JP2004220995A - 膜−電極接合体、その製造方法、及び燃料電池 - Google Patents

膜−電極接合体、その製造方法、及び燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電極触媒層とイオン交換膜との接合界面の剥がれを抑制し、良好かつ安定な発電性能を発揮する膜−電極接合体、その製造法、及びそれを使用した固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】一対の電極触媒層と、電極触媒層に挟持されたイオン交換膜とからなる膜−電極接合体であって、前記イオン交換膜は、水による膨潤量の小さな第1のイオン交換膜5,6と、水による膨潤量の大きな第2のイオン交換膜4とからなり、電極触媒層2,3に隣接して第1のイオン交換膜5,6が配置され、電極触媒層2,3に隣接しない内部には第2のイオン交換膜4が配置された積層構造であることを特徴とする膜−電極接合体。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池に使用可能なイオン交換膜の両面に触媒担持ガス拡散電極が接合された膜−電極接合体、その製造方法、及びそれを有する固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、将来の新エネルギー技術の柱の一つとして期待されている。電解質として高分子からなるイオン交換膜を用いた固体高分子型燃料電池(PEFCまたはPEMFC)は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体および民生用携帯機器への適用が検討されている。特に、固体高分子型燃料電池を搭載した燃料電池自動車は究極のエコロジーカーとして社会的な関心が高まっている。
【0003】
固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料であり、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過する性質を有している。特に、パーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系電解質膜は、化学的安定性が非常に高いことから、過酷な条件下で使用される燃料電池用イオン交換膜として賞用されている。
【0004】
例えば、改質ガス燃料電池は、プロトン伝導性のイオン交換膜の両面に一対の電極を設け、メタン、メタノール等、低分子の炭化水素を改質することにより得られる水素ガスを燃料ガスとして一方の電極(燃料極)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を酸化剤として異なる電極(空気極)へ供給し、起電力を得るものである。
【0005】
燃料電池の場合、イオン交換膜と電極の界面に形成された触媒層において過酸化物が生成し、生成した過酸化物が拡散しながら過酸化物ラジカルとなって劣化反応を起こすので、耐酸化性に乏しい炭化水素系電解質膜を使用することができない。そのため、燃料電池や水電解においては、一般に、高いプロトン伝導性を有するパーフルオロスルホン酸膜が用いられている。
【0006】
現在、固体高分子型燃料電池に使用されるイオン交換膜としては、デュポン社のナフィオン(登録商標)、旭硝子社のフレミオン(登録商標)、旭化成社のアシプレックス(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が用いられている
これらのイオン交換膜を固体高分子型燃料電池に適用するには、燃料の酸化能、酸化剤の還元能を有する触媒を、前記イオン交換膜の両面にそれぞれ配置し、その外側にガス拡散電極を配置した構造の膜−電極接合体を用いる。
【0007】
即ち、その構造は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜からなるイオン交換膜の両面に、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒反応層を形成する。次に、触媒反応層の外面に、燃料ガスの通気性と電子伝導性を併せ持つ、ガス拡散層を形成する。一般的にガス拡散層には、カーボンペーパーまたはカーボンクロスが用いられている。前述した触媒反応層とガス拡散層とを併せて電極と呼ぶ。
【0008】
次に、供給する燃料ガスのリーク、及び二種類の燃料ガスの混合防止に、ガスシール材やガスケットを電極周囲にイオン交換膜を挟む形で配置する。このガスシール材やガスケットと、電極及びイオン交換膜と一体化して予め組み立て、膜−電極接合体(MEA:Membrane−Electrode−Assembly)と呼ぶ。
【0009】
MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接したMEAを互いに電気的に直列で接続するための導電性と気密性を有するセパレータを配置する。セパレータのMEAと接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路を形成する。ガス流路はセパレータと別に設けることもできるが、セパレータの表面に溝を設けてガス流路とする方法が一般的である。この一対のセパレータでMEAを固定した構造を基本単位である単電池とする。
【0010】
この単電池を直列に複数連結し、燃料ガスを供給する配管治具であるマニホールドを配置し、燃料電池が構成される。
【0011】
従来、この膜−電極接合体の製造方法には、大別して次の2つの方法が知られている。
(1)イオン交換膜に直接電極触媒を析出させる方法。
(2)触媒能を有するガス拡散電極シートを作製し、ホットプレスによりイオン交換膜に接合させる方法(以下、ホットプレス法という)。
【0012】
現在では、少量の触媒を有効に利用できる(2)のホットプレス法が主流となっている。この方法についても様々な方法が提案されているが、要約すると触媒を担持したガス拡散電極の触媒面側に、イオン交換膜溶液を塗布し、イオン交換膜の軟化温度〜熱分解温度の範囲でホットプレスして接合するものである。
【0013】
ところで、パーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系電解質は、C−F結合を有しているために化学的安定性が非常に高く、上述した燃料電池用の他、食塩電解用イオン交換膜、ハロゲン化水素酸電解用の固体高分子電解質膜としても用いられ、さらにはプロトン伝導性を利用して、湿度センサ、ガスセンサ、酸素濃縮器等にも広く応用されているものである。
【0014】
しかしながら、フッ素系電解質は製造が困難で、非常に高価であること、耐熱性が低いという欠点がある。そのため、フッ素系電解質膜は、自動車用の低公害動力源としての固体高分子型燃料電池等、民生用への応用を困難なものとしていた。
【0015】
これに対し、炭化水素系電解質膜は、ナフィオンに代表されるフッ素系電解質膜と比較すると、製造が容易で低コストという利点がある。そこで、フッ素系電解質膜と同等以上の耐酸化性を有し、しかも低コストで製造可能な固体高分子電解質膜を得るために、従来から種々の試みがなされている。
【0016】
例えば、下記特許文献1には、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた主鎖と、スルホン酸基を有する炭化水素系側鎖とから構成される、スルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)膜が提案されている。また、前述したスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−ETFE膜に類似のスルホン酸型ポリスチレングラフト樹脂膜に架橋を導入することにより、酸化劣化時の低分子量成分の脱離を抑制し、燃料電池用の電解質膜としての耐久性を向上させる試みがなされている。
【0017】
また、下記特許文献2及び3には、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた膜に、α,β,β−トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホン酸基を導入して固体高分子電解質膜とした、スルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFE膜が提案されている。これは、前記のスルホン酸基を導入したポリスチレン側鎖部の化学的安定性が十分ではないとの認識を前提に、スチレンの代わりに、スチレンをフッ素化したα,β,β−トリフルオロスチレンを用いたものである。
【0018】
この他、炭化水素系イオン交換膜としては、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(下記特許文献4など)、スルホン化ポリエーテルスルホン(下記特許文献5など)、スルホン化ポリスルホン(下記特許文献6など)、スルホン化ポリフェニレンサルファイド(下記特許文献7など)やスルホン化ポリイミド(下記特許文献8など)などの耐熱芳香族高分子のスルホン化物、また、SEBS(スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレンの略)のスルホン化物(下記特許文献9など)、プロトン伝導性付与剤と有機高分子化合物の複合材料からなるプロトン伝導性膜(下記特許文献10など)なども提案されている。
【0019】
しかしながら、これらの炭化水素系イオン交換膜については、高伝導度が要求され、スルホン酸基を多く含み、高伝導性を発揮するためには、加湿する必要があるにも関わらず、加湿のために、含水膨潤しやすいという性質があった。そのため発電時に加湿を行なう際に、炭化水素系イオン交換膜が膨潤し、イオン交換膜と電極触媒層の剥離が起こるという問題があった。
【0020】
そこで、下記特許文献11では、ホットプレス法であっても、膜−電極接合体の接合界面の剥がれを抑制し、良好かつ安定な膜−電極接合体を調製することを目的として、プロトン伝導性置換基またはプロトン伝導性物質を含有する高分子膜の表面に放電処理を施してなる膜−電極接合体用(プロトン伝導性)高分子膜を、互いに離隔する1対の触媒担持ガス拡散電極の間に設置し、ガス拡散電極の触媒面側と接合されてなる膜−電極接合体が開示されている。
【0021】
【特許文献1】
特開平9−102322号公報
【特許文献2】
米国特許第4,012,303号
【特許文献3】
米国特許第4,605,685号
【特許文献4】
特開平6−93114号公報
【特許文献5】
特開平10―45913号公報
【特許文献6】
特開平9−245818号公報
【特許文献7】
特表平11−510198号公報
【特許文献8】
特表2000−510511号公報
【特許文献9】
特表平10−503788号公報
【特許文献10】
特開2000−90946号公報
【特許文献11】
特開2002−237315号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献11に開示された方法では、接合強度の向上を目的として、放電処理するために、高分子膜が変質してプロトン伝導性が悪化するという問題があった。
【0023】
そこで、電極触媒層とイオン交換膜との接合界面の剥がれを抑制し、良好かつ安定な発電性能を発揮する膜−電極接合体、その製造法、及びそれを使用した固体高分子型燃料電池を開発することが求められていた。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、第1に、本発明は、膜−電極接合体であり、一対の電極触媒層と、電極触媒層に挟持されたイオン交換膜とからなる膜−電極接合体であって、前記イオン交換膜は、水による膨潤量の小さな第1のイオン交換膜と、水による膨潤量の大きな第2のイオン交換膜とからなり、電極触媒層に隣接して第1のイオン交換膜が配置され、電極触媒層に隣接しない内部には第2のイオン交換膜が配置された積層構造であることを特徴とする。
【0025】
ここで、前記水による膨潤量の小さな第1のイオン交換膜としては、パーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系高分子電解質が好ましく例示される。また、前記水による膨潤量の大きな第2のイオン交換膜としては、非パーフルオロスルホン酸膜である前述したような種々の炭化水素系高分子電解質が好ましく例示される。
【0026】
図1に、従来法と本発明による膜−電極接合体(MEA)の模式図を示す。図1(a)の従来法の膜−電極接合体(MEA)は、炭化水素系高分子電解質からなるイオン交換膜1を、カソード触媒層2とアノード触媒層3が挟持している。この膜−電極接合体(MEA)を加湿すると、水分のために炭化水素系高分子電解質からなるイオン交換膜1が膨潤し、カソード触媒層2及びアノード触媒層3と剥離してしまい、発電性能が急速に低下する。
【0027】
これに対して、図1(b)の本発明の膜−電極接合体(MEA)は、炭化水素系高分子電解質からなる第2のイオン交換膜4の両面を、フッ素系固体電解質からなる水による膨潤量の小さな第1のイオン交換膜5,6で挟んだ積層構造であり、さらにこのイオン交換膜積層構造をカソード触媒層2とアノード触媒層3が挟持している。この膜−電極接合体(MEA)を加湿すると、水分のために第2のイオン交換膜4が膨潤しても、その両面にあるフッ素系固体電解質第1のイオン交換膜5,6は加湿による膨潤量が小さいため、第2のイオン交換膜4の膨潤による伸びを緩和する。このため、これら第1のイオン交換膜5,6はカソード触媒層2及びアノード触媒層3と剥離することはなく、初期の発電性能が維持される。
【0028】
また、加湿操作の他に、燃料電池作動時に、生成水が発生して第2のイオン交換膜4が膨潤するが、第1のイオン交換膜5,6が膨潤による伸びを緩和するため、膜−電極接合体の強度を確保することが可能である。さらに、本発明のイオン交換膜は放電処理を行わずに製造されるので、膜の変質によるプロトン伝導性悪化を防ぎ、プロトン伝導性を維持することが可能である。
【0029】
また、一般的に電極触媒層に用いられる固体高分子電解質と電解質膜の材料が異なる際、電解質膜と電極層の接合状態が悪く、効率良く発電を行なうことが出来ない。この点、本発明の膜−電極接合体(MEA)では、電極触媒層と接合するイオン交換膜の両高分子電解質をフッ素系高分子電解質とすることで対処することができる。
【0030】
また、中央にはさむ第2のイオン交換膜はホットプレスを必要としないため、高温の熱履歴を受けず、作製時に劣化しない。さらに、伝導度を向上させるために高含水率が必要であり、機械的強度が劣る膜、たとえばスルホン化スチレングラフト膜、スルホン化トリフルオロスチレン誘導体共重合体膜(BAM3G)、スルホン化PEEK等の炭化水素系膜をフッ素系膜で保持することにより、機械的強度を補うことができる。
【0031】
このように、本発明では、(1)電極触媒層と固体高分子電解質膜との接合性の問題と、(2)電極触媒層と固体高分子電解質膜の膨潤率の違いの問題を同時に解決するものである。
【0032】
第2に、本発明は、膜−電極接合体の製造方法であり,水による膨潤量の大きな第2のイオン交換膜の両面を、水による膨潤量の小さな第1のイオン交換膜で挟んだ積層構造のイオン交換膜を、1対の触媒担持ガス拡散電極の間に設置し、これらを両面よりプレスすることを特徴とする。
【0033】
ここで、第1の本発明と同様に、前記水による膨潤量の小さな第1のイオン交換膜としては、パーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系高分子電解質が好ましく例示される。また、前記水による膨潤量の大きな第2のイオン交換膜としては、非パーフルオロスルホン酸膜である前述したような種々の炭化水素系高分子電解質が好ましく例示される。
【0034】
第3に、本発明は、上記第1の本発明の膜−電極接合体を有する固体高分子型燃料電池である。特に、前記第1及び第2のイオン交換膜が加湿された状態において良好な発電性能を維持することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の第1のイオン交換膜として用いられるフッ素系高分子電解質とは、フルオロカーボン骨格あるいはヒドロフルオロカーボン骨格に置換基としてスルホン酸電解質基が導入されているポリマーであって、分子内にエーテル基や塩素やカルボン酸基やリン酸基や芳香環を有していてもよい。一般的にはパーフルオロカーボンを主鎖骨格とし、パーフルオロエーテルや芳香環等のスペーサーを介してスルホン酸基を有するポリマーが用いられる。具体例としては下記(1)式や(2)式で表される構造のポリマーを例示することができる。
【0036】
【化1】
Figure 2004220995
(式中、x=0〜2の整数、y=2〜3の整数、n/m=1〜10である。)
【0037】
【化2】
Figure 2004220995
(式中、n/m=0.1〜2である。)
【0038】
また、このようなスルホン酸基を有する含フッ素ポリマーを溶解して溶液にするには、公知の溶媒を用いることが出来る。
【0039】
本発明の第2のイオン交換膜として用いられる炭化水素系高分子電解質は、分子鎖のいずれかにC−H結合を有し、かつ電解質基を導入することが可能なものを意味する。また、電解質基とは、スルホン酸基、カルボン酸基等、電解質イオンを有する官能基をいう。
【0040】
炭化水素系高分子電解質の具体例としては、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、直鎖型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、架橋型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、直鎖型ポリスチレン樹脂、架橋型ポリスチレン樹脂、直鎖型ポリ(トリフルオロスチレン)樹脂、架橋型(トリフルオロスチレン)樹脂、ポリ(2、3−ジフェニル−1、4−フェニレンオキシド)樹脂、ポリ(アリルエーテルケトン)樹脂、ポリ(アリレンエーテルスルホン)樹脂、ポリ(フェニルキノサンリン)樹脂、ポリ(ベンジルシラン)樹脂、ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン樹脂、ポリスチレン−グラフト−ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリスチレン−グラフト−テトラフルオロエチレン樹脂、等が一例として挙げられる。
【0041】
中でも、ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン樹脂に代表される、エチレンテトラフルオロエチレン樹脂を主鎖とし、電解質基を導入可能な炭化水素系高分子を側鎖とするエチレンテトラフルオロエチレン樹脂のグラフト共重合体は、安価であり、薄膜化したときに十分な強度を有し、しかも電解質基の種類及び導入量を調節することにより導電率を容易に制御することができるので、炭化水素系高分子電解質として特に好適である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0043】
[炭化水素系高分子電解質の合成]
ETFEフィルムに対し放射線グラフト重合の手法を用い、トルエンを溶媒としてモノマー(スチレン)と架橋剤(EGDv:エチレングリコールジビニルエーテル)を重合させた。トルエン、スチレン、EGDvはそれぞれ水素化カルシウムにて脱水、蒸留精製を行い、モレキュラーシーブ共存下で冷暗所に保存さていたものを室温に戻した後使用した。その後有機合成により、冷暗所に保存されていた1,2−ジクロロエタン、クロロスルホン酸を室温に戻してから用いることで、スルホン酸基を導入しプロトン導伝性、含水性を付与した。
【0044】
[膜−電極接合体の作製及び発電試験]
Nafion(商標名)20μmにアノード/カソード電極層がそれぞれ接合されたものを用いた
表1に、発電条件を示す。図2に、発電試験結果を示す。
【0045】
【表1】
Figure 2004220995
【0046】
図2の結果より、本発明の積層されたイオン交換膜を用いた燃料電池は、炭化水素系高分子電解質のみをイオン交換膜として用いる従来法の燃料電池に比べて、発電性能が向上していることが分る。
【0047】
[サイクル試験]
表1に示した条件で、IV測定を繰り返した。図3に、サイクル回数と1A/cmでの電圧の関係を示す。
【0048】
図3の結果より、本発明の実施例ではサイクル数が増えてもほぼ変化が見られないか微増するのに対し、従来法では5サイクル目から急激に電圧が減少していく。発電特性評価後の膜−電極接合体の外観を目視観察したところ、実施例では電極の剥離が生じていなかったのに対し、従来法では剥離が生じており、これにより、接触抵抗が増大し、電圧が低下したものである。
【0049】
【発明の効果】
本発明の膜−電極接合体は、水による膨潤量の大きなイオン交換膜が水による膨潤量の小さなイオン交換膜で挟まれているため、燃料電池作動時にもイオン交換膜と電極触媒層との接合界面が剥がれにくく、発電性能が維持された固体高分子型燃料電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は従来法の膜−電極接合体(MEA)の模式図、図1(b)は本発明の膜−電極接合体(MEA)の模式図を示す。
【図2】本発明と従来法の発電試験結果を示す。
【図3】本発明と従来法のサイクル回数と1A/cmでの電圧の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…炭化水素系高分子電解質からなるイオン交換膜、2…カソード触媒層、3…アノード触媒層、4…第2のイオン交換膜、5,6…第1のイオン交換膜。

Claims (6)

  1. 一対の電極触媒層と、電極触媒層に挟持されたイオン交換膜とからなる膜−電極接合体であって、前記イオン交換膜は、水による膨潤量の小さな第1のイオン交換膜と、水による膨潤量の大きな第2のイオン交換膜とからなり、電極触媒層に隣接して第1のイオン交換膜が配置され、電極触媒層に隣接しない内部には第2のイオン交換膜が配置された積層構造であることを特徴とする膜−電極接合体。
  2. 前記水による膨潤量の小さな第1のイオン交換膜が、フッ素系高分子電解質であり、前記水による膨潤量の大きな第2のイオン交換膜が、炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする請求項1に記載の膜−電極接合体。
  3. 水による膨潤量の大きな第2のイオン交換膜の両面を、水による膨潤量の小さな第1のイオン交換膜で挟んだ積層構造のイオン交換膜を、1対の触媒担持ガス拡散電極の間に設置し、これらを両面よりプレスすることを特徴とする膜−電極接合体の製造方法。
  4. 前記水による膨潤量の小さな第1のイオン交換膜が、フッ素系高分子電解質であり、前記水による膨潤量の大きな第2のイオン交換膜が、炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする請求項3に記載の膜−電極接合体の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の膜−電極接合体を有する固体高分子型燃料電池。
  6. 前記第1及び第2のイオン交換膜が加湿された状態で用いられることを特徴とする請求項5に記載の固体高分子型燃料電池。
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JP2010287437A (ja) * 2009-06-11 2010-12-24 Nissan Motor Co Ltd 高分子電解質膜、ならびにそれを用いた膜電極接合体および燃料電池
JP2014002934A (ja) * 2012-06-19 2014-01-09 Kaneka Corp 高分子電解質膜、およびその利用

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