JP2010278388A - 接続方法,接続構造および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】母基板20は、リジッド基板21と、リジッド基板21上に設けられた接着剤接続用電極22および半田接続用電極26とを有している。半田接続用電極26は、OSP処理による有機膜25で覆い、接着材接続用電極22の表面は、OSP処理による有機膜や貴金属めっき層は形成せずに、脱着自在の保護膜28で覆う。半田層50によって半田接続構造Dを形成する際、保護膜28により接着材接続用電極22の酸化を防ぐ。その後、保護膜28を除去してから、接着剤30を用いて、電極12,22を接続し、接着剤接続構造Cを形成するので、各電極22,26の導通が容易となる。これにより、半田接続構造と接着剤接続構造とを円滑に形成することができる。
【選択図】 図7
Description
接着剤としては、後述するように,いわゆる異方導電性接着剤(ACF)と、絶縁性接着剤(NCF)とがあるが、いずれの接着剤を用いてもよい。
上記有機膜を形成する処理は、一般的には、プリフラックス処理(OSP処理:Organic Solderability Preservation)と呼ばれている。
上記基材としては、プリント配線板の基材フィルム,電子部品の電極の下地部材などがある。被接続導体や被半田接続導体には、他のプリント配線板の電極,電子部品の電極,コネクタの電極などがある。また、被接続導体と被半田接続導体とは、共通の部材に設けられていてもよいし、相異なる部材に設けられていてもよい。
接着剤接続用電極には、従来、酸化防止用の金めっきが施されていた。それに対し、OSP処理によって有機膜を形成する工程は、金めっき層を形成する工程と比較して、製造工程が簡素化される。また、高価な金を使用しないので、材料コストも低減されるが、反面、次のような不利益もある。
OSP処理により形成された有機膜は、構成材料の種類やその後の環境により、硬さの幅がある。たとえば、半田リフローなどの高温処理を経たり、紫外線を浴びるなどより架橋部分が増加すると、硬さがきわめて高くなることがある。その場合、絶縁性接着剤を用いた場合には、接続工程で、接着剤接続用電極と被接続導体との間で、各一部が有機膜を突き破って相接触することが困難になる。また、導電性粒子を含む異方導電性接着剤を用いた場合には、接続工程で、導電性粒子が有機膜を突き破って電極等に接触することが困難になる。その結果、接続工程で、接着剤接続用電極と被接続導体との間で導通不良が生じるおそれがある。
それに対し、本発明では、接着剤接続用電極には、OSP処理による有機膜や貴金属めっき層を形成せずに、半田接続用電極のみをOSP処理による有機膜や貴金属めっき層で覆ってから、半田による接合(半田リフロー処理)を行っている。
そして、その後、接着剤による接続工程を行うので、電極と被接続導体とが、直接または導電性粒子を介して互いに導通し合う。よって、基材上の接着剤接続用電極と,被接続部材上の被接続導体との間における導通不良の発生を抑制することができる。
そして、半田接続用電極をOSP処理による有機膜で覆うと、上述のように、金めっきが不要となることで、製造コストが低減する。また、半田接続用電極を貴金属めっき層で覆った場合でも、接着剤接続用電極上には貴金属めっきが不要となり、かつ、OSP処理は行わないので、製造コストが低減する。
その場合、導電性粒子のアスペクト比が5以上であることにより、導電性粒子同士の接触確率が高くなる。その結果、導電性粒子の配合量を増やすことなく、接着剤接続構造を円滑に形成することができる。
その場合、導電性粒子の長径方向を、フィルム形状を有する接着剤の厚み方向に配向させることがより好ましい。これにより、接着剤の面方向においては、隣り合う電極間や導体間の絶縁を維持して短絡を防止することができる。一方、接着剤の厚み方向においては、多数の電極−導体間を一度に、かつ各々を独立して導電接続して、低抵抗を得ることが可能となる。
配線部材には、フレキシブルプリント配線板,リジッドプリント配線板などの配線板や、同軸ケーブル配線、フラットケーブル配線などのケーブル配線など、電極を有する多種の配線が含まれる。
特に、フレキシブルプリント配線板は、携帯電話,デジタルカメラ,ビデオカメラ等のカメラ、ポータブルオーディオプレーヤ、ポータブルDVDプレーヤ、ポータブルノートパソコンなど、多くの電子機器に内蔵されており、本発明に用いることで、格別の効果が得られる。
本発明の接続構造や電子機器により、製造工程の簡素化と金めっきの使用量の低減とを通じて、製造コストの削減を実現することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器である携帯端末100の構造を概略的に示す斜視図である。
携帯端末100は、各種情報を表示するための表示部103と、入力部104と、ヒンジ部105とを備えている。表示部103には、液晶表示パネルを用いた表示装置106やスピーカ等が設けられている。入力部104には、入力キーやマイクが設けられている。ヒンジ部105は、入力部104と表示部103とを回動自在に連結している。
表示部103には、表示部筐体131と、表示部基板135とが主要部材として設けられている。表示部基板135は、表示装置106に表示用信号を送るための回路等を備えている。表示部筐体131は、互いに連結された第1筐体131aと第2筐体131bとを有している。そして、第1筐体131aと第2筐体131bとの間に、貫通穴133が設けられている。
また、入力キー基板145には、電子部品を半田により接合した半田接合部Dが設けられている。図示されていないが、同様に、表示部基板135にもは、電子部品を半田により接合した半田接合部Dが設けられている。
図3は、本実施の形態の接着剤接続構造Cを形成する前の配線体Aの端部を示す斜視図である。配線体Aは、FPC10(基材)と、その端部に設けられた電極構造Bとを有している。
FPC10は、回路層(破線参照)が形成されたベースフィルム11と、ベースフィルム11を被覆するカバーレイ13とを備える構造が一般的である。回路層の端部は、被接続導体との電気的接続を行うための接着剤接続用電極12となっている。
それに対し、本実施の形態の電極構造Bにおいては、接着剤接続用電極12には、金めっき層や他の貴金属めっき層(銀めっき層,白金めっき層,パラジウムめっき層等)は設けられていない。また、後述するOSP処理による有機膜も設けられていない。
代わりに、接着剤接続用電極12は、着脱自在な保護膜28により被覆されている。
従来は、異方導電性接着剤(ACF)や絶縁性接着剤(NCF)を用いた接続が行われる接着剤接続用電極上には、酸化防止膜として金めっき層などの貴金属めっき層が形成されている。
それに対し、本実施の形態では、接着剤接続用電極12が、着脱自在な保護膜28により被覆されている。着脱自在な保護膜の例としては、粘着剤テープがあるが、これに限定されるものではない。
着脱自在な保護膜は、簡易な酸化防止膜であって、単に貼り付ける等の簡単な手間で住、コストもきわめて安価である。よって、金めっき層等の貴金属めっき層を形成する手間や材料費が不要となり、製造コストが低減する。また、後述するOSP処理による有機膜を形成するのに比べても、製造コストが低減する。
ここで、本実施の形態では、接着剤接続用電極12上に形成された保護膜28によって接着剤接続用電極12の酸化が抑制されるので、接着剤接続用電極12と被接続導体との間の接続抵抗を小さく抑制することができる。
なお、保護膜28を形成しない場合でも、酸素濃度が1体積%以下の非酸化性雰囲気で半田リフロー処理を行うことにより、接着剤接続用電極12の酸化が抑制されるので、同様の効果を得ることができる。
図4は、FPC10(フレキシブルプリント配線板)および電子部品40と、母基板20との間に形成される接着剤接続構造Cおよび半田接続構造Dの例1を示す断面図である。この接着剤接続構造Cは、絶縁性接着剤(NCF)を用いて形成されるものである。
母基板20の接着剤接続用電極22および半田接続用電極26は、リジッド基板21上に銅箔等の金属箔を積層し、金属箔を、常法により、露光、エッチングすることにより形成されている。
そして、接着剤接続構造Cにおいては、NCFである接着剤30の締め付け力によって、両電極12,22が互いに強く接触しあって導通している。半田接続構造Dにおいては、半田層50と各電極26,42との合金化により、両電極26,42が互いに導通している。
ただし、接着剤接続用電極12の表面にOSP処理による有機膜15を形成しておいてもよい(図4の破線参照)。FPC10が半田リフロー処理を経ない場合には、有機膜15の熱分解温度は半田リフロー処理の温度よりも高い必要はない。
電極12が有機膜15で覆われている場合、少なくとも一方の電極の表面に突起部があれば、突起部が有機膜15を突き破るので、両電極12,22が確実に接触しうる。なお、有機膜15が形成されていない場合には、必ずしも接着剤用電極12の表面が粗く加工されている必要はないが、粗く加工されている方が、接触を確保することが容易である。
なお、両電極12,22間にバンプが配置されていてもよい。
たとえば、接着剤接続用電極22が、後述するOSP処理による有機膜で覆われている場合、母基板20が半田リフロー工程を経ることで、有機膜が硬質化する。その場合、各電極12,22間の電気的に接続する接続抵抗が大きくなるおそれがある。特に、半田リフロー炉において加熱されると、有機膜が硬質化しやすい。
その結果、接着剤接続用電極12の突起部が、硬質化した有機膜を突き破りにくくなり、接続抵抗の増大を招くことになる。
よって、接着剤接続用電極12と,接着剤接続用電極22(被接続導体)との間における導通不良の発生(接続抵抗の増大など)を抑制することができる。
図5は、接着剤接続構造Cおよび半田接続構造Dの例2を示す断面図である。この接着剤接続構造Cにおいては、異方導電性接着剤(ACF)である接着剤30を用いている。すなわち、本例の接着剤30は、熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂組成物31中に、導電性粒子36を含ませたものである。
そして、各電極12,22は、導電性粒子36を介して互いに導通している。導電性粒子36は、微細な金属粒子が多数直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する金属粉末からなる。
なお、本例においても、例1のように電極12,22同士が直接接触している箇所が存在していてもよい。
ただし、FPC10の接着剤接続用電極22の上に、図中破線で示す有機膜15が設けられていてもよい。
この例では、当初から、樹脂組成物31中に微細な金属粒子が多数直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する導電性粒子36を含ませている。
ただし、樹脂組成物31中に、微細な金属粒子からなる導電性粒子がランダムに分散したものを用いてもよい。その場合でも、加熱加圧処理を行うことにより、各電極12,22間では、微細な金属粒子が多数繋がった形状になるからである。
具体的には、異方導電性接着剤として、例えば、上述のエポキシ樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂を主成分とし、当該樹脂中に、微細な金属粒子(例えば、球状の金属微粒子や金属でメッキされた球状の樹脂粒子からなる金属微粒子)が多数直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する、所謂アスペクト比が大きい形状を有する金属粉末により形成された導電性粒子36が分散されたものを使用することができる。なお、ここで言うアスペクト比とは、図6に示す、導電性粒子36の短径(導電性粒子36の断面の長さ)Rと長径(導電性粒子36の長さ)Lの比のことをいう。
図7(a)〜(d)は、接着剤接続構造Cおよび半田接続構造Dを実現するための接続方法の例1における手順を示す断面図である。
まず、図7(a)に示す工程で、接着剤接続領域Rcと、半田接続領域Rdとを有する母基板20(共通の基材)を準備する。母基板20において、接着剤接続領域Rcには接着剤接続用の接着剤接続用電極22が設けられており、半田接続領域Rdには半田接続用の半田接続用電極26が設けられている。
次に、半田接続用電極26のみを覆う有機膜25を形成する。そして、接着剤接続用電極22の上には、金めっき層も有機膜も形成しない。代わりに、接着剤接続用電極22を覆う,着脱自在な保護膜28を形成しておく。具体的には、粘着剤テープなどによって接着剤接続用電極22を覆っておく。粘着テープ以外の保護膜28を用いてもよいが、半田リフロー処理の温度に耐え、着脱自在であることが必要である。
OSP処理を施す方法としては、例えば、スプレー法、シャワー法、浸漬法等が用いられ、その後、水洗、乾燥させればよい。その際の水溶性プリフラックスの温度は、25〜40℃が好ましく、水溶性プリフラックスと接着剤接続用電極12との接触時間は、30〜60秒が好ましい。
これにより、半田接続領域Rdにおいて、半田接続構造Dが形成される。
なお、半田接続用電極26上を覆っていた有機膜25は、鉛フリー半田に含まれるフラックスなどと反応して、半田層50に溶け込んでいる。
なお、接着剤接続用電極22が半田リフロー工程で酸化されても、図7(d)に示す工程の前に、酸化膜を除去する工程を実施すれば、図7(c)の工程の後、3日以上の長時間が経過しても不具合はない。
本実施の形態では、FPC10の接着剤接続用電極12上にも保護膜が設けられていたが、接着剤30による接続を行う直前に除去されている。
ただし、FPC10を共通の基材として、FPC10に接着剤接続構造Cと、半田接続構造Dとを形成してもよい。その場合には、図7に示す母基板20をFPC10と置き換え、接着剤接続用電極12上に有機膜15を形成することになる。処理の手順は、上述の通りである。
なお、FPCには,片面回路型構造だけでなく両面回路型構造もある。両面回路型構造の場合には、半田リフロー炉に2回入れることになる。
通常、半田接続と接着剤接続とを同じ基板上で行う場合、半田接続用電極26と接着剤接続用電極22の双方の上に有機膜25を形成してから、半田接続を行い、その後、接着剤による接続を行うことになる。先に、接着剤接続を行うと、その後、半田リフロー処理の際に、接着剤の締め付けが緩んで、接続不良をおこす確率が高くなるからである。
一方、半田リフロー工程を経た後に、接着剤接続構造Cを形成する場合には、半田リフロー炉を通さない場合と比較して、各電極12,22間の電気的に接続する接続抵抗が大きくなるおそれがある。これは、半田リフロー炉において加熱されることによって、有機膜25が硬質化する等、変質することで、導電性粒子36が、有機膜25を突き破りにくくなっていることによると考えられる。
本実施の形態の接続方法では、接着剤接続用電極22上には、有機膜を形成せずに、着脱自在な保護膜28を形成している。そして、図7(b)に示す工程では、接着材接続用電極22の表面を保護膜28によって覆って、酸化膜の形成を抑制しつつ半田リフロー工程を行い、半田リフロー処理の後、図7(c)に示す工程で、保護膜28を除去している。
その結果、図7(d)に示す工程の際に、接着剤30中の導電性粒子36が、有機膜を介することなく容易に接着剤接続用電極12,22に接触し、接着剤接続用電極12,22間を確実に導通させることができる。
よって、有機膜15,25が半田リフロー炉を通った後に、接着剤接続構造Cを形成しても、より確実に各電極12,22間の電気的な接続抵抗を小さく抑えることができる。
有機膜25の形成には、スプレー法、シャワー法、浸漬法等が用いられ、その後、水洗、乾燥させるのみにて形成される。そのため、金めっき層などの貴金属めっき層を形成する場合と比較して、酸化防止膜を形成する工程が簡素化される。また、金などの貴金属を用いる場合と比較して、材料コストも低減される。また、金めっき層を形成した場合と比較して、接着剤接続用電極12と被接続電極との間の接続強度(シェア強度)を向上させることができる。
なお、半田接続用電極26の上に、酸化防止膜として金めっき層などの貴金属めっき層を設けた場合にも、接着材接続用電極22を覆うOSP処理を行う必要がないことで、製造コストの削減効果が得られる。
図8(a)〜(d)では、基本的には例1における図7(a)〜(d)と同じ手順で処理を進める。そこで、例1と同じ処理については説明を省略し、異なる処理のみを説明する。
図8(a)に示す工程では、接着材接続用電極22の上には、保護膜も設けない。従って、図8(b)に示す半田リフロー工程で、接着材接続用電極22の上に、薄い酸化膜22aが形成されてしまう。
ただし、半田リフロー炉内の雰囲気をきわめて酸素濃度が低い(たとえば1%以下)非酸化性雰囲気に維持した場合には、酸化膜の厚みは無視しうる程度に薄くすることも可能である。
このように、酸化膜22aを除去する工程を実施すれば、上記例1のように半田リフロー処理後の保存期間を気にする必要はなくなる。
その結果、例1と同様に、図8(d)に示す工程の際に、接着剤30中の導電性粒子36が、有機膜を介することなく容易に接着剤接続用電極12,22に接触し、接着剤接続用電極12,22間を確実に導通させることができる。
(1)本実施形態の接着剤接続構造Cにおいては、母基板20の接着剤接続用電極22およびFPC10の接着剤接続用電極12のそれぞれの表面にOSP処理を施さず、金めっき等の貴金属めっき層も形成しないので、工程の簡素化、材料コストの低減により、製造コストの削減を図ることができる。
・上記実施形態においては、母基板20として硬質プリント基板(PWB)を使用しているが、他の構成であっても良い。たとえば、母基板20としてフレキシブルプリント配線板(FPC)を使用してもよい。
(実施例1)
(接着剤の作成)
導電性粒子として、長径Lの分布が1μmから10μm、短径Rの分布が0.1μmから0.4μmである直鎖状ニッケル微粒子を用いた。また、絶縁性の熱硬化性樹脂としては、2種類のビスフェノールA型の固形エポキシ樹脂〔(1)ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名エピコート1256、および(2)エピコート1004〕、ナフタレン型エポキシ樹脂〔(3)大日本インキ化学工業(株)製、商品名エピクロン4032D〕を使用した。また、熱可塑性であるポリビニルブチラール樹脂〔(4)積水化学工業(株)製、商品名エスレックBM−1〕を使用し、マイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、(5)マイクロカプセル型イミダゾール系硬化剤〔旭化成エポキシ(株)製、商品名ノバキュアHX3941〕を使用し、これら(1)〜(5)を重量比で(1)35/(2)20/(3)25/(4)10/(5)30の割合で配合した。
幅150μm、長さ4mm、高さ18μmの銅電極である接着剤接続用電極が150μm間隔で30個配列されたフレキシブルプリント配線板を用意した。接着剤接続用電極は、OSP処理による有機膜、または貴金属めっき層で被覆していない。
上記フレキシブルプリント配線板に、窒素をフローすることで酸素濃度を1%以下としたリフロー槽内において、ピーク温度を260℃とした半田リフロー処理を施した。その後、フレキシブルプリント配線板同士を、連続する30箇所の接続抵抗が測定可能なデイジーチェーンを形成するように対向させて配置するとともに、これらフレキシブルプリント配線板の間に作製した接着剤を挟み、190℃に加熱しながら、5MPaの圧力で15秒間加圧して接着させ、フレキシブルプリント配線板同士の接合体を得た。次いで、この接合体において、接着剤接続用電極、接着剤、および接着剤接続用電極を介して接続された連続する30箇所の抵抗値を四端子法により求め、求めた値を30で除することにより、接続された1箇所あたりの接続抵抗を求めた。そして、この評価を10回繰り返し、接続抵抗の平均値を求めた。そして、接続抵抗が50mΩ以下の場合を、導電性を確保したものとして判断した。
上記のように作成した接続体を、85℃,85%RH高温高湿槽中に500hr静置した後、上記と同様に、接続抵抗を測定した。そして、接続抵抗の上昇率が50%以下の場合を、接続信頼性が良好と判断した。
半田リフロー処理を施した後、異方導電性接着剤を用いた接合体を作製する前に、接着剤接続用電極を酢酸溶液で洗浄して酸化膜を除去したこと以外は実施例1と同様にしてフレキシブルプリント配線板同士の接合体を得た。その後、実施例1と同一条件で、接続抵抗評価及び接続信頼性評価を行った。
接着剤接続用電極に2−フェニル−4−メチル−5−ベンジルイミダゾールを含む酸化防止膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして、フレキシブルプリント配線板同士の接合体を得た。酸化防止膜の熱分解温度は、310℃、平均膜厚は0.60μm、厚さ0.1μm以下となる領域の面積率は4%であった。その後、上述の実施例1と同一条件で、接続抵抗評価及び接続信頼性評価を行った。
(比較例2)
リフロー槽内を大気雰囲気としたこと以外は実施例1と同様にしてフレキシブルプリント配線板同士の接合体を得た。その後、実施例1と同一条件で、接続抵抗評価及び接続信頼性評価を行った。
熱分解温度は、示差走査熱量測定(Differential Scanning
Calorimetry, DSC)を用いて測定した。10℃/minの速度で昇温した際の発熱開始温度を熱分解温度とする。
(膜厚測定)
酸化防止膜が形成された接着剤接続用電極の断面を観察する。0.2μm間隔で膜厚を測定し、平均膜厚0.1μm以下の領域の面積率を算出する。
表1に示すように、実施例1、2のいずれの場合においても、初期接続抵抗が50mΩ以下であり、接続抵抗は十分小さく良好である。また、実施例1、2では、抵抗上昇率が50%以下であるので、接続信頼性も良好であることがわかる。
一方、比較例1では、初期接続抵抗が50mΩ以上と高く、抵抗上昇率は∞(無限大)であった。比較例1では、半田リフロー処理の際には、接着剤接続用電極を酸化防止膜で覆っているので、接着剤接続用電極には酸化膜は形成されていない。しかし、半田リフロー処理の際に、酸化防止膜が硬質化していることで、導電性粒子が酸化防止膜を確実に突き破ることができず、そのために導電性粒子と接着剤接続用電極との接触が不安定になったと考えられる。
また、比較例2では、初期接続抵抗が比較例1よりもさらに高く、抵抗上昇率は∞(無限大)であった。比較例2では、半田リフロー処理の際に接着剤接続用電極を酸化防止膜で覆っておらず、かつ、酸化性雰囲気で半田リフロー処理を行なったことにより、接着剤接続用電極に酸化膜が形成されている。その結果、電極−導電性粒子間の接触抵抗が高くなったと考えられる。
さらに、実施例1、2を比較すると、初期接続抵抗,抵抗上昇率共に、ほぼ同等である。したがって、実施例1のごとく接着剤接続用電極に酸化膜が形成されないように非酸化性雰囲気で半田リフロー処理するだけでも、初期接続抵抗を低く、かつ、接続信頼性を高く維持しうることがわかる。
ただし、実施例1よりも実施例2の方が、初期接続抵抗,抵抗上昇率共に、わずかであるが優れている。よって、実施例2のごとく酸化膜を除去する工程を実施することにより、初期接続抵抗をより低く、かつ、接続信頼性をより高く維持しうることがわかる。
11 ベースフィルム
12 接着剤接続用電極(被接続導体)
13 カバーレイ
15 有機膜
20 母基板
21 リジッド基板
22 接着剤接続用電極
25 有機膜
26 半田接続用電極
30 接着剤
31 樹脂組成物
36 導電性粒子
40 電子部品
41 チップ
42 チップ側電極(被半田接続導体)
50 半田層
Claims (12)
- 接着剤接続用電極および半田接続用電極が設けられた基材を準備する工程(a)と、
前記基材上の半田接続用電極のみを、OSP処理による有機膜、または貴金属めっき膜で被覆する工程(b)と、
非酸化性雰囲気中で半田リフロー処理することにより、前記半田接続用電極を被半田接続導体に接合する工程(c)と、
前記工程(c)の後、熱硬化性樹脂を主成分とする接着剤を介して前記接着剤接続用電極と被接続導体とを互いに接着させることにより電気的に接続する工程(d)と、
を含む接続方法。 - 請求項1記載の接続方法において、
前記工程(b)の後、前記工程(c)の前に、前記接着剤接続用電極を覆う、着脱自在な保護膜を形成し、
前記工程(c)は、前記保護膜が残存する温度で行い、
前記工程(d)の前に、前記保護膜を除去する、接続方法。 - 請求項1記載の接続方法において、
前記工程(c)の後、前記工程(d)の前に、前記接着剤接続用電極の表面の酸化膜を除去する、接続方法。 - 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の接続方法において、
前記工程(c)は、酸素濃度が1%以下の非酸化性雰囲気で行われる、接続方法。 - 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の接続方法において、
前記工程(d)では、前記接着剤として、導電性粒子を含有した異方導電性接着剤を用いる、接続方法。 - 請求項5記載の接続方法において、
前記接着剤として、複数の金属粒子が鎖状に繋がった形状、または針形状を有する金属粉末からなる導電性粒子を含有したものを用いる、接続方法。 - 請求項6記載の接続方法において、
前記導電性粒子のアスペクト比が5以上である、接続方法。 - 請求項5〜7のうちいずれか1つに記載の接続方法において、
前記接着剤として、フィルム形状を有するものを用いる、接続方法。 - 請求項8記載の接続方法において、
前記接着剤として、前記導電性粒子の長径方向を、前記フィルム形状を有する接着剤の厚み方向に配向させたものを用いる、接続方法。 - 請求項1〜9のうちいずれか1つに記載の接続方法において、
前記工程(a)では、前記基材として、フレキシブルプリント配線板を準備する、接続方法。 - 請求項1〜10のうちいずれか1つに記載の接続方法を用いて形成された接続構造。
- 請求項1〜10のうちいずれか1つに記載の接続方法を用いて組み立てられた電子機器。
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