JP2010502356A - 歯列矯正装置及び矯正方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】歯列を整えて、特に、歯が偏心して矯正されることを防いだ歯列矯正装置及び矯正方法が提供される。
【解決手段】前記歯列矯正装置は、矯正対象歯に取り付けられる歯取り付けユニット及び前記歯取り付けユニットに備えられ、歯列矯正のための牽引ユニットの連結部分が歯の抵抗中心点付近に位置するフック部材を含んで構成されるか、前記歯取り付けユニットと、それに備えられて歯列矯正のための牽引ユニットの連結部分が少なくとも歯茎付近に位置するフック部材を含んで構成されることを特徴とする。このような本発明によれば、ブラケットまたはボタン等の歯取り付けユニットとそれに連結される牽引ユニットの牽引ラインが略水平を維持するため、歯と歯根が傾く偏心現象なく、歯列が効果的に矯正できるという優れた効果をもたらす。

Description

本発明は、歯をまっすぐに整列させる歯列矯正装置及び矯正方法に関し、より詳細には、歯に取り付けられる不整列歯の歯列矯正用のブラケット、またはボタンの歯取り付けユニットに備えられたフック部材と、矯正力を提供する牽引ユニットの連結部分(連結点)の位置を歯の抵抗中心点付近にするか、少なくとも歯茎付近にすることで、歯列矯正時に歯が傾く偏心現象がなく、効果的に歯列矯正されるようにする歯列矯正装置及び矯正方法に関する。
不整列歯、不正咬合(歯が噛み合わない状態)、または顔面突出は、歯の発育異状、顎骨の発育異状、幼いときの悪い癖(指しゃぶり等)、悪い食習慣、及び/または遺伝等により歯及び口腔顎の顔面部位が正しい位置で育たないことに因る。
このような歯列の不整列や不正咬合または顔面突出等は対人関係に消極的になる原因となる上、歯の基本的な機能である食べ物の均一な粉砕機能も低下させる。
従って、このような問題を解決すべく、歯に持続的な力を加えて、歯を取り囲んでいる歯槽骨の改造と共に、強制的に歯の移動を誘導する歯列矯正が一般化されている傾向にある。
例えば、図1では、ブラケットとして知られている従来の歯列矯正装置200の一例を図示している。この例では、図1のブラケットは、歯の外側に露出される唇側ブラケット形態である。
これに対して、歯の外側に露出されないブラケットを舌側ブラケット(図13参照)という。
口腔管理の難しい児童や極端に非対称な歯の場合は、審美的な面よりも効率面を考慮して、このような唇側または舌側ブラケットのうち、唇側ブラケットを用いて歯列を矯正する。
一方、初期は主に金属ブラケットを用いたが、最近では審美的効果をもたらすセラミックや樹脂により構成される透明な材質のブラケットを主に用いる傾向にある。
また、図1に図示した従来の歯列矯正装置200であるブラケットは、胴体210、スロット212、歯列矯正ワイヤ220、結合部材230及び結合ウィング240を備えている。歯Tに取り付けられるブラケット胴体210には、歯間を連係させる矯正ワイヤ220が挿入されて締め付けられるスロット212が形成され、前記矯正ワイヤ220をブラケット胴体210に固定させる締結バンド等の結合部材230が締結される結合ウィング240が備えられている。
図1に図示したように、前記スロット212は、ブラケット胴体210の結合ウィング240間に凹形状に形成され、前記ブラケット胴体210の歯取り付け面は歯の外表面に合わせて湾曲されている。
次に、図2に図示したように、従来のブラケットの歯列矯正装置200を用いた施術状態について述べると、ブラケット胴体210を矯正対象歯、例えば、犬歯等に接着剤等を用いて取り付ける。
また、矯正ワイヤ220をブラケットスロット(図1の212)に嵌めた後、結合部材230、例えば、バンド、針金等で一対の結合ウィング240を組み合わせて締結して矯正ワイヤ220をブラケット胴体210に固定する。
別途に図示はしていないが、結合ウィングの代わりにカバー部材をスロット上に一体で形成して胴体上のスロットに嵌められた矯正ワイヤ220を覆って固定する形態もある。
次に、図2に図示したように、ブラケットの結合ウィングから突出された突起250に顎骨や歯槽骨に埋め込んだアンカー部材260、即ち、ミニインプラント(スクリュー)またはプレート等のアンカー部材に連結される牽引ユニット270を連結して歯を引っ張ることで矯正が行われる。
このとき、前記牽引ユニットは、図2のように、牽引ワイヤ、バネ及び弾性チェーン、あるいはこれらの組み合わせから少なくとも一つを選択して用いることができ(図6及び図7参照)、このとき、符号T'は歯根を示し、符号Gは'歯茎'を示している。
しかし、図3に図示したように、従来の歯列矯正装置200の場合は以下のような問題が発生した。
例えば、顎骨や歯槽骨に埋め込まれたアンカー部材260に一端が連結された牽引ユニット270の他端がブラケット胴体210の下端突起250に(アンカー部材の水平線を基準にθ1の角度)で傾いて連結される。
この場合、ブラケットに連結された牽引ユニットの連結角度がアンカー部材を基準に傾くため、歯列矯正時に歯TはF1の引張力を受ける。
このため、歯Tは、歯根T'と共に水平に引っ張られず、傾き方向にθ2の角度で引っ張られて偏心現象が発生する。
従って、従来の歯列矯正装置200においては、牽引ユニット270をブラケットである歯列矯正装置200と連結して歯列を矯正する場合、歯が偏心して引っ張られるため、正常な歯列矯正が難しく、矯正期間も長くなる等の様々な問題点があった。
本発明は、前記のような従来の問題点を解決すべく提案されたもので、その目的は、歯列矯正時に矯正力をもたらす牽引ユニットと歯取り付けユニットに備えられるフック部材の連結部分(連結点)の位置を歯の抵抗中心点に対応するか、少なくともは歯根を考慮して歯茎付近にし、歯と歯根が偏心現象なく、略水平に引っ張られるようにすることで、歯列矯正性を向上させた歯列矯正装置及び矯正方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、矯正対象歯に取り付けられる歯取り付けユニットと、前記歯取り付けユニットに備えられ、歯列矯正のための牽引ユニットの連結部分が前記歯の抵抗中心点(C.R)付近に位置するフック部材と、を含んで構成された歯列矯正装置を提供する。
また、上記目的を達成するために、本発明は、矯正対象歯に取り付けられる歯取り付けユニットと、前記歯取り付けユニットに備えられ、歯列矯正のための牽引ユニットの連結部分が少なくとも歯茎付近に位置するフック部材と、を含んで構成された歯列矯正装置を提供する。
さらに、上記目的を達成するために、本発明は、矯正対象歯に取り付けられる歯取り付けユニットと、前記歯取り付けユニットに備えられ、歯列矯正のための牽引ユニットの連結部分が前記歯の抵抗中心点(C.R)に対応して少なくとも歯茎付近に位置するフック部材と、を含んで構成された歯列矯正装置を提供する。
さらに、上記目的を達成するために、本発明は、矯正対象歯に単独または併用して取り付けられる歯列矯正装置のブラケットまたはボタンに備えられたフック部材と、アンカー部材に連結されて歯を引っ張る牽引ユニットとの連結部分を歯の抵抗中心点付近または少なくとも歯茎付近にし、歯が偏心して引っ張られることを防ぐ歯列矯正方法を提供する。
このように本発明の歯列矯正装置及び矯正方法によれば、アンカー部材と矯正装置のブラケットまたはボタンの間に連結される牽引ユニットの連結部分を、少なくとも歯及び歯根の全長を考慮して歯の抵抗中心点に相当する歯茎付近にし、歯と共に歯根まで偏心なく、アンカー部材を基準に水平に引っ張って矯正することで、歯列矯正性を向上させるという優れた効果をもたらす。
また、ブラケットやボタンの歯列矯正装置から延びたフック部材の牽引ユニットとの連結部分が歯茎付近であるため、歯列矯正施術が容易で、アンカー部材と牽引ユニットの連結ラインの外部露出も減少させることができる。そのため、本発明の歯列矯正装置及び矯正方法によれば、歯列矯正施術後の外見を審美的に美しくするという他の優れた効果をもたらす。
従来の歯列矯正装置の一例を図示した斜視図である。 図1の歯列矯正装置の施術状態を図示した概略図である。 図1の歯列矯正装置の施術時に発生する問題を説明するために図示した概略図である。 フック部材をブラケットの結合ウィングに形成した本発明によるブラケット形態の歯列矯正装置を図示した斜視図である。 フック部材をブラケット胴体に形成した本発明によるブラケット形態の歯列矯正装置を図示した斜視図である。 互いが異なる形態の牽引ユニットを用いた本発明の歯列矯正装置の施術状態を図示した斜視図である。 互いが異なる形態の牽引ユニットを用いた本発明の歯列矯正装置の施術状態を図示した斜視図である。 本発明の歯列矯正装置を用いた歯列矯正状態を図示した状態図である。 本発明のフック部材の変形例を図示した斜視図である。 (a)乃至(c)は、本発明のフック部材の他の変形例を図示した概略図である。 本発明のフック部材のさらに他の変形例を図示した構成図である。 (a)及び(b)は、本発明のフック部材のさらに他の変形例を図示した側面図である。 (a)及び(b)は、舌側ブラケット形態の本発明の歯列矯正装置を図示した正面図及び設置状態図である。 本発明によるボタン形態の歯列矯正装置の施術状態を図示した斜視図である。 (a)及び(b)は、図14の歯列矯正装置を図示した斜視図及び側面図である。 (a)及び(b)は、図15の歯列矯正装置の変形例を図示した斜視図及び側面図である。 (a)乃至(c)は、図14の本発明の歯列矯正装置におけるフック部材の変形例を図示した概略図である。 図14の本発明のフック部材の他の変形例を図示した構成図である。 (a)及び(b)は、図14の本発明のフック部材のさらに他の変形例を図示した正面図である。 本発明によるフック部材を含むブラケット(従来技術における)とボタンとを併用する状態を図示した斜視図である。 棒形態(針金)のフック部材が本発明の歯列矯正装置におけるブラケットに備えられた状態を図示した斜視図である。 棒形態(針金)のフック部材が本発明の歯列矯正装置におけるボタンに備えられた状態を図示した斜視図である。
以下、添付の図面に従って本発明の好ましい実施例を説明する。
但し、図4乃至図13には本発明の歯列矯正装置1における歯取り付けユニットの一例としてブラケットを図示し、図14乃至図19には歯列矯正装置100における歯取り付けユニットの他の例としてボタンを図示し、図20にはブラケットとボタンとを併用する例を図示する。
また、図4乃至図12では、前述のように、外部に露出されるが、矯正性や施術が容易な唇側ブラケット形態の歯列矯正装置1を図示し、図13では審美性を考慮した舌側ブラケット形態の歯列矯正装置1'を図示している。
先ず、図4にはフック部材50をブラケット胴体10に備えられた結合ウィング40に形成した本発明の歯列矯正装置1を図示し、図5にはフック部材50をブラケット胴体10に一体で形成した本発明の歯列矯正装置1を図示している。
但し、以下では、図4の結合ウィング40にフック部材50を一体で形成したブラケット形態の歯列矯正装置1を説明する。
また、図にはブラケット胴体10に結合ウィング40を4つ備えたことを図示したが、これに限定されず、ブラケット胴体10の上側及び下側にサイズを大きくした2つの結合ウィングを形成することも可能である。
このような本発明の歯列矯正装置1は、図6及び図7に図示したように、矯正対象歯Tに取り付けられる歯取り付けユニットであるブラケット及び前記ブラケットの結合ウィング40のいずれかに一体で備えられ、牽引ユニット70の連結部分、即ち、連結点Pが前記歯Tの抵抗中心点C.R付近に位置するフック部材50を含むことを特徴とする。
また、矯正対象歯Tの抵抗中心点に対応せず、単に矯正対象歯Tと歯根T'の全長を考慮し、その中央部位になるよう前記牽引ユニット70とフック部材50の連結部分(連結点P)を少なくとも歯茎G付近にすることも可能である。
このとき、図6及び図7に図示したように、実際の歯Tの抵抗中心点(C.R)付近は、歯Tと歯根T'の全長を考慮すると、歯茎付近になるため、フック部材50と牽引ユニット70との連結部分(連結点P)を歯の抵抗中心点(C.R)に対応して歯茎付近にすることが最も好ましい。
従って、本発明の歯列矯正装置1では、フック部材50を図3の従来の歯列矯正装置200とは異なって、歯の抵抗中心点に対応して歯茎付近まで延ばし、その下端部に牽引ユニット70を連結するため、歯Tと歯根T'が偏心現象(図3参照)なく牽引ラインに対して略水平に引っ張られる。
一方、このような本発明の歯列矯正装置1であるブラケットとフック部材は、金属、セラミックまたは樹脂(プラスチック)により一体で製作することができる。
このような本発明の歯列矯正装置1は、アンカー部材60、例えば、ミニスクリュー、インプラントあるいはプレート形態等の様々なアンカー部材に連結される牽引ユニット70を連結して歯列矯正を施術する形態であり、主に単独の歯T、例えば、犬歯等に適用されるが、必ずしもこれに限定されない。
また、図4及び図5に図示したように、ブラケット形態の本発明の歯列矯正装置1のブラケット胴体10は、基本的に矯正ワイヤ20が挿入されるスロット12を含む。
そして、前記ブラケット胴体10は、前記スロット12に挿入される矯正ワイヤ20をブラケット胴体10に締結するのに用いられる結合部材30が締結される1つ以上のバインダー締結用結合ウィング40を含む。
また、前記スロット12は、実際は結合ウィング40間の隙間に相当し、前記矯正ワイヤ20の直径に対応して形成されている。
前記スロット12は、実際は歯取り付けユニットであるブラケットの中央線(図8のC)に沿って形成されるのが通常である。
しかしながら、前述の従来技術でも説明したように、結合ウィング40を有するブラケットの歯列矯正装置1は一例に過ぎず、結合ウィングを具備しない形態も可能である。
例えば、別途の図面に図示はしていないが、結合ウィングの代わりに一体となったカバー(蓋)を形成してブラケット胴体10上に設け、前記カバーでブラケット胴体上のスロット12を覆うようにし、このスロットに矯正ワイヤ20を挿入させた後、結合部材30で補正ワイヤ20を締結して固定させる他の形態のブラケットを用いることも可能である。
従って、カバーを含むブラケットの場合、前記カバーの端部で本発明のフック部材50を一体で備える(延ばす)ことも可能である。
但し、ブラケットの歯列矯正装置1を対象とする本実施例では、結合ウィングを含むブラケットに基づいて説明する。
次に、図6及び図7には、このような本発明のブラケット形態の歯列矯正装置1が施術された状態を図示しているが、図6と図7は牽引ユニットの形態にのみ差異がある。
例えば、図6は牽引ユニット70を牽引ワイヤ72とバネ74とを組み合わせて構成したものを図示し、図7は弾性チェーン76を牽引ユニットとして用いたものを図示している。
図6及び図7における牽引ユニットは一例に過ぎず、必ずしもこれに限定されない。また、前記牽引ワイヤ72は針金または弾性力を有するゴムからなるワイヤ等を含むことができる。
また、図6及び図7に図示したように、施術時に矯正ワイヤ20をブラケット胴体10のスロット12に挿入し、次に、結合部材30である締結バンドを結合ウィング40に締結して矯正ワイヤ20をブラケット胴体10に固定させる。
従って、矯正ワイヤが夫々の歯に取り付けられた歯取り付けユニットであるブラケットを連係させて全体の歯列矯正を可能にする。
本発明の歯列矯正装置1における前記フック部材50は、図4及び図5に図示したように、前記ブラケット胴体10あるいはブラケット胴体10に備えられる結合ウィング40のいずれかから所定の長さで延びるバー形態で提供することができる。
次に、図8に基づいて本発明のフック部材50と牽引ユニット70との連結部分の位置、即ち、フック部材と牽引ユニットの連結点Pの位置について詳細に説明する。
即ち、図8に図示したように、本発明の歯列矯正装置1における前記フック部材50(バー形態、または図21、22のような棒形態のフック部材)は、歯Tの抵抗中心点(C.R)、即ち、矯正時に歯及び歯根が全体的に共に引っ張られる中心点に対応して、その付近まで延びた状態でフック部材50の下端部に牽引ユニット70が連結されることが好ましい。
従来、このような歯の抵抗中心点(C.R)に対する研究があった。
例えば、歯列矯正に関るジャーナルの1988、AJO(American Journal of Orthodontics)、Tanne(p337−345)、2002、AJO Schneider(p257−265)等で、歯の抵抗中心点に対して発表されたが、これらによると、歯の抵抗中心点(C.R)は、歯根T'の上端(図8のX−X線)を基準に歯根T'の全長Hの24%(図8のd1)〜45%(図8のd2)の範囲Dである。
従って、図8における歯根T'の全長をHとすると、歯Tの抵抗中心点(C.R)は、歯根の上端(X−X線)から0.24×H〜0.45×Hの範囲にある。
このとき、このような歯の抵抗中心点(C.R)が範囲を有するのは、人によって歯根T'の形態が異なり、歯槽骨に支持される程度が異なるためである。
即ち、本発明の歯列矯正装置1におけるフック部材50と牽引ユニット70との連結部分(連結点P)を前記範囲にすると、牽引ユニットによって引っ張られる力は図8におけるF2となり、これによって、歯T及び歯根T'が共に略水平に力F2で引っ張られる。
例えば、図8における歯Tが犬歯の場合、通常の歯根の長さ'H'は13〜19mmであり、平均的には16mmと知られている。従って、この場合、歯の抵抗中心点(C.R)は、歯根の上端(図8のX−X線)から(16×0.24=)3.84mm(d1)〜(16×0.45=)7.2mm(d2)の範囲'D'となる。
従って、本発明のフック部材50は、少なくとも歯根の長さが16mmの場合、前記牽引ユニット70との連結点Pが3.84mm〜7.2mmの範囲(図8の'D')内に位置することが好ましい。
しかし、前記範囲は、歯根の平均の長さに対するものであり、歯根の長さが13〜19mmであることを考慮すると、歯の抵抗中心点の範囲は3.12〜8.55mmとなる。
このとき、本発明のフック部材50と牽引ユニット70との連結部分、即ち、連結点Pが前記0.24×H〜0.45×Hの範囲から外れると、実質的に、歯と歯根が牽引方向またはその反対方向に傾いて引っ張られるという問題が発生する恐れがある。
一方、図8において、本発明の歯列矯正装置1におけるフック部材50と牽引ユニット70との連結部分が、歯の抵抗中心点(C.R)に関らず単に歯及び歯根の全長を考慮する場合、本発明のフック部材50の長さSは7〜14mm程度延びる。この場合、フック部材50と牽引ユニット70との連結部分(連結点P)は歯茎G付近にすることも好ましい。
しかし、前記フック部材50の長さSは、ブラケット胴体10の中心線C(スロット12の中心線に相当)から牽引ユニットの連結点Pまでの長さが好ましい。実質的に、このような牽引ユニットとの連結点はフック部材の下端部であろう。
このとき、図8におけるバー状態のフック部材50であるバーの延び長さSが7mmより短いか、または14mmより長い場合は、フック部材50であるバーが短過ぎるか、または長過ぎて、返って牽引方向またはその反対向に歯が偏心して引っ張られるという問題が発生する。
また、フック部材が長過ぎて14mmより長い場合は、歯茎や口腔粘膜を損傷させるか、あるいはフック部材を含む歯列矯正装置の使用を不便にするという問題が発生するため、8〜10mmが最も好ましい。
しかし、前述のように、歯の抵抗中心点(C.R)の範囲が犬歯の場合は、3.12mm〜8.55mmの範囲であり、歯取り付けユニットであるブラケット胴体10のスロット12から歯根の上端(X−X線)までの長さは、通常のブラケットが歯の中心に取り付けられることを考慮すると、4.5〜5mm程度である。
従って、前記範囲に長さを足すと、フック部材の延び長さSは、7.62(4.5mm基準)〜13.55(5mm基準)mm程度となる。
即ち、本発明の歯列矯正装置におけるフック部材50の延び長さは、牽引ユニットの連結点Pの抵抗中心点の範囲に関連すると言える。
一方、図20に図示したように、従来のブラケット200(図1のブラケット参照)とボタン形態の本発明の歯列矯正装置100とを使用して歯列を矯正する場合、ボタンのフック部材150と牽引ユニット170の連結点Pとを歯の抵抗中心点(C.R)に対応して位置させるという条件は同一であるが、フック部材150の延び長さは、前述の図8におけるブラケットのフック部材50よりも短くなる。
従って、図8及び図20に図示したように、本発明のフック部材50の延び長さ'S'は、ブラケット1またはボタン100を併用する場合、フック部材の長さが短くなることも考慮して4〜14mm程度の範囲が最も好ましい。
このとき、フック部材の延び長さが4mmより短い場合は、フック部材の延び長さがボタンの中心線(図14参照)からであることを考慮すると、短すぎて従来のような問題を発生させるために実効性がなく、14mmより長い場合は前述のようである。
一方、バネ74と牽引ワイヤ72とを牽引ユニット70とし、アンカー部材60と本発明のフック部材50であるバーの下端部の掛け溝52とを連結するが、実質的に、前記掛け溝52が牽引ユニットの連結部分、即ち、連結点Pとなる。
このとき、別途に図面に図示はしないないが、掛け溝の代わりに掛け孔を形成することも可能である。
次に、図9に図示したように、このようなフック部材50の牽引ユニットの掛け溝52(または、掛け孔)は、延ばされたバーに沿って下端を基点に複数を所定間隔で形成することも可能である。
この場合、牽引ユニットの連結ラインの微調整が可能であり、使用者(被施術者)の施術条件によって対応することを可能にする。
このとき、重要な点は、図9の複数の掛け溝52のうち少なくとも最上側の掛け溝の位置を、歯の抵抗中心点または歯が偏心して引っ張られないように少なくとも歯茎G付近にすることである。
次に、図8に基づいて本発明であるブラケット形態の歯列矯正装置1を用いた施術状態と従来のそれとを比較して説明する。
例えば、従来は、アンカー部材60からブラケット胴体10に大きく傾いた状態で牽引ユニット70が連結される(点線)。この場合、F1の方向に引っ張られるため、図3のように歯Tは傾いて偏心する。
しかし、図8のように、本発明の歯列矯正装置1における牽引ユニット70が連結されるフック部材50、即ち、ブラケット胴体または結合ウィングから下方に一体で延びたバー形態のフック部材50と、牽引ユニット70の連結部分(連結点P)が前述のように、歯の抵抗中心点(C.R)に対応して位置するか、または歯茎付近まで延びるため、実質的に歯T及び歯根T’が牽引ユニット70によって引っ張られる力はF2の方向になる。
従って、歯Tと歯根T’が共に従来とは異なって、傾くことなく牽引ユニットとアンカー部材の間の牽引ラインを基準にして、略水平に引っ張られる。
次に、図10乃至図12は、本発明によるブラケット形態の歯列矯正装置1に備えられるフック部材の幾つかの例を図示している。
例えば、図10(a)のように、フック部材50であるバーをブラケット胴体または結合ウィングから直線上に延ばすことも可能であり、図10(b)または図10(c)のように、歯軸に対応して牽引ユニットによって引っ張られる牽引方向の反対方向または牽引方向にフック部材50'を湾曲させて延ばすことも可能である。
この場合、湾曲された本発明のフック部材50'は、歯軸(歯列矯正角)を考慮し、意図的にF2またはF2'の牽引方向に調整することができ、1つの矯正装置を通じて施術方向を様々な角度に容易に調節することができるように構成する。
さらに、図11のように、本発明のフック部材は、ブラケット胴体または結合ウィングから折れ曲がって延びる略'L'字形態の折曲型のフック部材50”で提供することも可能である。
この場合、フック部材50と牽引ユニット70との連結部分(連結点P)がブラケットの垂直な中心線から外れているため、図20のようにブラケットとボタンとを併用する場合、フック部材が干渉することを避けるようにし、全体的に施術を容易にする。
次に、図12(a)及び図12(b)に図示したように、本発明の歯列矯正装置1では、フック部材を舌側(歯の方向)または唇側(歯の反対方向)に湾曲させて延ばした形態50'''で提供することも可能である。
この場合、フック部材50'''の下端と歯茎の間の間隔を調整することを可能にする。
一方、今まで説明した本発明の歯列矯正装置1に備えられる様々な形態のフック部材50、50'、50''、50'''を下方に延びる形態でのみ図示したが、ブラケットまたは以下で説明するボタン形態の歯列矯正装置を上歯に取り付ける場合は、フック部材がブラケットまたはボタンから上方に延びる。
図13は、舌側ブラケットの歯列矯正装置1'を図示している。
このような舌側ブラケットの歯列矯正装置1'は、前述の唇側ブラケットの歯列矯正装置1と類似した形態であって、ブラケット胴体10が歯の舌側に取り付けられ、結合ウィング40の内側に矯正ワイヤ20が通過して締結バインダー30である締結バンドが締結され、結合ウィングのうち下側の結合ウィングから一体で延びる前述のフック部材50が備えられ、図13には図示していない牽引ユニット(図5の70参照)がフック部材の下端部の掛け溝52に連結される。
従って、舌側ブラケット形態の歯列矯正装置1'も前述した唇側ブラケット形態の本発明の歯列矯正装置1と同様に、フック部材と牽引ユニットとの連結部分、即ち、連結点Pを歯の抵抗中心点に対応させるか、または歯茎付近に位置させて歯列矯正性を向上させる。
従って、前述の本発明の歯列矯正装置1、1'は、唇側または舌側ブラケットの全てに適用可能である。
図14乃至図19には、本発明の歯列矯正装置の他の例、即ち、ボタン形態の歯列矯正装置100がフック部材150を含む一例を図示している。
但し、図4乃至図13に図示したブラケット形態の歯列矯正装置1、1'とは異なって構成要素を100単位の図面符号で記載する。
そして、ブラケット形態の歯列矯正装置1で説明した部分は、本実施例では省略する。
先ず、図14は、本発明によるボタン形態の歯列矯正装置100の施術状態を図示している。
即ち、図14のように本発明の歯列矯正装置100であるボタンは、ボタン胴体110と前記ボタン胴体110に備えられるフック部材150とを含む。
前記フック部材150は、ボタン胴体110からバー形態に延びて牽引ユニット170の連結部分(連結点P)が歯の抵抗中心点(図8のC.R参照)に対応する少なくとも歯茎付近である。
また、前記連結点の歯の抵抗中心点の範囲やフック部材の延び長さS等も前述と同様である。
次に、図15及び図16に図示したように、ボタン形態の歯列矯正装置100の場合、前記フック部材150は、ボタン胴体110の前面中央から下方に一体で延びるバー形態で提供するか、またはボタン胴体110の下端部から一体で延びるバー形態で提供することができる。
また、フック部材150の下端部には、牽引ワイヤ172及びバネ174等が組み合わされて構成され、顎骨または歯槽骨に埋め込まれたアンカー部材160に連結される牽引ユニット170が連結される掛け溝152を設けることができる。
次に、図17乃至図19には、本発明であるボタン形態の歯列矯正装置100に備えられたフック部材150の様々な変形例を図示しており、これは前述の図10乃至図12に対応する。
例えば、図17(a)に図示したように、フック部材150をボタン胴体の中央または胴体の下から直線上に延ばすことも可能であり、図17(b)または図17(c)に図示したように、歯軸に対応して牽引ユニットで引っ張られる牽引方向の反対方向または牽引方向にフック部材150'を湾曲させて延ばすことも可能である。
また、図18に図示したように、フック部材は、ボタン胴体110の中央から折れ曲がった'L'字形態で延びる折曲型のフック部材150''で提供することも可能である。
次に、図19(a)及び図19(b)に図示したように、本発明のフック部材を舌側(例えば、歯の方向)または唇側(歯の反対方向)に湾曲させて延ばす形態150'''で提供することも可能である。
一方、図8及び図14に図示した夫々の歯列矯正装置1及び100は、その中心線C(一般に、ブラケットの場合、スロット12部分)が矯正装置が取り付けられる歯の中心線に相当する。
次に、図20は、本発明のボタン型歯列矯正装置100と従来の歯列矯正ワイヤが締結されるブラケット200(図3参照)とを組み合わせて用いる形態を図示している。
即ち、図20に図示したように、矯正ワイヤ220がスロット212に嵌められて締結バインダー230である締結バンドが結合ウィング240に締結される従来のブラケット形態の歯列矯正装置200を矯正対象歯Tに取り付け、その直ぐ下に本発明によるボタン形態の歯列矯正装置100を取り付けて、下方に延びるフック部材150の掛け溝152に牽引ユニット170を連結する。
従って、図20の場合、ブラケットと連結される矯正ワイヤで全体の歯列を矯正するが、特定の歯を牽引ユニットで引っ張って矯正する必要があるときに有用に施術できるようにする。
図20の場合も、本発明による歯列矯正装置100のフック部材150の長さは、図14乃至図19のボタンより短く形成され、少なくともフック部材と牽引ユニットとの連結部分、即ち、連結点Pが歯の抵抗中心点(C.R)付近、または歯茎付近になるようにする。
次に、図21及び図22は、フック部材の他の形態、例えば、前述のバー形態の代わりに、棒形態(針金形態も可能)のフック部材50a及び150aを備えるブラケット形態及びボタン形態の歯列矯正装置1a及び100aを図示している。
この場合、前記棒形態のフック部材は、ブラケットやボタンをセラミックや樹脂の代わりに金属で製作した場合にも用いることができる。
一方、前記棒形態(針金)のフック部材50a及び150aの下端部には、前述の掛け溝(52または152)の代わりに、その部分を折り曲げて牽引ユニット70及び170が連結された折曲端50a'及び150a'を形成することも可能である。
これにより、前述の本発明によるブラケット形態またはボタン形態の歯列矯正装置1、100、1a及び100aは、ブラケット胴体や結合ウィング、または、ボタン前面やボタン胴体の下部から一体で歯の抵抗中心点付近あるいは歯茎付近まで延びたバー形態あるいは棒形態のフック部材50、150、50a及び150aを含む。
このようなフック部材の下端部には、掛け溝、掛け孔または折曲端を形成して、アンカー部材60及び160に一端が連結された牽引ユニット70及び170が連結されている。
従って、本発明の歯列矯正装置は、矯正歯も、歯根も偏心なく引っ張って歯列矯正性を向上させ、歯列矯正期間も短縮させることができる。
このような本発明の歯列矯正装置及び矯正方法によれば、歯列矯正性を向上させて、矯正施術も容易であり、アンカー部材と牽引ユニットとの牽引ラインが歯茎付近に位置されて外部露出を減少させる。
本発明は、ここまで特定の実施例に関して図示し説明したが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神や分野から外れない限度内で本発明が多様に改良及び変化されることができるということは、当業界において通常の知識を有する者は容易に理解できる。

Claims (24)

  1. 矯正対象歯に取り付けられる歯取り付けユニットと、
    前記歯取り付けユニットに備えられ、歯列矯正のための牽引ユニットの連結部分が前記歯の抵抗中心点(C.R)付近に位置するフック部材と、
    を含んで構成された歯列矯正装置。
  2. 矯正対象歯に取り付けられる歯取り付けユニットと、
    前記歯取り付けユニットに備えられ、歯列矯正のための牽引ユニットの連結部分が少なくとも歯茎付近に位置するフック部材と、
    を含んで構成された歯列矯正装置。
  3. 矯正対象歯に取り付けられる歯取り付けユニットと、
    前記歯取り付けユニットに備えられ、歯列矯正のための牽引ユニットの連結部分が前記歯の抵抗中心点(C.R)から少なくとも歯茎付近に位置するフック部材と、
    を含んで構成された歯列矯正装置。
  4. フック部材を備える前記歯取り付けユニットは、ブラケット形態またはボタン形態で構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の歯列矯正装置。
  5. 前記歯取り付けユニットであるブラケットとボタンとが併用され、前記ブラケットと前記ボタンとのいずれかに前記フック部材が備えられることを特徴とする請求項4に記載の歯列矯正装置。
  6. 歯取り付けユニットに備えられる前記フック部材は、前記歯取り付けユニットから一体で延びたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の歯列矯正装置。
  7. 前記フック部材は、前記歯取り付けユニットから一体で延びるバー形態または棒形態で構成され前記牽引ユニットが下端部に連結されることを特徴とする請求項6に記載の歯列矯正装置。
  8. 前記歯取り付けユニットはブラケット形態で構成され、前記フック部材はブラケット胴体、または前記胴体に備えられる結合ウィングまたはカバーから一体で延びたことを特徴とする請求項6に記載の歯列矯正装置。
  9. 前記歯取り付けユニットはボタン形態で構成され、前記フック部材はボタン胴体の下部または前記ボタン胴体の前面から一体で延びたことを特徴とする請求項6に記載の歯列矯正装置。
  10. 前記フック部材とこれに連結される前記牽引ユニットの連結部分は、歯の抵抗中心点に対応して歯根の長さをHとすると、前記歯根の上端から0.24×H〜0.45×Hの範囲内に位置することを特徴とする請求項1または請求項3に記載の歯列矯正装置。
  11. 前記フック部材は、前記歯取り付けユニットから歯茎付近まで4〜14mm延びたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の歯列矯正装置。
  12. 前記フック部材の延び長さは、前記歯取り付けユニットの中央から前記フック部材の前記牽引ユニットの連結部分までの長さで構成されることを特徴とする請求項11に記載の歯列矯正装置。
  13. 前記ブラケット胴体は、矯正ワイヤが嵌められるスロットを備え、前記矯正ワイヤは前記結合ウィングに締結される結合部材により固定されるか、または前記カバーが前記スロットを覆って固定されることを特徴とする請求項8に記載の歯列矯正装置。
  14. 前記フック部材には、前記牽引ユニットが容易に連結されるよう備えられ、且つ前記牽引ユニットとの連結部分となる少なくとも1つの掛け溝、掛け孔または折曲端を含んで構成されたことを特徴とする請求項7に記載の歯列矯正装置。
  15. 前記牽引ユニットは、一端が前記フック部材に連結され、他端は顎骨や歯槽骨に埋め込まれたアンカー部材に連結されて前記歯を引っ張るように構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の歯列矯正装置。
  16. 前記牽引ユニットは牽引ワイヤ、バネ、弾性チェーンのいずれか、またはこれらの組み合わせで構成されたことを特徴とする請求項15に記載の歯列矯正装置。
  17. 前記フック部材は、ブラケット形態またはボタン形態の前記歯取り付けユニットから矯正歯の位置に対応して上方または下方に直線または折れ曲がって延びたことを特徴とする請求項6に記載の歯列矯正装置。
  18. 前記フック部材は、歯軸に対応して牽引ユニットで引っ張られる牽引方向またはその反対向に湾曲して延びたことを特徴とする請求項17に記載の歯列矯正装置。
  19. 前記フック部材は、歯茎との間隔を調整することができるように唇側または舌側に湾曲または折れ曲がって延びたことを特徴とする請求項17に記載の歯列矯正装置。
  20. 矯正対象歯に単独または併用して取り付けられる歯列矯正装置のブラケットまたはボタンに備えられたフック部材と、アンカー部材に連結されて歯を引っ張る牽引ユニットとの連結部分を歯の抵抗中心点(C.R)付近、または少なくとも歯茎付近にし、歯が偏心して引っ張られることを防ぐ歯列矯正方法。
  21. 前記フック部材とこれに連結される前記牽引ユニットとの前記連結部分を、歯根の長さをHとすると、前記歯の抵抗中心点に対応して歯根の上部から0.24×H〜0.45×Hの範囲内に位置させることを特徴とする請求項20に記載の歯列矯正方法。
  22. 前記フック部材は、前記歯取り付けユニットである前記ブラケットまたは前記ボタンから歯茎付近まで4〜14mm延びて、その下端部に前記牽引ユニットが連結されることを特徴とする請求項20に記載の歯列矯正方法。
  23. 前記フック部材を歯取り付けユニットである前記ブラケットまたは前記ボタンから直線または折れ曲がった形態で一体で延びたバー形態または棒形態で構成し、前記牽引ユニットをその下端部に連結することを特徴とする請求項20に記載の歯列矯正方法。
  24. 前記直線または折れ曲がって延びたフック部材の棒形態またはバー形態を、歯軸や前記フック部材と歯茎との間隔を考慮し、湾曲または折り曲げて用いることを特徴とする請求項23に記載の歯列矯正方法。
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