JP2010276318A - 防汚抗菌防黴性放熱フィンおよびその製造方法、並びにそれを用いたエアコン - Google Patents

防汚抗菌防黴性放熱フィンおよびその製造方法、並びにそれを用いたエアコン Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性が高く、安価に製造することができ、人体及び環境に対する安全性が高い透明な防汚抗菌防黴性放熱フィン及びその製造方法、並びにそれらを用いたエアコンを提供する。
【解決手段】防汚抗菌防黴性放熱フィンは、分子の一端にフッ化炭素基を有する第1の膜物質、及び分子の一端に配位結合基を有する第2の膜物質の混合被膜をフィンの表面に混合形成する工程Aと、抗菌防黴性の金属原子又は金属イオンと配位結合基との間で形成される配位結合を介して、金属原子又は金属イオンを混合被膜の表面に固定する工程Bとを有する方法により製造され、フィンの表面に化学結合した、フッ化炭素基を有する第1の膜物質、及び金属原子又は金属イオンと配位結合を形成する配位結合基を有する第2の膜物質が形成する混合被膜と、前記配位結合基との間に形成される配位結合を介して前記混合被膜の表面に固定された抗菌防黴性の金属原子又は金属イオンとを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、防汚抗菌防黴性放熱フィン及びその製造方法、並びにそれを用いたエアコンに係る。更に詳細には、耐久性が高く、安価に製造することができ、人体及び環境に対する安全性が高い防汚抗菌防黴性放熱フィン及びその製造方法、並びにそれらを用いたエアコンに関するものである。
近年の住環境の変化や高齢化の進展に伴う国民の衛生意識の向上を受けて、防菌防黴性のエアコンの需要が高まっている。住宅の気密性の向上に伴う結露やカビの発生、多発する病原性大腸菌、レジオネラ菌等による集団感染等の事情も、こうした傾向に拍車をかけている。
防菌防黴エアコンの開発に当り、細菌及びカビを防除する活性と共に、抗菌防黴成分の安全性及び毒性についても考慮する必要がある。こうした観点から、毒性や環境汚染のおそれが少なく活性の高い抗菌防黴剤として、天然物等の抗菌防黴活性を有する有機化合物、又はAg(銀)、Cu(銅)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)等の金属原子若しくはイオンが注目されている。
例えば、特許文献1には、フトモモ科ユウカリノキ植物枝葉、ショウガ科バンウコン植物根茎、シソ科マンシュウヒキオコシ植物地上部の全植物体、シソ科コガネヤナギ植物根茎、サルオガセ科ナガサルオガセ植物全植物体、ウルシ科ランシンボク植物樹皮及び/又は枝葉ならびにキク科タイキンギク植物全植物体の1種あるいは複数種の水抽出物と、塗料樹脂及び/又は塗付溶媒とを少なくとも含有する塗付用抗微生物性組成物が開示されている。
特許文献2には、少なくともコア層に積層される化粧層に、アパタイト系セラミックスに銀イオン等の抗菌性金属イオンを化学結合させた金属系無機抗菌剤が含有された化粧板が開示されている。
特許文献3には、NBR等の少なくとも一つの非シリコーンゴム成分を含み、更に少なくとも一つの銀系無機抗菌剤を含み、最低0.075μg/dmの表面利用可能銀量を示すゴム物品が開示されている。
特許文献4には、アンモニア水の中に、粒径0.01μm以下の銀超微粒子と粒径0.1μm以下のセラミック微粒子を混入して、セラミック微粒子表面に銀超微粒子を付着保持せしめた溶液Aと、水の中にイソプロピルアルコールと水溶性ウレタン樹脂を混和した溶液Bを混合せしめた後、直ちにこれを金型内に塗布した後、該金型内に溶融した温度摂氏380度以上のプラスチック成型材を射出し、該成型熱でプラスチック成型材とが接触した部分に銀超微粒子を含むセラミック微粒子をプラスチック成型品の表面に保持する抗菌薄膜層を合成形成することを特徴とする表面に抗菌作用を有するプラスチック成型品とその製造方法が開示されている。
特開2006−022075号公報 特開2008−100418号公報 特開2008−031485号公報 特開2005−007836号公報
しかしながら、特許文献1に記載の塗付用抗微生物性組成物等の有機薬剤を塗布した防菌防黴製品は、使用を重ねることで効果が徐々に薄れていくため、耐久性が低い。また、特許文献2に記載の化粧板、特許文献3に記載のゴム物品、及び特許文献4に記載のプラスチック成型品は、金属イオン系の抗菌防黴成分が基材の表面又は内部に結合固定されており、抗菌防黴効果がより長期間持続するが、製造段階での基材への練りこみや高温での加熱を必要とする。そのため、効率が悪く製造コストが高い、応用範囲が狭い等の問題を有している。
また、特許文献1〜4のいずれにおいても、抗菌防黴効果と防汚性を兼ね備えるための手段及び方法については何ら記載されていない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、最表面にのみ共有結合を介して高濃度に抗菌物質を固定できるため効率が高く、耐久性が高く、安価に製造することができ、人体及び環境に対する安全性が高い防汚抗菌防黴性放熱フィン及びその製造方法、並びにそれらを用いたエアコンを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、フィンの表面に化学結合した、フッ化炭素基を有する第1の膜物質及び金属原子又は金属イオンと配位結合を形成する配位結合基を有する第2の膜物質が形成する混合被膜と、前記配位結合基との間に形成される配位結合を介して前記混合被膜の表面に固定された抗菌防黴性の金属原子又は金属イオンとを含むことを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィンを提供することにより、上記課題を解決するものである。
なお、「抗菌防黴性の金属原子又は金属イオン」とは、細菌類及び真菌類(カビ)等の微生物の膜タンパク質及び酵素等の表面や活性中心等に存在するチオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等の極性基と結合して変性や失活を引き起こし、それらの機能を阻害することや、細胞内に到達して酵素を失活させること等により、これらの微生物の増殖又は生存を防止することのできるAg、Cu、Zn、Sn等の金属原子又はイオンをいう。
第2の膜物質の配位結合基に結合した抗菌防黴性の金属原子又は金属イオンにより、人体に悪影響を及ぼすおそれのある細菌類及び真菌類の繁殖を抑制できる。さらに、フッ化炭素基を有する第1の膜物質により防汚抗菌防黴性放熱フィンの表面エネルギーが低下するため、被膜の表面が清浄に保たれることに加え、細菌類及び真菌類の栄養源となる有機物の被膜の被膜表面への付着も抑制され、抗菌防黴効果をより高めることができる。
なお、ここで、第1の膜物質は、防汚性を高めるためのものであり、防汚性を必要としない場合には、必ずしも含まれている必要はない。
フィンの表面に化学結合した第1及び第2の膜物質が形成する混合被膜はnmオーダーの薄膜であるため、フィンの表面に形成しても、熱伝導を妨げることがなく、様々な熱機器に応用可能である。また、防汚抗菌防黴性の被膜は、フィンと共有結合しているため、耐久性に非常に優れている。さらに、成膜工程が非常に簡単であるため、防汚抗菌防黴性放熱フィンを、低コストで製造することができると共に、下地フィンの形状に依存しないで、且つ大面積のフィンの表面にも容易に作製することができる。
本発明の第1の態様において、前記第1及び第2の膜物質が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかと前記フィンの表面との間の反応により形成された結合を介して前記フィンの表面に固定されていてもよい。
アルコキシシリル基及びハロシリル基は、ヒドロキシル基等の活性水素基を有する、アルミニウムまたはその合金のフィンの表面との縮合反応により共有結合を形成することができる。また、チオール基及びスルフィド基も、金等の貴金属或いは遷移金属からなるフィンの表面にチオレート結合を形成することができる。
本発明の第2の態様は、分子の一端にフッ化炭素基を有する第1の膜物質及び分子の一端に金属原子又は金属イオンと配位結合を形成する配位結合基を有する第2の膜物質の混合被膜をフィンの表面に形成する工程Aと、抗菌防黴性の金属原子又は金属イオンと前記配位結合基との間で形成される配位結合を介して、該金属原子又は金属イオンを前記混合被膜の表面に固定する工程Bとを有することを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
フィンの表面に化学結合した第1及び第2の膜物質の混合被膜は、膜厚がnmオーダーの薄膜であるため、本態様に係る防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法(以下「本方法」ともいう)により得られる防汚抗菌防黴性放熱フィンは、ナノレベルの膜厚であるためフィンの熱伝導特性を損なわず、様々なフィンに応用可能である。 また、本方法により製造される防汚抗菌防黴性放熱フィンは、抗菌防黴性物質がフィンと共有結合乃至配位結合を介して固定されているため、イオン結合やファンデアー・ワールス結合に比べて格段に強く、耐久性に非常に優れている。さらに、成膜工程が非常に簡単であるため、本方法は、低コストで実施することができると共に、大面積のフィンの表面にも容易に防汚抗菌防黴性放熱フィンやそれを用いたエアコンを作製することができる。
さらにまた、本発明の第2の態様において、前記工程Aが、分子の一端にフィンの表面と結合を形成する第1の表面結合基を、他端にフッ化炭素基をそれぞれ有する第1の膜化合物、及び分子の一端にフィンの表面と結合を形成する第2の表面結合基(第1の表面結合基と同一であっても異なっていてもよい)を、他端に第1の反応性基をそれぞれ有する第3の膜化合物を該フィンの表面と反応させて、前記フィンの表面に化学結合した前記第1及び第3の膜物質の混合被膜を形成する工程Cと、前記第1の反応性基と結合を形成する第2の反応性基及び金属原子又は金属イオンと配位結合を形成する配位結合基をそれぞれ有する分子を、前記第1及び第2の反応性基の反応により形成される結合を介して前記第3の膜物質に結合させ、前記第1及び第2の膜物質の混合被膜に変換する工程Dとからなっていてもよい。このようにすることにより、表面結合基と配位結合基とをそれぞれ分子の両端に有する膜化合物よりも入手が容易で安価な原料を用いて防汚抗菌防黴性放熱フィンを製造することができると共に、表面結合基と配位結合基との反応による歩留りの低下等の弊害を回避することができる。
なお、ここで、抗菌防黴性のみが必要な場合には、フッ化炭素基を含む第1の膜物質は必ずしも含めておかなくても良い。
本発明の第2の態様において、前記表面結合基が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかであってもよい。
アルコキシシリル基及びハロシリル基は、ヒドロキシル基等の活性水素基を有する、金属、セラミックス、樹脂、繊維等からなる種々のフィンの表面との縮合反応により共有結合を形成することができる。また、チオール基及びスルフィド基は、金等の貴金属或いは遷移金属からなるフィンの表面に共有結合を形成することができる。
本発明の第1及び第2の態様において、前記金属原子又は金属イオンが、Ag、Cu、Zn、Sn原子及びこれらの金属のイオンのいずれかであることが好ましい。
これらの金属原子又は金属イオンは、高い抗菌防黴性を有すると共に、人体や環境に有害な影響を及ぼすことがないため、安全性の高い抗菌防黴剤として用いることができる。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係る防汚抗菌防黴性放熱フィンが表面に形成されていることを特徴とするエアコンを提供することにより上記課題を解決するものである。
本発明の第4の態様は、フィンの表面に化学結合した、フッ化炭素基を有する第1の膜物質及び金属原子又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基を有する第2の膜物質が形成する混合被膜と、前記結合基との間に形成される結合を介して前記混合被膜の表面に固定された抗菌防黴性の金属微粒子とを含むことを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィンを提供することにより、上記課題を解決するものである。
なお、ここで、金属微粒子は、ナノサイズの微粒子、好ましくは可視光の波長(400nm)以下、より好ましくは、200〜10nmが、下地の色調、光沢、風合い、さらにフィンの放熱特性を損なわないので、好都合である。また、チオレート結合を形成する結合基は、取り扱いやすいチオール基またはトリアジンチオール基がある。
さらにまた、「抗菌防黴性の金属原子または金属微粒子」とは、細菌類及び真菌類(カビ)等の微生物の膜タンパク質及び酵素等の表面や活性中心等に存在するチオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等の極性基と結合して変性や失活を引き起こし、それらの機能を阻害することや、細胞内に到達して酵素を失活させること等により、これらの微生物の増殖又は生存を防止することのできるAg、Cu、Zn、Sn等の金属原子又は微粒子をいう。
第2の膜物質の結合基に結合した抗菌防黴性の金属微粒子により、人体に悪影響を及ぼすおそれのある細菌類及び真菌類の繁殖を抑制できる。さらに、フッ化炭素基を有する第1の膜物質により防汚抗菌防黴性放熱フィンの表面エネルギーが低下するため、被膜の表面への汚れ付着が少なくなり、清浄に保たれることに加え、細菌類及び真菌類の栄養源となる有機物の被膜の被膜表面への付着も抑制され、抗菌防黴効果をより高めることができる。
また、この態様でも、最表面にのみ共有結合を介して高濃度に抗菌物質を固定できるため効率が高く、耐久性が高く、安価に製造することができ、人体及び環境に対する安全性が高い防汚抗菌防黴性放熱フィン及びその製造方法、並びにそれらを用いたエアコンを提供できる。
なお、ここで、抗菌防黴性のみが必要な場合には、フッ化炭素基を含む第1の膜物質は必ずしも含めておかなくても良い。
フィンの表面に化学結合した第1及び第2の膜物質が形成する混合被膜はnmオーダーの薄膜であるため、防汚抗菌防黴性放熱フィンは、フィンの熱伝導特性を損なわず、様々な放熱フィンに応用可能である。また、防汚抗菌防黴性放熱フィンは、フィンと共有結合しているため、耐久性に非常に優れている。さらに、成膜工程が非常に簡単であるため、防汚抗菌防黴性放熱フィンは、低コストで製造することができると共に、下地フィンの形状に依存しないで、且つ大面積のフィンの表面にも容易に形成することができる。
本発明の第4の態様において、前記第1及び第2の膜物質が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかと前記フィンの表面との間の反応により形成された結合を介して前記フィンの表面に固定されていてもよい。
アルコキシシリル基及びハロシリル基は、ヒドロキシル基等の活性水素基を有する、金属、セラミックス、樹脂、繊維等からなる種々のフィンの表面との縮合反応により共有結合を形成することができる。
また、チオール基及びスルフィド基は、Ag、Cu、Zn、Sn等の抗菌防黴性微粒子とチオレート結合を形成できる。
本発明の第5の態様は、分子の一端にフッ化炭素基を有する第1の膜物質及び分子の一端に金属原子又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基を有する第2の膜物質の混合被膜をフィンの表面に形成する工程Aと、抗菌防黴性の金属微粒子と前記結合基との間で形成される結合を介して、該金属微粒子を前記混合被膜の表面に固定する工程Bとを有することを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
フィンの表面に化学結合した第1及び第2の膜物質の混合被膜は、膜厚がnmオーダーの薄膜であるため、本態様に係る防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法(以下「本方法」ともいう)により得られる防汚抗菌防黴性放熱フィンは、フィンの熱伝導特性を損なわず、様々な放熱フィンに応用可能である。また、本方法により製造される防汚抗菌防黴性放熱フィンは、フィンと共有結合しているため、耐久性に非常に優れている。さらに、成膜工程が非常に簡単であるため、本方法は、低コストで実施することができると共に、大面積のフィンの表面にも容易に防汚抗菌防黴性放熱フィンを作製することができる。
また、本発明の第5の態様において、前記工程Aが、分子の一端にフィンの表面と結合を形成する第1の表面結合基を、他端にフッ化炭素基をそれぞれ有する第1の膜化合物、及び分子の一端にフィンの表面と結合を形成する第2の表面結合基(第1の表面結合基と同一であっても異なっていてもよい)を、他端に第1の反応性基をそれぞれ有する第3の膜化合物を該フィンの表面と反応させて、前記フィンの表面に化学結合した前記第1及び第3の膜物質の混合被膜を形成する工程Cと、前記第1の反応性基と結合を形成する第2の反応性基及び金属原子又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基をそれぞれ有する分子を、前記第1及び第2の反応性基の反応により形成される結合を介して前記第3の膜物質に結合させ、前記第1及び第2の膜物質の混合被膜に変換する工程Dとからなっていてもよい。このようにすることにより、表面結合基と結合基とをそれぞれ分子の両端に有する膜化合物よりも入手が容易で安価な原料を用いて防汚抗菌防黴性放熱フィンを製造することができると共に、表面結合基と結合基との反応による歩留りの低下等の弊害を回避することができる。
本発明の第5の態様において、前記表面結合基が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかであってもよい。
アルコキシシリル基及びハロシリル基は、ヒドロキシル基等の活性水素基を有する、金属、セラミックス、樹脂、繊維等からなる種々のフィンの表面との縮合反応により共有結合を形成することができる。また、チオール基及びスルフィド基は、軽金属からなるフィンの表面に共有結合を形成することができる。
本発明の第4及び第5の態様において、前記金属微粒子が、Ag、Cu、Zn、Snのいずれかであることが好ましい。
これらの金属微粒子は、高い抗菌防黴性を有すると共に、フィン表面に強固に結合されているため、人体や環境に有害な影響をほとんど及ぼすことがないため、安全性の高い抗菌防黴膜として用いることが可能である。
本発明の第6の態様は、本発明の第3の態様に係る防汚抗菌防黴性放熱フィンが表面に形成されていることを特徴とするエアコンを提供することにより上記課題を解決するものである。
本発明の第1〜第6の態様において、前記フィンが、建築物、自動車、船舶、航空機、列車のいずれかに使用されるエアコンに用いられても良い。
さらに、前記フィンが、アルミニウム、またはアルミニウム合金であり、表面が酸化されていると、さらに耐久性を向上できる。
本発明に係る防汚抗菌防黴性放熱フィン及び防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法によると、種々のフィンの表面に低コストで防汚抗菌防黴性被膜を効率良く形成でき、高い防汚性、抗菌防黴性、耐久性、人体及び環境に対する安全性を併せ持つ防汚抗菌防黴性放熱フィン及びその製造方法、さらに、それを用いたがエアコンを提供できる。
また、本発明に係る第1の防汚抗菌防黴性放熱フィンの表面には、抗菌防黴性を有する金属原子又はイオンが、共有結合あるいは配位結合を介して固定されているため、ほとんど放出されることがないが、たとえ放出されたとしても、配位結合基は失われずに残っているため、金属部微粒子又はイオンを再結合させることにより抗菌防黴性を何度でも回復することが可能であり、膜化合物の被膜が残存している限り半永久的に抗菌防黴性を発揮させることが可能である。
さらにまた、本発明に係る第2の防汚抗菌防黴性放熱フィンの表面には、抗菌防黴性を有する金属微微粒子が、チオレート結合を介して固定されているため、ほとんど放出されることがないが、たとえ放出されたとしても、チオール結合基は失われずに残っているため、金属部微粒子を再結合させることにより抗菌防黴性を何度でも回復することが可能であり、膜化合物の被膜が残存している限り半永久的に抗菌防黴性を発揮させることが可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る防汚抗菌防黴性放熱フィンの断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法において、エポキシ基を有する単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図である。 同防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法において、イミダゾリル基を有する単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図である。
本発明の第1の実施の形態に係る防汚抗菌防黴性放熱フィンの断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法において、フッ化炭素基とチオール基を有する混合単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図である。 同防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法において、Cu微粒子を固定する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図である。
(実施の形態1)
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、本明細書において、「膜化合物」及び「膜物質」という用語は、それぞれ、撥水撥油性の混合被膜を形成するための出発物質として使用される化合物、及び形成された撥水撥油性の混合被膜の構成成分を呼称するために使用される。
ここで、図1は、本発明の第1の実施の形態に係る抗菌物質を錯イオンとして固定した防汚抗菌防黴性放熱フィンの断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図、図2は、本発明の第2の実施形態に係る抗菌物質を錯イオンとして固定した防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法において、フッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図、図3は、同防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法において、フッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図である。
図1に示すように、防汚抗菌防黴性放熱フィン10は、フィンの表面に化学結合した、フッ化炭素基(図1においては、その一例としてペンタデカフルオロデシル基を図示している。図2、3においても同様。)及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜13(ペンタデカフルオロデシル基を有する第1の膜物質及びイミダゾリル基(配位結合基の一例)を有する第2の膜物質が形成する混合被膜の一例)と、前記配位結合基との間に形成される配位結合を介して前記混合被膜の表面に固定された銅イオン(抗菌防黴性の金属原子又は金属イオンの一例)とを含む。なお、図1では銅イオンに配位した2つのイミダゾリル基のみを図示しているが、実際には銅イオンに対し4つのイミダゾリル基が平面正方形状に配位している。
防汚抗菌防黴性放熱フィン10は、フッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜13をフィン11の表面に形成する工程Aと、銅イオンとイミダゾリル基との間で形成される配位結合を介して、フッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜13の表面に銅イオンを固定する工程Bとを有する防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法により製造することができる。
工程Aは、分子の一端にフィン11の表面と結合を形成する第1の表面結合基を、他端にフッ化炭素基をそれぞれ有するアルコキシシラン化合物(第1の膜化合物の一例)、及び分子の一端にフィン11の表面と結合を形成するアルコキシシリル基(第2の表面反応基の一例)を、他端にエポキシ基(第1の反応性基の一例)をそれぞれ有するアルコキシシラン化合物(第3の膜化合物の一例)をフィン11の表面と混合して反応させて、フィン11の表面に化学結合したフッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12(第1及び第3の膜物質の混合被膜の一例)を形成する工程C(図2)と、エポキシ基と結合を形成するアミノ基(第2の反応性基の一例)及び銅イオンと配意結合を形成するイミノ基(配位結合基の一例)をそれぞれ有する2−メチルイミダゾール(分子の一例)を、フッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12と反応させ、エポキシ基とアミノ基との反応により形成される結合を介して、エポキシ基を有する膜物質に2−メチルイミダゾールを結合させ、フッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12をフッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜13に変換する工程D(図3)とからなる。
用いることができるフィン11は、アルコキシシリル基と縮合反応し、共有結合を形成することができる活性水素基を表面に有する任意の材質のものを用いることができるが、放熱性の点でアルミニウム、またはアルミニウム合金が都合がよい。
なお、図2では活性水素基の一例としてヒドロキシル基を有する場合を図示しているが、アミノ基、チオール基(メルカプト基)、スルフィド基、カルボキシル基等であってもよい。
フッ化炭素基を含むアルコキシシラン化合物としては、下記の一般式(化1)で表されるアルコキシシラン化合物が挙げられる。
上式において、mは0〜20の整数を、nは0〜9の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。
また、Yは、(CH(kは1〜3の整数を表す)及び単結合のいずれかを表し、Zは、O(エーテル酸素)、COO、Si(CH、及び単結合のいずれかを表す。
工程Dにおいて用いることができるフッ化炭素基を含むアルコキシシラン化合物としては、下記(1)〜(12)に示す化合物が挙げられる。
(1) CFCHO(CH15Si(OCH
(2) CF(CHSi(CH(CH15Si(OCH
(3) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OCH
(4) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OCH
(5) CFCOO(CH15Si(OCH
(6) CF(CF(CHSi(OCH
(7) CFCHO(CH15Si(OC
(8) CF(CHSi(CH(CH15Si(OC
(9) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OC
(10) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OC
(11) CFCOO(CH15Si(OC
(12) CF(CF(CHSi(OC
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物としては、直鎖状アルキレン基の両末端に、エポキシ基(オキシラン環)を含む官能基及びアルコキシシリル基をそれぞれ有し、下記の一般式(化2)で表されるアルコキシシラン化合物が好ましい。
上式において、Eはエポキシ基を有する官能基を、jは3〜20の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。
工程Cにおいて用いることができるエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の一例としては、下記(21)〜(34)に示した化合物が挙げられる。
(21) (CHOCH)CHO(CHSi(OCH
(22) (CHOCH)CHO(CHSi(OCH
(23) (CHOCH)CHO(CH11Si(OCH
(24) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OCH
(25) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OCH
(26) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OCH
(27) (CHOCH)CHO(CHSi(OC
(28) (CHOCH)CHO(CHSi(OC
(29) (CHOCH)CHO(CH11Si(OC
(30) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OC
(31) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OC
(32) (CHCHOCH(CH)CH(CHSi(OC
(33) (CHOCH)(CH10Si(OCH
(34) (CHOCH)(CH10Si(OC
ここで、(CHOCH)CHO−基は、化3で表される官能基(グリシジルオキシ基)を表し、(CHCHOCH(CH)CH−基は、化4で表される官能基(3,4−エポキシシクロヘキシル基)を表し、(CHOCH)−基は、化5で表される官能基(エポキシ基、オキシラン基)を表す。
アルコキシシラン化合物を含む溶液をフィン11の表面に塗布し、室温の空気中で反応させると、アルコキシシリル基とフィン11の表面のヒドロキシル基とが縮合反応を起こし、図2及び下記の化6で示されるような構造を有するエポキシ基を有する単分子膜12が形成される。なお、酸素原子から延びた3本の単結合はフィン11の表面又は隣接するシラン化合物のケイ素(Si)原子と結合しており、そのうち少なくとも1本はフィン11の表面の酸素原子と結合している。
なお、式中Rは、フッ化炭素基CF(CF−Y−Z−(CH−(化1参照)及びエポキシ基を有する官能基を含む直鎖アルキレン基E−(CH−(化2参照)のいずれかを表す。
また、酸素原子から延びた3本の単結合はフィン11の表面又は隣接するシラン化合物のケイ素(Si)原子と結合しており、そのうち少なくとも1本はフィン11の表面の酸素原子と結合している。
フッ化炭素基を有するアルコキシシラン化合物及びエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の総濃度は、好ましくは0.5〜3質量%である。
フッ化炭素基を有するアルコキシシラン化合物及びエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物のモル比は特に制限されず、フィン11の種類及び用途、必要とされる防汚性と抗菌防黴性との兼ね合い、並びに用いられる膜化合物の種類等に応じて適宜選択することができる。
また、溶液は、アルコキシシリル基とフィン11の表面のヒドロキシル基との縮合反応を促進するための縮合触媒を含んでいてもよい。縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート等の金属塩が利用可能である。
縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキシシラン化合物の0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜1質量%である。
カルボン酸金属塩の具体例としては、酢酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄が挙げられる。
カルボン酸エステル金属塩の具体例としては、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩が挙げられる。
カルボン酸金属塩ポリマーの具体例としては、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマーが挙げられる。
カルボン酸金属塩キレートの具体例としては、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレートが挙げられる。
チタン酸エステルの具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネートが挙げられる。
チタン酸エステルキレートの具体例としては、ビス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネートが挙げられる。
アルコキシシリル基は、水分の存在下で分解するので、反応は相対湿度45%以下の空気中で行うことが好ましい。なお、縮合反応は、フィン11の表面に付着した油脂分や水分により阻害されるので、フィン11をよく洗浄して乾燥することにより、これらの不純物を予め除去しておくことが好ましい。
縮合触媒として上述の金属塩のいずれかを用いた場合、室温における縮合反応の完了までに要する時間は2時間程度である。
上述の金属塩の代わりに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は2以上の化合物を縮合触媒として用いた場合、反応時間を1/2〜2/3程度まで短縮できる。
あるいは、これらの化合物を助触媒として、上述の金属塩と混合(質量比1:9〜9:1の範囲で使用可能だが、1:1前後が好ましい)して用いると、反応時間をさらに短縮できる。
例えば、縮合触媒として、ジブチルスズジアセテートの代わりにケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3を用い、その他の条件は同一にして反応を行うと、反応時間を1時間程度にまで短縮できる。
さらに、縮合触媒として、ジャパンエポキシレジン社のH3とジブチルスズジアセテートとの混合物(混合比は1:1)を用い、その他の条件は同一にしてエポキシ基を有する単分子膜12の製造を行うと、反応時間を20分程度に短縮できる。
なお、ここで用いることができるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等が挙げられる。
また、用いることができる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マロン酸等が挙げられる。
溶液の調製には、有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、シリコーン系溶媒、及びこれらの混合溶媒を用いることができる。アルコキシシラン化合物の加水分解を防止するために、乾燥剤又は蒸留により使用する溶媒から水分を除去しておくことが好ましい。また、溶媒の沸点は50〜250℃であることが好ましい。
具体的に使用可能な溶媒としては、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
さらに、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれらの混合物を用いることもできる。
また、用いることができるフッ化炭素系溶媒としては、フロン系溶媒、フロリナート(米国3M社製)、アフルード(旭硝子株式会社製)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。 さらに、ジクロロメタン、クロロホルム等の有機塩素系溶媒を添加してもよい。
反応終了後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った過剰なアルコキシシラン化合物及び縮合触媒を除去すると、図2に模式的に示すように、フッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12がフィン11の表面に形成される。
洗浄溶媒としては、アルコキシシラン化合物を溶解できる任意の溶媒を用いることができるが、安価であり、溶解性が高く、風乾により容易に除去することのできるジクロロメタン、クロロホルム、N−メチルピロリドン等が好ましい。洗浄効率を高めるために、超音波処理等を併せて行ってもよい。
表面結合基として、上記の(1)〜(12)及び(21)〜(34)に示した化合物においてアルコキシシリル基の代わりにハロシリル基を有するハロシラン化合物を用いてもよい。この場合において、縮合触媒及び助触媒が不要であること、アルコール系溶媒が使用できないこと、アルコキシシラン化合物より加水分解を受けやすいので、乾燥溶媒を用い、乾燥空気中(相対湿度30%以下)で反応を行う点において、アルコキシシラン化合物の場合と相違するが、それ以外の反応条件(ハロシラン化合物の濃度、反応時間等)については、アルコキシシラン化合物の場合と同様である。
フッ化炭素基を有する膜化合物とエポキシ基を有する膜化合物の表面結合基は、互いに同一であってもよく、例えば、一方がアルコキシシリル基、他方がハロシリル基のように異なっていてもよい。この場合において、フィン11の表面官能基に対する両者の反応性が異なるため、溶液中の両者の混合比と、フッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12中の両者の存在比とが必ずしも同一とならないことに注意が必要である。したがって、溶液中の両者の混合比とフッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12中の両者の存在比との関係について事前に検討を行っておくことが好ましい。
工程Dでは、2−メチルイミダゾールを、フッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12と反応させ、エポキシ基と1−位のアミノ基との反応により形成される結合を介して2−メチルイミダゾールを結合させ、フッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜13を形成する。
2−メチルイミダゾールはエポキシ基と反応するアミノ基を1−位に有しており、下記の化7に示すような架橋反応により結合を形成する。
フッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12上のエポキシ基と2−メチルイミダゾールとの反応は、2−メチルイミダゾールを溶解した溶液にフッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12が固定されたフィン11を浸漬し、又はフッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12上に2−メチルイミダゾールを溶解した溶液を塗布することにより、2−メチルイミダゾールとフッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12とを接触させ、100℃程度に加熱することによって行うことができる。
溶液の調製には、2−メチルイミダゾールを溶解することができ、フィン11及びフッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜12を溶解したり膨潤させたりすることのない任意の溶媒を用いることができる。価格、室温での揮発性及び毒性等を考慮すると、好ましい溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、これらの溶媒と水との混合溶媒が挙げられる。2−メチルイミダゾールの濃度は、0.005mol/L〜0.1mol/Lであることが好ましい。
加熱温度及び時間は、フィンの種類、2−メチルイミダゾール溶液の濃度等に応じて適宜調節されるが、例えば、それぞれ、80〜100℃、及び30分〜24時間である。必要に応じて、より高温(例えば150℃)で数時間〜数十時間加熱してもよい。
反応終了後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った過剰な2−メチルイミダゾールを除去すると、図3に模式的に示すようにイミダゾリル基を有する混合単分子膜13が得られる。
洗浄溶媒としては、2−メチルイミダゾールを溶解できる任意の溶媒を用いることができるが、安価であり、溶解性が高く、風乾により容易に除去することのできるジクロロメタン、クロロホルム、N−メチルピロリドン等が好ましい。洗浄効率を高めるために、超音波処理等を併せて行ってもよい。
本実施の形態においては、第2の反応性基及び配意結合基を有する分子として2−メチルイミダゾールを用いたが、下記の化8で表される任意のイミダゾール誘導体を用いることができる。あるいは、イミダゾール−金属錯体を用いてもよい。さらに、イミダゾール誘導体以外にも、例えば、ピロリル基やチエニル基等の、金属原子又は金属イオンと錯体を形成することができる官能基と、エポキシ基に対する反応性を有する官能基とを有する任意の分子を用いることができる。
化8で表されるイミダゾール誘導体の具体例としては、下記(41)〜(48)に示すものが挙げられる。
(41) 2−メチルイミダゾール(R=Me、R=R=H)
(42) 2−ウンデシルイミダゾール(R=C1123、R=R=H)
(43) 2−ペンタデシルイミダゾール(R=C1531、R=R=H)
(44) 2−メチル−4−エチルイミダゾール(R=Me、R=Et、R=H)
(45) 2−フェニルイミダゾール(R=Ph、R=R=H)
(46) 2−フェニル−4−エチルイミダゾール(R=Ph、R=Et、R=H)
(47) 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(R=Ph、R=Me、R=CHOH)
(48) 2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール(R=Ph、R=R=CHOH)
なお、Me、Et、及びPhは、それぞれメチル基、エチル基、及びフェニル基を表す。
工程Bでは、銅イオンとイミダゾリル基との間で形成される配位結合を介して、フッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜13の表面に銅イオンを固定することにより、防汚抗菌防黴性放熱フィン10が得られる(図1参照)。
配位結合の形成は、銅塩を溶解した溶液にフッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜13が固定されたフィン11を浸漬し、又はフッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜13上に銅塩を溶解した溶液を塗布することにより、銅塩とフッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜13とを接触させることによって行うことができる。配位結合の形成は室温で行うことができ、反応に要する時間は数十分〜数時間程度である。
溶液の調製には、銅塩を溶解することができ、フィン11及びフッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜13を溶解したり膨潤させたりすることのない任意の溶媒を用いることができるが、水が最も好ましい。銅塩としては、溶媒に可溶の任意の塩を用いることができ、溶媒として水を用いる場合における銅塩の具体例としては、塩化銅(II)、臭化銅(II)、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)等が挙げられる。銅塩の濃度は、フィン11、用いられる塩の種類等に応じて適宜調節することができるが、例えば、0.01mol/L〜0.1mol/Lである。
溶液には、pHを調整するために、水酸化アルカリ等の塩基を適宜添加してもよい。
本実施形態では、抗菌防黴活性を有する金属原子又はイオンとして銅(II)イオンを用いたが、膜タンパク質及び酵素等の表面や活性中心等に存在するチオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等の極性基と結合して変性や失活を引き起こすことによりそれらの機能を阻害することや、細胞内に到達して酵素を失活させる任意の金属原子又はイオンを用いることができる。他に用いることができる金属原子又はイオンとしては、銀、亜鉛、錫の金属原子及びこれらのイオンが挙げられる。
本実施の形態においては、まず工程Cにおいてエポキシ基を有する単分子膜12を形成し、次いで工程Dにおいて2−メチルイミダゾールとの反応により配位結合基を導入したが、配位結合基、すなわち、金属原子又は金属イオンと錯体を形成できる官能基を有するアルコキシシラン化合物を用いて、フィン11の表面に直接配位結合基を有する膜化合物の混合被膜を形成させることもできる。この場合において、用いることができる膜化合物としては、直鎖状アルキレン基の一端にアミノ基を有し、下記の化学式(化9)で表されるアルコキシシラン化合物が挙げられる。
上式において、mは3〜20の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。なお、エポキシ基は、アルコキシシリル基との副反応を避けるために、保護基によって保護されていてもよい。保護基は加水分解等により容易に除去できるものが好ましく、具体例としては、ケトンとアミノ基との反応により生成するケチミン誘導体、t−ブトキシカルボニル(t−Boc)基、ベンジルオキシカルボニル(Z)基等のカルバメート誘導体、フタルイミド誘導体等が挙げられる。
また、アミノ基は、化7に示したような1級アミン以外に2級アミンでもよく、アミノ基の代わりにピロール基、イミダゾリル基等のイミノ基を有する官能基を含むアルコキシシラン化合物を用いることができる。
この場合において、用いることができるアミノ基を有するアルコキシシラン化合物の一例としては、下記(51)〜(58)に示した化合物が挙げられる。
(51) HN(CHSi(OCH
(52) HN(CHSi(OCH
(53) HN(CHSi(OCH
(54) HN(CHSi(OCH
(55) HN(CHSi(OC
(56) HN(CHSi(OC
(57) HN(CHSi(OC
(58) HN(CHSi(OC
縮合触媒のうち、スズ(Sn)塩を含む化合物は、アルコキシシラン誘導体に含まれるアミノ基と反応して沈殿を生成するため、縮合触媒として用いることができない。
したがって、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合には、カルボン酸スズ塩、カルボン酸エステルスズ塩、カルボン酸スズ塩ポリマー、カルボン酸スズ塩キレートを除き、上述のものと同様の化合物を単独で又は2種類以上を混合して縮合触媒として用いることができる。
用いることのできる助触媒の種類及びそれらの組み合わせ、溶媒の種類、アルコキシシラン化合物、縮合触媒、及び助触媒の濃度、反応条件ならびに反応時間についてはエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合と同様であるので、説明を省略する。
(実施の形態2)
ここで、図4は本発明の第1の実施の形態に係る表面に抗菌作用を示す金属(例えば、Cu)微粒子を固定した防汚抗菌防黴性放熱フィンの断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図、図5は本発明の第2の実施形態に係る防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法において、フッ化炭素基及びチオール基を有する混合単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図、図6は同防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法において、フッ化炭素基及びCu微粒子を有する単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図である。
図4に示すように、防汚抗菌防黴性放熱フィン20は、フィン21の表面に化学結合した、フッ化炭素基22(図1においては、その一例としてペンタデカフルオロデシル基を図示している。図5、6においても同様。)及びSを介してCu微粒子が固定された混合単分子膜23(ペンタデカフルオロデシル基を有する第1の膜物質及びチオレート結合を介してCu微粒子を固定した第2の膜物質が混合して形成された混合被膜の一例)よりなる。
ここで、防汚抗菌防黴性放熱フィン20は、図5に示す様に、防汚性のフッ化炭素基及びチオール基をそれぞれ有する物質を混合(例えば、分子組成で1:1)して形成された混合単分子膜22をフィン21の表面に形成する工程Aと、
図6に示す様に、前記チオール基と抗菌作用を示す金属(例えば、Cu)微粒子との間で形成されるチオレート結合を介して、混合単分子膜22の表面に抗菌作用を示すCu微粒子を固定する工程B
とを有する防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法により製造することができる。
より具体的には、工程Aは、分子の一端にフィン21の表面と結合を形成する表面結合基を、他端にフッ化炭素基をそれぞれ有するアルコキシシラン化合物(第1の膜化合物の一例)、及び分子の一端にフィン21の表面と結合を形成するアルコキシシリル基(表面反応基の一例)を、他端にチオール基(反応性基の一例)をそれぞれ有するアルコキシシラン化合物(第2の膜化合物の一例)をフィン21の表面と混合して反応させて、フィン21の表面に化学結合したフッ化炭素基及びチオール基を有する混合単分子膜22(第1及び第2の膜物質の混合被膜の一例)を形成する工程であり(図5)、工程Bは、前記チオール基を介して抗菌作用を示す金属(例えば、Cu)微粒子をチオレート結合で固定する工程B(図6)とからなる。
フィン21には、アルコキシシリル基と縮合反応し、共有結合を形成することができる活性水素基を表面に有する任意の材質のものを用いることができる。
フッ化炭素基を含むアルコキシシラン化合物としては、下記の一般式(化10)で表されるアルコキシシラン化合物が挙げられる。
上式において、mは0〜20の整数を、nは0〜9の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。
また、Yは、(CH(kは1〜3の整数を表す)及び単結合のいずれかを表し、Zは、O(エーテル酸素)、COO、Si(CH、及び単結合のいずれかを表す。
工程Dにおいて用いることができるフッ化炭素基を含むアルコキシシラン化合物としては、下記(61)〜(72)に示す化合物が挙げられる。
(61) CFCHO(CH15Si(OCH
(62) CF(CHSi(CH(CH15Si(OCH
(63) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OCH
(64) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OCH
(65) CFCOO(CH15Si(OCH
(66) CF(CF(CHSi(OCH
(67) CFCHO(CH15Si(OC
(68) CF(CHSi(CH(CH15Si(OC
(69) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OC
(70) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OC
(71) CFCOO(CH15Si(OC
(72) CF(CF(CHSi(OC
チオール基を有するアルコキシシラン化合物としては、直鎖状アルキレン基の両末端に、チオール基(オキシラン環)を含む官能基及びアルコキシシリル基をそれぞれ有し、下記の一般式(化11)で表されるアルコキシシラン化合物が好ましい。
上式において、Eはチオール基またはトリアジンチオール基を有する官能基を、jは3〜20の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。
工程Cにおいて用いることができるチオール基を有するアルコキシシラン化合物の一例としては、下記(81)〜(94)に示した化合物が挙げられる。
(81) HSCHO(CHSi(OCH
(82) HSCHO(CHSi(OCH
(83) HSCHO(CH11Si(OCH
(84) TrCH(CHSi(OCH
(85) TrCH(CHSi(OCH
(86) TrCH(CHSi(OCH
(87) HSCHO(CHSi(OC
(88) HSCHO(CHSi(OC
(89) HSCHO(CH11Si(OC
(80) TrCH(CHSi(OC
(91) TrCH(CHSi(OC
(92) TrCH(CHSi(OC
(93) HS(CH10Si(OCH
(54) HS(CH10Si(OC
ここで、Tr基は、化12で表される官能基(トリアジンチオール基)を表し、を表す。
前記2つのアルコキシシラン化合物を含む溶液をフィン21の表面に塗布し、室温の空気中で反応させると、アルコキシシリル基とフィン21の表面のヒドロキシル基とが縮合反応を起こし、図5及び下記の化13で示されるような構造を有するチオール基を有する単分子膜22が形成される。なお、酸素原子から延びた3本の単結合はフィン21の表面又は隣接するシラン化合物のケイ素(Si)原子と結合しており、そのうち少なくとも1本はフィン21の表面の酸素原子と結合している。
なお、式中Rは、フッ化炭素基CF(CF−Y−Z−(CH−(化1参照)及びチオール基を有する官能基を含む直鎖アルキレン基E−(CH−(化11参照)のいずれかを表す。
また、酸素原子から延びた3本の単結合はフィン21の表面又は隣接するシラン化合物のケイ素(Si)原子と結合しており、そのうち少なくとも1本はフィン21の表面の酸素原子と結合している。
フッ化炭素基を有するアルコキシシラン化合物及びチオール基を有するアルコキシシラン化合物の総濃度は、好ましくは0.5〜3質量%である。
フッ化炭素基を有するアルコキシシラン化合物及びチオール基を有するアルコキシシラン化合物のモル比は特に制限されず、フィン21の種類及び用途、必要とされる防汚性と抗菌防黴性との兼ね合い、並びに用いられる膜化合物の種類等に応じて適宜選択することができる。なお、フッ化炭素基を含む薬剤の添加量が0に近くなれば、当然防汚性はなくなる。
また、溶液は、アルコキシシリル基とフィン21の表面のヒドロキシル基との縮合反応を促進するための縮合触媒を含んでいてもよい。縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート等の金属塩が利用可能である。
縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキシシラン化合物の0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜1質量%である。
カルボン酸金属塩の具体例としては、酢酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄が挙げられる。
カルボン酸エステル金属塩の具体例としては、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩が挙げられる。
カルボン酸金属塩ポリマーの具体例としては、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマーが挙げられる。
カルボン酸金属塩キレートの具体例としては、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレートが挙げられる。
チタン酸エステルの具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネートが挙げられる。
チタン酸エステルキレートの具体例としては、ビス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネートが挙げられる。
アルコキシシリル基は、水分の存在下で分解するので、反応は相対湿度45%以下の空気中で行うことが好ましい。なお、縮合反応は、フィン21の表面に付着した油脂分や水分により阻害されるので、フィン21をよく洗浄して乾燥することにより、これらの不純物を予め除去しておくことが好ましい。
縮合触媒として上述の金属塩のいずれかを用いた場合、室温における縮合反応の完了までに要する時間は2時間程度である。
上述の金属塩の代わりに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は2以上の化合物を縮合触媒として用いた場合、反応時間を1/2〜2/3程度まで短縮できる。
あるいは、これらの化合物を助触媒として、上述の金属塩と混合(質量比1:9〜9:1の範囲で使用可能だが、1:1前後が好ましい)して用いると、反応時間をさらに短縮できる。
例えば、縮合触媒として、ジブチルスズジアセテートの代わりにケチミン化合物であるジャパンチオールレジン社のH3を用い、その他の条件は同一にして反応を行うと、反応時間を1時間程度にまで短縮できる。
さらに、縮合触媒として、ジャパンチオールレジン社のH3とジブチルスズジアセテートとの混合物(混合比は1:1)を用い、その他の条件は同一にしてチオール基を有する単分子膜12の製造を行うと、反応時間を20分程度に短縮できる。
なお、ここで用いることができるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等が挙げられる。
また、用いることができる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マロン酸等が挙げられる。
溶液の調製には、有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、シリコーン系溶媒、及びこれらの混合溶媒を用いることができる。アルコキシシラン化合物の加水分解を防止するために、乾燥剤又は蒸留により使用する溶媒から水分を除去しておくことが好ましい。また、溶媒の沸点は50〜250℃であることが好ましい。
具体的に使用可能な溶媒としては、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
さらに、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれらの混合物を用いることもできる。
また、用いることができるフッ化炭素系溶媒としては、フロン系溶媒、フロリナート(米国3M社製)、アフルード(旭硝子株式会社製)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、ジクロロメタン、クロロホルム等の有機塩素系溶媒を添加してもよい。
反応終了後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った過剰なアルコキシシラン化合物及び縮合触媒を除去すると、図5に模式的に示すように、フッ化炭素基及びチオール基を有する混合単分子膜22がフィン21の表面に形成される。
洗浄溶媒としては、アルコキシシラン化合物を溶解できる任意の溶媒を用いることができるが、安価であり、溶解性が高く、風乾により容易に除去することのできるジクロロメタン、クロロホルム、N−メチルピロリドン等が好ましい。洗浄効率を高めるために、超音波処理等を併せて行ってもよい。
フッ化炭素基を有する膜化合物とチオール基を有する膜化合物の表面結合基は、互いに同一である方が、反応速度を同じにでき、薬液組成と同じ組成の被膜を形成する上で都合がよい。
フッ化炭素基及びチオール基を有する混合単分子膜12上のチオール基と金属微粒子の反応は、有機溶媒(例えば、アルコール)に分散した金属微粒子を接触させ、加熱することによって行うことができる。
加熱温度及び時間は、金属(Ag、Cu、Zn、Snなど)の種類に応じて適宜調節されるが、例えば、それぞれ、室温〜70℃、及び30分〜24時間である。必要に応じて、より沸点が高い溶媒を用い高温(例えば150℃)で数時間〜数十時間加熱してもよい。
反応終了後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った微粒子を洗浄して除去すれば、Cu(金属)微粒子を有する単分子膜23が得られる。
洗浄溶媒としては、金属微粒子を分散させ得る任意の溶媒を用いることができる。また、洗浄効率を高めるために、超音波処理等を併せて行ってもよい。
本実施の形態においては、反応性基としてチオール基を有する物質を用いたが、トリアジンチオール基等、金属微粒子と反応して金属微粒子を固定できる官能基であれば任意の分子を用いることができる。
本実施形態では、抗菌防黴活性を有する金属微粒子としてCu微粒子を用いたが、他に用いることができる抗菌性の金属微粒子としては、銀、亜鉛、錫の微粒子が挙げられる。
なお、透明な防汚抗菌防黴性放熱フィンを形成したい場合には、単分子膜は、1ナノメートル程度であるので、下地の放熱特性を全く損なわない。微粒子の大きさは、好ましくは、500ミクロン〜10nmの粒径の金属微粒子が良い。
本発明に係る防汚抗菌防黴性放熱フィン20が表面に形成されたエアコンとしては、屋内用や乗り物用のエアコンが挙げられる。
本発明の特徴及び作用効果を確認するために行った実施例について以下に説明する。
実施例1:防汚抗菌防黴性放熱フィン1の作成
(1)フッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜の形成
フィンとして用いたアルミニウムフィンをクロロホルム、アセトン、及びエタノール中で順次超音波洗浄した。次いで、有機溶媒により洗浄を行なったアルミニウムフィンにエキシマ洗浄処理を行なった。このようにして洗浄したアルミニウムフィンを、ペンタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(化14)及び11,12−エポキシドデシルトリメトキシシラン(化15)(EDDS)のトルエン溶液(各0.01mol/L)に2時間浸漬した。その後、アルミニウムフィンを引き上げた後、トルエンですすぎ洗いし大気中で24時間放置した。
(2)フッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜の形成
上記(1)でフッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜を形成したアルミニウムフィンを、2−メチルイミダゾールのメタノール溶液(0.1mol/L)5mLを純水50mLで希釈することにより調製した溶液に浸漬して80℃で加熱しながら1時間放置した。基板を引き上げた後、加熱炉により150℃で24時間加熱した。炉から取り出した後、クロロホルム、アセトン、エタノール中で順次超音波洗浄を行なった。このようにして、エポキシ基と2−メチルイミダゾールのアミノ基とを反応させて、フッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜を形成した。
(3)防汚抗菌防黴性放熱フィン1の作成
上記(2)でフッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜を形成したアルミニウムフィンを、塩化銅(II)0.1mol/L水溶液10mL、純水50mL、及び水酸化ナトリウム0.1mol/L水溶液3mLを混合して調製した溶液に浸漬して室温で2時間放置した。基板を引き上げた後乾燥することにより、銅(II)イオンがイミダゾリル基に配位結合した防汚抗菌防黴性放熱フィン10を得た。
比較例:アルキル基を有する単分子膜の形成
膜化合物としてオクタデシルトリメトキシシランCH(CH17Si(OCHを用いた以外は実施例1(1)と同様の手順により、アルミニウムフィンの表面にアルキル基を有する単分子膜を形成した。
実施例2:防汚抗菌防黴性放熱フィン1の評価
(1)水滴接触角の測定
水滴接触角の評価は、自動接触角計CA−VP型(協和界面科学株式会社)により行った。水滴の滴下量は、3μLで固定し、各サンプルにつき5点測定しその平均値と標準偏差により評価した。エキシマレーザー洗浄処理後のアルミニウムフィン、エポキシ基を有する単分子膜を形成したアルミニウムフィン、イミダゾリル基を有する単分子膜を形成したアルミニウムフィン、イミダゾリル基を有する単分子膜に銅(II)イオン(Cu2+)を配位結合させ防汚抗菌防黴性放熱フィンを形成したアルミニウムフィンのそれぞれについて接触角を測定した。
表1に、エキシマレーザー洗浄処理後のアルミニウムフィン、エポキシ基を有する単分子膜を形成したアルミニウムフィン、イミダゾリル基を有する単分子膜を形成したアルミニウムフィン、イミダゾリル基を有する単分子膜にCu2+を配位させ防汚抗菌防黴性放熱フィンを形成したアルミニウムフィンの水滴接触角の測定結果を示す。
エキシマレーザー洗浄処理後のアルミニウムフィンは、4.1度と低い値を示した。これは有機物による汚れが除去され、ヒドロキシル基が表面に露出したことにより親水性が増大したためである。エポキシ基を有する単分子膜の形成後には、水滴接触角が増加した。これは、エポキシ基を有する単分子膜がアルミニウムフィン上に形成されたことによる疎水性の増大によるものである。さらに、イミダゾリル基を有する単分子膜の形成後には、さらに水滴接触角の増加が見られた。これは、より疎水性の高いイミダゾリル基が結合したためであると考えられる。Cu2+を配位結合させると、水滴接触角のわずかな減少が観測されたが、これは、Cu2+の配位により、防汚抗菌防黴性放熱フィンの表面の極性が増大したためと考えられる。
(2)赤外吸収スペクトルの測定
フッ化炭素基及びエポキシ基を有する単分子膜、フッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する単分子膜、及びアルキル基を有する単分子膜を形成したアルミニウムフィンの赤外吸収スペクトルの測定には、FT−IR Nicolet8700を使用した。測定する基板を、FT−IR装置のサンプル室に入れ、10L/minの流量で5時間窒素置換を行った。まず、単分子膜を形成していないアルミニウムフィンをリファレンスとして測定後、単分子膜を形成した基板を測定し、両者の差スペクトルを得た。また、分光計に付属している偏光板を0〜90度回転させた状態で測定することにより単分子膜の配向性を評価した。
2−メチルイミダゾールとエポキシ基末端単分子膜との反応の確認は、イミダゾール環上のメチル基の吸収ピークで確認した。また、偏向板の角度と吸収強度との関係より、単分子膜の基板上における配向を確認した。具体的には、偏光版の角度が0度での吸収スペクトルが強い吸収を示す時は、単分子膜を形成する分子が基板上で「寝て」いることを意味し、90度での吸収スペクトルが強いことを示す時は、分子が直立していることを意味する。
実施例1(1)において作製したフッ化炭素基及びエポキシ基を有する単分子膜、及び比較例において作製したアルキル基を有する単分子膜が形成されたアルミニウムフィンにおける、2925cm−1(CH逆対称伸縮振動の吸収ピーク)及び2850cm−1(対称伸縮振動の吸収ピーク)の吸光度の比は、前者が約1.0:2.0、後者が約1.0:1.7であった。これは、前者及び後者の単分子膜を形成する膜化合物におけるメチレン炭素数の比(それぞれ、10:21及び10:17)とほぼ等しく、前者において、エポキシ基とアルコキシシリル基との反応を起こすことなく、両者共に単分子膜を形成していることが確認された。
また、フッ化炭素基及びエポキシ基を有する単分子膜、並びにフッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する単分子膜がそれぞれ形成されたアルミニウムフィンの赤外吸収スペクトルを比較すると、後者において、2925cm−1及び2850cm−1の吸光度が前者に比べ共に増大し、2960cm−1(CH逆対称伸縮振動ピーク)に新たなピークが観測された。これは、2−メチルイミダゾール中のメチル基に起因するものであると考えられる。
このことから、エポキシ基末端単分子膜と2−メチルイミダゾールとの反応により、イミダゾリル基が単分子膜の表面に結合固定されていることが確認された。
(3)紫外−可視(UV−VIS)吸収スペクトルの測定
イミダゾリル基へのCu2+の配位を確認するために、紫外可視分光光度計(V−530)を用いて防汚抗菌防黴性放熱フィンを形成したアルミニウムフィンのUV−VISスペクトルの測定を行った。リファレンスとしてイミダゾリル基を有する単分子膜が形成された基板を用い、差スペクトルを得た。なお、単分子膜における微小な吸光度変化を測定するために、イミダゾリル基を有する単分子膜及び防汚抗菌防黴性放熱フィンがそれぞれ形成されたアルミニウムフィン4枚に割り、それらをジグに挟んで積層した状態で測定を行なった。
250nm〜260nmに、Cu2+と2−メチルイミダゾールとの錯体に由来する吸収ピークが観測され、イミダゾリル基を有する単分子膜とCu2+が錯体を形成していることが確認された。また、検量線法により、防汚抗菌防黴性放熱フィンに結合固定されたCu2+の濃度を求めたところ、0.8×10−6M/cmという値が得られた。
(4)抗菌試験
まず、使用する寒天培地(標準寒天培地、日水製薬株式会社)、及びシャーレをアルミホイルで包み、高温蒸気滅菌器(三洋電機メディカ MLS−3750)にて121℃で15分間滅菌を行なった。次に、寒天培地を作製したシャーレ上に大腸菌(NBRC3301 Escherichia coli)を殖菌し、インキュベータ(三洋電機メディカ MCO−17ALC)内にて、37℃で30分間培養を行なった。次に、大腸菌が繁殖した寒天培地上に、抗菌防黴処理群として防汚抗菌防黴性放熱フィンを形成したアルミニウムフィンと、対照群として未処理のアルミニウムフィンとをそれぞれ置いて、再びインキュベータ内で培養を行なった。培養は9日間行い、その期間中(培養開始から2日、8日、及び9日経過後)に抗菌防黴処理群及び対照群について、培地表面の大腸菌の生育状況を目視にて確認し、その経時変化より抗菌効果を測定した。目視確認は、アルミニウムフィンを取り除いた状態で行った。
抗菌防黴処理群及び対照群の両者について大腸菌の繁殖が確認できたが、対照群の方は寒天培地上で大腸菌がコロニーを形成しているのに対し、抗菌防黴処理群の方は寒天培地が全体的に白く濁った状態となっており、繁殖状態に違いが見られると共に、抗菌防黴処理群については、アルミニウムフィンが載っていた部分のみ透明であった。このことから、抗菌防黴処理群において、防汚抗菌防黴性放熱フィンと接触していた部分において大腸菌の増殖が抑制されていたこと、及びこのような抗菌防黴効果は、少なくとも9日間にわたり持続することが確認された。
実施例3:防汚抗菌防黴性放熱フィン2の作成
(1)フッ化炭素基及びチオール基を有する混合単分子膜の形成
フィンとして用いたAl合金フィンをクロロホルム、アセトン、及びエタノール中で順次超音波洗浄した。次いで、有機溶媒により洗浄を行なったAl合金フィンにエキシマ光を照射して光洗浄処理を行なった。このようにして洗浄したAl合金フィンを、ペンタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(化16)及びω−チオールデシルトリメトキシシラン(化17)(TDTS)(分子組成比1:1)のトルエン溶液(それぞれの濃度は、0.01mol/L)に2時間浸漬した。その後、Al合金フィンを引き上げた後、トルエンですすぎ洗いし大気中で24時間放置した。
(3)抗菌防黴性Cuナノ粒子の固定
前述のフッ化炭素基及びチオール基を混合した状態で含む混合単分子膜を形成したAL合金フィンを、サイズがおよそ10nm程度のCuナノ微粒子を1g/L程度で分散したエタノール溶液中に50℃で1時間程度浸漬して、チオール基とCuナノ粒子を反応固定した。
その後、基板を引き上げた後、水洗乾燥することにより、Cuナノ粒子がチオレート結合を介して単層状でAL合金フィン表面に結合した防汚抗菌防黴性放熱フィンを得た。
実施例4:防汚抗菌防黴性放熱フィン2の評価
(1)水滴接触角の測定
防汚性の目安となる水滴接触角の評価は、自動接触角計CA−VP型(協和界面科学株式会社)により行った。水滴の滴下量は、3μLで固定し、各サンプルにつき5点測定しその平均値と標準偏差により評価した。エキシマ光洗浄処理後のAL合金フィン、Cu微粒子を固定した単分子膜を形成したAL合金フィンのそれぞれについて接触角を測定した。
エキシマ光洗浄処理後のAL合金フィンは、4.1度と低い値を示した。これは有機物による汚れが除去され、ヒドロキシル基が表面に露出したことにより親水性が増大したためである。さらに、フッ化炭素基と金属微粒子を有する単分子膜の形成後には、防汚性の目安となる(すでに、水滴接触角が大きいほど、被膜の表面エネルギーが小さく、防汚効果が高いことが知られている。)水滴接触角は、99度であった。
これに対して、実施例1に置いて、ペンタデカフルオロデシルトリメトキシシランを除いた被膜では、防汚性の目安となる水滴接触角は、15度以下であった。これは、表面が酸化したCuの凸凹により、親水性が増大したためと考えられる。
すなわち、フッ化炭素基を含まない抗菌被膜では、防汚性は全くないことが確認された。
(2)抗菌試験
まず、使用する寒天培地(標準寒天培地、日水製薬株式会社)、及びシャーレをアルミホイルで包み、高温蒸気滅菌器(三洋電機メディカ MLS−3750)にて121℃で15分間滅菌を行なった。次に、寒天培地を作製したシャーレ上に大腸菌(NBRC3301 Escherichia coli)を殖菌し、インキュベータ(三洋電機メディカ MCO−17ALC)内にて、37℃で30分間培養を行なった。次に、大腸菌が繁殖した寒天培地上に、抗菌防黴処理群として防汚抗菌防黴性放熱フィンを形成したAL合金フィンと、対照群として未処理のAL合金フィンとをそれぞれ置いて、再びインキュベータ内で培養を行なった。培養は9日間行い、その期間中(培養開始から2日、8日、及び9日経過後)に抗菌防黴処理群及び対照群について、培地表面の大腸菌の生育状況を目視にて確認し、その経時変化より抗菌効果を測定した。目視確認は、AL合金フィンを取り除いた状態で行った。
抗菌防黴処理群及び対照群の両者について大腸菌の繁殖が確認できたが、対照群の方は寒天培地上で大腸菌がコロニーを形成しているのに対し、抗菌防黴処理群の方は寒天培地が全体的に白く濁った状態となっており、繁殖状態に違いが見られると共に、抗菌防黴処理群については、AL合金フィンが載っていた部分のみ透明であった。このことから、抗菌防黴処理群において、防汚抗菌防黴性放熱フィンと接触していた部分において大腸菌の増殖が抑制されていたこと、及びこのような抗菌防黴効果は、少なくとも14日間にわたり持続することが確認された。
なお、この試験後でも、水滴接触角は、全く変化がなかった。
10:防汚抗菌防黴性放熱フィン1
11:フィン
12:フッ化炭素基及びエポキシ基を有する混合単分子膜
13:フッ化炭素基及びイミダゾリル基を有する混合単分子膜
20:防汚抗菌防黴性放熱フィン2
21:フィン
22:フッ化炭素基及びチオール基を有する混合単分子膜
23:Cu微粒子をチオレート結合を介して固定した混合単分子膜

Claims (20)

  1. フィンの表面に化学結合した、フッ化炭素基を有する第1の膜物質、及び金属原子又は金属イオンと、配位結合を形成する配位結合基を有する第2の膜物質が形成する混合被膜と、前記配位結合基との間に形成される配位結合を介して前記混合被膜の表面に固定された抗菌防黴性の金属原子又は金属イオンを含むことを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィン。
  2. 前記第1及び第2の膜物質が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかと前記フィンの表面との間の反応により形成された結合を介して前記フィンの表面に固定されていることを特徴とする請求項1記載の防汚抗菌防黴性放熱フィン。
  3. 前記金属原子又は金属イオンが、Ag、Cu、Zn、Sn原子及びこれらの金属のイオンのいずれかであることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項記載の防汚抗菌防黴性放熱フィン。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンにおいて、第1の膜物質が除外されていることを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィン。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンを備えたエアコン。
  6. 分子の一端にフッ化炭素基を有する第1の膜物質、及び分子の一端に金属原子又は金属イオンと配位結合を形成する配位結合基を有する第2の膜物質の混合被膜をフィンの表面に形成する工程Aと、
    抗菌防黴性の金属原子又は金属イオンと前記配位結合基との間で形成される配位結合を介して、該金属原子又は金属イオンを前記混合被膜の表面に固定する工程Bとを有することを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法。
  7. 前記工程Aが、
    分子の一端にフィンの表面と結合を形成する第1の表面結合基を、他端にフッ化炭素基をそれぞれ有する第1の膜化合物、及び分子の一端にフィンの表面と結合を形成する第2の表面結合基を、他端に第1の反応性基をそれぞれ有する第3の膜化合物を該フィンの表面と混合して反応させて、前記フィンの表面に化学結合した前記第1及び第3の膜物質の混合被膜を形成する工程Cと、
    前記第1の反応性基と結合を形成する第2の反応性基及び金属原子又は金属イオンと配位結合を形成する配位結合基をそれぞれ有する分子を、前記第1及び第2の反応性基の反応により形成される結合を介して前記第3の膜物質に結合させ、前記第1及び第2の膜物質の混合被膜に変換する工程Dとからなることを特徴とする請求項6記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法。
  8. 前記表面結合基が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかであることを特徴とする請求項6及び7のいずれか1項記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法。
  9. 前記金属原子又は金属イオンが、Ag、Cu、Zn、Sn原子及びこれらの金属のイオンのいずれかであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法。
  10. 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法において、第1の膜物質を除外したことを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法。
  11. フィンの表面に化学結合した、フッ化炭素基を有する第1の膜物質、及び金属原子又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基を有する第2の膜物質が形成する混合被膜と、前記結合基との間に形成される結合を介して前記混合被膜の表面に固定された抗菌防黴性の金属微粒子とを含むことを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィン。
  12. 前記第1及び第2の膜物質が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかと前記フィンの表面との間の反応により形成された結合を介して前記フィンの表面に固定されていることを特徴とする請求項11記載の防汚抗菌防黴性放熱フィン。
  13. 前記金属微粒子が、Ag、Cu、Zn、Snであることを特徴とする請求項11及び12のいずれか1項記載の防汚抗菌防黴性放熱フィン。
  14. 請求項11乃至13のいずれか1項に記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンにおいて、第1の膜物質が除外されていることを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィン。
  15. 請求項11乃至14のいずれか1項に記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンを備えたエアコン。
  16. 分子の一端にフッ化炭素基を有する第1の膜物質、及び分子の一端に金属原子又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基を有する第2の膜物質の混合被膜をフィンの表面に形成する工程Aと、
    抗菌防黴性の金属微粒子と前記結合基との間で形成される結合を介して、該金属原子又は金属微粒子を前記混合被膜の表面に固定する工程Bとを有することを特徴とする防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法。
  17. 前記工程Aが、
    分子の一端にフィンの表面と結合を形成する第1の表面結合基を、他端にフッ化炭素基をそれぞれ有する第1の膜化合物、及び分子の一端にフィンの表面と結合を形成する第2の表面結合基を、他端に第1の反応性基をそれぞれ有する第3の膜化合物を該フィンの表面と混合して反応させて、前記フィンの表面に化学結合した前記第1及び第3の膜物質の混合被膜を形成する工程Cと、
    前記第1の反応性基と結合を形成する第2の反応性基及び金属原子又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基をそれぞれ有する分子を、前記第1及び第2の反応性基の反応により形成される結合を介して前記第3の膜物質に結合させ、前記第1及び第2の膜物質の混合被膜に変換する工程Dとからなることを特徴とする請求項16記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法。
  18. 前記表面結合基が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかであることを特徴とする請求項16及び17のいずれか1項記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法。
  19. 前記金属原子又は金属微粒子が、Ag、Cu、Zn、Snのいずれかであることを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンの製造方法。
  20. 前記フィンが、アルミニウム、またはアルミニウム合金であり、表面が酸化されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項記載の防汚抗菌防黴性放熱フィンおよびエアコン。
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