材は、剛性咬合位置決め材料または型押材料で形成される。この実施形態では、ベース部材40は、最初の所望位置において、無歯領域32上で目視により手作業で位置決めされる。BLU−MOUSSE(登録商標:Parkell, Inc.社)のような適当な材料が隣接歯上でおよびベース部材の回りで射出成形される。適用時に、BLU−MOUSSE(登録商標)材料は、そのムース状粘稠度により、隣接歯並びにベース部材を包囲しかつこれらの形状に一致できる。ひとたび適用されると、材料は、隣接歯53および無歯領域32に対してベース部材を丈夫に位置決めする比較的剛性の大きい部材を形成するプラスタのような硬度に硬化する。
図3および図4を参照すると、ベース部材40は、無歯領域32を架橋する寸法および形状を有する中央リム54と、該中央リム54から延びている直径方向対向脚56とを有している。ベース部材40は、該ベース部材が無歯領域およびこれに隣接する歯の少なくとも一部を横切って延びるように、3本の一般的な歯の長さに少なくともほぼ等しい長さを有している。無歯領域が2本以上の喪失歯により形成されかつこの無歯領域内に互いに隣接する複数のインプラントを配置すべき場合には、より長い脚または付加構造が設けられることは理解されよう。また、無歯領域を横切って延びかつ隣接歯にオーバーラップするのに必要な実際の距離により正確に一致するように、装着部材を調節可能組立体として構成できることも理解されよう。更に、ベース部材は、該ベース部材が、転位部材したがって回転部材を装着部材に丈夫に固定する充分な構造的剛性をもつフレーム構造またはベース構造を形成する限り、種々の形状にできることも理解されよう。
図3および図4を参照すると、転位部材42はベース部材40に装着される。例示実施形態では、転位部材42は、ベース部材40の係合孔58に一致する突出部によりベース部材40に固定される。転位部材42は、舌−溝構造、鳩尾構造、ピン、接着剤および他の適当な固定手段によりベース部材に取付けられることは理解されよう。
例示実施形態では、転位部材42は、回転部材44のBL方向移動を可能にすべく、回転部材44を摺動可能に受入れるU形部材である。例示実施形態では、転位部材42はU形内に溝60を有し、該溝60は、回転部材44の対応舌61を受け入れる寸法および形状を有している。回転部材44は、該回転部材が特定位置に設定されるように、転位部材42に対してBL方向に調節できる。転位部材42に対して回転部材44を取付けかつ回転部材44の位置を設定するのに、例えばスチフネスを有するポリビニルシロキサン(polyvinyle siloxane:PVS)を使用できる。回転部材の位置決めについては、より詳細に後述する。
図5に示すように、回転部材44のMD方向の調節を容易にするため、1組の転位部材を設けることができる。例えば、転位部材42の溝60は該転位部材の全体的形状に対して実質的に対称的であり、これにより回転部材44はベース部材40に対してセンタリングされる。転位部材42'の溝60'は、該転位部材42'の全体的形状に対してMD方向にオフセットされている(MDO)溝60''は更にオフセットされ、溝60'''はこれより更にオフセットされている。例示実施形態では、転位部材は、0mm、0.5mm、1.0mmおよび1.5mmのMDオフセット位置を有し、無歯領域の前部に対してRIRを増分的に調節する。したがって、外科医は、回転部材44したがってRIR46を、所望通りに増分的にオフセットさせることができる。転位部材を後退させることにより、外科医は、利用可能なMD位置を、無歯領域の後方に向けて増分的に調節し、−0.5mm、−1.0mmおよび−1.5mmのMDオフセットを有効に得ることができ、したがって調節可能範囲を倍化でき、3.0mmの全体的調節範囲を得ることができる。増分的オフセットを変えることにより、MD転位の調節可能範囲を増減できることは理解されよう。
ベース部材に対する転位フレームの位置を調節するのに、他の手段を使用することもできる。例えば、転位部材および/またはベース部材、MD方向の調節を可能にする割出し孔を設けることもできる。割出し孔は、既知の別々の位置に等間隔に配置される。
ここで回転部材44を参照すると、回転部材44は、図4に示すように、上端部から下端部まで延びているボア63を有している。ボア63は、プロテーゼ試作時および/またはラボラトリプロセシング時にX線写真インプラントレプリカ(すなわちRIR)46を受入れることができる寸法および形状を有している。RIRは、ボア内で摩擦係合するように構成するか、さもなくばデテントまたは他の適当な係合手段を用いて増分的に固定するように構成できる。RIRは、CTスキャンまたはX線においてX線写真マーカとして機能する。インプラントレプリカのトラジェクトリを骨領域内に延長することにより、外科医は、隣接歯53に対するボア63のMD関係を試作できる。RIRは、金属のような放射線不透過性材料で作るのが好ましい。任意であるが、X線チューブをインプラント部位に垂直に位置決めする補助をなすべく、RIRと一体の照準ロッドを設けることができる。
ボア63はまた、骨切り術時にドリルビット65を受入れることができるように構成されている(図8参照)。ドリルビットがボアの壁を破壊することを防止するため、ドリルガイド47をボアに挿入して、ドリルビットのトラジェクトリを正確に設定できる。ドリルガイド47は、金属のような比較的硬質で強い材料で形成し、ドリルビットを案内するように構成するのが好ましい。射出成形プラスチック等(但しこれに限定されない)を含む他の適当な材料を使用できることは理解されよう。
図6を参照すると、RIRしたがってドリルビットの角度調節を可能にする1組の回転部材44を設けることができる。回転部材44は、MD方向およびBL方向の両方向の長手方向軸線とは異なる角度を有するボアを有している。例示実施形態では、MD平面内で0°、3°または7°の角度でトラジェクトリ調節を可能にし、かつBL平面内で0°、4°および10°の角度でトラジェクトリ調節を可能にする1組の回転部材が設けられる。本願の目的から、MD平面とは、MD方向(前後方向)に延びている垂直平面をいい、一方、BL平面とは、BL方向(頬−舌方向)に延びている垂直平面をいう。また、上記転位部材44と同様に、回転部材44は、転位部材から回転部材を取外し、回転部材をひっくり返し、回転部材を転位部材に戻すことにより、反対方向の角度に反転できる。したがって、回転部材の例示設定では、MD平面内で利用できる回転角は−7°、−3°、0°および7°であり、一方、BL平面内で利用できる回転角は−10°、−4°、0°、4°および10°である。角度調節可能範囲を増減させるため、増分的オフセットの数を変えることができることは理解されよう。
例示実施形態では、転位部材および回転部材は射出成形プラスチックで作られている。これらの部材は、金属および合金のような他の適当な材料で形成できることは理解されよう。また、転位部材および回転部材は、カラーコーディングまたは他の適当な印67のようなマークを付して、増分的転位および増分的角度を容易に識別しかつ混乱を避け得るように構成できる。例えば図6Bに示すように、1組の回転ブロックには、それぞれ0°、3°および7°のMD角度を識別できるように、緑、黄および赤(図面には、それぞれ、文字「G」、「Y」および「R」で示されている)を着色し、かつそれぞれ0°、4°および10°のBL角度を識別できるように、1つ、2つおよび3つの表示ドット(図面には、それぞれ参照番号67、67'、''で示されている)を付しておくことができる。
次に、インプラント支台およびプロテーゼの位置決め方法について説明する。好ましくは、所望トラジェクトリの角度および転位は、最初にMD平面内、すなわちMD(すなわち前後方向)に延びている実質的に垂直な平面(例えば、図3中のMD軸線とV軸線との公差により形成される平面)内で決定される。MD平面内の角度および転位は、整合組立体が患者の歯列弓に取付けられる間に、外科医、歯科医またはラボラトリ技術者により臨床的に決定すなわち設定される。このような角度および転位は、X線写真により確認される。次に、BL平面内すなわちBL(すなわち頬−舌)方向に延びている実質的に垂直な平面内の所望トラジェクトリの角度および転位が決定される。しかしながら、MD平面とはことなり、BL角度および転位は、患者の歯列弓のキャストモデルを用いて求めるのが好ましい。また、BL設定はMD設定の前に決定されることは理解されよう。しかしながら、患者の最初の通院時のMD設定を決定することは、患者および外科医の両者にとって能率的な利益が得られる。
インプラントの所望高さは、MD設定およびBL設定後に決定するのが好ましい。特に、骨稜(osseous crest)に対するインプラントプラットホームの垂直位置は、一般に、MDおよびBLの転位および回転が設定された後に決定される。
歯科インプラントを装着する外科的ガイドを用意する方法は、歯科インプラントを装着する部位のモデル35を用意することから出発する。このモデルは、慣用方法により作られる。例えばACCU−TRA(登録商標)モデルベース(Coltene/Whaledent Inc.社)、ピンデキストキャスト(pindexed cast)または他の適当な3次元モデルを作ることができる。ひとたびモデルが用意されたならば、軟組織の深さ測定が行われかつモデルに転位され、これに応じてこのモデルは整復されかつマークされる。
同時に、患者の歯列弓の特注モールド成形テンプレート51が用意され、ベース部材40がこれに取付けられる。上述のように、特注モールド成形テンプレートはベース部材の回りで現場で形成されるか、ベース部材は適当な方法でテンプレートに取付けることができる。
患者の最初の通院時に、整合組立体30も図1に示すように用意される。これにより、RIR46は中立位置、すなわち、RIRのトラジェクトリが無歯領域に実質的に垂直になる位置、またはトラジェクトリが、口腔外科医、歯科医または歯科技術者により決定された最初の所望トラジェクトリとなる位置に配置される。例えば、ゼロオフセット転位部材42がベース部材40上に取付けられ、0°MD/0°BL回転部材44が転位部材内に挿入され、かつRIR46が回転部材内に挿入される。次に、装着部材39が少なくとも無歯領域に隣り合う歯と係合して、特注モールド成形テンプレート51を所定位置に確実に保持し、これによりトラジェクトリを調節する安定プラットホームを形成するように、中立位置整合組立体が、患者の歯列弓モデル35の無歯領域32上に取付けられる。
ひとたび整合組立体30が用意されかつ最初の所望トラジェクトリが設定されたならば、外科医または歯科技術者は、インプラント部位を調査しかつ最初の所望トラジェクトリを決定する(図7A)。X線写真によりRIRトラジェクトリが試作され、転位調節および回転調節をメモしておくことができる。例示実施形態では、ユーザは、最初に、ゼロオフセット転位部材42を取外しかつこの代わりに適当な転位部材、例えば0.5mmオフセットした転位部材で置換することにより、RIRのMD転位を調節する。このオフセットが充分でない場合には、ユーザは、0.5mmオフセット転位部材を取外して、1.0mmオフセット転位部材に置換することによりRIRの転位を更に調節し、もしも1.5mmオフセット転位部材が必要であれば、再度反復する(例えば、図7Bの転位部材42'''参照)。次にユーザは、0°MD/0°BL回転部材44を取外しかつこれを適当な回転部材、例えば3°MD/0°BL回転部材に置換することにより、MD平面内のRIR46の回転整合を調節する。3°の調節では不充分であることが明らかな場合には、ユーザは、回転部材を取外し、これを7°MD/0°BL回転部材に置換する(例えば、図7Cの回転部材44'参照)。或いは、転位は、回転調節の前および/または回転調節の間(またはこの逆)に1回以上調節する。このようにして、ユーザは、任意の時点でRIRを単一方向に回転しまたは転位して、MD平面内のRIRのコントロールされた定量的な調節を行うことができる。
ひとたびMD転位およびMD回転が設定されると、整合組立体が患者の歯に取付けられ、ユーザは、所定位置にあるRIRのX線写真を撮り、MD転位およびMD回転が適当であることを確認する。次にユーザは、MD方向を更に調節すべきであるか否かを評価し、その必要がある場合には、上記プロセスの1つ以上の段階を反復する。
MD方向を確認した後、BL転位およびBL回転を設定すべく、整合組立体30をモデル35上に装着される。上述のように、軟組織の深さ測定が横方向カットモデルに移され、該モデルは、整復および/またはマークされて、下に横たわる顎骨の凡その深さおよび方向を図で示す。顎骨の凡その位置を決定するのに、CTスキャン(但しこれに限定されない)の使用を含む他の適当な手段を利用できることは理解されよう。
無歯領域の下に横たわる顎骨の全体的位置および断面を知ることができたならば、ユーザは、次に、RIRとモデル化された顎骨とを実質的に整合させるのに必要とされるBL回転を調節する。例えば臨床医は、7°MD/0°BD回転部材を取外し、この代わりに適当な回転部材(例えば7°MD/4°BD回転部材)を用いることにより、RIRのBL角度を調節できる。かくして、BL回転の調節選択は、正しいMD補正であると臨床的に決定された別のMD調節とは独立して行なうのが好ましい。この点に関し、回転部材の「サブセット」は、色および/または他の適当な印により適当に識別される。例えば、外科医は、例示の7°MDサブセットを赤色(図6Bでは文字「R」で示されている)により迅速に識別できるであろう。回転が充分でない場合には、ユーザは、回転部材44'を取外しかつこれを7°MD/10°BD回転部材(例えば図7Dの回転部材44''参照)に置換することにより、RIRのBL回転を更に調節できる。次にユーザは、転位部材に対して回転部材を摺動させることによりBL転位を調節できる(図7E参照)。ひとたびBL転位が充分になると、ユーザは、接着剤または適当なファスナにより回転部材を転位部材に固定できる。外科医は、回転部材が、デテント68または他の適当な手段により転位部材内で割出されることは理解されよう(図7E参照)。
いずれにせよ、BL転位は、BL回転の調節前および/またはBL回転の調節と調節との間(またはこの逆)に1回以上調節できる。このように、ユーザは、任意の一時点で、RIRをBL平面内で単一方向に回転または転位させることができ、これにより、BL平面内でRIRのコントロールされた定量的な調節を行うことができる。
明瞭化の目的から、図7A−図7Eには、それぞれの転位および回転が、ベース部材、転位部材および回転部材のみについて示されている。外科医は、このような調節は、ベース部材が特注モールド成形テンプレート51を介して患者の歯列弓またはキャストモデルに確実に取付けられる間に、行われることを理解できるであろう。
RIRは回転ブロック44から取外して、ドリルガイド47に置換できる。外科医ならば、ドリルガイドは、ドリル深さを慣用態様で設定するように構成されることは理解されよう。整合組立体は次に、図8に示すようなキャストモデルでモデル化される。次に、整合組立体のスリーブがあたかも患者の口内にあるかのように、ドリリング手順が、ボアを通してドリリングすることによりキャストモデル上にモデル化される。孔がモデルの顎骨70内にドリリングされた後、ユーザは、整合組立体の位置を評価できる。
孔が適当な位置にあることが決定されたならば、次の段階は、患者の口に移動することである。今や、整合組立体は、回転および転位の両方において、MD方向およびBD方向に適当に整合されたので、ドリルガイドが所定位置にある整合組立体を外科的ガイドとして使用できる。
次に、整合組立体または外科的ガイドが患者の口内に取付けられる。次にテンプレートが、モデルと同じ態様および位置で隣接歯上に置かれる。外科医は、整合組立体の部位およびトラジェクトリを調査する最終的評価を行うことができる。或いは、外科医は、ドリルガイドをRIRに置換して、再びX線写真を撮ることができる。
慣用方法と比較して、整合組立体により決定されるインプラント位置は、非常に容易にかつフレキシブルに再調節できる。整合を再調節するのに、外科医は、転位部材および/または回転部材を置換して、上記のような新しい整合を選択するだけでよい。この整合プロセスは、患者が椅子に座って待機している間に全て行なうことができる。
整合が正しいことおよびドリルガイド47が所定位置にあることを外科医がひとたび確認したならば、外科医は、テンプレートに損傷を与えることなく、ドリルガイドを通してドリルビットを配置できる。固定されたMD方向およびBL方向に基いて、整合組立体は、ドリルビットを所望の正確な位置で顎骨内に案内する。
孔がドリリングされた後、支台クラウンおよび暫間クラウンは、異なる慣用的態様で移植できる。所望ならば、支台組立体内で案内するのに、更にドリルガイドを使用できる。
他の実施形態では、整合組立体に、ベースに固定される種々の割出し形位置決め機構が設けられる。位置決め機構には、RIRを1自由度で増分的に転位または回転させると同時に他の自由度で堅固に保持するためのトラック、リンケージ等を設けることができる。このような機構は、ユーザがコントロール可能にかつ定量的に、RIRを増分的に調節し、これにより最終的に所望のトラジェクトリに沿ってドリルガイドを整合させることを可能にする。
例えば、図9および図10には他の整合組立体30aが示されており、この整合組立体30aは、上記整合組立体と同様であるが、変更された回転ブロック組立体を有している。整合組立体30および整合組立体30aの同じコンポーネンツには同じ参照番号が使用されている。この実施形態では、転位部材42aは2組の溝60aを有し、これらの溝60aは、互いにかつ転位部材に対して独立的に調節できる2つの回転部材44a、44a'を受入れる。この例示実施形態では、回転部材は、比較的浅いボア63a(図10参照)を形成する内側キャビティ72を有している。好ましくは、この浅いボア63aRIRおよび/または浅いボア内にRIRを保持すべく設けられたゴム引き表面のような他の適当な手段と摩擦的に係合できる寸法を有する。このような構成は、回転部材が調節可能な態様でRIR46aを受入れることを可能にする。例えば、RIRは、上方の回転部材44aを一方向(例えば、図10の左方)に移動させおよび/または下方の回転部材44a'を他方向(例えば、図10の右方)に移動させることにより、BL平面内で回転される。同様に、RIRは、上下の回転部材を同方向に移動させることにより、BL平面内で転位される。
整合組立体30aは、作動時および使用時に、前述の整合組立体30と実質的に同様に使用される。回転部材44a、44a'はBL回転の殆ど無限の調節が可能であるため、必要とされる回転部材のサブセットは1つのみでよい。この実施形態では、MD角度の調節を行うため、MD角度調節の1つ以上のサブセット(例えば緑「G」、黄「Y」および赤「R」のサブセット。図6B参照)を設けることができる。このように、MD回転調節およびMD転位調節は、前述と同様に行うことができる。しかしながら、1つの回転部材を他の回転部材に置換する代わりに、転位部材42に対して回転部材44a、44a'を移動させることによりBL回転調節およびBL転位調節を行うことができる。
本発明の方法および外科的ガイドは、慣用技術に比べて多くの長所を有している。本発明の外科的ガイドは、ドリルトラジェクトリの増分的で、正確で、定量的で、反復可能な調節を行うことができる比較的簡単な設計の整合組立体を提供する。各整合方向が増分的な個々の段階で設定されるため、上記整合方法は、慣用方法に比べてより高いコントロール可能性および反復性が得られる。位置データはキャストモデルに最初に設定されかつ各段階で直接転位される。プロセスの各段階で、整合は更に精度が高められる。最も有利なことは、MD整合、MD回転、BL整合およびBL回転の調節が独立的に行われることであり、これにより他方を調節する間にいずれかが不意に変化してしまうことが防止される。
割出された位置または固定位置を有する回転部材を使用することにより、定量的な位置情報が得られる。かくして、ユーザは、いつでも最終位置を知ることができ、かつ所望の位置に戻すことができる。また、これにより、ユーザは別々の増分で移動させることが可能になる。ガイドを自由空間内で個々の時点で常時整合させるのではなく、上記装置および方法は、ユーザが微調節により小さい段階で移動させることを可能にする。整合が修正される度毎に、ユーザに強制的に初めからやり直させるのではなく、本発明による整合組立体は、ユーザが、所望方向のみの整合を調節し、他の全ての方向の整合は固定したままに保持することを可能にする。
本発明による方法は、劣ったコントロールをもたらす偶然的移動ではなく、慎重な調節を行うことができる。ユーザが、−3°から3°までの回転を調節したい場合には、ユーザは、回転部材を取外して、これをひっくり返すだけでよい。これに対し、慣用方法では、ユーザは、ガイドを視覚で、見積もった−3°まで入念に回転させて、ガイドが正しく−3°に位置決めされたと見込まなくてはならず、このプロセスでは他のいかなる方向にも更に移動させてはならない。
既知の整合位置または割出しデータを有する部品を使用すれば、ユーザに、整合に関する正確な位置およびフィードバックを提供できる。外科医が回転部材をMD方向において横方向に移動させるならば、外科医は、回転部材の移動量および無歯領域に対する新しい位置を正確に知ることができる。
また、本発明の装置および方法は、インプラント部位への位置決め情報の正確な転位またはマッピングを行うことができる。外科的ガイドの最終的整合は、所望通りの正確な位置にある。インプラント、支台および暫間クラウンは、患者の第二回目の通院時に確実に装着される。複雑な器具は一層省略できる。正確なプランニングであるため、全てのインプラントおよびコンポーネンツを予注文でき、在庫を抱えておく必要はない。
説明上の便宜および特許請求の範囲の記載の正確な定義のため、用語「上」または「上方」、「下」または「下方」、「内側」および「外側」は、図面に示された本発明の特徴の位置に関する特徴を示すものとして使用される。
本発明の特定の例示実施形態の上記説明は、図示および説明を目的として行われたものである。上記説明は、本発明をここに開示した正確な形態に限定するものではなく、上記教示から多くの変更をなし得ることは明白である。例示の実施形態は本発明の或る原理およびこの原理の実際的な用途を説明するために選択されたものであり、このため、当業者ならば、本発明の種々の例示実施形態およびこれらの実施形態の種々の変更形態を製造しかつ使用することができるであろう。本発明の範囲は、本願の特許請求の範囲の記載およびその均等物により定められるものである。
30 整合組立体
32 無歯領域
35 上顎のキャストモデル
39 装着部材
40 ベース部材
42 転位部材
44 回転部材(回転ブロック)
46 RIR
51 特注モールド成形プラスチックテンプレート

Claims (31)

  1. インプラント部位に対して歯科インプラントを位置決めするための外科的ガイドを用意する方法において、
    整合組立体を設ける段階を有し、該整合組立体は、
    インプラント部位の無歯領域に隣接する1本以上の歯に装着するように構成された装着部材と、
    該装着部材に連結されかつ無歯領域上に配置される寸法を有するベースと、
    該ベースに対して調節可能な転位部材と、
    該転位部材に対して調節可能な回転部材とを有し、該回転部材は、X線写真マーカまたはドリルを受入れるように構成された孔を備えており、
    X線写真マーカを回転部材に挿通する段階と、
    整合組立体を、歯科インプラントを配置すべき無歯領域に配置する段階と、
    X線写真マーカの近位側−遠位側(MD)回転整合を調節すると同時に、機械的に固定された頬側−舌側(BL)回転整合を保持する段階と、
    X線写真マーカのMD転位整合を調節すると同時に、機械的に固定されたBL回転整合を保持する段階とを更に有することを特徴とする外科的ガイドを用意する方法。
  2. 無歯領域のモデル上に整合組立体を配置する段階と、
    X線写真マーカのBL回転整合を調節すると同時に、機械的に固定されたMD回転整合を保持する段階と、
    X線写真マーカのBL転位整合を調節すると同時に、機械的に固定されたMD転位整合を保持する段階とを更に有することを特徴とする請求項1記載の外科的ガイドを用意する方法。
  3. X線写真マーカの代わりにガイド部材を挿入する段階と、
    整合組立体を用いて、インプラント部位のモデル上に、顎骨のドリリングをモデル化する段階と、
    インプラント部位に対するガイド部材の位置を評価する段階とを更に有することを特徴とする請求項1記載の外科的ガイドを用意する方法。
  4. 整合組立体に基いて外科的ガイドを製造し、これにより整合組立体内のガイド部材を使用して口内でドリルを案内する段階と、
    インプラント部位に外科的ガイドを配置する段階とを更に有することを特徴とする請求項2記載の外科的ガイドを用意する方法。
  5. 装着部材は、無歯領域に対してベース部材を空間を隔てて設定する型押材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の外科的ガイドを用意する方法。
  6. ベース部材および転位部材は、MD転位整合を調節すべく、転位部材がベース部材に対して長手方向に調節可能に転位できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の外科的ガイドを用意する方法。
  7. 転位部材は増分的MDオフセットを有する1組の転位部材から選択され、MD転位整合は所望のMDオフセットを有する前記組のそれぞれ1つを選択することにより調節されることを特徴とする請求項1記載の外科的ガイドを用意する方法。
  8. 前記転位部材の組は、前記組のそれぞれ1つを上下にひっくり返すことによりネガティブなMDオフセットが得られるように反転可能であることを特徴とする請求項7記載の外科的ガイドを用意する方法。
  9. 転位部材および回転部材は、BL転位整合を調節すべく、回転部材が転位部材に対して横方向に調節可能に転位できるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の外科的ガイドを用意する方法。
  10. 回転部材は、転位部材内で横方向に調節されるときに、回転できないように固定されていることを特徴とする請求項9記載の外科的ガイドを用意する方法。
  11. 回転部材は、増分的MD回転オフセットおよびBL回転オフセットを有する1組の回転部材から選択されることを特徴とする請求項9記載の外科的ガイドを用意する方法。
  12. 前記回転部材の組は、MD回転整合およびBL回転整合の一方を調節できるのに対し、MD回転整合およびBL回転整合の他方は保持できるMD角度およびBL角度を有していることを特徴とする請求項11記載の外科的ガイドを用意する方法。
  13. 前記回転部材の組は、0°、3°および7°のMD角度および0°、4°および10°のBL角度を有していることを特徴とする請求項12記載の外科的ガイドを用意する方法。
  14. 外科的ガイド整合に基いて暫間クラウンを用意する段階を更に有することを特徴とする請求項1記載の外科的ガイドを用意する方法。
  15. ベースは金属であることを特徴とする請求項1記載の外科的ガイドを用意する方法。
  16. 転位部材は射出成形プラスチックであることを特徴とする請求項1記載の外科的ガイドを用意する方法。
  17. 回転部材は射出成形プラスチックであることを特徴とする請求項1記載の外科的ガイドを用意する方法。
  18. 歯科インプラント手術時にドリルビットを位置決めする外科的ガイド組立体において、
    無歯領域に隣接する1本以上の歯に装着するように構成された装着部材と、
    該装着部材に連結されかつ無歯領域上に配置される寸法を有するベースと、
    該ベースに対して調節可能な転位部材と、
    該転位部材に対して調節可能な回転部材とを有し、該回転部材は、X線写真マーカまたはドリルを受入れるように構成された孔を備えており、
    転位部材および回転部材は、前記孔内に挿入されたX線写真マーカの近位側−遠位側(MD)回転整合および頬側−舌側(BL)回転整合の一方を調節すると同時に、機械的に固定されたをMD回転整合およびBL回転整合の他方を保持するように構成され、
    転位部材および回転部材は、X線写真マーカのMD転位整合およびBL転位整合の他方を調節すると同時に、機械的に固定されたをMD転位整合およびBL転位整合の前記一方を保持するように構成されていることを特徴とする外科的ガイド組立体。
  19. ベース、転位部材および回転部材は、X線写真マーカのMD転位整合およびBL転位整合の一方を調節すると同時に、機械的に固定されたをMD回転整合およびBL回転整合の他方を保持するように構成され、かつX線写真マーカのMD転位整合およびBL転位整合の他方を調節すると同時に、機械的に固定されたをMD転位整合およびBL転位整合の前記一方を保持するように構成されていることを特徴とする請求項18記載の外科的ガイド組立体。
  20. 装着部材は、無歯領域に対してベース部材を空間を隔てて設定する型押材料で形成されていることを特徴とする請求項18記載の外科的ガイド組立体。
  21. ベース部材および転位部材は、MD転位整合を調節すべく、転位部材がベース部材に対して長手方向に調節可能に転位できるように構成されていることを特徴とする請求項18記載の外科的ガイド組立体。
  22. 転位部材は増分的MDオフセットを有する1組の転位部材から選択され、MD転位整合は所望のMDオフセットを有する前記組のそれぞれ1つを選択することにより調節されることを特徴とする請求項18記載の外科的ガイド。
  23. 前記転位部材の組は、前記組のそれぞれ1つを上下にひっくり返すことによりネガティブなMDオフセットが得られるように反転可能であることを特徴とする請求項22記載の外科的ガイド。
  24. 転位部材および回転部材は、BL転位整合を調節すべく、回転部材が転位部材に対して横方向に調節可能に転位できるように構成されていることを特徴とする請求項18記載の外科的ガイド。
  25. 回転部材は、増分的MD回転オフセットおよびBL回転オフセットを有する1組の回転部材から選択されることを特徴とする請求項18記載の外科的ガイド。
  26. 前記回転部材の組は、MD回転整合およびBL回転整合の一方を調節できるのに対し、MD回転整合およびBL回転整合の他方は保持できるMD角度およびBL角度を有していることを特徴とする請求項18記載の外科的ガイド。
  27. 前記回転部材の組は、0°、3°および7°のMD角度および0°、4°および10°のBL角度を有していることを特徴とする請求項26記載の外科的ガイド。
  28. 前記転位部材の組は、前記組のそれぞれ1つを上下にひっくり返すことによりネガティブなMD角度および/またはBL角度が得られるように反転可能であることを特徴とする請求項27記載の外科的ガイド。
  29. ベースは金属であることを特徴とする請求項18記載の外科的ガイド。
  30. 転位部材は射出成形プラスチックであることを特徴とする請求項18記載の外科的ガイド。
  31. 回転部材は射出成形プラスチックであることを特徴とする請求項18記載の外科的ガイド。
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