JP2010501006A - 高い活性を有する白金化合物製剤の吸入による投与 - Google Patents

高い活性を有する白金化合物製剤の吸入による投与 Download PDF

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Abstract

癌患者を治療する方法が提供される。前記の方法は、高い活性を有する白金化合物製剤を患者の気管に投与するステップを含む。また、高い活性を有する脂質白金化合物製剤を治療を必要とする患者に投与することによって、白金化合物製剤を患者に投与する治療回数を減らす方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

関連出願
本出願は、2006年8月16日に出願された米国特許出願第11/505,236号の優先権の利益を主張する。そして、その米国特許出願の引用をもってその全内容をここに援用する。
本発明は、細胞障害性作用薬(例えばシスプラチン)を含有する脂質組成物を治療上の有効量、患者の気道に送達することによる、癌を治療する方法に関する。本方法により、臨床医は、数多くの癌細胞障害性作用薬(例えばシスプラチン)の全身投与に共通する付随する副作用(例えば腎毒性、骨髄毒性)が発現することなく、より回数が多い治療サイクルで投与することができる。
細気管支肺胞上皮癌(BAC)または肺胞上皮癌は、気道で見られる肺の非小細胞癌の1種である腺癌の1つの形態である。BACは、肺の腺癌症例のほぼ10%から25%、または、全肺癌の2%から6%を占め、且つ、時には異なる現れ方や、生物学的挙動を有することがある。BACは、女性や非喫煙患者で、他の組織学的タイプの肺癌よりも一般的である。
BACは、胸部X線像で孤立性末梢小結節、多病巣性病変、または、びまん性浸潤巣に見える急速な進行型で見える場合がある。前記の細胞は、肺の気道からの過剰な粘液排出である気管支漏につながり得るムチン及びサーファクタント・アポたんぱく質を分泌する。細気管支肺胞上皮癌は、他の種の癌よりも、よりびまんした病巣として現れることがある。それが患者のX線で1個の塊として発見された場合、この種類の肺癌は、優れた予後を有する。術後5年生存率は75%から90%の範囲である。しかし、それがびまん型で発見された場合(それが1個の塊を超えて広がったことを意味する)、その予後はあまりよくない。
その管理及び予後は、他の種類の非小細胞性肺癌と基本的に同じである。腫瘍が切除可能なものであれば手術が好ましい治療である。手術不可能な症例では放射線療法及び化学療法を用いてもよい。細気管支肺胞上皮癌に特異的な治療を調べるために治験が行われている。
リンパ管性の広がりのある癌腫、即ちリンパ管性癌腫症(LC)とは、腫瘍による肺実質性リンパ管のびまん性浸潤及び閉塞を言う。多様な新生物がリンパ管性癌腫症を起こし得るが、80%が腺癌である。最も頻発する原発部位は乳房、肺、結腸、及び胃である。他の原発部位には、膵臓、甲状腺、子宮頚管、前立腺、喉頭、及び原発部位が未知の転移性腺癌がある。
LCは、最初に腫瘍が肺に血行性の広がりを起こした結果として発生し、その後、悪性の浸潤が血管壁を通して肺の間質及びリンパ系へと広がる。次に腫瘍はこれらの抵抗性の低い管を通って容易に増殖し、広がる。あまり一般的ではないが、近接の縦隔又は肺門リンパ節症から、あるいは隣接する原発性の気管支癌から、直接的な浸潤が起きる。病理組織学的には、間質性浮腫、(隣接する肺実質組織へ腫瘍が広がった結果の線維形成性反応に続発する)間質性線維症
、及び腫瘍細胞をすべて、見ることができる。転移性の腺癌は、80%の症例を占める。大半の患者は中年の成人である。
米国では、LCが全肺転移のうちの7%を占める。死後検査での有病率は、放射線で検出可能な疾患の発生率よりも有意に高い。顕微鏡的間質性腫瘍浸潤は、肺転移患者の56%に見られる。LC患者の予後はよくない。大半の患者は数週間又は数ヶ月間しか生存しない。
骨肉腫は一般に肺に転移する。肺転移が生ずると、骨肉腫患者の予後に主な影響を与える。肺の腫瘍の除去手術後、新しい肺疾患の転移がしばしば再発する。それは全身化学療法に抵抗を有する、微細な転移疾患を示唆する。シスプラチンのリポソーム製剤は、その徐放性により、肺内のシスプラチンの持続性効果を達成する潜在的な能力を提供する。シスプラチンのリポソーム製剤を吸入し、直接肺に与える能力は、全身が高い濃度のシスプラチンに暴露されることなく、疾患部位に高い濃度のシスプラチンをもたらす。
典型的には、肺癌の化学療法には、細胞障害性作用薬などの化学療法薬の患者への全身投与がある。静脈内投与などによるこのような投与には、しばしば、腎毒性及び骨髄毒性を含め、いくつかの有害な副作用が伴う。例えば、肺癌の全身治療で用いられる、より有効な抗腫瘍剤の1つであるシスプラチン(シス−ジアミン−ジクロロプラチナム(II))の全身投与には、しばしば、患者の腎毒性などの症状による負荷がある。腎毒性により、臨床医がシスプラチンを患者に投与することのできる頻度に制限される。実際、シスプラチンの連続治療サイクルには、典型的に、腎毒性と相関する血中レベルにシスプラチンが達するのを防ぐために、治療サイクルの間に3週間以上の間隔が必要である。化学療法計画には、典型的に5週間以上の治療サイクルが必要であるため、治療サイクルの間のこの遅延は、全体的な化学療法計画に必要な時間を延長することとなる。シスプラチンの全身投与の期間が長引くと、患者の不快感及び不都合が増してしまい、また患者のコンプライアンスが低下することにもなりかねない。
活性白金化合物の毒性を最小限にする試みとしては、併用化学療法、類似化合物の合成(Prestayko
et al., 1979 Cancer Treat Rev. 6(1):17-39; Weiss,
et al., 1993 Drugs. 46(3):360-377) 、免疫療法とリポソーム製剤が挙げられる。(Sur, et al., 1983;Weiss,
et al., 1993) リポソーム製剤化されたシスプラチンを含む抗がん剤は、前記の抗がん剤遊離体を投与した場合に比べて、抗がん作用は変化することなく、毒性が軽減される。(Steerenberg,
et al., 1987;Weiss, et al., 1993)
しかしながらシプラチンは、効率よくリポソーム又は脂質錯体に取り込むが困難である。なぜならば、シスプラチンは室温で約1.0mg/mという低い水に対する溶解度であること、低い親油脂性であるため、低い生物活性体に対する脂質の比を与えるからである。
シスプラチンを含むリポソームと脂質錯体の、もう1つの問題は、前記の組成物の安定性である。特に、生物活性の保持及び、前記の生物活性剤のリポソーム内における保持が問題として知られている。
(Freise,
et al., 1982;Gondal, et al., 1993;Potkul, et al., 1991 Am J Obstet
Gynecol. 164(2): 652-658;Steerenberg, et al., 1988;Weiss,
et al., 1993) そして、シスプラチンのリポソーム製剤の、貯蔵期間は4℃で数週間に限られると、報告されている。(Gondal,
et al., 1993 Eur J Cancer. 29A(11): 1536-1542; Potkul, et al., 1991)
従って、シスプラチンを吸入により投与することで、治療サイクル間に必要な間隔を短縮して、高い局所濃度の薬物を達成できるような新しい肺癌患者の治療方法が望ましい。このような方法は、好ましくは、治療薬の吸入投与で典型的に障害となる、肺からのシスプラチンの急速なクリアランスの問題も解決するとよい。
発明の概要
患者の負担がより少なく、患者のコンプライアンスをより良くするために、投与回数を減らす特徴を有する、吸入による白金化合物製剤を投与する癌患者の治療方法を提供することが本発明の目的である。
吸入による白金化合物製剤の治療を受けている癌患者のために、治療回数を減らす方法を提供することもまた、本発明の目的である。
本発明は、投与回数を減らした効果的な治療が、高い活性白金化合物製剤により成し遂げられていることに基づいている。高い活性により前記の白金化合物の前記の濃度が白金化合物の水溶解度よりも高いということを意味する。例えば、シスプラチンが高い活性を示すことは、シスプラチンの濃度が、水に対する溶解度1mg/mlより高いことである。例えば、Bristol Meyers Squibb社製造のシスプラチンのプラチノール(登録商標)は、水に対する溶解度が1mg/mlであるシスプラチンを含有する。
ある態様では、本発明は、脂質ベース白金化合物製剤における白金化合物の濃度が、シスプラチンの水溶解度より高い、癌の治療に有効な量の脂質ベース白金化合物製剤を、吸入により患者に投与するステップを含む、癌の治療方法又は、患者への投与回数を減らす方法に関するものである。
さらに好適な態様では、前記の白金化合物の濃度は1.2mg/ml、3mg/mlまたは5mg/mlである。
前記の白金化合物が、シスプラチン、カルボプラチン(ジアミン(1,1−シクロブタンジカルボキシラート)−プラチナ(II))、テトラプラチン(オーマプラチン)(テトラクロロ(1,2−サイクロヘクサンジアミン−N,N’)−プラチナ(IV)、チオプラチン(ビス(O)-エチオジチオカルボナト)プラチナ(II))、サトラプラチン、ネダプラチン、例えばオキサリプラチン及びアロプラチンのようなDACH-プラチナ類、オキサリプラチン、ヘプタプラチン、イプロプラチン、トランスプラチン、ロバプラチン、シス-アミンジクロロ(2-メチルピリジン)プラチナ、JM118(シス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)プラチナ(II))、JM149(シス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)-トランス-ジヒドロクソプラチナ(IV))、JM216(ビス−酢酸-シス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)プラチナ(IV))、JM335(トランス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)ジヒドロクソプラチナ(IV))、(トランス、トランス、トランス)ビス−mu−(ヘキサン-1,6-ジアミン)−mu−[ジアミン−プラチナ(II)]ビス[ジアミン(クロロ)プラチナ(II)]テトラクロライド、及びその混合物から成る群より選択される。より好適な態様では、前記の白金化合物はシスプラチンである。
本発明の組成物中に用いられる前記の脂質は合成でも、半合成でも、又は、天然の脂質でもよく、前記の脂質としては、典型的にはホスホリピド類、トコフェロール類、ステロール類、脂肪酸類、糖脂質類、陰イオン性脂質、陽イオン性脂質、が挙げられる。ホスホリピドとしては、例えば卵ホスファチジルコリン
(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール (EPG)、卵ホスファチジルイノシトール (EPI)、卵ホスファチジルセリン (EPS)、ホスファチジルエタノールアミン (EPE)、及びホスファチジン酸 (EPA);大豆の相当物、大豆ホスファチジルコリン (SPC);SPG、SPS、SPI、SPE、及びSPA;水素化した卵及び 大豆相当物(例えばHEPC、HSPC)、12乃至26個の炭素原子の鎖と、グリセロールの1位に異なる先頭基とを含有する、コリン、グリセロール、イノシトール、セリン、エタノールアミンを含むグリセロールの2及び3位の脂肪酸のエステル結合からなる他のホスホリピドや、対応するホスファチジン酸などの脂質が挙げられる。これらの脂肪酸上の鎖は飽和していても、又は不飽和でもよく、そして前記のホスホリピドは、異なる鎖長及び異なる不飽和度の脂肪酸から成っていてもよい。具体的には、前記の製剤の組成物には、天然で生じる肺表面活性物質の主要構成成分であるDPPCを含めることができる。他の例としては、ジミリストイルホスファチジルコリン (DMPC) 及びジミリストイルホスファチジルグリセロール (DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール (DPPG)
ジステアロイルホスファチジルコリン (DSPC) 及びジステアロイルホスファチジルグリセロール (DSPG)、ジオレイルホスファチジル-エタノールアルニン (DOPE) 及び混合ホスホリピド、例えば、パルミトイルステアロイルホスファチジル-コリン (PSPC) 及びパルミトイルステアロールホスファチジルグリセロール
(PSPG)、及び単一のアシル化ホスホリピド、例えばモノ-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン (MOPE)、が挙げられる。
より好適な態様では、前記の脂質ベース白金化合物製剤における脂質は、ホスホリピッドとステロールを混合したものであり、例えば、DPPCとコレステロールである。より好適な態様では、前記の脂質ベース白金化合物製剤における脂質は、50モル%から65モル%のDPPC及び35モル%から50モル%のコレステロールを混合したものである。
前記の癌は、ある好適な態様では、細気管支肺胞上皮癌(BAC)又はリンパ管性癌腫症(LC)のような、肺癌である。
より好適な態様では、前記の脂質ベース白金化合物製剤における脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:5から重量比1:50の間である。より好適な他の態様では、前記の脂質ベース白金化合物製剤が、平均の直径が0.01ミクロンから3.0ミクロンのリポソームを含む。
より好適な態様では、前記の脂質はDPPCとコレステロールを混合したものであり、前記の脂質ベース白金化合物製剤における脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:5から重量比1:50の間であり、且つ、前記の脂質ベース白金化合物製剤が、平均の直径が0.01ミクロンから3.0ミクロンのリポソームを含む。
より好適な態様では、前記の脂質はDPPCとコレステロールを混合したものであり、前記の脂質ベース白金化合物製剤における脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:5から重量比1:50の間であり、且つ、前記の脂質ベース白金化合物製剤が、平均の直径が0.01ミクロンから3.0ミクロンのリポソームを含み、前記の白金化合物がシスプラチンである。
より好適な態様では、前記の脂質がDPPCとコレステロールを重量比で2:1で混合したものであって、前記の脂質ベース白金化合物製剤における脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:20であって、且つ、前記の脂質ベース白金化合物製剤が、平均の直径が0.04ミクロンのリポソームを含み、前記の白金化合物がシスプラチンである。
前記の患者はヒトであることが好ましい。
より好適な態様では、前記の脂質ベース白金化合物製剤を、前記の患者に少なくとも3週間毎に1回投与する。
より好適な態様では、前記の脂質ベース白金化合物製剤における白金化合物の量が18mg/m2もしくはそれより多い、24 mg/m2 もしくはそれより多い、36 mg/m2 もしくはそれより多い、または、48mg/m2もしくはそれより多い。
より好適な態様では、前記の脂質ベース白金化合物製剤における白金化合物の量が100 mg/m2またはそれより多く、及び、前記の脂質ベース白金化合物製剤を、前記の患者に少なくとも3週間毎に1回、より好ましくは2週間毎に1回投与する。
本発明のこれらの態様、他の態様、並びにそれらの特徴及び特質は、以下の説明及び請求項から明白であろう。
図1は1mg/ml及び5mg/mlのリポソームシスプラチンロットの空力学的な粒子サイズの分布を示している。 図2は、吸入後の時間の関数としてのラットの肺における白金の濃度レベルを示している。肺全体が均質化された。各測定値は3つのサンプル±s.d.の平均を示している。 図3は、吸入後の時間の関数としてのラットのリンパ節における白金の濃度レベルを示している。気管支のリンパ節全体が均質化された。各測定値は3つのサンプル±s.d.の平均を示している。
定義
本発明を更に説明する前に、本明細書、実施例及び付属の請求項で用いられたいくつかの用語を便宜上ここに集める。これらの定義は本開示の他の部分を参照しつつ読まれねばならず、また、当業者が理解するように理解されねばならない。特に定義されていないならば、本明細書で用いられた全ての技術及び科学用語は、当業者が通常理解するものと同じ意味を有するものである。
「白金化合物」は、配位された白金を含む化合物であって、抗がん作用を有する。活性白金化合物としては、シスプラチン、カルボプラチン及び、例えばオクザプラチンやアロプラチンのようなDACH-プラチナ化合物が挙げられる。
本方法で治療しようとする「患者」、「被験体」又は「宿主」は、ヒト又はヒト以外の動物のいずれかを意味する場合がある。
用語「治療効果」は当業で公知であり、動物、特に哺乳動物、そしてより具体的にはヒトで、薬理学的に活性な物質により引き起こされる局所又は全身の効果を言う。文言「治療上の有効量」とは、いずれかの治療に適用される妥当な利益/リスク比で何らかの所望の局所的な又は全身的な効果を生ずる物質量を意味する。ある物質の治療上の有効量は、治療しようとする被験体及び疾患状態、被験体の体重及び年齢、疾患状態の重篤度、並びに、投与の態様等の、当業者であれば容易に決定することのできる因子により変動するであろう。
用語「治療する」は当業でよく知られており、状態又は疾患の少なくとも1つの症状を改善するだけでなく治癒させることや、状態又は疾患の発生を予防することを言う。
「治療サイクル」とは、ある用量のシスプラチンを患者に投与する期間を意味する。治療サイクルには、シスプラチンを含有するリポソーム脂質組成物が患者に能動的に投与される1回以上の期間も包含してもよい。このような期間は4日以内で投与されてもよいが、より好ましくは1日間又は2日間にわたって投与され、最も好ましくは1日で投与される。
高い活性を有する白金化合物製剤
高い活性を有する白金化合物の脂質製剤は、初期又は及び転移性肺癌の患者にエアゾールによる投与のために設計されている。白金化合物エアゾール製剤は、全身に投与することなしに、前記の薬物を効果的に肺にターゲティングできる。前記の改善された肺へのターゲティングは、全身的な毒性を軽減し、且つ、より多い投与量を放出することができる。
吸入による化学療法剤を高用量に放出するという能力の1つの帰結は、より多い投与回数の可能性である。より多い投与回数の可能性は、患者のコンプライアンスに潜在的に悪影響を与え、また、前記の手順を介護者が投与するのに好ましくないようにしてしまう。現在のところ、LotA(1mm/mgのシスプラチン)、PARILCスター噴霧器、及びDevilbiss8650D圧縮器で、24mg/m2(患者の体表面2m2と仮定する)を投与するのに約160分かかる。この工程は1日に3回行われる。この回数の多い治療は、患者にとって負担が重く、一部の患者は1日で治療工程を完了するのが困難となっている。したがって、噴霧回数を減少させることができれば有利である。
臨床治療における白金化合物製剤の用量の投与の重要な成功要因は、1時間以上にわたり投与しないことである。これは製剤または器具を変更せずに達成されるのが好ましい。
これを達成する1つの可能性のある方法は、前記の薬剤の活性を高めることにある(すなわち、前記の薬剤から水分含有量を減らすことである)。本発明では、さらに濃縮されたシスプラチンの空力学的な粒子サイズの分布をLot B(5mg/mlのシスプラチン)とLotA(1mg/mlのシスプラチン)と比較試験している。2つの薬剤のエアゾール製剤としての特性が、同等であるならば、前記の5倍の活性製剤は、24mg/m2までの投与を目標の1時間未満(約32分)で放出が可能であろう。
シスプラチン製剤1mg/ml及び5mg/mの空力学的な粒子サイズの分布を図1で示している。 示された値は、独立した3回の実験の平均を示し、エラーバーは標準偏差(
SD )を示している。 前記の粒子分布のパターンにおいて実質的に、2つの製剤の区別ができない。
前記の製剤の空気反応速度論的粒経(MMAD)と幾何標準偏差(GSD)を表1に示した。 前記のMMAD値は約3.3μm から3.9μmまでである。前記のMMADの平均値は1mg/ml製剤に対して3.7μmで、5mg/ml製剤に対して3.6μmである(n=3)。前記のGSDの平均値は1mg/ml製剤に対して1.94μmで、5mg/ml製剤に対して1.89μmである。
Figure 2010501006
表1:1mg/ ml及び5mg/ mlのリポソームシスプラチン製剤についてのMMADとGSD測定値
前記の製剤の噴霧速度は、表2に示している。前記の噴霧速度の範囲は、約0.26g/minから0.39g/minである。前記の噴霧の平均速度は、製剤1mg/mlに対して0.36g/min、製剤5mg/mlに対して0.34g/minである(n=3)。前記の2つの噴霧速度に有意差はないことを示している。
Figure 2010501006

表2:1mg/ml及び5mg/mlのリポソームシスプラチン製剤の噴霧速度の測定値
リポソームシスプラチンの活性を1mg/mlから5mg/mlに上げることで、噴霧された液体粒子の空力学的な粒子サイズの分布に有意差はない。リポソームシスプラチンの活性を1mg/mlから5mg/mlに上げることで、噴霧速度に有意差はない。したがって、前記の活性の増加は、投与時間を1/5にすることができる。
反応速度論とバイオアベイラビリティ
リポソームシスプラチン(Lot A:1.0mg/mlシスプラチン)対リポソームシスプラチン(Lot C:1.7mg/mlシスプラチン)を吸入により投与した場合における、反応速度論及びバイオアベイラビリティを測定し、且つ、吸収された可溶性シスプラチンについて比較した。
前記の薬剤を投与された動物のリンパ節へのPtの放出は、前記の動物の肺と同じように測定する。なぜならば、気管支のリンパ節は、転移性肺腫瘍が発生する主要部位だからである。前記のリンパ節へのシスプラチンの放出は、転移拡大を減らす手段になるだろう。
ラットにリポソームシスプラチン1.7mg/ ml(LotC)を60分間噴霧により吸入させるか、リポソームシスプラチン1.0mg/ ml(LotA)を90分間噴霧により吸入させるか、遊離のシスプラチン1.0mg/ mlを90分間、噴霧により吸入させる。吸入の終了後、所定の時点で、組織のサンプルを採取した。
様々な組織におけるPtレベルの経時変化は、図2と図3に示されている。Ptのクリアランスの反応速度論によれば、肺(図2)において、高い濃度のリポソームシスプラチン、又は、低い濃度のリポソームシスプラチンのいずれも、類似する。少し高いCmax及び血中薬物濃度時間曲線下面積(AUC)は 、これらの条件下では、少し多い投与量が反映しているだろう。
これらの結果は、前記のリポソームシスプラチン製剤が、吸入により投与した際、バイオアベイラビリティ及び薬物反応速度論がほとんど同じであることを示している。肺における明らかなPtの徐放性は、リポソームシスプラチン製剤と可溶性シスプラチンの比較において観察され、リポソームシスプラチンについて、より高いAUC値が誘導される。重要なのは、高いAUCがリポソームシスプラチンで治療されたラットの気管支のリンパ節においても見られることである。
脂質
本発明の組成物中に用いられる脂質は合成でも、半合成でも、又は、天然で生じる脂質でもよく、典型的にはホスホリピド類、トコフェロール類、ステロール類、脂肪酸類、糖脂質類、陰イオン性脂質、陽イオン性脂質、がこれに含まれる。ホスホリピド及びステロール類がこれに含まれる。ホスホリピドの点では、これらには、例えば卵ホスファチジルコリン
(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール (EPG)、卵ホスファチジルイノシトール (EPI)、卵ホスファチジルセリン (EPS)、ホスファチジルエタノールアミン (EPE)、及びホスファチジン酸 (EPA);大豆の相当物、大豆ホスファチジルコリン (SPC);SPG、SPS、SPI、SPE、及びSPA;水素化した卵及び 大豆相当物(例えばHEPC、HSPC)、12乃至26個の炭素原子の鎖と、グリセロールの1位に異なる先頭基とを含有する、コリン、グリセロール、イノシトール、セリン、エタノールアミンを含むグリセロールの2及び3位の脂肪酸のエステル結合からなる他のホスホリピドや、対応するホスファチジン酸などの脂質が含まれよう。これらの脂肪酸上の鎖は飽和していても、又は不飽和でもよく、そして前記のホスホリピドは、異なる鎖長及び異なる不飽和度の脂肪酸から成っていてもよい。具体的には、前記の製剤の組成物には、天然で生じる肺表面活性物質の主要構成成分であるDPPCを含めることができる。他の例としては、ジミリストイルホスファチジルコリン (DMPC) 及びジミリストイルホスファチジルグリセロール (DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール (DPPG)
ジステアロイルホスファチジルコリン (DSPC) 及びジステアロイルホスファチジルグリセロール (DSPG)、ジオレイルホスファチジル-エタノールアミン (DOPE) 及び混合ホスホリピド、例えば、パルミトイルステアロイルホスファチジル-コリン (PSPC) 及びパルミトイルステアロールホスファチジルグリセロール
(PSPG)、及び単一のアシル化ホスホリピド、例えばモノ-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン (MOPE)、が挙げられる。
ステロール類には、コレステロール、コレステロールヘミ-スクシネートを含むコレステロールのエステル、コレステロール硫酸水素及びコレステロール硫酸を含むコレステロールの塩、エルゴステロール、エルゴステロールヘミ-スクシネートを含むエルゴステロールのエステル、エルゴステロール硫酸水素及びエルゴステロール硫酸を含むエルゴステロールの塩、ラノステロール、ラノステロールヘミ-スクシネートを含むラノステロールのエステル、ラノステロール硫酸水素及びラノステロール硫酸を含むラノステロールの塩を含めることができる。
本発明のある好適な態様では、前記の脂質組成物は、50モル%から100モル%のDPPC及び0モル%から50モル%のコレステロールを含有する。より好ましくは、前記の脂質錯体が、50モル%から65モル%のDPPCと35モル%から50モル%のコレステロールを含有するとよい。
吸入器具
本吸入システムの吸入送達器具は、ネブライザ、計量吸入器(MDI)又は乾燥粉末吸入器(DPI)であってよい。前記の器具は、1回分の用量の本脂質組成物を含有することができ、また1回分の用量の前記の脂質組成物を送達するために用いることができるか、あるいは、前記の器具は、複数回分の用量の本発明による前記の脂質組成物を含有することができ、また複数回分の用量の本発明による前記の脂質組成物を送達するために用いることができる。
ネブライザ型の吸入送達器具には、本発明の組成物を、通常は水性である溶液又は懸濁液として含有させることができる。吸入に向けて前記の組成物のネブライザ噴霧を発生させるには、前記のネブライザ型送達器具を、超音波により、圧縮空気又は他の気体により、電子的又は機械的に(例えば振動性多孔膜などを含む)により、駆動してもよい。超音波式のネブライザ器具は通常、電気化学的振動表面を解して前記の混合物の液膜上に高速振動波形を印加することにより作動する。この波形は所定の振幅で不安定となるため、液膜を崩壊させて前記の混合物の小さな液滴を生ずる。空気又は他の気体により駆動されるネブライザ器具は、高圧気流が局部的な圧力低下を起こすと液体混合物が毛管作用により気流内に吸い込まれることに基づいて作動する。次に、この微細な流れはせん断力により崩壊する。ネブライザのデザインは携帯可能かつ手持ち式でもよく、自給式電気装置を備えていてもよい。このネブライザ器具を、前記の液体混合物を加速することのできる確定された孔サイズの2つの一致する出口チャンネルを有するノズルから構成することができる。その結果2つの流れの嵌入と、前記の混合物の噴霧化が起きる。このネブライザは、前記の液体混合物を、確定された孔サイズの多オリフィスのノズルを通るように強制して吸入用の混合物エーロゾルを生じさせるために機械的アクチュエータを用いてもよい。1回分の用量用のネブライザをデザインする場合、1回分の用量の混合物を含有するブリスタ・パックを用いてもよい。
本発明においては、前記の薬物−脂質の粒子を含む水性の液滴の大きさが、肺などの中で前記の粒子の配置に最適であることを確実にするため、前記のネブライザが使用される。前記の噴霧された脂質組成物の典型的な液滴サイズは1ミクロンから5ミクロンである。
ネブライザで用いる場合、前記の脂質組成物は、好ましくは水性成分を含有する。典型的には、重量で少なくとも約80%、そして好ましくは重量で少なくとも約90%の水性成分が、ネブライザで投与される脂質組成物中にあるとよい。前記の水性成分には、例えば生理食塩水が含まれよう。加えて、前記の水性成分には、重量で20%までのエタノールなどの水溶性溶媒を含んでもよい。
ネブライザを用いた総投与時間は、流速や前記の脂質組成物中のシスプラチン濃度に依存するであろう。前記の総投与時間の変更は、当業者の認識し得る範囲である。一般的には、前記のネブライザの流速は、例えば少なくとも0.15mL/分であり、0.2mL/分の流速が典型的である。例示すると、1mg/mLのシスプラチン濃度を有する脂質組成物を用いた24 mg/m2 のシスプラチン用量の投与は4時間であろう(患者の体表面積を2m2と仮定して)。例えばこの投与時間は1日又は2日間の投与サイクルにおいて、1つの治療サイクルを完了するために、1日又は2日のコースにわたり与えられる。2回の投与セッションに分けて投与してもよい。より好ましくは、シスプラチン5mg/mlの濃度の脂質組成物を使用するシスプラチン36mg/m2の用量の投与は48分間で1回の治療サイクルを完了するであろう。
他の態様では、計量投与吸入器
(MDI) を前記の吸入システムの吸入送達器具として用いることができる。前記の器具は、加圧式(pMDI)であり、その基本構造は計量弁、アクチュエータ及び容器から成る。プロペラントを用いて前記の混合物を器具から放出する。前記の組成物を、加圧された液状のプロペラントに懸濁させた所定の大きさの粒子から構成することができるが、あるいは、前記の組成物は、加圧された液状のプロペラントの溶液又は懸濁液中としてもよい。用いられるプロペラントは、主に、134a及び227などの大気による作用を受けやすいハイドロフルオロカーボン類である。CFC−11、12
及び114などの従来のクロロフルオロカーボン類は必須な場合にのみ、用いられる。前記の吸入システムの器具は、例えばブリスタ・パックなど、1回分の投与量を送達するものでも、あるいは、治療デザイン上、それは繰り返し投与のための用量であってもよい。前記の吸入システムの加圧式投与吸入器は、前記の脂質ベース製剤の精確な投与量を送達するように作動する、呼吸であってもよい。投薬量を精確にするために、前記の混合物の送達を、前記の吸入サイクルの特定の時間で行われるよう、マイクロプロセッサでプログラムしてもよい。前記のMDIは持ち運びできかつ手持ち式でもよい。
別の他の態様では、乾燥粉末吸入器(DPI)を、前記の吸入システムの吸入送達器具として用いることができる。この器具の基本デザインは、計量システム、粉末組成物及び、前記の組成物を分散させる方法からなる。回転及び振動などの力を用いて前記の組成物を分散させることができる。計量及び分散システムを機械的又は電気的に駆動してもよく、またマイクロプロセッサでプログラムしてもよい。前記の器具は持ち運びできかつ手持ち式でもよい。前記の吸入器は、治療デザイン上、繰り返し投与のための用量でも、1回分の用量でもよく、単位用量が精確になるように、硬質ゼラチン・カプセルやブリスタ・パックを用いてもよい。前記の組成物を、受動的吸入、即ち、患者自身の吸気努力により前記の器具から分散させることもでき、あるいは能動的分散システムを用いてもよい。前記の組成物の乾燥粉末の大きさは、ジェット・ミリング、スプレー乾燥及び超臨界流体製造などのプロセスを通じて決定することができる。マンニトール及びマルトースなどの糖類のような、医薬品として許容可能な添加物を、粉末状混合物の調製に用いてもよい。これらは、凍結乾燥させたリポソーム及び脂質錯体の調製時に特に重要である。これらの糖類は、凍結乾燥中にリポソームの物理的性状を維持したり、それらを吸入により投与するときにそれらの凝集を最小限にする際に役立つ。前記の糖の水酸基は、ベシクルがそれらの3次元水和状態を維持する際に役立ち、そして粒子の凝集を最小限にする際に役立つと思われる。
本発明の方法は、肺癌、特に、細気管支肺胞上皮癌、又はリンパ管性の広がりを持つ癌腫症の治療に特に適している。加えて、本発明の方法は、原発性肺癌及び転移性肺癌の両者の治療に有効である。
投薬量
本発明のいずれの組成物の投薬量は、患者の症状、年齢及び体重、治療又は予防しようとする障害の性質及び重篤度、投与経路、並びに補助剤の形に応じてであろう。本混合物のいずれも、1回分の用量にして投与しても、あるいは分割された用量にして投与してもよい。本発明の化合物の投薬量は、当業者に公知の技術により、又は、本明細書で教示するように、容易に決定されよう。更に、本発明には、2種以上の前記の化合物や他の治療薬の混合物も配慮される。更に、本発明には、前記の治療薬の放出の際に形成される配位錯体に対する前記の治療薬の比を高めるために、前記の錯体自体と組み合わせた、前記の配位錯体(又は関連する作用薬)内に含有された治療薬の投与が配慮されている。
いくつかの態様では、前記の化合物の投薬量は、一般に、体重1kg当り 0.01ng乃至 10g 、具体的には1kg当り1ng 乃至0.1gの範囲、そしてより具体的には1kg当り100ng 乃至10mgの範囲内であろう。
混合物の有効な用量又は量、及び前記の製剤の投与のタイミングにおける可能性のあるあらゆる効果を、本発明のいずれの特定の化合物について特定する必要があるかも知れない。これは、1群以上の動物(好ましくは1群当り少なくとも5匹の動物)を用いて、あるいは適当な場合にはヒトの治験で、本明細書で解説する通りの慣例的な実験により、達成されよう。あらゆる化合物及び治療法又は予防法の有効性は、前記の補助剤を投与し、関心のある新生物に関連する1つ以上の指標を測定し、そして治療前の同じ指標の数値と治療後のそれらの指標と比較することによりその投与の効果を評価することにより評価されうる。
ある患者において最も有効な治療を生じるであろう、いずれかの特定の化合物の精確な投与時間及び投与量は、特定の化合物の活性、薬物動態、及び生物学的利用率、前記の患者の生理学的条件(年齢、性別、疾患の種類及び段階、全体的な身体状態、ある投薬量及び投薬の種類に対する感受性を含む)及び、投与経路等に依存するであろう。本明細書で提供する指針を、例えば被験体の観察、投薬量及び/又は投薬のタイミングを調節することからなる、ごく慣例的な実験しか必要としない、前記の治療法、例えば最適な投与時間及び/又は投与量の決定を最適化するために使用してもよい。
患者を治療中、前記の患者の健康を、24時間にわたり、所定の時点で、関連する指標のうちの1つ以上を測定することにより観察してもよい。補助剤、量、投与時間及び製剤を含む治療法を、このような観察の結果に従って最適化してもよい。前記の患者を定期的に再評価して、同じ指標を測定することにより回復の程度を判定してもよく、初回の前記の再評価は典型的には、治療の開始から4週間目の末日に行われ、そしてその後の再評価は、治療中4週間から8週間毎に行われ、そしてその後は3ヶ月毎に行われる。治療を、数ヶ月から数年にわたって継続してもよく、その場合、ヒトの治療の典型的な長さは最短で1ヶ月である。投与される作用薬の量の調節や、そして可能性としてではあるが投与時間の調節を、これらの再評価に基づき行ってもよいであろう。
治療を、前記の化合物の最適な用量よりも少ない投薬量で開始してもよい。その後、前記の最適な治療効果が達成されるまで、前記の投薬量を少しずつ増やしてもよい。
本発明の複数の化合物、あるいは代替的には他の化学療法薬を組み合わせた使用では、いずれかの個々の成分に関して必要な投薬量が減らせる。なぜなら、異なる成分の効果の発現及び持続が補完的になる場合があるからである。このような併用療法では、1日の間に、異なる活性成分を一緒に投与してもよく、あるいは別々に投与してよく、並びに同時及び異なる時点で投与してもよい。
前記の化合物の毒性及び治療効果は、例えば前記のLD50及び前記のED50を決定するためのような、細胞又は実験動物での標準的薬学的手法で決定してもよい。大きな治療指標を示す組成物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物を用いてもよいが、副作用を減らすために、前記の化合物を目的の部位を狙い撃ちする送達システムをデザインするように、注意すべきである。
細胞検定及び実験動物で得られたデータを、ヒトで用いる投薬量範囲を決定する際に用いてもよい。あらゆる補助剤の投薬量、又は代替的には本明細書で挙げたいずれかの成分の投薬量が、好ましくは毒性が少ないか、又は全くないような、ED50を含む血中濃度範囲内にあるとよい。前記の投薬量は、用いる剤型や用いる投与経路に応じてこの範囲内で変動してもよい。本発明の作用薬の場合、治療上有効な用量は、まず細胞検定から推定されよう。細胞で判定したときのIC50(即ち、症状の最大の阻害の50%を阻害する検査化合物濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルでの用量は決定される。このような情報を用いると、ヒトで有用な用量をより精確に決定できよう。例えば血漿中の濃度レベルは、高速液体クロマトグラフィで測定できよう。
キット
更に本発明は、本発明の方法を便利かつ効果的に実施するためのキットも提供するものである。このようなキットは、本発明の化合物のいずれか、又はその組み合わせ、と、本発明の方法のコンプライアンスを促す手段とを含む。このようなキットは、治療を受ける被験体が、適した活性作用薬を正しい投薬量かつ正しい態様で確実に摂取するための便利かつ効果的な手段となるものである。このようなキットのコンプライアンス手段は、本発明の方法に従った活性作用薬の投与を促すいずれかの手段を含む。このようなコンプライアンス手段には、指示書、梱包材、及び計量分配手段、並びにこれらの組み合わせである。キットの構成は、前述の方法を手動で、又は部分的もしくは完全に自動化して実施するために梱包されていてもよい。キットに含まれる他の態様では、本発明で、本発明の組成物、そして所望によりそれらの使用に関する指示書を含むキットを検討する。
以下の実施例は本発明を更に例示するものであるが、もちろん、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
実施例
実施例1
室温におけるシスプラチンの水溶解度より高い活性を有するシスプラチン水性溶液を調製する方法
1)50−60℃で、0.9%塩化ナトリウム溶液における4mg/mlのシスプラチンと、55℃で16mg/mlのDPPCと8mg/mlのコレステロールのエタノール溶液を無菌的に調整する。
2)前記の脂質溶液は、前記のシスプラチン溶液を混ぜている間に、前記のシスプラチン溶液に注入する。
3)注入後、シスプラチン/脂質分散物を10℃まで冷却し、そして再び50−60℃まで15分間かけて温める。
4)ステップ3を2、3回繰り返す。
5)前記の分散物を、無菌の0.9%塩化ナトリウム溶液で無菌的に洗浄する。そして分子量500000以下を除去できる膜分離精製ユニットにより、残存するエタノールと脂質に浸透していないシスプラチンを除去する。
前記の洗浄工程の後、得られた分散物は、1mg/mlのシスプラチンを含む。前記の1mg/mlのシスプラチンを含む分散物を、前記の水溶性ビークルの3分の2を無菌的に除くことにより、3mg/mlのシスプラチンを含む分散液に濃縮され、前記の水溶性ビークルの5分の4を無菌的に除くことにより、5mg/mlのシスプラチンを含む分散液に濃縮される。前記の水溶性ビークルは、新たに、無菌の0.9%塩化ナトリウム溶液を浸透物に加えることなく、20℃で膜分離精製ユニットにより、1分間により100mlの速度で除去される。
実施例2
より長い吸入時間は、患者にとって、特に衰えた肺機能の患者に対して好ましくない。高い活性を有するシスプラチンは劇的に治療時間を短縮し、それぞれの投与時間を約1時間にすることができる。前記のシスプラチンを用量36mg/m2を投与する場合ついて、患者に治療のために投与するのに2日かかるところが、1日で完了する。
Figure 2010501006
表3: 薬剤の濃度:10mg/ml のシスプラチン
*総持続時間には、実際の投与時間の間の休止時間からも含まれる。
Figure 2010501006
表4:薬剤の濃度:3mg/ml のシスプラチン
*総持続時間には、実際の投与時間の間の休止時間からも含まれる。(各噴霧の間隔は5分間、3回の噴霧毎の休止時間が1時間)
引用による援用
本明細書で引用した特許及び公開文献のすべての内容を、引用をもってここに援用する。
均等物
当業者であれば、ごく慣例的な実験を用いるのみで、ここに解説した本発明の具体的な態様の均等物を数多く、認識され、又は確認できることであろう。このような均等物は以下の請求の範囲の包含するところと意図されている。

Claims (50)

  1. 吸入により癌を治療するのに有効な量の脂質ベース白金化合物製剤を患者に投与するステップを含む、癌の治療する方法であって、前記白金化合物の濃度が20℃以下の温度における水に対する溶解度よりも高い、方法。
  2. 前記白金化合物の濃度が1.2mg/mlである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記白金化合物の濃度が3mg/mlである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記白金化合物の濃度が5mg/mlである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記白金化合物が、シスプラチン、カルボプラチン(ジアミン(1,1-シクロブタンジカルボキシラート)-プラチナ(II))、DACH-プラチナ、テトラプラチン(オーマプラチン)(テトラクロロ(1,2-サイクロヘクサンジアミン-N,N’)-プラチナ(IV)、チオプラチン(ビス(O)-エチオジチオカルボナト)プラチナ(II))、サトラプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、ヘプタプラチン、イプロプラチン、トランスプラチン、ロバプラチン、シス-アミンジクロロ(2-メチルピリジン)プラチナ、JM118(シス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)プラチナ(II))、JM149(シス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)-トランス-ジヒドロクソプラチナ(IV))、JM216(ビス-酢酸-シス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)プラチナ(IV))、JM335(トランス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)ジヒドロクソプラチナ(IV))、(トランス, トランス,
    トランス)ビス-mu-(ヘキサン-1,6-ジアミン)-mu-[ジアミン-プラチナ(II)]ビス[ジアミン(クロロ)プラチナ(II)]テトラクロライド、及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記白金化合物がシスプラチンである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記脂質ベース白金化合物製剤における脂質が、卵ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール (EPG)、卵ホスファチジルイノシトール (EPI)、卵ホスファチジルセリン (EPS)、卵ホスファチジルエタノールアミン (EPE)、卵ホスファチジン酸 (EPA)、大豆ホスファチジルコリン (SPC)、大豆ホスファチジルグリセロール (SPG)、大豆ホスファチジルセリン (SPS)、大豆ホスファチジルイノシトール (SPI)、大豆ホスファチジルエタノールアミン (SPE)、大豆リン酸質の酸(SPA)、水素化卵ホスファチジルコリン
    (HEPC)、水素化卵ホスファチジルグリセロール (HEPG)、水素化卵ホスファチジルイノシトール (HEPI)、水素化卵ホスファチジルセリン (HEPS)、水素化卵ホスファチジルエタノールアミン (HEPE)、水素化卵ホスファチジン酸 (HEPA)、水素化大豆ホスファチジルコリン (HSPC)、水素化大豆ホスファチジルグリセロール (HSPG)、水素化大豆ホスファチジルセリン (HSPS)、水素化大豆ホスファチジルイノシトール (HSPI)、水素化大豆 ホスファチジルエタノールアミン
    (HSPE)、水素化大豆リン酸質の酸 (HSPA)、ジパルミトイルホスファチジルコリン (DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン (DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール (DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール
    (DPPG)、ジステアロイルホスファチジルコリン (DSPC)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール (DSPG)、ジオレイルホスファチジル-エタノールアミン(原語: (DOPE))、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン (PSPC)、パルミトイルステアロールホスファチジルグリセロール
    (PSPG)、モノ-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン (MOPE)、コレステロール、エルゴステロール、ラノステロール、トロフェロール、脂肪酸アンモニウム塩、ホスホリドアンモニウム塩、グリセライドアンモニウム塩、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ジラウロイルエチルホスホコリン(DLEP)、ジミリストイルエチルホスホコリン(DMEP)、ジパルミトイルエチルホスホコリン(DPEP)、ジステアロイルエチルホスホコリン(DSEP)、塩化-(2,3- ジ-(9- (Z)-オクタデセニルオキシ)-プロピル-1-イル-N,N,N-トリメチルアンモニウム(DOTMA)、1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、ホスファチジル−グリセロール(PGs)、ホスファチジン酸(PAs)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール
    (DSPG)、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)及びそれらの混合物から成る群より選択される脂質メンバーである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記脂質ベース白金化合物製剤中における脂質がリン脂質とステロールを混合したものである、請求項1に記載の方法。
  9. 脂質ベース白金化合物製剤における脂質が、DPPCとコレステロールを混合したものである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記脂質ベース白金化合物製剤における脂質が、50モル%から65モル%のDPPC及び35モル%から50モル%のコレステロールを混合したものである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記癌が肺癌である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記肺癌が細気管支肺胞上皮癌(BAC)である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記肺癌がリンパ管性癌腫症(LC)である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記肺癌が肺に転移した骨肉腫である、請求項11に記載の方法。
  15. 前記脂質ベース白金化合物製剤における脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:5から重量比で1:50の間である、請求項1に記載の方法。
  16. 前記脂質ベース白金化合物製剤が、平均の直径が0.01ミクロンから3.0ミクロンのリポソームを含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記脂質がDPPCとコレステロールを混合したものであり、前記脂質ベース白金化合物製剤における脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:5から重量比で1:50の間であり、前記脂質ベース白金化合物製剤が、平均の直径が0.01ミクロンから3.0ミクロンのリポソームを含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記脂質がDPPCとコレステロールを混合したものであり、前記脂質ベース白金化合物製剤における脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:5から重量比で1:50の間であり、前記脂質ベース白金化合物製剤が、平均の直径が0.01ミクロンから3.0ミクロンのリポソームを含み、前記白金化合物がシスプラチンである、請求項1に記載の方法。
  19. 前記脂質がDPPCとコレステロールを重量比で2:1で混合したものであって、前記脂質ベース白金化合物製剤における脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:20であって、前記脂質ベース白金化合物製剤が、平均の直径が0.40ミクロンのリポソームを含み、前記白金化合物がシスプラチンである、請求項1に記載の方法。
  20. 前記患者がヒトである、請求項1に記載の方法。
  21. 前記脂質ベース白金化合物製剤を、少なくとも3週間毎に1回、前記患者に投与する、請求項1に記載の方法。
  22. 前記脂質ベース白金化合物製剤を、少なくとも2週間毎に1回、前記患者に投与する、請求項1に記載の方法。
  23. 前記脂質ベース白金化合物製剤における白金化合物の量が、18mg/m2もしくはそれより多い、24 mg/m2もしくはそれより多い、36 mg/m2もしくはそれより多い、または、48 mg/m2もしくはそれより多い、請求項1に記載の方法。
  24. 前記脂質ベース白金化合物製剤における白金化合物の量が、24
    mg/m2またはそれより多く、且つ、前記脂質ベース白金化合物製剤を、少なくとも3週間毎に1回、前記患者に投与する、請求項1に記載の方法。
  25. 前記脂質ベース白金化合物製剤における白金化合物の量が、24mg/m2またはそれより多く、且つ、前記脂質ベース白金化合物製剤を、少なくとも2週間毎に1回、前記患者に投与する、請求項1に記載の方法。
  26. 吸入により前記患者に前記脂質ベース白金化合物製剤を投与するステップを含む、癌患者における癌治療のための治療回数を減らす方法であって、前記白金化合物の濃度が20℃以下の温度における水に対する溶解度よりも高い、方法。
  27. 前記白金化合物の濃度が1.2mg/mlである、請求項26に記載の方法。
  28. 前記白金化合物の濃度が3mg/mlである、請求項26に記載の方法。
  29. 前記白金化合物の濃度が5mg/mlである、請求項26に記載の方法。
  30. 前記白金化合物が、シスプラチン、カルボプラチン(ジアミン(1,1-シクロブタンジカルボキシラート)-プラチナ(II))、DACH-プラチナ、テトラプラチン(オーマプラチン)(テトラクロロ(1,2-サイクロヘクサンジアミン-N,N’)-プラチナ(IV)、チオプラチン(ビス(O)-エチオジチオカルボナト)プラチナ(II))、サトラプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、ヘプタプラチン、イプロプラチン、トランスプラチン、ロバプラチン、シス-アミンジクロロ(2-メチルピリジン)プラチナ、JM118(シス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)プラチナ(II))、JM149(シス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)-トランス-ジヒドロクソプラチナ(IV))、JM216(ビス-酢酸-シス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)プラチナ(IV))、JM335(トランス-アミンジクロロ(シクロヘキシルアミン)ジヒドロクソプラチナ(IV))、(トランス,トランス,
    トランス)ビス-mu-(ヘキサン-1,6-ジアミン)-mu-[ジアミン-プラチナ(II)]ビス[ジアミン(クロロ)プラチナ(II)]テトラクロライド、及びその混合物から成る群より選択される、請求項26に記載の方法。
  31. 前記白金化合物がシスプラチンである、請求項26に記載の方法。
  32. 前記脂質ベース白金化合物製剤における脂質が、卵ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール (EPG)、卵ホスファチジルイノシトール (EPI)、卵ホスファチジルセリン (EPS)、卵ホスファチジルエタノールアミン (EPE)、卵ホスファチジン酸 (EPA)、大豆ホスファチジルコリン (SPC)、大豆ホスファチジルグリセロール (SPG)、大豆ホスファチジルセリン (SPS)、大豆ホスファチジルイノシトール (SPI)、大豆ホスファチジルエタノールアミン (SPE)、大豆リン酸質の酸(SPA)、水素化卵ホスファチジルコリン
    (HEPC)、水素化卵ホスファチジルグリセロール (HEPG)、水素化卵ホスファチジルイノシトール (HEPI)、水素化卵ホスファチジルセリン (HEPS)、水素化卵ホスファチジルエタノールアミン (HEPE)、水素化卵ホスファチジン酸 (HEPA)、水素化大豆ホスファチジルコリン (HSPC)、水素化大豆ホスファチジルグリセロール (HSPG)、水素化大豆ホスファチジルセリン (HSPS)、水素化大豆ホスファチジルイノシトール (HSPI)、水素化大豆 ホスファチジルエタノールアミン
    (HSPE)、水素化大豆リン酸質の酸 (HSPA)、ジパルミトイルホスファチジルコリン (DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン (DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール (DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール
    (DPPG)、ジステアロイルホスファチジルコリン (DSPC)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール (DSPG)、ジオレイルホスファチジル-エタノールアミン(原語: (DOPE))、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン (PSPC)、パルミトイルステアロールホスファチジルグリセロール
    (PSPG)、モノ-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン (MOPE)、コレステロール、エルゴステロール、ラノステロール、トロフェロール、脂肪酸アンモニウム塩、ホスホリドアンモニウム塩、グリセライドアンモニウム塩、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ジラウロイルエチルホスホコリン(DLEP)、ジミリストイルエチルホスホコリン(DMEP)、ジパルミトイルエチルホスホコリン(DPEP)、ジステアロイルエチルホスホコリン(DSEP)、塩化-(2,3- ジ-(9-(Z)-オクタデセニルオキシ)-プロピル-1-イル-N,N,N-トリメチルアンモニウム (DOTMA)、1,2-ビス(オルオイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、ホスファチジル−グリセロール(PGs)、ホスファチジン酸(PAs)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール
    (DSPG)、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、及びその混合物から成る群より選択される脂質メンバーである、請求項26に記載の方法。
  33. 前記脂質ベース白金化合物製剤における脂質が、ホスホリピドとステロールを混合したものである、請求項26に記載の方法。
  34. 前記脂質ベース白金化合物製剤における脂質が、DPPCとコレステロールを混合したものである、請求項26に記載の方法。
  35. 前記脂質ベース白金化合物製剤における脂質が、50モル%から65モル%のDPPC及び35モル%から50モル%のコレステロールを混合したものである、請求項26に記載の方法。
  36. 前記癌が肺癌である、請求項26に記載の方法。
  37. 前記肺癌が細気管支肺胞上皮癌(BAC)である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記肺癌がリンパ管性癌腫症(LC)である、請求項36に記載の方法。
  39. 前記肺癌が肺に転移した骨肉腫である、請求項36に記載の方法。
  40. 前記脂質ベース白金化合物製剤における、脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:5から重量比で1:50の間である、請求項26に記載の方法。
  41. 前記脂質ベース白金化合物製剤である、平均の直径が0.01ミクロンから3.0ミクロンのリポソームを含む、請求項26に記載の方法。
  42. 前記脂質がDPPCとコレステロールを混合したものであり、前記脂質ベース白金化合物製剤における、脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:5から重量比で1:50の間であり、前記脂質ベース白金化合物製剤が、平均の直径が0.01ミクロンから3.0ミクロンのリポソームを含む、請求項26に記載の方法。
  43. 前記脂質がDPPCとコレステロールを混合したものであり、前記脂質ベース白金化合物製剤における、脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:5から重量比で1:50の間であり、前記脂質ベース白金化合物製剤は、平均の直径が0.01ミクロンから3.0ミクロンのリポソームを含む、前記白金化合物がシスプラチンである、請求項26に記載の方法。
  44. 前記脂質がDPPCとコレステロールを重量比で2:1で混合したものであって、前記脂質ベース白金化合物製剤における、脂質に対する白金化合物の比が、重量比で1:5から重量比で1:50の間であり、前記脂質ベース白金化合物製剤は、平均の直径が0.01ミクロンから3.0ミクロンのリポソームを含む、前記白金化合物がシスプラチンである、請求項26に記載の方法。
  45. 前記患者がヒトである、請求項26に記載の方法。
  46. 前記脂質ベース白金化合物製剤を、少なくとも3週間毎に1回、前記患者に投与する、請求項26に記載の方法。
  47. 前記脂質ベース白金化合物製剤を、少なくとも2週間毎に1回、前記患者に投与する、請求項26に記載の方法。
  48. 前記脂質ベース白金化合物製剤における白金化合物の量が、18mg/m2もしくはそれより多い、24 mg/m2もしくはそれより多い、36mg/m2もしくはそれより多い、または、48mg/m2もしくはそれより多い、請求項26に記載の方法。
  49. 前記脂質ベース白金化合物製剤における白金化合物の量が、24
    mg/m2またはそれより多く、且つ、前記脂質ベース白金化合物製剤を、少なくとも3週間毎に1回、前記患者に投与する、請求項26に記載の方法。
  50. 前記脂質ベース白金化合物製剤における白金化合物の量が、24
    mg/m2またはそれより多く、且つ、前記脂質ベース白金化合物製剤を、少なくとも2週間毎に1回、前記患者に投与する、請求項26に記載の方法。
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