JP2010265250A - 除草液剤の飛散防止技術 - Google Patents
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Abstract
【課題】除草剤の飛散を防止して対象外作物への残留、および薬害を軽減すると共に効果を安定させる技術を提供する。
【解決手段】グルホシネートアンモニウムにポリアクリル酸ナトリウムを添加して散布溶液の粘度を上昇させ、飛散防止を図ると同時に界面活性剤によって効果の安定を可能にする。
【選択図】なし
【解決手段】グルホシネートアンモニウムにポリアクリル酸ナトリウムを添加して散布溶液の粘度を上昇させ、飛散防止を図ると同時に界面活性剤によって効果の安定を可能にする。
【選択図】なし
Description
農薬の飛散による薬害および作物残留の防止技術に関する。
水を希釈媒体とする農薬の散布は対象外の地域まで薬剤が飛散する危険性を伴う。一方、効果を安定させるには均一で十分量の農薬が対象に付着することが必要である。従って、農薬本来の目的を減じることなく、飛散を軽減し、作物への薬害や残留を防止するいくつかの技術が利用されている。例えば、希釈農薬の散布時に水滴を大きくするノズルを用いる、もしくは泡立ちの大きな界面活性剤を併用して霧状の水滴をなくす、もしくは水溶性高分子化合物を水に溶解させて粘度を上げて希釈農薬散布時の水滴を大きくするなどの方法が用いられている。
水溶性高分子を利用する方法は、高分子量のポリアクリル酸ナトリウムが有する低濃度で粘度の高い水溶液を作る性質を利用するものであり、農薬を航空散布する場合の飛散防止剤として用いられている。
水溶性高分子を利用する方法は、高分子量のポリアクリル酸ナトリウムが有する低濃度で粘度の高い水溶液を作る性質を利用するものであり、農薬を航空散布する場合の飛散防止剤として用いられている。
グルホシネートは、アンモニウム塩に調製され、除草用水溶液として市販されている。その多くは、高濃度品であり使用時に水で希釈して雑草に散布し、非選択的かつ速効的に植物を枯死せしめる。土壌に落下後、容易に微生物の分解を受けるため処理後直ちに作物を植えつけることができるなどの特徴を持っていることから広く用いられている。
水で希釈した農薬を散布する場合、発生する微細な水滴を防止することは重要な技術と考えられる。対象作物に農薬を散布した場合であっても、近接する対象外作物に飛散して使用が許されていない農薬が検出される残留農薬の問題、もしくは除草剤の飛散による近傍作物への薬害などは、栽培作物の多様化や農業生産場面への居住環境の接近によって増加している。除草剤であるグルホシネートは、非選択で同時に速効的な優れた特徴を持っている。反面、飛散により作物に薬害を起こしやすいという問題を抱えている。また、既存の農薬飛散の防止技術にも課題がある。飛散が少なく、そのまま散布できる微粒剤、粒剤は、薬剤の処理費用が大きい。もしくは、泡状散布の場合は散布領域が狭いなどの問題を抱えている。従って、高濃度の農薬を水で希釈して散布する技術は使用場所、製剤費用、輸送費用を考慮すれば今後も不可欠の技術と判断される。
現在、農薬の飛散防止を目的として唯一農薬登録されているポリアクリル酸ナトリウム2%液(商品名アロンA 東亞合成株式会社製品 以下アロンA剤と言う)は航空散布用に限られ、一般の農耕地場面で使用することはできない。また、アロンA剤をグルホシネートに混合した場合、溶液の分離を起こす。従って、求める希釈倍率で散布した時、飛散しないために必要な粘度をもたらすと同時に取り扱いが容易な一体型のグルホシネート剤が求められる。工業的に生産され低濃度で水溶液に増粘効果をもたらす化合物としてポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、また、ポリアクリルアミドポリアクリル酸共重合体ナトリウム塩がよく知られている。ポリアクリルアミドは、毒性の高い未反応モノマー、すなわちアクリルアミドを混在する危険性があることから作物に使用するには問題がある。一方、ポリアクリル酸ナトリウムは、吸水剤、生理用品、化粧品、食品添加物等、身近で広範な用途に利用される安全性の高い物質である。
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液の粘度は、ポリアクリル酸ナトリウムの分子量、濃度、分子量分布、温度、共存するイオン、およびpHで変化する。市販されているポリアクリル酸ナトリウムを市販のグルホシネート剤(商品名、バスタ液剤 グルホシネートアンモニウム18.5%液剤 バイエルクロップサイエンス社商品)に適度な粘度を与えるポリアクリル酸ナトリウムを添加すると溶液が分離する。しかし、グルホシネートアンモニウムを用いて、添加する界面活性剤を選択すれば溶液の分離が解消しうることを見出した。
同時に、飛散防止を目的に水滴を大きくすることは反面、散布むらの発生を促す。この散布むらを防ぎ、除草効果を安定させるためには界面活性剤を加用する必要がある。使用する界面活性剤としては農薬などの製剤で汎用されている各種の界面活性剤を用いることができる。例えば、非イオン系界面活性剤として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。陰イオン界面活性剤として、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。陽イオン界面活性剤として、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられ、両性界面活性剤として、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。また、界面活性剤の量、特性からポリアクリル酸ナトリウムと混合した場合、白濁、もしくは溶液の分離を引き起こす場合がある。調製には、グルホシネートアンモニウム濃度、界面活性剤の種類、もしくは界面活性剤の対イオン種、濃度などに留意が必要である。これら各種界面活性剤の中で、両性イオン物質であるグルホシネートと同様の化学的性質を有する両性界面活性剤は特に調整が容易である。また、両面活性剤に性質の異なる界面活性剤を混合して用いることもできる。
最も広く使われている希釈用グルホシネートアンモニウムの濃度は、18.5%であり、希釈倍率は100倍から500倍と広範囲にわたっている。希釈倍率が小さい場合は、粘度が高くなり散布面積が狭小になり、希釈倍率が大きい場合は、粘度が高まらず飛散防止効果を期待できない。従って、ポリアクリル酸ナトリウムの含有率は、散布時の飛散防止効果が適度に期待できる数百ppmを考慮した濃度調整が必要になる。具体的には、グルホシネートアンモニウムに対して1/3〜1/15重量比のポリアクリル酸ナトリウムを添加する。また、同時に添加する界面活性剤も、希釈時において一般的に界面活性剤が能力を示すとされる数百ppmを基準に調整することが望ましい。
除草剤であるグルホシネートアンモニウムにポリアクリル酸ナトリウムを混合することによって散布時の飛散を防止し、農薬の対象外作物への残留、および薬害を軽減させる。
(試験例1)ポリアクリル酸ナトリウム混合の影響
市販のグルホシネートアンモニウム18.5%液剤40.5gに、ポリアクリル酸ナトリウム20%水溶液(商品名ビスコメートSL−140Y 昭和電工株式会社製品)の所定量を混合して、グルホシネートアンモニウム15%溶液50gを調製した。5℃で24時間放置後に状態を観察後、分離が認められなかった溶液は水で100倍に希釈して散布器(丸山製作所社製 ラウンドバッテリースプレーMSB10−RH、およびスプレ−イングシステムジャパン株式会社製 ティージェットノズル噴口8006)を用いて高さ55cmから帯状に散布した。明らかに濡れる散布幅を測定して飛散程度の判定を行った。水の散布幅49.1cmを100として各調製液を3回測定し、平均値を相対散布幅として算出した。その結果を表1に示す。
市販のグルホシネートアンモニウム18.5%液剤40.5gに、ポリアクリル酸ナトリウム20%水溶液(商品名ビスコメートSL−140Y 昭和電工株式会社製品)の所定量を混合して、グルホシネートアンモニウム15%溶液50gを調製した。5℃で24時間放置後に状態を観察後、分離が認められなかった溶液は水で100倍に希釈して散布器(丸山製作所社製 ラウンドバッテリースプレーMSB10−RH、およびスプレ−イングシステムジャパン株式会社製 ティージェットノズル噴口8006)を用いて高さ55cmから帯状に散布した。明らかに濡れる散布幅を測定して飛散程度の判定を行った。水の散布幅49.1cmを100として各調製液を3回測定し、平均値を相対散布幅として算出した。その結果を表1に示す。
(試験例2)グルホシネートアンモニウム18.5%、ポリアクリル酸ナトリウム3%、および各種界面活性剤3%混合剤
市販のグルホシネートアンモニウム18.5%液剤を加温減圧下で濃縮する。粘稠な濃縮物に、およそ3倍量のイソプロパノールを加えて75℃で攪拌する。上部に分離する青いイソプロパノール液を除く操作を5回繰り返す。下部の淡い緑色液体を減圧下で濃縮乾固してグルホシネートアンモニウムを得る。このグルホシネートアンモニウム9.5gに、分子量約80万のポリアクリル酸ナトリウム(SNF Floerger社製品)0.75g、分子量約17万のポリアクリル酸ナトリウム30%溶液(DL522 株式会社日本触媒製品)2.5g、界面活性剤の成分量1.5g、混合の場合は各々の成分量0.75g、および水を混合してグルホシネートアンモニウム18.5%を含む薬剤50gを調製した。5℃で24時間放置後の状態を観察した。溶液の分離を生じなかった製剤は試験例1と同様の方法で相対散布幅を算出した。その結果を下記表2に示す。
なお、以下の試験に使用した界面活性剤を下記表3に示す。
市販のグルホシネートアンモニウム18.5%液剤を加温減圧下で濃縮する。粘稠な濃縮物に、およそ3倍量のイソプロパノールを加えて75℃で攪拌する。上部に分離する青いイソプロパノール液を除く操作を5回繰り返す。下部の淡い緑色液体を減圧下で濃縮乾固してグルホシネートアンモニウムを得る。このグルホシネートアンモニウム9.5gに、分子量約80万のポリアクリル酸ナトリウム(SNF Floerger社製品)0.75g、分子量約17万のポリアクリル酸ナトリウム30%溶液(DL522 株式会社日本触媒製品)2.5g、界面活性剤の成分量1.5g、混合の場合は各々の成分量0.75g、および水を混合してグルホシネートアンモニウム18.5%を含む薬剤50gを調製した。5℃で24時間放置後の状態を観察した。溶液の分離を生じなかった製剤は試験例1と同様の方法で相対散布幅を算出した。その結果を下記表2に示す。
なお、以下の試験に使用した界面活性剤を下記表3に示す。
Claims (2)
- グルホシネートアンモニウムに対して重量比1/5から1/15のポリアクリル酸ナトリウムを含む除草用液剤、もしくは除草用懸濁剤。
- グルホシネートアンモニウムに対して重量比1/3から1/15のポリアクリル酸ナトリウム、及び重量比1/3から1/15の両性界面活性剤、もしくは両性界面活性剤にその他の界面活性剤を混合した除草用液剤、もしくは除草用懸濁剤。
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2009
- 2009-05-13 JP JP2009133494A patent/JP2010265250A/ja active Pending
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