JP2010280882A - 2液硬化性ポリウレタン組成物 - Google Patents

2液硬化性ポリウレタン組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化後の硬化物から、可塑剤がブリードアウトし難い2液硬化性ポリウレタン組成物を提供する。
【解決手段】イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含有してなる主剤成分と、硬化剤(B)及び一般式(1)で示される可塑剤(C)を含有してなる硬化剤成分からなる2液硬化性ポリウレタン組成物であって、 前記可塑剤(C)におけるオキシエチレン基の含有率が、(C)の重量に基づき5〜35重量%であり、(C)の数平均分子量が1,000〜10,000であり、(C)の含有率が、2液硬化性ポリウレタン組成物の重量に基づき1〜30重量%であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、2液硬化性ポリウレタン組成物に関する。更に詳しくはシーリング材に適した2液硬化性ポリウレタン組成物に関する。
従来、2液硬化性ポリウレタン組成物は、常温でも硬化し、硬化物が良好なゴム弾性を有することから、塗料、防水材、床材及びシーリング材等として使用されている。このような2液硬化性ポリウレタン組成物には、通常、柔軟性を付与する目的で可塑剤が配合され、可塑剤としては、ジオクチルフタレート(DOP)及びジブチルフタレート等のフタル酸エステル、ジオクチルアジペート等の脂肪酸エステル並びに塩素化パラフィン等が使用されてきた。しかし、これらの可塑剤を使用した2液硬化性ポリウレタン組成物を、例えばシーリング材等に使用した場合、可塑剤の硬化物表面への溶出、すなわちブリードアウトが避けられず、硬化物の表面にべたつきが生じ、埃の付着等により汚れを生じさせる。また、硬化物表面に塗装を施す場合には、ブリードアウトした可塑剤が塗膜を軟化、剥離させるため硬化物の外観を著しく損ない、可塑剤がブリードアウトすることにより硬化物の柔軟性が失われ、特に屋外で日光に暴露されるような用途に使用した場合、クラックが発生するという問題がある。
そこで、これらの可塑剤のブリードアウトに起因する問題を改善する目的で、ポリエーテルポリオールと二塩基酸から合成されるポリエステル系可塑剤を使用するウレタンシーラント組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、特許文献1のポリエステル系可塑剤は、ポリウレタンとの相溶性が悪く、可塑剤のブリードアウトの抑制が十分ではなく、ブリードアウトに起因する種々の課題の改善効果は満足できるものではない。
特開2000−80268号公報
本発明は、硬化物の耐汚染性に優れ、硬化物に塗料を塗布した後の塗膜の軟化を防ぎ、硬化物表面にクラックが発生するのを抑制する2液硬化性ポリウレタン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含有してなる主剤成分と、硬化剤(B)及び一般式(1)で示される可塑剤(C)を含有してなる硬化剤成分からなる2液硬化性ポリウレタン組成物である。
Figure 2010280882
式中、Zは、炭素数1〜22の2〜6価アルコール、炭素数6〜24の2〜6価フェノール、炭素数2〜22の2〜6価カルボン酸又は窒素原子に結合する水素原子の数が2〜6個である炭素数1〜22のアミンからすべての活性水素原子を除いた2〜6価の残基;Xは炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数2〜7のアシル基;AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基;pは4〜60の数;qは0〜50の数;mは1〜5の整数、nは1又は2の整数であってm+nはZの価数に等しい数である。
本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物は、硬化後の硬化物から可塑剤がブリードアウトし難いため、硬化物の耐汚染性に優れ、硬化物に塗料を塗布した後の塗膜の軟化を防ぎ、硬化物表面にクラックが発生するのを抑制する、といった効果を奏する。
本発明におけるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)としては、有機ポリ(2〜4価又はそれ以上)イソシアネート(a1)とポリオール(a2)との反応で得られるウレタンプレポリマーが挙げられる。
有機ポリイソシアネート(a1)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート及び炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートが挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
炭素数6〜20の芳香族ポリイソシアネートとしては、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記する)、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記する)、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ポリアリルポリイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサン等が挙げられる。
炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートとしては、シクロブチルジイソシネート、シクロヘキシルジイソシネート、シクロオクチルジイソシアネート、シクロデシルジイソシネート、シクロドデシルジイソシアネート、シクロテトラデシルジイソシネート、シクロテトラデシルジイソシネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及びシクロヘキシレントリイソシアネート等が挙げられる。
有機ポリイソシアネート(a1)のうち、ポリオール(a2)との反応性の観点から好ましいのは炭素数6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート及び炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、更に好ましいのは2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート及び2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
ポリオール(a2)としては、2〜6価の高分子ポリオール(好ましいのは水酸基当量が500〜4,000のもの)が挙げられ、例えば、アルコール類、フェノール類及びアミン類のアルキレンオキサイド付加物等を用いることができる。具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ブチルアミン、エチレンジアミン等の活性水素を有する化合物に、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド[例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、ブチレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等]の1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加した(2種以上付加する場合の重合形式はランダムでもブロックでもよい)ポリオールが挙げられる。ポリオールにはアルコール及びポリエーテルポリオールが含まれる。
本発明におけるプレポリマー(A)は、公知のウレタン化重付加反応を用いて製造することができる。例えば、30〜100℃に加温したポリオール(a2)に、有機ポリイソシアネート(a1)中のイソシアネート基と(a2)中の水酸基とのモル比率(NCO/OH)が1.05〜3.0、更に好ましくは1.2〜2.5となる量の(a1)を加え、通常1〜20時間反応させることで得ることができる。ウレタン化重付加反応は、通常無溶媒で行われるが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル等の溶媒中で行うことも可能である。また、反応を促進させるために、必要により触媒を使用することができる。触媒としては、有機金属化合物(ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、オクタン酸鉛及びオクタン酸ビスマス等);3級アミン[トリエチレンジアミン、炭素数1〜8のアルキル基を有するトリアルキルアミン(トリメチルアミン、トリブチルアミン、及びトリオクチルアミン等)、ジアザビシクロアルケン類(1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7)等];及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。触媒の使用量はポリオール(a2)の重量に基づき、好ましくは0.001〜6重量%であり、更に好ましくは0.1〜5重量%である。また、生成したウレタンプレポリマー(A)のNCO含量は、2液硬化性ポリウレタン組成物の発泡の危険性低下の観点から、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは0.5〜3.5重量%である。
本発明における硬化剤(B)としては、前記のウレタンプレポリマー(A)を得るためのポリオール(a2)として例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明における可塑剤(C)としては、一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
一般式(1)におけるZは、炭素数1〜22の2〜6価アルコール(c−1)、炭素数6〜24の2〜6価フェノール(c−2)、炭素数1〜22の2〜6価カルボン酸(c−3)又は窒素原子に結合する水素原子の数が2〜6個である炭素数1〜22のアミン(c−4)からすべての活性水素原子を除いた残基である。これらのうち、ブリードアウトし難いという観点から好ましいのは、炭素数1〜22の2〜6価アルコールである。
炭素数1〜22の2〜6価アルコール(c−1)からすべての活性水素原子を除いた残基としては、以下の2〜6価アルコールからすべての活性水素原子を除いた残基が挙げられる。
炭素数1〜22の2価アルコール: エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ピナコール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,2−ペンタンジオール等
炭素数1〜22の3価アルコール:グリセリン、1,2,4−トリヒドロキシブタン、2,3,4−トリヒドロキシペンタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン及び1,2,3−トリヒドロキシヘプタン等
炭素数1〜22の4価アルコール:ペンタエリスリトール等
炭素数1〜22の5価アルコール:キシリトール及びアラビトール等
炭素数1〜22の6価アルコール:ソルビトール及びマンニトール等
炭素数6〜24の2〜6価フェノール(c−2)からすべての活性水素原子を除いた残基としては、以下の炭素数6〜24の2〜6価アルコールからすべての活性水素原子を除いた残基が挙げられる。
炭素数6〜24の2価フェノール:カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ジクロロビスフェノールA及びテトラクロロビスフェノールA等
炭素数6〜24の3価フェノール:ピロガロール、ジヒドロキシナフチルクレゾール及びトリス(ヒドロキシフェニル)メタン等
炭素数6〜24の4価フェノール:テトラヒドロキシベンゼン及びテトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等
炭素数6〜24の5価フェノール:ペンタヒドロキシベンゼン等
炭素数6〜24の6価フェノール:ヘキサヒドロキシベンゼン等
炭素数1〜22の2〜6価カルボン酸(c−3)からすべての活性水素原子を除いた残基としては、以下の炭素数1〜22の2〜6価カルボン酸からすべての活性水素原子を除いた残基が挙げられる。
炭素数1〜22の2価カルボン酸:シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びシクロヘキサンジカルボン酸等
炭素数1〜22の3価カルボン酸:トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン及び1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等
炭素数1〜22の4価カルボン酸:テトラ (メチレンカルボキシル) メタン、1,2,7,8−テトラカルボキシル−n−オクタン及びピロメリット酸等
炭素数1〜22の5価カルボン酸:1,1,2,2,2−ペンタ (カルボキシメチル) エタン、1,2,7,8,9−ペンタカルボキシル−n−オクタン及びペンタカルボキシルベンゼン等
炭素数1〜22の6価カルボン酸:1,1,1,2,2,2−ヘキサ (カルボキシメチル) エタン、1,2,3,7,8,9−ヘキサカルボキシル−n−オクタン及びヘキサカルボキシルベンゼン等
窒素原子に結合する水素原子の数が2〜6個である炭素数1〜22のアミン(c−4)からすべての活性水素原子を除いた残基としては、以下の窒素原子に結合する水素原子の数が2〜6個である炭素数1〜22のアミンからすべての活性水素原子を除いた残基が挙げられる。
窒素原子に結合する水素原子の数が2個である炭素数1〜22のアミン:メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−デシルアミン、イソデシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、2−メチル−n−トリデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソオクタデシルアミン、n−ノナデシルアミン、n−イコシルアミン、n−ヘンイコシルアミン、n−ドコシルアミン、n−トリコシルアミン、n−テトラコシルアミン、プロペニルアミン、5−メチル−5−ヘキセニルアミン、3−メチル−2−デセニルアミン、n−オクタデセニルアミン及びオレイルアミン等
窒素原子に結合する水素原子の数が3個である炭素数1〜22のアミン:N−メチルアミノエチルアミン等
窒素原子に結合する水素原子の数が4個である炭素数1〜22のアミン:エチレンジアミン、フェニレンジアミン及びプロピレンジアミン等
窒素原子に結合する水素原子の数が5個である炭素数1〜22のアミン:ジエチレントリアミン及びジプロピレントリアミン等
窒素原子に結合する水素原子の数が6個である炭素数1〜22のアミン:トリエチレンテトラミン及びトリプロピレンテトラミン等
一般式(1)におけるXは、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数2〜7のアシル基を表す。
炭素数1〜7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基及びn−ヘプチル基等が挙げられる。
炭素数2〜7のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、n−ブテニル基、イソブテニル基、n−ペンテニル基、イソペンテニル基、n−ヘキセニル基及びn−ヘプテニル基等が挙げられる。
炭素数2〜7のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基及びベンゾイル基等が挙げられる。
Xのうち、ブリードアウトし難いという観点から好ましいのは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基及び炭素数2〜4のアシル基であり、更に好ましいのはメチル基、アリル基及びアセチル基である。
一般式(1)におけるAOは、炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基が挙げられる。炭素数2〜4のオキシアルキレン基は1種でも2種の併用でもよく、2種の結合形式はブロック状でもランダム状でもよい。これらのうち、ブリードアウトし難いという観点から好ましいのは、オキシプロピレン基単独である。
一般式(1)におけるpは、通常4〜60の数であり、好ましくは8〜40、更に好ましくは10〜30である。pが60を超えると可塑剤(C)の粘度が高くなり、取り扱い時の作業性が悪くなる。pが4未満の場合は、可塑剤(C)が硬化物からブリードアウトし易くなり好ましくない。
一般式(1)におけるqは、通常0〜50の数であり、好ましくは2〜30、更に好ましくは4〜20である。qが50を超えると可塑剤(C)が硬化物からブリードアウトし易くなり好ましくない。
一般式(1)において、(AO)と(CHCHO)が並存する場合の結合形式はブロック状でもランダム状でもよい。
一般式(1)におけるmは、通常1〜5の整数であり、好ましくは2〜5である。mが5を超えると可塑剤(C)の粘度が高くなり、取り扱い時の作業性が悪くなり、また、mが0の場合は、硬化物の物性を著しく変化させることがあり好ましくない。
一般式(1)におけるnは、通常1又は2の整数であり、好ましくは1である。nが2を超えると硬化物の物性を著しく変化させることがあり、また、nが0では可塑剤(C)が硬化物からブリードアウトし易くなり好ましくない。
一般式(1)におけるm+nは、Zの価数に等しい数であり、通常2〜6の整数である。m+nが6を超えると可塑剤(C)の粘度が高くなり、取り扱い時の作業性が悪くなり、また、m+nが2未満では可塑剤(C)が硬化物からブリードアウトし易くなり好ましくない。
一般式(1)におけるn/(m+n)は、好ましくは0.17〜0.50であり、更に好ましくは0.20〜0.40、特に好ましくは0.25〜0.35である。n/(m+n)が0.17以上であれば、可塑剤(C)が硬化物からブリードアウトし難くなり、n/(m+n)が0.50以下であれば硬化物の物性に影響を与え難いため好ましい。
一般式(1)におけるオキシエチレン基の含有率は、可塑剤(C)の重量に基づき、可塑剤(C)が硬化物からブリードアウトし難いという観点から好ましくは5〜35重量%であり、更に好ましくは8〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。
可塑剤(C)におけるオキシエチレン基の含有率は、以下の方法で測定することができる。
<可塑剤(C)におけるオキシエチレン基の含有率の測定方法>
(1)以下の条件で可塑剤(C)のH−NMRを測定する。
使用するH−NMRの装置は、周波数300MHzのものを用いる。
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料菅に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化アセトン、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることができる溶媒を適宜選択する。
(2)以下の計算式から、可塑剤(C)におけるオキシエチレン基の含有率を算出する。
オキシエチレン基含有率(%)=[11×(E−P)]/[11×E+8×P]×100
E:H−NMRの3.0〜4.0ppmに観測されるメチン基由来ピークの積分値
P:H−NMRの1.0〜1.5ppmに観測されるメチレン基由来ピークの積分値
可塑剤(C)の数平均分子量(以下、Mnと略記する)は、好ましくは1,000〜10,000であり、更に好ましくは1,500〜8,000、特に好ましくは2,000〜6,000である。Mnが1,000以上であれば、硬化物から可塑剤(C)がブリードアウトし難くなり、10,000以下であれば、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の粘度が低くなるため好ましい。
本発明における可塑剤(C)の製造方法としては特に制限はないが、例えば以下の方法が挙げられる。
炭素数1〜22の2〜6価アルコール(c−1)、炭素数6〜24の2〜6価フェノール(c−2)、炭素数1〜22の2〜6価カルボン酸(c−3)又は窒素原子に結合する水素原子の数が2〜6個である炭素数1〜22のアミン(c−4)を加圧反応容器に仕込み、無触媒又は触媒の存在下に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを吹き込み、常圧又は加圧下に1段階又は多段階で反応を行なう。触媒としては、アルカリ触媒[例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等)の水酸化物]、酸[過ハロゲン酸(過塩素酸、過臭素酸及び過ヨウ素酸等)、硫酸、燐酸及び硝酸等(好ましくは過塩素酸)]及びこれらの塩[好ましいのは2又は3価の金属(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Co、Ni、Cu及びAl等)の塩]が挙げられる。反応温度は通常50〜150℃であり、反応時間は通常2〜20時間である。アルキレンオキサイドの付加反応終了後は、吸着剤で処理して触媒を除去・精製し、前記(c−1)〜(c−4)のアルキレンオキサイド付加物(C’)を得ることができる。
一般式(1)におけるXが炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数2〜7のアルケニル基である可塑剤(C)を製造する場合は、前記アルキレンオキサイド付加物(C’)及びアルカリ触媒[例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等)の水酸化物]を反応容器に投入し、炭素数1〜7のハロゲン化アルキル(メチルクロライド、エチルクロライド、エチルブロマイド、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、イソペンチルブロマイド、n−ヘキシルクロライド及びイソヘキシルブロマイド等)又は炭素数2〜7のハロゲン化アルケニル(ビニルクロライド、アリルクロライド、プロペニルブロマイド、n−ブテニルクロライド、イソブテニルクロライド、n−ペンテニルブロマイド、イソペンテニルクロライド、n−ヘキセニルクロライド及びn−ヘプテニルクロライド等)を常圧又は加圧下に滴下し、アルキル化又はアルケニル化反応を行う。一般式(1)におけるmの数は、ハロゲン化アルキルの使用量により調整可能であり、例えば、m=2のものを製造する場合には、(c’)1モルに対して2モルのハロゲン化アルキル、m=4のものを製造する場合には、(c’)1モルに対して4モルのハロゲン化アルキルを使用すればよい。反応温度は通常70〜130℃であり、反応時間は通常2〜24時間である。反応終了後は、適量の水を加えて撹拌し、反応で生成した塩及び触媒を加えた水に溶解させ、静置後二層に分離したうちの水層を除去し、更に得られた可塑剤(C)中の水分を減圧下留去し、吸着剤を加えて処理した後吸着剤をろ過することで、(C)中に残存する塩及び触媒を除去することができる。
一般式(1)におけるXが炭素数2〜7(カルボニル基の炭素を含む)のアシル基である可塑剤(C)を製造する場合は、前記アルキレンオキサイド付加物(C’)及び炭素数2〜7の脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸及びヘプタン酸等)又は炭素数4〜14の脂肪酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ブタン酸、無水ペンタン酸、無水ヘキサン酸及び無水ヘプタン酸等)を反応容器に投入し、無触媒又は触媒の存在下エステル化反応をする方法が挙げられる。一般式(1)におけるmの数は、炭素数2〜7の脂肪酸又は炭素数4〜14の脂肪酸無水物の投入量により調整可能である。脂肪酸を用いたエステル化を行う場合、反応温度は通常100〜250℃であり、反応時間は通常1〜50時間である。この場合の反応は、反応で生成した水を反応系外に留去させながら行うのが好ましい。触媒を使用する場合は、(C’)の重量に基づいて0.05〜0.5重量%使用するのが好ましい。触媒としては、無機酸(例えば硫酸及び塩酸等)、有機スルホン酸(例えばメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸等)及び有機金属化合物(例えばジブチルチンオキサイド、テトライソプロポキシチタネート、ビストリエタノールアミンチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウム等)等が挙げられる。触媒を使用した場合は、エステル化反応終了後、吸着剤で処理して触媒を除去・精製することができる。
脂肪酸無水物を用いたエステル化を行う場合、反応温度は好ましくは100〜200℃であり、反応時間は好ましくは1〜20時間である。反応終了後は、反応で生成した脂肪酸及び未反応の脂肪酸無水物を、減圧下留去することができる。
本発明におけるプレポリマー(A)、硬化剤(B)及び可塑剤(C)の含有率は以下の通りである。プレポリマー(A)の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の全重量に基づき、2液硬化性ポリウレタン組成物の硬化性の観点から好ましくは50〜90質量%であり、更に好ましくは60〜85重量%、特に好ましくは70〜80重量%である。硬化剤(B)の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の全重量に基づき、2液硬化性ポリウレタン組成物の硬化性の観点から好ましくは5〜30重量%であり、更に好ましくは10〜25重量%、特に好ましくは15〜20重量%である。可塑剤(C)の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の全重量に基づき、2液硬化性ポリウレタン組成物の粘度及びブリードアウトのし難さの観点から好ましくは1〜30重量%であり、更に好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%である。
本発明における主剤成分及び硬化剤成分には、必要によりその他の添加剤(D)を含有させてもよい。その他の添加剤(D)としては、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化促進触媒、溶剤、着色剤(染料、顔料)、難燃剤、抗菌剤及び公知の可塑剤等が挙げられる。
充填剤としては、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、カーボンブラック、酸化亜鉛及び酸化チタン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、トリアゾール系化合物及びベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
硬化促進触媒としては、金属触媒[錫系触媒(トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド及びジメチルチンジラウレート等)及び鉛系触媒]、アミン触媒[トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン及びDBU等]及びこれらの2種以上の併用系が挙げられる。
溶剤としては、脂肪族炭化水素(n−ヘキサン及びn−ヘプタン等)、芳香族系炭化水素(トルエン及びキシレン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸セロソルブ等)、ケトン類(アセトン及びメチルエチルケトン等)及びエーテル類(ジエチレングリコールジメチルエーテル及びエチレングリコールジブチルエーテル等)等が挙げられる。
着色剤としては、染料(アゾ系染料、アントラキノン系染料及びインジゴイド系染料等)、無機顔料(酸化チタン、ベンガラ、黄鉛、カドミウム顔料及び群青等)及び有機顔料(アゾキレート系、ベンジイミダゾリン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、アントラキノン系等)が挙げられる。
難燃剤としては、有機難燃剤[トリクレジルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、デカブロモジフェニルエーテル及びテトラブロモビスフェノールA等]及び無機難燃剤(三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等)等が挙げられる。
抗菌剤としては、無機系抗菌剤(銀ゼオライト、銅ゼオライト及び亜鉛ゼオライト等)及び有機系抗菌剤[2−(4‘−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、10,10’−オキシビスフェノキシアルシン等]等が挙げられる。
公知の可塑剤としては、エステル系可塑剤[ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート及びポリエチレングリコール(Mn=200)ジアジペート等]、タール系可塑剤(タール及びアスファルト等)及び石油樹脂系可塑剤等が挙げられる。
充填剤の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の重量に基づき、好ましくは0〜50質量%であり、更に好ましくは10〜30質量%である。
酸化防止剤及び紫外線吸収剤の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の重量に基づき、好ましくは0〜10質量%であり、更に好ましくは0.001〜5質量%である。
硬化促進触媒の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の重量に基づき、好ましくは0〜1質量%であり、更に好ましくは0.01〜0.05質量%である。
溶剤の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の重量に基づき、好ましくは0〜20質量%であり、更に好ましくは0〜5質量%である。
着色剤の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の重量に基づき、好ましくは0〜30質量%であり、更に好ましくは0〜15質量%である。
難燃剤の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の重量に基づき、好ましくは0〜30質量%であり、更に好ましくは0〜15質量%である。
抗菌剤の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の重量に基づき、好ましくは0〜5質量%であり、更に好ましくは0〜2質量%である。
公知の可塑剤の含有率は、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の重量に基づき、好ましくは0〜10質量%であり、更に好ましくは0〜5質量%である。
本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物の製法は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
プレポリマー(A)及び必要によりその他の添加剤を、真空装置付きプラネタリーミキサー等の混合装置を用いて十分に混練して主剤成分を調整する。混練は、0〜40℃で、減圧下(−0.99〜−0.66MPa)水分等を除去しながら行うのが好ましい。一方、硬化剤(B)、可塑剤(C)及び必要によりその他の添加剤を、主剤成分と同様の方法で混練して硬化剤成分を調整する。
上記の方法で調整した主剤成分及び硬化剤成分を、プラネタリーミキサー等の混合装置を用いて十分に混練して、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物を得ることができる。混練温度は好ましくは0〜40℃であり、混練時間は好ましくは30分〜10時間、更に好ましくは1〜5時間である。
本発明の2液硬化性ポリウレタンシーラントは、本発明の2液硬化性ポリウレタン組成物を含有してなる。本発明の2液硬化性ポリウレタンシーラントの使用方法は特に限定されないが、例えば、目的とする材料の間隙、接合部に前記シーラントを液状のまま注入して硬化させる注入法、材料の継ぎ目に原液をスプレーして硬化させるスプレー法、材料に原液を刷毛塗して硬化させる刷毛塗法、及び予め硬化させたシーラントをそのまま又は加工したものを取り付けて間隙を充填する取り付け法等が挙げられる。
本発明の2液硬化性ポリウレタンシーラントの用途は特に限定されないが、例えば、(1)各種建材(パイプ、波板、スレート、プラスチック板、アルミニウム板、トタン及びガラス等)の接合部、(2)各種建築物(コンクリート、道路、床被覆及び陶管等)の継ぎ目、(3)乗り物(自動車、船舶及び航空機等)の接合部又は継ぎ目、といった部分の目地材、接着材及びコーキング材等として使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
<製造例1>
撹拌機、温度調節機能及び減圧装置を備えた反応容器に、ポリプロピレングリコール(Mn=1,000)15部及びトリメチロールプロパンのPO付加物(Mn=5,000)70部を投入し、120℃に昇温後、減圧下(−0.098MPa)同温度で1時間脱水し、水分を0.03%以下にした。次いで、80℃に冷却し、TDI15部(0.09モル部)を反応容器に投入し、80±5℃で4時間反応させ、プレポリマー(A−1)を得た。
<製造例2>
TDI15部(0.09モル部)をMDI22.5部(0.09モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、プレポリマー(A−2)を得た。
<製造例3>
TDI15部(0.09モル部)をヘキサメチレンジイソシアネート15.1部(0.09モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、プレポリマー(A−3)を得た。
<製造例4>
TDI15部(0.09モル部)をイソホロンジイソシアネート18.7部(0.09モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、プレポリマー(A−4)を得た。
<製造例5>
撹拌機、温度調節機能、滴下ボンベ及び減圧装置を備えた反応容器に、グリセリン92部(1モル部)及び触媒として水酸化カリウム0.25部を投入し、120℃に昇温後、減圧下(−0.098MPa)同温度で1時間脱水し、水分を0.03%以下にした。次いで、撹拌下PO4002部(69モル部)を120℃で10時間かけて滴下した後、同温度で2時間熟成した。次いで、撹拌下120℃でEO748部(17モル部)を4時間かけて滴下した後、同温度で2時間熟成した。80℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]0.1部を投入し、同温度で30分間撹拌した後吸着処理剤をろ過し、グリセリンのPO69モル・EO17モルブロック付加物を得た。
撹拌機、温度調節機能及び減圧装置を備えた反応容器に、グリセリンのPO69モル・EO17モルブロック付加物96部(0.019モル部)を投入し、120℃に昇温後減圧下(−0.098MPa)同温度で1時間脱水し、水分を0.03%以下にした。次いで、無水酢酸4部を反応容器に投入し、120℃で30分間撹拌し、発熱がないことを確認した後に140℃まで昇温し、140±5℃で4時間アセチル化反応させた。反応終了後、160℃に昇温し減圧下(−0.098MPa)未反応の無水酢酸及び酢酸を留去し、可塑剤(C−1)を得た[(C−1)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23、q=5.7、m=2、n=1、n/(m+n)=0.33、オキシエチレン基の含有率=15%である化合物。]。
<製造例6>
POの部数4002部(69モル部)を4118部(71モル部)に、EOの部数748部(17モル部)を484部(11モル部)に変更した以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−2)を得た[(C−2)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23.7、q=3.7、m=2、n=1、n/(m+n)=0.33、オキシエチレン基の含有率=10%である化合物。]。
<製造例7>
POの部数4002部(69モル部)を2378部(41モル部)に、EOの部数748部(17モル部)を440部(10モル部)に変更した以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−3)を得た[(C−3)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=13.7、q=3.3、m=2、n=1、n/(m+n)=0.33、オキシエチレン基の含有率=15%である化合物。]。
<製造例8>
POの部数4002部(69モル部)を2610部(45モル部)に、EOの部数748部(17モル部)を308部(7モル部)に変更した以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−4)を得た[(C−4)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=15、q=2.3、m=2、n=1、n/(m+n)=0.33、オキシエチレン基の含有率=10%である化合物。]。
<製造例9>
POの部数4002部(69モル部)を696部(12モル部)に変更した以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−5)を得た[(C−5)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=4、q=5.7、m=2、n=1、n/(m+n)=0.33、オキシエチレン基の含有率=46%である化合物。]。
<製造例10>
POの部数4002部(69モル部)を10440部(180モル部)に変更した以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−6)を得た[(C−6)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=60、q=5.7、m=2、n=1、n/(m+n)=0.33、オキシエチレン基の含有率=7%である化合物。]。
<製造例11>
EO748部(17モル部)を使用しなかった以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−7)を得た[(C−7)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23、q=0、m=2、n=1、n/(m+n)=0.33、オキシエチレン基の含有率=0%である化合物。]。
<製造例12>
EOの部数748部(17モル部)を6600部(150モル部)に変更した以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−8)を得た[(C−8)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23、q=50、m=2、n=1、n/(m+n)=0.33、オキシエチレン基の含有率=61%である化合物。]。
<製造例13>
無水酢酸の部数4部を2部に変更した以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−9)を得た[(C−9)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23、q=5.7、m=1、n=2、n/(m+n)=0.67、オキシエチレン基の含有率=15%である化合物。]。
<製造例14>
撹拌機、温度調節機能、滴下ボンベ及び減圧装置を備えた反応容器に、製造例5と同様にして得られたグリセリンのPO69モル・EO17モルブロック付加物90部(0.019モル部)及び水酸化ナトリウム1.52部(0.038モル部)を投入し、55℃に昇温後、メチルクロライド1.92部(0.038モル部)を2時間かけて滴下し、更に同温度で10時間熟成した。熟成終了後、水25部を加え30分間撹拌した後30分間静置し、二層に分離したうちの水層を除去した後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]0.8部を投入し、30分間撹拌した後吸着処理剤をろ過し、可塑剤(C−10)を得た[(C−10)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはメチル基、p=23、q=5.7、m=2、n=1、n/(m+n)=0.33、オキシエチレン基の含有率=15%である化合物。]。
<製造例15>
グリセリン92部(1モル部)をペンタエリスリトール136部(1モル部)に、POの部数4002部(69モル部)を5336部(92モル部)に、EOの部数748部(17モル部)を1003部(22.8モル部)に変更した以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−11)を得た[(C−11)は、一般式(1)におけるZがペンタエリスリトールからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23、q=5.7、m=3、n=1、n/(m+n)=0.25、オキシエチレン基の含有率=15%である化合物。]。
<製造例16>
グリセリン92部(1モル部)をソルビトール182部(1モル部)に、POの部数4002部(69モル部)を8004部(138モル部)に、EOの部数748部(17モル部)を1496部(34モル部)に変更した以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−12)を得た[(C−12)は、一般式(1)におけるZがソルビトールからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23、q=5.7、m=5、n=1、n/(m+n)=0.17、オキシエチレン基の含有率=15%である化合物。]。
<製造例17>
グリセリン92部(1モル部)をソルビトール182部(1モル部)に、POの部数4002部(69モル部)を8004部(138モル部)に、EOの部数748部(17モル部)を1496部(34モル部)に変更した以外は製造例5と同様にして、可塑剤(C−13)を得た[(C−13)は、一般式(1)におけるZがソルビトールからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23、q=5.7、m=4、n=2、n/(m+n)=0.33、オキシエチレン基の含有率=15%である化合物。]。
<製造例18>
撹拌機、温度調節機能、滴下ボンベ及び減圧装置を備えた反応容器に、ビスフェノールA228部(1モル部)及び触媒として水酸化カリウム0.25部を投入し、120℃に昇温後、減圧下(−0.098MPa)同温度で1時間脱水し、水分を0.03%以下にした。次いで、撹拌下PO2668部(46モル部)を120℃で7時間かけて滴下した後、同温度で2時間熟成した。次いで、撹拌下120℃でEO502部(11.4モル部)を3時間かけて滴下した後、同温度で2時間熟成した。80℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]0.1部を投入し、同温度で30分間撹拌した後吸着処理剤をろ過し、ビスフェノールAのPO46モル・EO11.4モルブロック付加物を得た。
撹拌機、温度調節機能及び減圧装置を備えた反応容器に、ビスフェノールAのPO46モル・EO11.4モルブロック付加物97部(0.019モル部)を投入し、120℃に昇温後減圧下(−0.098MPa)同温度で1時間脱水し、水分を0.03%以下にした。次いで、無水酢酸3部を反応容器に投入し、120℃で30分間撹拌し、発熱がないことを確認した後に140℃まで昇温し、140±5℃で4時間アセチル化反応させた。反応終了後、160℃に昇温し減圧下(−0.098MPa)未反応の無水酢酸及び酢酸を留去し、可塑剤(C−14)を得た[(C−14)は、一般式(1)におけるZがビスフェノールAからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23、q=5.7、m=1、n=1、n/(m+n)=0.50、オキシエチレン基の含有率=15%である化合物。]。
<製造例19>
ビスフェノールA228部(1モル部)をテレフタル酸166部(1モル部)に変更した以外は製造例13と同様にして、可塑剤(C−15)を得た[(C−15)は、一般式(1)におけるZがテレフタル酸からすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23、q=5.7、m=1、n=1、n/(m+n)=0.50、オキシエチレン基の含有率=15%である化合物。]。
<比較製造例1>
撹拌機、温度調節機能、滴下ボンベ及び減圧装置を備えた反応容器に、グリセリン92部(1モル部)及び触媒として水酸化カリウム0.25部を投入し、120℃に昇温後、減圧下(−0.098MPa)同温度で1時間脱水し、水分を0.03%以下にした。次いで、撹拌下PO4988部(86モル部)を120℃で10時間かけて滴下した後、同温度で2時間熟成した。80℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]0.1部を投入し、同温度で30分間撹拌した後吸着処理剤をろ過し、グリセリンのPO86モル付加物を得た。
撹拌機、温度調節機能及び減圧装置を備えた反応容器に、グリセリンのPO86モル付加物93部(0.018モル部)を投入し、120℃に昇温後減圧下(−0.098MPa)同温度で1時間脱水し、水分を0.03%以下にした。次いで、無水酢酸7部を反応容器に投入後120℃で30分間撹拌し、発熱がないことを確認した後に140℃まで昇温し、140±5℃で4時間アセチル化反応させた。反応終了後、160℃に昇温し減圧下(−0.098MPa)未反応の無水酢酸及び酢酸を留去し、可塑剤(C’−1)を得た[(C’−1)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=28.7、q=0、m=3、n=0、n/(m+n)=0、オキシエチレン基の含有率=0%である化合物。]
<比較製造例2>
撹拌機、温度調節機能及び減圧装置を備えた反応容器に、製造例5で得られたグリセリンのPO69モル・EO17モルブロック付加物94部を投入し、120℃に昇温後、減圧下(−0.098MPa)同温度で1時間脱水し、水分を0.03%以下にした。次いで、無水酢酸6部を反応容器に投入後120℃で30分間撹拌し、発熱がないことを確認した後に140℃まで昇温し、140±5℃で4時間アセチル化反応させた。反応終了後、160℃に昇温し減圧下(−0.098MPa)未反応の無水酢酸及び酢酸を留去し、可塑剤(C’−2)を得た[(C’−2)は、一般式(1)におけるZがグリセリンからすべての活性水素原子を除いた残基、AOはオキシプロピレン基、Xはアセチル基、p=23、q=5.7、m=3、n=0、n/(m+n)=0、オキシエチレン基の含有率=15%である化合物。]。
<実施例1>
製造例1で得たプレポリマー(A−1)100部、充填剤{表面処理炭酸カルシウム「ホワイトンSSB赤」[白石カルシウム(株)製]}120部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤「イルガノックス1010」[日本チバガイギー(株)製]3部、トリアゾール系紫外線吸収剤「チヌビン320」[日本チバガイギー(株)製]2部、鉛系硬化促進触媒「ネオスタンU−28」[日東化成(株)製]3部を、プラネタリーミキサーで25℃、減圧下(−0.098MPa)で30分間混練して主剤成分を得た。
硬化剤(B)としてのポリプロピレングリコール(Mn=5,000)(B−1)62部、製造例5で得られた可塑剤(C−1)40部をプラネタリーミキサーで25℃、減圧下(−0.098MPa)30分間混練して硬化剤成分を得た。
上記主剤成分及び硬化剤成分をプラネタリーミキサーに投入し、25℃で1時間混練して2液硬化性ポリウレタン組成物(X−1)を得た。
<実施例2〜20、比較例1〜3>
表1に記載するプレポリマー(A)、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化促進触媒、硬化剤(B)及び可塑剤(C)に変更する以外は実施例1と同様にして、2液硬化性ポリウレタン組成物(X−2)〜(X−20)、(Y−1)〜(Y−3)を得た。
表1の(B−2)、(B−3)及び(C’−3)の組成は、以下の通りである。
(B−2):ポリプロピレングリコール(Mn=2,000)
(B−3):ポリエチレングリコール(Mn=2,000)
(C’−3):製造例5で得られたグリセリンのPO69モル・EO17モルブロック付加物
<性能評価用の硬化物シートの作製>
実施例1〜20、比較例1〜3で得られた2液硬化性ポリウレタン組成物(X−1)〜(X−20)、(Y−1)〜(Y−3)を、それぞれ70mm×110mm×5mmのプラスチック製の型に流し込み、温度20℃、湿度50%の恒温恒湿器中で14日間養生し、厚さ5mmの硬化物シートを作製した。得られた硬化物シートについて、以下の方法で耐汚染性、塗膜軟化性及びクラックの発生について評価した。結果を表1に示す。
<耐汚染性(1)の評価方法>
硬化物シートの表面にアクリルエマルション系塗料「エスダイン#7110」[積水フーラー(株)製]を塗布し、20℃で7日間乾燥させた後、恒温恒湿器中に70℃、湿度50%で1週間放置した。
塗膜上にJIS Z8901−2005に規定されたJIS試験用粉体「1,1種」(ケイ砂)を塗膜が隠れる程度に振りかけ、さらに恒温恒湿器中に70℃、湿度50%で30分間放置した。
恒温恒湿器から取り出してから10分後に、硬化物シートを裏返して底面を軽く叩くことでシートの表面上の余分なケイ砂を落とし、塗膜上に付着して取れないケイ砂の付着部面積を目視で観察し、以下に示す3段階の基準で耐汚染性を評価した。
○:ケイ砂の付着量が3割未満
△:ケイ砂の付着量が3割以上6割未満
×:ケイ砂の付着量が6割以上
<耐汚染性(2)の評価方法>
硬化物シートを屋外に3ヶ月間放置した後、汚れの付着の程度を目視で観察し、以下に示す3段階の基準で耐汚染性を評価した。
○:汚れなし
△:やや汚れあり
×:汚れ多い
<塗膜軟化性の評価方法>
硬化物シートの表面にアクリルエマルション系塗料「エスダイン#7110」[積水フーラー(株)製]を塗布し、20℃で7日間乾燥させた後、60℃で1ヶ月放置し、指先で塗膜を触診し、以下に示す3段階の基準で塗膜軟化性を評価した。
○:軟化なし
△:やや軟化している
×:軟化激しい
<クラック発生量の評価方法>
硬化物シートをサンシャインウェザオメーター[WEL−SUN−HCH型、スガ試験機(株)製]に設置し、温度50±3℃、湿度50±5%、紫外線照度100mWの条件で、50時間、及び100時間UV照射し、シート表面のクラックの有無を、以下に示す3段階の基準で評価した。
○:クラックの発生なし
△:クラックがわずかに発生
×:クラックの発生多い
Figure 2010280882
表1から、実施例1〜20の2液硬化性ポリウレタン組成物(X−1)〜(X−20)から得られた硬化物は、比較例1〜3の2液硬化性ポリウレタン組成物(Y−1)〜(Y−3)から得られた硬化物と比較して、耐汚染性に優れ、硬化物に塗料を塗布した後の塗膜の軟化を防ぎ、硬化物表面にクラックが発生するのを抑制していることは明らかである。
本発明のポリウレタン系硬化性組成物は、従来のポリウレタン系硬化性組成物に比較して、可塑剤がブリードアウトし難く、硬化物表面の耐汚染性に優れ、硬化物に塗料を塗布した後の塗膜の軟化を防ぎ、硬化物表面にクラックが発生するのを抑制できるため、シーラント、塗料、接着剤、防水材、床材及びポリウレタン成型物等の用途に有用である。

Claims (6)

  1. イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含有してなる主剤成分と、硬化剤(B)及び一般式(1)で示される可塑剤(C)を含有してなる硬化剤成分からなる2液硬化性ポリウレタン組成物。
    Figure 2010280882
    [式中、Zは、炭素数1〜22の2〜6価アルコール、炭素数6〜24の2〜6価フェノール、炭素数2〜22の2〜6価カルボン酸又は窒素原子に結合する水素原子の数が2〜6個である炭素数1〜22のアミンからすべての活性水素原子を除いた2〜6価の残基;Xは炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数2〜7のアシル基;AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基;pは4〜60の数;qは0〜50の数;mは1〜5の整数、nは1又は2の整数であってm+nはZの価数に等しい数である。]
  2. 前記一般式(1)におけるn/(m+n)が0.17〜0.50である請求項1記載の2液硬化性ポリウレタン組成物。
  3. 前記可塑剤(C)におけるオキシエチレン基の含有率が、(C)の重量に基づき5〜35重量%である請求項1又は2記載の2液硬化性ポリウレタン組成物。
  4. 前記可塑剤(C)の数平均分子量が1,000〜10,000である請求項1〜3のいずれかに記載の2液硬化性ポリウレタン組成物。
  5. 前記可塑剤(C)の含有率が、2液硬化性ポリウレタン組成物の重量に基づき1〜30重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の2液硬化性ポリウレタン組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の2液硬化性ポリウレタン組成物を含有してなる2液硬化性ポリウレタン組成物シーラント。
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