JP2010265184A - 免疫賦活剤及びそれを配合した免疫賦活組成物、並びに免疫賦活方法 - Google Patents

免疫賦活剤及びそれを配合した免疫賦活組成物、並びに免疫賦活方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生体の免疫力の促進に著しく優れた特定乳酸菌からなる免疫賦活剤、及びそれを配合した免疫賦活性飼料組成物を提供する。
【解決手段】本発明にかかる免疫賦活剤は、Lactobacillus sakei HS1(FERM P−17617)株に由来する乳酸菌またはその処理物からなることを特徴とする。
また、本発明にかかる免疫賦活組成物は、前記免疫賦活剤0.1〜10mg%を含有することを特徴とする。
また、前記免疫賦活剤は飼料組成物であることが好適である。
【選択図】 なし

Description

本発明は乳酸菌の免疫賦活剤としての用途、特に該免疫賦活剤を配合した飼料組成物に関する。
多くの乳酸菌が食品保存や食品加工の目的で古くから利用されており、乳酸菌はヒトや動物にとって安全で有益な微生物であると認識されている。乳、穀類、野菜などを原料としてチーズやヨーグルト、味噌や醤油、漬物など多くの発酵食品が、乳酸菌を利用して生まれている。
近年、乳酸菌は食品製造に有用であるだけでなく、摂取したヒトに良い影響を与えることが知られ、プロバイオティクス作用に関する多くの研究がなされている。乳酸菌については、腸内菌叢の改善やコレステロールの低下作用などが報告されてきたが、最近は特にその免疫賦活作用が注目されており、これに関連してアレルギー低減作用、抗ウイルス作用、感染防御作用が検討されている。
免疫は多細胞生物において異種生物の排除を目的に獲得された機能であり、自己と異なる抗原の認識、補体や抗体による不活性化、食細胞による破壊、感染細胞のアポトーシス誘導などにより異物を排除する。免疫は自然免疫と適応免疫に大別されるが、後者は補体や食細胞などの自然免疫で病原体が排除されず感染巣が形成された場合に発動される。
微生物やウイルスに進入された場合、最初にそれを認識する細胞はマクロファージや樹状細胞であり、それらの細胞はToll-like receptor(TLR)をはじめとして多くのレセプターを発現している。TLRは微生物の特異なRAMPs(pathogen-associated molecular patterns)を認識し、免疫反応を誘導する。乳酸菌などグラム陽性菌の細胞壁は自然免疫を刺激し、PAMPsとしてペプチドグルカン、リポテイコ酸を含み、それぞれTLR2、TLR2とTLR6との複合体によって認識される。TLRの刺激はMyD88分子を介してNF-κBを活性化し、IL-12やインターフェロンα、βの産生を誘導してNK細胞など他の免疫担当細胞を活性化する。また、TLR4は大腸菌などグラム陰性菌のリポ多糖体(LPS)を認識し、NF-κBを活性化してTNF-αやIL-6を産生する。
マクロファージはFcレセプター、補体レセプター、マンノースレセプター、スカベンジャーレセプターを介して微生物を認識し貪食する自然免疫の代表的な細胞である。貪食された微生物はファゴソーム(phagosome)に運ばれ、ファゴソームにリソソーム(lysosome)が融合してファゴリソソームとなり、その中で微生物は活性酸素や酸化窒素(NO)及び分解酵素で処分される。貪食作用はマクロファージの活性化状態によって影響され、非活性化状態のマクロファージでは貪食能や抗原提示能が低い。様々な刺激を受けてマクロファージは活性化されるが、活性化にはいくつかの段階があり、例えば、腫瘍細胞破壊作用を誘導する場合、IFN-γの刺激のみでは不足で活性化準備状態(primed macrophage)にとどまり、活性化準備状態のマクロファージにLPSを投与することで初めて腫瘍細胞破壊作用が誘導される。活性化されたマクロファージは貪食能の昂進、殺菌成分の分泌、サイトカインの産生などを介して異物を排除し適応免疫を誘導する。
一酸化窒素(NO)は重要な殺菌分子であり、iNOSの発現を通じて一時的に産生されることから、NOの産生はマクロファージが活性化している状態とみなすことができる。マクロファージ様細胞株を使用した場合、NOの産生は培地中の亜硝酸イオンとして検出することができる。Tejada-Simonらは、マクロファージ細胞株であるRAW264.7を用いてLactobacillus sp.やStreptcoccus sp.などに属する乳酸菌の加熱殺菌菌体がNO産生を誘導することを示している。
このようなマクロファージの活性化に係る乳酸菌の報告として、例えば、非特許文献1には、ブタ由来の腸官系乳酸菌の一種であるBifidobacterium thermophilumのペプチドグリカンが哺乳類をはじめ、鳥類・魚類などの下等な免疫担当細胞をも賦活化することを示し、その応答機構として、経口投与された該ペプチドグリカンがM細胞に取り込まれ、マクロファージ等の抗原提示細胞にその情報が伝達され、免疫応答能が連鎖的に反応を繰返す結果、生体内における免疫系そのものが増強されることが示唆されている。
また、ウシ等の飼料に用いられるサイレージの製造に用いられる乳酸菌についても、家畜の免疫賦活作用への応用が期待されている。本来、サイレージは飼料となる草を長期保存する手段として、草に付着する乳酸菌の発酵能を利用したものであるが、畜産動物の免疫力が生産性を大きく左右する畜産分野においては、上記のような乳酸菌の免疫賦活作用を踏まえた、様々な乳酸菌配合飼料の開発が積極的に行われている。
例えば、特定の乳酸菌の免疫促進能を示すものとして、Lactbacillus plantarum(特許文献1)、Lactbacillus gasseri(特許文献2)、Lactbacillus paracasei(特許文献3)を含有する飼料が報告されている。
特開2000−262247号公報 特許第3648233号公報 特開2005−21156号公報
乳酸菌の科学と技術 学会出版センター p.77〜106
しかしながら、乳酸菌の示す免疫賦活効果にはその菌種によって生体への作用、賦活効果の高さにばらつきがあり、これらについて総合的に優れた乳酸菌が求められていた。特に、乳酸菌を配合した飼料に関しては、家畜の生存率改善へ十分に寄与し得る免疫賦活効果を得るには至っておらず、その組成や投与方法には依然改善の余地が残されている。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、生体の免疫力の促進に著しく優れた特定乳酸菌からなる免疫賦活剤及びそれを配合した免疫賦活組成物、並びに飼料組成物と、免疫賦活方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らが鋭意研究を行った結果、Lactobacillus sakeiに属する特定乳酸菌が極めて高い免疫賦活効果を有することを見出した。さらに、前記乳酸菌を少量投与したマクロファージが活性化準備状態とし、該マクロファージへグラム陰性菌の死菌体またはリポ多糖体を作用させることによって、マクロファージを著しく活性化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる免疫賦活剤は、Lactobacillus sakei HS1(FERM P−17617)株に由来する乳酸菌またはその処理物からなる。
また、本発明にかかる免疫賦活組成物は、前記免疫賦活剤0.1〜10mg%を含有することを特徴とする。
また、前記免疫賦活組成物は、飼料組成物であることが好適である。
さらに、本発明にかかる免疫賦活方法は、Lactobacillus sakei HS1(FERM P−17617)株に由来する乳酸菌またはその処理物を、菌体乾燥重量として0.1〜100mg/kg投与する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる免疫賦活方法は、 Lactobacillus sakei HS1(FERM P−17617)株に由来する乳酸菌またはその処理物と、
グラム陰性菌の死菌体と、
を投与することを特徴とする。
本発明によれば、生体の免疫力の促進に優れた免疫賦活剤を得ることができる。また、該免疫賦活剤を配合した飼料組成物は、対象の免疫力、すなわち病原菌への抵抗性を著しく賦活して、家畜等の生産性を向上せしめる。
本発明の免疫賦活剤を投与したマウスの生残率を示すグラフである。 Lactobacillus sakei HS1、微生物菌体、リポ多糖体によるマクロファージの活性化を比較したグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明にかかる免疫賦活剤であるLactobacillus sakei HS1は、キムチから分離された乳酸菌L.sakeiに属し、寄託番号FERM P−17617として独立行政法人産業技術総合研究所特許微生物寄託センターに寄託されている。Lactobacillus sakei HS1の同定及び培養方法については、該乳酸菌を漬物用野菜に添加し、発酵させた発酵漬物を開示する「特許第3091196号」に詳しい。なお、Lactobacillus sakei HS1は、漬物の食味を向上させる乳酸菌として知られているが、プロバイオティクスとしての評価は行なわれていない。
まず、Lactobacillus sakei HS1の菌学的性質を以下に示す。
A.形態的性状
細胞形態 桿菌
大きさ 0.8×2〜3μm
グラム染色性 陽性
B.生理学的性状(+:陽性、−:陰性)
15℃での生育 +
45℃での生育 −
6.5%食塩存在下での生育 +
pH4での生育 −
pH5での生育 +
発酵形式 ホモ
生成乳酸異性体タイプ DL
酢酸存在下での乳酸異性体タイプ L
ペプチドグリカンの型 非DAP
C.糖類発酵性(+:陽性、−:陰性)
アラビノース +
リボース +
キシロース −
フラクトース +
マンノース +
ラクトース +
シュクロース +
トレハロース +
ラフィノース −
マンニトール −
ソルビトール −
グルコン酸ナトリウム +
マルトース +
ガラクトース +
メリビオース +
Lactobacillus sakei HS1の培養は、一般的な乳酸菌の培養方法、ないしは特許第3091196号に記載される方法により行なうことができる。一般的な培養方法としては、例えば、MRS培地やGYP培地等の合成培地ないしは半合成培地を用い、培養温度を10〜15℃、pHを5〜7に保持しながら静地培養することが挙げられる。このような培養方法により、2〜3日で菌数10〜1011程度のLactobacillus sakei HS1を得ることができる。
また、漬物用スターターとして市販されるLactobacillus sakei HS1乳酸菌を用いてもよい。
本発明にかかる免疫賦活剤は、Lactobacillus sakei HS1の菌体、またはその処理物からなる。Lactobacillus sakei HS1の免疫賦活能は、加熱等によって菌を不活化しても損なわれない。そのため発明においては、前記乳酸菌の生菌及び死菌のいずれを用いることも可能である。また、本発明に使用するLactobacillus sakei HS1は、目的とする免疫賦活能を有する限りどのような形態であってもよく、例えば、培養した生菌を培地等から分離して用いる他、培地成分や生成物を含む培養物または培養残渣として用いることもできる。
前記乳酸菌の処理物としては、菌の破砕物、濃縮物、ペースト化物、乾燥物、液状物、希釈物、殺菌物などが挙げられる。本発明においては、処理の容易性や製剤としての使用性から、特に乾燥物が好ましい。前記乾燥物は、例えば、加熱乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、マイクロ波乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等によって菌を乾燥処理することにより得られ、より好ましくは加熱乾燥、凍結乾燥物である。
なお、本発明にかかる免疫賦活剤における菌体数は、生菌・死菌とも10〜1012個/g、好ましくは10〜10個/gである。
本発明にかかる免疫賦活剤は、経口ないし非経口的に生体内へ投与することにより、生体中に広く分布するマクロファージを直接的に活性化してその非特異的貪食機能を増強し、生体の免疫機能は向上せしめる。前記免疫賦活剤を構成するLactobacillus sakei HS1は、免疫賦活作用が知られた他の乳酸菌に比べ極めて高い効果を有する。
本発明にかかる免疫賦活剤が体内の有害菌に対する十分な効果を発揮するための投与量は、投与対象にもよるが、菌体乾燥重量として1日あたり0.1〜100mg/kg、好ましくは1〜100mg/kgである。
また、本発明は、次の実施形態により使用することもできる。
免疫賦活剤であるLactobacillus sakei HS1の菌体またはその処理物を対象へ少量投与し、体内の非活性状態のマクロファージを活性準備状態へ遷移させる。この際のLactobacillus sakei HS1の投与量は、菌体乾燥重量として0.01〜10mg/kg程度、すなわち、HS1によりマクロファージを活性化させる場合の約1/10の量で足る。
活性準備状態のマクロファージには、活性状態にみられる亜硝酸の産生はほとんど認められず、非活性状態との一見した差異はない。しかしながら、Lactobacillus sakei HS1の投与と同時、または投与から1〜24時間後にグラム陰性菌の死菌体を同対象へ少量投与することによって、活性準備状態にあったマクロファージは急速に、しかも通常よりも高レベルに活性化される。
本発明において前記グラム陰性菌は、外膜にリポ多糖体を有し、且つ腸内常在菌であることが好ましく、例えば、E.coliまたはE.aerogenes等が挙げられる。これらの菌体は、加熱等によって完全に殺菌された死菌体を用いることができる。死菌体には、さらに破砕等の処理を施すことも可能であるが、マクロファージの活性にかかるリポ多糖体を処理物中に残存させておく必要がある。グラム陰性菌の死菌体の投与量は、菌体乾燥重量として0.001〜1mg/kg程度とすることが好ましい。
また、前記グラム陰性菌の死菌体に替えて、前記死菌体相当量の精製リポ多糖体を用いてもよい。
上記実施形態における各製剤の投与は、経口及び非経口のどちらの経路を用いることも可能であり、Lactobacillus sakei HS1と、グラム陰性菌の死菌体またはリポ多糖体とを一緒に投与することも、別々に投与することも可能である。
Lactobacillus sakei HS1からなる本発明の免疫賦活剤は、該製剤を単独で用いる他、食品、健康食品、医薬品等へ配合し、免疫賦活組成物として用いることができる。なお、Lactobacillus sakei HS1は従来漬物に生息する乳酸菌であることから、食品等へ配合して経口摂取することについて、特に安全上の問題はないと考えられる。また、本発明の免疫賦活剤を注射剤や外用剤基材等に適宜配合し、非経口により摂取することも可能である。
免疫賦活組成物における免疫賦活剤の配合量は、投与対象の種類、大きさ、年齢等に応じ、前述した免疫賦活剤の投与量に準じて決定することができる。一般に、本発明にかかる免疫賦活剤を有効成分とする場合、該免疫賦活剤を組成物に対して0.1〜10mg%配合することが好ましい。配合量があまりに少量であると、十分な免疫賦活作用を得ることができないことがあり、過剰に配合しても一定以上の効果を得ることはできない。
本発明にかかる免疫賦活組成物には、上記以外にも本発明の効果を損ねない範囲で食品、健康食品、医薬品等に用いられる各種成分を適宜配合することができ、組成物の剤形についても特に制限されない。
特に、本発明にかかる免疫賦活組成物は、飼料成分を配合し、免疫賦活性を有する飼料組成物とすることが好ましい。本発明にかかる免疫賦活剤は、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等の哺乳類の他、魚類、鳥類、昆虫類などにも有効であるため、投与対象により飼料成分を調整することによってあらゆる生体に有効な免疫賦活組成物を得ることができる。
前記飼料成分としては、例えば、動物由来成分として家畜(例えばウシ、ブタ、ニワトリ及びヒツジ等)及び魚介類(例えばマグロ、カツオ、アジ、イワシ、ヒラメ、サンマ、エビ、タコ、ホタテ等)から得た肉、皮、骨、臓器、卵、血液、乳、動物性脂肪等の生体組織、その乾燥粉末、又はそれらの加工品等が挙げられる。
また、植物由来成分としては、例えば、ニンジン、カボチャ、キャベツ、ピーマン等の野菜類、ゴマ、アーモンド、ケシの実、ヒマワリの実等の種実類、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ等の穀類、ダイズ、インゲン、ソラマメ等の豆類、ジャガイモ、サツマイモ、コーンスターチ等のデンプン類、ダイズ油、ゴマ油等の植物性油脂類、ミカン、リンゴ、カキ等の果実類、エノキ、シイタケ、シメジ等の菌糸類、ワカメ、コンブ、クロレラ等の藻類、牧草等から得られる植物組織やその粉末、又はそれらの加工品等が挙げられる。
また、本発明にかかる飼料組成物には、上記成分に加え、発色剤、着色料、香料、甘味料、保存料、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、調味料、増粘剤、膨張剤、消泡剤、結着剤、栄養強化剤等の飼料組成物に通常用いられる添加物を適宜配合することができる。
さらに、本発明の飼料組成物は、その剤型についても特に制限はなく、投与対象等に応じて、固形状、ペレット状、液状、ペースト状、顆粒状、粉状、フレーク状等、いずれを適用することもできる。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれに制限されない。なお、配合量は特に記載のない限り、全て重量%で示す。
本発明の免疫賦活剤を用い、マウスの大腸菌に対する感染抵抗性試験を行った。
<菌の調製例>
Lactobacillus sakei HS1株をGYP培地(蒸留水100mLにグルコース1g、酵母エキス1g、ペプトン0.5g、酢酸ナトリウム0.2g、塩類溶液0.5mL、ツイーン80溶液1mLを加えてオートクレーブ殺菌する)に接種し、30℃で2日間培養した。
増殖した菌体を遠心分離して集菌し、さらにリン酸緩衝液(PBS)を加えて遠心分離後、分離した菌体をPBSにて2回洗浄した。洗浄した菌体に0.05%ツイーン20含有PBSを加え、沸騰水中で15分間の加熱処理を施し、放冷後PBSで3回洗浄して凍結した。その後、凍結乾燥機を用いて凍結乾燥(乾燥温度35℃)し、乾燥菌体粉末を得た。
<試験方法>
自由給水、自由給餌にて2日間の予備飼育(飼育温度24±3℃、相対湿度55±5%)を行った29日齢の雄ICR系マウス40匹を10匹ずつ4群に分け、各群のマウスに下記試料を腹腔内投与した。
試験群1:上記乾燥菌体粉末を2500μg/mL含むPBS懸濁液を0.5mL/匹。
試験群2:上記乾燥菌体粉末を500μg/mL含むPBS懸濁液を0.5mL/匹。
試験群3:上記乾燥菌体粉末を50μg/mL含むPBS懸濁液を0.5mL/匹。
対照群:上記乾燥菌体粉末無添加のPBSを0.5mL/匹。
上記試料投与の3日後に、上記と同じ試料を各群へ再度腹腔内投与した。この投与の翌日に、全群へ大腸菌(全農家畜衛生研究所E.coli72-5)のPBS希釈液(10CFU/mL)0.5mLを腹腔内投与し、予備飼育と同様の環境で7日間飼育して経過を観察した。各群のマウス生残数の推移を表1、大腸菌投与後の各群の生存率を図1に示す。
Figure 2010265184
表1及び図1に示すとおり、PBSを投与した対照群においては、大腸菌の投与後1日で80%のマウスが死亡したが、Lactobacillus sakei HS1懸濁液を投与した試験群1〜3はいずれも生残数が高く、試験群1及び2においては100%の生残率を示した。また、3日目の試料投与から大腸菌投与までの期間(3〜6日目)においては全てのマウスが生残していたことから、Lactobacillus sakei HS1の生体への投与に関して、その安全性が確認された。
以上の結果から、Lactobacillus sakei HS1が、対象の大腸菌に対する感染抵抗性を著しく向上させたことが分かる。すなわち、Lactobacillus sakei HS1は、免疫機構を極めて強く賦活させる作用を有することが認められた。
また、Lactobacillus sakei HS1の死菌にこのような作用が認められたことから、Lactobacillus sakei HS1を構成するペプチドグリカン等の成分が、生体内においてある種の抗原として認識され、大腸菌感染を防御するIgA等の免疫グロブリンの産生を促進しているものと推測される。
次に、Lactobacillus sakei HS1、微生物菌体、リポ多糖体によるマクロファージの活性化について検討した。使用したLactobacillus sakei HS1の調製は前述の例に従って乾燥菌体粉末としたものを用いた。グラム陰性菌及びリポ多糖体は以下のとおり準備した。
グラム陰性菌及びリポ多糖体(LPS)
乳酸菌はGYP培地を用いて30℃で2日間培養し、グラム陰性菌(Escherichia Coli ATCC11775、Enterobacter aerogenes ATCC13048)はLB培地を用いて37℃で2日間培養した。遠心分離して集菌した微生物は沸騰水中で30分間加熱殺菌後、凍結乾燥した。
リポ多糖体は、和光純薬・大腸菌由来LPSを使用した。
マクロファージの培養と活性化試験
マクロファージ細胞株J774.1(理研 BRC Cell Bank RCB0434)は10%の非動化FBS(Sigma)と50μg/mlのストレプトマイシン、ペニシリンを加えたPRMI1640培地を用い、37℃、5%炭酸ガス−95%大気条件下で培養した。マクロファージ活性化試験は24穴の培養プレート(Falcon)の1穴ごとに2×10/mlの細胞を1mlずつ加えて2日間培養してコンフルエントとした後、古い培地を除去して新しい培地0.9mlと、下記試料をそれぞれPBSに懸濁して0.1mlとしたものを加えて行なった。培養24時間後の上清中の亜硝酸濃度(μM)をグリース試薬で分析した。
試料は、Lactobacillus sakei HS1の前記調製例による乾燥菌体粉末を1μg、10μg、100μg、ATCC11775(E.Coli)を0.1μg、1μg、LPSを1ng、10ngとし、PBSのみとした例を対照例とした。結果を図2に示す。
図2に示すとおり、本試験において、マクロファージの活性化には、HS1で100μg、E.coliで1μg、LPSで10ngを要した。HS1を1μgまたは10μg添加した例、E.coliを0.1μg添加した例、LPSを10ng添加した例においては、マクロファージの活性化は認められなかった。なお、それぞれの有効量においては、HS1が優れたマクロファージ活性化能を示した。
続いて、前記試験によりマクロファージ活性化能を有することが明らかになった成分について、その相乗効果を検討するため下記試験を行った。
乳酸菌で刺激したマクロファージの低レベル大腸菌等による活性化
前述のマクロファージJ774.1の培養時に10μgのLactobacillus sakei HS1を添加して24時間培養後、培地を取り替えると共にATCC11775(E.Coli)0.1μg、ATCC13048(E.aerogenes)1μg、またはLPS1ngを加えた。その後さらに24時間培養し、上清中の亜硝酸濃度(μM)をグリース試薬で分析した。なお、対照として、HS1に代えてPBSを添加した例も行なった。
(表2)
亜硝酸濃度(μM)
前処理 E.coli E.aerogenes LPS
PBS(対照例) 0.7 0.7 0.6
HS1 10μg 8.8 15 11.5
表2に示すとおり、図2においてマクロファージ活性化の有効量に満たなかった量の
Lactobacillus sakei HS1と、グラム陰性菌(死菌)またはリポ多糖体(LPS)とを組み合わせて投与することにより、マクロファージが著しく活性化されることが明らかになった。これは、先に添加された少量のHS1によってマクロファージが刺激されて活性化準備状態となったため、少量のグラム陰性菌またはLPSの添加で著しいマクロファージの活性化が成ったものと考えられる。
したがって、本発明にかかる免疫賦活方法において、Lactobacillus sakei HS1(FERM P−17617)株に由来する乳酸菌またはその処理物を低濃度で投与する工程と、前記工程と同時または前記工程後に、グラム陰性菌の死菌体またはリポ多糖体を低濃度で投与する工程とを含むことが好適である。
さらに、本発明により活性化したマクロファージの貪食能を下記方法で評価した。
活性化マクロファージの貪食能の評価
前述のマクロファージ細胞の培養において、培地へ生きている大腸菌を加えた際にマクロファージに捕らえられた大腸菌数を計測した。24穴プレートを用い、上記マクロファージ活性化試験と同様にマクロファージを培養した。対照の非活性マクロファージはPBSを、活性化マクロファージは10μgのHS1と、0.1μgのATCC11775(E.coli)殺菌菌体を添加し1日培養して調製した。古い培地を除去後、前もってPBSで調製しておいた生きているE.coliを各穴に6×10となるように添加し、マクロファージと大腸菌との接触を増やすため遠心(1000rpm×5min)をした。30分間炭酸ガスインキュベーターに放置後、上清を捨て、残っているマクロファージ細胞に1mlのPBSを加えてピペッティングで細胞を取り出し、常法により大腸菌数を測定して結合大腸菌数とした。試験は対照群12穴、試験群12穴として2回繰り返した。結果を下記表3に示す。
(表3)
マクロファージの状態 結合大腸菌数(CFU/ml)
非活性化 6.7±1.7×10
活性化 1.9±0.3×10
活性化:加熱殺菌したHS1 10μgとE.coli 0.1μgを添加して1日培養
非活性化:微生物菌体のかわりにPBSを添加して1日培養
マクロファージJ774.1の培養時に乳酸菌HS1と大腸菌の加熱菌体を添加して活性化させたマクロファージは、非活性状態のマクロファージに比べてほぼ3倍量の生きている大腸菌を結合した。活性化によって微生物結合レセプターの増加、貪食能の亢進が生じたものと考えられる。

Claims (5)

  1. Lactobacillus sakei HS1(FERM P−17617)株に由来する乳酸菌またはその処理物からなる免疫賦活剤。
  2. 請求項1に記載の免疫賦活剤0.1〜10mg%を含有することを特徴とする免疫賦活組成物。
  3. 飼料組成物であることを特徴とする請求項2に記載の免疫賦活組成物。
  4. Lactobacillus sakei HS1(FERM P−17617)株に由来する乳酸菌またはその処理物を、菌体乾燥重量として0.1〜100mg/kg投与することを特徴とする免疫賦活方法。
  5. Lactobacillus sakei HS1(FERM P−17617)株に由来する乳酸菌またはその処理物と、
    グラム陰性菌の死菌体と、
    を投与することを特徴とする免疫賦活方法。
JP2009115528A 2009-05-12 2009-05-12 免疫賦活剤及びそれを配合した免疫賦活組成物、並びに免疫賦活方法 Active JP5525180B2 (ja)

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