JP2010283807A - 弾性表面波装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気機械結合係数K2を高め、かつ電極指一本あたりの反射係数を効果的に高め得る弾性表面波装置を提供する。
【解決手段】水晶基板2上にIDT電極3が形成されており、IDT電極3を覆うように水晶基板2上にc軸配向のZnO膜6が形成されており、IDT電極3のメタライゼーション比が0.25〜0.45の範囲にある、弾性表面波装置。
【選択図】図1
【解決手段】水晶基板2上にIDT電極3が形成されており、IDT電極3を覆うように水晶基板2上にc軸配向のZnO膜6が形成されており、IDT電極3のメタライゼーション比が0.25〜0.45の範囲にある、弾性表面波装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、共振子や帯域フィルタとして用いられる弾性表面波装置に関し、より詳細には、水晶基板上にc軸配向されたZnO膜が積層されている構造を有する弾性表面波装置に関する。
従来、携帯電話機のRF段の帯域フィルタなどに弾性表面波装置が広く用いられている。この種の弾性表面波装置では、帯域幅を拡げるためには、電気機械結合係数K2を高めることが求められている。また、小型化及び低損失化を図るためには、IDT電極の電極指の反射係数を高めることが求められている。
下記の特許文献1には、図45に示す断面構造を有する弾性表面波装置が開示されている。弾性表面波装置1001は、水晶基板1002と、水晶基板1002上に設けられたIDT電極1003と、IDT電極1003を覆うように設けられたc軸配向のZnO膜1004とを有する。ZnO膜1004は堆積法により形成されているため、IDT電極1003の電極指が存在する部分の上方において、ZnO膜1004の表面に凸部が形成されている。
特許文献1では、上記弾性表面波装置1001において、水晶基板1002のオイラー角を(0°±5°,0°〜140°,0°±40°)とし、Al、Au、Ta、W、Pt、Cu、Ni、またはMoを主体とするIDT電極1003の膜厚と、ZnO膜1004の膜厚とを上記金属の種類に応じて特定の範囲とすれば、反射係数を高めることができるとされている。
特許文献1に記載の弾性表面波装置1001では、弾性表面波の波長をλとしたとき、ZnO膜1004の膜厚H/λは0.3以下の範囲とされていた。そのため、電気機械結合係数K2が小さかった。特許文献1に記載の弾性表面波装置1001は、狭帯域フィルタに用いられるものであるため、電気機械結合係数K2は小さくともよかった。
しかしながら、特許文献1に記載の構成において、逆に、広帯域化を図ろうとして、ZnO膜1004の膜厚を厚くすると、反射係数が小さくなるという問題があった。すなわち、大きな電気機械結合係数K2と、大きな反射係数とを両立することは困難であった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、電気機械結合係数を高めて広帯域化を図ることができ、しかもIDT電極の電極指の反射係数を十分に高めることができる、弾性表面波装置を提供することにある。
本発明によれば、水晶基板と、前記水晶基板上に形成されたIDT電極と、前記IDT電極を覆うように前記水晶基板上に形成されたc軸配向のZnO膜とを備え、前記IDT電極のメタライゼーション比が0.25〜0.45の範囲、好ましくは0.3〜0.4の範囲にある、弾性表面波装置が提供される。上記メタライゼーション比が特定の範囲とされているため、本発明によって、反射係数を効果的に高めることができる。
本発明に係る弾性表面波装置のある特定の局面では、前記IDT電極の電極指ピッチで定まる波長をλとしたときに、前記ZnO膜の膜厚H/λが、0.4〜0.6の範囲とされている。その場合には、電気機械結合係数K2を0.028以上と高めることができる。より好ましくは、ZnO膜の膜厚H/λは0.43〜0.54の範囲内とされ、それによって電気機械結合係数K2を0.03以上と高めることができる。
また、本発明に係る弾性表面波装置の他の特定の局面では、波長λで規格化してなる上記IDT電極の規格化膜厚の範囲が、下記の表1の範囲内にある。
この場合には、電極指1本当たりの反射係数を0.02以上と高くすることが可能となる。
本発明に係る弾性表面波装置のさらに他の特定の局面では、前記ZnO膜H/λの膜厚が0.43〜0.54の範囲内にあり、λで規格化してなるIDT電極の規格化膜厚の範囲が、下記の表2の範囲内にある。この場合には、電気機械結合係数K2をより一層高め、かつ電極指の反射係数を0.02以上とすることができる。
本発明に係る弾性表面波装置の他の特定の局面では、前記水晶基板のオイラー角が(0°、10°〜120°、0°±5°)、(0°、0°〜150°、35°±15°)または(0°、165°〜180°、35°±15°)の範囲内にある。この場合には、水晶基板の周波数温度係数が正の値となり、ZnO膜の周波数温度係数TCFが負の値であるため、弾性表面波装置の全体としての周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができる。
本発明に係る弾性表面波装置の他の特定の局面では、前記水晶基板のオイラー角が(0°,132°45′〜141°,32°〜42°と138°〜148°)の範囲内にある。この場合には、周波数温度係数TCFを正の値とし、かつその絶対値を大きくすることができる。そのため、水晶基板に膜厚0.43〜0.54のZnO膜を形成して電気機械結合係数K2を大きくしたとしても、弾性表面波装置の全体としての周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができる。
本発明に係る弾性表面波装置の他の特定の局面では、前記IDT電極が、Ta、W、Au及びPtからなる群から選択された1種の金属または該金属を主体とする合金からなる金属層を主体とする。この場合には、IDT電極の膜厚をZnO膜の膜厚に応じて選択することにより、反射係数及び電気機械結合係数K2の双方を高めることができる。
本発明に係る弾性表面波装置では、水晶基板上にIDT電極及びc軸配向のZnO膜が形成されている構造において、IDT電極のメタライゼーション比が0.25〜0.45の範囲内とされているため、電極指1本当たりの反射係数を高めることができる。そのため、例えば、共振子型弾性表面波フィルタに本発明を適用した場合、通過帯域内における損失を小さくすることができ、かつ小型化を進めることができる。
しかも、本発明の弾性表面波装置では、上記ZnO膜の膜厚H/λを0.4〜0.6の範囲内とすることにより、電気機械結合係数K2についても高めることができる。すなわち、大きな電気機械結合係数K2と、大きな反射係数とを両立することも可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a),(b)は、本発明の一実施形態に係る弾性表面波装置の模式的平面図及びその要部を示す部分切欠拡大正面断面図である。
弾性表面波装置1は、水晶基板2を有する。水晶基板2上に、IDT電極3と、IDT電極3の弾性表面波伝搬方向両側に配置された反射器4,5とが形成されている。IDT電極3は、複数本の電極指3aを有する。IDT電極3及び反射器4,5を覆うように、c軸配向のZnO膜6が形成されている。ZnO膜6は、スパッタリングなどの堆積法により形成されている。そのため、ZnO膜6の表面には、下方に電極指3aが位置する部分において、上方に突出している凸部6aが形成されている。
上記IDT電極3、反射器4,5は、適宜の金属材料により形成されるが、好ましくは、Au、Pt、Ta及びWからなる群から選択された1種の金属または該金属を主体とする合金からなる金属層を主体とする。その場合には、後述するように、IDT電極3の膜厚を特定の範囲とし、ZnO膜6の膜厚及び後述のメタライゼーション比を選択することにより、電気機械結合係数K2を高め、かつ電極指3aの一本あたりの反射係数を効果的に高めることができる。これを、以下において、より具体的に説明する。
図2は、水晶基板上にIDT電極及びZnO膜を積層してなる種々の構造におけるZnO膜の膜厚と、電気機械結合係数K2との関係を示す図である。なお、実線は29°45′Y35°Xの水晶基板を用いた場合の結果を、破線は42°45′Y35°Xの水晶基板を用いた場合の結果を示す。図2では、水晶基板2上にIDT電極3及びZnO膜6を形成した構造と、水晶基板2上にZnO膜6及びIDT電極3をこの順序で積層した構造と、水晶基板2上にIDT電極3及びZnO膜6を形成し、さらに最上部に導電膜7を形成した構造と、水晶基板上に導電膜7を形成し、ZnO膜6を形成し、最上部にIDT電極3を形成した構造の結果が示されている。なお、励振される弾性表面波の波長λとする。また、IDT電極3は導体で構成されている。具体的には、IDT電極3は、1層または複数層の金属膜からなる。
図2から明らかように、水晶基板2上に、IDT電極3及びZnO膜6を積層した様々な構造において、ZnO膜6の膜厚を変化させると、電気機械結合係数K2が変化することがわかる。特に、上記実施形態のように、水晶基板2上にIDT電極3を形成し、その上にZnO膜6を形成した構造では、ZnO膜6の膜厚H/λが、0.43程度の膜厚までは、膜厚が増加するにつれて電気機械結合係数K2が高くなっていくことがわかる。そして、0.54を越えると、ZnO膜6の膜厚が増加すると、電気機械結合係数K2が低くなっていくことがわかる。すなわち、0.43〜0.54付近において最も大きな電気機械結合係数を得ることができる。
前述したように、特許文献1に記載の弾性表面波装置では、ZnO膜の膜厚H/λは0.3以下とされていた。図2から明らかなように、ZnO膜の膜厚H/λが0.3以下では、電気機械結合係数K2が0.02以下と低くなり、広帯域化を図ることができないことがわかる。
また、図2から明らかなように、ZnO膜の膜厚H/λを0.43〜0.54とすることにより電気機械結合係数を約0.03以上と高くすることができ、0.4〜0.6の範囲であれば、0.027以上程度と高めることができ、0.3を越えると、0.02以上とし得ることがわかる。
従って、好ましくは、電気機械結合係数K2を高めることができるので、ZnO膜の膜厚H/λは、0.3を越え、0.6以下の範囲、より好ましくは0.4〜0.6の範囲とすることが望ましいことがわかる。また、0.43〜0.54の範囲がさらに好ましく、電気機械結合係数K2を0.03以上とすることができる。
本願発明者は、図1(a),(b)に示した弾性表面波装置1において、上記のようにZnO膜の膜厚H/λを例えば0.4〜0.6の範囲のように厚くすることにより、十分大きな電気機械結合係数K2を得ることができることに鑑み、さらに反射係数の向上について検討した。その結果、上記の通り、IDT電極3のメタライゼーション比を0.25〜0.45の範囲とすれば、電極指一本あたりの反射係数を効果的に高めることができ、しかもZnO膜の膜厚H/λを上記のように選択することにより、電気機械結合係数K2の増大と、反射係数の増大とを両立し得ることを見出した。これを、図3〜図30を参照して説明する。
なお、メタライゼーション比とは、図1(b)に示す電極指間ピッチaに対する電極指3aの幅bの割合、すなわちb/aをいう。ここで、上記幅bは、電極指3aの幅寸法であり、弾性表面波伝搬方向に沿う寸法である。
図3及び図4は、それぞれ、IDT電極を0.03、0.045及び0.06の膜厚h/λのAu膜で形成し、かつメタライゼーション比を0.3または0.4とした場合のZnO膜の膜厚H/λと電気機械結合係数K2との関係を調べた結果を示す。
図3及び図4から明らかなように、メタライゼーション比が0.3及び0.4のいずれの場合においても、ZnO膜の膜厚H/λが、0.35から0.50程度まで増加するにつれ、電気機械結合係数K2が大きくなっていくことがわかる。Au膜の膜厚h/λが0.03の場合には、ZnO膜の膜厚H/λが0.50を越えると、ZnO膜の膜厚の増加に伴って若干電気機械結合係数K2は低くなる傾向があるが、それでも、ZnO膜の膜厚H/λが0.40〜0.60、より好ましくは0.43〜0.54の範囲において、十分大きな電気機械結合係数が得られている。また、Au膜の膜厚h/λが0.045及び0.06の場合には、ZnO膜の膜厚H/λが0.35から0.60まで増加するにつれ、電気機械結合係数K2が徐々に大きくなっていく傾向のあることがわかる。
いずれにしても、Au膜を用いた場合、ZnO膜の膜厚H/λを0.35以上とすることにより、電気機械結合係数K2を0.023以上と高くし得ることがわかる。
図5は、IDT電極を0.012、0.014、0.016、0.03、0.045、0.065及び0.1の膜厚h/λのAu膜で形成し、メタライゼーション比を0.25とした場合のZnO膜の膜厚H/λと電極指一本あたりの反射係数との関係を示す図である。図5から明らかなように、Au膜の膜厚の如何に関わらず、ZnO膜の膜厚H/λが厚くなるにつれて、反射係数が低くなっていくことがわかる。また、Au膜の膜厚h/λが0.014以上であれば、ZnO膜の膜厚H/λが0.4〜0.6の範囲で反射係数を0.025以上と高くし得ることがわかる。ZnOの膜厚H/λが0.43〜0.54の場合には、Au膜の膜厚h/λが0.016であれば、同じく反射係数を充分に高めることができる。
図6は、IDT電極を0.01、0.012、0.015、0.02、0.03、0.045、0.06及び0.1の膜厚h/λのAu膜で形成し、メタライゼーション比を0.3とした場合のZnO膜の膜厚H/λと電極指一本あたりの反射係数との関係を示す図である。図6から明らかなように、Au膜の膜厚の如何に関わらず、ZnO膜の膜厚H/λが厚くなるにつれて、反射係数が低くなっていくことがわかる。
図7は、Au膜の膜厚h/λが0.012、0.015、0.02、0.03、0.045、0.06、0.08、0.1であり、かつメタライゼーション比が0.4の場合のZnO膜の膜厚H/λと電極指一本当たりの反射係数との関係を示す図である。図7から明らかなように、メタライゼーション比が0.4の場合も、Au膜の膜厚h/λの如何に関わらず、ZnO膜の膜厚H/λが増加するにつれ、反射係数が低くなっていくことがわかる。
図8は、Au膜の膜厚h/λが、0.012、0.03、0.045、0.06または0.1の膜厚のAu膜で形成し、メタライゼーション比を0.45とした場合のZnO膜の膜厚H/λと電極指一本あたりの反射係数との関係を示す図である。図8から明らかなように、Au膜の膜厚h/λの如何に関わらず、ZnO膜の膜厚H/λが厚くなるにつれて、反射係数が低くなっていくことがわかる。
なお、ZnO膜の膜厚H/λが0.4〜0.6の範囲においては、Au膜の膜厚h/λが0.012以上、0.1以下で、ZnO膜の膜厚H/λが0.43〜0.54の場合には、Au膜の膜厚h/λは0.012以上、0.1以下で、それぞれ、反射係数を0.02以上と高くし得ることがわかる。
図3〜図8から明らかなように、ZnO膜の膜厚H/λが増加すると、電気機械結合係数K2を高めることはできるものの、反射係数は低くなる傾向のあることがわかる。
従って、大きな電気機械結合係数と大きな反射係数とを両立することは、非常に困難であることがわかる。しかしながら、以下の説明から明らかなように、本実施形態では、メタライゼーション比が0.25〜0.45の範囲とされているため、大きな電気機械結合係数と高い反射係数とを両立することができる。
図9は、上記弾性表面波装置1において、ZnO膜の規格化膜厚H/λが0.5の場合に、Au膜の膜厚h/λを0.03、0.045または0.06とした場合のメタライゼーション比と反射係数との関係を示す図である。
図9から明らかなように、Au膜の膜厚h/λを変化させたとしても、メタライゼーション比が大きくなるにつれ、反射係数が低くなっていくことがわかる。また、メタライゼーション比が0.25〜0.45の範囲では、反射係数がほぼ0.02以上であり、より好ましくは、0.3〜0.4の範囲であれば、0.025以上であることがわかる。
同様に、図10は、ZnOの規格化膜厚H/λが0.5であり、かつAu膜の膜厚h/λが0.03、0.04及び0.06の場合のメタライゼーション比と電気機械結合係数K2との関係を示す図である。図10から明らかなように、電気機械結合係数K2についても、メタライゼーション比が0〜0.5の範囲であれば、0.024以上と高いことがわかる。
従って、図9及び図10から、メタライゼーション比を0.25〜0.45の範囲とすれば、反射係数を0.02以上、電気機械結合係数K2を0.025以上と両者を高くし得ることがわかる。好ましくは、メタライゼーション比を0.3〜0.4の範囲とすれば、反射係数を0.025以上とより一層高くし得ることがわかる。また、図3〜図7から明らかなように、ZnOの規格化膜厚H/λが0.3を越え、0.6以下、好ましくは0.4以上とすることにより、電極膜厚の如何に関わらず、電気機械結合係数を高めることができたことを考慮すると、ZnO膜の膜厚H/λを0.5から変化させた場合にも、H/λが0.3を越え、0.6以下の範囲で図9及び図10の場合と同様に、電気機械結合係数及び反射係数を十分に高め得ることがわかる。
図3〜図10は、IDT電極3をAu膜を用いて形成した場合の結果を示したが、他の電極材料を用いた場合も同様であることを、図11〜図30を参照して説明する。
(Pt膜の場合)
図11及び図12は、膜厚h/λが0.03、0.045または0.08のPt膜によりIDT電極3を形成し、メタライゼーション比を0.3または0.4とした場合のZnO膜6の膜厚H/λと、電気機械結合係数K2との関係を示す。図11及び図12から明らかなように、Pt膜を用いた場合に、Pt膜の膜厚が変化した場合であっても、ZnO膜の膜厚H/λを0.35より高く、好ましくは0.4以上、0.6以下とすることにより、電気機械結合係数をメタライゼーション比やPt膜の膜厚を変化させた場合であっても、0.017以上と高くし得ることがわかる。
図11及び図12は、膜厚h/λが0.03、0.045または0.08のPt膜によりIDT電極3を形成し、メタライゼーション比を0.3または0.4とした場合のZnO膜6の膜厚H/λと、電気機械結合係数K2との関係を示す。図11及び図12から明らかなように、Pt膜を用いた場合に、Pt膜の膜厚が変化した場合であっても、ZnO膜の膜厚H/λを0.35より高く、好ましくは0.4以上、0.6以下とすることにより、電気機械結合係数をメタライゼーション比やPt膜の膜厚を変化させた場合であっても、0.017以上と高くし得ることがわかる。
図13は、Pt膜の膜厚h/λを、0.012、0.014、0.03、0.045、0.06、0.08または0.1とし、メタライゼーション比が0.25の場合のZnO膜の膜厚H/λと反射係数との関係を示す。
また、図14は、Pt膜の膜厚h/λを0.012、0.013、0.015、0.03、0.045、0.08または0.1とし、かつメタライゼーション比が0.3の場合のZnO膜の膜厚H/λと反射係数との関係を示す。図15は、メタライゼーション比を0.4に変えたこと並びにPt膜の最小膜厚h/λを0.01としたことを除いては、図14の場合と同様とした場合の結果を示す。
図16は、メタライゼーション比を0.45に代えたことを除いては、図14の場合と同様とした場合の結果を示す。
図13〜図16から明らかなように、ZnO膜の膜厚H/λを、0.35以上、好ましくは0.4以上、0.6以下の範囲とした場合、メタライゼーション比が0.25の場合には、Pt膜の膜厚h/λを0.012以上、0.1以下とすることにより、反射係数を0.02以上と高くすることができる。電極指のメタライゼーション比が0.3の場合には、Pt膜の膜厚h/λを0.013以上とすることにより反射係数を0.025以上とすることができる。メタライゼーション比が0.4の場合にもPt膜の膜厚h/λを0.015以上とすることにより、反射係数は0.025以上と十分に高く、メタライゼーション比が0.45の場合には、Pt膜の膜厚h/λを同じく0.012以上とすることにより、反射係数を0.02以上と高くすることができる。
また、図17及び図18は、ZnOの膜厚H/λが0.5の場合のメタライゼーション比と反射係数及び電気機械結合係数K2との関係を示す図である。図17及び図18では、Pt膜の膜厚h/λが0.03、0.055及び0.08の場合の結果がそれぞれ示されている。これらのPt膜の膜厚の如何に関わらず、メタライゼーション比が0.3〜0.4の範囲であれば、反射係数は0.025以上と高いことがわかる。
従って、図11〜図18から、IDT電極がPt膜の場合も、Au膜の場合と同様に、メタライゼーション比を0.25〜0.45の範囲、好ましくは0.3〜0.4の範囲とすることにより、反射係数を効果的に高めることができ、さらにZnO膜の規格化膜厚H/λが0.4〜0.6、より好ましくは、0.43〜0.54の範囲にある場合、電気機械結合係数を十分に高め得ることがわかる。
ZnO膜の膜厚H/λを0.43〜0.54の範囲とした場合、メタライゼーション比が0.25〜0.45の場合には、Pt膜の膜厚h/λを0.014以上、メタライゼーション比が0.3〜0.4の場合には、Pt膜の膜厚h/λを0.013以上とすれば、電気機械結合係数をより高め、かつ反射係数を0.02以上に高めることができる。
(Ta膜の場合)
図19〜図22は、IDT電極がTaの場合であって、メタライゼーション比が0.25、0.3、0.4または0.45の場合のZnO膜の膜厚H/λと、反射係数との関係を示す図である。図19では、メタライゼーション比が0.25であり、Ta膜の膜厚h/λは、0.005、0.01、0.014、0.016、0.03、0.05、0.07または0.1の結果が示されている。
図19〜図22は、IDT電極がTaの場合であって、メタライゼーション比が0.25、0.3、0.4または0.45の場合のZnO膜の膜厚H/λと、反射係数との関係を示す図である。図19では、メタライゼーション比が0.25であり、Ta膜の膜厚h/λは、0.005、0.01、0.014、0.016、0.03、0.05、0.07または0.1の結果が示されている。
図19から明らかなように、ZnOの膜厚H/λを0.4〜0.60の範囲とした場合、Ta膜の膜厚h/λが0.014以上、0.1以下では、反射係数は0.02以上と高いことがわかる。
図20では、メタライゼーション比が0.3であり、Ta膜の膜厚h/λは、0.005、0.008、0.01、0.03、0.05、0.07及び0.1の各結果が示されている。
図20から明らかなように、ZnO膜の膜厚H/λを0.4〜0.60の範囲とした場合、反射係数は高いことがわかる。特に、Ta膜の膜厚h/λが0.005以上、0.1以下であれば、反射係数は0.02以上と高いことがわかる。
図21は、メタライゼーション比が0.4の場合の結果を示す。その他の点は図20の場合とほぼ同様である。図21から明らかなように、メタライゼーション比が0.4の場合にも、ZnO膜の膜厚H/λが0.4〜0.60の範囲において、Ta膜厚h/λが0.01以上では反射係数は0.025以上と高く、十分に高いことがわかる。
図22は、メタライゼーション比が0.45の場合の結果を示す。その他の点は図20の場合と同様である。図22から明らかなように、メタライゼーション比が0.45の場合にも、ZnO膜の膜厚H/λが0.4〜0.60の範囲において、Taの膜厚h/λが0.014以上では反射係数は0.02以上と高く、十分に高いことがわかる。
図23及び図24は、ZnO膜の膜厚H/λを0.5とした場合、Ta膜の膜厚h/λを0.03、0.05または0.07とした場合のメタライゼーション比と反射係数及び電気機械結合係数K2との関係をそれぞれ示す図である。
図23及び図24から明らかなように、Ta膜の膜厚h/λを変更した場合においても、メタライゼーション比を0.3〜0.4の範囲とすることにより、反射係数を0.025以上と高くし得ることがわかる。
図19〜図24の結果を総合すると、Au膜やPt膜の場合と同様に、IDT電極をTa膜で形成した場合においても、ZnO膜の膜厚H/λを0.35以上、好ましくは0.40〜0.60の範囲として電気機械結合係数K2を高めたとしても、メタライゼーション比を0.25〜0.45の範囲とすることにより、反射係数を十分に高め得ることがわかる。さらに、メタライゼーション比を0.3〜0.4の範囲とすることにより、反射係数をより一層高めることができる。従って、大きな電気機械結合係数K2と、大きな反射係数とを両立することができる。
より好ましくは、ZnO膜の膜厚H/λを0.43〜0.54の範囲として電気機械結合係数をより一層高めた場合、Ta膜の膜厚h/λは、メタライゼーション比が0.25〜0.45の範囲の場合には、0.016以上、メタライゼーション比が0.3〜0.4の場合は0.008以上とすることにより、より一層大きな電気機械結合係数及び反射係数を実現することができる。
(W膜の場合)
図25〜図28は、IDT電極がWの場合であって、メタライゼーション比が0.25、0.3、0.4または0.45の場合のZnO膜の膜厚H/λと、反射係数との関係を示す図である。
図25〜図28は、IDT電極がWの場合であって、メタライゼーション比が0.25、0.3、0.4または0.45の場合のZnO膜の膜厚H/λと、反射係数との関係を示す図である。
図25は、メタライゼーション比が0.25であり、W膜の膜厚h/λが0.008〜0.1の間の種々の膜厚である場合の結果を示す。
図25から明らかなように、メタライゼーション比が0.25の場合、ZnOの膜厚H/λが0.4〜0.60の範囲の場合、W膜の膜厚h/λを0.013以上、0.1以下とすれば、反射係数を0.02以上と十分に高くすることができることがわかる。
なお、図26では、メタライゼーション比が0.3であり、W膜の膜厚h/λは、0.005、0.008、0.01、0.03、0.05、0.07及び0.1の各結果が示されている。
図26から明らかなように、ZnO膜の膜厚H/λを0.4〜0.60の範囲とした場合、W膜の膜厚h/λが0.005以上で反射係数が0.025以上と高いことがわかる。
図27は、メタライゼーション比が0.4の場合の結果を示し、ここでは、W膜の最小膜厚h/λは0.008とされている。その他の点は図26の場合と同様である。図27から明らかなように、メタライゼーション比が0.4の場合にも、ZnO膜の膜厚H/λが0.4〜0.60の範囲において、W膜の膜厚h/λが0.008以上で反射係数は0.025以上と十分に高いことがわかる。
図28は、メタライゼーション比が0.45の場合であって、W膜の膜厚h/λが0.008〜0.1の範囲の種々の膜厚である場合の結果を示す。
図28から明らかなように、メタライゼーション比が0.45の場合、ZnOの膜厚が0.4〜0.60の範囲では、W膜の膜厚h/λを0.03以上とすれば、反射係数を0.025以上と高くし得ることがわかる。
図29及び図30は、ZnO膜の膜厚H/λを0.5とした場合、W膜の膜厚h/λを0.03、0.05または0.07とした場合のメタライゼーション比と反射係数及び電気機械結合係数K2との関係をそれぞれ示す図である。
図29及び図30から明らかなように、W膜の膜厚h/λを変更した場合においても、メタライゼーション比を0.3〜0.4の範囲とすることにより、反射係数を0.025以上と高くし得ることがわかる。
図26〜図30の結果を総合すると、Au膜やPt膜の場合と同様に、IDT電極をW膜で形成した場合においても、ZnO膜の規格化膜厚H/λを0.35以上、好ましくは0.40〜0.60の範囲として電気機械結合係数K2を高めたとしても、メタライゼーション比を0.25〜0.45、好ましくは0.3〜0.4の範囲とすることにより、反射係数を十分に高め得ることがわかる。従って、大きな電気機械結合係数K2と、大きな反射係数とを両立することができる。
より好ましくは、ZnO膜の膜厚H/λを0.43〜0.54の範囲とした場合、電気機械結合係数をさらに高めることができ、その場合、W膜の膜厚h/λは、メタライゼーション比が0.25〜0.45の範囲の場合には、0.015以上、メタライゼーション比が0.3〜0.4の場合には、0.008以上とすればよい。それによって、より大きな電気機械結合係数と、大きな反射係数とをより確実に両立することができる。
図2〜図30に示した結果を考慮すると、メタライゼーション比が0.25〜0.45の場合、ZnO膜の膜厚H/λを0.4〜0.6として電気機械結合係数K2を高めることができ、さらに、その場合、IDT電極の波長λで規格化した規格化膜厚h/λの範囲が、ZnO膜の膜厚H/λの範囲に応じて、かつ電極材料ごとに、下記の表3のメタライゼーション比が0.25〜0.45の範囲内にある場合、反射係数を0.02以上とすることができることがわかる。また、より好ましくは、下記の表3のメタライゼーション比が0.25〜0.45の場合には、反射係数を0.025以上と高くすることができる。
また、より好ましくは、メタライゼーション比が0.3〜0.4の範囲の場合、ZnO膜の膜厚H/λを0.43〜0.54の範囲内とし、電極材料に応じて電極の規格化膜厚範囲を下記の表4に示す範囲内とすれば、電気機械結合係数をさらに高めることができる。表4中、メタライゼーション比が0.3〜0.4の範囲の場合には、反射係数を0.02以上とすることができ、メタライゼーション比が0.3〜0.4の場合には、反射係数を0.025以上と高くすることができる。
なお、表3及び表4のIDT電極の膜厚範囲は、前述した図2〜図30に示した結果に基づき定められたものである。すなわち、実験的に確かめられたものである。
(水晶基板のオイラー角範囲)
図31は、水晶基板のオイラー角(0°,θ,0°)におけるθを変化させた場合の周波数温度係数TCFの変化を示す図である。図31から明らかなように、水晶基板の周波数温度係数TCFは、オイラー角のθに依存することがわかる。
図31は、水晶基板のオイラー角(0°,θ,0°)におけるθを変化させた場合の周波数温度係数TCFの変化を示す図である。図31から明らかなように、水晶基板の周波数温度係数TCFは、オイラー角のθに依存することがわかる。
そこで、オイラー角(0°,θ,ψ)において、θが10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°の場合のψと周波数温度係数TCFとの関係を求めた。結果を図32〜図40に示す。
図32〜図40から明らかなように、オイラー角(0°,θ,ψ)において、オイラー角のψを選択することにより、周波数温度係数TCFを正の値とし得ることがわかる。例えば図41に示すように、オイラー角が(0°,119°45′,ψ)の場合のオイラー角のψと周波数温度係数TCFの関係を参照すると、オイラー角のψが40°〜50°から130°〜140°の範囲でTCFが正の値を示すことがわかる。オイラー角が(0°,132°45′,ψ)の場合のオイラー角のψと周波数温度係数TCFの関係を参照すると、オイラー角のψが0°〜50°の範囲でTCFが正の値を示すことがわかる。
また、図42から明らかなように、オイラー角が(0°,141°,ψ)の場合、ψの範囲が25°〜45°の場合同様にTCFが正の値を示すことがわかる。
これに対して、ZnO膜は、負の周波数温度係数TCFを有することが示されている。もっとも、周波数温度係数TCFは、ZnO膜の膜厚によっても変化する。
そこで、周波数温度係数TCFを示すZnOに、上記特定のオイラー角範囲の水晶基板を組み合わせれば、弾性表面波装置1における全体としての周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができ、温度による周波数変化を小さくし得ることがわかる。
図43は、オイラー角(0°,75°,0°)、(0°,110°,0°)及び(0°,132°45′,0°)の水晶基板上に、ZnO膜を形成した場合のZnO膜の膜厚H/λと、周波数温度係数TCFとの関係を示す図である。図43から明らかなように、ZnOの膜厚H/λにより、ZnO/水晶積層構造のTCFが変化することがわかる。例えば、オイラー角(0°,75°,0°)の水晶を用いた場合、ZnO膜を形成しなかった構造では、TCFは約30.1ppm/℃であり、これに対して、ZnO膜の膜厚H/λが0.4の場合には、約−1.8ppm/℃となり、0.6の場合には、約−21ppm/℃となる。同様に、オイラー角(0°,110°,0°)の場合、ZnO膜が形成されていない場合には、13.5ppm/℃であるのに対し、ZnO膜の膜厚H/λが0.4の場合には、約−4.0ppm/℃であり、0.6の場合には、−28ppm/℃である。また、水晶のオイラー角が(0°,132°45′,0°)の場合には、ZnO膜を形成しない場合には、TCFは0であるのに対し、ZnO膜の膜厚H/λが0.4の場合には、約−24ppm/℃、0.6の場合には、約−37ppm/℃である。
従って、図43の結果から、ZnO膜の膜厚H/λを0.4〜0.6とし、ZnO/水晶構造の全体のTCFの絶対値を小さくするには、水晶自身のTCFは正符号かつTCFの絶対値10ppm/℃以上、好ましくは15ppm/℃以上、より好ましくは20ppm/℃以上が必要であることがわかる。
図31〜図40から、周波数温度係数TCFが+10ppm/℃以上、+15ppm/℃以上、及び+20ppm/℃以上となるのは、水晶基板のオイラー角(0°,θ,ψ)が下記A1〜A10である場合である。
(A1)図31から(0°,7°〜120°,0°)、(0°,15°〜110°,0°)及び(0°,23°〜112°,0°)である。
(A2)図32から(0°,10°,12°〜24°と77°〜103°)、(0°,10°,80°〜110°)及び(0°,10°,82°〜98°)である。
(A3)図33から(0°,20°,0°〜23°と74°〜106°)、(0°,20°,0°〜20°と77°〜103°)及び(0°,20°,80°〜100°)である。
(A4)図34から(0°,30°,0°〜22°と77°〜103°)、(0°,30°,0°〜17°と80°〜100°)及び(0°,30°,0°〜7°と87°〜93°)である。
(A5)図35から(0°,40°,0°〜23°)、(0°,40°,0°〜20°)及び(0°,40°,0°〜15°)である。
(A6)図36から(0°,50°,0°〜22°)、(0°,50°,0°〜21°)及び(0°,50°,0°〜17°)である。
(A7)図37から(0°,60°,0°〜24°)、(0°,60°,0°〜23°)及び(0°,60°,0°〜18°)である。
(A8)図38から(0°,70°,0°〜23°)、(0°,70°,0°〜21°)及び(0°,70°,0°〜16°)である。
(A9)図39から(0°,80°,0°〜27°)、(0°,80°,0°〜23°)及び(0°,80°,0°〜18°)。
(A10)図40から(0°,90°,0°〜23°)、(0°,90°,0°〜20°)及び(0°,90°,0°〜10°)である。
図41〜図42から、周波数温度係数TCFが+10ppm/℃以上、+15ppm/℃以上、及び+20ppm/℃以上となるのは、水晶基板のオイラー角(0°,119°45′,ψ)、(0°,132°45′,ψ)及び(0°,141°,ψ)が下記B1〜B3である場合である。
(B1)図41の実線から(0°,119°45′,16°〜40°と140°〜164°)、(0°,119°45′,20°〜38°と142°〜160°)である。オイラー角(0°,119°45′,ψ)では+20ppm/℃以上となるψは存在しない。
(B2)図41の破線から(0°,132°45′,20°〜44°と136°〜160°)、(0°,132°45′,25°〜45°と135°〜155°)及び(0°,132°45′,37°〜42°と138°〜143°)である。
(B3)図42から(0°,141°,24°〜47°と133°〜156°)、(0°,141°,27°〜45°と135°〜153°)及び(0°,141°,32°〜42°と138°〜148°)である。
B1〜B3をまとめるとB4が得られる。
(B4)図41〜図42から(0°,119°45′〜141°,16°〜47°と133°〜164°)、(0°,119°45′〜141°,20°〜45°と135°〜160°)及び(0°,132°45′〜141°,32°〜42°と138°〜148°)である。
よって、図31〜図43の結果をまとめると、本発明の弾性表面波装置では、水晶基板のオイラー角を(0°,10°〜120°,0°±5°)、(0°,0°〜150°,35°±15°)または(0°,165°〜180°,35°±15°)の範囲内とすることにより、しかもZnO膜の膜厚H/λを、前述した0.4〜0.6、より好ましくは0.43〜0.54の範囲内とすることにより、大きな電気機械結合係数を実現し得るだけでなく、周波数温度係数TCFの絶対値を小さくして、周波数温度特性を改善することもできる。
より好ましくは、水晶基板のオイラー角を(0°,132°45′〜141°,32°〜42°と138°〜148°)の範囲内とすることにより、絶対値がより大きくされた正の周波数温度係数TCFを有することができる。そのため水晶基板に膜厚0.43〜0.54のZnO膜を形成して電気機械結合係数K2を大きくしたとしても弾性表面波装置の全体としての周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができる。
なお、上記実施形態では、図44(a)に示すように、水晶基板2上にIDT電極3及びZnO膜6をこの順序で積層した構造につき説明したが、本発明は、図44(b)〜(d)に示す断面構造有する弾性表面波装置にも適用することができる。(b)では、(a)の場合とは異なり、ZnO膜6の上面が平坦化されている。また、(c)では、水晶基板2の上面に溝が形成されており、溝内にIDT電極3が埋め込まれている。水晶基板2の上面とIDT電極3の上面とが面一となっており、その上に上面が平坦なZnO膜6が形成されている。(d)に示す構造では、水晶基板2上に、IDT電極3が形成されており、IDT電極3の側方にIDT電極3と同じ膜厚のZnO膜6bが形成されている。従って、IDT電極3の上面とZnO膜6bの上面とが面一とされている。そして、IDT電極3及びZnO膜6bを覆うように、上面が平坦なZnO膜6が形成されている。
なお、本発明は、上記のように、水晶基板と、IDT電極と、IDT電極を覆うように設けられたc軸配向のZnO膜を有する弾性表面波装置に反するものであり、IDT電極を含む電極構造については特に限定されない。すなわち、図1に示したような弾性表面波共振子や縦結合共振子型の弾性表面波フィルタに限らず、様々な電極構造を有する弾性表面波装置に好適に用いることができる。
なお、本明細書において、オイラー角、結晶軸及び等価なオイラー角とは以下の内容を意味するものとする。
(オイラー角)
本明細書において、基板の切断面と、境界波の鉄板方向を表現するオイラー角(φ,θ,ψ)は、文献「弾性波素子技術ハンドブック」(日本学術振興会弾性波素子技術第150委員会、第1版第1刷、平成3年11月30日発行、549頁)記載の右手系オイラー角を用いた。
本明細書において、基板の切断面と、境界波の鉄板方向を表現するオイラー角(φ,θ,ψ)は、文献「弾性波素子技術ハンドブック」(日本学術振興会弾性波素子技術第150委員会、第1版第1刷、平成3年11月30日発行、549頁)記載の右手系オイラー角を用いた。
すなわち、水晶の結晶軸X、Y、Zに対し、Z軸を軸としてX軸を反時計廻りにφ回転しXa軸を得る。
次に、Xa軸を軸としてZ軸を反時計廻りにθ回転しZ′軸を得る。
Xa軸を含み、Z′軸を法線とする面を基板の切断面とした。
そして、Z′軸を軸としてXa軸を反時計廻りにψ回転した軸X′方向を表面波の伝搬方向とした。
また、Y軸が上記回転により移動して得られるX′軸とZ′軸と垂直な軸をY′軸とした。
(結晶軸)
また、オイラー角の初期値として与える水晶の結晶軸X、Y、Zは、Z軸をc軸と平行とし、X軸を等価な3方向のa軸のうち任意の一つと平行とし、Y軸はX軸とZ軸を含む面の法線方向とした。
また、オイラー角の初期値として与える水晶の結晶軸X、Y、Zは、Z軸をc軸と平行とし、X軸を等価な3方向のa軸のうち任意の一つと平行とし、Y軸はX軸とZ軸を含む面の法線方向とした。
(等価なオイラー角)
なお、本発明における水晶基板のオイラー角(φ,θ,ψ)は結晶学的に等価であればよい。例えば、文献(日本音響学会誌36巻3号、1980年、140〜145頁)によれば三方晶系3mに属する結晶であるので、下記の式[100]が成り立つ。
なお、本発明における水晶基板のオイラー角(φ,θ,ψ)は結晶学的に等価であればよい。例えば、文献(日本音響学会誌36巻3号、1980年、140〜145頁)によれば三方晶系3mに属する結晶であるので、下記の式[100]が成り立つ。
F(φ,θ,ψ)=F(60°+φ,−θ,ψ)
=F(60°−φ,−θ,180°−ψ)
=F(φ,180°+θ,180°−ψ)
=F(φ,θ,180°+ψ) ・・・式[100]
ここで、Fは、電気機械結合係数Ks2、伝搬損失、TCF、PFA、ナチュラル一方向性などの任意の表面波特性である。
=F(60°−φ,−θ,180°−ψ)
=F(φ,180°+θ,180°−ψ)
=F(φ,θ,180°+ψ) ・・・式[100]
ここで、Fは、電気機械結合係数Ks2、伝搬損失、TCF、PFA、ナチュラル一方向性などの任意の表面波特性である。
PFAのナチュラル一方向性は、例えば伝搬方向を正負反転してみた場合、符号は変わるものの絶対量は等しいので実用上等価であると考えられ、水晶は32点群に属する結晶であるが、式〔100〕が成り立つ。
例えば、オイラー角(30°,θ,ψ)の表面波伝搬特性は、オイラー角(90°,180°−θ,180°−ψ)の表面波伝搬特性と等価である。
1…弾性表面波装置
2…水晶基板
3…IDT電極
3a…電極指
4,5…反射器
6…ZnO膜
6a…凸部
6b…ZnO膜
7…導電膜
a…電極指間ピッチ
b…幅
2…水晶基板
3…IDT電極
3a…電極指
4,5…反射器
6…ZnO膜
6a…凸部
6b…ZnO膜
7…導電膜
a…電極指間ピッチ
b…幅
Claims (8)
- 水晶基板と、
前記水晶基板上に形成されたIDT電極と、
前記IDT電極を覆うように前記水晶基板上に形成されたc軸配向のZnO膜とを備え、
前記IDT電極のメタライゼーション比が0.25〜0.45の範囲にある、弾性表面波装置。 - 前記メタライゼーション比が0.3〜0.4の範囲内にある、請求項1に記載の弾性表面波装置。
- 前記IDT電極の電極指ピッチで定まる波長をλとしたときに、前記ZnO膜の膜厚H/λが0.4〜0.6の範囲にある、請求項1または2に記載の弾性表面波装置。
- 前記水晶基板のオイラー角が(0°、10°〜120°、0°±5°)、(0°、0°〜150°、35°±15°)または(0°、165°〜180°、35°±15°)の範囲内にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
- 前記水晶基板のオイラー角が(0°,132°45′〜141°,32°〜42°と138°〜148°)の範囲内にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
- 前記IDT電極が、Ta、W、Au及びPtからなる群から選択された1種の金属または該金属を主体とする合金からなる金属層を主体とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
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