実施の形態1.
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成出力のために搬送される用紙の特性を監視し、ひとまとまりの文書の出力の最中に用紙の特性が変化した場合に、出力を中断する機能を有する画像形成装置を例として説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)2、RAM(Random Access Memory)3、ROM(Read Only Memory)4、エンジン5、HDD(Hard Disk Drive)6及びI/F7がバスBを介して接続されている。また、I/F7にはLCD(Liquid Crystal Display)8及び操作部9が接続されている。
CPU2は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM3は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU2が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM4は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン5は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
HDD6は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F7は、バスBと各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD8は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部9は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM4やHDD6若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM3に読み出され、CPU2の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置1は、プリントエンジン100、給紙テーブル200、スキャナユニット300及びADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)400を有する。プリントエンジン100は、用紙に対してプリントを実行する画像形成部である。プリントエンジン100は、中央に中間転写ユニットを備え、中間転写ユニットは無端ベルトである中間転写ベルト10を有する。
中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14〜16に掛け廻されており、時計廻りに回動駆動される。第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニングユニット17が設けられている。第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間の中間転写ベルト10のベルト面に対向して作像ユニット20が設けられている。作像ユニット20は、中間転写ベルト10の移動方向に沿って、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のプロセスカートリッジ18を備える。
プロセスカートリッジ18は、各色毎に感光ドラム、トナー(顕色剤)ボトル及び感光体クリーニングユニット等を有する。また、作像ユニット20において、プロセスカートリッジ18の周辺には、帯電ユニット、現像ユニット等が配されている。感光体クリーニングユニットは、感光ドラムから剥離されたトナーを一時的に溜めておく感光体廃トナーボトルを有する。作像ユニット20の上方には、各色感光体ユニットの各感光ドラムに画像形成のためのレーザ光を照射する書き込みユニット21が設けられている。
中間転写ベルト10の下方には、2次転写ユニット22が設けられている。2次転写ユニット22は、2つのローラ23間に無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡し、中間転写ベルト10を押し上げて第3の支持ローラ16に押当てるように配置されている。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10上の画像を用紙上に転写する。2次転写ユニット22の横には、用紙上の転写画像を定着する定着ユニット25が設けられており、トナー像(顕色剤画像)が転写された用紙がそこに送り込まれる。
定着ユニット25は、無端ベルトである定着ベルト26に定着ローラ27を押し当てたものである。この他、定着ローラ27のためのヒータ(加熱部)等も含まれる。2次転写ユニット22および定着ユニット25の下方にはシート反転ユニット28が設けられている。シート反転ユニット28は、表面に画像を形成した直後の用紙の裏面にも画像を記録するために、表裏を反転して送り出す。
画像形成装置1の操作部となるディスプレイパネル(図2において不図示)において、スタートスイッチが押されると、ADF400の原稿給紙台30上に原稿があるときは、それをコンタクトガラス32上に搬送する。ADF400に原稿が無いときにはコンタクトガラス32上の手置きの原稿を読むために、スキャナユニット300のスキャナを駆動し、第1キャリッジ33および第2キャリッジ34を、読み取り走査駆動する。
原稿の読み取り動作においては、第1キャリッジ33上の光源がコンタクトガラスに光を発射する。原稿面からの反射光は、第1キャリッジ33上の第1ミラーが反射して第2キャリッジ34に向け、更に第2キャリッジ34上のミラーが反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサであるCCD(Charge Coupled Devices)36に結像する。CCD36で得た画像信号に基づいてK,Y,M,C各色記録データが生成される。
また、スタートスイッチが押されたときに、中間転写ベルト10の回動駆動が開始されるとともに、作像ユニット20に含まれるプロセスカートリッジ18の作像準備が開始される。そして各色の作像シーケンスが開始されると、各色用の感光ドラムに各色記録データに基づいて変調された露光レーザが投射され、各色作像プロセスにより各色トナー像が中間転写ベルト10上に一枚の画像として、重ね転写される。
中間転写ベルト10に形成されたトナー画像の先端が2次転写ユニット22と重なる時と同時に、画像形成用の用紙の先端が2次転写ユニット22に進入するように、タイミングを合わせて用紙が2次転写ユニット22に送り込まれる。これにより中間転写ベルト10上のトナー像が用紙に転写する。トナー像が移った用紙は定着ユニット25に送り込まれ、定着ユニット25による加熱、加圧処理によりトナー像が用紙に定着される。ここでは中間転写ベルト及び2次転写ベルトの2つの転写ベルトを有する機構を説明したが、一つのベルトで行う事ができる転写機構もある。
画像形成用の用紙は、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転駆動し、給紙ユニット43に多段に備えられた給紙トレイ44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚だけ分離して、搬送コロユニット46に入れ、搬送ローラ47で搬送してプリントエンジン100内の搬送コロユニット48に導き、搬送コロユニット48のレジストローラ49に突き当てて止めてから、前述のタイミングで2次転写ユニット22に送り出される。
手差しトレイ51上に用紙を差し込んで給紙することもできる。ユーザが手差しトレイ51上に用紙を差し込んでいる場合は、プリントエンジン100が給紙ローラ50を回転駆動して手差しトレイ51上のシートの一枚を分離して手差し給紙路53に引き込み、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
用紙の搬送経路においてレジストローラ49の前段には、メディアセンサ19が設けられている。このメディアセンサ19は、通過する用紙の厚さや用紙表面(以降、紙面する)の平滑度等の特性を測定する用紙特性検知部として機能する。メディアセンサ19としては、赤外透過光量検知センサ、正反射光量検知センサ、紙表面凹凸検知センサ、超音波式センサ、電気抵抗検知センサ、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等を用いることが可能である。これらのうちの1つもしくは複数の組み合わせにより、メディアセンサ19が構成され、通過する用紙の特性が検知される。
定着ユニット25で定着処理を受けて排出される用紙は、切換爪55で排出ローラ56に案内され、排紙トレイ57上にスタックされる。他の態様として、切換爪55でシート反転ユニット28に案内され、そこで表裏反転されて再び転写位置へと導かれ、裏面に画像形成された後に排出ローラ56に搬送される。一方、画像転写後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーは、中間転写体クリーニングユニット17で除去され、中間転写ベルト10は再度の画像形成に備える。
レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、用紙の紙粉除去のためにバイアス電圧を印加することも可能である。その際は、例えば導電性ゴムローラを用いバイアスを印加する。この導電性ゴムローラは、直径18mmで、表面を1mm厚みの導電性NBRゴムにより実現可能である。電気抵抗はゴム材の体積抵抗で109Ωcm程度である。
次に、図3を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の制御系について説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1に係る全体構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、図2において説明したものの他、コントローラ101、ネットワークI/F102及びディスプレイパネル103を有する。尚、図3においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ネットワークI/F102は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信する際のインタフェースである。画像形成装置1に印刷出力を実行させるための印刷ジョブは、ネットワークI/F102を介してコントローラ101に入力され、コントローラ101の制御に従って印刷処理が実行される。ディスプレイパネル103は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作する際の入力インタフェースでもある。
コントローラ101は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM4、HDD6、光学ディスク等の不揮発性記憶媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM3にロードされ、CPU2の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ101が構成される。コントローラ101は、夫々の機能別に主制御部111、エンジン制御部112、入出力制御部113及び操作表示制御部114を有する。また、エンジン制御部112は、情報記憶部115を含む。
主制御部111は、コントローラ101に含まれる各制御部全体を制御する役割を担い、他の制御部が受信若しくは生成した信号に基づいてコントローラ101の各部に命令を与える。エンジン制御部112は、プリントエンジン100、給紙テーブル200等の画像形成手段及びスキャナユニット300、ADF400等の画像撮像手段を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担い、主制御部111の命令に従って給紙テーブル200に含まれる給紙ローラ42や搬送ローラ47を駆動し、プリントエンジン100に用紙を搬送すると共に、プリントエンジン100を駆動して用紙に対して画像形成を実行する。
また、エンジン制御部112は、主制御部111の命令に従ってADF400に含まれる原稿給紙台30及び搬送ローラを駆動し、コンタクトガラス32上に読み取り原稿を搬送すると共に、第1キャリッジ33、第2キャリッジ34を駆動してCCD36による読み取り原稿の光学情報を電気信号に変換する。
また、エンジン制御部112は、メディアセンサ19による用紙特性の検知結果を参照する機能を有する。更に、エンジン制御部112に含まれる情報記憶部115は、メディアセンサ19による用紙特性の検知結果に基づいて用紙特性を判断するための基準となる閾値の情報を記憶している。この他、情報記憶部115は、画像形成装置1の動作において用いられる様々な情報を記憶する。情報記憶部115に記憶される情報については後述する。
本実施形態に係る用紙特性および閾値の関係を図4に示す。図4に示す矢印は、メディアセンサ19による検知結果の出力値を示す数直線である。この出力値の単位は、用紙の厚さや紙面の平滑度等、対象とする用紙特性によって異なる。本実施形態に係るエンジン制御部112は、図4に示す“スレッシュ1”、“スレッシュ2”のように、2つの閾値を記憶しており、この2つの閾値により、用紙の特性を“特性1”、“特性2”及び“特性3”の3つの特性に分ける。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の通常動作について説明する。画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部113がネットワークI/F102を介して受信した印刷ジョブを主制御部111に入力する。主制御部111は受信した印刷ジョブをエンジン制御部112に入力する。
エンジン制御部112はプリントエンジン100及び給紙テーブル200を制御し、給紙テーブル200から印刷用紙を引き出してプリントエンジン100に搬送する。また、エンジン制御部112は、印刷ジョブに含まれる画像情報から印刷情報を生成してプリントエンジン100に入力する。プリントエンジン100は、給紙テーブル200から搬送される用紙に対して、エンジン制御部112から入力される印刷情報に従って画像形成を実行する。即ち、エンジン制御部112が画像形成出力を実行する画像形成出力部として機能する。また、プリントエンジン100は、画像形成の終了した用紙を排紙トレイ57に排出する。
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル103の操作に応じて操作表示制御部114が主制御部111に操作信号を送信する。主制御部111は、操作表示制御部114から受信した操作信号に基づき、をエンジン制御部112にスキャンを実行させる。エンジン制御部112は、主制御部111の制御に従い、ADF400を制御してADF400にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット300に搬送させ、スキャナユニット300を制御してスキャナユニット300に含まれるCCD等の撮像素子に原稿を光学的に走査させ、光学情報から画像情報を生成する。
画像形成装置1が複写機として動作する場合、エンジン制御部112は、スキャナユニット300が生成した画像情報を受信する。そして、エンジン制御部112は、スキャナユニット300から受信した画像情報に基づいて印刷情報を生成し、その印刷情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様にプリントエンジン100及び給紙テーブル200を駆動する。
このような画像形成装置1において、本実施形態の要旨は、画像形成出力の際の用紙特性の検知処理及びその検知結果に基づく処理にある。以下、本実施形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置1が画像形成出力を実行する際の動作を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、入出力制御部113が、ネットワークI/F102を介して印刷ジョブを取得し(S501)、主制御部111に入力する。即ち、入出力制御部113が、画像形成出力の実行命令を取得する出力命令取得部として機能する。
主制御部111は、入出力制御部113から入力された印刷ジョブに基づき、エンジン制御部112を制御し、画像形成出力を実行させる。エンジン制御部112が主制御部111の制御に従って画像形成出力を開始すると、まず給紙テーブル200がプリントエンジン100に用紙を給紙する(S502)。用紙が給紙される際、エンジン制御部112は、給紙される用紙に出力IDを付与し、その情報を情報記憶部115に記憶させる。すなわち、エンジン制御部112が用紙群情報取得部として機能する。また、情報記憶部115は、前回の画像形成出力において搬送された用紙に付与された出力IDを記憶している。出力IDについては、後に詳述する。
給紙動作により用紙が搬送されると、エンジン制御部112は、メディアセンサ19の出力値に基づいて用紙特性を判断する(S503)。ここで、図6を参照して、S503における処理の詳細について説明する。図6に示すように、まずエンジン制御部112がメディアセンサ19の出力値を読み込む(S601)。本実施形態においては、メディアセンサ19として用紙の厚さを検知するセンサを設け、用紙の厚さを用紙特性として用いる場合を例とする。そして、エンジン制御部112は、S601において読み込んだ出力結果を、まずスレッシュ1と比較する(S602)。ここで、スレッシュ1とは、図4において説明した閾値である。
S602の比較の結果、メディアセンサ19の出力値がスレッシュ1よりも小さい場合(S602/YES)、図4に示すように、エンジン制御部112は、用紙特性が“特性1”であると判断し(S603)、処理を終了する。他方、S602の比較の結果、メディアセンサ19の出力値がスレッシュ1以上である場合(S602/NO)、次にエンジン制御112は、S601において読み込んだ出力結果をスレッシュ2と比較する(S604)。
S604の比較の結果、メディアセンサ19の出力値がスレッシュ2よりも小さい場合(S604/YES)、図4に示すように、エンジン制御部112は、用紙特性が“特性2”であると判断し(S605)、処理を終了する。S604の比較の結果、メディアセンサ19の出力値がスレッシュ2以上である場合(S604/NO)、エンジン制御部112は、用紙特性が“特性3”であると判断し(S606)、処理を終了する。
このような動作により、図5のS503における用紙特性の判断処理が完了する。エンジン制御部112は、図6に示す処理によって判断した用紙特性、即ち、今回搬送された用紙の用紙特性(以降、今回用紙特性とする)を情報記憶部115に記憶させる。尚、情報記憶部115は、前回の画像形成出力において搬送された用紙の用紙特性(以降、前回用紙特性とする)も記憶している。
用紙特性の判断処理が完了すると、次に、エンジン制御部112は、情報記憶部115に記憶されている再開フラグのON/OFFを確認する(S504)。ここで、図7を参照して、情報記憶部115に記憶されている情報の例を示す。図7に示すように、情報記憶部115には、閾値情報、今回出力ID、前回出力ID、今回用紙特性、前回用紙特性及び再開フラグの情報が記憶されている。エンジン制御部112は、S504において、図7に示す再開フラグのON/OFFを確認する。
図7に示す再開フラグとは、同一の出力IDにおける出力、即ち、同一の用紙群における出力において、用紙特性が異なることにより既に一度出力が中断され、ユーザが再開を選択したことを示すフラグである。再開フラグがONである場合とは、即ち、同一の用紙群において用紙特性が異なることをユーザが許容したことを示す。従って、再開フラグがONである場合には、用紙特性に基づいた出力の中断処理は不要であると判断することができる。尚、エンジン制御部112は、S502において付与する出力IDが、前回出力IDと異なる場合、再開フラグをリセットし、OFFにする。これにより、新しい出力IDにおいては、再度用紙特性の変化の判断が実行される。
S504の判断の結果、再開フラグがOFFであった場合(S504/NO)、エンジン制御部112は、用紙特性の変化の有無を判断する(S505)。ここで、図8を参照して、S505における用紙特性の変化の判断動作について説明する。図8に示すように、まずエンジン制御部112が、今回搬送された用紙の出力ID(以降、今回出力IDとする)と前回搬送された用紙の出力ID(以降、前回出力IDとする)とを比較する(S801)。
ここで、出力IDとは、ひとまとまりの画像形成出力を識別するIDである。換言すると、関連した画像形成出力として処理される用紙の群(以降、用紙群とする)を識別するための用紙群情報である。本実施形態においては、1つの印刷ジョブに係る画像形成出力には同一の出力IDが付される。即ち、本実施形態に係る出力IDは、画像形成出力の実行命令である印刷ジョブを識別する情報である。例えば、1つの印刷ジョブにおいて複数頁の画像形成出力が実行される場合、夫々の頁を形成するための用紙には、同一の出力IDが付される。この出力IDの情報は、エンジン制御部112の情報記憶部115に記憶されている。
エンジン制御部112は、S801において、出力IDに基づいて用紙の特性を監視する範囲を認識する。S801の比較の結果、今回出力IDと前回出力IDとが同一である場合(S801/YES)、エンジン制御部112は、前回搬送された用紙と今回搬送された用紙とは監視の範囲内であるとして、情報記憶部115が記憶している今回用紙特性と前回用紙特性とを比較する(S802)。本実施形態に係る用紙特性は、上述したように“特性1”、“特性2”、“特性3”のように判断される。従って、エンジン制御部112は、S802において、上記判断された特性が一致するか否かを判断する。
S802の比較の結果、今回用紙特性と前回用紙特性とが異なる場合(S802/YES)、今回搬送された用紙が前回搬送された用紙と異なる種類の用紙であると考えられる。従って、そのまま印刷が続行されると、ひとまとまりの文書に異なる種類の用紙が混在することとなる。従って、エンジン制御部112は、印刷を中断する(S803)。即ち、エンジン制御部112が中断制御部として機能する。
エンジン制御部112は、S803において印刷を中断すると、情報記憶部115に記憶されている情報の更新処理を実行する(S804)。ここで、情報記憶部115には、図7に示すような情報が記憶されている。エンジン制御部112は、S804において、今回出力IDの情報をもって前回出力IDの情報を更新する。また、エンジン制御部112は、今回用紙特性の情報もって前回用紙特性の情報を更新する。これにより、次回の処理においては、今回出力ID及び今回用紙特性が、夫々前回出力ID及び前回用紙特性として用いられる。
S801の比較の結果、今回出力IDと前回出力IDとが異なる場合(S801/NO)、前回搬送された用紙と今回搬送された用紙とは異なる用紙群に属するものである。異なる用紙群に属する用紙の用紙特性が異なっていても問題はなく、そのような場合にまで用紙特性の変化を判断する必要はない。また、S802の比較の結果、今回用紙特性と前回用紙特性とが一致した場合(S802/NO)、今回搬送された用紙は前回搬送された用紙と同種の用紙であると考えられるため印刷を続行しても問題ない。これらの場合、エンジン制御部112は、上述したように情報の更新処理を実行し(S804)、用紙特性の判断処理を完了する。
図8において説明した動作により図5のS505の処理を実行した結果、印刷が中断された場合(S506/YES)、エンジン制御部112は、その旨を主制御部111に通知する。すると主制御部111は、操作表示制御部114を制御し、通知及びその後の処理の選択画面をディスプレイパネル103に表示させる(S507)。S507においてディスプレイパネル103に表示される画面の例を図9に示す。
図9に示すように、S507においてディスプレイパネル103に表示される画面には、出力を中断したことを示す通知に加えて、その後の処理として、出力を再開するか、出力をキャンセルするかを選択する選択部が含まれる。即ち、ディスプレイパネル103、操作表示制御部114が、指示入力部として機能する。図9に示される画面において、ユーザが“出力キャンセル”を選択した場合(S508/NO)、エンジン制御部112は、給紙された用紙を排紙し(S511)、処理を終了する。ここで、S511においては、画像が形成された用紙が出力される排紙トレイ57とは別の、パージ用の排紙トレイに用紙が排紙される。これにより、特性の異なる用紙が、既に出力された用紙の上にスタックされてしまうようなことがない。
図9に示される画面において、ユーザが“出力再開”を選択した場合(S508/YES)、エンジン制御部112は、図7において説明した再開フラグを“ON”にし(S509)、出力を再開する。印刷が中断されなかった場合(S506/NO)、若しくは、再開フラグを“ON”にして出力が再開された場合、エンジン制御部112は、S501において取得した印刷ジョブに含まれる頁の画像形成出力をすべて完了したか否か判断する(S510)。
S510の判断において、ジョブが完了していない場合(S510/NO)、エンジン制御部112は、S502からの処理を繰り返す。他方、ジョブが完了した場合(S510/YES)、エンジン制御部112は、そのまま処理を終了する。尚、S504において、再開フラグがONである場合(S504)、用紙特性の判断を再度実行する必要はないため、エンジン制御部112は、S510の処理に進む。このような処理により、本実施形態に係る画像形成装置1の画像形成出力動作が完了する。
このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、画像形成出力の実行に際して搬送される用紙の厚さや紙面の平滑度等を検知し、出力IDが同一で且つ用紙特性が異なる場合に、印刷を中断する。このような処理により、1つの文書を構成する複数の頁に、異なる種類の用紙が混在してしまうことを防ぐことができる。そして、図7に示すように、情報記憶部115に再開フラグを設けることにより、同一の出力ID、即ち用紙群において、種類の異なる用紙での出力が許容された場合は、その用紙群においては、以降用紙特性の異同の判断を省略する。これにより、ユーザが一度許容した用紙特性の変化について、再度判断され、ユーザの利便性が損なわれてしまうことを防ぐことができる。
メディアセンサ19の出力値を直接比較する場合、検知誤差や用紙の個体差によって値が異なり、その結果、同種の用紙であっても、エンジン制御部112が、用紙特性が変化したと判断する可能性がある。これに対して、本実施形態に係るエンジン制御部112は、図4において説明したように、スレッシュ1、スレッシュ2を基準として、メディアセンサ19の出力値が“特性1”、“特性2”、“特性3”のいずれに属するかを判断し、その判断結果に基づいて用紙特性の一致を判断する。このため、上述したメディアセンサ19の検知誤差や用紙の個体差による弊害を回避することができる。
本実施形態の方法を用いる場合であっても、メディアセンサ19の出力値が図4に示すスレッシュ1やスレッシュ2の値に近い場合、同種の用紙であっても上述した検知誤差等によって“特性1”と“特性2”のように異なる特性であると判断されてしまう可能性がある。これに対して、エンジン制御部112は、メディアセンサ19の出力値の差異が所定の範囲内であるか否かに基づいて用紙特性の変化を判断しても良い。例えば、メディアセンサ19の出力値の差異が所定の範囲内であれば、エンジン制御部112は、S504において用紙特性に変化は無いと判断する。これにより、上述したメディアセンサ19の出力値が閾値付近である場合の弊害を回避することができる。
また、上記実施形態においては、図7において説明したように、新しい用紙が搬送される都度、エンジン制御部112が情報記憶部115に記憶されている情報を更新する。しかしながら、少なくとも一の印刷群、即ち本実施形態に係る印刷ジョブ毎に用紙の特性を判断すれば良いため、新しい用紙が搬送される度に情報を更新する必要はなく、エンジン制御部112は、少なくとも、新しい印刷ジョブが入力された際に情報を更新すれば良い。この場合、図8の動作において今回出力IDと前回出力IDとが異なる場合(S801/NO)にのみ、S804の情報更新動作を実行すれば良い。
実施の形態2.
実施の形態1に係る画像形成装置1は、メディアセンサ19として用紙の厚さを検知するセンサを含み、用紙の厚さを用紙特性として用いる。この他、用紙特性としては、上述した紙面の平滑度等を用いることができる。本実施形態においては、複数の要素を用紙特性として用いる場合を例として説明する。尚、実施の形態1と同様の符号を付す構成については同一または相当部を示すものとし、説明を省略する。
本実施形態に係る画像形成装置1の構成及び動作は、実施の形態1において説明した態様と概ね同様である。ここで、本実施形態に係る画像形成装置1は、用紙の厚さ及び紙面の平滑度等、複数の用紙の特性を検知する機能を有する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置1は、図5のS505において、用紙の様々な特性により、用紙特性の変化を判断することができる。
このため、本実施形態に係るメディアセンサ19は、用紙の厚さ及び紙面の平滑度等、複数の用紙特性を検知する機能を含む。そして、エンジン制御部112は、図5のS505において、メディアセンサ19による複数種類の用紙特性の検知結果のいずれか1つもしくは複数を用いて、用紙特性の変化を判断する。
エンジン制御部112は、ユーザによって選択された用紙特性を図5のS505において判断対象とする。ユーザによる用紙特性の選択処理について、図面を参照して説明する。図10は、図5のS505において判断対象とする用紙特性をユーザが選択する用紙特性選択画面のGUI(Graphical User Interface)の例を示す図である。
図10に示すように、用紙特性選択画面のGUIにおいては、“用紙厚さ”、“表面平滑度”等の用紙特性毎にチェックボックスが設けられており、チェックされた用紙特性が図5のS505において判断対象となる。図10に示す画面は、操作表示制御部114の機能により、ディスプレイパネル103に表示される。ユーザは、ディスプレイパネル103に表示された用紙特性選択画面のチェックボックスをタッチすることにより、図5のS505において判断対象とすべき用紙特性(以降、対象用紙特性とする)を選択する。
尚、図10に示す画面は、画像形成装置1のディスプレイパネル103に表示される他、画像形成装置1に対して印刷ジョブを送信するPCのプリンタドライバの一部とすることもできる。若しくは、画像形成装置1の設定を管理する管理ツールのGUIとすることもできる。このような場合、図10に示す画面は、上記プリンタドライバや管理ツールがインストールされたPCのモニタに表示される。この場合、ユーザはキーボードやマウス等、上記PCを操作するためのユーザインタフェースを操作して、対象用紙特性を選択する。
ユーザがディスプレイパネル103に表示された用紙特性選択画面の画面上をタッチすることにより対象用紙特性を選択すると、操作表示制御部114がその情報(以降、用紙特性選択情報とする)を取得する。操作表示制御部114が取得した用紙特性選択情報は、エンジン制御部112が主制御部111の制御に従って情報記憶部115に記憶させる。情報記憶部115に記憶される情報の例を図11に示す。
図11は、本実施形態に係る情報記憶部115に記憶される情報の例を示す図であり、実施の形態1の図7に相当する。図11に示すように、本実施形態に係る情報記憶部115は、図7に示す情報に加えて、用紙特性選択情報を記憶している。図11に示すように、用紙特性選択情報は、“用紙厚さ”、“紙面平滑度”・・・といった夫々の用紙特性毎に0/1の1ビットの情報として記憶されている。本実施形態に係る用紙特性選択情報は、判断対象とする場合は“1”、判断対象としない場合は“0”の値となる。図11は、用紙厚さが判断対象であり、紙面平滑度が判断対象外である場合を示している。
また、本実施形態に係る情報記憶部115は、“今回用紙特性”、“前回用紙特性”の夫々について、“用紙厚さ”、“紙面平滑度”・・・の情報を記憶している。これらの情報は、実施の形態1の図4において説明したように、エンジン制御部112が、メディアセンサ19の出力値にスレッシュ1、スレッシュ2等の閾値を適用することにより求める。更に、情報記憶部115は、“厚さスレッシュ1”、“厚さスレッシュ2”、“平滑度スレッシュ1”、“平滑度スレッシュ2”のように、用紙厚さ及び紙面平滑度に応じた閾値の情報を記憶している。
本実施形態に係る画像形成装置1の動作は、実施の形態1の図5において説明した動作と略同様である。ここで、上述したように、本実施形態に係る画像形成装置1は複数の用紙特性を判断対象とするため、S503及びS505の処理の詳細が、実施の形態1の態様とは異なる。以下、本実施形態に係るS503及びS505の処理の詳細について説明する。
図12は、本実施形態に係るS503の処理の詳細を示すフローチャートである。図12に示すように、本実施形態に係る用紙特性の判断動作において、エンジン制御部112は、図6において説明した動作を、“用紙厚さ”、“紙面平滑度”等の夫々の用紙特性について繰り返す。
即ち、まずエンジン制御部112がメディアセンサ19の出力値を読み込む(S1201)。上述したように、本実施形態に係るメディアセンサ19は、少なくとも用紙厚さ及び紙面平滑度を検知するセンサを含む。従って、S1201においてエンジン制御部112は、少なくとも用紙厚さ及び紙面平滑度の検知結果を読み込む。
エンジン制御部112は、メディアセンサ19の出力値を読み込むと、読み込んだ出力値のうち用紙厚さの値を、厚さについての閾値である厚さスレッシュ1と比較する(S1202)。ここで、厚さスレッシュ1とは、図4において説明した閾値のうちスレッシュ1に相当する。
S1202の比較の結果、メディアセンサ19の厚さについての出力値が厚さスレッシュ1よりも小さい場合(S1202/YES)、エンジン制御部112は、用紙厚さが“厚さ1”であると判断する(S1203)。他方、S1202の比較の結果、メディアセンサ19の厚さについての出力値が厚さスレッシュ1以上である場合(S1202/NO)、次にエンジン制御112は、厚さについての出力値を厚さスレッシュ2と比較する(S1204)。ここで、厚さスレッシュ2とは、図4において説明した閾値のうちスレッシュ2に相当する。
S1204の比較の結果、メディアセンサ19の厚さについての出力値が厚さスレッシュ2よりも小さい場合(S1204/YES)、エンジン制御部112は、用紙厚さが“厚さ2”であると判断する(S1205)。S1204の比較の結果、メディアセンサ19の厚さの出力値が厚さスレッシュ2以上である場合(S12104/NO)、エンジン制御部112は、用紙厚さが“厚さ3”であると判断する(S1206)。
S1206までの処理により、用紙厚さが“厚さ1”、“厚さ2”及び“厚さ3”のいずれに属するかの判断が完了すると、次に、エンジン制御部112は、紙面平滑度についての判断を行う。紙面平滑度についての判断も上述した用紙厚さについての判断と略同様であり、エンジン制御部112は、メディアセンサ19の出力値のうち紙面の平滑度の値を、平滑度についての閾値である平滑度スレッシュ1と比較する(S1207)。ここで、平滑度スレッシュ1とは、図4において説明した閾値のうちスレッシュ1に相当する。
S1207の比較の結果、メディアセンサ19の平滑度についての出力値が平滑度スレッシュ1よりも小さい場合(S1207/YES)、エンジン制御部112は、紙面平滑度が“平滑度1”であると判断する(S1208)。他方、S1207の比較の結果、メディアセンサ19の平滑度についての出力値が平滑度スレッシュ1以上である場合(S1207/NO)、次にエンジン制御112は、平滑度についての出力値を平滑度スレッシュ2と比較する(S1209)。ここで、平滑度スレッシュ2とは、図4において説明した閾値のうちスレッシュ2に相当する。
S1209の比較の結果、メディアセンサ19の平滑度についての出力値が平滑度スレッシュ2よりも小さい場合(S1209/YES)、エンジン制御部112は、紙面平滑度が“平滑度2”であると判断する(S1210)。S1209の比較の結果、メディアセンサ19の平滑度についての出力値が平滑度スレッシュ2以上である場合(S1209/NO)、エンジン制御部112は、紙面平滑度が“平滑度3”であると判断する(S1211)。
このような処理により、本実施形態に係るS503の用紙特性の判断処理が完了し、図10に示す“今回用紙特性”の情報が情報記憶部115に記憶される。尚、図12においては、用紙厚さについての判断を先に実行した後に紙面平滑度についての判断を実行する場合を例として説明しているが、逆の順番でも良いし、両者を並行して処理しても良い。
次に、本実施形態に係るS505の処理の詳細について、図13を参照して説明する。図13は、本実施形態に係るS505処理の詳細を示すフローチャートである。図13に示すように、まずエンジン制御部112は、図8のS801と同様に、今回搬送された用紙の出力ID(以降、今回出力IDとする)と前回搬送された用紙の出力ID(以降、前回出力IDとする)とを比較する(S1301)。
S1301の比較の結果、今回出力IDと前回出力IDとが異なる場合(S1301/NO)、実施の形態1と同様に、エンジン制御部112は情報更新処理を実行し(S1307),用紙特性の変化判断処理を終了する。他方、S1301の比較の結果、今回出力IDと前回出力IDとが同一である場合(S1301/YES)、次に、エンジン制御部112は、情報記憶部115が記憶している用紙特性選択情報を参照し、用紙厚さが判断対象か否かを確認する(S1302)。
S1302の処理の結果、用紙厚さが判断対象である場合、次に、エンジン制御部112は、情報記憶部115が記憶している今回用紙特性の用紙厚さと前回用紙特性の用紙厚さとを比較する(S1303)。S1303の処理は、実施の形態1の図8におけるS802に対応する処理である。
S1302の処理の結果、用紙厚さが判断対象外である場合(S1302/NO)、若しくはS1303の比較の結果、今回用紙特性と前回用紙特性とが一致した場合(S1303/NO)、次に、エンジン制御部112は、情報記憶部115が記憶している用紙特性選択情報を参照し、紙面平滑度が判断対象か否かを確認する(S1304)。
S1304の処理の結果、紙面平滑度が判断対象である場合、次に、エンジン制御部112は、情報記憶部115が記憶している今回用紙特性の紙面平滑度と前回用紙特性の紙面平滑度とを比較する(S1305)。S1305の処理も、S1303の処理と同様、実施の形態1の図8におけるS802に対応する処理である。
S1304の処理の結果、用紙厚さが判断対象外である場合(S1304/NO)、若しくはS1305の比較の結果、今回用紙特性と前回用紙特性とが一致した場合(S1305/NO)、エンジン制御部112は、印刷の続行に問題なしと判断し、情報更新処理を実行して(S1307)、用紙特性の変化判断処理を終了する。
他方、S1303の比較の結果、今回用紙特性と前回用紙特性とが異なる場合(S1303/YES)、若しくはS1305の比較の結果、今回用紙特性と前回用紙特性とが異なる場合(S1305/YES)、エンジン制御部112は、印刷を中断し(S1306)、情報更新処理を実行して(S1307)、用紙特性の変化判断処理を終了する。
このような動作により、本実施形態に係る用紙特性の変化判断処理が完了する。尚、図13においても図12と同様に、用紙厚さについての判断を先に実行した後に紙面平滑度についての判断を実行する場合を例として説明しているが、逆の順番でも良いし、両者を並行して処理しても良い。どのような場合であっても、エンジン制御部112は、情報記憶部115に記憶された用紙特性選択情報を参照し、判断対象である用紙特性について用紙特性が異なる場合に、印刷出力を中断する。
このように本実施形態に係る画像形成装置1は、用紙厚さや紙面平滑度等、複数の要素に基づいて用紙特性の変化を判断することができる。例えば、異なる種類の用紙であっても、用紙の厚さが同一もしくは近い場合があり得る。このような場合において、用紙の厚さのみを用紙特性として用いると、エンジン制御部112は、異なる種類の用紙が搬送されたことを検知することができない。本実施形態に係る画像形成装置1は、用紙厚さに加えて紙面平滑度を判断対象とすることにより、このような課題を解決することができる。
尚、上記実施形態においては、用紙厚さ及び紙面平滑度を用紙特性として用いる場合を例として説明した。この他、用紙特性として様々な情報を用いることができる。例えば、用紙の色、用紙の大きさ、用紙の硬さ等の情報を用紙特性の情報として用いることができる。より多くの用紙特性を判断対象とすることにより、上述した課題をより確実に解決することができる。
尚、“用紙厚さ”や“紙面平滑度”は、一般的に一次元の情報として求められるため、図4の方法をそのまま適用可能である。他方、例えば用紙の色の情報は、一般的にRGB(Red、Green、Blue)形式の情報や、輝度色差信号(Y、Cb、Cr)等の三次元の情報として求められる。従って、“用紙色”の情報について、図4の方法をそのまま適用することはできない。これに対して、三次元空間を複数の範囲に区切るように、3つの値夫々に閾値を設定することにより、三次元情報であっても図4の方法の応用として、用紙特性を判断することができる。
尚、“用紙色”のような多次元の情報の場合、上述したように多次元の値夫々に閾値を設定する態様の他、エンジン制御部112は、多次元空間での距離を算出してその距離が所定の範囲内か否かにより特性の変化を判断することも可能である。
実施の形態3.
実施の形態1に係る画像形成装置1は、出力IDとして印刷ジョブ毎に付される値を用い、一の印刷ジョブにおいて出力される用紙の範囲を用紙特性の変化を監視する範囲とする。本実施形態においては、用紙特性の変化を監視する範囲として、他の範囲を用いることが可能な画像形成装置を例として説明する。尚、実施の形態1と同様の符号を付す構成については同一または相当部を示すものとし、説明を省略する。
本実施形態に係る画像形成装置1の構成及び動作は、実施の形態1において説明した態様と概ね同様である。ここで、本実施形態に係る画像形成装置1は、実施の形態1に係る画像形成装置1のように一の印刷ジョブ毎に用紙特性を判断する機能に加えて、一の印刷ジョブで1つの文書を複数部印刷する場合の夫々の部毎に用紙特性を判断する機能を有する。
本実施形態に係るエンジン制御部112は、用紙特性の変化を判断する範囲(以降、用紙特性監視範囲とする)を、ユーザの選択に応じて決定する。ユーザによる用紙特性監視範囲の選択処理について、図面を参照して説明する。図14(a)、(b)は、ユーザが用紙特性監視範囲を選択するための画面である用紙特性監視範囲選択画面のGUIを示す図である。
図14(a)、(b)に示すように、用紙特性監視範囲選択画面においては、“ジョブ単位”、“部単位”のいずれかを選択するようにGUIが構成されている。図14(a)、(b)に示す画面は、図10において説明した用紙特性選択画面と同様に、操作表示制御部114の機能により、ディスプレイパネル103に表示される。ユーザは、ディスプレイパネル103に表示された用紙特性監視範囲選択画面において“ジョブ単位”、“部単位”のいずれかをタッチすることにより、用紙特性監視範囲を選択する。
図14(a)においては、“部単位”が選択された状態を示しており、“部単位”の項目が強調表示されている。図14(a)に示す状態においてユーザが“ジョブ単位”の表示をタッチすると、図14(b)に示すように表示が切り換わり、“ジョブ単位”が選択された状態となる。また、図14(a)に示す状態においてユーザが“部単位”の表示をタッチすると、いずれの項目も強調されない表示となり、用紙特性監視範囲が選択されていない状態となる。
尚、図14に示す画面は、図10において説明した画面と同様に、画像形成装置1のディスプレイパネル103に表示される他、画像形成装置1に対して印刷ジョブを送信するPCのプリンタドライバの一部や、画像形成装置1の設定を管理する管理ツールのGUIとすることもできる。
ユーザがディスプレイパネル103に表示された用紙特性監視範囲選択画面の画面上をタッチすることにより用紙特性監視範囲を選択すると、操作表示制御部114がその情報(以降、用紙特性監視範囲選択情報とする)を取得する。操作表示制御部114が取得した用紙特性監視範囲選択情報は、エンジン制御部112が、主制御部111の制御に従って情報記憶部115に記憶させる。情報記憶部115に記憶される情報の例を図15に示す。
図15は、本実施形態に係る情報記憶部115に記憶される情報の例を示す図であり、実施の形態1の図7に相当する。図15に示すように、本実施形態に係る情報記憶部115は、図7に示す情報に加えて、用紙特性監視範囲選択情報を記憶している。図15に示すように、用紙特性監視範囲選択情報は、0/1の1ビットの情報として記憶されている。本実施形態においては、“ジョブ単位”の場合は“0”、“部単位”の場合は“1の値となる。尚、用紙特性監視範囲が選択されていない場合、図15に示す用紙特性監視範囲選択情報はNull値となる。また、用紙特性監視範囲選択情報は、換言すると、用紙群の範囲を選択する情報である。
また、本実施形態に係る情報記憶部115は、“今回出力ID”、“前回出力ID”の夫々について、“ジョブID”、“部ID”の情報を記憶している。これらの情報は、実施の形態1の図5において説明したように、給紙テーブル200から用紙が給紙される際に、その用紙に対してエンジン制御部112が付与することにより、情報記憶部115に記憶される。即ち、エンジン制御部112は、一の印刷ジョブにおいては、すべての用紙に同一のジョブIDを付与する。他方、一の印刷ジョブにおいて複数部の文書を出力する場合、エンジン制御部112は、異なる部に含まれる用紙については異なる部IDを付与する。
本実施形態に係る画像形成装置1の動作は、実施の形態1の図5において説明した動作と略同様である。ここで、上述したように、本実施形態に係る画像形成装置1はユーザによる設定に応じて用紙特性を監視する範囲が異なるため、S505の処理の詳細が、実施の形態1の態様とは異なる。以下、本実施形態に係るS505の処理の詳細について説明する。
図16は、本実施形態に係るS505の処理の詳細を示すフローチャートである。図16に示すように、まずエンジン制御部112が、情報記憶部115に記憶されている用紙特性監視範囲情報を参照する(S1601)。用紙特性監視範囲の値が“0”である場合(S1601/YES)、監視範囲はジョブ単位なので、エンジン制御部112は、今回ジョブIDと前回ジョブIDとを比較する(S1602)。
S1602の比較の結果、今回ジョブIDと前回ジョブIDとが異なる場合(S1602/NO)、用紙特性を監視する必要はないので、エンジン制御部112は、情報更新処理を実行し(S1607)、用紙特性の変化判断処理を終了する。他方、S1602の比較の結果、今回ジョブIDと前回ジョブIDとが同一である場合(S1602/YES)、次に、エンジン制御部112は、図8のS802の処理と同様に、情報記憶部115が記憶している今回用紙特性と前回用紙特性とを比較する(S1603)。
S1603の比較の結果、今回用紙特性と前回用紙特性とが一致した場合(S1603/NO)、エンジン制御部112は、情報更新処理を実行し(S1607)、用紙特性の変化判断処理を終了する。他方、S1603の比較の結果、今回用紙特性と前回用紙特性とが異なる場合(S1603/YES)、エンジン制御部112は、印刷を中断し(S1604)、情報更新処理を実行して(S1607)、用紙特性の変化判断処理を終了する。
用紙特性監視範囲情報を参照した結果、用紙特性監視範囲の値が“0”でなく(S1601/NO)、“1”である場合(S1605/YES)、監視範囲は部単位なので、エンジン制御部112は、今回部IDと前回部IDとを比較する(S1606)。S1606の比較の結果、今回部IDと前回部IDとが異なる場合(S1606/NO)、用紙特性を監視する必要はないので、エンジン制御部112は、情報更新処理を実行し(S1607)、用紙特性の変化判断処理を終了する。
他方、S1606の比較の結果、今回部IDと前回部IDとが同一である場合(S1602/YES)、上述したS1603の処理を実行する。尚、用紙特性監視範囲情報を参照した結果、用紙特性監視範囲の値が“0”でなく(S1601/NO)、“1”でもない場合(S1605/NO)、即ち、上述したNull値である場合、エンジン制御部112は、用紙特性の監視が不要であると判断し、情報更新処理を実行して(S1607)、処理を終了する。このような動作により、本実施形態に係る用紙特性の判断処理が完了する。
一のジョブで文書を複数部出力する場合において、例えば配布用と保存用との2部の文書を出力する場合がある。このような場合において、配布用と保存用とで用紙の種類を変える場合、ジョブ単位で用紙特性の監視を行うと、夫々の文書を異なるジョブで出力する必要がある。また、複数部の文書について特に用途が変わらない場合であっても、1つの部の文書中に異なる用紙が混在していなければ、文書として見栄えが損なわれることはない。本実施形態においては、用紙特性を監視する範囲としてジョブ単位と部単位のいずれかを選択することができるため、このような課題を解決することができる。
尚、本実施形態においては、実施の形態1に係る画像形成装置1を前提として機能を拡張する例を説明したが、実施の形態2に係る画像形成装置1に適用することも可能である。