JP2010258635A - 制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自己に発生した異常が自己の属するネットワークへ与える影響を低減すると共に、異常状態からの復帰処理を行える制御装置を提供する。
【解決手段】ゲートウェイECU10は、自装置の異常を検出したことを移行条件として、動作状態を通常状態から休止状態に移行させ、あるいは、前述の移行条件とは異なる移行条件が成立した場合に、動作状態を通常状態から休止状態に移行させる休止状態移行部106と、動作状態を休止状態から通常状態へ復帰させる復帰条件が成立すると、動作状態を休止状態から通常状態に移行させる通常状態移行部107と、休止状態移行部106によって自装置の異常を検出したことを移行条件として休止状態に移行していた場合に、復帰条件とは異なる所定の条件が成立するまで、通常状態移行部107による休止状態から通常状態への移行を禁止する禁止部108と、を備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、制御装置に関する。
一般に、車両等を制御する制御システムでは、複数の制御装置(ECU:Electronic Control Unit)が相互に通信ラインで接続されることにより、通信ネットワーク(通信手段)が構築されている。近年は、エンジン停止後にもセキュリティ装置、室内灯、車高調節器等の車両電装品を制御するため、通信ネットワークには、イグニッションスイッチ(以下、IGスイッチと略記する)がオフされた後も動作するECUも接続されている。IGスイッチがオフされた後も動作するECUは、電力消費量が高いウェイクアップ状態(通常状態)及び通信データの送受信を停止して電力消費量を抑えるスリープ状態(休止状態)の2つの動作状態を備えている場合が多い。特許文献1〜3には、前述の2つの動作状態を備えるECU、又は2つの動作状態を備えるECUが接続された通信ネットワークにおいて、ウェイクアップ状態及びスリープ状態を切替える技術が開示されている。
特開2008−126738号公報 特開2008−254518号公報 特開2008−263346号公報
ところで、通信ネットワークに接続されたECUの1つに異常が発生する場合、異常が発生したECUが送信したデータを、他のECUが受信すると誤作動を起こしてしまう場合がある。また、他のECUが誤作動を起こした結果、通信ネットワーク全体に異常が伝播してしまう場合もある。
このように、通信ネットワークに接続されたECUに異常が発生した場合に、他のECUへの異常の伝播を防ぐ方法として、異常が発生したECUの動作を完全に停止させる方法がある。しかしながら、異常が発生したECUを完全に停止させてしまうと、ECUは異常状態から復帰する処理を実行することができない。そこで、他のECUへの異常の伝播を防ぐと共に、ECUが異常状態からの復帰処理を実行することができるように、ECUを通常状態に復帰可能なスリープ状態へ遷移させる方法がある。
しかし、従来のECUは、スリープ状態にある間にウェイクアップ条件が成立すると、その動作状態をウェイクアップ状態へと移行させる。ここで、ウェイクアップ条件とは、ECUがスリープ状態にある間に、車両のIGスイッチがオンされる、他のECUからのデータを受信する、又はECUのスイッチがオンされる等である。
従って、異常が発生したECUは、スリープ状態へ遷移しても、ウェイクアップ条件が成立するとウェイクアップ状態に切替わり、データ送信等を実行するため、通信ネットワーク全体に異常が伝播する可能性が生じる。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、自己に発生した異常が自己の属するネットワークへ与える影響を低減すると共に、異常状態からの復帰処理を行える制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、動作状態として、通信手段を介して他の制御装置にデータを送信可能な通常状態と通常状態よりも平均消費電力が低く前記他の制御装置にデータを送信不可能な休止状態とを有する制御装置であって、自装置の異常を検出したことを移行条件として、前記動作状態を、前記通常状態から前記休止状態に移行させる第1の休止状態移行手段と、前記第1の休止状態移行手段における移行条件とは異なる移行条件が成立した場合に、前記動作状態を、前記通常状態から前記休止状態に移行させる第2の休止状態移行手段と、前記動作状態を前記休止状態から前記通常状態へ復帰させる復帰条件が成立すると、前記動作状態を前記休止状態から前記通常状態に移行させる通常状態移行手段と、前記第1の休止状態移行手段によって休止状態に移行していた場合に、前記復帰条件とは異なる所定の条件が成立するまで、前記通常状態移行手段による前記制御装置の前記休止状態から前記通常状態への移行を禁止する禁止手段と、を備える。
本発明は、制御装置に異常が発生した場合には、第1の休止状態移行手段が制御装置の動作状態を休止状態に切替え、復帰条件が成立しても所定の条件が成立するまでは、禁止手段が制御装置の動作状態を通常状態へ移行させることを禁止する。このため、異常が発生した制御装置によって他の制御装置にデータが送信されることにより、制御装置に発生した異常が他の制御装置及び通信手段へ与える影響を低減することができる。
上記構成において、本発明は、前記第1の休止状態移行手段によって前記休止状態に移行する場合と、前記第1の休止状態移行手段によって前記休止状態に移行した後に、前記動作状態が前記休止状態から前記通常状態へと移行する場合の少なくとも一方の場合に、初期化処理を実行する初期化手段を備える。
この構成によれば、制御装置に発生した異常が他の制御装置及び通信手段へ与える影響を低減すると共に、通常状態への移行に伴って異常状態からの復帰処理を行うことができる。
上記構成において、前記動作状態が前記休止状態から前記通常状態へと移行する場合とは、前記動作状態が前記休止状態にある際にイグニッションスイッチがオンされる場合であり、前記初期化手段は、前記動作状態が前記通常状態へ移行する際に、前記制御装置に備えられた記憶装置に記憶された情報を初期化することを特徴とする。
この構成によれば、制御装置は、制御装置に発生した異常が他の制御装置及び通信手段へ与える影響を低減すると共に、イグニッションスイッチがオンされてから次にイグニッションスイッチがオンされるまでの間に1回、異常状態からの復帰処理を実行できる。
上記構成において、前記制御装置は、イグニッションスイッチがオフされた後もバッテリから電源の供給を受けて動作を継続することを特徴とする。
この構成によれば、イグニッションスイッチがオフされた後もバッテリから電源の供給を受けて動作を継続する制御装置に異常が発生した場合でも、制御装置に発生した異常が他の制御装置及び通信手段へ与える影響を低減すると共に、異常状態からの復帰処理を行うことができる。
本発明は、動作状態として、通信手段を介して他の制御装置にデータを送信可能な通常状態と通常状態よりも平均消費電力が低く前記他の制御装置にデータを送信不可能な休止状態とを有する制御装置の制御方法であって、自装置の異常を検出したことを移行条件として、前記動作状態を、前記通常状態から前記休止状態に移行させる第1の休止状態移行ステップと、前記第1の休止状態移行ステップにおける移行条件とは異なる移行条件が成立した場合に、前記動作状態を、前記通常状態から前記休止状態に移行させる第2の休止状態移行ステップと、前記動作状態を前記休止状態から前記通常状態へ復帰させる復帰条件が成立すると、前記動作状態を前記休止状態から前記通常状態に移行させる通常状態移行ステップと、前記第1の休止状態移行ステップによって休止状態に移行していた場合に、前記復帰条件とは異なる所定の条件が成立するまで、前記通常状態移行ステップによる前記制御装置の前記休止状態から前記通常状態への移行を禁止する禁止ステップと、を有する。
本発明は、制御装置に異常が発生した場合には、第1の休止状態移行ステップが制御装置の動作状態を休止状態に切替え、復帰条件が成立しても所定の条件が成立するまでは、禁止ステップが制御装置の動作状態を通常状態へ移行させることを禁止する。このため、異常が発生した制御装置によって他の制御装置にデータが送信されることにより、制御装置に発生した異常が他の制御装置及び通信手段へ与える影響を低減することができる。
本発明によれば、自己に発生した異常が自己の属するネットワークへ与える影響を低減すると共に、異常状態からの復帰処理を行える。
車両における通信ネットワークの一例を示す図である。 +B系ECU及びIG系ECUの動作状態を示すタイムチャートである。 本発明を適用していないゲートウェイECUが実行する処理の一例を示すフローチャートである。 本発明を適用していないゲートウェイECUに異常が発生した場合の、ゲートウェイECU、+B系ECU及びIG系ECUの動作状態を示すタイムチャートである。 本発明を適用したゲートウェイECUのハードウェア構成の一例を示す図である。 ゲートウェイECUが有する機能の一例を示す機能ブロック図である。 通常時にゲートウェイECU10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。 スリープ時にゲートウェイECU10が所定周期で実行する処理の一例を示すフローチャートである。 本発明を適用したゲートウェイECUに異常が発生した場合の、ゲートウェイECU、+B系ECU及びIG系ECUの動作状態を示すタイムチャートである。
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、図1を用いて本発明が適用されるゲートウェイECUを含む通信ネットワークについて説明する。図1は、車両における通信ネットワークの一例を示す図である。
図1に図示する通信ネットワーク100は、CAN(Controller Area Network)を用いた車載LANによって構成される。通信ネットワーク100は、ゲートウェイECU10に通信バス41〜通信バス43を接続し、各通信バス上に、+B系ECU20A〜20E及びIG(IGnition)系ECU30A〜30Dを接続して構成される。車載装置の数が増え高度な制御が実行されるにつれて、ECUの数も増大する傾向にあるが、通信バスに接続可能なECUの数には制限がある。また、バスの配線長や通信データの通信量がバスにもたらす負荷を緩和する必要もある。そこで、本実施例では、通信バスを通信バス41〜43に分割すると共に通信バス間をゲートウェイECU10により中継している。ゲートウェイECU10が定められた手順で通信データを相互の通信バス間に中継することで、分割された通信バスに接続されたECUは通信データを共有することができる。
なお、以後、特に区別する必要のない限り、+B系ECU20A〜20Eを+B系ECU20と記載し、IG系ECU30A〜30DをIG系ECU30と記載する。
+B系ECU20は、IGスイッチをオフした後も動作を継続するECUであり、動作状態としてウェイクアップ状態とスリープ状態とを有する。ここで、スリープ状態におけるECUの動作は設計によるが、本実施例では、例えば、ECUが備えるCPUのクロックをウェイクアップ状態に比べ低速(例えば10〜20分の1)にすることと定義する。スリープ状態ではCPUのクロックが遅いため、ウェイクアップ状態では実行できる処理が処理不能となったり、あるいは、本来の処理能力を発揮できなかったりする。本実施例では、ゲートウェイECU10は、ウェイクアップ状態ではデータの送信処理を実行できるが、スリープ状態ではデータの送信処理を実行できないものとする。ただし、クロックが低速でもCPUと共に他の周辺デバイスは作動可能であるため、ゲートウェイECU10は、後述するウェイクアップ条件のマスク処理、ウェイクアップ条件の判定処理等を実行できる。
IG系ECU30は、IGスイッチをオンすると動作し、IGスイッチをオフすると完全停止するECUである。なお、ゲートウェイECU10は、+B系ECUの一つである。
通信バス41と、通信バス41に接続された+B系ECU20A、IG系ECU30A、及びIG系ECU30Bとは、例えば、エンジン制御等のためのエンジン・パワートレン系ネットワークを構成する。なお、エンジン・パワートレン系ネットワークでは、ABS(Anti-lock Brake System)ECU、ECT(Electronic Control Transmission)ECU、EFI(Electric Fuel Injection)ECU等が通信バスに接続される。
通信バス42と、通信バス42に接続された+B系ECU20B〜20Cとは、例えば、ヘッドランプ制御等のためのボディ系ネットワークを構成する。なお、ボディ系ネットワークでは、例えば、セキュリティECU、ウィンカECU、ワイパECU、ライトECU等が通信バスに接続される。
通信バス43と、通信バス43に接続された+B系ECU20D〜20E及びIG系ECU30C〜30Dとは、例えば、メータパネル制御等のためのテレマティクス系ネットワークを構成する。なお、テレマティクス系ネットワークでは、メータECU等が通信バスに接続される。
各通信バスと、通信バスに接続された+B系ECU20及びIG系ECU30とが構成するネットワークは、上述のものに限定されない。例えば、他のネットワークとしては、エアバック制御等のための安全系ネットワーク、ナビゲーションシステム制御等のための情報系ネットワーク等がある。
ゲートウェイECU10は、上述した通信バス41〜43、+B系ECU20及びIG系ECU30で構成されるネットワーク間のデータ通信を中継する。上述したエンジン・パワートレン系ネットワーク、ボディ系ネットワーク、テレマティクス系ネットワークでは、それぞれの制御に要求される仕様に適した通信プロトコルが採用される。よって、異なる系のネットワーク間では、ゲートウェイECU10がデータ通信を中継することにより相互にデータが共有される。
次に、図2を用いて、通常時(異常が発生していない時)における、+B系ECU20(ゲートウェイECU10を含む)及びIG系ECU30の動作について説明する。図2は、+B系ECU及びIG系ECUの動作状態を示すタイムチャートである。
+B系ECU20及びIG系ECU30は、IGスイッチがオン(IG=ON)されると(A)、起動する。そして、+B系ECU20及びIG系ECU30は、それぞれ動作を開始する。
IGスイッチがオフ(IG=OFF)されると(B)、IG系ECU30は動作を完全に停止する。一方、+B系ECU20は、IGスイッチがオフされても、バッテリから電源の供給を受け、動作を継続する。
+B系ECU20のうちいずれかのECUは、イグニッションオフ後に実行すべき処理を実行し終えると、スリープ状態の開始を合図する所定のフレームデータを送信する(C)。所定のフレームデータが送信されてから所定時間を経過してもデータの受信が無い場合、+B系ECU20はスリープ状態に遷移する(D)。
そして、次にIGスイッチがオンされるまで(E)、+B系ECU20はスリープ状態を継続し、IG系ECU30は完全停止状態を継続する。
IGスイッチがオンされると(E)、+B系ECU20及びIG系ECU30は再び起動し、動作を開始する。
次に、図3を用いて、本発明を適用していないゲートウェイECU10が実行する処理について説明する。図3は、本発明を適用していないゲートウェイECUが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
ゲートウェイECU10は、まず、所定の初期化処理を実行する(ステップS1)。ここで、ゲートウェイECU10は、IGスイッチがオンされた場合、ハードウェアリセットから復帰した場合、又はウェイクアップ条件が成立して動作状態がスリープ状態からウェイクアップ状態に移行した場合に初期化処理を実行する。なお、初期化処理とは、ゲートウェイECU10が動作を開始できる状態になるように、後述するRAM102及びROM104等に記憶されているデータの初期化を行うことである。ゲートウェイECU10に異常が発生し、ROM102及びROM104に異常なデータが記憶されていても、この初期化処理によって異常なデータを消去することが可能である。
ゲートウェイECU10は、初期化処理が終わると、動作を開始する(ステップS2)。ゲートウェイECU10は、動作中、ゲートウェイECU10に異常が発生しているか否か判定する(ステップS3)。
ゲートウェイECU10は、ゲートウェイECU10に異常が発生していない場合(ステップS3/NO)、動作を継続し、ステップS3の処理を繰返し実行することで、異常が発生しているか否かを監視する。一方、ゲートウェイECU10に異常が発生している場合(ステップS3/YES)、ゲートウェイECU10は、スリープ状態に遷移する(ステップS4)。
ゲートウェイECU10は、スリープ状態において、ウェイクアップ条件が成立したか否か判定する(ステップS5)。ゲートウェイECU10は、ウェイクアップ条件が成立していない場合(ステップS5/NO)、ウェイクアップ条件が成立するまで、スリープ状態を継続し、ステップS5の処理を実行する。一方、ゲートウェイECU10は、ウェイクアップ条件が成立した場合(ステップS5/YES)、動作状態をウェイクアップ状態へと移行させ(ステップS6)、本処理を終了する。
図3において説明した処理を実行するゲートウェイECU10に異常が発生した場合の、ゲートウェイECU10、+B系ECU20及びIG系ECU30の動作について説明する。図4は、本発明を適用していないゲートウェイECUに異常が発生した場合の、ゲートウェイECU、+B系ECU及びIG系ECUの動作状態を示すタイムチャートである。
ゲートウェイECU10、+B系ECU20及びIG系ECU30は、IGスイッチがオンされると(A)、起動する。そして、ゲートウェイECU10、+B系ECU20及びIG系ECU30は、それぞれ動作を開始する。
ゲートウェイECU10は、異常が発生すると(B)、動作状態をスリープ状態に移行させる。一方、+B系ECU20及びIG系ECU30は動作を継続する。
+B系ECU20及びIG系ECU30がデータを送信すると(C)、データの送信によって通信バスの電位レベルが変化するため、ゲートウェイECU10は電位レベルの変化を検出して、動作状態をウェイクアップ状態に移行させる。つまり、この場合、+B系ECU20及びIG系ECU30によるデータの送信が、ゲートウェイECU10のウェイクアップ条件となっている。
ゲートウェイECU10は、動作状態がスリープ状態からウェイクアップ状態に移行すると、初期化処理を実行する。しかし、ゲートウェイECU10は、初期化処理を行っても、異常状態から復帰できない場合もある。ゲートウェイECU10は、異常状態から復帰できなかった場合、再度、スリープ状態へと遷移する(D)。
IGスイッチがオフされると(E)、IG系ECU30は完全に停止する。しかし、+B系ECU20は、IGスイッチがオフされても動作を継続しているため、データを送信する場合がある。+B系ECU20がデータを送信すると(F)、データの送信によって通信バスの電位レベルが変化するため、ゲートウェイECU10は電位レベルの変化を検出して、再び、動作状態をウェイクアップ状態に移行させる。そして、ゲートウェイECU10は、再び初期化処理を実行する。この、ゲートウェイECU10のウェイクアップ状態→スリープ状態→ウェイクアップ状態の繰返しは、+B系ECU20がスリープ状態になるまで続けられる。
この結果、ゲートウェイECU10に異常が発生した後に、ゲートウェイECU10の動作状態がウェイクアップ状態となっている期間(C〜E)、(F〜G)には、ゲートウェイECU10から誤ったデータが送信される可能性がある。つまり、ゲートウェイECU10に発生した異常が、通信ネットワーク100全体に伝播する可能性がある。
また、ゲートウェイECU10は、ウェイクアップ状態及びスリープ状態に移行する場合に、所定のフレームデータを送信する。従って、ゲートウェイECU10が図5に示すようなウェイクアップ状態とスリープ状態とを繰り返すことにより、通信バス41〜43に送信されるデータ量が増えて、通信バス41〜43の負荷が上昇してしまう。
次に、図5〜図9を用いて、上述した問題を解決する、本発明を適用したゲートウェイECUについて説明する。
図5は、本発明を適用したゲートウェイECUのハードウェア構成の一例を示す図である。
ゲートウェイECU10は、入出力部101、RAM(Random Access Memory)102、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)103及びROM(Read Only Memory)104を備える。入出力部101は、信号の入出力を行う。ROM104には、自己の異常を検出するプログラムや自己の動作状態をスリープ状態に移行させるプログラムなどが格納される。CPU103は、ROM104に格納されたプログラムを読み込んで実行する。RAM102は、プログラムを実行する際に使用される一時的なデータを保存する。
また、ROM104に格納されたプログラムのCPU103による演算によって、図6に示す休止状態移行部106、通常状態移行部107、禁止部108が実現される。
次に、図6を用いて、ゲートウェイECU10において、上述したCPU103などのハードウェアとROM104に格納されたプログラムとの協働によって実現される機能の一例について説明する。図6は、ゲートウェイECUが有する機能の一例を示す機能ブロック図である。
ゲートウェイECU10は、異常判定部105、休止状態移行部(第1の休止状態移行手段及び第2の休止状態移行手段)106、通常状態移行部(通常状態移行手段)107、禁止部(禁止手段)108、及び初期化部(初期化手段)109を備える。
異常判定部105は、ゲートウェイECU10に異常が発生しているかを判定する。例えば、異常判定部105は、ゲートウェイECU10のROM104、RAM104、及びフレーム転送装置に異常が発生しているか否かを判定する。ここで、フレーム転送装置とは、通信バス41〜43のいずれかから受信したデータを、ROM104に記憶された宛先マップに従って、別の通信バスへ転送する装置である。異常判定部105は、例えば、ROM104のチェックサム値を計算することによって、ゲートウェイECU10のROM104に異常が発生しているか否かを判定できる。また、異常判定部105は、例えば、RAM102の書き込み値と読み出し値とを比較して、ゲートウェイECU10のRAM102に異常が発生しているか否かを判定できる。
異常判定部105は、ゲートウェイECU10に異常が発生していると判定すると、異常の発生を休止状態移行部106に通知する。
休止状態移行部106は、異常判定部105から、ゲートウェイECU10に異常が発生した旨の通知を受信すると、ゲートウェイECU10の動作状態をウェイクアップ状態からスリープ状態へ移行させる。動作状態がスリープ状態となったゲートウェイECU10は、データの送信を実行できなくなる。
また、休止状態移行部106は、動作状態をスリープ状態に移行させるスリープ条件が成立した場合にも、ゲートウェイECU10の動作状態をスリープ状態に移行させる。ここで、スリープ条件とは、例えば、通信バス41〜43を介して、+B系ECU20及びIG系ECU30から通信データを所定時間受信しない場合等をいう。
通常状態移行部107は、ウェイクアップ条件が成立すると、ゲートウェイECU10をスリープ状態からウェイクアップ状態へ移行させる。前述したように、ウェイクアップ条件とは、ゲートウェイECU10がスリープ状態にある間に、車両のIGスイッチがオンされる、又は、他のECUからのデータを受信する、又はECUのスイッチがオンされる等をいう。通常状態移行部107は、ゲートウェイECU10の動作状態と、通信バス41〜43から入力される信号及びデータに基づいて、ウェイクアップ条件が成立したか否か判定できる。
しかし、通常状態移行部107は、後述する禁止部108によって、ゲートウェイECU10をスリープ状態からウェイクアップ状態に移行させることを禁止されている場合には、移行を行わない。
禁止部108は、所定の条件が成立するまで、通常状態移行部107が、ゲートウェイECU10をスリープ状態からウェイクアップ状態へ移行させることを禁止する。ここで、所定の条件とは、異常が発生した後、次にIGスイッチがオンされるまでゲートウェイECU10のウェイクアップ条件が成立しないことである。すなわち、IG系ECU30が完全停止し、かつ+B系ECU20がスリープ状態になることである。
従って、禁止部108は、IGスイッチがオフされ、かつ、スリープ開始を合図する特定のフレームが送信されてから所定の時間が経過しても、通信バス41〜43からデータを入力しない場合に、所定の条件が成立したと判定できる。ここで、所定の時間とは、スリープ開始を合図する特定のフレームが送信されてから、通信バス41〜43にデータが流れなければ、通信ネットワーク100全体がスリープ状態へ遷移する時間であり、例えば、1500msである。
初期化部109は、ゲートウェイECU10に異常が発生してゲートウェイECU10がスリープ状態に移行する場合、または、異常の発生によってスリープ状態へ移行したゲートウェイECU10の動作状態がウェイクアップ状態へ移行した場合に、初期化処理を実行する。初期化部109は、初期化処理を実行する条件が成立したか否かを、休止状態移行部106及び通常状態移行部107から信号を入力することによって判定できる。
次に、図7を用いて、通常時にゲートウェイECU10が実行する処理について説明する。図7は、ゲートウェイECU10が通常時に実行する処理の一例を示すフローチャートである。ここで、通常時に実行する処理とは、ゲートウェイECU10に搭載されたマイコン(不図示)の電源がONになった際に行われる処理のことをいう。マイコン(不図示)の電源がONになる場合とは、マイコンにバッテリが接続された場合、マイコンがリセット状態から復帰した場合が挙げられる。
ゲートウェイECU10は、まず、初期化処理を実行する(ステップS11)。ゲートウェイECU10が行う初期化処理の内容は、図3のステップS1において説明したので、説明を省略する。
次に、ゲートウェイECU10は、異常フラグがONであるか否か判定する(ステップS12)。ゲートウェイECU10は、異常フラグがOFFの場合(ステップS12/NO)、動作を開始する(ステップS13)。
ゲートウェイECU10は、動作中、スリープ状態への移行条件が成立したか否かを判定する(ステップS14)。ゲートウェイECU10は、スリープ状態への移行条件が成立していない場合(ステップS14/NO)、ゲートウェイECU10に異常が発生しているか否かを判定する(ステップS15)。一方、ゲートウェイECU10は、スリープ状態への移行条件が成立している場合(ステップS14/YES)、動作状態をスリープ状態に移行させる(ステップS18)。本ステップによって移行したスリープ状態は、異常フラグがONされていないため、ウェイクアップ条件が成立すればウェイクアップ条件に移行する通常のスリープ状態となる。
ゲートウェイECU10は、ゲートウェイECU10に異常が発生している場合(ステップS15/YES)、ゲートウェイECU10に異常が発生していることを表す異常フラグをONにする(ステップS16)。一方、ゲートウェイECU10に異常が発生していない場合、ゲートウェイECU10は、ステップS13からステップS15までの処理を繰り返し実行する。
次に、ゲートウェイECU10は、電源をリセットすることによって、ハードウェアリセットを実行する(ステップS17)。そして、ゲートウェイECU10は、本処理を終了する。
ゲートウェイECU10は、異常フラグがONの場合(ステップS12/YES)、動作状態をスリープ状態に移行させ(ステップS17)、本処理を終了する。ここで、異常フラグがONであるとは、ゲートウェイECU10に異常が発生して、ゲートウェイECU10がステップS16にて異常フラグをONにしたということである。
次に、図8を用いて、ゲートウェイECU10がスリープ状態において所定周期で実行する処理について説明する。図8は、スリープ時にゲートウェイECU10が所定周期で実行する処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ゲートウェイECU10は、異常フラグがONか否か判定する(ステップS21)。
ゲートウェイECU10は、異常フラグがOFFの場合(ステップS21/NO)、ウェイクアップ条件が成立したか否か判定する(ステップS22)。そして、ウェイクアップ条件が成立した場合(ステップS22/YES)、ゲートウェイECU10は、動作状態をウェイクアップ状態に移行させる(ステップS23)。一方、ウェイクアップ条件が成立していない場合(ステップS22/NO)、ゲートウェイECU10は本処理を終了する。
ゲートウェイECU10は、異常フラグがONの場合(ステップS21/YES)、IGスイッチがオフされ、かつ、スリープ開始を合図する所定のフレームデータを+B系ECU20が送信してから、所定の時間データを受信していないか否かを判定する(ステップS24)。
ゲートウェイECU10は、ステップS24の判定がNOの場合、本処理を終了するため、スリープ状態が継続される。従って、異常フラグがONになっているゲートウェイECU10は、ステップS24の判定がYESになるまで、ウェイクアップ状態への移行を禁止された強制スリープ状態となる。このステップS24によって、ゲートウェイECU10に発生した異常が、通信ネットワーク100全体に伝播するのを抑制することができる。
ゲートウェイECU10は、ステップS24の判定がYESの場合、異常フラグをOFFにし(ステップS25)、ウェイクアップ条件が成立したか否かを判定する(ステップS22)。
ゲートウェイECU10は、ウェイクアップ条件が成立していない場合(ステップS22/NO)、本処理を終了する。一方、ゲートウェイECU10は、ウェイクアップ条件が成立した場合(ステップS22/YES)、動作状態をウェイクアップ状態に移行させる(ステップS23)。そして、ゲートウェイECU10は、本処理を終了する。
次に、図9を用いて、本発明を適用したゲートウェイECU10に異常が発生した場合の、ゲートウェイECU10、+B系ECU20及びIG系ECU30の動作について説明する。図4は、本発明を適用したゲートウェイECUに異常が発生した場合の、ゲートウェイECU、+B系ECU及びIG系ECUの動作状態を示すタイムチャートである。
ゲートウェイECU10、+B系ECU20及びIG系ECU30は、IGスイッチがオフされると(A)、起動する。そして、ゲートウェイECU10、+B系ECU20及びIG系ECU30は、それぞれ動作を開始する。
ゲートウェイECU10は、異常が発生すると(B)、動作状態をスリープ状態に移行させる。一方、+B系ECU20及びIG系ECU30は動作を継続する。
本発明が適用されるゲートウェイECU10は、ウェイクアップ条件が成立しても、禁止部108によってスリープ状態からウェイクアップ状態への移行が禁止される。従って、異常発生後に、+B系ECU20が動作を継続し、データの送信を行っても、ゲートウェイECU10の動作状態はウェイクアップ状態に移行されない。つまり、ゲートウェイECU10は、ウェイクアップ条件がマスクされた強制スリープ状態となる。
+B系ECU20のうちいずれかのECUは、イグニッションオフ後に実行すべき処理を実行し終えると、スリープ開始を合図する所定のフレームデータを送信する(C)。所定のフレームデータが送信されてから所定時間を経過してもデータの受信が無い場合、+B系ECU20はスリープ状態に遷移する(D)。ゲートウェイECU10は、+B系ECU20が所定フレームデータを送信してから所定時間を経過してもデータの受信が無い場合、ウェイクアップ条件が成立すればウェイクアップ状態に移行しスリープ状態となる。つまり、ゲートウェイECU10の動作状態は、禁止部108によってウェイクアップ状態への移行を禁止された強制スリープ状態から、ウェイクアップ条件が成立すればウェイクアップ状態へ移行する通常のスリープ状態となる。
そして、次にIGスイッチがオンされるまで(D)、ゲートウェイECU10及び+B系ECU20はスリープ状態を継続し、IG系ECU30は完全停止状態を継続する。IGスイッチがオンされると(D)、ゲートウェイECU10、+B系ECU20及びIG系ECU30は再び起動し、動作を開始する。
ゲートウェイECU10は、IGスイッチのオンに伴う初期化処理によって、異常状態から復帰する機会を得ることができる。
図9から、ゲートウェイECU10は、異常が発生した場合に、強制スリープ状態に入るので、通信ネットワーク100に異常が伝播するのを抑制できる。また、ゲートウェイECU10は、IGスイッチがオンされてから、次のIGスイッチがオンされるまでに、1回は異常状態からの復帰処理を実行できる。
以上の説明から明らかなように、本実施例によれば、ネットワークECU10は、自己に発生した異常が自己の属するネットワークへ与える影響を低減すると共に、異常状態からの復帰処理を行うことができる。
また、異常が発生したゲートウェイECU10は、ウェイクアップ状態とスリープ状態とを繰り返さないので、不要なフレームデータの送信によって、通信バスの負荷が上昇するのを抑制できる。
また、異常が発生したゲートウェイECU10は、次にIGスイッチがオンされるまで、起動しないので、消費電力を抑えることができる。また、消費電力を抑えることによって、バッテリ上がりの抑制につながる。
さらに、異常が発生したゲートウェイECU10は、データの送信を停止するため、他のECUにゲートウェイECU10の異常を通知できる。つまり、他のECUは、ゲートウェイECU10からデータを所定時間受信しなければ、ゲートウェイECU10が故障したと判定できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本実施例では、ゲートウェイECU10に本発明を適用したが、本発明の適用対象はゲートウェイECU10に限られるものではなく、+B系ECU20に対しても適用できる。
ゲートウェイECU10が実行するプログラムは、磁気ディスクや光ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して配信したりすることにより提供できる。
更に、CPU103がROM104に記憶されたプログラムを読み出して、CPU103により実行して実現するソフトウェア処理の一部又は全部をハードウェアにて実現しても良い。
10…ゲートウェイECU
20、20A〜20E…+B系ECU
30、30A〜30D…IG系ECU
41〜43…通信バス
100…通信ネットワーク
101…入出力部
102…RAM
103…CPU
104…ROM
105…異常判定部
106…休止状態移行部
107…通常状態移行部
108…禁止部
109…初期化部

Claims (5)

  1. 動作状態として、通信手段を介して他の制御装置にデータを送信可能な通常状態と通常状態よりも平均消費電力が低く前記他の制御装置にデータを送信不可能な休止状態とを有する制御装置であって、
    自装置の異常を検出したことを移行条件として、前記動作状態を、前記通常状態から前記休止状態に移行させる第1の休止状態移行手段と、
    前記第1の休止状態移行手段における移行条件とは異なる移行条件が成立した場合に、前記動作状態を、前記通常状態から前記休止状態に移行させる第2の休止状態移行手段と、
    前記動作状態を前記休止状態から前記通常状態へ復帰させる復帰条件が成立すると、前記動作状態を前記休止状態から前記通常状態に移行させる通常状態移行手段と、
    前記第1の休止状態移行手段によって休止状態に移行していた場合に、前記復帰条件とは異なる所定の条件が成立するまで、前記通常状態移行手段による前記制御装置の前記休止状態から前記通常状態への移行を禁止する禁止手段と、
    を備えることを特徴とする制御装置。
  2. 前記第1の休止状態移行手段によって前記休止状態に移行する場合と、前記第1の休止状態移行手段によって前記休止状態に移行した後に、前記動作状態が前記休止状態から前記通常状態へと移行する場合の少なくとも一方の場合に、初期化処理を実行する初期化手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記動作状態が前記休止状態から前記通常状態へと移行する場合とは、前記動作状態が前記休止状態にある際にイグニッションスイッチがオンされる場合であり、
    前記初期化手段は、前記動作状態が前記通常状態へ移行する際に、前記制御装置に備えられた記憶装置に記憶された情報を初期化することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
  4. 前記制御装置は、イグニッションスイッチがオフされた後もバッテリから電源の供給を受けて動作を継続することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
  5. 動作状態として、通信手段を介して他の制御装置にデータを送信可能な通常状態と通常状態よりも平均消費電力が低く前記他の制御装置にデータを送信不可能な休止状態とを有する制御装置の制御方法であって、
    自装置の異常を検出したことを移行条件として、前記動作状態を、前記通常状態から前記休止状態に移行させる第1の休止状態移行ステップと、
    前記第1の休止状態移行ステップにおける移行条件とは異なる移行条件が成立した場合に、前記動作状態を、前記通常状態から前記休止状態に移行させる第2の休止状態移行ステップと、
    前記動作状態を前記休止状態から前記通常状態へ復帰させる復帰条件が成立すると、前記動作状態を前記休止状態から前記通常状態に移行させる通常状態移行ステップと、
    前記第1の休止状態移行ステップによって休止状態に移行していた場合に、前記復帰条件とは異なる所定の条件が成立するまで、前記通常状態移行ステップによる前記制御装置の前記休止状態から前記通常状態への移行を禁止する禁止ステップと、
    を有することを特徴とする制御方法。
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