JP2010504917A - フルオロメチル2,2,2−トリフロオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテルの製造方法 - Google Patents

フルオロメチル2,2,2−トリフロオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010504917A
JP2010504917A JP2009529473A JP2009529473A JP2010504917A JP 2010504917 A JP2010504917 A JP 2010504917A JP 2009529473 A JP2009529473 A JP 2009529473A JP 2009529473 A JP2009529473 A JP 2009529473A JP 2010504917 A JP2010504917 A JP 2010504917A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sevochlorane
sevoflurane
reaction
manufacturing
sulfuric acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009529473A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5021745B2 (ja
Inventor
パチェコ、オガリ
カルロス テイゼイラ、アントニオ
ルイツ リマ、エドソン
アリス ブッケルマン、マリア
Original Assignee
クリスタリア プロデュトス キミコス ファーマシューティコス リミターダ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by クリスタリア プロデュトス キミコス ファーマシューティコス リミターダ filed Critical クリスタリア プロデュトス キミコス ファーマシューティコス リミターダ
Publication of JP2010504917A publication Critical patent/JP2010504917A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5021745B2 publication Critical patent/JP5021745B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C41/00Preparation of ethers; Preparation of compounds having groups, groups or groups
    • C07C41/01Preparation of ethers
    • C07C41/18Preparation of ethers by reactions not forming ether-oxygen bonds
    • C07C41/22Preparation of ethers by reactions not forming ether-oxygen bonds by introduction of halogens; by substitution of halogen atoms by other halogen atoms
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C41/00Preparation of ethers; Preparation of compounds having groups, groups or groups
    • C07C41/01Preparation of ethers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C41/00Preparation of ethers; Preparation of compounds having groups, groups or groups
    • C07C41/01Preparation of ethers
    • C07C41/34Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C41/44Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by treatments giving rise to a chemical modification

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

本発明は、フルオロメチル2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)−エチルエーテル(セボフルラン)の製造方法に関する。
本発明に係るフルオロメチル2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)−エチルエーテルの製造方法は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を、ホルムアルデヒド等価物;塩化オキサリル、三塩化燐、五塩化燐、酸塩化燐、塩化スルフリル、および、塩化チオニルからなる群から選ばれた塩素化剤;及び、濃硫酸、及び、発煙硫酸からなる群から選ばれた強酸と反応させて、中間体であるセボクロランを製造するステップ(第1ステップ)、及び、前記セボクロランを、準化学量論量のアルカリ金属ヨウ化物、又は、直鎖、或いは、分枝鎖テトラアルキル4級アンモニウムヨウ化物の存在下で、アルカリ金属フッ化物、又は、直鎖,或いは、分枝鎖テトラアルキル4級アンモニウムフッ化物と反応させて、セボフルランを形成するステップ(第2ステップ)を含むことを特徴とする。第2ステップは、溶媒の存在下で行うことが好ましい。

Description

本発明は麻酔剤の吸入に関する。特に本発明はセボフルランの製造方法、及び、セボフルランの製造のための中間体の製造方法に関する。
セボフルランの化学名は、フルオロメチル2,2,2−(トリフルオロ−1−トリフルオロメチル)エチルエーテル[fluoromethyl 2,2,2-(trifluoro-1-trifluoromethyl) ethyl ether]である。そのセボフルランは、吸入用の麻酔剤として開発された。
セセボフルランの製造方法が記載されている最初の文献は、イギリス特許GB1,250,928である。この特許文献には、1,3−ポリハロ−2−プロピルエーテル[1,3-polyhalo-2-propyl ether]の合成法、及び、その化合物の麻酔剤としての使用(用途)が記載されている。ここに記載された合成法は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピルメチルエーテル[1,1,1,3,3,3-hexafluoro-2-propyl methyl ether]と塩素ガスを用いた遊離基塩素化(free radical chlorination)、及び、発光照射(luminous irradiation)によって、中間体に当たるセボクロランを製造することを含む。この遊離基塩素化の結果得られる中間体の収率(yield)は著しく低く、この方法の結果得られるセボフルランの実際の収率は理論値の約30%である。セボフルランは、二酸化テトラヒドロチオフェン(tetrahydrothiophene dioxide)、通称「スルホラン」と呼ばれるものの中でセボクロランとフッ化カリウムとを加熱反応させて得る。
ボフルランの製造に適した方法の多くは、原料としてヘキサフルオロイソプロパノール(hexafluoroisopropanol;HFIP)を使用するものである。
中間体の関与なく、ヘキサフルオロイソプロパノールから直接にセボフルランを得る方法が別の文献に記載されている。これは、たとえば、米国特許4,250,334号、及び、4,469,898号に記載されたセボフルランの製造方法である。
米国特許4,250,334号には、セボフルランの製造方法が記載されている。かかる製造方法は、フッ化水素酸(hydrofluoric acid)と、パラホルムアルデヒドと、変性剤との混合物と、ヘキサフルオロイソプロパノールとを反応させることを含む。この方法は、ワンポット(one pot)方法ではあるが、セボフルランを製造し、かつ、その後精製する際に、多量のヘキサフルオロイソプロパノールが、製造しようとする対象物(即ち、セボフルラン)と共に精製され、その結果として、多量のヘキサフルオロイソプロパノールが失われ、それが対象物内に不純物として存在することになる。したがって、精製後段階(posterior purification step)におけるその成分の除去は重要で、しかも除去し難い。それに加えて、副反応物(side product)が大量に生成されるので、最終生成物は分別蒸留による様々な生成段階を経てからでないと使えない(不純物のため)。
米国特許4,469,898には,特定の装置を用いて、ヘキサフルオロイソプロパノール、フッ化水素酸(hydrofluoric acid)、及び、乾燥剤(desiccating agent)からセボフルランを製造することが記載されている。その装置には、未使用のヘキサフルオロイソプロパノールがリサイクルされる。様々な乾燥剤、たとえば、硫酸、燐酸、トリフルオロメタン硫酸(trifluoromethanesulfonic acid)などが用いられる。この製造方法を用いた際に報告された収率は低く、単離された生成物の純度もまた低い。
セボフルランの製造に特に有用な方法は、先ず中間体であるセボクロランを製造した後、ハロゲン交換反応を通じてフッ化を行うものである。
米国特許6,100,434号には、セボクロランを製造した後、その中間体を、高分子量の溶媒中でフッ化カリウムを用いてフッ化させることにより、セボフルランを製造することが記載されている。セボフルランは、ヘキサフルオロイソプロパノール、三塩化アルミニウム(aluminum trichloride)、及び、1,3,5−トリオキサンから製造される。反応媒質中に存在する過剰の三塩化アルミニウムは、先ず2,2’−[メチレンビス(オキシ)]ビス−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)(以下、「P1」という。)を形成する。この反応は、6NのHCl溶液を添加して、ハイドロキシジクロロアルミネート(hydroxydichloroaluminate)のゲルを分解することによって中断(阻害)される。この特許文献の著者(つまり、発明者)は、単離された生成物が95%のセボクロラン、5%未満のP1、及び、1%未満の高分子量のポリアセタールを含むと述べている。未精製生成物の収率は、87%であった。この製造方法における短所として、大量の三塩化アルミニウムを取り扱わなければならないことが挙げられる。この三塩化アルミニウムは、高吸湿性の固体で、それと大気の湿気、又は、残留する水との反応は、猛烈に起こる傾向がある。この試薬が水と容易に反応するということは、酸性のガスを形成するという結果をもたらし、それにより、その含量が減って、反応収率、及び、単離された生成物の純度に大きな影響を与える。反応を中断させる(阻害する)ために6NのHClを添加することもまたこの製造方法における短所とも言える。より具体的に、6NのHClを添加すると、反応温度が激しく上がり、その結果として、分解、揮発、及び、重合体化が起こり、生成物が部分的に失われることになる。最後に、この反応は、残留物として、ハイドロキシアルミネート(hydroxyaluminate)を含む水相を形成するが、そのハイドロキシアルミネートは、その処分に焼却が必要で、その結果更なるコストがかかる。
米国特許6,245,949には、ヘキサフルオロイソプロパノールと、ジメトキシメタンとの反応によってセボフルランを製造することが記載されている。その結果得られた生成物を、三塩化アルミニウム、及び、フッ化カリウムと反応させる。酸塩化アルミニウムを使用することに伴う短所については前述したとおりである。要するに、三塩化アルミニウムは、高吸水性であり、水、湿気の存在によって容易に不活性化されてしまう。この製造方法による収率は、(発明者らによれば)50%程度である。
米国特許6,271,422には、脱炭酸ハロゲン化(decarboxylative halogenation)を介してのアルコールのフルオロメチル化によって、セボフルランを製造することが記載されている。同様に、ヘキサフルオロイソプロパノールが、エチルアルファ−ブロモアセテート(ethyl alpha-bromoacetate)と反応して、アルファ−(ヘキサフルオロイソプロポキシ)酢酸が形成される(収率:66%)。この中間体を、毒性の四酢酸鉛(lead tetra-acetate)と反応させる。このときに、発ガン性のベンゼンが溶媒として使用される。この反応において、均質なベンゼン/セボクロラン溶液(これは、蒸留によって分離できないものである。)は、フッ化カリウムと反応して、反応の最後の段階においてセボフルランが生成される(収率:28%)。
米国特許5,886,239には,セボクロランを、立体障害3級アミン、例えば、ジイソプロピルエチルアミン(di-isopropylethylamine)と、フッ化水素酸との反応から得られた塩との反応によってセボフルランを製造することが記載されている。この製造方法は、不完全であり、その結果、純度の低いセボフルランしか得られない。そのようなセボフルランは、分別蒸留による様々な精製段階を必要とする。つまり、その生成物は前記精製段階を経てからはじめて臨床的に使用され得る。しかし、そうした場合に、(この文献に記載された発明の発明者らによれば)その収率はかなり落ちてしまう。
その他様々な文献に、普及されていない試薬、或いは、珍しい試薬を用いてセボフルランを合成する方法や、その複雑さ、又は、低い収率に起因して産業上の利用可能性が否定されるような合成法が記載されている。
ヘキサフルオロイソプロパノールの反応(中間体であるセボクロランの形成を伴う。)を含む製造方法特に興味深い。しかしながら、2つのステップに有効な方法(その方法は、セボフルランを高純度、かつ、高収率で生産するに適したものであろう。)については未だ知られていない。
現時点において知られているプロセスを用いた場合に、セボクロランの製造が問題視される。それは、低い収率をもたらす不完全な反応に起因するか、取り扱い難い毒性の試薬を取り扱わなければならないことに起因するか、又は、分離し難い不純物を含有する生成物が形成されることに起因する。
セボクロランをセボフルランに転換させるに当たり、ハロゲン交換反応には概してフッ化カリウム(KF)が使用される。この反応の結果、並列反応(parallel reation)に基づいてセボフルランが低収率で生成される。その結果として、副生成物の除去、加水分解、及び、重合が必要とされる。
セボクロランとフッ化カリウム(KF)との反応によるセボフルランの製造に係る多くの製造方法では、セボクロラン1当量あたり2.5〜7.0当量のフッ化カリウム(KF)が使用される。この製造方法では、反応媒質を3時間以上加熱する。過剰(量)のフッ化カリウム(KF)は、フルオロメチル2,2−ジフルオロ−1−(トリフルオロメチル)ビニルエーテル(化合物A)を形成させる役割をする。その化合物Aは、ラットにおいて腎毒性を示すなどの理由から、最終生成物において制御されなければならない。長時間にわたって加熱することによって、反応媒質中に存在するセボクロランが分解されて、HFIP、及び、フッ素化アセタールが形成され、その結果として、収率が低くなるだけでなく、上記純度99.97%の生成物が分離(単離)され難くなる。
セボクロランからセボフルランへの転換反応では、(その反応が)溶媒としての水、及び、相間移動触媒の存在下で行われるときに(例えば、WO2006/055748に記載されている。)、1モル当量のセボクロランに対して1〜2当量のKFが使用される。しかしながら、より良い収率を得ると共に、セボクロランの加水分解性生物の形成を最小化するためには、より高濃度のKFを使用すべきである。この特許文献の目的(課題)は、水中でセボクロランをセボフルランに転換させるための方法を提供することにあり、それによれば、原料の5%未満が加水分解される。
上述したとおり、ヘキサフルオロイソプロパノールから、中間体であるセボクロランの形成(高収率・高純度)を伴ってセボフルランを製造する方法、及び、高純度及び高収率の生成物が得られるようにハロゲン交換反応によってセボクロランを効率よくセボフルランに転換させる方法に対する必要性ないし需要は依然として存在していた。
本発明は、セボフルランを高純度・高収率で製造する新規の方法を提供する。その方法によれば、第1ステップにおいて、反応収率を損なうことなく大気の湿気にも強いという更なる利点がもたらされる。これに加えて、本発明に係る製造方法では、取り扱い性に優れ、かつ、運び易い試薬が用いられ、そして、生成された残留物も容易に処理され得る。
本発明に係る1つの実施例によれば、フルオロメチル2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテル(即ち、セボフルラン)の製造方法は次のステップを含む:
(イ)クロロメチル化:ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を、ホルムアルデヒド等価物(equivalent)[例えば、パラホルムアルデヒド(重合ホルムアルデヒド:(CH2O)n)、又は、1,3,5−トリオキサン(ホルムアルデヒド環状三量体)];塩素化剤(chlorinating agent)[例えば、塩化オキサリル、三塩化燐、五塩化燐、酸塩化燐(phosphorus oxychloride)、塩化スルフリル(sulfuryl chloride)、又は、好ましくは塩化チオニル)];及び、強酸(例えば、濃硫酸、又は、発煙硫酸)。このステップにおいては、前記反応混合物を攪拌して、中間体であるセボクロランを製造する。
(ロ)準化学量論量(sub-stoichiometric quantity)のアルカリ又はアルカリ土類金属ヨウ化物、好ましくは、KI、NaI,及び、CsI,より好ましくは、KI,または、直鎖、又は、分枝鎖テトラアルキル4級アンモニウムヨウ化物(tetra-alkyl qquarternary ammonium iodide)、好ましくはヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI)の存在下で、セボクロランと、アルカリ或いはアルカリ土類金属フッ化物、好ましくはフッ化カリウム、又は、直鎖,或いは、分枝鎖テトラアルキル4級アンモニウムフッ化物(tetra-alkyl quarternary ammonium fluoride)、好ましくはフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)とを反応させて、セボフルランを製造するステップ
本発明に係る方法によれば、セボフルランを高純度・高収率で製造することができる。特に、第1ステップにおいて、反応収率を損なうことなく大気の湿気にも強いという利点がある。更に、本発明に係る製造方法では、取り扱い性に優れ、かつ、運び易い試薬が使用され、その残留物も又容易に処理され得る。
図1は、本発明に係るセボフルランの製造方法を概略的に示したものである。 図2は、本発明に係る製造方法における第2ステップにおいて、セボクロランより反応性が大きい中間体であるヨードメチル2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテルが形成されることを示すものである。
本発明に係る製造方法における第1ステップによれば、クロロメチル2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテル(即ち、セボクロラン)は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)と、以下の試薬とのクロロメチル化反応によって製造される:
ホルムアルデヒド等価物[例えば、パラホルムアルデヒド(重合ホルムアルデヒド)、又は、1,3,5−トリオキサン(ホルムアルデヒド環状三量体)];
塩素化剤(chlorinating agent)[例えば、塩化オキサリル、三塩化燐、五塩化燐、酸塩化燐(phosphorus oxychloride)、塩化スルフリル(sulfuryl chloride)、又は、好ましくは塩化チオニル)];及び、
強酸[例えば、濃硫酸、又は、発煙硫酸]
反応温度は、使用される試薬の組み合わせによって異なってくる。どのような試薬が組み合わせらたかに関係なく、試薬は、−35〜20℃の温度範囲において添加され得る。ここで好ましい温度は20℃未満である。こうした添加ステップが終わったら、0〜60℃(反応温度)を維持する。この場合に、15〜35℃の温度範囲が好ましい。
反応は、フラスク、または、反応器を備えた装置において行われる。こうした場合に、前記フラスク、又は、反応器には、磁気又は機械的攪拌器、温度計、付加ファンネル(addition funnel)、および、冷却コンデンサー(cooled condenser)が備わっている。前記コンデンサーは、30%水酸化ナトリウム溶液(反応の際に放出されたHCl及びSO2ガスを中和する役割をする。)を収容した容器のほうにガラスチューブを通じて接続されている。
試薬を添加する際の順番、つまり、HFIP,ホルムアルデヒド等価物、塩素化剤(例えば、塩化チオニル)、及び、強酸(例えば、硫酸)といった順番は、そのとおりでなくてもよい。これは、本発明の製造方法の柔軟性(flexibility)を裏付けるものである。この製造方法が、試薬、つまり、HFIP,ホルムアルデヒド等価物、及び、塩化チオニルを反応器に導入することを含むことが好ましい。硫酸は、攪拌の下でゆっくりと添加する。そのときの反応温度は20℃未満を維持する。それに替えて、この製造方法は、試薬であるHFIP,ホルムアルデヒド等価物、及び、硫酸を反応器に導入することを含み得る。そのときの内部温度は20℃未満を維持し得る。その後、塩化チオニルをゆっくりと添加する。それに替えて、前記反応混合物にヘキサフルオロイソプロパノールをゆっくりと添加することも可能である。この反応は15〜35℃に維持される。また、その反応は、ガス(HCl、及びSO2)の放出を特徴とするが、攪拌が終わった後に相分離が見られる。
様々な実験の結果、単離された生成物の純度は、使用された塩化チオニル及びホルムアルデヒドの等量数(number of equivalent)に依存するということがわかった。これらの試薬は、HFIPに対して過剰(量)に使用されることが好ましい。また、HFIPに対して過剰量のホルムアルデヒドを使用した場合に、反応時に相分離が起こりやすいということがわかった。ここで、下相(lower phase)には、極めて酸性の混合物が存在し、そして、上相(upper phase)には、所定の生成物、即ち、セボクロランが存在する。
本発明に係る好ましい実施例によれば、反応では、1当量のHFIPと、1.5当量のパラホルムアルデヒド(ホルムアルデヒド(CH2O)の分子量30を考慮して計算したものである。)、1.8当量の塩化チオニル、及び、1.5当量の硫酸が用いられ、その結果、純度95%超のセボクロランが製造される。好ましくは、試薬が、0〜20℃の温度範囲で添加される。この温度は、試薬混合物に硫酸を添加し始めた時点で変わるが、それは、この段階における温度は、HFIPの損失、及び、次の段階における収率減少といった現象を回避するために、調整されるべきという事実に基づく。
この反応は、ガスクロマトグラフィー(GC)によってモニターされる。ここで、最初に、生成物の混合物(セボクロランと、副生成物と、を含有する。)が形成される。ここで意外なことに、反応を始めてから数時間内に形成される2次副生成物が、反応が進むにつれて、セボクロランに転換される。こうして、前記副生成物は、所定の生成物の全体収率には何ら悪影響を与えない。この事実は、これまで報告された製造方法に係る知識に反するものである。参照までに、これまで報告された製造方法では、HFIPが原料として用いられ、前記副生成物が形成された結果、化学的収率に実質的減少が見られた。
本発明にかかる製造方法によって得られた副生成物は、既知であり、かつ、その他のルートを通じてセボクロラン及び/又はセボフルランを製造する際にも用いられるものである。この重要な副生成物は、反応を始めてから数時間内に同定される。セボクロランの製造に係る本発明によれば、前記副生成物は次のとおりである。
Figure 2010504917
ここで興味深いのは、このような(最初の段階における)副生成物の形成は、パラホルムアルデヒド、硫酸、及び、HFIP間の最初の反応に基づいて説明することができるということである。反応媒質(溶媒)中に硫酸を添加する際に起こるパラホルムアルデヒドの分解によって、発熱反応(反応温度を20℃未満に維持することによって調整される。)を説明することができる。反応の経過につれて、硫酸と塩化チオニルとの発熱反応を通じて、反応媒質中でクロロスルホン酸が徐々に形成される。そこで生成されたクロロスルホン酸は、発熱反応を通じて副生成物の混合物と反応して、セボクロランを形成する。こうして、反応が経過するにつれて発熱補償(thermal compensation)が見られる。それによって、同じ現象が柔軟な方式で起こり、かつ、その生成物は高収率・高純度で得られる。その際に、腐食性のクロロスルホン酸との直接的な接触はない。
本発明によって製造されたセボクロランは、反応媒質における液相の分離によって反応媒質から分離され得るか、又は、こうした分離が自然に起こらない場合には、反応温度を0〜10℃に維持しながら前記反応媒質に水を添加した後、相分離を行うことによって分離され得る。
こうして得られた粗製セボクロランをアルカリ溶液で処理して、pHを調整すると共に、反応の際に形成された副生成物を除去することができる。セボクロランは、水難溶性を示し、かつ、下相に存在する(それに対し、水溶性の不純物はその上相(水相)に存在する)。セボクロランは、従来の手法によって水相から分離され得る。
本発明によれば、その粗製セボクロランを先ずアルカリ溶液で処理して、過剰(量)の酸を除去すると共に、pHを調整する。ここで使用されるアルカリ溶液は、アルカリ又アルカリ土類金属の炭酸塩(carbonate)、或いは、水酸化物(hydroxide)、又は、アンモニアの水溶液であり得る。好ましくは、粗製セボクロランを、十分量の10%炭酸ナトリウム溶液で処理して、最終的に中性のpHを得る。
その後、中性のpHにおけるこの生成物、即ち、セボクロランは、アルカリ、又は、アルカリ土類金属水酸化物の溶液(好ましくは、10%水酸化ナトリウム)で処理されて、ビス−クロロメチルエーテル(bisCl)のような余分な副生成物を分解すると共に、その除去を促す。その後、セボクロランは、従来の手法によって水相から分離され得る。
本発明によって得られたセボクロランは、フッ化カリウム又はフッ化ナトリウム(KF)を含有する反応媒質中でセボフルランに転換され、そして、分別蒸留によって精製され得る。しかしながら、こうした転換は、本発明に係る方法における第2ステップに基づいて有利に行われる。
このステップによれば、セボフルランはフルオロメチル2,2,2、−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテル(即ち、セボフルラン)に転換される。このときに、準化学量論量のアルカリ又はアルカリ土類金属ヨウ化物、好ましくはKI、NaI,及び、CsI,より好ましくはKI,または、直鎖、或いは、分枝鎖テトラアルキルアンモニウムヨウ化物、例えばヨウ化テトラアルキルアンモニウム(TBAI)、及び、アルカリ或いはアルカリ土類金属フッ化物、好ましくはKF、又は、直鎖,或いは、分枝鎖テトラアルキルアンモニウムフッ化物が用いられる。
図2は、本発明に係る製造方法における第2ステップにおいて、セボクロランより反応性が大きい中間体であるヨードメチル2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテル[iodomethyl 2,2,2-trifluoro-1-(trifluoromethyl) ethyl ether]が形成されることを示すものである。その後、その中間体はセボフルランに転換される。
セボクロランとアルカリ金属ハロゲン化物(例えば、KF,KI)とが反応したときに、フィンケルシュタイン(Finkelstein)反応として知られている求核置換反応を通じてハロゲン交換が起こる。このハロゲン交換は、その他のファクターのうちアニオンの求核性(度)に基づく。ハロゲンのうち、ヨウ素がもっとも良い離脱基であり、その他臭素、塩素、及び、フッ素の順である。
本発明に係る方法における第2ステップでは、KFに加えて準化学量論量のKIを使用することによって、セボクロランからセボフルランへの転換(反応)速度を上げることができる。
セボクロランからセボフルランへの転換速度の上昇(増加)は、生成物に対する加熱時間が減少され、それにより、分解性生物の量が減少されることを意味する。反応が溶媒の存在下で行われる場合、生成物の最適な純度及び収率を達成するためには、各溶媒に対し反応条件を最適化する必要がある。
ハロゲン交換反応は、磁気及び機械的攪拌器、温度計、及び、冷却コンデンサー(refrigerated condenser)を備えた反応器、又は、フラスクにおいて行われる。
この方法の第2ステップにおける反応は、別の態様で行われ得る。試薬を添加する順番は重要ではない。この方法は、試薬であるセボクロラン、フッ化カリウム(KF)、及び、ヨウ化カリウム(KI)を反応器に導入することを含む。このときに、前記反応きにおける反応混合物は、所定時間、又は、セボクロランが完全にセボフルランに転換されるまで、攪拌・還流条件下に置かれる。これに替えて、方法は、試薬であるセボクロラン、フッ化カリウム、及び、ヨウ化カリウムを反応器に導入することを含み得る。このときに、反応混合物は還流条件下に置かれる。その後、形成されたセボフルランは選択的分別蒸留によって回収される。しかし、別の態様によれば、試薬であるセボクロラン、フッ化カリウム、及び、ヨウ化カリウムを反応器に導入することが含まれる。このときに、反応器を閉鎖して、0〜30psiの圧力を生じる。また、反応混合物は攪拌及び加熱条件下に置かれる。セボクロランが完全にセボフルランに転換されたら、その生成物を冷却し、水を添加してその生成物を分離する。粗製セボフルランを分離し、分別蒸留によって精製する。
この方法の第2ステップにおける反応は、60〜100℃で行われることが好ましい。しかしながら、この温度範囲は、選択された溶媒によって異なり得る。
反応時間は、反応混合物が置かれた温度によって異なるが、一般的に1時間〜6時間である。言い換えれば、より高温条件では、反応が速くなる。又、反応時間は、反応が行われる方法(態様)、及び、選択された溶媒によって異なってくる。
本発明に係る方法によれば、アルカリ或いはアルカリ土類金属フッ化物、又は、直鎖、或いは、分枝鎖テトラアルキル4級アンモニウムフッ化物が、第2ステップにおいてフッ素化剤として使用され得る。かかる化合物の例を挙げると、NaF、KF、KF2H、NaF2H、CsF、CaF2、MgF2、SrF2、又は、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)などがある。反応においてフッ化カリウム(KF)を用いることが好ましい。フッ化カリウム(KF)はその2水和物、又は、4水和物の形態であり得る。反応においては、セボクロラン1当量あたり1〜3当量のフッ化カリウム(KF)が使用される。
アルカリ及びアルカリ土類金属ヨウ化物,又は、直鎖或いは分枝鎖テトラアルキル4級アンモニウムヨウ化物(本発明に係る方法の第2ステップにおけるハロゲン交換反応において触媒として用いられる。)の例を挙げると、NaI、KI、CsI、KI3、CaI2、MgI2、SrI2、又は、ヨウ化テトラブチルアンモニウムなどがある。この反応においては、ヨウ化カリウムを用いることが好ましい。反応において、セボクロラン1当量あたりヨウ化カリウム0.01〜0.5当量を用いることが好ましい。セボクロラン1当量あたりヨウ化カリウム0.05〜0.15当量を用いることが好ましい。
準化学量論量のヨウ化カリウムを添加することによって、様々な溶媒におけるセボクロランからセボフルランへの転換反応速度を上げることができる。
ハロゲン交換反応が溶媒に依存することは知られている。ドイツ特許1954268、及び、米国特許3,689,571に最初に記載されたセボフルランの製造法において、ハロゲン交換反応に使用された溶媒はスルホランである。米国特許6,100,434号には、フッ化カリウム(KF)を用いてセボクロランをセボフルランに転換させるのに適すると思われる様々な溶媒が記載されているが、実際にテストされた溶媒は、ジエチレングリコール、及び、ポリエチレングリコール400(PEG400)のみである。この発明者は相間移動触媒、たとえば、塩化(C8-C10)メチルトリアルキルアンモニウムと共に非極性溶媒を用いて、セボクロランをセボフルランに転換させることについて言及しているが、それに関する実施例は存在しない。
本発明によれば、KFと共にKIを用いたときに、(溶媒として)PEG400及びスルホランだけでなく、その他の溶媒においても、セボクロランからセボフルランへの転換反応の速度が速くなった。前記溶媒にKIを添加しないと、かかる現象は見られない。更に、KIとKFを併用することによって、溶媒の使用量を減らすことができ、かつ、反応媒質中の反応物濃度を増加させることができるので、単離(分離)された生成物の収率・純度をさらに上げることが可能となる。また、より少量のKFを用いて反応を行うことも可能となる。
反応の第2ステップが、溶媒の存在下で行われることが好ましい。反応の際には、様々な溶媒が用いられた。それらのうち、スルホラン(sulfolane)、極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(dimethylformamide:DMF)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO)、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide:DMAC)、N−メチルピロリドン(N-methyl pyrolidone)、1,3−ジメチル−イミダゾリジン−2−オン(1,3- dimethyl-imidazolidin-2-one:DMI),プロピレングリコール(propylene glycol:PG)、中鎖モノ−及びジグリセリドの混合物(a mixture of medium chain length mono- and diglycerides:MDGCM)、モノ−、ジ−、及び、トリグリセリドと、ポリエチレングリコールののモノ−、及び、ジエステルとの混合物(a mixture of mono-, di- and triglycerides and mono- and diesters of polyethylene glycol:LB),1−メトキシ−2−プロパノール(1-methoxy-2-propanol:MP),ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol:PPG)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)、エステル、及び、ケトンが用いられ得る。
中鎖のモノ−及びジグリセリドの混合物(LB)は知られており、また市販されている。例えば、C8〜C10の中鎖モノ−及びジグリセリドの混合物は、商品名アルコライン(登録商標:AlkolineTM)として販売されている。
モノ−、ジ−、及び、トリグリセリドと、ポリエチレングリコールのモノ−及びジエステルとの混合物は、知られており、かつ、例えば商品名ラブラフィル(Labrafil)として販売されている。例えば、ラブラフィル M 2125CS(登録商標)は、相対的中間分子量(relative median molecular weight)300〜400のポリエチレングリコールを利用した不飽和オイル(主にリノール酸のトリグリセリドを含む。)の部分的アルコール分解(alcoholysis)によって得られる。
セボクロランからセボフルランへの転換反応は、ガスクロマトグラフィーによって、セボクロランが全量消費(使用)されるまで反応媒質のガス相を分析するか、又は、分別蒸留によって反応媒質中に形成されたセボフルランを除去することによって生成物の形成に有利なよう平衡を移動させることにより、モニターすることができる。セボフルラン及びセボクロランに相当するピークをクロマトグラム(chromatogram)に統合させることができる。その転換(率)は、クロマトグラムに示されたセボフルランの百分率である。
セボフルランは、分別蒸留により、又は、水を添加して相分離を行った後、有機相を蒸留することにより単離され得る。こうして得たセボフルランをアルカリ溶液で洗浄して、フッ素イオンを除去し、その後、亜硫酸水素ナトリウム(sodium bisulfite)溶液で洗浄してヨウ素を除去し、最終的に水で洗浄する。収率(%)は次のとおり計算する。
Figure 2010504917
中間体であるセボクロランの処理、及び、生成物であるセボフルランの単離に係るステップを考慮すると、本発明に係るフルオロメチル2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテル(即ち、セボフルラン)の製造方法は次のステップを含むことを特徴とする:
ヘキサフルオロイソプロパノールをパラホルムアルデヒド、硫酸、及び、塩化チオニルと反応させるステップ(ここで、反応混合物は、攪拌の条件下に置かれて、中間体であるセボクロランを形成する。);
粗製生成物であるセボクロランを炭酸ナトリウム水溶液で処理してそれを中和するステップ;
中性セボクロランを水酸化ナトリウム水溶液で処理して副生成物を除去するステップ;
準化学量論量のヨウ化カリウム及び溶媒の存在下でフッ化カリウム(KF)を用いてセボクロランをセボフルランに転換させるステップ;
水を添加し、有機相を分離し、そして、蒸留するか、又は、反応混合物を直接蒸留することによって、セボフルランを単離するステップ;及び、
分別蒸留によってセボフルランを精製するステップ。
以下の実施例は、本発明の技術的範囲を制限するために示されたのではなく、あくまで例示のために示されたものである。
セボクロランの製造:生成物の純度及び収率に対する試薬の量的効果
表2は、一連の実験の結果を示すものである。これらの実験は、生成物であるセボクロランの収率及び純度に対する試薬の量的効果を知るために行った。これらの各実験では、1当量のHFIPが用いられ、かつ、残留する試薬の当量数は表2に示したとおり異なった。
Figure 2010504917
一般的な手順によれば、磁気又は機械的攪拌器、温度計、付加ファンネル、および、冷却コンデンサーを備えた反応器が用いられた。前記反応器には、HFIP,パラホルムアルデヒド、及び、塩化チオニルが添加された。前記コンデンサーは、U字型ガラスチューブを通じて30%水酸化ナトリウム溶液(反応の際に放出されたHCl及びSO2ガスを中和する役割をする。)を収容した容器のほうに接続されていた。前記付加ファンネルを介して硫酸をゆっくりと添加した。このときの反応温度は、水/氷槽などを用いて20℃未満に維持した。この混合物を攪拌の下、15〜35℃の温度にて6時間維持した。攪拌を中断して、混合物を分別ファンネルに移し、かつ、有機相(上相)を反応フラスクに戻した。その混合物を0℃近くまで冷却し、そして、付加ファンネルを通じて10%炭酸ナトリウム溶液を添加した。その添加は、安定したpH7に至るまで行った。そのときの温度は、0〜10℃で維持された。反応媒質における相分離が見られないときに、混合物を0℃まで冷却し、かつ、明確な相分離が起こるまでに水を添加した。こうした場合に、有機相を反応フラスクに戻し、混合物を約0℃までに冷却し、かつ、その水相のpHが7に至るまでに付加ファンネルを通じて10%炭酸ナトリウム溶液を添加した。このとき、温度は0〜10℃で維持された。生成物であるセボクロランをガスクロマトグラフィーによって分析した。
表2に示す結果に基づいて、塩化チオニル、及び、ホルムアルデヒドの量が生成物の純度及び収率に有意な影響を及ぼすということがわかった。統計ツールを用いて分析データを処理する結果、以下の結論に至った。高純度のセボクロランを得るためには、HFIP(#2, 3, 5, 6, 8, 9, 11, 12, 14, 15, 18, 21, 24, 及び、27)1当量あたり、1.6〜2.2当量の塩化チオニル、1.0〜2.0当量の硫酸、及び、1.0〜2.0当量のホルムアルデヒドを使用すべきである。高純度及び高収率のセボクロランを得るためには、HFIP(# 11、14、24、27)1当量あたり、1.7〜2.0当量の塩化チオニル、1.0〜2.0当量の硫酸、及び、1.5〜2.0当量のホルムアルデヒドを使用すべきである。HFIP1当量あたり、1.8当量の塩化チオニル、1.5当量の硫酸、及び、1.5当量のホルムアルデヒドを使用することが好ましい。
セボクロランの製造:試薬を添加する順番の影響
表3は、実験の結果を示したものである。これらの実験は、生成物であるセボクロランの収率及び純度に対し、試薬を添加する順番が及ぼす影響を知るために行った。これらの各実験では、1当量のHFIP,1.8当量の塩化チオニル、1.5当量の硫酸、及び、1.5当量のホルムアルデヒドが用いられた。
反応1は、HFIP、パラホルムアルデヒド、及び、塩化チオニルの混合物に硫酸を添加することに相当する。一方で、反応2は、HFIP,パラホルムアルデヒド、及び、硫酸の混合物に塩化チオニルを添加することに相当する。
Figure 2010504917
一般的な手順によれば、磁気又は機械的攪拌器、温度計、付加ファンネル、および、冷却コンデンサーを備えた反応器が用いられた。前記反応器に、HFIP,パラホルムアルデヒド、及び、塩化チオニルを添加した。前記コンデンサーは、U字型ガラスチューブを通じて30%水酸化ナトリウム溶液(反応の際に放出されたHCl及びSO2ガスを中和する役割をする。)を収容した容器のほうに接続されていた。前記付加ファンネルを介して硫酸をゆっくりと添加した。このときの反応温度は、水/氷槽などを用いて20℃未満に維持した。この混合物を攪拌の下、15〜35℃の温度にて6時間維持した。その後、混合物を分別ファンネルに移し、かつ、有機相(上層相)を分離した。その有機相を、pH(値)が塩基性となるまで、10%炭酸ナトリウム溶液で処理した。そのときの温度は、0〜10℃で維持した。この混合物に10%水酸化ナトリウム溶液を添加した。その後、この混合物を1時間にわたって攪拌した。生成物を無色の液体として分離した。
表3の結果に基づいて、試薬を添加する順番が、生成されるセボクロランの純度、及び、収率に対し有意な影響を及ぼすものではないということがわかった。
反応2は、HFIP、及び、パラホルムアルデヒドの混合物と、硫酸とを混合する際に起こる軽微な発熱反応を示す。この反応において温度は35℃まで上昇した。こうした挙動が生成物であるセボクロランの純度又は収率に対して影響を及ぼさないものであるにもかかわらず、本発明に係るセボクロランの製造方法を実施するに当たっては、反応1にしたがって(言い換えれば、この順にしたがって)試薬を添加することが好ましい。
最適化された条件下におけるセボフルランの製造、及び、未精製セボクロランの処理
磁気又は機械的攪拌器、温度計、付加ファンネル、および、冷却コンデンサーを備えた反応器に、HFIP(317 mL; 3.0 mol; 1当量),パラホルムアルデヒド(134 g, 4.47 mol; 1.5 当量)、及び、塩化チオニル(400 mL, 5.48 mol; 1.8 当量)を添加した。前記コンデンサーは、U字型ガラスチューブを通じて30%水酸化ナトリウム溶液(反応の際に放出されたHCl及びSO2ガスを中和する役割をする。)を収容した容器のほうに接続されていた。前記付加ファンネルを介して硫酸(243 mL, 4.57 mol, 1.5当量)がゆっくりと添加した。このときの反応温度は、水/氷槽などを用いて20℃未満に維持した。この混合物を攪拌の下、15〜35℃の温度にて6時間維持された。反応混合物のアリコートを冷却して、水、及び、10%炭酸ナトリウム溶液で処理した。その後、ガスクロマトグラフィーによって分析した。その結果、以下の組成を有することが判った。97%のセボクロラン、0.3%のP1,0.01%のHFIP、及び、2.4%のビス−クロロメチルエーテル、P3,及び、P2。攪拌を中断し、混合物を分別ファンネルに移し、そして、有機相(上相)を反応フラスクに戻した。その混合物を0℃近くまで冷却し、そして、付加ファンネルを通じて10%炭酸ナトリウム溶液(620 mL)を添加した。その添加は、安定したpH7に至るまで続けた。そのときの温度を、0〜10℃で維持した。その後、10%炭酸ナトリウム溶液(544 mL)を添加した。この混合物を1時間攪拌して、その有機相のアリコートをガスクロマトグラフィーによって分析した。その結果、99%のセボクロラン、0.3%のP1,0.001%のHFIP,0.40%のP3,及び、0.5%未満のビス−クロロメチルエーテルが存在していることがわかった。この混合物を分別ファンネルに移した。生成物(下相)を分離して、無色の液体(520 g; 収率: 80%)を得た。最終生成物をガスクロマトグラフィーによって分析した結果、次の組成を有することが判った:セボクロラン(99.3%)、HFIP(0.04%)、P1(0.3%),P2,及び、P3(合計0.4%)。
セボクロランからセボフルランへの転換反応:ヨウ化カリウムの存在が反応速度に及ぼす影響
表4は、一連の実験の結果を示す。これらの実験は、異なる溶媒中に存在するセボクロランがセボフルランに転換される転換反応の速度に対しヨウ化カリウムが及ぼす影響を知るために行った。テストされた溶媒は以下のとおりである:DMI(1,3-dimethyl-imidazolidin-2-one),DMF(dimethylformamide),PG(propylene glycol),LB(a mixture of mono-, di- and triglycerides and mono- and diesters of polyethylene glycol),MDGCM(a mono- and diglyceride of medium chain length),MP(1-methoxy-2-propanol),PPG400(polypropylene glycol having an average molecular weight of 400),及び、PEG400(polyethylene glycol having an average molecular weight of 400)
一般的な手順によれば、磁気攪拌器(magnetic stirring)、温度計、および、冷却コンデンサーを備えた反応器が用いられた。前記反応器に、セボクロラン、溶媒、フッ化カリウム(KF),及び、ヨウ化カリウム(KI)を添加した。反応溶媒中のセボクロラン濃度は約3.0mol.L-1であった。その混合物を攪拌・還流条件の下で最大46時間維持した。1時間毎に、反応混合物のガス相のアリコートをガスクロマトグラフィーによって分析した。
Figure 2010504917
表4に示した結果に基づくと、準化学量論量のヨウ化カリウムを添加することによって、セボクロランからセボフルランに転換される転換反応の速度が有意に向上された。さらに、準化学量論量のヨウ化カリウムの存在下では、セボクロランをセボフルランに転換させるに必要とされるKFの使用量を有意に減らすことができた。にもかかわらず、反応の平衡をセボフルランの形成のほうに移すためには、セボクロランに対して若干過剰(量)のKFを使用したほうが有利であろう。
溶媒として中鎖モノ−及びジグリセリドの混合物を用いて行うセボクロランからセボフルランへの転換反応におけるKF及びKI使用量の最適化
表5は、セボクロランからセボフルランの転換反応に対しフッ化カリウム及びヨウ化カリウムの使用量が及ぼす影響を知るために行った実験結果を示すものである。総合すると、セボクロラン1当量あたりフッ化カリウムを1.5〜2.5当量、及び、ヨウ化カリウムを0.05〜0.15当量でそれぞれ異ならせて各反応(#1〜9)を行った。
Figure 2010504917
一般的な手順によれば、磁気攪拌器、温度計、および、冷却コンデンサーを備えた反応器が用いられた。前記反応器に、セボクロラン、溶媒、フッ化カリウム,及び、ヨウ化カリウムを添加した。反応溶媒中のセボクロラン濃度は約3.0mol.L-1であった。その混合物を攪拌・還流条件下で最大46時間維持した。1時間毎に、反応混合物のガス相のアリコートをガスクロマトグラフィーによって分析した。
表5に示した結果に基づくと、反応#3,4,5、及び7の条件下で3時間反応させた後に94%超の転換(率)が、そして、反応7及び8の条件下で6時間反応させた後に99%超の転換(率)が見られた。反応7に採用された条件は、このステップにおける収率、並びに、生成物の処理及び分離に対する効果の観点から選ばれたものであった。
実施例5の反応#7に採用された条件に基づくセボクロランからセボフルランへの転換反応
磁気攪拌器、温度計、および、冷却コンデンサーを備えた反応器に、セボクロラン(100 g, 0.5 mol, 1当量)、中鎖のモノ−、及び、ジグリセリドの混合物(155 mL)、フッ化カリウム(40.3 g, 0.7 mol, 1.50等量)、及び、ヨウ化カリウム(11.50 g, 0.07 mol, 0.15当量)を添加した。その混合物を攪拌・還流条件下で3時間維持した後、分別蒸留を行って、セボフルラン(60 g; 0.3 mol; 60%)を得た。
実施例5の反応#7の条件に基づくセボクロランからセボフルランへの転換反応。1.5時間の反応後の蒸留による反応媒質からセボフルランのスケールアップ(scale-up)及び分離
磁気攪拌器、温度計、ポリプロピレン片を充填したヴィグロウカラム(Vigreaux column:カラムの効率を上げるために使用された。)、及び、冷却コンデンサーを備えた反応器に、セボクロラン(350 g, 1.62 mol, 1当量)、中鎖のモノ−及びジグリセリド(541 mL, 2.99 M)、フッ化カリウム(141 g, 2.4 mol, 1.50当量)、及び、ヨウ化カリウム(40.2 g, 0.2 mol, 0.15当量)を添加した。その混合物を攪拌・還流条件下で1.5時間維持した後、分別蒸留(蒸留物の温度は50℃を維持した。)を行って、純度99%超のセボフルラン(246 g; 1.23 mol; 76%)を得た。
溶媒としてポリエチレングリコール400を使用したセボクロランからセボフルランへの転換反応。1.5時間の反応後の反応媒質の蒸留
磁気攪拌器、温度計、ポリプロピレン片を充填したヴィグロウカラム(Vigreaux column:カラムの効率を上げるために使用された。)、及び、冷却コンデンサーを備えた反応器に、セボクロラン(350 g, 1.62 mol, 1当量)、ポリエチレングリコール400(541 mL)、フッ化カリウム(141 g, 2.4 mol, 1.50当量)、及び、ヨウ化カリウム(40.3 g, 0.2 mol, 0.15当量)を添加した。その混合物を攪拌・還流条件の下で1.5時間維持させた後、分別蒸留(蒸留物の温度を50℃で維持した。)を行って、純度99%超のセボフルラン(256 g; 1.28 mol; 79%)を得た。
溶媒としてポリエチレングリコールを使用したセボクロランからセボフルランへの転換反応。反応収率に及ぼす反応媒質中の濃度の影響
表6は、溶媒としてプロピレングリコールを用いて行うセボクロランからセボフルランへの転換反応に対して反応媒質中のセボクロラン濃度が及ぼす影響を知るために行った実験結果を示す。反応媒質中のセボクロラン濃度が増加するにつれて、収率も増加することが分かった。
一般的な手順によれば、磁気攪拌器、温度計、及び、冷却コンデンサーを備えた反応器に、セボクロラン(350 g, 1.62 mol, 1当量)、プロピレングリコール(541 mL又は270 mL)、フッ化カリウム(141 g, 2.4 mol, 1.50当量)、及び、ヨウ化カリウム(40.3 g, 0.2 mol, 0.15当量)を添加した。その混合物を攪拌・還流条件下で1.5時間維持した後、分別蒸留(蒸留物の温度は50℃を維持した。)によって純度99%超のセボフルランを得た。
Figure 2010504917
溶媒としてポリエチレングリコ−ル400を用いて行ったセボクロランからセボフルランへの転換反応。水の添加、有機相の分離、及び、分別蒸留(精製)による生成物の単離。
磁気攪拌器、温度計、及び、冷却コンデンサーを備えた反応器に、セボクロラン(350 g, 1.62 mol, 1当量)、ポリエチレングリコール400(541 mL)、フッ化カリウム(141 g, 2.4 mol, 1.50当量)、及び、ヨウ化カリウム(40.3 g, 0.2 mol, 0.15当量)を添加した。その混合物を攪拌・還流条件下で2時間維持した。その後、水を加えて相分離を行い、その有機相を2%炭酸ナトリウム溶液(2 x 155 mL)、2%亜硫酸水素ナトリウム(155 mL)、及び、水(155 mL)で洗浄した。粗製生成物に対し分別蒸留(蒸留物の温度を50℃で維持した。)を行って、純度99%超のセボフルラン(214 g; 1.07 mol; 66%)を得た。
溶媒としてプロピレングリコール400を用いて行ったセボクロランからセボフルランへの転換反応。水の添加、有機相の分離、及び、分別蒸留(精製)によって単離された生成物の収率に及ぼすPEG400の量的効果
表7は、セボクロランからセボフルランへの転換反応の収率に対するプロピレングリコールの量的効果を知るために行った実験結果を示す。ここで、セボフルランは、水の添加、有機相の分離、及び、分別蒸留による精製によって単離されたものである。
Figure 2010504917
一般的な手順によれば、磁気攪拌器、温度計、及び、冷却コンデンサーを備えた反応器に、セボクロラン、ポリエチレングリコール400、フッ化カリウム(KF)、及び、ヨウ化カリウムを添加した。セボクロランが完全にセボフルランに転換されるまで、その混合物を攪拌・還流条件下で維持した。水を加えて相分離を行い、その有機相を2%炭酸ナトリウム溶液、2%亜硫酸水素ナトリウム、及び、水で洗浄することによって、生成物を単離した。その生成物に対し分別蒸留を行って、純度99%超のセボフルランを得た。
表7に示した結果に基づいて、反応に使用されたPEG400の量が減少されると、収率が向上するということが分かった。こうした場合に、反応に必要とされる溶媒の使用量(より少量である。)、および、そこから生じる残留物の量(同様に、より少量である。)の関数としてコスト削減も実現できる。

Claims (23)

  1. フルオロメチル2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)−エチルエーテル(以下、「セボフルラン」という。)の製造方法であって、
    ヘキサフルオロイソプロパノールを、ホルムアルデヒド等価物;塩化オキサリル、三塩化燐、五塩化燐、酸塩化燐、塩化スルフリル、および、塩化チオニルからなる群から選ばれた塩素化剤;及び、濃硫酸、及び、発煙硫酸からなる群から選ばれた強酸と反応させて、中間体であるセボクロランを製造するステップ(以下、「第1ステップ」という。)、及び、
    前記セボクロランを、準化学量論量のアルカリ金属ヨウ化物、又は、直鎖、或いは、分枝鎖テトラアルキル4級アンモニウムヨウ化物の存在下で、アルカリ金属フッ化物、又は、直鎖,或いは、分枝鎖テトラアルキル4級アンモニウムフッ化物と反応させて、前記セボフルランを形成するステップ(以下、「第2ステップ」という。)
    を含むことを特徴とする製造方法。
  2. 前記ホルムアルデヒド等価物が、パラホルムアルデヒド、又は、1,3,5−トリオキサンであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記塩素化剤が、塩化チオニルであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記第1ステップでは、前記ヘキサフルオロイソプロパノール1モル当量あたり前記塩化チオニル1.6〜2.0モル当量、前記硫酸1.0〜2.0モル当量、及び、前記ホルムアルデヒド1.0〜2.0モル当量を用いることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記第1ステップでは、前記ヘキサフルオロイソプロパノール1モル当量あたり前記塩化チオニル1.8モル当量、前記硫酸1.5モル当量、及び、前記ホルムアルデヒド1.5モル当量を用いることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記第1ステップを0〜60℃で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記第1ステップが進むにつれて、クロロスルホン酸が生成されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  8. 前記アルカリ金属フッ化物が、フッ化カリウムであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  9. 前記アルカリ金属ヨウ化物が、ヨウ化カリウムであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  10. 前記第2ステップでは、前記セボクロラン1モル当量当たり1.5〜2.5モル当量のKF、及び、0.05〜0.15モル当量のKIを用いることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  11. 前記第2ステップを、60〜100℃、及び、0〜30psiで行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  12. 前記第2ステップを溶媒の存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  13. 前記溶媒を、スルホラン;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリン 1,3−ジメチル−イミダゾリジン−2−オン;ジメチルホルムアミド;プロピレングリコール;中鎖モノ−及びジグリセリドの混合物;モノ−、ジ−、及び、トリグリセリドと、ポリエチレングリコールのモノ−、及び、ジエステルとの混合物;1−メトキシ−2−プロパノール;ポリプロピレングリコール;ポリエチレングリコール;又は、それらの混合物からなる群から選ぶことを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記溶媒中の前記セボクロラン濃度が3〜15mol.L-1となるに、前記溶媒を用いることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
  15. 前記粗製セボクロランを、アンモニア、又は、アルカリ或いはアルカリ土類金属の炭酸塩或いは水酸化物の第1アルカリ水溶液で処理して、前記生成物を中和するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  16. 前記第1アルカリ水溶液が、炭酸ナトリウムを含有することを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
  17. 前記中性セボクロランを、アルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物の第2アルカリ水溶液で処理して、副生成物を除去するステップを含むことを特徴とする請求項1又は15に記載の製造方法。
  18. 前記第2アルカリ水溶液が、水酸化ナトリウムを含有することを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
  19. 前記セボフルランを蒸留するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  20. フルオロメチル2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテル(以下、「セボフルラン」という。)の製造方法であって、
    攪拌の下、ヘキサフルオロイソプロパノールを、パラホルムアルデヒド、硫酸、及び、塩化チオニルと反応させて、中間体であるセボクロランを形成するステップと、
    前記粗製セボクロランを炭酸ナトリウム水溶液で処理して、前記セボクロランを中和するステップと、
    前記中性セボクロランを水酸化ナトリウム水溶液で処理して、副生成物を分解及び除去するステップと、
    準化学量論量のヨウ化カリウム及び溶媒の存在下でフッ化カリウムを用いて前記セボクロランを前記セボフルランに転換させるステップと、
    水を添加し、有機相を分離し、そして、蒸留するか、又は、反応混合物を直接蒸留することにより、前記セボフルランを単離するステップと、
    分別蒸留によって前記セボフルランを精製するステップと、
    を含むことを特徴とする製造方法。
  21. 前記ヘキサフルオロイソプロパノール1モル当量あたり前記塩化チオニル1.8モル当量、前記硫酸1.5モル当量、及び、前記パラホルムアルデヒド1.5モル当量を用いることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
  22. 前記ヘキサフルオロイソプロパノール1モル当量あたり1.5モル当量のKF、及び、0.15モル当量のKIを用いることを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
  23. 前記溶媒を、スルホラン;1,3−ジメチル−イミダゾリジン−2−オン;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドンジメチルホルムアミド;プロピレングリコール;中鎖モノ−及びジグリセリドの混合物;モノ−、ジ−、及び、トリグリセリドと、ポリエチレングリコールのモノ−、及び、ジエステルとの混合物;1−メトキシ−2−プロパノール;ポリプロピレングリコール;ポリエチレングリコール;又は、それらの混合物からなる群から選ぶことを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
JP2009529473A 2006-09-29 2006-09-29 フルオロメチル2,2,2−トリフロオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテルの製造方法 Expired - Fee Related JP5021745B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/BR2006/000198 WO2008037040A2 (en) 2006-09-29 2006-09-29 Process for the preparation of fluoromethyl 2,2,2-trifluoro-1-(trifluoromethyl) ethyl ether

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010504917A true JP2010504917A (ja) 2010-02-18
JP5021745B2 JP5021745B2 (ja) 2012-09-12

Family

ID=39230552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009529473A Expired - Fee Related JP5021745B2 (ja) 2006-09-29 2006-09-29 フルオロメチル2,2,2−トリフロオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテルの製造方法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US8044247B2 (ja)
EP (1) EP2066609B1 (ja)
JP (1) JP5021745B2 (ja)
CN (1) CN101679169B (ja)
BR (1) BRPI0622034B1 (ja)
HK (1) HK1142588A1 (ja)
MX (1) MX2009003354A (ja)
WO (1) WO2008037040A2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010504916A (ja) * 2006-09-29 2010-02-18 クリスタリア プロデュトス キミコス ファーマシューティコス リミターダ クロロメチル2,2,2―トリフロオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテルの製造方法
JP2011526253A (ja) * 2008-07-02 2011-10-06 ルナン ファーマシューティカル グループ コーポレーション セボフルレンの合成方法
JP2014525409A (ja) * 2011-08-15 2014-09-29 バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド セボフルランの製造方法

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101462929B (zh) * 2009-01-08 2011-07-20 中国中化集团公司 用作吸入麻醉剂的异氟醚的制备方法
WO2011018466A1 (en) 2009-08-10 2011-02-17 Solvay Fluor Gmbh Process for the manufacture of sevoflurane
CN102199076B (zh) * 2010-03-25 2014-05-14 上海源力生物技术有限公司 制备七氟烷的方法
RU2479566C1 (ru) * 2012-01-11 2013-04-20 Общество с ограниченной ответственностью "Пермская химическая компания" Способ получения севофлурана
CN103360222A (zh) * 2013-07-29 2013-10-23 中国科学院上海有机化学研究所 2,2,2-三氟乙基1,1,2,3,3,3-六氟丙基醚的制备
CN107698430B (zh) * 2017-11-01 2021-01-08 华东医药(西安)博华制药有限公司 一种七氟烷反应液的后处理方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5665838A (en) * 1979-10-31 1981-06-03 Kuraray Co Ltd Preparation of beta-alkoxymethoxymethyl halide
JP2002540179A (ja) * 1999-03-26 2002-11-26 アボット・ラボラトリーズ セボフルランおよびその中間体を合成するための方法
WO2006055748A2 (en) * 2004-11-17 2006-05-26 Minrad Inc. Method for the preparation of sevoflurane

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1250928A (ja) 1968-10-28 1971-10-27
US3689571A (en) 1970-07-31 1972-09-05 Baxter Laboratories Inc Fluorinated ether
FR2416237A1 (fr) * 1978-02-01 1979-08-31 Dia Prosim Procede de chloromethylation de polymeres en vue de la preparation de resines echangeuses d'ions anioniques
WO1997030961A1 (fr) * 1996-02-21 1997-08-28 Central Glass Co., Ltd. Procede de preparation de l'ether de fluoromethyle 1,1,1,3,3,3-hexafluoro-isopropylique

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5665838A (en) * 1979-10-31 1981-06-03 Kuraray Co Ltd Preparation of beta-alkoxymethoxymethyl halide
JP2002540179A (ja) * 1999-03-26 2002-11-26 アボット・ラボラトリーズ セボフルランおよびその中間体を合成するための方法
WO2006055748A2 (en) * 2004-11-17 2006-05-26 Minrad Inc. Method for the preparation of sevoflurane

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010504916A (ja) * 2006-09-29 2010-02-18 クリスタリア プロデュトス キミコス ファーマシューティコス リミターダ クロロメチル2,2,2―トリフロオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテルの製造方法
JP2011526253A (ja) * 2008-07-02 2011-10-06 ルナン ファーマシューティカル グループ コーポレーション セボフルレンの合成方法
JP2014525409A (ja) * 2011-08-15 2014-09-29 バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド セボフルランの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US8044247B2 (en) 2011-10-25
EP2066609A4 (en) 2010-04-28
US20090247791A1 (en) 2009-10-01
BRPI0622034B1 (pt) 2021-06-22
CN101679169A (zh) 2010-03-24
CN101679169B (zh) 2012-12-19
BRPI0622034A2 (pt) 2014-04-22
EP2066609A2 (en) 2009-06-10
HK1142588A1 (en) 2010-12-10
WO2008037040A3 (en) 2009-02-12
MX2009003354A (es) 2009-04-14
WO2008037040A2 (en) 2008-04-03
EP2066609B1 (en) 2016-01-06
JP5021745B2 (ja) 2012-09-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5021745B2 (ja) フルオロメチル2,2,2−トリフロオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテルの製造方法
US8058482B2 (en) Method for the preparation of sevoflurane
JP5244109B2 (ja) クロロメチル2,2,2―トリフロオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルエーテルの製造方法
KR101284659B1 (ko) 1,2,2,2-테트라플루오로에틸 디플루오로메틸 에테르의제조방법
US4837364A (en) Processes for preparing pentafluoroethoxy- and pentafluoroethylthiobenzene drivatives
US9150480B2 (en) Synthesis of fluorinated ethers
JP2003040835A (ja) ブロモジフルオロ酢酸化合物の製造方法
JPH08259502A (ja) 2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルの製造方法
JP4051641B2 (ja) モノフロロハロゲノアルカンの製造方法
JP2022524344A (ja) 金属トリフルオロ酢酸塩を用いてトリフルオロヨードメタンを製造するためのプロセス
KR20020073207A (ko) 1,3,5-트리클로로벤젠으로부터 3,5-디플루오로아닐린을제조하는 방법
EP1886986A1 (en) Iodine-containing fluoropolyethers and process for the production thereof
JP2018127438A (ja) セボフルランの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120521

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120612

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120614

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150622

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees