JP2010287437A - 高分子電解質膜、ならびにそれを用いた膜電極接合体および燃料電池 - Google Patents

高分子電解質膜、ならびにそれを用いた膜電極接合体および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高分子電解質膜の機械的強度(特に、膨潤時の寸法安定性)を確保する手段を提供する。
【解決手段】本発明の高分子電解質膜は、第1のイオン伝導性電解質を含む第1の電解質層と、当該第1の電解質層の両面に配置された第2の電解質層とを有する。そして、第2の電解質層は、第1のイオン伝導性電解質とは異なり、かつ水不溶性の第2のイオン伝導性電解質を含む。さらに、第1の電解質層が、2つの前記第2の電解質層により形成される閉空間に配置される。
【選択図】図2

Description

本発明は高分子電解質膜、ならびにそれを用いた膜電極接合体および燃料電池に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電解質の種類や電極の種類等により種々のタイプに分類され、代表的なものとしてはアルカリ型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子形がある。この中でも低温(通常100℃以下)で作動可能な固体高分子形燃料電池が注目を集め、近年自動車用低公害動力源としての開発・実用化が進んでいる。
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、一般的には、高分子電解質膜(陽イオン交換膜)の両側にそれぞれアノード側電極およびカソード側電極を対設して構成し、さらにその外側を各々ガス拡散層とセパレータで挟持することにより構成されている。通常、この単位燃料電池セルを所定数積層し、0.5〜3.0MPa程度の面圧で加圧挟持することによって燃料電池スタックとして使用する。
PEFCに用いられる高分子電解質膜に求められる特性の1つとして、優れた機械的強度が挙げられる。高分子電解質膜の機械的強度を向上させることは、PEFCの耐久性の向上には必須の条件である。
従来、プロトン伝導性材料からなる層と鱗片状粒子材料からなる層を積層した固体高分子形燃料電池用電解質膜において、電解質膜−触媒層接合体を構成する電解質膜の両面に、それぞれ触媒粒子及び電解質バインダーからなる触媒層が形成するという手法が提案されている(特許文献1を参照)。
特開2009−26535号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電解質膜は、端部が開放されているため、端部から水が浸入して膨潤するおそれがある。よって、依然として発電時に高分子電解質が膨潤した際の寸法安定性が十分であるとはいえないという問題がある。
そこで本発明は、高分子電解質膜の機械的強度(特に、膨潤時の寸法安定性)を確保する手段を提供することを目的とする。
本発明の高分子電解質膜は、第1のイオン伝導性電解質を含む第1の電解質層と、当該第1の電解質層の両面に配置された第2の電解質層とを有する。そして、第2の電解質層は、第1のイオン伝導性電解質とは異なり、かつ水不溶性の第2のイオン伝導性電解質を含む。さらに、第1の電解質層が、2つの前記第2の電解質層により形成される閉空間に配置される。
本発明の高分子電解質膜においては、第1のイオン伝導性電解質が第2の電解質層により形成される閉空間に配置されている。これにより、第1のイオン伝導性電解質の溶出が防止される。その結果、電解質膜の機械的強度が十分に確保されうる。
本発明の一実施形態である固体高分子形燃料電池(PEFC)の基本構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態の高分子電解質膜の一例を示す概略図であり、Aは側面断面図、Bは平面図である。 本発明の他の実施形態の高分子電解質膜の一例を示す概略平面図である。 実施例1において作製した電解質膜、および比較膜としてのBPSH35膜について、膜面導電率を測定した結果を示すグラフである。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態である固体高分子形燃料電池(PEFC)の基本構成を示す概略図である。なお、図1には燃料電池の単セルが図示されている。図1に示すPEFC10は、高分子電解質膜12を有する。そして、前記高分子電解質膜12の一方の面には、カソード触媒層15およびカソードガス拡散層16を含むカソードガス拡散電極が配置されている。また、高分子電解質膜12の他方の面には、アノード触媒層13およびアノードガス拡散層14を含むアノードガス拡散電極が配置されている。なお、本願において、「高分子電解質膜−電極接合体(MEA)」とは、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持する1対のガス拡散電極とを有する集合体を意味する。なお、高分子電解質膜−電極接合体を単に、「膜電極接合体」や「MEA」と称することもある。
図1に示す形態のPEFC10において、MEAは、カソード側セパレータ17およびアノード側セパレータ18からなる1対のセパレータにより挟持されている。ここで、カソード側セパレータ17のカソードガス拡散層16側表面には、運転時に酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路19が設けられている。そして、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。一方、アノード側セパレータ18のアノードガス拡散層14側表面には、運転時に燃料ガスが流通する燃料ガス流路20が設けられている。そして、反対側の表面には、運転時に冷却剤が流通する冷却流路(図示せず)が設けられている。さらに、PEFC10の周囲には、1対のガス拡散電極を包囲するように、ガスケット21が配置されている。ガスケット21はシール部材であり、接着層(図示せず)を介して、MEAの高分子電解質膜12の外面に固定される構成を有していてもよい。ガスケットは、セパレータとMEAとのシール性を確保する機能を有している。なお、必要に応じて用いられる接着層は、接着性を確保することを考慮すると、ガスケットの形状に対応し、高分子電解質膜の全周縁部に、額縁状に配置されることが好ましい。
図2は、本実施形態の高分子電解質膜の一例を示す概略図であり、Aは側面断面図、Bは平面図である。図2に示すように、本実施形態の高分子電解質膜22は、ポリスチレンスルホン酸からなる電解質層(第1の電解質層)23と、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質であるNafion(登録商標)からなる他の2つの電解質層(第2の電解質層)24とからなる。そして、2つの第2の電解質層24の外周部は互いに融着されており、これにより、第1の電解質層23は、2つの前記第2の電解質層24からなる袋構造の内部に封入されている。
本実施形態において、高分子電解質膜22の両表面には水不溶性の電解質を含む電解質層(第2の電解質層)24が位置する。このため、高分子電解質膜の機械的強度(特に、膨潤時の寸法安定性)が十分に確保される。また、内部に他の電解質層(第1の電解質層)が挟持されてなることにより、高分子電解質膜のプロトン伝導性の低下も十分に抑制される。
[高分子電解質膜]
以下、本実施形態の高分子電解質膜について、詳細に説明する。
[第1の電解質層]
第1の電解質層23は、第1のイオン伝導性電解質を含む。図1および図2に示す形態において、第1のイオン伝導性電解質はポリスチレンスルホン酸である。ただし、かような形態のみには限定されず、PEFCの技術分野における従来公知の知見が適宜参照されうる。また、場合によっては、将来的に新たに開発された材料が第1のイオン伝導性電解質として用いられてもよい。
第1のイオン伝導性電解質としては、例えば、フッ素系高分子電解質、炭化水素系電解質、固体酸電解質、無機電解質、およびイオン液体が挙げられる。このように、第1の電解質層は第2の電解質層に挟持される構造を有し、第2の電解質層により保護されることから、第1のイオン伝導性電解質層の材料選択の自由度は大きい。
ここで、フッ素系高分子電解質の具体例としては、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーなどが挙げられる。
炭化水素系電解質の具体例としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化エンジニアリングプラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレン等のスルホアルキル化エンジニアリングプラスチック系電解質が挙げられる。
固体酸電解質の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカアルミナや、これらのスルホン化物、スルホアルキル化物などが挙げられる。
無機電解質の具体例としては、例えば、下記化学式(1)で表される金属アルコキシドからなるゾル・ゲル反応生成物や、これらのスルホン化物、スルホアルキル化物が挙げられる。
Figure 2010287437
前記化学式(1)中、Mは、Si、Ta、Nb、Ti、Zr、Al、Ge、B、Na、Ga、Ce、V、Ta、P、およびSbからなる群より選択される少なくとも1種の金属であり、Rは炭素数1〜8の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、nは1〜5の整数である。
前記化学式(1)中のRとして用いられる炭素数1〜8の直鎖状または分枝状のアルキル基の具体的な例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−アミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、1,1−ジメチルペンタン−1−イル基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イル基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−メチルヘプタン−2−イル基、3−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基などが挙げられる。
前記化学式(1)の構造を有する金属アルコキシドのさらに具体的な例としては、例えば、ナトリウムエトキシド、チタンテトライソプロポキシドなどが挙げられる。
イオン液体の例としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMI−TFSI)や、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフレート(EMI−Tf)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム フルオロヒドロジェネレート(EMI(HF)F)などが挙げられる。
なお、上述した第1のイオン伝導性電解質としては、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
ところで、高分子電解質膜のプロトン伝導性を向上させるための一般的な方策として、イオン交換容量(IEC)の大きい電解質を用いることが行なわれている。しかしながら、イオン交換容量の大きい電解質は一般に、水溶性が高い。したがって、電解質のイオン交換容量を上げすぎると、発電時に当該電解質が溶出してしまい、やはり高分子電解質膜のプロトン伝導性が低下してしまうという問題がある。かような問題は、上述した特許文献1に記載の多孔質材料に電解質を充填した際にも、同様に発生する可能性がある。
これに対し、本実施形態によれば、電解質膜22の内部に配置される電解質層(第1の電解質層23)を構成する電解質(第1のイオン伝導性電解質)として、イオン交換容量の大きいものや水溶性のものを用いた場合には、上述した問題の発生も防止することができる。これは、第1の電解質層23の両側に配置される、水不溶性である2つの第2の電解質層24の存在によって、第1の電解質層23を構成する第1のイオン伝導性電解質の溶出が防止されるためである。
かような観点から、第1のイオン伝導性電解質のイオン交換容量(質量換算(meq/g)または体積換算(meq/cm))は、第2のイオン伝導性電解質のイオン交換容量よりも大きいことが好ましい。好ましくは、第1のイオン伝導性電解質のイオン交換容量は、第2のイオン伝導性電解質のイオン交換容量の1.1倍以上であり、より好ましくは1.2〜100倍であり、さらに好ましくは2〜10倍である。
また、上記と同様の理由から、第1のイオン伝導性電解質の水100mLに対する溶解度(25℃)は、第2のイオン伝導性電解質の水100mLに対する溶解度(25℃)よりも大きいことが好ましい。
上述した第1のイオン伝導性電解質のなかでも、このようなイオン交換容量や水に対する溶解度の好ましい形態に該当するものとしては、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化エンジニアリングプラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレン等のスルホアルキル化エンジニアリングプラスチック系電解質等の炭化水素系電解質などが挙げられる。
第1の電解質層の平面方向における第1のイオン伝導性電解質の配置は、特に制限されず、例えば、図2の平面図のように、平面方向の全面に、第1のイオン伝導性電解質が配置されてもよい。また、第1のイオン伝導性電解質同士が局在化しないように好ましくは適当に、より好ましくは略均等に、さらに好ましくは均等に分散して配置されていてもよい。かような構造の例としては、例えば、アレイ状に配置された構造、すなわち、図3に示すような、いわゆる海島構造(第1のイオン伝導性電解質31が島状に配置され、他の第1のイオン伝導性電解質32が海状に配置されている)が例示できる。さらに、第1のイオン伝導性電解質31のみが、島状に配置されている構造(すなわち、図3において、海状に配置されている他の第1のイオン伝導性電解質32を含まない構造)であってもよい。
図3に示す形態では、第1のイオン伝導性電解質の平面形状が正方形状となっている例を示しているが、かような形態のみには限定されない。第1のイオン伝導性電解質の平面形状の例としては、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形形状、円形状、楕円形状、十文字形状などの定形形状が挙げられ、また、不定形形状であってもよい。この形状は、同じ内部膜内で同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。また、第1のイオン伝導性電解質の平面方向の間隔は、一定であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
第1の電解質層の厚さは、特に制限されないが、1〜200μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、1〜25μmであることがさらに好ましい。第1の電解質層の厚さがかような範囲内の値であれば、膜抵抗を増大させることなくイオン伝導性が確保され、十分な発電性能が得られる。
[第2の電解質層]
第2の電解質層24は、第2のイオン伝導性電解質を含む。第2のイオン伝導性電解質は、第1のイオン伝導性電解質とは異なる電解質であって、かつ、水不溶性のものである。図1および図2に示す形態において、第2のイオン伝導性電解質はパーフルオロスルホン酸系高分子電解質であるNafion(登録商標)である。ただし、かような形態のみには限定されず、PEFCの技術分野における従来公知の知見が適宜参照されうる。また、場合によっては、将来的に新たに開発された材料が第2のイオン伝導性電解質として用いられてもよい。
第2のイオン伝導性電解質としては、例えば、フッ素系高分子電解質やスルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化エンジニアリングプラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレン等のスルホアルキル化エンジニアリングプラスチック系電解質のほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルアミド、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルプロピナール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のヒドロキシル基含有高分子、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)などの高分子にスルホン酸基、スルホアルキル基、クロロスルホン酸基などのイオン交換性官能基を導入した高分子などが挙げられる。なお、これらのなかには、上記で第1のイオン伝導性電解質として列挙したものも含まれているが、第1のイオン伝導性電解質と第2のイオン伝導性電解質とが異なる限り、本発明の技術的範囲に含まれうる。
なお、上述した第1のイオン伝導性電解質としては、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。なかでも、耐熱性、化学的安定性などの発電性能上の観点から、第2のイオン伝導性電解質としては、フッ素系高分子電解質が好ましく用いられる。
本実施形態においては、図2を参照しつつ説明したように、2つの第2の電解質層24の外周部が互いに融着されることにより形成された袋構造の内部に、第1の電解質層23が封入されている。かような構成とすることにより、発電時に第1のイオン伝導性電解質が膨潤した際の寸法安定性といった電解質膜の機械的強度が確実に確保されうる。ただし、本発明の技術的範囲はかような形態のみには限定されない。第1の電解質層23が、2つの第2の電解質層24により形成される閉空間に配置されていればよいのである。例えば、電解質膜22を構成する第2の電解質層24は、外周部が互いに融着されていなくてもよい。
第2の電解質層(単層)の厚さは、0.1〜200μmであることが好ましく、0.1〜50μmであることがより好ましく、0.1〜25μmであることがさらに好ましい。第2の電解質層の厚さがかような範囲内の値であれば、膜抵抗を増大させることなくイオン伝導性が確保され、十分な発電性能が得られる。
<電解質膜の製造方法>
本発明の高分子電解質膜の製造方法は、特に限定されない。例えば、図2に示す形態の高分子電解質膜を製造する場合を例に挙げて説明すれば、まず、第1の電解質層および第2の電解質層2つをそれぞれ作製する。その後、これらを第2の電解質層/第1の電解質層/第2の電解質層の順に積層して積層物を得る。そして、得られた積層物の外周縁部を熱融着により封止する。これにより、図2に示す形態の高分子電解質膜を製造することが可能である。以下、かような製造方法について、工程順に詳細に説明するが、下記の形態のみには制限されない。
まず、第1の電解質層を構成する第1のイオン伝導性電解質を、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、トルエンなどの有機溶媒に溶解し溶液を調製する。次に、得られた溶液をガラス基板、シリコンウエハ、テフロン(登録商標)シート、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、アルミニウム箔、ステンレス箔などの基材上に展開または塗布する。展開または塗布の際に用いられる装置は特に制限されず、例えば、スピンコーター、アプリケーター、バーコーターなどが挙げられる。その後、必要に応じて塗膜を乾燥する。これにより、第1の電解質層が作製される。
第2の電解質層の形成も、上記の第1の電解質層の形成と同様に行なうことができる。すなわち、第2のイオン伝導性電解質を、例えば、NMP、DMSO、DMF、DMAc、THF、トルエンなどの有機溶媒に溶解し溶液を調製する。その後、得られた溶液を基材上に展開または塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥する。これにより、第2の電解質層が作製される。得られた溶液を展開または塗布する基材、および溶液の展開または塗布に用いられる装置などは、上記の第1の電解質層の形成の場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
その後、形成された第1の電解質層および第2の電解質層を、第2の電解質層/第1の電解質層/第2の電解質層の順に積層する。その後、得られた積層物の外周縁部を熱融着させて、電解質膜を完成させる。なお、場合によっては、具体的には、積層物の外周縁部の一部または全部に開口部が設けられる場合、開口部に対応する箇所の熱融着は省略される。
熱融着時の温度、圧力、および時間の条件は、第1の電解質層および第2の電解質層の構成材料の種類によって変わりうる。例えば、第2の電解質層としてNafion(登録商標)膜を用いる場合、熱融着時の温度は90〜150℃であることが好ましく、90〜130℃であることがより好ましい。また、熱融着時の圧力は0.1〜10MPaであることが好ましく、0.1〜5MPaであることがより好ましい。熱融着の際に用いられる装置は特に制限されず、従来公知の熱融着装置が用いられうる。
図3に示すような、第1の電解質層を構成する第1のイオン伝導性電解質の平面方向の配置をアレイ状に配置する方法も、特に制限されない。例えば、第1のイオン伝導性電解質を含む溶液を、所望の形状で基材上に塗布した後、塗布した部分をテフロン(登録商標)シートで覆い、他の材料を含む溶液をさらに塗布する方法が挙げられる。また、例えば、他の材料を含む溶液を、所望の形状で基材上に塗布した後、塗布した部分をテフロン(登録商標)シートで覆い、第1のイオン伝導性電解質を含む溶液をさらに塗布する方法が挙げられる。
本発明において、高分子電解質膜以外のMEAやPEFCを構成する部材については、燃料電池の分野において従来公知の構成がそのまま、または適宜改良されて採用されうる。以下、MEAおよびPEFCの各構成要素について、順に詳細に説明するが、下記の形態のみに限定されることはない。
[触媒層]
触媒層は、実際に反応が進行する層である。具体的には、アノード側触媒層では水素の酸化反応が進行し、カソード側触媒層では酸素の還元反応が進行する。触媒層は、触媒成分、触媒成分を担持する導電性担体、およびプロトン伝導性の高分子電解質を含む。
アノード側触媒層に用いられる触媒成分は、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。また、カソード側触媒層に用いられる触媒成分もまた、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、およびそれらの合金等などから選択される。ただし、その他の材料が用いられてもよいことは勿論である。これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。前記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金が30〜90原子%、合金化する金属が10〜70原子%とするのがよい。カソード側触媒として合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者が適宜選択できるが、白金が30〜90原子%、合金化する他の金属が10〜70原子%とすることが好ましい。なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。この際、アノード触媒層に用いられる触媒成分およびカソード触媒層に用いられる触媒成分は、上記の中から適宜選択できる。以下の説明では、特記しない限り、アノード触媒層およびカソード触媒層用の触媒成分についての説明は、両者について同様の定義であり、一括して、「触媒成分」と称する。しかしながら、アノード触媒層およびカソード触媒層の触媒成分は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択される。
触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状および大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、触媒粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜30nm、より好ましくは1.5〜20nm、さらに好ましくは2〜10nm、特に好ましくは2〜5nmである。触媒粒子の平均粒子径がかような範囲内の値であると、電気化学反応が進行する有効電極面積に関連する触媒利用率と担持の簡便さとのバランスが適切に制御されうる。なお、本発明における「触媒粒子の平均粒子径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径や、透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値として測定されうる。
導電性担体は、上述した触媒成分を担持するための担体、および触媒成分との電子の授受に関与する電子伝導パスとして機能する。
導電性担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、充分な電子伝導性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであることが好ましい。具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。なお、「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、「実質的に炭素原子からなる」とは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されうることを意味する。
導電性担体のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに充分な比表面積であればよいが、好ましくは20〜1600m/g、より好ましくは80〜1200m/gである。導電性担体の比表面積がかような範囲内の値であると、導電性担体上での触媒成分の分散性と触媒成分の有効利用率とのバランスが適切に制御されうる。
導電性担体のサイズについても特に限定されないが、担持の簡便さ、触媒利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、平均粒子径を5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするとよい。
導電性担体に触媒成分が担持されてなる複合体(以下、「電極触媒」とも称する)において、触媒成分の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。触媒成分の担持量がかような範囲内の値であると、導電性担体上での触媒成分の分散度と触媒性能とのバランスが適切に制御されうる。なお、触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって測定されうる。
また、担体への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。
または、本発明において、電極触媒は市販品を使用してもよい。このような市販品としては、例えば、田中貴金属工業製、エヌ・イー・ケムキャット製、E−TEK製、ジョンソンマッセイ製などの電極触媒が使用できる。これらの電極触媒は、カーボン担体に、白金や白金合金を担持(触媒種の担持濃度、20〜70質量%)したものである。上記において、カーボン担体としては、ケッチェンブラック、バルカン、アセチレンブラック、ブラックパール、予め高温で熱処理した黒鉛化処理カーボン担体(例えば、黒鉛化処理ケッチェンブラック)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンファイバー、メソポーラスカーボンなどがある。
触媒層には、電極触媒に加えて、イオン伝導性の高分子電解質が含まれてもよい。当該高分子電解質は特に限定されず、従来公知の知見が適宜参照されうるが、例えば、上述した外部膜を構成するイオン交換樹脂が高分子電解質として触媒層に添加されうる。触媒層が保水層である場合には、バインダー材料として、上記高分子電解質が用いられる。
[ガス拡散層]
1対のガス拡散層は、上述した電解質膜と触媒層とからなるMEAを挟持するように配置される。ガス拡散層は、後述するセパレータの有するガス流路を介して供給されたガス(アノード側:燃料ガス、カソード側:酸化剤ガス)の触媒層への拡散を促進させる機能、および電子伝導パスとしての機能を有する。
ガス拡散層の基材を構成する材料は特に限定されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性および多孔質性を有するシート状材料が挙げられる。基材の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。基材の厚さがかような範囲内の値であれば、機械的強度とガスおよび水などの拡散性とのバランスが適切に制御されうる。
ガス拡散層は、親水処理されてなるものであることが好ましい。ガス拡散層が親水処理されていることで、触媒層に存在する(または流入した)過剰な水分の排出が促進され、フラッディング現象の発生が効果的に抑制されうる。ここで、ガス拡散層に対して施される親水処理の具体的な形態としては、例えば、カーボン基材表面への酸化チタンのコーティングといった処理やカーボン基材表面を酸性官能基により修飾するといった処理が挙げられる。ただし、これらの形態のみに限定されることはなく、場合によってはその他の親水処理が採用されてもよい。
また、触媒層に存在する過剰な水分の排出を促進させてフラッディング現象の発生を抑制するために、ガス拡散層は、カーボン粒子を含むカーボン粒子層を基材の触媒層側に有するものであってもよい。
カーボン粒子層に含まれるカーボン粒子は特に限定されず、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛などの従来公知の材料が適宜採用されうる。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく用いられうる。カーボン粒子の平均粒子径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより、毛細管力による高い排水性が得られるとともに、触媒層との接触性も向上させることが可能となる。
カーボン粒子層は撥水剤を含んでもよい。撥水剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系の高分子材料が好ましく用いられうる。
[ガスケット]
ガスケットは、1対のガス拡散電極を包囲するようにPEFCの周囲に配置され、触媒層に供給されたガスが外部にリークするのを防止する機能を有する。
ガスケットを構成する材料としては、特に制限はないが、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスケットの厚さにも特に制限はなく、好ましくは50μm〜2mmであり、より好ましくは100μm〜1mm程度とすればよい。
[セパレータ]
MEAは、セパレータで挟持されてPEFCの単セルを構成する。PEFCは、単セルが複数個直列に接続されてなるスタック構造を有するのが一般的である。この際、セパレータは、各MEAを直列に電気的に接続する機能に加えて、燃料ガスおよび酸化剤ガス並びに冷媒といった異なる流体を流す流路やマニホールドを備え、さらにはスタックの機械的強度を保つといった機能をも有する。
セパレータを構成する材料は特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうるが、例えば、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン材料や、ステンレス等の金属材料などが挙げられる。セパレータのサイズや流路の形状などは特に限定されず、PEFCの出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
本実施形態のMEAおよびPEFCは、本実施形態の高分子電解質膜を備えていることから、機械的強度・プロトン伝導性に優れる。なお、本実施形態のMEAおよびPEFCの製造方法は特に制限されず、燃料電池の分野において従来公知の知見を適宜参照することにより製造可能である。
本実施形態のPEFCは、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源の他、定置用電源などとして有用であるが、特にシステムの起動/停止や出力変動が頻繁に発生する車両、より好ましくは自動車用途で特に好適に使用できる。上述したように、本実施形態のMEAおよびPEFCは機械的強度・プロトン伝導性に優れるため、本実施形態によれば、耐久性に優れた燃料電池車が提供されうる。
実施例1:袋構造の電解質膜の作製
市販の30質量%ポリスチレンスルホン酸水溶液を、NMPにより2.2質量%まで希釈し、テフロンシート基板上に溶液キャストした。次いで、これを80℃にて18時間加熱することにより、第1の電解質層を6cm×6cmのサイズに製膜した。一方、第2の電解質層として、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質膜であるNafion(登録商標)NRE211膜(デュポン社製、イオン交換容量0.95meq/g)を準備し、10cm×10cmのサイズに切り出した。
上記で得られた第1の電解質層を、第2の電解質層2枚で挟持し、90℃にて60分間、0.5MPaの圧力で、第2の電解質層の周縁部にホットプレス処理を施し融着させて、袋構造の電解質膜を作製した。
実施例2:溶出確認実験
上記と同様のNRE211膜2枚から作製された、3辺がシールされた構造の袋状電解質膜を準備した。この袋状電解質膜の中に、30質量%ポリスチレンスルホン酸水溶液を入れ、袋の上部をクリップで留めた。この袋状電解質膜を大気中で室温にて1週間放置した。その結果、袋の内部に入れた溶液が溶出することはなかった。
また、上述した大気中での放置の後、続けて、袋状電解質膜を室温にて水中に一晩浸漬させた。その結果、袋の内部への水の浸入は観察されたが、ポリスチレンスルホン酸が袋の外(すなわち、水中)へと溶出することはなかった。このことから、上記の実施例1において作製した袋構造の電解質膜における第1の電解質層を構成するポリスチレンスルホン酸が、燃料電池の使用時に水に溶解したとしても、袋構造の外部への溶出は防止されることが示唆される。
実施例3:袋構造の電解質膜の導電率の測定
上記の実施例1において作製した袋構造の電解質膜について、高温調湿チャンバー中、80℃の温度条件下で、相対湿度を30〜 90%RHの範囲で変化させ、その際に4端子法により、プロトン伝導性の指標となる膜面導電率を測定した。ここで、低湿から高湿、および高湿から低湿の往復を1サイクルとし、合計3サイクルの導電率測定を行なった。なお、比較膜としては、炭化水素系高分子電解質膜の代表膜であるBPSH35膜(Journal of Membrane Science 197 (2002) 231−242、イオン交換用量1.5meq/g)を用いた。この結果を図4に示す。
図4に示すように、1サイクル目の低湿から高湿へ向かっての導電率は、比較膜と同様に大きく変化した。一方、それ以降の導電率については、低湿条件下での導電率が徐々に向上する(改善される)ことが確認された。これは、袋構造の電解質膜の第1の電解質層を構成するポリスチレンスルホン酸の溶出が、第2の電解質層の存在により防止されたことによるものと考えられる。このことから、本発明により提供される電解質膜によれば、低湿条件下におけるプロトン伝導性が向上しうることが示唆される。
12、22 高分子電解質膜、
10 固体高分子形燃料電池(PEFC)、
13 アノード触媒層、
14 アノードガス拡散層、
15 カソード触媒層、
16 カソードガス拡散層、
17 カソード側セパレータ、
18 アノード側セパレータ、
19 酸化剤ガス流路、
20 燃料ガス流路、
21 ガスケット、
23 第1の電解質層、
24 第2の電解質層、
31 第1のイオン伝導性電解質、
32 他の第1のイオン伝導性電解質。

Claims (8)

  1. 第1のイオン伝導性電解質を含む第1の電解質層と、
    前記第1の電解質層の両面に配置され、前記第1のイオン伝導性電解質とは異なり、かつ水不溶性の第2のイオン伝導性電解質を含む第2の電解質層と、を有し、
    前記第1の電解質層が、2つの前記第2の電解質層により形成される閉空間に配置されてなる、高分子電解質膜。
  2. 前記第1のイオン伝導性電解質のイオン交換容量が、前記第2のイオン伝導性電解質のイオン交換容量よりも大きい、請求項1に記載の高分子電解質膜。
  3. 前記第1のイオン伝導性電解質の水100mLに対する溶解度(25℃)が、前記第2のイオン伝導性電解質の水100mLに対する溶解度(25℃)よりも大きい、請求項1または2に記載の高分子電解質膜。
  4. 2つの前記第2の電解質層の外周部が互いに融着されることにより、前記第1の電解質層が2つの前記第2の電解質層からなる袋構造の内部に封入されてなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
  5. 前記第1のイオン伝導性電解質は、フッ素系高分子電解質、炭化水素系電解質、固体酸電解質、無機電解質、およびイオン液体からなる群から選択される1種または2種以上の電解質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子電解質膜と、
    前記高分子電解質膜の一方の面に配置された、アノード触媒層と、
    前記高分子電解質膜の他方の面に配置された、カソード触媒層と、
    を有する、燃料電池用膜電極接合体。
  7. 請求項6に記載の燃料電池用膜電極接合体を有する、燃料電池。
  8. 請求項7に記載の燃料電池をモータ駆動用電源として搭載した、車両。
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