JP2010274472A - 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気記録媒体への加工時の搬送性に優れ、磁気記録媒体としたときにエラーが少なく優れた電磁変換特性を具備するフィルムの提供。
【解決手段】平均粒径が0.4〜0.7μm、0.2〜0.4μm、0.01〜0.18μmで、粒径分布の相対標準偏差が0.2以下、0.13以下、0.13以下である第1架橋高分子粒子、第2無機粒子、第3無機粒子を、それぞれ0.001〜0.1重量%、0.05〜0.4重量%および0.1〜1.0重量%含有し、かつ表面粗さRaが5〜20nmで表面粗さRzが300〜2000nmのポリエステルA層と、表面粗さRaが1〜10nmで表面粗さRzが30〜200nmであるポリエステルB層とからなり、ポリエステルA層とB層の露出面間の静摩擦係数が0.5以下である二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向積層ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、高密度磁気記録媒体のベースフィルムに適した二軸配向積層ポリエステルフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表される二軸配向ポリエステルフィルムは、その優れた物理的、化学的特性の故に広い用途に、特に磁気記録媒体のベースフィルムとして用いられている。
一般に、ポリエステルフィルムの滑り性改良には、(i)原料ポリマー中にその製造過程で触媒残渣による不活性粒子を析出させる方法や、(ii)不活性粒子を添加する方法等によってフィルム表面に微細凹凸を付与する方法が採用されている。フィルム中のこれら粒子は、その大きさが大きい程、かつまたその含有量が多い程、滑り性の改良が大きいのが一般的である。一方、電磁変換特性向上の点よりベースフィルムの表面はできるだけ平滑であることが求められている。ベースフィルムの表面が粗いと、磁気記録媒体に加工する場合、該フィルムの表面突起が磁性層塗布後も磁性層面に突き上げ、電磁変換特性を悪化させる。この場合、ベースフィルム中の粒子の大きさが大きい程また、その含有量が多い程、フィルム表面が粗くなり、電磁変換特性は悪化する。
この滑り性の改良と電磁変換特性の向上という相反する特性を両立させる手段として、特許文献1では、表面粗さが違う2層からなる積層フィルムとし、粗面層側に大粒径の有機粒子、中粒径の有機粒子、小粒径の有機または無機粒子を特定量含有させ、磁性層を塗布する層の表面は平滑にして電磁変換特性を改善し、反対層の表面は粗面化して滑り性を向上させることが提案されている。
しかしながら、近年の高密度磁気記録媒体のベースフィルムへの要求は厳しく、また磁気記録媒体に加工する際の搬送性と磁気記録媒体としたときの電磁変換特性だけでなく、エラーといわれる欠点の改良も望まれてきている。
国際公開第2000/71339号パンフレット
本発明の課題は、上記従来技術の有する問題を改良し、磁気記録媒体に加工する際の搬送性に優れ、しかも磁気記録媒体としたときにエラーが少なく、かつ優れた電磁変換特性を発現できる二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために、粗面層側に含有させる3種類の粒子について、さらに鋭意研究したところ、中粒子として無機粒子を用いるなど特定の組合せで優れた効果が得られることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、ポリエステルA層の上にポリエステルB層が積層された積層フィルムであって、
(A)ポリエステルA層は、(1)少なくとも3種の不活性粒子を下記重合割合:
平均粒径が0.4〜0.7μmの範囲にありかつ粒径分布の相対標準偏差が0.2以下である第1不活性架橋高分子粒子0.001〜0.1重量%
平均粒径が0.2〜0.4μmの範囲にありかつ粒径分布の相対標準偏差が0.13以下である第2不活性無機粒子0.05〜0.4重量%および
平均粒径が0.01〜0.18μmの範囲にありかつ粒径分布の相対標準偏差が0.13以下である第3不活性無機粒子0.1〜1.0重量%
で含有し、
(2)表面粗さRaが5〜20nmの範囲にありかつ表面粗さRzが300〜2000nmの範囲にあること、
(B)ポリエステルB層は、表面粗さRaが1〜10nmの範囲にありかつ表面粗さRzが30〜200nmの範囲にあること、そして
(C)ポリエステルA層の露出面とポリエステルB層の露出面間の静摩擦係数が0.5以下であることを同時に具備する二軸配向積層ポリエステルフィルムが提供される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、第1不活性架橋高分子微粒子が架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂および架橋アクリル樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなること、第2不活性無機微粒子が真球状シリカであること、ポリエステルB層が平均粒径0.05〜0.55μmの範囲にありかつ粒径分布の相対標準偏差が0.5以下である第4不活性粒子を0.005〜0.4重量%の範囲で含有すること、厚みが2〜10μmの範囲にあること、ポリエステルがエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルまたはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであることの少なくともいずれか一つを具備する二軸配向積層ポリエステルフィルムも提供される。
さらにまた、本発明によれば、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそのポリエステルB層上に積層された磁性層からなる磁気記録媒体、および磁性層が塗布型磁性層である磁気記録媒体も提供される。
本発明によれば、磁気記録媒体に加工する際の搬送性に優れ、しかも磁気記録媒体としたときにエラーが少なく、かつ優れた電磁変換特性を発現できる二軸配向積層ポリエステルフィルムが提供される。
<ポリエステル>
本発明において、ポリエステルA層およびポリエステルB層を構成するポリエステルは、実質的に線状で溶融成形によるフィルム形成性を有するものであれば特に制限はなく、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルが好ましい。
具体的な芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸を挙げることができる。また、具体的な脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールのごとき炭素数2〜10のポリメチレングリコールあるいは1,4−シクロヘキサンジメタノールのごとき脂環族ジオールを挙げることができる。
本発明における好ましいポリエステルとしては、アルキレンテレフタレートまたはアルキレン−2,6−ナフタレートを主たる繰返し単位とするものが好ましく、特に全ジカルボン酸成分の80モル%以上がテレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸で、全グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。これらポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレン−2,6−ナフタレートが共重合体である場合、共重合成分としては、例えばテレフタル酸(ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合)または2,6−ナフタレンジカルボン酸(ポリエチレンテレフタレートの場合)以外の上記芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸、セバチン酸のごとき脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸のごとき脂環族ジカルボン酸、エチレングリコール以外の上記グリコール、ハイドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのごとき芳香族ジオール、1,4−ジヒドロキシジメチルベンゼンのごとき芳香環を有する脂肪族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのごときポリオキシアルキレングリコール、ヒドロキシ安息香酸のごとき芳香族オキシ酸、ω−ヒドロキシカプロン酸のごとき脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン酸を挙げることができる。また、本発明におけるポリエステルは、実質的に線状である範囲の量、例えば全酸成分に対し2モル%以下の量で、3官能以上のポリカルボン酸またはポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエリスリトールを共重合てもよい。
本発明におけるポリエステルは、o−クロロフェノール中の溶液として35℃で測定して求めた固有粘度が0.4〜0.9dl/gの範囲にあることが、製膜性と得られたフィルムに十分な力学特性を具備させる観点から好ましく、さらに0.5〜0.7dl/g範囲にあること、特に0.55〜0.65の範囲にあることが好ましい。上記ポリエステルは、それ自体公知であり、かつそれ自体公知の方法で製造することができる。
<ポリエステルA層>
本発明におけるポリエステルA層は、前述のポリエステルからなり、後述の3種の不活性粒子(第1不活性架橋高分子粒子、第2不活性無機粒子、第3不活性無機粒子)を含有することが必要である。単成分の滑剤系では、粒径の大きなものを使用した場合、電磁変換特性の観点から添加量を少なくする必要があり、添加量を少なくした場合、フィルムの摩擦係数が高くなって、フィルムをロール状に巻いたときにブツが発生してうまく巻けない。また二成分の滑剤系は単成分より、良化方向にあるが、近年のフィルム製膜速度の高速化に伴い、巻取性が悪化し、やはり粒径と添加量の適性領域を取ることが難しい。以下、第1不活性架橋高分子粒子、第2不活性無機粒子、第3不活性無機粒子について、それぞれ詳述する。なお、これら第1不活性架橋高分子粒子、第2不活性無機粒子、第3不活性無機粒子を、以下、それぞれ滑剤IA、滑剤IIAおよび滑剤IIIAと称する。
まず、滑剤IAは、エラーなどの欠点を抑制するために、架橋高分子微粒子である。本発明における架橋高分子粒子としては、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂、架橋ポリエステル樹脂、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子が好ましい。これらは単独であるいは2種以上組合せて使用することができる。この中でも架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子または架橋アクリル樹脂粒子を用いると、本発明の効果が一層顕著となるので好ましい。また、滑剤IAの平均粒径(DIA)は、0.4〜0.7μm、好ましくは0.45〜0.65の範囲である。平均粒径(DIA)が上限を超えると、粒子が脱落しやすくなり、他方下限未満では、搬送性が不足する。また、滑剤IAの粒径分布の相対標準偏差は、0.2以下、好ましくは0.16以下である。相対標準偏差が上限を超えると、エラーの発生が増加する。なお、下限は特に制限されず、小さいほど好ましいが、通常0.05程度である。また、滑剤IAの含有量は、ポリエステルA層の重量を基準として、0.001〜0.1重量%、好ましくは0.005〜0.07重量%、特に好ましくは0.01〜0.05重量%の範囲である。含有量が下限未満では、十分なエアースクイズ性が得られず搬送性が劣り、他方上限を超えると、電磁変換特性が低下したり、エラーが発生したりする。
つぎに、滑剤IIAは、電磁変換特性を高度に維持するために、粒径分布の相対標準偏差が0.13以下である必要があることから不活性無機粒子である。このような相対標準偏差を具備しやすいことから、不活性無機粒子としては、シリカ粒子やジルコニア粒子が挙げられ、特に真球状のシリカ粒子が好ましい。また、滑剤IIAの平均粒径(DIIA)は、0.2〜0.4μm、好ましくは0.25〜0.35μm、さらに好ましくは0.28〜0.32μmの範囲である。平均粒径(DIIA)が下限未満では、エアースクイズ性が不足し、縦シワが発生してうまく巻けない。一方上限を超えると、超高密度磁気記録媒体用の電磁変換特性の観点から、添加量をあまり多くできず、フィルムの空気抜け性が悪くなり、シワが発生し、うまく巻けない。また、滑剤IIAの粒径分布の相対標準偏差は、前述のとおり、0.13以下、好ましくは0.12以下である。相対標準偏差が上限を超えると、電磁変換特性が損なわれやすい。なお、下限は特に制限されず、小さいほど好ましいが、通常0.05程度である。また、滑剤IIAの含有量は、ポリエステルA層の重量を基準として、0.05〜0.4重量%、好ましくは0.10〜0.35重量%、より好ましくは0.15〜0.3重量%の範囲である。この量が下限未満ではフィルムの摩擦係数が高く、ロール状に巻いた時、ブツが発生しうまく巻けない。一方、上限を超えると、満足し得る電磁変換特性が得られない。
最後に、滑剤IIIAは、電磁変換特性を高度に維持するために、粒径分布の相対標準偏差が0.13以下である必要があることから不活性無機粒子である。このような相対標準偏差を具備しやすいことから、不活性無機粒子としては、シリカ粒子やジルコニア粒子が挙げられ、特に真球状のシリカ粒子が好ましい。また、滑剤IIIAの平均粒径(DIIIA)は、0.01〜0.18μm、好ましくは0.03〜0.16μm、さらに好ましくは0.06〜0.14μmの範囲である。平均粒径(DIIIA)が下限未満では、フィルムの摩擦係数が高く、ロール状に巻いた時、ブツが発生しうまく巻けない。一方上限を超えると、満足し得る電磁変換特性が得られない。また、滑剤IIIAの粒径分布の相対標準偏差は、前述のとおり、0.13以下、好ましくは0.12以下である。相対標準偏差が上限を超えると、電磁変換特性が損なわれやすい。なお、下限は特に制限されず、小さいほど好ましいが、通常0.05程度である。また、滑剤IIIAの含有量は、ポリエステルA層の重量を基準として、0.1〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%、より好ましくは0.1〜0.3重量%の範囲である。この量が下限未満では満足しうる巻取性が得られず、また上限を超えると満足し得る電磁変換特性が得られなくなる。
なお、これら滑剤IA,滑剤IIAおよび滑剤IIIAは、非常に小さな粒径分布の相対標準偏差を有することから、粒径分布曲線において、上記平均粒径の範囲内にそれぞれ存在する明瞭に区別しうる3つの粒径ピークを示すことになり、明瞭に区別できる。また、滑剤IA,滑剤IIAおよび滑剤IIIAは、それぞれ単一の不活性粒子である必要はなく、それぞれの滑剤IA,滑剤IIAおよび滑剤IIIAでみたときの、上記粒径分布の相対標準偏差が満足するなら、種類または粒径の異なる2種以上の不活性粒子を併用したものであっても良い。
ところで、滑剤IAの平均粒径(DIA)は滑剤IIAの平均粒径(DIIA)との平均粒径の差(DIA−DIIA)は、0.1〜0.4μm、さらに0.15〜0.35μm、特に0.20〜0.30μmの範囲にあることが好ましい。その差(DIA−DIIA)が下限未満では、エアースクイズ性の改良が低くなりやすく、他方上限を超えると、平坦層面側への突起の突き上げ、また磁気テープ巻取時の磁性面側への転写が大きくなりやすく、電磁変換特性が低下しやすい。
また、滑剤IIIAの平均粒径(DIIIA)と滑剤IIAの平均粒径(DIIA)との平均粒径の差(DIIA−DIIIA)は、0.1〜0.3μm、さらに0.15〜0.25μm、特に0.18〜0.22μmの範囲にあることが好ましい。この差(DIIA−DIIIA)が下限未満では、表面が粗くなって電磁変換特性が損なわれやすく、他方上限より大きいと、エアースクイズ性の改良効果が小さく、搬送性が低下しやすい。
本発明におけるポリエステルA層は、そのポリエステルB層と接していない側の表面の表面粗さRaが5〜20nm、好ましくは8〜15nm、特に好ましくは9〜12nmである。表面粗さRaが上限より大きいと、平坦層面側への突起の突き上げ、また磁気テープ巻取時の磁性面側への転写が大きくなり、磁性面が粗れ、満足し得る電磁変換特性が得られなくなる。一方表面粗さRaが下限未満であると、フィルムの滑りが悪くなったり、あるいはエアースクイズ性が悪くなり、フィルムスリット時、ブツが発生したり、あるいは縦シワが発生し、満足し得る巻取性が得られない。
また、本発明におけるポリエステルA層は、そのポリエステルB層と接していない側の表面の10点平均粗さ(Rz)が300〜2000nm、好ましくは500〜1500nm、特に好ましくは600〜1000nmである。この10点平均粗さRzが上限より大きいと、平坦層面側への突起の突き上げ、また磁気テープ巻取時の磁性面側への転写が大きくなり、磁性面が粗れ、満足し得る電磁変換特性が得られなくなる。一方10点平均粗さRzが下限未満であると、フィルムの滑りが悪くなったり、あるいはエアースクイズ性が悪くなり、フィルムスリット時、ブツが発生したり、あるいは縦シワが発生し、満足し得る巻取性が得られない。
<ポリエステルB層>
本発明におけるポリエステルB層は、前述のポリエステルからなり、ポリエステルA層の上に積層されている。
まず、本発明におけるポリエステルB層は、そのポリエステルA層と接していない側の表面の表面粗さRaが2〜10nmの範囲にありかつ10点平均粗さRzが30〜200nmの範囲である。この表面粗さRaもしくは10点平均粗さRzが上限より大きいと、磁性面の表面が粗くなり、満足し得る電磁変換特性が得られなくなる。一方、表面粗さWRaが2nm未満、あるいはWRzが30nmより未満であると、表面が平坦になりすぎ、パスロールまたカレンダーでの滑りが悪くなり、シワが発生して磁性層を塗布工程やその後のカレンダー工程が不安定化する。好ましいRaは、3〜8nm、特に4〜7nmの範囲である。また好ましいRzは、50〜150nm、特に70〜100nmの範囲である。
このようなRaおよびRzをポリエステルB層に具備させるには、以下のように、第4不活性粒子を含有させることが好ましい。
まず、第4不活性粒子としては、平均粒径が0.05〜0.55μm、さらに0.1〜0.5μm、特に0.1〜0.3μmの範囲にあり、粒径分布の相対標準偏差は、0.5以下、さらに0.2以下、特に0.15にあるものが、上記表面特性を満足させつつ、電磁変換特性や搬送性、さらにエラーの点から好ましい。また、第4不活性粒子の含有量は、ポリエステルB層の重量を基準として、0.01〜0.4重量%、さらに0.02〜0.35重量%、特に0.05〜0.3重量%の範囲が好ましい。第4不活性粒子の平均粒径または含有量が下限未満では、ポリエステルB層のポリエステルA層と接していない表面が平坦になりすぎ、パスロールまたカレンダーでの滑りが悪くなり、シワが発生し、磁性層をうまく塗布できなくなったり、またうまくカレンダーをかけられなくなりやすい。一方、第4不活性粒子の平均粒径または含有量が上限を超えると、磁性面の表面が粗くなって電磁変換特性が低下することがある。
また、必要に応じて、第4不活性粒子よりも平均粒径が0.1〜0.3μm小さい、平均粒径が0.10〜0.15μmの範囲にある第5不活性粒子を、ポリエステルB層の重量を基準として0.01〜1.0重量%、0.02〜0.5重量%、さらに0.05〜0.15重量%の範囲で含有させることも好ましい。
上記第4および第5不活性粒子としては、前述の滑剤IA、滑剤IIAおよび滑剤IIIAなどで上げたものを好ましく例示できる。
<二軸配向積層ポリエステルフィルム>
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、前述のポリエステルA層とポリエステルB層の2層より構成される。2層を構成するポリエステルは同じものでも違ったものでもよいが、同じものが好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、2枚のフィルムを用意して、ポリエステルA層の表面とポリエステルB層の表面とを重ね合わせた状態で測定した、すなわちポリエステルA層の露出面とポリエステルB層の露出面間の静摩擦係数が0.5以下、好ましくは0.45以下、さらに好ましくは0.4以下である。この静摩擦係数が上限を超えると、ロール状にフィルムを巻いた時、ブツが入り、うまく巻けない。下限は特に制限されないが、フィルムロールから巻き出す際の蛇行などを抑える点から、0.2以上であることが好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、好ましくは全体の厚みが2〜10μmである。より好ましくは3〜7μm、さらに好ましくは4〜6μmである。この厚みが上限を超えると、テープ厚みが厚くなり、例えばカセットに入れるテープ長さが短くなり、十分な磁気記録容量が得られ難くなる。一方、下限未満ではフィルム厚みが薄いが故に、フィルム製膜時にフィルム破断が発生しやすくまたフィルムの巻取性が不良となりやすく、良好なフィルムロールが得られ難くなる。また平滑層の厚みが薄くなり、粗面側からの平滑面への表面性の影響が大きくなり、満足し得る平滑面の表面性も得られ難くなる。
また、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルA層の厚みが、二軸配向積層ポリエステルフィルムの厚みに対して、50〜90%、好ましくは55〜85%、さらに好ましくは60〜80%の範囲にあることが好ましい。ポリエステルA層はポリエステル層Bよりも表面粗さが大きいことから、ポリエステルB層に比べより大きな粒子を含有するか、より多く粒子を含有することになり、そのような粒子の脱落をポリエステルA層の厚みを下限以上にすることでより抑制しやすくなる。また、二軸配向積層ポリエステルフィルムを製膜する際に生じる、製品とならない部分を回収して用いようとする場合、ポリエステルA層の厚みを下限以上にすることで、回収されたポリマー(回収チップ)をポリエステルA層に用いることができ、フィルムコストを抑制することができる。なお、ポリエステルB層Bに回収チップを用いると、ポリエステルA層だけに粒径の大きな粒子を含有させることができなくなり、表面粗さの調整が難しくなったり、ポリエステルB層の平坦性が損なわれたりする。他方、ポリエステルA層の厚み割合が上限を越えると、ポリエステルB層の厚みが非常に薄くなり、ポリエステルA層の粒子の影響がフィルムB層に影響するようになり、表面が粗くなり、電磁変換特性が悪化しやすくなる。
なお、本発明におけるポリエステルA層およびポリエステルB層は、前述のとおり、それぞれ、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートからなることが好ましいが、特にフィルム全体の厚みが6μm未満になると、ヤング率をより高くしやすいことから、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、一方向(例えば縦方向)のヤング率が5GPa以上で、これと直交する方向(例えば横方向)のヤング率が4GPa以上で、これら直交する2方向のヤング率の和が10〜20GPaの範囲にあることが、磁気記録媒体にするときの取扱性や磁気記録媒体したときの寸法安定性を高度に維持できることから好ましい。なお、本発明では、二軸配向積層フィルムを製膜する際の、フィルムの進行方向をフィルムの製膜方向、縦方向または長手方向と称し、それと直交する方向を、フィルムの幅方向または横方向と称する。
<二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法>
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、例えば、ポリエステルA層用のポリマーと、反対面を形成するポリエステルB層用のポリマーとを用意し、これらを溶融状態で積層してダイからシート状に共押出する工程、得られたシート状物を冷却固化することで、積層未延伸ポリエステルフィルムとする工程、そして得られた積層未延伸ポリエステルフィルムを製膜方向と幅方向に延伸することで製造できる。溶融状態で押し出す工程での温度は、未溶融物がなく、過度にポリエステルの熱劣化が進まない温度であれば特に制限されず、例えば、ポリエステルの融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で行うことが好ましい。つぎに、冷却については、得られる積層未延伸ポリエステルフィルムの平坦性を維持しつつ、厚み斑も少なくするために、フィルム製膜方向に沿って回転するダイの下方に設置された冷却ドラムを用い、それにシート状物を密着させて冷却するのが好ましい。つづいて、延伸については、積層未延伸ポリエステルフィルムを、一軸方向(縦方向または横方向)に(ポリエステルのガラス転移温度(Tg)−10)℃〜(Tg+70)℃の温度で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直交する方向にTg〜(Tg+70)℃の温度で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸するのが好ましい。さらに必要に応じて縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。このように延伸したときの全延伸倍率は、面積延伸倍率(縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率)として9倍以上が好ましく、12〜35倍がさらに好ましく、15〜30倍が特に好ましい。さらにまた、二軸配向フィルムは、(Tg+70)〜(Tg−10)℃の温度で熱固定することができ、例えば180〜250℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。また、前述の延伸は逐次二軸延伸で説明したが、縦方向と横方向に同時に延伸する同時二軸延伸を用いても良い。
<磁気記録媒体>
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、高密度磁気記録媒体、特にディジタル記録型磁気記録媒体のベースフィルムとして好ましく用いられる。そこで、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを用いた磁気記録媒体について、さらに説明する。
本発明の磁気記録媒体は、上述の二軸配向積層ポリエステルフィルムのポリエステルB層側の表面に磁性層を形成することで製造できる。なお、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの表面には、磁性層などとの接着性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、それ自体公知の易接着機能を有する塗膜層などを形成しても良い。
本発明の磁気記録媒体における磁性層は、鉄、コバルト、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法によって強磁性金属薄膜層として形成したものでも、鉄または鉄を主成分とする針状微細磁性粉をポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等のバインダーに均一分散し、その塗液を塗布して形成した塗布型磁性層のいずれでも良いが、前述のとおり、磁性層の塗布工程およびカレンダー工程での取り扱い性に優れることから、特に塗布型磁性層であることが好ましい。
なお、磁性層が塗布型磁性層である場合、磁性層の厚みは1μm以下、さらに0.1〜1μmとなるように塗布するのが、特に短波長領域での出力、S/N、C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用メタル塗布型磁気記録媒体とする観点から好ましい。また、必要に応じて、塗布型磁性層の下地層として、微細な酸化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散し、塗設することも好ましい。
また、磁性層の表面には、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)等の保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、さらに他方の表面に、公知のバックコート層を設けてもよい。
このようにして得られる蒸着型磁気記録媒体あるいはメタル塗布型磁気記録媒体は、8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、W−VHS、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、ディジタルβカム、D2、D3、SX等のビデオテープ用途、あるいはデータ8ミリ、DDSIV、DLT、S−DLT、LTO等のデータ用途の磁気テープとして極めて有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明する。なお、本発明における種々の物性値および特性は、以下のごとく測定されたものである。
(1)粒子の平均粒径
(1−1)フィルム中の粒子の平均粒径
フィルム表面層のポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(例えばヤマト科学製、PR−503型)で除去し、粒子を露出させる。処理条件はポリエステルは灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSEM(走査型電子顕微鏡)にて1万倍程度の倍率で粒子を観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(例えば、ケンブリッジインストルメント製、QTM900)に結びつけ、観察箇所を変えて少なくとも5,000個の粒子の面積円相当径(Di)を求める。この結果から粒子の粒径分布曲線を作成し、各ピークの個数割合(各ピークの領域は分布曲線の谷部を境界として決める)を算出する。次いで、各ピークの領域にある粒子の粒径と個数の測定結果から数平均値を求め、これを粒子の平均粒径(DAV)とする。なお、粒子種の同定はSEM−XMA、ICPによる金属元素の定量分析などを使用して行うことができる。
(1−2)粒子の平均粒径の相対標準偏差
上記(1−1)で測定した各ピーク領域の各粒子の個数(n)と面積円相当径(Di)と平均粒径(DAV)とから、相対標準偏差を次式により求める。
Figure 2010274472
(2)粒子の含有量
(2−1)各層中の粒子の総含有量
積層二軸配向ポリエステルフィルムからポリエステルA層、ポリエステルB層を各々100g程度削り採ってサンプリングし、ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択して、サンプルを溶解した後、粒子をポリエステルから遠心分離し、サンプル重量に対する粒子の比率(重量%)をもって各層中の粒子総含有量とする。
(2−2)各層中の無機粒子の総含有量
積層ポリエステルフィルムの無機粒子が存在する場合は、ポリエステルA層、ポリエステルB層を各々削り採って100g程度サンプリングし、これを白金ルツボ中にて1,000℃程度の炉の中で3時間以上燃焼させ、次いでルツボ中の燃焼物をテレフタル酸(粉体)と混合し50グラムの錠型のプレートを作成する。このプレートを波長分散型蛍光X線を用いて各元素のカウント値をあらかじめ作成してある元素毎の検量線より換算し各層中の無機粒子の総含有量を決定する。蛍光X線を測定する際のX線管はCr管が好ましくRh管で測定してもよい。X線出力は4KWと設定し分光結晶は測定する元素毎に変更する。材質の異なる無機粒子が複数種類存在する場合は、この測定により各材質の無機粒子の含有量を決定する。
(2−3)各層中の各種粒子の含有量(無機粒子が存在しない場合)
層中に無機粒子が存在しない場合は、前記(1−1)により求めたピークを構成する各粒子の個数割合と平均粒径と粒子の密度から各ピーク領域に存在する粒子の重量割合を算出し、これと前記(2−1)で求めた各層中の粒子の総含有量とから、各ピーク領域に存在する粒子の含有量(重量%)を求める。
なお、代表的な微粒子の密度は下記のとおりである。
架橋シリコーン樹脂の密度 : 1.35g/cm
架橋ポリスチレン樹脂の密度: 1.05g/cm
架橋アクリル樹脂の密度 : 1.20g/cm
なお、樹脂の密度は(2−1)の方法でポリエステルから遠心分離した粒子をさらに分別し、例えば、ピクノメーターにより『微粒子ハンドブック:朝倉書店、1991年版、150頁』に記載の方法で測定することができる。
(2−4)各層中の各種粒子の含有量(無機粒子が存在する場合)
層中に無機粒子が存在する場合は、前記(2−1)で求めた各層中の粒子の総含有量と前記(2−2)で求めた各層中の無機粒子の総含有量とから層中の有機粒子と無機粒子の含有量をそれぞれ算出し、有機粒子の含有量は上記(2−3)の方法で、無機粒子の含有量は上記(2−2)の方法で、それぞれ含有量(重量%)を求める。
(3)フィルムおよび各ポリエステル層の厚み
(3−1)フィルムの厚み
ゴミが入らないようにフィルムを10枚重ね、打点式電子マイクロメータにて厚みを測定し、1枚当たりのフィルム厚みを計算する。
(3−2)各ポリエステル層の厚み
2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ3,000nm迄の範囲のフィルム中の粒子の内もっとも高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、表面から深さ3,000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。そして一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深い)を求め、これを表層厚さとする。そして、先ほどのフィルムの厚みと表層厚みとから、各層の厚みを算出する。
条件は次のとおりである。
(1)測定装置:2次イオン質量分析装置(SIMS)
(2)測定条件
1次イオン種 :O
1次イオン加速電圧:12KV
1次イオン電流:200nA
ラスター領域 :400μm□
分析領域 :ゲート30%
測定真空度 :0.8Pa(6.0×10−3Torr)
E−GUN :0.5KV−3.0A
なお、表層から深さ3000nm迄の範囲にもっとも多く含有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロファイルを測定し、表層厚さを求めてもよい。
(4)ヤング率
フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして、引張速度10mm/min、チャート速度500mm/minの条件でインストロンタイプの万能引張試験装置にて引っ張る。得られる荷重−伸び曲線の立上り部の接線よりヤング率を計算する。
(5)中心面平均粗さ(Ra)および10点平均粗さ(Rz)
非接触式三次元表面粗さ計(ZYGO社製:New View5022)を用いて測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトMetroProにより中心面平均粗さ(Ra、Rz)を求めた。
(6)磁気テープの作成
各実施例及び比較例得られた幅1000mm、長さ1000mの積層二軸配向ポリエステルフィルムのA層側表面に、下記組成のバックコート層塗料をダイコータ(加工時の張力:20MPa、温度:120℃、速度:200m/分)で、塗布し、乾燥させた後、フィルムのB層側表面に下記組成の非磁性塗料、磁性塗料をダイコータで同時に膜厚を変えて塗布し、磁気配向させて乾燥させる。さらに、小型テストカレンダ−装置(スチ−ルロール/ナイロンロール、5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダ−処理した後、70℃、48時間キュアリングする。上記テ−プを12.65mmにスリットし、カセットに組み込み磁気記録テープとした。なお、乾燥後のバックコート層、非磁性層および磁性層の厚みは、それぞれ0.5μm、1.2μmおよび0.1μmとなるように塗布量を調整した。
<非磁性塗料の組成>
・二酸化チタン微粒子 :100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 :10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン 製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン : 1重量部
・メチルエチルケトン :75重量部
・メチルイソブチルケトン :75重量部
・トルエン :75重量部
・カーボンブラック : 2重量部
・ラウリン酸 :1.5重量部
<磁性塗料の組成>
・鉄(長さ:0.3μm、針状比:10/1、1800エルステッド):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 :10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン 製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン : 1重量部
・メチルエチルケトン :75重量部
・メチルイソブチルケトン :75重量部
・トルエン :75重量部
・カーボンブラック : 2重量部
・ラウリン酸 :1.5重量部
<バックコート層塗料の組成:>
カーボンブラック :100重量部
熱可塑性ポリウレタン樹脂 :60重量部
イソシアネート化合物 :18重量部
(日本ポリウレタン工業社製コロネートL)
シリコーンオイル :0.5重量部
メチルエチルケトン :250重量部
トルエン :50重量部
(7)搬送性
上記(6)に基づいて磁気テープを作成する際に、磁性層塗布工程およびカレンダー工程でのフィルム平滑面と金属ロールとのすべり性不良によって発生したシワの有無を、幅1000mmで長さ1000mに渡って目視にて、下記の基準で判定した。
◎:シワの発生が全くなく、幅方向における塗布抜けなどで使用不可の部分が5%未満。
○:シワの発生はごく僅かだがあるが工程上問題なく、幅方向における塗布抜けなどで使用不可の部分が5%以上10%未満。
△:シワの発生が少しあり、幅方向における塗布抜けなどで使用不可の部分が10%以上20%未満。
×:シワの発生が強く、幅方向における塗布抜けなどで使用不可の部分が20%以上。
(8)電磁変換特性
電磁変換特性測定には、ヘッドを固定した1/2インチリニアシステムを用いた。記録は、電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.1μm)を用い、再生はMRヘッド(8μm)を用いた。ヘッド/テープの相対速度は10m/秒とし、記録波長0.2μmの信号を記録し、再生信号をスペクトラムアナライザーで周波数分析し、キャリア信号(波長0.2μm)の出力Cと、スペクトル全域の積分ノイズNの比をC/N比とし、実施例1を0dBとした相対値を求め、以下の基準で、評価した。
◎ : +1dB以上
○ : −1dB以上、+1dB未満
× : −1dB未満
(9)エラーレート
作製したカセットテープを、市販のIBM社製LTOドライブ3580−L11を用いて23℃50%RHの環境で記録・再生(記録波長0.55μm)することで評価する。エラーレートはドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)から次式にて算出する。次の基準で寸法安定性を評価する。
エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
○:エラーレートが1.0×10−6未満
△:エラーレートが1.0×10−6以上、1.0×10−4未満
×:エラーレートが1.0×10−4以上
(10)フィルムの静摩擦係数
ポリエステルA層側の表面とポリエステルB層側の表面とを重ね合せた2枚のフィルムの下側に固定したガラス板を置き、重ね合せたフィルムの下側(ガラス板と接しているフィルム)のフィルムを低速ロールにて引取り(約10cm/min)、上側のフィルムの一端(下側フィルムの引取り方向と逆端)に検出器を固定してフィルム/フィルム間のスタート時の引張力を検出する。なお、そのときに用いるスレッドは重さ1kg、下側面積100cmのものを使用する。
なお、静摩擦係数(μs)は次式より求めた。
μs=(スタート時の引張力kg)/(荷重1kg)
[実施例1]
滑剤IAとして、平均粒径0.5μm、相対標準偏差0.15の架橋シリコーン樹脂粒子を0.02重量%、滑剤IIAとして平均粒径0.3μm、相対標準偏差0.10の真球状シリカ粒子を0.10重量%、および滑剤IIIAとして平均粒径0.12μm、相対標準偏差0.10の真球状シリカ粒子を0.10重量%含有した、固有粘度が0.62のポリエステルA層用ポリエチレン―2,6―ナフタレートと、滑剤IBとして平均粒径0.12μm、相対標準偏差0.10の真球状シリカ粒子を0.10重量%含有した固有粘度が0.62のポリエステルB層用ポリエチレン―2,6―ナフタレートのペレットとを用意した。そして、それぞれペレットを170℃で6時間乾燥した後、2台の押出機ホッパーにそれぞれ供給し、溶融温度310℃で、A層:B層=2:1の厚み比率でダイから冷却ドラム上にシート状に共押出し、積層未延伸ポリエステルフィルムを得た。
このようにして得られた積層未延伸ポリエステルフィルムを、120℃に予熱し、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が140℃になるように加熱し、延伸倍率5.0倍で縦方向(製膜方向)の延伸を行った。続いて、145℃に加熱されたステンター内に供給し、横方向に5.0倍に延伸後、更に165℃に加熱されたステンター内に供給して再度横方向に1.3倍に延伸した後、210℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み5.0μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムのヤング率は縦方向6.2GPa、横方向8.9GPaであった。
得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2〜11および比較例1〜5]
含有させる滑剤IA、滑剤IIA、滑剤IIIA、滑剤IIIAおよび滑剤IBを、表1に占めス用に変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
Figure 2010274472
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、磁気記録媒体に加工する際の搬送性に優れ、しかも磁気記録媒体としたときにエラーが少なく、かつ優れた電磁変換特性を発現できることから、高密度磁気記録媒体、特にディジタル記録型磁気記録テープのベースフィルムとして好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. ポリエステルA層の上にポリエステルB層が積層された積層フィルムであって、
    (A)ポリエステルA層は
    (1)少なくとも3種の不活性粒子を下記重合割合:
    平均粒径が0.4〜0.7μmの範囲にありかつ粒径分布の相対標準偏差が0.2以下である第1不活性架橋高分子粒子0.001〜0.1重量%
    平均粒径が0.2〜0.4μmの範囲にありかつ粒径分布の相対標準偏差が0.13以下である第2不活性無機粒子0.05〜0.4重量%および
    平均粒径が0.01〜0.18μmの範囲にありかつ粒径分布の相対標準偏差が0.13以下である第3不活性無機粒子0.1〜1.0重量%
    で含有し、
    (2)表面粗さRaが5〜20nmの範囲にありかつ表面粗さRzが300〜2000nmの範囲にあり、
    (B)ポリエステルB層は、表面粗さRaが1〜10nmの範囲にあり、かつ表面粗さRzが30〜200nmの範囲にあり、そして
    (C)ポリエステルA層の露出面とポリエステルB層の露出面間の静摩擦係数が0.5以下であることを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. 第1不活性架橋高分子微粒子が架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂および架橋アクリル樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. 第2不活性無機微粒子が真球状シリカである請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  4. ポリエステルB層が平均粒径0.05〜0.55μmの範囲にありかつ粒径分布の相対標準偏差が0.5以下である第4不活性粒子を0.005〜0.4重量%の範囲で含有する請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. 厚みが2〜10μmの範囲にある請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. ポリエステルがエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルまたはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰返し単位とするポリエステルである請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそのポリエステルB層上に積層された磁性層からなる磁気記録媒体。
  8. 磁性層が塗布型磁性層である請求項7に記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012153099A (ja) * 2011-01-28 2012-08-16 Teijin Dupont Films Japan Ltd 積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた塗布型磁気記録テープ
JP2014093098A (ja) * 2012-10-31 2014-05-19 Kao Corp 磁気ディスク基板の製造方法
JP2015003408A (ja) * 2013-06-19 2015-01-08 帝人デュポンフィルム株式会社 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた塗布型磁気記録テープ

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