JP2010269284A - 炭素基材担体触媒の製造方法及び炭素基材担体触媒 - Google Patents

炭素基材担体触媒の製造方法及び炭素基材担体触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素基材担体触媒に担持された触媒を、活性化処理を行わなくても十分に機能させることができるとともに、触媒の担体からの脱落を抑えて触媒回収率を向上させた担体触媒を提供する。
【解決手段】触媒活性を有する微粒子を樹脂粒子の表面に吸着及び/又は分散させた触媒担持樹脂粒子を炭化処理してなる炭素基材担体触媒の製造方法であって、炭化処理により得られる炭素基材担体の比表面積が10〜200m/gであり、その後活性化処理を行わない炭素基材担体触媒の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属、金属酸化物等の触媒活性を有する微粒子を炭素基材からなる担体に担持させた炭素基材担体触媒及びその製造方法に係り、特に、所定の比表面積を有する炭素基材担体からなる炭素基材担体触媒及びその製造方法に関する。
微粒子状金属や微粒子金属化合物は化学反応の反応触媒として機能するものであり、このような触媒を使用する際には、触媒を担体に担持した触媒体として用いられることが多い。これは、その触媒が寄与する化学反応が終了した後に該触媒を容易に回収しやすいためである。
ところで、このように担体に担持された触媒は、その触媒の機能を十分に発揮させるために種々検討され、特に、その使用時や使用後の回収操作時において脱落しやすいため、強固に担体に吸着させたり、担体表面の素材中に混合・分散させて保持力を高めたり、することで脱落を抑制する方法が提案されている。
触媒保持力を高めたものとして、例えば、多孔質フッ素樹脂からなるペレット状担体の表面に触媒金属が親水性高分子を介して結合されたもの(例えば、特許文献1参照。)があるが、これは樹脂基材の表面付近に触媒が担持された場合には基材由来の樹脂が触媒の表面を被覆して、触媒粒子表面が反応系の物質に直接接触できず、触媒としての機能が発揮されない場合がある。
このような不具合を解消するものとしては、触媒の効率性を考慮して、パラジウムを含む金属成分を担体の外表面から深さ20μmに担持して、深さ0.1〜15μmには担持されない層を形成した触媒(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。しかし、これは一度担持された表面のパラジウムを除去しているため、資源の無駄が多く効率的ではなかった。
触媒成分を液中へ溶出させないようにしたものとして、パラジウムを活性炭に担持させた固体触媒(例えば、特許文献3参照。)や金属原子及び/若しくは金属イオンをポリマーに充填して共重合した後、炭化処理及び活性化処理を行い、金属触媒を担持した活性炭を形成したもの(例えば、特許文献4参照。)等も知られている。
しかしながら、パラジウムを活性炭に担持させたものは触媒の回収率において十分ではなく、炭化処理及び活性化処理を行ったものは、触媒能を有効に発揮させることはできるとされているものの、触媒微粒子が活性炭内に分散してしまい、触媒効率は全体として低下していた。
さらに、活性化処理を行う場合には担体の強度低下が起こりやすく、触媒粒子が反応系で担体物質から脱落しやすいため触媒回収率が上がらないという問題があった。特に、この場合、反応系が液体又は固体を含む場合には、反応系物質の流動摩擦により脱落がより起こりやすくなっていた。
特開平7−8805号公報 特開平10−216515号公報 特開平11−315049号公報 特開2007−169152号公報
そこで、本発明は、炭素基材担体触媒に担持された触媒により、活性化処理を行わなくても十分に効率的に触媒反応を行うことができるとともに、触媒が担体から脱落することを抑え、触媒回収率を向上させた担体触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂粒子を炭化させて得られる炭素基材担体とした後、活性化工程により表面積を著しく上昇させることが、担体から触媒の脱落を生じやすくしていることを突き止め、このことから、活性化処理を行わずに、炭化処理により所定の比表面積を有する担体とすることによって、触媒機能を十分に発揮させるとともに、触媒回収率も向上させた炭素基材担体触媒とすることができることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の炭素基材担体触媒の製造方法は、触媒活性を有する微粒子を樹脂粒子の表面に吸着及び/又は分散させた触媒担持樹脂粒子を炭化処理してなる炭素基材担体触媒の製造方法であって、炭化処理により得られる炭素基材担体の比表面積が10〜200m/gであり、その後活性化処理を行わないことを特徴とするものである。
本発明の炭素基材担体触媒の製造方法及びそれにより得られた炭素基材担体触媒によれば、炭素基材担体に担持された触媒がその機能を十分に発揮することができるとともに、使用時、使用後等において、触媒が担体から脱落することが抑制されるため、使用後の触媒回収率を向上させることができる。すなわち、本発明によれば、触媒の回収・再利用を行う場合には、処理におけるランニングコストを効果的に低減することができるのである。
本発明に用いる担体は炭素基材からなる炭素基材担体であり、この炭素基材担体は、樹脂粒子を炭化することにより得られるものである。この炭素基材担体を得るための出発物である樹脂粒子としては、樹脂製の粒子であれば特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の複合体からなるものが用いられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルフォン系樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ユリア系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
複合体からなる樹脂としては、例えば、中心部を熱硬化性樹脂で形成し外周部を熱可塑性樹脂で形成して粒子としてもよいし、その逆となるように中心部を熱可塑性樹脂で形成し外周部を熱硬化性樹脂で形成して粒子としてもよい。
これらの樹脂粒子は上述のような樹脂と硬化剤とからなる組成物から形成される粒子であればよいが、必要に応じて、かつ、本発明の主旨に反しない限度において、樹脂組成物中に無機物成分(充填剤)が含有されていてもよい。
この無機物成分としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
ここで、樹脂粒子の体積平均粒径は、担持させる触媒微粒子の大きさやその担持量等によって適宜決定することができるが、例えば、1〜1000μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。担体の平均粒径が1μm未満の場合、その表面に触媒微粒子を強固に担持させることが困難となり、また、球状触媒体として実際に使用した際には、反応生成物等から球状触媒を分離することが困難となるおそれがあると考えられる。1000μmを超えると、造粒時の粒子割れ等のため必ずしも製造が容易でない上、球状触媒全体に対する触媒微粒子の担持量が相対的に低下するため好ましくない。なお、本明細書において平均粒径はレーザー回折法により測定したものである。
次に、担体の表面に担持される触媒微粒子としては、触媒活性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミニウム、白金等の金属、これら金属を含む合金、これらの金属を含む金属酸化物、有機金属化合物(金属錯体)等が挙げられ、ここで用いられる金属としてはパラジウム、白金等の貴金属であることが適用可能な反応が多様なため有用である。これらの触媒微粒子は単独で用いても、複数種の触媒微粒子を組み合わせて用いてもよく、これらのうちの少なくとも1種類以上を含む複合体も使用することができる。
触媒微粒子は、担体表面に保持されて触媒作用を効率的に発揮することができるように、その平均粒径が1μm以下であることが好ましく、例えば、平均粒径が1〜100nmといったナノサイズの金属微粒子等を用いることもできる。
次に、上記した触媒微粒子を樹脂粒子の表面に担持させるが、このとき、樹脂粒子からなる担体と触媒微粒子の質量比は適宜決定することができ、例えば、担体:触媒微粒子=10:1〜10000:1程度であることが好ましい。
樹脂粒子に触媒微粒子を担持させるには、例えば、熱可塑性樹脂からなる担体を破砕法、重合法等によって製造した後、この担体の表面に触媒微粒子を接触、吸着させて担持させる方法等の公知の方法により容易に得ることができる。
この担体に触媒の担持させる方法をより具体的に言えば、例えば、担体となる樹脂粒子が含まれる混合液に対し触媒微粒子の分散液を滴下して投入し、両溶液を混合、撹拌することで行うことができる。このとき、例えば、触媒微粒子の分散液の滴下は数分〜数十分程度の時間をかけて行うことが好ましい。
さらに、滴下し、触媒微粒子の投入後、数分〜数十分程度の撹拌を行なって混合溶液を均一にする。これらの撹拌を行う撹拌装置としては、溶液の撹拌を行うことができるものであれば、特に制限されるものではなく、公知の撹拌装置、例えば、クレアミックス(エム・テクニック株式会社、商品名)等が挙げられる。
この樹脂粒子への触媒微粒子の担持方法は、必ずしも上記に示した方法に限られるものではなく、例えば、樹脂粒子の混合液に触媒微粒子分散液を滴下、投入する方法ではなく、樹脂粒子及び触媒微粒子の両者を最初から同じ分散媒に投入して撹拌する方法であってよく、樹脂粒子表面に触媒微粒子を有効に担持させることができる方法であれば特に担持方法は制限されない。
また、樹脂粒子を重合法により製造する場合には、重合操作時に重合反応系の中に触媒微粒子も混合・分散させ、樹脂中に取り込ませるようにしてもよい。該重合に関しては懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等の重合法により製造することができる。このとき、必要に応じて、重合開始剤や分散剤等を溶解又は分散させて重合性単量体組成物とし重合反応を行わせることで、所望の粒径、粒度分布を有する樹脂粒子を得ることができる。
触媒微粒子を樹脂粒子に担持させた後、この触媒微粒子を担持した樹脂粒子に対して炭化処理を行い、炭化させることで樹脂粒子を炭素基材担体へと変質させ、炭素基材担体触媒を製造することができる。
ここで、本発明の炭素基材担体触媒で用いられる炭素基材担体は、炭化処理後のその比表面積を10〜200m/gとするものであり、比表面積をこのような範囲とすることで、触媒活性を機能させることができ、かつ、触媒の保持力を良好に保つことができるため、触媒機能を十分に有効なものとするとともに、触媒の使用時、使用後の回収操作においても脱落しにくくなり、回収効率を向上させることができる。
特に、液層や固体を含む流動層における化学反応での触媒微粒子の脱落が起こりにくくするためには、この比表面積を10〜100m/gの範囲とすることが好ましく、10〜50m/gの範囲とすることがより好ましい。
比表面積をこのような範囲とするために、触媒を担持した樹脂粒子の炭化処理は、例えば、不活性雰囲気のガス種の流量制御が可能な電気ヒータ式炉などに、微粒子状樹脂担体を入れ、窒素ガス等の不活性雰囲気中にて500℃±50℃の温度まで5〜50時間かけて昇温し、炭化すればよい。このとき、炭化処理は、その最高温度(最終到達温度)まで、一様に昇温させても、段階的に昇温させてもよく、例えば、段階的に行う場合には、室温から炭化処理の最高温度までを100℃〜200℃程度に区切り、その区切った温度にて1〜3時間程度保持した後、次の区切りの温度まで昇温するような温度パターンにすればよい。このように段階的に昇温すると粒状触媒の内外温度差を生じさせにくく、熱応力による割れが回避でき好ましい。このときの昇温速度は0.3〜1.0℃/分であることが好ましい。なお、この処理は、昇温操作及び条件を、質量減少による炭化度合いを感知しながら調整し、最高温度まで昇温させた後、炉を冷却して行うこともできる。
上記炭化処理の温度条件、処理時間等は、出発材料の樹脂の性状により条件に差が生じるため、炭化処理後の炭素基材担体の比表面積が10〜200m/gの範囲内になるものであれば詳細な処理条件は上記範囲から外れていても使用できる。
また、従来は、炭化処理後に活性化処理を行っており、これは、炭化の過程で生じるカーボンの一部が、適当な条件下で選択的に減損するものである。これは、所定の表面積を著しく上昇させるものであり、一般的に、約800〜1200℃の範囲内で処理される。この炭化処理により、細孔、裂け目、クラックが新たに生じることによって、強度が弱くなり、化学反応に供した時や、その後の回収処理時においては、触媒微粒子が担体から脱落して、回収率が低下するものである。本発明においては、この活性化処理を行うことなく最終的な触媒とするものである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
触媒微粒子として平均粒径0.25μmの酢酸パラジウム粉末 3質量部を、純水60質量部に投入し、3000rpmの高速撹拌下で10分間混合し、触媒分散液を得た。別途、熱可塑性樹脂からなる担体として平均粒径56μm、架橋アクリル樹脂粉末(綜研化学株式会社製、商品名:ケミスノーMR60G) 40質量部と純水 20質量部とを混合し、担体混合液を得た。
そして、担体混合液を15000rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、先に調製した触媒分散液を5分間かけて徐々に滴下し、滴下終了後さらに10分間の撹拌を行った。得られた触媒−担体混合液を濾過した後、濾物を洗浄し、架橋アクリル樹脂担体の表面に酢酸パラジウムが担持されたアクリル樹脂を基体とする酢酸パラジウム分散触媒体を得た。
この操作の後、得られた触媒体を熱処理炉に入れ、窒素雰囲気中で室温から500℃まで10時間かけて一定の速度で昇温し、500℃で2時間温度保持した後、炉冷し室温まで冷却して、パラジウム触媒を担持した炭素基材担体触媒を得た。
(実施例2)
熱可塑性樹脂からなる担体として平均粒径22μm、架橋アクリル樹脂粉末(綜研化学株式会社製、商品名:ケミスノーMX2000) 40質量部と純水 20質量部とを混合し、担体混合液を得た。
そして、担体混合液を15000rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、実施例1で得た酢酸パラジウムを含む触媒分散液を5分間かけて徐々に滴下し、滴下終了後さらに10分間の撹拌を行った。得られた触媒−担体混合液を濾過した後、濾物を洗浄し、架橋アクリル樹脂担体の表面に酢酸パラジウムが担持されたアクリル樹脂を基体とする酢酸パラジウム担持触媒体を得た。
この操作の後、得られた触媒体を熱処理炉に入れ、窒素雰囲気中で室温から300℃まで10時間かけて一定の速度で昇温し、300℃で2時間保持し、さらに、300℃から500℃まで10時間かけて昇温し、500℃で2時間保持した後、炉冷し室温まで冷却して、パラジウム触媒を担持した炭素基材担体触媒を得た。
(実施例3)
熱可塑性樹脂からなる担体として平均粒径12μm、ポリエチレン樹脂粉末(住友精化株式会社製、商品名:フロービーズ LE−2080) 40質量部と純水 20質量部とを混合し、担体混合液を得た。
そして、担体混合液を15000rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、実施例1で得た酢酸パラジウムを含む触媒分散液を5分間かけて徐々に滴下し、滴下終了後さらに10分間の撹拌を行った。得られた触媒−担体混合液を濾過した後、濾物を洗浄し、ポリエチレン樹脂担体の表面に酢酸パラジウムが担持されたポリエチレン樹脂を基体とする酢酸パラジウム担持触媒体を得た。
この操作の後、得られた触媒体を熱処理炉に入れ、窒素雰囲気中で室温から500℃まで10時間かけて一定の速度で昇温し、500℃で2時間温度保持した後、炉冷し室温まで冷却して、パラジウム触媒を担持した炭素基材担体触媒を得た。
(実施例4)
熱可塑性樹脂からなる担体として平均粒径8μm、ポリエチレン樹脂粉末(住友精化株式会社製、商品名:フロービーズ LE−1080) 40質量部と純水 20質量部とを混合し、担体混合液を得た。
そして、担体混合液を15000rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、実施例1で得た酢酸パラジウムを含む触媒分散液を5分間かけて徐々に滴下し、滴下終了後さらに10分間の撹拌を行った。得られた触媒−担体混合液を濾過した後、濾物を洗浄し、ポリエチレン樹脂担体の表面に酢酸パラジウムが担持されたポリエチレン樹脂を基体とする酢酸パラジウム担持触媒体を得た。
この操作の後、得られた触媒体を熱処理炉に入れ、窒素雰囲気中で室温から300℃まで10時間かけて一定の速度で昇温し、300℃で2時間保持し、さらに、300℃から500℃まで10時間かけて昇温し、500℃で2時間保持した後、炉冷し室温まで冷却し、パラジウム触媒を担持した炭素基材担体触媒を得た。
(実施例5)
容量250mlのボールミル用ポット(直径2mmのジルコニアボール充填率60%)に酢酸パラジウム粉末 20質量部と純水 80質量部を仕込み12時間以上分散して酢酸パラジウム分散液を得た。
撹拌モータ、還流コンデンサー及び温度計を具備した300mLのセパラブルフラスコにメラミン 7.6g、37質量%ホルマリン 14.6g、硫酸ナトリウム 0.090g、水 128.2gを仕込み、25質量%アンモニア水にてpHを8.5に調整した。
上記混合物を撹拌しながら昇温して、温度70℃に保ち、30分反応させてメラミン樹脂の初期縮合物の水溶液を調整した。
水溶液の温度を50℃に下げ、先に調整した酢酸パラジウムの水分散液 3.24gを仕込んだ。ついで温度を50℃に維持したまま、10質量%パラトルエンスルホン酸水溶液を添加してpHを5.1に調整し、さらに50℃で3時間反応させた後、温度を90℃まで昇温して1時間硬化反応を続けサンプルを得た。冷却後得られた反応液を濾過、洗浄、乾燥し、褐色の触媒担持粒子を得た。この微粒子はメジアン径 67.8μmであり、5μm程度の微粒子が集まって葡萄状の粒子になっていた。
この葡萄状粒子を室温で乾燥し熱処理炉に入れ窒素雰囲気中で室温から500℃まで10時間かけて一定の速度で昇温し、500℃で2時間温度を保持した後、炉冷し室温まで冷却し、パラジウム触媒を担持した炭素基材担体触媒を得た。
(比較例1)
実施例1で得られた架橋アクリル樹脂担体の表面に酢酸パラジウム微粒子が担持されたアクリル樹脂を基体とする酢酸パラジウム担持触媒体について、炭化処理及び活性化処理をしないで、そのまま所定の評価を行った。
(比較例2)
実施例1で得られた架橋アクリル樹脂担体の表面に酢酸パラジウム微粒子が担持されたアクリル樹脂を基体とする酢酸パラジウム担持触媒体について、熱処理炉に入れ、窒素雰囲気中で室温から500℃まで10時間かけて一定の速度で昇温し、500℃で2時間保持した後、炉冷し室温まで冷却した。その次に、活性化処理として5容積%の水蒸気を含む窒素雰囲気の炉中で室温から950℃まで15時間かけて一定の速度で昇温し、その後炉冷し室温まで冷却して、パラジウム触媒を担持した炭素基材担体触媒を得た。
(比較例3)
実施例3で得られたポリエチレン樹脂担体の表面に酢酸パラジウム微粒子が担持されたポリエチレンを基体とする酢酸パラジウム担持触媒体について、炭化処理及び活性化処理をしないで、そのまま所定の評価を行った。
(比較例4)
実施例3で得られたポリエチレン樹脂担体の表面に酢酸パラジウム微粒子が担持されたポリエチレンを基体とする酢酸パラジウム担持触媒体について、熱処理炉に入れ、窒素雰囲気中で室温から500℃まで10時間かけて一定の速度で昇温し、500℃で2時間保持した後、炉冷し室温まで冷却した。その次に、活性化処理として5容積%の水蒸気を含む窒素雰囲気の炉中で室温から950℃まで15時間かけて一定の速度で昇温し、その後炉冷し室温まで冷却して、パラジウム触媒を担持した炭素基材担体触媒を得た。
(比較例5)
実施例5で得られた葡萄状粒子を熱処理炉に入れ、窒素雰囲気中で室温から500℃まで10時間かけて一定の速度で昇温し、500℃で2時間保持した後、炉冷し室温まで冷却した。その次に活性化処理として5容積%の水蒸気を含む窒素雰囲気の炉中で室温から950℃まで15時間かけて一定の速度で昇温し、その後炉冷し室温まで冷却して、パラジウム触媒を担持した炭素基材担体触媒を得た。
(比較例6)
実施例3で得られたポリエチレン樹脂担体の表面に酢酸パラジウム微粒子が担持されたポリエチレンを基体とする酢酸パラジウム担持触媒体について、熱処理炉に入れ、窒素雰囲気中で室温から400℃まで10時間かけて一定の速度で昇温し、400℃で2時間保持した後、炉冷し室温まで冷却して、パラジウム触媒を担持した炭素基材担体触媒を得た。
(試験例)
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた10種類の担体触媒について、以下に示す項目について評価を行い、表1にまとめて示した。評価項目及び評価方法、評価試験に対する解析方法は下記の通りである。
〔比表面積〕
上記10種類の担体触媒を製造する製造工程の中の酢酸パラジウム微粒子の混入工程を除いて、10種類の担体触媒に供するものと同じ材質である担体相当素材を製造し、それについて水銀圧入法により細孔分布測定装置を使って比表面積を測定した。
〔THF不溶分〕
ソックスレー抽出器を用いて6時間の抽出処理を行った後の不溶分の乾燥質量と、抽出処理を行う前の担体の質量とから、以下の式により求めた。
THF不溶分(質量%)=抽出処理後の不溶分の乾燥質量/抽出処理前の担体の質量×100
〔触媒微粒子の回収率〕
質量比で水:エタノール=1:1の混合溶液100mL中に、それぞれ目的の化学反応に4時間供した担体触媒を投入し、それぞれの溶液を200rpmで10分間撹拌し、両方の溶液(担体触媒を投入した混合溶液及び反応溶液)上記を濾過し濾物から触媒体を除去し残りの残渣を乾燥すると触媒微粒子が得られるので(この質量を電子天秤で測定し、これを化学反応によって担体から脱落した触媒微粒子質量とした)、化学反応前後の触媒微粒子の質量から下式により化学反応における触媒微粒子の回収率を求めた。
触媒微粒子の回収率(%)=(化学反応前の触媒微粒子質量−化学反応によって担体から脱落した触媒微粒子質量)/化学反応前の触媒微粒子質量×100
〔触媒能力比率〕
担体に担持させた触媒微粒子の単位質量あたりの反応物生成能力(生成物の収率)を、担持させない(遊離の)場合の反応物生成能力(生成物の収率)に対する比率で表した。反応は次に示すモデル反応にて行った。
50質量%エタノール水溶液中に、4−ブロモニトロベンゼン 0.2モル、フェニルボロン酸 0.22モル、炭酸ナトリウムを0.7モル加え、実施例及び比較例に示した炭素基材担体触媒又は遊離の触媒微粒子を、4−ブロモニトロベンゼンに対して触媒微粒子が0.05mol%に相当する量となるように加え、室温で24時間反応させ、生成物の収率を測定した。
Figure 2010269284
Figure 2010269284
表1から分かるように、樹脂を活性化処理せずに炭化して非表面積2〜200m/gとした炭素基材担体触媒は、触媒回収率、触媒能力を両方共にバランス良く有するものであり、触媒反応に使用した後、回収操作、触媒の再利用を行う場合に、触媒反応を極めて効率良く行うことができるため、化学反応を行う際のトータルコストを抑制することができる。

Claims (7)

  1. 触媒活性を有する微粒子を、樹脂粒子の表面に吸着及び/又は分散・保持させた触媒担持樹脂粒子を炭化処理してなる炭素基材担体触媒の製造方法であって、
    前記炭化処理により得られる炭素基材担体の比表面積が10〜200m/gであり、その後活性化処理を行わないことを特徴とする炭素基材担体触媒の製造方法。
  2. 前記触媒担持樹脂粒子が、重合法により得られたものであることを特徴とする請求項1記載の炭素基材担体触媒の製造方法。
  3. 前記触媒活性を有する微粒子が、金属、金属酸化物及び有機金属化合物から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1又は2記載の炭素基材担体触媒の製造方法。
  4. 前記金属、金属酸化物及び有機金属化合物における金属が、貴金属又は貴金属を含む合金であることを特徴とする請求項3記載の炭素基材担体触媒の製造方法。
  5. 前記貴金属又は貴金属を含む合金における貴金属が、パラジウムであることを特徴とする請求項4に記載の炭素基材担体触媒の製造方法。
  6. 前記樹脂粒子の体積平均粒径が1〜1000μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の炭素基材担体触媒の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の炭素基材担体触媒の製造方法により製造された炭素基材担体触媒。
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