JP2010257649A - 回転陽極型x線管 - Google Patents
回転陽極型x線管 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010257649A JP2010257649A JP2009104196A JP2009104196A JP2010257649A JP 2010257649 A JP2010257649 A JP 2010257649A JP 2009104196 A JP2009104196 A JP 2009104196A JP 2009104196 A JP2009104196 A JP 2009104196A JP 2010257649 A JP2010257649 A JP 2010257649A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- disk
- shaped
- ray tube
- rotating
- rotating body
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Sliding-Contact Bearings (AREA)
Abstract
【課題】高い熱伝達効率を維持したまま、摩擦損失を小さくすることができる高出力且つ小型軽量な回転陽極型X線管を提供することにある。
【解決手段】回転陽極型X線管は、中空円盤状の第1の回転体部及び第1の回転体に一体に固定された中空円筒状の第2の回転体部を備えている。この回転体部は、固定シャフトで回転可能に支持されている。固定シャフトは、第1の間隙を介して第2の回転体部の円筒状内面に対向され柱状の動圧軸受部、第2の間隙を空けて円盤状内面に対向される円盤部及び第1及び第2の間隙に連通する第3の間隙を空けて第2の回転体部の円筒状内面に対向され、動圧軸受部よりも小径に形成され、前記柱状の動圧軸受部及び円盤部を一体的に連結する小径部を有している。第1、第2及び第3の間隙には、潤滑剤が充填され、第2の回転体部には、円盤部に対向されるようにリング状突起部が固定され、第3の間隙内の潤滑剤を小径部上で保持している。
【選択図】図1
【解決手段】回転陽極型X線管は、中空円盤状の第1の回転体部及び第1の回転体に一体に固定された中空円筒状の第2の回転体部を備えている。この回転体部は、固定シャフトで回転可能に支持されている。固定シャフトは、第1の間隙を介して第2の回転体部の円筒状内面に対向され柱状の動圧軸受部、第2の間隙を空けて円盤状内面に対向される円盤部及び第1及び第2の間隙に連通する第3の間隙を空けて第2の回転体部の円筒状内面に対向され、動圧軸受部よりも小径に形成され、前記柱状の動圧軸受部及び円盤部を一体的に連結する小径部を有している。第1、第2及び第3の間隙には、潤滑剤が充填され、第2の回転体部には、円盤部に対向されるようにリング状突起部が固定され、第3の間隙内の潤滑剤を小径部上で保持している。
【選択図】図1
Description
本発明は、液体金属潤滑剤を用いた動圧軸受けを有する回転陽極型X線管に関する。
一般に、X線管装置は、医療診断システム及び工業診断システム等に用いられている。医療診断システム等に使用されている回転陽極型X線管は、特許文献1及び特許文献2に開示されるように、高温・真空下で高速回転される厳しい使用環境下で動作される。この特許文献1及び特許文献2に開示されるX線管では、固定シャフトが片持ち支持され、回転体がこの固定シャフトに嵌合され、回転体内表面と固定シャフト外表面間の間隙に液体金属潤滑剤が充填された動圧軸受けが設けられている。回転体の回転に伴って発生する動圧軸受けの液体金属潤滑剤に発生される動圧で回転体が固定体に軸支されている。この動圧軸受けによれば、陽極ターゲットを高速で回転させることができる。
このようなX線管装置においては、回転陽極が回転されている間は、液体金属潤滑剤に生じる動圧及び回転にともなう遠心力で十分な量の液体金属潤滑剤が動圧軸受けに供給されている。しかし、回転陽極が静止している際には、液体金属潤滑剤が重力によってX線管装置内で下方に偏在され、回転開始時に動圧軸受けに十分に液体金属潤滑剤が供給されなくなる虞がある問題がある。即ち、液体金属潤滑剤の静止時の液面位置は、回転体のシール部よりも下方に位置するように充填されることから、回転体の回転開始時に軸受部に液体金属潤滑剤が十分に供給されない虞がある。回転体の回転時に液体金属潤滑剤が不足すると潤滑不良によって、回転体と固定シャフトとの間にかじりが生じ、或いは、焼きつきが生じる。このような事態を防止する為の提案として、固定シャフトに軸受部よりも小径な小径部分が設けられ,回転開始時にあっても、十分な液量の液体金属潤滑剤を貯蔵することが提案されている。
液体金属潤滑剤を介して熱を伝達して回転陽極を直接的に冷却する構造のX線管装置においては、電子衝突面と冷却水との間の距離が短く、冷却容器が電子衝突面近傍にまで張り出している構造が採用されている。このような冷却容器を設けた構造では、回転開始時に液体金属潤滑剤が不十分となることによって摩擦損失が大幅に増大する虞がある。摩擦損失が大きくなると、回転陽極を定格回転させるために必要な出力が大きくなり、結果としてモータが大型化される問題がある。
近年、CT装置においては、ヘリカルスキャンスピードを向上することが要請され、この要請に伴い架台に搭載される機器の軽量化が求められている。このような要請から、X線管も、小型化並びに軽量化が要求されている。
この発明は、上述したような事情に鑑みなされたものであって、高い熱伝達効率を維持したまま、摩擦損失を小さくすることができる高出力且つ小型軽量な回転陽極型X線管を提供することにある。
この発明によれば、 電子ビームの照射でX線を発生するターゲットを備え、円盤状内面を有する中空円盤状の第1の回転体部と、
この回転体に向けて電子ビームを発生する陰極と、
前記第1の回転体に一体に固定され、前記第1の回転体とともに回転される中空円筒状の第2の回転体部と、
前記第1及び第2の回転体に挿入されて前記第1及び第2の回転体を回転可能に支持し、中心軸に沿って冷却媒体が流通される空洞を有する固定シャフトであって、
第1の間隙を介して前記第2の回転体部の円筒状内面に対向される軸受面を備える柱状の動圧軸受部、第2の間隙を空けて前記円盤状内面に対向される外表面を備える円盤部及び前記第1及び第2の間隙に連通する第3の間隙を空けて前記第2の回転体部の円筒状内面に対向され、前記動圧軸受部よりも小径に形成された外表面を有し、前記柱状の動圧軸受部及び円盤部間に設けられ、前記柱状の動圧軸受部及び円盤部を一体的に連結する小径部を有する固定シャフトと、
前記第1、第2及び第3の間隙に充填された潤滑剤と、
前記固定シャフトの前記円盤部に対向されるように前記第2の回転体部に固定されたリング状突起部であって、前記第3の間隙に充填された前記潤滑剤を前記動圧軸受部との間で保持し続けるリング状突起部と、
を具備することを特徴とする回転陽極型X線管が提供される。
この回転体に向けて電子ビームを発生する陰極と、
前記第1の回転体に一体に固定され、前記第1の回転体とともに回転される中空円筒状の第2の回転体部と、
前記第1及び第2の回転体に挿入されて前記第1及び第2の回転体を回転可能に支持し、中心軸に沿って冷却媒体が流通される空洞を有する固定シャフトであって、
第1の間隙を介して前記第2の回転体部の円筒状内面に対向される軸受面を備える柱状の動圧軸受部、第2の間隙を空けて前記円盤状内面に対向される外表面を備える円盤部及び前記第1及び第2の間隙に連通する第3の間隙を空けて前記第2の回転体部の円筒状内面に対向され、前記動圧軸受部よりも小径に形成された外表面を有し、前記柱状の動圧軸受部及び円盤部間に設けられ、前記柱状の動圧軸受部及び円盤部を一体的に連結する小径部を有する固定シャフトと、
前記第1、第2及び第3の間隙に充填された潤滑剤と、
前記固定シャフトの前記円盤部に対向されるように前記第2の回転体部に固定されたリング状突起部であって、前記第3の間隙に充填された前記潤滑剤を前記動圧軸受部との間で保持し続けるリング状突起部と、
を具備することを特徴とする回転陽極型X線管が提供される。
軸受部と冷却容器の間に位置する液体金属潤滑剤貯蔵部の回転体側に、軸受径よりも内径が小さいリング状突起が設けられている。回転陽極の回転時には、液体金属潤滑剤が遠心力によって外側に張り付き、より外側へと流れ込もうとするが、このリング状突起が設けられていることから、冷却容器と回転陽極との間の冷却チャンバへ流れ込む液体金属潤滑剤の量を制限することができる。その結果、冷却容器周囲の液体金属潤滑剤量を減少させ、液体金属潤滑剤による摩擦損失を低減することができる。また、リング状突起の内径が固定軸軸受部の外径よりも僅かに小さく設定することで、軸受の潤滑に必要な液体金属潤滑剤を確実に軸受部に確保することができる。
したがって、本発明によれば、高い熱伝達効率を維持したまま、摩擦損失を小さくすることができる高出力且つ小型軽量な回転陽極型X線管を提供することができる。
以下図面を参照してこの発明の実施例に係るX線管装置について詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施の形態に係る両持ち軸受構造を有する回転陽極型X線管を示している。
図1に示されるように、回転陽極型X線管1は、X線管装置の筐体(図示せず)に収納されている。回転陽極型X線管1は、真空外囲器4を備え、真空外囲器4の外周には、回転磁界を発生するステータコイル2が配置されている。真空外囲器4内は、真空に維持され、真空外囲器4内には、回転陽極型X線管1の中心軸(固定シャフト10の中心軸に一致する。)に沿って固定シャフト10が配置され、この固定シャフト10の両端部10A,10Bには、真空外囲器4が気密にシールされている。また、真空外囲器4内には、固定シャフト10に回転可能に支持された回転体としての回転陽極30が配置され、この回転陽極30には、回転陽極30として回転される陽極ターゲットが一体化されて設けられている。
この回転陽極30は、その内に中空円盤状の空洞部を有し、その外表面の円周領域に電子射突面33が設けられている。電子射突面33は、真空外囲器4内に固定された陰極3が固定され、陰極3から射出された電子ビームが電子射突面33に射突されてX線が発生される。このX線は、X線窓を介してX線装置外に導かれる。
回転体としての回転陽極30は、重金属で作られ、他の部品に比べて大きな重量を有している。回転陽極30は、固定シャフト10に装着可能なように第1の回転円筒部31及び第2の回転円筒部32から構成されている。第1の回転円筒部31は、軸部31A並びに軸部31Aから拡張された蓋状フランジ状部31Bから構成され、また、第2の回転円筒部32は、軸部32A並びに軸部32Aから拡張された円盤状フランジ状部32Bから構成されている。第1及び第2の回転円筒部31、32の蓋状フランジ状部31B及びフランジ状部32Bが対向接合されて回転陽極30内に円盤状中空部が形成されている。また、第1及び第2の回転円筒部31,32の軸部31A,32Aは、固定シャフト10を装着するために中空軸受けに形成されている。第1及び第2の回転円筒部31,32の軸部31A,32Aの開口部内面には、回転陽極30と共に回転するシール部34が設けられている。このシール部34の固定シャフト10に対向する側には、溝が設けられるとともにシール部34と固定シャフト10との間が微小間隙に維持されている。シール部34と固定シャフト10との間に達した液体金属潤滑剤40は、その間が微小間隙であることから外部に漏れ出ることが阻止され、溝内に液体金属潤滑剤40が進入してもシール部34が回転されるに伴い溝によって生じるポンピング作用によって液体金属潤滑剤40が回転陽極30内に戻されることとなる。
固定シャフト10は、円筒に形成され、その円筒内には、冷却液20の流路が形成されている。この流路には、冷却液20が図示しないポンプによって矢印で示されるように供給され、X線管装置外で冷却された冷却液が再びポンプを介して流路に循環されている。冷却液20は、円盤状冷却容器11内の空洞部に流入し、X線の射突に伴い回転陽極30に発生する熱は、円盤状冷却容器11を介して冷却液に伝達されて回転陽極30が必要以上に加熱されることが防止される。
固定シャフト10は、第1及び第2の軸部10A,10B及びリング状中空円盤部10Cから構成され、第1及び第2の軸部10A,10Bは、真空外囲器4に固定される1端及びフランジ状の他端を有し、フランジ状の他端が対向された状態でフランジ状の他端の外縁にリング状中空円盤部10Cの内縁が一体的に接合されて円盤状の中空空間を有する円盤状冷却容器11に形成されている。第1及び第2の軸部10A,10Bは、夫々径が大きく定められた第1及び第2軸受け部11a1、11a2及び第1及び第2軸受け部11a1、11a2に比べて小径に形成された第1及び第2小径部11b1、11b2を有し、第1及び第2軸受け部11a1、11a2の外表面と回転陽極30の内表面と間に微小間隙が設けられ、この間に液体金属潤滑剤40が充填されてラジアル軸受けが形成される。即ち、回転陽極30の内表面と固定シャフト10の第1及び第2軸受け部11a1、11a2の外表面(対向面)のいずれか一方には、ヘリングボーンパターン等の溝(図示せず)が形成されて形成される。ラジアル動圧軸受けは、回転陽極30の回転に伴い溝に液体金属潤滑剤40が引き込まれて液体金属潤滑剤40の動圧が上昇され、回転陽極30が固定シャフト10をラジアル方向で支持している。
第1及び第2小径部11b1、11b2と軸部31A,32Aとの間には、液体金属潤滑剤40を十分に収容することができる空間が設けられ、また、第1及び第2小径部11b1、11b2のフランジ状部31B、32B側には、リング状の突起36、37が円盤状冷却容器11に対向されるように固定されている。このリング状の突起36、37の内径は、第1及び第2軸受け部11a1、11a2の外径よりも小径に定められている。しかも、回転陽極30が静止された状態において、液体金属潤滑剤40が図1に示される軸中心よりも下方に降下されて第1及び第2小径部11b1、11b2と軸部31A,32Aとの間の空間内を満たした際にこのリング状の突起36、37を越えて円盤状冷却容器11と回転陽極30の内表面との間の冷却用空間に流出するようにリング状の突起36、37の内径が定められている。従って、このような構造では、リング状の突起36、37と第1及び第2軸受け部11a1、11a2との間の第1及び第2小径部11b1、11b2上に液体金属潤滑剤40を受容する空間が形成され、回転陽極30の回転時に必要以上の液体金属潤滑剤40が円盤状冷却容器11と回転陽極30の内表面との間の冷却用空間に流出することを防止することができる。
筒状回転陽極30の筒状部外面には、真空外囲器4外に配置されたモータステータ2に対向するようにモータロータ35が固定され、モータステータ2からモータロータ35に与えられる回転磁界に基づいてモータロータ35に回転力が発生され、回転陽極30が回転される。
図1に示されたX線管装置においては、回転陽極30の静止時には、図1に示されるように重力によって液体金属潤滑剤(液体金属)40は、中心軸を基準として固定シャフト10の下方側に偏在される。ここで、静止時の液体金属潤滑剤40の液面よりリング状の突起36、37の内方(中心軸方向)に向かう高さが低く設定されていることから、静止時に小径部10b1,10b2に貯蔵されている液体金属潤滑剤40が回転時に必要以上に冷却容器11の外周に供給されることが防止され、十分な液体金属潤滑剤40が第1及び第2軸受け部11a1、11a2に供給することができる。即ち、図2に示されるように回転陽極30の回転時には、遠心力によって液体金属潤滑剤40は、回転陽極30の空洞内で外周側に向けて張り付くように分布されるが、必要以上に冷却容器11の外周に供給されることが防止される。
図3は、比較例として突起36、37を有さない静止時のX線管装置を示している。図3から明らかなように突起36、37が設けられていないことから、液体金属潤滑剤40は、その殆どが中心軸を基準として固定シャフト10の下方側の空間に連続して分布するように偏在されて充填される。従って、回転体の回転開始時に、軸受部に液体金属潤滑剤が不足し、潤滑不良が生じる虞があり、かじり或いは焼きつきが生じる可能性がある。
図3に示す比較例に対して図1に示されるように、突起36,37が空洞内に突出して設けられていることから、小径部10b1,10b2に貯蔵されていた液体金属潤滑剤40が冷却容器11内に流れ込む量が制限され、回転時においても、液体金属潤滑剤の液面が第1及び第2軸受け部11a1、11a2の周囲と冷却容器11の外周とに分離される。冷却容器外周の液体金属潤滑剤量が減少されることから、回転開始時に、液体金属潤滑剤が第1及び第2軸受け部11a1、11a2に供給されなくなることが防止され、摩擦損失を低減することができる。突起36,37の内径を第1及び第2軸受け部11a1、11a2の外径よりも小さく設計することで,軸受の潤滑に必要な液体金属潤滑剤を軸受部に確保しておくことができる。
図4は、回転陽極静止時における本発明の他の実施例に係る回転陽極型X線管の断面を示している。図4においては、図1〜図3に付した符号と同一符号は同一箇所或いは同一部品を示し、その説明を省略する。
軸受部10a1,10a2と冷却容器11の間に位置する小径部10b1,10b2に対向する回転体円筒31のフランジ状部31Bの内面には、第1及び第2軸受け部11a1、11a2の外径よりも小径の内径を有する突起36,37が設けられている。しかも、回転陽極30が静止された状態において、液体金属潤滑剤40が図4に示される軸中心よりも下方に降下されて第1及び第2小径部11b1、11b2と軸部31A,32Aとの間の空間内を満たした際にこのリング状の突起36、37を越えて円盤状冷却容器11と回転陽極30の内表面との間の冷却用空間に流出することを防止するようにリング状の突起36、37の内径が定められている。従って、このような構造では、リング状の突起36、37と第1及び第2軸受け部11a1、11a2との間の第1及び第2小径部11b1、11b2上に液体金属潤滑剤40を受容する空間が形成され、この空間の液体金属潤滑材と円盤状冷却容器11と回転陽極30の内表面との間に偏在された液体金属潤滑材が分離される。回転陽極30の静止時においても、必要以上の液体金属潤滑剤40が円盤状冷却容器11と回転陽極30の内表面との間の冷却用空間に流出することを防止している。
回転陽極30の静止時には、重力によって液体金属潤滑剤40は下方に偏在されるが、第1及び第2小径部11b1、11b2上で液体金属潤滑剤40の液面よりリング状の突起36、37が高くなるように延出されている。従って、静止時に小径部10b1、10b2に貯蔵されている液体金属潤滑剤40が冷却容器11の周りを全て埋め尽くすように液体金属潤滑剤40が供給されることが防止される。即ち、冷却容器11の周りの液体金属潤滑剤40と小径部10b1、10b2に貯蔵されている液体金属潤滑剤40とが分離されている。図5は、図4に示される回転陽極型X線管において回転陽極30が回転されている際の状態を示している。この図5に示されるように、小径部に貯蔵されていた液体金属潤滑剤40と冷却容器11の周りに貯蔵されていた液体金属潤滑剤は、回転時においても混ざり合うことはなく、分離されている。回転陽極30或いは冷却容器11が高温となって液体金属潤滑剤40との反応生成物が生成されても、その反応生成物が第1及び第2軸受け部11a1、11a2に到達することが防止される。従って、この反応生成物の進入で、第1及び第2軸受け部11a1、11a2で回転陽極30と固定シャフト10とがかじり合い、或いは、焼き付きを起こすことを防止することができる。
上述したように、図4及び図5に示す構造によれば、冷却容器11と第1及び第2軸受け部11a1、11a2の液体金属潤滑剤40は、互いに混ざり合うことはないことから、回転陽極10と冷却容器11が高温となり、液体金属潤滑剤40との反応生成物が生成されたとしても、軸受部に到達することが防止される。
図1及び図2並びに図4及び図5は、両持ち構造を示しているが、図6に示すように片持ち構造にリング状の突起36、37が設けられても良い。
尚、図6に示すように片持ち構造のX線管においては、固定シャフト10の一端部は、真空外囲器4に気密にシールされ、また、真空外囲器4内には、固定シャフト10に回転可能に支持された回転体としての回転陽極30が配置され、この回転陽極30には、回転陽極30として回転される陽極ターゲットが一体化されて設けられている。この回転陽極30は、その内に中空円盤状の空洞部を有し、その外表面の円周領域に電子射突面33が設けられている。
回転陽極30は、固定シャフト10に装着可能なように第1の回転円筒部31及び第2の回転円筒部32から構成されている。第1の回転円筒部31は、蓋状の円盤部31Bに形成され、また、第2の回転円筒部32は、軸部32A並びに軸部32Aから拡張された円盤状フランジ状部32Bから構成されている。第1及び第2の回転円筒部31、32の蓋状の円盤部31B及びフランジ状部32Bが対向接合されて回転陽極30内に円盤状中空部が形成されている。また、第2の回転円筒部32の軸部32Aは、固定シャフト10を装着するために中空軸受けに形成されている。第2の回転円筒部32の軸部32Aの開口部内面には、回転陽極30と共に回転するシール部34が設けられている。
固定シャフト10は、円筒に形成され、その円筒内には、冷却液20の流路が形成されている。この流路には、冷却液20が供給され、冷却液20は、円盤状冷却容器11内の空洞部に流入し、円盤状冷却容器11を介して冷却液に伝達されて回転陽極30が必要以上に加熱されることを防止している。
固定シャフト10は、第1の軸部10A及び蓋状中空円盤部10Cから構成され、第1の軸部10Aは、真空外囲器4に固定される1端及びフランジ状の他端を有し、フランジ状の他端が蓋状中空円盤部10Cに接合されて円盤状の中空空間を有する円盤状冷却容器11に形成されている。第1の軸部10Aは、夫々径が大きく定められた軸受け部11a及び軸受け部11aに比べて小径に形成された小径部11bを有し、軸受け部11aの外表面と回転陽極30の内表面と間に微小間隙が設けられ、この間に液体金属潤滑剤40が充填されてラジアル軸受けが形成される。
小径部11bと軸部32Aとの間には、液体金属潤滑剤40を十分に収容することができる空間が設けられ、また、小径部11bのフランジ状部32B側には、リング状の突起37が円盤状冷却容器11に対向されるように固定されている。このリング状の突起37の内径は、軸受け部11aの外径よりも小径に定められている。このような構造では、リング状の突起37と軸受け部11aとの間の小径部11b上に液体金属潤滑剤40を受容する空間が形成され、回転陽極30の回転時に必要以上の液体金属潤滑剤40が円盤状冷却容器11と回転陽極30の内表面との間の冷却用空間に流出することを防止している。
上述した突起36、37は、上述したように別部品として組立てることが可能であるとともに、回転体を固定軸に挿入できるように弾性変形する薄肉構造を有していても良い。
本発明によれば、高い熱伝達効率を維持したまま、摩擦損失を小さくすることができる高出力且つ小型軽量な回転陽極型X線管を提供することができる。
1...回転陽極X線管、2...ステータコイル、4...真空外囲器、10...固定シャフト、20...冷却液、30...回転陽極、33...電子射突面、31、32...回転円筒部、34...シール部、35...モータロータ、36、37...リング状の突起、40...液体金属潤滑剤
Claims (5)
- 電子ビームの照射でX線を発生するターゲットを備え、円盤状内面を有する中空円盤状の第1の回転体部と、
この回転体に向けて電子ビームを発生する陰極と、
前記第1の回転体に一体に固定され、前記第1の回転体とともに回転される中空円筒状の第2の回転体部と、
前記第1及び第2の回転体に挿入されて前記第1及び第2の回転体を回転可能に支持し、中心軸に沿って冷却媒体が流通される空洞を有する固定シャフトであって、
第1の間隙を介して前記第2の回転体部の円筒状内面に対向される軸受面を備える柱状の動圧軸受部、第2の間隙を空けて前記円盤状内面に対向される外表面を備える円盤部及び前記第1及び第2の間隙に連通する第3の間隙を空けて前記第2の回転体部の円筒状内面に対向され、前記動圧軸受部よりも小径に形成された外表面を有し、前記柱状の動圧軸受部及び円盤部間に設けられ、前記柱状の動圧軸受部及び円盤部を一体的に連結する小径部を有する固定シャフトと、
前記第1、第2及び第3の間隙に充填された潤滑剤と、
前記固定シャフトの前記円盤部に対向されるように前記第2の回転体部に固定されたリング状突起部であって、前記第3の間隙に充填された前記潤滑剤を前記動圧軸受部との間で保持し続けるリング状突起部と、
を具備することを特徴とする回転陽極型X線管。 - 前記突起部の内径が前記動圧軸受部の直径よりも小さく、前記第1及び第2の回転部が静止されている際の前記液体金属潤滑剤の液面よりも低い位置に前記突起部は内端を有することを特徴とする請求項1に記載の回転陽極型X線管。
- 前記突起の内径が前記動圧軸受部の直径よりも小さく、前記第1及び第2の回転部が静止されている際の前記液体金属潤滑剤の液面よりも高い位置に前記突起部は内端を有することを特徴とする請求項1に記載の回転陽極型X線管。
- 前記突起が弾性変形部材で構成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の回転陽極型X線管。
- 前記固定シャフトは、片持ち支持或いは両持ち支持されていることを特徴とする請求項1に記載の回転陽極型X線管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009104196A JP2010257649A (ja) | 2009-04-22 | 2009-04-22 | 回転陽極型x線管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009104196A JP2010257649A (ja) | 2009-04-22 | 2009-04-22 | 回転陽極型x線管 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010257649A true JP2010257649A (ja) | 2010-11-11 |
Family
ID=43318368
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009104196A Withdrawn JP2010257649A (ja) | 2009-04-22 | 2009-04-22 | 回転陽極型x線管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010257649A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106438678A (zh) * | 2015-08-11 | 2017-02-22 | 西门子医疗有限公司 | 液体金属滑动轴承 |
CN106449338A (zh) * | 2015-08-11 | 2017-02-22 | 西门子医疗有限公司 | 液态金属‑滑动轴承 |
-
2009
- 2009-04-22 JP JP2009104196A patent/JP2010257649A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106438678A (zh) * | 2015-08-11 | 2017-02-22 | 西门子医疗有限公司 | 液体金属滑动轴承 |
CN106449338A (zh) * | 2015-08-11 | 2017-02-22 | 西门子医疗有限公司 | 液态金属‑滑动轴承 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2009081069A (ja) | 回転陽極型x線管 | |
US10573484B2 (en) | Magnetic support for journal bearing operation at low and zero speeds | |
US8582722B2 (en) | Rotary anode X-ray tube | |
US9972472B2 (en) | Welded spiral groove bearing assembly | |
US7801278B2 (en) | Rotary anode X-ray tube | |
US20100244601A1 (en) | Fluid dynamic bearing device | |
JP2008008368A (ja) | 動圧軸受装置 | |
US20190162237A1 (en) | Method And Apparatus For Reducing Wear Of Hydrodynamic Bearing | |
JP7134848B2 (ja) | 内部冷却チャネルを有するx線管用のスラストフランジ | |
EP3358208B1 (en) | Ring seal for liquid metal bearing assembly | |
JP2010257649A (ja) | 回転陽極型x線管 | |
US11037752B2 (en) | Spiral groove bearing assembly with minimized deflection | |
US10460901B2 (en) | Cooling spiral groove bearing assembly | |
JP4810069B2 (ja) | X線管内の液体金属ガスケット | |
JP2009283421A (ja) | 回転陽極型x線管 | |
CN114975046A (zh) | 用于减少滞留气体的x射线管液态金属轴承结构 | |
JP4098193B2 (ja) | すべり軸受および回転陽極型x線管 | |
JP4704717B2 (ja) | 回転陽極型x線管装置 | |
JP3824921B2 (ja) | 回転陽極型x線管装置およびその制御方法 | |
JP5370966B2 (ja) | 回転陽極型x線管及びx線管装置 | |
JP2007327545A (ja) | 動圧軸受装置 | |
JP2005108511A (ja) | 回転陽極型x線管装置 | |
JP2003203590A (ja) | 回転陽極型x線管 | |
JP4689567B2 (ja) | 流体軸受装置の製造方法 | |
JP4342113B2 (ja) | 回転陽極型x線管 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20120703 |