JP2010260484A - 減衰力制御装置 - Google Patents

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延慶 劉
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Abstract

【課題】 実車両のバネ上質量特性に見合った減衰係数の制御則に基づいてサスペンション装置の減衰力を制御することができる減衰力制御装置を提供すること。
【解決手段】 仮想バネ上部材の前輪側バネ上質量MF_Nと仮想質量関連制御定数KM_Nとに基づいて求められる前輪側バネ上質量MFと前輪側制御定数KM_Fとの相関関係式(eq.5)に基づいて、前輪側バネ上質量MFの変化に応じて変化する前輪側制御定数KM_F(第1制御定数)が計算される。また、仮想バネ上部材の後輪側バネ上質量MRと後輪側制御定数KM_Rとの相関関係式(eq.9)に基づいて、後輪側バネ上質量MRの変化に応じて変化する後輪側制御定数KM_R(第2制御定数)が計算される。そして、前輪側制御定数KM_Fと後輪側制御定数KM_Rに基づいて質量関連制御定数KMが計算される。
【選択図】 図6

Description

本発明は、車両のサスペンション装置の減衰力を制御する減衰力制御装置に関する。
車両のサスペンション装置の減衰力を可変的に制御する減衰力制御装置が知られている。また、減衰力を可変的に制御するための制御理論としてH制御理論が知られている。H制御理論を車両のバネ上部材とこのバネ上部材に取付けられるサスペンション装置を有する車両モデルに適用することにより、減衰係数の制御則が算出される。この制御則に基づいてサスペンション装置のダンパの減衰係数を制御することにより、バネ上部材の振動が速やかに抑制される。
特許文献1は、車両の4輪モデルに非線形H制御理論を適用することにより、サスペンション装置の減衰力を制御する減衰力制御装置を開示している。この減衰力制御装置は、車両の4輪モデルから導かれるバネ上部材の上下運動、ロール運動、ピッチ運動、各輪位置におけるバネ下部材の上下運動に基づいて設計される一般化プラントに非線形H制御理論を適用することにより算出される減衰係数の制御則(u=k(x))に基づいて、バネ上部材の各輪位置に取付けられたサスペンション装置の減衰力を統合的に制御する。
特開2006−160185号公報
車両のバネ上部材の運動は、その質量(バネ上全体質量)や重心位置(バネ上重心位置)の影響を受ける。例えばバネ上全体質量はバネ上部材の上下方向の運動方程式に、バネ上重心位置はバネ上部材のロール方向やピッチ方向の運動方程式に、それぞれ影響する。これらのバネ上質量特性(バネ上全体質量およびバネ上重心位置)は、バネ上部材の運動方程式を組み立てる場合に予め所定の値や位置に固定される。
しかし、実車両のバネ上全体質量は、乗員数の変化や積載荷重の変化によって変化する。また、バネ上重心位置は、乗員配置や車両の走行路面の勾配(坂道)などによって変化する。つまり、実車両においては、バネ上質量特性は状況に応じて変化する。従来においては、このような実車両のバネ上質量特性の変化を踏まえずに減衰力の制御系を設計していた。よって、実車両のバネ上全体質量やバネ上重心位置が、バネ上部材の運動方程式を構築するときに設定されるバネ上全体質量やバネ上重心位置と異なっている場合には、実車両のバネ上質量特性に見合った適正な減衰係数を得ることができなかった。このため、サスペンション装置の減衰力を最適に制御することができずに、車両の乗り心地性能が低下するおそれがあった。
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、車両のサスペンション装置の減衰力を制御する減衰力制御装置において、実車両のバネ上質量特性に見合った減衰係数の制御則に基づいてサスペンション装置の減衰力を制御することができる減衰力制御装置を提供することを目的とする。
本発明の特徴は、車両のバネ上部材とこのバネ上部材に取付けられたサスペンション装置とを有する車両モデルにH制御理論を適用することにより算出される減衰係数の制御則に基づいて、前記サスペンション装置の減衰力を制御する減衰力制御装置において、実車両のバネ上部材の質量の変化または重心位置の変化に応じて、前記制御則に表される制御定数のうちバネ上部材の質量または重心位置に関連する制御定数である質量関連制御定数を計算する制御定数計算手段を備える減衰力制御装置とすることにある。
上記発明によれば、実車両のバネ上全体質量の変化またはバネ上重心位置の変化、すなわちバネ上質量特性の変化に応じて、減衰係数の制御則に表される制御定数のうちバネ上全体質量またはバネ上重心位置に関連する制御定数である質量関連制御定数が計算される。したがって、実車両のバネ上質量特性が変化した場合であっても、変化後のバネ上質量特性に見合った減衰係数の制御則に基づいてサスペンション装置の減衰力が制御される。
前記制御定数計算手段は、バネ上部材の質量または重心位置が異なるように予め定められる複数の仮想バネ上部材を複数の部分に分割した場合における各部分の質量と、実車両のバネ上部材を前記各仮想バネ上部材に置き換えた車両モデルにH制御理論を適用することにより予め算出された減衰係数の制御則に表される前記質量関連制御定数である仮想質量関連制御定数とに基づいて求められるバネ上部材の各部分の質量と前記質量関連制御定数との相関関係式に基づいて、前記質量関連制御定数を計算するものであるのがよい。
この場合、前記制御定数計算手段は、複数の前記仮想バネ上部材を第1部分と第2部分に二分割した場合における前記各仮想バネ上部材の前記第1部分および前記第2部分の質量と、前記各仮想質量関連制御定数とに基づいて求められる前記第1部分の質量と前記質量関連制御定数との相関関係式、および、前記第2部分の質量と前記質量関連制御定数との相関関係式に基づいて、前記質量関連制御定数を計算するものであるのがよい。
これによれば、実車両のバネ上部材をバネ上全体質量または重心位置が異なるように予め定められている複数の各仮想バネ上部材に置き換えた車両モデルにH制御理論を適用することにより、それぞれの仮想バネ上部材の質量や重心位置に見合った複数の減衰係数の制御則が算出される。算出された制御則から、各仮想バネ上部材に対応する質量関連制御定数である仮想質量関連制御定数が求められる。また、各仮想質量関連制御定数と、対応する各仮想バネ上部材の各部分(例えば第1部分および第2部分)の質量とに基づいて、各部分(例えば第1部分および第2部分)の質量と質量関連制御定数との相関関係式が求められる。こうして求められた相関関係式に基づいて、実車両のバネ上質量特性に見合った質量関連制御定数が計算(推定)される。
バネ上部材の各部分の質量と質量関連制御定数との相関関係式は、上記各部分の質量変化に対する質量関連制御定数の変化の割合を表す。したがって、この相関関係式に基づいて、各部分の質量変化を踏まえた質量関連制御定数が計算される。また、バネ上部材を複数部分(例えば第1部分および第2部分)に分割した場合において、各部分の質量の総和(例えば第1部分の質量と第2部分の質量の和)はバネ上全体質量を表し、各部分の質量の差(例えば第1部分の質量と第2部分の質量の差)はバネ上重心位置を表す。したがって、バネ上部材の各部分毎に得られる各部分の質量と質量関連制御定数との相関関係式に基づいて質量関連制御定数を計算することにより、実車両のバネ上全体質量およびバネ上重心位置に見合った質量関連制御定数を得ることができる。このため、乗員数、乗員配置の変化や路面勾配の変化などによってバネ上全体質量やバネ上重心位置が変化した場合であっても、変化後のバネ上全体質量やバネ上重心位置に見合った制御則に基づいてサスペンション装置の減衰力を制御することができる。
また、前記制御定数計算手段は、前記第1部分の質量と前記質量関連制御定数との相関関係式に基づいて、前記第1部分の質量変化を踏まえた質量関連制御定数である第1制御定数を計算する第1制御定数計算手段と、前記第2部分の質量と前記質量関連制御定数との相関関係式に基づいて、前記第2部分の質量変化を踏まえた質量関連制御定数である第2制御定数を計算する第2制御定数計算手段と、を備えるのがよい。そして、前記第1制御定数および前記第2制御定数に基づいて、前記質量関連制御定数を計算するものであるのがよい。
これによれば、第1制御定数計算手段により、実車両のバネ上部材の第1部分の質量変化を踏まえた質量関連制御定数(第1制御定数)が計算される。また、第2制御定数計算手段により、実車両のバネ上部材の第2部分の質量変化を踏まえた質量関連制御定数(第2制御定数)が計算される。そして、第1制御定数と第2制御定数とに基づいて、質量関連制御定数が計算される。このように計算された質量関連制御定数を制御則に用いることにより、実車両のバネ上質量やバネ上重心位置が変化した場合であっても、変化後のバネ上全体質量およびバネ上重心位置に見合った制御則に基づいてサスペンション装置の減衰力を制御することができる。
仮想バネ上部材の第1部分(または第2部分)の質量と質量関連制御定数との相関関係式は、第1(または第2)部分の質量が異なる2つの仮想バネ上部材のそれぞれについての第1(または第2)部分の質量と仮想質量関連制御定数との関係を結ぶ直線の方程式により、表すことができる。また、上記相関関係式は、第1(または第2)部分の質量が異なる3つ以上の仮想バネ上部材のそれぞれについての第1(または第2)部分の質量と仮想質量関連制御定数との関係を最小二乗法などで近似した近似直線または近似曲線の方程式により、表すことができる。
また、前記減衰力制御装置は、実車両のバネ上部材の質量(バネ上全体質量)に対する前記第1部分の質量の比率と前記第2制御定数の積と、実車両のバネ上部材の質量(バネ上全体質量)に対する前記第2部分の質量の比率と前記第1制御定数の積とを加算することにより、前記質量関連制御定数を計算するものであるのがよい。これによれば、実車両のバネ上部材の質量変化を考慮した2つの制御定数(第1制御定数および第2制御定数)に、バネ上重心位置を表す質量比率をそれぞれ掛け合わせた値の総和により、質量関連制御定数が計算される。つまり、質量関連制御定数を計算する際にバネ上全体質量の変化およびバネ上重心位置の変化が考慮される。よって、実車両のバネ上質量やバネ上重心位置が変化した場合であっても、変化後のバネ上部材のバネ上全体質量およびバネ上重心位置に見合った質量関連制御定数を得ることができる。
また、複数の前記仮想バネ上部材は、前記第1部分および前記第2部分が第1の質量である第1仮想バネ上部材と、前記第1部分が前記第1の質量であり前記第2部分が第2の質量である第2仮想バネ上部材と、前記第1部分が前記第2の質量であり前記第2部分が前記第1の質量である第3仮想バネ上部材と、前記第1部分および前記第2部分が前記第2の質量である第4仮想バネ上部材からなるものであるのがよい。これによれば、複数の仮想バネ上部材として上記4つの仮想バネ上部材を用いることにより、実車両のバネ上部材の様々な質量変化および重心位置変化に対し、変化後のバネ上全体質量およびバネ上重心位置に見合った質量関連制御定数を計算することができる。
また、前記制御定数計算手段は、ゲインスケジューリング法により前記質量関連制御定数を計算するものであるのがよい。これによれば、ゲインスケジューリング法により計算された質量関連制御定数を用いて制御則を設計することにより、実車両のバネ上全体質量やバネ上重心位置の変化に応じた適正な減衰係数に基づいてサスペンション装置の減衰力を制御することができる。
また、前記第1部分および前記第2部分は、バネ上部材を前後方向に二分した場合における前方部分および後方部分であるのがよい。これによれば、実車両のバネ上部材の前後重心位置に見合った質量関連制御定数が計算される。また、前記第1部分および前記第2部分は、バネ上部材を左右方向に二分した場合における左方部分および右方部分であってもよい。これによれば、実車両のバネ上部材の左右重心位置に見合った質量関連制御定数が計算される。
本実施形態に係る車両のサスペンション制御装置の全体概略図である。 本実施形態に係るサスペンション装置を模式的に示した図である。 本実施形態に係る電気制御装置の概略図である。 本実施形態に係るサスペンションECUを機能毎に分けて表した図である。 質量関連制御定数計算プログラムの流れを示すフローチャートである。 ゲインスケジューリング法により質量関連制御定数を計算するプログラムの流れを示すフローチャートである。 車高関連制御定数計算プログラムの流れを示すフローチャートである。 要求減衰力計算プログラムの流れを示すフローチャートである。 バネ上部材の前後質量分布を示すグラフである。 前輪側バネ上質量と前輪側制御定数との相関関係を示すグラフである。 後輪側バネ上質量と後輪側制御定数との相関関係を示すグラフである。 ゲインスケジューリング法により質量関連制御定数を計算する各ステップの処理内容および処理結果をまとめた表である。 4輪モデルを基に設計した一般化プラントのブロック線図である。 前輪側制御定数および後輪側制御定数を計算するときに用いる仮想バネ上部材の組み合わせを選択するステップをまとめた表である。 質量関連制御定数の算出方法を表す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車両のサスペンション制御装置1の全体を表す概略図である。このサスペンション制御装置1は、右前輪側サスペンション装置10FRと、左前輪側サスペンション装置10FLと、右後輪側サスペンション装置10RRと、左後輪側サスペンション装置10RLと、各サスペンション装置10FR,10FL,10RR,10RLの作動を制御する電気制御装置20を備える。電気制御装置20が本発明の減衰力制御装置に相当する。
右前輪側サスペンション装置10FRは、バネ上部材HAと右前輪WFRとの間に介装され、その一端側(上端側)にてバネ上部材HAの右前方側(右前輪位置)に連結され、他端側(下端側)にてバネ下部材LAを介して右前輪WFRに連結される。左前輪側サスペンション装置10FLは、バネ上部材HAと左前輪WFLとの間に介装され、一端側にてバネ上部材HAの左前方側(左前輪位置)に連結され、他端側にてバネ下部材LAを介して左前輪WFLに連結される。右後輪側サスペンション装置10RRは、バネ上部材HAと右後輪WRRとの間に介装され、一端側にてバネ上部材HAの右後方側(右後輪位置)に連結され、他端側にてバネ下部材LAを介して右後輪WRRに連結される。左後輪側サスペンション装置10RLは、バネ上部材HAと左後輪WRLとの間に介装され、一端側にてバネ上部材HAの左後方側(左後輪位置)に連結され、他端側にてバネ下部材LAを介して左後輪WRLに連結される。本明細書において、サスペンション装置10FR,10FL,10RR,10RLおよび車輪WFR,WFL,WRR,WRLを総称する場合には、これらを単にサスペンション装置10および車輪Wと記載する場合もある。
サスペンション装置10はバネ11とダンパ(ショックアブソーバ)12とを備えている。バネ11およびダンパ12は、その一端(上端)にてバネ上部材HAに接続され、その他端にてバネ下部材LAに接続される。バネ11は、本実施形態においては金属製のコイルバネにより構成されるが、エアサスペンション装置などに用いられる空気バネを用いてもよい。バネ下部材LAは、タイヤを含む車輪Wに連結されたナックルや、一端がナックルに連結されたロアアームなどにより構成され、サスペンション装置10を支持する。バネ上部材HAはサスペンション装置10により支持される部材であり、車体を含む。
ダンパ12は、シリンダ121と、ピストン122と、ピストンロッド123を備える。シリンダ121は、内部に粘性流体(例えば、オイルなど)が封入された筒状部材であり、その下端にてバネ下部材LA(詳しくは、ロアアーム)に連結される。ピストン122はシリンダ121内に配置される。このピストン122によりシリンダ121の内部が上室R1と下室R2とに区画される。ピストン122は、シリンダ121内を軸方向に移動可能である。ピストンロッド123は、その下端にてピストン122に連結され、その上端にてバネ上部材HAに連結される。また、ピストン122には、上室R1と下室R2とを連通する連通路が形成されている。
このように構成されたダンパ12においては、車輪Wが路面凹凸を乗り越えるなどによりバネ上部材HAが路面に対して相対変位した場合、バネ上部材HA側に連結されたピストン122が、バネ下部材LA側(路面側)に連結されたシリンダ121内を相対変位する。この相対変位に伴いピストン122に形成された連通路内を粘性流体が流通することにより抵抗が発生する。この抵抗により、路面に対するバネ上部材HAの相対変位、すなわちバネ上部材HAの振動が減衰する。
バネ11は、図に示されるように、その下端にてシリンダ121の外周に取付けられたリテーナに連結され、その上端にてバネ上部材HAに連結される。このバネ11は、路面に対するバネ上部材HAの相対変位に伴う弾性力を発生する。
図2は、本実施形態に係るサスペンション装置10を模式的に示した図である。図2に示されるように、サスペンション装置10には、可変絞り機構13が取付けられている。可変絞り機構13は、バルブ131およびアクチュエータ132を有する。バルブ131は、ピストン122に形成された連通路124に設けられていて、公知の絞り機構によって、連通路124の少なくとも一部の流路断面積の大きさ、すなわちバルブ開度OPを変化させる。アクチュエータ132は例えばステッピングモータなどにより構成することができる。図1には、各サスペンション装置10FR,10FL,10RR,10RLに取付けられたアクチュエータ132FR,132FL,132RR,132RLが示されている。これらのアクチュエータは、各サスペンション装置10FR,10FL,10RR,10RLのダンパ12の上部に配置され、バネ上部材HAに固定されている。また、アクチュエータ132は、例えばピストンロッド123の内部に配されるコントロールロッドなどによってバルブ131に連結される。したがって、アクチュエータ132が作動すると、それに伴いバルブ131が作動し、バルブ開度OPが変更される。バルブ開度OPの変更により、連通路124の流路断面積が変更される。その結果、連通路124内を粘性流体が流通するときの抵抗力も変更される。抵抗力の変更により、ダンパ12により発生される減衰力の大きさを表す減衰係数(減衰力特性)が変更される。
図3は、電気制御装置20の接続構成を概略的に示す図である。図3に示されるように、電気制御装置20は、サスペンション電子制御ユニット(以下、サスペンションECU)21と、バネ上加速度センサ221FR,221FL,221RR,221RLと、路面上下加速度センサ222FR,222FL,222RR,222RLと、ストロークセンサ223FR,223FL,223RR,223RLと、バネ上質量センサ224FR,224FL,224RR,224RLと、ロール角加速度センサ225と、ピッチ角加速度センサ226と、車高センサ227FR,227FL,227RR,227RLと、駆動回路23FR,23FL,23RR,23RLと、を備える。
バネ上加速度センサ221FR,221FL,221RR,221RLは、バネ上部材HAの各輪位置(右前輪位置,左前輪位置,右後輪位置,左後輪位置)に取付けられており、その位置におけるバネ上部材HAの上下方向に沿った加速度である右前輪側バネ上加速度xb_fr",左前輪側バネ上加速度xb_fl",右後輪側バネ上加速度xb_rr",左後輪側バネ上加速度xb_rl"をそれぞれ検出する。路面上下加速度センサ222FR,222FL,222RR,222RLは、各車輪Wに連結したバネ下部材LAに取付けられており、各バネ下部材LAの上下方向に沿った加速度を計測することにより、各バネ下部材LAが連結されている車輪Wの接地路面の上下方向に沿った加速度である右前輪側路面加速度xr_fr",左前輪側路面加速度xr_fl",右後輪側路面加速度xr_rr",左後輪側路面加速度xr_rl"をそれぞれ検出する。ストロークセンサ223FR,223FL,223RR,223RLは、各サスペンション装置10に取付けられており、サスペンション装置10のストローク変位量、すなわちシリンダ121に対するピストン122の相対変位量を計測することにより、各車輪の接地路面の上下変位xr_fr,xr_fl,xr_rr,xr_rlとバネ上部材HAの各輪位置における上下変位xb_fr,xb_fl,xb_rr,xb_rlとの差を表す右前輪側バネ上−路面間相対変位量xs_fr(=xr_fr-xb_fr)、左前輪側バネ上−路面間相対変位量xs_fl(=xr_fl-xb_fl)、右後輪側バネ上−路面間相対変位量xs_rr(=xr_rr-xb_rr)、左後輪側バネ上−路面間相対変位量xs_rl(=xr_rl-xb_rl)をそれぞれ検出する。
バネ上質量センサ224FR,224FL,224RR,224RLは各サスペンション装置10に取付けられており、各サスペンション装置10が負担するバネ上部材HAの静的な質量である右前輪側バネ上質量Mfr,左前輪側バネ上質量Mfl,右後輪側バネ上質量Mrr,左後輪側バネ上質量Mrlをそれぞれ検出する。これらの質量は、バネ上部材HAを前後左右に4分割した場合における各部分の質量である。ロール角加速度センサ225はバネ上部材HAに取付けられており、バネ上部材HAのロール方向(前後軸周り方向)の角度変位を表すロール角θrの角加速度(ロール角加速度)θr"を検出する。ピッチ角加速度センサ226もバネ上部材HAに取付けられており、バネ上部材HAの左右軸周り方向の角度変位を表すピッチ角θpの角加速度(ピッチ角加速度)θp"を検出する。車高センサ227FR,227FL,227RR,227RLは各サスペンション装置10の近傍に取付けられており、取付け位置における車輪接地面とバネ上部材HAとの間の距離hfr,hfl,hrr,hrlを検出する。
サスペンションECU21は、CPU,ROM,RAMなどを主要構成部品とするマイクロコンピュータである。サスペンションECU21の入力側には、上述した各種センサが接続されていて、これらのセンサからの検出信号が入力されるようになっている。サスペンションECU21は、各種センサからの検出信号に基づいて、後述するプログラムを含む各種プログラムを実行することにより、アクチュエータ132の駆動を制御するための駆動信号を出力する。これによりサスペンション装置10の各ダンパ12により発生される減衰力が制御される。
駆動回路23FR,23FL,23RR,23RLは、サスペンションECU21の出力側に接続されている。駆動回路23FR,23FL,23RR,23RLは、それぞれ各サスペンション装置10FR,10FL,10RR,10RLに対応するアクチュエータ132FR,132FL,132RR,132RLに接続されており、サスペンションECU21から出力された駆動信号に基づいて、アクチュエータ132FR,132FL,132RR,132RLに駆動電流を出力する。
図4は、サスペンションECU21を機能毎に分けて表した図である。図4に示されるように、サスペンションECU21は、質量関連制御定数計算部211と、車高関連制御定数計算部212と、要求減衰力計算部213を有する。質量関連制御定数計算部211は、後述する質量関連制御定数計算プログラムを実行することにより、質量関連制御定数KMを計算する。そして、計算した質量関連制御定数KMを出力する。車高関連制御定数計算部212は、後述する車高関連制御定数計算プログラムを実行することにより、車高関連制御定数KHを計算する。そして、計算した車高関連制御定数KHを出力する。要求減衰力計算部213は、質量関連制御定数KMおよび車高関連制御定数KHを入力するとともに、後述する要求減衰力計算プログラムを実行することにより、各サスペンション装置10FR,10FL,10RR,10RLのダンパにより発生されるべき制御目標の減衰力である右前輪側要求減衰力Freq_fr,左前輪側要求減衰力Freq_fl,右後輪側要求減衰力Freq_rr,左後輪側要求減衰力Freq_rlを計算し、計算したこれらの要求減衰力に対応する駆動信号を出力する。
上記構成のサスペンション制御装置1において、バネ上加速度センサ221FR,221FL,221RR,221RLの検出値から得られる各輪位置におけるバネ上加速度のいずれか一つが所定の閾値を越えた場合、質量関連制御定数計算部211は質量関連制御定数計算プログラムを、車高関連制御定数計算部212は車高関連制御定数計算プログラムを、要求減衰力計算部213は要求減衰力計算プログラムを、それぞれ所定の短時間毎に繰り返し実行する。
図5は、質量関連制御定数計算プログラムの流れを示すフローチャートである。質量関連制御定数計算部211は、このプログラムを図5のステップ(以下、ステップ番号をSと略記する)100にて開始する。次いで、S102にて、バネ上質量センサ224FR,224FL,224RR,224RLが検出した右前輪側バネ上質量Mfr,左前輪側バネ上質量Mfl,右後輪側バネ上質量Mrr,左後輪側バネ上質量Mrlをそれぞれ入力する。
続いて、S104にて、右前輪側バネ上質量Mfrと左前輪側バネ上質量Mflとを加算することにより、実車両のバネ上部材の前輪側バネ上質量MFを、右後輪側バネ上質量Mrrと左後輪側バネ上質量Mrlとを加算することにより実車両のバネ上部材の後輪側バネ上質量MRを、それぞれ計算する。また、前輪側バネ上質量MFから後輪側バネ上質量MRを引くことにより、実車両のバネ上前後質量差y1を、前輪側バネ上質量MFと後輪側バネ上質量MRとを加算することにより、実車両のバネ上全体質量y2を、それぞれ計算する。前輪側バネ上質量MFは、バネ上部材HAを前後方向に等分(二分割)した場合における、前方部分(本発明の第1部分に相当)の静的な質量を表し、後輪側バネ上質量MRは後方部分(本発明の第2部分に相当)の静的な質量を表す。バネ上前後質量差y1は、実車両のバネ上部材HAの前後方向の重心位置を表す。
次いで、質量関連制御定数計算部211は、S106にて、ゲインスケジューリング法により質量関連制御定数KMを計算する。質量関連制御定数KMは、例えば車両の4輪モデル(バネ上部材HAの右前輪位置、左前輪位置、右後輪位置、左後輪位置にそれぞれダンパおよびバネを有するサスペンション装置が取付けられたモデル)により表されたバネ上部材HAの3方向(上下方向、ロール方向、ピッチ方向)の運動方程式に基づいて設計された一般化プラントに非線形H制御理論を適用することによって算出された減衰係数の制御則に表される制御定数のうち、バネ上全体質量およびバネ上重心位置に関連する制御定数である。
車両の4輪モデルから導かれる3方向の運動方程式は、例えば下記式(eq.1)〜(eq.3)のように表される。
Figure 2010260484
Figure 2010260484
Figure 2010260484
上式において、Mbはバネ上全体質量を表し、xb''は制御目標位置(例えば重心位置)におけるバネ上部材HA(車体)の上下方向の加速度を表す。また、Irはロール慣性モーメントを表し、Tfは前輪側のトレッド量を表し、Trは後輪側のトレッド量を表す。Ipはピッチ慣性モーメントを表し、Lfはバネ上重心位置から前輪軸までの前後方向距離、Lrはバネ上重心位置から後輪軸までの前後方向距離を表す。
また、式(eq.1)〜(eq.3)中のFfr,Ffl,Frr,Frlはそれぞれバネ上部材HA(車体)の右前輪位置、左前輪位置、右後輪位置、左後輪位置にて上下方向に作用する上下力である。これらの上下力は、例えば下記式(eq.4))により表される。
Figure 2010260484
式(eq.4)中のCs_fr,Cs_fl,Cs_rr,Cs_rlは、それぞれ、各サスペンション装置10FR,10FL,10RR,10RLの各ダンパ12に対して設定される固定(線形)減衰係数である。また、Cv_fr,Cv_fl,Cv_rr,Cv_rlは、それぞれ、各サスペンション装置10FR,10FL,10RR,10RLの各ダンパ12の可変減衰係数である。また、Ks_fr,Ks_fl,Ks_rr,Ks_rlは、それぞれ、各サスペンション装置10FR,10FL,10RR,10RLの各バネ11に対して設定されるバネ係数である。また、xs_fr',xs_fl',xs_rr',xs_rl'は、ストロークセンサ223FR,223FL,223RR,223RLが検出したバネ上−路面間相対変位量の微分値であり、各輪位置におけるバネ上−路面間相対速度を表す。
上記式(eq.1)〜(eq.3)の状態空間表現を基に設計された一般化プラントに非線形H制御理論を適用することにより、可変減衰係数の制御則u=k(x)が算出される。算出された制御則に基づいて可変減衰係数Cv_fr,Cv_fl,Cv_rr,Cv_rlが計算される。状態量xの変化に応じて上記可変減衰係数を変更制御することで、各サスペンション装置10の減衰力が制御される。
制御則を得るための運動方程式(eq.1)には、バネ上全体質量Mbが含まれている。したがって、制御則u=k(x)に表される制御定数Kは、バネ上全体質量に関連する制御定数(バネ上全体質量の変化に応じて変化する制御定数)を含む。また、運動方程式(eq.2)や(eq.3)には、バネ上重心位置の変化に応じて変化するロール慣性モーメントIrおよびピッチ慣性モーメントIpが含まれている。したがって、制御則u=k(x)に表される制御定数Kは、バネ上重心位置に関連する制御定数(バネ上重心位置の変化に応じて変化する制御定数)を含む。バネ上全体質量およびバネ上重心位置に関連する制御定数が、質量関連制御定数KMである。従来においては、バネ上全体質量やバネ上重心位置は予め決められており、決められた設定値を基に運動方程式が組み立てられていたので、質量関連制御定数KMを決定するときに実車両のバネ上部材の質量変化が考慮されていない。これに対し、本実施形態においては、ゲインスケジューリング法により実車両のバネ上部材のバネ上全体質量の変化またはバネ上重心位置の変化に応じて変化するように質量関連制御定数KMが計算される。
図6は、ゲインスケジューリング法により質量関連制御定数KMを計算するプログラムの流れを示すフローチャートである。このプログラムは、図5のS106にて行われるサブルーチンプログラムである。質量関連制御定数計算部211は、このプログラムを図のS200にて開始し、次のS202にて、サスペンションECU21のメモリなどに記憶されている質量関連制御定数テーブルを参照して3つのデータ番号Nを選択する。
質量関連制御定数テーブルは、バネ上全体質量またはバネ上重心位置が異なるように予め定められている4個の仮想的なバネ上部材である第1仮想バネ上部材HA,第2仮想バネ上部材HA,第3仮想バネ上部材HA,第4仮想バネ上部材HAのバネ上質量特性と、実車両のバネ上部材HAを各仮想バネ上部材HA,HA,HA,HAに置き換えた車両モデルに非線形H制御理論を適用することにより予め算出した減衰係数の制御則に表される質量関連制御定数である仮想質量関連制御定数KM_1,KM_2,KM_3,KM_4とを、各仮想バネ上部材を区別するデータ番号N(N=1〜4)毎に対応させたテーブルである。このテーブルには、各仮想バネ上部材HA(N=1〜4)のバネ上質量特性を表す前輪側バネ上質量MF_N、後輪側バネ上質量MR_N、バネ上全体質量y2_N(=MF_N+MR_N)およびバネ上前後質量差y1_N(=MF_N-MR_N)が、各仮想バネ上部材HAに対応する仮想質量関連制御定数KM_Nとともに、同列に表示されている。各前輪側バネ上質量MF_Nは、各仮想バネ上部材HAを前後方向に等分(二分割)した場合における前方部分(本発明の第1部分に相当)の静的な質量を表し、各後輪側バネ上質量MR_Nは後方部分(本発明の第2部分に相当)の静的な質量を表す。各バネ上前後質量差y1_Nは、各仮想バネ上部材HAの前後方向の重心位置を表す。表1は質量関連制御定数テーブルの例である。
Figure 2010260484
表1からわかるように、質量関連制御定数テーブルに表されている仮想バネ上部材の個数は4個である。データ番号1により表される第1仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_1と後輪側バネ上質量MR_1は、共に1000kg(第1の質量)である。データ番号2により表される第2仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_2は1000kg(第1の質量)、後輪側バネ上質量MR_2は1200kg(第2の質量)である。さらに、データ番号3により表される第3仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_3は1200kg(第2の質量)、後輪側バネ上質量MR_3は1000kg(第1の質量)であり、データ番号4により表される第4仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_4と後輪側バネ上質量MR_4は共に1200kg(第2の質量)である。
すなわち、第1仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_1と第2仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_2は等しく、HAの後輪側バネ上質量MR_1とHAの後輪側バネ上質量MR_2は異なる。同様に、第3仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_3と第4仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_4は等しく、HAの後輪側バネ上質量MR_3とHAの後輪側バネ上質量MR_4は異なる。さらに、第1仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_1と第3仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_3は異なり、HAの後輪側バネ上質量MR_1とHAの後輪側バネ上質量MR_3は等しい。同様に、第2仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_2と第4仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_4は異なり、HAの後輪側バネ上質量MR_2とHAの後輪側バネ上質量MR_4は等しい。
また、各仮想バネ上部材HAは、バネ上全体質量またはバネ上重心位置が異なるように予め定められている。つまり、各仮想バネ上部材HAのバネ上全体質量y2_Nまたはバネ上前後質量差y1_Nのいずれかは、他の仮想バネ上部材のバネ上全体質量y2_Nまたはバネ上前後質量差y1_Nと異なる。例えば、第2仮想バネ上部材HAと第3仮想バネ上部材HAとを比較した場合、バネ上全体質量y2_2とy2_3は等しいが、バネ上前後質量差y1_2とy1_3は異なる。また、第1仮想バネ上部材HAと第4仮想バネ上部材HAとを比較した場合、バネ上前後質量差y1_1とy1_4は等しいが、バネ上全体質量y2_1とy2_4とは異なる。
また、各データ番号Nにより表されている仮想質量関連制御定数KM_Nはそれぞれ異なる。表1に示された例においては、第1仮想バネ上部材HAに対応する仮想質量関連制御定数(第1仮想質量関連制御定数)KM_1が30、第2仮想バネ上部材HAに対応する仮想質量関連制御定数(第2仮想質量関連制御定数)KM_2が10、第3仮想バネ上部材HAに対応する仮想質量関連制御定数(第3仮想質量関連制御定数)KM_3が20、第4仮想バネ上部材HAに対応する仮想質量関連制御定数(第4仮想質量関連制御定数)KM_4が15である。これらの仮想質量関連制御定数KM_Nは、各対応する仮想バネ上部材HAのバネ上全体質量およびバネ上重心位置に見合った質量関連制御定数として予め計算される。
質量関連制御定数計算部211は、S202にて、このような質量関連制御定数テーブルを参照し、実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MFと後輪側バネ上質量MRに基づいて、テーブルに示されている4つのデータ番号Nの中から質量関連制御定数KMの計算に用いるべき3つの仮想バネ上部材を表すデータ番号を選択する。
表2は、各バネ上質量センサ224FR,224FL,224RR,224RLが検出した右前輪側バネ上質量Mfr,左前輪側バネ上質量Mfl,右後輪側バネ上質量Mrr,左後輪側バネ上質量Mrlから計算される実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF,後輪側バネ上質量MR,バネ上全体質量y2およびバネ上前後質量差y1の例である。
Figure 2010260484
また、図9は、バネ上部材の前後質量分布を示すグラフである。図9において横軸が前輪側バネ上質量MFであり、縦軸が後輪側バネ上質量MRである。表1のデータ番号1(N=1)により表される第1仮想バネ上部材HAの前後質量分布は点A(1000,1000)に、データ番号2(N=2)により表される第2仮想バネ上部材HAの前後質量分布は点B(1000,1200)に、データ番号3(N=3)により表される第3仮想バネ上部材HAの前後質量分布は点C(1200,1000)に、データ番号4(N=4)により表される第4仮想バネ上部材HAの前後質量分布は点D(1200,1200)に、それぞれ表される。また、表2の例1に表される実車両のバネ上部材HAの前後質量分布は点E(1075,1175)に、例2に表される実車両のバネ上部材HAの前後質量分布は点F(1050,1075)に、それぞれ表される。
図9において、点Bと点Cを通る破線Lは、バネ上全体質量y2が一定(y2=2200)となる点を結ぶ線である。また、この破線L上に表される点が矢印方向に向かう程、バネ上前後質量差y1が大きくなる。つまり、破線Lの矢印方向に向かう程バネ上部材の重心位置が前輪側に移動する。この破線Lは、バネ上全体質量y2が一定の条件下において、バネ上部材の重心位置の変化を表す軸である。
また、図9において、点Aと点Dを通る破線Lは、バネ上前後質量差y1が一定(y1=0)となる点を結ぶ線である。また、この破線L上に表される点が矢印方向に向かう程、バネ上全体質量y2が大きくなる。つまり、破線Lは、バネ上部材の重心位置が一定の条件下において、バネ上全体質量の変化を表す軸である。
S202においては、実車両のバネ上部材HAの前後質量分布が、図9に示されるグラフのどの位置に表されるかに基づいて、データ番号Nが選択される。具体的には、実車両のバネ上部材HAの前後質量分布が、破線Lよりも右上側の領域に表される場合には、点B,C,Dに位置する仮想バネ上部材HA,HA,HAを表すデータ番号N=2,3,4が選択される。例えば、実車両のバネ上部材HAの前後質量分布が点E(例1)の位置に表された場合、データ番号N=2,3,4が選択される。また、実車両のバネ上部材HAの前後質量分布が、破線Lよりも左下の領域に表される場合には、点A,B,Cに位置される仮想バネ上部材HA,HA,HAを表すデータ番号N=1,2,3が選択される。例えば、実車両のバネ上部材HAの前後質量分布が点F(例2)の位置に表された場合、データ番号N=1,2,3が選択される。このような選択により、4個の仮想バネ上部材の中から、実車両のバネ上全体質量y2との差異が最も大きいバネ上全体質量を持つ仮想バネ上部材を除外した3個の仮想バネ上部材が選択される。つまり、バネ上全体質量y2に基づいて、3個の仮想バネ上部材が選択される。
質量関連制御定数計算部211は、上記のようにして3つのデータ番号Nを選択した後は、S204に進み、選択されたデータ番号により表される仮想バネ上部材の中から、前輪側バネ上質量が異なる2個の仮想バネ上部材HA,HAを選択する。その後、S206に進み、選択した2個の仮想バネ上部材HA,HAの前輪側バネ上質量MF_a,MF_bと、その仮想バネ上部材HA,HAにそれぞれ対応した仮想質量関連制御定数KM_a,KM_bと、実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MFとに基づいて、前輪側バネ上質量の変化を踏まえた質量関連制御定数である前輪側制御定数KM_Fを計算する。このとき前輪側制御定数KM_Fは、下記式(eq.5)に示される前輪側バネ上質量MFと前輪側制御定数KM_Fとの相関関係式に基づいて計算される。
Figure 2010260484
上記式(eq.5)は、下記式(eq.6)のように変形することができる。
Figure 2010260484
図10は、前輪側バネ上質量と質量関連制御定数との関係を示すグラフであり、横軸が前輪側バネ上質量、縦軸が質量関連制御定数である。図において、仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_aと仮想質量関連制御定数KM_aとの関係は点A(MF_a,KM_a)に、仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_bと仮想質量関連制御定数KM_bとの関係は点B(MF_b,KM_b)に、それぞれ表される。これらの点Aと点Bとを結ぶ直線Lが、式(eq.6)を表す。式(eq.6)は、仮想バネ上部材HA,HAの前輪側バネ上質量MF_a,MF_bおよび仮想質量関連制御定数KM_a,KM_bを、前輪側バネ上質量MFと前輪側制御定数KM_Fについての一次式KM_F=aMF+bに代入し、勾配aと切片bを求めることにより算出することができる。式(eq.6)に示される相関関係式は、その勾配からわかるように、前輪側バネ上質量の変化(MF_a-MF_b)に対する仮想質量関連制御定数の変化(KM_a-KM_b)の割合((KM_a-KM_b)/(MF_a-MF_b))を表す。このような特性を有する相関関係式に実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MFを代入することにより、実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MFの変化を踏まえた質量関連制御定数である前輪側制御定数KM_Fが計算される。式(eq.5)または式(eq.6)により計算される前輪側制御定数KM_Fが本発明の第1制御定数に、式(eq.5)または式(eq.6)により前輪側制御定数KM_Fを計算する処理(S206)が、本発明の第1制御定数計算手段に相当する。
前輪側制御定数KM_Fの計算例について説明する。例えば実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MFおよび後輪側バネ上質量MRが表2の例1のようであった場合は、S202にてデータ番号N=2,3,4が選択されている。また、表1からわかるように、データ番号2(N=2)により表される第2仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_2(=1000)とデータ番号4(N=4)により表される第4仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_4(=1200)は異なる。したがって、S204にて、第2仮想バネ上部材HAおよび第4仮想バネ上部材HAが選択される。そして、S206にて、第2,第4仮想バネ上部材HA,HAの前輪側バネ上質量MF_2(=1000),MF_4(=1200)、第2,第4仮想質量関連制御定数KM_2(=10),KM_4(=15)、および実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF(=1075)が、上記式(eq.5)に代入される。これにより、前輪側制御定数KM_Fは、下記式(eq.7)のように計算される。
Figure 2010260484
また、例えば実車両のバネ上部材の前輪側バネ上質量MFおよび後輪側バネ上質量MRが表2の例2のようであった場合は、S202にてデータ番号N=1,2,3が選択されている。また、表1からわかるように、データ番号2(N=2)により表される第2仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_2(=1200)とデータ番号3(N=3)により表される第3仮想バネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF_3(=1000)は異なる。したがって、S204にて、第2仮想バネ上部材HAおよび第3仮想バネ上部材HAが選択される。そして、S206にて、第2,第3仮想バネ上部材HA,HAの前輪側バネ上質量MF_2(=1000),MF_3(=1200)、第2,第3仮想質量関連制御定数KM_2(=10),KM_3(=20)、および実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MF(=1050)が上記式(eq.5)に代入される。これにより、前輪側制御定数KM_Fは、下記式(eq.8)のように計算される。
Figure 2010260484
上記のようにしてS206にて前輪側制御定数KM_Fを計算した後は、質量関連制御定数計算部211はS208に進み、S202にて選択されたデータ番号により表される仮想バネ上部材の中から、後輪側バネ上質量が異なる2個の仮想バネ上部材HA,HAを選択する。その後、S210に進み、選択した2個の仮想バネ上部材HA,HAの後輪側バネ上質量MR_c,MR_dと、その仮想バネ上部材HA、HAにそれぞれ対応した仮想質量関連制御定数KM_c,KM_dと、実車両のバネ上部材HAの後輪側バネ上質量MRとに基づいて、後輪側バネ上質量の変化を踏まえた質量関連制御定数である後輪側制御定数KM_Rを計算する。このとき後輪側制御定数KM_Rは、下記式(eq.9)に示される後輪側バネ上質量MRと後輪側制御定数KM_Rとの相関関係式に基づいて計算される。
Figure 2010260484
上記式(eq.9)は、下記式(eq.10)のように変形することができる。
Figure 2010260484
図11は、後輪側バネ上質量と質量関連制御定数との関係を示すグラフであり、横軸が後輪側バネ上質量、縦軸が質量関連制御定数である。図において、仮想バネ上部材HAの後輪側バネ上質量MR_cと仮想質量関連制御定数KM_cとの関係は点C(MR_c,KM_c)に、仮想バネ上部材HAの後輪側バネ上質量MR_dと仮想質量関連制御定数KM_dとの関係は点D(MR_d,KM_d)に、それぞれ表される。これらの点Cと点Dを結ぶ直線Lが、式(eq.10)を表す。式(eq.10)は、仮想バネ上部材HA、HAの後輪側バネ上質量MR_c,MR_dおよび仮想質量関連制御定数KM_c,KM_dを、後輪側バネ上質量MRと後輪側制御定数KM_Rについての一次式KM_R=aMR+bに代入し、勾配aと切片bを求めることにより算出することができる。式(eq.10)に示される相関関係式は、その勾配からわかるように、後輪側バネ上質量の変化(MR_c-MR_d)に対する仮想質量関連制御定数の変化(KM_c-KM_d)の割合((KM_c-KM_d)/(MF_c-MF_d))を表す。このような特性を有する相関関係式に実車両のバネ上部材HAの後輪側バネ上質量MRを代入することにより、実車両のバネ上部材HAの後輪側バネ上質量MRの変化を踏まえた質量関連制御定数である後輪側制御定数KM_Rが計算される。式(eq.9)または式(eq.10)により計算される後輪側制御定数KM_Rが本発明の第2制御定数に、式(eq.9)または式(eq.10)により後輪側制御定数KM_Rを計算する処理(S210)が、本発明の第2制御定数計算手段に相当する。
後輪側制御定数KM_Rの計算例について説明する。例えば実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MFおよび後輪側バネ上質量MRが表2の例1のようであった場合は、S202にてデータ番号N=2,3,4が選択されている。また、表1からわかるように、データ番号2(N=2)により表される第2仮想バネ上部材HAの後輪側バネ上質量MR_2(=1200)とデータ番号3(N=3)により表される第3仮想バネ上部材HAの後輪側バネ上質量MR_3(=1000)は異なる。したがって、S208にて、第2仮想バネ上部材HAおよび第3仮想バネ上部材HAが選択される。そして、S210にて、第2,第3仮想バネ上部材HA,HAの後輪側バネ上質量MR_2(=1200),MR_3(=1000)、第2,第3仮想質量関連制御定数KM_2(=10),KM_3(=20)、および実車両の後輪側バネ上質量MR(=1175)が、上記式(eq.9)に代入される。これにより、後輪側制御定数KM_Rは、下記式(eq.11)のように計算される。
Figure 2010260484
また、例えば実車両のバネ上部材の前輪側バネ上質量MFおよび後輪側バネ上質量MRが表2の例2のようであった場合は、S202にてデータ番号N=1,2,3が選択されている。また、表1からわかるように、データ番号1(N=1)により表される第1仮想バネ上部材HAの後輪側バネ上質量MR_1(=1000)とデータ番号2(N=2)により表される第2仮想バネ上部材HAの後輪側バネ上質量MR_2(=1200)は異なる。したがって、S208にて、第1仮想バネ上部材HAおよび第2仮想バネ上部材HAが選択される。そして、S210にて、第1,第2仮想バネ上部材HA,HAの後輪側バネ上質量MR_1(=1000),MR_2(=1200)、第1,第2仮想質量関連制御定数KM_1(=30),KM_2(=10)、および実車両の後輪側バネ上質量MR(=1075)が上記式(eq.9)に代入される。これにより、後輪側制御定数KM_Rは、下記式(eq.12)のように計算される。
Figure 2010260484
S204およびS208にて3個の仮想バネ上部材から2個の仮想バネ上部材を選択する方法について補足する。実車両のバネ上部材の質量特性が例1に示されるものである場合、S202にてデータ番号N=2,3,4が選択されている。これらの3個のデータ番号中の異なる2個のデータ番号の組み合わせは、(2,3)、(3,4)、(2,4)である。そこでまず、これらの3個の組み合わせごとに、対応するデータ番号により表される仮想バネ上部材のバネ上前後質量差の総和y1Totalを計算する。すると、(2,3)の組み合わせについてのバネ上前後質量差の総和y1(2+3)Total=0であり、(3,4)の組み合わせについてのバネ上前後質量差の総和y1(3+4)Total=200であり、(2,4)の組み合わせについてのバネ上質量差の総和y1(2+4)Total=-200である。また、例1に示される実車両のバネ上部材のバネ上前後質量差y1は-100であり、この値はy1(2+3)Total(=0)とy1(2+4)Total(=-200)との間の値である。このような関係に基づき、実車両のバネ上部材のバネ上前後質量差y1を挟むバネ上前後質量差の総和を持つ2組のデータ番号の組み合わせ(この例においては(2,3)と(2,4))に対応する仮想バネ上部材の組み合わせ(この例においては(HA,HA)と(HA,HA))が選択される。また、第2仮想バネ上部材HAと第4仮想バネ上部材HAを比較すると、両者は前輪側バネ上質量MFが異なり後輪側バネ上質量MRが同一である。よって、第2仮想バネ上部材HAと第4仮想バネ上部材HAが前輪側制御定数KM_Fを計算するときに用いられる仮想バネ上部材として選択される。そして、第2仮想バネ上部材HAと第3仮想バネ上部材HAが後輪側制御定数KM_Rを計算するときに用いられる仮想バネ上部材として選択される。
また、実車両のバネ上部材の質量特性が例2に示されるものである場合、S202にてデータ番号N=1,2,3が選択されている。これらの3個のデータ番号中の異なる2個のデータ番号の組み合わせは、(1,2)、(1,3)、(2,3)である。そこでまず、これらの3個の組み合わせごとに、仮想バネ上部材のバネ上前後質量差の総和y1Totalを計算する。すると、(1,2)の組み合わせについてのバネ上前後質量差の総和y1(1+2)Total=-200であり、(1,3)の組み合わせについてのバネ上前後質量差の総和y1(1+3)Total=200であり、(2,3)の組み合わせについてのバネ上前後質量差の総和y1(2+3)Total=0である。また、例2に示される実車両のバネ上部材のバネ上前後質量差y1は-25であり、この値はy1(2+3)Total(=0)とy1(1+2)Total(=-200)との間の値である。このような関係に基づき、実車両のバネ上部材のバネ上前後質量差y1を挟むバネ上前後質量差の総和を持つ2組のデータ番号の組み合わせ(この例においては(2,3)と(1,2))に対応する仮想バネ上部材の組み合わせ(この例においては(HA,HA)と(HA,HA))が選択される。また、第1仮想バネ上部材HAと第2仮想バネ上部材HAを比較すると、両者は前輪側バネ上質量MFが同一であり後輪側バネ上質量MRが異なる。よって、第1仮想バネ上部材HAと第2仮想バネ上部材HAが後輪側制御定数KM_Rを計算するときに用いられる仮想バネ上部材として選択される。そして、第2仮想バネ上部材HAと第3仮想バネ上部材HAが前輪側制御定数KM_Fを計算するときに用いられる仮想バネ上部材として選択される。このように、本実施形態によれば、バネ上前後質量差y1に基づいて、3個の仮想バネ上部材の中から、前輪側制御定数KM_Fの計算に用いられる2個の仮想バネ上部材と、後輪側制御定数KM_Rの計算に用いられる2個の仮想バネ上部材が選択される。このような選択のステップをまとめた表を図14に示す。
S210にて後輪側制御定数KM_Rを計算した後は、質量関連制御定数計算部211はS212に進み、質量関連制御定数KMを計算する。質量関連制御定数KMは、S206にて計算した前輪側制御定数KM_Fと、S210にて計算した後輪側制御定数KM_Rと、実車両の前輪側バネ上質量MFおよび後輪側バネ上質量MRと、実車両のバネ上全体質量y2を用い、下記式(eq.13)により計算される。
Figure 2010260484
上記式(eq.13)によれば、実車両のバネ上部材HAのバネ上全体質量y2に対する前輪側バネ上質量MFの比率(MF/y2)と、S406にて計算された前輪側制御定数KM_Fと、実車両のバネ上全体質量y2に対する後輪側バネ上質量MRの比率(MR/y2)と、S210にて計算された後輪側制御定数KM_Rに基づいて、質量関連制御定数KMが計算される。より詳しく言えば、質量関連制御定数KMは、実車両のバネ上部材HAのバネ上全体質量y2に対する前輪側バネ上質量MFの比率(MF/y2)と後輪側制御定数KM_Rの積と、実車両のバネ上部材HAのバネ上全体質量y2に対する後輪側バネ上質量MRの比率(MR/y2)と前輪側制御定数KM_Fとの積の和により求められる。前輪側制御定数KM_Fは前輪側バネ上質量MFの変化を考慮した質量関連制御定数であり、後輪側制御定数KM_Rは後輪側バネ上質量MRの変化を考慮した質量関連制御定数である。また、比率(MF/y2)や(MR/y2)は、バネ上重心位置を表すバネ上前後質量差y1の変化に応じて変化する。つまり比率(MF/y2)や(MR/y2)はバネ上重心位置を表す。したがって、式(eq.13)により計算される質量関連制御定数KMは、実車両のバネ上部材HAの質量変化を考慮した2つの制御定数(前輪側制御定数KM_Fおよび後輪側制御定数KM_R)に、バネ上重心位置を表す比率(比率(MF/y2)および比率(MR/y2))をそれぞれ掛け合わせた値の総和により計算される。つまり、質量関連制御定数KMを計算する際にバネ上全体質量の変化およびバネ上重心位置の変化が考慮される。このようにバネ上全体質量変化およびバネ上重心位置の変化を考慮することによって、実車両のバネ上全体質量またはバネ上重心位置が変化した場合であっても、変化後のバネ上部材HAのバネ上全体質量およびバネ上重心位置に見合った質量関連制御定数KMが得られる。
なお、上記式(eq.13)は以下のようにして導出される。図15は、前輪側制御定数KM_F、後輪側制御定数KM_R、前輪側質量MF、後輪側質量MRの関係を模式的に表す図である。図においてxが求められるべき質量関連制御定数KMである。図に示される三角形において以下の2式が成立する。
Figure 2010260484
Figure 2010260484
式(A1)を変形することにより以下の式が得られる。
Figure 2010260484
式(A2)および式(A3)より、xに関する以下の式が得られる。
Figure 2010260484
式(A4)より、上記式(eq.13)が得られる。
質量関連制御定数KMの計算例について説明する。例えば実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MFおよび後輪側バネ上質量MRが表2の例1のようであった場合、これらの値(MF=1075,MR=1175)およびバネ上全体質量y2(=2250)、S206にて計算された前輪側制御定数KM_F(=11.875)、S210にて計算された後輪側制御定数KM_R(=11.25)を用いて、質量関連制御定数KMは、下記式(eq.14)のように計算される。
Figure 2010260484
また、例えば実車両のバネ上部材HAの前輪側バネ上質量MFおよび後輪側バネ上質量MRが表2の例2のようであった場合、これらの値(MF=1050,MR=1075)およびバネ上全体質量y2(=2125)、S206にて計算された前輪側制御定数KM_F(=12.5)、S210にて計算された後輪側制御定数KM_R(=22.5)を用いて、質量関連制御定数KMは、下記式(eq.15)のように計算される。
Figure 2010260484
S212にて質量関連制御定数KMを計算した後は、質量関連制御定数計算部211はS214に進み、このプログラムを終了する。図12は、このプログラムの各ステップと、ステップ毎に実行される処理内容と、実車両のバネ上部材HAが表2の例1、例2に示されるものである場合に各ステップにて実行される処理の結果をまとめた表である。
質量関連制御定数計算部211は、上記したゲインスケジューリング法による質量関連制御定数KMの計算プログラムを終了した後は、図5のS108に戻り、計算した質量関連制御定数KMを出力する。その後S110に進み、質量関連制御定数計算プログラムを終了する。本実施形態における質量関連制御定数計算部211が、本発明の制御定数計算手段に相当する。
図7は、車高関連制御定数計算プログラムの流れを示すフローチャートである。車高関連制御定数計算部212は、このプログラムを図7のS300にて開始する。次いで、S302にて、各車高センサ227FR,227FL,227RR,227RLから各輪位置における車高hfr,hfl,hrr,hrlを入力する。次いで、S304にて、バネ上重心高さ位置Hを推定する。バネ上重心高さ位置Hは、各輪位置における車高hfr,hfl,hrr,hrlから推定されるバネ上部材の重心位置における車高hgに、予め測定されているバネ上部材HAの下端部から重心点までの上下方向距離を加算することにより求めることができる。
続いて、車高関連制御定数計算部212は、S306にて、近似法を用いることにより、車高関連制御定数KHを計算する。車高関連制御定数KHは、例えば車両の4輪モデルにより表されたバネ上部材HAの3方向の運動方程式に基づいて設計された一般化プラントに非線形H制御理論を適用することによって減衰係数の制御則を算出した場合に、その制御則に表される制御定数のうち車高に関連する制御定数である。
上記したように、車両の4輪モデルから導かれる3方向の運動方程式は上記式(eq.1)〜(eq.3)のように表される。上記式(eq.2)は、バネ上部材HAのロール方向の運動方程式である。バネ上部材HAは、ロールセンタ軸を中心にロール運動する。ロールセンタ軸の高さ位置は、車高の変化に伴って変化する。従って、車高が変化した場合、ロールセンタ軸の高さ位置も変化するため、バネ上部材のロール挙動が変化する。つまり、車高が変化した場合、式(eq.2)におけるロール慣性モーメントIrが変化する。従来においては、ロール慣性モーメントIrは予め決められた一定の値に設定されていたので、車高関連制御定数に車高の変化が考慮されていない。これに対し、本実施形態においては、近似法により、車高の変化に応じて変化するように車高関連制御定数が計算される。
この近似法は、車高関連制御定数テーブルを参照し、予め算出されている複数の車高関連制御定数の中から、最適な車高関連制御定数を選択する方法である。車高関連制御定数テーブルは、予め設定された複数(例えば4個)の仮想バネ上重心高さ位置HNと、その仮想バネ上重心高さ位置HNを用いた車両モデルに非線形H制御理論を適用することにより算出される減衰係数の制御則に表される仮想車高関連制御定数KH_Nとを対応付けたテーブルである。表3は、車高関連制御定数テーブルの例である。
Figure 2010260484
車高関連制御定数テーブルは、例えばサスペンションECU21のメモリに記憶されている。車高関連制御定数計算部212は、S306にて、車高関連制御定数テーブル中の複数の仮想重心高さ位置HNの中からS304にて推定したバネ上重心高さ位置Hに最も近い仮想バネ上重心高さ位置HNを選択する。そして、選択した仮想バネ上重心高さ位置HNに対応する仮想車高関連制御定数KH_Nを、実車両におけるバネ上重心高さ位置Hに対応する車高関連制御定数KHと推定する。このようにして車高関連制御定数KHを推定した後は、車高関連制御定数計算部212はS308に進んで車高関連制御定数KHを出力する。その後、S310に進んでこのプログラムを終了する。
図8は、要求減衰力計算プログラムの流れを示すフローチャートである。要求減衰力計算部213は、このプログラムを図8のS400にて開始する。次いで、S402にて、バネ上加速度センサ221FR,221FL,221RR,221RL、路面上下加速度センサ222FR,222FL,222RR,222RL、ストロークセンサ223FR,223FL,223RR,223RL、ロール角加速度センサ225、ピッチ角加速度センサ226から検出値を入力する。次に、S404にて、入力した各センサからの検出値を微分または積分することにより、各輪位置におけるバネ上部材HAの上下速度(バネ上速度)xb_fr',xb_fl',xb_rr',xb_rl'、各輪位置におけるバネ上部材HAの上下変位量(バネ上変位量)xb_fr,xb_fl,xb_rr,xb_rl、各輪位置における路面の上下速度(路面上下速度)xr_fr',xr_fl',xr_rr',xr_rl'、各輪位置における路面の上下変位量(路面上下変位量)xr_fr,xr_fl,xr_rr,xr_rl、各輪位置における路面上下速度xr_fr',xr_fl',xr_rr',xr_rl'にと対するバネ上速度(バネ上−路面間相対速度)xs_fr',xs_fl',xs_rr',xs_rl'、バネ上部材の重心位置の上下変位量(ヒーブ変位量)xh、ロール角θr、ピッチ角θpなどの、計算に必要な量を計算する。
続いて、要求減衰力計算部213は、S406にて、質量関連制御定数計算部211から質量関連制御定数KMを、車高関連制御定数計算部212から車高関連制御定数KHを、それぞれ入力する。
次いで、S408にて、上記式(eq.1)〜(eq.3)に基づいて設計される一般化プラントに非線形H制御理論を適用することにより算出される減衰係数(可変減衰係数)の制御則u=k(x)に、質量関連制御定数KMおよび車高関連制御定数KHを代入する。制御則u=k(x)は以下のように算出される。まず、上記式(eq.1)〜(eq.3)により表される運動方程式が、下記式(eq.16)に示されるような状態空間表現に書き直される。
Figure 2010260484
式(eq.16)において、xpは状態量、wは外乱、uは制御入力、zpは評価出力である。これらは、例えば下記式(eq.17)のように表すことができる。
Figure 2010260484
式(eq.16)において、Ap,Bp1,Bp2(xp),Cp1,Dp12(xp)は係数行列であり、式(eq.16)が成立するように決められる。
上記式(eq.16)に基づいて、図13に示されるような一般化プラント(減衰力制御システム)が設計される。図13に示される一般化プラントの評価出力zpおよび制御入力uに、周波数重みが加えられている。これらの周波数重みWs(s),Wu(s)の状態空間表現は、下記式(eq.18)および式(eq.19)により与えられる。
Figure 2010260484
Figure 2010260484
式(eq.16),(eq.18),(eq.19)から、一般化プラントの状態空間表現が、下記式(eq.20)のように表される。
Figure 2010260484
式(eq.20)は双線形である。したがって、図13に示される一般化プラントに非線形H制御理論を適用することにより算出される減衰係数の制御則、すなわち上記一般化プラントの閉ループシステムのL2ゲインが正定数γ未満となるように設計される減衰係数の制御則は、ハミルトンヤコビ偏微分不等式を解く代わりに近似的にリカッチ不等式を解くことにより得られる。このとき制御則の一つは式(eq.21)により与えられる。
Figure 2010260484
ただし、m1(x)は、任意の正定関数である。
上記式(eq.21)は、例えば式(eq.22)のように表すことができる。
Figure 2010260484
上記式(eq.22)において、xn(n=1〜N)は状態量、kn(n=1〜N)は状態量に係る制御定数行列である。制御定数行列knの成分中には、バネ上全体質量およびバネ上重心位置に関連する制御定数(質量関連制御定数KM)や、車高に関連する制御定数(車高関連制御定数KH)も含まれている。したがって、要求減衰力計算部213は、図8のS408にて、式(eq.22)中の制御定数行列の中の行列成分のうち、質量関連制御定数および車高関連制御定数を表す部分を、質量関連制御定数計算部211から入力した質量関連制御定数KMおよび車高関連制御定数計算部212から入力した車高関連制御定数KHに置き換える。これにより制御則が修正される。
なお、式(eq.22)の制御則は車両走行中に逐次算出しても良いが、式(eq.22)に表される制御則の制御定数行列のほとんどが実車両のバネ上質量または車高に影響する場合には、車両走行中に非線形H制御を適用して制御則を逐次算出する必要は無く、制御定数が未知数とされた減衰係数の制御則(eq.(22))を予めサスペンションECU21に記憶させておけば良い。この場合、質量関連制御定数計算部211および車高関連制御定数計算部212によって、式(eq.22)に表される全ての制御定数が質量関連制御定数KMまたは車高関連制御定数KHとして計算され、計算されたこれらの制御定数が、サスペンションECU21に記憶されている制御則のうちの対応する制御定数にそれぞれ代入される。これにより結果的に、非線形H制御理論を適用することにより算出される減衰係数の制御則が決定される。
S408にて、質量関連制御定数KMおよび車高関連制御定数KHの置き換えまたは代入により式(eq.22)を修正または決定した後は、要求減衰力計算部213は、S410に進み、式(eq.22)により表される減衰係数の制御則u=k(x)に基づいて可変減衰係数Cv_fr,Cv_fl,Cv_rr,Cv_rlを計算する。次いで、S412にて、右前輪側要求減衰力Freq_fr,左前輪側要求減衰力Freq_fl,右後輪側要求減衰力Freq_rr,左後輪側要求減衰力Freq_rlを計算する。各要求減衰力は、各ダンパ12について設定された線形減衰係数Cs_fr,Cs_fl,Cs_rr,Cs_rlと、各ダンパ12について上記修正された制御則に基づき計算された可変減衰係数Cv_fr,Cv_fl,Cv_rr,Cv_rlとの加算値に、バネ上部材HAの各輪位置におけるバネ上−路面間相対速度xs_fr',xs_fl',xs_rr',xs_rl'を乗じることにより計算される。このようにして各要求減衰力Freq_fr,Freq_fl,Freq_rr,Freq_rlを計算した後は、要求減衰力計算部213はS414に進み、計算した要求減衰力Freq_fr,Freq_fl,Freq_rr,Freq_rlに対応する駆動信号を出力する。その後、S416に進んでこのプログラムを終了する。
要求減衰力計算部213から出力された駆動信号は、各対応する駆動回路23FR,23FL,23RR,23RLに入力される。各駆動回路は入力された駆動信号に基づいて、各対応するアクチュエータ132FR,132FL,132RR,132RLに駆動電流を出力する。各アクチュエータは入力された駆動電流に従って駆動する。この駆動によって、各バルブが作動し、各サスペンション装置10FR,10FL,10RR,10RLの各ダンパ12の減衰係数(減衰力特性)が変更制御される。これにより、各サスペンション装置の減衰力が制御されるのである。
以上のように、本実施形態によれば、実車両のバネ上全体質量の変化またはバネ上重心位置の変化に応じて、減衰係数の制御則に表される質量関連制御定数が計算される(制御則に表される制御定数が全てバネ上質量全体質量またはバネ上重心位置に影響される場合には、実車両のバネ上全体質量の変化またはバネ上重心位置の変化に応じて減衰係数の制御則に表される制御定数が計算される。)。そして、そのように計算された制御定数が代入された制御則に基づいて各サスペンション装置の減衰力が制御される。これにより、実車両のバネ上質量特性が変化した場合であっても、変化後のバネ上質量特性に見合うように制御定数がオンラインで修正または決定され、修正または決定された制御定数を用いた減衰係数の制御則に基づいてサスペンション装置の減衰力が制御される。
また、仮想バネ上部材の前輪側バネ上質量MF_Nと仮想質量関連制御定数KM_Nとに基づいて求められる前輪側バネ上質量MFと前輪側制御定数KM_Fとの相関関係式(eq.5)に基づいて、前輪側バネ上質量MFの変化を踏まえた前輪側制御定数KM_F(第1制御定数)が計算される。また、仮想バネ上部材の後輪側バネ上質量MR_Nと仮想質量関連制御定数KM_Nとに基づいて求められる後輪側バネ上質量MRと後輪側制御定数KM_Rとの相関関係式(eq.9)に基づいて、後輪側バネ上質量MRの変化を踏まえた後輪側制御定数KM_R(第2制御定数)が計算される。そして、前輪側制御定数KM_Fと後輪側制御定数KM_Rに基づいて質量関連制御定数KMが計算される。前輪側バネ上質量MFと後輪側バネ上質量MRとの和はバネ上全体質量を表し、差はバネ上重心位置を表すので、前輪側バネ上質量MFに依存する前輪側制御定数KM_Fと後輪側バネ上質量MRに依存する後輪側制御定数KM_Rとに基づいて最終的に質量関連制御定数KMを求めることにより、実車両のバネ上部材HAのバネ上全体質量およびバネ上重心位置に見合った質量関連制御定数をオンラインで得ることができる。
また、実車両のバネ上部材HAのバネ上全体質量に対する前輪側バネ上質量MFの比率(MF/y2)と後輪側制御定数KM_Rの積と、実車両のバネ上部材HAのバネ上全体質量に対する後輪側バネ上質量MRの比率(MR/y2)と前輪側制御定数KM_Fの積とを加算することにより、質量関連制御定数KMが計算される。これによれば、実車両のバネ上部材HAの質量変化を考慮した2つの制御定数(前輪側制御定数KM_Fおよび後輪側制御定数KM_R)に、バネ上重心位置を表す比率(比率(MF/y2)および比率(MR/y2))をそれぞれ掛け合わせた値の総和により、質量関連制御定数KMが計算される。つまり、質量関連制御定数KMを計算する際にバネ上全体質量の変化およびバネ上重心位置の変化が考慮される。このようにバネ上全体質量の変化およびバネ上重心位置の変化を考慮することによって、実車両のバネ上全体質量またはバネ上重心位置が変化した場合であっても、変化後のバネ上部材HAのバネ上全体質量およびバネ上重心位置に見合った質量関連制御定数KMが得られる。よって、実車両のバネ上部材に見合った適正な制御則によって車両のサスペンション装置の減衰力が制御される。
また、本実施形態によれば、実車両の車高の変化に応じて、減衰係数の制御則に表される車高関連制御定数KHが計算される(制御則に表される制御定数が全て車高に影響される場合には、実車両の車高の変化に応じて減衰係数の制御則に表される制御定数が計算される。)。そして、そのように計算された制御定数が代入された制御則に基づいて各サスペンション装置の減衰力が制御される。これにより、実車両の車高が変化した場合であっても、変化後の車高に見合うように制御定数がオンラインで修正または決定され、修正または決定された制御定数を用いた減衰係数の制御則に基づいてサスペンション装置の減衰力が制御される。
また、車高関連制御定数KHの計算に当たり、予め定められる複数の仮想バネ上重心高さ位置HNの中から、実車両のバネ上重心高さ位置Hに最も近い仮想バネ上重心高さ位置が選択される。そして、バネ上重心高さ位置が選択された仮想バネ上重心高さ位置に置き換えられた車両モデルにH制御理論を適用することにより予め算出された減衰係数の制御則に表される仮想車高関連制御定数が、車高関連制御定数に決定される。これにより、実車両の車高に見合った減衰係数の制御則に基づいてサスペンション装置の減衰力が制御される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては、バネ上部材HAを前後に二分割した場合における前方部分の質量(前輪側バネ上質量)と後方部分の質量(後輪側バネ上質量)の変化によって、バネ上全体質量およびバネ上重心位置を表すようにしているが、バネ上部材HAを左右に二分割した場合における左方部分の質量(左輪側バネ上質量)と右方部分の質量(右輪側バネ上質量)の変化によって、バネ上全体質量およびバネ上重心位置を表すようにしてもよい。また、前輪側バネ上質量と後輪側バネ上質量の変化、および、右輪側バネ上質量と左輪側バネ上質量の変化を併用することにより、バネ上全体質量およびバネ上重心位置を表すようにしてもよい。また、バネ上部材を3分割以上した場合における各部分の質量の変化によって、バネ上全体質量およびバネ上重心位置を表すようにしてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
1…サスペンション制御装置、10RR…右後輪側サスペンション装置、10FR…右前輪側サスペンション装置、10RL…左後輪側サスペンション装置、10FL…左前輪側サスペンション装置、11…バネ、12…ダンパ、13…可変絞り機構、131…バルブ、132…アクチュエータ、20…電気制御装置(減衰力制御装置)、21…サスペンションECU、211…質量関連制御定数計算部、212…車高関連制御定数計算部、213…要求減衰力計算部、224FR,224FL,224RR,224RL…バネ上質量センサ、227FR,227FL,227RR,227RL…車高センサ、HA…バネ上部材、HA…第1仮想バネ上部材、HA…第2仮想バネ上部材、HA…第3仮想バネ上部材、HA…第4仮想バネ上部材、KH…車高関連制御定数、KM…質量関連制御定数、MF…前輪側バネ上質量、MR…後輪側バネ上質量、y1…バネ上前後質量差、y2…バネ上全体質量

Claims (8)

  1. 車両のバネ上部材とこのバネ上部材に取付けられたサスペンション装置とを有する車両モデルにH制御理論を適用することにより算出される減衰係数の制御則に基づいて、前記サスペンション装置の減衰力を制御する減衰力制御装置において、
    実車両のバネ上部材の質量の変化または重心位置の変化に応じて、前記制御則に表される制御定数のうちバネ上部材の質量または重心位置に関連する制御定数である質量関連制御定数を計算する制御定数計算手段を備えることを特徴とする、減衰力制御装置。
  2. 請求項1に記載の減衰力制御装置において、
    前記制御定数計算手段は、バネ上部材の質量または重心位置が異なるように予め定められる複数の仮想バネ上部材を複数の部分に分割した場合における各部分の質量と、実車両のバネ上部材を前記各仮想バネ上部材に置き換えた車両モデルにH制御理論を適用することにより予め算出された減衰係数の制御則に表される前記質量関連制御定数である仮想質量関連制御定数とに基づいて求められるバネ上部材の各部分の質量と前記質量関連制御定数との相関関係式に基づいて、前記質量関連制御定数を計算することを特徴とする、減衰力制御装置。
  3. 請求項2に記載の減衰力制御装置において、
    前記制御定数計算手段は、複数の前記仮想バネ上部材を第1部分と第2部分に二分割した場合における前記各仮想バネ上部材の前記第1部分および前記第2部分の質量と、前記各仮想質量関連制御定数とに基づいて求められる前記第1部分の質量と前記質量関連制御定数との相関関係式、および、前記第2部分の質量と前記質量関連制御定数との相関関係式に基づいて、前記質量関連制御定数を計算することを特徴とする、減衰力制御装置。
  4. 請求項3に記載の減衰力制御装置において、
    前記制御定数計算手段は、
    前記第1部分の質量と前記質量関連制御定数との相関関係式に基づいて、前記第1部分の質量変化を踏まえた質量関連制御定数である第1制御定数を計算する第1制御定数計算手段と、
    前記第2部分の質量と前記質量関連制御定数との相関関係式に基づいて、前記第2部分の質量変化を踏まえた質量関連制御定数である第2制御定数を計算する第2制御定数計算手段と、を備え、
    前記第1制御定数および前記第2制御定数に基づいて、前記質量関連制御定数を計算することを特徴とする、減衰力制御装置。
  5. 請求項4に記載の減衰力制御装置において、
    前記減衰力制御装置は、実車両のバネ上部材の質量に対する前記第1部分の質量の比率と前記第2制御定数の積と、実車両のバネ上部材の質量に対する前記第2部分の質量の比率と前記第1制御定数の積とを加算することにより、前記質量関連制御定数を計算することを特徴とする、減衰力制御装置。
  6. 請求項3乃至5のいずれか1項に記載の減衰力制御装置において、
    複数の前記仮想バネ上部材は、前記第1部分および前記第2部分が第1の質量である第1仮想バネ上部材と、前記第1部分が前記第1の質量であり前記第2部分が第2の質量である第2仮想バネ上部材と、前記第1部分が前記第2の質量であり前記第2部分が前記第1の質量である第3仮想バネ上部材と、前記第1部分および前記第2部分が前記第2の質量である第4仮想バネ上部材からなること特徴とする、減衰力制御装置。
  7. 請求項2乃至6のいずれか1項に記載の減衰力制御装置において、
    前記制御定数計算手段は、ゲインスケジューリング法により前記質量関連制御定数を計算することを特徴とする、減衰力制御装置。
  8. 請求項3乃至7のいずれか1項に記載の減衰力制御装置において、
    前記第1部分および前記第2部分は、バネ上部材を前後方向に二分割した場合における前方部分および後方部分であることを特徴とする、減衰力制御装置。
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