JP2010274268A - 溶接材料および溶接継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】高効率に高強度で、低温靭性に優れた溶接継手を得ることができる溶接材料の提供。
【解決手段】極低温の環境での大入熱溶接に用いられる溶接材料であって、質量%で、C:0.01〜0.10%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Cu:0.5〜5.5%、Mo:5.0〜25.0%、Nb:0.005〜1.0%、Al:1.2〜3.0%、W:1.0〜6.0%およびN:0.0015〜0.008%を含有し、残部Niおよび不純物からなり、下記(1)式および(2)式を満足することを特徴とする溶接材料。
108.5+621.9C+85.64Nb+136.7Al≧400・・・・(1)
234.6−671.9C−3.020Nb−35Al≧100・・・・(2)
但し、上記式中の各元素記号は、それぞれの含有量(質量%)を意味する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、極低温の環境で使用される鋼構造を製作する際に、使用する溶接材料と、その溶接材料を用いて施工された溶接継手に関するものである。より具体的には、極低温貯槽タンク分野に適用される鋼板を溶接接合するのに適した溶接材料およびその溶接材料を用いて施工された溶接継手に関する。
LPG、LNGなどは、貯槽タンクにおいて極低温に冷却された状態で貯蔵される。例えば、LNGは−165℃という低温で貯蔵される。従って、これらの貯蔵タンクに用いられる鋼材には安全性を確保するため、極低温における優れた破壊靱性が要求される。ここで、極低温とは、LPG、LNGなどの液体の温度域、すなわち、−60℃以下の温度域と定義する。
例えば、LNGタンクに使用される9%Ni鋼(以下、含有量についての「%」は「質量%」を意味する。)を接合する溶接金属には、経済的なタンクを建造すべく、高い強度も求められる。
このような要求を満たす溶接材料としては、例えば、高温割れ感受性が良好なNi基耐熱合金の溶接材料が開発されている(特許文献1、2など参照)。
例えば、特許文献3には、さらに高強度の溶接継手を得るために、Niをベースとし、Mo、Cu、CrおよびWを含有するサブマージアーク溶接用ワイヤに関する技術が開示されている。
特公昭49−27732号公報 特公昭51−29104号公報 特開昭62−234690号公報
特許文献3に開示された技術では、対象とする溶接の入熱が3.2kJ/mm以下と、比較的低入熱である。このような低入熱では、極めて多くのパス数での溶接を余儀なくされ、タンク建設コストの低減が困難となる。このため、大入熱での溶接に耐えうる溶接材料が求められる。
ここで、例えば、エレクトロガスアーク溶接で被接合部材を1パスで接合するためには4.0kJ/mm以上の入熱が想定される。従って、4.0kJ/mm以上の入熱に耐えうることを目標とする。
しかし、従来の溶接材料を用いて、入熱が4.0kJ/mm以上の大入熱溶接で溶接継手を製造すると、目標とする強度特性、即ち、引張強さ690MPa以上で、かつ降伏強さ400MPa以上を達成することができないのである。特に降伏強度が目標を満足できない場合が多かった。
一方、強度特性のみを向上させても、タンクとしての耐破壊特性が損なわれるのであれば、全く意味のないものとなる。オーステナイト系の溶接材料では脆性破壊の危険性を考慮する必要がないが、延性破壊に関する検討を行う必要がある。例えば、EN規格では溶接金属として必要な耐延性破壊特性を−196℃のシャルピー吸収エネルギーで評価し、その下限値を55Jと定めている。したがって、−196℃のシャルピー吸収エネルギーが平均値で55J以上であることを目標とする。
本発明は、入熱が4.0kJ/mm以上の大入熱溶接で溶接継手を製造した場合でも、690MPa以上の引張強さと400MPa以上の降伏強さを兼ね備え、さらに、−196℃におけるシャルピー吸収エネルギーが平均値で55J以上という優れた低温靭性を有する溶接継手およびそのような溶接継手を得るための溶接材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、4.0kJ/mm以上の入熱が付与される溶接を前提として、690MPa以上の引張強さと400MPa以上の降伏強さを兼ね備え、−196℃におけるシャルピー吸収エネルギーが平均値で55J以上という優れた低温靭性を有する溶接継手を製造するべく、研究を重ねた。本発明者らは、種々溶接材料の化学組成の最適化を図り、以下の知見を得た。
耐高温割れ感受性を向上させるためには、Ni−Mo系合金を基本とすべきである。強度を確保するためには、Cu、Al、NbおよびCを添加するが効果的である。特に、Cu、AlおよびNbは、再熱が付与されない大入熱溶接特有の溶接金属内でも、析出物を積極的に生成するので、強度向上に効果的である。また、Cは、金属原子と結びついて強化に効果的な析出物を生成する元素であるほか、固溶強化にも有効である。しかし、特に、Al、NbおよびCは、破壊靭性を損なうおそれがあるので、その含有量は過剰とならないようにする必要がある。従って、C、Cu、NbおよびAlを必須の添加元素として、各元素の含有量を厳密に規定すると共に、特に、C、NbおよびAlの含有量については、各元素の含有量のバランスを確保する必要がある。
本発明者らは、上記の知見に基づき、Ni−Mo系合金を基本として、C、Cu、AlおよびNbを必須添加元素とする化学組成とし、かつC、NbおよびAlの含有量のバランスを調整することで、大入熱の溶接であっても、高い強度と優れた低温靭性とを両立できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、下記の(A)〜(C)に示す溶接材料および下記の(D)に示す溶接継手を要旨とする。
(A)極低温の環境での大入熱溶接に用いられる溶接材料であって、質量%で、C:0.01〜0.10%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Cu:0.5〜5.5%、Mo:5.0〜25.0%、Nb:0.005〜1.0%、Al:1.2〜3.0%、W:1.0〜6.0%およびN:0.0015〜0.008%を含有し、残部Niおよび不純物からなり、下記(1)式および(2)式を満足する溶接材料。
108.5+621.9C+85.64Nb+136.7Al≧400・・・・(1)
234.6−671.9C−3.020Nb−35Al≧100・・・・(2)
但し、上記式中の各元素記号は、それぞれの含有量(質量%)を意味する。
(B)さらに、質量%で、Si:0.2%以下、Mn:7.0%以下、Cr:15.0%以下およびTi:4.0%以下から選択される1種以上を含有する上記(A)の溶接材料。
(C)さらに、質量%で、Fe:10.0%以下を含有することを特徴とする上記(A)または(B)に記載の溶接材料。
(D)極低温の環境で使用される高強度溶接継手であって、厚さ10〜100mmの鋼板からなる母材に、上記(A)〜(C)のいずれかの溶接材料を用いて、4.0kJ/mm以上の入熱量で、マグ溶接またはエレクトロガスアーク溶接を施したことを特徴とする溶接継手。
本発明の溶接材料を用いれば、4.0kJ/mm以上という大入熱の溶接により作製した溶接継手であっても、690MPa以上の引張強さと400MPa以上の降伏強さを兼ね備え、−196℃におけるシャルピー吸収エネルギーが平均値で55J以上という優れた低温靭性を有する。従って、本発明によれば、−60℃以下という極低温下で使用される溶接継手を、高効率に製造することができ、社会インフラコストの低減に寄与する。
実施例の結果を(1)式の左辺値と強度(引張強度および降伏強度)との関係について整理した図 実施例の結果を(2)式の左辺値と靭性との関係について整理した図
以下、溶接材料の化学組成の範囲およびその限定理由について詳細に説明する。
C:0.01〜0.10%、
Cは、溶接金属の強度を確保するのに有効な元素である。特に、その含有量が0.01%未満では、大入熱の溶接では、溶接金属に必要な強度を付与できない。一方、その含有量が0.10%を超えると、溶接金属の低温靭性の低下が顕著化する。従って、Cの含有量は0.01〜0.10%とした。Cの含有量の好ましい下限は0.02%である。また、Cの含有量の望ましい上限は0.08%である。
P:0.05%以下
Pは、不純物として溶接材料中に不可避的に存在する。0.05%を超えると、粒界に偏析して溶接金属の低温靭性を低下させるのみならず、大入熱の溶接時に高温割れを招く。従って、Pの含有量は0.05%以下とした。
S:0.008%以下
Sは、不純物として溶接材料中に不可避的に存在する。0.008%を超えると、中心偏析を助長したり、MnSが多量に生成したりするため、大入熱の溶接によって形成された溶接金属の機械的性質が劣化する。従って、Sの含有量は0.008%以下とした。
Cu:0.5〜5.5%
Cuは、溶接金属の強度を確保するのに有効な元素であるので、特に、大入熱の溶接によって形成された溶接金属の強度を目標値以上にするためには、0.5%以上含有させる必要がある。一方、その含有量が5.5%を超えると、主として析出物の増大を通じて、溶接金属の低温靭性を劣化させる。従って、Cuの含有量は0.5〜5.5%とした。Cuの含有量の望ましい下限は0.8%である。また、Cuの含有量の望ましい上限は4.5%である。
Mo:5.0〜25.0%
Moは、溶接金属の強度を確保するのに有効な元素である。また、Ni系合金に適量のMoを含有させた合金は、高温割れ感受性が良好であるので、大入熱の溶接によって溶接継手を製造するために不可欠な元素である。大入熱の溶接によって形成した溶接金属の強度を目標の値とするには、5.0%以上含有させる必要がある。一方、25.0%を超えてMoを含有させると、溶接金属の低温靭性の劣化が顕著化する。従って、Moの含有量は5.0〜25.0%とした。Mo含有量の望ましい下限は6.0%である。また、Mo含有量の望ましい上限は23.0%である。
Nb:0.005〜1.0%
Nbは、溶接金属の強度を確保するのに有効な元素であり、特に、大入熱の溶接によって形成された溶接金属の強度を目標値以上にするためには、0.005%以上含有させる必要がある。一方、1.0%を超えて過剰に含有させたNbは、粗大な炭化物、窒化物を形成し、溶接金属の低温靭性を低下させる。従って、Nbの含有量は、0.005〜1.0%とした。Nb含有量の望ましい下限は0.01%である。また、Nb含有量の望ましい上限は0.8%である。
Al:1.2〜3.0%
Alは、溶接金属の強度を確保するのに有効な元素であり、特に、大入熱の溶接によって形成された溶接金属の強度を目標値以上にするためには、1.2%以上含有させる必要がある。しかしながら、その含有量が3.0%を超える場合、析出物が過多となり、溶接金属の低温靭性を顕著に損なう。従って、Alの含有量は1.2〜3.0%とした。Al含有量の望ましい下限は1.3%である。また、Al含有量の望ましい上限は2.9%である。
W:1.0〜6.0%
Wは、溶接金属の強度を確保するのに有効な元素であり、1.0%以上含有させる。一方、6.0%を超えると、析出物の増大を通じて、溶接金属の低温靱性劣化を招く。従って、Wの含有量は、1.0〜6.0%とした。W含有量の望ましい下限は1.2%である。また、W含有量の望ましい上限は5.5%である。
N:0.0015〜0.008%
Nは、析出物の生成を通して溶接金属の強度向上に有効であり、0.0015%以上含有させることが必要である。しかしながら、Nを過剰に含む場合には、耐延性破壊特性を顕著に損なう。従って、Nの含有量は、0.0015〜0.008%とした。N含有量の望ましい下限は0.0015%である。また、N含有量の望ましい上限は0.0075%である。
本発明の溶接材料の一つは、上記の化学組成を有し、残部はNiおよび不純物からなるものである。なお、不純物とは、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって不可避的に混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本発明の溶接材料は、大入熱の溶接によって形成される溶接金属の強度を更に上昇させることを目的として、さらに、質量%で、Si:0.2%以下、Mn:7.0%以下、Cr:15.0%以下およびTi:4.0%以下から選択される1種以上を含有することが好ましい。また、Fe:10.0%以下を含有しても良い。それぞれの元素の限定理由は、下記の通りである。
Si:0.2%以下
Siは、添加しなくても良いが、添加すれば、固溶強化により溶接金属の強度を上昇させるのに有効である。0.2%を超えて含有させると、溶接金属の低温靭性の劣化が顕著となる。したがって、Siを含有させる場合には、その含有量を0.2%以下とする。なお、上記の効果は、Siを0.02%以上含有させた場合に顕著となる。
Mn:7.0%以下
Mnは、添加しなくても良いが、添加すれば、溶接金属の強度の上昇に有効である。しかしながら、7.0%を超えて含有させると、溶接金属の低温靭性の劣化が顕著となる。したがって、Mnを含有させる場合には、その含有量を7.0%以下とする。なお、上記の効果は、Mnを0.2%以上含有させた場合に顕著となる。
Cr:15.0%以下
Crは、添加しなくても良いが、添加すれば、析出物を生成し溶接金属の強度上昇に効果的である。しかしながら、15.0%を超えて含有させると、他の成分条件を満足させたとしても、溶接金属の低温靭性の劣化および大入熱溶接時の高温割れ感受性を劣化させる。したがって、Crを含有させる場合には、その含有量を15.0%以下とする。なお、上記の効果は、Crを0.2%以上含有させた場合に顕著となる。
Ti:4.0%以下
Tiは、添加しなくても良いが、添加すれば、析出強化元素として溶接金属の強度上昇に寄与する。しかしながら、4.0%を超えて含有させると、溶接金属の低温靭性確保ができなくなる。したがって、Tiを含有させる場合には、その含有量を4.0%以下とする。なお、上記の効果は、Tiを0.01%以上含有させた場合に顕著となる。
Fe:10.0%以下
Feは、添加しなくても良い。Feは、高価なNiの一部に代替して用いることができる経済的な元素である。その含有量を多くすれば、安価な溶接材料が得られる。しかし、10%を超えて含有させると、溶接金属の強度を低下させ、高温割れ感受性の顕著な低下を招く。したがって、Feを含有させる場合には、その含有量を10.0%以下とする。Fe含有量の望ましい下限は5.0%であり、より望ましい下限は8.0%である。
本発明の鋼材は、上記の化学組成を有し、さらに、溶接金属の強度および低温靭性を確保するため、下記(1)式および(2)式を満足することが必要である。これらの関係式は、実施例に示す合金のみならず、本発明者らが過去に行った多数の実験に基づいて、経験的に知見した式である。
108.5+621.9C+85.64Nb+136.7Al≧400・・・・(1)
234.6−671.9C−3.020Nb−35Al≧100・・・・(2)
但し、上記式中の各元素記号は、それぞれの含有量(質量%)を意味する。
上記(1)式は、強度に関する指標であり、上記(2)式は、低温靭性に関する指標である。本発明においては、強度を確保するためにはC、Cu、NbおよびAlを必須の添加元素として含有するが、これらの元素のうち、C、NbおよびAlは、破壊靭性を損なうおそれがある。従って、これらの元素の含有量のバランスを一定範囲に収める必要がある。即ち、上記(1)式の左辺値が400未満では、大入熱溶接により形成される溶接金属を、690MPa以上の引張強さと400MPa以上の降伏強さを兼ね備えるものにすることができない。また、上記(2)式の左辺値が100未満では、大入熱溶接により形成される溶接金属を、−196℃におけるシャルピー吸収エネルギーが平均値で55J以上の優れた低温靭性を備えるものにすることができない。
(1)式右辺値は、420以上とするのが好ましい。また、(2)式右辺値は、110以上とするのが好ましい。
上記の溶接材料の製造方法には特に制約はない。通常のステンレス系溶接材料を製造する際に用いる方法を適用すればよい。例えば、フラックスを含有させてスラグ巻き込み防止やブローホール制御を図っても良い。また、製造過程では伸線を容易にするため、適宜熱処理による焼きなまし処理を適用できる。焼きなましの温度は何度でもよく、最も軟化が図れる温度を選択すればよい。
上記の溶接材料を用いて製造する溶接継手の母材には、特に制約はないが、例えば、LPG、LNGなどの貯槽タンクに用いられる、厚さ10〜100mmの鋼板からなる母材を用いることが好ましい。また、上記の溶接材料を用いて溶接継手を得る方法には、特に制約はないが、例えば、上記の厚さ10〜100mmの9%Ni鋼板からなる母材に、4.0kJ/mm以上の入熱量で、マグ溶接またはエレクトロガスアーク溶接を施すことにより行うのがよい。
ここで、母材は、質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.1%以下、Mn:0.4〜2%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Ni:7.5〜9.5%、Al:0.002〜0.05%およびN:0.0015〜0.004%を含有し、残部Feおよび不純物からなる鋼材であることが望ましい。また、任意添加元素として、Cu:2%以下、Cr:1%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下、Ca:0.004%以下、Mg:0.002%以下、REM:0.002%以下を含有していてもよい。
表1および表2に示す39種類の化学組成を有する鋼塊を熱間鍛造して得た直径80mmの丸棒を熱間で直径5.5mmまで伸線し、その後、冷間で直径1.6mmに伸線し、ソリッドワイヤを作製した。作製したソリッドワイヤを用いて表3および表4に示す条件にて溶接を実施した。
Figure 2010274268
Figure 2010274268
Figure 2010274268
Figure 2010274268
得られた各溶接継手について、まず、高温割れの有無を目視で確認した。引張試験片として、溶接金属の溶接長方向が長手方向となるように、JISZ2201(1998)に規定される10号試験片を採取した。また、衝撃試験片として、溶接金属の溶接長に直角な方向が長手方向となるように、JISZ2202(1998)に規定されるVノッチ試験片を採取した。上記の試験片を用いて、常温での引張試験と、−196℃におけるシャルピー衝撃試験を行い、引張強さTS(MPa)、降伏強さYS(MPa)および吸収エネルギーvE−196(J)を調べ、これらの結果を表5に示す。なお、「vE-198」は、3本の試験片における吸収エネルギーの平均値を示す。
Figure 2010274268
表5に示すように、化学組成が本発明で規定される範囲内にあるNo.1〜30では、高温割れが発生せず、しかも、強度、低温靭性共に良好であった。一方、ワイヤのC量が過剰で、しかも(2)式を満足しないNo.31(合金No.27)、(1)式を満足しないNo.32(合金No.28)、ワイヤのCu量が過剰なNo.33(合金No.29)、ワイヤのMo量が過剰なNo.34(合金No.30)、ワイヤのNb量が過剰で、しかも(2)式を満足しないNo.35(合金No.31)、ワイヤのAl量が過剰なNo.36(合金No.32)、ワイヤのN量が過剰なNo.37(合金No.33)では、YS、TSおよびvE−197の少なくとも一つの性能が目標値に達しなかった。
また、No.39(合金No.35)およびNo.40(合金No.36)は、本発明で規定される化学組成は満足するものの、(1)式を満足しない例である。この例では、強度(YSおよびTS)の目標に達しなかった。また、No.38(合金No.34)、No.41〜43(合金No.37〜39)は、いずれも本発明で規定される化学組成は満足するものの、(2)式を満足しない例である。これらの例では、vE−198の目標に達しなかった。
図1は、実施例の結果を(1)式の左辺値と強度(引張強度および降伏強度)との関係について整理した図であり、図2は、実施例の結果を(2)式の左辺値と靭性との関係について整理した図である。なお、これらの図の元となったデータは図1および2に示す各実験結果は前述した実施例の結果であり、式(1)および式(2)が強度・靭性に与える影響を明確にするために、実施例のうち、本発明で規定される化学組成を満足しないNo.31および33〜37については、プロットを省略した。
図1に示すように、(1)式の左辺値が400以上のとき、引張強さ690MPa以上で、かつ降伏強さ400MPa以上の強度を有する溶接金属を得ることができる。また、図2に示すように、(2)式の左辺値が100以上のとき、−196℃におけるシャルピー吸収エネルギーが55J以上の溶接金属を得ることができる。
本発明の溶接材料を用いて、4.0kJ/mm以上という大入熱の溶接により作製した溶接継ぎ手は、690MPa以上の引張強さと400MPa以上の降伏強さを兼ね備え、−196℃におけるシャルピー吸収エネルギーが平均値で55J以上という優れた低温靭性を有する。従って、本発明によれば、−60℃以下という極低温下で使用される溶接継手を、高効率に製造することができ、社会インフラコストの低減に寄与する。

Claims (4)

  1. 極低温の環境での大入熱溶接に用いられる溶接材料であって、質量%で、C:0.01〜0.10%、P:0.05%以下、S:0.008%以下、Cu:0.5〜5.5%、Mo:5.0〜25.0%、Nb:0.005〜1.0%、Al:1.2〜3.0%、W:1.0〜6.0%およびN:0.0015〜0.008%を含有し、残部Niおよび不純物からなり、下記(1)式および(2)式を満足することを特徴とする溶接材料。
    108.5+621.9C+85.64Nb+136.7Al≧400・・・・(1)
    234.6−671.9C−3.020Nb−35Al≧100・・・・(2)
    但し、上記式中の各元素記号は、それぞれの含有量(質量%)を意味する。
  2. さらに、質量%で、Si:0.2%以下、Mn:7.0%以下、Cr:15.0%以下およびTi:4.0%以下から選択される1種以上を含有するを特徴とする請求項1に記載の溶接材料。
  3. さらに、質量%で、Fe:10.0%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接材料。
  4. 極低温の環境で使用される高強度溶接継手であって、厚さ10〜100mmの鋼板からなる母材に、請求項1から3までのいずれかに記載の溶接材料を用いて、4.0kJ/mm以上の入熱量で、マグ溶接またはエレクトロガスアーク溶接を施したことを特徴とする溶接継手。
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