JP2010255613A - 内燃機関のシリンダブロック - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウム合金からなるシリンダボアもしくはシリンダライナを有するシリンダブロックを採用する場合であれ、その冷却性能を適切に維持することができるとともに、シリンダボアの四次変形等をも抑制することのできる内燃機関のシリンダブロックを提供する。
【解決手段】シリンダブロックには、シリンダ12の上部を囲うウォータジャケット13の周囲に設けられたヘッドボルト穴16に対するヘッドボルトの螺入により同上部を覆うシリンダヘッドが締結される。ウォータジャケット13は、ヘッドボルト穴16の深さよりも浅い深さに形成されているとともに、その底部13Bのヘッドボルト穴16とシリンダ12との間に位置する部分には同底部13Bから開口してヘッドボルト穴16に沿って延びる底穴HL1が設けられている。底穴HL1の開口部には、ウォータジャケット13を流れる冷却水の同底穴HL1への侵入を防ぐプラグ20が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダブロックには、シリンダ12の上部を囲うウォータジャケット13の周囲に設けられたヘッドボルト穴16に対するヘッドボルトの螺入により同上部を覆うシリンダヘッドが締結される。ウォータジャケット13は、ヘッドボルト穴16の深さよりも浅い深さに形成されているとともに、その底部13Bのヘッドボルト穴16とシリンダ12との間に位置する部分には同底部13Bから開口してヘッドボルト穴16に沿って延びる底穴HL1が設けられている。底穴HL1の開口部には、ウォータジャケット13を流れる冷却水の同底穴HL1への侵入を防ぐプラグ20が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関のシリンダブロックに関し、特にシリンダの周囲にウォータジャケットとねじ穴が設けられ、このねじ穴に螺入されるヘッドボルトによりシリンダヘッドが締結されるシリンダブロックに関する。
従来、内燃機関のシリンダブロックとしては、図14にその平面図に示すように、それぞれシリンダボア51を有するシリンダ52の周囲にウォータジャケット53と、そのウォータジャケット53を囲む外側壁54とが設けられる態様で、全体が鋳造により一体成形されたものが知られている。また、このようなシリンダブロックにあっては、上記シリンダ52のシリンダボア51部分にシリンダライナ52Lが鋳込み等によって設けられているものも多い。また、このシリンダブロックには、外側壁54の複数箇所(1つのシリンダ52につき4箇所)に、ねじ穴56がシリンダ52の中心軸BCと平行に設けられており、これらのねじ穴56に螺入されるヘッドボルトによって図示しないシリンダヘッドが外側壁54の上部に締結される。
ところが、こうしたシリンダブロックでは、ヘッドボルトをねじ穴56に螺入してシリンダヘッドを締結する際、同ねじ穴56がヘッドボルトによりシリンダヘッド方向へ引きつけられる力を受けることに伴って外側壁54の形状に歪を生じるようになる。そして、このような外側壁54の歪みがシリンダ52に至るようであれば、シリンダボア51の変形をも招きかねない。すなわち、ヘッドボルトによる締結前には真円度の高かったシリンダボア51の形状が、例えば図14に二点鎖線で併せ示すように、角の丸い四角形のような形状への変形、いわゆる四次変形を生ずるようにもなりかねない。そして、こうした変形によりシリンダボア51の真円度が低下するようなことがあると、シリンダボア51とその中を摺動するピストンのピストンリングとの摩擦に起因するフリクションロスが増大し、燃費の悪化を招くようになる。加えて、クランクケースからシリンダボア51及びピストン間の隙間を通って燃焼室内へ漏れ出し、燃焼により消費されるオイルの量が増えることにもなる。
ところで、従来から一般的に採用されているシリンダボア51もしくはシリンダライナ52Lが鋳鉄からなるシリンダブロックであれば、図15(a),(b)にそれぞれ図14のa−a線、b−b線に沿った断面構造を示すように、ウォータジャケット53として、その深さがねじ穴56の深さとほぼ同じ深さとなる構造が採用されることが多い。このような構造によれば、ウォータジャケット53を形成する空間によってねじ穴56とシリンダボア51との間の物理的な連続性が断たれることとなり、ねじ穴56が引きつけられる力により生じる外側壁54の歪み、もしくはこの歪みのシリンダボア51への伝達も軽減あるいは遮断されるようになる。このようにシリンダボア51もしくはシリンダライナ52Lが鋳鉄製のシリンダブロックにおいては、シリンダ52の冷却を目的とするウォータジャケット53がねじ穴56とシリンダボア51との間の物理的な連続性を断つ構造となっていることにより、結果としてシリンダボア51の真円度も好適に維持されることが多い。そして、このようにシリンダボア51の変形の少ない状態に維持される場合には、上述した燃費の悪化やオイル消費量の増加も抑制されるようになる。なお、図15(a)では、シリンダボア51内を摺動(往復動)する上記ピストンとの関係も併せて示しており、同図中の符号PRで示す部分が上述したピストンリングに相当する。
ところで近年、内燃機関の軽量化などの要求から、シリンダブロックのシリンダボアもしくはシリンダライナの形成材料としても、上述した鋳鉄に代えてアルミニウム合金の採用が検討されている。ただし、軽量であるとはいえ、熱伝導率の高いアルミニウム合金からなるシリンダボアもしくはシリンダライナを有するシリンダブロックでは、そもそもが高い冷却性能を有することから、それらが上記鋳鉄製のシリンダブロックと同様の方法にてその冷却を行なうと、いわゆる過冷却の状態となって内燃機関の熱効率を逆に低下させることともなる。
そこで、説明の便宜上、先の図14の符号を用いて説明すると、例えば、ウォータジャケット53の深さを温度上昇の激しいシリンダ52の上部のみに対応するように浅くして、温度上昇の激しいシリンダボア51の上部のみが冷却されるようにする方法も考えられる。これによれば、シリンダ52はその上部や下部がそれぞれの温度分布に応じて適切に冷却されるようになり、シリンダブロックにとっても適切な冷却性能が確保されるようになる。しかしこの場合には、深さの浅いウォータジャケット53によってねじ穴56とシリンダボア51との間の物理的な連続性が維持されるようになり、結局は前述のように、ねじ穴56が引きつけられる力に起因する外側壁54の歪みがシリンダボア51へ伝達されやすくなる。しかも、アルミニウム合金は上述した鋳鉄に比べて剛性も低いことから、こうした歪みの伝達によるシリンダボア形状の変形も避け難い。
なお従来、例えば特許文献1に記載のように、図15に例示した断面構造を採用しつつも、そこに流れる冷却水の循環を停止させることによってシリンダブロックの過冷却を軽減する方法なども提案されてはいる。しかしこの方法は、複雑な構造を有するループ型ヒートパイプを組み込む必要があるなど、アルミニウム合金からなるシリンダボアもしくはシリンダライナを有するシリンダブロックを採用する上での本質的な解決には至らない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、たとえアルミニウム合金からなるシリンダボアもしくはシリンダライナを有するシリンダブロックを採用する場合であれ、その冷却性能を適切に維持することができるとともに、シリンダボアの四次変形等をも抑制することのできる内燃機関のシリンダブロックを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、シリンダ上部の周囲に冷却水を流すための溝状のウォータジャケットが設けられ、該ウォータジャケットの周囲に設けられたねじ穴に対するヘッドボルトの螺入によってシリンダの上部を覆うシリンダヘッドが締結される内燃機関のシリンダブロックであって、前記ウォータジャケットは、前記シリンダ上部からの深さが前記ねじ穴の深さよりも浅く形成されているとともに、その底部の前記ねじ穴と前記シリンダとの間に位置する部分には同底部から開口して前記ねじ穴に沿って延びる底穴が設けられ、該底穴の開口部には、当該ウォータジャケットを流れる冷却水の同底穴への侵入を防ぐ封止部材が設けられていることを要旨とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、シリンダ上部の周囲に冷却水を流すための溝状のウォータジャケットが設けられ、該ウォータジャケットの周囲に設けられたねじ穴に対するヘッドボルトの螺入によってシリンダの上部を覆うシリンダヘッドが締結される内燃機関のシリンダブロックであって、前記ウォータジャケットは、前記シリンダ上部からの深さが前記ねじ穴の深さよりも浅く形成されているとともに、その底部の前記ねじ穴と前記シリンダとの間に位置する部分には同底部から開口して前記ねじ穴に沿って延びる底穴が設けられ、該底穴の開口部には、当該ウォータジャケットを流れる冷却水の同底穴への侵入を防ぐ封止部材が設けられていることを要旨とする。
このような構成によれば、ねじ穴とシリンダとの間に位置する部分を含むようにウォータジャケットの底部に底穴が形成されるので、シリンダとねじ穴との物理的な連続性が部分的であれ底穴により断たれるようになる。これにより、アルミニウム合金からなるシリンダボアもしくはシリンダライナを有するシリンダブロックであれ、螺入されたヘッドボ
ルトにより引きつけられる力を受けるねじ穴の周囲に歪が生じたとしてもねじ穴の周囲の歪みがシリンダに伝達されるおそれが軽減されるようになり、シリンダのシリンダボアに生じる四次変形が軽減されるようになる。
ルトにより引きつけられる力を受けるねじ穴の周囲に歪が生じたとしてもねじ穴の周囲の歪みがシリンダに伝達されるおそれが軽減されるようになり、シリンダのシリンダボアに生じる四次変形が軽減されるようになる。
また、このシリンダは、温度の高い上部がウォータジャケットにより冷却されるとともに、上部よりも温度の低い上部よりも下の部分(中央部及び下部)は空冷されることとなりその過冷却が抑制されるようになる。これにより、シリンダブロックには、シリンダの上下方向に違いのある温度上昇に応じた適切な冷却性能が付与されるようになり、その温度分布が好適に維持されるようになるとともに、シリンダボアに生じる四次変形が軽減され、その結果、燃費の悪化やオイル消費量の増大などが抑制されるようになる。
さらに、スペース確保の困難なねじ穴とシリンダとの間にあってウォータジャケットの底部に底穴を設けるようにすることから、同底穴を設けるスペースの確保が容易になる。そして底穴は、ウォータジャケットの底部の開口部に封止部材が設けられることによりウォータジャケットの冷却水の流入が防止されるようになり、ウォータジャケットの底部に設けられているにもかかわらず同底穴には冷却水が侵入しないため、シリンダの中央部及び下部を冷却水により過冷却してしまうことがない。これによってもシリンダの冷却性能が好適に維持されるようになる。
請求項2に記載の発明は、前記ウォータジャケットの前記シリンダ上面からの深さは、前記シリンダ内を摺動するピストンのトップリング上死点に対応する位置であって、該位置よりも深めに設定されていることを要旨とする。
このような構成によれば、機関運転に伴い高温とされるトップリングからの熱が特に多く伝達されるトップリング上死点とその近傍に対応するシリンダ上部が冷却性能の高いウォータジャケットにより冷却されるようになり、シリンダの高温部分の冷却が適切に行なわれるようになる。
請求項3に記載の発明は、当該シリンダブロックには複数のシリンダが配列されており、前記底穴は、隣り合う2つのシリンダの各シリンダボアの間であるボア間に設けられたねじ穴に対応する位置に設けられていることを要旨とする。
このような構成によれば、ボア間に対応して配置されるねじ穴に対応するように底穴が設けられることにより、底穴はねじ穴からボア間へ伝達される歪みを軽減させるようになる。また、挟むように配置される2つのねじ穴からそれぞれ歪みの伝達されボア間には大きな歪が生じるおそれも高いが、それぞれの歪みがそれぞれの底穴により軽減されるようにもなる。これにより、2つのシリンダボアの間に形成されることから肉厚が薄くなり強度も弱いことの多いボア間であれ、そこに生じる歪みが軽減されるようになり、シリンダボアに大きな四次変形の生じるおそれが抑制されるようになる。
請求項4に記載の発明は、前記底穴は前記ねじ穴の深さ以上の深さを有することを要旨とする。
このような構造によれば、ねじ穴の周囲の歪みがシリンダに伝達されるおそれが底穴により高いレベルで遮断されるようになる。これにより、シリンダボアに生じる四次変形がさらに軽減されるようになる。
このような構造によれば、ねじ穴の周囲の歪みがシリンダに伝達されるおそれが底穴により高いレベルで遮断されるようになる。これにより、シリンダボアに生じる四次変形がさらに軽減されるようになる。
請求項5に記載の発明は、当該シリンダブロックには、前記シリンダの下部に対応する位置に潤滑油の流通する下部油路が形成されており、前記隣り合う2つのシリンダのシリンダボアの間のボア間には、入口が前記下部油路に連通されるとともに出口が前記シリンダヘッドに連通されるボア間油路が形成されて、前記下部油路に供給される潤滑油が該ボ
ア間油路を通って前記シリンダヘッドに供給されることを要旨とする。
ア間油路を通って前記シリンダヘッドに供給されることを要旨とする。
このような構造によれば、シリンダブロックのボア間の冷却性能が適切に維持されるようになるとともに、シリンダヘッドのカムを潤滑するなどする潤滑油がボア間を冷却する際に温められてシリンダヘッドに供給されるようになる。これにより、低温では粘性が高く摩擦損失の大きい潤滑油がその昇温により粘性が早期に低下されて摩擦損失の発生が軽減される。その結果、内燃機関の始動性が向上されるようにもなる。
請求項6に記載の発明は、当該シリンダブロックには、前記シリンダの下部に対応する位置に潤滑油の流通する下部油路が形成されており、同下部油路は前記底穴に連通され、前記隣り合う2つのシリンダのシリンダボアの間のボア間には、入口が前記底穴に連通されるとともに出口が前記シリンダヘッドに連通されるボア間油路が形成されて、前記下部油路に供給される潤滑油が該ボア間油路を通って前記シリンダヘッドに供給されることを要旨とする。
このような構造によれば、底穴には冷却性能の低い潤滑油が流通されることから温度の低いシリンダの下部や中央部が過冷却されるおそれが小さいとともに、温度の高いボア間は潤滑油によっても冷却されるようになる。これにより、シリンダヘッドのカムの潤滑をするなどする潤滑油がボア間を冷却する際に温められてシリンダヘッドに供給されるようになり、潤滑油の粘性が昇温により早期に低下されて摩擦損失の発生が軽減される。その結果、このようなシリンダブロックの採用される内燃機関の始動性が向上されるようにもなるとともに、シリンダブロックに設けられる油路の配置の自由度が高められる。
また、ボア間油路の加工距離が短くなりその加工性が向上される。
請求項7に記載の発明は、前記シリンダブロックは、鋳造により形成されたものであり、前記底穴は、前記鋳造に際しての鋳抜き穴として形成されていることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、前記シリンダブロックは、鋳造により形成されたものであり、前記底穴は、前記鋳造に際しての鋳抜き穴として形成されていることを要旨とする。
このような構成によれば、底穴は、シリンダブロックが鋳造されるときに同シリンダブロックに鋳抜き穴として一体形成される。これにより、このような底穴の形成が容易になり、その採用可能性が高められる。
請求項8に記載の発明は、前記ウォータジャケットは、弁装置の開弁により前記冷却水が供給されるとともに、同弁装置の閉弁により前記冷却水の供給が停止されるものであり、前記弁装置は、温度測定装置から得られた前記シリンダの温度が所定の開弁温度よりも高くなったときに開弁され、この開弁温度よりも低い温度である所定の閉弁温度よりも低くなったときに閉弁されることを要旨とする。
このような構造によれば、ウォータジャケットの構造と併せてシリンダブロックの冷却性能がより好適となるような制御も可能になる。これにより、内燃機関の始動性の向上やシリンダブロックの過冷却のおそれがより抑制されるようにもなり、燃費の悪化やオイル消費量の増大がより抑制されるようになる。
(第1の実施形態)
以下、本発明のシリンダブロックを具体化した第1の実施形態について図に従って説明する。図1は、内燃機関のシリンダブロックの平面の構造を示す図であり、図2は、図1の2−2線に沿った断面構造を示す図であり、図3は、図1の3−3線に沿った断面構造を示す図である。
以下、本発明のシリンダブロックを具体化した第1の実施形態について図に従って説明する。図1は、内燃機関のシリンダブロックの平面の構造を示す図であり、図2は、図1の2−2線に沿った断面構造を示す図であり、図3は、図1の3−3線に沿った断面構造を示す図である。
図1に示すように、内燃機関のシリンダブロックは、シリンダボア11を有するシリンダ12が3つ直列に並ぶシリンダ列と、同シリンダ列の周囲を囲うウォータジャケット13と、そのウォータジャケット13を囲う外側壁14とを有し、全体が例えばダイカスト鋳造法などの鋳造により一体成形されている。シリンダ列の右端(図1において右側)のシリンダ12は、そのシリンダボア11の中心を長さ方向へ延びる中心軸BC1を有している。また、シリンダ列の左端(図1において左側)のシリンダ12は、そのシリンダボア11の中心に中心軸BC2を有し、右端及び左端のシリンダ12に挟まれた中央(図1において中央部)のシリンダ12は、そのシリンダボア11の中心に中心軸BC3を有している。
図2に示すように、シリンダ12には、シリンダブロックとは別途に形成された円筒形状のシリンダライナ12Lが鋳込まれており、このシリンダライナ12Lの内周面が上記シリンダボア11の一部を構成している。なお本実施形態では、シリンダブロックはシリコンなどを含有するアルミニウム合金から形成されており、シリンダライナ12Lは、シリコンなどを含有し、特に高い耐摩耗性を有する組成とされているアルミニウム合金から形成されている。また、これらのアルミニウム合金は、鋳鉄よりも高い熱伝導率を有することから、鋳鉄製のシリンダブロック(鋳鉄ブロック)の冷却性能よりも高い冷却性能が自ずと確保される。
シリンダ12内に配置されたピストンPSは、内燃機関の運転に伴い同シリンダ12内
をシリンダヘッド側(図2において上側)とクランクケース側15(図2において下側)との間を往復移動されて、そこに備えられた3つのピストンリングがシリンダボア11(シリンダライナ12Lの内周面)を摺動される。3つのピストンリングは、トップリングPR1、セカンドリングPR2、及びオイルリングPR3から構成されており、ピストンPSの上方からこの順に配置されている。機関運転時には、燃焼ガスに曝されるとともにピストンPSの上面PSaにも近いことから、トップリングPR1が最も高温に加熱され、その高温の熱がトップリングPR1を介してシリンダ12にも伝達される。
をシリンダヘッド側(図2において上側)とクランクケース側15(図2において下側)との間を往復移動されて、そこに備えられた3つのピストンリングがシリンダボア11(シリンダライナ12Lの内周面)を摺動される。3つのピストンリングは、トップリングPR1、セカンドリングPR2、及びオイルリングPR3から構成されており、ピストンPSの上方からこの順に配置されている。機関運転時には、燃焼ガスに曝されるとともにピストンPSの上面PSaにも近いことから、トップリングPR1が最も高温に加熱され、その高温の熱がトップリングPR1を介してシリンダ12にも伝達される。
中央のシリンダ12の右側には右端のシリンダ12が、同じく左側には左端のシリンダ12がそれぞれ一体形成されている。これにより、中央のシリンダ12と右端のシリンダ12との連結される部分にはそれらシリンダ12のそれぞれのシリンダボア11に挟まれる右側のボア間12Aが形成される。また同様に、中央のシリンダ12と左端のシリンダ12とが連結される部分にもそれらシリンダ12のそれぞれのシリンダボア11に挟まれる左側のボア間12Bが形成される。
ウォータジャケット13は、そこに流される冷却水によりシリンダ12を冷却するものであり、外側壁14と各シリンダ12との間に中心軸BC1(BC2,BC3)の軸方向への深さを有する溝状に形成されている。ウォータジャケット13は、その溝内に冷却水の温度を測定する温度センサ30が設けられており、同温度センサ30は、測定された温度に基づく信号を外部に出力するようになっている。また、ウォータジャケット13は、その底部13Bが、深さH1の位置に形成されている。これによりシリンダ列の全周は、上述した図15に示されている鋳鉄ブロックの場合に比較して、相対的に浅い深さの底部13Bを有する浅底のウォータジャケット13に囲まれている。これにより、シリンダ列の各シリンダ12は、内燃機関の運転の際に特に高温とされるそれらのシリンダヘッド側(上部)が、このようなウォータジャケット13により冷却されるようになる。なおシリンダ12は、上述のようにトップリングPR1からも高温の熱が伝達されることから、トップリングPR1の接する部分にも高い冷却性能が要求される。このようなことから、ウォータジャケット13の底部13Bの深さH1は、シリンダ12の上部に対応する深さであるとともに、トップリングPR1の上死点位置に対応する位置を含むみ、同位置よりも深い深さとされている。すなわちウォータジャケット13は、その底部13BがトップリングPR1の上死点位置よりも下側(クランクケース側15)の位置とされている。
一方、各シリンダ12の中央部及びクランクケース側15(下部)は、ウォータジャケット13による冷却が行なわれないものの、上部よりも加熱の程度が小さいことからシリンダブロック自身の高い熱伝導率に基づいて行なわれる該中央部及び下部に対応する外側壁14の壁面からの放熱(空冷)により適切な冷却が行なわれるようになる。
このようなことから各シリンダ12は、内燃機関の運転に伴い高温に加熱される上部にはウォータジャケット13による高い冷却性能が付与され、相対的に温度の低い中央部及び下部には外側壁14の空冷による相対的に低い冷却性能が付与される。すなわち、シリンダ12のそれぞれの部分には、その加熱の程度に応じた適切な冷却性能がそれぞれ付与されるようになる。
外側壁14には、シリンダ列の列方向に沿って複数のヘッドボルト穴16が設けられている。各ヘッドボルト穴16は、シリンダ列の方向に対する各シリンダ12の端部に対応する位置にそれぞれ設けられている。詳述すると、シリンダ列の右端には右端のシリンダ12の外周に対応する位置にウォータジャケット13を挟んでヘッドボルト穴16が設けられている。また、シリンダ列の左端には左端のシリンダ12の外周に対応する位置にウォータジャケット13を挟んでヘッドボルト穴16が設けられている。さらに、中央のシリンダ12の外周の一部を構成する各ボア間12A,12Bに対応する位置にはそれぞれ
ウォータジャケット13を挟んでヘッドボルト穴16がそれぞれ設けられている。なお各ボア間12A,12Bは、隣接する2つのシリンダ12の外周がそれぞれ重なりあっていることから、それらの位置のヘッドボルト穴16はそれぞれ、隣接する2つのシリンダ12のそれぞれの端部に対応している。これによりシリンダブロックには、シリンダ列の片側に4つの、両側として合計8個のヘッドボルト穴16が設けられているとともに、各シリンダ12にはそれぞれ4つのヘッドボルト穴16が対応するようになっている。
ウォータジャケット13を挟んでヘッドボルト穴16がそれぞれ設けられている。なお各ボア間12A,12Bは、隣接する2つのシリンダ12の外周がそれぞれ重なりあっていることから、それらの位置のヘッドボルト穴16はそれぞれ、隣接する2つのシリンダ12のそれぞれの端部に対応している。これによりシリンダブロックには、シリンダ列の片側に4つの、両側として合計8個のヘッドボルト穴16が設けられているとともに、各シリンダ12にはそれぞれ4つのヘッドボルト穴16が対応するようになっている。
図3に示すように、ヘッドボルト穴16は、中心軸BC1(BC2,BC3)に平行な穴として形成されており、外側壁14の上面から所定の深さであるねじ穴深さH2を有している。ヘッドボルト穴16の下部にはめねじ部17が設けられており、同めねじ部17に螺入されたヘッドボルトHBにより、シリンダヘッド(図示略)が外側壁14に締結され、それとともにヘッドボルト穴16にシリンダヘッドへ引きつけられる力が加えられる。
また、ウォータジャケット13の底部13Bには、4つの底穴HL1,HR1,HL2,HR2がそれぞれ形成されている。これら底穴HL1,HR1,HL2,HR2は、底部13Bにおいて各ボア間12A,12Bに対応する位置にそれぞれ形成されている。すなわち、各底穴HL1,HR1,HL2,HR2は、それぞれ各ボア間12A,12Bとそれらボア間12A,12Bに対応する各ヘッドボルト穴16との間の位置に配置される。なお、これら4つの底穴HL1,HR1,HL2,HR2はいずれも同様の構造を有していることから、説明の便宜上、以下では主に底穴HL1について説明し、その他の各底穴HR1,HL2,HR2の各構造についてはそれらの説明を省略する。
底穴HL1は、シリンダ12の中心軸BC2に平行な穴であり、その深さが、ヘッドボルト穴16のねじ穴深さH2よりも深い、所定の底穴深さH3に形成されている。図4に示すように、底穴HL1は、ウォータジャケット13の底部13Bに連続する開口部21と同開口部21に連続する穴部22とを有しており、その開口部21には、ウォータジャケット13と穴部22とを防水性を有し区画するプラグ20が嵌め込まれている。プラグ20は、耐熱性を有する樹脂系材料や金属系材料、ゴム系材料などの材料から開口部21に嵌る形状、例えば円板形状に形成されており、圧入にて開口部21に嵌め込まれるとその外周面が開口部21の側面に密着されて底穴HL1を密閉させる。これにより底穴HL1の穴部22が空気の密閉された空気層からなる隔室とされ、同底穴HL1にはウォータジャケット13を流れる冷却水が侵入されないようになる。この底穴HL1の穴部22は、シリンダブロックの鋳造の際に、鋳抜き用の型部材を用いて一体成形される。鋳抜き用の型部材は、鋳造後に抜き取りやすい先細り形状に形成されていることから、穴部22は抜き勾配を有する形状、すなわち開口部21側の内径が大きく、底部の内径が小さい形状に形成される。なお本実施形態では、鋳抜き用の型部材は、その長さ方向に対する断面形状が円形をなしており、開口部21及び穴部22を有する底穴HL1もその長さ方向に対する断面形状が円形に形成される。
シリンダブロックのクランクケース側15(下部)には、潤滑油を流通させるためのメイン油路18が、シリンダ列に沿ってその列方向に延設されている。各ボア間12A,12Bには、メイン油路18とシリンダヘッドの油路とを直線的に連通する穴状のボア間油路19がそれぞれ設けられている。ボア間油路19は、中心軸BC2に対して所定の角度を有しており、すなわちボア間12A,12Bに対して斜めに形成されており、メイン油路18からシリンダヘッドに潤滑油を導くとともに、そこを流れる潤滑油が各ボア間12A,12Bを冷却するようにしている。なお、シリンダブロックにおいては相対的に肉厚が薄くて強度も弱い各ボア間12A,12Bには、複雑な穴加工等を施すことが難しいが、本実施形態では、ボア間油路19を直線的な穴状とすることにより、このような各ボア間12A,12Bにも比較的容易に形成することができる。
これらのことから、本実施形態のシリンダブロックは、各ボア間12A,12Bを除いて各シリンダ12の上部が水冷され、中央部及び下部が空冷され、各ボア間12A,12Bについては油冷されるような構造として構成される。
次に、ヘッドボルト穴16にヘッドボルトHBの螺入されたシリンダブロックについて、図5及び図6を参照して説明する。図5は、ヘッドボルト穴16とシリンダ12との関係を模式的に示す模式図であり、図6は、シリンダボアの上面からの距離とその位置に生じる四次変形の大きさとの関係を示すグラフである。なお、図6の変形量Tr1は、本実施形態のシリンダボア11の四次変形の一例を示し、変形量Tr2は、図15に示されるような鋳鉄ブロックのシリンダボアの四次変形の一例を示している。また、変形量Tr3は、比較例として本実施形態のシリンダブロックに底穴を形成しないアルミニウム合金製のシリンダブロック(比較例のアルミブロック)の四次変形の一例を示している。
こうしたシリンダブロックでは、ヘッドボルトHBをヘッドボルト穴16に螺入してゆくと、ヘッドボルト穴16をシリンダヘッド方向へ強く引きつける力により外側壁14に歪みが生じるようになる。この歪みが外側壁14からシリンダ12に伝達されるような場合、シリンダ12も変形される。すなわち、外周の4箇所にヘッドボルト穴16が配置されているシリンダ12には、各ヘッドボルト穴16への張力により生じる外側壁14の歪みがそれぞれ伝達され、ヘッドボルトHBによる締結前には真円度の高かったシリンダボア11の形状が、先の図14に示される二点鎖線のような十字の形状に変形、いわゆる四次変形されるおそれがある。
一般的に、ヘッドボルト穴16への張力により外側壁14に生じた歪みは、図5に示すように、同ヘッドボルト穴16との距離が短くなる同ヘッドボルト穴16と中心軸BC1とを結ぶ線(図5の点線)上のシリンダボア11部分や、同ヘッドボルト穴16と中心軸BC2とを結ぶ線(図5の点線)上のシリンダボア11部分に伝達されやすい。それにも増して、もともと相対的に強度が弱い部分である各ボア間12A,12Bには、それを挟む2つのヘッドボルト穴16への張力により生じた外側壁14の歪みがそれぞれ伝達され、それら歪の併合などによる大きな変形が生じるおそれが高い。また本実施形態では、シリンダブロックが剛性の低いアルミニウム合金製であることから外側壁14には歪みが大きく生じやすく、そのような歪みの伝達される各ボア間12A,12Bには、鋳鉄ブロックと比較すると、より大きな変形が生じるおそれも高い。これらのことより、シリンダボア11には、大きな四次変形の生じるおそれが高いものとなっている。
上述のように、アルミニウム合金に比べて熱伝導率の低い鋳鉄製の鋳鉄ブロックは、高い冷却性能を得るために、ウォータジャケットの深さをヘッドボルト穴の深さと同程度の深さとしている。そしてこの深底のウォータジャケットにより、ヘッドボルト穴とシリンダとの間の物理的な連続性が断たれるようになり、この副次的な効果として、シリンダボアの四次変形が、図6の変形量Tr2に示されるように、シリンダボアの上面からの距離にかかわらず全体的に小さく抑えられている。一方、比較例のアルミブロックは、熱伝導率の高いアルミニウム合金製でありそれ自身に高い冷却性能が備えられているため、鋳鉄ブロックに用いられる深底のウォータジャケットによれば冷却による熱効率の低下(冷却損失)を無視できない温度まで過剰に冷却されてしまう。そこで深底ウォータジャケットを採用せずに、温度が高温になるシリンダの上部だけを冷却されるようにウォータジャケットを浅底にしている。しかし浅底のウォータジャケットは、深底のウォータジャケットの場合と異なり、ヘッドボルト穴とシリンダとの間の物理的な連続性を維持させることから、ヘッドボルト穴への張力により外側壁に生じた歪みがシリンダに伝達され、図6の変形量Tr3に示されるように、四次変形を大きく生じさせる。こうした四次変形は、特にボア間に大きく生じ、シリンダボアの真円度を大きく低下させ、シリンダボアのピストン
リングとの摩擦を大きくしてフリクションロス(摩擦損失)を増大させ燃費の悪化を招くとともに、シリンダボアとピストンとの間の隙間を通って燃焼室内へ漏れ出して燃焼により消費される潤滑油の量を増加させるようになった。
リングとの摩擦を大きくしてフリクションロス(摩擦損失)を増大させ燃費の悪化を招くとともに、シリンダボアとピストンとの間の隙間を通って燃焼室内へ漏れ出して燃焼により消費される潤滑油の量を増加させるようになった。
そこで本実施形態では、特にボア間に生じる変形を軽減させるために、図5に示すように、ウォータジャケット13の底部13Bにあって、ヘッドボルト穴16とボア間12Aとの間となる位置に底穴HL1や底穴HR1を設けるようにした。これにより、各ヘッドボルト穴16とボア間12Aと間の物理的な連続性が各底穴HL1,HR1により大きく低下され、ボア間12Aへ伝達される外側壁14のそれぞれの歪みが高いレベルで軽減されるようになる。また同様に、ヘッドボルト穴16とボア間12Bとの間となる位置にも底穴HL2や底穴HR2を設けるようにした。これにより、本実施形態のシリンダボア11に生じる四次変形の変形量は、図6の変形量Tr1に示すように、上部では変形量Tr2と同様の大きさとされ、中央部及び下部では変形量Tr3に類似する形状ではあるもののその大きさは同変形量Tr3よりも小さくされるようになる。すなわち、本実施形態のシリンダボア11に生じる四次変形の大きさを鋳造ブロックに近いレベルにまで軽減することができるようになる。
次に、本実施形態のシリンダブロックの採用される内燃機関の暖機性について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、内燃機関の運転開始からの時間経過に伴うボア間の温度、冷却水の温度、及び潤滑油の温度の変化の態様を示すグラフであり、図8は、図7の点線で囲まれた部分を拡大したグラフである。なお図7には、それぞれ3本のグラフからなるボア間の温度Tbと、冷却水の温度Twと、潤滑油の温度Toとが示されている。また図8には、本実施形態のシリンダブロックにおけるボア間の温度Tb1と、冷却水の温度Tw1と、潤滑油の温度To1とが太線にて示されている。さらに、鋳鉄ブロックにおけるボア間の温度Tb2と、冷却水の温度Tw2と、潤滑油の温度To2とが点線にて示されるとともに、比較例のアルミブロックのボア間の温度Tb3と、冷却水の温度Tw3と、潤滑油の温度To3とが細線にて示されている。
図7に示すように、内燃機関の運転(冷間始動)が開始されると、運転開始前にはほぼ同じであったボア間の温度Tbと、冷却水の温度Twと、潤滑油の温度Toとがそれぞれ、時間経過とともに上昇される。このとき、シリンダ12のボア間12Aの温度Tbが素早く上昇を開始し、それに続いてウォータジャケット13を流れる冷却水の温度Twが上昇される。また、メイン油路18からボア間油路19に流れる潤滑油の温度Toも上昇されるが、潤滑油は金属材料や冷却水よりも温まりづらいことなどからそれらよりも温度上昇は遅れる。
本実施形態のシリンダブロックはシリンダ12の各部分に適切な冷却性能が付与されていることから、図8に示すように、内燃機関の暖機の際にボア間の温度Tb1が所定の温度へ到達するために要する時間が、鋳鉄ブロックのボア間の温度Tb2が要する時間t1よりも時間t12だけ早い時間t2となる。また同様に、比較例のアルミブロックのボア間の温度Tb3が所定の温度に到達する時間よりも早くなる。
また、本実施形態のシリンダブロックの冷却水の温度Tw1が所定の温度へ到達するために要する時間が、鋳鉄ブロックの冷却水の温度Tw2が要する時間t1よりも時間t14だけ早い時間t4となり、同様に、比較例のアルミブロックの冷却水の温度Tw3がその温度に到達する時間よりも早くなる。
さらに、本実施形態のシリンダブロックの潤滑油の温度To1が所定の温度へ到達するために要する時間が、鋳鉄ブロックの潤滑油の温度To2が要する時間t1よりも時間t13だけ早い時間t3となり、同様に、比較例のアルミブロックの潤滑油の温度To3が
その温度に到達する時間よりも早くなる。
その温度に到達する時間よりも早くなる。
このように、本実施形態の内燃機関のシリンダブロックによれば暖機運転の時間が短縮されるようになる。また、低温では潤滑油の粘性が高いゆえに冷間始動の際にはピストンなどに大きな摩擦損失が生じるが、早期の温度上昇によりその粘性が早期に低下され摩擦損失が減少するなどして、燃費の向上などが期待される。
次に、本実施形態のシリンダブロックを用いる内燃機関の通常運転における燃料消費性について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、内燃機関の運転負荷が低い(温度上昇が小さい)場合における中央のシリンダ12の外側壁14側部分(図1の位置P1)について、(a)はシリンダボア11の上下方向における温度分布を示すグラフ、(b)は燃料消費率を示すグラフである。図10は、内燃機関の運転負荷が高い(温度上昇が大きい)場合の中央のシリンダ12のボア間12A,12B(図1の位置P2)について、(a)はシリンダボア11の上下方向における温度分布を示すグラフ、(b)は燃料消費率を示すグラフである。また、図9及び図10において、本実施形態の中央のシリンダ12の温度が温度Tx1及び温度Ty1により示され、それらに対応する燃料消費率がそれぞれ「本実施形態」として示されている。比較例として、通常運転における鋳鉄ブロックのシリンダの温度が温度Tx2及び温度Ty2により示され、それらに対応する燃料消費率がそれぞれ「比較例1」として示されている。同様に、通常運転における深底ウォータジャケットを有するアルミブロックの温度が温度Tx3及び温度Ty3により示され、それらに対応する燃料消費率がそれぞれ「比較例2」として示されている。
図9(a)に示すように、回転速度が低くいことなどから運転負荷が小さく内燃機関の温度が相対的に低温である場合、シリンダ12として比較的低温である外側壁14側部分であれ、本実施形態であればその温度が、鋳鉄ブロックや前記アルミブロックの各温度Tx2,Tx3に比較して冷却損失の少ない高く温度に維持されるようになる。そしてこのようなシリンダ12の温度分布によれば、例えば図9(b)に示されるように、「本実施形態」の燃料消費率は、「比較例2」のそれと比較して小さくなり、すなわち燃費が向上されるようになる。
図10(a)に示すように、回転速度が高いことなどから運転負荷が大きく内燃機関の温度が相対的に高温である場合、シリンダ12として最も温度の高くなる各ボア間12A,12Bであれ、本実施形態であればその温度が、鋳鉄ブロックや前記アルミブロックの各温度Ty2,Ty3に比較して好適な温度に維持されるようになる。すなわち、鋳鉄ブロックの場合、シリンダボアの上部の温度は潤滑油を蒸発させるおそれがあるほど高温となるものの、中央部及び下部の温度は冷却損失の少ない好適な温度に維持される。一方、前記アルミブロックの場合、シリンダボアの上部は潤滑油が蒸発されるおそれの小さい適切な温度となるものの、中央部及び下部の温度は過冷却により冷却損失の多い温度とされる。本実施形態によれば、シリンダ12の上部の温度は前記アルミブロックと同様に潤滑油が蒸発されるおそれの小さい適切な温度にされ、中央部及び下部の温度は鋳鉄ブロックと同様に冷却損失の少ない好適な温度に維持される。そしてこのようなシリンダ12の温度分布によれば、上部から下部へかけての温度変化率が平均化されるようになり、シリンダボア11の上下間に温度変化率の違いを要因として生じる歪みが軽減されるようになる。そしてこのようなシリンダ12の温度分布によれば、例えば図10(b)に示されるように、「本実施形態」の燃料消費率は、「比較例1」及び「比較例2」のそれらと比較して小さくなり、すなわち燃費が向上されるようになる。
このようなシリンダブロックによれば、シリンダブロックの冷却性能を適切に維持することができるとともに、シリンダボアの四次変形等をも抑制することのできるシリンダブロックを提供することができるようになる。
以上説明したように、本実施形態のシリンダブロックによれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)ヘッドボルト穴16とシリンダ12との間に位置する部分を含むようにウォータジャケット13の底部13Bに底穴HL1,HR1,HL2,HR2が形成されることにより、ヘッドボルト穴16とシリンダ12との物理的な連続性が部分的であれそれらの間に配置される底穴HL1,HR1,HL2,HR2により断たれるようになる。これにより、アルミニウム合金からなるシリンダボア11もしくはシリンダライナ12Lを有するシリンダブロックであれ、螺入されたヘッドボルトHBにより引きつけられる力を受けるヘッドボルト穴16により外側壁14に歪が生じたとしても、外側壁14の歪みがシリンダ12に伝達されるおそれが軽減されるようになる。その結果、シリンダ12のシリンダボア11に生じる四次変形が軽減されるようになる。
(1)ヘッドボルト穴16とシリンダ12との間に位置する部分を含むようにウォータジャケット13の底部13Bに底穴HL1,HR1,HL2,HR2が形成されることにより、ヘッドボルト穴16とシリンダ12との物理的な連続性が部分的であれそれらの間に配置される底穴HL1,HR1,HL2,HR2により断たれるようになる。これにより、アルミニウム合金からなるシリンダボア11もしくはシリンダライナ12Lを有するシリンダブロックであれ、螺入されたヘッドボルトHBにより引きつけられる力を受けるヘッドボルト穴16により外側壁14に歪が生じたとしても、外側壁14の歪みがシリンダ12に伝達されるおそれが軽減されるようになる。その結果、シリンダ12のシリンダボア11に生じる四次変形が軽減されるようになる。
(2)また、このシリンダ12は、温度の高い上部がウォータジャケット13により冷却されるとともに、上部よりも温度の低い上部よりも下の部分(中央部及び下部)は空冷されることとなりその過冷却が抑制されるようになる。これにより、シリンダブロックには、シリンダ12の上下方向に違いのある温度上昇に対して適切な冷却性能が付与されるようなり、その温度分布が好適に維持されるようになるとともに、シリンダボア11に生じる四次変形が軽減され、その結果、燃費の悪化やオイル消費量の増大などが抑制されるようになる。
(3)さらに、スペース確保の困難なヘッドボルト穴16とシリンダ12との間にあってウォータジャケット13の底部13Bに底穴HL1,HR1,HL2,HR2を設けるようにすることから、底穴HL1,HR1,HL2,HR2を設けるスペースの確保が容易になる。
(4)底穴HL1,HR1,HL2,HR2は、ウォータジャケット13の底部13Bの開口部21に封止部材としてのプラグ20が設けられることによりウォータジャケット13からの冷却水の流入が防止されるようになる。これにより、ウォータジャケット13の底部13Bに設けられているにもかわらず底穴HL1,HR1,HL2,HR2には冷却水が侵入しないため、シリンダ12の中央部及び下部を冷却水により過冷却してしまうことがない。これによってもシリンダ12の冷却性能が好適に維持されるようになる。
(5)機関運転に伴い高温とされるトップリングPR1からの熱が特に多く伝達されるトップリング上死点とその近傍に対応するシリンダ12上部が冷却性能の高いウォータジャケット13により冷却されるようになり、シリンダ12の高温部分の冷却が適切に行なわれるようになる。
(6)ボア間12A,12Bに対応して配置されるヘッドボルト穴16に対応するように底穴HL1,HR1,HL2,HR2が設けられるようにしたことにより、底穴HL1,HR1,HL2,HR2はヘッドボルト穴16からボア間12A,12Bへ伝達される歪みを軽減させるようになる。また、挟むように配置される2つのヘッドボルト穴16からそれぞれ歪みの伝達されるボア間12A,12Bには大きな歪が生じるおそれも高いが、それぞれの歪みがそれぞれの底穴HL1,HR1,HL2,HR2により軽減されるようにもなる。これにより、2つのシリンダボアの間に形成されることから肉厚が薄くなり強度も弱いことの多いボア間12A,12Bであれ、そこに生じる歪みが軽減されるようになり、シリンダボア11に大きな四次変形の生じるおそれが抑制されるようになる。
(7)底穴深さH3の深さをねじ穴深さH2以上の深さとしたことにより、外側壁14に生じた歪みがシリンダ12に伝達されるおそれが底穴HL1,HR1,HL2,HR2
により高いレベルで遮断されるようになる。これにより、シリンダボア11に生じる四次変形がさらに軽減されるようになる。
により高いレベルで遮断されるようになる。これにより、シリンダボア11に生じる四次変形がさらに軽減されるようになる。
(8)ボア間油路19を設けたことにより、シリンダブロックのボア間12A,12Bの冷却性能が適切に維持されるようになるとともに、シリンダヘッドのカムを潤滑するなどする潤滑油がボア間12A,12Bを冷却する際に温められてシリンダヘッドに供給されるようになる。これにより、低温では粘性が高く摩擦損失の大きい潤滑油がその昇温により粘性が早期に低下されて摩擦損失の発生が軽減される。その結果、内燃機関の始動性が向上されるようにもなる。
(9)底穴HL1,HR1,HL2,HR2は、シリンダブロックが鋳造されるときに同シリンダブロックに鋳抜き穴として一体形成する。これにより、このような底穴HL1,HR1,HL2,HR2の形成が容易になり、その採用可能性が高められる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の内燃機関のシリンダブロックを具体化した第2の実施形態について図11及び図12に従って説明する。図11は、主に内燃機関の冷却水の流路の構成を模式的に示した模式図であり、図12は、冷却水の水量制御に関するタイミングチャートである。
次に、本発明の内燃機関のシリンダブロックを具体化した第2の実施形態について図11及び図12に従って説明する。図11は、主に内燃機関の冷却水の流路の構成を模式的に示した模式図であり、図12は、冷却水の水量制御に関するタイミングチャートである。
なお、本実施形態は、第1の実施形態に示す内燃機関のシリンダブロックの用いられる内燃機関に、ウォータジャケット13に供給される冷却水の水量を制御する構成が付加されたものである。そこで、本実施形態では主に冷却水の水量の制御について説明することとし、説明の便宜上、第1の実施形態と同様の部材には第1の実施形態と同一の符号を付しその説明を省略する。
図11に示すように、第1の実施形態のシリンダブロックに対応するシリンダブロックSBにはシリンダヘッドSHが締結されており、シリンダブロックSBの3つのシリンダ12から構成されるシリンダ列の上部は、ウォータジャケット13に囲まれている。ウォータジャケット13には、冷却水入口Pw1から導入通路Pw3及び導入通路Pw4を介して冷却水が供給されるようになっている。なお、内燃機関の中で特に温度が高く常時水冷される必要があるシリンダヘッドSHの冷却通路Pw2にも冷却水入口Pw1から冷却水が供給されている。またウォータジャケット13に供給された冷却水は、導出通路Pw5を介して冷却水出口Pw6へと排出される。同様に、冷却通路Pw2を流れた冷却水も冷却水出口Pw6へと排出される。
導入通路Pw3と導入通路Pw4との間にはバルブ31が設けられている。バルブ31は、その弁の開度が調節されることにより、導入通路Pw3から導入通路Pw4に流される冷却水の水量を調節するものであり、本実施形態では、外部から受ける開度信号に基づいて、弁が全閉される状態と、全開させる状態とが選択的に切替えられるようになっている。これにより、シリンダブロックSBの冷却性能がシリンダヘッドSHとは個別に制御されるようになる。
メイン油路18には冷却油の入口Po1から潤滑油が供給されて、同潤滑油がボア間油路19からシリンダヘッドSHの供給油路Po4及び供給油路Po6に供給される。
内燃機関には、温度センサ30から温度信号が入力され、バルブ31に開度信号を与える電子制御装置(ECU)32が設けられている。ECU32は、シリンダ列の上部の温度が適切な温度に維持されるように、温度センサ30から求められるウォータジャケット13の冷却水の温度に基づいて、バルブ31を開閉制御する。具体的には、ECU32は、温度センサ30から適宜取得される冷却水の温度(水温)に基づいて、同水温が、図1
2に示されるように、内燃機関の回転数の上昇などに伴い上昇され、内燃機関の信頼性に基づいて予め設定される開弁温度以上になると、バルブ31に開度を全開とする開弁信号を伝達してバルブ31を開弁させる。これにより、ウォータジャケット13には冷却水入口Pw1から冷却水が供給されてシリンダ列の上部が冷却されるようになる。また逆に、ECU32は、シリンダ列の冷却が進行して、水温が開弁温度よりも低い閉弁温度(例えば、開弁温度−10度)以下になると、バルブ31に開度を全閉とする閉弁信号を伝達してバルブ31を閉弁させ、ウォータジャケット13の冷却水の流れを止める。これによれば、水温が開弁温度と閉弁温度との間にある場合、バルブ31は、水温の上昇時には閉弁され、水温の下降時には開弁される。
内燃機関には、温度センサ30から温度信号が入力され、バルブ31に開度信号を与える電子制御装置(ECU)32が設けられている。ECU32は、シリンダ列の上部の温度が適切な温度に維持されるように、温度センサ30から求められるウォータジャケット13の冷却水の温度に基づいて、バルブ31を開閉制御する。具体的には、ECU32は、温度センサ30から適宜取得される冷却水の温度(水温)に基づいて、同水温が、図1
2に示されるように、内燃機関の回転数の上昇などに伴い上昇され、内燃機関の信頼性に基づいて予め設定される開弁温度以上になると、バルブ31に開度を全開とする開弁信号を伝達してバルブ31を開弁させる。これにより、ウォータジャケット13には冷却水入口Pw1から冷却水が供給されてシリンダ列の上部が冷却されるようになる。また逆に、ECU32は、シリンダ列の冷却が進行して、水温が開弁温度よりも低い閉弁温度(例えば、開弁温度−10度)以下になると、バルブ31に開度を全閉とする閉弁信号を伝達してバルブ31を閉弁させ、ウォータジャケット13の冷却水の流れを止める。これによれば、水温が開弁温度と閉弁温度との間にある場合、バルブ31は、水温の上昇時には閉弁され、水温の下降時には開弁される。
これにより、始動時(冷間運転)のような低水温時には冷却水が遮断されてウォータジャケット13によるシリンダ列の冷却性能が低下され、内燃機関の暖機が早期に行なわれるようになる。また、冷却が不要な場合には冷却水による冷却を抑制するとともに、ウォーターポンプの駆動を低下もしくは停止させることにより同ポンプの駆動損失を低下させて燃費の向上が図られるようにもなる。
このような内燃機関のシリンダブロックによれば、さらにシリンダブロックの冷却性能を適切に維持するとともに、シリンダボアの四次変形等を抑制することのできる内燃機関のシリンダブロックを提供することができるようになる。
以上説明したように、本実施形態によっても先の第1の実施形態の前記(1)〜(9)の効果と同等もしくはそれに準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
(10)冷却水の水温に基づいてウォータジャケット13に流れる水量を調整するようにしたことから、ウォータジャケット13の構造と併せてシリンダブロックの冷却性能がより好適となるような制御も可能になる。これにより、内燃機関の始動性の向上やシリンダブロックの過冷却のおそれがより抑制されるようにもなり、燃費の悪化やオイル消費量の増大がより抑制されるようになる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・上記第2の実施形態では、ECU32は水温に基づく水量制御を行なったが、これに限らず、ECUは、ウォータジャケットに流す冷却水の水量を好適に調整することができるのであれば、シリンダの温度や潤滑油の温度など、その他の温度に基づいて水量制御を行なってもよい。これにより、内燃機関に適した水量制御ができるようになる。
・上記第2の実施形態では、ECU32は水温に基づく水量制御を行なったが、これに限らず、ECUは、ウォータジャケットに流す冷却水の水量を好適に調整することができるのであれば、シリンダの温度や潤滑油の温度など、その他の温度に基づいて水量制御を行なってもよい。これにより、内燃機関に適した水量制御ができるようになる。
・上記第2の実施形態では、バルブ31はその弁を開弁状態または閉弁状態に選択的に切替えられたが、これに限らず、バルブは弁の開度が連続的に変更されるようにしてもよい。これにより、ウォータジャケットを流れる冷却水の流量がより細かく制御されるようになり、シリンダブロックの冷却性能の調整がより向上されるようになる。
・上記第2の実施形態では、バルブ31はウォータジャケット13の導入通路Pw3側に設けられたが、これに限らず、バルブはウォータジャケットの導出通路側に設けられてもよい。これにより、冷却水の水路の配置の自由度が高められるようになる。
・上記第2の実施形態では、閉弁温度が(開弁温度−10度)であったが、これに限らず、閉弁温度は、開弁温度よりも低い温度であれば、(開弁温度−10度)よりも高い温度でも、(開弁温度−10度)よりも低い温度であってもよい。これにより、内燃機関の特性に応じた開弁温度、及び閉弁温度の設定ができるようになり、このような冷却装置の実施の可能性が高められる。
・上記第1の実施形態では、各底穴HL1,HR1,HL2,HR2は長さ方向断面を円形に形成されたが、これに限らず、底穴の長さ方向断面の形状は、どのような形状であってもよい。例えば、楕円形状、閉曲線からなる形状、多角形状などの任意の断面形状に形成してもよい。これにより、シリンダブロックの冷却性能の調整の自由度が高められる。
・上記第1の実施形態では、各底穴HL1,HR1,HL2,HR2は、鋳抜き穴として形成されたが、これに限らず、底穴は、例えば削り加工などにより形成されてもよい。
・上記第1の実施形態では、ボア間油路19は、メイン油路18からシリンダブロックの上面までの直線状の斜め穴として設けられたが、これに限らず、図13に示されるように、メイン油路18が底穴HL1の穴部に連絡され、ボア間油路19Aは、同穴部の上部からシリンダブロックの上面までの直線状の斜め穴として設けられてもよい。これにより、穴部による外側壁14とシリンダ12との物理的な連続性の遮断性を維持するとともに、穴部に空気層に代わる潤滑油による適切な冷却性能も維持させることができる。すなわち、底穴には冷却性能の低い潤滑油が流通されることから温度の低いシリンダの下部や中央部が過冷却されるおそれが小さいとともに、温度の高いボア間の特に上部が潤滑油によって冷却されるようになる。これにより、シリンダヘッドのカムを潤滑するなどする潤滑油がボア間を冷却する際に温められてシリンダヘッドに供給されるようになり、潤滑油の粘性が昇温により早期に低下されて摩擦損失の発生が軽減される。その結果、このようなシリンダブロックの採用される内燃機関の始動性が向上されるようにもなるとともに、シリンダブロックに設けられる油路の配置の自由度が高められる。
・上記第1の実施形態では、ボア間油路19は、メイン油路18からシリンダブロックの上面までの直線状の斜め穴として設けられたが、これに限らず、図13に示されるように、メイン油路18が底穴HL1の穴部に連絡され、ボア間油路19Aは、同穴部の上部からシリンダブロックの上面までの直線状の斜め穴として設けられてもよい。これにより、穴部による外側壁14とシリンダ12との物理的な連続性の遮断性を維持するとともに、穴部に空気層に代わる潤滑油による適切な冷却性能も維持させることができる。すなわち、底穴には冷却性能の低い潤滑油が流通されることから温度の低いシリンダの下部や中央部が過冷却されるおそれが小さいとともに、温度の高いボア間の特に上部が潤滑油によって冷却されるようになる。これにより、シリンダヘッドのカムを潤滑するなどする潤滑油がボア間を冷却する際に温められてシリンダヘッドに供給されるようになり、潤滑油の粘性が昇温により早期に低下されて摩擦損失の発生が軽減される。その結果、このようなシリンダブロックの採用される内燃機関の始動性が向上されるようにもなるとともに、シリンダブロックに設けられる油路の配置の自由度が高められる。
また、ボア間油路の距離を短縮させて同ボア間油路を構成する斜め穴の加工距離が短縮されその加工性が向上されるようになる。
・上記第1の実施形態では、各底穴HL1,HR1,HL2,HR2の底穴深さH3はヘッドボルト穴16のねじ穴深さH2と略同じ深さであった。しかしこれに限らず、ヘッドボルト穴に生じる歪みのシリンダへの伝達が軽減されるのであれば、底穴の深さは、ウォータジャケットの底部よりも深い深さであれば、ヘッドボルト穴よりも浅くても又は深くてもよい。これにより、底穴はその設計自由度が高められ、シリンダブロックの形状などに応じた設計も可能となり、採用可能性が高められるようになる。
・上記第1の実施形態では、各底穴HL1,HR1,HL2,HR2の底穴深さH3はヘッドボルト穴16のねじ穴深さH2と略同じ深さであった。しかしこれに限らず、ヘッドボルト穴に生じる歪みのシリンダへの伝達が軽減されるのであれば、底穴の深さは、ウォータジャケットの底部よりも深い深さであれば、ヘッドボルト穴よりも浅くても又は深くてもよい。これにより、底穴はその設計自由度が高められ、シリンダブロックの形状などに応じた設計も可能となり、採用可能性が高められるようになる。
・上記第1の実施形態では、ヘッドボルト穴16は、ボア間12A,12Bに対応する位置に形成されていたが、これに限らず、ヘッドボルト穴はシリンダブロックにシリンダヘッドを締結することができる位置であれば形成されている場所はどこでもよい。そのような場合であれ、底穴は、そのヘッドボルト穴の位置と、シリンダやシリンダボアとの間の位置に設けることによりヘッドボルト穴とシリンダボアとの物理的な結合のレベルを低下させることができて、シリンダボアの四次変形を軽減することができるようになる。
・上記第1の実施形態では、シリンダボア11はシリンダライナ12Lにより構成されたが、これに限らず、シリンダボアは、例えばシリンダブロックにより直接構成されるなどシリンダライナによらず構成されてもよい。これによりこのようなシリンダボアの四次変形を軽減させる底穴の適用されるシリンダブロックの選択自由度が高められる。
・上記第1の上記実施形態では、プラグ20は開口部21に圧入により嵌め込まれたが、これに限らず、底穴HL1を密閉するものであれば、プラグは開口部を螺合などその他の方法により密閉してもよい。これにより、プラグとそれが設けられる開口部の設計自由度が高められる。
・上記第1の実施形態では、内燃機関には3つのシリンダ12が直列に並んで配置され
ていたが、これに限らず、内燃機関に直列に並んでいるシリンダの数は2つでも、4つ以上でもよい。これにより、このようなシリンダブロックの適用可能性が高められる。
ていたが、これに限らず、内燃機関に直列に並んでいるシリンダの数は2つでも、4つ以上でもよい。これにより、このようなシリンダブロックの適用可能性が高められる。
・上記第1の実施形態では、各底穴HL1,HR1,HL2,HR2が2つのシリンダ12の間に対応する位置に設けられたが、それに限らず、各底穴はシリンダとの間に設けられるのであれば、2つのシリンダの間ではない、例えば端部のシリンダの他のシリンダの並ばない側に形成されてもよい。これにより、歪みの伝達がより好適に遮断される。
・上記第1の実施形態では、プラグ20は例えば円板形状に形成されたが、これに限らず、開口部に防水性を有し嵌る形状であれば、プラグは円柱形状などの柱状であっても、円板形状などの板状であっても、その他の形状であってもよい。これにより、プラグ形状の選択自由度が高められるようになる。
・上記第1の実施形態では、シリンダブロックはアルミニウム合金から形成されたが、これに限らず、シリンダブロックを形成する金属材料は、鋳鉄やマグネシウム及びそれらの合金を含む材料でもよい。これにより、このようなシリンダブロックのシリンダボアの四次変形を、シリンダブロックを形成する材料にかかわらず抑制することができるようになる。
・上記第1の実施形態では、シリンダブロックはダイカスト鋳造法により鋳造されたが、これに限らず、シリンダブロックは例えばその他の鋳造法や、削り加工などにより形成されてもよい。
11…シリンダボア、12…シリンダ、12A,12B…ボア間、12L…シリンダライナ、13…ウォータジャケット、13B…底部、14…外側壁、16…ねじ穴としてのヘッドボルト穴、17…めねじ部、18…下部油路としてのメイン油路、19,19A…ボア間油路、20…プラグ、21…開口部、22…穴部、30…温度測定装置としての温度センサ、31…弁装置としてのバルブ、32…電子制御装置(ECU)、HB…ヘッドボルト、PS…ピストン、SB…シリンダブロック、SH…シリンダヘッド、BC1,BC2,BC3…中心軸、HL1,HL2,HR1,HR2…底穴、Po1…冷却油の入口、Po4,Po6…供給油路、PR1…トップリング、PR2…セカンドリング、PR3…オイルリング、PSa…上面、Pw1…冷却水入口、Pw2…冷却通路、Pw3,Pw4…導入通路、Pw5…導出通路、Pw6…冷却水出口。
Claims (8)
- シリンダ上部の周囲に冷却水を流すための溝状のウォータジャケットが設けられ、該ウォータジャケットの周囲に設けられたねじ穴に対するヘッドボルトの螺入によってシリンダの上部を覆うシリンダヘッドが締結される内燃機関のシリンダブロックであって、
前記ウォータジャケットは、前記シリンダ上部からの深さが前記ねじ穴の深さよりも浅く形成されているとともに、その底部の前記ねじ穴と前記シリンダとの間に位置する部分には同底部から開口して前記ねじ穴に沿って延びる底穴が設けられ、該底穴の開口部には、当該ウォータジャケットを流れる冷却水の同底穴への侵入を防ぐ封止部材が設けられている
ことを特徴とする内燃機関のシリンダブロック。 - 前記ウォータジャケットの前記シリンダ上面からの深さは、前記シリンダ内を摺動するピストンのトップリング上死点に対応する位置であって、該位置よりも深めに設定されている
請求項1に記載の内燃機関のシリンダブロック。 - 当該シリンダブロックには複数のシリンダが配列されており、前記底穴は、隣り合う2つのシリンダの各シリンダボアの間であるボア間に設けられたねじ穴に対応する位置に設けられている
請求項1又は2に記載の内燃機関のシリンダブロック。 - 前記底穴は前記ねじ穴の深さ以上の深さを有する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関のシリンダブロック。 - 当該シリンダブロックには、前記シリンダの下部に対応する位置に潤滑油の流通する下部油路が形成されており、前記隣り合う2つのシリンダのシリンダボアの間のボア間には、入口が前記下部油路に連通されるとともに出口が前記シリンダヘッドに連通されるボア間油路が形成されて、前記下部油路に供給される潤滑油が該ボア間油路を通って前記シリンダヘッドに供給される
請求項3または4に記載の内燃機関のシリンダブロック。 - 当該シリンダブロックには、前記シリンダの下部に対応する位置に潤滑油の流通する下部油路が形成されており、同下部油路は前記底穴に連通され、前記隣り合う2つのシリンダのシリンダボアの間のボア間には、入口が前記底穴に連通されるとともに出口が前記シリンダヘッドに連通されるボア間油路が形成されて、前記下部油路に供給される潤滑油が該ボア間油路を通って前記シリンダヘッドに供給される
請求項3または4に記載の内燃機関のシリンダブロック。 - 前記シリンダブロックは、鋳造により形成されたものであり、前記底穴は、前記鋳造に際しての鋳抜き穴として形成されている
請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関のシリンダブロック。 - 前記ウォータジャケットは、弁装置の開弁により前記冷却水が供給されるとともに、同弁装置の閉弁により前記冷却水の供給が停止されるものであり、
前記弁装置は、温度測定装置から得られた前記シリンダの温度が所定の開弁温度よりも高くなったときに開弁され、この開弁温度よりも低い温度である所定の閉弁温度よりも低くなったときに閉弁される
請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関のシリンダブロック。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012225273A (ja) * | 2011-04-20 | 2012-11-15 | Honda Motor Co Ltd | 可変動弁機構を備える内燃機関の油路構造 |
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CN108425762A (zh) * | 2017-02-14 | 2018-08-21 | 福特全球技术公司 | 内燃发动机的汽缸体 |
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2009
- 2009-04-28 JP JP2009110139A patent/JP2010255613A/ja active Pending
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