JP2010285073A - 球体のロック装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な操作で、かつ、小さな力で強固にロックできるようにした球体のロック装置を提供する。
【解決手段】球体を回転可能に保持すると共に、必要に応じてロックするための球体のロック装置である。球体14を回転可能に保持するホルダ部11と、球体に対して接離可能に配置された押え部材20と、この押え部材を球体に押し付ける押圧手段23とを備え、前記押え部材は、前記押圧手段によって動作する押圧ブロック21と、この押圧ブロックの押圧面に所定の距離で周囲に移動できるように装着され、前記押圧手段によって前記押圧ブロックを介して前記球体に押圧されるストッパ片22とを有している。そして、ストッパ片の前記球体との接触面は前記球体と同じ球面をなし、該ストッパ片と前記押圧ブロックとの接触面は前記球体よりも緩やかな曲率の球面をなしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばボールキャスターや、自在継手などの球体(ボール)を、簡単な操作で、かつ、小さな力で強固にロックできるようにした球体のロック装置に関する。
ボールキャスターは、例えば椅子、テーブル、ベッド、ワゴンなどの各種の脚部に取付けられ、それらの移動を容易にするのに使用されている。しかしながら、所定の位置にセットされた後は、容易に移動しないように固定することが求められることが多い。
そのようなロック機構をもたせるため、下記特許文献1には、スライド体に保持された球体を押し下げるばね体の力を超える荷重がかかると、球体及びスライド体が上方へスライドして、ケース本体が床面に着座して固定されるようにしたキャスター装置が開示されている。
また、下記特許文献2には、脚部に取付けられる基部に筒状の調節脚部をネジ込み、調節脚部の下端面から球体を突出させてコロとして移動させることができるようにすると共に、所定位置に配置された後は、調節脚部のネジ込みを緩めて球体を調節脚部内に引き込ませ、調節脚部を着地させて固定するようにしたキャスターが開示されている。
一方、自在継手等においても、所定の角度に維持するため、球体をネジ等によって締め付けて固定するようにしたものが知られている。
特開平7−164808号公報 特開平1−114404号公報
しかしながら、上記特許文献1のキャスター装置では、荷重がかからないと、ケース本体が床面に着座しないので、ロックできないという不都合があった。
また、上記特許文献2のキャスターでは、キャスターを固定する際に調節脚部のネジ込みを緩めるなどの煩雑な作業を必要とし、簡単かつ迅速にロックできないという不都合があった。
更に、自在継手においてネジ等によって締め付け固定する装置では、強い固定力を得るためには強い力で締め付けなければならず、確実に固定することが難しいことがあった。
したがって、本発明の目的は、簡単な操作で、かつ、小さな力で強固にロックできるようにした球体のロック装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の球体のロック装置は、球体を回転可能に保持すると共に、必要に応じてロックするための球体のロック装置において、球体を回転可能に保持するホルダ部と、球体に対して接離可能に配置された押え部材と、この押え部材を球体に押し付ける押圧手段とを備え、前記押え部材は、前記押圧手段によって動作する押圧ブロックと、この押圧ブロックの押圧面に所定の距離で周囲に移動できるように装着され、前記押圧手段によって前記押圧ブロックを介して前記球体に押圧されるストッパ片とを有し、該ストッパ片の前記球体との接触面は前記球体と同じ球面をなし、該ストッパ片と前記押圧ブロックとの接触面は前記球体よりも緩やかな曲率の球面をなすことを特徴とする。
本発明によれば、ストッパ片の球体との接触面は球体と同じ球面をなし、ストッパ片と押圧ブロックとの接触面は球体よりも緩やかな曲率の球面をなすので、ストッパ片の周縁部は、中央部に比べて次第に肉厚になっている。そして、球体は、ホルダ部に回転可能に保持されているが、押圧手段により押え部材を球体に押圧させると、球体がいずれかの方向に回転しようとすると、球体に押圧されているストッパ片が、球体の回転方向に移動しようとする。しかしながら、ストッパ片は、球体と押圧ブロックとの間に挟まれており、その周縁が前記のように中央部に比べて肉厚になっているので、ストッパ片の肉厚部分が球体と押圧ブロックとの間隔に入ることができず、いわゆる楔効果によってストッパ片が球体に強く圧接され、球体の回転をロックすることができる。そして、ストッパ片は、押圧ブロックの押圧面に所定の距離で周囲に移動できるように装着されているので、球体が周囲のどの方向に回転しようとしても、ストッパ片による上記押圧力が作用し、球体を確実にロックすることができる。このように、押圧手段により押え部材を球体に押圧させるという簡単な操作でロックできると共に、ストッパ片の楔効果によって球体をロックするので、比較的小さな力で確実にロックできる。
本発明において、前記ホルダ部は、前記球体を回転可能に保持する球体収容部と、前記押え部材を前記球体収容部に向けてスライド可能に保持するロック機構収容部とを有していることが好ましい。
この態様によれば、ホルダ部に球体収容部とロック機構収容部とを一体化して収容できるので、製品をユニット化することができる。
本発明において、前記ストッパ片の中央部には、前記球体との接触面側が拡開した凹部をなす挿通孔が形成され、前記押圧ブロックの前記ストッパ片との接触面には、前記ストッパ片の挿通孔に挿入され、その先端に前記凹部に収容される抜け止め頭部が形成された支軸が装着され、該支軸の前記挿通孔に挿入された部分は、該挿通孔内径よりも小径とされていて、前記ストッパ片は、前記支軸を介して、周囲に所定距離だけ移動可能に保持されており、前記ホルダ部と前記ストッパ片との間には、前記ストッパ片を前記支軸に対してセンタリングさせるセンタリングバネが設けられていることが好ましい。
この態様によれば、押圧ブロックの支軸によってストッパ片を周囲に所定距離だけ移動可能に保持できると共に、ロック解除状態では、センタリングバネによってストッパ片をセンタリングしておくことができる。
本発明の一つの態様においては、前記押え部材を前記球体から常時は離反させる方向に付勢するロック解除バネが設けられており、前記押圧手段は、前記押圧ブロックに当接する回動部材と、この回動部材と前記押圧ブロックとの当接面に形成されたカム機構とで構成され、前記回動部材を回動させることによって、前記カム機構を介して前記押え部材が前記ロック解除バネの付勢力に抗して前記球体に押圧されるように構成されていることが好ましい。
この態様によれば、常時は、ロック解除バネによって押え部材が球体から離反し、球体が自由に回転できるが、回動部材を回動させることによって、カム機構により押え部材が球体に押付けられるので、球体をロックさせることができる。
本発明の別の態様においては、前記押圧手段は、前記押え部材を前記球体に向けて常時付勢するロックバネで構成されており、前記押え部材にはワイヤが連結されていて、このワイヤを引くことにより、前記ロックバネの付勢力に抗して前記押え部材が前記球体から離反するように構成されていることが好ましい。
この態様によれば、常時は、ロックバネによって押え部材が球体に押し付けられて、球体がロックされているが、ワイヤを引いて押え部材を球体から離反させることによって、球体を自由に回転させることができる。
本発明の更に別の態様においては、前記押え部材を前記球体から常時は離反させる方向に付勢するロック解除バネが設けられており、前記押圧手段は、前記押え部材を前記ロック解除バネの付勢力に抗して前記球体に押圧させる押しネジで構成されていることが好ましい。
この態様によれば、常時は、ロック解除バネによって押え部材が球体から離反し、球体が自由に回転できるが、押しネジで押え部材を球体に押付けることにより、球体をロックさせることができる。
本発明の一つの適用例においては、前記球体が、ボールキャスターのボールをなしていることが好ましい。
この態様によれば、ボールキャスターのボールを、比較的簡単な構造で確実にロックさせることができる。
本発明の別の適用例においては、前記球体が、自在継手のボールをなしていることが好ましい。
この態様によれば、自在継手のボールを、比較的簡単な構造で強固にロックさせることができる。
本発明によれば、球体と押圧ブロックとの間に挟まれたストッパ片は、その周縁が中央部に比べて肉厚になっているので、ストッパ片の肉厚部分が球体と押圧ブロックとの間隔に入ることができず、いわゆる楔効果によってストッパ片が球体に強く圧接され、球体の回転をロックすることができると共に、更にストッパ片は、押圧ブロックの押圧面に所定の距離で周囲に移動できるように装着されているので、球体が周囲のどの方向に回転しようとしても、ストッパ片による押圧力が作用し、球体のロックが確実になされる。このように、押圧手段により押え部材を球体に押圧させるという簡単な操作でロックできると共に、ストッパ片の楔効果によって球体をロックするので、比較的小さな力で確実にロックできる。
本発明をボールキャスターに適用した一実施例を示す正面断面図である。 同ボールキャスターの平面図である。 同ボールキャスターの押え部材及び押圧手段を示す説明図であって、(A)はカムリングの断面図、(B)は押圧ブロックの断面図、(C)はストッパ片の断面図である。 同ボールキャスターの押圧手段及び押圧ブロックを示す説明図であり、(A)はカムリングの平面図、(B)は押圧ブロックの平面図である。 同ボールキャスターにおけるストッパ片の外周に装着される波形バネを示す説明図である。 同ボールキャスターにおける、第1球面及び第2球面と、第3球面及びボールの表面との曲率の違いを示す説明図である。 本発明をボールキャスターに適用した他の実施例を示す正面断面図である。 同ボールキャスターに用いられる押圧ブロックの平面図である。 同ボールキャスターの平面図である。 本発明を自在継手に適用した一実施例を示す全体説明図である。 同自在継手の断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1〜5には、本発明を、ボールキャスターに適用した一実施例が示されている。
図1に示すように、このボールキャスター10は、筒状のホルダ11を有している。ホルダ11の上部は、図示しない椅子や、机、テーブル等の脚部に差し込まれる縮径した差込み部12をなしている。この差込み部12にはネジ孔13が形成されており、椅子や、机、テーブルの脚部を貫通して差込まれる図示しないボルトをねじ込むことによって、脚部に取付けられるようになっている。
ホルダ11の下面には、ボール14(本発明における球体に相当する)を収容する凹部が形成されている。この凹部は、ホルダ11の奥方でボール14に当接する球面部15と、ホルダ11の下面開口に設けられた拡径部16とで構成されており、拡径部16の内周には雌ネジ17が形成されている。そして、この雌ネジ17にキャップ18が螺着され、キャップ18の内面はボール14に当接する球面をなし、ボール14を抜け止め保持している。
図2を併せて参照すると、ホルダ11の差込み部12のやや下方部分にある周壁には、所定角度で周方向に開口するスリット19が形成されている。このスリット19を介して、後述するレバー24が挿入されるようになっている。
ホルダ11内には、押え部材20が配置されている。押え部材20は、押圧ブロック21とストッパ片22とを有している。また、押え部材20の上部には、カムリング23が配置され、このカムリング23に、前記スリット19を通して外部に突出するレバー24が固着されている。
ホルダ11内周のカムリング23の上部には、環状の溝が形成され、この環状の溝にCリング25が装着されている。このCリング25によって、カムリング23は上方への移動を規制されている。なお、図2に示すように、レバー24は、スリット19が形成された所定角度範囲で回動可能とされ、レバー24の回動によってカムリング23が回動するようになっている。
図3(B)及び図4(B)に示すように、押圧ブロック21は、上部が拡径部26をなし、下部が縮径部27をなしている。また、拡径部26の、等角度で配置された周方向4箇所には、軸方向に沿った突条28(図4(B)参照)が形成されている。
これに関連して、図2に示すように、ホルダ11の内周には、軸方向に沿った4つのガイド溝29が形成されており、押圧ブロック21の上記突条28は、このガイド溝29に挿入されて、回動を規制されつつ軸方向にスライド可能とされている。
押圧ブロック21の下面には、第1球面30が形成されている。また、第1球面30の中心部には、軸方向に沿ってネジ孔31が形成されている。図1に示すように、このネジ孔31に支軸32が螺着されるようになっている。
押圧ブロック21の上面中央部には凹部33が形成され、その外周の端面34上には、周方向に等間隔で半径方向に伸びる4つの突起35が形成されている。
図1に示すように、押圧ブロック21の縮径部27の外周と、ホルダ11の内周との間には、ロック解除バネ41が介装されている。ロック解除バネ41は、その下端をホルダ11の段部に係止され、その上端を押圧ブロック21の拡径部26と縮径部27との間の段部に係止されており、押圧ブロック21を常時上方に向けて付勢している。
図3(C)に示すように、ストッパ片22の上面は、前記押圧ブロック21の第1球面30と同じ曲率の第2球面36が形成されている。更にストッパ片22の下面には、ボール14の表面と同じ曲率の第3球面37が形成されている。第1球面30及び第2球面36は、第3球面37及びボール14の表面よりも、緩やかな曲率、言い換えると曲率半径が大きくなっている。その結果、ストッパ片22の中央部の厚さt1は、周辺の厚さt2よりも薄くなっている。
そして、図6に示すように、第1球面30及び第2球面36と、第3球面37及びボール14の表面とで形成される円に対する、ボール14の中心Oを通る同一直線上に位置する接点P1、P2を通る接線L1、L2のなす角度θが、5〜15°の間となるように上記各球面の曲率半径を設定することが好ましい。
ストッパ片22の中心部には、支軸32が挿通される、挿通孔38が形成されている。挿通孔38の第3球面37側の開口部には、凹部39が形成されている。
一方、支軸32は、その先端部を前述したように、押圧ブロック21のネジ孔31に螺着され、拡径したフランジ状の頭部32aを、ストッパ片22の凹部39に配置されて、ストッパ片22を抜け止め保持している。支軸32の挿通孔38の挿通部は、挿通孔38の内径よりも小さな外径をなしており、挿通孔38内周との間に所定のクリアランスCが設けられている。その結果、ストッパ片22は、支軸32に抜け止め保持されると共に、支軸32の周囲全方向に所定距離だけ移動できるようになっている。この移動可能な距離は、特に限定されないが、0.5〜3mmが好ましく、1〜2mmがより好ましい。
また、ストッパ片22の外周には、環状溝40が形成されている。そして、この環状溝40に、図1及び図5に示す波形バネ45が装着されている。波形バネ45は、その外周をホルダ11内周に当接され、その内周をストッパ片22の環状溝40外周に当接されて、ストッパ片22を、支軸32の軸心に対して常時センタリングさせるように付勢する作用を有している。
図3(A)及び図4(A)に示すように、カムリング23は、その周壁に前記レバー24を装着するための雌ネジ46を有している。カムリング23の下端面には、周方向に等間隔で配置された4つのカム47が形成されている。各カム47は、頂部47aと、この頂部47aの一側に設けられた斜面47bとを有している。
前述したように押圧ブロック21は、ロック解除バネ41によって上方に付勢されており、その上端面はカムリング23の下端面に圧接されている。カムリング23のカム47は、押圧ブロック21の突起35に対応して配置されており、レバー24を操作してカムリング23を回動させると、各突起35が、カム47の前記頂部47aと斜面47bとの間を摺動するようになっている。
その結果、突起35が頂部47aに当接しているときは、押圧ブロック21が下方に押し下げられ、ストッパ片22がボール14に圧接されることになる。また、突起35が斜面47bを下り、カム47から外れたときには、ロック解除バネ41の付勢力によって、押圧ブロック21が上昇し、それと共にストッパ片22も上昇して、ストッパ片22のボール14への圧接が解除され、ボール14がフリーで回転するようになっている。
なお、ボール14、押圧ブロック21、ストッパ片22などの部品の材質については、特に限定されず、金属でも樹脂でもよい。
次に、このボールキャスター10の作用について説明する。
ボールキャスター10が装着された椅子や、机、テーブルを、自由に動かしたいときには、レバー24を操作して、押圧ブロック21の突起35が、カムリング23のカム47の斜面47bを下った位置になるように配置させる。
それによって前述したように、ロック解除バネ41が押圧ブロック21を上方に付勢し、ストッパ片22がボール14の表面から離れるか若しくは押圧されないようにする。それによってボール14はホルダ11内で自由に動けるようになり、ボール14を転動させて、椅子や、机、テーブルを自由に動かすことができる。
一方、椅子や、机、テーブルを所定位置に配置し、そこに固定したいときには、レバー24を操作して、カムリング23を回動させ、押圧ブロック21の突起35が、カムリング23のカム47の頂部47aに当接するようにする。
その結果、押圧ブロック21は、カム47の頂部47aに押されて、ロック解除バネ41の付勢力に抗して下方に移動し、ストッパ片22をボール14に押圧させる。その状態で、椅子や、机、テーブルを動かそうとすると、ボール14がいずれかの方向に回動しようとし、ボール14に圧接されたストッパ片22が同じ方向に移動しようとする。
しかしながら、図3(C)に示すように、ストッパ片22は、その中央部の厚さt1よりも、周縁部の厚さt2が厚くなっているので、いずれの方向に移動しようとしても、厚い周縁部が、ボール14と押圧ブロック21の第1球面30との間に、楔のように食い込み、ボール14を強い力でロックすることになる。
こうして、ボール14がいずれの方向に回動しようとしても、ストッパ片22の楔効果によるロック力が作用し、ボール14の回動を規制して、椅子や、机、テーブルの移動を防ぐことができる。
このように本発明によれば、ストッパ片22の楔効果によって、ボール14をロックするため、レバー24を軽く回動させる程度の比較的弱い押圧力でも、ボール14を強い力でロックし固定することができる。
次に、図7〜8を参照して、本発明をボールキャスターに適用した他の実施例を説明する。なお、前記実施例と実質的に同一部分には同符号を付して、その説明を省略することにする。
このボールキャスター50は、基本的には図1〜5に示した前記実施例のボールキャスターと同様な構造をなしているが、押え部材20の押圧手段の構造等が異なっている。
図7に示すように、このボールキャスター50は、押圧ブロック21とストッパ片22とからなる押え部材20を有している。そして、ホルダ11の内周にはCリング25が配置されており、このCリング25と押圧ブロック21との間に、圧縮コイルバネからなるロックバネ51が介装されている。押圧ブロック21は、ロックバネ51によって常時下方に付勢され、それによってストッパ片22も常時ボール14に圧接されている。
図8を併せて参照すると、押圧ブロック21にはブラケット52が取付けられている。ブラケット52は、全体として蒲鉾形の部材からなり、中心部に水平方向に貫通する孔53が形成されている。更に、このブラケット52の軸心に対してほぼ垂直な方向に、45度の角度で切欠いて形成されたスリット54を有している。このスリット54によって、ブラケット52の片側半分は、2つの円弧状部分に分かれている。一方の円弧状部分には、接離部55(図7参照)が設けられ、ブラケット52の軸心方向に沿って見たとき、C字形をなしている。
図9を併せて参照すると、ホルダ11の上端面には、その周方向の対向する部分に、両端部を固着された支持板56が装着されている。この支持板56の中央部にはU溝57が形成され、このU溝57にスリーブ58がナット59によって締め付け固定されている。スリーブ58には、チューブ60が接続されており、チューブ60、スリーブ58、ナット59の内部を通って、ワイヤ61が挿入されている。
ワイヤ61は、その先端に抜け止め球62を有し、抜け止め球62をブラケット52の孔53に挿入すると共に、ワイヤ61を前記接離部55に挿入して、それらをブラケット52内に挿入し、ワイヤ61がブラケット52のほぼ中央に位置したときに、スリット54を通してワイヤ61を上方に起こすことによって、抜け止め球62がブラケット52に係合保持される。
したがって、ワイヤ61の基端部を図示しない操作部材によって引っ張ることにより、ワイヤ61を介して、ブラケット52及び押圧ブロック21がロックバネ51の付勢力に抗して引き上げられ、ストッパ片22が、ボール14から離れるか、或いは、圧接を解除されるようになっている。
この実施例のボールキャスター50によれば、このボールキャスター50を椅子や、机、テーブルの脚部に取付けることにより、常時はロックバネ51により押圧ブロック21及びストッパ片22が、ボール14方向に押圧されるので、ストッパ片22がボール14に圧接された状態となっている。その結果、椅子や、机、テーブルを移動させようとすると、ボール14が回動しようとし、その方向にストッパ片22が移動しようとする。
しかしながら、前記実施例で説明したように、ストッパ片22の周縁部の厚さt2は、中央部の厚さt1よりも厚くなっている(図3(C)参照)ので、ストッパ片22の周縁部が楔状に食い込み、ボール14の回転をロックして、椅子や、机、テーブルの移動を制止することができる。
そして、椅子や、机、テーブルを移動させたいときには、図示しないレバーやハンドルを操作することによって、ワイヤ61を引っ張ることにより、押圧ブロック21及びストッパ片22がロックバネ51の付勢力に抗して引き上げられ、ストッパ片22とボール14との係合が解除されて、ボール14が自由に動ける状態となり、椅子や、机、テーブルを移動させることができる。
なお、図8における28は、突条であり、この突条28は、前記実施例と同様に、ホルダ11のガイド溝に挿入され、押圧ブロック21のスライドをガイドするようになっている。
図10,11には、本発明をディスプレイスタンドに適用した更に他の実施例が示されている。なお、前記実施例と実質的に同一部分には同符号を付して、その説明を省略することにする。
図10に示すように、このディスプレイスタンド70は、基台71と、この基台71から立設された支柱72と、支柱72の上端部に取付けられた自在継手73と、この自在継手73によって支持されたディスプレイ本体74とを有している。
図11に示すように、自在継手73は筒状のホルダ11を有している。そして、ボールキャスターの実施例と同様に、このホルダ11内には、ボール14と押え部材20とが収容されており、押え部材20は、押圧ブロック21とストッパ片22とで構成されている。
ボール14にはアーム63が接続され、このアーム63の先端部が図10に示したディスプレイ本体74に連結されている。押圧ブロック21は、ロック解除バネ41によってボール14から離れる方向に付勢されている。ホルダ11のボール14とは反対側の端部内周には雌ネジ75が形成され、この雌ネジ75にキャップ76が螺着されている。キャップ76の中心には雌ネジ77が形成され、この雌ネジ77に締付けボルト78が螺挿されている。
締付けボルト78の後端部には、ツマミ79が取付けられている。したがって、ツマミ79を回して、締付けボルト78を締め込んでいくことにより、押圧ブロック21が、ロック解除バネ41の付勢力に抗してボール14側に押し付けられるようになっている。
このディスプレイスタンド70の使用に際しては、ツマミ79を回して締付けボルト78を緩め、ディスプレイ本体74の角度を調整する。このとき、押圧ブロック21は、ロック解除バネ41の付勢力によりボール14から離れる方向に移動し、ストッパ片22も同様にボール14から離れるので、或いはボール14に対して圧接力を付与しない状態となるので、アーム63を自由に回動させて、ディスプレイ本体74の角度を調整することができる。
そして、ディスプレイ本体74の角度が所望の角度に配置されたら、ツマミ79を回して締付けボルト78を締付ける。それによって、押圧ブロック21は、ロック解除バネ41の付勢力に抗してボール14側に移動し、ストッパ片22をボール14を圧接させる。その状態でディスプレイ本体74の重力により、アーム63を介してボール14が回動しようとすると、それと同じ方向にストッパ片22も移動しようとする。しかしながら、前述したように、図3(C)に示す周縁部の厚さt2が中央部の厚さt1よりも厚くなっているので、周縁部が隙間の小さい中央部に入り込もうとする楔効果によって、ボール14を強く押圧し、ボール14の回転をロックさせることができる。
このように、ストッパ片22の楔効果によって、ボール14をロックするため、締付けボルト78の締付力がそれほど強くなくても、ディスプレイ本体74をしっかり固定して支持することができる。
10 ボールキャスター
11 ホルダ
12 差込み部
13 ネジ孔
14 ボール
15 球面部
16 拡径部
17 雌ネジ
18 キャップ
19 スリット
20 押え部材
21 押圧ブロック
22 ストッパ片
23 カムリング
24 レバー
25 リング
26 拡径部
27 縮径部
28 突条
29 ガイド溝
30 第1球面
31 ネジ孔
32 支軸
32a 頭部
33 凹部
34 端面
35 突起
36 第2球面
37 第3球面
38 挿通孔
39 凹部
40 環状溝
41 ロック解除バネ
45 波形バネ
46 雌ネジ
47 カム
47a 頂部
47b 斜面
50 ボールキャスター
51 ロックバネ
52 ブラケット
53 孔
54 スリット
55 接離部
56 支持板
57 U溝
58 スリーブ
59 ナット
60 チューブ
61 ワイヤ
62 抜け止め球
63 アーム
70 ディスプレイスタンド
71 基台
72 支柱
73 自在継手
74 ディスプレイ本体
75 雌ネジ
76 キャップ
77 雌ネジ
78 ボルト
79 ツマミ

Claims (8)

  1. 球体を回転可能に保持すると共に、必要に応じてロックするための球体のロック装置において、球体を回転可能に保持するホルダ部と、球体に対して接離可能に配置された押え部材と、この押え部材を球体に押し付ける押圧手段とを備え、前記押え部材は、前記押圧手段によって動作する押圧ブロックと、この押圧ブロックの押圧面に所定の距離で周囲に移動できるように装着され、前記押圧手段によって前記押圧ブロックを介して前記球体に押圧されるストッパ片とを有し、該ストッパ片の前記球体との接触面は前記球体と同じ球面をなし、該ストッパ片と前記押圧ブロックとの接触面は前記球体よりも緩やかな曲率の球面をなすことを特徴とする球体のロック装置。
  2. 前記ホルダ部は、前記球体を回転可能に保持する球体収容部と、前記押え部材を前記球体収容部に向けてスライド可能に保持するロック機構収容部とを有している請求項1記載の球体のロック装置。
  3. 前記ストッパ片の中央部には、前記球体との接触面側が拡開した凹部をなす挿通孔が形成され、前記押圧ブロックの前記ストッパ片との接触面には、前記ストッパ片の挿通孔に挿入され、その先端に前記凹部に収容される抜け止め頭部が形成された支軸が装着され、該支軸の前記挿通孔に挿入された部分は、該挿通孔内径よりも小径とされていて、前記ストッパ片は、前記支軸を介して、周囲に所定距離だけ移動可能に保持されており、前記ホルダ部と前記ストッパ片との間には、前記ストッパ片を前記支軸に対してセンタリングさせるセンタリングバネが設けられている請求項2記載の球体のロック装置。
  4. 前記押え部材を前記球体から常時は離反させる方向に付勢するロック解除バネが設けられており、前記押圧手段は、前記押圧ブロックに当接する回動部材と、この回動部材と前記押圧ブロックとの当接面に形成されたカム機構とで構成され、前記回動部材を回動させることによって、前記カム機構を介して前記押え部材が前記ロック解除バネの付勢力に抗して前記球体に押圧されるように構成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の球体のロック装置。
  5. 前記押圧手段は、前記押え部材を前記球体に向けて常時付勢するロックバネで構成されており、前記押え部材にはワイヤが連結されていて、このワイヤを引くことにより、前記ロックバネの付勢力に抗して前記押え部材が前記球体から離反するように構成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の球体のロック装置。
  6. 前記押え部材を前記球体から常時は離反させる方向に付勢するロック解除バネが設けられており、前記押圧手段は、前記押え部材を前記ロック解除バネの付勢力に抗して前記球体に押圧させる押しネジで構成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の球体のロック装置。
  7. 前記球体が、ボールキャスターのボールをなしている請求項1〜6のいずれか1つに記載の球体のロック装置。
  8. 前記球体が、自在継手のボールをなしている請求項1〜6のいずれか1つに記載の球体のロック装置。
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