JP2010259249A - 回転電機 - Google Patents

Abstract

【課題】コア加工時におけるプレス金型構成の単純化による生産性の向上、金型コストＵＰを抑制でき、コスト上昇を抑えた回転電機を得る。
【解決手段】回転子と、マグネットからなる界磁と、前記界磁を取り囲むヨークとを備えた回転電機において、前記回転子を構成する電機子コア２３は、複数枚のコア板を積層してなる積層鉄心からなり、前記電機子コアの両端部２３ａに置かれるコア板は、その両方とも、コア板のスロットを形成する腕部のプレスせん断部に、プレスせん断部カエリ側またはプレスせん断部ダレ側のいずれか一方でプレス面取りがなされている。
【選択図】図７

Description

この発明は回転電機、特にその電機子コアの構造に関するものである。

回転電機のコアに係る従来装置としては、特許文献１に記載された装置が開示されている。特許文献１では、コアを形成する各コア板の内、最上側及び最下側のコア板に各スロットに隣接してそれぞれの腕部に面取り部を形成することで、コアの上下面にプレス成形によるバリ等が発生するのを抑え、塗装の膜厚を薄く出来るようにすると共に、巻線の短絡事故防止を図ろうとするものである。そして、当該装置においては、金型構成上、コアの上下面すなわち腕部面取りをカエリ側とダレ側の双方からプレス面取りする構成となっている。

特許公報第２８０２８６２号

特許文献１のコアの製造方法では、打ち抜いたコア板の上面側と下面側の両側に面取り部を形成する必要があるため、金型構成が複雑であり、生産性の悪化、金型のコストアップといった問題がある。また、コアの上下面であるカエリ側とダレ側の双方をプレス面取りするため、面取り形状が同一とならないことにより、面取り部の粉体塗装の膜厚及び強度がコアの上下面で不均一となり、粉体塗装及びコイル巻線の品質、生産性が悪化する。この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものである。

この発明に係る回転電機は、回転子と、界磁と、前記界磁を取り囲むヨークとを備えた回転電機において、前記回転子を構成する電機子コアは、複数枚のコア板を積層してなる積層鉄心からなり、前記電機子コアの両端部に置かれるコア板は、その両方とも、コア板のスロットを形成する腕部のプレスせん断部に、プレスせん断部カエリ側またはプレスせん断部ダレ側のいずれか一方でプレス面取りがなされているものである。

この発明によれば、片面だけに面取りを施したコア板を、複数のコア板によって形成された各積層鉄心の片端に置き、積層鉄心を、両端に面取りを施したコア板が置かれるように組み合わせて電機子コアを形成したため、コア加工時におけるプレス金型構成の単純化による生産性の向上、金型コストＵＰを抑制でき、コスト上昇を抑えた回転電機を得ることができる。

また、この発明によれば、複数のコア板によって形成された各積層鉄心の片端部のコア板のみに面取り部を形成し、積層鉄心の片端面取り部側が電機子コアの両端になるように複数の積層鉄心を組み合わせることにより、電機子コアの両端の面取り寸法を同一とすることが出来るため、粉体塗装の膜厚を薄くする場合において膜厚が両端面で均一とすることが出来、粉体塗装及びコイル巻線の品質・生産性が向上する。

この発明に係る回転電機の断面図である。 この発明に係る回転電機のコア板を示す平面図である。 この発明に係る積層鉄心片端部のコア板を示すもので、（ａ）は平面図、（ｂ）はその腕部の一部を拡大して示す図である。 この発明の実施の形態１に係る回転電機のコア板のプレスせん断部カエリ側面取りの断面図である。 この発明の実施の形態２に係る回転電機のコア板のプレスせん断部ダレ側面取りの断面図である。 この発明に係る回転電機の積層鉄心を示す断面図である。 この発明に係る回転電機の電機子コアを示す正面図である。 この発明に係る回転電機の粉体塗装された電機子コアを示すもので、（ａ）はその平面図、（ｂ）はその腕部の断面図である。 この発明の実施の形態３に係る回転電機の電機子コアを示すもので、（ａ）は正面図、（ｂ）、（ｃ）、（ｄ）はその断面図である。

実施の形態１．
図１は、ブラシ付回転電機１の断面図で、ヨーク１０は有底筒形状をしており、ヨーク円管部１０ａの内周にマグネット１１がホルダ１２を介し圧入等で固定され、界磁を形成するマグネット１１の内周面と所定の空隙を介して電機子２０が配設されている。電機子２０は、シャフト２１に固定され、粉体塗装が施された電機子コア２３にコイル巻線２４を巻回して形成されており、ヨーク１０に設けられたベアリングケース部１０ｂに保持されるベアリング１３及びハウジング３０に設けられたベアリングケース部３０ａに保持されるベアリング３１によって回転自在に支持されている。

図２は、コア板の平面形状を示すもので、コア板２５は、巻線コイル２４が巻回されるスロット部２５ａ、腕部２５ｂ、シュー形状部２５ｃを有しており、プレスによる打ち抜きによって形成される。図３（ａ）は、コア板２５を積層して積層鉄心を形成したとき、その片端部に置かれるコア板２６の平面形状を示している。コア板２６は後述する面取り部を除いてコア板２５と平面形状、厚さとも同じものである。積層鉄心片端部のコア板２６は巻線コイル２４が巻回されるスロット部２６ａ、腕部２６ｂ、シュー形状部２６ｃを有している。ただし、図３（ｂ）に拡大して示すように、コア板２６は、スロット部２６ａに隣接する腕部２６ｂのプレスせん断部にプレスによる面打ちにより面取り部２６ｄが形成されている。

電機子コアは複数ブロックの積層鉄心を組み合わせて構成されるが、図６は、一つのブロックをなす積層鉄心２８の断面形状を示すもので、積層鉄心２８は複数枚のコア板２５と一枚のコア板２６が凹凸嵌合２８ａにより積層されている。面取り部２６ｄを備えたコア板２６は、面取り部２６ｄが端部側となるよう積層鉄心２８の片端部に配設されている。積層鉄心２８の中心にはシャフト２１が嵌まり込むシャフト嵌合穴３２が設けられている。

図７は、電機子コアの形状を示しており、電機子コア２３は、複数ブロックの積層鉄心２８を軸方向に併設して一体に構成されている。電機子コア２３の両端部２３ａには、コア板面取り部２６ｄを有するコア板２６が位置するように並設される。図７では、電機子コア２３が３つの積層鉄心２８で構成された図を示しているが、積層鉄心２８は複数で、両端部２３ａのみ面取り部２６ｄを有するコア板２６が配設されるよう並設されておればよい。コア板２６は同一方向からプレスによる面取りが行われたコア板で構成されることになるため、電機子コアの両端２３ａの面取り形状は同じである。

コア板２６の形成は、素材となる鋼板をプレス金型により打ち抜いた後、そのカエリ側
またはダレ側のいずれか一方からのプレスによる面打ちで面取り部２６ｄが形成される。図４はプレスせん断部のカエリ側２７ａ面取りの腕部断面であって、プレスによる面取り部２６ｄは、腕部２６ｂのプレスせん断部のカエリ側２７ａに施されるため、面打ち形状は常に均一なものが得られる。したがって、同じ側に面取り部を有するコア板２６を片端部に配した積層鉄心２８の紛体塗装の薄膜化が可能である。図５はプレスせん断部のダレ側２７ｂ面取りの腕部断面であって、プレスによる面取り部２６ｄは、腕部２６ｂのプレスせん断部のダレ側２７ｂに施されるため、カエリ側と同様に面打ち形状は常に均一なものが得られる。

本実施の形態１では、電機子コア２８は以上のように構成されているので、複数のコア板によって形成された各積層鉄心２８の片端部のコア板２６のみに、同じ方向、つまりカエリ側かダレ側かいずれか一方からの面取り部２６ｄを形成することにより、プレス金型構成の単純化ができ、生産性の向上、金型コストアップ抑制が可能になる。

また、複数のコア板によって形成された各積層鉄心２８の片端部のコア板２６のみに面取り部２６ｄを形成し、積層鉄心２８の片端面取り部２６ｄ側が電機子コア２３の両端部２３ａになるように複数の積層鉄心２８を配設することにより、電機子コア２３の両端部２３ａが、ともにコア板製造プレス後のカエリ側面取り２７ａまたはダレ側面取り２７ｂのいずれかであるため、電機子コア２３の両端部２３ａの面取り寸法を同一とすることができ、粉体塗装２２の膜厚を薄くする場合において膜厚を両端面２３ａで均一にすることができ、粉体塗装２２及びコイル巻線２４の品質、生産性が向上する。

なお、ダレ側２７ｂを面取りする際にはカエリ側２７ａの面取り時と比較して、プレス加工による加工率が小さく、磁気歪みを小さくすることが出来、鉄損の低減によるモータ効率を向上させる効果がある。

実施の形態２．
実施の形態２は、積層鉄心２８を軸方向にＮ個並設して電機子コア２３を形成する際に、積層鉄心２８を３６０／Ｎ度回転させて並設したもの、つまり、複数の積層鉄心２８をそれぞれ同角度ずつ均等に回転して軸方向に並設したものである。その他の構成は実施の形態１と同じである。

図９（ａ）は、積層鉄心並設時のイメージ図であり、図９（ｂ）、（ｃ）、（ｄ）は図９（ａ）のそれぞれｂ−ｂ線、ｃ−ｃ線、ｄ−ｄ線における積層鉄心の断面を示している。コア板２５及び積層鉄心片端部のコア板２６は積層鉄心２８を軸方向に並設する際に使用する合マーク２８ｂを有しており、複数の積層鉄心２８を軸方向にＮ個（例えば３個）並設する際に、合マーク２８ｂを基準として積層鉄心２８を３６０／Ｎ度（例えば１２０度）回転させて並設する。

実施の形態２は、このように構成されているので、実施の形態１の効果に加え、コア板２５が持つ磁気異方性をキャンセルさせることができ、ロストルク及びコギングトルクの軽減を図ることができる。

１ 回転電機、
１０ ヨーク、
１０ａ ヨーク円管部、
１０ｂ ベアリングケース部、
１１ マグネット、
１２ ホルダ、
１３ ベアリング、
２０ 電機子、
２１ シャフト、
２２ 粉体塗装、
２３ 電機子コア、
２３ａ 電機子コア両端部、
２４ コイル巻線、
２５ コア板、
２５ａ スロット部、
２５ｂ 腕部、
２５ｃ シュー部、
２６ コア板（積層鉄心片端部）、
２６ａ スロット部、
２６ｂ 腕部、
２６ｃ シュー部、
２６ｄ コア板面取り部、
２７ａ プレスせん断部カエリ側、
２７ｂ プレスせん断部ダレ側、
２８ 積層鉄心、
２８ａ 凹凸嵌合部、
２８ｂ 合マーク、
３０ ハウジング、
３０ａ ベアリングケース部、
３１ ベアリング、
３２ シャフト嵌合穴。

Claims (3)

1. 回転子と、マグネットからなる界磁と、前記界磁を取り囲むヨークとを備えた回転電機において、前記回転子を構成する電機子コアは、複数枚のコア板を積層してなる積層鉄心からなり、前記電機子コアの両端部に置かれるコア板は、その両方とも、コア板のスロットを形成する腕部のプレスせん断部に、プレスせん断部カエリ側またはプレスせん断部ダレ側のいずれか一方でプレス面取りがなされていることを特徴とする回転電機。
2. 前記電機子コアは、複数の積層鉄心を軸方向に並設して構成したことを特徴とする請求項１に記載の回転電機。
3. 前記電機子コアは、複数の積層鉄心がそれぞれ同角度ずつ均等に回転して軸方向に並設されていることを特徴とする請求項２に記載の回転電機。

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