JP2010282678A - 磁気記録媒体の製造方法およびモールドの剥離装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モールド250として基板210よりも外形が大きいものを用い、平面視で基板をモールドの内側に配置して、モールドをレジスト膜に押圧する押圧工程と、モールド250を、モールドの外形よりも小さく基板よりも大きい平面視円形状の開口部251cを有する載置枠251上に、基板を載置枠側に向けて配置し、開口部251cの中心Aと基板の中心とを平面視で一致させ、モールドの基板と反対側にモールドの中心部を押圧する押圧部材52dを配置する設置工程と、押圧部材52dと載置枠251とを相対移動させることによって、モールドの中心部を開口部内に押し込ませてモールド250を反らせ、モールド250を基板210から剥離させる剥離工程とを含む製造方法とする。
【選択図】図21
Description
ディスクリートトラック型磁気記録媒体の一例として、表面に凹凸パターンを形成した非磁性基板に磁気記録媒体を形成して、物理的に分離した磁気記録トラック及びサーボ信号パターンを形成してなる磁気記録媒体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
プレエンボス法は、基板に形成された凹凸形状が、成膜された膜にも引き継がれることになるため、媒体上を浮上しながら記録再生を行う記録再生ヘッドの浮上姿勢、浮上高さが安定しないという問題点があった。
ナノインプリント法は、転写すべき凹凸パターンの形成されたモールドを、被転写材に押し付け、光を照射あるいは熱を与えながら被転写材を硬化させることによって、凹凸パターンを被転写材に転写する方法である(例えば、特許文献4,非特許文献1参照)。
また、本発明は、磁気記録媒体を製造する際に好適に用いられ、モールドと一体化され、凹凸パターンの転写された基板から、モールドを剥離することによって基板の表面に模様が形成されてしまうことを防止できるモールドの剥離装置を提供することを課題とする。
本発明者は、基板からモールドを剥離する際に基板表面が受ける力と、モールドを基板から剥離した後の基板表面状態との関係に着目して、鋭意研究を重ねた。
その結果、基板からモールドを剥離することによって基板表面に形成される模様は、モールドを引き剥がす力によって、基板表面の粗さが変化するために生じるものと推定され、モールドを引き剥がす際の基板表面全面における剥離速度のばらつきやモールドの剥離される方向のばらつきが大きい場合に、剥離後の基板表面に模様が形成されやすいことが明らかとなった。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[13]の事項を含む。
[2] 前記モールドが樹脂製であることを特徴とする[1]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[3] 前記モールドとして平面視円形状のものを用い、
前記押圧工程において、前記モールドの中心と前記基板の中心とが平面視で一致するように配置することを特徴とする[1]または[2]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[5] 前記剥離工程において、前記押圧部材によって前記モールドを前記基板方向に押圧させると同時に、前記押圧部材による前記モールドの押圧に連動して前記モールドの押圧方向に前記基板を移動させることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[8] 前記基板と前記レジスト膜との間に磁性層が形成されており、前記モールドの凹凸パターンを前記レジスト膜に押圧することにより前記レジスト膜に転写される前記凹凸パターンが、前記磁性層に磁気的に分離した磁気記録パターンを形成するために用いられるものであることを特徴とする[7]に記載のモールドの剥離装置。
[9] 前記押圧部材が、前記載置枠上に配置された前記モールドを吸着保持するものであることを特徴とする[7]または[8]に記載のモールドの剥離装置。
[10] 前記モールドが、平面視円形状のものであり、前記基板と一体化された前記モールドが、前記モールドの中心と前記基板の中心とが平面視で一致するように配置されたものであることを特徴とする[7]〜[9]のいずれかに記載のモールドの剥離装置。
[12] 前記載置枠上に配置された前記基板を吸着保持し、前記モールドの押圧方向に前記基板を移動可能な基板保持部材を備え、前記押圧部材に前記モールドが前記基板方向に押圧されると同時に、前記押圧部材による前記モールドの押圧に連動して前記基板保持部材によって前記モールドの押圧方向に前記基板が移動されるものであることを特徴とする[7]〜[11]のいずれかに記載のモールドの剥離装置。
「磁気記録媒体」
まず、本発明のモールドの剥離装置を用いる本発明の磁気記録媒体の製造方法により製造された磁気記録媒体として、図1に示す磁気記録媒体を例に挙げて説明する。
例えば、面内磁性層用の磁性層220としては、非磁性のCrMo下地層と強磁性のCoCrPtTa磁性層とからなる積層構造などを用いることができる。
また、例えば、垂直磁性層用の磁性層220としては、軟磁性のFeCo合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoZrB、FeCoZrBCuなど)、FeTa合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co合金(CoTaZr、CoZrNB、CoBなど)等からなる軟磁性層と、必要に応じて設けられるPt、Pd、NiCr、NiFeCrなどの配向制御膜と、必要に応じて設けられるRu等の中間層と、60Co−15Cr−15Pt合金や70Co−5Cr−15Pt−10SiO2合金などからなる磁性膜とからなる積層構造の磁性層などを用いることができる。
なお、磁性層220は、グラニュラ構造の磁性層と、グラニュラ構造の磁性層の上に設けられた非グラニュラ構造の磁性層とからなる2層構造を有するものであってもよい。
保護膜層290の膜厚は10nm以下とすることが好ましい。保護膜層290の膜厚が10nmを越えると磁気ヘッドと磁性層220との距離が大きくなり、十分な出入力信号の強さが得られなくなる恐れがある。
次に、図2〜図9を用いて、図1に示す本実施形態の磁気記録媒体の製造方法を詳細に説明する。図2〜図9は、図1に示す磁気記録媒体の製造方法の一部を説明するための工程図であり、図1に示された領域と同じ領域のみを拡大して示した拡大断面図である。
まず、図2に示すように、非磁性基板210の片面に、スパッタ法などにより磁性層220を形成する(磁性層形成工程)。
次いで、図3に示すように、磁性層220上にマスク層230を形成する。マスク層230は、スパッタリング法やCVD法などにより成膜することができる。
このような材料を用いた場合、磁性層220を部分的にイオンミリングすることにより非磁性化する際のミリングイオンに対する遮蔽性に優れたものになるとともに、マスク層230による磁気記録パターン220aの形成精度を向上させることができる。さらに、このような材料は、反応性ガスを用いたドライエッチングが容易であるので、マスク層230を除去する際に残留しにくく、マスク層230を形成している材料によって磁気記録媒体300の表面が汚染されることを防止できる。
ここで用いられるモールド250としては、所定の凹凸パターンの形成されたマスターモールドを用いて製造されたものであって、マスターモールドの凹凸パターンが転写されたレプリカモールドを用いることが好ましい。レプリカモールドとしては、例えば、マスターモールドの凹凸パターンの形状に対応する金型に硬化性樹脂を注入して硬化成形する、いわゆる射出成型法により得られたものや、液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料を用いた層に、マスターモールドの凹凸パターンを押圧して硬化させる方法により得られたものなどが挙げられる。これらの内、後者の方法を用いて得られたレプリカモールドを用いて凹凸パターンをレジスト膜240に転写する場合について、以下に詳細に説明する。
後者の方法において用いられる液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料を用いた層は、例えば、一対の基体11,12間に液状あるいはゲル状の硬化性樹脂材料の層13を挟んだ図10に示す積層体10から、基体12を剥離して硬化性樹脂材料の層13を露出させることによって得られる。
図10に示す積層体10は以下のようにして作製できる。まず、一方の基体11上に、溶剤で希釈した硬化性樹脂材料を塗布し、乾燥させて溶剤を除去させる。その後、硬化性樹脂材料上に他方の基体12を載せる。次いで、基体11,12で挟んだ硬化性樹脂材料の周縁部分を硬化させて、硬化物からなる流動抑止体14を形成する。流動抑止体14の形成方法としては、例えば、他方の基体12を載せた後、紫外線照射機により幅方向の両端部のみを硬化させる方法などが挙げられる。
具体的な基体11,12の材料としては、透明な合成樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられる。これら材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、硬化性樹脂材料としては、積層体10を光ナノインプリント法に用いる場合には放射線硬化性樹脂が用いられ、熱ナノインプリント法を用いる場合には熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。とりわけ、硬化性樹脂材料としては、放射線硬化性樹脂材料がより好ましい。放射線硬化性樹脂材料によれば、光照射によって短時間にかつ容易に硬化させることができるため、マスターモールドからレプリカモールドを製造する工程を簡便かつ短時間に行うことができる。
図11に示すレプリカモールド作製装置100は、第1の取付盤111に支持された上型セット110と、第2の取付盤121に支持された下型セット120とを具備している。第1の取付盤111は図示略の油圧シリンダなどの上下移動用アクチュエータ装置に支持されて上下に移動自在に設けられ、第2の取付盤121は図示略の基台上に設置されて固定されている。
照射装置140の下方には枠状のサポート部材150が設置され、このサポート部材150の下方側に円盤状のガラス盤などの透放射線押圧基盤160が設けられている。サポート部材150と照射装置140と透放射線押圧基盤160とは、第1の取付盤111に一体化されており、第1の取付盤111の上下移動に応じて透放射線押圧基盤160が上下移動するように構成されている。
また、図11に示すように、内側サポート部材170の中心部には、ロッド状の内周カッター刃118を挿入可能な凹部171が形成されている。
また、硬化性樹脂材料の硬化の前または後、もしくは硬化中に、図15に示すように、カッターセット部材112を下降させて外周カッター部114と内周カッター部115を下降させ、外周カッター刃117と内周カッター刃118により、積層体10aからドーナツ円板状のレプリカモールド30を打ち抜く。このことにより、マスターモールド20の凹凸パターンが高精度で転写されたレプリカモールド30が得られる。
図18は、本発明のモールドの剥離装置の一例を説明するための概略図であり、図18(a)は非磁性基板を載置枠上に配置した状態のモールドの剥離装置の全体を示した斜視図であり、図18(b)は図18(a)に示すモールドの剥離装置の一部を拡大して示した拡大断面図である。また、図19は、図18に示すモールドの剥離装置を構成する部材の寸法を説明するための図であり、モールドと、載置枠と、磁性層220、マスク層230、レジスト膜240の各層が形成された非磁性基板(図18および図19においては、磁性層とマスク層とレジスト膜は不図示)と、モールド保持部のモールドに接する被接触面のみを示した図である。なお、図19において、符号Aは、モールド、載置枠、非磁性基板、モールド保持部のモールドに接する被接触面の中心Aを示しており、これらの中心は一致している。また、図20〜図22は、図18に示すモールドの剥離装置を用いて、押圧工程の転写工程を行う方法の一例を説明するための工程図である。
載置枠251は、図18(b)および図19に示すように、モールド250の外形よりも小さく非磁性基板210よりも大きい平面視円形状の開口部251cを有する平面視リング状ものである。本実施形態においては、開口部251cの内径251aは、非磁性基板210の外径210bよりも大きくなっており、載置枠251の外径251bは、モールド250の外径250bよりも小さくなっている。
なお、本実施形態においては、載置枠251として、外径251bがモールド250の外径250bよりも小さく、輪郭が円形であるものを例に挙げたが、外径251bはモールド250の外径250bよりも大きくてもよいし、載置枠の輪郭は円形でなくてもよく、載置枠の大きさや輪郭形状は特に限定されない。
搬送手段252は、非磁性基板210と一体化されたモールド250をモールド保持部52dに吸着保持させた状態で、図18(a)に示すように、上下移動手段52bを回転および伸縮させて、腕部52cを回転させるとともに上下方向に移動させることによって、非磁性基板210と一体化されたモールド250を搬送し、図18(b)および図19に示すように、載置枠251の開口部251cの中心とモールド250および非磁性基板210の中心とを平面視で一致させ、非磁性基板210を載置枠251側に向けて載置枠251上に配置するものである。
腕部52cは、上下移動手段52bの頂部から上下移動手段52bの半径の延在方向に延びているものであり、一方の端部52eが上下移動手段52bの頂部に取り付けられているものである。腕部52cは、上下移動手段52bの回転および伸縮によって、基部52aの中心軸と同軸で回転可能とされるとともに、上下方向に移動可能とされている。
また、図18(b)および図19に示すように、モールド保持部52dのモールド250に接する被接触面252cの外形252bは、載置枠251の開口部251cよりも小さい平面視円形状とされている。
より詳細には、図18に示すモールドの剥離装置では、モールド保持部52dに吸着保持されたモールド250を、図18(b)に示すように、載置枠251上に配置した状態で、図18(a)に示すように、制御手段(図示略)によって制御させて上下移動手段52bを伸縮させ、腕部52cを下方向に移動させることによって、モールド250の中心部が非磁性基板210方向に押圧されるようになっている。
より詳細には、図18に示すモールドの剥離装置は、制御手段(図示略)によって制御されることによって、モールド保持部52dにモールド250が非磁性基板210方向に押圧されると同時に、モールド保持部52dによるモールド250の押圧に連動して基板保持部材253によってモールド250の押圧方向に非磁性基板210が移動されるようになっている。このとき、モールド250には、モールド保持部52dからの押圧力と載置枠251に押し返される応力とが負荷される。このことによって、図18に示すモールドの剥離装置では、モールド250が反らされて、モールド250が非磁性基板210から剥離されるようになっている。
図18(b)および図19に示すように、これらの部材の中心Aは、全て一致している。そして、平面視円盤状であるモールド250の外径250bは平面視円盤状である非磁性基板210の外径210bよりも大きく、モールド250の内径250aは非磁性基板210の内径210aよりも小さくなっている。したがって、図19に示すように、非磁性基板210のモールド250側の面(図18(b)においては上面)は、モールド250に完全に覆われている。
また、平面視リング状である載置枠251の外径251bはモールド250の外径250bよりも小さく、載置枠251の開口部251cの内径251aは、モールド250の外径250bよりも小さく非磁性基板210の外径210bよりも大きくなっている。したがって、図18(b)および図19に示すように、非磁性基板210が、載置枠251の開口部251cの内側に収納された状態となっている。
また、押圧部材として機能するモールド保持部52dの平面視円形状であるモールド250に接する被接触面252cは、載置枠251の開口部251cの内径251aよりも外形252bが小さいものとなっている。
ここでのモールド250の反りは、少ないほどモールド250を非磁性基板210から剥離させることによるモールド250への負荷が少なくなるため、好ましい。したがって、剥離工程において反らされたモールド250と、モールド250が密着されていた非磁性基板210の表面とのなす角度θは、小さいほど好ましい。この角度θは、非磁性基板210やモールド250の材質や、非磁性基板210とモールド250との密着力の強さなどに応じて、モールド250を非磁性基板210から剥離させることが可能な範囲に適宜決定されるものであり、載置枠251の直径と、モールド保持部52dの被接触面252cの直径とのバランスや、モールド保持部52dに押圧させる深さ寸法(基板保持部材253による非磁性基板210の移動距離)を変化させることによって調整できる。
次いで、搬送手段252の上下移動手段52bを回転および伸縮させて、腕部52cをさらに上方向に移動させるとともに回転させることによって、モールド保持部52dに吸着保持されたモールド250を所定の位置に搬送する。
まず、凹凸パターンを形成した後に残った図5に示すレジスト膜240aと、磁気記録パターン220aの凹状の分離領域に対応する領域のマスク層230とを除去する。このことにより、図6に示すように、磁性層220上の磁気記録パターン220aとなる領域に残存するマスク層230と、パターニングされたレジスト膜240であるレジストパターンとからなるマスクが形成される。
凹凸パターンを形成した後に残ったレジスト膜240aの厚みは0〜10nmの範囲内であることが好ましい。レジスト膜240aの厚みを上記範囲とすることで、磁気記録パターン220aを分離する凹状の分離領域に対応する領域のマスク層230を除去する工程において、マスク層230のエッジの部分にダレが発生することを防止でき、磁性層220の一部を除去する工程におけるマスク層230の遮蔽性を向上させるとともに、磁気記録パターン220aの形成精度を向上させることができる。
また、磁気記録パターン220aを分離する凹状の分離領域に対応する領域のマスク層230は、例えば、反応性イオンエッチング、イオンミリングなどのドライエッチングにより除去できる。
磁性層220の表層部の一部を除去してから磁性層220の磁気特性を改質した場合、磁性層220の表層部の一部を除去しなかった場合に比べ、磁気記録パターン220aのコントラストがより鮮明になるとともに磁気記録媒体300のS/Nが向上する。この理由としては、磁性層220の表層部を除去することにより、表面の清浄化・活性化が図られ、磁性層220の磁気特性を改質する際における反応性プラズマや反応性イオンとの反応性が高まったことや、磁性層220の表層部に空孔等の欠陥が導入され、その欠陥を通じて磁性層220に反応性イオンが侵入しやすくなったことが考えられる。
磁性層220の表層部を除去する深さが0.1nmより少ない場合は、磁性層220を除去する効果が不十分となる恐れがある。また、磁性層220を除去する深さが15nmより大きくなると、磁気記録媒体300の表面平滑性が低下する。
本製造方法では、成膜された磁性層220を反応性プラズマにさらすことにより磁性層220を改質する。磁性層220の改質は、磁性層220を構成する磁性金属と反応性プラズマ中の原子またはイオンとの反応により実現することが好ましい。ここでいう反応としては、磁性金属に反応性プラズマ中の原子等が侵入し、磁性金属の結晶構造が変化すること、磁性金属の組成が変化すること、磁性金属が酸化すること、磁性金属が窒化すること、磁性金属が珪化すること等が例示できる。
ここで用いる不活性ガスは、Ar、He、Xeからなる群から選ばれた何れか1種以上であることが好ましい。これらの元素は安定であり、磁性粒子のマイグレーション等の抑制効果が高いからである。不活性ガスの照射は、イオンガン、ICP,RIEから選ばれる何れかの方法を用いることが好ましい。この中で特に、照射量の多さの点で、ICP,RIEを用いることが好ましい。
さらに、保護膜層290の上には潤滑層(図示略)を形成することが好ましい。
以上の工程により、図1に示す磁気記録媒体300が得られる。
より詳細には、上述した実施形態と同様にして、非磁性基板の両面に磁性層を形成し、磁性層の表面にレジスト膜を形成した後、以下に示すモールドの剥離装置を用いて以下に示す方法により、モールドの凹凸パターンをレジスト膜に転写する転写工程を行い、その後、上述した実施形態と同様にして、レジスト膜に転写された凹凸パターンを用いて磁性層に磁気記録パターンを形成し、磁気的に分離した磁気記録パターンを形成すればよい。
第1搬送手段としては、上述した実施形態における搬送手段252と同様のものを用いることができ、第2モールド25bおよび非磁性基板21と一体化された第1モールド25aを、第2モールド25bを第1載置枠側に向けて第1載置枠上に配置し、第1載置枠の中心と第1モールド25a、第2モールド25b、非磁性基板21の中心とを平面視で一致させるものである。
また、第1押圧部材としては、上述した実施形態におけるモールド保持部52dの被接触面252cの外形を、第1載置枠の内径よりも小さくしたものが用いられる。具体的には、第1押圧部材として、第1モールド25aの非磁性基板21と反対側に配置されて、第1モールド25aを非磁性基板21方向に押圧するものであり、第1載置枠の内径よりも外形が小さい平面視円形状で、中心が第1載置枠の中心と平面視で一致するものが用いられる。
第1基板保持部材としては、上述した実施形態における基板保持部材253と同様のものを用いることができ、第1載置枠上に配置された第2モールド25bおよび非磁性基板21を吸着保持するものである。
第2搬送手段としては、上述した実施形態における搬送手段252と同様のものを用いることができ、非磁性基板21と一体化された第2モールド25bを、非磁性基板21を第2載置枠側に向けて第2載置枠上に配置し、第2載置枠の中心と第2モールド25bおよび非磁性基板21の中心とを平面視で一致させるものである。
また、第2押圧部材25bとしては、上述した実施形態におけるモールド保持部52dの被接触面252cの外形を、第2載置枠の内径よりも小さくしたものが用いられる。具体的には、第2モールド25bの非磁性基板21と反対側に配置されて、第2モールド25bを非磁性基板21方向に押圧するものであり、第2載置枠の内径よりも外形が小さい平面視円形状で、中心が第2載置枠の中心と平面視で一致するものが用いられる。
第2基板保持部材としては、上述した実施形態における基板保持部材253と同様のものを用いることができ、第2載置枠上に配置された非磁性基板21を吸着保持するものである。
第1剥離工程は、第1押圧部材と第1載置枠とを相対移動させることによって、第1モールド25aの中心部を第1載置枠の開口部内に押し込ませて第1モールド25aを反らせ、第1モールド25aを非磁性基板21から剥離させる工程である。
第2剥離工程は、第2押圧部材と第2載置枠とを相対移動させることによって、第2モールド25bの中心部を第2載置枠の開口部内に押し込ませて第2モールド25bを反らせ、第2モールド25bを非磁性基板21から剥離させる工程である。
また、押圧部材は平面視円形状のものを用いることが好ましいが、モールドの中心部を押圧可能なものであればよく、平面形状は、特に限定されない。
本発明の磁気記録媒体の製造方法により得られた磁気記録媒体は、磁気記録再生装置等に用いることができる。
図23は、本発明の磁気記録再生装置の一例を模式的に示す図である。図23に示す磁気記録再生装置は、図1に示す磁気記録媒体300と、これを記録方向に駆動する媒体駆動部400と、記録部と再生部からなる磁気ヘッドと500、磁気ヘッド500を磁気記録媒体300に対して相対運動させるヘッド駆動部600と、磁気ヘッド500への信号入力と磁気ヘッド500からの出力信号再生を行うための記録再生信号処理手段を組み合わせた記録再生信号系700とを具備したものである。
図23に示す磁気記録再生装置は、モールド250を剥離することに起因する模様が表面に形成されていない非磁性基板210を用いて得られた図1に示す高品質な磁気記録媒体300を備えたものであるので、高品質なものとなる。
非磁性基板210と、非磁性基板210よりも外形が大きいモールド250とを一体化させたものを用意し、図18に示すモールドの剥離装置を用い、以下に示す方法により、モールド250を非磁性基板210から剥離させた。
すなわち、非磁性基板210と一体化された非磁性基板210よりも外形が大きいモールド250を、載置枠251上に非磁性基板210を載置枠251側に向けて配置し、開口部251cの中心と非磁性基板210の中心とを平面視で一致させ、モールド250の非磁性基板210と反対側にモールドの中心部を押圧するモールド保持部52dを配置し、モールド保持部52dと載置枠251とを相対移動させることによって、モールド250の中心部を開口部251c内に押し込ませてモールド250を反らせ、モールド250を非磁性基板210から剥離させた。
実験例1と同様に、非磁性基板210と、非磁性基板210よりも外形が大きいモールド250とを一体化させたものを用意し、非磁性基板210とモールド250との間に、非磁性基板210の上下左右の縁部から中心に向かって爪を差し込むことにより、モールド250を非磁性基板210から剥離させた。
図25(a)は、実験例1の方法によりモールドを剥離した非磁性基板の表面の写真であり、図25(b)は、実験例2の方法によりモールドを剥離した非磁性基板の表面の写真である。
図25(a)に示すように、実験例1の方法によりモールドを剥離した非磁性基板の表面には模様が形成されていない。
これに対し、図25(b)に示すように、実験例2の方法によりモールドを剥離した非磁性基板の表面には、図25(b)において矢印で示されるように、上下左右の4方向の縁部から中心に向かって円弧状の模様が形成されていた。
Claims (13)
- 平面視円形状の基板の少なくとも片面に磁性層を形成する磁性層形成工程と、
前記磁性層の表面にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
モールドの凹凸パターンを前記レジスト膜に転写する転写工程と、
前記レジスト膜に転写された前記凹凸パターンを用いて前記磁性層に磁気記録パターンを形成することにより、磁気的に分離した磁気記録パターンを形成する磁気記録パターン形成工程とを有し、
前記転写工程は、前記モールドとして前記基板よりも外形が大きいものを用い、平面視で前記基板を前記モールドの内側に配置して、前記モールドを前記レジスト膜に押圧する押圧工程と、
前記押圧工程を行うことにより前記基板と一体化された前記モールドを、前記モールドの外形よりも小さく前記基板よりも大きい平面視円形状の開口部を有する載置枠に接して、前記基板を前記載置枠側に向けて配置し、前記開口部の中心と前記基板の中心とを平面視でほぼ一致させ、前記モールドの前記基板と反対側に前記モールドの中心部を押圧する押圧部材を配置する設置工程と、
前記押圧部材と前記載置枠とを相対移動させることによって、前記モールドの中心部を前記開口部内に押し込ませて前記モールドを反らせ、前記モールドを前記基板から剥離させる剥離工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記モールドが樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記モールドとして平面視円形状のものを用い、
前記押圧工程において、前記モールドの中心と前記基板の中心とが平面視で一致するように配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 前記押圧部材として、前記載置枠の開口部よりも外形が小さい平面視円形状のものを用い、前記設置工程において、前記載置枠の開口部と前記押圧部材の中心とを平面視で一致させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記剥離工程において、前記押圧部材によって前記モールドを前記基板方向に押圧させると同時に、前記押圧部材による前記モールドの押圧に連動して前記モールドの押圧方向に前記基板を移動させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性層形成工程は、前記基板の一方の面および他方の面に前記磁性層を形成する工程であり、
前記レジスト膜形成工程は、前記基板の一方の面および他方の面の前記磁性層の表面にレジスト膜を形成する工程であり、
前記押圧工程は、前記モールドとして第1モールドと、外形が前記第1モールドよりも小さい第2モールドとを用い、平面視で前記基板を前記第1モールドの内側に配置して、前記第1モールドを前記基板の一方の面の前記レジスト膜に押圧するとともに、平面視で前記第2モールドを前記第1モールドの内側かつ前記基板の外側に配置して、前記第2モールドを前記基板の他方の面の前記レジスト膜に押圧する工程であり、
前記設置工程および剥離工程は、前記押圧工程を行うことにより前記基板と一体化された前記第1モールドおよび前記第2モールドを、前記第1モールドの外形よりも小さく前記第2モールドよりも大きい平面視円形状の開口部を有する第1載置枠に接して、前記第2モールドを前記第1載置枠側に向けて配置し、前記第1載置枠の開口部の中心と前記基板の中心とを平面視でほぼ一致させ、前記第1モールドの前記基板と反対側に前記第1モールドの中心部を押圧する第1押圧部材を配置する第1設置工程と、
前記第1押圧部材と前記第1載置枠とを相対移動させることによって、前記第1モールドの中心部を前記第1載置枠の開口部内に押し込ませて前記第1モールドを反らせ、前記第1モールドを前記基板から剥離させる第1剥離工程と、
前記基板と一体化された前記第2モールドを、前記第2モールドの外形よりも小さく前記基板よりも大きい平面視円形状の開口部を有する第2載置枠に接して、前記基板を前記第2載置枠側に向けて配置し、前記第2載置枠の開口部の中心と前記基板の中心とを平面視でほぼ一致させ、前記第2モールドの前記基板と反対側に前記第2モールドの中心部を押圧する第2押圧部材を配置する第2設置工程と、
前記第2押圧部材と前記第2載置枠とを相対移動させることによって、前記第2モールドの中心部を前記第2載置枠の開口部内に押し込ませて前記第2モールドを反らせ、前記第2モールドを前記基板から剥離させる第2剥離工程とを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 平面視円形状の基板の片面上に形成されたレジスト膜に、前記基板よりも外形が大きいモールドの凹凸パターンを押圧することにより、前記基板と一体化された前記モールドを前記基板から剥離するためのモールドの剥離装置であり、
前記モールドの外形よりも小さく前記基板よりも大きい平面視円形状の開口部を有する載置枠と、
前記基板と一体化された前記モールドを、前記基板を前記載置枠側に向けて前記載置枠に接して配置し、前記開口部の中心と前記基板の中心とを平面視でほぼ一致させる搬送手段と、
前記モールドの前記基板と反対側に配置され、前記モールドの中心部を押圧する押圧部材とを備え、
前記押圧部材と前記載置枠とを相対移動させて、前記モールドの中心部を前記開口部内に押し込ませて前記モールドを反らせ、前記モールドを前記基板から剥離させるものであることを特徴とするモールドの剥離装置。 - 前記基板と前記レジスト膜との間に磁性層が形成されており、
前記モールドの凹凸パターンを前記レジスト膜に押圧することにより前記レジスト膜に転写される前記凹凸パターンが、前記磁性層に磁気的に分離した磁気記録パターンを形成するために用いられるものであることを特徴とする請求項7に記載のモールドの剥離装置。 - 前記押圧部材が、前記載置枠上に配置された前記モールドを吸着保持するものであることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のモールドの剥離装置。
- 前記モールドが、平面視円形状のものであり、
前記基板と一体化された前記モールドが、前記モールドの中心と前記基板の中心とが平面視で一致するように配置されたものであることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかに記載のモールドの剥離装置。 - 前記押圧部材が、前記載置枠の開口部よりも外形が小さい平面視円形状で、中心が前記載置枠の開口部の中心と平面視で一致して配置されているものであることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれかに記載のモールドの剥離装置。
- 前記載置枠上に配置された前記基板を吸着保持し、前記モールドの押圧方向に前記基板を移動可能な基板保持部材を備え、前記押圧部材に前記モールドが前記基板方向に押圧されると同時に、前記押圧部材による前記モールドの押圧に連動して前記基板保持部材によって前記モールドの押圧方向に前記基板が移動されるものであることを特徴とする請求項7〜請求項11のいずれかに記載のモールドの剥離装置。
- 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする磁気記録再生装置。
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