JP2010503384A - ボレリア(Borrelia)抗原 - Google Patents

ボレリア(Borrelia)抗原 Download PDF

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Abstract

本発明は、タンパク質をコードする単離された核酸分子、高度免疫血清反応性抗原をコードする単離された核酸分子、このような核酸分子を含むベクター、このようなベクターを含む宿主細胞、ボレリア種に由来する高度免疫反応性抗原、好ましくは高度免疫血清反応性抗原であるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、抗原、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原を作製するための方法、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原を発現する細胞を作製するための方法、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原に結合する抗体、このような抗体を産生するハイブリドーマ細胞、このような抗体を作製するための方法、このような核酸分子、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、抗原、または抗体を含む薬学的組成物、医薬を製造するためのこのような核酸分子、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、抗原、または抗体の使用、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原の相互作用活性を減少させるかまたは阻害することができるアンタゴニストを同定するための方法、感染症を診断するための方法、および感染症を治療するための方法に関する。より具体的には、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原または抗原は、ライム病ボレリアに起因するライム病または細菌感染症を引き起こす細菌病原体によって産生されるか、またはそれらに関連している。

Description

本発明は、タンパク質をコードする単離された核酸分子、高度免疫血清反応性抗原をコードする単離された核酸分子、このような核酸分子を含むベクター、このようなベクターを含む宿主細胞、ボレリア(Borrelia)種に由来する高度免疫反応性抗原、好ましくは高度免疫血清反応性抗原であるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、抗原、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原を作製するための方法、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原を発現する細胞を作製するための方法、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原に結合する抗体、このような抗体を産生するハイブリドーマ細胞、このような抗体を作製するための方法、このような核酸分子、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、抗原、または抗体を含む薬学的組成物、医薬を製造するためのこのような核酸分子、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、抗原、または抗体の使用、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原の相互作用活性を減少させるかまたは阻害することができるアンタゴニストを同定するための方法、感染症を診断するための方法、および感染症を治療するための方法に関する。より具体的には、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原は、ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi s.l.)に起因するライム病または細菌感染症を引き起こす細菌病原体によって産生されるか、またはそれらに関連している。
ライムボレリア症またはライム病は、ヨーロッパおよび北アメリカで最も一般的に報告されているダニ媒介性疾患である。この疾患は、節足動物媒介性のスピロヘータであるライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi sensu lato)(B. burgdorferi s.l.)が原因で生じ、多数の器官または組織を巻き込み得る多臓器感染症であり、皮膚障害、心臓障害、神経学的障害、および筋骨格障害をもたらす。ライム病ボレリアは、12種の遺伝種に分類することができる。これら12種の遺伝種は、異なる地理的地域に存在し、リシナスマダニ(Ixodes ricinus)複合種(シュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)複合種とも呼ばれる)のマダニおよび広範囲の動物宿主を伴う地方病サイクルにおいて自然界に生息している(表A)。これら12種のうち、次の少なくとも3種は、ヒトに対して病原性である:ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)(Borrelia burgdorferi sensu stricto)(B. burgdorferi s.s.)、B.アフゼリ(B. afzelii)、およびB.ガリニ(B. garinii)。他の2種の遺伝種、すなわちB.ルシタニエ(B.lusitaniae)およびB.バライシアナ(B.valaisiana)は、ヒトにおいて時折検出されるが、ライムボレリア症におけるそれらの役割は依然として不明である。
(表A)ライム病ボレリア遺伝種、それらのマダニ媒介生物および地理的所在地
Figure 2010503384
ライムボレリア症は、1976年に新しい臨床単位として説明された。Allen C.Steereは、オールドライム(Old Lyme)(コネティカット州)の発疹および関節腫脹を示す人々の集団を調査し、ライムボレリア症を若年性関節リウマチと誤診した(Steere et al., 1977)。しかしながら、この疾患は、ヨーロッパでは1880年代から様々な名称で公知である。1883年には、Buchwaldが慢性の皮膚変化を説明し、これには慢性萎縮性先端皮膚炎(ACA)という名称が付けられた。1910年には、スウェーデン人医師Afzeliusが、昆虫またはマダニ刺咬後にできる環状に移動する赤い発疹を発見し、これには遊走性紅斑(EM)という名称が付けられた。マダニ刺咬後の神経学的症状は、フランス人研究者GarinおよびBujadouxによって1922年に説明された。1951年には、スウェーデン人臨床家Hollstromが、EM患者をペニシリンで治療するのに成功し、1984年には、EM病変から採取された皮膚生検材料においてボレリア細胞が観察された。髄膜炎を合併したEMは、おそらくは、ダニ媒介性または昆虫媒介性の細菌による感染症の結果であることが示唆された。ライムボレリア症の原因病原体は、1982年にW. Burgdorferおよび同僚によってついに発見された。彼らは、後にボレリア・ブルグドルフェリと名付けられたカタダニのクロアシマダニから、それまで未確認であったスピロヘータ細菌を単離した(Burgdorfer et al., 1982)。
ライムボレリア症の疫学
ライムボレリア症は、ヨーロッパおよび北アメリカで最も一般的なダニ媒介性人獣共通感染症である。大半の国において、これは届出疾患ではなく、1年当たり何件の新たな症例があるかを示す正確なデータは入手不可能である。アメリカ合衆国では、原因病原体はB.ブルグドルフェリ(狭義)であり、ライムボレリア症は、北東諸州、中部大西洋諸州、および北部の北中央諸州に位置している。2002年に、合計23,763症例のライムボレリア症がCDCに報告され、全国発生率は住民100,000人当たり8.2症例となった(Lyme Disease Surveillance in Morbidity Mortality Weekly Reports, 2004)。B.アフゼリおよびB.ガリニは、地理的所在地に応じて程度は落ちるが一因となるB.ブルグドルフェリ(狭義)と共に、ヨーロッパにおけるライムボレリア症の主な原因病原体である。ヨーロッパでは、ライムボレリア症の発生率は国によって異なる。東ドイツにおけるライムボレリア症の平均発生率は、それぞれ、2002年には人口100,000人当たり17.8症例、2003年には31%増加して23.3症例であった。オーストリアでは、ライムボレリア症の発生率ははるかに高く、住民100,000人当たり130症例である(Report of WHO workshop on Lyme borreliosis and Diagnosis and surveillance、ワルシャワ、ポーランド、1995年6月20日〜22日)。
農業家、森林作業員、ハイカー、ランナー、または休暇旅行者など一部のリスク群では、15歳未満の子供および39歳〜59歳の間の成人の場合のように、血清有病率および疾患発生率が上昇し、性別による差はない。ライムボレリア症の有病率は、様々なヨーロッパ諸国においてかなり異なり、西部から東部に行くにつれ全般に有病率が増加する。ライム病の高い発生率は、森林環境ならびに社会的要因の変化と関連している。森の分断のような環境変化は、オオカミのようなげっ歯動物捕食動物およびその餌動物のトリの減少をもたらし、その結果として、マウス集団が増大し、自動的にマダニ集団が増大した。より最近では、まだらな森林再生により、鹿の数が増加し、したがって、マダニの数が増加した。中流階級の郊外スプロール現象ならびにキャンピングおよびハイキングなどのレクリエーション用にこれらの森林地帯区域を使用することが増加したことにより、ヒトは、より多数の感染マダニとより頻繁に接触するようになった。これらのパラメーターはすべて、ライムボレリア症のより広い分布をもたらす一因となる。
ライムボレリア症の病原因子
ライム病ボレリアは、スピロヘータ科(Spirochaetaceae)に属し、スピロヘータ科は、医学的に重要なトレポネーマ(Treponema)属、レプトスピラ(Leptospira)属、およびボレリア属にさらに分けられる。ライム病ボレリアは、微好気性条件下で増殖する、らせん形状(長さ10〜20μm、幅0.2〜0.5μm)で、運動性が活発なグラム陰性細菌である。スピロヘータの細胞壁は、ペプチドグリカンおよび鞭毛、次いで緩く結合した外膜によって取り囲まれた細胞質膜からなる。ボレリアのゲノムは、おそらく、細菌のうちで最も構造的に複雑であり、1つの直鎖状染色体ならびに様々な数の直鎖状プラスミドおよび環状プラスミドの両方からなる(Xu et al., 1995)。
1997年に、B.ブルグドルフェリ(狭義)株B31のゲノムがTIGRによって完全に配列決定され(Fraser et al., 1997)、その後の解析により、1.5Mbのゲノム配列が、単一の染色体ならびに12個の直鎖状プラスミドおよび9個の環状プラスミドの著しく動的な補完物(complement)中にコードされていることが示された(Casjens et al., 2000)。B.ガリニ株PBiのゲノム配列は2004年に公開された(Glockner et al., 2004)。これらは、2つのプラスミドしか完全に組み立てることができず、残りのプラスミド配列は可変性のプラスミド配列として残されることから、複雑であり、かつ反復配列を多く含有することが示唆された。B.ブルグドルフェリ(狭義)株B31由来のゲノムとB.ガリニ株PBi由来のゲノムには92%のヌクレオチド配列同一性が認められ、プラスミドの配列の方が、より多岐にわたる。
染色体ゲノムの約90%はコード領域を含み、コードされる遺伝子の大多数は、公知の機能を有する遺伝子に相同である。これらは、DNA複製、転写、および翻訳;修復システムおよび組換え;輸送、栄養物取込み、およびエネルギー代謝;運動性および走化性、ならびに遺伝子発現の調節に関与するタンパク質をコードする。病原性に関連した遺伝子は、染色体外ゲノム上に主に位置している。アミノ酸、脂肪酸、補助因子、およびヌクレオチドの合成をコードしている遺伝子は、ボレリアのゲノムには存在しない。したがって、ボレリアは、インビトロで増殖させるには、BSK-II培地のような血清添加複合培地を必要とする。
ライムボレリア症の臨床症状発現
ライムボレリア症は、一般に、段階的に発生し、寛解および増悪を伴い、各病期で臨床症状発現は異なる(Steere, 1989)。第1期の感染初期は、皮膚の限局性感染からなり、次いで、数日または数週間内に第2期、すなわち播種性感染が起こり、数ヶ月〜数年後に、第3期、すなわち持続感染が起こる。しかしながら、感染は多様であり、一部の患者は皮膚の限局性感染しか示さないのに対し、他の患者は、関節炎のような疾患の後期の症状発現のみ示す。ライムボレリア症の様々な臨床症候群はまた、種々のライム病ボレリア種による感染によって引き起こされる。B.ブルグドルフェリ(狭義)は関節症状発現(関節炎)および心臓の問題を引き起こすことがより多く、B.アフゼリは主に皮膚症状(EM およびACA)を引き起こし、B.ガリニは主として神経ボレリア症の原因である。
限局性感染-
感染症の第1期の最も一般的な症状は遊走性紅斑であり、感染者の70〜80%で発生する。この皮膚病変の後に、しばしば、筋肉痛、関節痛、頭痛、および発熱などのインフルエンザ様症状が続く。これらの非特異的な症状は、遊走性紅斑を有する患者の50%において発生する。
播種性感染-
第2期の間に、細菌は感染部位から血流中に移動し、かつ、より離れた組織および器官へと移動する。この病期に発生する神経学的症状、心血管症状、および関節炎症状には、髄膜炎、脳神経障害、および間欠性炎症性関節炎が含まれる。
持続感染-
感染症の第3期は慢性であり、マダニ刺咬の数ヶ月後〜数年後に起こる。北アメリカで最も一般的な症状は関節リウマチであり、B.ブルグドルフェリ(狭義)による感染によって引き起こされる。B.ガリニによる中枢神経系の持続感染は、第3期の間により重度の神経学的症状を引き起こし、B.アフゼリによる皮膚の持続感染症は、慢性萎縮性先端皮膚炎をもたらす。
診断および治療
初期のライムボレリア症を診断するための最良のパラメーターは、特徴的な拡大する赤い皮膚病変またはEMである。残念ながら、患者の30%はこの発疹を発症せず、疲労、発熱、または頭痛など初期疾患の通常の症状は、非特異的すぎて診断に役立たない。有症状患者のライムボレリア症は、様々な血清学的検査を用いて診断することができ、最も一般的な診断検査法は、血清中のライム病特異的抗体を検査する間接的ELISAである。
抗微生物剤は、ライムボレリア症感染の治療の原則的方法である。使用される抗生物質は、疾患の病期、症状、および薬物投与に対する患者のアレルギーに応じて変わる。抗生物質コースの長さもまた、疾患の病期および症状の重症度に応じて変わる。初期のライムボレリア症は、典型的には、ドキシサイクリンのような経口用テトラサイクリン、およびアモキシリンまたはペニシリンVなどの半合成ペニシリンで治療される。関節炎障害および神経学的障害は、高用量の静脈内のペニシリンGまたはセフトリアキソンで治療される。
予防
生態学的条件が変化した結果として、ライムボレリア症の症例数は着々と増加している。さらに、予防が困難であることから、発病率は公衆衛生の問題であり続けるであろうことが示唆される。景観改変、防護服、マダニ検査、または個人的な防御処置は助けになるが十分ではなく、したがって、ライムボレリア症に対するワクチンが望ましい。
ワクチンは、あらゆる種類の様々な抗原を含んでよい。抗原の例は、完全に死滅させた生物もしくは弱毒化した生物、これらの生物/組織の細画分、タンパク質、またはそれらの最も単純な形態であるペプチドである。グリコシル化されたタンパク質またはペプチドの形態の抗原もまた、免疫系によって認識され得、また、多糖類もしくは脂質であってよく、またはそれらを含んでもよい。例えば、細胞障害性T細胞(CTL)は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と連係して、通常8〜11アミノ酸長の短いペプチドの形態の抗原を認識するため、短いペプチドが使用され得る。B細胞は、アミノ酸4〜5個ほどの短さの直鎖状エピトープ、ならびに3次元構造体(コンフォメーショナルエピトープ)を認識することができる。持続的な抗原特異的免疫応答を得るためには、アジュバントが、免疫系の全細胞を巻き込む免疫カスケードを開始させる必要がある。主として、アジュバントは、いわゆる抗原提示細胞(APC)に対して作用するが、その作用様式は限定されていない。これらの細胞は、通常、最初に抗原に遭遇し、続いて、プロセシングされた抗原または未改変の抗原を免疫エフェクター細胞に提示する。中間細胞型もまた、関与する場合がある。適切な特異性を有するエフェクター細胞のみが、生産力の高い免疫応答において活性化される。また、アジュバントは、抗原および同時注入された他の因子を局所的に保持することもできる。さらに、アジュバントは、他の免疫細胞に対する化学誘引物質として作用し得るか、または、免疫系に対する刺激物質として局所的および/もしくは全身的に作用し得る。
ヒトに対する不活化全細胞ワクチンを開発することには懸念がある。これは、ヒト抗原に対する交差反応性抗体をそれが誘導し得るという潜在的なリスクがあるためである。したがって、サブユニットワクチンが、ライムボレリア症を予防するのに最も有望であるとみなされている。
最近、ライムボレリア症を予防するためのサブユニットワクチンの開発は、細胞表層タンパク質A(OspA)に主に重点が置かれている。水酸化アルミニウムと一緒にされた、B.ブルグドルフェリ(狭義)株ZS7に由来する脂質付加型のOspAが、GlaxoSmithKline(GSK)によってLYMErix(商標)としてアメリカ市場向けに市販用に開発された。OspAは、マダニの腸中で主に発現され、ボレリアに対するヒト免疫応答は、通常、OspAに対する体液性または細胞性の適応免疫を含まない。したがって、ワクチン接種によって産生されるこれらのOspA抗体は、体内で感染と戦うためには使用されない。その代わりに、これらの抗体は、マダニが吸血する際に、マダニの腸に入る。そこで、それらはスピロヘータを中和し、ライム病ボレリアが脊椎動物宿主に侵入するのを可能にする、中腸から唾液腺への移動を阻止する。したがって、ワクチンは、マダニからヒト宿主へのスピロヘータの伝染を予防する。1年の間、最適な防御をするには3回のLYMErix(商標)投与が必要であり、最初2回の投与後のライムボレリア症に対するワクチン有効性は49%であり、3回目の投与後は76%であった。しかしながら、LYMErix(商標)は、市販されてから程なく、2002年に市場から回収された。理由の一部は、毎年または隔年にブースター注射が必要なこと、早期の感染症の抗生物質治療と比べてこの予防アプローチが比較的高コストであることである。さらに、LYMErix(商標)が集団の下位集団において自己免疫反応を引き起こし得るという理論上かつ未だ証明されていない懸念もあった。
本発明の根底にある課題は、ライムボレリア症を引き起こす細菌病原体に対するワクチンのような医薬を開発するための手段を提供することであった。より具体的には、この課題は、該医薬の製造のために使用することができる、核酸分子、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、またはライム病ボレリア由来の抗原の効率的で、適切で、かつ包括的なセットを提供することであった。さらに別の課題は、タンパク質、高度免疫反応性抗原もしくは抗原、またはその断片を作製するための方法および手段、このようなタンパク質、高度免疫反応性抗原、または抗原とその相互作用相手、および好ましくはそれに対する抗体との相互作用活性を減少させるかまたは阻害することができるアンタゴニストを同定するための方法および手段、感染症を治療するための方法および手段、動物またはヒトを免疫化するための方法および手段を提供することであった。
本発明の根底にある課題は、第1の局面において、核酸配列を含む、タンパク質、好ましくは高度免疫血清反応性抗原、またはその断片をコードする単離された核酸分子であって、以下からなる群より選択される核酸分子によって解決される:
a)SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 134を含む群より選択されるヌクレオチド配列を有する核酸分子に対して少なくとも70%の配列同一性を有する核酸分子、
b)a)の核酸分子に相補的な核酸分子、
c)a)またはb)の核酸分子の少なくとも15個の連続した塩基を含む核酸分子、
d)a)、b)、またはc)の核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でアニーリングする核酸分子、
e)遺伝コードの縮重がなければ、a)、b)、c)、またはd)で定義される核酸分子にハイブリダイズすると考えられる核酸分子。
本発明の根底にある課題は、第2の局面において、核酸配列を含む、高度免疫血清反応性抗原またはその断片をコードする単離された核酸分子であって、以下からなる群より選択される核酸分子によって解決される:
a)SEQ ID NO: 269〜SEQ ID NO: 387およびSEQ ID NO: 507〜SEQ ID NO: 628を含む群より選択されるヌクレオチド配列を有する核酸分子に対して少なくとも70%の配列同一性を有する核酸分子、
b)a)の核酸分子に相補的な核酸分子、
c)a)またはb)の核酸分子の少なくとも15個の連続した塩基を含む核酸分子、
d)a)、b)、またはc)の核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でアニーリングする核酸分子、
e)遺伝コードの縮重がなければ、a)、b)、c)、またはd)で定義される核酸分子にハイブリダイズすると考えられる核酸分子。
第1の局面および第2の局面の態様において、配列同一性は、少なくとも70%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。
第1の局面および第2の局面の態様において、核酸はDNAである。
第1の局面および第2の局面の代替の態様において、核酸はRNAである。
第1の局面および第2の局面の態様において、核酸分子は、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカを含む群より選択される種に由来するゲノムDNAから、ならびにより好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニのゲノムDNAから単離される。
第1の局面および第2の局面の態様において、断片は、機能的断片もしくは活性断片、またはその活性変種である。
第1の局面および第2の局面の態様において、タンパク質もしくは高度免疫血清反応性抗原、またはその断片は、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、またはボレリア・シニカに由来する、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニに由来する抗原であるか、またはそれからなる。
本発明の根底にある課題は、第3の局面において、第1または第2の局面に記載の核酸分子を含むベクターによって解決される。
第3の局面の態様において、ベクターは、タンパク質、好ましくは、第1または第2の局面において定義される核酸分子によってコードされるタンパク質もしくは高度免疫血清反応性抗原またはその断片の組換え発現のために適合させる。
本発明の根底にある課題は、第4の局面において、第3の局面において定義されるベクターを含む宿主細胞によって解決される。
本発明の根底にある課題は、第5の局面において、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニ由来の単離されたペプチドまたはそのペプチド断片を含み、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)感染症、ボレリア・アフゼリ感染症、もしくはボレリア・ガリニ感染症に罹患しているヒト、または未感染の健常なヒトに由来する血清と免疫学的に反応性である、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニに由来する高度免疫血清反応性抗原によって解決される。
本発明の根底にある課題は、第6の局面において、SEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268を含む群より選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、好ましくは高度免疫血清反応性抗原、またはその活性断片もしくは活性変種によって解決される。
本発明の根底にある課題は、第7の局面において、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506およびSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750を含む群より選択されるアミノ酸配列を有する高度免疫血清反応性抗原、またはその活性断片もしくは活性変種によって解決される。
第6の局面の態様において、タンパク質は、第1の局面において定義される核酸分子によってコードされる。
第7の局面の態様において、抗原は、第2の局面において定義される核酸分子によってコードされる。
第6および第7の局面の態様において、タンパク質または抗原は、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニに由来する抗原であるか、またはそれからなる。
第6および第7の局面の態様において、その活性断片は、第6および第7の局面において定義されるタンパク質または高度免疫血清反応性抗原、およびより具体的には、SEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506、またはSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750のいずれかのタンパク質または高度免疫血清反応性抗原の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%からなる。
第6および第7の局面の態様において、その活性変種は、高度免疫血清反応性抗原またはタンパク質に対して少なくとも50%の配列同一性、特に、第6および第7の局面において定義される該高度免疫血清反応性抗原またはタンパク質に対して、およびより具体的には、SEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506、またはSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750のいずれかのタンパク質または高度免疫血清反応性抗原に対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%の配列同一性を有する。
本発明の根底にある課題は、第8の局面において、抗原によって解決され、この抗原は、表1の「予測される免疫原性アミノ酸」および「同定された免疫原性領域の位置」列に示されるか、表5の「アミノ酸(開始〜終止)」列に示されるか、表6の「以下のアミノ酸から」列および「以下のアミノ酸まで」列によって定義されるか、または表8の「以下のアミノ酸から〜まで」列によって定義されるコアアミノ酸配列を含み、より好ましくは、このような抗原は、以下のコアアミノ酸配列を含む。
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第8の局面の態様において、抗原は、さらに以下からなる:
a)1〜50個の付加的なアミノ酸残基、好ましくは1〜40個、より好ましくは1〜30個、さらにより好ましくは、多くても1〜25個、なおより好ましくは、多くても1〜10個、最も好ましくは、1個、2個、3個、4個、もしくは5個の付加的なアミノ酸残基;および/または
b)コアアミノ酸配列に対して異種の少なくとも1つのアミノ酸残基。
第8の局面の態様において、アミノ酸残基は、C末端、N末端、またはC末端およびN末端でコアアミノ酸配列に隣接している。
第8の局面の態様において、抗原は、第8の局面において定義されるコアアミノ酸配列を少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個含む。
さらなる態様において、好ましくは本発明の前記核酸によってコードされる抗原は、該抗原の機能的断片もしくは活性断片、および/または機能的変種もしくは活性変種である。さらに別の好ましい態様において、機能的断片もしくは活性断片、および/または機能的変種もしくは活性変種は、本明細書において定義されるものである。
本発明の根底にある課題は、第9の局面において、第1または第2の局面において定義される核酸分子を発現させる段階を含む、第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原もしくは抗原、またはその断片を作製するための方法によって解決される。
本発明の根底にある課題は、第10の局面において、第3の局面において定義されるベクターを用いて適切な宿主細胞を形質転換させるかまたはトランスフェクトする段階を含む、第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を発現する細胞を作製するための方法によって解決される。
第9および第10の局面の態様において、タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片は、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、またはボレリア・シニカの抗原に由来する、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニに由来する、タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片である。
本発明の根底にある課題は、第11の局面において、第5、第6、第7、もしくは第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片、または第1もしくは第2の局面において定義される核酸分子、または第3の局面において定義されるベクターを含む、薬学的組成物、好ましくはワクチンによって解決される。
好ましい態様において、本発明の薬学的組成物は、ポリカチオンポリマー、より好ましくはポリカチオンペプチド、免疫賦活性デオキシヌクレオチド(ODN)、少なくとも2つのLysLeuLysモチーフ、好ましくは
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を含むペプチド、向神経活性化合物、より好ましくはヒト成長ホルモン、ミョウバン、フロイント完全アジュバントもしくはフロイント不完全アジュバント、またはそれらの組合せを含む群より好ましくは選択される免疫賦活性物質をさらに含む。
本発明の薬学的組成物のより好ましい態様において、免疫賦活性物質は、ポリカチオンポリマーおよび免疫賦活性デオキシヌクレオチド、または少なくとも2つのLysLeuLysモチーフを含むペプチドおよび免疫賦活性デオキシヌクレオチドのいずれかの組合せである。
本発明の薬学的組成物のさらにより好ましい態様において、ポリカチオンポリマーはポリカチオンペプチド、特にポリアルギニンである。
本発明の根底にある課題は、第12の局面において、第1もしくは第2の局面において定義される核酸分子、または第5、第6、第7、もしくは第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を、薬学的調製物または医薬を製造するために、特に、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカに対するワクチン、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニに対するワクチンを製造するために使用することによって解決される。
本発明の根底にある課題は、第13の局面において、第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質の、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原の、またはその断片の、好ましくはその活性断片の、またはその変種の、好ましくはその活性変種の少なくとも選択的な部分に結合する、抗体または少なくともその有効な部分によって解決される。
第13の局面の態様において、抗体はモノクローナル抗体である。
第13の局面の態様において、前記有効な部分は、Fab断片、F(ab)断片、F(ab)N断片、F(ab)2断片、またはFv断片を含む。
第13の局面の態様において、抗体はキメラ抗体である。
第13の局面の態様において、抗体はヒト化抗体である。
本発明の根底にある課題は、第14の局面において、第13の局面において定義される抗体を産生するハイブリドーマ細胞株によって解決される。
本発明の根底にある課題は、第15の局面において、以下の段階を特徴とする、第13の局面において定義される抗体を作製するための方法によって解決される:
a)第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を非ヒト動物に投与することによって、該動物において免疫応答を開始させる段階、
b)抗体を含む体液を前記動物から取り出す段階、および
c)抗体を含む前記体液をさらなる精製段階に供することによって抗体を作製する段階。
本発明の根底にある課題は、第16の局面において、以下の段階を特徴とする、第13の局面において定義される抗体を作製するための方法によって解決される:
a)第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を非ヒト動物に投与することによって、該動物において免疫応答を開始させる段階、
b)脾臓または脾臓細胞を前記動物から取り出す段階、
c)前記脾臓または脾臓細胞のハイブリドーマ細胞を作製する段階、
d)前記タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片に特異的なハイブリドーマ細胞を選択し、かつクローン化する段階、
e)前記クローン化したハイブリドーマ細胞を培養することによって抗体を作製する段階、および任意のさらなる精製段階。
本発明の根底にある課題は、第17の局面において、ボレリア、好ましくは病原性ボレリア、より好ましくはボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカ、ならびに最も好ましくはボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニによる感染症を治療または予防するための医薬を調製するために、第13の局面において定義された抗体を使用することによって、解決される。
別の局面によれば、本発明は、本発明において開示するタンパク質、高度免疫反応性抗原もしくは抗原、またはその活性断片もしくは活性変種に結合するかまたは結合することができるアンタゴニストを提供する。さらに別の局面によれば、本発明によるアンタゴニストは、本発明によるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原もしくは抗原、またはその活性断片もしくはその活性変種のその相互作用相手に対する相互作用活性を減少させるかまたは阻害することができるアンタゴニストである。このような相互作用相手は、好ましい態様において、該タンパク質、高度免疫血清反応性抗原および/もしくは抗原、またはその活性断片もしくはその活性変種の抗体または受容体、好ましくは生理学的受容体である。
本発明の根底にある課題は、第18の局面において、以下の段階を含む、第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片に結合することができるアンタゴニストを同定するための方法によって解決される:
a)第5、第6、第7、または第8の局面において定義される単離されたまたは固定化したタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を、該タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片への候補アンタゴニストの結合を可能にする条件下、該タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片への候補アンタゴニストの結合に応答して検出可能なシグナルを提供することができる構成要素の存在下で、該候補アンタゴニストと接触させる段階;および
b)前記タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片へのアンタゴニストの結合に応答して生じたシグナルの存在または不在を検出する段階。
本発明の根底にある課題は、第19の局面において、以下の段階を含む、第5、第6、第7、または第8の局面に記載のタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片のその相互作用相手に対する相互作用活性を減少させるかまたは阻害することができるアンタゴニストを同定するための方法によって解決される:
a)第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を提供する段階、
b)前記タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片に相互作用相手、特に、第13の局面に記載の抗体を提供する段階、
c)前記タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を前記相互作用相手と相互作用させて、相互作用複合体を形成させる段階、
d)候補アンタゴニストを提供する段階、
e)候補アンタゴニストと相互作用複合体の間で競合反応を起こさせる段階、
f)候補アンタゴニストが、タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片と相互作用相手との相互作用活性を阻害するかまたは減少させるかどうかを決定する段階。
本発明の根底にある課題は、第20の局面において、第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片のいずれかを、該タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片の相互作用相手の単離および/または精製および/または同定のために使用することによって解決される。
本発明の根底にある課題は、第21の局面において、以下の段階を含む、ボレリア生物による感染症を診断するための方法によって解決される:
a)対象から得た試料を、第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原もしくは抗原、またはその任意の断片と接触させる段階、および
b)試料中の前記ボレリア生物に対する抗体の存在を検出する段階。
本発明の根底にある課題は、第22の局面において、以下の段階を含む、ボレリア生物による感染症を診断するための方法によって解決される:
a)対象から得た試料を、第1または第2の局面において定義される核酸分子またはその断片に特異的なプライマーまたはプローブと接触させる段階、および
b)試料中のこのような核酸分子またはその断片の存在を検出する段階。
本発明はまた、本発明による高度免疫血清反応性抗原もしくはその断片をコードする核酸配列の存在、または本発明による該高度免疫血清反応性抗原もしくはその断片の存在を決定する段階を含む、本発明による該高度免疫血清反応性抗原またはその断片の発現に関係した疾患をインビトロで診断するための方法も提供する。
本発明の根底にある課題は、第23の局面において、以下の段階を含む、ボレリア生物による感染症を診断するための方法によって解決される:
a)対象から得た試料を、第13の局面に記載の抗体と接触させる段階、および
b)試料中の前記ボレリア生物の抗原の存在を検出する段階。
第23の局面の態様において、前記ボレリア生物の抗原は、第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原である。
第21、第22、および第23の局面の態様において、ボレリア生物は、病原性ボレリア生物、より好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカを含む群より選択される、ならびにさらにより好ましくは、B.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、およびB.ガリニを含む群より選択されるボレリア生物である。
さらに、本発明は、本発明において定義されるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原もしくは抗原、またはその断片もしくはその変種に結合し、アンチカリンであるペプチドを作製するための、該タンパク質、高度免疫血清反応性抗原もしくは抗原、またはその断片もしくはその変種の使用も提供する。
本発明の根底にある課題は、第24の局面において、アプタマーおよびスピーゲルマー(spiegelmer)を含む群より選択される機能的核酸を製造するために、第5、第6、第7、または第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を使用することによって解決される。
本発明の根底にある課題は、第25の局面において、リボザイム、アンチセンス核酸、およびsiRNAを含む群より選択される機能的リボ核酸を製造するために、第1または第2の局面において定義される核酸分子を使用することによって解決される。
本発明の根底にある課題は、第26の局面において、前記局面のいずれかにおいて定義される薬学的組成物もしくは医薬または第13の局面において定義される抗体を該動物またはヒトに治療的有効量投与する段階を含む、好ましくは治療を必要とする動物またはヒトにおいてボレリア感染症を治療するための方法によって解決される。
第26の局面の態様において、ボレリア感染症は、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、またはボレリア・シニカ、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニによる感染症である。
本発明の根底にある課題は、第27の局面において、第5、第6、第7、もしくは第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片、または第1もしくは第2の局面において定義される核酸分子、または第3の局面において定義されるベクターを該動物またはヒトに有効量投与する段階を含む、ボレリア生物による感染に対して動物またはヒトを免疫化するための方法であって、有効量が該動物またはヒトにおいて免疫応答を誘発するのに適している方法によって解決される。
第27の局面の態様において、ボレリア生物は、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカ、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニを含む群より選択される。
本発明の根底にある課題は、第28の局面において、第5、第6、第7、もしくは第8の局面において定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片、または第1もしくは第2の局面において定義される核酸分子、または第3の局面において定義されるベクターを該動物またはヒトに有効量投与する段階を含む、動物またはヒトにおいてボレリア生物に対する免疫応答を刺激するための方法であって、有効量が該動物またはヒトにおいて免疫応答を刺激するのに適している方法によって解決される。
第28の局面の態様において、ボレリア生物は、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカ、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニを含む群より選択される。
本発明に関連して、図は以下を示す。
病原体特異的抗体の供給源としてのヒト血清の特徴付けを示す。 ライブラリーの特徴付けを示す。 ビオチン標識ヒトIgGを用いたMACSによる細菌細胞の選択を示す。 各細菌病原体の臨床分離株における選択した抗原の遺伝子分布を決定するためのPCR解析を示す。 大腸菌溶解物を用いた免疫化によって、マウスにおいてエピトープ特異的抗体を誘導するための実施例を示す。 ウェスタンブロット解析によって決定された、マウスにおける抗体陽転を示す。
本発明において定義されるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原が使用される様々な方法および使用はそれぞれ、このようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、もしくは抗原の断片、好ましくはその活性断片、またはこのようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、もしくは抗原の変種、好ましくはその活性変種を、それぞれ好ましくは本明細書において説明するように用いて、実施または実践することもできることは、本発明の範囲内である。また、本発明によるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、および/または抗原と相互作用するか、またはそれらを標的とするものとして本明細書において開示する様々な種類の化合物は、さらに、または代わりに、該タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原の活性断片または活性変種と相互作用するか、またはそれらを標的とすることができることも、本発明の範囲内である。
また、抗体が使用される方法を実践する際の各方法および任意の方法は、原則としては、抗体の代わりにアンチカリンまたは本明細書において定義される機能的核酸が使用される場合にも実践できることも本発明の範囲内であり、このような機能的核酸は、アプタマーおよびスピーゲルマーを含む群より選択されることが好ましい。これは、本出願の様々な用途にも同等に当てはまる。
好ましい態様において、それぞれ本明細書において開示するタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原の断片は、そのようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原の少なくとも1種の特徴を示す、そのようなタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原の一部分である。好ましくは、このような特徴は、感染症の治療、ヒトを含む動物の免疫化、およびヒトを含む動物における免疫応答の刺激を含む群より選択される特徴である。
ボレリア、およびより具体的にはライム病ボレリアに関して本明細書においてなされる任意の開示内容が、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカを含む群より選択されるボレリア種にも同等に応用可能であることも、本発明の範囲内である。
本明細書において好ましくは使用されるように、本発明による「ポリペプチド」という用語は、本明細書において特に説明するような各および任意のその変種、断片、類似体、または誘導体を含む、本発明によるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原を包括的に意味する。ポリペプチドという用語が本明細書において使用される限り、かつ特に別段の記載が無い限り、各開示はまた、本明細書において特に説明するような各および任意のその変種、断片、類似体、または誘導体を含む、本発明による任意のタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原に対して、またはそれらに関してもなされる。また、本発明によるポリペプチドという用語によって包含される前述の化合物のいずれかに関連して説明される任意の使用または局面は、本発明によるポリペプチドという用語によって包含される前述の化合物のそれぞれおよび他の任意のものにも応用可能であることを理解すべきである。
本発明は、有利には、多数のヒト血漿プールおよびライム病ボレリアのゲノムに由来する表面発現ライブラリーから抗体を調製することによって、単離された核酸分子、ならびに活性断片および活性変種を含む、それらによってコードされるタンパク質、高度免疫反応性抗原、または抗原の効率的かつ適切かつ包括的なセットを提供する。したがって、本発明は、抗体を調製するための、および病原性ボレリア種、好ましくは本明細書の表Aにおいて説明するボレリア種、より好ましくはB.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、またはB.ガリニに起因する感染症に対して有効な化合物を同定するための手順において有用なライム病ボレリア抗原、ワクチン、診断用物質、および製品の広範で切実な需要に応える。
有効なワクチンは、すべての株によって発現され、かつB.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、またはB.ガリニを含む前記病原性ボレリア種の細胞表面構成要素に対して高親和性の大量の抗体を誘導することができるタンパク質またはポリペプチドから構成されるべきである。抗体は、オプソニン作用のためのIgG1および/またはIgG3、ならびに接着および毒素作用の中和のための任意のIgGサブタイプであるべきである。化学的に定義されるワクチンは、全細胞ワクチン(弱毒化するか、または死滅させたもの)と比べて断然優れているはずである。これは、ヒト組織と交差反応するか、またはオプソニン作用を阻害する、B.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、またはB.ガリニを含む前記病原性ボレリア種の構成要素を排除することができ、かつ防御抗体および/または防御的免疫応答を誘導する個々のタンパク質を選択することができるためである。
本発明の好ましい態様において、核酸分子は、SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 134、SEQ ID NO: 269〜SEQ ID NO: 387、またはSEQ ID NO: 507〜SEQ ID NO: 628に示されるヌクレオチド配列に対して、全長に渡って70%の同一性を示す。SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 134、SEQ ID NO: 269〜SEQ ID NO: 387、またはSEQ ID NO: 507〜SEQ ID NO: 628に示される核酸分子に対して、全長に渡って少なくとも80%または少なくとも85%同一である領域を含む核酸がより好ましい。この点に関して、先と同じものに対して全長に渡って少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、または96%同一な核酸分子が特に好ましい。さらに、少なくとも97%の同一性を有するものが極めて好ましく、少なくとも98%および少なくとも99%の同一性を有するものが特に極めて好ましく、少なくとも99%または99.5%の同一性を有するものがより好ましく、100%の同一性を有するものが特に好ましい。さらに、この点に関して好ましい態様は、SEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506、またはSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750に示される前記核酸によってコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的機能または活性を保持しているタンパク質、高度免疫血清反応性抗原もしくは抗原、またはそれらの断片(ポリペプチド)をコードする核酸である。また、本発明による核酸分子が、好ましくは高度免疫血清反応性抗原または抗原であるタンパク質をコードすることも本発明の範囲内である。さらにまた、SEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506、またはSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750にコードされる分子が、好ましくは抗原または高度免疫血清反応性抗原であるタンパク質であることも、本発明の範囲内である。
同一性とは、当技術分野において公知であり、かつ本明細書において使用されるように、2つもしくはそれ以上のポリペプチド配列または2つもしくはそれ以上のポリヌクレオチド配列の関係であり、これらの配列を比較することによって決定される。当技術分野において、同一性とは、場合によって、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列の配列関連性の程度を意味し、このような配列の文字列の照合によって決定される。同一性は容易に算出することができる。2つのポリヌクレオチド配列または2つのポリペプチド配列の同一性を測定するためのいくつかの方法があり、この用語は当業者には周知である(例えば、Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987)。同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列が最も多く一致するように設計される。同一性を決定するための方法は、コンピュータプログラムに体系化されている。2配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータプログラムによる方法には、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J. et al., 1984)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA (Altschul, S. et al., 1990)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
本発明による核酸分子は、SEQ ID NOを参照することにより本明細書において説明され、その説明が本明細書において第1の代替物としても言及される核酸分子の第2の代替物として、本明細書において第1の代替物によって説明される核酸に対して少なくとも本質的に相補的である核酸分子でもよい。個々の核酸分子が、別の個々の核酸分子と少なくとも本質的に相補的であることは、当業者によって確認されると考えられる。本明細書において使用される場合、相補的とは、核酸鎖が、第2の核酸鎖とワトソン・クリック塩基対形成によって塩基対形成していることを意味する。本明細書において使用する本質的に相補的とは、塩基対形成が、それぞれの鎖の全塩基に対しては起こらず、一定の数またはパーセンテージの塩基が対にならないままか、または誤った対を形成していることを意味する。正しく対形成している塩基のパーセンテージは、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは80%、さらにより好ましくは90%、および最も好ましくは90%を上回る任意のパーセンテージである。このような高いパーセンテージには、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および100%が含まれ、このような定義は、この種の専門用語が使用される本出願の各局面に当てはまる。70%マッチした塩基のパーセンテージは相同性とみなされ、この程度マッチした塩基対を有するハイブリダイゼーションはストリンジェントとみなされることに留意すべきである。この種のストリンジェントなハイブリダイゼーションのためのハイブリダイゼーション条件は、Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley and Sons, Inc., 1987)で確認することができる。より具体的には、ハイブリダイゼーション条件は、以下のとおりでよい。
a)例えば、5×SSPE、5×デンハート試薬、0.1%SDS、100g/mL剪断DNA中、68°Cでハイブリダイゼーションを実施。
b)0.2×SSC、0.1% SDS中、42℃、中程度のストリンジェンシーで洗浄。
c)O.1×SSC、0.1%SDS中、68℃、高度のストリンジェンシーで洗浄。
GC含有量が50%のゲノムDNAのTMは約96℃である。1%のミスマッチにより、TMは約1℃低下する。
さらに、本明細書において説明するその他のハイブリダイゼーション条件のいずれかも、原則としては同様に適用可能である。
当然、本発明によって同定されるものと同じポリペプチド分子をコードする核酸配列分子はすべて、所与のコード配列の任意の開示によって包含される。これは、遺伝コードの縮重は、そのような縮重した核酸分子の数が多い場合でも、所与のポリペプチド分子をコードする可能性がある核酸分子すべてを明白に決定するために直接適用できるためである。これはまた、断片または変種が、完全長のポリペプチド、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原がまるで使用されたかのように同じ効果を得ることができるように使用するのに適したポリペプチド、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原をコードし、好ましくは、例えば能動ワクチンまたは受動ワクチンとして、ワクチン接種と一緒に使用され得る限り、所与のポリペプチド、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原の活性断片または活性変種にも適用可能である。
本発明による核酸分子はまた、第3の代替物として、上記に概説した本発明による核酸分子の第1の代替物または第2の代替物による核酸分子の少なくとも15塩基のストレッチを含む核酸でもよい。好ましくは、これらの塩基は、塩基の連続したストレッチを形成する。しかしながら、ストレッチが、いくつかの塩基によって隔てられた2つまたはそれ以上の部分からなる場合も、本発明の範囲内である。
本発明による核酸分子は、好ましくは、本明細書において開示する配列に由来する少なくとも20個、さらにより好ましくは少なくとも30個、特に少なくとも50個の連続した塩基からなってよい。意図される使用分野に応じて(例えば、(PCR)プライマー、プローブ、(例えば(DNA)チップ上の)捕捉分子などとして)、適切な長さに容易に最適化することができる。好ましい核酸分子は、表1、表5、および表6に挙げる免疫原性アミノ酸配列のうち1つまたは複数についての15個の塩基の連続した部分を少なくとも含む。下記にNCBIアクセッション番号およびプラスミド呼称(可変プラスミドセグメント;VPS)によって指定するB.ブルグドルフェリ(狭義)およびB.ガリニのゲノムおよびプラスミドと比べて、1個またはそれ以上、好ましくは2個より多い、特に5個より多い非同一核酸残基を示す、本出願の配列プロトコルに含まれる任意の配列のDNA配列の連続した部分を含む核酸が特に好ましい。
B.ブルグドルフェリ(狭義)(B31)、
Figure 2010503384
;B.ガリニ(PBi)、
Figure 2010503384
特に好ましい非同一核酸残基は、非同一アミノ酸残基をもたらす残基である。好ましくは、核酸配列は、公開または列挙した前述のライム病ボレリア対応物と比べて、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の異なるアミノ酸残基を有するポリペプチド、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原をコードする。好ましくは、この種のポリペプチド、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原は、同一のアミノ酸残基を有する本明細書において開示する分子の少なくとも1種の特徴を引き続き有する。また、例えば、配列リスト中で本明細書において開示するタンパク質(もしくは完全なタンパク質)、高度免疫血清反応性抗原、または抗原の断片であり、少なくとも6個、7個、または8個のアミノ酸残基を有し、かつこれらの核酸によってコードされる、このような単離されたポリペプチドが好ましい。
本発明による核酸分子はまた、第4の代替物として、本明細書において開示する第1、第2、または第3の代替物による本発明の核酸のいずれかにストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でアニーリングする核酸分子でもよい。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、典型的には、本明細書において説明するものである。
最後に、本発明による核酸分子はまた、第5の代替物として、遺伝コードの縮重がなければ、本明細書において概説する第1、第2、第3、および第4の代替物による本発明の核酸分子のいずれかにハイブリダイズすると考えられる核酸分子でもよい。この種の核酸分子とは、好ましくは、本発明による核酸が、本発明によるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原もしくは抗原、またはそれらの断片もしくはそれらの変種をコードすることを意味する。この種の核酸分子は、本発明による核酸分子の検出、したがってB.ブルグドルフェリ(狭義)または任意の病原性ボレリア種、特に、本明細書において開示するような病原性ボレリア種などそれぞれの微生物、およびこれらの種類の微生物が関与している、好ましくは、このような微生物が直接的または間接的に引き起こすものである任意の疾患または疾患状態、例えば、日和見性の微生物によるこのような疾患または疾患状態の診断において特に有用である。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、本明細書において説明する第4の代替物に関連して説明したようなストリンジェントな条件下で起こり得るかまたは実施され得る。
本明細書において使用される核酸分子とは、任意のリボ核酸分子またはデオキシリボ核酸分子を一般に意味し、未修飾のRNAもしくはDNA、または修飾されたRNAもしくはDNAでよい。したがって、例えば、本明細書において使用される核酸分子は、特に、一本鎖DNAおよび二本鎖DNA、一本鎖RNAおよび二本鎖RNAの混合物であるDNA、ならびに、一本鎖領域および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖、もしくはより典型的には二本鎖、もしくは三本鎖、または一本鎖領域および二本鎖領域の混合物でよい、DNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を意味する。さらに、本明細書において使用される「核酸分子」は、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNAの両方を含む三本鎖領域を意味する。このような領域中の鎖は、同じ分子に由来してよく、または異なる分子に由来してもよい。これらの領域は、1つまたは複数の分子のすべてを含んでよいが、より典型的には、これらの分子のうちいくつかの領域のみ含む。三重らせん領域の分子の1つは、しばしばオリゴヌクレオチドである。本明細書において使用される場合、「核酸分子」という用語は、1つまたは複数の修飾塩基を含む前述のDNAまたはRNAを含む。したがって、安定性または他の理由のために主鎖が修飾されたDNAまたはRNAは、その用語が本明細書において意図される場合、「核酸分子」である。さらに、ただ2つの例を挙げてみると、イノシンのような珍しい塩基またはトリチル化塩基のような修飾塩基を含むDNAまたはRNAは、この用語が本明細書において使用される場合、核酸分子である。当業者には公知の多くの有用な目的に役立つ多種多様の修飾がDNAおよびRNAに施されていることが認識されると考えられる。「核酸分子」という用語は、本明細書において使用される場合、このように化学的に、酵素的に、または代謝的に修飾された形態の核酸分子、ならびに、とりわけて、単純な細胞および複雑な細胞を含む、ウイルスおよび細胞に特徴的な化学的形態のDNAおよびRNAを包含する。「核酸分子」という用語はまた、オリゴヌクレオチドとしばしば呼ばれる短い核酸分子も包含する。「ポリヌクレオチド」および「核酸」または「核酸分子」は、本明細書においてしばしば同義的に使用される。
本発明において提供される核酸分子はまた、多数の独特な断片、すなわち、本出願の配列リストに示す、より具体的には、標準的なクローニング法によって作製することができるB.ブルグドルフェリ(狭義)コード領域の核酸分子配列よりも長いものおよび短いものの両方も包含する。独特であるために、断片は、他の公知の核酸配列からそれを区別するのに十分な大きさのものでなければならず、最も容易には、任意の選択したB.ブルグドルフェリ(狭義)断片を、GenBankのようなコンピュータデータベース中のヌクレオチド配列と比較することによって決定される。ライム病ボレリアに関して任意の局面で本明細書において述べられることが、本明細書において説明する他のボレリア種のいずれか、より好ましくは、本明細書において説明する任意の病原性ボレリア種に同様に当てはまることは、当業者に認識されると考えられる。
さらに、本発明に包含される核酸分子およびポリペプチドに改変を加えてもよい。例えば、核酸によってコードされるポリペプチドに影響を及ぼさないヌクレオチド置換を実施することができ、したがって、高度免疫血清反応性抗原またはその断片をコードする任意の核酸分子が、本発明に包含される。
さらに、本発明によって提供される高度免疫血清反応性抗原またはその断片をコードする核酸分子のいずれかを、標準的なクローニング技術のような標準技術を用いて、ライム病ボレリア調節配列もしくは異種調節配列である任意の所望の調節配列、異種リーダー配列、異種マーカー配列、または異種コード配列に機能的に連結して、融合タンパク質を作製することもできる。
本発明の核酸分子は、mRNAもしくはcRNAなどRNAの形態、または、例えば、クローニングによって得られるか、または化学合成技術もしくはそれらの組合せにより作製されるcDNAおよびゲノムDNAを含む、DNAの形態でよい。DNAは、三本鎖、二本鎖、または一本鎖でよい。一本鎖DNAは、センス鎖としても公知であるコード鎖でよく、またはそれは、アンチセンス鎖とも呼ばれる非コード鎖でよい。
本発明はさらに、配列リストに示す演繹されたライム病ボレリアアミノ酸配列を有する高度免疫血清反応性抗原の断片、類似体、および誘導体、ならびにそれらの断片をコードする、本明細書において説明する核酸分子の変種に関する。核酸分子の変種は、天然の対立遺伝子変種のような天然に存在する変種でよく、または天然に存在することが公知ではない変種でもよい。核酸分子のこのような非天然変種は、核酸分子、細胞、または生物に適用されるものを含む変異誘発技術によって作製することができる。
この点に関する変種には、ヌクレオチド置換、欠失、または付加によって前述の核酸分子と異なる変種がある。置換、欠失、または付加は、1つまたは複数のヌクレオチドを含んでよい。変種は、コード領域もしくは非コード領域、または両方が変更されていてよい。コード領域の変更は、保存的または非保存的なアミノ酸置換、欠失、または付加をもたらし得る。配列リストに示すライム病ボレリア配列を有し、いくつかの、数個の、5〜10個の、1〜5個の、1〜3個の、2個の、1個のアミノ酸が任意の組合せで置換、欠失、もしくは付加されているか、またはいかなるアミノ酸も置換も、欠失も、付加もされていない、変種、類似体、誘導体、もしくは断片、または断片の変種、類似体、もしくは誘導体をコードする核酸分子が好ましい。これらのうちで特に好ましいのは、配列リストに示すライム病ボレリアのポリペプチドの特性および活性を変更しない、サイレントな置換、付加、および欠失である。また、保存的置換も、この点に関して特に好ましい。
本明細書において開示する様々な態様における抗原のいずれかの変種、ならびに、特に本明細書においてSEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506、またはSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750によって特定される抗原およびペプチドはまた、典型的には、バイオインフォマティクスによって特徴付けることができる。NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul,S. et al., 1990)のような個別の手法は、the National Center for Biotechnology Information(国立バイオテクノロジー情報センター)(NCBI、ベセスダ、メリーランド州)およびインターネット上を含むいくつかの情報源から入手可能であり、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、およびtblastxと共に使用される。少なくとも35個のアミノ酸のアミノ酸配列を比較するために、初期設定パラメーターに設定された初期設定BLOSUM62マトリックスを用いて、NCBI Blast 2.0のBlast 2配列機能が使用された(ギャップ有りblastp;ギャップ存在コスト11、および1残基当たりのギャップコスト1)。短いペプチド(約35アミノ酸より少ない)を整列させる場合、Blast 2配列機能を用い、初期設定パラメーターに設定されたPAM30マトリックスを使用して(オープンギャップ9、伸長ギャップ1のペナルティ)、アライメントを実施する。15アミノ酸またはそれ以下などこのような短いウィンドウにおける配列同一性を決定するための方法は、ベセスダ(メリーランド州)のthe National Center for Biotechnology Informationによって維持されているウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)で説明されている。
本明細書において機能的変種または活性変種(ひいては、交換可能に本明細書において使用される)とも呼ばれる、抗原の機能的活性変種は、本明細書において本発明によるポリペプチドともまとめて呼ばれ、特に反対の記載が無い限り、各および任意のその変種、断片、類似体、または誘導体を含むタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、または抗原の配列を変更することによって得られ、その際、配列を変更された本発明によるポリペプチドは、本発明による未変更ポリペプチドの機能を保持し、例えば、それは、未変更型の本発明によるポリペプチドに結合するポリペプチド特異的抗体に特異的に結合する。このような配列変更には、保存的置換、欠失、変異、および挿入が含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。好ましくは、活性変種は、ライム病患者のヒト血清との反応性を示し、より好ましくは、セロコンバージョンを媒介し、および最も好ましくは、殺菌活性を示す。活性変種のこれらの特徴は、例えば、実施例において詳述するようにして評価することができる。本発明において、変種の活性が、配列を変更されていない抗原の活性の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも90%、特に少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%に達する場合、変種は、特定の抗体(好ましくは、マウス、ウサギなどの動物において組換えタンパク質に対して産生させたポリクローナル抗体またはマウスにおいて生成させたモノクローナル抗体である)に特異的に結合するか、ライム病患者のヒト血清との反応性を示すか、セロコンバージョンを媒介するか、または殺菌活性を示す。
「機能的に活性な変種」または「活性変種」という用語は、天然の対立遺伝子変種、ならびに変異体または他の任意の非天然変種を含む。当技術分野において公知であるように、対立遺伝子変種は、ポリペプチドの生物学的機能を本質的には変更しない1つまたは複数のアミノ酸の置換、欠失、または付加を有するものとして特徴付けられる(ポリ)ペプチドの代替形態である。「生物学的機能」とは、好ましくは、たとえその機能が細胞および生物それぞれの増殖にも生存にも必要ではない場合でも、天然に存在する場である細胞または生物におけるポリペプチドの機能を意味する。例えば、ポーリンの生物学的機能は、細胞外媒体中に存在する化合物の細胞中への移行を可能にすることである。生物学的機能は、抗原機能とは異なる。本発明によるポリペプチドは、複数の生物学的機能を有し得る。
生物界の任意の種内で、対立遺伝子変異は、通例である。例えば、任意の細菌種、例えばライム病ボレリアの代表は、通常、軽微な対立遺伝子変異によって互いに異なる様々な株(クローン繁殖を特徴とする)である。実際、様々な株において同じ生物学的機能を果たすポリペプチドは、それらの各株において同一ではないアミノ酸配列を有してよい。このような対立遺伝子変異は、ポリヌクレオチドレベルで同等に反映される。
対立遺伝子変異は、ospCに関して説明されているように、ボレリア種内で非常に一般的である(Livey, I. et al., 1995)。
好ましい態様において、アミノ酸の交換、欠失、または挿入による、本発明によるポリペプチドの活性変種または本発明によるポリペプチドに由来する活性断片はまた、活性(本明細書において定義する反応性、セロコンバージョン、および/または殺菌活性)を保存し得るか、またはより好ましくは改善し得る。さらに、これらのポリペプチドはまた、同じまたは好ましくは改善したT細胞応答を誘発するエピトープも包含してよい。これらのエピトープは、本明細書においてさらに定義するように、「ヘテロクリティック」と呼ばれる。これらは、MHC/HLA分子に対する同様または好ましくはより強い親和性、および、同様または好ましくはより強力な様式で元のエピトープを対象とするT細胞受容体(TCR)を刺激する能力を有する。ヘテロクリティックなエピトープは、合理的設計によって、すなわち、TCRと潜在的に相互作用する残基の体系的な交換と組み合わせて、例えばRammensee et al.によって説明されているように(Rammensee, H. et al., 1999, Immunogenetics. 50:213-219)、MHC/HLAへの結合に対する個々の残基の寄与を考慮に入れ、かつ、元のエピトープを対象とするT細胞を用いて、結果として生じる配列を試験することによって、得ることができる。このような設計は、過度に実験をすることなく、当業者が行うことが可能である。
本発明のなおより好ましい態様において、本発明によるポリペプチドの活性変種は、本明細書において開示する任意のポリペプチドのいずれか、およびより具体的には、SEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506、またはSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750によって定義されるポリペプチドのいずれかであって、該SEQ ID NOのいずれかのポリペプチドに対して少なくとも50%の配列同一性、該SEQ ID NOのいずれかのポリペプチドに対して特に少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、なおより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%の配列同一性を有するものであり、かつ/または、保存的置換によって、SEQ ID NOの配列のいずれかの該ポリペプチドから誘導される。保存的置換は、側鎖および化学特性が同類であるアミノ酸ファミリー内で起こる置換である。このようなファミリーの例は、塩基性側鎖を有するアミノ酸、酸性側鎖を有するアミノ酸、非極性脂肪族側鎖を有するアミノ酸、非極性芳香族側鎖を有するアミノ酸、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸、小型側鎖を有するアミノ酸、大型側鎖を有するアミノ酸などである。1つの態様において、1つの保存的置換がペプチド中に含まれる。別の態様において、2つまたはそれ以下の保存的置換がペプチド中に含まれる。さらなる態様において、3つまたはそれ以下の保存的置換がペプチド中に含まれる。
保存的アミノ酸置換の例には、以下に列挙するものが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
Figure 2010503384
本発明によるポリペプチド、ならびにそれらの断片および変種はまた、好ましくは、所与のエピトープの1つまたは2つのアミノ酸が、例えば、Tourdot, S. et al., 2000に開示されている規則に従って改変または置換されている改変エピトープ、ならびにそのような改変エピトープをコードする核酸配列を含むか、またはそれらからなる。また、本発明によるポリペプチドによって提供されるエピトープは、本明細書において本発明のエピトープとも呼ばれる。
エピトープのT細胞活性化能力を改善するか、保存するか、または少なくとも顕著には妨害しないアミノ酸交換によって本発明のエピトープから誘導されたエピトープもまた、本発明によるエピトープに包含されることは明らかである。したがって、本発明のエピトープはまた、ライム病ボレリアに由来する元の配列を含まないが、同じまたは好ましくは改善したT細胞応答を誘発するエピトープも包含する。これらのエピトープは、「ヘテロクリティック」と呼ばれる。これらは、MHC/HLA分子に対する同様または好ましくはより強い親和性、および、同様または好ましくはより強力な様式で元のエピトープを対象とするT細胞受容体(TCR)を刺激する能力を有する必要がある。
エピトープおよびより具体的にはヘテロクリティックエピトープを同定するための別の実行可能な手段には、1つまたはいくつかの本発明のエピトープを対象とするT細胞を用いたペプチドライブラリーのスクリーニングが含まれる。好ましい方法は、合成ペプチドライブラリーのポジショナルスキャニングである。このようなアプローチは、例えば、Hemmer, B. et al., 1999およびその中で与えられる参照文献によって詳細に説明されている。
本発明に由来するアミノ酸配列によって表されるエピトープまたは本明細書において開示するヘテロクリティックエピトープの代替物として、「ペプチド模倣体(peptidemimetica)」または「レトロインバース型ペプチド」とも本明細書において呼ばれる、これらのエピトープを模倣した物質または化合物もまた、適用することができ、したがって、これらは本発明の範囲内である。
改善されたエピトープの設計の別の局面は、T細胞を刺激する能力を増大させる物質の配合またはそれらによる修飾である。これらには、Tヘルパー細胞エピトープ、脂質もしくはリポソーム、またはWO01/78767に記載されているような好ましい修飾物質(modification)が含まれる。
エピトープのT細胞刺激能力を増大させる別の方法は、免疫刺激物質、例えば、インターロイキン-2、インターロイキン-7、インターロイキン-12、インターロイキン-18、クラスIおよびIIのインターフェロン(IFN)、特にIFN-γ、GM-CSF、TNF-α、およびflt3-リガンドなどのようなサイトカインまたはケモカインとの配合である。
また、本発明の核酸分子を、例えば、RNA、cDNA、およびゲノムDNAに対するハイブリダイゼーションプローブとして使用して、本発明のポリペプチドをコードする完全長cDNAおよびゲノムクローンを単離すること、ならびに本発明の核酸分子に対して高い配列類似性を有する他の遺伝子のcDNAおよびゲノムクローンを単離することもできる。このようなプローブは、一般に、少なくとも15個の塩基を含む。好ましくは、このようなプローブは、少なくとも20個、少なくとも25個、または少なくとも30個の塩基を有し、かつ少なくとも50個の塩基を有してよい。特に好ましいプローブは、少なくとも30個の塩基を有し、かつ50個またはそれ以下の塩基、例えば、30個、35個、40個、45個、または50個の塩基を有する。
例えば、本発明の核酸分子のコード領域は、オリゴヌクレオチドプローブを合成するための公知のDNA配列を用いて適切なライブラリーをスクリーニングすることによって単離することができる。次いで、本発明の遺伝子の配列に相補的な配列を有する標識されたオリゴヌクレオチドを用いて、cDNA、ゲノムDNA、またはmRNAのライブラリーをスクリーニングして、プローブがライブラリーのどのメンバーにハイブリダイズするかを決定する。
本発明の核酸分子およびポリペプチドは、本明細書においてさらに考察するように、疾患、特にヒト疾患のための医薬および/または診断用物質を開発または製造するための反応物および材料として使用することができる。
オリゴヌクレオチドである本発明の核酸分子を、本明細書において説明するプロセスにおいて、ただし好ましくはPCRのために使用して、本明細書において全部または一部同定されるライム病ボレリア遺伝子が、皮膚、滑液、または血液などの感染組織中に存在するか、かつ/または転写されるか否かを判定することができる。このような配列はまた、感染症の病期および病原体が達成した感染症のタイプを診断する際にも役に立つことが認識されている。この目的および他の目的のために、当技術分野においてそれ自体で公知であり、本明細書において説明する少なくとも1種の本発明による核酸またはポリペプチドを含むアレイが使用され得る。
本発明による核酸分子は、核酸分子、およびこれらの核酸分子を含む生物または試料の検出のために使用され得る。好ましくは、このような検出は、診断のため、より好ましくは、B.ブルグドルフェリ(狭義)または他の任意のボレリア病原体種、好ましくはB.アフゼリもしくはB.ガリニの存在または存在量に関係または関連している疾患の診断のためである。
B.ブルグドルフェリ(狭義)または他の任意のボレリア病原体種、好ましくはB.アフゼリもしくはB.ガリニに感染した真核生物(本明細書において、「個体」とも呼ぶ)、特に哺乳動物、および特にヒトは、様々な技術によってDNAレベルで検出される、本発明による核酸分子のいずれかを検出することによって確認することができる。B.ブルグドルフェリ(狭義)または前記の他の病原性ボレリアを他の生物と区別するための好ましい核酸分子候補を得ることができる。
本発明は、ある個体から単離されるか、またはそれに由来する試料から、本明細書において開示し、かつより好ましくは配列リストに示す核酸分子の配列を有する核酸分子の上昇した発現レベルを測定する段階を含む、B.ブルグドルフェリ(狭義)または他の任意のボレリア病原体種、好ましくはB.アフゼリもしくはB.ガリニの感染に起因する疾患を診断するための方法を提供する。核酸分子の発現は、例えば、PCR、RT-PCR、RNase 保護、ノーザンブロット法、他のハイブリダイゼーション法、および本明細書において説明するアレイなど核酸分子を定量するための当技術分野において周知の方法のいずれか1つを用いて測定することができる。
本明細書において使用される単離されたとは、その天然の状態から「人間の手によって」切り離されることを意味する。すなわち、それが天然に存在する場合には、元の環境から変更されるか、もしくは取り出されるか、またはその両方である。例えば、この用語が本明細書において使用される場合、天然に存在する核酸分子または天然な状態で生物中に天然に存在するポリペプチドは、「単離されて」いないが、天然の状態で共存する材料から切り離された同じ核酸分子またはポリペプチドは、「単離されて」いる。単離の一環として、または単離後に、このような核酸分子をDNAのような他の核酸分子に連結することができ、これは、例えば、変異誘発して融合タンパク質を形成させるため、および宿主における増殖または発現のためでよい。単離された核酸分子を、単独で、またはベクターのような他の核酸分子に連結して、培養中または完全な生物中の宿主細胞中に導入することができる。この用語が本明細書において使用される場合、培養中または完全な生物中の宿主細胞中に導入されても、このようなDNAは依然として単離されているはずである。これは、それらが天然に存在する形態にも環境にもないと考えられるためである。同様に、核酸分子およびポリペプチドは、天然に存在する組成物ではない、培地調製物のような組成物、例えば細胞中に核酸分子またはポリペプチドを導入するための溶液、例えば化学反応または酵素反応のための組成物または溶液中に存在してもよく、その中でも、本明細書において使用されるこの用語の意味の範囲内においては、単離された核酸分子またはポリペプチドのままである。
本発明による核酸は、化学的に合成することができる。あるいは、当業者に公知の方法によって、B.ブルグドルフェリ(狭義)または他の任意のボレリア病原体種、好ましくはB.アフゼリもしくはB.ガリニから核酸を単離することもできる。同じことが、本発明によるポリペプチドにも当てはまる。
本発明の別の局面によれば、新規なポリペプチドの包括的なセットが提供される。このようなポリペプチドは、本明細書において先に言及したとおり、本明細書において開示するタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、および抗原、ならびにそれらの断片、好ましくはそれらの活性断片、およびそれらの活性変種、好ましくはそれらの活性変種である。好ましくは、本発明によるポリペプチドは、高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片である。本発明の好ましい態様において、本明細書において説明する核酸分子およびそれらの断片のいずれか1つに好ましくはコードされたアミノ酸配列を含む高度免疫血清反応性抗原が提供される。別の本発明の好ましい態様において、SEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506、またはSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750を含む群より選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質、高度免疫血清反応性抗原および抗原、ならびにそれらの活性断片および活性変種の新規なセットが提供される。
本発明による特に好ましいポリペプチドまたはそれらの断片は、表8および表10に挙げたものである。
本発明によるポリペプチド、すなわち、本発明によって提供されるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、および抗原には、配列リストに示される任意のポリペプチドまたは分子、ならびに本発明によるこのようなポリペプチドに対して少なくとも70%の同一性、好ましくは、本発明によるこのようなポリペプチドに対して少なくとも80%または85%の同一性、およびより好ましくは、本発明により、かつより好ましくは配列リストに示されるこのようなポリペプチドに対して少なくとも90%の類似性(より好ましくは、少なくとも90%の同一性)、およびさらにより好ましくは、本発明によるこのようなポリペプチドに対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%の類似性(さらにより好ましくは、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%の同一性)を有するポリペプチドが含まれ、また同様に、ポリペプチドの一部分も含まれ、このようなポリペプチドの一部分は、一般に、少なくとも4個のアミノ酸、およびより好ましくは少なくとも8個、さらにより好ましくは少なくとも30個、さらにより好ましくは少なくとも50個のアミノ酸、例えば、4個、8個、10個、20個、30個、35個、40個、45個、または50個のアミノ酸を含む。好ましい態様において、このような一部分は、本発明によるポリペプチドの活性断片である。
本発明はまた、本発明によるポリペプチドの断片、類似体、および誘導体、ならびにそれらの断片およびそれらの変種にも関する。アミノ酸配列が好ましくは配列リストに示された、本発明によるこのようなポリペプチドに関する場合、「断片」、「誘導体」、および「類似体」という用語は、好ましくは、個別にまたは任意の組合せのいずれかで、このようなポリペプチドと本質的に同じもしくは同様の生物学的機能もしくは活性、および/または同じもしくは同様の構造的特性を保持しているポリペプチドを意味する。本明細書において使用される「同様の生物学的機能または活性」という用語の意味が、好ましくは、考察中のポリペプチド、およびより具体的にはその機能に依存することは、当業者には認識されるであろう。より好ましくは、同様の生物学的機能または活性は、本発明によるこのようなポリペプチドの1つまたはいくつかの化学的、生物学的、または他の活性の点で、非断片または非誘導体の機能とは異なる。より好ましくは、生物学的機能または活性は、抗原性指標、免疫原性、安定性、および/または特異性として好ましくは表される、活性、親和性、抗原性の程度によって定義される。好ましい態様において、差は、50%未満、75%未満、または90%未満である。特に好ましい断片、類似体、および誘導体は、B.ブルグドルフェリ(狭義)もしくは他の任意の病原性ボレリア種の生存能力のために不可欠な機能、またはヒトにおいて疾患を引き起こす能力を与える酵素の受容体またはドメインを含むものである。本発明によるポリペプチドのさらに好ましい断片、類似体、および誘導体は、動物、特にヒトにおける抗原決定基または免疫原決定基を含むかまたは含有するものである。このような断片は、それぞれ、抗原性断片、抗原性誘導体、および抗原性類似体とも呼ばれる。このような同様の生物学的機能または活性が、有害な活性の減少であることもまた、本発明の態様の範囲内である。好ましくは、このような減少は、本発明によるポリペプチドによって提示されるこのような活性の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、およびより好ましくは少なくとも50%である。特に好ましい態様において、このような減少した有害な活性は、酵素機能および毒性機能、ならびに/またはヒト交差反応性抗体の産生である。また、本明細書において使用される「同様の構造的特性」という用語の意味は、好ましくは、考察中のポリペプチド、ならびにより具体的にはその機能および/またはその構造に依存することも、当業者には認識されるであろう。好ましい態様において、このような構造的特性は、本発明によるポリペプチドのαヘリックスおよびαヘリックス形成領域、βシートおよびβシート形成領域、ターンおよびターン形成領域、コイルおよびコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、α両親媒性領域、β両親媒性領域、柔軟な領域、表面形成領域、基質結合領域、および抗原性指標の高い領域、ならびにそれらの組合せである。
ある態様において、本発明によるポリペプチドの断片、誘導体、変種、または類似体は、1)1つもしくは複数のアミノ酸残基が、保存アミノ酸残基もしくは非保存アミノ酸残基(好ましくは保存アミノ酸残基)で置換されており、かつそれらの置換されたアミノ酸残基が、遺伝コードにコードされたものでも、そうでなくてもよいもの、または2)1つもしくは複数のアミノ酸残基が置換基を含むもの、または3)本発明によるポリペプチドもしくはその断片が、別の化合物、例えば、本発明によるそのポリペプチドの半減期を延長する化合物、例えばポリエチレングリコールなどと融合されているもの、または4)付加的なアミノ酸、例えば、リーダー配列もしくは分泌配列、または本発明によるポリペプチドもしくはその断片またはプロタンパク質配列の精製のために使用される配列が、本発明によるポリペプチドもしくはその断片に融合されているものである。このような断片、誘導体、変種、および類似体は、本明細書における教示から当業者の能力の範囲内であるとみなされる。
本発明はまた、好ましくはホモログである、様々なB.ブルグドルフェリ(狭義)分離株、ならびに他のボレリア種、好ましくは、B.アフゼリおよびB.ガリニを含む病原性ボレリア種からの分離株のタンパク質、高度免疫血清反応性抗原、および抗原に関する。このようなホモログは、本明細書において開示する核酸およびアミノ酸の配列に基づいて、容易に単離することができる。各病原体に対して複数の血清型または臨床株が現在までに区別されており、分類は、血清型に特異的な抗血清または分子的アプローチに基づいている。したがって、任意の抗原の存在は、すべての血清型に関して決定することができる。さらに、ospCに関して説明されているように、様々なライム病ボレリア遺伝種および株における特定の抗原の多様性を決定することも可能である(Livey, I. et al., 1995)。様々なボレリア感染症への様々な血清型の寄与は、異なる年齢群および特に地理的領域において異なる。最も有益な防御抗原が様々な臨床株の間で保存される必要があることが、重要な局面である。
さらに、このような高度免疫血清反応性抗原、変種、類似体、誘導体およびそれらの断片、ならびにそれらの断片の変種、類似体、および誘導体を含む融合ポリペプチドもまた、本発明に包含される。このような融合ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそれらをコードする核酸分子は、融合タンパク質をコードする組換えポリ核酸を作製し発現させるための標準的な組換え技術を含む標準技術を用いて容易に作製することができる。
好ましい変種には、保存的アミノ酸置換によって基準物から変更したものがある。このような置換は、本発明によるポリペプチド中の所与のアミノ酸を、同様の特徴を有する別のアミノ酸で置換するものである。保存的置換として典型的に認識されるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIleのうち1つが別のものと変わる置換、ヒドロキシル残基SerおよびThrの交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGlnの置換、塩基性残基LysおよびArgの交換、ならびに芳香族残基PheおよびTyrの置換である。
この点に関してさらに特に好ましいのは、本明細書において開示し、かつ好ましくは配列リストに示す本発明による任意のポリペプチドのアミノ酸配列を有し、いくつかの、数個の、5〜10個の、1〜5個の、1〜3個の、2個の、1個のアミノ酸残基が任意の組合せで置換、欠失、もしくは付加されているか、またはいかなるアミノ酸残基も置換も、欠失も、付加もされていない、変種、類似体、誘導体、および断片、ならびにそれらの断片の変種、類似体、および誘導体である。これらのうちで特に好ましいのは、本発明のペプチドの特性および活性を変更しない、サイレントな置換、付加、および欠失である。また、保存的置換も、この点に関して特に好ましい。最も著しく好ましいのは、配列リストに示すアミノ酸配列を有し、置換を伴わないペプチドである。
本発明によるポリペプチドは、好ましくは、単離された形態で提供され、好ましくは、均一になるまで精製される。
抗原性断片は、好ましくは、それ自体が抗原性であるか、またはハプテンとして提供された場合に抗原性になり得る断片と定義される。したがって、1つ、またはより長い断片の場合は特に、数個のみのアミノ酸交換を示す抗原または抗原性断片もまた、本発明によって使用可能である。ただし、アミノ酸交換を伴うこのような断片の抗原性または抗原性能力が、交換によって大幅に低下しないこと、すなわち、この抗原をワクチン接種された個体において適切な免疫応答を誘発するのに適しており、かつ個体の血清に由来する個々の抗体調製物によって同定されることを条件とする。
本発明によるポリペプチドのこのような断片の好ましい例は、表1、表5、表6、表8、および表10から得ることもでき、かつ、好ましくは、多様な態様における本発明の第8の局面による抗原に対応し、より好ましくは、それに関連して示されるコアアミノ酸配列を有するかまたは含むものである断片である。
これらの断片はすべて、個別に、かつそれぞれ独立して、本発明の好ましい選択された局面を形成する。
本発明はまた、とりわけ、前述の断片、変種、活性変種、および活性断片をコードする核酸分子、それらの断片、変種、活性変種、および活性断片をコードする核酸分子にハイブリダイズする核酸分子、特に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするもの、ならびに、これらの断片をコードする核酸分子を増幅させるためのPCRプライマーのような核酸分子にも関することが、認識されるであろう。これらの点に関して、好ましい核酸分子は、前述のとおり、好ましい断片に対応するものである。
本発明はまた、本発明の1つまたは複数の核酸分子を含むベクター、本発明のベクターを用いて遺伝的に操作した宿主細胞、および組換え技術による本発明によるポリペプチドの作製に関する。
多種多様の発現ベクターを用いて、本発明によるポリペプチドを発現させることができる。一般に、核酸を維持、増加、または発現させて、宿主中でポリペプチドを発現させるのに適した任意のベクターが、この点に関して発現のために使用され得る。本発明のこの局面によれば、ベクターは、例えば、プラスミドベクター、一本鎖ファージベクターまたは二本鎖ファージベクター、一本鎖または二本鎖のRNAウイルスベクターまたはDNAウイルスベクターでよい。本明細書において開示する出発プラスミドは、市販されているか、公的に入手可能であるか、または周知の公開された手順をルーチンに適用することによって、入手可能なプラスミドから構築することができる。ベクターのうちで好ましいものは、いくつかの点で、本発明による核酸分子およびポリペプチドを発現させるためのものである。宿主細胞中の核酸構築物を従来の様式で使用して、組換え配列にコードされた遺伝子産物を作製することができる。あるいは、本発明によるポリペプチドは、従来のペプチド合成機を用いて合成によって作製することもできる。成熟タンパク質は、適切なプロモーターの制御下で、哺乳動物細胞、酵母、細菌、または他の細胞において発現させることができる。また、無細胞系翻訳システムを使用して、本発明のDNA構築物に由来するRNAを用いてこのようなタンパク質を作製することもできる。
宿主細胞を遺伝的に操作して、核酸分子を組み込み、かつ本発明の核酸分子を発現させることができる。適切な宿主の代表的な例には、連鎖球菌(streptococci)細胞、ブドウ球菌(staphylococci)細胞、大腸菌(E. coli)細胞、ストレプトマイセス(Streptomyces)細胞、および枯草菌(Bacillus subtilis)細胞などの細菌細胞、酵母細胞およびアスペルギルス属(Aspergillus)細胞などの真菌細胞、ショウジョウバエ属(Drosophila)S2細胞およびスポドプテラ属(Spodoptera)Sf9細胞などの昆虫細胞、CHO、COS、HeLa、C 127、3T3、BHK、293、およびBowes黒色腫細胞などの動物細胞、ならびに植物細胞が含まれる。
本発明によるポリペプチドは、融合タンパク質のような改変した形態で発現されてもよく、かつ、分泌シグナルだけでなく、付加的な異種の機能的領域も含んでよい。したがって、例えば、付加的なアミノ酸、特に帯電したアミノ酸の領域を、ポリペプチドのN末端またはC末端に付加して、精製の間またはその後の処理および貯蔵の間の宿主細胞における安定性および持続性を改善することができる。また、精製を容易にするための領域をポリペプチドに付加してもよい。このような領域は、ポリペプチドを最終的に調製する前に除去することができる。とりわけ、分泌もしくは排出を引き起こすか、安定性を改善するか、または精製を容易にするためにポリペプチドにペプチド部分を付加することが、当技術分野においてよく知られ、かつルーチンな技術である。好ましい融合タンパク質は、ポリペプチドを可溶化または精製するのに有用である、免疫グロブリン由来の異種領域を含む。例えば、EP0464533(カナダ対応出願第2045869号)では、免疫グロブリン分子の定常領域の様々な部分を別のタンパク質またはその一部分と共に含む融合タンパク質を開示している。薬物の発見においては、例えば、タンパク質は、アンタゴニストを同定するためのハイスループットなスクリーニングアッセイ法のために、抗体のFc部分と融合される。例えば、(Bennett, D. et al., 1995)および(Johanson, K. et al., 1995)を参照されたい。また、融合物には、脂質および炭水化物を含むアミノ酸以外の部分に融合または結合された、本発明によるポリペプチドも含まれ得る。さらに、本発明の抗原は、先行技術によって説明されている他のワクチン物質、ならびに他の微生物に由来する他種のワクチン物質と組み合わせて使用され得る。このようなタンパク質は、広範なボレリア分離株によって引き起こされる疾患の予防、治療、および診断に有用である。別の態様において、本発明のペプチドは、抗タグ物質が選択的に結合できるエピトープを提供するエピトープタグに融合されている。エピトープタグは、一般に、ペプチドのアミノ末端またはカルボキシル末端に配置されるが、生物活性が許容する場合は、内部の挿入物または置換物として組み込まれてもよい。このようなエピトープでタグ化された形態のペプチドの存在は、そのタグ化ペプチドに対する抗体のような物質を用いて検出することができる。また、エピトープタグを提供することにより、抗タグ抗体またはエピトープタグに結合する別のタイプのアフィニティマトリックスを用いるアフィニティ精製によってペプチドを容易に精製することが可能になる。様々なタグポリペプチドおよびそれらの各自の抗体は、当技術分野において周知である。例には、ポリ-ヒスチジン(ポリ-his)タグ、ポリ-ヒスチジン-グリシン(ポリ-his-gly)タグ、HAタグポリペプチド、c-mycタグ、Strepタグ、およびFLAGタグが含まれる。
本発明によるポリペプチドは、硫安沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン交換クロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含む周知の方法によって、組換え細胞培養物から回収および精製することができる。
本発明によるポリペプチドは、化学合成ならびに生物工学的手段によって作製することができる。後者は、本発明による核酸を含むベクターを用いて宿主細胞をトランスフェクションまたは形質転換すること、および当業者には公知である条件下で、トランスフェクトまたは形質転換された宿主細胞を培養することを含む。作製方法はまた、製造しようとするポリペプチドを精製または単離するために精製段階も含んでよい。好ましい態様において、ベクターは、本発明によるベクターである。
本発明によるポリペプチドは、これらの生物またはタンパク質、それらの断片を含む高度免疫血清反応性抗原もしくは抗原を含む試料中の1つまたは複数の生物を検出するために使用することができる。好ましくは、このような検出は、診断のため、より好ましくは疾患の診断のため、最も好ましくは、グラム陰性細菌、特に、必ずしも限定されるわけではないがB.アフゼリ、B.ブルグドルフェリ(狭義)、B.ガリニ、B.ルシタニエ、およびB.バライシアナを含む病原性ボレリア種を含む群より選択される細菌、より好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、およびボレリア・ガリニを含む群より選択される細菌の存在または存在量に関係または関連している疾患の診断のためである。
本発明による核酸はまた、試料中の生物または生物を診断または検出するために使用することもでき、これらの生物は、好ましくは、本発明によるポリペプチドおよび本発明による抗体の使用に関連してそれぞれ開示するのと同じものである。基本的には、本発明の開示に照らして、このような診断および検出用のアッセイ法および方法をそれぞれ設計および実践することは、当業者の技能の範囲内である。より好ましくは、このような診断または検出では、本発明による核酸分子と特異的に相互作用するプライマーまたはプローブを使用する。このようなプライマーおよびプローブの長さおよび設計は、それぞれ、実践される個々の方法または診断に応じて変わる。好ましい態様において、例えば、PCRに基づいた検出または診断のシステム、すなわち方法またはアッセイ法のためにプライマーを使用する場合、プライマーの長さは、約10ヌクレオチド〜約30ヌクレオチド、およびより好ましくは、約16〜25ヌクレオチドの範囲にわたる。プローブに基づいた検出または診断のシステムの場合、プローブの長さは、好ましくは、プライマーに基づいたシステムに関して指定したのとほぼ同じである。さらに、プローブに基づいたシステムの場合、プローブは、直接的または間接的にその検出を可能にする部分も含む。直接的検出のためのこのような部分は、当業者に公知の放射性標識または蛍光性標識でよい。間接的検出のためのこのような部分は、ビオチン、または別の化合物との相互作用を媒介し、次いでその化合物が標識され、その結果、検出を可能にする他の任意の部分でよい。
本発明はまた、正常レベルおよび異常レベルの決定を含む、細胞および組織中の本発明によるポリペプチド、およびより好ましくは、本発明の高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片のレベルを検出するための定量アッセイ法および診断アッセイ法などの診断アッセイ法にも関する。したがって、例えば、正常な対照組織試料と比べて本発明によるポリペプチドの過剰発現を検出するための本発明による診断アッセイ法を用いて、例えば、感染症の存在を検出すること、および感染した生物を特定することができる。宿主に由来する試料中のこのようなポリペプチドのレベルを決定するのに使用され得るアッセイ技術は、当業者に周知である。このようなアッセイ法には、ラジオイムノアッセイ法、競合的結合アッセイ法、ウェスタンブロット解析、およびELISAアッセイ法が含まれる。これらのうちで、ELISA解析およびウェスタンブロット解析がしばしば好ましい。ELISAアッセイ法は、最初に、本発明によるポリペプチドのうち1種に特異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体を調製する段階を含む。さらに、モノクローナル抗体に結合するレポーター抗体が、一般に調製される。レポーター抗体は、放射性試薬、蛍光試薬、または西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素のような酵素試薬など検出可能な試薬に結合される。1つまたはいくつかの本発明によるポリペプチド、ならびにより好ましくは、本発明による高度免疫血清反応性抗原およびその断片が、試験される患者または対象の血清中の反応性抗体を検出するために、ELISAプレート上に固定化されてよい。
ウェスタンブロットアッセイ法では、個別にまたは組み合わせて、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、本発明によるポリペプチドを最初に分離し、続いて、これらをニトロセルロース、ナイロン、またはそれらの組合せなどの固体支持体マトリックス上に移し、かつ固定化する。レポーター抗体と共に、反応性抗体を検出することができる。レポーター抗体は、放射性試薬、蛍光試薬、または西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素のような酵素試薬など検出可能な試薬に結合される。
本発明によるポリペプチドもしくは本発明による核酸分子、または本明細書において説明するそれらを対象とするプライマーもしくはプローブは、アレイのために、またはアレイに関連して使用することもできる。本発明による核酸分子ならびにそれを対象とするプライマーおよびプローブの場合、これらのプローブおよびプライマーの長さはまた、好ましくは、約25〜約75ヌクレオチド、より好ましくは約35〜約50ヌクレオチドの範囲でもよい。より具体的には、本発明によるポリペプチドのうち少なくとも1つが、支持体上に固定化されてよい。該支持体は、典型的には、本発明による多様なポリペプチドならびに/または高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片を含み、この多様性は、1つまたはいくつかの本発明による高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片、ならびに/または異なる高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片を用いることによって作製することができる。このようなアレイならびに一般的な任意のアレイを特色付ける特徴は、前記支持体またはその表面上の別個またはあらかじめ定義された領域または位置に、異なるポリペプチドが固定化されるということである。このため、アレイの別個の位置または領域における任意の活性は、個々のポリペプチドと相関関係があり得る。支持体上に固定化される様々なポリペプチド、ならびにより好ましくは様々な高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片の数は、それぞれ、わずか10個〜数千個の様々なポリペプチドならびに高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片まで多岐にわたってよい。該分子の1cm2当たりの密度は、好ましい態様において、そのような様々なポリペプチドがわずか10個/cm2〜少なくとも400個/cm2であり、およびより具体的には、そのような様々なポリペプチド、ならびにより好ましくは、様々な高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片が少なくとも1,000個/cm2である。本発明によるポリペプチドの固定化およびそれらの使用に関して本明細書において説明することは、当業者には認識されるように、核酸分子ならびにそれらを対象とするプライマーおよびプローブのそれぞれにも同様に当てはまる。
このようなアレイの製造は当業者に公知であり、例えば、米国特許第5,744,309号に記載されている。アレイは、好ましくは、少なくとも第1の表面を有する平面状、多孔質性、または非多孔質性の固体支持体を含む。本発明によるポリペプチドは、該表面に固定化される。好ましい支持体材料は、特に、ガラスまたはセルロースである。このアレイが本明細書において説明する診断的用途のいずれかのために使用されることもまた、本発明の範囲内である。本発明によるポリペプチドの他に、本発明による核酸分子もまた、前述のアレイの作製のために使用してよく、これは、原則的に、ポリペプチドを含むアレイに関して開示した目的のいずれかのために使用することができる。これは、抗体、好ましくは、特に本明細書において説明するモノクローナル抗体で作製したアレイにも同様に当てはまる。
さらなる局面において、本発明は、本発明によるポリペプチド、本発明によるそれらの誘導体、断片、変種、活性断片、および活性変種のいずれかを対象とする抗体に関する。本発明は、例えば、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、およびヒト化抗体、ならびにFab断片、またはFab発現ライブラリーの産物を含む。抗体がキメラでよいこと、すなわち、その別々の部分が異なる種に由来するか、または少なくともそれぞれの配列が異なる種に由来することは、本発明の範囲内である。
本発明の配列に対応する高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片を一般におよび特に対象とするこのような抗体は、本発明によるポリペプチドを動物に直接注射することによって、または該ポリペプチドを動物、好ましくは非ヒトに投与することによって得ることができる。このようにして得られた抗体は、次いで、前記ポリペプチドそれ自体に結合すると考えられる。この様式では、前記ポリペプチドの断片のみをコードする配列でさえ、本発明による完全な天然ポリペプチドに結合する抗体を作製するために使用することができる。次いで、このような抗体を用いて、それらの高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片を発現する組織から本発明によるポリペプチドを単離することができる。この手順はまた、前記ポリペプチドのそれらの断片、変種、活性断片、および活性変種にも応用可能であることが当業者には理解されるであろう。
モノクローナル抗体を調製するために、連続的な細胞株培養物によって産生される抗体を提供する、当技術分野において公知である任意の技術が使用され得る(Kohler, G. et al., 1975において最初に説明された)。
単鎖抗体の作製に関して説明されている技術(米国特許第4,946,778号)を適応させて、本発明による様々な態様における免疫原性の高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片に対する単鎖抗体を作製することができる。また、トランスジェニックマウスまたは他の哺乳動物のような他の生物も、本発明によるポリペプチドに対するヒト化抗体を発現させるために使用され得る。
あるいは、ファージディスプレイ技術またはリボソームディスプレイを利用して、各自の標的抗原の所有に関してスクリーニングされたヒト由来リンパ球のPCR増幅したv遺伝子のレパートリーから、またはナイーブなライブラリーのいずれかから、本発明によるポリペプチドに対する結合活性を有する抗体遺伝子を選択することもできる(McCafferty, J. et al., 1990; Marks, J. et al., 1992)。これらの抗体の親和性は、チェーンシャッフリングによって改善することもできる(Clackson, T. et al., 1991)。
2つの抗原結合ドメインが存在する場合には、各ドメインが異なるエピトープを対象としてよく、これは「二重特異性」抗体と呼ばれる。
好ましくは、抗体またはその誘導体は、個体における免疫原性を低くするように改変される。例えば、個体がヒトである場合、抗体は、最も好ましくは「ヒト化」されてよく、例えば、(Jones, P. et al., 1986)または(Tempest, P. et al., 1991)に説明されているように、ハイブリドーマに由来する抗体の相補性決定領域がヒトモノクローナル抗体中に移植される。
前述の抗体を使用して、単離のために固体支持体に抗体を結合し、かつ/またはアフィニティクロマトグラフィーによって精製することによって、本発明によるポリペプチドを発現するクローンを単離または同定することができる。
したがって、とりわけ、本発明によるポリペプチドに対する抗体を使用して、感染症、特に細菌感染症、および特に、病原性ボレリア種、好ましくはB.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、およびB.ガリニに起因する感染症を阻止および/または治療することができる。
本発明によるポリペプチド、ならびにより具体的には、多様な態様における高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片には、抗原として、エピトープとして、または免疫学的に等価な誘導体が含まれ、これらは本発明の特定の局面を形成する。本明細書において使用される「抗原として等価な誘導体」という用語は、本発明によるこのようなポリペプチド、または該ポリペプチドに対して産生された場合に病原体と哺乳動物宿主との相互作用を妨げる特定の抗体によって特異的に認識されるその等価物を包含する。本明細書において使用される「免疫学的に等価な誘導体」という用語は、脊椎動物において抗体を産生させるための適切な調製物中で使用された場合に、それらの抗体が病原体と哺乳動物宿主との相互作用を妨げる役割を果たすペプチドまたはその等価物を包含する。
本発明によるポリペプチド、ならびにより具体的には、多様な態様における高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片、例えば、抗原としてまたは免疫学的に等価な誘導体またはその融合タンパク質を抗原として用いて、マウスまたはラットもしくはニワトリなどの他の動物を免疫化することができる。融合タンパク質は、本発明によるポリペプチドに安定性を提供し得る。このようなポリペプチドは、例えば結合によって、免疫原性のキャリアタンパク質、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と結合されてよい。あるいは、本発明によるポリペプチド、ならびにより好ましくは高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片、または抗原としてもしくは免疫学的に等価な高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片の複数のコピーを含む抗原ペプチドが、免疫原性を向上させるのに十分な抗原性を有し、したがってキャリアの使用が不要になる場合もある。
遺伝子免疫における本発明による核酸分子の使用は、好ましくは、筋肉中へのプラスミドDNAの直接注射、特異的なタンパク質担体と複合体を形成させたDNAの送達、DNAとリン酸カルシウムとの共沈殿、様々な形態のリポソーム中へのDNAカプセル化、パーティクルボンバードメント法(Tang, D. et al., 1992)、(Eisenbraun, M. et al., 1993)、およびクローン化したレトロウイルスベクターを用いたインビボ感染(Seeger, C. et al., 1984)などの適切な送達方法を使用する。
さらなる局面において、本発明は、本発明によるポリペプチドの使用を特徴とし、かつ基本的な段階が当業者には公知である、該ポリペプチドのいずれかに結合するペプチド、およびそのようなペプチドを製造するための方法に関する。
このようなペプチドは、ファージディスプレイまたはリボソームディスプレイなど現況技術による方法を用いることによって作製してよい。ファージディスプレイの場合、基本的には、ファージの形態でペプチドライブラリーを作製し、この種のライブラリーを標的分子、本発明の場合は本発明によるポリペプチドと接触させる。続いて、それぞれの反応物から、好ましくは標的分子との複合体として、標的分子に結合するペプチドを取り出す。結合特徴は、少なくともある程度まで、塩濃度などのような具体的に実施される実験設定に依存することは当業者に公知である。より高い親和力またはより強い力で標的分子に結合するペプチドをライブラリーの非結合メンバーから分離した後、ならびに任意で標的分子およびペプチドの複合体から標的分子も除去した後、各ペプチドを続いて特徴付けてよい。特徴付けする前に、例えば、ペプチドをコードするファージを増殖させることによって、増幅段階を任意で実施する。特徴付けは、好ましくは、標的に結合するペプチドの配列決定を含む。基本的には、ペプチドの長さは限定されないが、好ましくは、アミノ酸約8〜20個の長さを有するペプチドが各方法で好ましくは得られる。ライブラリーのサイズは、約102個〜1018個、好ましくは108個〜1015個の様々なペプチドでよいが、それらに限定されない。好ましい態様において、このようなペプチドは、高親和性結合ペプチドである。さらにより好ましい態様において、これらのペプチドはペプチドアプタマーである。
前述の標的に結合するペプチドの特定の形態は、いわゆる「アンチカリン」であり、とりわけ、独国特許出願DE19742706において説明されている。その範囲において、本発明はまた、本発明によるポリペプチドに特異的に結合するペプチド、ならびに本明細書において説明する治療的応用および診断的応用のいずれかのため、好ましくは抗体のためのその使用に関する。
さらなる局面において、本発明は、本発明によるポリペプチドの使用を特徴とし、かつ基本的な段階が当業者には公知である、本発明によるポリペプチドのいずれかと相互作用する機能的核酸、およびそのような機能的核酸を製造するための方法に関する。機能的核酸は、好ましくはアプタマーおよびスピーゲルマーである。その範囲において、本発明はまた、本発明によるポリペプチドに特異的に結合するアプタマーおよびスピーゲルマー、ならびに本明細書において説明する治療的応用および診断的応用のいずれかのための、好ましくは抗体のためのその使用に関する。
アプタマーはD-核酸であり、一本鎖または二本鎖のいずれかであり、標的分子と特異的に相互作用する。アプタマーの製造または選択は、例えば、欧州特許EP 0 533 838において説明されている。基本的には、下記の段階が実施される。最初に、核酸、すなわち潜在的アプタマーの混合物が提供され、各核酸は、典型的には、いくつか、好ましくは少なくとも8個の続いた(subsequent)ランダム化ヌクレオチドのセグメントを含む。続いて、この混合物を標的分子と接触させる。その際、これらの核酸は、例えば、候補混合物と比べて、標的に対して増大した親和力に基づいて、または標的に対してより大きな力で標的分子に結合する。続いて、結合している核酸を混合物の残りの部分から分離する。任意で、例えばポリメラーゼ連鎖反応法によって、このようにして得た核酸を増幅する。これらの段階を数回繰り返して、標的に特異的に結合する核酸の比率が高まった混合物を最後に得て、次いで、最終的な結合核酸を任意でこれから選択する。これらの特異的に結合する核酸はアプタマーと呼ばれる。アプタマーを作製または同定するための方法の任意の段階で、個々の核酸の混合物の試料を採取して、標準技術によってその配列を決定してよいことは明らかである。例えば、アプタマーを作製する分野の当業者に公知である所定の化学基を導入することによって、アプタマーを安定化し得ることは、本発明の範囲内である。このような修飾は、例えば、ヌクレオチドの糖部分の2'位へのアミノ基の導入に存在してよい。アプタマーは、治療物質として現在使用されている。しかしながら、このようにして選択または作製されたアプタマーが、医薬、好ましくは、低分子をベースとした医薬を開発するための標的検証のために、かつ/またはリード物質として使用され得ることもまた、本発明の範囲内である。これは、競合アッセイ法によって実際に実施され、このアッセイ法では、標的分子とアプタマーの特異的相互作用が候補薬物によって阻害され、標的およびアプタマーの複合体からアプタマーが置換された場合には、各薬物候補は標的とアプタマーの相互作用の特異的阻害を可能にすると想定することができ、かつ相互作用が特異的である場合には、該候補薬物は、少なくとも原則的に、標的をブロックし、したがって、そのような標的を含む各システムにおけるその生物学的な利用能または活性を減少させるのに適していると考えられる。次いで、このようにして得た低分子をさらに誘導体化および修飾に供して、毒性、特異性、生分解性、および生物学的利用能などのその物理的、化学的、生物学的、および/または医学的特徴を最適化してよい。
スピーゲルマーおよびそれらの作製または製造は、同様の原理に基づいている。スピーゲルマーの製造は、国際特許出願WO98/08856に記載されている。スピーゲルマーはL核酸であり、これは、それらがアプタマーのようにDヌクレオチドから構成されているのではなく、Lヌクレオチドから構成されていることを意味する。スピーゲルマーは、生物学的系において非常に高い安定性を有し、かつアプタマーに匹敵して、対象とする標的分子と特異的に相互作用するということを特徴とする。スピーゲルマーを作製するプロセスにおいて、D核酸の異種集団を作り、この集団を標的分子の光学対掌体、本発明の場合では、例えば、本発明による高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片の天然のL-鏡像異性体のD-鏡像異性体と接触させる。続いて、標的分子の光学対掌体と相互作用しないD-核酸を分離する。しかし、標的分子の光学対掌体と相互作用するD-核酸を分離し、任意で同定し、かつ/または配列決定し、続いて、D-核酸から得られた核酸配列情報に基づいて、対応するL-核酸を合成する。標的分子の光学対掌体と相互作用する前述のD-核酸と配列の点で同一であるこれらのL-核酸は、光学対掌体ではなく天然に存在する標的分子と特異的に相互作用すると考えられる。アプタマーを作製するための方法と同様に、様々な段階を数回繰り返し、そのようにして、標的分子の光学対掌体と特異的に相互作用する核酸を富化することもまた可能である。
さらなる局面において、本発明は、本発明による核酸分子およびそれらの各配列の使用を特徴とし、かつ基本的な段階が当業者には公知である、本発明による核酸分子のいずれかと相互作用する機能的核酸、およびそのような機能的核酸を製造するための方法に関する。機能的核酸は、好ましくはリボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびsiRNAである。その範囲において、本発明はまた、本発明によるポリペプチドに特異的に結合するこの種の機能的核酸、ならびに本明細書において説明する治療的応用および診断的応用のいずれかのための、好ましくは抗体のためのその使用に関する。
リボザイムは、触媒的に活性な核酸であり、好ましくはRNAからなり、基本的には2つの部分からなる。第1の部分は触媒活性を示すのに対し、第2の部分は、標的核酸、本発明の場合では、本発明によるポリペプチドをコードする核酸との特異的相互作用に関与している。典型的には、2つのハイブリダイズする鎖の塩基の本質的に相補的なストレッチのハイブリダイゼーションおよびワトソン・クリック塩基対形成によって、標的核酸とリボザイムの第2の部分が相互作用すると、触媒的に活性な部分は活性になることができ、これは、リボザイムの触媒活性がホスホジエステラーゼ活性である場合には、分子内または分子間のいずれかで、標的核酸を触媒することを意味する。続いて、標的核酸がさらに分解される場合があり、これは、最後に、標的核酸ならびに該標的核酸に由来するタンパク質の分解をもたらす。リボザイム、それらの用途および設計原理は、当業者に公知であり、例えば、(Doherty, E. et al., 2001)および(Lewin, A. et al., 2001)に記載されている。
医薬を製造するための、および診断用物質としてのアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性および設計は、それぞれ同様の作用様式に基づいている。基本的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、塩基相補性に基づいて標的RNA、好ましくはmRNAとハイブリダイズし、それによってRNase Hを活性化する。RNase Hは、リン酸ジエステル結合したDNAおよびホスホロチオアート結合したDNAの両方によって活性化される。しかしながら、リン酸ジエステル結合したDNAは細胞ヌクレアーゼによって急速に分解されるが、ホスホロチオアート結合したDNAは別である。これらの耐性の非天然DNA誘導体は、RNAとハイブリダイゼーションした際にRNase Hを阻害しない。言い換えると、アンチセンスポリヌクレオチドは、DNA RNAハイブリッド複合体としてのみ有効である。この種のアンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、とりわけ、米国特許US5,849,902およびUS5,989,912に記載されている。言い換えると、本発明の場合は、本発明による高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片に対する核酸分子である標的分子の核酸配列に基づいて、それぞれの核酸配列が原則的に導き出され得る標的タンパク質から、または核酸配列それ自体、特にmRNAを知ることによって、適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドを塩基相補性の原則に基づいて設計することができる。
ホスホロチオアートDNAの短いストレッチ(塩基3個〜9個)を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドが特に好ましい。最低3個のDNA塩基が、細菌RNase Hの活性化のために必要であり、最低5個の塩基が哺乳動物RNase Hの活性化のために必要である。これらのキメラのオリゴヌクレオチドには、RNase Hに対する基質を形成する中心領域があり、RNase Hに対する基質を形成しない修飾ヌクレオチドから構成されるハイブリダイズする「アーム」がこれに隣接している。キメラオリゴヌクレオチドのハイブリダイズするアームは、2'-O-メチルまたは2'-フルオロなどによって修飾されてよい。代替のアプローチでは、該アーム中のメチルホスホナート結合またはホスホルアミダート結合を使用した。本発明の実践に際して有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドのさらなる態様は、P-メトキシオリゴヌクレオチド、部分的P-メトキシオリゴデオキシリボヌクレオチド、またはP-メトキシオリゴヌクレオチドである。
本発明のために特に適切かつ有用であるのは、前述の2つの米国特許でより具体的に説明されているようなアンチセンスオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、天然に存在する5'→3'結合ヌクレオチドを含まない。正しくは、これらのオリゴヌクレオチドは2つのタイプのヌクレオチドを有する。すなわち、RNase Hを活性化する2'-デオキシホスホロチオアートおよびRNase Hを活性化しない2'-修飾ヌクレオチドである。2'-修飾ヌクレオチド間の結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオアート、またはP-エトキシホスホジエステルでよい。RNase Hの活性化は、細菌RNase Hを活性化するための3〜5個の間の2’-デオキシホスホロチオアートヌクレオチド、ならびに真核生物、および特に哺乳動物RNase Hを活性化するための5〜10個の間の2’-デオキシホスホロチオアートヌクレオチドを含む、連続的なRNase H活性化領域によって遂行される。分解からの保護は、5'および3'末端の塩基を高度にヌクレアーゼ耐性にすることによって、かつ任意で3'末端保護基を配置することによって達成される。
より具体的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5'末端および3'末端、ならびに2'-修飾ホスホジエステルヌクレオチドおよび2'-修飾P-アルキルオキシホスホトリエステルヌクレオチドからなる群より独立に選択される、11位〜59位の5'→3'結合ヌクレオチドを含み、その際、5'末端ヌクレオシドは、3〜10個の間の連続的なホスホロチオアート結合デオキシリボヌクレオチドからなるRNase H活性化領域に結合しており、かつ該オリゴヌクレオチドの3'末端は、逆方向デオキシリボヌクレオチド、1〜3個のホスホロチオアート2'-修飾リボヌクレオチドの連続的ストレッチ、ビオチン基、およびP- アルキルオキシホスホトリエステルヌクレオチドからなる群より選択される。
また、5'末端ヌクレオシドがRNase H活性化領域に結合していないが、3'末端ヌクレオシドは上記に指定したとおりであるアンチセンスオリゴヌクレオチドも使用され得る。また、5'末端は、該オリゴヌクレオチドの3'末端ではなく、特定の基より選択される。
様々な態様における本発明による核酸ならびにポリペプチドは、薬学的組成物、特にワクチンとして、またはそれらの製造のために使用され得る。好ましくは、このような薬学的組成物、好ましくはワクチンは、ボレリア種、好ましくは病原性ボレリア遺伝種、ならびにより好ましくは、B.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、およびB.ガリニに起因するか、関係するか、または関連した疾患の予防または治療のためのものである。その範囲において、本発明の別の局面は、上記の微生物による感染から該個体を保護する抗体を産生させるのに適した、多様な態様における本発明によるポリペプチドまたはその断片もしくは変種を個体に接種する段階を含む、個体、特に哺乳動物において免疫学的応答を誘導するための方法に関する。
本発明のさらに別の局面は、遺伝子療法または別の方法で、好ましくは多様な態様における高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片を機能的にコードする本発明による核酸分子を、本発明によるポリペプチドをインビボで発現させるために送達して、免疫学的応答を誘導して抗体を産生させるか、または細胞媒介性T細胞応答、すなわちサイトカイン産生T細胞もしくは細胞障害性T細胞いずれかを誘導して、疾患が既に個体内部で確立されているか否かを問わず、疾患から該個体を保護する段階を含む、個体において免疫学的応答を誘導する方法に関する。遺伝子を投与する1つの方法は、粒子表面のコーティングとして、または別の方法で所望の細胞中にそれを加速的に導入(accelerating)することによる。
本発明のさらなる局面は、免疫学的応答をその内部で誘導することができた宿主中に導入された場合に、そのような宿主において免疫学的応答を誘導する免疫学的組成物に関し、この組成物は、多様な態様における本発明によるポリペプチドの少なくとも1種をコードおよび発現する組換えDNAを含む。免疫学的応答は、治療的または予防的に使用されてよく、抗体免疫またはCTL T細胞もしくはCD4+T細胞から生じるもののような細胞免疫の形態をとってよい。
多様な態様における本発明によるポリペプチドは、単独では抗体を産生できないが、第1のタンパク質を安定化し、かつ免疫原特性および保護防御特性を有するであろう融合タンパク質を産生することができる補助タンパク質(co-protein)と融合してよい。この融合組換えタンパク質は、好ましくは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)またはβ-ガラクトシダーゼなどの抗原性補助タンパク質、タンパク質を可溶化し、その作製および精製を容易にする比較的大型の補助タンパク質をさらに含む。さらに、補助タンパク質は、免疫系の全身性刺激を提供するという意味でアジュバントとしても作用し得る。補助タンパク質は、第1のタンパク質のアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかに結合され得る。
また、本明細書において説明するボレリア種、最も好ましくはB.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、およびB.ガリニのいずれかによる感染の動物モデルでのこのような遺伝的免疫化実験において、多様な態様における本発明による核酸分子を使用する方法も、本発明によって提供される。このような分子は、予防的または治療的な免疫応答を喚起することができるタンパク質エピトープを同定するのに特に有用であると考えられる。このアプローチは、哺乳動物、特にヒトにおける本明細書において説明するボレリア種、ならびに最も好ましくは、B.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、およびB.ガリニ感染の予防物質または治療的治療薬を開発するために、感染に抵抗するか、または感染を駆逐するのに成功した動物の不可欠な器官から特に価値のあるモノクローナル抗体を続いて調製することを可能にすることができる。
多様な態様における本発明によるポリペプチドを、宿主にワクチン接種するための抗原として使用して、例えば、損傷組織への細菌の接着を阻止することによって細菌が侵入しないように保護する特異的抗体を産生させることができる。組織損傷およびそのように損傷された組織の例には、例えば、ウイルス感染(特に呼吸器、例えばインフルエンザ)による機械的、化学的、もしくは熱的な損傷または留置器具の埋め込みに起因する、皮膚もしくは結合組織、および粘膜組織の創傷、または口、乳腺、尿道、もしくは腟などの粘膜の創傷が含まれる。
本発明はまた、多様な態様における本発明によるポリペプチドの1種またはいくつかを適切な担体と共に含むワクチン製剤も含む。本発明による該ポリペプチドは、胃の中で分解される可能性があるため、好ましくは非経口的に投与され、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、皮内、鼻腔内、または経皮である投与が含まれる。非経口投与に適した製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および個体の体液、好ましくは血液とその製剤を等張性にする溶質を含んでよい水性および非水性の無菌注射液剤、ならびに、懸濁化剤または増粘剤を含んでよい水性および非水性の滅菌懸濁剤が含まれる。製剤は、単位投与用容器または多回投与用容器、例えば密閉されたアンプルおよびバイアルに入れて提供されてよく、かつ、使用する直前に、無菌の液状担体の添加のみを必要とする、フリーズドライさせた状態で保存されてよい。ワクチン製剤はまた、水中油系および当技術分野において公知の他の系など製剤の免疫原性を高めるためのアジュバント系も含んでよい。投薬量は、ワクチンの特異的活性に依存し、ルーチンな実験法によって容易に決定することができる。
別の局面によれば、本発明は、本明細書において説明する様々なボレリア種、および最も好ましくはライム病ボレリア、B.アフゼリ、またはB.ガリニに関する多様な態様における本発明によるポリペプチドの1種またはいくつかを含む薬学的組成物に関する。このような薬学的組成物は、ボレリア種に対する、1種、好ましくは少なくとも2種またはそれ以上の該ポリペプチドを含んでよい。任意で、このようなポリペプチドは、組合せ薬学的組成物中で、さらに別の病原体に対する抗原と組み合わせてもよい。好ましくは、該薬学的組成物は、ボレリア種、より好ましくは、B.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、もしくはB.ガリニなどの病原性ボレリア種、および/またはそれに対する抗原がワクチン中に含まれた他の病原体に起因する感染症を予防または治療するためのワクチンである。
さらなる局面によれば、本発明は、本発明による核酸分子を含む薬学的組成物に関する。このような薬学的組成物は、本発明によるポリペプチドをコードする1つまたは複数の本発明による核酸分子を含んでよい。任意で、本発明によるポリペプチドをコードするこのような核酸分子は、組合せ薬学的組成物中で、他の病原体に対する抗原をコードする核酸分子と混合される。好ましくは、該薬学的組成物は、ボレリア種、より好ましくは、B.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、およびB.ガリニをより好ましくは含む、本明細書において開示する病原性ボレリア種、ならびに/またはそれに対する抗原がワクチン中に含まれた他の病原体に起因する感染症を予防または治療するためのワクチンである。
薬学的組成物は、任意の適切な補助物質、例えば、緩衝物質、安定化剤、または別の活性成分、特に、薬学的組成物および/またはワクチンの作製に関連した公知の成分を含んでよい。
多様な態様における本発明によるポリペプチドまたは本発明による核酸分子のための好ましい担体または賦形剤は、本発明によるポリペプチドまたはそれをコードする核酸分子に対する免疫応答をさらに刺激するための免疫賦活性化合物である。好ましくは、本発明による薬学的調製物中の免疫賦活性化合物は、ポリカチオン物質、特にポリカチオンペプチド、免疫賦活性核酸分子、好ましくは免疫賦活性デオキシヌクレオチド、ミョウバン、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、向神経活性化合物、特にヒト成長ホルモン、またはそれらの組合せの群より選択される。
薬学的組成物、特にワクチンが、多様な態様における本発明によるポリペプチドの1種もしくはいくつかおよび/または同様に本発明によるそれらをコードする核酸分子とは別に、生物学的または薬学的に活性な他の化合物を含むこともまた、本発明の範囲内である。好ましくは、ワクチン組成物は、少なくとも1種のポリカチオンペプチドを含む。本発明によって使用されるポリカチオン化合物は、WO97/30721に記載の特徴的な効果を示す任意のポリカチオン化合物でよい。好ましいポリカチオン化合物は、塩基性ポリペプチド、有機ポリカチオン、塩基性ポリアミノ酸、またはそれらの混合物より選択される。これらのポリアミノ酸は、少なくとも4アミノ酸残基の鎖長を有するべきである(WO97/30721)。特に好ましいのは、ポリリジン、ポリアルギニンに似た物質、および8個を超える、特に20個を超えるアミノ酸残基の範囲に20%超、特に50%超の塩基性アミノ酸を含むポリペプチド、またはそれらの混合物である。他の好ましいポリカチオンおよびそれらの薬学的組成物は、WO97/30721(例えば、ポリエチレンイミン)およびWO99/38528に記載されている。好ましくは、これらのポリペプチドは、20〜500個の間のアミノ酸残基、特に30〜200個の間の残基を含む。
これらのポリカチオン化合物は、化学的にもしくは組換えによって作製されてよく、または天然供給源に由来してもよい。
また、カチオン(ポリ)ペプチドは、抗微生物性で、Ganz, T., 1999において概説されているような特性を有してもよい。これらの(ポリ)ペプチドは、原核生物または動物もしくは植物に由来するものでよく、または化学的にもしくは組換えによって作製されてもよい(WO02/13857)。また、ペプチドは、デフェンシンのクラスに属してもよい(WO02/13857)。このようなペプチドの配列は、例えば、次のインターネットアドレス(http://www.bbcm.univ.trieste.it/~tossi/pag2.html)のAntimicrobial Sequences Databaseにおいて確認することができる。
このような宿主防御ペプチドまたは防御物もまた、本発明によるポリカチオンポリマーの好ましい形態である。一般に、好ましくはAPC(樹状細胞を含む)によって媒介される適応免疫系の活性化(または下方調節)を最終結果として可能にする化合物が、ポリカチオンポリマーとして使用される。
本発明においてポリカチオン物質として使用するのに特に好ましいのは、カテリシジンに由来する抗微生物ペプチドまたはそれらの誘導体(参照により本明細書に組み入れられる国際特許出願WO02/13857)、特に、好ましくはヒト、ウシ、またはマウス由来の哺乳動物カテリシジンに由来する抗微生物ペプチドである。
天然供給源に由来するポリカチオン化合物には、HIV-REVもしくはHIV-TAT(由来のカチオンペプチド、アンテナペディアペプチド、キトサンもしくは他のキチン誘導体)、または生化学的作製もしくは組換え作製によってこれらのペプチドもしくはタンパク質から誘導される他のペプチドが含まれる。他の好ましいポリカチオン化合物は、カテリン(cathelin)、またはカテリン関連物質もしくはカテリン由来物質である。たとえば、マウスカテリンは、アミノ酸配列
Figure 2010503384
を有するペプチドである。カテリン関連物質またはカテリン由来物質は、カテリン配列の全体または一部を含み、少なくとも15〜20個のアミノ酸残基を有する。誘導体化(derivation)は、20種の標準アミノ酸以外のアミノ酸による天然アミノ酸の置換または修飾を含み得る。さらに、別のカチオン残基がこれらのカテリン分子中に導入されてもよい。これらのカテリン分子は、抗原と組み合わせるのに好ましい。これらのカテリン分子は、驚くべきことに、さらなるアジュバントを添加しなくても、抗原に対するアジュバントとしても有効であることが判明した。したがって、このようなカテリン分子を、別の免疫活性化物質を含むまたは含まないワクチン製剤中で有効なアジュバントとして用いることが可能である。
本発明に従って使用される別の好ましいポリカチオン物質は、3〜7個の疎水性アミノ酸のリンカーによって隔てられた少なくとも2つのKLK-モチーフを含む合成ペプチドである(参照により本明細書に組み入れられる国際特許出願WO02/32451)。
本発明の薬学的組成物は、免疫賦活性核酸をさらに含んでよい。免疫賦活性核酸は、例えば、中性または人工のCpGを含む核酸、非脊椎動物に由来する核酸の短いストレッチ、または(例えばWO96/02555において説明されているように)特定の塩基状況で非メチル化シトシン-グアニンジヌクレオチド(CpG)を含む短いオリゴヌクレオチド(ODN)の形態である。あるいは、例えばWO01/93903に記載されているような、イノシンおよびシチジンをベースとする核酸、または(参照により本明細書に組み入れられるWO01/93905およびWO02/095027に記載されている)デオキシ-イノシン残基および/もしくはデオキシウリジン残基を含むデオキシ核酸も、好ましくは、本発明に関連して免疫賦活性核酸として使用され得る。好ましくは、様々な免疫賦活性核酸の混合物が本発明によって使用され得る。
また、前述のポリカチオン化合物のいずれかが、前述の免疫賦活性核酸のいずれかと組み合わせられることも本発明の範囲内である。好ましくは、このような組合せは、参照により本明細書に組み入れられる、WO01/93905、WO02/32451、WO01/54720、WO01/93903、WO02/13857、およびWO02/095027、およびWO03/047602に記載されているものに従う。
さらに、またはあるいは、このようなワクチン組成物は、本発明によるポリペプチド、および本発明による核酸分子、好ましくは、本発明によるコード核酸分子とは別に、向神経活性化合物を含んでよい。好ましくは、向神経活性化合物は、例えばWO01/24822に記載されているように、ヒト成長因子である。また、好ましくは、向神経活性化合物は、前述したようなポリカチオン化合物および/または免疫賦活性核酸のいずれかと組み合わせられる。
また、本発明による薬学的組成物は、以下の化合物またはそれらの組合せのうち少なくともいずれかを含む薬学的組成物である:本発明による核酸分子、多様な態様における本発明によるポリペプチド、発明によるベクター、本発明による細胞、本発明による抗体、本発明による機能的核酸、ならびに、それぞれ本発明による、アンチカリンのような結合ペプチドおよび高親和性結合ペプチドおよびペプチドアプタマー、好ましくは本明細書において説明するようにスクリーニングされる、本発明による任意のアゴニストおよびアンタゴニスト。これらに関連して、これらの化合物のいずれかを、細胞、組織、または生物と共に使用するための非滅菌担体または滅菌担体、例えば、対象に投与するのに適した薬学的担体と組み合わせて使用してよい。このような組成物は、例えば、媒体添加物、または治療的有効量の本発明の高度免疫血清反応性抗原およびその断片、ならびに薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。このような担体には、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組合せが含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。製剤は、投与様式に適するべきである。
本発明の薬学的組成物は、例えば、とりわけ、局所的経路、経口経路、肛門経路、膣経路、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、皮下経路、鼻腔内経路、気管内経路、または皮内経路による投与を含む、任意の有効かつ簡便な様式で投与されてよい。
治療法において、または予防薬として、本発明の薬学的組成物の活性物質は、注射可能な組成物として、例えば、好ましくは等張性の無菌水性分散体として、個体に投与することができる。
あるいは、組成物、好ましくは薬学的組成物は、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、眼軟膏、点眼剤、点耳剤、含漱剤、含浸させた包帯剤および縫合糸、ならびにエアロゾルの形態で、局所適用用に製剤化することができ、かつ、例えば、保存剤、薬物浸透を補助する溶媒、ならびに軟膏剤およびクリーム剤における皮膚軟化剤を含む、適切な従来の添加剤を含んでよい。このような局所製剤はまた、適合性のある従来の担体、例えば、クリーム基剤または軟膏基剤、ならびにローション剤用のエタノールまたはオレイルアルコールも含んでよい。このような担体は、製剤の約1重量%〜約98重量%を構成してよく、より普通には、それらは、最高で製剤の約80重量%を構成する。
前述の治療法の他に、本発明の組成物は、一般に、創傷組織において露出しているマトリックスタンパク質への細菌の接着を防止する創傷治療物質として、および抗生物質予防法の代替法として、またはそれと共に歯科治療において予防的に使用するために、使用され得る。
好ましい態様において、薬学的組成物は、ワクチン組成物である。好ましくは、このようなワクチン組成物は、便宜的に、注射可能な形態である。従来のアジュバントが、免疫応答を増強するために使用され得る。タンパク質抗原をワクチン接種する場合の適切な単位用量は、成人の場合、0.02μg抗原/kg体重〜3μg抗原/kg体重の間、子供の場合、0.2μg抗原/kg体重〜10μg抗原/kg体重の間であり、このような用量は、好ましくは、1〜3回、2〜24週の間隔で投与される。
指定した用量範囲では、適切な個体への投与を妨げるような、本発明の化合物による有害な毒性作用は予想されない。
さらなる態様において、本発明は、本発明の前述の組成物の1種または複数種の成分を詰めた1つまたは複数の容器を含む、診断用および薬学的なパックおよびキットに関する。これらの成分は、有用な量、投薬量、配合、または組合せで存在してよい。薬剤または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する行政機関によって規定された形式の注意書きが、これらの容器に付随してよく、この注意書きは、ヒト投与用の製品の製造、使用、または販売をその機関によって承認されていることを示す。
本発明に関連して、例えば、薬学的組成物またはワクチンの使用のような本明細書において開示する使用に関連した任意の疾患は、特に、ボレリア、より好ましくは任意の病原性ボレリア種、およびより好ましくは、B.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、またはB.ガリニより選択される任意のボレリア種に起因するか、関係するか、または関連した疾患または疾患状態である。これに関連して、ライム病ボレリアを含む様々なボレリア種が、本明細書において開示するものを含むいくつかの遺伝種および株を含むことに留意すべきである。本発明によって予防および/または治療する、細菌感染に関係するか、起因するか、または関連した疾患には、ライムボレリア症(ライム病)が含まれる。ライムボレリア症のさらなる局面、症状、病期、および下位集団、ならびに、導入部を含めて本明細書において同様に開示するこのような疾患に罹患している患者の特定の群は、参照により本明細書に組み入れられる。より具体的には、ライムボレリア症は、一般に、段階的に発生し、寛解および増悪を伴い、各病期で臨床症状発現は異なる(Steere, 1989)。第1期の感染初期は、皮膚の限局性感染からなり、次いで、数日または数週間内に第2期、すなわち播種性感染が起こり、数ヶ月〜数年後に、第3期、すなわち持続感染が起こる。しかしながら、感染は多様であり、一部の患者は皮膚の限局性感染しか示さないのに対し、他の患者は、関節炎のような疾患の後期の症状発現のみ示す。ライムボレリア症の様々な臨床症候群はまた、種々のライム病ボレリア種による感染によって引き起こされる。B.ブルグドルフェリ(狭義)は関節症状発現(関節炎)および心臓の問題を引き起こすことがより多く、B.アフゼリは主に皮膚症状(EMおよびACA)を引き起こし、B.ガリニは主として神経ボレリア症の原因である。
限局性感染-
感染症の第1期の最も一般的な症状は遊走性紅斑であり、感染者の70〜80%で発生する。この皮膚病変の後に、しばしば、筋肉痛、関節痛、頭痛、および発熱などのインフルエンザ様症状が続く。これらの非特異的な症状は、遊走性紅斑を有する患者の50%において発生する。
播種性感染-
第2期の間に、細菌は感染部位から血流中に移動し、かつ、より離れた組織および器官へと移動する。この病期に発生する神経学的症状、心血管症状、および関節炎症状には、髄膜炎、脳神経障害、および間欠性炎症性関節炎が含まれる。
持続感染-
感染症の第3期は慢性であり、マダニ刺咬の数ヶ月後〜数年後に起こる。北アメリカで最も一般的な症状は関節リウマチであり、B.ブルグドルフェリ(狭義)による感染によって引き起こされる。B.ガリニによる中枢神経系の持続感染は、第3期の間により重度の神経学的症状を引き起こし、B.アフゼリによる皮膚の持続感染症は、慢性萎縮性先端皮膚炎をもたらす。
任意の動物またはヒトなどの生物とボレリア種、より好ましくは病原性ボレリア種、および最も好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカとの接触に直接的または間接的に関係しているか、またはそれに起因する、本明細書において説明する各および任意の症状、疾患、障害、または症候群が、別々かつ独立に、本発明の趣旨における適応症、疾患、または障害であることは、本発明の範囲内である。したがって、単に例証として、本出願の意味における疾患は、ライムボレリア症ならびに遊走性紅斑、神経ボレリア症、およびライム関節炎である。
本明細書において説明する様々な化合物を使用することができる疾患はまた、本発明によるポリペプチドが発現される疾患、または本発明によるポリペプチド、ワクチン、抗体、ならびに任意のアプタマーおよびスピーゲルマーなどの本明細書において説明する化合物がそれぞれ、その治療および/もしくは診断に適している任意の疾患であることは、本発明の範囲内である。このような潜在的な用途は、それぞれ交差反応性および相同性から生じ得る。本発明による薬学的組成物に関連して説明される任意の疾患が、本明細書において説明する医薬の使用の対象となり得ること、および逆もまた同様であることは、当業者によって理解される。
さらに別の態様において、本発明は、本発明によるポリペプチドのいずれかまたは本発明による核酸のいずれかを用いたスクリーニング方法に関する。スクリーニング方法は、それ自体で当業者に公知であり、アゴニストまたはアンタゴニストがスクリーニングされるように設計することができる。このようなスクリーニング方法に関連して、好ましくは、本発明の場合、本発明による任意の高度免疫血清反応性抗原およびその断片の相互作用相手への結合を阻害または妨害するアンタゴニストがスクリーニングされる。このような相互作用相手は、天然の相互作用相手または非天然の相互作用相手でよい。
本発明はまた、化合物をスクリーニングして、本発明によるポリペプチドまたは本発明の核酸分子の機能、例えば、結合分子との相互作用を増強(アゴニスト)または阻止(アンタゴニスト)するものを同定するための方法を提供する。スクリーニングの方法は、ハイスループットを使用してよい。
例えば、アゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングするために、それぞれ本発明による核酸分子および核酸の相互作用相手は、合成の反応ミックス、細胞コンパートメント、例えば、膜、細胞外被もしくは細胞壁、またはそれらのいずれかの調製物でよく、本発明によるポリペプチドに結合する分子を発現する細胞から調製してもよい。この調製物を、アゴニストまたはアンタゴニストである可能性がある候補分子の不在下または存在下で、標識した形態のこのようなポリペプチドと共にインキュベートする。候補分子が結合分子に結合する能力は、標識したリガンドの結合の減少に反映される。無償で、すなわち、前記ポリペプチドの機能的作用を誘導することなく結合する分子は、好適なアンタゴニストである可能性が高い。十分に結合し、かつ本発明によるポリペプチドと同じまたは密接に関連した機能的作用を誘発する分子は、好適なアゴニストである。
潜在的なアゴニストおよびアンタゴニストの機能的作用は、例えば、候補分子と細胞または適切な細胞調製物との相互作用に続くレポーター系の活性を決定し、かつその作用を本発明によるポリペプチドまたは該ポリペプチドと同じ作用を引き出す分子の作用と比較することによって測定することができる。この点に関して有用であり得るレポーター系には、生成物に変換される比色定量用標識基質、本発明によるポリペプチドの機能的活性の変化に応答するレポーター遺伝子、および当技術分野において公知の結合アッセイ法が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
アンタゴニストのアッセイ法の別の例は、競合的阻害アッセイ法のための適切な条件下で、本発明によるポリペプチドおよび潜在的なアンタゴニストを膜結合型結合分子、組換え結合分子、天然の基質もしくはリガンド、または基質もしくはリガンドの模倣体と結合させる競合アッセイ法である。本発明によるポリペプチドは、結合分子に結合されるか、または生成物に変換された本発明によるポリペプチドの分子数を正確に決定して、潜在的なアンタゴニストの有効性を評価できるように、放射能または比色定量用化合物などによって標識することができる。
潜在的なアンタゴニストには、本発明によるポリペプチドに結合し、それによってその活性を阻害するかまたは失わせる有機低分子、ペプチド、ポリペプチド、および抗体が含まれる。潜在的なアンタゴニストはまた、本発明によるポリペプチドの機能的活性を誘導することなく結合分子上の同じ部位に結合する密接に関連したタンパク質または抗体などの有機低分子、ペプチド、ポリペプチドでもよい。
潜在的なアンタゴニストには、本発明によるポリペプチドの結合部位に結合し、かつ占有し、それによって、細胞の結合分子への結合を妨害し、その結果、正常な生物活性が妨害される低分子が含まれる。低分子の例には、有機低分子、ペプチド、またはペプチド様分子が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
他の潜在的なアンタゴニストには、アンチセンス分子が含まれる(これらの分子の説明に関しては、Okano, H. et al., 1991、またはOLIGODEOXYNUCLEOTIDES AS ANTISENSE INHIBITORS OF GENE EXPRESSION; CRC Press, Boca Raton, FL (1988)を参照されたい)。
好ましい潜在的なアンタゴニストには、本発明の高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片の誘導体が含まれる。
本明細書において使用される場合、本発明によるポリペプチドの活性とは、その相互作用相手のいずれかに結合する能力、またはそのもしくは任意の相互作用相手に結合するそのような能力の程度である。
特定の局面において、本発明は、感染の続発症に関与する病原体と哺乳動物宿主の初期の物理的相互作用を妨げるための、本発明によるポリペプチド、本発明の高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片、核酸分子、または阻害物質の使用を提供する。特に、本発明の分子は、i)本明細書において開示するボレリア種、およびより好ましくは、B.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、およびB.ガリニなどその病原性種が哺乳動物の細胞外マトリックスタンパク質に接着するのを防止する際に;ii)哺乳動物の細胞外マトリックスタンパク質と組織反応を媒介する細菌タンパク質の細菌接着を阻止するために;iii)または、免疫防御の回避をもたらすために;iv)例えば、栄養素獲得を阻害することにより、留置器具の埋め込みもしくは他の外科的技術以外によって起こった感染症における病理発生の通常の進行を阻止するために使用され得る。
本明細書において提供される各DNAコード配列は、抗菌化合物の発見、開発、および/または製造において使用され得る。発現の際にコードされるタンパク質は、抗菌薬物のスクリーニングのための標的として使用することができる。さらに、コードされるタンパク質のアミノ末端領域をコードするDNA配列、または各mRNAのシャイン・ダルガノ配列もしくは他の翻訳促進配列を使用して、関心対象のコード配列の発現を制御するアンチセンス配列を構築することもできる。
アンタゴニストおよびアゴニストは、例えば、B.ブルグドルフェリ(狭義)、B.アフゼリ、およびB.ガリニを含むボレリア種の感染から起こる疾患、例えばライムボレリア症(ライム病)を抑止するために使用され得る。
さらに別の局面において、本発明は、支持体材料およびその支持体材料に結合された本発明によるポリペプチドのいずれかを少なくとも含むアフィニティ装置に関する。該ポリペプチドは、その標的細胞もしくは標的分子または相互作用相手に対して特異的であるため、該ポリペプチドにより、結合のための条件が見合うことを条件として、支持体材料に添加された任意の種類の試料から相互作用相手を選択的に除去することが可能になる。試料は、生物学的試料または医学的試料でよく、発酵ブロス、細胞片、細胞調製物、組織調製物、器官調製物、血液、尿、リンパ液、および体液(liquor)などを含むが、それらに限定されるわけではない。
本発明によるポリペプチドは、共有結合の様式または非共有結合の様式でマトリックスに結合されてよい。適切な支持体材料は当業者に公知であり、セルロース、ケイ素、ガラス、アルミニウム、常磁性ビーズ、デンプン、およびデキストランを含む群より選択され得る。
本発明は、下記の図面、表、実施例、および配列リストによってさらに例示され、これらから、さらなる特徴、態様、および利点が理解され得る。本発明の実施例が、単に例証として与えられるに過ぎず、本開示を限定するために与えられないことを理解すべきである。
本明細書において参照され得る図面および表を、以下により詳細に説明する。
図1は、B.ブルグドルフェリ(狭義)およびB.アフゼリに特異的な抗体を免疫アッセイ法によって測定することによる、ヒト血清の特徴付けを示す。B.ブルグドルフェリ(狭義)から調製した全細菌溶解物を用いた標準的ELISA(A)によって、全IgG抗体レベルを測定した。異なる症状を有するライムボレリア症患者に由来する血清試料を、2種の異なる血清希釈率で解析した。各実験の結果を25種の血清に関して示す。これらの血清は、ライムボレリア症の異なる症状(遊走性紅斑(EM)、神経ボレリア症(NB)、ライム関節炎(LA)、および慢性萎縮性先端皮膚炎(ACA))を有する人々に由来する血清を含む4種の異なる血清プール、ならびに症状が混在した患者に由来する血清を含む2種のプール(LBIおよびLBII)に含まれた。データは、検出の直線範囲の血清希釈率で405nmでの吸光度から算出したELISA単位として表している。(B、C)タンパク質抗原との多重免疫反応性を確実にするために、血清プールに対して免疫ブロット解析を実施した。5,000倍希釈のヒト血清と反応させたB.ブルグドルフェリ(狭義)(B)またはB.アフゼリ(C)から調製した全細菌溶解物を用いた代表的な実験の結果を示す。抗ヒトIgG特異的二次反応物によってIgG抗体を検出した。- は、一次抗体無しでのインキュベーション(血清プール)、kDaは分子量マーカーである。
図2(A)は、B.アフゼリの小型断片ゲノムライブラリーK78-LamBの断片サイズ分布を示す。ランダムに選択したクローンを配列決定した後、配列を切り落として(428)ベクター残基を除去し、様々なゲノム断片サイズを有するクローンの数をプロットした。(B)は、B.アフゼリの大型断片ゲノムライブラリーK78-FhuAの断片サイズ分布を示す。ランダムに選択したクローンを配列決定した後、配列を切り落として(466)ベクター残基を除去し、様々なゲノム断片サイズを有するクローンの数をプロットした。
図3(A)は、遊走性紅斑患者の血清を含むビオチン標識ヒトIgGプール(EM-IgG)を用いたMACS選択を示す。pHIE11中のK78-FhuAライブラリーを10〜20μgのビオチン標識IgGを用いてスクリーニングした。陰性対照では、スクリーニング用のライブラリー細胞に血清を添加しなかった。溶出後に選択された細胞の数を示す。(B)は、MACSによる選択のために使用したヒト血清IgGプール(EM-IgG)を1:3,000の希釈率で用いた免疫ブロット解析により解析した、細菌表面ディスプレイおよびWt(pHIE11、挿入物なし)によって選択した特異的クローン(1〜20)の反応性を示す。矢印は、陽性と検出されたクローンを示す。ローディングコントロールとして、プラットホーム(platform)タンパク質FhuAを対象とする抗体を1:5,000の希釈率で用いて同じブロットを同様に解析した。(C)は、ライム関節炎患者の血清を含むビオチン標識ヒトIgGプール(LA-IgG)およびpHIE11中のK78-FhuAライブラリーを用いたMACS選択を示す。(D)は、MACSによる選択のために使用したヒト血清IgGプール(LA-IgG)を1:3,000の希釈率で用いた免疫ブロット解析により解析した、細菌表面ディスプレイおよびWt(pHIE11、挿入物なし)によって選択した特異的クローン(1〜20)の反応性を示す。矢印は、陽性と検出されたクローンを示す。
図4は、各オリゴヌクレオチドおよび30種のライム病ボレリア株を用いた、1つの遺伝子の遺伝子分布のPCR解析の例を示す。ライム病ボレリア由来の抗原BAP004に由来するPCR断片の予測されるサイズは、420bpである。1〜30は、表3に示す株または臨床分離株である。- は、ゲノムDNAを添加しなかったものである。
図5は、B.アフゼリ由来のエピトープを有する大腸菌クローンを発現するLamBまたはFhuAの全細菌溶解物によって誘導されたエピトープ特異的マウス血清IgG抗体レベルの測定を示す。この図面は、それぞれ細菌クローンBaf2(BA0210)、Baf12(BA0149)、およびBaf36(BA0181)によって発現されたエピトープを用いて作製した3セットのマウス血清(各群マウス5匹のプール)を用いた代表的なペプチドELISA実験を示す。2つの異なる希釈率(200倍および1000倍)の血清を、エピトープをカバーする重複ペプチドに対して試験した。黒い棒は200倍、白い棒は1000倍である。試験する各エピトープに対応するビオチン標識合成ペプチドの呼称を希釈率の下に示す。
図6は、ウェスタンブロット解析によって決定された抗体陽転を示す。ウェスタンブロット解析によるマウスの感染状態の決定の例として、ボレリア抗原BbuA0034-1またはPBS緩衝液(PBS)中アジュバントのいずれかで免疫化したマウスに由来する血清を示す。全ボレリア細胞溶解物を含むニトロセルロース膜を細長いストリップに切り、各群に由来する個々のマウス血清(1〜10)と共にインキュベートした。抗体陽転(感染)を+(プラス)で示し、非感染を-(マイナス)で示す。kDaはキロダルトンである。
表1:細菌表面ディスプレイによってB.アフゼリから同定した免疫原性タンパク質
A:fhuA中のB.アフゼリの300bpライブラリー。P1755、P1766、P1772、P1806、およびP1811血清を含むLBI-IgGプールを使用(358)、B:fhuA中のB.アフゼリの300bpライブラリー。P3055、P3144、P3186、およびP3219血清を含むEM-IgGプールを使用(336)、C:fhuA中のB.アフゼリの300bpライブラリー。P3077、P3084、P3286、P3288、およびP3337血清を含むNB-IgGプールを使用(597)、D:fhuA中のB.アフゼリの300bpライブラリー。P3016、P3150、P3301、P3344、およびP3394血清を含むLBII-IgGプールを使用(634)、E:fhuA中のB.アフゼリの300bpライブラリー。P3183、P3209、およびP3336血清を含むACA-IgGプールを使用(665)、F:fhuA中のB.アフゼリの300bpライブラリー。P3120、P3239、およびP3251血清を含むLA-IgGプールを使用(616)、G:lamB中のB.アフゼリの50bpライブラリー。LBI-IgGプールを使用(412)、H:lamB中のB.アフゼリの50bpライブラリー。EM-IgGプールを使用(300)、I:lamB中のB.アフゼリの50bpライブラリー。NB-IgGプールを使用(467)、J:lamB中のB.アフゼリの50bpライブラリー。LBII-IgGプールを使用(435)、K:lamB中のB.アフゼリの50bpライブラリー。ACA-IgGプールを使用(357)、L:lamB中のB.アフゼリの50bpライブラリー。LA-IgGプールを使用(349)。*では、ANTIGENICプログラム(Kolaskar, A. et al., 1990)を用いて、アミノ酸5個より長い抗原性配列の予測を実施した。B.アフゼリ、B.ブルグドルフェリ(狭義)、およびB.ガリニのゲノム配列に対して決定されたエピトープ配列のBLASTによって同定したB.アフゼリ由来の遺伝子を表にする。
(表1)B.アフゼリゲノムライブラリーおよびヒト血清を用いて実施した全スクリーニングの要約
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表2:細菌表面ディスプレイによってB.アフゼリから同定した免疫原性タンパク質、ならびにB.ブルグドルフェリ(狭義)およびB.ガリニに由来するそれらの相同分子種
表2は、B.アフゼリから同定した遺伝子を、各配列同定番号と共に示す。B.ブルグドルフェリ(狭義)(http://www.tigr.org/tigr-scripts/CMR2/GenomePage3.spl?database=gbb)およびB.ガリニ(http://sgb.imb-jena.de/cgi/index.pl)に由来する、Blast解析において最も良く一致したものを、各配列同定番号と共に列挙する。
(表2)B.ブルグドルフェリ(狭義)およびB.ガリニ由来の相同物(homologous)を伴う抗原としてB.アフゼリから同定されたすべての遺伝子
Figure 2010503384
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表3:遺伝子分布解析のために使用された株の一覧表
表3は、遺伝子分布研究のために解析されたライム病ボレリア分離株の様々な株の代表を示す。遺伝種、OspAおよびospCのタイプ(Wilske et al., 1988; Livey et al., 1995)、ならびに単離源を示す(CSF;脳脊髄液)。さらに、対応するospCタイプに関連した疾患のタイプも示す。Hは非侵襲性疾患であり、H Invは侵襲性疾患であり、-は、ヒトの疾患に関連していないことを示す。
(表3)遺伝子分布解析のために使用された株
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表4:ライム病ボレリア株の様々な株における選択した数の抗原に関する遺伝子分布解析
表3に示した30種のライム病ボレリア株を、関連した抗原をコードする遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCRによって試験した。遺伝子分布の表では、最初の20種の株または30種の株すべてのいずれかからの陽性のPCR結果の数を一覧にし、これは、ライム病ボレリア遺伝種の様々な分離株における遺伝子の存在および保存の指標である。
(表4)各細菌種の様々な株における選択された数の抗原に関する遺伝子分布解析の要約
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表5:マウスにおけるエピトープの免疫原性
ライム病ボレリア抗原の免疫原性を、ライム病ボレリアペプチドに融合させたプラットホームタンパク質FhuAまたはLamBをコードするプラスミドを含む大腸菌クローンを用いた免疫化によって試験した。エピトープ特異的抗体の存在を検出し、かつペプチドELISAによって測定した。結果を-から++++として表し、OD405nmに基づいて個々のマウス血清の反応性の合計として算出した(-;0〜0.1、+;0.1〜0.2、++;0.2〜0.4、+++;0.4〜0.8、++++;>0.8)。
(表5)マウス免疫原性実験の要約
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表6:ライム病ボレリアに由来するペプチドを用いたペプチドELISA
「合計」は、OD405nmでの測定値がコーティング無しのブランクよりも少なくとも0.05OD単位多い血清の数を表す。「アミノ酸始端」および「アミノ酸終端」は、各配列同定番号(SEQ ID)のもとに挙げた完全長タンパク質と比べたペプチドの位置を示す。ライム病ボレリアおよび22種のヒト血清(P1755、P1766、P1772、P1806、P1811、P3055、P3144、P3186、P3219、P3017、P3084、P3288、P3150、P3301、P3344、P3394、P3183、P3336、P1789、P1796、P1938、P1941)に由来するペプチドを用いてELISA実験を実施した。
(表6)ヒト血清を用いたペプチドELISAの要約
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Figure 2010503384
表7:マウスにおいて作製したエピトープ血清を用いたFACS解析
マウス血清中のエピトープ特異的抗体を、B.アフゼリ株K78細胞の表面への結合に関してFACS解析で試験した。FACS解析において有意なシフトを示した血清を列挙する。パーセンテージは、免疫血清無しでインキュベートした細胞と比較して、FACS解析においてシフトを示した細胞の数を示す。
(表7)マウスにおいて作製したエピトープ血清を用いたFACS解析
Figure 2010503384
Figure 2010503384
表8:動物において試験した、発現させ精製したタンパク質
この表では、ボレリア動物モデルにおいて試験した、発現させ精製したタンパク質を列挙する。Ba:ボレリア・アフゼリ、ORF:オープンリーディングフレーム、BB:βバレル、SP:シグナルペプチド、LP:脂質化のためのシグナルペプチド、Mw:分子量、kDa:キロダルトン。
(表8)動物において試験した、発現させ精製したタンパク質
Figure 2010503384
表9:最も確率が高い細胞数(出典Norman, R.L.およびKempe, L.L., 1960)。
この表は、95%信頼限界(95%CL)で最も確率が高い細胞数(MPN#)を示す。最も確率が高い細菌数は、異なる希釈率において生細菌を有する(陽性)ウェルの数を表中の記載事項と比較することによって、表から読み取られる。MPNは、最も低い希釈率(細胞10個/ウェル)での細胞数である。
(表9)最も確率が高い細胞数 (出典Norman, R.L.およびKempe, L.L., 1960)
Figure 2010503384
表10:マウスにおける防御
この表は、B.ブルグドルフェリ(狭義)株N40によるチャレンジに対してボレリア抗原による免疫化後に達成された防御のレベルを示す。マウスのボレリア感染は、チャレンジ後の血清のウェスタンブロット(WB)ならびに耳および膀胱からのボレリア培養(C)によって決定した。各動物実験の試験抗原および対照群に対する未感染マウスのパーセンテージを表に列挙する。nd:未検。
(表10)マウスにおける防御
Figure 2010503384
実施例
実施例1:本発明によるペプチドを同定するための一般的なスクリーニング手順
本発明のために使用したアプローチは、ライム病ボレリアにコードされるタンパク質またはペプチドとヒト血清中に存在する抗体との相互作用に基づいている。ライム病ボレリアに対してヒト免疫系によって産生され、ヒト血清中に存在する抗体は、抗原タンパク質のインビボ発現およびそれらの免疫原性を示す。さらに、予め選択した血清のプールを用いて細菌表面ディスプレイ発現ライブラリーによって同定した抗原タンパク質を、個々の選択または作製した血清による2回目および3回目のスクリーニングにおいて処理する。このようにして、本発明は、薬学的組成物、特にライム病ボレリアに起因する感染症を予防するワクチンとして、効率的で、適切で、かつ包括的な抗原のセットを供給する。
本発明による抗原の包括的なセットを同定するための抗原同定プログラムでは、ライム病ボレリアに由来する少なくとも2種の異なる細菌表面発現ライブラリーを、いくつかの血清プールもしくは血漿画分、または体液を含む他のプールした抗体(抗体プール)を用いてスクリーニングする。抗体プールは、全細胞、全抽出物などライム病ボレリアの抗原性化合物に対して試験した血清コレクションに由来する。好ましくは、血清の6種のプール(25種の個別の試料)を使用する。高いELISA力価を有すると判定される血清は、高度免疫であり、したがって、本発明に適用するスクリーニング方法に適切とみなされるためには、イムノブロッティングにおいて複数のタンパク質と反応しなければならない。
本発明で使用される発現ライブラリーは、例えば、ライム病ボレリアの分泌タンパク質および表面タンパク質のすべてに由来する、すべての潜在的な抗原の発現を可能にするべきである。細菌表面ディスプレイライブラリーの代表は、細菌宿主膜の2つの選択された外膜タンパク質(LamBおよびFhuA)上にライム病ボレリアの発現されたペプチド配列の(全)セットを提示する細菌宿主の組換えライブラリーである(Georgiou, G., 1997; Etz, H. et al., 2001)。組換え発現ライブラリーを使用する利点の1つは、さらなる組換えDNA技術もクローニング段階も必要とすることなく、高度免疫血清反応性抗原を発現するスクリーニングおよび選択されたクローンのコード配列を発現させることによって、同定された高度免疫血清反応性抗原を直ちに作製できることである。
本発明により説明したプログラムによって同定された抗原の包括的なセットを、1回または複数回の追加スクリーニングによってさらに解析する。したがって、免疫原性と同定された選択されたペプチドに対して生成させた個別の抗体調製物または抗体を使用する。好ましい態様によれば、2回目のスクリーニングのための個別の抗体調製物は、健常な成人、および/またはある最低レベルを上回る抗体力価、例えば、試験したヒト(患者または健常な個体)血清の80パーセンタイルを上回る、好ましくは90パーセンタイルを上回る、特に95パーセンタイルを上回る抗体力価を示すチャレンジされた成人に由来する。このような高力価の個別の抗体調製物を2回目のスクリーニング方法で使用することにより、ライム病ボレリアに由来する高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片を極めて選択的に同定することが可能になる。
包括的なスクリーニング手順に続いて、原核生物発現系で発現させることができない場合には組換えタンパク質またはインビトロでの翻訳産物として発現させた、選択した抗原タンパク質、または(合成によって作製した)同定した抗原ペプチドを、一連のELISAおよびウェスタンブロッティングアッセイ法による第2のスクリーニングにおいて試験して、大きなヒト血清コレクション(最小で約20種の健常な血清および患者の血清)を用いてそれらの免疫原性を評価する。
個別の抗体調製物(選択した血清でもよい)を用いることにより、1回目からの有望な全候補物からすべての高度免疫血清反応性抗原のうち最も有望な候補物を選択的に同定することが可能になることは、重要である。したがって、好ましくは少なくとも10種の個別の抗体調製物(すなわち、選択された病原体による感染症に罹患している少なくとも10名の異なる個体に由来する抗体調製物(例えば血清))が、2回目のスクリーニングでこれらの抗原を同定する際に使用されるべきである。当然、10個未満の個別の調製物を使用することも同様に可能であるが、段階の選択性は、少数の個別の抗体調製物では最適ではない可能性がある。これに対して、所与の高度免疫血清反応性抗原(またはその抗原性断片)が、少なくとも10種の個別の抗体調製物、好ましくは少なくとも30種、特に少なくとも50種の個別の抗体調製物によって認識される場合、高度免疫血清反応性抗原の同定はまた、適切な同定となるのに十分に選択的である。高度免疫血清反応性は、当然、できるだけ多数の個別の調製物を用いて(例えば、100個を上回る、またはさらに1,000個を上回る調製物を用いて)試験してもよい。
したがって、本発明の方法による高度免疫血清反応性抗体調製物の適切な分量は、好ましくは、少なくとも10種、より好ましくは少なくとも30種、特に少なくとも50種の個別の抗体調製物であることが望ましい。あるいは(または、組み合わせて)、高度免疫血清反応性抗原はまた、好ましくは、2回目のスクリーニングにおいて使用される個別の抗体調製物すべてのうち少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、特に少なくとも40%を用いて同定してもよい。
本発明の好ましい態様によれば、2回目のスクリーニングのための個別の抗体調製物が調製される(または抗体調製物として使用される)血清は、ライム病ボレリアに対する(例えば、溶解物、細胞壁構成要素、および組換えタンパク質などこれらの病原体の調製物に対する)それらの力価に基づいて選択する。好ましくは、生物全体(全溶解物または全細胞)がELISAにおいて抗原として使用される場合、IgG力価が1,000Uを上回る、特に5,000Uを上回るいくつかを選択する(U=所与の希釈率でのOD405nm測定値から算出される単位)。
ライム病ボレリアに対してヒト免疫系によって産生され、ヒト血清中に存在する抗体は、抗原タンパク質のインビボ発現およびそれらの免疫原性を示す。血清抗体によって認識される直鎖状エピトープの認識は、アミノ酸4〜5個ほどの短さの配列に基づいてよい。当然、これらの短いペプチドが、インビボで所与の抗体を誘導できることを必ずしも意味しない。このため、定義済みのエピトープ、ポリペプチド、およびタンパク質が、選択されたタンパク質に対する抗体をインビボで誘導する能力を、動物において(主にマウスにおいて)さらに試験すべきである。
好ましい抗原は、細胞表面に位置するか、または分泌され、したがって、細胞外で接近可能である。細胞壁タンパク質に対する抗体は、複数の目的を果たすことが予想される。すなわち、接着を阻害すること、栄養素獲得を妨げること、免疫回避を阻害すること、および食作用を促進することである(Hornef, M. et al., 2002)。分泌されたタンパク質に対する抗体は、毒素またはビルレンスの構成要素としてのそれらの機能を中和する際に有益である。また、細菌が分泌タンパク質を介して互いに情報交換することも公知である。これらのタンパク質に対する抗体を中和すると、感染を引き起こす病原体種間または種内での増殖を促進するクロストークが中断されると考えられる。バイオインフォマティクス解析(シグナル配列、細胞壁局在化シグナル、膜貫通ドメイン)は、細胞表面局在化または分泌を評価する際に非常に有用であることが判明した。実験的アプローチは、対応するエピトープおよびタンパク質を用いてヒト血清から抗体を単離すること、および細菌表面ディスプレイスクリーニングによって選択した(ポリ)ペプチドに対する免疫血清をマウスにおいて作製することを含む。次いで、これらの血清を、以下のアッセイ法のうち少なくとも1種における反応物として3回目のスクリーニングで使用する:様々な条件下で増殖させたライム病ボレリアの細胞表面染色(FACSまたは顕微鏡観察)、中和能力(毒性、接着)の決定、ならびにオプソニン作用および食作用の促進(インビトロの食作用アッセイ法)。
この目的のために、細菌大腸菌クローンをマウスに直接注射し、免疫血清を採取し、かつ適切なインビトロアッセイ法によって、機能的なオプソニン抗体または中和抗体に関して試験する。あるいは、ペプチドまたはタンパク質を基質として用いて、ヒト血清またはマウス血清から特異的抗体を精製してもよい。
本明細書において使用する抗原同定方法に従って、本発明は、驚くべきことに、包括的な新規な核酸および新規なタンパク質、抗原、ならびにより具体的には、とりわけ、本明細書において説明するような、ライム病ボレリアの高度免疫血清反応性抗原およびそれらの断片のセットを提供する。高度免疫血清反応性抗原をコードする本発明によるヌクレオチド配列は、SEQ ID NO: 1 〜SEQ ID NO: 134、SEQ ID NO: 269〜SEQ ID NO: 387 、およびSEQ ID NO: 507 〜SEQ ID NO: 628に個別に示されるヌクレオチド配列を有し、対応するコードされるアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 135 〜SEQ ID NO: 268、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506 、およびSEQ ID NO: 629 〜SEQ ID NO: 750に示されるアミノ酸配列を有する。
特定の抗原のすべての直鎖状高度免疫血清反応性断片は、少なくともアミノ酸10個の長さを有する、アミノ酸1個が重複したペプチドのセットを用いてタンパク質抗原の配列全体を解析することによって同定することができる。続いて、発現された完全長タンパク質またはそのドメインポリペプチドを使用する高度免疫血清を用いたタンパク質抗原の解析によって、非直鎖状エピトープを同定することができる。タンパク質の独特なドメインが、天然のタンパク質とは異なる3次元構造を形成するのに十分であると仮定すると、それぞれ組換えまたは合成によって作製したドメインポリペプチドを高度免疫血清を用いて解析することにより、マルチドメインタンパク質の個々のドメイン内のコンフォメーショナルエピトープを同定することが可能になると考えられる。あるドメインが直鎖状エピトープならびにコンフォメーショナルエピトープを有する抗原の場合、直鎖状エピトープに対応するペプチドを用いた競合実験を使用して、コンフォメーショナルエピトープの存在を確認することができる。
実施例2:抗ライム病ボレリア抗体に基づいた、ヒト血清供給源の特徴付けおよび選択、抗体スクリーニング反応物の調製
実験手順
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
ELISAプレート(Maxisorb, Millipore)を、コーティング緩衝液(0.1M炭酸ナトリウム、pH9.2)中に希釈した5〜10μg/mlの全タンパク質でコーティングした。全細胞ELISAの場合、ビオチン標識し固定した106個の細菌を、ストレプトアビジンでコーティングしたELISAプレートに添加した。2種類の血清希釈物(10,000倍、50,000倍)をPBS-BSA中で作製した。高度に特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗ヒトIgG二次抗体(Southern Biotech)を、製造業者の推奨に従って使用した(希釈率:1,000倍)。自動ELISA読み取り装置(TECAN SUNRISE)によるOD405nm測定値に基づいて、有色生成物への基質(ABTS)の変換を測定することによって、抗原-抗体複合体を定量した。
細菌抗原抽出物の調製
全細菌溶解物:
B.ブルグドルフェリ(狭義)株B31およびB.アフゼリ株VS461をBSK-II培地中で1週間増殖させ(37℃、5%CO2)、遠心分離によって回収した(3,000rpm、10分、4℃)。PBSで細胞を2回洗浄し、再懸濁後、氷上にて100%出力で2分間、パルス5で超音波処理した。遠心分離(3,500rpm、15分、4℃)によって上清を回収した。タンパク質アッセイ法用の染色試薬濃縮物(Bio-Rad Laboratories、オーストリア)を用いたブラッドフォードアッセイ法によってタンパク質濃度を測定した。
イムノブロッティング
インビトロで増殖させたB.ブルグドルフェリ(狭義)株B31およびB.アフゼリ株VS461から全細菌溶解物を調製した。BioRad Mini-Protean Cell電気泳動システムを用いて、10〜25μg/レーンの全タンパク質をSDS-PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜(ECL, Amersham Pharmacia)にタンパク質を移した。5%ミルク中で一晩ブロッキングした後、2,000倍の希釈率でヒト血清を添加し、かつHRP標識した抗ヒトIgGを検出のために使用した。
ゲノムスクリーニングのための抗体精製
スクリーニング手順において使用した血清に対する総抗細菌力価に基づいて、抗体プール当たり5種の血清を選択した。加熱不活化した血清を全細胞大腸菌DH5α細胞(pHIE11で形質転換し、細菌表面ディスプレイのために使用したのと同じ条件下で増殖させた)と共にインキュベートすることによって、大腸菌DH5αタンパク質に対する抗体を除去した。プロテインGアフィニティクロマトグラフィーを製造業者の取扱い説明書に従って用いて(UltraLink Immobilized Protein G, Pierce)、プールし枯渇させた血清からIgGを著しく濃縮した調製物を作製した。枯渇および精製の効率は、ELISA測定値に基づいて確認した。
結果
ライム病ボレリアに対してヒト免疫系によって産生され、ヒト血清中に存在する抗体は、抗原タンパク質のインビボ発現およびそれらの免疫原性を示す。これらの分子は、特異的な抗細菌抗体と対応するライム病ボレリアのペプチドまたはタンパク質との相互作用に基づいている本発明において説明するアプローチにおいて個々の抗原を同定するために極めて重要である。適切な抗体レパートリーを利用できるようにするために、様々なライムボレリア症症状を有する個体および健常な曝露された人々からヒト血清を採取した。ライムボレリア症を引き起こす様々なライム病ボレリア遺伝種は異なる疾患症状を生じるため、様々な疾患症状発現を示すライムボレリア症患者に由来する抗体を用いてスクリーニングすることが重要である。1325個の試料を含む血清の別個のセットを、オーストリアおよびチェコ共和国のライムボレリア症患者から採取した。
1325個の血清試料を採取し、一連の免疫アッセイ法により、抗ライム病ボレリア抗体に関して特徴付けした。B.ブルグドルフェリ(狭義)およびB.ガリニの全細菌溶解物を用いたELISAによって、一次的特徴付けを実施した。抗体力価を測定し、直線範囲の応答の血清希釈物からELISA単位を算出した。抗体反応性に基づいて血清を順位付けし、イムノブロッティングによってさらに試験するために、最も高い順位の血清を選択した。この解析により、予め選択した血清の複数のライム病ボレリアタンパク質に対する高い抗体反応性を確認した。B.ブルグドルフェリ(狭義)に由来する細菌溶解物に対してスクリーニングするために使用した血清の反応性を図1Aに示す。抗体プールに含める血清の最終的な選択は、主に、イムノブロッティング実験での複数の免疫原性バンドの存在に基づいた。代表的なウェスタンブロットを図1Bおよび1Cに示す。この広範な抗体特徴付けアプローチにより、抗ライム病ボレリア高度免疫血清が明確に同定された。
細菌表面ディスプレイによる抗原同定のために、選択した血清を6つの異なるIgGプールに含めた(各プールに3〜5種の血清)。アフィニティクロマトグラフィーによって、プールした血清からIgG抗体を精製し、かつ大腸菌DH5α反応性抗体を枯渇させて、細菌表面ディスプレイスクリーニングにおけるバックグラウンドを回避した。これらの血清プールは、遊走性紅斑EM-IgG(P3055、P3144、P3186、およびP3219)、神経ボレリア症NB-IgG(P3077、P3084、P3286、P3288、およびP3337)、慢性萎縮性先端皮膚炎ACA-IgG(P3183、P3209、およびP3336)、ライム関節炎LA-IgG(P3120、P3239、およびP3251)、ならびに症状が混在した患者に由来する血清を用いて作製した2種のプール、LBI-IgG(P1755、P1766、P1772、P1806、およびP1811)およびLBII-IgG(P3016、P3150、P3301、P3344、およびP3394)に相当する。
実施例3:ライム病ボレリアの高度にランダムなフレーム選択した小断片ゲノムDNAライブラリーの作製
実験手順
ゲノムDNAの調製
400mlの細菌培養物から細胞を採取し(5,000rpm、20分、室温)、80mlの50mM Tris(pH7.4)で洗浄し、10mlの50mM Tris(pH7.4)/25%スクロース/50mM EDTA中に再懸濁した。懸濁液を新しいガラス管に移し、リゾチーム(最終濃度:1.5mg/ml)およびSDS(最終濃度:2%)を添加した。細胞を溶解させるためにチューブを氷上でインキュベートした。プロテイナーゼK(最終濃度:0.1mg/ml)を添加し、37℃で10分間インキュベートし、続いて、フェノール/クロロホルム(1:1)で抽出し、この抽出を数回繰り返した。クロロホルム/イソアミルアルコール(1:24)を用いて最後の抽出段階を実施して、微量のフェノールを除去した。室温で1時間、RNase A(最終濃度:10μg/ml)で試料を処理し、かつフェノール/クロロホルム抽出およびクロロホルム/イソアミルアルコール抽出を前述したように実施した。最初の体積の10分の1の3M NaAc(pH5.3)および2.5倍体積の99.5%エタノールを添加することによって、残存する上清中のDNAを沈殿させた。-20℃で1時間インキュベーションした後、混合物を遠心分離し(20,000rpm、15分)、沈殿物を70%エタノールで洗浄した。最後に、沈殿物をTE緩衝液中に溶解した。
ゲノムDNA小断片の調製
カップホーン型超音波処理器(BB5カップホーンを装備したBandelin Sonoplus UV 2200超音波処理器、100%出力量で10秒パルス)を用いて、150〜300bpの間のサイズの範囲の断片に、またはDNase I(Novagen)で緩和に処理することにより、50〜70bpの間のサイズの断片に、ゲノムDNA断片を機械的に剪断した。超音波処理の方が、150〜300bpのサイズ範囲の断片にDNAを切断する場合、より密な断片サイズ分布をもたらすことが観察された。しかしながら、超音波によって誘導された流体力学的剪断力にDNAを徹底的に曝露したものの、その後の断片サイズ縮小は、効率的かつ再現可能に実現することができなかった。したがって、50〜70bpのサイズの断片を、Novagen社製のショットガン切断キットを用いた緩和なDNase I処理によって得た。キットと共に提供されるDNase Iの1:20希釈物を調製し、MnCl2の存在下、体積60μl、20℃で5分間、消化を実施して、酵素による二本鎖切断を徹底した。0.5M EDTA 2μlで反応を停止し、断片化の効率を2%TAE-アガロースゲル上で評価した。この処理により、ゲノムDNAを全面的に断片化して、約50〜70bpの断片にした。次いで、100μMの各dNTPの存在下でT4 DNAポリメラーゼを用いて断片を2回平滑末端化して、末端の効率的な平滑化を確実にした。断片はライゲーション反応に直ちに使用するか、または後で使用するために-20℃で凍結した。
ベクターの説明
ベクターpMAL4.31は、β-ラクタマーゼ(bla)遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子と交換して、pASK-IBAバックボーン(Skerra, A., 1994)上で構築した。さらに、bla遺伝子をマルチクローニング部位中にクローニングした。成熟したβ-ラクタマーゼをコードする配列の前にompAのリーダーペプチド配列を配置して、細胞膜を通過する効率的な分泌を可能にする。さらに、成熟したβ-ラクタマーゼの最初のアミノ酸12個をコードする配列(スペーサー配列)がompAリーダーペプチド配列に続いて、リーダーペプチダーゼ切断部位のすぐ後ろで配列が融合するのを回避している。これは、例えば、この領域に正に荷電したアミノ酸のクラスターがあると、細胞膜を通過する移行が減少または消滅すると考えられるためである(Kajava, A. et al., 2000)。SmaI制限部位は、ライブラリー挿入のために役立つ。上流のFseI部位および下流のNotI部位は、選択された断片の回収のために使用され、SmaI部位に隣接する。これら3つの制限部位を、bla遺伝子が-1リーディングフレームで転写されて、NotI部位の15bp後に停止コドンを生じるような仕方で、アミノ酸12個のスペーサー配列をコードする配列の後に挿入する。+1bpの挿入により、bla ORFは修復され、その結果、β-ラクタマーゼタンパク質が産生され、その結果アンピシリン耐性が得られる。
ベクターpMAL9.1は、lamB遺伝子をpEH1(Hashemzadeh-Bonehi, L. et al., 1998)のマルチクローニング部位中にクローニングすることによって構築した。続いて、制限部位FseI、SmaI、およびNotIを含む配列を、lamBの154番アミノ酸の後ろに挿入した。この挿入のためのリーディングフレームは、FseIおよびNotIでの消化によってプラスミドpMAL4.31から切り出したフレーム選択したDNA断片の移動により、lamBおよび各挿入物の連続的なリーディングフレームが生じるような仕方で構築した。
ベクターpHIE11は、pEH1のマルチクローニング部位にfhuA遺伝子をクローニングすることによって構築した。その後、制限部位FseI、XbaI、およびNotIを含む配列を、fhuAの405番アミノ酸の後ろに挿入した。この挿入のためのリーディングフレームは、FseIおよびNotIでの消化によってプラスミドpMAL4.31から切り出したフレーム選択したDNA断片の移動により、fhuAおよび各挿入物の連続的なリーディングフレームが生じるような仕方で選択した。
フレーム選択のためのライブラリーのクローニングおよび評価
ライム病ボレリアのゲノムDNA断片をベクターpMAL4.31のSmaI部位にライゲーションした。組換えDNAをDH10Bエレクトロコンピテント大腸菌細胞(GIBCO BRL)中にエレクトロポレーションし、形質転換体をカナマイシン(50μg/ml)およびアンピシリン(50μg/ml)を添加したLB寒天に播種した。プレートを37℃で一晩インキュベートし、大規模なDNA抽出のためにコロニーを採取した。代表的なプレートを保存し、コロニーPCR解析および大規模な配列決定用のコロニーを採取するために取っておいた。単純なコロニーPCRアッセイ法を用いて、大まかな断片サイズの分布ならびに挿入効率を最初に決定した。正確な断片サイズを配列決定データから評価し、挿入部位での連結の完全さならびにフレーム選択の正確さ(3n+1ルール)を評価した。
細菌表面ディスプレイのためのライブラリーのクローニングおよび評価
ライム病ボレリアライブラリーを含むpMAL4.31ベクターから制限酵素FseIおよびNotIを用いてゲノムDNA断片を切り出した。次いで、断片の集団全体を、FseIおよびNotIで消化しておいたプラスミドpMAL9.1(LamB)またはpHIE11(FhuA)中に移入した。8bpのGCリッチ配列を認識するこれら2種の制限酵素を用いて、pMAL4.31ベクターにおいて選択したリーディングフレームを各プラットホームベクター中で維持する。次いで、このプラスミドライブラリーを、エレクトロポレーションによって大腸菌DH5α細胞中に形質転換した。50μg/mlのカナマイシンを添加した大型のLB寒天プレートに細胞を播種し、37℃で一晩、単一のコロニーがはっきりと視認できるようになる密度に増殖させた。次いで、これらのプレートの表面から細胞をこそげ落とし、新鮮なLB培地で洗浄し、ライブラリースクリーニングのために一定量に分けて-80℃で保存した。
結果
フレーム選択のためのライブラリー
B.アフゼリ株K78の2つのライブラリーをpMAL4.31ベクターにおいて作製し、サイズはそれぞれ約70bpおよび300bpであった。各ライブラリーに対して、約1μgのpMAL4.31プラスミドDNAおよび50ngの断片化したB.アフゼリゲノムDNAをライゲーションし、続いて形質転換することにより、フレーム選択後に8×104〜2×105個のクローンを得た。ライブラリーのランダム性を評価するため、各ライブラリーの約500個または600個のランダムに選択したクローンを配列決定した。2つのライブラリー(LBA-50およびLBA-300)の代表的なバイオインフォマティクス解析から、これらのライブラリーに対応するクローンのうち、複数回存在するものはごくわずかしかないことが示された。さらに、LBA-50ライブラリーの場合、挿入物平均サイズは51bpであり、予想した挿入物サイズに非常に近いことも示された(図2A)。LBA-300ライブラリーに関しては、挿入物平均サイズは170bpであり、予想した挿入物サイズより若干短かった(図2B)。
細菌表面ディスプレイライブラリー
大腸菌の表面でペプチドを提示するには、フレーム選択ベクターpMAL4.31由来のLBA-50ライブラリーおよびLBA-300ライブラリーからの挿入物をディスプレイプラスミドpMAL9.1(LamB)またはpHIE11(FhuA)に移入する必要があった。ゲノムDNA断片をFseIおよびNotI制限によって切り出し、5ngの挿入物を0.1μgのプラスミドDNAとライゲーションし、続いてDH5α細胞中に形質転換することにより、2×105〜5×105個のクローンを得た。これらのクローンをLBプレートからこそげ落とし、それ以上増幅させずに凍結した。
実施例4:細菌表面にディスプレイしたゲノムライブラリーおよびヒト血清を用いた、ライム病ボレリアに由来する高度に免疫原性のペプチド配列の同定
実験手順
MACSスクリーニング
所与のライブラリーに由来する約2.5×108個の細胞を、37℃で2時間、50μg/mlのカナマイシンを添加したLB培地5ml中で増殖させた。1mM IPTGを30分間添加することによって発現を誘導した。新鮮なLB培地で細胞を2回洗浄し、LB培地100μl中に約2×107個の細胞を再懸濁し、エッペンドルフチューブに移した。
血清から精製した10〜20μgのビオチン標識ヒトIgGを細胞に添加し、穏やかに振盪しながら4℃で一晩、懸濁液をインキュベートした。LB培地900μlを添加し、懸濁液を混合し、続いて、6,000rpm、4℃で10分間遠心分離した。1mlのLBで細胞を1回洗浄し、次いでLB培地100μlに再懸濁した。ストレプトアビジンに結合させたMACSマイクロビーズ(Miltenyi Biotech、ドイツ)10μlを添加し、インキュベーションを4℃で20分間続けた。その後、LB培地900μlを添加し、MACSマイクロビーズ細胞懸濁液を、磁石に固定した平衡化MSカラム(Miltenyi Biotech、ドイツ)に添加した。(MSカラムは1mlの70%EtOHで1回、2mlのLB培地で2回洗浄することによって平衡化した。)
次いで、カラムを3mlのLB培地で3回洗浄した。磁石を除去した後、LB培地2mlで洗浄することによって細胞を溶出させた。LB培地3mlでカラムを洗浄した後、2回目として溶出液2mlを同じカラムに添加し、かつ洗浄および溶出プロセスを繰り返した。3回目の添加、洗浄、および溶出プロセスを実施して、2mlの最終溶出液を得た。
2回の選択後に選択した細胞を、50μg/mlのカナマイシンを添加したLB寒天プレート上に播種し、37℃で一晩増殖させた。
配列決定およびウェスタンブロット解析による、選択したクローンの評価
ランダムに選択したクローンを、50μg/mlのカナマイシンを添加したLB培地3ml中、37℃で一晩増殖させて、標準的な手順によってプラスミドDNAを調製した。配列決定はMWG(ドイツ)で実施した。
ウェスタンブロット解析のため、約10〜20μgの全細胞タンパク質を10%SDS-PAGEによって分離し、Hybond C膜(Amersham Pharmacia Biotech、イギリス)にブロットした。約1:3,000〜1:5,000に希釈した一次抗体としてのヒト血清および1:5,000に希釈した二次抗体としてのHRPに結合させた抗ヒトIgG抗体を用いて、LamB融合タンパク質またはFhuA融合タンパク質を検出した。検出は、ECL検出キット(Amersham Pharmacia Biotech、イギリス)を用いて実施した。あるいは、ウサギ抗FhuAポリクローナル免疫血清またはウサギ抗LamBポリクローナル免疫血清を、融合タンパク質の検出のために、HRPに結合させたそれぞれの二次抗体と組み合わせて一次抗体として使用した。
結果
ビオチン標識Igを用いた磁気活性化細胞選別(MACS)による細菌表面ディスプレイライブラリーのスクリーニング
pMAL9.1中のライブラリーK78-LamBおよびpHIE11中のライブラリーK78-FhuAを、ライムボレリア症患者の血清(P1755、P1766、P1772、P1806、P1811、P3055、P3144、P3186、P3219、P3077、P3084、P3286、P3288、P3337、P3016、P3150、P3301、P3344、P3394、P3183、P3209、P3336、P3120、P3239、P3251)から調製したビオチン標識ヒトIgGのプールを用いてスクリーニングした(実施例1:ヒト血清からの抗体の調製を参照されたい)。選択手順は、実験手順で説明したようにして実施した。図3Aは、K78-FhuAライブラリーおよびEM-IgGを用いたスクリーニングの代表例を示す。MACSスクリーニングでの1回目の選択サイクル後のコロニー計数から確認することができるように、最後に回収された細胞の合計数は、細胞1×107個から細胞約3×104個に大幅に減少し、抗体を用いなかった選択では、細胞数のより顕著な減少を示したことから、この選択が、ライム病ボレリアに特異的な抗体に依存していることが示された(図3A)。スクリーニングの性能を評価するため、20種の選択したクローンをランダムに選び、スクリーニング用のEM-IgGプールを用いたイムノブロット解析に供した(図3B)。この解析により、選択したクローンの大多数が、関連する血清中に存在する抗体との反応性を示したのに対し、FhuAを発現するがB.アフゼリに特異的な挿入物を有さない対照株は同じ血清と反応しないことが明らかになった。一般に、反応性の比率は40〜70%の範囲内にあることが観察された。コロニーPCR解析により、選択した全クローンが予想したサイズの範囲の挿入物を含むことが示された。
同様の結果が、他の血清プールに由来するライブラリーを用いたスクリーニングにおいて認められた。第2の例として、図3Cおよび3Dは、大型挿入物K78-FhuAおよびLA-IgG抗体プールを用いて得られたデータを示す。1回目のMACS選択により、特異的IgGの存在下でのみ細胞が濃縮され、特異的IgGの不在下では濃縮されなかった(図3C)ことから、選択は添加される抗体に対して特異的であることが示唆された。次いで、同じLA-IgG抗体プールを用いた個々の細菌クローンのウェスタンブロット解析において、特異的選択を確認した(図3D)。
各スクリーニングから得た、ランダムに選んだより多数のクローン(600〜800個)を続いて配列決定して、スクリーニングのために使用したヒト血清抗体によって特異的に認識された遺伝子および対応するペプチドまたはタンパク質の配列を同定した。特定のクローンが選択される頻度は、選択に用いられ、このクローンによって提示されるエピトープを認識する血清中の特異的抗体の存在量および/または親和性を少なくとも部分的に反映している。これに関して、いくつかのORFに由来するクローン(例えば、BAP001およびBAP024)が100回を上回る回数選ばれたことは印象的であり、それらの高度に免疫原性な特性が示される。表1では、全12回実施したスクリーニングで得られたデータを要約する。表1に提示するクローンはすべて、単一クローンに由来する全細胞抽出物を用いたイムノブロット解析により、各スクリーニングで使用したヒト血清プールとの指定の反応性を示すことが確認されている。表1から確認できるように、タンパク質の様々なサイズの断片がプラットホームタンパク質によって表面に提示されるため、同定したORFの異なる領域が免疫原性であると同定される。B.アフゼリのゲノム配列はスクリーニングの実施時に入手可能ではなかったため、B.アフゼリスクリーニングに由来するエピトープを用いたBLAST解析はすべて、B.ブルグドルフェリ(狭義)由来のゲノム配列を用いて最初に実施し、その後にB.ガリニ由来のゲノム配列を用いて実施した。表1では、B.アフゼリK78ゲノムの予備アノテーションに由来するB.アフゼリのORF名称を提示し、プラスミド由来のORFに経時的に番号をつけている。
細菌表面ディスプレイスクリーニングによって同定された遺伝子の多くが、細菌表面に結合するタンパク質をコードすることは、さらに注目する価値がある。これは、ライム病ボレリアのビルレンスにおける表面結合タンパク質の予想される役割に一致している。
実施例5:B.アフゼリK78から同定した高度免疫原性タンパク質を用いた遺伝子分布研究
実験手順
PCRによる抗原の遺伝子分布
理想的なワクチン抗原は、そのワクチンが対象とする標的生物のすべての株または圧倒的多数の株に存在する抗原であると考えられる。同定したB.アフゼリK78抗原をコードする遺伝子が関連する株に遍在的に存在するかどうかを確かめるために、関心対象の遺伝子に対して特異的なプライマーを用いて、一連の独立した細菌分離株に対してPCRを実施した。表3に示すように、患者に最も頻繁に存在するospC型を包含するライム病ボレリア分離株を得た。同定したすべてのORFに対して、プライマーとしてのオリゴヌクレオチド配列を設計して、可能であれば同定したすべての免疫原性エピトープを包含する約1,000bpの生成物を得た。実施例2で説明したようにして、すべてのライム病ボレリア株のゲノムDNAを調製した。Taqポリメラーゼ(1U)、200nM dNTP、各オリゴヌクレオチド10pMolおよびキットを製造業者の取扱い説明書(Invitrogen、オランダ)に従って用いて、反応体積25μlでPCRを実施した。個々のプライマー対に対して条件を適応させなければならない場合を除いて、標準として、30サイクル(95℃で5分を1回、95℃で30秒、56℃で30秒、72℃で30秒を30回、72℃で4分を1回)を実施した。
結果
免疫原性タンパク質をコードする同定された遺伝子を、30種の異なるライム病ボレリア株での存在に関してPCRによって試験した(表3)。例として、図4は、表示した30種すべての株を用いた、B.アフゼリBAP004抗原に対するPCR反応を示す。明瞭に視認できるように、遺伝子は、解析したすべての株に存在している。選択した抗原に関するすべての結果を表4に要約する。重要なことには、同定した抗原のいくつかは、配列およびサイズがそれぞれの病原体のすべての株において良く保存されており、したがって、ライム病ボレリアによる感染症を予防するための新規なワクチン候補物である。
実施例6:大腸菌表面に提示されたライム病ボレリアに由来する高度免疫原性タンパク質/ペプチドで免疫化したマウスから得た免疫血清の免疫原性
実験手順
マウスに由来する免疫血清の作製
B.アフゼリK78ペプチドと融合させたプラットホームタンパク質をコードするプラスミドを含む大腸菌クローンを、50μg/mlのカナマイシンを添加したLB培地中、37℃で増殖させた。一晩培養物を1:10に希釈し、OD600が0.5になるまで増殖させ、かつ0.2mM IPTGで2時間誘導した。ペレット状にした細菌細胞をPBS緩衝液中に懸濁し、氷上での超音波処理により破壊して、粗製の細胞抽出物を作製した。OD600測定に従って、5×107個の細胞に対応する分取物をNMRIマウスに静脈内注射し、続いて、2週間後に追加免疫を行った。2回目の注射後1週目に血清を採取した。エピトープ特異的な抗体のレベルをペプチドELISAによって測定した。
結果
マウスにおける免疫原性
図5に例示し、かつ表5に要約するように、特異的抗体の存在をペプチドELISAによって決定した。109種の異なるエピトープ領域によって表されるライム病ボレリア由来の99種の抗原が、マウスにおいて免疫原性であることが示された。これらの実験から、同定されたエピトープ/タンパク質の多くが、ヒトだけでなく、実験動物においても免疫原性であるというバイオインフォマティクスによる予測が確認された。
実施例7:ペプチドELISAによるB.アフゼリK78由来ペプチドの確認
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
ELISAプレート(Maxisorb, Millipore)を、コーティング緩衝液(0.1M炭酸ナトリウム、pH9.2)中に希釈した5〜10μg/mlの全タンパク質でコーティングした。2種類の血清希釈物(400倍、2,000倍)をPBS-BSA中で作製した。高度に特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗ヒトIgG二次抗体(Southern Biotech)を、製造業者の推奨に従って使用した(希釈率:1,000倍)。自動ELISA読み取り装置(TECAN SUNRISE)によるOD405nm測定値に基づいて、有色生成物への基質(ABTS)の変換を測定することによって、抗原-抗体複合体を定量した。表6に示したように、400倍希釈物での測定値を結果の計算のために使用した。
結果
ヒトにおける免疫原性
表6に要約するように、ヒト血清中の特異的抗体の存在をペプチドELISAによって決定した。この解析のために使用したヒト血清は、細菌表面ディスプレイスクリーニングによる抗原同定に適用した様々な血清プールに含まれたものに対応する。B.アフゼリK78由来の個々の抗原に由来する単一または複数のペプチドを解析したところ、これらのうち多くはヒトにおいて免疫原性であることが示された。選択したペプチドのうちいくつかは、調査したヒト血清のうち多くまたはすべてに対して高度に反応性であるのに対し(例えば、BAOba0565.02またはBAOba0077.01)、他のペプチドは中程度の反応性を示したことは明らかである。選択したエピトープが30個を上回るアミノ酸を含む抗原の場合、5〜6個のアミノ酸が重複した複数のペプチドを設計した。これらの抗原のうちいくつかでは、同じ抗原に由来するこれらの複数のペプチドが異なる反応性を示すことが観察されたことから、それぞれの抗原の免疫原性領域がさらに示される(例えば、BA0314またはBA0546)。これらの実験により、同定したエピトープ/タンパク質の多くがヒトにおいて高度に免疫原性であることが確認され、感染の進行中に病原体によってそれらが発現され、強力な免疫応答を誘導できることが示された。
実施例8:大腸菌表面に提示されたB.アフゼリK78に由来する高度免疫原性タンパク質/ペプチドで免疫化したマウスから得た免疫血清のライム病ボレリアへの表面結合
実験手順
FACS解析
B.アフゼリ株K78を34℃で培養した。スピロヘータの数を暗視野顕微鏡観察によって決定し、かつ1ミリリットル当たり生物106個の濃度になるまで、新鮮なBSK培地でスピロヘータを希釈した。各マウス血清を新鮮なBSK培地(100μl)で1:25に希釈し、56℃で30分、加熱不活化した。マウス血清100μlをボレリア懸濁液100μl(細胞105個)に添加する(血清は最終的に1:50に希釈される)。このアッセイ懸濁液を穏やかに混合し、室温で1時間インキュベートする。インキュベーション後、試料を5,000rpmで3分間遠心分離し、1ml PBS、0.5%BSAで一度洗浄する。PE結合抗マウス抗体を製造業者の推奨に従って(100μl中に希釈)使用して、第2の染色を実施した。第2の染色は氷上で45分間実施した。インキュベーションの最後に、試料を5,000rpmで3分間遠心分離し、1ml PBS 0.5%BSAで洗浄し、PBS-1%パラホルムアルデヒド1ml中に再懸濁する。試料をボルテックスし、フローサイトメトリーによって解析した。
結果
ライム病ボレリア細胞への表面結合
B.アフゼリK78の表面タンパク質を認識する抗体の存在をFACS解析によって試験した。40種の異なる血清によって表される32種の抗原が、FACS解析において緩衝液対照と比べて有意なシフトを示した(表7)。このインビトロ実験により、インビトロで培養したライム病ボレリア細胞において、32種の抗原が表面で発現されることが示される。
実施例9:組換えボレリア抗原は、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)の針チャレンジ(needle challenge)に対する防御的免疫応答を誘導する
実験手順
組換えボレリアタンパク質のクローニングおよび発現
遺伝子のクローニング:
特異的プライマーを用いて、PCRにより、B.アフゼリK78から単離したゲノムDNAから関心対象の遺伝子を増幅させた。遺伝子特異的な部分の他に、これらのプライマーは、増幅されたPCR産物の方向性のあるクローニングに役立つ制限部位を有した。プライマーの遺伝子アニーリング(特異的)部分の長さは15塩基〜30塩基の間の範囲であった。得られたPCR産物を適切な制限酵素で消化し、Hisタグ付きタンパク質を得るためにpET28b(+)ベクター(Novagen)中にクローニングした。選択した抗原の構築物を表8に列挙する。組換えプラスミドが関心対象の遺伝子を含むことを確認した後で、発現宿主となる大腸菌BL21 CodonPlus (DE3)-RIPL細胞(Invitrogen)を形質転換させた。
タンパク質の発現および精製:
組換えプラスミドを含む大腸菌BL21 CodonPlus (DE3)-RIPL細胞を、必要とされる培養体積において対数期まで増殖させた。OD600nmが0.6に達した後で、37℃で3時間、0.5mM IPTGで培養物を誘導した。遠心分離によってこれらの細胞を回収し、凍結融解法とそれに続くBugbuster(登録商標)(Novagen)による細胞破壊の組合せによって溶解させた。遠心分離によって溶解物を可溶性画分(上清)および不溶性画分(沈殿物)に分離した。タンパク質の位置に応じて、異なる精製戦略を適用した。
A)Hisタグ付きタンパク質が可溶性画分中に存在した場合、上清をNi-セファロースビース(Ni-Sepharose(商標)6 Fast Flow、GE Healthcare)に結合させることによってタンパク質精製を実施した。発現されたタンパク質のC末端に6個のヒスチジン(6×HIS)が存在するため、このタンパク質はNi-セファロースに結合したのに対し、他の混入しているタンパク質は、洗浄緩衝液によってカラムから洗浄された。pH7.4で、20mM NaH2PO4、0.5mM NaCl緩衝液中500mMイミダゾールにより、このタンパク質を溶出させた。溶出液を濃縮し、Bradfordによってタンパク質濃度を分析し、かつ、SDS-PAGEおよびウェスタンブロットによって検査した。
B)タンパク質が不溶性画分中に存在した場合、8M尿素を含む適切な緩衝液中で沈殿物を可溶化し、かつ、前述したのと同じ材料および手順を用いて、(8M尿素を含む緩衝液中)変性条件下でNi-NTAカラム上に添加した。尿素を含まない洗浄緩衝液を用いて、混入しているタンパク質をカラムから洗浄した。タンパク質をNi-NTAマトリックス上に固定化する間に、Hisタグ付きタンパク質のリフォールディングを実施した。復元後、500mMイミダゾールを添加することによって、タンパク質を溶出させた。溶出液を透析して、微量の尿素を除去し、かつ、体積が大きい場合には濃縮し、SDS-PAGEによって検査し、かつBradford法によって測定した。
動物防御の研究
動物:
雌のC3H/HeNマウス(6〜8週齢)を使用した。
能動免疫化、高度免疫マウス血清の作製:
アジュバントとしてのフロイント完全アジュバント(CFA)と共に、組換えタンパク質50μgを雌のC3H/HeNマウスに皮下注射した。同量のタンパク質およびフロイント不完全アジュバント(IFA)を用いて、14日目および28日目の2回、動物に追加免疫した。公開されている防御性のOspAタンパク質抗原を陽性対照として使用し、PBS緩衝液中のアジュバントのみで免疫化したものが陰性対照としての機能を果たした(PBS)。それぞれの組換えタンパク質を用いたELISAによって、35日目に抗体力価を測定した。
細菌チャレンジ:
BSK-II培地で新しく増殖させたボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)株N40をチャレンジ株として使用した。細菌接種物中に存在する生細胞数を決定するために、限界希釈物を用いてクローン化を実施した。分取物当たり細胞10個、1.0個、または0.1個を理論上含む、8つの2ml BSK-II分取物を5%CO2、34℃でインキュベートし、3週間後、暗視野顕微鏡観察によってボレリア生細胞の存在に関して分取物を評価した。限界希釈物を用いたクローン化からの結果と共に、最初の希釈物中で最も確率が高いボレリア細胞数を表9から採用した。細胞104個をマウスに皮下投与した。耳および膀胱に由来するボレリア細胞のBSK-II培地中での培養、ならびにウェスタンブロットを用いて決定した抗体陽転によって、免疫化による防御を決定した(図6)。防御は、未感染動物の総数に対するパーセンテージで表した(マウス10匹/グループ)。
ウェスタンブロット:
PAGE 4〜20% Tris-グリシン ZOOM Gels 1mm x IPGウェル(Invitrogen)を取扱い説明書に従って使用した。ボレリア溶解物(25μg/試料)を5倍の還元用試料緩衝液と混合し、95℃で10分間加熱した。PageRuler(商標)着色タンパク質ラダープラス(分子量10〜250kDa; Fermentas、ドイツ)が、タンパク質サイズの指標としての機能を果たした。160Vで約70分間、タンパク質を分離させ、ゲルをウェスタンブロッティングのためにさらに使用した。一次元ゲル電気泳動によって分離したタンパク質を、セミドライトランスファーシステム(Trans-Blot(登録商標)SD; BioRad、アメリカ)を用いて、ニトロセルロース膜(Hybond(商標)0.45 Micron、Amersham Bioscience、イギリス)に移した。ゲルおよび膜をブロットサンドイッチに組み立て、室温で1時間、80mAでトランスファー緩衝液中でブロットした。Ponceau S(Sigma、オーストリア)染色によって、ブロットしたタンパク質を可視化した。室温で1時間、5%ミルク-PBS-T中で膜をインキュベートすることによって、非特異的な結合部位をブロックした。PBS-T溶液で15分間、膜を3回洗浄し、続いて、室温で1時間、一次抗体溶液(5%ミルク-PBS-Tで1:1,000に希釈した個別のマウス血清)と共にインキュベートした。前述したように膜を洗浄し、続いて、室温で1時間、二次抗体溶液(5%ミルク-PBS-Tで1:5,000 に希釈したウサギ抗マウスIgG-HRP(Jackson Immuno Research Laboratory Inc.、アメリカ))と共にインキュベートした。検出する前に、PBS-Tで15分間、膜を3回洗浄した。シグナルは、ECL検出キット(Amersham Pharmacia Biotech、イギリス)を用いて可視化した。
マウス器官に由来するボレリアの培養:
器官(耳および膀胱)を無菌的にマウスから摘出し、400μg/mlホスホマイシンおよび50μg/mlスルファメトキサゾールを添加したBSK-II培地10mlを入れたチューブに移した。これらの培養物を34℃、5%CO2で、最長4週間インキュベートした。生きたボレリア細胞の存在について、暗視野顕微鏡観察によって培養物を検査した。
結果
ビルレントなB.ブルグドルフェリ(狭義)株N40を用いてボレリア動物モデルを確立した後、インビトロで選択したワクチン候補物の防御能力を評価した。CFA/IFAをアジュバントとして用いて、組換え抗原(表8)でマウスを免疫化した後、B.ブルグドルフェリ(狭義)株N40でチャレンジした。チャレンジ後4週目に、ウェスタンブロット解析によって抗体陽転を判定するための血清(図6)およびBSK-II培地での培養によって生きたボレリアを検出するための器官を採取した。抗体陽転とマウス器官に由来するボレリアの培養との相関は100%であった。様々な防御レベルを有するいくつかの抗原を動物試験において同定した(表10)。未感染マウスのパーセンテージは、陰性対照群であるPBS緩衝液中のアジュバントのみで免疫化したマウス(PBS)と比較した。防御抗原は、免疫化の結果、PBS対照群の場合よりも未感染マウスが少なくとも1匹多かったものと定義する。
抗原の配列が、チャレンジ株とは異なるライム病ボレリア遺伝種に由来したことから、ワクチン候補物の観察された防御は、交差防御と説明することができる。抗原はB.アフゼリ株K78からクローン化し、動物試験で使用したチャレンジ株は、B.ブルグドルフェリ(狭義)株N40であった。したがって、試験したワクチン候補物のアミノ酸配列の起源と同じ遺伝種のチャレンジ株、すなわちB.アフゼリに対しては、より高い防御レベルが予想されるはずである。
参照文献
本明細書において短縮して列挙する以下の参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
Figure 2010503384
Figure 2010503384
本明細書、特許請求の範囲、および/または図面において開示される本発明の特徴は、別々およびそれらの任意の組合せの両方で、様々な形態の本発明を理解するための資料であり得る。

Claims (54)

  1. 核酸配列を含む、タンパク質、好ましくは高度免疫血清反応性抗原、またはその断片をコードする単離された核酸分子であって、
    以下からなる群より選択される核酸分子:
    a)SEQ ID NO: 1〜SEQ ID NO: 134を含む群より選択されるヌクレオチド配列を有する核酸分子に対して少なくとも70%の配列同一性を有する核酸分子、
    b)a)の核酸分子に相補的な核酸分子、
    c)a)またはb)の核酸分子の少なくとも15個の連続した塩基を含む核酸分子、
    d)a)、b)、またはc)の核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でアニーリングする核酸分子、
    e)遺伝コードの縮重がなければ、a)、b)、c)、またはd)で定義される核酸分子にハイブリダイズすると考えられる核酸分子。
  2. 核酸配列を含む、高度免疫血清反応性抗原またはその断片をコードする単離された核酸分子であって、
    以下からなる群より選択される核酸分子:
    a)SEQ ID NO: 269〜SEQ ID NO: 387およびSEQ ID NO: 507〜SEQ ID NO: 628を含む群より選択されるヌクレオチド配列を有する核酸分子に対して少なくとも70%の配列同一性を有する核酸分子、
    b)a)の核酸分子に相補的な核酸分子、
    c)a)またはb)の核酸分子の少なくとも15個の連続した塩基を含む核酸分子、
    d)a)、b)、またはc)の核酸分子にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でアニーリングする核酸分子、
    e)遺伝コードの縮重がなければ、a)、b)、c)、またはd)で定義される核酸分子にハイブリダイズすると考えられる核酸分子。
  3. 配列同一性が、少なくとも70%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である、請求項1または2に記載の単離された核酸分子。
  4. 核酸がDNAである、請求項1〜3のいずれか一項記載の核酸分子。
  5. 核酸がRNAである、請求項1〜3のいずれか一項記載の核酸分子。
  6. 好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)(Borrelia burgdorferi s.s.)、ボレリア・ガリニ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelii)、ボレリア・アンデルソニイ(Borrelia andersonii)、ボレリア・ビセッティ(Borrelia bissettii)、ボレリア・バライシアナ(Borrelia valaisiana)、ボレリア・ルジタニエ(Borrelia lusitaniae)、ボレリア・スピエルマニ(Borrelia spielmani)、ボレリア・ジャポニカ(Borrelia japonica)、ボレリア・タヌキイ(Borrelia tanukii)、ボレリア・ツルダ(Borrelia turdae)、およびボレリア・シニカ(Borrelia sinica)を含む群より選択される種に由来するゲノムDNAから単離される、ならびにより好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニのゲノムDNAから単離される、請求項1〜5のいずれか一項記載の単離された核酸分子。
  7. 断片が、その機能的断片もしくは活性断片または活性変種である、請求項1〜6のいずれか一項記載の核酸。
  8. タンパク質もしくは高度免疫血清反応性抗原、またはその断片が、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、またはボレリア・シニカに由来する、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニに由来する抗原であるか、またはそれからなる、請求項1〜7のいずれか一項記載の核酸。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項記載の核酸分子を含む、ベクター。
  10. タンパク質、好ましくは、請求項1〜8のいずれかで定義される核酸分子によってコードされるタンパク質もしくは高度免疫血清反応性抗原またはその断片の組換え発現のために適合させた、請求項9記載のベクター。
  11. 請求項9または10で定義されるベクターを含む、宿主細胞。
  12. ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニ由来の単離されたペプチドまたはそのペプチド断片を含み、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)感染症、ボレリア・アフゼリ感染症、もしくはボレリア・ガリニ感染症に罹患しているヒト、または未感染の健常なヒトに由来する血清と免疫学的に反応性である、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニに由来する高度免疫血清反応性抗原。
  13. SEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268を含む群より選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質、好ましくは高度免疫血清反応性抗原、またはその活性断片もしくは活性変種。
  14. SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506およびSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750を含む群より選択されるアミノ酸配列を有する高度免疫血清反応性抗原、またはその活性断片もしくは活性変種。
  15. 請求項1または3〜8のいずれか一項で定義される核酸分子によってコードされる、請求項13記載のタンパク質。
  16. 請求項2〜8のいずれか一項で定義される核酸分子によってコードされる、請求項14記載の高度免疫血清反応性抗原。
  17. ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニに由来する抗原であるか、またはそれからなる、請求項13〜16のいずれか一項記載のタンパク質または高度免疫血清反応性抗原。
  18. 活性断片が、請求項13〜17のいずれか一項で定義されるタンパク質または高度免疫血清反応性抗原、およびより具体的には、SEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506、またはSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750のいずれかのタンパク質または高度免疫血清反応性抗原の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%からなる、請求項13〜17のいずれか一項記載のタンパク質または高度免疫血清反応性抗原。
  19. 活性変種が、高度免疫血清反応性抗原またはタンパク質に対して少なくとも50%の配列同一性を有する、特に、請求項13〜17のいずれか一項で定義される該高度免疫血清反応性抗原またはタンパク質に対して、およびより具体的には、SEQ ID NO: 135〜SEQ ID NO: 268、SEQ ID NO: 388〜SEQ ID NO: 506、またはSEQ ID NO: 629〜SEQ ID NO: 750のいずれかのタンパク質または高度免疫血清反応性抗原に対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは99%の配列同一性を有する、請求項13〜17のいずれか一項記載のタンパク質または高度免疫血清反応性抗原。
  20. 表1の「予測される免疫原性アミノ酸」および「同定された免疫原性領域の位置」列に示されるか、表5の「アミノ酸(開始〜終止)」列に示されるか、表6の「以下のアミノ酸から」列および「以下のアミノ酸まで」列によって定義されるか、または表8の「以下のアミノ酸から〜まで」列によって定義されるコアアミノ酸配列を含み、
    より好ましくは、以下のコアアミノ酸配列を含む、抗原:
    Figure 2010503384
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  21. さらに以下からなる、請求項20記載の抗原:
    a)1〜50個の付加的なアミノ酸残基、好ましくは1〜40個、より好ましくは1〜30個、さらにより好ましくは、多くても1〜25個、なおより好ましくは、多くても1〜10個、最も好ましくは、1個、2個、3個、4個、もしくは5個の付加的なアミノ酸残基;および/または
    b)コアアミノ酸配列に対して異種の少なくとも1つのアミノ酸残基。
  22. アミノ酸残基が、C末端、N末端、またはC末端およびN末端でコアアミノ酸配列に隣接している、請求項20または21に記載の抗原。
  23. 請求項20で定義される少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のコアアミノ酸配列を含む、請求項20〜22のいずれか一項記載の抗原。
  24. 請求項1〜8のいずれか一項で定義される核酸分子を発現させる段階を含む、請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原もしくは抗原、またはその断片を作製するための方法。
  25. 請求項9または10で定義されるベクターを用いて適切な宿主細胞を形質転換させるかまたはトランスフェクトする段階を含む、請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を発現する細胞を作製するための方法。
  26. タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片が、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、またはボレリア・シニカの抗原に由来する、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニに由来する、タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片である、請求項24または25に記載の方法。
  27. 請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片、または請求項1〜8のいずれか一項で定義される核酸分子、または請求項9もしくは10で定義されるベクターを含む、薬学的組成物、好ましくはワクチン。
  28. ポリカチオンポリマー、特にポリカチオンペプチド、免疫賦活性デオキシヌクレオチド(ODN)、少なくとも2つのLysLeuLysモチーフ、好ましくは
    Figure 2010503384
    を含むペプチド、向神経活性化合物、特にヒト成長ホルモン、ミョウバン、フロイント完全アジュバントもしくはフロイント不完全アジュバント、またはそれらの組合せを含む群より好ましくは選択される免疫賦活性物質をさらに含むことを特徴とする、請求項27記載の薬学的組成物、好ましくはワクチン。
  29. 薬学的調製物または医薬を製造するための、特に、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカに対するワクチン、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニに対するワクチンを製造するための、請求項1〜8のいずれか一項で定義される核酸分子、または請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片の使用。
  30. 請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質の、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原の、またはその断片の、好ましくはその活性断片の、またはその変種の、好ましくはその活性変種の少なくとも選択的な部分に結合する、抗体または少なくともその有効な部分。
  31. モノクローナル抗体である、請求項30記載の抗体。
  32. 有効な部分が、Fab断片、F(ab)断片、F(ab)N断片、F(ab)2断片、またはFv断片を含む、請求項30または31に記載の抗体。
  33. 抗体がキメラ抗体である、請求項30〜32のいずれか一項記載の抗体。
  34. 抗体がヒト化抗体である、請求項30〜33のいずれか一項記載の抗体。
  35. 請求項30〜34のいずれか一項で定義される抗体を産生するハイブリドーマ細胞株。
  36. 以下の段階を特徴とする、請求項30〜34のいずれか一項で定義される抗体を作製するための方法:
    a)請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を非ヒト動物に投与することによって、該動物において免疫応答を開始させる段階、
    b)抗体を含む体液を該動物から取り出す段階、および
    c)抗体を含む該体液をさらなる精製段階に供することによって抗体を作製する段階。
  37. 以下の段階を特徴とする、請求項30〜34のいずれか一項で定義される抗体を作製するための方法:
    a)請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を非ヒト動物に投与することによって、該動物において免疫応答を開始させる段階、
    b)脾臓または脾臓細胞を該動物から取り出す段階、
    c)該脾臓または脾臓細胞のハイブリドーマ細胞を作製する段階、
    d)該タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片に特異的なハイブリドーマ細胞を選択し、かつクローン化する段階、
    e)該クローン化したハイブリドーマ細胞を培養することによって抗体を作製する段階、および任意のさらなる精製段階。
  38. ボレリア、好ましくは病原性ボレリア、より好ましくはボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカ、ならびに最も好ましくはボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニによる感染症を治療または予防するための医薬を調製するための、請求項30〜34のいずれか一項で定義される抗体の使用。
  39. 以下の段階を含む、請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片に結合することができるアンタゴニストを同定するための方法:
    a)請求項12〜23のいずれか一項で定義される単離されたまたは固定化したタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を、該タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片への候補アンタゴニストの結合を可能にする条件下、該タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片への該候補アンタゴニストの結合に応答して検出可能なシグナルを提供することができる構成要素の存在下で、該候補アンタゴニストと接触させる段階;および
    b)該タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片へのアンタゴニストの結合に応答して生じたシグナルの存在または不在を検出する段階。
  40. 以下の段階を含む、請求項12〜23のいずれか一項記載のタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片のその相互作用相手に対する相互作用活性を減少させるかまたは阻害することができるアンタゴニストを同定するための方法:
    a)請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を提供する段階、
    b)該タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片に相互作用相手、特に、請求項30〜34のいずれか一項記載の抗体を提供する段階、
    c)該タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片を該相互作用相手と相互作用させて、相互作用複合体を形成させる段階、
    d)候補アンタゴニストを提供する段階、
    e)候補アンタゴニストと相互作用複合体の間で競合反応を起こさせる段階、
    f)候補アンタゴニストが、タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片と相互作用相手との相互作用活性を阻害するかまたは減少させるかどうかを決定する段階。
  41. 請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片の相互作用相手の単離および/または精製および/または同定のための、該タンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片のいずれかの使用。
  42. 以下の段階を含む、ボレリア生物による感染症を診断するための方法:
    a)対象から得た試料を、請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫血清反応性抗原もしくは抗原、またはその任意の断片と接触させる段階;および
    b)試料中の該ボレリア生物に対する抗体の存在を検出する段階。
  43. 以下の段階を含む、ボレリア生物による感染症を診断するための方法:
    a)対象から得た試料を、請求項1〜8のいずれか一項で定義される核酸分子またはその断片に特異的なプライマーまたはプローブと接触させる段階;および
    b)試料中のこのような核酸分子またはその断片の存在を検出する段階。
  44. 以下の段階を含む、ボレリア生物による感染症を診断するための方法:
    a)対象から得た試料を、請求項30〜34のいずれか一項記載の抗体と接触させる段階;および
    b)試料中の該ボレリア生物の抗原の存在を検出する段階。
  45. ボレリア生物の抗原が、請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、抗原、または高度免疫血清反応性抗原である、請求項44記載の方法。
  46. ボレリア生物が、病原性ボレリア生物、より好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカを含む群より選択される、ならびにさらにより好ましくは、B.ブルグドルフェリ(狭義)(B. burgdorferi s.s.)、B.アフゼリ(B. afzelii)、およびB.ガリニ(B. garinii)を含む群より選択されるボレリア生物である、請求項42〜45のいずれか一項記載の方法。
  47. アプタマーおよびスピーゲルマー(spiegelmer)を含む群より選択される機能的核酸を製造するための、請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片の使用。
  48. リボザイム、アンチセンス核酸、およびsiRNAを含む群より選択される機能的リボ核酸を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項で定義される核酸分子の使用。
  49. 前記請求項で定義される薬学的組成物もしくは医薬または請求項30〜34のいずれか一項で定義される抗体を該動物またはヒトに治療的有効量投与する段階を含む、好ましくは治療を必要とする動物またはヒトにおいてボレリア感染症を治療するための方法。
  50. ボレリア感染症が、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、またはボレリア・シニカ、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニによる感染症である、請求項49記載の方法。
  51. 請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片、または請求項1〜8のいずれか一項で定義される核酸分子、または請求項9もしくは10で定義されるベクターを該動物またはヒトに有効量投与する段階を含む、ボレリア生物による感染に対して動物またはヒトを免疫化するための方法であって、
    該有効量が該動物またはヒトにおいて免疫応答を誘発するのに適している、方法。
  52. ボレリア生物が、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカ、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニを含む群より選択される、請求項51記載の方法。
  53. 請求項12〜23のいずれか一項で定義されるタンパク質、高度免疫反応性血清抗原もしくは抗原、またはその断片、または請求項1〜8のいずれか一項で定義される核酸分子、または請求項9もしくは10で定義されるベクターを該動物またはヒトに有効量投与する段階を含む、動物またはヒトにおいてボレリア生物に対しての免疫応答を刺激するための方法であって、
    該有効量が該動物またはヒトにおいて免疫応答を刺激するのに適している、方法。
  54. ボレリア生物が、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニイ、ボレリア・ビセッティ、ボレリア・バライシアナ、ボレリア・ルジタニエ、ボレリア・スピエルマニ、ボレリア・ジャポニカ、ボレリア・タヌキイ、ボレリア・ツルダ、およびボレリア・シニカ、好ましくは、ボレリア・ブルグドルフェリ(狭義)、ボレリア・アフゼリ、またはボレリア・ガリニを含む群より選択される、請求項53記載の方法。
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