JP2010504742A - 成熟インスリンポリペプチドの作製方法 - Google Patents

成熟インスリンポリペプチドの作製方法 Download PDF

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Abstract

本発明は成熟したヒトインスリン又はそのアナログを作製する方法に関し、該方法は、ヒトインスリン又はヒトインスリンアナログの前駆体をコードするDNA配列を含有する真菌細胞を培養するもので、該前駆体は、ヒトインスリン又はそのアナログのB鎖、ヒトインスリン又はそのアナログのA鎖、B鎖とA鎖とを結合させるCペプチドを含有し、該Cペプチドは少なくとも一のKex2切断部位と、B鎖のC末端アミノ酸残基に一端で結合し、他端がKex2部位に結合するアミノ酸配列を含有し、ここでアミノ酸配列は、真菌細胞内でのより効果的なKex2切断を促進させる。さらにB鎖のC末端伸長は、真菌細胞又は培養培地のいずれかにおいて、カルボキシペプチダーゼ活性により、B鎖のC末端アミノ酸残基から続いて切断可能である。

Description

本発明は、酵母中で成熟インスリン又はインスリンアナログを作製する方法に関する。
インスリンは、ランゲルハンス島のベータ細胞で生産されるポリペプチドホルモンである。活性なインスリン分子は、2つのジスルフィド架橋により結合しているB鎖及びA鎖からなる2本鎖分子である。インスリンは構造B-C-Aの前駆体分子プロインスリンとして合成され、ここでCペプチド鎖は、B鎖のC末端アミノ酸残基をA鎖のN末端アミノ酸残基と連結している。成熟2本鎖インスリンは、A鎖とB鎖の接合部に位置する塩基性アミノ酸残基対においてCペプチドをインビボ切断することにより形成される。A鎖及びB鎖は、それぞれA7とB7及びA20とB19Cys残基の間の2つのジスルフィド架橋により、互いに保持されている。さらに、生物学的に活性なインスリン分子は、A6及びA11位にあるCys残基の間に内部ジスルフィド架橋を有している。
組換えDNA技術が開発された後、遺伝的に修飾された宿主細胞においてインスリン及びその前駆体を生成するための多くの方法が開示されている。大腸菌は、発現したポリペプチドを折り畳むための細胞機構を有しておらず、成熟インスリンにおいてA鎖及びB鎖を結合させるジスルフィド架橋を確立しないため、この方法は、多くのインビトロプロセシング工程、例えば再折り畳み中のジスルフィド架橋のインビトロでの確立、続くCペプチドの切断を含む。
大腸菌と対照的に、真核生物は、折り畳み、及びジスルフィド架橋の確立に必要な機構を有しており、よって、遺伝的に改変された生物における成熟インスリンの生産のための、良好な候補であると思われる。インスリンを生産させるための、多くの酵母プロセスが開発されている。これらの方法のほとんどにおいて、天然のCペプチド又は修飾されたCペプチドのいずれかを有するインスリンの前駆体が発現され、酵母細胞から分泌される。国際公開第9535384号には、このような方法が開示されている。前駆体分子はインスリンB鎖のN末端伸長を有していてもよい。修飾されたCペプチド及び場合によってはBペプチドのN末端伸長は、酵母細胞中で切断されないように設計されており、よって前駆体は、単鎖ペプチドとして分泌され、ここでA鎖及びB鎖は修飾されたCペプチドによりなお結合しているが、正しく位置したジスルフィド架橋を有する。ついで、成熟したインスリン又はインスリンアナログ生成物が、Cペプチド及び場合によってはN末端伸長の切断により、多くの後続するインビトロ酵素工程で得られる。これらの酵素工程には、多大な時間がかかり、費用がかかることが多く、高価なクロマトグラフィー工程等のさらなる下流プロセス工程で除去されなければならない不純物が入り込んでしまう。
Thimら, Proc Natl. Acad. Sci. USA, 第83巻, 6766-6770、及びThimら, FEBS Letters,第212巻, 2号, 307-312には、ヒトプロインスリン及びある種の修飾されたCペプチドを有する多くのインスリン前駆体の発現が開示されている。さらに、国際公開第97/03089号には、式BZAを有するインスリン前駆体の発現が開示されており、ここでB及びAは、少なくとも一のジスルフィド結合で結合しているヒトインスリンのA及びBペプチド鎖であり、Zは少なくとも一のタンパク質分解的切断部位を有するポリペプチドである。しかしながら、開示されているインスリン前駆体では、培養培地に分泌される成熟インスリンは少量にしかならない。
自然には分泌顆粒を形成できない遺伝子操作動物細胞において成熟インスリンを作製する方法が米国特許第6348327号に開示されている。
本発明の目的は、高価で多大な時間がかかる下流の精製プロセス工程が回避されるように、高収率で、十分にプロセシングされた成熟インスリン又はインスリンアナログを生産可能な真菌株を開発することである。
一態様では、本発明は成熟したヒトインスリン又はそのアナログを作製する方法に関し、該方法は、ヒトインスリン又はヒトインスリンアナログの前駆体をコードするDNA配列を含有する真菌細胞を培養し、該前駆体は、ヒトインスリン又はそのアナログのB鎖、ヒトインスリン又はそのアナログのA鎖、B鎖とA鎖とを結合させるCペプチドを含み、少なくとも一のKex2切断部位を有し、B鎖が、真菌細胞内でのより効果的なKex2切断を促進するC末端伸長を有しており、但し、B鎖がKex2切断部位を一つだけ有しているならば、N末端から数えてC末端伸長における第1のアミノ酸残基がMet残基ではなく、さらに培養培地から発現した生成物を単離することによりなされる。
一実施態様では、B鎖のC末端伸長は、2−5のアミノ酸残基長である。
一実施態様では、B鎖のC末端伸長は、2−4のアミノ酸残基長である。
一実施態様では、B鎖のC末端伸長は、2−3のアミノ酸残基長である。
一実施態様では、B鎖のC末端伸長は、2のアミノ酸残基からなる。
C末端伸長におけるアミノ酸残基は同一でも異なっていてもよい。
一実施態様では、B鎖のC末端伸長におけるアミノ酸残基は、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met及びAlaからなる群から選択される同一又は異なっている疎水性アミノ酸残基である。
他の実施態様では、B鎖のC末端伸長におけるアミノ酸残基は、Phe、Leu、Ile、Val及びAlaからなる群から選択される疎水性アミノ酸残基である。
他の実施態様では、N末端から数えて、B鎖のC末端伸長における第1のアミノ酸残基はLeuである。
一実施態様では、B鎖のN末端伸長は、CペプチドにおけるKex2部位に直接結合している。
一実施態様では、B鎖のC末端伸長は、続いて、真菌細胞又は培養培地のいずれかにおいて、カルボキシペプチダーゼ活性により切断可能である。
さらなる実施態様では、B鎖のC末端伸長は、カルボキシペプチダーゼにより切断されて、成熟したヒトインスリン又はそのアナログが生じる。
よって、本発明の一実施態様は、1)ヒトインスリン又はそのアナログのB鎖、ヒトインスリン又はそのアナログのA鎖、及びB鎖とA鎖とを結合させるCペプチドを含有し、少なくとも一のKex2切断部位を有する、ヒトインスリン又はヒトインスリンのアナログの前駆体をコードするDNA配列を含む真菌細胞を培養し、ここでB鎖は、真菌細胞内でのより効果的なKex2切断を促進するC末端伸長を有しており、但し、B鎖がKex2切断部位を一つだけ有しているならば、N末端から数えてC末端伸長における第1のアミノ酸残基がMet残基ではなく、2)培養培地にカルボキシペプチダーゼを添加するか又は内在性カルボキシペプチダーゼにより、B鎖のC末端伸長を切断し、3)培養培地から成熟したインスリン生成物を単離することによる、成熟したヒトインスリン又はそのアナログを作製する方法である。
カルボキシペプチダーゼ酵素は、B鎖のC末端伸長の効果的な除去を可能にする任意のカルボキシペプチダーゼ酵素でありうる。特に適した酵素は、カルボキシペプチダーゼY酵素(CPY)である。
CPYが内在性CPYであるならば、CPYをコードする内在性遺伝子は過剰発現され、培養培地に分泌される。
一実施態様では、Cペプチドは、少なくとも一のアミノ酸残基により結合している2つのKex2切断部位を有する。
さらなる実施態様では、2つのKex2部位は、1から約35のアミノ酸残基を有するペプチド鎖により結合している。
他の実施態様では、Kex2部位は、1から10のアミノ酸残基を有するペプチド鎖により結合している。
他の実施態様では、Kex2部位は、1から5のアミノ酸残基を有するペプチド鎖により結合している。
他の実施態様では、Kex2部位は、2−10、2−8、2−7、2−6、2−5又は2−4のアミノ酸残基を有するペプチド鎖により結合している。
他の実施態様では、Kex2部位は、3−5のアミノ酸残基を有するペプチド鎖により結合している。
一実施態様では、2つのKex2部位を結合させるペプチド鎖は、配列DLG、DDLG(配列番号1)、又はDDDLG(配列番号2)を有する。
他の実施態様では、Cペプチドは、A鎖のN末端アミノ酸残基に結合する単一のKex2切断部位を有する。
他の実施態様では、Cペプチドは、単一のKex2切断部位と、A鎖のN末端アミノ酸残基とKex2部位との間に挿入されるアミノペプチダーゼ切断部位を有する。
他の実施態様では、インスリン前駆体は、配列
B-X-X-Z-X-X-A
[上式中、Bは、インスリン又はそのアナログのB鎖であり、Aはヒトインスリン又はそのアナログのA鎖であり、Xは同一でも異なっていてもよく、真菌細胞内でのより効果的なKex2切断を促進する1−5のアミノ酸残基のペプチド配列であり、XはKex2切断部位であり、Zは、1〜約35のアミノ酸残基を有するペプチド配列又はペプチド結合であり、XはKex2切断部位又はペプチド結合であり、Xはアミノペプチダーゼ切断部位又はペプチド結合であり、但しX及びXが双方ともペプチド結合である場合、XにおけるN末端から第1のアミノ酸残基はMet残基ではない]
を有する。
他の実施態様では、Xは2−5のアミノ酸残基長である。
他の実施態様では、Xは2−4のアミノ酸残基長である。
他の実施態様では、Xは2−3のアミノ酸残基長である。
他の実施態様では、Xは2のアミノ酸残基からなる。
他の実施態様では、Xにおけるアミノ酸残基は、同一でも異なっていてもよく、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met及びAlaからなる群から選択される疎水性アミノ酸残基である。
他の実施態様では、Xにおけるアミノ酸残基は、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met、Ala、Asp及びGlyからなる群から選択される。
本発明の一実施態様では、XはLeu-Alaである。
本発明の他の実施態様では、XはPhe-Leuである。
本発明の他の実施態様では、XはLeu-Glyである。
本発明の他の実施態様では、XはLeu-Leuである。
本発明の他の実施態様では、XはLeu-Metである。
本発明の他の実施態様では、XはLeu-Ileである。
本発明の一実施態様では、XはKex2切断部位であり、Xはペプチド結合である。
本発明のさらなる実施態様では、XはKex2切断部位であり、Xはペプチド結合であり、Zは同一でも異なっていてもよく、2−10のアミノ酸残基のペプチド鎖である。
本発明のさらなる実施態様では、XはKex2切断部位であり、Xはペプチド結合であり、Zは同一でも異なっていてもよく、2−8のアミノ酸残基のペプチド鎖である。
本発明のさらなる実施態様では、XはKex2切断部位であり、Xはペプチド結合であり、Zは同一でも異なっていてもよく、3−5のアミノ酸残基のペプチド鎖である。
本発明のさらなる実施態様では、Xは同一でも異なっていてもよく、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met及びAlaからなる群から選択される2−5のアミノ酸残基を含み、XはKex2切断部位であり、Xはペプチド結合であり、Zは同一でも異なっていてもよく、3−5のアミノ酸残基のペプチド鎖である。
本発明のさらなる実施態様では、Xは同一でも異なっていてもよく、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met及びAlaからなる群から選択される2-5のアミノ酸残基を含み、XはKex2切断部位であり、Xはペプチド結合であり、Zは配列D-X-DLG(配列番号4)を有し、ここでXはA、R、N、D、N、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVからなる群から選択される。
本発明のさらなる実施態様では、Xは同一でも異なっていてもよく、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met及びAlaからなる群から選択される2-5のアミノ酸残基を含み、XはKex2切断部位であり、Xはペプチド結合であり、Zは配列DDXLG(配列番号24)を有し、ここでXはA、R、N、D、N、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVからなる群から選択される。
本発明のさらなる実施態様では、Xは同一でも異なっていてもよく、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met及びAlaからなる群から選択される2のアミノ酸残基からなり、XはKex2切断部位であり、Xはペプチド結合であり、Zは同一でも異なっていてもよく、3-5のアミノ酸残基のペプチド鎖である。
本発明のさらなる実施態様では、Xは同一でも異なっていてもよく、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met及びAlaからなる群から選択される2のアミノ酸残基からなり、XはKex2切断部位であり、Xはペプチド結合であり、Zは配列D-X-DLG(配列番号4)を有し、ここでXはA、R、N、D、N、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVからなる群から選択される。
本発明のさらなる実施態様では、Xは同一でも異なっていてもよく、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met及びAlaからなる群から選択される2のアミノ酸残基からなり、XはKex2切断部位であり、Xはペプチド結合であり、Zは配列DDXLG(配列番号24)を有し、ここでXはA、R、N、D、N、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVからなる群から選択される。
本発明の他の実施態様では、X及びZはペプチド結合であり、Xはアミノペプチダーゼ切断部位である。この実施態様では、適切なアミノペプチダーゼ切断部位はEAEA(配列番号3)である。
Zは、1、2、3、4、5、7、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30 31、32、33、34の35アミノ酸残基からのサイズであってよい。
一実施態様では、Zは、1−35、1−34、1−33、1−31、1−30、1−29、1−28、1−27、1−26、1−25、1−24、1−23、1−22、1−21、1−20、1−19、1−18、1−17、1−16、1−15、1−14、1−13、1−12、1−11、1−10、1−9、1−8、1−7、1−6、1−5、1−4、1−3又は1−2のアミノ酸残基のサイズのものである。
さらなる実施態様では、Zは、2−35、2−34、2−33、2−31、2−30、2−29、2−28、2−27、2−26、2−25、2−24、2−23、2−22、2−21、2−20、2−19、2−18、2−17、2−16、2−15、2−14、2−13、2−12、2−11、2−10、2−9、2−8、2−7、2−6、2−5、2−4又は2−3のアミノ酸残基のサイズのものである。
さらなる実施態様では、Zは、3−35、3−34、3−33、3−31、3−30、3−29、3−28、3−27、3−26、3−25、3−24、3−23、3−22、3−21、3−20、3−19、3−18、3−17、3−16、3−15、3−14、3−13、3−12、3−11、3−10、3−9、3−8、3−7、3−6、3−5又は3−4のアミノ酸残基のサイズのものであってよい。
さらなる実施態様では、Zは、4−35、4−34、4−33、4−31、4−30、4−29、4−28、4−27、4−26、4−25、4−24、4−23、4−22、4−21、4−20、4−19、4−18、4−17、4−16、4−15、4−14、4−13、4−12、4−11、4−10、4−9、4−8、4−7、4−6及び4−5のアミノ酸残基のサイズのものであってよい。
他の実施態様では、Zは1〜10のアミノ酸残基のサイズである。
他の実施態様では、Zは1〜5のアミノ酸残基のサイズである。
他の実施態様では、Zは2−10、2−8、2−7、2−6、2−5又は2−4のアミノ酸残基のサイズである。
他の実施態様では、Zは3−5のアミノ酸残基のサイズである。
さらなる実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるアミノ酸残基は、Leu、Ile、Tyr、Arg、Lys、His、Phe、Met、Val及びProからなる群から選択される。
一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるZのアミノ酸残基はLeuである。
一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるZのアミノ酸残基はIleである。
一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるZのアミノ酸残基はTyrである。
一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるZのアミノ酸残基はArgである。
一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるZのアミノ酸残基はLysである。
一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるZのアミノ酸残基はHisである。
一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるZのアミノ酸残基はProである。
一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるZのアミノ酸残基はPheである。
一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるZのアミノ酸残基はMetである。
一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるZのアミノ酸残基はValである。
Zの残りのアミノ酸残基は、同一でも異なっていてもよい、任意のコード可能なアミノ酸残基であってよい。しかしながら、一実施態様では、切断部位Xに対し最後から2番目の位置にあるアミノ酸残基は、Asp、Glu、Gly又はAlaではない。
一実施態様では、Zは、配列DLG、DDLG(配列番号1)又はDDDLG(配列番号2)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DLGを有する。
他の実施態様では、Zは配列D-X-DLG(配列番号4)を有し、ここでXはA、R、N、D、N、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVからなる群から選択される。
さらなる実施態様では、XはA、R、N、D、Q、H、I、L、P、S、T及びYからなる群から選択される。
一実施態様では、Zは配列DDDLG(配列番号2)を有する。
一実施態様では、Zは配列DADLG(配列番号5)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DRDLG(配列番号6)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DNDLG(配列番号7)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DQDLG(配列番号9)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DEDLG(配列番号10)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DGDLG(配列番号11)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DHDLG(配列番号12)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DIDLG(配列番号13)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DLDLG(配列番号14)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DKDLG(配列番号15)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DMDLG(配列番号16)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DFDLG(配列番号17)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DPDLG(配列番号18)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DSDLG(配列番号19)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DTDLG(配列番号20)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DWDLG(配列番号21)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DYDLG(配列番号22)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DVDLG(配列番号23)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDXLG(配列番号24)を有し、ここでXはA、R、N、D、N、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVからなる群から選択される。
他の実施態様では、XはR、N、D、N、E、H、K及びSからなる群から選択される。
一実施態様では、Zは配列DDALG(配列番号25)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDRLG(配列番号26)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDNLG(配列番号27)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDQLG(配列番号29)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDELG(配列番号30)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDGLG(配列番号31)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDHLG(配列番号32)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDILG(配列番号33)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDLLG(配列番号34)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDKLG(配列番号35)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDMLG(配列番号36)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDFLG(配列番号37)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDPLG(配列番号38)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDSLG(配列番号39)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDTLG(配列番号40)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDWLG(配列番号41)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDYLG(配列番号42)を有する。
他の実施態様では、Zは配列DDVLG(配列番号43)を有する。
標的インスリン分子は、修飾が該標的インスリン分子のインスリン活性に悪影響を及ぼさない限りは、A及び/又はB鎖がさらに修飾されたインスリンアナログであってもよい。
ここで使用される「インスリンアナログ」とは、天然インスリン中に生じる少なくとも一つのアミノ酸残基を欠失させ、及び/又は置換することにより、及び/又は少なくとも一つのアミノ酸残基を付加することによって、天然に生じるインスリン、例えばヒトインスリンの構造から形式的には誘導することができる分子構造を有し、インスリン活性を伴うポリペプチドを意味する。付加された及び/又は置換されたアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基又は他の天然に生じるアミノ酸残基又は純粋に合成のアミノ酸残基の何れかでありうる。
インスリンアナログは、ヒトインスリンと比較して、典型的には約7を越える変異、より典型的には5を越える変異、最も典型的には3を越える変異を含まない。
長年にわたって、インスリンA及び/又はB鎖におけるかなり多数の変異が開示されている。例えば、B鎖の28位は、天然のPro残基から、Asp、Lys、又はIleに修飾されていてもよく、またB29位のLysはProに修飾されていてもよい。
また、A21位のAsnは、Ala、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Met、Ser、Thr、Trp、Tyr又はVal、特にGly、Ala、Ser、又はThr、特にGlyに修飾されてもよい。さらに、B3位のAsnは、Lys又はAspに修飾されてもよい。インスリンアナログのさらなる具体例は、des(B30)ヒトインスリン、B1及びB2の一方又は双方が欠失したインスリンアナログ;A鎖及び/又はB鎖がN末端伸長を有するインスリンアナログ、及びA鎖及び/又はB鎖がC末端伸長を有するインスリンアナログである。またA18位にある天然アミノ酸残基はGln残基に変化していてもよく、またB26−B30位又はB27−30位にある一又は複数のアミノ酸残基は欠失している。
本方法で生産可能なインスリンアナログの具体例は、GlyA21ヒトインスリン、GlyA21des(B30)ヒトインスリン、desB1ヒトインスリン、des B30ヒトインスリン、AspB28ヒトインスリン、及びLysB28ProB29ヒトインスリンである。
インスリンアナログのさらなる具体例は、A21、B10、A8、A14、B25、B27及びB1の一又は複数の位置に変異を含むヒトインスリンアナログである。
また標的インスリン分子は、B鎖のC末端伸長が後続する切断工程で切断されないインスリン分子であってもよい。
このようなインスリンアナログは構造B-X……Aを有し、ここでB、A及びXは上述した意味を有し、B及びA鎖はヒトインスリンと同様、2つのジスルフィド架橋により結合している。
真菌細胞は、全ての真菌が、本タイプのインスリン前駆体分子を切断し、連結ペプチドを切断し、2つの鎖分子を遊離させるのに必要なタンパク質分解活性を有しているので、任意の真菌細胞であってよい。しかしながら、長年をかけて、酵母が、インスリンサイズの小ペプチドの発現及び分泌に効果的な細胞腫であることが分かってきた。特に、酵母Saccharomyces cerevisiaeが有用であることが判明している。
よって、本発明の一実施態様では、真菌細胞は酵母細胞であり、さらなる実施態様では、酵母細胞はSaccharomyces cerevisiaeである。
さらなる態様では、本発明は、ヒトインスリンのB鎖のC末端伸長を有するインスリンアナログに関する。この伸長は、典型的にはPhe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met、Asp、Gly及びAlaからなる群から選択される1−5のアミノ酸残基を有するであろう。
C末端伸長を有するインスリンアナログの非限定的な例は、B31Leu、B32Alaヒトインスリン;B31Leu、B32Ala、desB30ヒトインスリン、B31Phe、B32Leuヒトインスリン、及びB31Phe、B32Leu、desB30ヒトインスリンである。
本発明のヒトインスリンアナログは、インスリンに対して感受性である状態の治療に使用されうる。よって、それらは、1型糖尿病、2型糖尿病及び高血糖症、例えば重篤に傷害を被った人及び大手術を受けた人にしばしば見られる場合に使用することができる。
さらなる態様では、本発明は、適切な製薬的に許容可能なアジュバント及び添加剤、例えば安定化、保存(防腐)又は等張性に関して適切な一又は複数の薬剤と組合せて、ヒトインスリンアナログを含有する製薬用製剤に関する。
図1は、ESI42-33と呼ばれる酵母プラスミドの例を示す。プラスミドは、S. cerevisiaeTPI遺伝子の転写プロモーター及び転写ターミネーターの間に、プラスミド中に挿入されるEcoRI-XbaI断片を含む発現カセットを含んでいる。 図2は、インスリン前駆体A14E、B25H、B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号45)-(A1-21)ヒトインスリンをコードするNcoI-XbaI DNA断片(配列番号44)と短い上流配列を含むインスリン前駆体のアミノ酸配列(配列番号46)を示す。 図3は本発明の一実施態様の切断配列を示す。 図4は本発明の他の実施態様の切断配列を示す。 図5は本発明のさらなる実施態様の切断配列を示す。
発酵ブロスに成熟生成物を直接分泌させることによるインスリンの生産には、各末端に切断部位に隣接する連結ペプチドを含むインスリン前駆体の細胞内プロセシングが必要である。このような連結ペプチドはB-KR(W)KR-A型のものであり得、ここでBはヒトインスリンのB鎖であり、AはヒトインスリンのA鎖であり、Wは可変長のペプチドである。細胞内プロセシングはゴルジペプチダーゼKex1及びKex2により促進される。このプロセスには2つの重要な問題があった:1)B鎖に結合したKex2部位を消化するKex2の能力は、B鎖の残基29及び30によって強く影響される、2)細胞から分泌される生成物は、成熟インスリンとB30スレオニンを欠くインスリンの混合物である。B30Thrの除去の原因となるタンパク質分解活性は、Kex1である蓋然性が高い。しかし、インスリンの2つの形態は下流プロセシングで分離できず、より均質な生成物の形成の確保が重要になる。
本発明の修飾されたCペプチドは、インスリン分子のA鎖及びB鎖から修飾されたCペプチドの効果的な切断を促進させ、成熟インスリン分子が形成されるように設計される。上述の問題に対処している新型のCペプチドが開発された。本発明では、B鎖は、CペプチドのKex2部位にその他端が結合した短いペプチド配列で、そのC末端が伸長している。この位置に短いアミノ酸配列が挿入されると、N末端Kex2部位が最適化されて、より効果的なKex2切断が可能となる。Kex1及びKex2による完全なプロセシングで、B-(X)……Aの形態でB鎖のC末端の伸長を有する2本鎖インスリン前駆体分子になり、ここでXはB鎖に対するC末端伸長であり、A鎖及びB鎖は2つのジスルフィド架橋により結合している。
液胞型酵母プロテアーゼのカルボキシペプチダーゼY(CPY)は、それがThr(ヒトインスリン分子におけるこの位置の天然アミノ酸残基)であるならば、B30アミノ酸残基の除去には効果的でないことが判明している。さらに、連結ペプチドのKex2部位のN末端とB30アミノ酸残基のC末端の余分なアミノ酸残基は、最終的により均質な生成物の形成に至るCPYのための最適な基質になるように設計されうる。
CPYにより触媒されるタンパク質分解工程は、次の3つの方法により、起こりうる:
1)細胞から分泌されているC末端が伸長した2本鎖産物B-(X)……Aをプロセシングするために、発酵ブロスにCPYを直接添加することによる;
2)分泌経路を介して向かっている内在性CPYによってC末端伸長した2本鎖産物B-(X)……Aをプロセシングすることによる、又は
3)CPYをコードする遺伝子PRC1の過剰発現、もしくは培養培地へのCPYの誤った局在化に至らしめる変異により、CPYで2本鎖生成物B-(X)……Aをプロセシングすることによる。
野生型の酵母株では、CPYは液胞に局在している。ゴルジ体から液胞への、不活性な前駆体、プロCPYの移動は、液胞型タンパク質選別機構により媒介される。PRC1の過剰発現により、液胞型タンパク質選別の飽和に至り、それによってCPYが外部に分泌される(Stevensら, J. Cell Biol. 102 (1986),1551-1557)。また、培養培地への分泌は、液胞型タンパク質選別に関与するタンパク質をコードする遺伝子におけるある種の変異によってもまた達成されうる(Rothman及びStevens, Cell, 47 (1986), 1041-1051)。例えば、VPS1が欠失すると、CPYが効果的に分泌される(Nielsenら, App. Microbiol. Biotech. 33 (1990) 307-312)。また、CPYのプロペプチドにおける変異により、分泌フェノタイプが生じる(Vallsら, J. Cell Biol. 111 (1990), 361-368)。
A鎖のN末端から可能な伸長を除去するタンパク質分解工程は、アミノペプチダーゼにより触媒されうる。ジペプチジルアミノペプチダーゼは、ポリペプチドのN末端からのジペプチドの逐次的除去を触媒する。CPYプロセシングと同様、タンパク質分解工程は、発酵ブロスに直接添加されるか、又は細胞内部に存在して培養培地に分泌されるジペプチジルアミノペプチダーゼにより行うことができる。酵母Saccharomyces cerevisiaeは2つの内在性ジペプチジルアミノペプチダーゼ、液胞型タンパク質Dap2p及びゴルジ膜内在性タンパク質Ste13pを内部に有している(Robertsら, (1989), J. Cell Biol. 108:1363-1373; Juliusら, (1983), Cell 32:839-852)。Ste13pはX-Ala-又はX-Pro-配列(ここでXはアミノ酸である)のカルボキシル側で切断され、分泌経路を横切るインスリン前駆体分子のプロセシングに寄与しうる。
本発明の種々のプロセシングパターンを図3−5に模式的に示す。
図3において、インスリン前駆体コンストラクトは、連結ペプチド内に、配列XXにより例証される、B鎖のC末端伸長、KR、及び一つのKex2を有する。第1の切断は、Kex2によるKex2部位の切断であり、単鎖構造を、B鎖に結合し、配列XXKRを有する2本鎖構造に開裂させる。ついで、酵素Kex1はKR配列を切断し、最終的にカルボキシペプチダーゼはB鎖のXX伸長部を切断して、成熟した2本鎖インスリン生成物が付与されるであろう。
図4には、他の実施態様が例証されている。この実施態様では、インスリン前駆体は、連結ペプチド内に、単一のKex2部位とアミノペプチダーゼ切断部位、YYを有する。図3におけるように、Kex2、Kex1及びカルボキシペプチダーゼは、XX-KR配列を除去するであろう。しかしながら、この実施態様では、最終的なアミノペプチダーゼ切断はYY配列を除去し、成熟した2本鎖インスリン生成物を生じるであろう。
図5に示された実施態様では、インスリン前駆体は、ペプチダーゼ鎖Zにより結合された2つのKex2切断部位を有している。Kex2による第1の切断でZ-KR配列が除去され、Kex1がKR配列を切り離し、最後にカルボキシペプチダーゼがXX配列を除去する。
Kex2及びKex1切断の双方は、真菌細胞内で生じるが、上で説明したように、カルボキシペプチダーゼによる切断は真菌細胞又は培養培地のいずれかで生じうることに留意すべきである。さらに、カルボキシペプチダーゼは内在性酵素であってもよいし、培養培地に添加されてもよい。同じことが、図4に示されるアミノペプチダーゼ切断にも当てはまる。
該プロセスの標的インスリン産物は、2本鎖ヒトインスリン又は2本鎖ヒトインスリンアナログで、B鎖に短いC末端伸長を有するものであってもなくてもよい。標的インスリン産物がB鎖のC末端伸長を有していない場合、B鎖のC末端伸長は、さらなる精製工程の前に、B鎖から続いて切断され得なければならない。B30位にあるアミノ酸残基に応じて、カルボキシペプチダーゼはB30アミノ酸残基を切り離し、desB30インスリンアナログを生じる。
B鎖のC末端伸長の除去は、典型的にはカルボキシペプチダーゼ活性により行われる。このようなカルボキシペプチダーゼ活性により触媒されるタンパク質分解工程は、発酵ブロスに適切な酵素を直接添加することにより達成することができ、細胞により分泌される前駆体分子中のB鎖のC末端伸長がプロセシングされる。
カルボキシペプチダーゼは、任意の適切な天然のカルボキシペプチダーゼ、例えばCPY、又はその突然変異体であってよい。
あるいは、伸長は、分泌経路を介して出てくる細胞内の前駆体分子のカルボキシペプチダーゼ(内在性又はプラスミドから発現)によりプロセシングされうる。
よって一実施態様では、B鎖のC末端伸長は、真菌細胞内で切断され、他の実施態様では、培養培地において切断され、成熟したヒトインスリン又はそのアナログが形成される。
Cペプチドは、典型的には2つのKex2切断部位を有し、2つのKex2部位の間にはペプチド配列が挿入されている。2つのKex2部位の間にあるペプチド配列の長さ及びアミノ酸組成は、発現した単鎖インスリン前駆体の折り畳みと、前駆体分子における正しく位置したジスルフィド架橋の確立を可能にする限り、変化してもよい。
天然のCペプチドのサイズは35アミノ酸残基である。よって、本発明の一態様では、2つのKex2部位の間にあるペプチド配列は、天然Cペプチドとほぼ同じ長さのものであろう。
A鎖に結合したKex2部位の切断は、2つのKex2部位の間に挿入されるペプチド配列が、A鎖に隣接するKex2部位に対して最後から2番目の位置に、Leu、Ile、Tyr、Arg、Lys、His、Pro、Phe、Met又はValアミノ酸残基を有するならば高められうる。また我々は、同位置のアミノ酸残基がAsp、Glu、Gly又はAlaではないことを見出した。
真菌細胞から大量の成熟したインスリン又はインスリンアナログが生成されると、製薬目的のために十分に高い純度のインスリン産物を生産するのに必要な下流の精製工程の数を有意に減少させることができる。例えば、米国特許第4916212号に開示されている酵母中でインスリンを作製する方法では、インスリン前駆体は2つの工程、すなわち単鎖インスリン前駆体B(1-29)-Alal-Ala-Lys-A(1-21)をヒトインスリンのエステルへ転換させるペプチド転移と、次のインスリンエステルのヒトインスリンへの加水分解によって、ヒトインスリンに転換される。各転換工程は、最初の分離工程と、後続する少なくとも一の精製工程が必要である。よって、成熟したインスリンの生産には、少なくとも一の酵素転換を含む少なくとも6つの付加的な工程が必要である。
酵素的切断は、100%切断には達せず、製薬用製品の場合には効果的に除去されなければならない未切断の不純物又は部分的に切断された不純物を残すことはよく知られている。よって、各切断工程には、少なくとも一の単離又は精製工程、典型的には交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等によるクロマトグラフィー精製が続くであろう。
商業的規模で使用されるクロマトグラフィー用カラム材料は、非常に高価であり、よって、このようなクロマトグラフィー工程の数を減らすことは、生産経済において、顕著な影響を持っている。また下流の転換及び精製工程を減らすと、労働者の仕事量及びプロセスに費やされる時間がさらに減少し、よって生産経済がさらに改善される。
本プロセスでは、成熟したインスリン又はそのアナログは、培養ブロスから直接、高収率で単離することができ、製薬用途に十分な純度の生成物を生成させるのに必要な下流のプロセス工程がさらに減少する。
インスリン前駆体をコードするDNA配列は、ゲノム又はcDNA由来のものであり、例えばゲノム又はcDNAライブラリーを調製し、標準的な技術(例えば、Sambrook, J, Fritsch, EF及びManiatis, T, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York、1989)に従い、合成オリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーションにより、ポリペプチドの全体又は一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることにより得られる。またインスリン前駆体をコードするDNA配列は、確立された標準的な方法、例えばBeaucage及びCaruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859-1869に記載されたホスホアミダイト法、又はMatthesら, EMBO Journal 3 (1984), 801-805により記載された方法により合成的に調製することもできる。さらに、DNA配列は、例えば米国特許第4683202号、又はSaikiら, Science 239 (1988), 487-491に記載されたようにして、特定のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応により調製されうる。
DNA配列は、組換えDNA手順を施しうる任意のベクターに挿入することができ、ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞にしばしば依存する。よって、ベクターは、自己複製ベクター、つまり染色体外体として存在し、その複製が染色体複製に独立であるベクター、例えばプラスミドでありうる。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されたときに宿主細胞ゲノム中に組み込まれ、それが組み込まれる染色体(群)と共に複製されるものであってもよい。
ベクターは好ましくはインスリン前駆体をコードするDNA配列がプロモーターのようなDNAの転写に必要とされる更なるセグメントに作用可能に結合している発現ベクターである。プロモーターは選択された宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列であり得、宿主細胞に相同的又は異種性のタンパク質コード遺伝子から誘導されうる。
酵母宿主細胞への使用に適したプロモーターの例には、酵母解糖遺伝子(Hitzemanら, J. Biol. Chem. 255(1980), 12073-12080; Alber及びKawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1(1982), 419-434、又はアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(Youngら, Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals(Hollaenderら編), Plenum Press, New York, 1982)、又はTPI1(米国特許第4599311号)又はADH2-4c(Russellら, Nature 304(1983), 652-654)プロモーターが含まれる。
また、インスリン前駆体をコードするDNA配列は、必要であるならば、適切なターミネーター、ポリアデニル化シグナル、転写エンハンサー配列、及び翻訳エンハンサー配列に作用可能に結合していてもよい。さらに本発明の組換えベクターは、ベクターが当該宿主細胞内で複製するのを可能にするDNA配列をさらに含みうる。
宿主細胞の分泌経路にインスリンを方向付けるために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列、又はプレ配列としても知られている)が、組換えベクター内に提供されてもよい。分泌シグナル配列は正確なリーディングフレームにおいて、インスリン前駆体をコードするDNA配列に結合している。分泌シグナル配列は、通常、ペプチドをコードするDNA配列に対し、5'に位置している。シグナルペプチドは、天然に生じるシグナルペプチド、又はその機能的部分であってよく、又は合成ペプチドであってもよい。
酵母における効果的な分泌のために、リーダーペプチドをコードする配列を、シグナル配列の下流とインスリン前駆体をコードするDNA配列の上流に挿入してもよい。
DNA配列又は組換えベクターが挿入される酵母宿主細胞は、インスリン前駆体を発現可能な任意の酵母細胞であってよく、Saccharomyces種、又はSchizosaccharomyces種、特にSaccharomyces cerevisiae又はSaccharomyces kluyveriの株が含まれる。適切な酵母細胞のさらなる例は、Kluyveromyces種、例えばK. lactis、Hansenula、H. polymorpha、又はPichia種、例えばP. pastoris(Gleesonら, J. Gen. Microbiol. 132、1986, pp.3459-3465;米国特許第4882279号を参照)ある。
異種DNAで酵母細胞を形質転換させ、異種ポリペプチドを生成させる方法は、例えば米国特許第4599311号、米国特許第4931373号、米国特許第4870008号、同5037743号、及び米国特許第4845075号に記載されている。形質転換細胞は、選択可能マーカーにより決定されたフェノタイプ、一般的には薬剤耐性、又は特定の栄養素、例えばロイシンの不在下で成長する能力によって選択される。酵母に使用される好ましいベクターは、米国特許第4931373号に記載のPOT1ベクターである。
本発明に係る方法は、いわゆる発酵プロセスである。発酵は、好ましくは、限定されないが、空気、酸素及びアンモニアからなる圧縮滅菌ガスを加えるための供給ラインを具備した無菌の攪拌タンクで実施される。発酵槽はpH、温度、圧力、攪拌速度、溶存酸素レベル、液体含有量、発泡レベル、供給添加速度、及び酸と塩基の添加速度をモニターする装置/センサーを含むことができる。さらに、発酵槽には、細胞密度、生理化学的形態の如何にかかわらず代謝産物及び生成物の濃度をモニターするための光学装置を具備可能である。揮発性化合物の形成及び消費は、発酵槽へのガス入口及び発酵槽からのガス出口におけるガス分析を使用してモニターされる。モニターされた変数の全ての信号は、変数を予め定められた範囲内に維持するか、又は時間に関して予め定められたプロファイルに従い連続的に変化させることを可能にする制御目的に使用することができる。また、変数は、他のモニターされた変化からの信号変化に応じて制御される。
発酵中に生成された所望の産物は、可溶性細胞外物質として、又は可溶性物質の形態か又は凝集物質を含む不溶性物質としての細胞内物質として存在する。生成物の形成は、構成的又は誘導的なものであり、微生物増殖に依存するか又は独立している。発酵プロセスは、100mL〜200000Lの範囲の作業容量を有するタンク中で実施される。発酵プロセスは、バッチプロセス、流加(フェドバッチ)プロセス、繰り返しフェドバッチプロセス、又は連続プロセスとして操作されうる。
発酵プロセスで細胞を培養するために使用される培地は、宿主細胞の増殖に適した任意の一般的な培地、例えば適切な栄養補助剤(サプリメント)を含む最小又は複合培地でありうる。適切な培地は商業的供給者から入手可能であり、又は公開されているレシピ(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ)に従い調製することができる。例えば、培地は、少なくとも一の炭素源、一又は数種の窒素源、カリウム、ナトリウム、マグネシウムの塩、リン酸塩、硝酸塩及び硫酸塩を含む必須の塩、微量金属、水溶性ビタミン類、限定されるものではないが、プロセス補助剤、例えばプロテアーゼインヒビター、安定剤、リガンド、消泡剤及び誘導因子を含む。培地は、熱による滅菌を含むいくつかの操作条件において、液体培地に部分的に沈殿するか又は分散する成分を含んでいてもよい。培地は、数種の液体とガス状溶液を混合することにより作製することができる。これらの溶液は発酵槽に入れる前に混合することもできるし、予め定められた比率で添加された別々の液体流として発酵槽に供給される。培地成分の異なる液体溶液の比率は、発酵プロセスの様々な段階で変化し、これは培地の全体的な成分が、発酵の過程において変化することを意味する。
適切な発酵培地は、20〜60mMのPO 3−、50〜70mMのK、20〜35mMのSO 2−、4〜6mMのNa、6〜13mMのMg2+、0.5〜1.5mMのMn2+、0.02〜0.04mMのCu2+、0.1〜0.3mMのFe2+、0.01〜0.05mMのZn2+の塩、複合アミノ酸源の一部として添加される微少量のCo、Mo及びNi、1〜40g/Lの酵母抽出物、ビタミン類、例えばm-イノシトール(100〜250mg/L)、Ca-パントテン酸塩(2〜20mg/L)、チアミン、HCl(0.5〜20mg/L)、ピリドキシン(0.2〜20mg/L)、ナイアシンニコチンアミド(2〜7mg/L)、ビオチン(0.03〜0.8mg/L)、及びコリン-クエン酸二水素(0.1〜0.2mg/L)、リガンド、例えばクエン酸、HO(0.5〜7g/L)、及び炭素源としてのグルコース(50〜200g/L)を含んでいてもよい。窒素は、400〜1800mMの量で、ガス状NH又は液状NHOHとして連続的に添加される。カルシウム及びClの天然源として水道水が使用される。
ついで、細胞により生成されるペプチドは、遠心分離又は濾過、硫酸アンモニウム等の塩により上清又は濾液のタンパク質様成分を沈殿させることによって、培地から宿主細胞を分離させ、当該ペプチドのタイプに応じて、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の多様なクロマトグラフィー手順により精製することを含む常套的な手順により、培養培地から回収されうる。
培養ブロスからの単離後、成熟したインスリン又はインスリンアナログを、特にB29Lys残基のε-アミノ基をアシル化することにより、例えばアシル化形態に転換させることができる。インスリンをアシル化させる方法は当該分野でよく知られており、例えば欧州特許第792290号及び同894095号、米国特許第5693609号、同5646242号、同5922675号、同5750497号及び同6011007号に開示されている。
アシル化されたインスリンの例は、NeB29-テトラデカノイルdes(B30)ヒトインスリン、NεB29-リトコロリル-γ-グルタミルdes(B30)ヒトインスリン、NεB29-(Nα-(HOOC(CH)14CO)-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリン、又はNεB29-(Nα-(HOOC(CH)16CO)-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンである。
「desB30」又は「B(1-29)」とは、B30アミノ酸残基を欠く天然インスリンB鎖又はそのアナログを意味する。
B(1-30)はヒトインスリンの天然B鎖を意味し、「A(1-21)」は天然インスリンA鎖を意味する。
A18Qヒトインスリンは、ヒトインスリンA鎖のA18位にGlnを有するインスリンアナログである。B10E、A8H、A14Eは、それぞれB10位にGlu、A8位にHis、及びA14位にGluを有するインスリンアナログである。
「B1」、「A1」等とは、それぞれインスリンのB鎖の1位(N末端から数える)のアミノ酸残基及びインスリンのA鎖の1位(N末端から数える)のアミノ酸残基を意味する。特定の位置にあるアミノ酸残基は、例えばB1位のアミノ酸残基がフェニルアラニン残基であることを意味するPheB1として表すことができる。
「Cペプチド」とは、インスリン分子のA及びBペプチド鎖を互いに結合させるペプチド配列を意味する。
「成熟したインスリン」とは、正しいアミノ酸残基組成と、天然のヒトインスリン分子と同じ立体構造、すなわちCysA7とCysB7との間、及びCysA20とCysB19との間のジスルフィド架橋、及びCysA6とCysA11との間の内部ジスルフィド架橋、及びインスリン活性を有する2本鎖インスリンを意味する。よって、本発明の成熟したインスリンはヒトインスリンである。成熟したヒトインスリンのアナログは、先に説明したように、インスリン分子に一又は複数の変異を有するであろう。よって、成熟したインスリンアナログは、B28Aspヒトインスリン、desB30ヒトインスリン、A14Glu、B25Hisヒトインスリン、及びB31Leu、B32Alaヒトインスリンであってもよい。
ここで使用される「インスリン誘導体」なる用語は、例えばインスリン骨格の一又は複数の位置に側鎖が導入されることにより、もしくはインスリンのアミノ酸残基の基を酸化又は還元することにより、もしくは遊離のアミノ基又はヒドロキシ基をアシル化することにより、化学的に修飾された天然に生じるインスリン又はインスリンアナログを意味する。
「Kex2」又は「Kex2p」とは、2つの塩基性残基(リジン又はアルギニン)の配列の後に切断を優先的に触媒するサブチリシン様エンドプロテアーゼを意味する(Rockwell, NC, Krysan、DJ、Komiyama, T & Fuller, RS 2002 Precursor Processing by Kex2/Furin Proteases. Chem. Rev. 102: 4525-4548)。
「Kex1」又は「Kex1p」とは、C末端のリジル及び/又はアルギニル残基の除去を優先的に触媒するセリンカルボキシペプチダーゼを意味する(Shilton BH, Thomas DY, Cygler M 1997 Crystal structure of Kex1deltap, a prohormone-processing carboxypeptidase from Saccharomyces cerevisiae. Biochemistry 36: 9002-9012)。
CPYとは、疎水性又は大きなC末端アミノ酸残基、例えばPhe及びLeuの除去を優先的に触媒するカルボキシペプチダーゼYを意味する(Remington, S.J. & Breddam, K. (1994) Carboxypeptidases C and D. Methods Enzymol. 244、231-248)。
「正しくプロセシングされる」とは、正しいアミノ酸残基配列を有する所望の生成物が得られるように、所望の切断点で酵素的に切断することを意味する。
「効果的な切断」とは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも95%の切断を意味することを意図している。
「POT」は、Schizosaccharomyces pombeトリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子であり、「TP11」はS. cerevisiaeトリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子である。
「リーダー」は、プレペプチド(シグナルペプチド)及びプロペプチドからなるアミノ酸配列を意味する。
「シグナルペプチド」なる用語は、タンパク質の前駆体型においてN末端配列として存在するプレペプチドを意味するものと理解される。シグナルペプチドの機能は、異種タンパク質が小胞体中への転位置を容易にすることを可能にすることである。もちろん、シグナルペプチドはこのプロセス中に通常は切断される。シグナルペプチドはタンパク質を生産する宿主生物に対して異種又は同族であってもよい。
糸状菌宿主細胞についての有効なシグナルペプチドコード領域は、Aspergillus oryzaeのTAKAアミラーゼ遺伝子、Aspergillus nigerの中性アミラーゼ遺伝子、Rhizomucor mieheiのアスパラギン酸プロテイナーゼ遺伝子、Humicola lanuginosaのセルラーゼ又はリパーゼ遺伝子、又はRhizomucor mieheiのリパーゼ又はプロテアーゼ遺伝子、Aspergillus種のアミラーゼ又はグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiのリパーゼ又はプロテアーゼをコードする遺伝子から得られたシグナルペプチドコード領域である。シグナルペプチドは、好ましくはA. oryzaeのTAKAアミラーゼ、A. nigerの中性a-アミラーゼ、 A. nigerの酸安定性アミラーゼ、又はA. nigerのグルコアミラーゼをコードする遺伝子から誘導される。
酵母宿主細胞に有用なシグナルペプチドは、Saccharomyces cerevisiaeのa因子及びSaccharomyces cerevisiaeのインベルターゼに対する遺伝子から得られる。本発明のDNAコンストラクトと共に使用されうる多くのシグナルペプチドには、酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド、又は任意の機能的アナログ(Egel-Mitaniら、(1990) YEAST 6:127-137及び米国特許第5726038号)、MFα1遺伝子のα-因子シグナル(Thorner(1981)、The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces cerevisiae, Strathern等編, pp 143-180, Cold Spring Harbor Laboratory, NY、及び米国特許第4870008号)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(O. Hagenbuchleら, Nature 289、1981、pp. 643-646を参照)、修飾されたカルボキシペプチダーゼのシグナルペプチド(L.A. Vallsら, Cell 48、1987、pp. 887-897を参照)、及び酵母BAR1シグナルペプチド(国際公開第87/02670号を参照)が含まれる。
「プロペプチド」なる用語は、その機能が、発現したポリペプチドを小胞体からゴルジ体へ、さらには培地中への分泌のために分泌小胞へ向けることを可能にすることであるポリペプチド配列を意味する(すなわち、ポリペプチドは、酵母細胞のペリプラズム空間中に細胞壁又は少なくとも細胞膜を通って出て行く)。プロペプチドは酵母α因子プロペプチドであってもよい。米国特許第4546082号及び同4870008号を参照。あるいは、プロペプチドは、合成プロペプチド、つまり天然には見出されないプロペプチドであってもよい。適切な合成プロペプチドは米国特許第5395922号;同5795746号;同5162498号、国際公開第89/02463号、国際公開第92/11378号及び国際公開第98/32867号に開示されているものである。
また、本発明のポリヌクレオチド配列は、混合ゲノム、cDNA、及び合成由来のものであってよい。例えば、リーダーペプチドをコードするゲノム又はcDNA配列を、A鎖及びB鎖をコードするゲノム又はcDNA配列に結合させた後、よく知られた手順に従って相同組換えのために所望のアミノ酸配列をコードする合成オリゴヌクレオチドを挿入し、又は好ましくは適当なオリゴヌクレオチドを使用するPCRによって所望の配列を生産することによって、所定部位でDNA配列を修飾してもよい。
本発明は、選択された微生物又は宿主細胞中で複製可能であり、所望のインスリン産物をコードするポリヌクレオチド配列を担持するベクターを包含する。組換えベクターは、自己複製ベクター、すなわち染色体外体として存在するベクターで、その複製が染色体複製とは独立しているもの、例えばプラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、又は人工染色体でありうる。ベクターは自己複製を保証する任意の手段を含みうる。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されたときに、ゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体と共に複製されるものでありうる。さらに、単一のベクター又はプラスミド、又は宿主細胞のゲノムに導入されることになる全DNAを併せて含む2つ又はそれ以上のベクター又はプラスミド、あるいはトランスポゾンが使用されてもよい。ベクターは直鎖又は閉環状プラスミドであってよく、宿主細胞のゲノム中へのベクターの安定した組込み、又はゲノムとは独立した細胞におけるベクターの自己複製を可能にするエレメント(群)を好ましくは含む。
一実施態様では、組換え発現ベクターは酵母中で複製可能である。ベクターを酵母中で複製させることができる配列の例は、酵母プラスミド2μm複製遺伝子REP1-3及び複製起点である。
またベクターは、選択可能なマーカー、例えばその産物が宿主細胞における欠陥を補完する遺伝子、又は薬剤に耐性を付与するもの、例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシン、又はメトトレキサートをさらに含みうる。
糸状菌宿主細胞における使用される選択可能マーカーには、amdS(アセタミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、pyrG(オロチジン-5'-ホスファートデカルボキシラーゼ)及びtrpC(アントラニル酸シンターゼ)が含まれる。
酵母宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3である。酵母にとって好ましい選択可能なマーカーはSchizosaccharomyces pompeTPI遺伝子(Russell (1985) Gene 40:125-130)である。
ベクター中において、ポリヌクレオチド配列は適切なプロモーター配列に作用可能に結合している。プロモーターは、変異、切断、及びハイブリッドプロモーターを含む選択宿主細胞中で転写活性を示す任意の核酸配列であり得、宿主細胞に相同か又は異種性である細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
糸状菌宿主細胞において転写を行わしめるのに適切なプロモーターの例は、Aspergillus oryzaeのTAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiのアスパラギン酸プロテイナーゼ、Aspergillus nigerの中性アルファ-アミラーゼ、及びAspergillus nigerの酸安定性アルファ-アミラーゼから得られるプロモーターである。
酵母宿主では、有用なプロモーターは、Saccharomyces cerevisiaeMa1、TPI、ADH又はPGKプロモーターである。
本発明のポリヌクレオチドコンストラクトは典型的には適切なターミネーターに作用可能に結合しているであろう。酵母において、適切なターミネーターはTPIターミネーター(Alberら(1982) J. Mol. Appl. Genet. 1:419-434)である。
インスリン産物をコードするDNA配列、プロモーター、及び場合によってはターミネーター及び/又は分泌シグナル配列をそれぞれライゲーションし、複製に必要な情報を含む適切なベクターにそれらを挿入するのに使用される手順は、当業者によく知られている(例えば、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1989を参照)。
ベクターは、まず本発明のインスリン前駆体をコードする全DNA配列を含有するDNAコンストラクトを調製し、続いて適切な発現ベクターにこの断片を挿入するか、又は個々のエレメント(例えば、シグナル、プロペプチド、修飾されたCペプチド、A鎖及びB鎖)についての遺伝的情報を含むDNA断片を挿入し、続いてライゲーションすることにより構築されうることが理解されるであろう。
また本発明は、所望のインスリン産物をコードするポリヌクレオチド配列を含む組換え真菌細胞に関する。このようなポリヌクレオチド配列を含むベクターは、上述したように、ベクターが染色体組込み体として又は自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に導入する。「宿主細胞」なる用語は、複製中に生じる変異のために親細胞と同一ではない親細胞の任意の子孫を包含する。
本発明で使用される宿主細胞は真菌細胞である。ここで使用される「真菌」には、子嚢菌門、担子菌門、ツボカビ門、及び接合菌門(Hawksworthら, Ainsworth and Bisby's Dictionary of The Fungi, 8th edition, 1995, CAB International, University Press, Cambridge、UKにより定義)、並びに卵菌門(Hawksworth, 1995, 上掲, 171頁に引用)及び全ての栄養胞子形成菌(Hawksworthら, 1995, 上掲)が含まれる。
一実施態様では、真菌宿主細胞は酵母細胞である。ここで使用される「酵母」には、ascosporogenous酵母(エンドマイセス属)、basidiosporogenous酵母、及び不完全菌類に属する酵母(ブラストミセス属)が含まれる。ascosporogenous酵母はSpermophthoraceaeとSaccharomycetaceae種に分割される。後者は、4つのサブファミリーSchizosaccharomycoideae(例えば、Schizosaccharomyces属)、Nadsonioideae、Lipomycoideae、及びSaccharomycoideae (例えば、Pichia、Kluyveromyces及びSaccharomyces属)からなる。basidiosporogenous酵母には、Leucosporidim属、Rhodosporidium属、Sporidiobolus属、Filobasidium属、及びFilobasidiella属が含まれる。不完全菌類に属する酵母は、2つのファミリー、Sporobolomycetaceae(例えば、Sorobolomyces属及びBullera属)、及びCryptococcaceae(例えば、Candida属)に分割される。酵母の分類は、今後、変化する可能性もあるため、この発明の目的のためには、酵母はBiology and Activities of Yeast(Skinner, F.A., Passmore, S.M., 及びDavenport, R.R.編, Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9, 1980)に記載されているよう定義されるべきである。酵母の生物学及び酵母遺伝子のマニピュレーションは、当該分野においてよく知られている(例えば、Biochemistry and Genetics of Yeast, Bacil, M., Horecker, B.J., 及びStopani, A.O.M.編, 第2版, 1987;The Yeasts, Rose, A.H., 及びHarrison, J.S.編, 第2版, 1987;及びThe Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces, Strathernら編, 1981)。
酵母宿主細胞は、Candida種、Kluyveromyces種、Saccharomyces種、Schizosaccharomyces種、Pichia種、Hansenula種、 Yarrowia種の細胞から選択されうる。一実施態様では、酵母宿主細胞は、Saccharomyces carlsbergensis、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces diastaticus、Saccharomyces douglasii、Saccharomyces kluyveri、Saccharomyces norbensis、Saccharomyces oviformis、Schizosaccharomyces pombe、Sacchoromyces uvarum、Pichia kluyveri、Yarrowia lipolytica、Candida utilis、Candida cacaoi、及びGeotrichum fermentansである。他の有用な酵母宿主細胞は、Kluyveromyces lactis、Kluyveromyces fragilis、Hansenula polymorpha、Pichia pastoris、Yarrowia lipolytica、Schizosaccharomyces pombe、Ustilgo maylis、Candida maltose、Pichia guillermondii及びPichia methanoliolである(Gleesonら, J. Gen. Microbiol. 132, 1986,pp.3459-3465;米国特許第4882279号及び米国特許第4879231号を参照)。
一実施態様では、真菌宿主細胞は糸状菌細胞である。「糸状菌」には、真性動菌亜門及び卵菌亜門(Hawksworthらにより定義, 1995, 上掲)の全ての糸状菌形態が含まれる。糸状菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン、及び他の複合多糖類からなる植物性菌糸により特徴付けられる。糸状菌宿主細胞は、Acremonium、Aspergillus、Fusarium、Humicola、Mucor、Myceliophthora、Neurospora、Penicillium、Thielavia、Tolypocladium、及びTrichodermaからなる群から選択されうる。
「コード可能なアミノ酸」又は「コード可能なアミノ酸残基」なる表現は、ヌクレオチドのトリプレット(「コドン」) によりコード可能なアミノ酸又はアミノ酸残基を示すために使用される。
本文脈において、アミノ酸の3文字又は1文字標記を、次に示すようにその一般的な意味で使用した。明示的に示さない限り、ここに述べるアミノ酸はLアミノ酸である。さらに、ペプチドのアミノ酸配列の左及び右端は、特に記載しない限り、それぞれN末端及びC末端である。
Figure 2010504742
発酵とは、液体培地に浸される微生物を繁殖させるために用いる無菌の方法を意味する。好ましくは、発酵は、限定するものではないが、空気、酸素及びアンモニアからなる加圧した無菌ガスの添加のための供給ラインを有する無菌の撹拌タンク内で実施される。発酵槽は、pH、温度、圧力、撹拌速度、溶存酸素レベル、液内容、泡レベル、供給添加速度及び酸と塩基の添加速度をモニターするための装置/センサーを含みうる。さらに、発酵槽は、細胞密度のレベル、代謝産物の濃度及びそれらの生理化学的な形状にかかわらない生成物をモニターするための光学装置を具備しうる。揮発性化合物の形成及び消費は、発酵槽へのガス入口及び発酵槽からのガス出口におけるガス分析を使用してモニターされる。モニターされた変数の全ての信号は、変数を予め定められた範囲内に維持するか、又は時間に関して予め定められたプロファイルに従い連続的に変化させることを可能にする制御目的に使用することができる。また、変数は、他のモニターされた変化からの信号変化に応じて制御される。
発酵中に生産される所望の生成物は、可溶性細胞外物質として又は可溶性物質ないしは凝集した物質を含む不溶性物質のいずれかの形態の細胞内物質として存在する。生成物の形成は、恒常的又は誘導されるものであり、微生物の成長に依存しているか又は独立したものである。発酵プロセスは、100mLから200000Lの範囲の作業容量を有するタンク内で実施される。発酵プロセスは、バッチプロセス、流加(フェドバッチ)プロセス、反復流加プロセス又は連続プロセスとして操作されうる。
バッチプロセスとは、微生物がタンクに加えられる前に、無菌の培地が発酵槽内に含まれている発酵を意味する。この工程の間、酸、塩基、消泡剤、阻害薬、安定剤及びインデューサーが自動的に又は手動で加えられる。酸及び塩基は、溶液として又はガス状成分として加えられる。これらの成分は1つの供給ラインから添加されてもよいし、異なるラインで発酵槽に供給されてもよい。発酵槽内容物は、発酵プロセスの間に分析のために取り出されるだけである。発酵槽の全ての内容物は発酵プロセス終了時に回収される。しかしながら、逐次のバッチプロセスでは、発酵糟の内容物は部分的に回収されるのみであって、発酵糟に新鮮な無菌の培地を再度充填し、更なるバッチ発酵を実行させる。
流加プロセスは、微生物が加えられる前に、一部の培地のみが発酵槽に充填される発酵である。残りの培地成分又は既に一部が添加された培地成分の残りの量は、一パルスとして、一連の不連続なパルスとして、又は一定速度ないしは可変速度で添加される連続流量として、発酵槽に供給される。流加プロセスに先立ち、バッチプロセスを行い、続いて流加運転モードを行うことができる。この工程の間に発酵槽に加えられる培地成分は、限定するものではないが、増殖制限成分、微量可溶性成分、揮発性成分又は液体環境中で限られた安定性を有する成分からなる。微生物の成長速度は、発酵槽に加えられる培地成分の速度の調整によって制御されうる。このプロセスの間、酸、塩基、消泡剤、阻害薬、安定剤及びインデューサーが、自動又は手動で加えられる。酸及び塩基は、溶液の一部として又はガス状の成分として加えられる。流加プロセスの間に加えられる全ての成分は、1つの供給ラインから添加されてもよいし、異なるラインで発酵槽に供給されてもよい。発酵槽内容物は、発酵工程の間に分析のために取り出されるだけである。発酵槽の全ての内容物は工程の終了時に回収される。
流加プロセスの変法は反復流加プロセスである。反復流加発酵は流加プロセスと同様に実施するが、一部の発酵槽内容物を工程の間に一又は数回取り除く。一部の発酵槽内容物の除去の後に、新鮮な培地を加えてもよい。新鮮な培地の添加の後にバッチプロセスを行い、流加プロセス操作を再開してもよい。新鮮な培地の組成物と流加プロセスの間に加えられる培地は、必ずしも同一であるというわけではない。
連続プロセスとは、微生物が加えられ、発酵が始まる前に、いくらかの培地が加えられるタンク内での発酵を意味する。阻害薬、インデューサー、消泡剤、酸、塩基及び生成物を安定させる成分と共に増殖のために必要な全ての培地成分を含む新鮮な培地が、連続的に加えられる。用いた培地の安定性を増すかその質を改善するために、これらの成分は異なる供給ラインで発酵槽に供給されてもよいし、1つの供給ラインから添加されてもよい。酸及び塩基は、溶液の一部として又はガス状の成分として加えられる。すべての成分は、一連の不連続なパルスとして、又は一定速度ないしは可変速度で添加される連続流として、発酵槽に加えられる。発酵槽内容物の回収は、所定の範囲内に発酵槽の内容物を維持するために、連続的に行われる。微生物の増殖は、発酵糟への培地添加の速度、並びに発酵槽内容物の調整によって、制御されてもよい。
培地とは、少なくとも一の炭素源、一又は複数の窒素源、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン酸塩、硝酸塩及び硫酸塩の塩類を含む必須塩類、微量金属、水溶性ビタミン、限定するものではないがプロテアーゼインヒビター、安定剤、リガンド、消泡剤及びインデューサーを含むプロセス助剤を含有する溶液を意味する。培地は、熱による殺菌を含むいくつかの操作条件下で液体培地中に分散するか又は部分的に沈殿する成分を含有してもよい。培地は、いくつかの液体とガス状の溶液を混合することによって作製してもよい。これらの溶液は発酵槽に入れる前に混合されうるか、又は所定の比率で加えられる異なる液体流として発酵槽に供給される。培地成分の異なる溶液間の比率は、発酵プロセスの様々な段階で変化してもよく、これは、培地の組成物全体が発酵プロセスの間に異なってもよいことを意味している。以下の表は、異なる培地成分の濃度範囲の一覧を含む。これらの濃度は、加えた培地成分の全量を発酵糟中の培地の初期容量で除して算出される。連続的な培養のための培地濃度は、発酵槽に入れる培地中の濃度として含まれる。
以下の表は、発酵培地の典型的な成分の概要である。
Figure 2010504742
Figure 2010504742
この発明のインスリンアナログを含む製薬用組成物は、インスリンに対して感受性である状態の治療に使用することができる。よって、それらは、1型糖尿病、2型糖尿病 及び高血糖症、例えば重篤に傷害を被った人及び大手術を受けた人にしばしば見られる場合に使用することができる。任意の患者に最適な服用レベルは、使用する特定のインスリンアナログの有効性、患者の年齢、体重、身体活動性及び食餌を含む様々な因子、他の薬剤との考えられる組み合わせ、そして治療される症状の重症度に依存する。本発明のインスリンアナログの1日の投与量は、既知のインスリン組成物に関するものと同様に、当業者によって個々の患者について決定されることが推奨される。
インスリンアナログの製薬用組成物は通常のアジュバント及び添加剤を含み、好ましくは水溶液として製剤化される。水性媒体は、例えば塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム又はグリセロールを用いて等張にされる。さらに水性媒体は、亜鉛イオン、バッファー及び保存料を含みうる。組成物のpH値は所望値に調節され、約4〜約8.5であってよい。
製薬用組成物は、通常のアジュバント、例えば安定化、保存又は等張に適した一又は複数種の薬剤、例えば亜鉛イオン、フェノール、クレゾール、パラベン、塩化ナトリウム、グリセロール又はマンニトールを含む。
医薬に使用されるバッファーは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸、又はそれらの混合物からなる群から選択されうる。
製薬的に許容可能な保存料は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、及びチオメロサール(thiomerosal)、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(3p-クロロフェノキシプロパン-1,2-ジオール)又はそれらの混合物からなる群から選択され得る。本発明のさらなる実施態様では、保存料は、0.1mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在している。本発明のさらなる態様では、保存料は、0.1mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在している。本発明のさらなる態様では、保存料は5mg/ml〜10mg/mlの濃度で存在している。本発明のさらなる実施態様では、保存料は10mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在している。これらの特定の保存料の各一が本発明の別の実施態様を構成する。製薬用組成物に保存料を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。
等張剤は、塩(例えば塩化ナトリウム)、糖又は糖アルコール、アミノ酸(例えば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール(例えばグリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)ポリエチレングリコール(例えばPEG400)、又はそれらの混合物からなる群から選択され得る。任意の糖、例えば単糖類、二糖類又は多糖類、又は水溶性グルカン類、例えばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、及びカルボキシメチルセルロース-Naを使用することもできる。一実施態様では、糖添加剤はスクロースである。糖アルコールは、少なくとも一の-OH基を有するC4-C8炭化水素と定義され、例えばマンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール(galactitol)、ズルシトール、キシリトール、及びアラビトールを含む。一実施態様では、糖アルコール添加剤はマンニトールである。上述の糖又は糖アルコールは、個々に又は組合せて使用することができる。糖又は糖アルコールが液状調製物に可溶性であり、本発明の方法を使用して達成される安定化効果に悪影響を与えない限りは、使用量に決まった限界はない。一実施態様では、糖又は糖アルコールの濃度は、約1mg/ml〜約150mg/mlである。本発明のさらなる実施態様では、等張剤は1mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在している、本発明のさらなる実施態様では、等張剤は1mg/ml〜7mg/mlの濃度で存在している。本発明のさらなる実施態様では、等張剤は8mg/ml〜24mg/mlの濃度で存在している。本発明のさらなる実施態様では、等張剤は25mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在している。製薬用組成物に等張剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。
ここに引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が、出典明示により個々にかつ特に援用され、その全内容がここに説明されるかの如く、その全体が出典明示によりここに援用される(法律により許容される最大範囲)。全ての表題及び副題は、ここでは便宜的に使用され、決して本発明を限定するものと解してはならない。ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解してはならない。ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。この発明は、適用される法律に容認される場合、ここに添付される特許請求の範囲に記載された全ての主題事項の変形態様及び均等物を含む。
一般的手順
全ての発現プラスミドは、欧州特許第171142号に記載されているものと類似するC-POTタイプのものである。これらは、S. cerevisiaeにおけるプラスミドの選択及び安定化の目的のために、Schizosaccharomyces pombeトリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子(POT)を含むことにより特徴付けられる2μベースの発現ベクターである。また、該プラスミドは、S. cerevisiaeトリオースリン酸イソメラーゼプロモーター及びターミネーター(図1)を含む。これらの配列は、1)リーダー及びインスリン産物の融合タンパク質をコードするEcoRI-Xbal断片の配列、及び2)発現ベクターの2μ領域におけるNcoI部位の除去を生じるサイレント変異が導入された点を除き、全ての配列が、プラスミドpKFN1003(国際公開第9010075号に記載)における対応配列に類似している。異なった融合タンパク質のクローニングを容易にするために、MFα1プレプロリーダーをコードするDNA配列が改変されてNcoI部位が導入され(図2を参照)、MFα1プレプロリーダーと呼ばれる。このようにNcoI-Xbal断片は、関心あるインスリンコンストラクトをコードするNcoI-Xbal断片によって単に置き換えられる。このようなNcoI-Xbal断片は、標準的な技術に従い、合成オリゴヌクレオチド及びPCRを使用して合成されうる。アルファ-リーダーに加えて、他のリーダーを使用することもできる。
酵母形質転換体は、宿主菌株であるS. cerevisiae株MT663又はME1719の形質転換により調製した。酵母菌株MT663(MATa/MATα pep4-3/pep4-3 HIS4/his4 Δtpi::LEU2/Δtpi::LEU2 Cir’)は、国際公開第92l11378号に関連して、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託されており、寄託番号DSM6278が付与されている。S. cerevisiae菌株ME1719(MATa/α leu2/leu2 pep4-3/pep4-3 Δtpi::LEU2/Δtpi::LEU2 Δura3/Δura3 Δyps1::URA3/Δyps1::ura3 Cir+)は国際公開第98/01535号に記載されている。
MT663又はME1719を、YPGaL(1%バクトイースト抽出物、2%バクトペプトン、2%ガラクトース、1%ラクテート)上で600nmでのO.D.が0.6になるまで増殖させた。培養物100mlを遠心分離にて回収し、10mlの水で洗浄し、再遠心分離し、1.2M ソルビトール、25mMのNaEDTA、pH=8.0及び6.7mg/mlのジチオトレイトールを含む10mlの溶液に再懸濁させた。該懸濁液を30℃で15分インキュベートし、遠心分離し、細胞を、1.2Mのソルビトール、10mMのNa2EDTA、0.1Mのクエン酸ナトリウム、pH05.8、及び2mgのNovozymC3234を含む10mlの溶液に再懸濁した。懸濁液を30℃で30分インキュベートし、遠心分離により細胞を収集し、10mlの1.2Mソルビトールと10mlのCAS(1.2Mのソルビトール、10mMのCaCI、10mMのトリスHCI(トリス=トリス(ヒドロキシメチル1)-アミノメタン)pH=7.5)で洗浄し、2mlのCASに再懸濁させた。形質転換のために、1mlのCAS懸濁細胞を、約0.1mgのプラスミドDNAと混合し、室温で15分放置した。1mlの(20%のポリエチレングリコール4000、10mMのCaCI、10mMのトリスHCI、pH=7.5)を添加し、混合物を室温でさらに30分放置した。この混合物を遠心分離し、ペレットを0.1mlのSOS(1.2Mのソルビトール、33%vlvのYPD、6.7mMのCaCI)に再懸濁し、30℃で2時間インキュベートした。ついで、懸濁液を遠心分離し、ペレットを0.5mlの1.2Mソルビトールに再懸濁した。ついで、6mlのトップアガー(1.2Mのソルビトールと2.5%の寒天を含む、Shermanら (1982) Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor LaboratoryのSC培地)を52℃で添加し、同じアガーを固化させたソルビトール含有培地を含むプレートの上に懸濁液を注いだ。
実施例1
インスリン前駆体A14E、B25H、B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号45)-A(1-21)のための酵母発現系の構築
図1には、pESI42-33と呼ばれる酵母プラスミドが示されている。該プラスミドは、S. cerevisiaeTPI遺伝子の転写プロモーターと転写ターミネーターとの間のプラスミドに挿入されたEcoRI-XbaI断片を含む発現カセットを含んでいる。プラスミドpESI42-33において、EcoRI-XbaI断片は、MFα1プレプロリーダー、二塩基プロセシングエンドペプチダーゼKex2に対するLys-Arg切断部位、及びインスリン前駆体A14E、B25H、B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号45)-A(1-21)からなる融合産物をコードしている。
インスリン前駆体A14E、B25H、B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号45)-A(1-21)をコードする配列を含むDNA断片を、合成オリゴヌクレオチド及び標準的なPCR増幅を使用して構築した。得られたPCR断片を精製し、NcoI及びXbaIで消化し、修飾されたcPOT型の発現ベクターのNcoI-XbaIベクター断片にライゲーションさせた(図1)。発現プラスミドを、大腸菌中で増殖させ、アンピシリンの存在下で増殖させ、標準的な技術を使用して単離した(Sambrookら, 1989)。プラスミドDNAを適切な制限ヌクレアーゼによる挿入についてチェックし(例えば、EcoRI、NcoI、XbaI)、配列分析により、インスリン前駆体A14E、B25H、B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号45)-A(1-21)の適切な配列を含むことが示された。図2に、NcoI-XbaI断片のDNA配列、及び配列番号46に対応する対応のアミノ酸配列が示されている。プラスミドをS. cerevisiae菌株MT663に形質転換させた。プラスミドを有する酵母形質転換体を、YPD(1%の酵母抽出物、2%のペプトン、2%のグルコース)アガー(2%)プレート上で炭素源としてのグルコース利用率によって選別した。
実施例2
発酵ブロスへのCPYの直接添加によるインスリン前駆体のプロセシング
A14E、B25H、B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号45)-A(1-21)の発現についてプラスミドを用いて形質転換されたS. Cerevisiae菌株MT663を、5g/Lの(NH)SO、184mg/Lの(NH)HPO、2.88g/LのKHPO、1.42g/LのMgSO・HO、1.28g/LのKSO、10.00g/Lのコハク酸、10.00g/Lのカザミノ酸、0.0112g/LのFeSO・7HO、0.0086g/LのMnSO O、0.0014g/LのCuSO・5HO、0.00185g/LのZnSO・7HO、0.0129g/LのCaCl2・2HO、0.071g/Lのクエン酸、28.0mg/Lのm-イノシトール、14.0mg/Lの塩化コリン、2.8mg/Lのチアミン、2.8mg/Lのナイアシンアミド、2.1mg/LのCa-パントテン酸、0.14mg/Lのビオチン、0.14mg/Lの葉酸、40g/Lのグルコースからなる5mlの培地に播種した。30℃で3日間培養した。発酵ブロスのLC-MS分析により、分泌された全インスリン種の〜50%が、十分にプロセシングされたことが示唆された(Mw=5763)。残った〜50%は、LAで伸長したB鎖のC末端を有するインスリン(Mw=5947)であった。LA伸長のタンパク質分解的除去について、100μlの発酵ブロスを、S.cerevisiae(〜0.1単位)から精製された0.8μlのCPYに添加し、LC-MS分析の前に、30℃で5分、インキュベートした。このことにより、LA伸長が完全に除去されたことが示された。
実施例3
実施例1に記載されたようにしてさらなるインスリンアナログを調製した。発現収率を、欧州特許第163529号に開示されたインスリン前駆体:B(1-29)-Ala-Ala-Lys-A(1-21)(MT748)の発現収率と比較した。さらに、Kex2により十分にプロセシングされた割合を測定し、B鎖のC末端伸長を有していないインスリンと比較した。全てのインスリンアナログはA14E及びB25H変異を有している。
結果を以下の表に表す。
Figure 2010504742
実施例4
発酵ブロスへのCPY及びDAP1の直接添加による単一Kex2部位でのインスリン前駆体のプロセシング
A14E、B25H、B(1-30)-LGRREAEA(配列番号47)-A(1-21)の発現についてプラスミドを用いて形質転換されたS. cerevisiae菌株MT663を、実施例2に記載されたようにして、5mlの培地に播種した。
30℃で3日間培養した。発酵ブロスのLC-MS分析により、分泌された全インスリン種の〜50%が、Kex1及びKex2によりプロセシングされ、LGで伸長したB鎖のC末端、及びEAEAで伸長したA鎖のN末端を有する形態(Mw=6333)に至ることが示唆された。残った〜50%はプロセシングされていない前駆体(Mw=6628)であった。
LG伸長のタンパク質分解的除去について、100μlの発酵ブロスを、S.cerevisiae(〜0.2単位)から精製された1.6μlのCPYに添加した。EAEA(配列番号3)を除去するために、ニワトリの肝臓から精製された5μl(〜0.1単位)のDAP1(カテプシンC、EC3.4.14.1)を添加した。LC-MS分析の前に、混合物を30℃で200分インキュベートした。このことにより、LG伸長が完全に除去され、〜75%のEAEA(配列番号3)伸長が除去され、成熟したインスリンアナログA14E、B25H-LGRREAEA(配列番号47)-(A1-21)(Mw=5763)が得られたことが示された。
実施例5
実施例1に記載されたようにしてさらなるインスリンアナログを調製した。発現収率を、上述したインスリン前駆体MT748の発現収率と比較した。全てのインスリンアナログはA14E、B25H変異を有する。
結果を以下の表に表す。
Figure 2010504742
実施例6
実施例1に記載されたようにしてさらなるインスリンアナログを調製した。これらのアナログにおいて、XはLAであり、XはRRであり、XはKRであり、及びXは結合であり、変異はA14E及びB25Hであり、ここでZは変化する。発現収率を、上述したインスリン前駆体MT748の発現収率と比較した。
結果を以下の表に表す。
Figure 2010504742
Figure 2010504742

Claims (15)

  1. ヒトインスリン又はヒトインスリンアナログの前駆体をコードするDNA配列を含有する真菌細胞を培養し、培養培地から所望の生成物を単離することにより、成熟したヒトインスリン又はそのアナログの作製方法であって、該前駆体が、ヒトインスリン又はそのアナログのB鎖、ヒトインスリン又はそのアナログのA鎖、B鎖とA鎖とを結合させるCペプチドを含有し、少なくとも一のKex2切断部位を有し、B鎖が、真菌細胞内でのより効果的なKex2切断を促進するC末端伸長を有しており、但し、B鎖がKex2切断部位を一つだけ含んでいるならば、N末端から数えてC末端伸長の第1のアミノ酸残基がMet残基ではない方法。
  2. B鎖のC末端伸長が、同一でも異なっていてもよい2−5又は2−4のアミノ酸残基を有する請求項1に記載の方法。
  3. B鎖のC末端伸長が、同一でも異なっていてもよい2−3のアミノ酸残基を有する請求項1に記載の方法。
  4. B鎖のC末端伸長が、同一でも異なっていてもよい2のアミノ酸残基からなる請求項1に記載の方法。
  5. B鎖のC末端伸長におけるアミノ酸残基が、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met及びAlaからなる群から選択される同一又は異なっている疎水性アミノ酸残基である請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. B鎖のC末端伸長におけるアミノ酸残基が、Phe、Leu、Ile、Val及びAlaからなる群から選択される疎水性アミノ酸残基である請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. N末端から数えてB鎖のC末端伸長における第1のアミノ酸残基がLeuである請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. B鎖のC末端伸長がB鎖中のKex2部位に直接結合している請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. B鎖のC末端伸長が、真菌細胞又は培養培地のいずれかにおいてカルボキシペプチダーゼ活性により続いて切断可能である請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. B鎖のC末端伸長がカルボキシペプチダーゼにより続いて切断されて、成熟したヒトインスリン又はそのアナログを生じる請求項9に記載の方法。
  11. カルボキシペプチダーゼが培養培地に添加される請求項10に記載の方法。
  12. Cペプチドが、少なくとも一のアミノ酸残基により結合した2つのKex2切断部位を有する請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 2つのKex2部位が、同一でも異なっていてもよい1から5のアミノ酸残基を有するペプチド鎖により結合している請求項12に記載の方法。
  14. 2つのKex2部位が、同一でも異なっていてもよい3−5のアミノ酸残基を有するペプチド鎖により結合している請求項12に記載の方法。
  15. インスリン前駆体が、配列
    B-X-X-Z-X-X-A
    [上式中、Bは、ヒトインスリン又はそのアナログのB鎖であり、Aはヒトインスリン又はそのアナログのA鎖であり、Xは同一でも異なっていてもよく、真菌細胞内でのより効果的なKex2切断を促進する1−5のアミノ酸残基のペプチド配列であり、XはKex2切断部位であり、Zは、1から約35のアミノ酸残基を有するペプチド配列又はペプチド結合であり、XはKex2切断部位又はペプチド結合であり、Xはアミノペプチダーゼ切断部位又はペプチド結合であり、但し、X及びXが双方ともペプチド結合である場合、XにおけるN末端から第1のアミノ酸残基はMet残基ではない]
    を有する請求項1に記載の方法。
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