JP2010278622A - デジタル無線機のafc回路及びafc制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】デジタル無線機のAFC回路を、同期ワード候補シンボルデータに基づいて周波数ズレ量を示す直流オフセット量を検出する手段と、同期状態の良否を判断するしきい値手段と、同期状態であって、且つ、受信品質がしきい値より良好の場合にのみ直流オフセット量に対応して局部発振手段の周波数補正処理を行うように構成する。
【選択図】図1
Description
一方、占有周波数帯域が狭帯域化されると、伝送すべき情報(データ)によって変調する周波数偏移量や位相偏移量が小さくなり、所謂、変調度が浅くなるので、送受信周波数の僅かなズレや変動によってデータエラーが発生する傾向が大きくなる。一般的に、送受信の周波数のズレや変動は、温度変化や経年変化に起因する送受信機の局部発振器の発振周波数の変動や、受信復調回路の素子周波数特性の変動によって生じるので、通常、無線送受信機には、AFC(Auto Frequency Control:自動周波数制御)機能が備えられているが、狭帯域化された無線機においては局部発振器の周波数を正確に制御する機能が極めて重要である。
従来のAFC手段としては種々のものが提案されている。例えば、図8に示すように、基地局(Base Station:ベース・ステーション)101と携帯無線機102が通信する無線システムにおいて、基地局101から送信される下り回線周波数fc_b(Down)と携帯無線機102から送信される上り回線周波数fc_s(UP)+Δfとの両者間にΔfのズレが有る場合を考える。通常、基地局101では消費電力や形状寸法等の制限が厳しく要求されないので、恒温槽付きの高精度温度補償水晶発振器を使用して安定した周波数信号を発生するように構成されている。消費電力や小型化等の厳しい制限が要求される携帯無線機102は、基地局から送信される安定した周波数信号を受信し、その周波数情報を用いて自局の局部発振器の周波数を補正することによって、基地局101と同等の周波数安定度を得るように構成されている。
また、他の方法としては、図10に示すように、FM検波信号からDCオフセット成分を抽出する手段として、SYNC部DC計算手段に代えて低域フィルタ(LPF)を用いるものも知られている。
なお、同一出願人は、特許文献1に示す同期ワード検出手段を提案しているので、後述する本発明のDCオフセット量検出手段等として利用可能である。
周知のように移動無線通信システムでは電波環境の変動が著しく、着信電波のレベルが大きく変動するので、常に正確にSYNCを検出できるとは限らない。また、同期判断を迅速化するために、同期検出結果を、ある一定の範囲の誤り(誤差)を許容した同期用しきい値と比較して、誤差がしきい値により許容する値以下の場合、同期検出と判断することが一般的であるが、このようなシステムでは、同期状態と判断された場合であっても、ある程度のビットエラーが含まれることになる。
図11は、上述の図9に示した回路におけるAFC制御の様子を示すもので、各フレームの先頭に付されたSYNCから、周波数ズレに対応したDCオフセットを抽出し、そのレベルに応じてVC-TCXOを制御する様子を示している。この場合、着信電界強度が悪化すると、SYNCデータビットの検出正解率が低下し、DCオフセット値が不正確になり、その結果、フレーム毎にVC-TCXO制御信号レベルが変動することになる。即ち、発振周波数は基地局からの着信信号に許容された範囲以内で一致している状態でもDCオフセット量が実際の周波数ズレ量と異なる値を示すことがあるので、フレーム毎にVC-TCXO制御信号レベルがばらけたものとなる。
なお、移動無線機(携帯電話機や車載無線機等)から送信する電波の周波数変動を、基地局側で補正(追従)する方法もあるが、移動無線機の数が多くなると、基地局側の設備負担が大きくなる他、通話品質の低下を招く場合もある。
本発明は、これらの諸事情に鑑みてなされたものであって、着信電界強度が変動する場合であっても、安定した周波数制御が可能なデジタル無線機のAFC回路及びAFC制御方法を提供することを目的としている。
例えば、FM変調方式を採用するデジタル無線機においては、周波数ズレはFM検波出力に含まれる直流オフセット量として検出されるが、受信品質が悪化した状態では直流オフセットが正確な周波数ズレに対応しない場合がある。本発明は、そのような誤った値に基づいた周波数補正を行うことを防止したデジタル無線機のAFC回路及びその制御方法を提供する。
なお、シンボル誤差演算手段(処理)によって求めた全シンボルに対するシンボル誤差平均値(E)を求めるシンボル誤差平均演算手段(処理)における「全シンボル」とは、一つのフレームの全シンボルに限定する必要はなく、目的とするシンボル誤差平均が得られる数であればよく、通信システムに応じて予め設定した数のシンボルであればよい。
従って、デジタル無線機において直流オフセットに基づいて発振周波数補正を行う際、直流オフセットが正確な周波数ズレに対応しない場合に、誤った周波数補正を行うことを防止し、正確で安定した周波数制御を行い得るデジタル無線機のAFC回路及び、その制御が実現可能である。
図1は本発明の一実施形態を示すデジタル方式の移動無線機(携帯無線機)の概要ブロック図である。この例に示す携帯無線機は、受信用アンテナ1、第一混合器(MIX)2、第一中間周波数(First IF 周波数)を取り出す第一の帯域フィルタ(BPF)3、第二混合器(MIX)4、第二中間周波数(Second IF 周波数)を取り出す第二の帯域フィルタ(BPF)5、第二帯域フィルタの出力信号を検波するFM検波器6、検波した信号からシンボル値を検出するシンボル検出部7、上述したフレーム先頭のSYNC(フレーム同期ワード)を検出してフレーム同期を図るフレーム同期検出部(SYNC同期検出)10が受信部(RX)の主たる構成ブロックである。
また、送信部TXは、VCO13を構成ブロックの一部として含み、図示を省略した送信制御部により送信データ等を生成するとともに、デジタル変調部(Digital mod)15に供給され、デジタル変調信号となる。その信号がVCO13に供給されるとともに、その出力信号が所要レベルに増幅されて、送信用アンテナ15から送信電波として放出される。なお、上記第二の混合器4には、第二ローカル信号を供給する第二局部発振器17を備えている。
即ち、SYNC同期検出部10は、SYNC部分散計算処理部18と、その分散値計算処理の結果に基づいて同期判定、あるいは受信品質良否判定を行う同期判定処理部19と、同期判定信号、あるいは受信品質良否判定信号と上記SYNC部分散処理部18からの信号とに基づいてDCオフセット信号を発生するSYNCDC計算処理部20と、上記SYNC部分散計算処理部18及びSYNCDC計算処理部20からの信号に基づき、供給された分散値と予め設定したDC有効分散しきい値とを比較するDC判定処理部21とを含んで構成されている。
即ち、分散値が大きい状態は着信電界強度が小さく、そのときのDCオフセット量が正確に周波数ズレ量を現していない状態であると判断して、周波数補正処理を行わず、分散値が一定値以下の場合においてのみ周波数補正処理を行う。
同期ワード候補シンボルデータに基づいて同期判定を行う際に、周波数ズレに応じて発生する直流オフセット量を検出するオフセット量検出手段と、
同期検出判定手段に備えた同期状態の良否を判断するしきい値比較手段と、このしきい値比較手段により同期状態がしきい値より良好と判断された場合に周波数オフセット量に対応して局部発振手段の周波数補正を行うように構成したことを特徴としている。
従って、従来のように受信品質が不良の状態において、DCオフセットに基づく周波数補正を行うことによる不具合を解消し、正確な周波数制御が可能なAFC回路、あるいはAFC制御方法を提供することができる。
つまり、本発明においては周波数ズレの量をDCオフセット量として判断するが、その周波数ズレ計算(DC計算)は特許文献1に示されているように、シンボルパターンの分散計算を行う処理過程で求めるシンボルパターンの誤差の平均値を使用することができる。この際の計算式は、
E=(1/N)Σfsi−Xi ・・・(式1)
ここで、EはFS(同期ワード:SYNC)の誤差平均値(周波数ズレ)、fsiは同期ワードFSのシンボル値、NはFSシンボル数、Xiは検波信号であり、iは0からN−1の値をとる。
また、同期状態を判断するために、次の(式2)に示す誤差分散値(δ2)を求める。
δ2=(1/N)Σ(Yi−E)2 Yi=fsi−Xi ・・・(式2)
ここで、δ2はFSとの誤差分散(FS相関値)、YiはFSシンボルと検波信号との誤差であり、iは0からN−1の値をとる。
即ち、(式1)は、既知の同期ワードFSのシンボル値と受信検波後の検波信号の差について、所要ビットの誤差平均値を計算したものであり、FM検波器では周波数のズレは直流(DC)値として出力されるので、周波数ズレの平均値と見ることができる。
なお、ここではFSとの誤差平均値(周波数ズレ)をE、FSのシンボル値をfs、計算対象のシンボル数をN、検波信号をX、FSシンボルと検波信号との誤差をY、FSとの誤差分散をδ2と表記しているが、特許文献1では、夫々、D、Foff、n、a、s、・・・等にて示しているので、適宜置き換えて特許文献1の説明を参照することが出来る。また、特許文献1に示した計算式では、平均を求めるためにシンボル数nでの除算を行っていない場合も含むが、この(1/n)は単なる定数値であるので省略しても式の意味は異ならない。
一方、上記ステップS1において、分散値δ2が予め設定したDC有効分散しきい値より大きい場合は、同期状態が不良であり、そのときのDCオフセット値が一定値以上のビットエラーを含んだものと判断して、その時のフレーム同期検出に際して得られたシンボル誤差平均値(周波数ズレ)に基づく周波数制御は行わず、それ以前の状態を維持する(S1、No)。
この例は、分散値δ2が予め設定したDC有効分散しきい値より大きいか小さいかによって同期状態の良否を判断し、同期状態が良好である場合にのみ、その際に得られたて得られたシンボル誤差平均値(周波数ズレ)に基づいて局部発振器の周波数制御を行うものである。なお、この例における同期検波手段としては、従来から知られている方法を使用すればよいが、上述したように、同一出願人になる特許文献1の発明を利用すれば、更に、効率よく本発明を実施することが出来る。
次に、SYNCシンボル数Nについてシンボル誤差の平均を演算し(S13)、このシンボル誤差平均E(=(1/N)Σfsi−Xi)を用いて(式2)に示す誤差分散δ2(=(1/N)Σ(Yi−E)2)を算出する(S14)。この誤差分散値は、特許文献1において詳細に説明したように、同期状態を判断する上で使用可能である。そこで、その手法に倣って、予め設定した同期判定用しきい値(同期用しきい値)と比較して、同期状態であるか否かを判断する(S15)。この判断において同期検出の場合は(S15、Yes)、次に、同様に同期状態を示す誤差分散値δ2を、同期状態の良否を判断するための第二のしきい値である「DC有効分散しきい値」と比較する(S16)。この判断において誤差分散値δ2がDC有効分散しきい値より小さい場合は、同期状態が良好であるものと判断して(S16、Yes)、既に計算済みである誤差平均EをDCオフセット量(周波数ズレ量)とみなして、局部発振器VC-TCVOの周波数を補正する(S17)。
図4に示す例では、S15とS16に二つのしきい値が設定されているが、第一のしきい値は同期判定のためのしきい値であり、迅速な同期捕捉のために、必要最小限の通信品質において同期捕捉が可能なように比較的ビットエラー率に対する許容範囲が広く設定されるのが一般的である。それに対し、第二のしきい値であるDC有効分散しきい値は、その時の誤差平均Eが正確なDCオフセット量を示しているか否かを判断するものである。従って、その大小関係は、同期用しきい値>DC有効分散しきい値と設定する。
このように、同期した状態において更に、同期状態の良否を判断した上で発振周波数の補正を行うことにより、目的とする周波数補正機能が安定したものとなる。
実際に本発明を実施した場合の周波数ばらつき範囲(Hz)とDC有効分散しきい値との関係を計算した例を図7に示す。この例は、APCO P25規格に基づくシステムのフレームを用いてシミュレーションしたもので、BER=5%の環境下において、DC有効分散値毎にDC値(周波数ズレ計算値)のばらつき(5σ相当)を示している。なお、DC有効分散しきい値は、シンボル値(±1、±3)で計算した分散値を示す。
この図から明らかなように、DC有効分散しきい値によって、周波数のばらつき範囲が変化する。例えば、周波数安定度の許容範囲が160Hzの場合は、DC有効分散しきい値を1に設定し、許容範囲が200Hzの場合は、DC有効分散しきい値を4に設定すればよいことが分かる。
また、シンボル誤差平均値(E)を求めるシンボル誤差平均演算手段(処理)における「全シンボル」として、一つのフレームの全シンボルに限定する必要はなく、目的とするシンボル誤差平均が得られる数であればよいが、更に、受信品質状態に応じて必要最小限のシンボル数に変更するように構成し、又は、制御することも、迅速なAFC制御を行う上で有効な場合があろう。
更に、上述した実施形態のAFC回路、又はAFC制御方法を、それぞれプログラム化すれば、DSPやCPUを搭載した通信機にこれらプログラムやデータをインストールすることによって、本発明を実施することが可能である。
Claims (4)
- 受信信号波形から同期ワード候補シンボルデータを取得し、既知の同期ワードデータと比較して同期判定を行う同期判定手段と、発振周波数を制御可能な局部発振手段と、を有するデジタル無線機のAFC回路において、
前記同期ワード候補シンボルデータに基づいて、周波数ズレに応じて発生する直流オフセット量を検出するオフセット量検出手段と、
同期状態の良否を判断するDC有効分散しきい値比較手段と、この比較手段により同期状態がDC有効分散しきい値より良好と判断された場合に前記直流オフセット量に対応して前記局部発振手段の周波数補正を行うように構成したことを特徴とするデジタル無線機のAFC回路。 - 請求項1記載のデジタル無線機のAFC回路において、
前記同期判定手段は、同期ワード候補シンボルデータ(Xi)と前記既知の同期ワードシンボルデータ(fsi)とのシンボル誤差(Yi)を求めるシンボル誤差演算手段と、前記シンボル誤差演算手段によって求めた全シンボルに対するシンボル誤差平均値(E)を求めるシンボル誤差平均演算手段と、
前記シンボル誤差演算手段によって求めた同期ワード候補の各シンボル誤差(Yi)と前記シンボル誤差平均値(E)との減算を行うシンボル誤差平均減算手段と、前記同期ワード候補全シンボルについて、前記シンボル誤差平均減算値の自乗値から誤差分散値(δ2)を算出する誤差分散演算手段と、前記誤差分散値(δ2)を予め設定した同期判定用しきい値と比較することによって、当該同期ワード候補が同期ワードであるか否かを判断する同期ワード判断手段を備えたものであり、
前記DC有効分散しきい値比較手段は、前記同期判定用しきい値より良好な同期状態を判断するための第二のしきい値としてDC有効分散しきい値が設定され、前記同期ワード判断手段により同期検出と判断された状態において、前記誤差分散値(δ2)を前記DC有効分散しきい値と比較し、同期状態がDC有効分散しきい値より良好と判断された場合に、前記シンボル誤差平均値(E)を前記直流オフセット量とみなし、この直流オフセット量に対応して前記局部発振手段の周波数補正を行うことを特徴とするデジタル無線機のAFC回路。 - 受信信号波形から同期ワード候補シンボルデータを取得し、既知の同期ワードデータと比較して同期判定を行う同期判定手段と、発振周波数を制御可能な局部発振手段と、を有するデジタル無線機のAFC制御方法において、
前記同期ワード候補シンボルデータに基づいて、周波数ズレに応じて発生する直流オフセット量を検出するオフセット量検出処理と、
同期状態の良否を判断するDC有効分散しきい値比較処理と、このDC有効分散しきい値比較処理により同期状態がDC有効分散しきい値より良好と判断された場合に前記直流オフセット量に対応して前記局部発振手段の周波数を補正する処理とを含むことを特徴とするデジタル無線機のAFC制御方法。 - 請求項3記載のデジタル無線機のAFC制御方法において、
前記同期判定処理は、同期ワード候補シンボルデータ(Xi)と前記既知の同期ワードシンボルデータ(fsi)とのシンボル誤差(Yi)を求めるシンボル誤差演算処理と、前記シンボル誤差演算処理によって求めた全シンボルに対するシンボル誤差平均値(E)を求めるシンボル誤差平均演算処理と、
前記シンボル誤差演算処理によって求めた同期ワード候補の各シンボル誤差(Yi)と前記シンボル誤差平均値(E)との減算を行うシンボル誤差平均減算処理と、前記同期ワード候補全シンボルについて、前記シンボル誤差平均減算値の自乗値から誤差分散値(δ2)を算出する誤差分散演算処理と、前記誤差分散値(δ2)を予め設定した同期判定用しきい値と比較することによって、当該同期ワード候補が同期ワードであるか否かを判断する同期ワード判断処理を含むものであり、
前記DC有効分散しきい値比較処理は、前記同期判定用しきい値より良好な同期状態を判断するための第二のしきい値としてDC有効分散しきい値が設定され、前記同期ワード判断処理により同期検出と判断された状態において、前記誤差分散値(δ2)を前記DC有効分散しきい値と比較し、同期状態がDC有効分散しきい値より良好と判断された場合に、前記シンボル誤差平均値(E)を前記直流オフセット量とみなし、この直流オフセット量に対応して前記局部発振手段の周波数補正を行う処理とを含むことを特徴とするデジタル無線機のAFC制御方法。
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