JP2010270801A - 組合せオイルリング - Google Patents

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Masaki Hayashi
昌樹 林
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Abstract

【課題】オイル消費を低減できる組合せオイルリングを提供する。
【解決手段】外周にシリンダ2壁と摺動する摺動面11,15を有する上下レール7,8を一体構造で持つオイルリング5と、このオイルリング5に拡張力を付与するコイルエキスパンダ6とを備えた組合せオイルリング4において、オイルリング5の上下面10,14が内周端から外周側に向かって下向きに傾斜している。下向きの傾斜角度は、オイルリング5の軸方向と直交する平面に対して10′〜1°であることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、オイル消費を低減できる内燃機関用組合せオイルリングに関する。
内燃機関には、オイルリングとコイルエキスパンダとからなる2ピース形の鋼製組合せオイルリングが一般に使用されている。オイルリングは、上下2本のレールがウェブで連結され、内周端から外周側に延びている上下面はリング軸方向と直交する平面と平行に形成されており、ピストンのリング溝内に装着されたとき、リング溝の上下面と平行する。
そして、特許文献1はオイルリングの摺動面の上方縁部と下方縁部に上方テーパ部と下方テーパ部を備えることにより、オイル膜厚を大きくできることでフリクションの低減を図っており、更に、上方テーパ部と摺動面とで形成される角度を下方テーパ部と摺動面とで形成される角度より小さくすることにより、ピストン下降時のオイル膜厚よりもピストン上昇時のオイル膜厚を大きくできることでオイル消費量の低減を図っている。
特開2002−071021号公報
特許文献1の場合、オイルリングの上下面とリング溝との間のシール性は特に考慮されておらず、リング溝との間の隙間を通るオイル上がりによるオイル消費に問題がある。
本発明の目的は、オイル消費を低減できる組合せオイルリングを提供することである。
上記課題を解決するために本発明は次の解決手段を採る。すなわち、
本発明は、外周にシリンダ壁と摺動する摺動面を有する上下レールを一体構造で持つオイルリングと、このオイルリングに拡張力を付与するコイルエキスパンダとを備えた組合せオイルリングにおいて、前記オイルリングの上面が内周端から外周側に向かって下向きに傾斜していることを特徴とする。
前記オイルリングの下面が内周端から外周側に向かって下向きに傾斜していることが好ましい。
前記オイルリングの上面における内周側角部に面取りが形成されていることが好ましい。
前記オイルリングの少なくとも上側レールの外周摺動面形状はテーパ形状とすることが好ましい。
リング溝上面と平行な上面を有している従来のオイルリングは、リング溝上面との隙間を小さくすると、ピストンの首振りなどによりリング溝上面がオイルリング上面に接触し、オイルリングがリング溝に拘束され易い。その結果、オイルリングは半径方向の動きが阻害されることで、オイル消費が悪化することがある。これに対して、本発明の請求項1記載の構成によれば、ピストンの首振りなどを生じてもリング溝上面がオイルリング上面と外周側で接触しにくくなるため、オイルリングがリング溝に拘束されにくくなる。したがって、リング溝上面とオイルリング上面との間の隙間をより小さくすることが可能になるので、リング溝上面におけるシール性を向上でき、リング溝を通じたオイル上がりによるオイル消費を低減することができる。特に、クランクケース内のオイルが燃焼室側に吸い上げられやすいエンジンブレーキ時には、オイルリング上面の内周端とリング溝上面との間が高面圧にシールされるので、オイルリングによりシリンダ壁から掻き落とされリング溝に流入したオイルは、ピストンに形成されているオイル戻し孔からクランクケース内に戻され、リング溝を通じたオイル上がりを阻止できる。
本発明の請求項2記載の構成によれば、上記と同様に、ピストンの首振りなどを生じてもリング溝下面がオイルリング下面と内周側で接触しにくくなるため、オイルリングがリング溝に拘束されにくくなる。したがって、リング溝下面とオイルリング下面との間の隙間をより小さくすることが可能になるので、リング溝下面におけるシール性を向上でき、リング溝を通じたオイル上がりによるオイル消費を低減することができる。
上記下向きの傾斜角度はオイルリングの軸方向と直交する平面に対して10′〜1°であることが好ましい。オイルリング上面側において、10′未満ではピストンの熱膨張や首振りによるリング溝の倒れにより、オイルリングの上面内周側でリング溝上面との間の隙間が広くなり、オイル消費が悪化する場合がある。1°を越えると、オイルリング上面のリング溝に対する接触圧力が大きくなり、シリンダボアへの追従性が悪くなる場合がある。オイルリング下面側でも同様に、10′未満ではピストンの熱膨張や首振りによるリング溝の倒れにより、オイルリングの下面外周側でリング溝下面との間の隙間が広くなり、オイル消費が悪化する場合がある。1°を越えると、オイルリング下面のリング溝に対する接触圧力が大きくなり、シリンダボアへの追従性が悪くなる場合がある。
請求項3記載の構成によれば、オイルリング上面の内周側角部のリング溝への攻撃性を低減できる。
請求項4記載の構成によれば、オイル掻き落とし性能を向上させることができる。
本発明の一実施形態を示し、シリンダに挿入されたピストンのリング溝に装着されている組合せオイルリングの縦断面図であり、ピストン上昇時を示す。 同じく、ピストン下降時を示す縦断面図である。 本発明の別の組合せオイルリングを示す縦断面図である。 本発明の更に別の組合せオイルリングを示す縦断面図である。 従来の組合せオイルリングを示す縦断面図である。 比較例の組合せオイルリングを示す縦断面図である。 オイル消費試験の結果を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2において、1はピストン、2はシリンダで、ピストン1の外周に形成されているリング溝3の上下面3a,3bはピストン1の軸方向と直交する平面と平行に形成されている。ピストン1のリング溝3に組合せオイルリング4が装着されている。組合せオイルリング4は2ピースタイプの鋼製組合せオイルリングで、オイルリング5と、コイルエキスパンダ6から構成されている。
オイルリング5は、合い口を有する略I字形断面の鋼製リングで、円周方向に延びる上下一対のレール7,8と、円周方向に延び上下レール7,8を連結するウェブ9とからなっている。
上側レール7の上面10は、内周端から外周側に向かって下向きに傾斜している傾斜面に形成されている。上面10の下向き傾斜角度は、オイルリング5の軸方向と直交する平面に対して10′〜1°の範囲で設定されている。上側レール7はシリンダ2の内周面2aと摺動する所定幅の摺動面11を外周に有し、摺動面11の上端とレール上面10の外周端とは外周傾斜面12で接続されている。外周傾斜面12は本実施形態では2段の傾斜面で形成されているが、これに限ることはなく、例えば1つの傾斜面で形成してもよい。レール上面10の内周側角部には円弧状の面取り13が形成されている。
下側レール8の下面14も、内周端から外周側に向かって下向きに傾斜している傾斜面に形成されている。下面14の下向き傾斜角度は、オイルリング5の軸方向と直交する平面に対して10′〜1°の範囲で設定されている。下側レール8もシリンダ2の内周面2aと摺動する所定幅の摺動面15を外周に有し、摺動面15の下端とレール下面14の外周端とは外周傾斜面16で接続されている。外周傾斜面16は本実施形態では2段の傾斜面で形成されているが、これに限ることはなく、例えば1つの傾斜面で形成してもよい。
なお、上下レール7,8の外周摺動面11,15はシリンダ内周面2aと平行する平面に形成されているが、これに限ることはなく、例えばテーパ形状としてもよい。
上下レール7,8とウェブ9とでオイルリング5の内周側に形成された内周溝17にはコイルエキスパンダ6が装着されており、オイルリング5を半径方向外方すなわちシリンダ内周面2aに押圧する。
したがって、下側レール8でシリンダ2の内周面2aから掻き取られたオイルはクランクケース下部のオイルパンに落とされ、上側レール7で掻き取られたオイルは上下レール7,8とウェブ9とで形成された外周溝18から、ウェブ9に円周方向に間隔をおいて形成されている複数個の窓孔19を通ってオイルリング5の内周側に移動し、ピストン1に形成されているオイル戻し孔20を通ってクランクケース下部のオイルパンに落とされる。
φ70mmクラスの単気筒モータリング試験機において、吸気管を全閉とし、シリンダ内圧が負圧となるようにしてオイル吸い上げ評価試験を行なった。使用した本発明の組合せオイルリング4(図1及び図2参照)におけるオイルリング上下面10,14の傾斜角度は20′〜25′である。従来の組合せオイルリング30(図5参照)はオイルリング31とコイルエキスパンダ32とからなり、オイルリング31の上下面33,34がリング軸方向と直行する平面と平行に形成されている。比較例の組合せオイルリング40(図6参照)は本発明の組合せオイルリングにおけるオイルリングを上下逆にして配置したオイルリング41とコイルエキスパンダ42とからなる。
評価試験結果は、図7に示されているように、本発明の組合せオイルリングは従来型の組合せオイルリングと比較して、評価を行なった全回転数域で特に低回転域から中回転域で、オイル吸い上げ量すなわち実機でのオイル消費量相当値が低減している。また、比較例としての組合せオイルリングは低回転数域側で従来の組合せオイルリングに比較してオイル消費の若干の低減が見られたが、高回転数域では逆に増加する結果となった。
図3は本発明の別の組合せオイルリングを示す。この組合せオイルリング4は前記実施形態で示した組合せオイルリング(図1及び図2)とはオイルリング5の下面14がリング軸方向と直交する平面と平行に形成されている点でのみ相違している。
図4は本発明の更に別の組合せオイルリングを示す。この組合せオイルリング4は前記実施形態で示した組合せオイルリング(図1及び図2)とはオイルリング5の下面14が内周端から外周側に向かって上向きに傾斜している傾斜面に形成されている点でのみ相違している。
1・・ピストン、2・・シリンダ、2a・・シリンダ内周面、3・・リング溝、3a・・リング溝上面、3b・・リング溝下面、4・・組合せオイルリング、5・・オイルリング、6・・コイルエキスパンダ、7・・上側レール、8・・下側レール、9・・ウェブ、10・・レール上面、11,15・・外周摺動面、12,16・・外周傾斜面、13・・面取り、14・・レール下面、17・・内周溝、18・・外周溝、19・・窓孔、20・・オイル戻し孔。

Claims (4)

  1. 外周にシリンダ壁と摺動する摺動面を有する上下レールを一体構造で持つオイルリングと、このオイルリングに拡張力を付与するコイルエキスパンダとを備えた組合せオイルリングにおいて、前記オイルリングの上面が内周端から外周側に向かって下向きに傾斜していることを特徴とする組合せオイルリング。
  2. 前記オイルリングの下面が内周端から外周側に向かって下向きに傾斜していることを特徴とする請求項1記載の組合せオイルリング。
  3. 前記オイルリングの上面における内周側角部に面取りが形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の組合せオイルリング。
  4. 前記オイルリングの少なくとも上側レールの外周摺動面形状をテーパ形状としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組合せオイルリング。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012073493A2 (en) 2010-12-03 2012-06-07 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Sugarcane-sugar-yield-related marker and the use thereof

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