JP2010272357A - リチウムイオン二次電池用負極 - Google Patents

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Abstract

【課題】集電体の変形、または集電体からの負極活物質層の剥離を効果的に抑制することができる、リチウムイオン二次電池用負極を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、集電体と、集電体の少なくとも一方の面に形成されてなる負極活物質層とを含む。そして、該負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質と、応力緩和材とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極に関する。特に、本発明は、集電体の変形、または集電体からの負極活物質層の剥離を防止することができるリチウムイオン二次電池用負極に関する。
近年、地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、および高いエネルギー密度を発揮することが求められている。したがって、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を集電体の表面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を集電体の表面に塗布した負極とが、電解質を含む電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
かようなリチウムイオン二次電池の負極を構成する負極活物質としては、炭素・黒鉛系負極材料や、リチウムと合金化しうるケイ素(Si)やスズ(Sn)等の合金系負極材料が用いられうる。特に、合金系負極材料は、炭素・黒鉛系負極材料と比較して高いエネルギー密度を達成可能であり、車両用電池の候補として期待されている。
上記合金系負極材料は、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う膨張・収縮が大きい。例えば、リチウムイオンを吸蔵した場合の体積膨張は、黒鉛では約1.2倍であるのに対し、ケイ素系負極材料では約4倍にも達する。このように活物質が大きく膨張すると、充放電を繰り返すうちに、活物質同士の接触、または活物質層と集電体との密着性が低下する。その結果、活物質の割れや微粉化、または集電体からの剥離が起こり、所望のサイクル特性が得られないという問題が以前から指摘されていた。
そこで、特許文献1では、シート状の集電体の表面に、負極活物質としてLiと合金化できる金属ないし合金をドット状に点在させてなるリチウムイオン電池用電極を提案している。そして、該技術によると、活物質から構成されるドットの周りに隙間を設けることにより、活物質の膨張変形が縦方向だけでなく横方向にも生じるようになるため、縦方向への膨張変形を緩和することができる。その結果、活物質の崩壊、活物質の集電体からの剥離、および電極の変形を解消することができる、としている。
特開2005−50681号公報
しかしながら、特許文献1を以てしても、応力の緩和が十分ではなく、単位ドット内で生じる活物質の膨張収縮によって生じた応力は、ドット内を伝播し集電体に達してしまう。その結果、集電体が変形してしまう、または集電体から活物質層が剥離してしまうといった問題点を有していた。
そこで本発明は、集電体の変形、または集電体からの負極活物質層の剥離を効果的に抑制することができる、リチウムイオン二次電池用負極を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、負極活物質層中に応力緩和材を配することによって、顕著な応力緩和効果が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、集電体と、集電体の少なくとも一方の面に形成されてなる負極活物質層とを含む。そして、該負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質と、応力緩和材とを含む。
本発明によれば、応力緩和材が、負極活物質の膨張・収縮により生じる応力を集電体へと伝播するのを抑制する。これにより、集電体の変形、または集電体からの負極活物質層の剥離を防ぐことができる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極を模式的に表した断面図である。 本発明の他の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極を模式的に表した断面図である。図2Aは粒子状の応力緩和材がある厚み部分に局在化し、応力緩和層を形成した様子を表す図である。図2Bはメッシュ状の応力緩和層が負極活物質層の1/2厚み部分に存在する様子を表す図である。図2Cはメッシュ状の応力緩和層が集電体の近傍に存在する様子を表す図である。 本形態のリチウムイオン二次電池に係る、負極活物質層中のバインダの硬化工程を表す図である。 本形態に係る双極型でない積層型のリチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表した断面図である。 本形態に係る双極型の積層型リチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表した断面図である。 本形態に係る組電池の代表的な実施形態の外観図である。図6Aは組電池の平面図であり、図6Bは組電池の正面図であり、図6Cは組電池の側面図である。 本形態に係る組電池を搭載した電気自動車の概念図である。 実施例および比較例のサイクル特性を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい形態を説明する。本形態は、集電体と、集電体の少なくとも一方の面に形成されてなる負極活物質層とを含むリチウムイオン二次電池用負極に関する。そして、該負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質と、応力緩和材とを含む。
以下、図面を参照しながら、本形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<負極>
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極を模式的に表した断面図である。図1によると、本実施形態の負極1は、集電体2と、集電体2の表面に形成された負極活物質層3とを有する。負極活物質層3は、負極活物質であるSiO粒子4(4A、4B、4C)と、メッシュ状のアルミニウムからなる応力緩和材5とを含む。図1に示すように、リチウムイオンの吸蔵によって膨張したSiO粒子4Aによって生じる応力は、隣り合うSiO粒子4Bへと伝播される。このようにして、負極活物質の膨張収縮により生じる応力は、隣り合う負極活物質を介して伝播していく。しかしながら、本形態の負極1は、応力緩和材5を含むため、SiO粒子4Aから発生した応力と、SiO粒子4Bの膨張によって生じた応力とは、応力緩和材5に吸収され、応力緩和材5よりも集電体側には伝播しない。よって、集電体に伝わる応力はSiO粒子4Cの膨張によって生じた応力のみとなる。このように負極活物質層中に含まれる応力緩和材によって、応力が緩和されるために、集電体の変形、または集電体からの負極活物質層の剥離を防ぐことができる。
以下、本形態の集電体を構成する部材について説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみに制限されない。
[集電体]
集電体は導電性材料から構成され、その少なくとも一方の面に負極活物質層が配置されて電池の負極を構成する。
集電体を構成する材料に特に制限はない。例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂が採用されうる。具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、ステンレス鋼、銅が好ましい。
また、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、およびポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はないが、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、5〜35質量%程度である。
集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。集電体の厚さについても特に制限はないが、通常は1〜100μm程度である。
[負極活物質層]
負極活物質層は負極活物質および応力緩和材を必須に含む。これ以外にも必要により導電助剤およびバインダ等のその他の部材を含みうる。
(負極活物質)
負極活物質は、放電時にイオンを放出し、充電時にイオンを吸蔵できる組成を有する。負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵および放出できるものであれば特に制限されないが、負極活物質の例としては、SiやSnなどの金属、あるいはTiO、Ti、TiO、もしくはSiO、SiO、SnOなどの金属酸化物、Li4/3Ti5/3もしくはLiMnNなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物、Li−Pb系合金、Li−Al系合金、Li、または天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、もしくはハードカーボンなどの炭素材料などが好ましく挙げられる。また、負極活物質は、リチウムと合金化する元素を含むことが好ましい。リチウムと合金化する元素を用いることにより、従来の炭素系材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量および優れた出力特性の電池を得ることが可能となる。上記負極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記のリチウムと合金化する元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。これらの中でも、容量およびエネルギー密度に優れた電池を構成できる観点から、炭素材料、ならびに/またはSi、Ge、Sn、Pb、Al、In、およびZnからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素を含むことが好ましく、炭素材料、Si、またはSnの元素を含むことが特に好ましい。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
負極活物質の平均粒子径は、特に制限されないが、負極活物質の高容量化、反応性、サイクル耐久性の観点からは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜20μmである。このような範囲であれば、二次電池は、高出力条件下での充放電時における電池の内部抵抗の増大が抑制され、充分な電流を取り出しうる。なお、負極活物質が2次粒子である場合には該2次粒子を構成する1次粒子の平均粒子径が10nm〜1μmの範囲であるのが望ましいといえるが、本発明では、必ずしも上記範囲に制限されるものではない。ただし、製造方法にもよるが、負極活物質が凝集、塊状などにより2次粒子化したものでなくても良いことはいうまでもない。かかる負極活物質の粒径および1次粒子の粒径は、レーザー回折法を用いて得られたメディアン径使用できる。なお、負極活物質の形状は、その種類や製造方法等によって取り得る形状が異なり、例えば、球状(粉末状)、板状、針状、柱状、角状などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、いずれの形状であれ問題なく使用できる。好ましくは、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適の形状を適宜選択するのが望ましい。
(応力緩和材)
応力緩和材は、リチウムイオン吸蔵・放出に伴う負極活物質の膨張・収縮によって生じる応力を緩和する機能を有する。
応力緩和材に用いられる材料は、応力緩和効果を発揮しうる材料であれば特に制限はなく、例えば、金属、金属酸化物、および合金、ならびに高分子材料などが挙げられる。
金属、金属酸化物、および合金に含まれる金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKを用いることが好ましい。かような金属、金属酸化物、または合金は耐熱性に優れるため、電極製造時の加熱に十分耐えることができる。このうち、耐電位性の観点から、Al、Ni、またはCuを含むことが好ましい。
高分子材料としては、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスルホン(PSF)、ポリアリレート(PAR)およびなどの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、およびアルキド樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどの導電性高分子材料などが挙げられる。このうち、耐熱性の観点からは、PTFE、PEEK、PES、PSF、およびPARからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。さらにこのうち、取り扱いの容易性の観点から、PTFEを用いることが好ましい。応力緩和材として高分子材料を用いると、電極質量の増大を抑えることができる。なお、これらの金属、金属酸化物、および合金、ならびに高分子材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても構わない。
応力緩和材の形状は、負極活物質層中の導電性およびイオン伝導性を妨げるものでなければ特に制限はなく、粒状、繊維状、塊状、格子状、およびメッシュ状などの公知の形状を適宜選択することができる。応力緩和材が粒状の場合の平均粒子径は、0.1〜200μmであることが好ましく、0.5〜100μmであることがより好ましく、1〜50μmであることがさらに好ましい。また、応力緩和材が格子状またはメッシュ状である場合の平均孔径は、0.1〜50μmであることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましく、2〜10μmであることがさらに好ましい。平均粒子径または平均孔径がかような範囲にあると、導電性およびイオン伝導性を確保しつつ、優れた応力緩和効果を発揮することができる。
負極活物質層中での応力緩和材の存在形態も特に制限はない。応力緩和材が粒状などである場合には、負極活物質層中に均一に分散されていてもよいし、ある厚み部分に局在化して応力緩和層として存在していてもよい。例えば、図2Aのように集電体2上に形成した負極活物質層6A上に応力緩和材粒子7を含むスラリーを塗布し、乾燥させて応力緩和層8を形成した後、その上にさらに負極活物質層6Bを形成するような形態が挙げられる。この場合、該応力緩和層8は負極活物質層6中の導電性およびイオン伝導性を低減しない程度の多孔質状であることが好ましい。また、図2Bおよび図2Cのように応力緩和材が格子状やメッシュ状の場合は、その形状から、必然的にある厚み部分に応力緩和材が局在化して、応力緩和層8を形成していることになる。このように、応力緩和層を形成することによって、応力緩和層よりも集電体側への応力の伝播を面方向に対して均一に抑制することができる。
応力緩和材が応力緩和層を形成する場合、応力緩和層と集電体表面までの距離はなるべく小さい方が好ましい(ただし、応力緩和層と集電体とが接する場合を除く)。より好ましい形態としては、応力緩和層と集電体表面までの距離は、負極活物質の平均粒子径よりも大きく、負極活物質層の1/2厚さよりも小さい。さらに好ましくは、該距離は、1/4厚さよりも小さく、特に好ましくは、1/8厚さよりも小さい。かような形態とすることによって、集電体にかかる応力をより緩和することができるからである。
応力緩和材が応力緩和層を形成している場合の層の厚みは、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることがさらに好ましい。また、応力緩和層の面積は、負極活物質層の面積に対して、100面積%以上であることが好ましい。応力緩和層をかような厚みまたは大きさにすることによって、負極活物質層の膨張・収縮により生じる応力を効果的に、かつ一様に緩和することができる。
負極活物質層には、必要であれば、その他の物質が含まれてもよい。例えば、導電助剤、バインダ等が含まれうる。また、イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、前記ポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれてもよい。
導電助剤とは、負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等のカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF;登録商標)等の種々の炭素繊維、膨張黒鉛などが挙げられる。しかし、導電助剤がこれらに限定されないことはいうまでもない。
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリイミド、ポリアミド、PTFE、SBR、合成ゴム系バインダ等が挙げられる。しかし、バインダがこれらに限定されないことはいうまでもない。また、バインダとゲル電解質として用いるマトリックスポリマーとが同じ場合には、バインダを使用する必要はない。
負極活物質層に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより調整されうる。負極活物質層の厚さについても特に制限はなく、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、負極活物質層の厚さは、好ましくは10〜100μm程度であり、より好ましくは20〜50μmである。負極活物質層が10μm程度以上であれば、電池容量が充分に確保されうる。一方、負極活物質層が100μm程度以下であれば、電極深部(集電体側)にリチウムイオンが拡散しにくくなることに伴う内部抵抗の増大という問題の発生が抑制されうる。
本形態の負極は、従来公知の方法を適宜参照して製造することができる。応力緩和層を含む負極を製造する場合を一例を挙げると、まず、負極活物質、導電助剤、バインダを含む負極活物質スラリーを調整し、集電体の一方の面に塗布、乾燥する。この上に、上述の応力緩和材を含む応力緩和層を配置する。応力緩和材が粒子状である場合には、該粒子を含むスラリーを調製し、これを上記の負極活物質スラリーを乾燥させた表面に塗布し、乾燥する。一方、応力緩和材がメッシュ状である場合には、負極活物質スラリーを乾燥させた表面に重ねる。その後、応力緩和層の表面に負極活物質スラリーを塗布し、乾燥する。これにより、集電体上に、応力緩和層を含んだ負極活物質層が形成された負極が得られる。
上記の負極の製造工程において、バインダが熱硬化性バインダ(熱硬化性樹脂を含むバインダ)である場合は、集電体上に応力緩和層を含んだ負極活物質層を形成した後に、バインダの硬化のための熱処理が必要である。しかしながら、特に、集電体が導電性を有する樹脂層を含む場合には、負極全体を加熱処理すると集電体が熱によって変形してしまう虞がある。このような場合には、図3に示すように、応力緩和層8にヒーター9を接続して加熱することによって、負極活物質層6を直接加熱処理し、バインダを硬化することができる。この際、応力緩和層にヒーターを取り付けるために、応力緩和層の大きさは負極活物質層の面積に対して110%以上の大きさを有することが好ましい。
<リチウムイオン二次電池>
図4は、本形態に係る双極型でない積層型のリチウムイオン二次電池(以下、単に「リチウムイオン電池」とも称する)の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図4に示すように、本実施形態のリチウムイオン電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素17が、電池外装材であるラミネートフィルム22の内部に封止された構造を有する。詳しくは、高分子−金属複合ラミネートフィルムを電池外装材として用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、発電要素17を収納し密封した構成を有している。
発電要素17は、正極集電体11の両面(発電要素の最下層用および最上層用は片面のみ)に正極活物質層12が配置された正極と、電解質層13と、負極集電体14の両面に負極活物質層15が配置された負極とを積層した構成を有している。具体的には、1つの正極活物質層12とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層13を介して対向するようにして、正極、電解質層13、負極がこの順に積層されている。
これにより、隣接する正極、電解質層13および負極は、1つの単電池層16を構成する。したがって、本実施形態のリチウムイオン電池10は、単電池層16が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。また、単電池層16の外周には、隣接する正極集電体11と負極集電体14との間を絶縁するためのシール部(絶縁層)(図示せず;図5の符号43を参照)が設けられていてもよい。発電要素17の両最外層に位置する最外層正極集電体11aには、いずれも片面のみに正極活物質層12が配置されている。なお、図4とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素17の両最外層に最外層負極集電体が位置するようにし、該最外層負極集電体の片面のみに負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
正極集電体11および負極集電体14には、各電極(正極および負極)と導通される正極タブ18および負極タブ19がそれぞれ取り付けられ、ラミネートフィルム22の端部に挟まれるようにラミネートフィルム22の外部に導出される構造を有している。正極タブ18および負極タブ19は、必要に応じて正極端子リード20および負極端子リード21を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体14に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい(図4にはこの形態を示す)。ただし、正極集電体11が延長されて正極タブ18とされ、ラミネートフィルム22から導出されていてもよい。同様に、負極集電体14が延長されて負極タブ19とされ、同様に電池外装材22から導出される構造としてもよい。
図5は、本形態に係る双極型の積層型リチウムイオン二次電池(以下、単に「双極型リチウムイオン電池」とも称する)の全体構造を模式的に表した概略断面図である。
図5に示すように、本実施形態の双極型リチウムイオン電池30の発電要素37は、集電体31の一方の面に電気的に結合した正極活物質層32が形成され、集電体31の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層33が形成された複数の双極型電極34を有する。各双極型電極34は、電解質層35を介して積層されて発電要素37を形成する。なお、電解質層35は、基材としてのセパレータの面方向中央部に電解質が保持されてなる構成を有する。この際、一の双極型電極34の正極活物質層32と前記一の双極型電極34に隣接する他の双極型電極34の負極活物質層33とが電解質層35を介して向き合うように、各双極型電極34および電解質層35が交互に積層されている。すなわち、一の双極型電極34の正極活物質層32と前記一の双極型電極34に隣接する他の双極型電極34の負極活物質層33との間に電解質層35が挟まれて配置されている。
隣接する正極活物質層32、電解質層35、および負極活物質層33は、一つの単電池層36を構成する。したがって、双極型二次電池34は、単電池層36が積層されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素37の最外層に位置する正極側最外層集電体31aには、片面のみに正極活物質層32が形成されている。また、発電要素37の最外層に位置する負極側最外層集電体31bには、片面のみに負極活物質層33が形成されている。ただし、正極側最外層集電体31aの両面に正極活物質層32が形成されてもよい。同様に、負極側最外層集電体31bの両面に負極活物質層33が形成されてもよい。
さらに、図5に示す双極型リチウムイオン電池30では、正極側最外層集電体31aに隣接するように正極集電板44aが配置され、これが延長されて電池外装材であるラミネートフィルム42から導出している。一方、負極側の最外層集電体31bに隣接するように負極集電板44bが配置され、同様にこれが延長されて電池の外装であるラミネートフィルム42から導出している。
図5に示す双極型リチウムイオン電池30においては、通常、各単電池層36の周囲にシール部(絶縁層)43が設けられる。このシール部43は、電池内で隣り合う集電体31どうしが接触したり、発電要素37における単電池層36の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。かようなシール部43の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質の双極型リチウムイオン二次電池30が提供されうる。
なお、単電池層36の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。双極型リチウムイオン電池30はこのように、単電池層36の積層回数を多くすることによって、高い電圧を得ることができる点で有利である。また、双極型リチウムイオン電池30では、電池の厚みを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、単電池層36の積層回数を少なくしてもよい。双極型リチウムイオン電池30でも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素37を電池外装材であるラミネートフィルム42に減圧封入し、正極集電板44aおよび負極集電板44bをラミネートフィルム42の外部に取り出した構造とするのがよい。
リチウムイオン二次電池10と双極型リチウムイオン電池30の各構成要件および製造方法に関しては、双方の電池内の電気的な接続形態(電極構造)が異なることを除いては、基本的には同様である。よって、上記したリチウムイオン二次電池10の各構成要件を中心に、以下説明する。ただし、双極型リチウムイオン電池30の各構成要件および製造方法に関しても、同様の構成要件および製造方法を適宜利用して構成ないし製造することができることはいうまでもない。
以下、本形態のリチウムイオン二次電池を構成する部材について簡単に説明するが、下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態も同様に採用されうる。
[正極活物質層]
正極活物質層は正極活物質を含む。正極活物質は、放電時にイオンを吸蔵し、充電時にイオンを放出する組成を有する。好ましい一例としては、遷移金属とリチウムとの複合酸化物であるリチウム−遷移金属複合酸化物が挙げられる。具体的には、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したものなどが使用できる。これらリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル特性に優れ、低コストな材料である。そのためこれらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することが可能である。この他、前記正極活物質としては、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなど、を用いることもできる。上記正極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
正極活物質層の構成要素のうち、正極活物質以外は、負極活物質層について上述したのと同様の形態が採用されうるため、ここでは説明を省略する。正極活物質層に含まれる成分の配合比および正極活物質層の厚さについても特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。
[電解質層]
電解質層は、正極活物質層と負極活物質層との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。
電解質層を構成する電解質に特に制限はなく、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質などのポリマー電解質が適宜用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート類が挙げられる。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiN(SO、LiN(SOCF、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSOCFなどの電極の活物質層に添加されうる化合物を同様に用いることができる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。
ゲル電解質は、リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体などが挙げられる。かようなマトリックスポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィンやポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素、ガラス繊維などからなる微多孔膜が挙げられる。
高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。なお、上記電解質は、電極の活物質層中に含まれていてもよい。
[シール部]
シール部は、双極型二次電池に特有の部材であり、電解質層の漏れを防止する目的で単電池層の周縁部に配置されている。このほかにも、電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不揃いなどによる短絡が起こったりするのを防止することもできる。図5に示す形態において、シール部43は、集電体31と電解質層35とで挟持されるように、単電池層36の周縁部に配置されている。シール部の構成材料としては、例えば、PE、PPなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、ポリイミドなどが挙げられる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
[タブ]
リチウムイオン二次電池においては、電池外部に電流を取り出す目的で、集電体に電気的に接続されたタブ(正極タブおよび負極タブ)が外装材であるラミネートフィルムの外部に取り出されている。
タブを構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用のタブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極タブと負極タブとでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。また、双極型リチウムイオン電池30においては、図5に示すように、集電板(44a、44b)を延長することによりタブとしてもよいし、別途準備したタブを集電板(44a、44b)に接続してもよい。
[正極端子および負極端子リード]
図4に示すリチウムイオン電池10においては、正極端子リード20および負極端子リード21をそれぞれ介して、集電体はタブと電気的に接続されている。
正極および負極端子リードの材料は、公知のリチウムイオン電池で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
[外装材]
外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができる。そのほか、図4や図5に示すようなラミネートフィルム(22、42)を外装材として用いて、発電要素(17、37)をパックしてもよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されうる。
[組電池]
本形態のリチウムイオン二次電池は、複数個接続されて、組電池を構成しうる。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。また、本形態のリチウムイオン二次電池を用いることで、サイクル耐久性に優れ長期信頼性の高い組電池が提供されうる。なお、本形態の組電池では、本形態の非双極型リチウムイオン二次電池と双極型リチウムイオン二次電池とを用いて、これらを直列に、並列に、または直列と並列とに、複数個組み合わせて、組電池を構成することもできる。
図6は、本形態に係る組電池の代表的な実施形態の外観図である。図6Aは組電池の平面図であり、図6Bは組電池の正面図であり、図6Cは組電池の側面図である。
図6に示すように、本形態に係る組電池300においては、まず、本形態のリチウムイオン二次電池が複数、直列または並列に接続されて装脱着可能な小型の組電池250を形成している。そして、この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列または並列に接続して、組電池300が構成されている。かような構成とすることで、高エネルギー密度、高出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300が得られる。装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続され、接続治具310を用いて複数段積層される。何個の非双極型または双極型のリチウムイオン二次電池を接続して組電池250を作製するかや、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
本形態のリチウムイオン二次電池や組電池は、車両の駆動用電源として用いられうる。本形態の二次電池または組電池は、例えば、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いられうる。これにより、高寿命で信頼性の高い自動車が提供されうる。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両であれば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図7は、本形態に係る組電池300を搭載した電気自動車400の概念図である。図7に示すように、組電池300を電気自動車400に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームに搭載してもよい。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は優れた耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を発揮しうる。
本発明の作用効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<負極の作製>
[実施例1]
負極活物質として一酸化ケイ素(SiO、平均粒子径10μm)を80質量%、導電助剤としてアセチレンブラック(平均一次粒子径48nm)を10質量%、バインダとしてポリイミド(ポリアミック酸溶液、固形分濃度18.2質量%)を10質量%(固形分換算)、およびスラリー粘度調整剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量混合し、負極活物質スラリーを調製した。該負極活物質スラリーを銅集電箔(厚さ10μm、大きさ10×20cm)の片面に塗布し、120℃で乾燥することによって、厚さ30μmの層を形成した。
該層の表面に、応力緩和材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE、平均粒子径1μm)がエタノールに分散されてなる分散溶液を塗布し、エタノールを乾燥させることによって、応力緩和層を形成した。
該応力緩和層の表面に、上述の負極活物質スラリーを塗布、120℃で乾燥することによって、集電体表面に厚さ60μmの負極活物質層を形成させ、その後350℃で乾燥することによって負極を完成させた。
[実施例2]
応力緩和層として、発泡ポリプロピレン(平均孔径1μm、厚さ20μm)を使用した。これ以外は、実施例1と同様の方法で負極を作製した。
[実施例3]
応力緩和層として、ニッケルメッシュ(厚さ20μm、平均孔径1μm)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で負極を作製した。
[実施例4]
バインダの硬化工程を、ニッケルメッシュの両端にシリコンラバーヒータを取り付け、350℃で5時間加熱することによって行ったこと以外は、実施例3と同様の方法で負極を作製した。
[比較例1]
応力緩和層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で負極を作製した。
<正極の作製>
正極活物質としてLiNiO(平均粒子径10μm)を90質量%、導電助剤としてアセチレンブラック(平均一次粒子径48nm)を5質量%、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)(濃度10質量%)を5質量%、およびスラリー粘度調整剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量混合し、正極活物質スラリーを調製した。該正極活物質スラリーをアルミニウム集電箔(厚さ20μm、大きさ10×20cm)の片面に塗布し、乾燥することによって、集電体表面に厚さ60μmの正極活物質層が形成された正極を完成させた。
(電池の作製)
電解液として、プロピレンカーボネート(PC):エチレンカーボネート(EC)=1:1(体積比)の混合溶媒に、リチウム塩であるLiPFが1.0モル/リットルの濃度で溶解した溶液を準備した。該電解液をセパレータ(厚さ25μm、ポリエチレン製微多孔膜)に含浸し、電解質層を形成した。
上記で作製した負極、電解質層、および正極を順次積層し、得られた積層体をアルミラミネートフィルムを用いて封止・成形し、積層型のリチウムイオン二次電池を完成させた。
<充放電特性試験>
上記で作製したリチウムイオン二次電池について充放電特性試験を行った。各電池を25℃の恒温槽中で、定電流定電圧方式(CCCV、電流1C、セル電圧4.2V)で充電して、30分間休止後、定電流方式(CC、電流1C)でセル電圧2.5Vまで放電した。これを1サイクルとして、各サイクルでの放電容量を算出した。なお、Cは時間率を示す。時間率1Cとは、電池の全容量を1時間で充電/放電させるだけの電流量をいう。例えば、0.5Cの電流とは、2時間(=1/0.5時間)で電池の全容量が充電/放電される電流量をいう。結果を図8に示す。
図1によると、実施例1〜4では、比較例1よりも放電容量維持率が向上したことが示された。特に、サイクル数を重ねるにつれ、この効果は顕著なものとなった。これは、負極活物質の膨張・収縮により生じる応力の集電体への伝播が応力緩和層によって抑制されたため、集電体の変形、または集電体からの活物質層の剥離が防止されたためと考えられた。
また、実施例3および4は応力緩和層が集電体表面近くに配置されてなることから、顕著な応力緩和効果を発揮し、より優れたサイクル特性を示した。
1 負極
2、31 集電体、
3、6、6A、6B、15、33 負極活物質層、
4、4A、4B、4C SiO粒子、
5 応力緩和材、
7 応力緩和材粒子、
8 応力緩和層、
9 ヒーター、
10 リチウムイオン電池、
11 正極集電体、
11a 最外層正極集電体、
12、32 正極活物質層、
13、35 電解質層、
14 負極集電体、
16、36 単電池層、
17、37 発電要素、
18 正極タブ、
19 負極タブ、
20 正極端子リード、
21 負極端子リード、
22、42 ラミネートフィルム、
30 双極型リチウムイオン電池、
31a 正極側最外層集電体、
31b 負極側最外層集電体、
34 双極型電極、
43 シール部(絶縁層)、
44a 正極集電板、
44b 負極集電板、
250 小型の組電池、
300 組電池、
310 接続治具、
400 電気自動車。

Claims (11)

  1. 集電体と、
    前記集電体の少なくとも一方の面に形成されてなる負極活物質層と、を含む電極であって、
    前記負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質と、
    応力緩和材と、を含む、リチウムイオン二次電池用負極。
  2. 前記応力緩和材は、前記負極活物質層のある厚み部分に局在化して応力緩和層を形成する、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  3. 前記応力緩和層と前記集電体表面までの距離は、前記負極活物質の平均粒子径よりも大きく、前記負極活物質層の1/2厚さよりも小さい、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  4. 前記応力緩和材は、金属、金属酸化物、および合金、ならびに高分子材料からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  5. 前記応力緩和材が、金属、金属酸化物、および合金からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  6. 双極型である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  7. 前記1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、
    電解質層と、が積層されてなる発電要素を含む、リチウムイオン二次電池。
  8. 請求項7に記載の二次電池を複数電気的に接続してなる、組電池。
  9. 請求項7に記載の二次電池、または請求項8に記載の組電池を、モータ駆動用電源として搭載してなる、車両。
  10. 負極活物質および熱硬化性バインダを含む負極活物質スラリーを調製する工程と、
    前記負極活物質スラリーを集電体の一方の面に塗布する工程と、
    塗布した負極活物質スラリー上に応力緩和層を配置する工程と、を含むリチウムイオン二次電池負極の製造方法。
  11. 前記応力緩和層を加熱することにより前記熱硬化性バインダを硬化する、請求項10に記載のリチウムイオン二次電池負極の製造方法。
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