プラズマ装置では、内部が減圧されるチャンバー1において強度を確保して外気が押す力に対抗するために、天板4として面方向にある程度の厚さが要求される。天板4は誘電体によって構成されており、誘電体にはマイクロ波により共振領域が形成されて強い電界が発生して定在波が形成され、この定在波によりチャンバー1内に電磁界を生じさせ、プラズマ密度が高くなる。定在波を作るには適した誘電体の厚さがある。
図12は天板の厚さに依存する電界強度分布を示す図である。図12(a)は天板4の面方向の厚さが22.8mmのときの電界強度分布を示しており、中心の斜線で示す部分が電界強度の強くなっている部分である。図12(b)は天板4の厚さを27.8mmにしたときの電界強度分布を示しており、図12(a)に比べて電界強度分布が中心から周辺に広がってきている。図12(c)は天板4の厚さを31.6mmにしたときの電界強度分布を示しており、電界強度分布が天板4の中心部分を除いて周辺まで分布しており、最も適した厚さになっている。図12(d)は天板4の厚さを32.8mmにしたときの電界強度分布を示しており、電界強度分布が中心部のみ強くなっている。図12(e)は天板4の厚さを37.8mmにしたときの電界強度分布を示しており、中心部の電界強度が強くなっている。
図11に示したプラズマ処理装置において、チャンバー1内の圧力やマイクロ波の電力などのプラズマ条件を変更させるとプラズマ表面近傍の電子密度が変化するため、プラズマが物質に侵入する侵入深さが変化する。圧力を低下させると拡散係数が増大するため、プラズマ表面付近の電子密度が低下して侵入深さが増加する。このようにプラズマ条件を変更すると誘電体の適切な厚さが変わるため、定在波を形成するための共振領域がずれてしまう。このため、常に最適な状態でプラズマを発生するためには、プラズマ条件に応じた種々の厚さを有する誘電体を用意しておく必要があるという問題があった。また、マイクロ波は低圧力でのプラズマへの吸収効率が悪く、低圧(20mTorr)でのプラズマの安定した生成が困難になる。
それゆえに、この発明の目的は、プラズマ条件に応じて天板内に最適な共振領域を形成し、高い圧力から低い圧力にわたってチャンバー内に安定したプラズマの発生が可能なプラズマ処理装置、およびこのようなプラズマ処理装置に用いられる天板を提供することである。
この発明に係るプラズマ処理装置は、被処理基板を収納し、プラズマを発生するプラズマ発生室と、プラズマ発生室の上部の開口部に配置され、マイクロ波をプラズマ発生室内へ供給するアンテナと、アンテナの下部に設けられ、面方向に均一な所定の厚さを有してプラズマ発生室の開口部を封止する天板と、天板の下面側に形成されたテーパ状の凸部または凹部と、天板のアンテナ側の中心部に形成されており、良導体の配置される凹部とを備える。
この発明では、天板に形成した凸部または凹部のテーパ状部分により、径方向の厚さを連続的に変化させて、プラズマのどの条件においてもどこかで共振させて最適な共振領域を形成できる。したがって、1種類の天板を用意するだけで種々の厚さの天板を用意したのと同様の効果を奏することができる。これにより、プラズマへの吸収効率を飛躍的に向上させることができ、高い圧力から低い圧力にわたって安定したプラズマの発生が可能になる。さらに、天板のアンテナ側の中心部に形成され、良導体の配置される凹部により、中心部で強くなりがちなプラズマを抑制することができる。
好ましくは、天板は凸部または凹部により肉厚の薄い部分と厚い部分とを含み、肉厚の薄い部分の厚みはλ/4±λ/8に選ばれている。
好ましくは、凸部または凹部は、天板の下面にリング状に形成される突条を含む。
好ましくは、天板は円板状であって、突条は天板の中心と同心的に径方向に複数形成される。
好ましくは、突条は天板側の径方向厚さが先端側の径方向厚さよりも厚く形成される。
好ましくは、凸部または凹部は、天板の下面に形成される円錘状の突起を含む。
好ましくは、円錐状の突起は、天板の中心下面に形成される。
好ましくは、円錐状の突起は複数設けられ、複数の円錐状の突起はリング状に配置される。
好ましくは、凸部または凹部は、複数のリング状の凹部と、複数のリング状凹部の間に形成される下向きの第1の突条と、最外周のリング状凹部の外側に形成される下向きの第2の突条とを含む。
好ましくは、第2の突条の肉厚は、第1の突条の肉厚に比べて厚く形成される。
好ましくは、天板の凹部の深さはλ/8以上の深さに形成される。
好ましくは、天板の凹部の深さはλ/4以上の深さに形成される。
好ましくは、天板の被処理基板側の中心部には凸部が形成され、凸部の周辺における天板の肉厚はλ/4±λ/8である。
好ましくは、被処理基板は円板状であって、凸部または凹部は、被処理基板の半径をRとしたとき、天板の中心から半径Rより外側に少なくとも1つ形成されている。
好ましくは、凸部または凹部は、天板と処理基板との距離をDとしたとき、天板の中心から半径Dより内側に少なくとも1つ形成されている。
好ましくは、アンテナは、面上にスロットが分布して形成されたスロット板を含み、天板にはスロット板上のスロットの位置に対応して凸部または凹部が形成される。
この発明の他の局面においては、プラズマ処理装置用の天板に関する。プラズマ処理装置用の天板は、被処理基板を収納してプラズマを発生するプラズマ発生室の上部の開口部に配置されて、プラズマ発生室の開口部を封止する。そして、天板の下面側に形成されたテーパ状の凸部または凹部と、天板の上面側の中心部に形成された凹部とを備える。
好ましくは、天板の上面側の中心部に形成された凹部には、良導体が配置されている。
この発明では、天板に形成した凸部または凹部のテーパ状部分により、径方向の厚さを連続的に変化させて、プラズマのどの条件においてもどこかで共振させて最適な共振領域を形成できる。したがって、1種類の天板を用意するだけで種々の厚さの天板を用意したのと同様の効果を奏することができる。これにより、プラズマへの吸収効率を飛躍的に向上させることができ、高い圧力から低い圧力にわたって安定したプラズマの発生が可能になる。さらに、天板のアンテナ側の中心部に形成され、良導体の配置される凹部により、中心部で強くなりがちなプラズマを抑制することができる。
図1はこの発明の一実施形態におけるプラズマ処理装置の断面図であり、図2は図1に示した誘電板を下面から見た図である。
プラズマ処理装置は、前述の図11と同様にして、基板11を収容して基板11に所定の処理を施すためのチャンバー1と、マイクロ波をチャンバー1内に放射するためのアンテナ部3とを備えている。
図示しない高周波電源によって発生されたマイクロ波は、導波管6によりアンテナ部3へ送られる。チャンバー1の上部には、チャンバー1の開口部を封止しかつチャンバー1の隔壁の一部を構成する天板4が配設されており、天板4とチャンバー1の隔壁との間には例えばOリングなどのシール部材14が設けられている。アンテナ部3はこの天板4の上方に配置されている。アンテナ部3の上部には内部に冷媒が流れる冷却プレート10が設けられている。
チャンバー1内には、収納された基板11を保持するためのサセプタ7が設けられている。サセプタ7は基板11を加熱するためのヒータ機能を有している。さらに、チャンバー1には、チャンバー1内を排気するために、図11に示した真空ポンプが接続されている。この真空ポンプによってチャンバー1内が排気されて、所定の圧力範囲の下でプラズマを生成するためのガスとして例えばアルゴンガスがチャンバー1内に導入される。
上述のプラズマ装置では、高周波電源により発生したマイクロ波が導波管6を伝わり、アンテナ部3に到達する。アンテナ部3に到達したマイクロ波は遅波板3bを伝播し、スロット板3cを介して天板4に共振領域を形成し、定在波を発生させてチャンバー1内に電磁界を発生させる。チャンバー1内に発生した電磁界によってアルゴンガスが解離し、基板11と天板4との間にプラズマ生成領域22が形成されて、基板11に所定のプラズマ処理が行われる。
天板4は強度を確保して外気が押す力に対抗するために面方向に均一な所定の厚さを有する円板状に形成されており、その下面には凸部または凹部が形成されている。より具体的には、凸部または凹部として、天板4の周縁から径方向に所定の間隔を隔てて、周辺部に天板4の中心と同心的にリング状の突条41が形成されている。この突条41は外周面が天板4の下面に対して垂直であり、内周面が天板4に対して所定の角度を有するようにテーパ状に形成されて断面が矩形の凸部または凹部を形成している。天板4の周辺部に突条41を形成するのは、天板4にはアンテナ部3からマイクロ波が供給されており、中心部のプラズマ密度が密になっているのに対して、周辺部では疎になっており、周辺部のプラズマ密度を高めるためである。
図3は天板内をマイクロ波が伝播する状態を説明するための図である。天板4は突条41により肉厚の厚い部分と、それ以外の肉厚の薄い部分とが含まれているが、肉厚の薄い部分の厚みをλ/4±λ/8に選ぶことにより、マイクロ波が天板4の肉厚の薄い部分で伝播しにくくなる。
その理由について説明すると、天板内を通過する電磁波の形態には、モードAとモードBとが存在する。モードAは電子密度が所定値以上になると存在し、モードBは電子密度が比較的小さい場合のみ存在するので、ある程度電子密度が高いときにはモードBによるマイクロ波伝播は抑制される。
ただし、これは天板厚みに大きく依存し、λ/4以上の厚みでは、厚くなるほどモードBでの伝播を抑制できる電子密度の下限が高くなってしまう。λ/2以上になると、電子密度に依存せずにモードBが存在することができるようになるので、モードBでの伝播は抑制できなくなる。逆に、λ/4以下では、モードBでの伝播を抑制できる電子密度の下限は変わらない。したがって、天板の強度を考慮するとλ/4が最適となる。ただし、±λ/8の範囲であれば、大方モードBでの伝播を抑制できることになる。
アンテナ部3に供給されたマイクロ波は、アンテナ部3のスロットから下方向に放射されるが、図3に示すように天板4内で反射され、それが天板4内の反射の繰り返しで面方向に振動して共振領域を形成して定在波となる。突条41に入ったマイクロ波はプラズマ生成領域22に出難くなるので、突条41部分にマイクロ波が蓄積されやすくなる。これにより、突条41を形成したことによる周辺部のプラズマ密度を高めることができる。突条41部分は天板4の周辺部で共振領域を構成し、マイクロ波が天板4の面方向に直交する径方向に振動する。
突条41は天板4側の径方向厚さが厚いのに対して、先端側の径方向厚さが薄くなるようにテーパ状に形成されているので、径方向に振動する振幅と突条41の厚さが一致する部分が必ず存在する。すなわち、突条41は天板4の周辺部に共振領域を構成し、共振領域がプラズマ密度に応じて自動的に上下するので、プラズマのどの条件においてもどこかで共振するところが存在する。
これにより天板4に最適な共振領域を形成できるので強い電界を発生させて定在波を形成でき、プラズマ密度を高くでき、高い圧力から低い圧力にわたって安定したプラズマの発生が可能になる。
なお、この突条41は、外周面側および内周面側ともにテーパ状に形成してもよい。また、天板4の厚さに応じて、突条41を配置する位置あるいは形状を任意に選択すればよい。
前述の特開2002−299240号公報には、ドーム状に形成した天板について記載されているが、ドーム形状の場合は共振場所が半径方向に大きく移動し、プラズマの強い場所が移動し、均一性が変化することになる。これに対して、この発明では突条41により天板4の外周あるいは中心付近にプラズマを集めることによって均一性の調整を行うことができる点において異なっている。
図4はこの発明の他の実施形態における天板に形成した凸部の変形例を示す断面図である。図4(a)に示した例は、天板4のほぼ中心の下部に凸部としての円錐状の突起42を下向きに形成したものである。この例では、突起42が形成された中心部周辺で共振領域を形成できるので、中心部周辺のプラズマ密度を高くでき、天板4の中心部周辺で電界強度が小さい場合に有効である。
図4(b)に示した例は天板4の周辺にリング状の突条43を形成し、外周面および内周面をともにテーパ状に形成したものである。外周面と内周面とをともにテーパ状に形成することで、突条43の天板側の径方向厚さと先端側の径方向厚さとの差を大きくできるので、突条43の周辺に形成される共振領域を広げることができ、その周辺のプラズマ密度を高くできる。
図4(c)は図2に示した周辺部の突条41の他に、中心部に径方向の厚さを突条41よりも厚くした円錐状の突起44を形成したものである。この例では、突条41によって周辺部に共振領域を形成するとともに、突起44によって中心部に共振領域を形成することで、突条41の径方向厚さよりも大きな振幅のマイクロ波が入力されても、中央の突起44で共振領域を構成できるので中心部でプラズマ密度を高くできる。
図5はこの発明のさらに他の実施形態における凹部を形成した天板を示す断面図である。図5(a)に示した例は、天板4のほぼ中央部に下向きに開口された円形の凹部401を設けたものである。凹部401は下部の開口径が大きくなるように内周面がテーパ状に形成されている。この凹部401により、その外側には凸部402が形成される。この例では、凸部402の肉厚の厚い部分で共振領域を形成できるので、この部分でのプラズマ密度を高くでき、天板4の周辺部分での電界密度が小さい場合に有効である。
図5(b)は天板4と同心的にリング状の凹部403を設けたものである。凹部403の外周面および内周面は下部の開口径が大きくなるようにテーパ状に形成されている。この凹部403により、その内側には下向きの凸部404が形成され、その外側には突条405が形成される。この例では、凸部404と突条405の肉厚の厚い部分で共振領域を形成できるので、これらの部分でのプラズマ密度を高くできる。
図5(c)は天板4のほぼ中央部に下向きに開口された円形の凹部406と、凹部406の外側にリング状の凹部407とを形成したものである。凹部406は下部の開口径が大きくなるように外周面がテーパ状に形成されており、凹部407は図5(b)の凹部403と同様にして、外周面および内周面は下部の開口径が大きくなるようにテーパ状に形成されている。この例では、凹部406の外側に突条408が形成され、凹部407の外側に突条409が形成され、突条408と409の肉厚の厚い部分で共振領域を形成できるので、これらの部分でのプラズマ密度を高くできる。
図6はこの発明のさらに他の実施形態における天板に形成した凹部の変形例を示す断面図である。この実施形態は、図5(c)に示した例における凹部406とリング状の凹部407に代えて、凹部410とリング状の凹部411とを形成したものである。凹部410と411は下向きに開口されているが、凹部410の外周面はテーパ状ではなく円弧状に形成されており、凹部411の外周面および内周面も円弧状に形成されている。したがって、この発明におけるテーパ状には円弧状も含まれるものとする。
このように天板4の厚みが円弧状に変化するように形成することで図5(c)と同様にして、凹部410およびリング状の凹部411の間に突条412が形成され、凹部411の外側に突条413が形成され、これらの肉厚の厚い部分で共振領域を形成できるので、これらの部分でのプラズマ密度を高くできる。
なお、図1〜図6に示した実施形態において、天板4に形成するテーパ状部は、図7に示すように基板11の半径Rよりも外側に少なくとも1つ形成するのが望ましい。これにより、基板11の端部付近でのプラズマ密度が過度に低くならないようにすることができる。
さらに、より好ましくは、天板4に形成するテーパ状部は、図7に示した天板4と基板11との間の距離をDとすると、天板4の中心から半径Dよりも内側に少なくとも1つ形成されているのが望ましい。これにより、天板4の中心付近のプラズマが過度に低くならないようにすることができる。
図8はこの発明のさらに他の実施形態における天板に形成した凹部の変形例を示す断面図である。図8(a)に示した例は、天板4の中心部に下向きに突出する凸部421を形成し、この凸部421の外側付近の天板4の厚みはλ/4±λ/8に選ばれている。さらに、凸部421の外側には、下向きに開口されたリング状の凹部422を形成するとともに、凹部422の外側に、下向きに突出する肉厚の厚い凸部423を形成し、凸部423の外周部を除いて下面に同心的に複数のリング状の溝424を形成する。凸部421の外周面と、凸部423の内周面はテーパ状に形成されている。
この例では、凹部422の外側に肉厚の厚い凸部423を形成したことにより強度を高めることができる。また、この凸部423部分でのプラズマ密度が高くなり電界密度も高くなってプラズマが放射しやすくなるが、複数のリング状の溝424によりその表面からプラズマが放射されるのを抑制でき、溝424が形成されていない最外周部からプラズマを放射しやすくなる。
さらに、天板4のアンテナ3側である大気側には凹部425が形成されている。この凹部425は、その深さがλ/8以上に形成されており、より好ましくはλ/4以上に形成されるのが好ましい。凹部425には大気,良導体もしくは天板4とは誘電率の異なる物質(図示せず)が配置される。これはマイクロ波が天板4の中心部の凹部425付近で強く反射されるので、この部分でプラズマが強くなりがちであるという問題点を改善するためである。凹部425の周辺部の肉厚がλ/4近傍であれば、さらにその効果が助長される。
なお、凹部425は天板4のアンテナ3側の中心部に限らず周辺に形成してもよい。
図8(b)に示した例は、天板4の中心部の下部に突出する凸部421を形成し、凸部421の外側に下部が開口されたリング状の凹部422を形成し、凹部422の外側に突条426を下向きに形成し、さらに突条426の外側に下部が開口されたリング状の凹部427を形成し、凹部427の外側に下向きに突出するリング状の突条428を形成したものである。最外周に形成された突条428は凸部421および突条426に比べて肉厚が厚く形成されている。また、凹部422および427の外周面および内周面はテーパ状に形成されている。
この例では、突条426を形成したことにより、天板4の機械的強度を保つことができる。また、突条426と428とで共振領域が形成されるが、突条426に比べて最外周の突条428部分の肉厚が厚く形成されていることにより、この部分でのプラズマ密度を突条426のプラズマ密度に比べて高くできる。
図8(c)に示した例では、天板4の中央部に下向きに円板状の凸部429を形成し、その下面に同心的に複数の溝430を形成し、凸部429の外側に下向きに開口されたリング状の凹部431を形成し、凹部431の外側に下向きに突出する突条432を形成したものである。突条432は凸部429に比べて肉厚が厚く形成されている。この例では、天板4の中央部の凸部429により肉厚を厚くして機械的強度を高めることができる。凸部429は肉厚が厚いためプラズマが伝播しやすくなり、密度が高くなるが溝430が形成されていることによりプラズマが放射され難くなる。そして、凹部431の肉厚の薄い部分ではプラズマが伝播しにくくなり、最外周部の突条432でのプラズマ密度を高くできる。なお、この例においても、図8(a)と同様にして、天板4のアンテナ3側である大気側には凹部425が形成されている。
図9はこの発明の他の実施形態として、スロット板のスロットの位置に対応して突条を形成したものである。すなわち、図9(a)に示すように円板状のスロット板3cには同心円上に三重にリング状に配列されたスロット31,32,33が形成されている。導波管6に入力されるマイクロ波は、スロット板3cのスロット31,32,33を介してチャンバー1内に放射されて電磁界が発生される。したがって、天板4のうちスロット31,32,33の位置に対応する部分の電界強度が最も大きくなっている。
そこで、図9(b)に示すように各スロット31,32,33の各位置に対応してリング状の複数の突条45,46,47が形成される。これらの突条45,46,47は、図1に示した突条41と同様にして外周面が天板4の下面に対して垂直であり、内周面が天板4に対して所定の角度を有するようにテーパ状に形成されているが、外周面側もテーパ状に形成してもよい。天板4のうち各スロット31,32,33の各位置に対応する部分の電界強度が強くなっており、この部分に共振領域を形成することでプラズマを均一にさせることができる。
図10はこの発明のさらに他の実施形態を示す天板を下から見た図である。前述の図9(b)に示した実施形態は、スロット板3cの各スロット31,32,33の位置に対応してリング状の突条45,46,47を形成したのに対して、この実施形態では、各スロット31,32,33の各位置に対応してそれぞれが独立しかつ径の小さな円錘状の突起48を多数配置したものである。この実施形態においても、各スロット31,32,33で生じた強い電界強度を多数の突起48によって共振を分散させることができる。
本件発明において、天板4の厚さが21mmで、天板4の直径が280mmで、突条41の直径が220mmで突出高さを22mmに形成したとき、プラズマ条件としての、例えばプラズマの圧力が1〜100Torrに変化し、マイクロ波の出力が100〜3000W変化したときでも安定したプラズマを発生できる。
図面を参照してこの発明の一実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、または均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の変形を加えることが可能である。