JP2010272529A - 超電導ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】ケーブルコアに他の部材を複合することなく熱収縮を吸収できる超電導ケーブルを提供する。
【解決手段】断熱管1内で複数のケーブルコア2が撚り合わされた超電導ケーブルである。超電導ケーブルは、冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みをもって各ケーブルコア2がコア間に介在物を介在させることなく断熱管1内で撚り合わされ、その状態でドラムに巻き取られてなる。ケーブルコア2の撚り合わせに弛みを形成することで、冷却時の熱収縮を吸収することができる。
【選択図】図1
【解決手段】断熱管1内で複数のケーブルコア2が撚り合わされた超電導ケーブルである。超電導ケーブルは、冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みをもって各ケーブルコア2がコア間に介在物を介在させることなく断熱管1内で撚り合わされ、その状態でドラムに巻き取られてなる。ケーブルコア2の撚り合わせに弛みを形成することで、冷却時の熱収縮を吸収することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は超電導ケーブルに関するものである。特に、冷却時のケーブルコアの収縮代を確保し易い超電導ケーブルに関するものである。
超電導ケーブルは、布設後に液体窒素などの冷媒をケーブル内に流して冷却される。その際、ケーブル最外層は常温で、ケーブルの内部は約−200℃となり、ケーブル内外の温度差は200℃以上となる。そのときにケーブル構成材料である金属は約0.3%収縮し、具体的にはケーブル100mごとに30cm程度の熱収縮を生じる。通常、ケーブルの両端部は中間接続部や終端接続部で固定されるため、撚り合わせたケーブルコアが収縮すると撚りが締まり、ケーブルは軸方向の応力と共に側圧を受け、機械応力に対して性能劣化の大きい超電導導体がダメージを受ける。そのため、この熱収縮を吸収する機構が必要となる。
従来、このような熱収縮に対応する技術として、特開平9-134620号に記載のものが知られている。これは、3心のケーブルコアの中心に熱収縮率の大きい介在物を挿入して撚り合わせ、介在物の熱収縮により3心ケーブルコアの撚り合わせ径を変化させて熱収縮を吸収するものである。
しかし、上記の技術ではケーブルコアの他に熱収縮率の大きい介在物を用いなければならず、部品点数が増える。
従って、本発明の主目的は、ケーブルコアに他の部材を複合することなく熱収縮を吸収できる超電導ケーブルを提供することにある。
本発明は上記の目的を達成するもので、断熱管内で複数のケーブルコアが撚り合わされた超電導ケーブルであって、冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みをもって各ケーブルコアがコア間に介在物を介在させることなく断熱管内で撚り合わされ、その状態でドラムに巻き取られてなることを特徴とする。
ここで、断熱管は、超電導ケーブルの布設やドラム巻きを考慮して、可撓性に優れるコルゲート管であることが好ましい。断熱管の材質としては従来のケーブルにおいて実績のあるアルミニウムやステンレスが好適である。
このように、ケーブルコアの撚り合わせをゆるくしておくことで、冷却時に熱収縮が起こっても撚りが締まることで熱収縮分を吸収することができる。
また、本発明の超電導ケーブルを製造する方法は、撚り合わされた複数のケーブルコアの外周を、内管および外管を具える断熱管で覆った超電導ケーブルの製造方法であって、上流工程から供給されるケーブルコアの外周に内管を形成する工程を具え、この内管形成工程またはそれより下流工程の進行速度をケーブルコアの供給速度以下として、ケーブルコアの撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを生じさせたことを特徴とする。
内管形成工程またはそれより下流工程の進行速度をケーブルコアの供給速度以下とすれば、ケーブルコアまたは内管に軸方向の圧縮力を作用させることができ、ケーブルコアの撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを生じさせることができる。
より具体的には、次の2つの構成A,Bが挙げられる。
A:内管の形成速度をケーブルコアの供給速度以下として、ケーブルコアの撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを生じさせる。
A:内管の形成速度をケーブルコアの供給速度以下として、ケーブルコアの撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを生じさせる。
構成Aの場合、内管はコルゲート管ではなく直管でもよい。
B:さらに、内管をコルゲート成形する工程を具え、コルゲート成形速度をケーブルコアの供給速度以下として、ケーブルコアの撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを生じさせる。
構成Bの場合、ケーブルコアの外周に内管を形成する工程は、次の2通りの手順からいずれかを選択できる。
構成Bの場合、ケーブルコアの外周に内管を形成する工程は、次の2通りの手順からいずれかを選択できる。
(1)複数のケーブルコアは、予め冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを具えておき、ケーブルコアの供給速度とコルゲート成形速度とを同じとする。
(2)複数のケーブルコアは、冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを持たない程度に撚り合わされ、コルゲート成形速度をケーブルコアの供給速度よりも遅くして、ケーブルコアの撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを生じさせる。
以上はコルゲート成形する際までに、ケーブルコアの撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを生じさせる構成であるが、コルゲート成形した後に、同様の超電導ケーブルを形成することもできる。
すなわち、上流工程から供給される前記ケーブルコアの外周に内管を形成する工程と、内管をコルゲート成形する工程とを具え、内管をコルゲート成形した後に、ケーブルコアを収納した内管を軸方向に圧縮して、ケーブルコアの撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを生じさせる。
この場合、内管を軸方向に圧縮する工程は、内管を把持して搬送する第一搬送部と、第一搬送部の下流で内管を把持して搬送する第二搬送部とを用い、第二搬送部の搬送速度を第一搬送部の搬送速度よりも遅くして行えばよい。
内管を軸方向に圧縮すると長さが短くなるため、これに伴って内部に収納されているケーブルコアには撚りに緩みを生じさせることができ、熱収縮分を吸収できる構成のケーブルが得られる。
また、下流にある第二搬送部の搬送速度を上流にある第一搬送部の搬送速度よりも遅くすれば、第一搬送部と第二搬送部との間で内管が軸方向に圧縮されることになるため、きわめて容易にケーブルコアの撚り合わせに緩みを生じさせることができる。
第一搬送部と第二搬送部との間隔は、あまり長くなると内管が屈曲してしまうため、できるだけ短い方が好ましい。第一搬送部の直後に第二搬送部を設けることが最適である。
なお、上記いずれの構成においても、ケーブルコアの外周に内管を形成する工程の具体例としては、ケーブルコアの外周を金属板で覆って、この金属板の継目を溶接して内管を形成したり、ケーブルコアの外周に内管を押出しにより形成することが挙げられる。
以上説明したように、本発明の超電導ケーブルによれば、ケーブルコアの撚り合わせに弛みを形成することで、ケーブルコアに他の部材を複合することなしに冷却時の熱収縮分を吸収することができる。
また、本発明の超電導ケーブルを製造する方法は、断熱管内におけるケーブルコアの撚り合わせに確実かつ容易に弛みを形成することができる。特に、内管の形成と共にケーブルコアの撚りに所定の弛みを形成することもでき、製造性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1)
まず、ケーブルコアを内蔵したコルゲート管を形成した後にケーブルコアの撚りに弛みを生じさせる本発明方法について説明する。図1は本発明に係る超電導ケーブルの断面図である。このケーブルは、断熱管1内に収納された3心のケーブルコア2を具える。断熱管1は、外管3と内管4との間にスーパーインシュレーション(図示せず)などの断熱材を配置し、両管3、4の間を真空引きして構成される。外管3と内管4とはいずれもコルゲート管とした。また、ケーブルコア2は中心から順に、フォーマ5、超電導導体6、絶縁層7、遮蔽層8を具えている。また、遮蔽層8の外側に保護層(図示せず)を設けても良い。フォーマ5の内部および内管4と各ケーブルコア2との間に形成される空間がそれぞれ冷媒流路となる。超電導導体6には、Y系、Bi系などの酸化物超電導体が好適である。絶縁層7の一例としては、冷媒が含浸された紙テープや紙テープとプラスチックテープの複合紙を巻回したものが挙げられる。そして、冷媒には、液体窒素や液体ヘリウム等が利用できる。
(実施例1)
まず、ケーブルコアを内蔵したコルゲート管を形成した後にケーブルコアの撚りに弛みを生じさせる本発明方法について説明する。図1は本発明に係る超電導ケーブルの断面図である。このケーブルは、断熱管1内に収納された3心のケーブルコア2を具える。断熱管1は、外管3と内管4との間にスーパーインシュレーション(図示せず)などの断熱材を配置し、両管3、4の間を真空引きして構成される。外管3と内管4とはいずれもコルゲート管とした。また、ケーブルコア2は中心から順に、フォーマ5、超電導導体6、絶縁層7、遮蔽層8を具えている。また、遮蔽層8の外側に保護層(図示せず)を設けても良い。フォーマ5の内部および内管4と各ケーブルコア2との間に形成される空間がそれぞれ冷媒流路となる。超電導導体6には、Y系、Bi系などの酸化物超電導体が好適である。絶縁層7の一例としては、冷媒が含浸された紙テープや紙テープとプラスチックテープの複合紙を巻回したものが挙げられる。そして、冷媒には、液体窒素や液体ヘリウム等が利用できる。
ここで、3心のケーブルコア2の撚り合わせに弛みを設け、この弛みにより熱収縮分を吸収できるように構成する。撚り合わせに弛みを設けるには、次に示す方法によりケーブルの製造を行う。
まず、上記3心のケーブルコア2を従来と同様に撚り合わせの緩みを考慮せずに撚り合わせ、これらの外周に断熱管の内管4をはめ込み、この状態のケーブルコア2と内管4との複合体をサプライに巻き取る。次に、図2に示すように、サプライ10から前記複合体11を引き出し、第一搬送部12および第二搬送部13を介して巻取りドラム14に巻き取られる。本例では、第一搬送部12の直後に第二搬送部13を配置した。
ここで、第一・第二搬送部12、13は、共に内管外周の凹凸に対応した把持部を具え、この把持部で内管4を把持して下流側へ搬送する。その際、下流に位置する第二搬送部13の搬送速度を上流に位置する第一搬送部12の搬送速度よりも遅くする。これにより、第二搬送部13の直前で内管4には軸方向に圧縮する力が作用する。そのため、図3に示すように、第一搬送部12の通過時にl1の長さがあった内管4(A図参照)は長さがl2に縮められる(B図参照)。ケーブルコア2と内管4の複合体11は、両端部がサプライ10と巻取りドラム14により実質上固定されているため、内管4の軸方向への圧縮に伴ってケーブルコア2の撚り合わせには緩みを生じさせることができる。
そして、この後で内管4の外周にスーパーインシュレーションの巻回および外管3の形成を行って超電導ケーブルを構成する。
(実施例2)
次に、内管をコルゲート成形する際にケーブルコアの撚りに弛みを設ける方法について説明する。図4はその方法の概略説明図である。
次に、内管をコルゲート成形する際にケーブルコアの撚りに弛みを設ける方法について説明する。図4はその方法の概略説明図である。
3心が撚り合わされたケーブルコア2の外周にはステンレス板20が被覆され、このステンレス板の継目を順次溶接機21で溶接しながら内管4が形成される。この段階では、内管4はコルゲート管ではなく直線パイプ状である。続いて、この内管4はコルゲーター22に導入され、波付け加工されてからドラム23に巻き取られる。ドラム23に巻き取られた内管入りケーブルコアは、実質的に端部が固定され、ケーブルコア2と内管4とが一体で挙動すると言える。
ここで、溶接速度Y1(直線パイプ状の内管の進行速度)またはコルゲート成形速度Z(コルゲート管の送り出し速度)をケーブルコア2の供給速度X以下とすることで、ケーブルコア2の撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みを生じさせることができる。より具体的な方法には、溶接機導入前のケーブルコア2の撚り状態により、次のバリエーションがある。
(1)ケーブルコア2の撚りが締まっており、冷却時の熱収縮分を吸収できない状態の場合
この場合、ケーブルコア2の供給速度X>溶接速度Y1またはケーブルコア2の供給速度X>コルゲート成形速度Zとすることで、ケーブルコア2の撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる程度の弛みを生じさせる。
この場合、ケーブルコア2の供給速度X>溶接速度Y1またはケーブルコア2の供給速度X>コルゲート成形速度Zとすることで、ケーブルコア2の撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる程度の弛みを生じさせる。
一般に、コルゲート管30の縦断面は、図5に示すように一定周期の波形である。このコルゲート管30の長手方向の沿面距離L1に対して、同直線距離L2は短く、コルゲート成形速度Z=溶接速度Y1×L2/L1と遅くなる。このコルゲート成形速度Zに対して、弛みに必要なコア長をコア1mに対してα(m)とすると、X=Y1×(1+α)とすれば、所定の弛みをケーブルコアの撚りに形成することができる。
なお、図4では溶接機21を通過した後にコルゲーター22に導入しているが、コルゲーター22を省略して、直接ドラム23に巻き取る構成でも良い。その場合は、直線パイプ状の内管4を有する超電導ケーブルを得ることができる。
(2)ケーブルコアの撚りに、予め冷却時の熱収縮分を吸収できる程度の弛みを生じさせておく場合
ケーブルコア2の撚りには、既に冷却時の熱収縮分を吸収できる笑いが設けられているため、ケーブルコア2の供給速度X=溶接速度Y1またはケーブルコア2の供給速度X=コルゲート成形速度Zとすることで、内管内に冷却時の熱収縮分を吸収できる程度の弛みを生じさせた超電導ケーブルを形成することができる。
ケーブルコア2の撚りには、既に冷却時の熱収縮分を吸収できる笑いが設けられているため、ケーブルコア2の供給速度X=溶接速度Y1またはケーブルコア2の供給速度X=コルゲート成形速度Zとすることで、内管内に冷却時の熱収縮分を吸収できる程度の弛みを生じさせた超電導ケーブルを形成することができる。
このように、本例の方法によれば、内管を形成すると共にケーブルコアの撚りに弛みを形成できるため、内管をコルゲート成形してからケーブルコアの撚りに弛みを設ける実施例1に比べて一層製造工程の簡略化を図ることができる。
(実施例3)
次に、押出しにより内管を形成する場合の方法について説明する。図6はその方法の概略説明図である。実施例2ではステンレス板20を筒状に成形して溶接機21で溶接したのに対し、本例ではその代わりに押出し機40を用い、アルミニウムの押出しにより内管4を形成した点が異なっている。それ以外の構成は実施例2と同様である。
次に、押出しにより内管を形成する場合の方法について説明する。図6はその方法の概略説明図である。実施例2ではステンレス板20を筒状に成形して溶接機21で溶接したのに対し、本例ではその代わりに押出し機40を用い、アルミニウムの押出しにより内管4を形成した点が異なっている。それ以外の構成は実施例2と同様である。
この場合でも、ケーブルコア2の供給速度X>押出し速度Y2またはケーブルコアの供給速度X>コルゲート成形速度Zとすることで、ケーブルコア2の撚りに冷却時の熱収縮分を吸収できる程度の弛みを生じさせることができる。
1 断熱管
2 ケーブルコア
3 外管
4 内管
5 フォーマ
6 超電導導体
7 絶縁層
8 遮蔽層
10 サプライ
11 複合体
12 第一搬送部
13 第二搬送部
14 巻取りドラム
20 ステンレス板
21 溶接機
22 コルゲーター
23 ドラム
30 コルゲート管
40 押出し機
2 ケーブルコア
3 外管
4 内管
5 フォーマ
6 超電導導体
7 絶縁層
8 遮蔽層
10 サプライ
11 複合体
12 第一搬送部
13 第二搬送部
14 巻取りドラム
20 ステンレス板
21 溶接機
22 コルゲーター
23 ドラム
30 コルゲート管
40 押出し機
Claims (4)
- 断熱管内で複数のケーブルコアが撚り合わされた超電導ケーブルであって、
冷却時の熱収縮分を吸収できる弛みをもって各ケーブルコアがコア間に介在物を介在させることなく前記断熱管内で撚り合わされ、その状態でドラムに巻き取られてなることを特徴とする超電導ケーブル。 - 断熱管がコルゲート管であることを特徴とする請求項1記載の超電導ケーブル。
- 断熱管がアルミニウムまたはステンレス製であることを特徴とする請求項1記載の超電導ケーブル。
- 前記各ケーブルコアは、酸化物超電導体の超電導導体を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導ケーブル。
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