JP2010272362A - 燃料電池の活性化方法および燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】活性化時の燃料消費量を少なくでき、しかも逆電位による長期的な劣化の問題が生じにくい燃料電池の活性化方法およびこれを利用した燃料電池システムを提供する。
【解決手段】高分子電解質型の燃料電池FCと、その燃料電池FCを発電可能な状態にする燃料供給手段25と、前記燃料電池FCの両極間に1秒以内の時間で大電流を生じさせる電流制御のサイクルを繰り返し行う制御手段13とを備える燃料電池システム。
【選択図】図3

Description

本発明は、高分子電解質型の燃料電池を通電により活性化する燃料電池の活性化方法およびこれを利用した燃料電池システムに関する。
従来の高分子電解質型燃料電池は、プロトン導伝性の高分子電解質薄膜と、正極および負極の電極、それぞれの電極から集電を行う集電体等により構成されている。電池反応に寄与する電極触媒層は、貴金属触媒を担持したカーボン粉末と電解質と同等の材料の混合物を構成材料としている。電極は、電極触媒層とガス拡散層とを接合して構成される。
一方、高分子電解質はフッ素樹脂を主鎖とし、スルホン基を側鎖としたものが一般的に使用されており、水分を含んだ状態でプロトン伝導性の電解質として機能する。そのため電池の作動状態では、電解質は常に水分を含んだ状態である必要があり、このため作動状態では、電池運転温度と同程度の温度の露点まで加湿した燃料や空気を電池に供給することが望ましい。
高分子電解質型燃料電池を組み立て直後に作動させる場合や、または長時間未使用のまま放置した電池を再作動させる場合、電池を所定の温度に保持し、供給ガスを所定の温度や加湿量に制御したものを供給しても、瞬時に高性能の電池出力を得ることは一般に困難である。この原因は、高分子電解質型燃料電池の電極拡散層や高分子電解質を水和させるのに長時間を要するためである。
そのため、従来は電池性能を早期に引き出すために、純酸素中でより高電流密度で発電したり、特許文献1のように、充分に大流量の供給ガスを供給した状態で、電池電圧を0.3V以下に維持するなどの活性化処理を行ってきた。しかし、このような手法によっても、本来の電池出力を引き出すには長時間を要するという問題があった。
そこで、特許文献2には、燃料電池が通常運転時に発生する最大電流よりも大きな電流を通電させるに十分な逆極性の電圧を印加して、燃料電池を活性化する方法が提案されている。
一方、特許文献3には、燃料電池の活性化処理の必要性や活性化処理の終点を判断し、活性化処理の開始や停止を自動制御する燃料電池システムが開示されている。この燃料電池システムで採用されている活性化処理は、負荷接続部を制御して高分子電解質膜の加湿による活性化を行うというものであり、通常の使用状態と大差のない電流に制御されている。
特開2003−317777号公報 特開2008−311064号公報 特開2008−41646号公報
しかしながら、特許文献2のように、大電流を通電させるべく燃料電池に逆電圧を印加する場合、短期的には特性が向上するものの、これが長時間に及ぶと、電極反応に寄与する材料、例えば触媒等が転極現象により破壊されて、出力特性が劣化する。
一方、特許文献3に記載された燃料電池システムでは、活性化処理の方法が通常の使用状態と大差のない電流に制御するものであるため、活性化に長時間を要するので、時間的なロスの問題だけでなく、燃料消費量が大きくなるため、燃料の容量が制限される携帯機器類には、使用しにくいという問題があった。
そこで、本発明の目的は、活性化時の燃料消費量を少なくでき、しかも逆電位による長期的な劣化の問題が生じにくい燃料電池の活性化方法およびこれを利用した燃料電池システムを提供することにある。
本発明者らは、燃料電池の活性化方法について鋭意研究したところ、極めて短い時間で大電流を生じさせる電流制御のサイクルを繰り返し行うことで、活性化時の燃料消費量を少なくでき、しかも逆電位による長期的な劣化の問題が生じにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の燃料電池の活性化方法は、発電可能な状態で、高分子電解質型の燃料電池の両極間に、1秒以内の時間で大電流を生じさせる電流制御のサイクルを繰り返し行う活性化工程を含むことを特徴とする。本発明において、「大電流」とは、燃料電池の電圧−電流曲線において、最も電力が大きくなる電流から30%以上増加させた電流を指す。
本発明の燃料電池の活性化方法によると、極めて短い時間で大電流を生じさせる電流制御を繰り返し行うため、活性化の効率が高まり、小電流で長時間活性化する場合と比較して、活性化時の燃料消費量を少なくできる(例えば従来法の10%以下にできる)。しかも、大電流を極めて短い時間だけ生じさせるため、大電流を長時間通電する電流制御と比較して、逆電位による長期的な劣化の問題が生じにくい。
上記において、前記大電流を生じさせた際の電圧降下における最低電圧が、単位セル当たりの実測値で0〜0.3Vとなるように電流制御を行うことが好ましい。この電流制御では、十分大きな電流が得られ、しかも電位の逆転が生じないため、逆電位による長期的な劣化の問題をより生じにくくすることができる。
また、前記電流制御のサイクルが、実質的に無負荷状態と抵抗1.0Ω以下の負荷状態とを切り替えるものであることが好ましい。この電流制御では、簡易な方法で、実質的に電流がゼロの状態と大電流の状態とを切り替えることができ、簡易な回路設計が可能となり、より実用的な活性化方法となる。
また、本発明の活性化方法は、常時運転の間の時間に前記活性化工程を行うことが好ましい。本発明の活性化方法では、活性化時の燃料消費量を少なくでき、しかも逆電位による長期的な劣化の問題が生じにくいため、常時運転の間の時間に活性化工程を行っても、燃料消費の問題が生じにくく、燃料容量が制限される形態機器類にも、使用し易い方法となる。
一方、本発明の燃料電池システムは、高分子電解質型の燃料電池と、その燃料電池を発電可能な状態にする燃料供給手段と、前記燃料電池の両極間に1秒以内の時間で大電流を生じさせる電流制御のサイクルを繰り返し行う制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の燃料電池システムによると、燃料電池の両極間に1秒以内の時間で大電流を生じさせる電流制御のサイクルを繰り返し行う制御手段を備えるため、活性化の効率が高まり、小電流で長時間活性化する場合と比較して、活性化時の燃料消費量を少なくできる。しかも、大電流を極めて短い時間だけ生じさせるため、大電流を長時間通電する電流制御と比較して、逆電位による長期的な劣化の問題が生じにくい。このように燃料消費量を少量にできるため、燃料電池の活性化による燃料消費の負担が小さくなるので、燃料の供給量に制限がある燃料電池システム(例えば水素発生型の燃料電池システム)にも導入することが可能となる。
上記において、前記制御手段は、実質的に無負荷状態と抵抗1.0Ω以下の負荷状態とを切り替えて前記電流制御を行うものであることが好ましい。この電流制御では、簡易な方法で、実質的に電流がゼロの状態と大電流の状態とを切り替えることができ、簡易な回路設計が可能となり、より実用的な活性化方法となる。
更に前記燃料電池の電池特性の良否を判定する判定手段を備え、その判定手段の判定結果に基づいて、前記制御手段は電流制御のサイクルを開始することが好ましい。この燃料電池システムによると、自動制御によって、常時運転を行う前や常時運転の間の時間に活性化工程を行うことができ、活性化工程での燃料消費の問題が生じにくく、燃料容量が制限される携帯機器類にも、使用し易いシステムとなる。
本発明の燃料電池システムの一例を示す概略構成図 本発明の燃料電池システムの他の例を示す概略構成図 本発明の燃料電池システムの他の例を示す概略構成図 本発明の燃料電池システムの制御アルゴリズムの例を示すフローチャート 実施例1等における電圧の経時変化を示すグラフ 本発明の燃料電池システムの他の例を示す組立斜視図 本発明の燃料電池の製造方法の一例を示す工程図 実施例1等による活性化工程の前後における電池特性(電圧)を示すグラフ
本発明の燃料電池の活性化方法は、発電可能な状態で、高分子電解質型の燃料電池の両極間に、1秒以内の時間で大電流を生じさせる電流制御のサイクルを繰り返し行う活性化工程を含むことを特徴とする。本実施形態では、図1に示すように、実質的に無負荷状態と抵抗1.0Ω以下の負荷状態とを、負荷器11と直列に接続したスイッチング手段12で切り替えることで、電流制御のサイクルを実行する例を示す。
本実施形態では、図1に示すような、燃料電池FCと負荷器11とスイッチング手段12とが、直列に電気的に接続され、前記スイッチング手段12を所定のタイミングでオンオフする制御手段13によって、本発明の活性化工程を実施できる。
本発明の電流制御において、大電流を生じさせる際の電流値としては、燃料電池の電圧−電流曲線における最も電力が大きくなる電流値(以下、「最大電力の電流値」という)から30%以上増加させた電流値であればよいが、燃料電池の活性化の効率を高める観点から、好ましくは50%以上増加させた電流値であり、より好ましくは70%以上増加させた電流値である。このような電流値の制御は、抵抗の負荷状態の抵抗値を制御することで、行うことが可能である。
また、大電流を生じさせる際の時間は、1秒以内の時間であるが、燃料電池の活性化の効率を高めつつ、逆電流による問題を回避する観点から、好ましくは0.5秒以内であり、より好ましくは0.3秒以内である。
本発明では、燃料電池の活性化の効率を高めつつ、逆電流による問題を回避する観点から、大電流を生じさせた際の電圧降下における最低電圧が、単位セル当たりの実測値で0〜0.3Vとなるように電流制御を行うことが好ましい。このような最低電圧の制御は、大電流を生じさせる際の電流値や時間によって行うことができる。
また、本実施形態のように、実質的に無負荷状態と抵抗1.0Ω以下の負荷状態とを切り替える電流制御を行うことによって、このような最低電圧の制御を容易に実施することができる。例えば、単位セル当たりの実測値で0〜0.3Vとなるように電流制御を行う場合、単位セルの内部抵抗・電極面積によっても異なるが、抵抗値が10mΩ〜0.5Ωの負荷器11を使用すればよい。
本発明の電流制御のサイクルにおいて、大電流を生じさせないときの電流値としては、燃料消費量を低減する観点から、最大電力の電流値の10%以下が好ましく、ゼロが最も好ましい。本実施形態のように、無負荷状態とする電流制御では、電流値がゼロとなる。
また、大電流を生じさせないときの時間としては、活性化を極めて短い時間で行いつつ、燃料電池の電圧を回復させて逆電流による問題を生じにくくする観点から、0.1〜10秒が好ましく、0.2〜5秒がより好ましく、0.8〜2秒が更に好ましい。
従って、本発明における電流制御のサイクル時間としては、0.4〜10秒が好ましく、0.5〜5秒がより好ましく、0.7〜3秒が更に好ましい。
本実施形態における制御手段13としては、プログラム制御が可能な制御装置等が使用でき、オンオフのタイミングを設定することで、電流制御のサイクルを制御することができる。また、負荷器11を、一定時間のみ通電可能な回路(例えば、通電時間が一定時間に制御された回路)で構成すること等により、オンのタイミングのみを指示するプログラム制御でも、電流制御のサイクルを制御することができる。
スイッチング手段12は、リレーやスイッチング素子を用いた回路で構成することができる。負荷器11は、通常、抵抗器などで構成されるが、一定時間のみ通電可能とする場合などでは、コンデンサを用いて、蓄電・放電を行う回路などで構成することも可能である。
また、スイッチング手段12と負荷器11と制御手段13とを1つの回路で構成することも可能であり、クロック信号に基づいてプログラム制御を行うデジタル回路や、タイマ部によりスイッチング制御を行うアナログ回路で構成することができる。
一方、図2に示す実施形態のように、電流値とサイクル設定が可能で、電流を強制的に制御する電流制御手段14によっても、本発明の活性化工程を実施することができる。このような電流制御手段14を用いる場合、電流値を大きくしたまま維持すると、逆電位が生じやすい。このため、上記のように、大電流を生じさせる際の時間を短くすることが好ましい。また、大電流を生じさせる際の電流値がさほど大きくない場合には、多少通電時間な長くしても、電圧降下における最低電圧が、単位セル当たりの実測値で0〜0.3Vとなる傾向がある。いずれにしても、大電流を生じさせる際の電流値と時間を適宜設定することで、電圧降下における最低電圧の実測値をコントロールすることが可能である。
図2に示す実施形態では、燃料供給手段である水素ボンベ23から、燃料電池のアノード側に設けたバッファ部24を介して、水素ガスを燃料電池FCに供給している。このとき、水素ガスはバッファ部24に設けた導入口24bからバッファ部24に導入され、消費されなかった過剰の水素ガスは、バッファ部24の排出口24aから排出される。
図2に示す装置(単位セルは1つ)を用いて、本発明による電流制御のサイクルを繰り返した活性化工程と、同じ大電流を変化させずに通電した活性化工程とによって、実測された電圧値のプロファイルを図5に示す。本発明による活性化工程では、電流3.29A(800mA/cm、最大電力の電流値の約100%増)を150ミリ秒と、電流0Aを850ミリ秒とからなる電流制御のサイクルを繰り返しており、その結果、電圧降下における最低電圧が、単位セル当たりの実測値が約0Vとなっている。これに対して、同じ電流3.29A(800mA/cm)を20秒間通電した活性化工程では、水素ガスが十分存在するにも係わらず、通電開始後200ミリ秒で、電位が逆転して、逆電位の状態が継続している。本発明では、このような逆電位による問題を回避することができる。
本発明において、前記活性化工程は、出荷前に行うことが可能であるが、出荷後の始動時にこの活性化工程を行うことや、常時運転の間の時間にこの活性化工程を行うことが、常時運転の電池性能を高める観点から、より好ましい。本発明の燃料電池システムによると、このような出荷後の始動時や常時運転の間に、本発明による活性化工程を実施することが可能となる。
本発明の燃料電池システムは、図3に示すように、高分子電解質型の燃料電池FCと、その燃料電池FCを発電可能な状態にする燃料供給手段25と、前記燃料電池FCの両極間に1秒以内の時間で大電流を生じさせる電流制御のサイクルを繰り返し行う制御手段13とを備えるものである。本実施形態では、更に前記燃料電池FCの電池特性の良否を判定する判定手段15を備え、その判定手段15の判定結果に基づいて、前記制御手段13は電流制御のサイクルを開始する場合の例を示す。
燃料電池FCとしては、高分子電解質型のものが使用される。燃料電池FCの詳細については、後述する。
本実施形態では、燃料供給手段25が水素発生手段21と給水手段22で構成されている例を示すが、燃料供給手段25としては、燃料タンク、燃料容器、水素吸蔵型容器などの単なる燃料の貯蔵手段であってもよい。
本実施形態のような燃料発生型の燃料供給手段25としては、水素発生剤と、これと反応して水素を発生させる反応液との組合せなどを利用した装置が一般的である。例えば、反応液である水を貯蔵する容器から、給水体を介して水を水素発生剤に供給し、発生した水素ガスを燃料電池FCのアノード側に供給する燃料供給手段25が挙げられる。
燃料電池FCのカソード側には、酸素含有ガスが供給されるが、本実施形態では、空気中の酸素が自然に取り込まれる構造を採用している。これに代えて、酸素含有ガスを供給する装置を別途設けてもよい。
判定手段15は、燃料電池FCの電池特性の良否を判定するものであるが、電池特性の良否は、電圧及び/又は電流の低下の程度などによって判定することができる。このため、例えば、検出器16によって、燃料電池FCの電流値を検出したり、更に電圧値を検出する検出器を設けて、電圧値と電流値とを同時に検出することで、これと良否判定の基準となるしきい値を比較することで、良否判定が可能となる。
具体的なアルゴリズムとしては、図4に示すものが例示される。例えば、外部からの入力で電池特性をチェックする指示があった場合に、フローがスタートし、まず、電池特性の良否を判定する。電池特性が良品であると判定した場合には、良品の表示がされて、フローが終了する。
逆に、電池特性が不良品であると判定した場合には、不良品の表示がされた後、電流制御のサイクルを開始する。このサイクルは、一定の繰り返し回数に設定されており、設定された回数が終了すると、再び、電池特性の良否を判定する。このルーチンが、良品であると判定されるまで、繰り返された後、良品の表示がなされて、フローが終了する。
上記のアルゴリズムでは、ルーチン部分を省略して、サイクルの実行を1回にすることも可能である。また、サイクルの実行中に、実行中であることを示す表示を行ってもよい。これらの各表示は、例えば色違いのLEDで行うことができる。更に、電池特性をチェックする指示がなくとも、最初に燃料電池を使用する際に、自動的に入力以下のアルゴリズムが動作するようにしてもよい。
本実施形態では、図1の場合と同様に、実質的に無負荷状態と負荷状態とを、負荷器11と直列に接続したスイッチング手段12で切り替えることで、電流制御のサイクルを実行する例を示している。この電流制御のサイクルは、前述した通りである。
本発明に用いられる燃料電池は、高分子電解質型の燃料電池であればよく、燃料の供給形態としては、純水素供給タイプ、改質タイプ、ダイレクトメタノールタイプなど、何れでもよい。また、単位セルの接続形態としては、単位セルの単独使用、セパレータを介したスタック型、独立した単位セルの流路が接続された接続型、流路が設けられていない単位セルにバッファ空間から燃料を供給する非接続型、など何れでもよい。
本実施形態では、図6に示すように、燃料電池の単位セル(図1に示すものと同じ)を複数使用し、四角柱の4つの側面に、アノード側を内側にして配置することで内部空間を形成し、この内部空間で水素ガスを発生させる燃料電池の例を示す。
燃料電池FCは、図1に示すように、固体高分子電解質層1と、この固体高分子電解質層1の両側に設けられた第1電極層2及び第2電極層3と、これら電極層2,3の更に外側に各々配置された第1導電層及び第2導電層とを備えている。この実施形態では、第1導電層及び第2導電層が、第1電極層2及び第2電極層3を部分的に露出させる露出部を有する第1金属層4及び第2金属層5とからなる例を示す。
なお、導電層の材質としては、金属、導電性高分子、導電性ゴム、導電性繊維、導電性ペースト、導電性塗料などが挙げられる。
固体高分子電解質層1としては、従来の固体高分子膜型の燃料電池に用いられるものであれば何れでもよいが、化学的安定性及び導電性の点から、超強酸であるスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる陽イオン交換膜が好適に用いられる。このような陽イオン交換膜としては、ナフィオン(登録商標)が好適に用いられる。その他、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂からなる多孔質膜に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を含浸させたものや、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜や不織布に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を担持させたものでもよい。
固体高分子電解質層1の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、イオン伝導機能、強度、ハンドリング性などを考慮すると、10〜300μmが使用可能であるが、25〜50μmが好ましい。
電極層2,3は、固体高分子電解質層1の表面付近でアノード側およびカソード側の電極反応を生じさせるものであれば何れでもよい。なかでも、ガス拡散層としての機能を発揮して、燃料ガス、燃料液、酸化ガス及び水蒸気の供給・排出を行なうと同時に、集電の機能を発揮するものが好適に使用できる。電極層2,3としては、同一又は異なるものが使用でき、その基材には電極触媒作用を有する触媒を担持させることが好ましい。触媒は、固体高分子電解質層1と接する内面側に少なくとも担持させるのが好ましい。
電極層2,3の電極基材としては、例えば、カーボンペーパー、カーボン繊維不織布などの繊維質カーボン、導電性高分子繊維の集合体などの電導性多孔質材が使用できる。また、固体高分子電解質層1に触媒を直接付着させたり、カーボンブラックなどの導電性粒子に担持させて固体高分子電解質層1に付着させた電極層2,3を用いることも可能である。
一般に、電極層2,3は、このような電導性多孔質材にフッ素樹脂等の撥水性物質を添加して作製されるものであって、触媒を担持させる場合、白金微粒子などの触媒とフッ素樹脂等の撥水性物質とを混合し、これに溶媒を混合して、ペースト状或いはインク状とした後、これを固体高分子電解質膜と対向すべき電極基材の片面に塗布して形成される。
一般に、電極層2,3や固体高分子電解質層1は、燃料電池に供給される還元ガスと酸化ガスに応じた設計がなされる。本発明では、酸化ガスとして空気が用いられると共に、還元ガスとして水素ガスを用いるのが好ましい。なお、還元ガスの代わりにメタノール等の燃料液を使用することも可能である。
例えば、水素ガスと空気を使用する場合、空気が自然供給される側のカソード側の第2電極層3(本明細書では、アノード側を第1電極層、カソード側を第2電極層と仮定する)では、酸素と水素イオンの反応が生じて水が生成するため、かかる電極反応に応じた設計をするのが好ましい。特に、低作動温度、高電流密度及び高ガス利用率の運転条件では、特に水が生成する空気極において水蒸気の凝縮による電極多孔体の閉塞(フラッディング)現象が起こりやすい。したがって、長期にわたって燃料電池の安定な特性を得るためには、フラッディング現象が起こらないように電極の撥水性を確保することが有効である。
触媒としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の金属か、又はその酸化物が使用でき、これらの触媒をカーボンブラック等に予め担持させたものも使用できる。
電極層2,3の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、電極反応、強度、ハンドリング性などを考慮すると、1〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。電極層2,3と固体高分子電解質層1とは、予め接着、融着、又は塗布形成等を行って積層一体化しておいてもよいが、単に積層配置されているだけでもよい。このような積層体は、膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)として入手することもでき、これを使用してもよい。
アノード側電極層2の表面にはアノード側の第1金属層4が配置され、カソード側電極層3の表面にはカソード側の第2金属層5が配置される(本明細書では、アノード側を第1金属層、カソード側を第2金属層と仮定する)。第1金属層4は、第1電極層2を部分的に露出させる露出部を有するが、本実施形態では、アノード側金属層4には燃料ガス等を供給するための開孔4aが設けられている例を示す。
第1金属層4の露出部は、アノード側電極層2が露出可能であれば、その個数、形状、大きさ、形成位置などは何れでもよい。アノード側金属層4の開孔4aは、例えば、規則的又はランダムに複数の円孔やスリット等を設けたり、または金属メッシュによって開孔4aを設けたり、第1金属層4を櫛形電極のような形状にしてアノード側電極層2を露出させてもよい。開孔4a部分の面積が締める割合(開孔率)は、電極との接触面積とガスの供給面積のバランスなどの観点から、1〜40%が好ましく、5〜20%がより好ましい。
また、カソード側の第2金属層5は、第2電極層3を部分的に露出させる露出部を有するが、本実施形態では、カソード側金属層5には、空気中の酸素を供給(自然吸気)するための多数の開孔5aが設けられている例を示す。開孔5aは、カソード側電極層3が露出可能であれば、その個数、形状、大きさ、形成位置などは何れでもよい。カソード側金属層5の開孔5aは、例えば、規則的又はランダムに複数の円孔やスリット等を設けたり、または金属メッシュによって開孔5aを設けたり、第2金属層5を櫛形電極のような形状にしてカソード側電極層3を露出させてもよい。開孔5a部分の面積が締める割合(開孔率)は、電極との接触面積とガスの供給面積のバランスなどの観点から、10〜50%が好ましく、15〜30%がより好ましい。
金属層4,5としては、電極反応に悪影響がないものであれば何れの金属も使用でき、例えばステンレス板、ニッケル、銅、銅合金などが挙げられる。但し、導電性、コスト、形状付与性、加圧のための強度などの観点から、銅、銅合金、ステンレス板などが好ましい。また、上記の金属に金メッキなどの金属メッキを施したものでもよい。
なお、金属層4,5の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、導電性、コスト、重量、形状付与性、加圧のための強度などを考慮すると、10〜1000μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。
金属層4及び金属層5は、少なくとも一部が樹脂から露出することにより、その部分を電極として電気を外部に取り出すことができる。このため、樹脂成形体6に対して、金属層4及び金属層5を一部露出させた端子部を設けてもよいが、本発明では、金属層4及び金属層5が、単位セルの電極となる突出部4b,5bを備え、これが樹脂成形体6から外部に出ていることが好ましい。この突出部4b,5bは、インサート成形を行う際に、金属層4,5等(積層物L)を成形型内に保持するためにも利用できる。
金属層4及び金属層5の形成や開孔5a、4aの形成は、プレス加工(プレス打ち抜き加工)を利用して行うことができる。また、金属層4及び金属層5の突出部4b,5bには、樹脂の流動や密着性を良好にする目的で、インサート成形される部分に貫通孔を設けてもよい。更に、接続や固定を良好に行うために、突出部4b,5bの露出した部分に貫通孔を設けてもよい。
本実施形態の燃料電池FCは、図1に示すように、以上のような各層1〜5をインサート成形した樹脂成形体6で一体化してある。その場合、第1導電層及び/又は第2導電層の全面又は略全面を樹脂成形体6で覆うことが好ましく、第1導電層及び第2導電層の全面又は略全面を樹脂成形体6で覆うことがより好ましい。樹脂成形体6は、第1電極層2及び第2電極層3に気体又は液体を供給するための供給部を有することが好ましく、この供給部は、第1金属層4又は第2金属層5の露出部に対応する位置に設けられた開孔6aであることが好ましい。
本実施形態では、前記第1電極層2及び第2電極層3が開孔6aから露出するように、前記第1金属層4及び第2金属層5を両側から加圧した状態で、樹脂成形体6によりインサート成形して一体化してある例を示す。
本発明では、金属層4,5の露出部に相当する開孔4a,5aの大きさが、樹脂成形体6の開孔6aの大きさより、大きくてもよく、同じ大きさでもよく、小さくてもよい。但し、第1金属層4及び/又は第2金属層5の露出部の大きさと、開孔6aの大きさとがほぼ等しくなるように、樹脂成形体6を成形してあることが好ましい。具体的には、各々の開孔6aの面積は、各々の露出部の面積の60〜150%が好ましく、80〜130%がより好ましい。
本実施形態では、金属層4,5の露出部に相当する開孔4a,5aの大きさが、樹脂成形体6の開孔6aの大きさより小さい場合の例を示す。これにより金属層4,5の開孔4a,5aの周囲に対して、樹脂成形体6の開孔6aに相当する部分を利用して、成型時に加圧することができる(図7(c)参照)。
樹脂成形体6の材質としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、耐熱性樹脂などが挙げられるが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、液晶ポリマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、または熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。なかでも、成形型内での樹脂の流動性、強度、溶融温度などの観点から、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル樹脂が好ましく、これらはアプリケーションによって選択することが可能である。
樹脂成形体6としては、熱可塑性エラストマーやゴム等を用いることも可能である。その場合、他の材料にも可とう性の有るものを使用することで、燃料電池全体を可とう性にすることが可能である。
樹脂成形体6の全体の厚みとしては、樹脂による一体化の強度や、金属層を加圧する圧力、薄型化などの観点から、0.3〜4mmが好ましく0.5〜2mmがより好ましい。特に、金属層を覆う部分の樹脂成形体6の厚みとしては、金属層を加圧する圧力の観点から、0.2〜1.5mmが好ましく、0.3〜1.0mmがより好ましい。
樹脂成形体6の外形の面積としては、樹脂による一体化の強度や、金属層を加圧する圧力の観点から、固体高分子電解質層1の外形の面積の101〜200%が好ましく、150〜180%がより好ましい。
燃料電池FCは、次のようにして燃料等を供給して発電させることができる。例えばカソード側は、そのまま大気開放にしておき、アノード側に設けた空間に水素ガス等の燃料を供給したり、アノード側に設けた空間内で水素ガス等の燃料を発生させることで発電を行うことができる。また、アノード側及び/又はカソード側に対して、流路を形成するための流路形成部材を取り付けて、その流路に酸素含有ガスや燃料を供給することも可能である。流路形成部材としては、例えば流路溝と供給口と排出口を設けた板状体や、スタック型燃料電池のセパレータと類似の構造のものが使用できる。後者を使用するとスタック型燃料電池を構成することができる。
以上のような燃料電池は、例えば本発明の製造方法により製造することができる。即ち、本発明の燃料電池の製造方法は、図7(a)〜(d)に示すように、固体高分子電解質層1と、その両側に配される第1導電層及び第2導電層と、それらの外側に配される第1金属層4及び第2金属層5との積層物Lを成形型40内に配置する工程を含む。本実施形態では、第1導電層及び第2導電層が第1電極層2及び第2電極層3を部分的に露出させる露出部(例えば開孔4a,5a)を有する第1金属層4及び第2金属層5であり、その露出部が成形型40の凸部41a,42aにより閉塞した状態で成形型40内に配置する例を示す。
また、本発明の燃料電池の製造方法は、上記の成形型40内に樹脂を注入することで、積層物Lを一体化する樹脂成形体6を成形する工程を含む。本実施形態では、第1金属層4及び第2金属層5を両側から加圧した状態で、その成形型40内に樹脂を注入することで、第1電極層2及び第2電極層3に気体又は液体を供給するための供給部を有し、積層物Lを一体化する樹脂成形体6を成形する工程を含む例を示す。つまり、前記供給部に相当する開孔6aを除いて、積層物Lのほぼ全体を樹脂成形体6で覆う例を示す。
まず、例えば、図7(a)に示すように、底面に凸部41aを有する下金型41を準備する。本実施形態では、成形型40を分割構造にして分割した型部材の内面に凸部41a,42aを設け、その凸部41a,42aを第1金属層4及び第2金属層5圧接させる場合の例を示す。凸部41aは、積層物Lの下側の第1金属層4の開孔4aを閉塞させる大きさの上面を有し、各々の開孔4aに対向する位置に設けている。下金型41は、底面の周囲に側壁を有しており、側壁の内面に沿って上金型42が挿入できる。
下金型41(又は上金型42)には、樹脂の注入口41bが設けられているが、注入口41bは複数設けてもよい。また、成型時の樹脂の流れを良好にするために、樹脂の小排出口を1箇所以上に設けてもよい。
更に、第1金属層4及び第2金属層5の突出部4b,5bを、成形後に樹脂成形体6から露出させるために、下金型41の側壁は分割構造になっている(図示省略)。積層物Lを成形型40内に配置する際に、下金型41の側壁に設けた矩形の切欠き部に、第1金属層4及び第2金属層5の突出部4b,5bが位置決めされ、その突出部4b,5bを型部材が押さえる構造になっている。これにより、突出部4b,5bを樹脂成形体6から露出させることができる。
次に、例えば、図7(b)に示すように、積層物Lを下金型41の底面に配置する。その際、底面の凸部41aの上面が、第1金属層4の開孔4aを閉塞可能な位置に配置する。積層物Lを配置する際には、各層の一部又は全部が一体化されていてもよく、一体化されていなくてもよい。また、一部が一体化されていない場合、各層を別々に配置しても、同時に配置してもよい。配置する積層物Lの構成は、前述の通りであるが、配置を行う際に、最終的な樹脂成形体6の形状の一部を予め成形した予備成形体を用いて、この予備成形体を積層物Lと共に成形型40内に配置することも可能である。
次に、例えば、図7(c)に示すように、下金型41の側壁の内面に沿って上金型42を挿入するが、上金型42の下面には凸部42aが設けてある。この凸部42aは、積層物Lの上側の第2金属層5の開孔5aを閉塞させる大きさの上面を有し、各々の開孔5aに対向する位置に設けている。そして、下金型41の凸部41aと上金型42凸部42aとで、金属層4,5を加圧した状態で、積層物Lを成形型40内に配置する。その際、第1金属層4及び第2金属層5の突出部4b,5bが成形型40の内部空間から外側に配置されるようにしてもよい。
その状態で、成形型40内に樹脂(「樹脂」には樹脂の原料液や未硬化物を含む)を注入するが、露出部(例えば開孔4a,5a)が凸部41aと凸部42aによって閉塞されているため、図7(d)に示すように、得られた成形体では第1電極層2及び第2電極層3が開孔6aから露出する。また、樹脂の注入により、固体高分子電解質層1、電極層2,3、第1金属層4及び第2金属層5を、インサート形成により一体化することができる。
次に、図6に示す燃料電池システムについて説明する。
給水手段22は、例えば、反応液である水を収容し、収容した水を導き出す導出部22bが設けられた容器22aで構成される。この導出部22bは吸水体等で構成されており、水素発生手段21に装着した際に、これに設けられた導入部材21a(例えば濾紙)と接触することで、水を水素発生手段21に供給することができる。
水素発生手段21は、例えば収容容器21cの内部に、水素発生剤21bを収容し、発生した水素ガスを開孔21dから排出する。水素発生剤21bは樹脂等を用いて成形したものが好ましく、これに吸水体である導入部材21aが接触している。導入部材21aを介して、水が水素発生剤21bに供給されると水素発生反応が生じて、水素ガスが発生する。
水素発生手段21は、燃料電池FC(複数の単位セル)を保持する保持体30の内部空間に装着され、開孔21dから排出された水素ガスは、水素発生手段21の外壁面と保持体30の内壁面との隙間を流動して、複数の単位セルのアノード側に供給される。また、カソード側には空気が自然供給され、発電が生じる。発電の際、初期のパージや微量に排出される水素ガスは開孔31から排出される。
回路ボックスCBは、燃料電池FCと電気的に接続され、判定手段15、制御手段13、スイッチング手段12および負荷器11が内蔵される。検出器16は燃料電池FCと電気的に接続されているが、回路ボックスCBに内蔵してもよい。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
製造例(燃料電池の単位セルの製造)
厚み0.2mmのステンレス板を金メッキしたものを矩形状部の長径33mm、短径12mmにプレスして打ち抜き、図1における金属層4,5となるステンレス板を2枚作製した。
固体高分子電解質層1(陽イオン交換膜)としてナフィオンフィルム(デュポン社製ナフィオン112、33mm×12mm、厚み15μm)を用いた。また、固体高分子電解質層1の両面には、電極層2,3の一部を構成する触媒層を厚み25μmで設けた。白金触媒は、米国エレクトロケム社製20%白金担持カーボン触媒(EC−20−PTC)を用いた。この白金触媒と、カーボンブラック(アクゾ社ケッチェンブラックEC)、ポリフッ化ビニリデン(カイナー)を、それぞれ75重量%、15重量%、10重量%の割合で混合し、ジメチルホルムアミドを、2.5重量%のポリフッ化ビニリデン溶液となるような割合で、上記白金触媒、カーボンブラック、ポリフッ化ビニリデンの混合物中に加え、乳鉢中で溶解・混合して、触媒ペーストを作製し、固体高分子電解質層1の表面に塗布した。
電極層2,3の拡散層として、カーボンペーパー(東レ製TGP−H−90、厚み370μm)を33mm×12mmに切断して用いた。
固体高分子電解質層1、電極層2,3の積層物を、上記のステンレス板2枚の中央で挟み込み、図7に示すような金型を用いて、2枚のステンレス板の両側から圧力(1トン)がかかる状態で、金型内に配置した。その状態で、樹脂((株)プライムポリマー製、ポリプロピレン樹脂、J−700GP)を195℃で型内に注入して(射出圧力400kgf/cm)、冷却した後に金型から取り出すことで、樹脂成形体の外寸35mm×14mm×2.2mm厚の燃料電池の単位セルを得た。
実施例1
製造例で得られた単位セルを用いて、活性化前の状態の電池特性として、電流0.6Aにおける電圧を評価した。その結果を図8(a)に示す。これに対して、次のようにして本発明の活性化工程を実施した。
即ち、電流3.29Aを150ミリ秒と、電流0Aを850ミリ秒とからなる電流制御のサイクル(1サイクル=1秒)を120秒間だけ繰り返しており、これは水素消費量7.5mLに相当する積算電流量である。このとき、図5に示すように、電圧降下における最低電圧が、単位セル当たりの実測値が約0Vとなっていた。このような活性化工程を実施した結果、図8(a)に示すように、大幅な電池特性(電圧)の改善が見られた。
仮に一定電流により活性化を行う場合、1.5Aを30min程度印加する必要がある。その場合に消費する水素量は1.5A×7.6mL×30=342mLとなる。上記実施例では、7.5mLの水素を消費しているため、7.5mL÷342×100=2.2%となり、従来方法の約2%の水素消費量で活性化することができたことが分かる。
比較例1
実施例1において、水素消費量7.5mL(即ち積算電流量)が同じになるように、電流0.493Aで120秒間だけ通電したこと以外は、実施例1と同じ条件で活性化工程を実施し、電池特性を評価した。その結果を図8(b)に示す。この図から明らかなように、同じ水素消費量で活性化を行っても、電流が小さい場合には、殆ど活性化の効果が得られないことが判明した。
比較例2
実施例1において、水素消費量7.5mL(即ち積算電流量)と電流値が同じになるように、電流3.29Aで18秒間だけ通電したこと以外は、実施例1と同じ条件で活性化工程を実施し、電池特性を評価した。その結果を図8(c)に示す。また、その際の電圧降下状態を図5に示す。図8(c)では、電池特性(電圧)の改善が見られたものの、図5に示すように、電位の逆転現象が生じており、これを繰り返すと電池材料が劣化することが判明した。
1 固体高分子電解質層
2 第1電極層
3 第2電極層
4 第1金属層
5 第2金属層
6 樹脂成形体
11 負荷器
13 制御手段
15 判定手段
25 燃料供給手段
Fc 燃料電池(単位セル)

Claims (7)

  1. 発電可能な状態で、高分子電解質型の燃料電池の両極間に、1秒以内の時間で大電流を生じさせる電流制御のサイクルを繰り返し行う活性化工程を含む燃料電池の活性化方法。
  2. 前記大電流を生じさせた際の電圧降下における最低電圧が、単位セル当たりの実測値で0〜0.3Vとなるように電流制御を行う請求項1に記載の燃料電池の活性化方法。
  3. 前記電流制御のサイクルが、実質的に無負荷状態と抵抗1.0Ω以下の負荷状態とを切り替えるものである請求項1又は2に記載の燃料電池の活性化方法。
  4. 常時運転の間の時間に前記活性化工程を行う請求項1〜3いずれかに記載の燃料電池の活性化方法。
  5. 高分子電解質型の燃料電池と、その燃料電池を発電可能な状態にする燃料供給手段と、前記燃料電池の両極間に1秒以内の時間で大電流を生じさせる電流制御のサイクルを繰り返し行う制御手段とを備える燃料電池システム。
  6. 前記制御手段は、実質的に無負荷状態と抵抗1.0Ω以下の負荷状態とを切り替えて前記電流制御を行うものである請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 更に前記燃料電池の電池特性の良否を判定する判定手段を備え、その判定手段の判定結果に基づいて、前記制御手段は電流制御のサイクルを開始する請求項5又は6に記載の燃料電池システム。
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