JP2010254892A - 活性エネルギー線硬化フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コロナ放電処理されたプラスチックフィルムの表面に、特定の重合性基を有するキトサン誘導体又はその塩(A)を含む組成物から得られる硬化物によって表面が被覆されたプラスチックフィルム、該硬化物が活性エネルギー線照射によって得られたものである該プラスチックフィルム、及び該プラスチックフィルムを用いた食品用又は医療用包装材の提供により、上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
そこで、これらの問題を解決する一つの手段として、水を希釈剤として用いた紫外線硬化性システムが用いられてきており、これまで、当該水系紫外線硬化性システムに関して種々の検討が行われてきた。本システムによれば、含水量を調節することによって、噴射又は圧延するために必要な粘性を有する樹脂を容易に調節すること等が可能となる。
以上のような状況に鑑み、各種の機能を有する硬化物が被覆されたプラスチックフィルムの開発の一環として、保湿性や抗菌作用を有するキトサンを用いて高分子材の表面を加工する技術が開発されてきた。
また、(特許文献2)には、PEやPP等の高分子製品の表面に紫外線照射してキトサンを被覆する方法が開示されているが、固着性は十分なものではなかった。
また、従来のキトサンは耐酸性が劣ることから、酸性物質を包装する際には問題となっていた。
以上のように、本発明に係るキトサン誘導体又はその塩が水溶性活性エネルギー線硬化性組成物として優れた性能を有し、プラスチックフィルムの表面を被覆する際に優れた性能を発揮することはこれまで知られていなかった。
該硬化性組成物が活性エネルギー線照射によって硬化した膜により被覆されたプラスチックフィルム、その製造方法、及び被覆されたプラスチックフィルムを用いた食品用又は医療用包装材を提供することにより上記課題を解決する。
R1における好ましい重合性官能基としては、式(2)〜(8)
これらの反応条件は、導入する基に応じて適宜選択して、通常公知の方法によって設定することができる。
好ましい構成単位の構造としては、具体的には、例えば以下の一般式(17)〜(20)で表される構造を有する構成単位が挙げられるが、これらに限るものではない。
置換された割合は、以下のようにプロトンNMR測定によってその値を求めることができる。即ち、プロトン核磁気共鳴チャートから、キトサンに置換したR1又はR2の二重結合の水素原子数と、キトサンの骨格を形成する炭素原子に結合した水素原子の内、酸素原子或いは窒素原子に隣接する炭素に置換した水素原子数6個(キトサン骨格の1位炭素に結合した水素:1個、同2位:1個、同3位:1個、同5位:1個、同6位2個、合計6個)との比率を求め、その数値からキトサン誘導体中に存在する二重結合の割合を算出する。
置換された割合(%)=((観測されるアクリロイル基の水素原子数)/6)/(100%置換された場合の水素原子数3/キトサンの有する水素原子数6)
上記の置換された割合(%)は、特に制限はないが、好ましくは5%以上200%以下であり、より好ましくは、20%以上150%以下の割合を挙げることができる。
前記キトサン誘導体の分子量に特に制限はないが、好ましくは500〜30,000の重量平均分子量を挙げることができる。
上記キトサンは、単一の重合度を持つものであっても、種々の重合度を持つキトサンの混合物であってもよいが、好ましくは溶媒分別法等により重合度分布を狭めたものが好ましく、例えば各種クロマト法等により一定の重合度を持つオリゴ糖に精製したものが好ましい。
これらの塩は、公知の方法によって得ることができ、毒性低減のため、塩は無毒性か低毒性であることが好ましい。
本発明に使用が可能なアクリル樹脂は、例えば有機ジイソシアネートのイソシアヌレート化物(イソシアヌレート型ポリイソシアネート)に、1分子中に1個の水酸基及び1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を付加することにより得ることができる。有機ジイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート等の上記各種の芳香環含有ジイソシアネート化合物を水素化して得られる化合物等が挙げられるが、これらに限らない。
分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
光重合開始剤を使用する場合の配合量は、活性エネルギー線硬化性組成物の0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
そのような光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類が挙げられる。
生分解性フィルムとしは、通常公知のものを使用することが可能で、例えば、ポリ乳酸フィルムが挙げられる。
紫外線の発生源としては、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、低圧、高圧、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、太陽光線などがある。紫外線の照射強度は、終始一定の強度でも行って良いし、硬化途中で強度を変化させることにより、硬化後の物性を微調整することもできる。
紫外線の他、活性エネルギー線として、例えば可視光線、電子線類の活性エネルギー線も用いることができる。
温度計、還流冷却管を装着した4つ口丸底フラスコ中で、20〜30℃でキトサン10gをメタンスルホン酸150gに溶解し、11.3gのアクリル酸クロリドを添加し、5時間反応させた。アルコール/エーテルによって生成物を沈殿させ、下記構成単位(A1)〜(A3)を有するキトサン誘導体(A)を得た。
IR(cm−1):1732(エステル基のC=O伸縮振動)、1633(アミド基のC=O伸縮振動)、781(C=C伸縮振動)
NMR(d6−DMSO、ppm):6.2(H2−C=C)
(合成例2)キトサンと無水マレイン酸との反応
IR(cm−1):1733(エステル基のC=O伸縮振動)、1654(アミド基のC=O伸縮振動)、775(C=C伸縮振動)
NMR(d6−DMSO、ppm):6.8(トランス体:H−C=C)、6.2(シス体:H−C=C)
置換された割合(%):50%
10gのキトサンの替わりに10gの(実施例2)で得られた化合物(B)を用いた他は、実施例1と同様にして、下記構成単位(C1)〜(C4)を有するキトサン誘導体(C)を得た。
IR(cm−1):1739(エステル基のC=O伸縮振動)、1633(アミド基のC=O伸縮振動)、806(C=C伸縮振動)
NMR(d6−DMSO、ppm):6.8(トランス体:H−C=C)、6.3(H2−C=C)、6.2(シス体:H−C=C)
置換された割合(%):85%
11.3gのアクリル酸クロリドの替わりに15.1gのアリルブロマイドを用い、5時間反応させる替わりに2日間反応させる他は、実施例1と同様にして、下記構成単位(D1)〜(D2)を有するキトサン誘導体(D)を得た。
IR(cm−1):780(C=C伸縮振動)
NMR(d6−DMSO、ppm):6.0(H2−C=C)
11.3gのアクリル酸クロリドの替わりに20.8gのp−ビニルベンゾイルクロリドを用いた他は、実施例1と同様にして、下記構成単位(E1)〜(E2)を有するキトサン誘導体(E)を得た。
IR(cm−1):1740(エステル基のC=O伸縮振動)、1625(アミド基のC=O伸縮振動)、780(C=C伸縮振動)
NMR(d6−DMSO、ppm):6.2(H2−C=C)
100gのキトサンを40%水酸化ナトリウム水溶液1000mLとイソプロパノール400mLの混合溶媒に添加し、一夜攪拌した。280gのクロロ酢酸の100mLイソプロパノール溶液を添加し、50℃で8時間攪拌した。沈殿物をろ過後、エタノールで洗浄し、水に溶解した。溶液を塩酸で中和し、沈殿物を得た。
NMR(d6−DMSO、ppm):5.8(H2−CH=C)、5.2(H2−CH=C)
置換された割合(%):20%
(合成例7)
実施例6におけるアリルブロミドの替わりに、無水マレイン酸を用いて同様の反応を行い、下記構成単位(G1)〜(G3)を有するキトサン誘導体(G)を得た。
NMR(d6−DMSO、ppm):6.8(トランス体:H−C=C)、6.2(シス体:H−C=C)
(合成例8)
実施例6におけるアリルブロミドの替わりに、アクリル酸クロリドを用いて同様の反応を行い、下記構成単位(H1)〜(H3)を有するキトサン誘導体(H)を得た。
NMR(d6−DMSO、ppm):6.3(H2−C=C)
合成例1で得られたキトサン誘導体(A):キトサンPSH−80(分子量800000、焼津水産化学工業社製)=30:70(質量比率)のキトサン混合物10gを水1000mLに分散した後、1質量%キトサン水溶液(I)を調整した。得られた1質量%キトサン水溶液(I)を、表面エネルギーが40〜42mN/mになるようにコロナ放電処理を行ったポリプロピレンフィルム(PC600S、サンアロマー社製)上に20g/m2になるように、ワイヤドローダウンロッドを用いて塗布し、85℃で5分間乾燥させた(合成例1で得られたキトサン誘導体(A)とキトサンPSH−80の合計量として、0.2g/m2相当)。
その後、塗布表面に高圧水銀ランプを使用して紫外線を照射し、硬化膜が塗布したプラスチックフィルム(a)を得た。
(紫外線強度:140mW/cm2、紫外線照射量:220〜270mJ/cm2、波長域:350〜450nm、30秒間照射)
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例2で得られたキトサン誘導体(B)を用いる他は、実施例1と同様にして、プラスチックフィルム(b)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例3で得られたキトサン誘導体(C)を用いる他は、実施例1と同様にして、プラスチックフィルム(c)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例4で得られたキトサン誘導体(D)を用いる他は、実施例1と同様にして、プラスチックフィルム(d)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例5で得られたキトサン誘導体(E)を用いる他は、実施例1と同様にして、プラスチックフィルム(e)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例6で得られたキトサン誘導体(F)を用いる他は、実施例1と同様にして、プラスチックフィルム(f)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例7で得られたキトサン誘導体(G)を用いる他は、実施例1と同様にして、プラスチックフィルム(g)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例8で得られたキトサン誘導体(H)を用いる他は、実施例1と同様にして、プラスチックフィルム(h)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりにキトサンPSH−80を用いる他は、実施例1と同様にして、プラスチックフィルム(i)を得た。
<試験方法>
実施例1〜8で得られたプラスチックフィルム(a)〜(h)、比較例1で得られたプラスチックフィルム(i)を1質量%酢酸水溶液に添加し24時間浸透させた。試料を酢酸水溶液から取り出し、2時間水中に静置した。試料を水中から取り出し、80℃で2時間乾燥後、赤外吸収スペクトルを測定した。
・使用機器:ATR−FTIR 分光器(Nicolet Avatar 370DTGS、日本サーモ社製)
・測定方法:キトサンに特有の吸収波長を有する1500〜1800cm−1までの吸収波形から面積を積算し、1質量%酢酸水溶液処理前と処理後で比較した。
次に、以下の式に従って、キトサンの残存率(%)を算出して、耐酸性の評価を行った。
残存率(%)=(処理後の面積)/(処理前の面積)×100
残存率 略100%:◎
残存率 90〜略100%未満:○
残存率 90%未満 :×
<評価方法>
JIS Z 2801−2000(プラスチック製品などの試験方法)に従って試験を行い、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する抗菌作用を下記判定基準により確認した。
結果を表2に示す。
○:対象区との増減値差2.0以上
×:対象区との増減値差2.0未満
キトサン誘導体(A)〜(H)についての毒性試験を行った。
使用動物:雄性マウス(各化合物について5匹使用、体重20〜25g)
投与法:試験化合物500mg/水1mLの混合液を、0.4mL/体重20g(20mL/kg)経口投与
投与量:試験化合物10g/kg
その結果、いずれの試験化合物においても死亡が観察されず、本発明化合物は低毒性であることが確認された。
Claims (5)
- 前記プラスチックフィルムが、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、及び生分解性フィルムからなる群から選ばれる1である請求項1に記載のプラスチックフィルム。
- 前記硬化物が活性エネルギー線を照射することにより得られるものである請求項1又は2に記載のプラスチックフィルム。
- 前記活性エネルギー線が紫外線である請求項3に記載のプラスチックフィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックフィルムを用いた食品用包装材又は医療用包装材。
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