本発明の使い捨て吸収性物品は、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配置され、長手方向と幅方向とを有する吸収体と、前記吸収性コアの幅方向両側縁部に沿って設けられたフラップとを有する。本発明の使い捨て吸収性物品の態様としては、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等が示される。
吸収体としては、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配置されていればよい。吸収体の形状としては、長手方向と幅方向とを有するものであれば特に限定されない。
使い捨て吸収性物品が、例えば生理用ナプキンである場合、吸収体の形状としては、略長方形、砂時計型、ひょうたん型等が示される。
使い捨て吸収性物品が、例えば使い捨ておむつである場合、当該使い捨ておむつは、前腹部と、後背部と、これらの間に位置し前記吸収性コアが備えられた股部とから構成されていることが好ましい。使い捨て吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨て吸収性物品としては、例えば、内側シートと外側シートとからなる積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とからなるおむつ本体を形成し、前記股部に吸収性コアを有する吸収体が備えられていてもよい。このとき、吸収体の形状としては、略長方形等が示される。また、使い捨て吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨て吸収性物品としては、例えば、吸収体が、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを形成し、前記股部に吸収性コアが備えられていてもよい。
吸収体の長手方向とは、使い捨て吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。吸収体の形状が略長方形状の場合、吸収体の長手方向は、一般に、略長方形の長軸方向(長辺が延びる方向)となり、吸収体の形状が砂時計型やひょうたん型の場合、吸収体の長手方向は、各形状のくびれた部分をまたがって延びる方向となる。吸収体が、前腹部と後背部と股部とを形成している場合、前腹部から後背部にかけての方向が長手方向となる。吸収体の幅方向とは、吸収体を平面に広げた状態で吸収体と同一面上にあり、長手方向と直交する方向を意味する。
前腹部、後背部、股部とは、使い捨ておむつを着用の際に、着用者の腹側に当てる部分を前腹部と称し、着用者の尻側に当てる部分を後背部と称し、前腹部と後背部との間に位置し着用者の股間に当てる部分を股部と称する。
使い捨て吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、後背部または前腹部の左右に一対の止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ型に形成するオープン型使い捨ておむつであったり、前腹部と後背部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツ型使い捨ておむつであってもよい。
トップシートは、液透過性であることが好ましく、バックシートは、液不透過性または撥水性であることが好ましい。また、前記内側シートは、親水性または撥水性であることが好ましく、前記外側シートは、撥水性であることが好ましい。
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できるものであれば特に限定されず、吸水性樹脂を含んでいることが好ましい。吸収性コアは、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維集合層に粒状の吸水性樹脂を混合または散布したものを、ティッシュペーパーなどの紙シートまたは液透過性不織布シート等の被覆シートで包み、長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等の所定形状に成形することにより得られる。
本発明の使い捨て吸収性物品には、吸収性コアの幅方向両側縁部に沿って、フラップが設けられており、フラップは、吸収体に接合する固定部と、固定部から上方に延在する起立部とを有している。フラップは、吸収性コアの幅方向両側縁部に沿って設けられていればよく、例えば、吸収性コアの上面の幅方向両側縁部に設けられてもよく、吸収性コアの幅方向両外側に設けられてもよい。好ましくは、フラップは、固定部と起立部の境界が、吸収性コアの幅方向両側縁部から幅方向の内側または外側に20mm以内の領域にあることが好ましい。
フラップの固定部は吸収体に接合しており、例えば、トップシート、トップシート上面に折り返されたバックシート、あるいはトップシートとバックシートの両方に接合している。
フラップの起立部は、固定部から上方に延在している。上方とは、吸収体の長手方向と幅方向とに直交する方向で、吸収体に対し着用者側の方向を意味する。
起立部には、弾性部材が長手方向に断続的に設けられている。起立部に断続的に設けられた弾性部材は、収縮力が低減され、あるいは実質的に働かなくなるが、断続的に設けられた弾性部材はフラップの剛性を高めるように作用し、その結果、フラップが立ち上がった状態での形態安定性が向上する。従って、尿等の横漏れが防止されやすくなる。
図1には、本発明の使い捨て吸収性物品に設けられるフラップの一実施態様を示す。図1(a)は、本発明の使い捨て吸収性物品について、吸収体とフラップの幅方向断面図を表し、図1(b)は、図1(a)に示されたフラップを吸収体の内方から見た図を表す。
使い捨て吸収性物品1は、トップシート2とバックシート3との間に吸収性コア4が配置され、長手方向yと幅方向xとを有する吸収体5と、吸収性コア4の幅方向両側縁部に沿って設けられたフラップ6とを有している。フラップ6の固定部7は、吸収体5に接合している。フラップ6の起立部8は、固定部7から上方z1に延在している。起立部8には、弾性部材11が長手方向yに断続的に設けられている。起立部8は、長手方向yに断続的に設けられた弾性部材11により剛性が付与され、立ち上がった状態で安定しやすくなる。
図1に示されたフラップは、例えば、シート部材に弾性部材を伸張状態で接合し、当該弾性部材を切断することにより、製造できる。弾性部材の切断は、例えば、弾性部材が接合されたシート部材を、カッターが備えられた切断ロールとフラットロールとで挟み込むことにより、行えばよい。この際、切断ロールによりシート部材に穴が開いたり傷付いたりしないように、シート部材の弾性部材が接合された面を切断ロール側に配置し、弾性部材を切断することが好ましい。
図2には、本発明の使い捨て吸収性物品に設けられるフラップの他の実施態様を示す。図2(a)は、本発明の使い捨て吸収性物品について、吸収体とフラップの幅方向断面図を表し、図2(b)は、図2(a)に示されたフラップを吸収体の内方から見た図を表す。なお、図2について、図1の説明と重複する部分は、説明を省く。
図2では、フラップ6の起立部8が、固定部7から上方z1に延在し、起立部8の上方縁9で折り返されている。フラップ6は、起立部8から延在し、起立部8の上方縁9で折り返された折り返し部10を有している。起立部8と折り返し部10との間には、弾性部材11が長手方向yに断続的に設けられ、起立部8および/または折り返し部10と接合されている。弾性部材11が起立部8と折り返し部10との間に配設され、起立部8および/または折り返し部10と接合されることにより、フラップ6の剛性がより高まり、フラップ6が立ち上がった状態で安定しやすくなる。
フラップに断続的に設けられる各弾性部材は、ホットメルト接着剤等により、起立部および/または折り返し部に接合されていればよい。この場合、ホットメルト接着剤は、起立部および/または折り返し部に塗布されてもよく、弾性部材の表面に塗布されてもよい。
図2に示されたフラップは、例えば、折り返したシート部材の間に弾性部材を伸張状態で接合し、弾性部材が接合された当該シート部材を、所定の凸状パターンを表面に有する押圧ロールとフラットロールとで挟み込むことで、製造できる。押圧ロール表面の凸状パターンは鋭利でない方が好ましく、例えば、凸状パターンの角が丸みを帯びていてもよい。そのような押圧ロールを用いることで、シート部材を切断することなく、弾性部材が押圧により切断することが容易となる。
図2では、フラップ6の起立部8は上方縁9で幅方向内側に折り返されていたが、フラップ6の起立部8は上方縁9で幅方向外側に折り返されてもよい。また、折り返し部10は、図2の実施態様よりもさらに下方まで延在し、吸収体5および/または固定部7と接合してもよい。折り返し部10が吸収体5および/または固定部7と接合していれば、フラップ6の上方への立ち上がりが容易になる。
弾性部材は、長手方向に断続的に5本以上(より好ましくは8本以上)設けられることが好ましい。つまり、前記例示した製造方法によれば、シート部材に接合された1本の弾性部材が、切断されて5本以上に分割されることが好ましい。一方、弾性部材は、長手方向に断続的に30本以下(より好ましくは25本以下)設けられることが好ましい。弾性部材が、前記範囲で長手方向に断続的に設けられれば、フラップの剛性が適度に付与され好ましい。
フラップが折り返し部を有する場合、起立部と折り返し部とは、長手方向に複数並んで形成された溶着部により接合され、各溶着部と、断続的に設けられた各弾性部材とは、長手方向に交互に配置されることが好ましい。フラップに溶着部が形成されることにより当該部分に剛性が付与され、さらに、起立部と折り返し部とが溶着部により接合されることにより、フラップが立ち上がった状態で安定しやすくなる。また、各溶着部と、断続的に設けられた各弾性部材とが、長手方向に交互に配置される場合、弾性部材をシート部材に配設した後、弾性部材を切断しながら溶着部を形成することで、溶着部の形成と弾性部材の断続的な配設とが容易に行えるようになる。
図3に、溶着部が形成されたフラップの一例を示す。図3(a)では、上方縁9に対し90°の角度で配置された直線状の溶着部12が長手方向yに複数並んで形成され、各溶着部12と各弾性部材11とが長手方向yに交互に配置されている。図3(a)に示すようにフラップ6に溶着部12を設けると、フラップの立ち上がり方向に剛性が付与され、フラップの立ち上がった状態での安定性が向上する。
図3(b)では、上方縁9に対し45°の角度で配置された直線状の溶着部12が長手方向yに複数並んで形成されている。図3(b)に示すように、各溶着部12が直線状である場合、当該直線は上方縁9に対し斜めの角度で配置されてもよく、この場合、当該直線は上方縁9に対し45°〜135°の範囲の角度で配置されることが好ましい。直線状の溶着部12を上方縁9に対し45°〜135°の範囲の角度で配置することにより、フラップの立ち上がり方向への安定性が向上するとともに、フラップの長手方向yへの剛性も付与できるようになる。
図3(c)では、長手方向yに断続的に設けられた弾性部材11が、フラップ6の上下方向zに2列設けられている。長手方向に断続的に設けられた弾性部材が、フラップの上下方向に複数列設けられていれば、フラップの上下方向への剛性がさらに高まり、フラップが立ち上がった状態での形態安定性がさらに向上する。
図3に示されたフラップは、例えば、折り返したシート部材の間に弾性部材を伸張状態で接合し、弾性部材が接合された当該シート部材を、所定のパターンでヒートシール(熱融着)することで、製造できる。ヒートシールは、例えば、所定の凸状パターンを表面に有する2つの熱ロールで挟み込みこんで行えばよい。前記製造方法によれば、溶着部の形成(シートどうしの溶着)と弾性部材の切断とが同時に行うことができ、本発明で用いられるフラップを容易かつ効率的に製造することができる。
図3では、直線状の各溶着部は全て同じ角度で配置されているが、直線状の溶着部は、例えば、長手方向の半分が45°以上90°未満の角度で配置され、長手方向の他方の半分が90°超135°以下の角度で配置されていてもよい。あるいは、溶着部は、上方縁に対する傾斜角の異なる2種類以上の直線が順番に配置されて形成されていてもよい。各溶着部は必ずしも直線形状でなくてもよく、円、楕円、多角形、不定形等の任意の形状を有していてもよい。また、各溶着部は、等間隔で並んでいなくてもよい。
各溶着部が直線形状である場合、フラップへ剛性を確実に付与する点から、各溶着部の長さは1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましい。各溶着部の長さの上限は、各溶着部が起立部と折り返し部とに設けられる限り、特に限定されない。各溶着部が直線形状である場合、各溶着部の幅は0.01mm以上、2.0mm以下が好ましい。溶着部を、例えば凸状のパターンを有する熱ロールで形成する場合、幅が0.01mm以上であれば、凸部が鋭利になりすぎずフラップが破れにくくなり、幅が2.0mm以下であれば、弾性部材を切断しやすくなる。
弾性部材は、フラップの長手方向全体にわたって断続的に設けられてもよく、フラップの長手方向の一部に断続的に設けられてもよい。溶着部も、フラップの長手方向全体にわたって複数並んで形成されてもよく、フラップの長手方向の一部に複数並んで形成されてもよい。好ましくは、弾性部材と溶着部は、フラップの長手方向中央域75%の領域にのみ、すなわち起立部を長手方向に8分割したときの中央6分割分の領域にのみ設けられる。より好ましくは、弾性部材と溶着部は、フラップの長手方向中央域67%の領域にのみ設けられ、さらに好ましくは、フラップの長手方向中央域50%の領域にのみ設けられる。弾性部材と溶着部がフラップの長手方向中央域のみに設けられることで、フラップは長手方向端部に比べ長手方向中央部で安定して立ち上がり、防漏壁を形成するようになる。
図1〜図3では、フラップは、起立部全体が起立するように示されているが、起立部は、長手方向両端部の内面がトップシートと接合していてもよい。これにより起立部の長手方向両端部が幅方向内方に倒伏され、尿等の長手方向の外方への漏れが防止される。
本発明では、フラップの起立部に、弾性部材が長手方向に断続的に設けられているが、起立部に、弾性部材として、長手方向に断続的に設けられる弾性部材のみが備えられている場合、起立部にさらに別の弾性部材が長手方向に連続的に設けられる場合と比較して、弾性部材による着用者の肌への圧迫が低減され、フラップの肌触りが向上する。
なお、本発明においては、フラップの起立部には、さらに別の弾性部材が長手方向に連続的に設けられていてもよい。例えば、起立部および/または折り返し部の上方縁に別の弾性部材が長手方向に連続的に設けられていれば、連続的に設けられた弾性部材の収縮力によりフラップが立ち上がるようになる。また、フラップには、長手方向に断続的に設けられる弾性部材が備えられているため、フラップが立ち上がった状態での安定性が向上する。
フラップを形成するシート部材としては、撥水性または液体不透過性のシート状の材料であれば特に限定されず、不織布、織布、プラスチックフィルム、不織布とプラスチックフィルムとの積層体等を使用できる。前記積層体としては、例えば、不織布とプラスチックフィルムとが一層ずつ重ねられたものや、プラスチックフィルムを不織布で挟んで重ねられたものが示される。しかしながら、前記シート部材としては、製造容易性の点から、不織布が好ましい。
フラップを形成する不織布としては、スパンボンド法、エアースルー法、ポイントボンド法、メルトブロー法、エアレイド法やそれらの製法の組み合わせ等により製造される不織布が好ましい。さらに、スパンボンド法、またはスパンボンド法とメルトブロー法を組み合わせたSMS法により製造された不織布が好ましく、特にスパンボンド法により製造された不織布が好ましい。このような不織布を用いれば、高強度のフラップが得やすくなる。
フラップを形成する不織布の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、パルプ、絹等の天然繊維から適宜選択できる。不織布は、撥水性または液体不透過性の繊維から形成されたものでもよく、親水性の繊維から形成され、表面に撥水または液体不透過処理が施されたものであってもよい。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の熱可塑性の合成繊維が好ましく、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維がより好ましく、ポリプロピレン繊維がさらに好ましい。このような材質から得られる不織布を用いれば、高強度のフラップが得やすくなり、またフラップに溶着部を形成しやすくなる。
フラップを形成する不織布の目付は、5g/m2以上が好ましく、10g/m2以上がより好ましく、また50g/m2以下が好ましく、35g/m2以下がより好ましい。目付が5g/m2〜50g/m2の不織布を用いれば、不織布の通気性が確保されやすくなるとともに、不織布にコシが出やすくなる。そのため、そのような不織布を用いたフラップは、肌に優しく、着用者にとって快適性が向上するとともに、容易に折れ曲がりにくくなって、防漏壁が形成されやすくなる。
本発明の使い捨て吸収性物品は、前腹部と、後背部と、これらの間に位置し吸収性コアが備えられた股部とから構成され、股部の幅方向にフラップを横断して配設される弾性部材(以下、当該弾性部材を「股間用弾性部材」と称する)を有する使い捨ておむつであることが好ましい。前記使い捨ておむつは、着用時にパンツ型に形成するオープン型使い捨ておむつであっても、前腹部と後背部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツ型使い捨ておむつであってもよい。
使い捨ておむつの股部とは、おむつを展開し平面にした状態で、おむつを長手方向に前腹部と後背部と股部の3つに分割したときに、脚開口部を形成する切欠きが設けられる部分を意味する。
股部には吸収性コアが備えられるが、使い捨ておむつは、前腹部と後背部と股部とからなるおむつ本体と、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配置された吸収体とを有し、吸収体がおむつ本体の股部に備えられていてもよい。また、使い捨ておむつは、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配置された吸収体が、前腹部と後背部と股部とを形成し、前記股部に吸収性コアが備えられていてもよい。
使い捨ておむつの股部には、幅方向に延在し、吸収性コアの幅方向両側縁部に沿って設けられた2つのフラップを横断して、股間用弾性部材が配設されることが好ましい。股間用弾性部材が配設されることにより、使い捨ておむつを着用した際、股間用弾性部材の収縮力により吸収体の股部およびフラップが着用者側に持ち上がるようになり、フラップの着用者へのフィット性が高まり、尿等の横漏れが防止されやすくなる。
股間用弾性部材は、股部の幅方向に連続的な直線状で設けられることが好ましい。このように股間用弾性部材を設けることにより、吸収体の股部およびフラップの持ち上げ効果が、より発揮されるようになる。
股間用弾性部材は、1本の弾性部材からなっていても、複数の弾性部材からなっていてもよい。股間用弾性部材が複数の弾性部材からなる場合、各弾性部材は互いにほぼ平行に配設されることが好ましい。また、股間用弾性部材が複数の弾性部材からなる場合、各弾性部材間の間隔はほぼ均等であることが好ましい。股間用弾性部材を構成する各弾性部材が互いにほぼ平行に配設されていれば、股間用弾性部材の伸縮力が最大限発揮されるようになる。また、股間用弾性部材を構成する複数の弾性部材がほぼ均等の間隔で配設されていれば、股部の股間用弾性部材が配設される領域で均等に弾性力が働き、フラップの着用者へのフィット性が向上する。
股間用弾性部材を構成する弾性部材の数は、1本以上が好ましく、2本以上がより好ましく、3本以上がさらに好ましく、また10本以下が好ましく、8本以下がより好ましく、6本以下がさらに好ましい。股間用弾性部材を構成する弾性部材の数が1本以上であれば、フラップの着用者へのフィット性が改善される。一方、股間用弾性部材を構成する弾性部材の数が10本を超えても、股間用弾性部材による効果は顕著に改善されにくくなり、かえって製造が困難となり、製造コストも上がる。従って、股間用弾性部材を構成する弾性部材の数は10本以下が好ましい。
股間用弾性部材が複数の弾性部材からなる場合、長手方向における最前側の弾性部材と最後側の弾性部材との間の長さは、105mm以下が好ましく、80mm以下がより好ましい。最前側の弾性部材と最後側の弾性部材との間の長さが105mm以下であれば、股部でのフラップの着用者へのフィット性を高めやすくなる。股間用弾性部材の最前側の弾性部材と最後側の弾性部材との間の長さの下限は特に限定されないが、弾性部材の配設の容易性の点から、前記長さは、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましい。なお、最前側の弾性部材と最後側の弾性部材との間の長さが測定箇所により変わる場合は、その最小値を意味する。
股間用弾性部材は、両端部が股部の縁に沿って延在してもよい。股間用弾性部材の両端部が股部の縁に沿って延在することで、おむつを着用する際の脚開口部周りに、脚用弾性部材が設けられることとなる。股間用弾性部材の両端部が延在して脚用弾性部材が形成されることにより、脚開口部からの尿等の漏れが防止されやすくなる。また、製造上、股間用と脚用の弾性部材を容易に設けることができる。
好ましくは、股間用弾性部材は、複数の弾性部材からなり、少なくとも1本の股間用弾性部材の両端が、股部の前側(着用時前側)の縁に沿って延在し、別の少なくとも1本の股間用弾性部材の両端が、股部の後側(着用時後側)の縁に沿って延在する。このように弾性部材を設けることにより、脚開口部のほぼ全周にわたって弾性部材が設けられるようになるため、より確実に脚開口部からの尿等の漏れを防止できるようになる。
使い捨ておむつには、さらに、前腹部や後背部のウェスト開口縁に沿ってウェスト用弾性部材が設けられたり、前腹部や後背部の幅方向に胴周り用弾性部材が設けられていてもよい。ウェスト用弾性部材により、着用者が寝ている状態でも、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが起こりにくくなる。胴周り用弾性部材により、おむつの下腹部周りのフィット性が向上する。
各弾性部材は、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料が用いることができる。各弾性部材は、シート上またはシート間に、伸張状態で、ホットメルト接着剤、熱接着、超音波接着等の接合手段で配設されることが好ましい。例えば、繊度100〜2,500デシテックスのポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して配設し、固定する。接合部材としては、好ましくは、ゴム系のホットメルト接着剤である。
使い捨ておむつに配設される各弾性部材は、2枚のシート間に配設されることが好ましい。例えば、使い捨ておむつが、前腹部と後背部と股部とからなるおむつ本体と、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配置された吸収体とを有するものである場合、おむつ本体は、内側シートと外側シートとの積層体からなり、各弾性部材は内側シートと外側シートとの間に配設されることが好ましい。この場合、吸収体は、おむつ本体の股間用弾性部材が配設されている部分には接合されなくてもよい。吸収体が、おむつ本体の股間用弾性部材が配設された部分に接合されなければ、股間用弾性部材のおむつ幅方向への収縮力が吸収性コアの剛性に妨げられなくなり、吸収体の股部およびフラップの持ち上げ効果が、より発揮されるようになる。
例えば、使い捨ておむつが、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配置された吸収体からなり、吸収体が前腹部と後背部と股部とを形成している場合、各弾性部材はトップシートとバックシートとの間に配設されることが好ましい。吸収性コアが存在する部分では、各弾性部材は、吸収性コアとバックシートとの間に配設されることが好ましい。この場合、股間用弾性部材は吸収性コアとは接合されなくてもよい。股間用弾性部材が吸収性コアと接合されなければ、股間用弾性部材のおむつ幅方向への収縮力が吸収性コアの剛性に妨げられなくなり、吸収体の股部およびフラップの持ち上げ効果が、より発揮されるようになる。
次に、本発明の使い捨て吸収性物品が使い捨ておむつ(パンツ型使い捨ておむつ)である場合について、図4〜図7を参照して説明する。なお、本発明は、下記実施態様に限定されるものではない。
図4は、本発明の使い捨て吸収性物品としての使い捨ておむつの外観を表す。図5は、図4の使い捨ておむつの前腹部と後背部との接合を解いて、平面に展開した状態を表す。図6は、図5の使い捨ておむつのA−A断面図を表す。
使い捨ておむつ21は、前腹部Pと、後背部Qと、これらの間に位置し吸収性コア4が備えられた股部Rとから構成される。詳細には、使い捨ておむつ21は、前腹部Pと後背部Qと股部Rとからなるおむつ本体22と、トップシート2とバックシート3との間に吸収性コア4が配置された吸収体5とを有し、吸収性コア4を有する吸収体5がおむつ本体22の股部Rに備えられている。おむつ本体22は、前腹部Pと後背部Qとが接合されることによりウェスト開口部25と一対の脚開口部26とが形成される。おむつ本体22は、内側シート23と外側シート24とからなる積層体である。
吸収性コア4の幅方向両側縁部に沿って、フラップ6が設けられている(図6)。フラップ6は、吸収体5に接合する固定部7と、固定部7から上方に延在する起立部8と、起立部8から延在し、起立部8の上方縁9で折り返された折り返し部10を有する。起立部8と折り返し部10との間には、弾性部材11が長手方向yに断続的に設けられ、各弾性部材11は起立部8と折り返し部10とに接合されている。起立部8と折り返し部10は、長手方向yに複数並んで形成された溶着部12により接合され、各溶着部12と、断続的に設けられた各弾性部材11とが、長手方向yに交互に配置されている。フラップ6により、尿等の横漏れが防止される。
吸収体5のトップシート2は、着用者の股部の肌に面するように配置され、尿等の排泄物を透過する。トップシート2を透過した排泄物は、吸収性コア4により収容される。バックシート3は、おむつ本体22の内側シート23に接合され、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
股部Rには、幅方向xにフラップ6,6を横断して、股間用弾性部材31が配設される。図5では、股間用弾性部材31は4本の弾性部材からなり、前側(前腹部P側)の2本の弾性部材の両端部が股部Rの前側の縁28に沿って延在し、後側(後背部Q側)の2本の弾性部材の両端部が股部Rの後側の縁28に沿って延在し、その結果脚開口部26のほぼ全周にわたって脚用弾性部材32が形成される。
さらに、ウェスト用弾性部材33が、ウェスト開口縁27に沿って設けられ、胴周り用弾性部材34が、前腹部Pと後背部Qの幅方向xに設けられている。いずれの弾性部材も、内側シート23と外側シート24との間に伸張状態で接合されている。
使い捨ておむつ21に配される股間用弾性部材31について、別の実施態様を図7に示す。図7では、股間用弾性部材31は6本の弾性部材からなり、前側の2本の弾性部材の両端部が股部Rの前側の縁28に沿って延在し、後側の2本の弾性部材の両端部が股部Rの後側の縁28に沿って延在し、その結果脚開口部のほぼ全周にわたって脚用弾性部材32が形成される。股間用弾性部材31の真ん中の2本の弾性部材は、両端部が股部Rの縁28に沿って延在せず、幅方向xにフラップ6,6を横断して配設されるのみである。
図7に示すように、股間用弾性部材31は、一部の弾性部材が延在し、股部Rの縁28に沿って脚用弾性部材32を形成するものでもよい。図7のように股間用弾性部材31および脚用弾性部材32を配設することで、フラップの着用者へのフィット性と脚開口部のフィット性を、独立して調整することが可能になる。