JP2010260929A - プレゲル溶液および高分子組成物、ならびに高分子組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水中で正または負の極性を示す網目構造を有する粒子(A)と、水中で前記粒子(A)と反対の極性を示すポリマー(B)と、前記粒子(A)と相互侵入網目構造を形成する網目構造(C)を形成する第三のモノマー(c)と、を含み、前記粒子(A)100質量部に対する前記ポリマー(B)の質量割合が5質量部未満であることを特徴とするプレゲル溶液。また、該プレゲル溶液を用いた高分子組成物、およびその製造方法。
【選択図】なし
Description
(1)架橋点が主鎖に沿って動くトポロジカルゲル(例えば特許文献1)。
(2)架橋点として親水性クレイを用いたナノコンポジットゲル(例えば特許文献2)。
(3)2種類の網目構造が相互に侵入したダブルネットワークゲル(例えば特許文献3)。
(2)のゲルにおいては、架橋点であるクレイの適切な選択や添加量の調節によって、伸びと強度のバランスをとることが可能である。しかしながら、クレイの添加量が増大するに伴ってプレゲル溶液の粘度が増大し、ハンドリング性が悪くなる。また、強度が高いゲルを作製するためには、プレゲル溶液に対して充分な窒素置換を行うことが必要であり、その過程で重合が開始されることがあるなど、製造条件の確立が難しい。
(3)のゲルは、伸びおよび強度のバランスがよく、透明度の高いゲルが得られる。しかし、このゲルは2回の重合工程を必要としており、1回目の重合を終えたゲルを2回目のモノマー溶液で膨潤させる工程が製造上の律速段階となるために、工業生産には適していない。
また、本発明では、製造時に形状を自由に成形加工でき、かつ高い強度を有する、微粒子状のゲルがマトリックスゲルに分散された高分子組成物、および該高分子組成物の製造方法を目的とする。
また、本発明の高分子組成物の製造方法は、前記いずれかのプレゲル溶液を重合・ゲル化させる工程を含む方法である。
また、本発明の高分子組成物は、製造時に形状を自由に成形加工することができ、かつ高い強度を有している。
また、本発明の製造方法によれば、製造時に形状を自由に成形加工することができ、かつ高い強度を有する高分子組成物を製造することができる。
本発明のプレゲル溶液は、水中で正または負の極性を示す網目構造を有する粒子(A)と、水中で粒子(A)と反対の極性を示すポリマー(B)と、第三のモノマー(c)とを含む溶液である。
また、網目構造とは、不飽和モノマーを重合することにより形成されたポリマー同士を架橋することにより、三次元に張り巡らされた網の目のような構造を意味する。網目構造は、直鎖状のポリマーとは異なり、網目内に各種溶媒を保持できる。
また、不飽和モノマーとは、1分子中に1個以上の炭素−炭素不飽和二重結合を有するモノマーを意味する。
以下、本発明のプレゲル溶液の実施形態の一例について説明する。
(粒子(A))
網目構造を有する粒子(A)は、三次元に架橋された高分子の粒子であり、水中で正負いずれかの極性を示す粒子である。粒子(A)は、第一のモノマー(a)を重合し架橋することにより得られる。第一のモノマー(a)は、水中で正負いずれかの極性を示す不飽和モノマー(a1)を含むモノマーである。極性を有する不飽和モノマー(a1)を用いることにより、該不飽和モノマー(a1)により粒子(A)に導入された極性基同士が静電的に反発し、網目構造が大きく広がることで、粒子(A)の内部に大量の溶媒を取り込むことができる。また、第一のモノマー(a)は、必要に応じて他の不飽和モノマー(a2)を含んでいてもよい。
アニオン性不飽和モノマーは、水中において負に帯電するモノマーであり、例えば、スルホン酸基を有する不飽和モノマー(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸など)、カルボン酸基を有する不飽和モノマー(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸など)、リン酸基を有する不飽和モノマー(メタクリルオキシエチルトリメリック酸など)、またこれらの塩などが挙げられる。
ノニオン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリルアミド誘導体(アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロイルモルホリンなど)、メタクリルアミド誘導体(メタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリンなど)、アクリレート(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレートなど)、メタクリレート(ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレートなど)、アクリロニトリル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、酢酸ビニルなどの水溶性のものや、アルキル(メタ)アクリレート(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなど、反応性官能基を有する(メタ)アクリレート(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなど)などの非水溶性のものが挙げられる。
他の不飽和モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどのレドックス系開始剤や、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、その他一般的な水溶性アゾ系重合開始剤などが挙げられる。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤などの一般的な光重合開始剤が挙げられる。
(α)1分子中に2個以上の炭素−炭素不飽和二重結合を有する多官能モノマーを第一のモノマー(a)とともに用いて、重合と同時に架橋する方法。
(β)放射線照射によってポリマー中にラジカルを発生させて架橋する方法。
(γ)ポリマーを構成する不飽和モノマーに由来する単位の側鎖の官能基同士を直接反応させる方法。
(δ)ポリマーを構成する不飽和モノマーに由来する単位の側鎖の官能基同士を橋架け剤で架橋する方法。
(ε)多価金属イオン(銅イオン、亜鉛イオン、カルシウムイオンなど)を用いて、イオン結合または配位結合によって架橋する方法。
多官能モノマーは二官能に限らず、三官能以上の多官能モノマーであってもよい。三官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、またそれらのエチレンオキサイド変性物などが挙げられる。
ポリマー(B)は、水中で粒子(A)と反対の極性を示すポリマーである。ポリマー(B)は、第二のモノマー(b)を重合することにより得られる。第二のモノマー(b)は、水中で粒子(A)と反対の極性を示す不飽和モノマー(b1)を含むモノマーである。ポリマー(B)は、網目構造を有する粒子(A)を全体的あるいは部分的に取り巻き、隣接する粒子(A)同士を静電的引力で結び付けるバインダーの役目を果たす。
アニオン性不飽和モノマーおよびカチオン性不飽和モノマーは、不飽和モノマー(a1)で挙げたものと同じものが挙げられる。
不飽和モノマー(b1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ただし、不飽和モノマー(b1)を2種以上併用する場合は、ポリマー(B)のバインダーとしての効果が得られやすく、プレゲル溶液やそれを用いた高分子組成物の物性を向上させやすい点から、極性が同じものを用いることが好ましい。
他の不飽和モノマー(b2)としては、ノニオン性不飽和モノマーが挙げられる。ノニオン性不飽和モノマーは、他の不飽和モノマー(a2)で挙げたものと同じものが挙げられる。他の不飽和モノマー(b2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ポリマー(B)は、市販の高分子凝集剤をそのまま用いてもよい。
第三のモノマー(c)は、重合し架橋することにより、粒子(A)と相互侵入網目構造を形成する網目構造(C)を形成するモノマーである。相互侵入網目構造とは、複数種の網目構造が互いの間で化学的な結合を持つことなく、独立に存在しながら、分子構造が相互に絡み合った構造を言う。
第三のモノマー(c)は、ノニオン性不飽和モノマー(c1)を含むモノマーであり、必要に応じて他の不飽和モノマー(c2)を含んでいてもよい。
また、ノニオン性不飽和モノマー(c1)は、得られる高分子組成物の機械強度発現の点から、モノマーの分子量・分子容が小さいものが好ましく、分子量が150以下のものが特に好ましい。なかでもアクリルアミド誘導体やアクリル酸エステル類が好ましい。
他の不飽和モノマー(c2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のプレゲル溶液では、粒子(A)100質量部に対するポリマー(B)の質量割合が5質量部未満である。ポリマー(B)の前記質量割合が5質量部未満であれば、粒子(A)の表面の電荷を適度に中和することができるため、ポリマー(B)の極性が優勢となって粒子(A)を取り囲むポリマー(B)の電荷同士が静電的に反発することを抑制でき、高分子組成物の強度向上効果が充分に得られる。
また、粒子(A)の含有量は、溶媒(D)100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましく、0.2〜8質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることがさらに好ましく、1〜2.5質量部であることが特に好ましい。溶媒(D)100質量部に対する粒子(A)の含有量が0.05質量部以上であれば、得られる高分子組成物の強度向上効果が得られやすい。また、溶媒(D)100質量部に対する粒子(A)の含有量が10質量部を超えると、粒子(A)の膨潤が不充分なものとなり、一部凝集して残ってしまい、強度上の欠陥になる場合がある。また、プレゲルの粘度が高くなり、ハンドリング性が悪くなる場合がある。
以下、本発明のプレゲル溶液の他の実施形態例について説明する。
本実施形態のプレゲル溶液は、第1実施形態のプレゲル溶液と同様に、溶媒(D)に、粒子(A)、ポリマー(B)、第三のモノマー(c)が必須成分として含まれている溶液である。また、該プレゲル溶液には、必要に応じて添加剤が含まれる。粒子(A)、ポリマー(B)、第三のモノマー(c)、溶媒(D)、添加剤については、第1実施形態と同じであり、好ましい態様も同じである。
ゼータ電位の測定は市販のゼータ電位測定機器により行うことができ、例えば、大塚電子製ゼータ電位測定装置ELS800により、水系希薄溶液用のセルを用いて測定する方法が挙げられる。一般に、ゼータ電位がゼロに近づくと粒子の凝集する傾向が静電的反発に打ち勝つため、粒子の凝集が起きる。
また、粒子(A)の含有量は、溶媒(D)100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましく、0.2〜8質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることがさらに好ましく、1〜2.5質量部であることが特に好ましい。溶媒(D)100質量部に対する粒子(A)の含有量が0.05質量部以上であれば、得られる高分子組成物の強度向上効果が得られやすい。また、溶媒(D)100質量部に対する粒子(A)の含有量が10質量部を超えると、粒子(A)の膨潤が不充分なものとなり、一部凝集して残ってしまい、強度上の欠陥になる場合がある。また、プレゲルの粘度が高くなり、ハンドリング性が悪くなる場合がある。
以下、本発明の高分子組成物について説明する。
本発明の高分子組成物は、前述のいずれかのプレゲル溶液を重合・ゲル化することにより得ることができる。本発明の高分子組成物は、第三のモノマー(c)により形成される網目構造(C)を有しており、該網目構造(C)は粒子(A)と相互侵入網目構造を形成している。
前述のプレゲル溶液においては、溶媒(D)により粒子(A)が膨潤しており、第三のモノマー(c)は粒子(A)の内部にも導入されている。この状態で重合・ゲル化を行うことで第三のモノマー(c)が重合、架橋されることにより、網目構造(C)と粒子(A)との間で相互侵入網目構造が形成され、粒子(A)が網目構造(C)中に均一に分散した3次元の海島構造状の高分子組成物となる。
本発明の高分子組成物は、例えば、高吸水性樹脂、紙おむつ、生理用品、ソフトコンタクトレンズ、屋内緑化用含水シート、衝撃吸収材料、制振・防音材料や、子供用の玩具など様々な用途に用いることができる。また、高分子組成物を基材上に膜状に形成し、氷着防止用塗膜、防曇膜、汚染防止膜などとすることもできる。さらに、高分子組成物をプロペラ、カテーテル、配管内部などに膜状に形成し、摩擦抵抗を低減するために用いてもよい。
(膨潤度)=(乾燥前質量)/(乾燥後質量)×100(%)
本発明の高分子組成物の膨潤度は、用途に応じて適宜設定すればよく、コンタクトレンズの用途等の場合、40〜95%であることが好ましく、50〜90%であることがより好ましい。膨潤度が95%を超えると、強度がなくハンドリング性が悪くなることがある。また、膨潤度が40%未満であると、酸素透過性が悪くなり、コンタクトレンズとしての性能を満たさない場合がある。
本発明の高分子組成物の製造方法は、前述のプレゲル溶液を重合・ゲル化させる工程を含む方法である。プレゲル溶液を重合・ゲル化する方法は、第1実施形態のプレゲル溶液を用いる場合も第2実施形態のプレゲル溶液を用いる場合も同じ方法により行うことができる。
架橋は、第三のモノマー(c)の重合と同時に行ってもよく、第三のモノマー(c)を重合させてポリマーとした後に行ってもよい。
多官能モノマーの添加量が0.01モル%以上であれば、高分子組成物を主に構成する網目構造(C)の強度が得られやすく、優れた物性の高分子組成物が得られやすい。また、多官能モノマーの添加量が5モル%以下であれば、得られる高分子組成物において引張時に伸びが出なくなるなど物性が損なわれることを抑制しやすい。
このように、本発明のプレゲル溶液を用いた製造方法により、任意の形状の高分子組成物が得られる。
<粒子(A)>
[製造例1]粒子(A1)の製造
不飽和モノマー(a1)である2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の60%、および他の不飽和モノマー(a2)であるN,N−ジメチルアクリルアミドの40%からなる第一のモノマー(a)と、第一のモノマー(a)の100%に対して4%のN,N−メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)と、第一のモノマー(a)の100%に対して1%の熱重合開始剤(和光純薬工業社製、VA−057、2,2−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物)とを、第一のモノマー(a)の100部に対して400部の蒸留水に溶かし、第一のモノマー水溶液を調製し、窒素バブリングによって第一のモノマー水溶液から溶存酸素を除去した。
次いで、セパラブルフラスコに乳化剤(花王社製、SPAN80、ソルビタンモノオレエート)100部を溶解させたシクロヘキサン1200部を用意し、ウォーターバスで60℃に保ち、フラスコ内を窒素フローさせた。その後、攪拌翼によってシクロヘキサンを攪拌したところへ、先に用意した第一のモノマー水溶液を滴下し、2時間重合させた。
重合後の乳化液は大量のアセトンへ析出させ、充分に洗浄を繰返して乳化剤を洗い落とした後に、乾燥させ、網目構造を有する粒子(A1)を得た。
第一のモノマー(a)を、不飽和モノマー(a1)である2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の50%およびアクリル酸の50%からなる混合物に変更し、N,N−メチレンビスアクリルアミドを2%に変更した以外は、粒子(A1)と同様の方法により、網目構造を有する粒子(A2)を得た。
第一のモノマー(a)を、不飽和モノマー(a1)である2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の20%、および他の不飽和モノマー(a2)であるアクリロイルモルホリンの80%からなる混合物に変更し、N,N−メチレンビスアクリルアミドを2%に変更した以外は、粒子(A1)と同様の方法により、網目構造を有する粒子(A3)を得た。
第一のモノマー(a)を、不飽和モノマー(a1)であるN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの50%、および他の不飽和モノマー(a2)であるN,N−ジメチルアクリルアミドの50%からなる混合物に変更し、N,N−メチレンビスアクリルアミドを2%に変更した以外は、粒子(A1)と同様の方法により、網目構造を有する粒子(A4)を得た。
[絶乾状態の粒子径]
得られた粒子(A1)〜(A4)について、走査型電子顕微鏡(日本電子データム社製、JSM−6060)により絶乾状態での粒子を観察し、その粒子径を目算した。
[水膨潤状態の粒子径]
得られた粒子(A1)〜(A4)について、大塚電子社製粒子径測定器ELS800を用いて、水中での粒子径を測定した。粒子の水分散液の濃度はおよそ0.1%に調製し、必要に応じて更に希釈して測定に供した。
粒子(A1)〜(A4)の絶乾状態および水膨潤状態(水中)の粒子径を表1に示す。
AMPS:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
AAc:アクリル酸
DMAEA:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート
DMAAm:N,N−ジメチルアクリルアミド
ACMO:アクリロイルモルホリン
MBAAm:N,N−メチレンビスアクリルアミド
ポリマー(B1):アクリル酸ジメチルアミノエチル100部、熱重合開始剤(同上)1部、および蒸留水300部の混合物を調製し、60℃にて2時間重合させ、ポリマー(B1)の水溶液とした。30℃、塩化ナトリウム1N溶液での粘度測定によって算出された分子量は約20万であった。
[実施例1]
第三のモノマー(c)であるアクリルアミド(100部)と、第三のモノマー(c)の100%に対して0.1%のN,N−メチレンビスアクリルアミド(架橋剤)および0.01%の光重合開始剤(チバガイギー社製、DAROCURE1173、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)とを合わせた混合物、粒子(A1)(4部)、ならびにポリマー(B1)(0.002部)を、蒸留水(200部)に溶解・膨潤させ、プレゲル溶液を調製した。
次いで、シリコーンゴムで周囲をシールしたガラス板間に、前記プレゲル溶液を流し込み、ケミカルランプ(東芝社製、捕虫器用蛍光灯FL20S・BL−A)を用いて、1分間の照射エネルギー120mJ/cm2にて該プレゲル溶液に90分間紫外線を照射し、重合・ゲル化を完結させ、高分子組成物を得た。
粒子(A)、ポリマー(B)、重合開始剤の組成を表2に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして高分子組成物を得た。
粒子(A)、ポリマー(B)、モノマー(c)、重合開始剤の組成を表2に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして高分子組成物を得た。
AAm:アクリルアミド
DMAPAA:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
MBAAm:N,N−メチレンビスアクリルアミド
DAR1173:DAROCURE1173
VA−057:2,2−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物
実施例1〜9および比較例1〜6で得られた高分子組成物の評価は以下のようにして行なった。
[膨潤度]
得られた高分子組成物の乾燥前後の質量の比から膨潤度(%)を算出した。計算式は、下記の通りである。
(膨潤度)=(乾燥前質量)/(乾燥後質量)×100(%)
得られた高分子組成物を3号ダンベル試験片に打抜き、引張試験に供した。引張試験はJIS K6251に準拠して、試験片の引張破断強度を測定した。チャック間距離は50mm、引張速度は50mm/分とした。
比較例1の引張破断強度に対する実施例1〜2および比較例2の引張破断強度の向上率(引張向上率、単位%)を算出した。また、同様に、比較例4の引張破断強度に対する実施例3〜5の引張破断強度の向上率、比較例5の引張破断強度に対する実施例6〜8の向上率、比較例6の引張破断強度に対する実施例9の向上率を算出した。
実施例1〜9および比較例1〜6における膨潤度、引張強度、引張向上率の結果を表3に示す。
また、比較例3で得られた高分子組成物は、ポリマー(B)の代わりに、網目構造(C)を形成する第三のモノマー(c)として、水中で不飽和モノマー(a1)と反対の極性を示す不飽和モノマーを用いているが、網目構造(C)中のノニオン性不飽和モノマー(c1)が少なくなり、比較例1の高分子組成物に比べてかえって強度が低下した。
実施例1のプレゲル溶液をポリエチレン製の子供用玩具(星型の鋳型)に注入し、上部よりケミカルランプ(同上)を用いて、1分間の照射エネルギー120mJ/cm2にて90分間紫外線を照射し、重合・ゲル化を完結させ、高分子組成物を得た。
その結果、得られた高分子組成物は、鋳型から簡単に取り出すことができ、また鋳型の形が細部まで再現されていた。
実施例3のプレゲル溶液をポリメタクリル酸メチル製の基材上に塗布し、上部よりケミカルランプ(同上)を用いて、1分間の照射エネルギー120mJ/cm2にて90分間紫外線を照射し、重合を完結させ、高分子組成物を得た。
得られた高分子組成物は基材と良好な密着性を有しており、基材に摩擦力の少ない表面を付与することができた。
Claims (4)
- 水中で正または負の極性を示す網目構造を有する粒子(A)と、
水中で前記粒子(A)と反対の極性を示すポリマー(B)と、前記粒子(A)と相互侵入網目構造を形成する網目構造(C)を形成する第三のモノマー(c)と、を含み、
前記粒子(A)100質量部に対する前記ポリマー(B)の質量割合が5質量部未満であることを特徴とするプレゲル溶液。 - 水中で正または負の極性を示す網目構造を有する粒子(A)と、
水中で前記粒子(A)と反対の極性を示すポリマー(B)と、前記粒子(A)と相互侵入網目構造を形成する網目構造(C)を形成する第三のモノマー(c)と、を含み、
前記粒子(A)および前記ポリマー(B)からなる粒子のゼータ電位が−50〜+50mVであることを特徴とするプレゲル溶液。 - 請求項1または2に記載のプレゲル溶液を重合・ゲル化して得られる高分子組成物。
- 請求項1または2に記載のプレゲル溶液を重合・ゲル化させる工程を含む高分子組成物の製造方法。
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