以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.回胴式遊技機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.電気的構成:
B.遊技の概要:
C.回胴式遊技機の制御内容:
C−1.遊技制御処理:
C−2.遊技状態設定処理:
C−3.回胴回転処理:
C−4.回胴回転停止処理:
D.電源投入処理:
E.第1実施例の特殊回転動作復帰処理:
F.第2実施例の特殊回転動作復帰処理:
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1には、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2などが設けられている。前面扉2は、実際に遊技が行われる中段の領域と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカ14が設けられ、演出表示装置10およびスピーカ14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、内部に設けられた3つの回胴20a,20b,20cが回転する様子を視認可能となっている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技の状態を表示する各種の表示パネル類22が設けられている。
前面扉2の中段下方に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、上面には、遊技メダルを投入するための遊技メダル投入口30と、クレジットとして貯留されている遊技メダルを、1ゲームに要する枚数だけ投入するための投入ボタン34などが設けられている。尚、遊技メダルの貯留とは、遊技メダル投入口30に投入された遊技メダルの枚数が規定枚数(1ゲームに要する遊技メダル枚数の上限)を超えた場合にその超えた分をデータとして記憶しておくこと、および、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの払い出し枚数をデータとして記憶しておくことをいう。また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a,20b,20cの回転を開始するためのスタートレバー36と、3つの回胴20a,20b,20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。
加えて、操作部2mbには、上面に精算ボタン40、および前面に返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。遊技メダルの投入後も、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cの回転を開始するまでの間であれば、投入済みの遊技メダルも精算ボタン40を操作することによって払い出すことが可能である。また、返却ボタン42とは、投入した遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50と、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
図2は、前面扉2を開いて遊技機1の内部の構成を示した斜視図である。前面扉2の裏面側上部には、演出表示装置10が取り付けられており、その左右には一対のスピーカ14が取り付けられている。前面扉2のほぼ中央には表示窓20が設けられており、その下方には、後述する扉基板240が設けられている。また、扉基板240の下方には、回胴停止ボタン38a,38b,38cや、スタートレバー36が取り付けられている。
回胴停止ボタン38a,38b,38cの左方には、投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106が設けられており、その下方には、遊技メダルを遊技メダル払出口50に導くためのコインシュータ108などが設けられている。メダルセレクタ106は、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルを主に寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した遊技メダルだけを受け入れる機能を有している。遊技者がスタートレバー36を操作する前に遊技メダルを投入すると、遊技メダルはメダルセレクタ106によって選別され、規格を満足しているものだけがホッパー116内に投入され、規格を満たしていないメダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却されるようになっている。これに対して、スタートレバー36が操作された後に遊技メダルが投入された場合は、メダルセレクタ106内の通路が切り換わり、投入された遊技メダルはコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却される。また、メダルセレクタ106の内部には、図示しないメダルセンサが設けられており、寸法規格を満たして受け入れられた遊技メダルが通過すると、メダルセンサによって検出されて、その信号が後述する主制御基板200に供給されるようになっている。
このような前面扉2が取り付けられる筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a,20b,20cが設けられており、各回胴の外周面には、後述するように複数種類の図柄が描かれている。これら回胴の上方には、遊技全体の制御を司る後述する主制御基板200が格納された主制御基板ユニット110が設けられており、回胴の背後には、各回胴を駆動するための後述する回胴基板260が格納された回胴基板ユニット112が設けられている。また、回胴の左方には、図1に示した演出表示装置10や、各種ランプ類12、スピーカ14などを用いて行われる各種演出の制御を司る後述するサブ制御基板220が格納されたサブ制御基板ユニット111が設けられている。
3つの回胴20a,20b,20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための後述する電源基板280が格納された電源ユニット120などが搭載されている。メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源スイッチ120sも設けられている。
図3は、3つの回胴20a,20b,20cの外周面に描かれた図柄の配列を示す説明図である。各回胴には、何れも21個の図柄が外周面に描かれている。また、何れの回胴についても、描かれている図柄の種類は同じであるが、図柄の配列については回胴毎に異なる配列に設定されている。
A−2.電気的構成 :
図4は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図4に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280、中継基板300等がデータをやり取り可能に接続されて構成されている。
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の進行や演出を司る基板である。この主制御基板200には、CPU201、ROM202、RAM203などがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて搭載されている。そして、主制御基板200のCPU201は、前面扉2に搭載された扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号などを受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を出力することにより、これら各種基板の動作を制御している。
サブ制御基板220も、上述した主制御基板200と同様に、CPU221や、ROM222、RAM223などがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、各種のスピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられ、回胴の表面に描かれた図柄(図3参照)を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドを解析して、各種ランプ類12、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を出力することにより、各種の演出を行っている。
扉基板240には、メダルセレクタ106や、貯留されている遊技メダルを投入するための投入ボタン34、回胴の回転を開始するためのスタートレバー36、回転している回胴を停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38c、貯留されている遊技メダルや投入された遊技メダルを払い出して遊技を終了するための精算ボタン40、遊技の状態を表示する各種の表示パネル22などが接続されている。また、この扉基板240は、前述した主制御基板200とデータをやり取り可能に接続されている。このため、前面扉2に設けられたスタートレバー36や、回胴停止ボタン38a,38b,38c、投入ボタン34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号が主制御基板200に供給されるようになっている。また、メダルセレクタ106が、内蔵するメダルセンサによって遊技メダルの通過を検出した信号も、扉基板240を介して主制御基板200に供給される。
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モータ24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cなどが接続されている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって、各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モータ24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを、所望の位置で停止させることが可能となっている。また、本実施例の遊技機1では、回胴モータ24a,24b,24cには、いわゆるステップモータ(ステッピングモータ)が使用されている。なお、ステップモータは、回胴が1回転するステップ数として、504ステップが設定されている。図3を用いて前述したように、各回胴には略均一の大きさで21図柄が設定されており、1図柄分に相当するステップ数としては、24ステップ(=21/504)が設定されている。
また、メダル払出装置118は、中継基板300を介して、主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて、所定枚数の遊技メダルを払い出す動作を行う。
これら各種制御基板、および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。図4では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。図示されているように、主制御基板200およびサブ制御基板220には、電源基板280から電力が直接供給されており、各種基板(扉基板240、回胴基板260、中継基板300)には、主制御基板200を介して電力が供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する回胴式の遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、回胴式遊技機で行われる遊技の概要を説明しておく。
遊技を開始するにあたっては、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入して、遊技を開始するに必要な枚数(規定枚数)の遊技メダルのベットを行う。本実施例の遊技機1では、規定枚数は「3枚」に固定されており、3枚の遊技メダルをベットすると、スタートレバー36の操作が有効化される。また、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留されている場合は、投入ボタン34を押すことによって規定枚数の遊技メダルをベットすることも可能である。
規定枚数の遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。図3を用いて前述したように、各回胴には複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、前面扉2の前面側には、各回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、表示窓20では、変動表示されていた図柄が何れかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で何れかの図柄が停止表示される。本実施例の遊技機1では、表示窓20の大きさは、各回胴あたり3つずつ、図柄が表示されるような大きさに設定されている。結局、3つの回胴20a,20b,20cが停止表示されると、表示窓20には、3行3列の合計9つの図柄が表示されるようになる。また、これら9つの図柄が表示される位置には、複数本の入賞ラインが予め設定されている。
図5は、本実施例の遊技機1に設定されている入賞ラインを示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では、上段の入賞ラインL1と、中段の入賞ラインL2と、下段の入賞ラインL3と、右斜め上方向きの入賞ラインL4と、右斜め下方向きの入賞ラインL5の合計5本の入賞ラインが設定されている。3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、これらの入賞ライン上には、何某かの図柄組合せが得られることになる。そして、入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役の入賞が成立し、遊技役に応じた特典が遊技者に付与される。
図6は、本実施例の遊技機1に設定されている遊技役の種類を、その遊技役の入賞を成立させる図柄組合せ、および遊技役の入賞が成立したときに遊技者に付与される特典と対応付けて示した説明図である。図6では、左端の欄に遊技役の種類が表示され、中央の欄には遊技役の入賞を成立させる図柄組合せが表示され、右端の欄には遊技役の入賞が成立したときに遊技者に付与される特典が表示されている。例えば、最上段に示したビッグボーナス役(以下、BB役)と呼ばれる遊技役には、「赤セブン」と呼ばれる図柄の揃った図柄組合せ、あるいは「青セブン」と呼ばれる図柄の揃った図柄組合せが対応付けられており、何れかの図柄組合せで揃うと、特典として、遊技者にとって大変有利なビッグボーナス遊技(BB遊技)と呼ばれる遊技状態が開始される。尚、本実施例の遊技機1では、「赤セブン」の図柄で入賞が成立したBB役を「赤7のBB役」と呼び、「青セブン」の図柄で入賞が成立したBB役を「青7のBB役」と呼んで区別する。
本実施例のBB遊技は、BB一般遊技とレギュラーボーナス遊技(RB遊技)とによって構成されている。ここで、BB一般遊技とは、通常遊技では入賞が成立することのないレギュラーボーナス役(以下、RB役)と呼ばれる遊技役の入賞が成立し易い遊技状態であり、BB一般遊技でRB役の入賞が成立すると、BB遊技の中でRB遊技が開始される。また、RB遊技とは、特典として遊技メダルが払い出される遊技役の種類が通常遊技に比べて増加し、その増加した遊技役(増加役)の入賞が高い確率で成立する遊技状態であり、RB遊技の開始後に所定回数だけ遊技役の入賞(例えば、8回入賞)が成立するか、あるいは所定回数の遊技(例えば、12ゲーム)が行われると、BB一般遊技へと復帰する。こうしてBB一般遊技とRB遊技とが繰り返されるBB遊技は、所定枚数(例えば、400枚)の遊技メダルが払い出されるまで継続される。そのため、BB遊技が開始されると、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することができる。
また、いわゆる「小役」と呼ばれる遊技役も設けられている。先ず、ベルの小役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「ベル」の図柄で揃った図柄組合せが設定されており、このベルの小役の入賞成立に対する特典としては、15枚の遊技メダルが遊技者に払い出されるように設定されている。次いで、スイカの小役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せが設定されており、スイカの小役に対しては、10枚の遊技メダルが遊技者に払い出される。そして、チェリーの小役という遊技役には、左回胴20aの図柄が「チェリー」の図柄であれば、中回胴20bおよび右回胴20cの図柄はどのような図柄であっても構わない図柄組合せが設定されており、チェリーの小役に対しては、2枚の遊技メダルが払い出される。
また、本実施例の遊技機1には、「再遊技役」という遊技役が設けられており、再遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「リプレイ」の図柄で揃った図柄組合せが設定されている。そして、再遊技役の入賞成立に対する特典としては、新たな遊技メダルをベットすることなく、もう一度、遊技を行う権利が付与される。すなわち、再遊技役の入賞成立時にベットしていた遊技メダルと同じ枚数だけ、遊技メダルがベットされたものとして、もう一度遊技を行うことが可能となる。
また、RB遊技が開始されると高い確率で入賞が成立するようになる増加役には、左回胴20aおよび右回胴20cの図柄が「リプレイ」であり、中回胴20bの図柄が「ベル」である図柄組合せが設定されており、増加役の入賞が成立すると、特典として、15枚の遊技メダルが遊技者に払い出されるように設定されている。
もちろん、回胴20a,20b,20cが停止したときに、何れかの遊技役の入賞が成立するとは限らない。この場合は、再び規定枚数の遊技メダルをベットした後、スタートレバー36を操作して回胴を回転させることによって、次のゲームを行う。本実施例の遊技機1では、こうした操作を繰り返し行うことによってゲームが進行するようになっている。こうした遊技の進行は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって制御されている。以下では、主制御基板200のCPU201が遊技の進行を制御するために行っている処理内容について説明する。
C.回胴式遊技機の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図7は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図8は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が投入されて、後述する電源投入処理が行われた後に実行される処理である。
図7に示すように、遊技制御処理を開始すると、先ず始めに遊技状態設定処理(ステップ100。以下、ステップを「S」と略記する)を行う。遊技状態設定処理の詳細については後述するが、この処理では、大まかには次のような処理を行う。前述したように、本実施例の遊技機1では、ビッグボーナス遊技(BB遊技)や、BB遊技の中で実行されるレギュラーボーナス遊技(RB遊技)などの遊技状態が設けられており、遊技状態に応じて遊技役の入賞の成立し易さや、入賞の成立し得る遊技役の種類等が異なっている。遊技状態設定処理では、現在の遊技状態が何れであるかを検出するとともに終了条件が満たされたか否かを判断し、終了条件が満たされた場合には、その遊技状態を終了させて、遊技状態を切り換える処理を行う。こうして遊技状態を切り換えることで、遊技が単調になることを回避することが可能となる。
遊技状態設定処理に続いて、主制御基板200のCPU201は、メダル投入確認処理を行う(S102)。メダル投入確認処理では、遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入されたか否か、あるいは遊技メダルがクレジットとして貯留されている場合に、投入ボタン34が操作されたか否かを確認する。前述したように、投入された遊技メダルは、メダルセレクタ106に内蔵されたメダルセンサによって検出され、その検出信号が主制御基板200に供給される。また、投入ボタン34を操作した場合には、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200のCPU201は、これらの信号に基づいて、遊技メダルが投入されたか否かを判断することができる。そして、規定枚数の遊技メダルが投入されたら、遊技を開始可能な状態になる。尚、投入ボタン34が操作された場合には、遊技メダルの貯留枚数から投入枚数を減算する処理も同時に行われる。
上述のようにして遊技メダルの投入が確認できたら、スタートレバー36を操作することによって何時でも遊技を開始することが可能となるが、その前に、精算ボタン40が操作されたか否かの確認を行う(S104)。すなわち、遊技メダルをベットした後であっても、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cを回転させる前であれば、ベットした遊技メダルも含めてメダルを精算することが可能となっている。そして、精算ボタン40が操作されていた場合には(S104:yes)、精算処理を行うことにより、クレジットとして貯留されている遊技メダルおよび投入した遊技メダルを払い出す処理を行う(S106)。遊技メダルの払い出しは、主制御基板200からメダル払出装置118に向けて、払い出すべき遊技メダルの枚数を指示する制御信号を出力することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、遊技の開始前の状態(S100)に戻って、以降の処理を行う。
一方、精算ボタン40が操作されていない場合には(S104:no)、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S108)。前述したように遊技者がスタートレバー36を操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給されるので、主制御基板200は、スタートレバー36の操作信号に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。そして、スタートレバー36が操作されていない場合は(S108:no)、遊技者が未だ遊技を開始していないものと判断されるので、精算ボタン40の操作の有無を確認しながら(S104)、スタートレバー36が操作されるまで待機する。一方、スタートレバー36が操作されたら(S108:yes)、内部抽選処理を開始する(S110)。
内部抽選処理では、図6を用いて前述した遊技役の何れかの入賞成立を許容するか否かを、抽選によって決定する処理を行う。尚、この抽選で何れかの遊技役に当選した(入賞成立が許容された)としても、直ちに遊技役の入賞が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、当選した遊技役に対応する図柄組合せを有効な入賞ライン上に揃えなければ遊技役の入賞を成立させることはできない。また逆に、抽選で当選した遊技役でなければ、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、有効な入賞ライン上に対応する図柄組合せを揃えることはできないようになっている。その意味で、この抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役の入賞を成立させるための前提条件として、内部的に行われる抽選であることから「内部抽選」と呼ばれている。また、内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(あるいは単に、内部当選)と呼ばれている。
この内部抽選は、抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを用いて行われており、このテーブルには、遊技役と内部抽選用乱数との対応関係が設定されている。ここで内部抽選用乱数とは、主制御基板200のCPU201がスタートレバー36の操作信号を受け取ったときに取得する乱数である。本実施例の遊技機1では、内部抽選用乱数は2バイトデータとなっており、0〜65535の範囲の乱数値を取ることが可能である。尚、この抽選用の乱数は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。
図9は、最も一般的な遊技状態である通常遊技中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図9(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲がまとめて示されている。また、図9(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が示されている。図示されているように、通常遊技用の抽選テーブルでは、「ベルの小役」に対しては0〜7000の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、ベルの小役に内部当選することを表している。同様に、「スイカの小役」に対しては7001〜7200の乱数値が設定され、「チェリーの小役」には7201〜7300の乱数値が設定されている。また、「赤7のBB役」に対しては7301〜7400の乱数値が設定され、「青7のBB役」には7401〜7500の乱数値が設定されている。さらに、「再遊技役Aに対しては7501〜20000の乱数値が設定されている。尚、20001〜65535の乱数値には、何れの遊技役も設定されておらず、従って、取得した乱数値がこの範囲にあった場合は「ハズレ」となる。
内部抽選処理では、以上のようにして、スタートレバー36が操作されたことを検出して内部抽選用乱数を取得するとともに、抽選テーブルを参照することにより、何れの遊技役に内部当選したか、若しくは何れの遊技役にも内部当選しなかったかを判断する。そして、何れかの遊技役に内部当選したら、当選した遊技役を内部当選フラグにセットする。ここで内部当選フラグとは、内部抽選の結果を記憶しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
図10は、本実施例の遊技機1における内部当選フラグの構成を例示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では、小役、再遊技役、増加役についての内部当選フラグ(小役等内部当選フラグ)と、BB役およびRB役についての内部当選フラグ(ボーナス役内部当選フラグ)とに分けて記憶されており、それぞれに1バイト(8ビット)分の領域が確保されている。図10(a)は、小役等内部当選フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。図示されているように、1バイトデータのうち下位側の5ビット分が小役等内部当選フラグとして用いられている。これら5ビット中の先頭のビットは、ベルの小役に内部当選したことを記憶しておくためのビットであり、次のビットはスイカの小役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。以下の3つのビットも同様に、それぞれ、チェリーの小役、再遊技役、増加役に内部当選したことを記憶しておくために用いられるビットである。
また、図10(b)は、ボーナス役内部当選フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。図示されているように、1バイトデータのうち下位側の3ビット分がボーナス役内部当選フラグとして用いられている。これら3ビット中の先頭のビットは、赤7のBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットであり、次のビットは青7のBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。更にその下位のビットは、RB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。図7に示した内部抽選処理(S110)では、内部抽選用乱数を取得して、抽選テーブルを参照しながら、何れかの遊技役に内部当選しているか否かを判断し、何れかの遊技役に内部当選していれば、図10に示した内部当選フラグの対応するビットに「1」を設定する処理を行う。尚、図10(b)に示されるように、ボーナス役内部当選フラグが設定される1バイトの最上位ビットは、後述する特殊回転フラグとして用いられている。詳細には後述するが、特殊回転フラグの対応するビットに「1」が設定されると(特殊回転フラグがONになると)、3つの回胴20a,20b,20cが、通常とは異なる特殊な態様で回転するようになっている。
内部抽選処理を終了すると、主制御基板200のCPU201は、その内部抽選処理でBB役に内部当選したか否かを判断する(S112)。そしてBB役に内部当選していた場合は(S112:yes)、図10(b)を用いて前述した特殊回転フラグをONに設定する(SS114)。これに対して、BB役に内部当選していない場合は(S112:no)、特殊回転フラグをONに設定する処理は行わない。
続いて、主制御基板200のCPU201は、回胴回転処理を開始する(図7のS116)。回胴回転処理では、所定の条件が満足されているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる処理を行う。回胴回転処理では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)を経過した場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モータ24a,24b,24cに対して駆動信号を出力することにより、3つの回胴20a,20b,20cを、規定の回転方向に、規定の回転速度で回転させる。また、図10(b)に示した特殊回転フラグがONに設定されると、規定の回転方向あるいは規定の回転速度とは異なる特殊な態様で、各回胴20a,20b,20cを回転するようになっている。各回胴20a,20b,20cを回転させる態様については、後ほど詳しく説明する。尚、回胴を特殊な態様で回転させる際の回転速度には、速度=0、すなわち、回転していない状態も含まれる。その意味からは、回胴を「特殊な態様で回転させる」という表現よりも、「特殊な態様で動作させる」という表現の方が、より正確な表現と言うことができる。しかし分かり易さの観点から、本明細書中では、回胴を「特殊な態様で回転させる」あるいは「特殊な対応で回転動作させる」と表現することにする。
こうして3つの回胴20a,20b,20cを回転させたら、主制御基板200のCPU201は、回胴の回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S118)。回胴回転停止処理の詳細については後述するが、この処理では、先に行われた内部抽選の結果(何れの遊技役に内部当選したか否か)や、遊技者によって回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたタイミング、あるいは現在の遊技状態などに基づいて、3つの回胴20a,20b,20cのそれぞれの停止位置を決定し、決定した位置で停止させる処理を行う。
3つの回胴20a,20b,20cを停止させたら、遊技回数計数処理を行う(S120)。前述したように、本実施例のBB遊技の中で開始されるRB遊技は、所定回数の遊技(例えば、12ゲーム)が行われると終了するように設定されている。そこで、遊技回数計数処理では、先ず、現在の遊技状態がRB遊技か否かの判断を行う。そして、RB遊技中であると判断された場合には、3つの回胴20a,20b,20cを停止させたことによって遊技が1回消化されたことになるので、現在の遊技状態で行った遊技回数に「1」を加算する処理を行う。一方、RB遊技中ではないと判断された場合には、遊技回数の加算処理を行うことなく、そのまま遊技回数計数処理を終了する。
主制御基板200のCPU201は、遊技回数計数処理に続いて、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かを判断する(S122)。ここで、「遊技役の入賞が成立する」とは、遊技役に対応する図柄組合せが、入賞ライン上に揃って停止表示されることをいう。前述したように、本実施例の遊技機1では、内部抽選処理(S110)で何れかの遊技役に内部当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングによっては、その遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うとは限らない。そこで、主制御基板200は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役の入賞が成立しているか否かを判断する。
そして、何れの遊技役の入賞も成立していないと判断された場合は(S122:no)、その遊技は終了となり、図7の遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理が行われる(S100)。尚、本実施例の遊技機1では、前述した内部抽選処理(S110)でビッグボーナス役(BB役)に当選した場合において、入賞ライン上に対応する図柄組合せが停止表示されず、BB役の入賞が成立しなかったときに限り、BB役の内部当選が持ち越され、次回の遊技以降もBB役に対応する内部当選フラグがセットされている状態で遊技が行われる。これに対して、小役や再遊技役等の他の遊技役に内部当選した場合は、当選した遊技役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に停止表示させることができなければ、その内部当選は次遊技以降に持ち越されることなくリセットされてしまう。
一方、何れかの遊技役の入賞が成立したと判断された場合は(S122:yes)、先ず始めに、入賞の成立した遊技役が、BB役であるか否かを判断する(図8のS124)。図6を用いて前述したように、BB役は、入賞ライン上に「赤セブン」の図柄が揃うか、「青セブン」の図柄が揃った場合に入賞が成立する遊技役である。そして、BB役の入賞が成立したと判断された場合は(S124:yes)、入賞の成立したBB役の種類(「赤7のBB役」あるいは「青7のBB役」の何れであるか)に応じてBB遊技フラグをONに設定するとともに、他の遊技状態フラグを全てOFFに設定する(S126)。ここで、BB遊技フラグとは、遊技状態を、前述したビッグボーナス遊技(BB遊技)と呼ばれる遊技者にとって有利な遊技状態とすることを示すフラグであり、現在の遊技状態を表すための「遊技状態フラグ」と呼ばれる専用のフラグの一種である。詳しくは後述するが、本実施例の遊技機1には、BB遊技、RB遊技といった遊技状態のそれぞれに対応する遊技状態フラグが設けられており、これら遊技状態フラグの設定(ON/OFF)に応じて遊技状態を切り換えながら遊技が進行していく。こうした遊技状態フラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
図11は、遊技状態フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。本実施例の遊技機1では、RAM203上の所定アドレスの1バイトデータのうち、下位側の4ビット分が遊技状態フラグとして用いられている。これら4ビットの先頭のビットが「赤7のBB役」に対応するBB遊技フラグ(以下、赤7のBB遊技フラグ)に設定されており、その次のビットが「青7のBB役」に対応するBB遊技フラグ(以下、青7のBB遊技フラグ)に設定されている。S126では、入賞の成立したBB役の種類に応じて、何れかのビットに「1」を設定する。また、本実施例の遊技機1では、BB役の入賞が成立すると、何れの遊技状態であってもBB遊技へと切り換えるようになっている。そこで、BB遊技フラグをONに設定したら、BB遊技フラグ以外の遊技状態フラグをOFFに設定する(すなわち、BB遊技フラグを除く全ての遊技状態フラグのビットに「0」を設定する)。こうしてBB遊技フラグがONにセットされた状態で遊技制御処理の先頭に戻って遊技状態設定処理(S100)を開始すると、BB遊技フラグがONになっていることが検出され、遊技状態がBB遊技に切り換わって、上述した一連の処理が行われる。S100において、BB遊技フラグに基づいて遊技状態をBB遊技に切り換える処理の詳細については後述する。
以上では、入賞の成立した遊技役がBB役であった場合(図8のS124:yes)に行われる処理について説明したが、入賞の成立した遊技役がBB役ではなかった場合には(S124:no)、次いで、入賞成立した遊技役がRB役か否かを判断する(S128)。図6を用いて前述したように、RB役は、入賞ライン上に「バー」の図柄が揃った場合に入賞が成立する遊技役である。そして、RB役の入賞が成立したと判断された場合には(S128:yes)、RB遊技フラグをONに設定する(S130)。ここで、RB遊技フラグとは、遊技状態を、前述したレギュラーボーナス遊技(RB遊技)とすることを示す遊技状態フラグである。図11に示した遊技状態フラグに用いられる4ビットのうち、先頭から3番目のビットがRB遊技フラグに設定されており、RB遊技フラグをONにする場合には、このビットに「1」を設定する。尚、本実施例の遊技機1では、BB遊技の中でRB遊技が行われることから、RB遊技がONに設定されても、BB遊技フラグはONに設定されたままとなっている。そしてRB遊技フラグ(およびBB遊技フラグ)がONにセットされた状態で遊技制御処理の先頭に戻って遊技状態設定処理(S100)を開始すると、RB遊技フラグ(およびBB遊技フラグ)がONになっていることが検出されて、RB遊技が開始される。
これに対して、入賞の成立した遊技役がRB役ではなかった場合には(S128:no)、今度は、入賞の成立した遊技役が再遊技役か否かを判断する(S132)。そして、再遊技役の入賞が成立していた場合は(S132:yes)、再遊技フラグをONに設定する(S134)。ここで、再遊技フラグとは、再遊技役の入賞が成立したことを記憶しておくためのフラグである。この再遊技フラグがONにセットされていると、次回の遊技のメダル投入確認処理(図7のS102)において、遊技者によって投入されなくても自動的に遊技メダルが再投入される。また、メダル投入確認処理が遊技メダルを自動的に再投入した後は、再遊技フラグの設定はOFFに戻される。このような再遊技フラグも、前述した遊技状態フラグと同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。本実施例の遊技機1では、図11に示したように、遊技状態を示す4ビット分のビットデータの中で最下位のビットが再遊技フラグに設定されている。
一方、入賞の成立した遊技役が再遊技役ではなかった場合は(S132:no)、何かの遊技役の入賞が成立しているものの(図7のS122:yes)、その遊技役は、BB役、RB役、再遊技役の何れでもないことから、小役または増加役であると判断される。そこで、入賞の成立した遊技役に応じた枚数の遊技メダルを払い出す処理を行う(S136)。すなわち、入賞の成立した小役がベルの小役であれば、15枚の遊技メダルを払い出し、スイカの小役であれば10枚の遊技メダルを払い出し、チェリーの小役であれば2枚の遊技メダルを払い出す処理を行う。また、増加役の入賞が成立した場合には、15枚の遊技メダルを払い出す処理を行う。この処理は、主制御基板200の内部で払い出すべき遊技メダルの枚数を求めた後、主制御基板200からメダル払出装置118に対して制御信号を出力することによって行われる。
こうして遊技メダルを払い出すと、主制御基板200のCPU201は、払出枚数計数処理を行う(S138)。前述したように、本実施例のBB遊技は、上限枚数(例えば、400枚)の遊技メダルが払い出されると終了するように設定されていることから、BB遊技の開始後に払い出された遊技メダルの枚数(払出枚数)を計数しておく必要がある。そこで、払出枚数計数処理では、先ず、現在の遊技状態がBB遊技であるか否かを判断して、BB遊技中であると判断された場合には、S136の処理で払い出した遊技メダルの枚数を、既に払い出した枚数(払出枚数)に加算する処理を行う。一方、BB遊技中ではないと判断された場合には、払出枚数を加算する処理を行うことなく、そのまま払出枚数計数処理を終了する。
払出枚数計数処理に続いて、主制御基板200のCPU201は、入賞回数計数処理を行う(S140)。前述したように、BB遊技の中で行われるRB遊技は、所定回数だけ遊技役の入賞(例えば、8回入賞)が成立するとBB一般遊技に復帰するようになっている。後述のように本実施例のRB遊技中は、BB役やRB役の入賞が成立しないように設定されており、また、再遊技役の入賞成立は回数に含めないことになっていることから、RB遊技中に遊技メダルの払い出しが行われた回数を計数することによって、遊技役(小役または増加役)の入賞が成立した回数(入賞回数)を計数することができる。そこで、入賞回数計数処理では、現在の遊技状態がRB遊技であるか否かを判断し、RB遊技中であると判断された場合は、RB遊技中の入賞回数に「1」を加算する処理を行う。一方、RB遊技中ではないと判断された場合には、入賞回数の加算処理を行うことなく、そのまま入賞回数計数処理を終了する。こうして入賞回数計数処理を行ったら、図7および図8に示した遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。
C−2.遊技状態設定処理 :
図12は、本実施例の遊技機1が行う遊技状態設定処理を示すフローチャートである。遊技状態設定処理を開始すると、先ず始めに主制御基板200のCPU201は、図11に示した遊技状態フラグを参照して、BB遊技フラグ(赤7のBB遊技フラグ、青7のBB遊技フラグの何れか)がONに設定されているか否かを判断する(S200)。前述したように、BB遊技フラグは、遊技状態をBB遊技とすることを示す遊技状態フラグであり、BB役(赤7のBB役、青7のBB役の何れか)の入賞が成立したと判断された場合に(図8のS124:yes参照)、入賞の成立したBB役の種類に応じて赤7のBB遊技フラグあるいは青7のBB遊技フラグの何れかがONの状態に設定される(S126参照)。
何れかのBB遊技フラグがONに設定されていると判断された場合は(S200:yes)、BB遊技の終了条件が満たされているか否かを判断する(S202)。本実施例では、BB遊技の終了条件として、BB遊技の開始後に払い出した遊技メダルの枚数が設定されており、払い出した遊技メダルの枚数が所定枚数(例えば、400枚)に達するとBB遊技が終了するように設定されている。図7および図8を用いて前述した遊技制御処理では、払い出した遊技メダルの枚数を計数しており(図8のS138)、従って、BB遊技開始後に払い出した遊技メダルの枚数が所定枚数に達すると、そのことを直ちに検出することができる。そして、所定枚数の遊技メダルを払い出した場合は、BB遊技の終了条件が成立したと判断して(S202:yes)、BB遊技フラグおよびRB遊技フラグをOFFに設定する(S204)。図11を用いて前述したように、BB遊技フラグは、遊技状態がBB遊技である場合にONに設定されるフラグである。また、RB遊技フラグは、BB遊技中にRB遊技が発生した場合にONに設定されるフラグである。S204では、BB遊技の終了条件が成立したことに伴って、BB遊技を終了させるべくBB遊技フラグをOFFに設定するとともに、そのBB遊技中にRB遊技が行われていた場合を考慮して、念のためにRB遊技フラグもOFFに設定している。
一方、BB遊技の終了条件が満たされていないと判断された場合は(S202:no)、RB遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S206)。前述した遊技制御処理で説明したように、RB遊技フラグは、BB遊技中にRB役の入賞が成立すると(図8のS128:yes)、ONに設定されるフラグである(S130)。判断の結果、RB遊技フラグがONに設定されていない場合は(S206:no)、BB一般遊技用抽選テーブルを選択する(S212)。前述したように、本実施例のBB遊技は、BB一般遊技とRB遊技とによって構成されており、RB遊技フラグがONに設定されていないことから、現在の遊技状態はBB一般遊技であると判断して、BB一般遊技用の抽選テーブルを選択するのである。
図13は、BB一般遊技用に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図13(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されており、図13(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が示されている。図13に示したBB一般遊技用抽選テーブルも、図9を用いて前述した通常遊技用抽選テーブルとほぼ同様であるが、通常遊技用抽選テーブルに対して、BB一般遊技用抽選テーブルには、「赤7のBB役」、「青7のBB役」、「再遊技役」の遊技役が設定されておらず、それら遊技役の乱数範囲に「RB役」が設定された抽選テーブルとなっている。従って、BB一般遊技では、比較的高い確率でRB役に内部当選することになり、そしてRB役に対応する図柄組合せ(図6参照)が揃うと、RB役の入賞が成立したと判断されて(図8のS128:yes)、RB遊技フラグがONに設定される(S130)。その結果、次回に行われる遊技状態設定処理のS206の判断では、RB遊技フラグがONに設定されている(S206:yes)と判断されることになる。
こうして、RB遊技フラグがONに設定されていることが確認されると(S206:yes)、RB遊技の終了条件が満たされたか否かを判断した後(S208)、RB遊技の終了条件が満たされていない場合は(S208:no)、RB遊技用抽選テーブルを選択する(S214)。ここで、本実施例の遊技機1では、RB遊技の終了条件として、RB遊技開始後の遊技役の入賞成立回数が所定回数(例えば、8回)に達すること、RB遊技開始から所定回数(例えば、12ゲーム)の遊技が行われることの2つの終了条件が設定されており、何れか一方の条件が成立すると、RB遊技の終了条件が成立したと判断される。図7および図8を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、遊技制御処理において、3つの回胴が停止表示されて何らかの図柄組合せが得られる度に、遊技回数を計数するとともに(図7のS120)、遊技役の入賞が成立して遊技メダルが払い出される度に入賞回数を計数している(図8のS140)。従って、主制御基板200のCPU201は、RB遊技を開始してからの遊技回数が所定回数に達するか、あるいは入賞成立回数が所定回数に達すると、直ちにこれを検出して、RB遊技の終了条件が成立したことを検出することができる。
図14は、RB遊技用に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図14(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数範囲が示されており、図14(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が示されている。図13に示したBB一般遊技用抽選テーブルと比較すると明らかなように、図14のRB遊技用抽選テーブルも、BB一般遊技用抽選テーブルと同様に、「赤7のBB役」、「青7のBB役」、「再遊技役」の遊技役は設定されていない。しかし、RB遊技用抽選テーブルでは、BB一般遊技用抽選テーブルで「RB役」に設定されていた乱数範囲の全てと、「ハズレ」に設定されていた乱数範囲の一部とに「増加役」が設定されている。図6を用いて前述したように、「増加役」の入賞が成立すると、15枚の遊技メダルが払い出されることから、RB遊技中は高い確率で増加役の入賞が成立し、入賞成立の度に15枚の遊技メダルが払い出されることになる。
これに対して、S208の判断で、RB遊技の終了条件が満たされたと判断された場合は(S208:yes)、RB遊技を終了するべく、RB遊技フラグをOFFに設定した後(S210)、図13を用いて前述したBB一般遊技用抽選テーブルを選択する(S212)。その結果、RB遊技を終了すると、前述したBB一般遊技状態に戻って遊技が継続されることになる。
以上では、BB遊技フラグがONに設定されていると判断された場合(S200:yes)について説明した。これに対して、BB遊技フラグがONに設定されていなかった場合(S200:no)、図9を用いて前述した通常遊技用抽選テーブルを選択した後(S216)、図12の遊技状態設定処理を終了して、図7および図8の遊技制御処理に復帰する。
以上に説明したように、遊技制御処理が開始されて最初に行われる遊技状態設定処理(S100)では、遊技状態フラグの設定に応じて適切な抽選テーブルを選択する処理が行われる。そして、遊技状態設定処理で何れの抽選テーブルが選択されたかによって、内部抽選で当選可能な遊技役の種類や遊技役の当選し易さが切り換わるようになっている。
また、図7を用いて前述したように、スタートレバー36が操作されると、内部抽選が行われた後(S110)、3つの回胴20a,20b,20cの回転が開始されるが(S116)、本実施例の遊技機1では、内部抽選でBB役に当選していた場合には、通常とは異なる特殊な態様で回転するようになっている。以下では、回胴20a,20b,20cを回転させるために行われる回胴回転処理(S116)について説明する。
C−3.回胴回転処理 :
図15は、本実施例の遊技機1が回胴20a,20b,20cを回転させるために行う回胴回転処理を示したフローチャートである。この処理は、図7に示した遊技制御処理の中で主制御基板200のCPU201によって実行される処理である。図示されるように、回胴回転処理を開始すると、先ず始めに、特殊回転フラグがONに設定されているか否かを判断する(S300)。特殊回転フラグとは、BB役に内部当選した場合にONに設定されるフラグであり、図10(b)を用いて前述したように、ボーナス役内部当選フラグが設定されるRAM203の1バイト領域の最上位ビットが、特殊回転フラグに割り当てられている。そして、このビットに「1」が記憶されると、特殊回転フラグがONに設定される。その結果、特殊回転フラグがONに設定されていないと判断された場合は(S300:no)、通常態様で、3つの回胴20a,20b,20cの回転を開始する(S302)。ここで、通常態様とは、表示窓20から見たときに、図柄が上から下へと移動する方向(以下、正方向と呼ぶ)に、所定の回転速度(本実施例では79.898回転/分)で定速回転する態様である。また、以下では、3つの回胴20a,20b,20cを通常の態様で回転させることを、「通常回転動作」と呼ぶことがあるものとする。尚、この「通常回転動作」が、本発明における「通常動作」に対応している。
図16は、回胴20a,20b,20cが、通常回転動作する様子を概念的に示した説明図である。図示されるように、通常回転動作を開始すると、回転速度が速やかに正方向に増加して、所定の回転速度に達すると、その回転速度を維持するようになっている。また、このような態様で回胴20a,20b,20cを回転させるために、本実施例では、回胴20a,20b,20cを回転させるステップモータを次のようにして駆動する。
図17は、回胴20a,20b,20cを通常回転動作させる際のステップモータの駆動方法を示した説明図である。周知のようにステップモータは、複数設けられた励磁状態を、次々と切り換えていくことによって回転しており、励磁状態を切り換える速度を変えれば、モータの回転速度を変更することが可能である。また、励磁状態を切り換える順序を逆にすれば、モータを逆回転することが可能であり、更に、同じ励磁状態で保持すれば、その位置でモータの回転を止めておくことも可能である。本実施例では、0層〜3層を1−2相励磁方式にて切り換え可能なステップモータが採用されており、回胴20a,20b,20cを通常回転動作させる際には、励磁1〜励磁8までの8つの励磁状態(図18参照)を、以下のようにして切り換えていく。
先ず始めは、励磁状態を励磁1の状態として、その状態で、90回のタイマー割り込みが発生するまで保持する。すなわち、本実施例では1.49msec毎に1回の頻度でタイマー割り込みを発生させており、そのタイマー割り込みが90回発生するまで、励磁1の状態を保持することとしている。図17の一番上の欄には、ステップ1として、タイマー割り込みのカウント値が「90」に達するまで、励磁1の状態で保持する旨が示されている。
励磁1の励磁状態で、タイマー割り込みのカウント値が「90」に達するまで保持したら、励磁状態を励磁2の状態に切り換えて、その状態でカウント値が「15」に達するまで保持する。図17のステップ2には、タイマー割り込みのカウント値が「15」に達するまで、励磁2の状態で保持する旨が示されている。尚、ステップ1の励磁1からステップ2の励磁2に向かう矢印に(+)と表示されているのは、励磁1から励磁2への切り換えが、正方向(回胴20a,20b,20cを正方向に回転させる)方向の切り換えであることを表している。続くステップ3では、励磁状態を励磁3に切り換えて、その状態をカウント値が「7」に達するまで保持する。更にステップ4では、励磁状態を励磁4に切り換えて、その状態をカウント値が「7」に達するまで保持する。
このように、回胴20a,20b,20cを通常回転動作させる際には、図17に示したステップ1〜ステップ18の18段階に分けて、少しずつカウント値の設定を減少させながら、タイマー割り込みの発生回数がカウント値に達する度に、励磁状態を正方向に順番に切り換えていく。これに伴ってステップモータの回転速度(すなわち、回胴20a,20b,20cの回転速度)は次第に正方向に加速していき、最後のステップ18で最高回転速度に達する。そして、最高回転速度に達した後は、カウント値の設定を「1」に保ったまま(従って、タイマー割り込みが発生する度に)、励磁状態を切り換える。その結果、ステップモータ(すなわち、回胴20a,20b,20c)は、最高回転速度のまま一定速度で正方向に回転し続けることになる。尚、ここでは、駆動開始時点で、ステップモータのロータ(回転軸)が、励磁1に対応する位置にあるものとして説明したが、駆動開始時のロータの位置が励磁1以外に対応する位置にある場合には、その位置に対応する励磁状態から、正方向に励磁状態を順番に切り換えていけばよい。
主制御基板200のROM202には、図17に示すようなステップモータの駆動方法(駆動スケジュール)が予め記憶されている。そして、図15に示した回胴回転処理のS302では、主制御基板200のCPU201が、ROM202に記憶された通常回転動作用の駆動スケジュールを読み出した後、図17に示したステップ1〜ステップ18に従って、励磁1〜励磁8までの励磁状態を正方向に順番に切り換えることで、回胴20a,20b,20cの回転速度を正方向に速やかに加速させる。そして、最高回転速度に達した後は、その回転速度を保つ処理を行う。尚、図示の関係上、図16では比較的ゆっくりと回転速度が増加するように表示されているが、図17に従って加速させた場合、停止状態から最高回転速度に達するまで、全カウント値にして「166」、時間にして247.34msec(=1.49msec×166)しかかからず、極めて速やかに加速させることが可能である。なお、247.34msecは、ステップモータのステップ数にして18ステップ分に相当する。
尚、3つの回胴20a,20b,20cを、正方向に、規定の回転速度で回転させる通常回転動作(通常動作)させる処理は、図15に示した回胴回転処理の中で行われている。この回胴回転処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって実行されていることから、本発明の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「通常動作実行手段」に対応している。
一方、図15に示した回胴回転処理の最初の判断で、特殊回転フラグがONに設定されていると判断された場合は(S300:yes)、回胴20a,20b,20cを上述した通常回転動作とは異なる態様で回転(動作)させるべく、以下に説明する特殊回転動作実行処理を開始する(S304)。
図19は、回胴20a,20b,20cを通常回転動作とは異なる態様で回転させるために行われる特殊回転動作実行処理を示したフローチャートである。特殊回転動作実行処理(S304)を開始すると、先ず始めに、特殊回転動作態様(特殊動作の種類)を決定する(S350)。すなわち、本実施例では、2種類の特殊回転動作態様が設けられており、何れの態様で回転させるかを決定するのである。尚、決定に際しては、乱数を用いた抽選を行って決定しても良いし、あるいは遊技状態に応じて(例えば特殊回転フラグをONに設定する原因となったBB役の内部当選が、赤7のBB役か、青7のBB役かに応じて)、特殊回転動作態様を決定しても良い。また、異なる特殊回転動作態様に応じて特殊回転フラグを各々設定する場合(特殊回転フラグA、B等が存在する場合)は、設定されている特殊回転フラグを基に特殊回転動作態様を決定しても良い。なお、ここで決定された特殊回転動作態様は、主制御基板200に搭載されたRAM203に「特殊回転動作態様情報」として記憶され、電断(後述する)が発生した場合であってもRAM203に保持される。
図20は、本実施例の遊技機1に設けられた特殊回転動作態様を例示した説明図である。図20(a)には、態様Aの特殊回転動作(特殊回転動作態様A)が示されており、図20(b)には、態様Bの特殊回転動作(特殊回転動作態様B)が示されている。始めに、図20(a)を参照して態様Aの特殊回転動作について説明する。態様Aの特殊回転動作を開始すると、回転速度が速やかに負方向に増加して、所定の回転速度に達すると、所定の定速駆動時間Ia だけその回転速度を維持するようになっている。ここで、負方向の回転とは、表示窓20から見たときに、回胴20a,20b,20cの図柄が下から上へと移動するような回転方向である。そして、定速駆動時間Ia が経過したら、負方向の回転速度が速やかに減速して、一旦停止した後、所定の停止時間Sa だけ停止状態を維持する。尚、詳細には後述するが、図15に示す本実施例の回胴回転処理では、以上のようにして態様Aの特殊回転動作を終了すると、通常回転動作が開始されるようになっている。このことに対応して、図20(a)では、態様Aの特殊回転動作に続いて開始される通常回転動作が破線によって表されている。
また、態様Bの特殊回転動作の場合には、図20(b)に示されているように、回転速度が速やかに正方向に増加した後、所定の回転速度に達すると、その回転速度を、所定の定速駆動時間Ib1だけ、その回転速度を維持する。このときの回転速度は、前述した通常回転動作で定速回転する時の回転速度よりも遅い速度となっている。そして、定速駆動時間Ib1が経過したら、正方向の回転速度が速やかに減速して、所定の停止時間Sb1だけ、停止状態となる。その後、再び正方向に加速した後、更にゆっくりとした速度で、所定の定速駆動時間Ib2だけ定速回転を行う。そして、定速駆動時間Ib2が経過したら、速やかに減速して一旦停止した後、所定の停止時間Sb2だけ停止状態を維持する。尚、後述するように、態様Bの特殊回転動作を終了した場合も、続いて通常回転動作が開始されるようになっている。このことに対応して、図20(b)においても、態様Bの特殊回転動作に続いて開始される通常回転動作が破線によって表されている。
図19に示した特殊回転動作実行処理を開始すると、このような特殊回転動作態様の中から、態様Aまたは態様Bの何れかの態様を決定する(S350)。続いて、決定した特殊回転動作態様に応じた駆動スケジュールを読み込む処理を行う(S352)。ここで駆動スケジュールとは、図17を用いて前述したように、回胴20a,20b,20cを回転させるためにステップモータを駆動する駆動方法である。本実施例では、特殊回転動作態様として、図20(a)に示した態様Aと、図20(b)に示した態様Bの2種類の態様が設けられていることに対応して、主制御基板200のROM202には、それぞれの態様に対応する駆動スケジュールが予め記憶されている。
図21は、態様Aの特殊回転動作に対応するステップモータの駆動スケジュールを示した説明図である。また、図22は、態様Bの特殊回転動作に対応するステップモータの駆動スケジュールを示した説明図である。各駆動スケジュールの内容については、後ほど詳しく説明するが、ここでは、態様Aの特殊回転動作に対応する駆動スケジュールを読み込んだものとして説明する。
駆動スケジュールを読み込んだら(図19のS352)、駆動時間の計時を開始した後(S354)、読み込んだ駆動スケジュールに従って、ステップモータを駆動する(S356)。以下では、態様Aの駆動スケジュールに従ってステップモータを駆動する様子について説明する。
図20(a)を用いて前述したように、態様Aの特殊回転動作態様を大まかに見ると、回胴20a,20b,20cを負方向に加速させる期間と、一定速度で回転させる期間と、負方向の回転速度を減速させる期間と、停止している期間の4つの期間に分けられる。このことと対応して、図21に示した態様Aの駆動スケジュールも、回胴20a,20b,20cを負方向に加速駆動するためのテーブルと、一定速度で定速駆動させる部分と、負方向の回転速度を減速駆動させるテーブルと、停止させる部分の大きく4つの部分から構成されている。
図21中の左上に示した加速駆動用のテーブルでは、ステップ1〜ステップ18の18ステップから構成されており、18段階に分けて、回胴20a,20b,20cを負方向に加速させていく。すなわち、先ず始めにステップ1では、励磁状態を励磁1の状態として、その状態で、タイマー割り込みの発生回数をカウントしながら、カウント値が「90」に達するまで保持する。そして、タイマー割り込みのカウント値が「90」に達したらステップ2に移行して、励磁状態を励磁1から励磁8の状態に切り換える。すなわち、図17を用いて前述した通常回転動作では、回胴20a,20b,20cを正方向に回転させるために、励磁1から励磁2の状態に切り換えたが、態様Aの特殊回転動作では、回胴20a,20b,20cを負方向に回転させるので、励磁1から逆方向の励磁8の状態に切り換えるのである。そしてステップ2では、励磁8の状態でタイマー割り込みのカウント値が「15」に達するまで保持した後、今度は、励磁8の状態から励磁7の状態に切り換えて(ステップ3)、カウント値が「7」に達するまで保持する。
このように、図21中の左上に示した加速駆動用のテーブルには、ステップ1から、ステップ2、ステップ3へと、カウント値の設定を少しずつ減少させながら、励磁状態を負方向に順番に切り換えていく旨が設定されている。そしてステップ18に達すると、カウント値が「1」となり、励磁状態が励磁1から励磁8の状態に切り換わる。図20(a)中で、態様Aでの回転開始後、負方向に加速させる動作は、このようにしてステップモータを駆動することによって実現されている。
尚、ここでも、ステップモータのロータ(回転軸)が、駆動開始時点では、励磁1に対応する位置にあるものとして説明したが、駆動開始時のロータの位置が励磁1以外に対応する位置にある場合には、その位置に対応する励磁状態から、負方向に励磁状態を順番に切り換えていけばよい。また、図17に示した通常回転動作時の駆動方法と、図21に示した態様Aの特殊回転動作時の駆動方法とを比較すれば明らかなように、どちらの場合も、カウント値90からカウント値1までを、ステップ1〜ステップ18の18段階で変化させている。従って、通常回転動作と、態様Aの特殊回転動作とは、回転方向が逆であるものの、同じ時間(247.34msec=1.49msec×166)をかけて、同じ回転速度(本実施例では79.898回転/分)まで加速していることになる。
そして、加速駆動のステップ18に達すると、定速駆動が開始される。定速駆動では、ステップ18で到達したカウント値「1」が保持されて、タイマー割り込みが発生する度に、励磁状態を負方向に(すなわち、励磁1→励磁8→励磁7→・・・・・→励磁2→励磁1)順番に切り換える。その結果、回胴20a,20b,20cが、負方向に一定回転で回転することになる。図21中で左上のテーブルの隣に(定速駆動)と表示されているのは、このようにカウント値を一定値としたまま(ここでは、カウント値「1」に保ったまま)励磁状態を順番に切り換えることで、回胴20a,20b,20cを一定速度で回転させていることを表している。
そして、図20(a)に示されているように、態様Aの特殊回転動作では、定速駆動の状態が、駆動開始から時間Ta1が経過するまで継続される。このことと対応して、態様Aの特殊回転動作の駆動スケジュールには、駆動開始後、時間Ta1が経過したら、次の減速のための駆動を開始する旨が設定されている。前述したように、図19に示した特殊回転動作実行処理では、駆動スケジュールに従ってステップモータの駆動を開始するに先立って、駆動時間の計時を開始しており(S354)、この計時時間が時間Ta1に達すると、定速駆動を終了して、次の減速駆動を開始する。
回胴20a,20b,20cを減速させるための駆動内容は、図21中の右下のテーブルに示されている。図示されているように、回胴20a,20b,20cの減速駆動も、ステップ1〜ステップ18の18段階に分けて行われる。すなわち、ステップ1〜ステップ18へとステップが進むにつれて、カウント値の設定を「1」(定速駆動時のカウント値)から次第に増加させていき、最後のステップ18ではカウント値を「90」まで増加させる。また、ステップが進むにつれて、励磁状態を負方向に順番に切り換えていく。こうすれば、励磁状態が負方向に順番に切り換わることに対応して、回胴20a,20b,20cが負方向に回転するとともに、回胴20a,20b,20cの回転速度が次第に低下していく。図20(a)中で、回胴20a,20b,20cを負方向に定速駆動した後、減速させる動作は、このようにしてステップモータを駆動することによって実現されている。尚、図21中に右下に示した減速駆動のテーブルにおいても、減速駆動の開始時点では、ステップモータのロータ(回転軸)が、励磁1に対応する位置にあるものとして説明したが、駆動開始時のロータの位置が励磁1以外に対応する位置にある場合には、その位置に対応する励磁状態から、負方向に励磁状態を順番に切り換えていけばよい。
こうして減速駆動で最後のステップ18に達すると、次は、その時の励磁状態を保持した状態となる。その結果、回胴20a,20b,20cは、停止した状態に保たれる。図21中で右下に示した減速駆動のテーブルの隣に(保持)と表示されているのは、励磁状態を保持することで、回胴20a,20b,20cを停止させている状態を表している。尚、図21中に示した減速駆動のテーブルでは、ステップ18の達した時の励磁状態が励磁8となっており、従って、励磁8の状態を保持するものとして示されている。しかし、これは、減速駆動を開始した時点で、ステップモータのロータ(回転軸)が、励磁1に対応する位置に存在した場合を想定したためである。従って、減速駆動開始時のロータの位置が励磁1以外に対応する位置にある場合には、ステップ18での励磁状態も励磁8とは異なる状態となり、回胴20a,20b,20cを停止させる際には異なる励磁状態で保持されることになる。
そして、態様Aの特殊回転動作は、図20(a)に示されているように、駆動開始から時間Ta2が経過すると終了する。このことと対応して、態様Aの特殊回転動作の駆動スケジュールには、励磁状態を保持する動作も、駆動開始から時間Ta2が経過した時点で終了する旨が設定されている。従って、図19に示した特殊回転動作実行処理のS354で計時を開始した駆動時間が、時間Ta2に達すると、態様Aの特殊回転動作を終了する。
以上では、図19の特殊回転動作実行処理のS352で、態様Aの特殊回転動作用の駆動スケジュールを読み込んで、特殊回転動作を実行する場合について説明した。これに対して、S352で、態様Bの特殊回転動作用の駆動スケジュールを読み込んだ場合は、次のようにして態様Bの特殊回転動作を実行する。
図22は、態様Bの特殊回転動作態様に対応するステップモータの駆動スケジュールを示した説明図である。図20(b)を用いて前述したように、態様Bの特殊回転動作態様は、大まかには8つの期間から構成されている。すなわち、回胴20a,20b,20cを正方向に加速させる最初の加速期間と、通常の回転速度(本実施例では79.898回転/分)よりも遅い第1のスロー一定速度(本実施例では39.949回転/分)で回転させる最初の定速期間と、正方向に減速させる最初の減速期間と、最初の停止期間と、2回目の加速期間と、通常の回転速度および第1のスロー一定速度よりも遅い第2のスロー一定速度(本実施例では11.414回転/分)で回転させる2回目の定速期間と、2回目の減速期間と、2回目の停止期間の8つの期間から構成されている。このことと対応して、態様Bの駆動スケジュールも、図22に示すように、最初の加速駆動用のテーブルと、最初の定速駆動の部分と、最初の減速駆動用のテーブルと、最初の保持部分と、2回目の加速駆動用のテーブルと、2回目の定速駆動の部分と、2回目の減速駆動用のテーブルと、2日目の保持部分の大きく8つの部分から構成されている。
図22中の左上に示した最初の加速駆動用のテーブルでは、ステップ1〜ステップ9の9つのステップに分けて、カウント値を「90」から「2」まで減少させるとともに、励磁状態を正方向(すなわち、励磁1→励磁2→・・・・・→励磁7→励磁8→励磁1)に順番に切り換えていく。このため回胴20a,20b,20cが正方向に回転し、また、カウント値の設定が小さくなっていることに対応して、回転速度が次第に増加していく。そして、ステップ9に達したら、その時のカウント値の設定を保ったまま、励磁状態を正方向に順番に切り換える。その結果、回胴20a,20b,20cは、正方向に一定速度で回転した状態となる。尚、ここでも、ステップモータのロータ(回転軸)が、駆動開始時点では、励磁1に対応する位置にあるものとして説明したが、駆動開始時のロータの位置が励磁1以外に対応する位置にある場合には、その位置に対応する励磁状態から、正方向に順番に励磁状態を切り換えていけばよい。
図20(b)で、態様Bの特殊回転動作の開始後、回胴20a,20b,20cを正方向に加速させる動作は、このようにしてステップモータを駆動することによって実現されている。尚、図17に示した通常回転動作の定速駆動時や、図21に示した態様Aの特殊回転動作では、カウント値が「1」に設定された状態で定速駆動が行われているが、図22に示した態様Bの特殊回転動作における最初の定速駆動は、カウント値が「2」に設定された状態で行われている。従って、態様Bの特殊回転動作における最初の定速駆動では、通常回転動作の定速駆動や、態様Aの特殊回転動作における最初の定速駆動に対して、回胴20a,20b,20cの回転速度が半分になっている。
そして、図20(b)に示されているように、態様Bの特殊回転動作では、駆動開始から時間Tb1が経過すると、最初の減速駆動が開始される。このことと対応して、態様Bの特殊回転動作に対応する駆動スケジュールには、駆動開始から時間Tb1が経過したら、最初の減速駆動を開始する旨が設定されている。従って、図19に示した特殊回転動作実行処理では、ステップモータの駆動開始からの計時時間が、時間Tb1に達したら、最初の定速駆動を終了して、最初の減速駆動を開始する。
図22の中ほどには、最初の減速駆動用のテーブルが示されている。図示されるように、最初の減速駆動は、ステップ1〜ステップ9の9段階で、カウント値を「2」から「90」まで次第に増加させながら、ステップが進むにつれて、励磁状態を正方向に順番に切り換えていく。その結果、回胴20a,20b,20cは、正方向に回転しながら、次第に回転速度が低下していく。尚、ここでも、減速駆動の開始時点では、ステップモータのロータ(回転軸)が、励磁1に対応する位置にあるものとして説明したが、駆動開始時のロータの位置が励磁1以外に対応する位置にある場合には、その位置に対応する励磁状態から、正方向に励磁状態を順番に切り換えていけばよい。そして、減速駆動における最後のステップ9に達すると、次は、その時の励磁状態を保持した状態となる。その結果、回胴20a,20b,20cは、停止した状態に保たれる。図22の中ほどに示した最初の減速駆動用のテーブルの隣に(保持)と表示されているのは、励磁状態を保持することで、回胴20a,20b,20cを停止させることを表している。
尚、上述した「最初の加速期間」および「最初の減速期間」は、全カウント値にして「149」、時間にして222.01msec(=1.49msec×149)がかかる。なお、「最初の加速期間」および「最初の減速期間」は、ステップモータのステップ数にして9ステップ分の移動で実行される。
また、図20(b)に示されるように、態様Bの特殊回転動作では、駆動開始から時間Tb2が経過すると、2回目の加速駆動が開始される。このことと対応して、態様Bの特殊回転動作の駆動スケジュールには、駆動開始から時間Tb2が経過すると、最初の保持状態を終了して、2回目の加速駆動を開始する旨が設定されている。このことと対応して、態様Bの特殊回転動作に対応する駆動スケジュールには、駆動開始から時間Tb2が経過したら、2回目の加速駆動を開始する旨が設定されている。従って、図19に示した特殊回転動作実行処理では、ステップモータの駆動開始からの計時時間が、時間Tb2に達したら、最初の保持状態を終了して、2回目の加速駆動が開始される。
2回目の加速駆動も、1回目の加速駆動とほぼ同様にして行われるが、加速によって達する回転速度が1回目よりも小さな速度に設定されており、このことと対応して、加速のためのステップも、少ないステップとなっている点が異なっている。すなわち、2回目の加速駆動では、ステップ1〜ステップ3にかけてカウント値の設定を「90」から「7」に減少させると共に、ステップが進む度に励磁状態を正方向に順番に切り換える。その結果、回胴20a,20b,20cは正方向に加速する。また、このとき到達する回転速度は、ステップ3でのカウント値が「7」であることに対応して、1回目の加速で到達する回転速度よりも更に低い速度となっている。そして、ステップ3に達したら、その時のカウント値の設定(ここでは、「7」)を保ったまま、励磁状態を正方向に順番に切り換えることによって、2回目の定速駆動を開始する。
そして、図20(b)に示されているように、態様Bの特殊回転動作では、駆動開始から時間Tb3が経過すると、2回目の減速駆動に移行する。このことと対応して、態様Bの特殊回転動作に対応する駆動スケジュールには、駆動開始から時間Tb3が経過したら、2回目の減速駆動を開始する旨が設定されている。
2回目の減速駆動も、1回目の減速駆動とほぼ同様にして行われるが、定速駆動時の回転速度が低いので、減速に要するステップが少ない点で異なっている。すなわち、2回目の減速駆動では、ステップ1〜ステップ3にかけてカウント値の設定を「7」から「90」に減少させると共に、ステップが進む度に励磁状態を正方向に順番に切り換える。その結果、回胴20a,20b,20cは正方向に減速する。そして、2回目の減速駆動における最後のステップ3に達すると、次は、その時の励磁状態を保持した状態(2回目の保持状態)となる。その結果、回胴20a,20b,20cは、再び停止した状態となる。
尚、上述した「2回目の加速期間」および「2回目の減速期間」は、全カウント値にして「112」、時間にして166.88msec(=1.49msec×112)がかかる。なお、「2回目の加速期間」および「2回目の減速期間」は、ステップモータのステップ数にして3ステップ分の移動で実行される。
そして、図20(b)に示されているように、態様Bの特殊回転動作は、駆動開始から時間Tb4が経過すると終了する。このことと対応して、態様Bの特殊回転動作の駆動スケジュールには、駆動開始から時間Tb4が経過した時点で、2回目の保持状態を終了する旨が設定されている。従って、図19に示した特殊回転動作実行処理のS354で計時を開始した駆動時間が、時間Tb4に達すると、態様Bの特殊回転を終了する。
図19に示した特殊回転動作実行処理では、以上に説明したように、S352で読み込んだ駆動スケジュールに従ってステップモータを駆動することによって、回胴20a,20b,20cを特殊な態様で回転させる処理を行う。そして、読み込んだ駆動スケジュールを最後まで実行したら、図19の特殊回転動作実行処理を終了して、図15の回胴回転処理に復帰する。
尚、3つの回胴20a,20b,20cを特殊回転動作(特殊動作)させるための特殊回転動作実行処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって実行されている。従って、本発明の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「特殊動作実行手段」に対応している。
図15に示すように、特殊回転動作実行処理(S304)から復帰すると、特殊回転フラグをOFFに設定した後(S306)、通常回転動作を開始する(S308)。ここで、特殊回転フラグとは、特殊回転動作を行う旨を示すフラグであり(S300参照)、BB役に内部当選した場合にONに設定されるフラグである(図7のS114参照)。また、通常回転動作は、図17を用いて前述した通常回転動作用の駆動スケジュールに従って、回胴20a,20b,20cを一定速度まで正方向に加速させた後、その回転速度を保って定速駆動することによって行われる。
このように、図15に示した回胴回転処理では、特殊回転フラグがONに設定されていない場合には(S300:no)、回胴20a,20b,20cを通常回転動作させ、また特殊回転フラグがONに設定されていた場合には(S300:yes)、回胴20a,20b,20cを一旦、特殊な態様で回転させてから、通常回転動作させた後、処理を終了して、図7に示した遊技制御処理に復帰する。
図7を用いて前述したように、遊技制御処理では、回胴回転処理(S116)で回胴20a,20b,20cを回転させた後は、遊技者による回胴停止ボタン38a,38b,38cのボタン操作に従って、回胴20a,20b,20cを停止させる処理(回胴回転停止処理)を開始する(S118)。この回胴回転停止処理では、先に行われた内部抽選処理(S110)で何れかの遊技役に内部当選し、尚且つ、遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを適切なタイミングで操作した場合にだけ、内部当選した遊技役に対応する図柄組合せが有効な入賞ライン上に揃うように、回胴20a,20b,20cを停止させる処理である。逆に言えば、遊技者がどのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作した場合でも、内部当選していない遊技役の図柄組合せが揃うようなことがあってはならない。このような回胴回転停止処理は次のようにして行われている。
C−4.回胴回転停止処理 :
図23は、本実施例の遊技機1で行われる回胴回転停止処理の流れを示すフローチャートである。前述したように、回胴回転停止処理は、主制御基板200によって、図7および図8に示した遊技制御処理の中で実行される(図7のS118)。
回胴回転停止処理を開始すると、先ず始めに、この処理に先立って行われた内部抽選(図7のS110)の結果に応じて第1停止テーブルを抽出する処理を行う(S400)。ここで、停止テーブルとは、回胴20a,20b,20cを停止する際に参照する専用のテーブルである。詳しくは後述するが、遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したときに、回胴の外周面に描かれた図柄のうち(図3参照)、何れの図柄を表示窓20に表示して回胴20a,20b,20cを停止するかは、停止テーブルに予め設定されている。前述したように、内部抽選によってある遊技役に当選している場合は、適切なタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、その遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うように、各回胴20a,20b,20cを停止する必要がある。逆に、内部当選していない遊技役については、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、対応する図柄組合せが有効な入賞ライン上に揃わないように、各回胴20a,20b,20cを停止する必要がある。そのため、何れの遊技役に内部当選しているかに応じて、異なる停止テーブルが設けられている。
また、このような停止テーブルには、回胴20a,20b,20cの全てが回転しているときに参照する第1停止テーブルと、既に何れかが停止しているときに参照する第2停止テーブルとが設定されている。そこで、回胴回転停止処理を開始した直後のS400では、内部抽選の結果に応じて、先ず始めに第1停止テーブルを抽出する。例えば、「ベルの小役」に内部当選したと判断された場合は、「ベルの小役」当選時用に設定された第1停止テーブルを抽出する。もちろん、何れの遊技役にも当選していない場合には、ハズレ用に設定された第1停止テーブルを抽出する。
こうして第1停止テーブルを抽出すると、回胴20a,20b,20cの回転速度が所定値に達したか否かを判断する(S402)。本実施例では、回胴回転停止処理に先立っておこなわれた回胴回転処理(図7のS116)において、通常回転動作が行われ、回胴20a,20b,20cは既に所定の回転速度で回転しているので、S402では、回転速度が所定速度に達していると判断される(S402:yes)。そして、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を有効化する(S404)。
次いで、有効となった回胴停止ボタン38a,38b,38cの何れかが操作されたか否かを判断する(S406)。前述したように、遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200は、この操作信号に基づいて、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたか否かを判断することができる。そして、何れの回胴停止ボタンも操作されていない場合は(S406:no)、操作されるまで待機する。
一方、何れかの回胴停止ボタンが操作された場合は(S406:yes)、操作された回胴停止ボタンを無効化するとともに(S408)、回胴停止ボタンが操作された時に、そのボタンに対応する回胴が何れの回転位置にあったかを検出する(S410)。前述したように、回胴20a,20b,20cのそれぞれに対応して回胴センサ26a,26b,26cが設けられており(図4参照)、回胴20a,20b,20cの回転位置を検出可能である。また、本実施例の遊技機1では、回胴停止ボタンの操作時に、対応する回胴に描かれた複数の図柄(図3参照)の中の何番目の図柄が所定の「基準位置」に表示されていたかに基づいて、その回胴の回転位置を検出するようになっている。ここで、基準位置は、各回胴の回転位置を相対的に検出するために予め定められた特別な位置であり、本実施例の遊技機1では、何れの回胴も表示窓20の中段の位置が基準位置に設定されている。
このようにして、回胴停止ボタンが操作された回胴の回転位置を検出したら、その回胴を適切な位置で停止させるための処理(回胴停止制御処理)を開始する(S412)。この回胴停止制御処理の詳細な内容については後述する。
回胴停止制御処理を行って、回胴停止ボタンが操作された回胴を停止させると、3つの回胴20a,20b,20cの全てを停止させたか否かを判断する(S414)。そして、未だ回胴停止ボタンが操作されずに回転中の回胴がある場合は(S414:no)、S406の処理に戻って、有効な回胴停止ボタンが操作されるまで待機し、操作されたら続く上述した一連の処理を実行する。こうした処理を繰り返すうちに、全ての回胴を停止させたと判断されたら(S414:yes)、図23の回胴回転停止処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
ここで、上述した回胴回転停止処理(図23)の中で回胴停止ボタンが操作された場合に、対応する回胴を適切な位置で停止させるために行われる回胴停止制御処理(S412)の内容について説明する。
図24は、回胴回転停止処理の中で実行される回胴停止制御処理の流れを示したフローチャートである。回胴停止制御処理を開始すると、先ず始めに、停止させる回胴が第1回胴であるか否かを判断する(S500)。ここで、第1回胴とは、3つの回胴20a,20b,20cの中で最初に停止する回胴をいう。すなわち、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cは、どのような順序で操作してもよいことから、3つの回胴20a,20b,20cの停止する順序は種々の順序を取り得る。そこで、3つの回胴20a,20b,20cの中で最初に停止する回胴を「第1回胴」と呼び、2番目に停止する回胴を「第2回胴」、3番目に停止する回胴を「第3回胴」と呼んで区別する。そして、第1回胴を停止させると判断された場合は(S500:yes)、回胴回転停止処理の開始直後(図23のS400)に抽出しておいた第1停止テーブルを参照しながら、先に検出した回胴停止ボタン操作時の第1回胴の回転位置(図23のS410)に基づいて、第1回胴の停止位置を決定する(S502)。本実施例の遊技機1では、回胴の停止位置として、基準位置に停止表示させる図柄(停止図柄)を決定するようになっている。
図25は、本実施例の遊技機1に設定されている第1停止テーブルの1つを例示した説明図である。停止テーブルには、回胴停止ボタンが操作された時の回胴の回転位置と、回胴停止ボタンが操作されてからその回胴を停止するまでの時間(停止時間)との対応関係が設定されている。上述したように、本実施例では、回胴20a,20b,20cの回転位置を、基準位置に表示されていた図柄よって検出していることから、図25では、回転位置として、回胴20a,20b,20cの外周面に描かれた図柄の番号(図3の図柄配列に付された番号に対応する)が設定されている。また、前述したように、回胴停止ボタンの操作が有効化された時点では、対応する回胴は一定の速度で回転しているので(図23のS402:yes)、停止時間が決まれば、その間に回胴上に描かれた図柄にして何コマ分回転が進むかも決定される。そこで、図25に示した例では、停止時間に代えて、回胴停止ボタンが操作されてから何コマ分回転を進めて(滑らせて)その回胴を停止するかを示す「滑りコマ数」が設定されている。従って、このような停止テーブルを参照すれば、回胴停止ボタンの操作時に基準位置に表示されていた図柄に対応する滑りコマ数を読み出して、停止図柄を決定することができる。
一例として、左回胴20aを第1回胴として停止させる場合について説明する。遊技者が左側の回胴停止ボタン(左停止ボタン)38aを操作した時点で、図26に示すように、表示窓20の中段の位置(基準位置)に10番の「赤セブン」の図柄が表示されていたとする。この場合に、図25の第1停止テーブルを参照すると、10番の「赤セブン」の図柄に対して滑りコマ数が「2」と設定されている。そのため、図柄2コマ分滑らせて12番の「ベル」の図柄を、基準位置に表示させる停止図柄に決定する。図26では、白抜きの矢印によって回胴の回転方向を示しており、破線の円で囲んだ図柄が停止図柄となることを表している。
ここで、停止テーブルに設定される停止時間は、最大で190msecとなっており、この190msecの間に、回胴20a,20b,20cは図柄にして4コマ分回転する。換言すれば、回胴停止ボタンが操作されると、その時点で基準位置に表示されている図柄から最大で4コマ以内にある図柄(基準位置の図柄を含めて5つの図柄)の中から停止図柄を決定することになる。このことと対応して、停止テーブル(図25)では、基準位置の図柄に応じて、滑りコマ数として0〜4の数値が設定されている。
このように、回胴の停止位置は、停止テーブルに設定されている停止時間(滑りコマ数)によって決定される。従って、停止テーブルを予め適切に設定しておけば、内部当選した遊技役に対応する図柄組合せは、有効な入賞ライン上に比較的容易に揃うように、逆に、内部当選していない遊技役の図柄組合せは、有効な入賞ライン上に決して揃わないように、各回胴20a,20b,20cを停止することが可能となる。
以上のようにして第1回胴の停止位置を決定したら、決定した位置で第1回胴を停止させる(図24のS504)。その後、第1回胴に停止表示された図柄に応じて第2停止テーブルを抽出すると(S506)、図24の回胴停止制御処理を一旦終了して、図23に示した回胴回転停止処理に復帰する。ここで、第1停止テーブルと第2停止テーブルとの関係について補足して説明する。
図27は、第1停止テーブルと第2停止テーブルとの関係を示した説明図である。上述したように第1停止テーブルは、第1回胴を停止する際、すなわち、回胴20a,20b,20cの全てが回転しているときに参照するテーブルであり、3つの回胴の全てを対象に設定されている。これに対して、第2停止テーブルは、第2回胴および第3回胴を停止する際に参照するテーブルであり、既に停止している第1回胴が3つの回胴20a,20b,20cの中の何れであるかに応じて、第1回胴を除く残り2つの回胴を対象に設定されている。また、前述したように、内部当選した遊技役の入賞を成立させるには、対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃う必要があり、逆に、内部当選していない遊技役の図柄組合せは、入賞ラインの何れにも揃わないようにする必要がある。このことから、第2回胴あるいは第3回胴に何れの図柄を停止表示させるかは、既に停止した第1回胴に表示された図柄に影響される場合がある。従って、第2停止テーブルは、第1回胴に停止表示された図柄に応じて複数用意されており、図24のS506では、第1回胴に何れの図柄が停止表示されたかに応じて適切な第2停止テーブルを抽出する。尚、前述したように、各回胴20a,20b,20cの停止位置は、内部当選している遊技役に左右されるため、第1停止テーブルも第2停止テーブルも共に、内部当選している遊技役に応じてそれぞれ設定されている。
以上では、停止させる回胴が第1回胴であった場合(図24のS500:yes)に行われる処理について説明したが、停止させる回胴が第1回胴ではなかった場合、すなわち、既に何れかの回胴が停止している場合には(S500:no)、停止させる回胴が第2回胴であるか否かを判断する(S508)。そして、第2回胴であると判断された場合は(S508:yes)、S506で抽出した第2停止テーブルを参照しながら、先に検出した回胴停止ボタン操作時の第2回胴の回転位置(図23のS410)に基づいて、前述した第1回胴の場合と同様に、第2回胴の停止位置を決定する(S510)。その後、決定した位置で第2回胴を停止すると(S512)、図24の回胴停止制御処理を一旦終了して、図23の回胴回転停止処理に復帰する。
これに対して、停止させる図柄が第2回胴ではなかった場合は(S508:no)、既に第1回胴および第2回胴は停止しており、第3回胴を停止させると判断されるので、第2停止テーブルを参照しながら、先に検出した回胴停止ボタン操作時の第3回胴の回転位置(図23のS410)に基づいて、第3回胴の停止位置を決定する(S514)。図27に示したように、第2停止テーブル中には、第2回胴および第3回胴の両方の停止情報(停止時間)が設定されていることから、第3回胴の停止位置を決定する際にも第2停止テーブルを参照する。こうして決定した位置で第3回胴を停止したら(S516)、図24の回胴停止制御処理を終了して、図23に示した回胴回転停止処理に復帰する。
以上に説明したように、回胴回転停止処理では、内部当選している遊技役に応じて適切な停止テーブルを抽出するとともに、回胴停止ボタン38a,38b,38cの何れかが操作されると、対応する回胴のボタン操作時の回転位置に基づいて、停止テーブルを参照しながら停止位置を決定することによって、各回胴20a,20b,20cを適切な位置で停止させるようになっている。そして、全ての回胴20a,20b,20cを停止させたら、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰した後、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かを判断し(図7のS122)、何れかの遊技役の入賞が成立していた場合には(S122:yes)、成立した遊技役に応じて遊技状態フラグを設定したり(図8のS124〜S134)、あるいは遊技メダルを払い出したりする処理を行った後(S136〜S140)、再び処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理に続く上述した一連の処理を繰り返す。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、電力が供給されている間は、図7および図8を用いて前述した遊技制御処理を繰り返し実行する。そして、1日の営業時間が終了して、遊技機1の電源スイッチ120sをOFFにすると、その時の遊技状態を、RAM203やRAM223のバックアップ領域に記憶した後、図7および図8に示した遊技制御処理を終了する。また、停電などによって電力の供給が突然切断された場合にも、電力の供給が回復した後に切断前の遊技状態を復帰させるべく、遊技状態に関するデータをバックアップ領域に記憶する。
ここで、上述したように本実施例の遊技機1では、回胴20a,20b,20cの回転態様として、通常回転動作に加えて、態様Aおよび態様Bの特殊回転動作が設けられている。従って、回胴20a,20b,20cの回転中に電力の供給が切断された場合には、電力供給が回復した後に、再び回胴20a,20b,20cが回転している状態に復帰させるために、複雑な処理が必要となってしまう。そこで、本実施例の遊技機1では、電力の供給が開始されると、以下に説明する特殊な電源投入処理を行うこととしている。尚、特殊回転動作中に電源切断が発生した場合に、特殊回転動作の開始からの経過時間(すなわち、特殊回転動作の残り時間に対応する時間)を記憶する動作は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって行われている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「残り時間記憶手段」に対応している。
D.電源投入処理 :
図28は、本実施例の遊技機1で行われる電源投入処理を示したフローチャートである。この処理は、例えば、遊技ホールの開店時に遊技機1の電源スイッチ120sがONにされた場合や、あるいは停電などで切断された電力の供給が回復した場合などに、図7および図8の遊技制御処理に先立って行われる処理である。
図示されるように、主制御基板200のCPU201は、電源投入処理(S600)を開始すると、先ず始めに、RAM203がクリアされたか否かを判断する(S602)。すなわち、遊技機1には、いわゆる「クリアスイッチ」と呼ばれるスイッチが設けられており、遊技ホールの担当者が、開店時などに前日の遊技状態を引き継がない状態で開店したいと考えた場合には、電源スイッチ120sをONにする際に、クリアスイッチもONにするようになっている。そこで、電源投入処理を開始すると、先ず始めに、RAM203がクリアされたか否か(すなわち、クリアスイッチがONにされたか否か)を判断する(S602)。その結果、RAM203がクリアされたと判断された場合は(S602:yes)、RAM203のバックアップ領域に記憶されているデータや、RAM203の使用していない領域のデータを初期化した後(S604)、図28の電源投入処理を終了する。そして、電源投入処理の終了後は、図7および図8を用いて前述した遊技制御処理を開始する。
一方、電源の投入時に、RAM203がクリアされていなかった場合は(S602:no)、電源切断前の遊技状態を復元させるために、RAM203のバックアップ領域に記憶されているデータを読み込む処理を行う(S606)。その結果、図10を用いて前述した内部当選フラグや、図11を用いて前述した遊技状態フラグ、更には、特殊回転動作中であれば、計時中の駆動時間などが、電源切断前の状態に復元される。
そして、電源切断時に回胴20a,20b,20cが回転中だったか否かを、読み込んだデータに基づいて判断し(S608)、回転中ではなかったと判断された場合は(S608:no)、そのまま、図28の電源投入処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理を開始する。その結果、遊技制御処理の先頭で行われる遊技状態設定処理では、電源切断時の遊技状態が設定されて遊技が開始されることになる。
これに対して電源切断時に回胴20a,20b,20cが回転中だったと判断された場合は(S608:yes)、特殊回転フラグがONに設定されているか否かを判断する(S610)。特殊回転フラグとは、前述したように、BB役に内部当選するとONに設定されて(図7のS114)、特殊回転動作が終了するとOFFに戻されるフラグである(図15のS306)。従って、図28に示した電源投入処理のS610で、特殊回転フラグがONと判断されるということは、特殊回転動作中に電源が切断されたことを示している。逆に、特殊回転フラグがOFFになっているということは、S608において回胴20a,20b,20cは回転中であったと判断されているから、通常回転動作中に電源が切断されたことを示している。なお、特殊回転フラグがONと判断された際には、特殊回転動作実行時にRAM203に記憶しておいた「特殊回転動作態様情報」を読み出すことで、電断前の特殊回転動作が、何れの特殊回転動作態様であったかも把握可能になっている。
そこで、回胴20a,20b,20cが回転中と判断された場合には(S608:yes)、続いて、特殊回転フラグがONに設定されているか否かを判断し(S610)、特殊回転フラグがONではなかった場合は(S610:no)、回胴20a,20b,20cを通常回転動作状態に復帰させる(S612)。すなわち、図17に示した駆動スケジュールと同様に、カウント値の設定を次第に小さくしながら、励磁状態を正方向に順番に切り換えていくことによって、回胴20a,20b,20cを正方向に加速させた後、カウント値が「1」に達したら、そのカウント値を保ったまま、励磁状態を正方向に順番に切り換えることによって、通常回転動作の定速駆動状態に復帰させる。また、通常回転動作中は、回胴センサ26a,26b,26cによって、各回胴20a,20b,20cの回転位置が検出されているが、電源が切断されたことに伴って、回胴20a,20b,20cの位置も切断前の位置からはずれてしまっているので、回転位置を再検出する処理も行われる。こうして、電源が切断される前の状態に復帰させた後、図28の電源投入処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理を開始する。
尚、通常回転動作(通常動作)中に電源切断状態になった場合、電源の投入後に、回胴20a,20b,20cを通常回転動作(通常動作)させる処理は、図28に示した電源投入処理の中で実行されている。この電源投入処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって実行されていることから、本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明における「通常復帰手段」に対応するものとなっている。
一方、図28の電源投入処理のS610で、特殊回転フラグがONになっていると判断された場合は(S610:yes)、特殊回転動作中に電源が切断されているから、復帰させる回転状態は特殊回転動作状態であるのが通常である。しかし、図20〜図22を用いて前述したように、特殊回転動作状態は通常回転動作状態と比べて回転態様が複雑であるため、電源切断前の状態と同じ状態に復帰させるための処理がたいへん複雑になってしまう。具体的には、特殊回転動作の態様が「態様A」の場合、電源切断前の状態に完全に復帰させるために、「回胴の回転速度に関する情報」や「回転方向に関する情報」といった「態様A」を再現する様々な情報を読み込む処理が必要となる。また、特殊回転動作の態様が「態様B」の場合、回胴演出の進行(特殊回転動作の進行)に応じて回転態様が変化するので(前述した第1のスロー一定速度や第2のスロー一定速度)、電源切断前の状態に完全に復帰させるのに回胴演出の進行経過を把握するための様々な情報を読み込む処理が必要となる。これらの処理は、復帰時に読み込むデータ量が多ければ多いほど複雑化し、回胴式遊技機の速やかな復帰を阻害する要因になる虞がある。そこで、本実施例の遊技機1では、回胴20a,20b,20cの特殊回転動作中に電源が切断された場合には、次のような特殊回転動作復帰処理(S614)を行うことによって、回胴20a,20b,20cの回転を復帰させることとしている。
E.第1実施例の特殊回転動作復帰処理 :
図29は、第1実施例の特殊回転動作復帰処理を示すフローチャートである。図示されるように、第1実施例の特殊回転動作復帰処理を開始すると、先ず始めに、電源切断時に計時されていた駆動時間を参照して、その駆動時間が、最後の減速開始時間を経過しているか否かを判断する(S700)。すなわち、図19を用いて前述したように、特殊回転動作は、駆動時間の計時を開始すると共に(図19のS354)、予め設定された駆動スケジュールに従ってステップモータを駆動することによって実現されており(S356)、また、図20に示したように、特殊回転動作では最後に、回胴20a,20b,20cを一旦停止させている。そこで、電源切断時の駆動時間が、最後に回胴20a,20b,20cを停止させるために減速する時間を経過しているか否かを判断するのである。図20に示されるように、特殊回転動作の態様が態様Aの場合には、時間Ta1が最後の減速開始時間となり、特殊回転動作の態様が態様Bの場合には、時間Tb3が最後の減速開始時間となる。
その結果、最後の減速開始時間が経過していると判断された場合は(S700:yes)、残った駆動時間の計時を開始した後(S702)、回胴20a,20b,20cを停止させたまま(S710)、特殊回転時間が経過したか否かを判断する(S712)。図20を用いて前述したように、特殊回転動作の態様が態様Aである場合には、特殊回転時間は時間Ta2に設定されており、特殊回転動作の態様が態様Bである場合には、特殊回転時間は時間Tb4に設定されている。その結果、特殊回転時間が経過していない場合は(S712:no)、そのまま待機状態となる。その後、特殊回転時間の経過が確認されたら(S712:yes)、特殊回転フラグをOFFにして(S714)、通常回転動作を開始した後(S716)、図29に示した第1実施例の特殊回転動作復帰処理を終了して、図28の電源投入処理に復帰する。
このように、第1実施例の特殊回転動作復帰処理を開始したときに、最後の減速開始時間が経過していると判断された場合には(S700:yes)、特殊回転動作の終了間際に電源切断が発生したことになるので、回胴20a,20b,20cを停止させたまま特殊回転時間が経過するまで待って、その後、通常回転動作を開始することによって、電源切断前に状態に復帰させる。
これに対して、最後の減速開始時間が経過していないと判断された場合には(S700:no)、以下のようにして電源切断前の状態に復帰させる。先ず、残った駆動時間の計時を開始する(S704)。そして、ステップモータの励磁状態を切り換えるためのカウント値を「15」に設定した後、ステップモータの駆動を開始する(S706)。例えば、図20(a)に示した態様Aの特殊回転動作であれば、回胴20a,20b,20cは負方向に回転しているから、タイマー割り込みの発生回数がカウント値「15」に達する度に、ステップモータの励磁状態を負方向に順番に切り換えていく。図28を用いて前述したように、電源投入時にRAM203がクリアされていない場合は、RAM203のバックアップ領域から電源切断前の状態が読み込まれるので、特殊回転動作の態様や、回転方向などの情報を知ることができる。その結果、回胴20a,20b,20cは、負方向にゆっくりと回転することになる。また、図20(b)に示した態様Bの特殊回転動作であれば、回胴20a,20b,20cは正方向に回転しているから、カウント値が「15」に達する度に、ステップモータの励磁状態を正方向に順番に切り換えていく。その結果、回胴20a,20b,20cは、正方向にゆっくりと回転することになる。なお、この「ゆっくりとした回転」は、通常の回転速度、第1のスロー一定速度、および第2のスロー一定速度よりも遅い復帰用スロー速度(本実施例では10.000回転/分)で各回胴を回転させる状態であり、態様Aと態様Bのときで回転方向が異なるものの回転速度は同じ値である。
こうして回胴20a,20b,20cをゆっくりと回転させたら、今度は、最後の減速開始時間に達したか否かを判断する(S708)。最後の減速開始時間に達していない場合は(S708:no)、回胴20a,20b,20cをゆっくりと回転させたまま、最後の減速開始時間になるまで待機状態となる。そして、最後の減速開始時間に達したら(S708:yes)、回胴20a,20b,20cを停止させて(S710)、特殊回転時間が経過するまでそのまま待機状態となり(S712)、特殊回転時間が経過したら(S712:yes)、特殊回転フラグをOFFにすると共に(S714)、通常回転動作を開始して(S716)、図29の特殊回転動作復帰処理を終了する。
図30は、上述した第1実施例の特殊回転動作復帰処理によって、電源切断前の状態に復帰する様子を示した説明図である。図30(a)には、電源切断に態様Aの特殊回転動作をしていた場合が示されており、図30(b)には、態様Bの特殊回転動作をしていた場合が示されている。例えば、図30(a)に示したように、態様Aでの特殊回転動作の開始後、時間Txが経過した時点で電源切断(電断)が発生したものとする。時間Txでは、回胴20a,20b,20cは負方向に一定速度で回転しているから、電源投入後は、時間Txから計時を開始すると共に、回胴20a,20b,20cを負方向にゆっくりと回転させる。そして、最後の減速開始時間(Ta1)に達したら、回胴20a,20b,20cを停止させて、特殊回転時間(Ta2)が経過するまでそのまま待機状態となり、特殊回転時間(Ta2)が経過したら、通常回転動作を開始させる。
一方、図30(b)に示したように、態様Bでの特殊回転動作の開始後、時間Txが経過した時点で電源切断(電断)が発生したものとすると、電源切断時点では、回胴20a,20b,20cは正方向に一定速度で回転しているから、電源投入後は、時間Txから計時を開始すると共に、回胴20a,20b,20cは、正方向にゆっくりと回転させる。そして、最後の減速開始時間(Tb3)に達したら、回胴20a,20b,20cを停止させて、特殊回転時間(Tb4)が経過するまでそのまま待機状態となり、特殊回転時間(Ta2)が経過したら、通常回転動作を開始させる。
このように、第1実施例の特殊回転動作復帰処理では、特殊回転動作中に電源切断が発生すると、電源投入後は、電源切断前に行われていた特殊回転動作の種類にかかわらず、復帰時専用の速度(復帰用スロー速度)で回胴20a,20b,20cをゆっくりと回転させた状態で、電源切断以降の計時を行う。そして、最後の減速開始時間に達したら、回胴20a,20b,20cを一旦、停止させた後、通常回転動作を開始する。つまり、電源切断前に行われていた特殊回転動作の回転速度とは異なる速度で回胴を回転させる処理を行う。こうすれば、電源切断からの復帰時に、電源切断前の状態に関する情報(特殊回転動作に関する情報)のうち全てを読み込む必要が無く、「残り時間の情報」および「回転方向の情報」だけ読み込めばよい。したがって、様々な種類の特殊回転動作が搭載されていても、復帰時に共通の処理(本実施例では共通の速度にする処理)を有することから、各特殊回転動作に完全に復帰させる場合に比べて制御を簡素化できる。さらに、遊技者は、ゆっくりとした回転および回転方向を確認することで、復帰中であることや電断前にどの特殊回転動作が行われていたのかを把握でき、安心感を与えられる。そして、回胴20a,20b,20cがゆっくりと回転した後は、電源切断が発生しなかった場合と同様に、一旦、停止してから通常回転動作が開始されるので、遊技者は自然に遊技を再開することが可能となる。
また、図21あるいは図22を用いて前述したように、特殊回転動作は、予め定められた駆動スケジュールに従ってステップモータを駆動することによって実現されているため、途中から特殊回転動作を再開することは容易ではない。しかし、上述したように、第1実施例の特殊回転動作復帰処理では、回転駆動に関するカウント値を一定値に固定してしまうので、処理が複雑化することも無い。
尚、特殊回転動作中に電源切断状態が発生した場合、電源の投入後に、残りの特殊回転時間が経過するまでは、特殊回転動作の態様によらず、回胴20a,20b,20cがゆっくりと回転する状態である復帰時用動作を行う状態に復帰させる処理は、図29に示した特殊回転動作復帰処理の中で実行されている。この特殊回転動作復帰処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201によって実行されていることから、本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明における「特殊復帰手段」に対応するものとなっている。
また、電源切断状態からの復帰時には、実際には、回胴20a,20b,20cは停止していると考えられ、回胴20a,20b,20cが停止している状態からは、図17あるいは図21、図22の各種の駆動スケジュールに示されるように、初めは大きなカウント値(例えば「90」)を設定して、その後、次第にカウント値を小さくしていくのが本来である。しかし、上述したように、第1実施例の特殊回転動作復帰処理では、回胴20a,20b,20cが停止している状態にしては、カウント値を小さな値に設定している。こうすると、カウント値の設定を次第に小さくしていく場合のように、速やかに回胴20a,20b,20cを加速させることはできないが、カウント値を固定したままで、ある程度の速度で回胴20a,20b,20cを回転させることが可能である。その結果、電源投入後から通常回転動作を開始するまでの間、回胴20a,20b,20cをゆっくりと回転させる処理も、極めて単純な処理とすることが可能となる。
更に、上述した第1実施例の特殊回転動作復帰処理では、特殊回転動作中に電源切断が発生した後に電源が投入されると、電源切断によって計時が中断した時点から特殊回転時間の計時を再開し、特殊回転時間が経過したら通常回転動作を開始するようになっている。一般に、回胴式遊技機は、遊技者によって遊技が行われる時間あたりのゲーム回数が、ある程度のゲーム回数となるように、各種演出の時間配分が決定されている。従って、電源切断から復帰すると、中断した時点から計時を再開するようにしているので、各種演出の時間配分を保っておくことができるという利点も生じる。
尚、上述した第1実施例では、電源が投入された後、カウント値を「15」に設定してステップモータを駆動するものとして説明した。しかし、カウント値の設定は、必ずしも「15」である必要はない。極端な場合、電源切断時のカウント値「1」に設定しても良い。電源の投入時点では回胴20a,20b,20cは停止しているから、いきなりカウント値を「1」に設定してステップモータを駆動しても、励磁状態の切り換え速度が速すぎて、ステップモータで十分なトルクを発生させることができず、回胴20a,20b,20cがゆっくりと回転するだけとなる。しかし、遊技者にとっては、回胴20a,20b,20cがゆっくりと回転する点で、カウント値を「15」に設定した場合と変わりはない。従って、このようにすれば、単純に、電源切断時と同じ制御状態に復帰させるだけでよいので、電源投入時の処理をより一層、単純なものとすることが可能となる。
更には、より単純には、電源の投入後、特殊回転時間が経過するまで、回胴20a,20b,20cが停止した状態としておき、特殊回転時間が経過したら、通常回転動作を開始させるようにしてもよい。このようにすれば、特殊回転動作中に電源切断が発生した場合に、回胴に最も負担をかけずに回胴式遊技機を速やかに復帰させることが可能となる。また、この場合は、特殊回転動作に関する情報として「残り時間の情報」だけを読み込めばよい。したがって、電源切断前の状態を読み込む処理を一層削減でき、制御を簡素化できる。また、電源切断によって特殊回転動作が中断された時点から計時を再開して、特殊回転時間が経過した後に、通常回転動作が開始されるので、回胴式遊技機の各種演出の時間配分を保っておくことが可能となる。
F.第2実施例の特殊回転動作復帰処理 :
以上に説明した第1実施例の特殊回転動作復帰処理では、特殊回転動作中に電源切断が発生した場合には、電源投入後、回胴20a,20b,20cをゆっくりと回転させるが、電源切断が特殊回転動作の終了間際に発生した場合には、回胴20a,20b,20cを停止状態とするものとして説明した。しかし、電源切断が発生したタイミングが、特殊回転動作の開始直後であった場合には、電源投入後に、もう一度、特殊回転動作をやり直すようにしても良い。以下では、このような第2実施例の特殊回転動作復帰処理について説明する。
図31は、第2実施例の特殊回転動作復帰処理を示すフローチャートである。図示した第2実施例の特殊回転動作復帰処理は、図29を用いて前述した第1実施例の特殊回転動作復帰処理に対して、特殊回転動作の開始直後に電源切断が発生していた場合には、その特殊回転動作をやり直す点が異なっている。すなわち、第2実施例の特殊回転動作復帰処理を開始すると、先ず始めに、電源切断時に計時されていた駆動時間を参照して、その駆動時間が、所定の基準時間に達しているか否かを判断する(S800)。基準時間は、特殊回転動作の態様毎に設定しておいても良いし、特殊回転動作の態様によらず、一定値としておくことも可能であるが、何れの場合も、基準時間は比較的短い時間に設定されている。この基準時間の意味するところについては、後述する。
そして、電源切断時の計時時間が、所定の基準時間に達していないと判断された場合は(S800:no)、電源切断によって中断された時点から、再び計時を開始すると共に(S802)、図19を用いて前述したようにして、特殊回転動作を実行する(S804)。すなわち、予め設定された駆動スケジュールに従ってステップモータを駆動し、正方向あるいは負方向に加速駆動を行った後、定速駆動に移行する。そして定速駆動の状態で、駆動スケジュールに設定された最初の減速開始時間に達すると、減速駆動を開始する。従って、電源切断時の計時時間が、最初の減速開始時間に対して十分な余裕があれば、駆動スケジュールに従って特殊回転動作の加速をやり直しても、ある程度の時間(例えば、2〜3秒)の定速駆動の期間を確保して、減速駆動の開始に間に合わせることができる。第2実施例の特殊回転動作復帰処理で最初に判断する基準時間とは、駆動スケジュールに従って特殊回転動作の加速をやり直しても、減速駆動の開始までに十分に間に合わせることができるような計時時間である。図20から明らかなように、厳密な意味での基準時間は、特殊回転動作の態様毎に異なっているので、態様毎に基準時間を設定しておいてもよいが、少し短めの基準時間を設定しておき、どちらの態様に対しても適用可能としても良い。
こうして、電源切断時の駆動時間が、所定の基準時間に達していなかった場合は(S800:no)、残った駆動時間の計時を再開すると共に(S802)、駆動スケジュールに従って特殊回転動作を実行する(S804)。そして、特殊回転動作を終了したら、特殊回転フラグをOFFに設定した後(S818)、通常回転動作を開始して(S820)、図31に示した第2実施例の特殊回転動作復帰処理を終了する。
これに対して、電源切断時の駆動時間が、所定の基準時間を超えていたと判断された場合は(S800:yes)、図29に示した第1実施例の特殊回転動作復帰処理と同様な処理を行う。以下、簡単に説明すると、残った駆動時間の計時を開始して(S808)、ステップモータの励磁状態を切り換えるためのカウント値を「15」に設定した後、ステップモータの駆動を開始する(S810)。続いて、最後の減速開始時間に達したか否かを判断する(S812)。最後の減速開始時間とは、前述したように、特殊回転動作の態様が態様Aであれば時間Ta1となり、態様Bであれば時間Tb3となる。そして、最後の減速開始時間に達したら(S812:yes)、回胴20a,20b,20cを停止させて(S814)、特殊回転時間が経過するまでそのまま待機状態となり(S816)、特殊回転時間が経過したら(S816:yes)、特殊回転フラグをOFFにすると共に(S818)、通常回転動作を開始して(S820)、図31に示した第2実施例の特殊回転動作復帰処理を終了する。
このように、第2実施例の特殊回転動作復帰処理では、特殊回転動作の開始直後に電源切断が発生すると、電源投入後に特殊回転動作を最初からやり直すこととしている。最初からやり直すのであれば、正規の駆動スケジュールをそのまま使用することができるので、電源切断前の状態に復帰させる処理が複雑になることがない。また、特殊回転動作がある程度進んだタイミングで電源切断が発生している場合は、前述した第1実施例と同様に、電源投入後は、回胴20a,20b,20cをゆっくりと回転させ、その後、通常回転動作を行う。従って、電源切断前の状態に復帰させる処理が複雑になることが無く、また遊技者が自然に遊技を再開することが可能となる。
また、上述した第2実施例の特殊回転動作復帰処理においても、電源が投入されると、電源切断によって計時が中断した時点から特殊回転時間の計時を再開し、特殊回転時間が経過したら通常回転動作が開始される。このため、回胴式遊技機で行われる各種演出の時間配分が、想定されている時間配分からずれてしまうことも無い。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した第1、第2実施例の特殊回転動作は、回胴20a,20b,20cの全てで通常と異なる特殊な回転を行うこととしていたが、回胴20a,20b,20cのうちの2つ又はいずれか1つだけが特殊回転動作を行うようにしてもよい。この場合、復帰処理においても、特殊回転動作を行っていた回胴のみを対象として各実施例で記載した復帰処理を行うこととすればよい。この構成でも上述した第1、第2実施例と同等の効果を奏することができる。