JPH0380021B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0380021B2
JPH0380021B2 JP6835885A JP6835885A JPH0380021B2 JP H0380021 B2 JPH0380021 B2 JP H0380021B2 JP 6835885 A JP6835885 A JP 6835885A JP 6835885 A JP6835885 A JP 6835885A JP H0380021 B2 JPH0380021 B2 JP H0380021B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bracket
wire
arcuate
groove
lingual
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP6835885A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS61226034A (ja
Inventor
Deii Kuriikumoa Toomasu
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP60068358A priority Critical patent/JPS61226034A/ja
Publication of JPS61226034A publication Critical patent/JPS61226034A/ja
Publication of JPH0380021B2 publication Critical patent/JPH0380021B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はエツジワイズ治療のために歯の舌側
に取り付ける歯列矯正用のブラケツトとその使用
方法に関する。このブラケツトは歯列矯正医が使
用して、患者の歯を動かして正しく位置決めする
器具である。特に、この発明は歯列矯正用の特殊
なブラケツトおよびその使用方法を提供するもの
である。この使用方法によれば、矯正装置は歯の
唇側および頬側の面に取り付けられないため、治
療期間中でも装置は外から見えない。さらに、こ
の発明は、エツジワイズ法の弓形ワイヤを各ブラ
ケツトに係着して、患者の歯の舌側の面に直接力
を付与して、不正歯を所定量だけ動かすためのブ
ラケツトを提供するものである。
この発明はトーマス・デイー・クリークモアが
1982年4月19日に出願した「エツジワイズ法に使
用される舌側歯列矯正システム」という名称の米
国特許出願第06/369932号に関するものである。
従来の技術 歯列矯正方法と呼ばれるものは多種類あるけれ
ども、現在、アメリカの歯列矯正医の多くは、2
つの基本的な治療方法のいずれかを使用してい
る。この2つの基本的な方法はライトワイヤ
(lightwire)法とエツジワイズ(edgewise)法で
ある。ライトワイヤ装置を最初に開発したのはオ
ーストラリアの歯列矯正医アール・ピー・ベツグ
(R.P.Begg)であるが、彼はここでデイフアレン
シヤルフオースコントロールという概念を取り入
れている。歯の動作のうちある種の動作は他のも
のに比べて歯茎等の抵抗が顕著であり、また、あ
る種の動作は他のものに比べて迅速に起ることを
考慮して、ベツクは次のように考えた。すなわ
ち、各歯に必要な動作を適正に選択し、かつ相互
の反動を適当に関連させれば、歯をきちんと整列
させうるということである。ベツグのライトワイ
ヤ法には多くの特徴がある。ブラケツトは患者の
第1臼歯を含むすべての歯の前面にそれぞれ取り
付けられる。歯列矯正用のワイヤは歯列に沿つて
弓形に形成され、その断面は丸く、ほぼ水平に取
り付けられる。この弓形ワイヤは各ブラケツトに
緩挿され、固定されていない。ベツグの開発した
ブラケツトは弓形ワイヤに対して一点で接触して
いるため、摩擦が少なく、歯はワイヤに対して自
在にスライド可能で、矯正のために回転され、傾
斜され、かつねじられる。しかしこの回転、傾
斜、ねじりは補助具によつて行なわれるものであ
つて、後述するエツジワイズ法の場合のように、
弓形ワイヤとブラケツトとの整合による力の伝達
によつて行なわれるものではない。なお、弓形ワ
イヤに対して固定具は使用されない。引き抜き位
置の前後の歯を選択的に利用し、かつあご骨の弾
力性を活用することによつて相互の固定が行なわ
れる。現在では、ライトワイヤ装置は様々に変形
されているけれども、歯の動作および固定を制御
する理論において複雑な概念が使用されているこ
とに変わりはない。標準的なライトワイヤ治療に
おいては、特別な引張り作用(抜歯を伴う場合も
ある)は使用されておらず、従来のエツジワイズ
治療の場合以上に補助具が使用されている。
これに対して、アメリカで最も広く利用されて
いる歯列矯正治療法は、エドワード・エイチ・ア
ングル博士(Dr.Edwars H.Angle)によつて開
発されたエツジワイズ法である。この発明はこの
エツジワイズ法に主として利用されるものである
が、マルチフエーズ法、ツインワイヤ法等の歯列
矯正法にも適用できる。エツジワイズ法による治
療の初期の段階においては、断面円形の弓形ワイ
ヤが使用されている。断面円形の弓形ワイヤは可
撓性に優れているため、比較的小さい力で矯正が
できるときに、不整位置の歯を広範囲にわたつて
動かすことができる。歯を動かすためにさらに力
を要するエツジワイズ法の第2期および終期にお
いては、断面長方形の弓形ワイヤをブラケツトの
同形のワイヤ溝に嵌合し、さらに複数のバンドに
よつてこれを固定できる多帯精密器
(multibanded precision appliance)がブラケツ
トとして使用される。なお、このワイヤの断面が
長方形においては、溝の深さに対応する辺が溝の
幅に対応する辺よりも長く設定されている。この
弓形ワイヤは金属製の固定ワイヤまたは固定用弾
性バンド等の機械的保持部材によつて、ブラケツ
トに水平に形成されたワイヤ溝内に正しく整合
(fit)された後、縛着して固定される。なお、こ
のブラケツトは通常、小臼歯、時には大臼歯をも
含むすべての永久歯の内面に取り付けられる。歯
列に沿う弓形ワイヤの両端部は断面長方形の通路
を有するチユーブ型ブラケツトに挿通される。弓
形ワイヤはステンレス鋼や貴金属で形成され、通
常そのエツジ(短い方の端縁)が歯面に向けて配
向される。そのため、この方法はエツジワイズ法
と呼ばれる。このエツジワイズ法は個々の歯をあ
らゆる方向すなわち3次元的方向に動かすように
制御が可能であり、個々の歯を望ましい矯正方向
に動かすことができる。例えば、門歯は弓形ワイ
ヤの1回の調整でその長軸の回りに回転動され、
すなわち向きを変えられかつ舌側に傾けたり、や
や引き抜く方向に動かされる。弓形ワイヤは断面
長方形に形成されているので、円形断面と異なり
所望の範囲にわたつて歯にねじりを加えることが
できる。また、この弓形ワイヤはバネ性を有して
いるため、この復元力を通してねじり力が歯に伝
えられる。すなわち、弓形ワイヤのねじれがその
バネ作用によつて元の形状に戻るときに、歯に対
して回転力が付与される。ブラケツトのワイヤ溝
は精密加工により長方形断面に形成されており、
歯列矯正医は精密に同寸法に形成された弓形ワイ
ヤを選択して、両者を正確に整合させることがで
きる。ブラケツトのワイヤ溝と弓形ワイヤとの整
合によつて、歯に対して傾倒、ねじりおよび回転
力が伝えられる。弓形ワイヤに対して特定の固定
具は使用してもしなくてもよい。引き抜き位置の
前後の歯を選択的に利用してあご骨と相互作用さ
せること、あるいは固定ワイヤをループ状にする
ことによつて相互固定が可能である。この発明は
専ら歯の舌側の面にブラケツトを取り付けるエツ
ジワイズ法に係り、そのためのブラケツトと使用
方法に関する。そして、このブラケツトでは単一
の固定翼もしくは1対の固定翼を有するか弓形ワ
イヤの固定のためにチユーブ状通路を有する。
上記のように、従来のエツジワイズ法による治
療は歯の唇側および頬側に配設された弓形ワイヤ
によつて行なわれている。この弓形ワイヤは患者
の歯の外側の面に取り付けられたブラケツトに形
成されたワイヤ溝に装着されている。歯列矯正装
置を歯の唇側および頬側の面に取り付けると、歯
の外観が悪くなるため、患者の精神衛生上好まし
くない結果を招く。そこで、この装置の外観をよ
くするためには、メーカーは歯に捲着する金属バ
ンドを廃止して、歯のエナメル質に直接接合でき
るブラケツトを開発した。それでも、患者の歯の
唇側および頬側の面には依然としてブラケツトお
よび弓形ワイヤが存在するため、患者の歯の外観
はあまりよくなつてはいない。さらに、歯の唇側
および頬側の面にブラケツト等を配設することに
よつて、唇や頬の組織が傷つけられることがあ
る。また、ブラケツトが歯と唇または頬との間に
存在すると、筋肉が悪影響を受けて発音障害をき
たす。患者の歯は金属バンドに隣接した部分もし
くは金属バンドに覆われた部分において、カルシ
ウムが減少する作用を受けたり永久変色する場合
もある。多くの場合、歯列矯正装置を使用するこ
とによつて口腔内が不潔になり、歯面に虫歯も発
生する。そうすると、装置を歯から取りはずした
ときに、歯は正しく咬合するように矯正されてい
ても、前記の金属バンド部における歯のエナメル
質の変色、割れといつた別の要因で歯の外観が損
われることになる。これに反して歯の舌側に面す
る面に装置を取り付ければ、歯の唇側の面は清浄
に保たれ、口腔内が傷つきにくい。したがつて、
この考えをエツジワイズ法に適用して、患者の歯
の唇側の面に矯正装置を取り付けずに、この面を
清浄にしておくとともに、治療期間中においても
装置が外から見えないようにすることが望まし
い。したがつて、歯の舌側の面に配設して使用さ
れる歯列矯正用のブラケツトの開発が嘱望されて
いる。
ここで主として従来のシングルブラケツトおよ
びツインブラケツトについて説明する。
エツジワイズ法に使用されるシングルブラケツ
トは、その比較的短い全長に亘つて弓形ワイヤを
嵌合させるための断面長方形のワイヤ溝を有する
本体より成る。ワイヤ溝の幅方向両側において、
1対の固定翼か本体から延びている。これらの固
定翼とワイヤ溝は、このブラケツトが取り付けら
れる歯の表面の幅方向中央部に位置されることに
なる。固定用の金属ワイヤもしくは弾性バンドは
両固定翼上でループ状にされ、弓形ワイヤ上を横
切り、この弓形ワイヤをワイヤ溝内に固定するも
のである。
シングルブラケツトは歯に対して最も効率よく
傾倒力およびねじり力を付与しうるものである
が、回転コントロールについて劣つている。初期
においては、回転コントロールは歯に取り付けら
れたバンドの中心線上もしくは端部に小孔を溶接
あるいははんだ付けによつて形成することによつ
て行なわれていた。矯正医はその小孔を弓形ワイ
ヤに固定して、その面を弓形ワイヤに一層近づく
ように引張つて、歯をブラケツトの回りに回転さ
せるのである。この方法は作業性が悪いとともに
効率の悪い回転コントロール法である。
シングルブラケツトの中央部には、歯の中心線
上を末端方向に突出する可撓性の回転レバーが取
り付けられる。このように、回転される歯はブラ
ケツトよりも顔面側に突出する回転翼を有する。
弓形ワイヤはこの回転翼に接触し、このワイヤが
ブラケツトに固定されることによつて、歯はブラ
ケツトの回りに回転される。回転レバーの突出程
度はある程度調節できる。したがつて、矯正医は
弓形ワイヤよりもむしろ回転レバーを調節するこ
とによつて、歯に対して所望の回転量を設定する
ことができる。
回転レバーの欠点は、治療の初期の段階で明白
である。当初歯が大きく傾斜および回転している
ならば、弓形ワイヤは回転レバーと接触しないで
あろう。また、弓形ワイヤが固定された状態にお
いて、弓形ワイヤが回転レバーに打ち当るように
調節されていなければ、弓形ワイヤによるどのよ
うな歯の動作も起らないであろう。このように、
初期における弓形ワイヤのブラケツトへの挿着は
効率が悪く、その固定には熟練を要する。
シングルブラケツトのもつ回転効率の悪さを軽
減させるために、シングルブラケツトを2個用い
る方法が導入された。この方法は歯の中央部に1
つのブラケツトを設ける代わりに、歯の横方向両
端に2つのブラケツトを設けるものである。した
がつて、各ブラケツトに弓形ワイヤが固定される
と、歯の表面と弓形ワイヤとが方向を一致するよ
うに歯が回転力を受ける。
歯列矯正において歯を回転させる際の原則の1
つに、回転された歯が後刻少し逆戻りするのを補
償するため、予め少し過度に回転しておくことが
行なわれる。この過度の矯正は特に回転される歯
に必要とされる。しかし前記のようにブラケツト
を2個用いるいわゆるツインブラケツト法には過
度回転(over−rotation)能力はない。ツインブ
ラケツト法において、過度回転を行なうために
は、弓形ワイヤを湾曲させる必要があり、さら
に、ブラケツトの中央部もしくは末端部を押して
弓形ワイヤから離すために補助部材も必要とな
る。また、回転レバーを備えていないシングルブ
ラケツトは、過度回転コントロール能力を備えて
いない。なお、この過度回転コントロール能力に
ついては後に詳述する。
シングルブラケツトの重要な利点の1つは、隣
接する歯に設けたブラケツト間にある弓形ワイヤ
の有効長さが長いことに起因する利点である。こ
の長さは「ブラケツト間距離(interbracket
width)」と呼ばれるものである。隣接する歯に
設ける各ブラケツトの取り付け位置はそれぞれの
歯のほぼ中央であるので、その間の弓形ワイヤの
長さ、すなわちブラケツト間距離は、隣接するそ
れぞれの歯の中央部付近の点の間の距離に相当す
る。シングルブラケツトの場合、その間にある弓
形ワイヤのスパンが長いことによつて、歯に対し
ては比較的弱い力が加えられる。しかしこの力が
加えられる期間は、ブラケツト間距離が制限さ
れ、その間の弓形ワイヤのスパンが短い場合に比
べて長期間にわたる。この長いスパンの弓形ワイ
ヤは永久変形を起すことなく十分にねじられる。
逆にブラケツト間の弓形ワイヤの長さが制限され
る従来のツインブラケツトが各歯に使用された場
合には、弓形ワイヤのねじりもしくはたわみが最
も小さい状態で、歯に対して大きい力が加えられ
る。このようにして、歯が所定の範囲内で動かさ
れた後、ブラケツト間距離の短い弓形ワイヤによ
つて生じた力は迅速に消失するため、効果的に歯
を動かすための最適な力を維持するためには、頻
繁に調節をする必要がある。矯正装置を頻繁に調
節するためには、当然のことながら、患者はその
ために通院を余儀なくされ、患者にとつては全く
不都合である。また、このように頻繁に調節をす
るためには、必然的に矯正施設における治療時間
が長くなり、その結果、患者の負担する治療費が
かさむだけでなく、一部の歯列矯正医にとつては
営業上の不都合を招く。このような理由から患者
の通院回数が少なくて済むとともに治療時間が短
くて済み、患者にも医者にも好都合な治療方法が
望まれていた。
エツジワイズ法のために、ツインブラケツトが
かなりの期間にわたつて使用されている。ツイン
ブラケツトはブラケツト本体に形成された1対の
離間した突起を有しており、この各突起が弓形ワ
イヤ装着用のワイヤ溝を形成する。このやや離間
したワイヤ溝が協働して、ブラケツトのほぼ全長
に相当する効果をもつワイヤ溝を一直線上に形成
する。また各突起にはブラケツトの幅方向両側に
固定翼が形成されている。これらの固定翼はブラ
ケツトの長手方向両端まで達している。矯正すべ
き歯の中央部にブラケツトのベースを設定する
と、固定翼は歯の両側に対をなして配設されるた
め、有効な回転コントロールを有するブラケツト
が形成される。そして、選ばれた固定翼と弓形ワ
イヤとの間に固定ワイヤもしくは弾性バンドを使
用すれば、有効な回転コントロールのために必要
な力のモーメントが得られる。しかし従来のツイ
ンブラケツトの使用における欠点の1つは、ワイ
ヤ溝および固定翼がブラケツトの長手方向両端部
に設けられるため、ブラケツト間距離が短くなる
点である。このように、ブラケツト間距離が短く
なると、エツジワイズ法においては、歯を効果的
に動作させるための最適範囲の力を保持するため
に、装置を頻繁に調節する必要があり、通常、患
者の通院回数が増加するとともに治療時間も長く
なるという不都合を生じる。したがつて、シング
ルブラケツト使用時と同等のブラケツト間距離を
有するツインブラケツト、すなわちシングルブラ
ケツトの特徴とツインブラケツトの特徴を兼備し
たブラケツトが必要となる。
ツインブラケツトにおけるその他の欠点として
は、隣接するブラケツトの固定翼間の間隔が短い
ため、歯の間に弾性バンドまたは固定ワイヤのた
めの十分な空間が得られないことがあげられる。
したがつて、ツインブラケツトの利点を損うこと
なく、しかも、隣接するブラケツトの固定翼間に
十分な空間を有し、エツジワイズ法における弓形
ワイヤに対して固定ワイヤの使用が容易なブラケ
ツトとそのシステムの開発が望まれる。
発明が解決しようとする課題 本発明の主たる目的は歯の舌側部分においてエ
ツジワイズ法歯列矯正治療に利用できる新規な舌
側歯列矯正ブラケツトの提供にある。
本発明のもう一つの目的は患者の歯に有効な回
転制御力を加えることができる構造を備えた新規
な舌側歯列矯正ブラケツトの提供にある。
本発明のさらにもう一つの目的は患者の歯の唇
側及び頬側の面に歯列矯正器具が入らないように
して顔の筋肉と歯とが何者にも邪魔されずに正常
の関係を保ちうるようにし、歯列矯正治療中にお
ける患者の口部に良好な外観を与えることができ
る一連の舌側歯列矯正ブラケツトの使用方法の提
供にある。
本発明の数ある目的の中で特に企図されている
のはエツジワイズ弓形ワイヤを歯の咬合側から挿
入して前歯、小臼歯及び大臼歯用の様々な歯列矯
正ブラケツトの弓形ワイヤ溝内に少なくとも両側
面密接状態で取付けることができる新規な舌側歯
列矯正ブラケツトの提供にある。
本発明のさらにもう一つの目的は弓形ワイヤの
端部を初め歯の咬合側から中心に向けて斜めに挿
入が可能なチユーブ状の弓形ワイヤ溝を有して協
同する弓形ワイヤの端部を係止し、かつ歯列矯正
器具システムの他のブラケツトの精密な弓形ワイ
ヤ溝内への歯の咬合側からの装着も妨げることの
ないよう設計されたチユーブ型舌側歯列矯正ブラ
ケツトの提供にある。
本発明のもう一つの目的はツイン固定翼を備え
て回転及び傾斜制御を有効に行なえ、かつブラケ
ツト間距離を有効に保つてエツジワイズ法により
効率的なねじり動を与え得る新規な舌側歯列矯正
ブラケツトの提供にある。
本発明のさらに付加すべき目的は治療の原理に
従つて形成された少なくとも一つの弓形ワイヤ溝
中央の支点部と、この支点部からブラケツトの長
手方向両端にまで達する弓形ワイヤに対する解放
面を備え、かつ固定翼に関してはシングルもしく
はツイン形態をとることができ歯列矯正医が回転
及び過回転制御、ねじり及び傾斜制御等様々な必
要に応じて任意に利用できるように構成可能な新
規な舌側歯列矯正ブラケツトの提供にある。
本発明のさらにもう一つの目的は整合弓形ワイ
ヤ溝内に歯の咬合側から装着された弓形ワイヤを
固定するために保持ピンを有し、特に歯の舌側に
おいて弓形ワイヤの保持を容易にした新規な舌側
歯列矯正ブラケツトの提供にある。
課題を解決するための手段と作用 本発明の舌側歯列矯正ブラケツトは歯の舌側の
面に固定されるベースを有している。このベース
は歯のまわりに配置されたバンド等の固定具に取
付けられて位置固定されるか、或いは歯の面に直
接接合される。通常、ベースと一体のブラケツト
本体はブラケツトを固定すべき歯の治療目的、す
なわち矯正力の加え方法に応じて本発明の精神及
び範囲内で様々な形態のうちいずれかの形態で形
成される。舌側に設けてエツジワイズ治療を施す
本発明のブラケツトにおいては、その弓形ワイヤ
溝は弓形ワイヤを歯の咬合側から挿入すべく方向
付けられている。歯列末端すなわち奥の歯の舌側
取付ブラケツトはチユーブとしての機能を保ちう
るよう設計されているが、弓形ワイヤ端部は初め
このチユーブ状弓形ワイヤ溝に歯の咬合側から歯
の中心に向かう方向にて挿入され、次いでチユー
ブを貫通してほぼ水平に係止される。弓形ワイヤ
の中間湾曲部はチユーブ型でない他のブラケツト
の各弓形ワイヤ溝にそれぞれ歯の咬合側から挿入
可能となつている。
効率的な歯の回動を行なうため、本発明の舌側
ブラケツトはツインブラケツト構造とされてお
り、このブラケツトは本体の幅方向両側に固定翼
を有し、本体中央長手方向に弓形ワイヤ溝を形成
している。弓形ワイヤ溝は弓形ワイヤの両側面に
接触する支点部材の間に形成され、そのブラケツ
ト本体長手方向の両側に弓形ワイヤの幅より広い
解放部を本体の長手方向両端に至るまで形成して
いる。この構成によつて隣り合うブラケツト間に
最大の弓形ワイヤスパン長を保つためシングルブ
ラケツトにより通常提供されるような最大ブラケ
ツト間距離が得られる。
上記の支点部材及び解放部を有する舌側ブラケ
ツトはまた患者の特定な歯に応じて、所望により
シングル固定翼タイプにも適用できる。またこれ
らのブラケツトはシングル型、ツイン型に関係な
く、歯の咬合部側に開いた弓形ワイヤ溝を有して
いるが、弓形ワイヤワイヤ溝の開いた方向は、ブ
ラケツトベースに平行でもよく、あるいは斜めに
傾いていてもよい。このようなブラケツトは弓形
ワイヤ溝の片側の適当な位置に保持部を設け、こ
の保持部に挿通された保持ピンによつて弓形ワイ
ヤをワイヤ溝内に係止してもよい。このピンによ
る係止は、小さい歯やせまい場所に対して用い易
い。
次に本発明においては、弓形ワイヤの端部を係
止するため、主として臼歯の舌側面に装着される
チユーブ型歯列矯正ブラケツトを提供する。この
型のブラケツトにおいて、ブラケツト本体は歯の
咬合側に向かう開口部を有しかつ少なくとも一部
が周囲が閉じたチユーブ状の通路を形成する弓形
ワイヤ溝をブラケツト本体の長手方向に有し、該
弓形ワイヤ溝は、歯の咬合側に向かう開口部を通
じて弓形ワイヤ溝の長手方向に対し斜めに挿通さ
れた弓形ワイヤを、弓形ワイヤ溝の長手方向に向
けて回動可能となつており、かつ弓形ワイヤが弓
形ワイヤ溝の長手方向に向いた状態において、弓
形ワイヤをほぼその周面で保持可能となしてい
る。
なお本発明のブラケツトを利用してエツジワイ
ズ歯列矯正治療を行なうための方法としては、弓
形ワイヤに嵌着する弓形ワイヤ溝を少なくとも咬
合側へ向けて開口したブラケツトを前歯と小臼歯
の舌側面に固定するべく配列し、少なくとも一部
がチユーブ状の通路を形成しかつ歯の咬合側から
弓形ワイヤを挿入可能な開口部を本体の長手方向
に有するブラケツトを大臼歯の舌側面に固定する
べく配列し、かつ歯列の内側に沿う弓形ワイヤを
各ブラケツトに装着するとともに、弓形ワイヤの
両端部を前記チユーブ状通路に係止する方法が有
る。
実施例 次にこの発明の実施例を図面に従つて説明す
る。
第1図にはエツジワイズ法に従つて舌側、すな
わち歯の裏側に、歯列矯正ブラケツト及び弓形ワ
イヤを取りつけた歯列矯正治療中の患者の上顎及
び下顎アーチ状部の舌側部分が部分的に図示され
ている。第1図に示したように、ブラケツトを適
用する歯の状態に応じて、舌側矯正システムの
種々のブラケツトが様々な構成で用いられてい
る。例えば、第1図の左側部分の名門歯14及び
16に取りつけたブラケツト10及び12はそれ
ぞれ図で示したような側面形状を有している。ま
た、例えば小臼歯18,20用の舌側ブラケツト
には一般に22及び24で示したような歯の幅方
向に長いツインブラケツトの形状が与えられる。
上顎及び下顎の各奥の大臼歯30及び32には、
例えば26及び28で示したようなチユーブ状の
ブラケツトが適用され、それぞれ弓形ワイヤ33
及び35の端部を受け入れる。これら舌側に用い
るチユーブブラケツト26,28において、弓形
ワイヤの端部は場の咬合側から歯のほぼ中心を通
る方向で、咬合側に開口した弓形ワイヤ溝に挿入
される。このチユーブ状のゆみがた弓形ワイヤ溝
は弓形ワイヤの端部を確実に係着する。歯列矯正
用の他のブラケツトの弓形ワイヤ溝への弓形ワイ
ヤの各咬合側からの装着はこれによつて何ら妨げ
られない。第1図に示した様々な舌側歯列矯正用
ブラケツトを以下第2図〜第11図において説明
する。
第2図は第1図に代表的に10,12で示した
ブラケツトのような門歯14,16の矯正に適し
たブラケツト34が示してある。このブラケツト
34はツイン型矯正ブラケツトとして構成されて
おり、例えば金属鋳造により一体構造で形成され
たブラケツト本体36を有している。ブラケツト
本体36は結合ベース38を有しており、この結
合ベース38は一般に金属製であつて、患者の歯
の舌側エナメル面に結合(接着)される。結合ベ
ース38は結合プロセスに適したいかなる形状で
あつてもよく、ブラケツト本体36と一体で形成
し、或いはブラケツト本体36に溶接もしくはそ
の他の適当な取付工法で取付けてもよい。
ブラケツト本体は幅方向の突出端縁にベース側
へ曲がつた2対の固定翼40,42,44,46
を有しており、これらの固定翼に固定ワイヤ、固
定用弾性部材等を結着することによつて、弓形ワ
イヤのブラケツトへの固定或いは弓形ワイヤとブ
ラケツトの間に結合力を加えることが可能となつ
ている。
エツジワイズ法のための舌側歯列矯正ブラケツ
トとしては、過回転能力(従来技術で説明したよ
うに、歯の所定の矯正位置を越えて回転させる能
力をいう)を有するツインブラケツト構造を基本
的な形態として備えるのが望ましい。本発明によ
る歯列矯正用のブラケツト34はその本体36に
中間突起52とこれに対面する中間支持セクシヨ
ン50を有している。この中間支持セクシヨン5
0は中間突起52に形成された曲面状支持面56
に対して間隔を置いて配置された中間支持稜54
を有している。この支持稜54と曲面状支持面5
6とはエツジワイズ法で用いる弓形ワイヤ33,
35(第1図参照)を密接関係で受入れる精密な
弓形ワイヤ溝を共同で形成しており、弓形ワイヤ
は支点稜54と曲面状支持面56とに線接触状態
となり、弓形ワイヤはこれらとの当接点を支点と
して回動可能である。歯列矯正の仕上げ段階で用
いられる弓形ワイヤは断面が矩形を成しているけ
れども、歯列矯正治療の初期段階において歯の運
動を行なわせるための弓形ワイヤは円形断面であ
る。これは比較的弱い力で歯が動くことと、円形
ワイヤはすべての方向に曲げ易いからである。弓
形ワイヤ溝は底壁すなわち底面58を有し、この
底面58は平面60及び62に連続し、歯の咬合
部側に向いている。これらの平面60及び62は
実際上の弓形ワイヤ溝の底面58とともに、単一
平面を形成している。しかしながら、平面60及
び62は弓形ワイヤ溝の底面58に対して長手方
向端部に向かつて下がる勾配面であつてもよく、
この場合には弓形ワイヤに干渉しない。
つまり、中間支持セクシヨン50は弓形ワイヤ
から矯正力を受けてブラケツト及び歯を回転させ
るために設けられている。ブラケツトにこのよう
な回転能力を与えるためには、ブラケツトの構造
により弓形ワイヤが支持セクシヨン50のいずれ
かの側で解放されることが必要である。このよう
な目的を達成するため、ブラケツト本体36には
弓形ワイヤ溝の支持稜54に対して後退位置に配
置された曲面凹状の解放面64,66が形成され
ている。これらの解放面64,66は弓形ワイヤ
に対し接触することのない十分な解放状態に保た
れ、弓形ワイヤがブラケツトに対して十分な作動
力を伝えるために弓形ワイヤ溝の中心線に対しあ
る程度傾いた状態下であつてさえも解放面64,
66は弓形ワイヤと接触しないようにするのが望
ましい。弓形ワイヤは解放面64,66と接触し
ないようにするのが好ましいけれども、歯列矯正
処置の初期段階の間、特に不正咬合が著しい場合
においては、弓形ワイヤは弓形ワイヤ解放面6
4,66により形成された外側端縁65,67の
いずれか一方と接触する程度に十分に屈曲される
ことが要求される。このため、必然的にブラケツ
ト間距離すなわち弓形ワイヤの接触点間の距離は
一時的に短くなるが、不正咬合歯が治療によつて
動き始めるやいなや、ブラケツトの外側端縁65
もしくは67は弓形ワイヤとの接触から外れてゆ
く。このような現象が生ずるとブラケツト間距離
は再び最大となつて、その状態から隣接する歯の
ブラケツトの支持セクシヨンの間の大きなブラケ
ツト間距離に応じて引続き歯の矯正動がさらに生
ずる。つまり、弓形ワイヤは一旦ブラケツトの固
定翼対のいずれか一方に対し固定された状態とな
つて、弓形ワイヤがその正常の形態に復帰するに
伴い弓形ワイヤによつて、ブラケツトを通じて歯
に対し回転力が加えられる。次いで、ブラケツト
の中間支持稜54と固定翼40,44における弓
形ワイヤ解放面64,66は協働して、従来のツ
イン型歯列矯正ブラケツトよりも大きなブラケツ
ト間距離を提供する。事実、第2図に示したブラ
ケツト構造の弓形ワイヤ溝が従来のシングル型歯
列矯正ブラケツトの弓形ワイヤ溝と同一もしくは
より小さな長さを有するものと仮定した場合、第
2図に示したツイン舌側ブラケツトにより提供さ
れるブラケツト間距離は、従来のシングル歯列矯
正ブラケツトを隣接させた場合におけるブラケツ
ト間距離よりも少なくとも大きな距離となる。以
上のように、隣接するシングル歯列矯正ブラケツ
ト間に存在する弓形ワイヤのスパン長によつて、
従来の構成の隣接するツインブラケツトの場合に
典型的に見られるように、ブラケツト間距離が制
限され、かつ弓形ワイヤのスパンが短い場合と比
較して、より長期間にわたり比較的弱い力を加え
ることができる。第2図に示したツインブラケツ
ト34に中間支持セクシヨン50と、固定翼間の
解放面64,66を設けたことによつて、隣接す
るブラケツトの支持セクシヨン50間に張架され
た弓形ワイヤのスパンはエツジワイズ法歯列矯正
治療において十分な長さとなる。弓形ワイヤのス
パンが長いことから、弓形ワイヤは弓形ワイヤを
形成する金属の永久的な降伏或いは変形を生ずる
ことなく、なお一層のねじりを受けることができ
る。この中間支持型ブラケツトにおいては、弓形
ワイヤは、その弾性によつて通常の形状に復元す
る際、歯列矯正器具の調節を必要とすることな
く、従来のツイン型ブラケツトと比較して、長期
間にわたり、歯にその矯正動をもたらすための力
を加えることができる。このような特徴により、
歯列矯正器具の調節頻度が少なくなり、治療時間
と歯列矯正治療期間中に必要とされる受診頻度が
著しく減少する。
中間支持稜54と支持面56とにより形成され
る中間支点部は弓形ワイヤ解放面64,66とと
もに、効率的な過回転制御を提供し、このため、
歯列矯正医は歯をその最終矯正位置まで迅速に移
動させることができ、歯を効率的に移動させて適
正に咬合させる為の所用処置時間を最小とするこ
とができる。
第3図は第2図と同様なブラケツトを一部変形
した部分斜視図であり、同図において、弓形ワイ
ヤ解放部は中央の中間支持稜84から分かれた傾
斜平面状の弓形ワイヤ解放面80及び82により
形成されている。第3図に示すブラケツト70は
本体72を有しており、こ本体72は第2図のも
のと同様なツイン固定翼部を有し、また、底面7
8及び支持稜84と曲面状支持面76とにより弓
形ワイヤ溝を形成している。支持稜84から延出
する一対の傾斜平面状の弓形ワイヤ解放面80及
び82によつて、過回転制御とともにブラケツト
間隔を最大とすることができる。支持稜84は曲
面状支持面76と協同して弓形ワイヤの各側面に
対して線接触を行う。このような平行線接触部は
嵌着された弓形ワイヤからブラケツトを通じて歯
に作動力を伝える対向ラインを形成し、また先の
実施例と同様最大長のブラケツト間距離がもたら
される。隣接するブラケツト間のいかなる弓形ワ
イヤの屈曲もしくはねじりも、支持稜84との線
接触及び曲面状の支持面76との線接触部から伝
えられる。第3図に示したこのような歯列矯正ブ
ラケツトの機能は第2図に関連して既に説明した
のと本質的に同様である。
寸法的にツイン固定翼が使用しにくい場合には
シングル型歯列矯正ブラケツトを用られ、これも
歯の舌側に取付けられる。このような場合、ブラ
ケツト構造は第4図に示したような形態とするの
が都合良く、同図においてシングル舌側歯列矯正
ブラケツトは88で示されている。歯列矯正ブラ
ケツト88は本体90を有しており、この本体9
0には歯列矯正治療中に患者の歯の舌側面にブラ
ケツトを結合するための結合ベース92が連結式
もしくは一体状に形成されている。
本体90は一対の相対する固定翼94及び96
を有して形成されており、これらの固定翼94,
96に固定ワイヤ、固定用弾性体、その他の適当
な固定部材を結着することによつて、ブラケツト
に弓形ワイヤを固定することが可能となつてい
る。本体90はまた一対の曲面状解放面95及び
97を有して形成されており、これらの解放面は
外側端縁99及び100に向けて延出し、中央の
支持稜98の両側に配設されている。ブラケツト
本体にはまた平面101が形成されており、この
平面は弓形ワイヤ溝の底壁を構成している。突起
102は支持稜98に相対して本体から突出して
おり、曲面状の支持面103を形成している。ま
たこの突起102は相対する固定翼94と96と
の間に位置しており、これら1対の固定翼およ
び/または中間突起102のまわりに固定ワイヤ
あるいは弾性バンドが輪状に巻かれて、弓形ワイ
ヤは突起102に近い位置でブラケツト本体に固
定される。突起102はブラケツト本体90と一
体に形成されており、相対する支持稜98に対し
て平行な曲面状の支持面103を提供している。
相対する支持稜98と曲面状の支持面103とは
協同してその間に精密な弓形ワイヤ溝104を形
成しており、この溝内にワイズ弓形ワイヤが受入
れられる。相対する支持稜98と曲面状支点面1
03との間に延出する平面101部分は正確な弓
形ワイヤ溝の底壁を形成する。両側面が平面状の
エツジワイズ弓形ワイヤはまた支持稜98及び曲
面状支持面103に対し線接触する。
突起102はまたブラケツト本体と一体の支持
部として機能し、ブラケツトの両端部間に弓形ワ
イヤの回動域を提供する。更に、突起102は両
側に解放部を形成しているので、弓形ワイヤは隣
接する歯列矯正ブラケツトそれぞれの中間突起す
なわち支持部に関して最大のブラケツト間距離を
有することができる。
舌側に用いる歯列矯正ブラケツト列に装着され
る弓形ワイヤは通常の唇側歯列矯正ブラケツトの
場合と比較してより小さな曲率半径のアーチ状す
なわち弓形部分を有することとなるので、このよ
うな弓形ワイヤを有効に作動する係合状態で受入
れ可能な様々な弓形ワイヤ溝をブラケツトに備え
る必要がある。第6図においては、第4図に示し
た曲面状解放面95,97に代つてほぼ平面状の
面108が示されており、相対する中間突起11
2の曲面状支持面との間に弓形ワイヤ溝106が
形成されている。このように弓形ワイヤ溝106
の片側面を平面108とした構造は第2図及び第
3図に示したブラケツトにも採用できる。明白な
ことであるが、小臼歯及び大臼歯は通常弓形ワイ
ヤの比較的直線的な部分により力を受けるので、
前歯側に配置された歯列矯正ブラケツトのみが湾
曲形状の整合弓形ワイヤ溝を備えて構成される。
小臼歯及び大臼歯用の歯列矯正ブラケツトは前
歯用のブラケツトとかなり異なる形状を有さねば
ならない。第1図に代表的に22,24で示した
ような小臼歯18,20用のブラケツトとしては
第7図及び第8図に示ブラケツト114が利用さ
れる。このブラケツト114は本体116を有
し、この本体116の片面には歯に取りつけるた
めのベース118がほぼ矩形に形成されている。
ベース118は通常金属製であつて、ブラケツト
本体116と一体で形成されるか、あるいは溶
接、接着等の適当な方法で結合される。所望によ
り、ベース118は金属以外の適当な材料により
形成してもよい。いずれににしてもベース118
の裏面は臼歯の舌側面の曲率に対応した曲面状の
結合面部119を有している。
ブラケツト本体116はその前面中間部分から
延出し長手方向に平行な中間壁120を有してい
る。この中間壁120はほぼ矩形を成し、さらに
その長手方向両端部に間隔を置いて配置された固
定翼保持部122,124を突出形成している。
これらの固定翼保持部122,124は中間壁1
20から上下方向に延出してその両端部にそれぞ
れ固定翼128,130を形成している。第8図
に示したように中間壁120の上面は平面136
をなし、固定翼保持部122,124の中間壁1
20より上方の内面は平面132をなし、平面1
32に対向する本体116の内側は平面134と
該平面134から上方へ少し開く方向に傾斜した
平面138を有している。これらの平面は協同し
て溝形となり、ブラケツト114に装着される弓
形ワイヤ(第1図参照)を適正に保持し、その作
動力を有効に発生させる弓形ワイヤ溝を形成す
る。傾斜平面138は不正咬合のひどい歯に取り
つけられたブラケツト114に弓形ワイヤを装着
するとき、弓形ワイヤの咬合側からの挿入を容易
にする。保持部122,124の上下の端部に形
成された固定翼128,130は、他のブラケツ
トと同様弓形ワイヤをワイヤ溝内に縛着するのに
役立つ。
エツジワイズ歯列矯正治療によれば、先ず弓形
ワイヤの各端部は臼歯の舌側面に取りつけたチユ
ーブ状のブラケツト(第1図に26,28で示し
たブラケツト)に装着される。つまり矯正すべき
歯列の舌側に配置する歯列矯正器具を利用する場
合、弓形ワイヤはまず歯列両端に位置するチユー
ブ状ブラケツトに端部を挿通固定され、先に説明
した歯列中間の残りのブラケツトの各弓形ワイヤ
溝には、その歯の咬合側に開いた各弓形ワイヤ溝
内へ歯の咬合側から嵌め込まれる。
第1図に代表的に26,28で示した臼歯の舌
側面に取りつけるチユーブ状ブラケツトは通常第
9〜11図に示したチユーブ状ブラケツト140
の形態とされる。第9図に斜視図で示したよう
に、チユーブ状ブラケツト140はブラケツト本
体142を有しており、この本体142の長手方
向一端部、嵌茎方向(図示下方)に開放した弓形
ワイヤ溝144を形成しており、また、長手方向
多端側には咬合部方向(図示上方)に開放した弓
形ワイヤ溝146を形成している。弓形ワイヤ溝
144は第11図中に破線で示したような平行面
148,150と、これらの面148,150に
直交する横方向の平面152とにより形成されて
いる。つまり、面148,150及び152は協
同して矩形断面の弓形ワイヤ溝144を形成して
いる。
他側の弓形ワイヤ溝146は平行面154,1
56と、これらの面154,156に直交する横
方向の平面158とにより形成されている。これ
らの平行面148,150及び154,156は
それぞれ精密な機械加工もしくは成型により形成
され、弓形ワイヤ160は対応する弓形ワイヤ溝
144,146を通じて矯正作動力を有効に伝え
うるようにこれらに密接関係で装着される。
弓形ワイヤ160は咬合側に開放した弓形ワイ
ヤ溝146を通じて、歯の中央に向かう方向で咬
合側から挿入されて、チユーブ状ブラケツト14
0に組付けられる。このような弓形ワイヤ160
の挿入態様は第9図及び第10図に実線及び破線
で示されている。弓形ワイヤ160のこのような
挿入を可能とするため、チユーブ状ブラケツト1
40のブラケツト本体142には弓形ワイヤ溝1
44,146の連続部分において上下に貫通して
いる開口162を有している。この開口162は
第10図に断面で、また第11図に平面でより明
瞭に示された面164,166によつ形成されて
いる。この開口162において面166とその交
差面158により形成された端縁168は回動の
ための支点として機能し、弓形ワイヤ160はそ
のまわりを回動して第9,10図に破線で示した
傾斜位置から同じ図に実線で示したようにチユー
ブを形成する平面152,158に接触する正規
の作動位置まで移動することができる。弓形ワイ
ヤ160の各端部を、チユーブ状ブラケツト14
0において、このような実線位置に動かすと、弓
形ワイヤ160の残りの部分が先に説明したこれ
以外の舌側歯列矯正ブラケツトのそれぞれの弓形
ワイヤ溝に咬合側から挿着される。弓形ワイヤ1
60がブラケツトのチユーブを形成する平面15
2及び158に接触すると、弓形ワイヤ160は
ブラケツトが単一の細長い矩形断面のワイヤ溝を
有すると同様に機能する。弓形ワイヤ160はつ
いでブラケツト140に上下方向で対向状に形成
された固定翼170,172及びブラケツト本体
142に形成されたコーナーのノツチ171,1
73を利用して図に鎖線で示すワイヤ又は弾性バ
ンド等の固定具175によつてブラケツトに縛着
される。固定翼170,172の外面はブラケツ
ト本体の外側壁面174と面一でもよく、或いは
第9図に示すように壁面174を越えて外側に張
出して固定具の縛着を容易にしてもよい。
第1図〜第11図に示した舌側歯列矯正ブラケ
ツトにおいて、エツジワイズ法で用いられる弓形
ワイヤは各ブラケツトの弓形ワイヤ溝内に歯の咬
合側から挿入され、固定翼に係着される固定ワイ
ヤ、弾性バンド等によりブラケツトに固定される
ようになつている。しかしブラケツトが小形の場
合には、弓形ワイヤは上記のような固定翼や固定
ワイヤ以外の機構によりブラケツトの弓形ワイヤ
溝内に固定されるのが望ましい場合がある。本発
明において、このための特徴的な構成は例えば第
12図〜第14図に示した形態となつている。第
12図及び第13図は患者の主として小臼歯等に
取付けられる舌側の歯列矯正ブラケツトを示すも
のであり、第14図は前歯用の舌側歯列矯正ブラ
ケツトを示すものである。両者のいずれにおいて
も弓形ワイヤは先に従来技術において説明した矯
正医ベツグによるライトワイヤ法に関連して利用
されるものとほぼ同じの保持ピンを介してブラケ
ツト構造に固定されている。
第12図及び第13図において、舌側歯列矯正
ブラケツト180は歯の内面に結合(接着)され
るベース182を有しており、その結合面は小臼
歯の舌側の面に密着するような形状を有してい
る。ブラケツト本体184はベースから一体で延
出し、ブラケツト本体の長手方向に連なる突出状
の支持壁186を有している。固定翼保持部18
8及び195は支持壁186の長手方向両端部に
おいて上下に延出し、エツジワイズ弓形ワイヤ2
09をブラケツト180と組付状態で固定するた
めの固定具を係着する上部及び大部固定翼を形成
している。図示のように、一方の固定翼保持部1
88は固定翼190,192を形成しており、他
方の固定翼保持部195は固定翼194,196
を形成している。ここまでに述べた舌側ブラケツ
ト180は第7図に示したブラケツト114と基
本的に同じ構造である。
しかしブラケツト180においては、弓形ワイ
ヤ209を該ブラケツト180との組付状態でピ
ン保持するため、新たに中間突起198が支持壁
186の中央部から突出している。この中間突起
198は保持ピン204のシヤンク部202が突
入する穴200を有している。この保持ピン20
4は弓形ワイヤ209上にかぶさるように横に延
びた保持ヘツド206を有しており、弓形ワイヤ
209は第7図に関連して論じたと同様な態様で
ブラケツト180の両端に設けられた弓形ワイヤ
溝208内に装着される。保持ピン204の細長
いシヤンク部202は中間突起198の下端部を
越えて延出して後、第12図に示すように曲げら
れ、中間突起198と協同して保持ピン204全
体を固定している。かくて、弓形ワイヤ209は
前記のような固定具を用いる要なくブラケツト1
80に組付固定される。ピン204は下端部を真
直ぐにして穴200から引出すことによつて取除
くことができる。また、エツジワイズ法による歯
の矯正動を行なう際に望ましい場合には、上記固
定翼190〜196の1つもしくは複数を利用し
て従来の固定具によつて弓形ワイヤ209を縛着
することができる。
前歯用のピン保持タイプの歯列矯正ブラケツト
は第14図に210で示されている。ブラケツト
210は患者の前歯の舌側の面にブラケツト本体
を結合(接着)するためのベース212を有して
いる。ブラケツト本体214は、例えば第4図及
び第5図に関連して論じたと同様な態様で弓形ワ
イヤ溝216を形成している。ブラケツト210
は前側中央に保持ピン226を受承する突出部2
18を形成しており、この突出部218は保持ピ
ン226の細長いシヤンク部224を受入れる穴
222を有している。保持ピン226は横に延び
た保持ヘツド228を有しており、この保持ヘツ
ド228弓形ワイヤ溝216にかぶさつて弓形ワ
イヤを弓形ワイヤ溝216に嵌着状態で固定す
る。保持ピン226の細長いシヤンク224は突
出部218の下端を越えて延出しており、第12
図に示したと同様な形状に曲げられて穴222内
への固定が行なわれる。
第13図及び第14図に示した保持ピン20
4,226はブラケツト180,210に対し着
脱すべく折曲可能かつ破損を生ずることなく真直
ぐにすることができるように、展延性を有する金
属その他の適当な材料から形成される。第12図
〜第14図に示したブラケツト180,210の
保持ピン204,206は従来技術で説明したベ
ツグのものとほぼ同様であるが、ブラケツト18
0,210はエツジワイズ法の弓形ワイヤを利用
するための構造となつており、ベツグのものとは
異なつている。
また、弓形ワイヤを舌側に設けるチユーブブラ
ケツトに組付固定するには、第9図に示した舌側
チユーブブラケツト140の場合のようなワイヤ
状固定具175よりもピンを用いることが望まし
い。このような利点を得るための変形例の舌側チ
ユーブブラケツトは第15図に230で示されて
いる。このチユーブブラケツト230は第9図に
関連して論じたと同様な態様で細長い弓形ワイヤ
溝を形成するブラケツト本体232を有してい
る。弓形ワイヤ溝234は断面がほぼ矩形をなし
ており、同じく矩形断面の弓形ワイヤ236の各
側面に対し整合関係を有している。
本体232は細長い穴240が貫設された保持
突出部238を有している。細長いシヤンク24
3を有する保持ピン242は穴240に通され、
シヤンク243の下端部がブラケツト230の突
出部238を越えて延出している。保持ピン24
2の上端に該保持ピン242のシヤンク243よ
り大径の保持ヘツド244が形成されている。こ
の保持ヘツド244の一部は弓形ワイヤ236の
上面にかぶさつてこれを係止し、弓形ワイヤ溝2
34内に嵌合状態で積極的に固定している。
また弓形ワイヤを弓形ワイヤ溝内に、歯の咬合
側から歯の中央に向かう方向に挿入して挿着する
チユーブブラケツトの実施例の別例として、第1
6図及び第17図に示したような形態のブラケツ
ト250が有る。第16図は咬合側から歯茎側方
向へ見た図であり、第17図は第16図の17−
17線に沿う断面図であつて、舌側方向から見た
図である。第16図に示すように、チユーブブラ
ケツト250はブラケツト本体252を有してお
り、その歯面側に結合ベース251が設けられて
いる。この結合ベースはブラケツトを結合すべき
臼歯の曲率に正確に一致した結合面を有してい
る。ブラケツト本体252は上側面256及び下
側面258と側面262,264とを有する細長
いチユーブ状の弓形ワイヤ溝254を有してい
る。弓形ワイヤ268はこの弓形ワイヤ溝254
内に整合した関係で装着されている。
弓形ワイヤ268の自由端のワイヤ溝254内
への挿入を容易とするため、ブラケツト本体25
2には入口溝266が形成されており、この入口
溝266は傾斜状の案内面260と側面262,
264の一部とにより形成されている。第17図
中に破線で示したように、弓形ワイヤ268は弓
形ワイヤ溝254に対し傾いた状態で位置され、
弓形ワイヤ溝254内に歯の咬合側から挿入され
る。弓形ワイヤの自由端は傾斜状の案内面260
によつて入口溝266から案内されて弓形ワイヤ
溝254内に整合しつつ装着される。弓形ワイヤ
268は例えば仕上げ治療時においてはかなり強
固なものであるが、幾分かの屈曲性は有してい
る。弓形ワイヤ268はその自由端を入口溝26
6内に挿入してほぼチユーブ状の弓形ワイヤ溝2
54の起点部に導くと、幾分歯茎側方向(第17
図中上方)に向けて撓む。自由端が撓むと弓形ワ
イヤ268の先端はチユーブ状の弓形ワイヤ溝2
54に対しほぼ平行に方向づけられる。次いで弓
形ワイヤ268に軸線方向に力を加えることで弓
形ワイヤ268の自由端は弓形ワイヤ溝254内
に案内挿入される。このような歯の咬合側からす
る挿入動の際の弓形ワイヤ268の弓形ワイヤ溝
254に対する傾斜角度は極めて小さい。その理
由は、弓形ワイヤ268が小臼歯あるいは大臼歯
におけるチユーブ状弓形ワイヤ溝内に挿入される
直前に必要とされるのは単に弓形ワイヤの湾曲部
が前歯を越えることだけであるからである。
第16図及び第17図に示した舌側チユーブブ
ラケツト230を第9図〜第11図に示したチユ
ーブブラケツト140と比較すると、第16図の
ブラケツト230ではチユーブ状弓形ワイヤ溝2
54を貫通させずとも弓形ワイヤを弓形ワイヤ溝
244内に十分整合させうることは明らかであ
る。
発明の効果 本発明の各種舌側歯列矯正ブラケツトはエツジ
ワイズ法に有効に利用でき、歯列矯正治療を効率
的に行いうることが明らかである。また、歯列矯
正治療を迅速に行ないうると同時に、治療中患者
の歯の唇側及び頬側の面には邪魔となるものは取
り付けないので、患者の歯の外観は常に良好であ
り、従つて、患者は歯列矯正器具を歯の唇側の面
に取付けた場合に常に感じたいかなる精神的な苦
痛も受けることがない。
本発明による舌側歯列矯正ブラケツトは、協同
する弓形ワイヤが歯の咬合側から挿入されること
によりそれぞの整合弓形ワイヤ溝内に容易装着さ
れるように構成されている。このような特徴によ
り、弓形ワイヤの装着及び歯列矯正治療中に一般
的に行なわれる調節作業が容易となつている。
エツジワイズ法に関連して、いわゆるツイン型
歯列矯正ブラケツトの能力を越えるような効率的
な回転を行なうのが適当な場合には、このような
舌側歯列矯正ブラケツトにおいても、ブラケツト
の長手方向中間位置に弓形ワイヤに対する支点を
設け、この支点を中心に回転を制御する技術が利
用される。なおこのとき、弓形ワイヤを適宜の固
定翼に縛着してもよい。
本発明の舌側歯列矯正ブラケツトにおいて、弓
形ワイヤの端部を係止するにはチユーブ型が採用
されている。このチユーブ型ブラケツトは主とし
て臼歯に用いるもので、弓形ワイヤを歯の咬合側
から歯のほぼ中心に向けて挿入することを可能と
しかつ弓形ワイヤが作用状態にあるときには典型
的なチユーブブラケツト機能を果たす。ブラケツ
トはその構造によつて、弓形ワイヤを所望により
ワイヤで固定したり、ピンで保持したりすること
ができる。従つて、本発明の採用により上記に示
したすべての目的及び効果、さらには、以上の装
置の説明から自明なその他の効果を得ることがで
きることは明白であろう。
なお、本発明による各型の歯列矯正ブラケツト
はすべて歯の舌側の面に固定されるものであり、
大別して前歯、小臼歯に取付ける歯列の中間用
と、主として大臼歯に取付ける歯列の両端用とが
ある。従つて、本発明のブラケツトは患者の歯列
矯正治療に際して、歯の舌側に設ける一連の歯列
矯正器具システムを構成して十分の成果を発揮す
る。このシステムとしては歯列中間用として各ブ
ラケツトの長手方向中間部に協同する弓形ワイヤ
を整合する弓形ワイヤ溝を有し、該中間部に続い
てブラケツトの両端部に至る解放面部を有し、さ
らにツイン又はシングルの固定翼を備えたブラケ
ツトが複数個用いられ、歯列両端には既に述べた
チユーブ型ブラケツトが配置される。中間用の各
ブラケツトは各歯の矯正仕様に応じて最適の形状
のものが選択される。ねじり及び傾動用にはシン
グル固定翼型のものがよく、回転制御用にはツイ
ン固定翼型でしかも解放面部を弓形ワイヤ整合又
は支点機構に続く両端部に有するものがより有効
である。
以上の説明は本発明の好ましい実施態様に関す
るものであつて、本発明の基本的な概念から逸脱
することなく他の更に多くの実施態様を案出する
ことができ、本発明の範囲は特許請求の範囲によ
り定められるものである。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の実施例を示すもので、第1図は歯
列矯正患者の歯の裏面に舌側歯列矯正器具を取付
けた状態を示す概略図、第2図は弓形ワイヤ溝を
歯面に対して傾けたツイン固定翼タイプの舌側歯
列矯正ブラケツトの斜視図、第3図は第2図に示
したようなツイン舌側歯列矯正ブラケツトの部分
斜視図であつて、整合弓形ワイヤ溝から両方へ延
出する傾斜平面による弓形ワイヤ解放部を備えた
変型例を示した斜視図、第4図は弓形ワイヤを正
確な整合弓形ワイヤ溝に歯の咬合側から挿入する
ように構成されたシングル固定翼タイプの舌側歯
列矯正ブラケツトを示す斜視図、第5図は患者の
前歯に取付けるために構成された例えば第4図に
示したようなシングル固定翼タイプの舌側歯列矯
正ブラケツトの端面図、第6図は弓形ワイヤ溝が
片側に平面状の面を形成している別例を示すブラ
ケツトの部分平面図、第7図は弓形ワイヤをその
弓形ワイヤ溝に歯の咬合側から挿入すべく形成さ
れた小臼歯用の舌側歯列矯正ブラケツトの斜視
図、第8図は第7図に示した舌側ブラケツトの端
面図、第9図は舌側チユーブブラケツトの斜視図
であつて、弓形ワイヤの一部の装着状態を実線で
示し、かつその挿入時における弓形ワイヤの傾き
状態を鎖線で示した図、第10図は第9図の10
−10線に沿う断面図、第11図は第9図の平面
図、第12図は小臼舌側ブラケツトの正面図であ
つて、弓形ワイヤを保持ピンを介してブラケツト
の弓形ワイヤ溝内に固定する別例を示した図、第
13図は第12図の13−13線に沿う断面図、
第14図は弓形ワイヤをピンで保持した状態を示
す前歯用舌側ブラケツトの断面図、第15図は舌
側チユーブブラケツトを示すもので、弓形ワイヤ
をピンで保持した状態を示す斜視図、第16図は
別例の舌側チユーブブラケツトの平面図で、弓形
ワイヤ溝がチユーブ状で、一端に挿入溝を有す
る、第17図は第16図の17−17線に沿う断
面図である。 10,12,22,24,26,28,34,
70,88,114,140,180,210,
230,250……ブラケツト、38,92,1
18,182,212,251……ベース、3
6,72,90,116,142,214,23
2……ブラケツト本体、54,84,98……支
持稜、56,76,103……支持面、64,6
6,80,82,95,97……解放面、10
4,106,144,146,216,234,
254……弓形ワイヤ溝、33,35,160,
236,268……弓形ワイヤ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 エツジワイズ歯列矯正治療のための弓形ワイ
    ヤと係合する舌側歯列矯正ブラケツトであつて、
    歯の舌側の面に取り付けられるベースと、該ベー
    スから突設されて長手方向を前記歯の幅方向で配
    置されるブラケツト本体とを有し、該ブラケツト
    本体はその幅方向両側に固定具による歯への固定
    のための固定翼を有し、また前記ブラケツト本体
    は前記歯への前記ベースを介する取付け状態にお
    いて前記歯の咬合側から前記弓形ワイヤを装着し
    うる弓形ワイヤ溝を当該ブラケツト本体の長手方
    向に有し、前記弓形ワイヤ溝は前記弓形ワイヤの
    両側面に接触して前記弓形ワイヤの前記装着方向
    に対し直角方向の傾動を許容するため前記ブラケ
    ツト本体の幅方向に対向して配置された支点部材
    間に形成されており、かつこれらの支点部材の前
    記ブラケツト本体の長手方向両側には前記弓形ワ
    イヤの幅より広い解放部が前記ブラケツト本体の
    長手方向両端に至り形成されていることを特徴と
    する舌側歯列矯正ブラケツト。 2 前記支点部材間に形成された前記弓形ワイヤ
    溝は、断面矩形の前記弓形ワイヤの幅に正確に適
    合する幅を有し、かつこの幅より大きくワイヤの
    高さにほぼ相当する溝深さを有し、前記支点部材
    は互いに対向する平行側縁を有して弓形ワイヤに
    係合し、弓形ワイヤによるねじり力をブラケツト
    に伝達可能である特許請求の範囲第1項記載の舌
    側歯列矯正ブラケツト。 3 前記固定翼は、前記ブラケツト本体の幅方向
    両側に各1対で設けられ、相互に間隔を置いて前
    記ブラケツト本体の四隅に配置されたツイン固定
    翼対から構成され、前記支点部材は支持稜と湾曲
    状の支持面とをそれぞれ対向する側に有し、前記
    湾曲状の支持面は前記支持稜と平行をなしている
    特許請求の範囲第1項記載の舌側歯列矯正ブラケ
    ツト。 4 前記固定翼は前記ブラケツト本体の幅方向位
    置側に設けられた単一の第一固定翼と、前記ブラ
    ケツト本体の幅方向他方の側に設けられた単一の
    第二固定翼とからなり、前記支点部材は前記第一
    固定翼および第二固定翼の中間部分の間に配置さ
    れている特許請求の範囲第1項記載の舌側歯列矯
    正ブラケツト。 5 前記弓形ワイヤ解放部は、前記湾曲状支持面
    に対向する前記支持稜に続く前記ブラケツト本体
    の長手方向両側の解放面によつて形成され、ブラ
    ケツトが固定される歯の回転動を制御可能に構成
    されている特許請求の範囲第3項記載の舌側歯列
    矯正ブラケツト。 6 前記解放面は、前記支持稜から前記ブラケツ
    ト本体の両端部に至り溝幅を拡げる方向に湾曲し
    た凹状曲面により形成されている特許請求の範囲
    第5項記載の舌側歯列矯正ブラケツト。 7 前記解放面は、前記支持稜から前記ブラケツ
    ト本体の両端部に至り溝幅を拡げる方向に角度の
    ついた傾斜平面により形成されている特許請求の
    範囲第5項記載の舌側歯列矯正ブラケツト。 8 前記湾曲状の支持面を有する一方の前記支点
    部材は、前記ブラケツト本体の長手方向中間部位
    に突設された中間突起であつて、前記支持面は該
    中間突起の前記ブラケツト本体幅方向内側に形成
    されており、その支持面の中央部を弓形ワイヤの
    一方側面に対する支点とするとともに、その両側
    後退面が前記弓形ワイヤ解放部の少なくとも一部
    を形成している特許請求の範囲第1項記載の舌側
    歯列矯正ブラケツト。 9 前記弓形ワイヤ溝は前記ベースの前記歯への
    取付面に対する垂直面に関して溝の開口方向を斜
    めに傾けて形成され、ブラケツトが歯の舌側の面
    に取り付けられた態様において弓形ワイヤを受け
    易くして成る特許請求の範囲第1項記載の舌側歯
    列矯正ブラケツト。 10 エツジワイズ歯列矯正治療のための、主と
    して前歯に取り付ける舌側歯矯正ブラケツトであ
    つて、歯の舌側の面に取り付けられるベースと、
    該ベースから突設されて長手方向を前記歯の幅方
    向で配置されるブラケツト本体とを有し、前記ブ
    ラケツト本体にはその長手方向に平行して中間壁
    が前記ベースの前記歯への取付面にほぼ直角に突
    出され、この中間壁の前記ベースと反対側の端部
    には前記ベースにほぼ平行して板状体が形成さ
    れ、前記中間壁と前記板状体と該板状体の内面に
    対向する前記ブラケツト本体の平面部との間に、
    弓形ワイヤを嵌着保持する弓形ワイヤ溝がその開
    口を前記歯の咬合側に向けて形成されて成るを特
    徴とする舌側歯列矯正ブラケツト。 11 前記弓形ワイヤ溝が少なくともその一方の
    側壁の上部を溝幅を広くするように傾斜させてい
    る特許請求の範囲第10項記載の舌側歯列矯正ブ
    ラケツト。 12 前記板状体が前記ブラケツト本体の幅方向
    両側の端部に歯への固定のための固定翼を形成し
    ている特許請求の範囲第10項記載の舌側歯列矯
    正ブラケツト。 13 前記板状体が、その一部に弓形ワイヤ溝の
    深さ方向に平行した貫通穴を有し、弓形ワイヤ溝
    内に弓形ワイヤを嵌着状態に保持するための横方
    向に延びた保持ヘツドを有する保持ピンを前記貫
    通穴に挿入して成る特許請求の範囲第10項記載
    の舌側歯列矯正ブラケツト。 14 エツジワイズ歯列矯正治療のための、弓形
    ワイヤを貫挿するチユーブ型の舌側歯列矯正ブラ
    ケツトであつて、臼歯の舌側の面に取り付けられ
    るベースと、該ベースから突設されて長手方向を
    前記歯の幅方向で配置されるブラケツト本体とを
    有し、前記ブラケツト本体は歯の咬合側に向かう
    開口部を有しかつ少なくとも一部が周囲が閉じた
    チユーブ状の通路を形成する弓形ワイヤ溝を前記
    ブラケツト本体の長手方向に有し、該弓形ワイヤ
    溝は、前記歯の咬合側に向かう開口部を通じて前
    記弓形ワイヤ溝の長手方向に対し斜めに挿通され
    た前記弓形ワイヤを、前記弓形ワイヤ溝の長手方
    向に向けて回動可能となつており、かつ前記弓形
    ワイヤが前記弓形ワイヤ溝の長手方向に向いた状
    態において、弓形ワイヤをほぼその周面で保持可
    能となしたチユーブ型舌側歯列矯正ブラケツト。 15 前記ブラケツト本体は前記弓形ワイヤ溝の
    前記歯の咬合側に向かう開口部において前記弓形
    ワイヤの前記弓形ワイヤ溝への挿入を補助する斜
    状の案内面を有する特許請求の範囲第14項記載
    のチユーブ型舌側歯列矯正ブラケツト。 16 前記ブラケツト本体は、その長手方向の一
    方半部に歯の咬合側へ開口した第1弓形ワイヤ溝
    を形成し、他方半部に歯の歯茎側へ開口した第2
    弓形ワイヤ溝を形成し、第1と第2の弓形ワイヤ
    溝を一直線に連通するとともに、その接続部分に
    長手方向に離隔して各溝の底面に直交する交差面
    を形成しており、一方の弓形ワイヤ溝の底面に対
    して斜めに位置させた弓形ワイヤを前記溝底面と
    交差面とのなす端縁を支点として回動させて他方
    の弓形ワイヤ溝に挿通するよう構成した特許請求
    の範囲第14項記載のチユーブ型舌側歯列矯正ブ
    ラケツト。 17 前記ブラケツト本体は、幅方向両端部に少
    なくとも2個所に歯への固定のための固定翼を有
    する特許請求の範囲第14項記載のチユーブ型舌
    側歯列矯正ブラケツト。 18 前記ブラケツト本体は、前記第1弓形ワイ
    ヤ溝に隣接する側方に貫通穴を有する保持部を有
    し、この貫通穴に挿通される保持ピンによつて弓
    形ワイヤをワイヤ溝内に係止する特許請求の範囲
    第14項記載のチユーブ型舌側歯列矯正ブラケツ
    ト。
JP60068358A 1985-03-29 1985-03-29 エッジワイズ治療のための舌側歯列矯正ブラケット Granted JPS61226034A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60068358A JPS61226034A (ja) 1985-03-29 1985-03-29 エッジワイズ治療のための舌側歯列矯正ブラケット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60068358A JPS61226034A (ja) 1985-03-29 1985-03-29 エッジワイズ治療のための舌側歯列矯正ブラケット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS61226034A JPS61226034A (ja) 1986-10-07
JPH0380021B2 true JPH0380021B2 (ja) 1991-12-20

Family

ID=13371499

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60068358A Granted JPS61226034A (ja) 1985-03-29 1985-03-29 エッジワイズ治療のための舌側歯列矯正ブラケット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS61226034A (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPS61226034A (ja) 1986-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5125831A (en) Orthodontic bracket with bi-directional hook
US4582487A (en) Lingual orthodontic appliance system for edgewise therapy
US20230200948A1 (en) Self-ligating orthodontic bracket
US5356288A (en) Dual orthodontic bracket
JP4805947B2 (ja) 損失トルクを捕捉するための縁部方向歯列矯正用ブラケット
US4529382A (en) Lingual orthodontic appliance system for edgewise therapy
US4412819A (en) Orthodontic arch wire
US20050244781A1 (en) Orthodontic treatment method for concurrent correction of multiple conditions
US4479779A (en) Orthodontic arch wire
US4618324A (en) Centri-lever orthodontic appliance
US20060252002A1 (en) Orthodontic devices for use with arch wires
US6913460B2 (en) Coupling for orthodontic assembly
AU2018205609B2 (en) Orthodontic system with variably-sized archwire slot
MXPA04009171A (es) Mensula para ortodoncia.
US7396230B2 (en) Molar orthodontic brackets having a hinged bracket cover
US5993207A (en) Orthodontic accessory for corrective force application to orthodontic bracket
US4655707A (en) Light, continuous force orthodontic appliance and method
US4573913A (en) Lingual orthodontic appliance system for edgewise therapy
JPH0380021B2 (ja)
US20180235732A1 (en) Orthodontic system with variably-sized archwire slot
US20230165663A1 (en) Self-ligating orthodontic bracket
Clark Treatment of deep overbite
JPH033487B2 (ja)
CN114795533A (zh) 直丝弓与差动力相结合的两用托槽
JPH11318941A (ja) 歯列矯正用ブラケット