JP2010253692A - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010253692A
JP2010253692A JP2009103119A JP2009103119A JP2010253692A JP 2010253692 A JP2010253692 A JP 2010253692A JP 2009103119 A JP2009103119 A JP 2009103119A JP 2009103119 A JP2009103119 A JP 2009103119A JP 2010253692 A JP2010253692 A JP 2010253692A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
pressure chamber
elastic layer
diaphragm
inkjet head
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009103119A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5332859B2 (ja
Inventor
Hiroko Yoshida
裕子 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2009103119A priority Critical patent/JP5332859B2/ja
Publication of JP2010253692A publication Critical patent/JP2010253692A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5332859B2 publication Critical patent/JP5332859B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】高精度が求められる難しい工程を必要とせずに初期変形をなくし、必要量のインクを吐出することができるインクジェットヘッドを提供することである。
【解決手段】圧力室19の側壁となる基板10と、圧力室19の上壁となる振動板とを有し、該振動板の変形動作により圧力室19内のインクを吐出させるインクジェットヘッド23において、振動板は、下から順に、弾性層20、拡散防止層10a、下電極密着層13、下電極14、圧電層15、上電極密着層17、上電極18が積層されてなり、弾性層20は、圧力室19内の拡散防止層10aの下に形成され、拡散防止層10aより厚く、その残留応力は拡散防止層10aの残留応力より小さい構成とする。
【選択図】図1K

Description

本発明は、インクジェットプリンタのインクジェットヘッド及びその製造方法に関する。
近年、インクジェットプリンタが高速印刷、低騒音、高精細印刷、低コストなどの理由により、急速に普及している。このインクジェットプリンタにはインクを適正な量だけ吐出させるインクジェットヘッドが備えられている。一般に、インクジェットヘッドは、弾性層を圧電体により変形させてインクを吐出させる圧電駆動型と、ヒータによる加熱でインク内に気泡を発生させ、その圧力でインクを吐出させるサーマル型とがある。ここでは圧電駆動型を取り上げる。
従来のインクジェットヘッドの構成は、下から順に、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレート、圧力室の側壁となる基板、弾性層、圧電層の元素が基板へ拡散するのを防止する拡散防止層、下電極、圧電層、上電極となっている。なお、拡散防止機能を兼ね備えた弾性層を使用することにより、拡散防止層を省略する場合もある。インクジェットヘッドを高密度化するため、微細加工に適した構成として圧力室の基板をSi基板で形成し、圧電層を塗布やスパッタで作製する薄膜型にする方法が一般的である。
このインクジェットヘッドは、基板に弾性層、下電極、圧電層、上電極を順に積層した後、基板を掘り込んで圧力室を形成し、別に作製しておいたノズルプレートを貼着することで作製される。ここで、弾性層、下電極、圧電層、上電極には、それぞれ積層した際の条件による残留応力が生じている。そのため、弾性層、下電極、圧電層、上電極を積層した後に基板を掘り込んで弾性層の底面を露出させると、残留応力が開放され、一体となった層が上方又は下方に撓んでしまうという初期変形が生じる。
初期変形があると、圧電層を駆動させたときの変形量が実質的に小さくなり必要量のインクが吐出できなくなるという問題や弾性層の耐久性が低下するという問題がある。また、圧電層が十分な圧電特性を発揮しないという問題もある。初期変形に最も大きく作用している層は、残留応力が大きく且つ厚い弾性層であるが、弾性層として機能するためには十分な厚みが必要であり、拡散防止層として機能するためにはその材質や種類を変えて残留応力の低減を図ることは困難である。
そこで、予め圧電層を所望の方向に撓ませておく手法(特許文献1参照)や弾性層に段差部を形成して応力を吸収させる手法(特許文献2参照)などが提案されている。
特許第4202467号公報 特開平11−291486号公報
しかしながら、特許文献1の手法では、成膜条件が厳しく、膜を引っ張る工程もあり、高精度な制御が必要であるため不安定である。したがって、制御にコストが掛かるとともに、安定した品質で量産することが難しい。
また特許文献2の手法では、段差部を高精度で形成することが難しく、圧電層の駆動性能にばらつきが生じる原因となる。
本発明は、高精度が求められる難しい工程を必要とせずに初期変形をなくし、必要量のインクを吐出することができるインクジェットヘッドを提供することを目的とする。また、その製造方法を提供することも目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、圧力室の側壁となる基板と、前記圧力室の上壁となる振動板とを有し、該振動板の変形動作により前記圧力室内のインクを吐出させるインクジェットヘッドにおいて、前記振動板は、下から順に、弾性層と、拡散防止層と、圧電層とを含み、前記弾性層は、前記圧力室内の前記拡散防止層の下に形成され、前記拡散防止層より厚く、その残留応力は前記拡散防止層の残留応力より小さいことを特徴とする。
この構成によれば、圧電層の下に残留応力の小さい弾性層を設けることができる。
上記のインクジェットヘッドにおいて、具体的に前記弾性層は、前記拡散防止層、前記圧電層及び前記圧力室の形成後に形成することになる。
また上記のインクジェットヘッドにおいて、前記振動板は、下から順に、前記弾性層、前記拡散防止層、下電極密着層、下電極、前記圧電層、上電極密着層、上電極が積層されてなる構成とすることが望ましい。
また上記のインクジェットヘッドにおいて、前記弾性層が半金属、金属、金属酸化膜、窒化膜又は樹脂であることが好ましい。
また上記のインクジェットヘッドにおいて、前記弾性層がSi、SiO2又はSiNであることが好ましい。
また本発明は、圧力室の側壁となる基板と、前記圧力室の上壁となる振動板とを有し、該振動板は、下から順に、弾性層と、拡散防止層と、圧電層とを含み、前記振動板の変形動作により前記圧力室内のインクを吐出させるインクジェットヘッドの製造方法であって、前記基板の上面に前記拡散防止層及び前記圧電層を含む複数の層を積層し、前記基板を掘り込んで前記圧力室を形成し、前記圧力室内の前記拡散防止層の下に、前記拡散防止層より厚く、前記拡散防止層の残留応力より小さい残留応力を有する前記弾性層を形成することを特徴とする。
この製造方法によれば、圧電層の下に残留応力の小さい弾性層を設けることができる。
上記のインクジェットヘッドの製造方法において、前記振動板は、下から順に、前記弾性層、前記拡散防止層、下電極密着層、下電極、前記圧電層、上電極密着層、上電極が積層されてなる構成とすることが望ましい。
また上記のインクジェットヘッドの製造方法において、前記弾性層が半金属、金属、金属酸化膜、窒化膜又は樹脂であることが好ましい。
また上記のインクジェットヘッドの製造方法において、前記弾性層がSi、SiO2又はSiNであることが好ましい。
本発明によると、圧力室の形成後に圧電層の下に残留応力の小さい弾性層を積層するという簡単な工程により、振動板の初期変形をほぼなくすことができるので、圧電層を駆動させたときに設計通りの変形量が得られ、必要量のインクを吐出することができる。また初期変形に起因する、弾性層の耐久性が低下するという問題もなく、圧電層が十分な圧電特性を発揮しないという問題も生じない。
本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドの製造工程を説明する図である。 本発明のインクジェットヘッドをノズルプレート側から見た平面図である。 比較例のインクジェットヘッドの縦断面図である。 実施例の振動板の各層の物性の一覧を示す図である。 比較例の振動板の各層の物性の一覧を示す図である。
図1A〜図1Kは、本発明のインクジェットヘッドの各製造工程を説明する図である。まず、図1Aに示すような、熱酸化膜などの酸化膜が両面に付いている基板10を用意する。基板10はインクジェットヘッドのボディ及び圧力室の側壁になる部材であり、加工性が高いSi基板を使用する。このときSi基板を熱酸化することにより、両面に熱酸化膜(SiO2)が形成される。酸化膜はSiO2以外の膜でもよく、例えばMgOであれば、MgO基板とSi基板を貼り合わせ、MgO面を研磨することで作製することができる。
基板10上面の酸化膜には、後述する圧電層の元素が基板10へ拡散するのを防止する機能が必要であるので、上記の熱酸化などのようなバリア性能の高い膜が得られる手法が有効である。但し、このような手法で作製した酸化膜は残留応力(成膜条件によって膜が保持することになる単位面積当たりの力)が大きい。ここでは、熱酸化膜の残留応力は圧縮応力であり、後述する弾性層の残留応力に比べると非常に大きい。
以下では、基板10上面の酸化膜を拡散防止層10aと呼ぶ。拡散防止層10aは、上記のように残留応力が大きいため、その厚みが後述する振動板の初期変形に大きく作用する。したがって、拡散防止層10aは、拡散防止機能を発現する範囲でなるべく薄くすることで初期変形への作用を小さくすることができ、好ましい。
次に、図1Bに示すように、基板10を掘り込む際のマスクとなるマスク層11を、基板10の下面に形成する。マスク層11としては、SiO2などを用いることができ、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)−CVD法で成膜できる。熱酸化膜とマスク層11とが同材質であっても、後述する基板10の掘り込みが深いので、熱酸化膜の厚みだけではマスクとして足りないためマスク層11が必要となる。
次に、図1Cに示すように、マスク層11にレジスト12を塗布し、露光、現像してレジストパターンを得る。ここでのパターンは圧力室加工用である。パターンの形状としては、ここでは円形とするが、その形状には特に限定はなく、楕円形、多角形なども採用することができる。ここでの円形パターンの直径は0.05〜5mmであればよい。
次に、図1Dに示すように、レジスト12をマスクにしてマスク層11をエッチングすることで、レジスト12で保護されていないマスク層11を除去する。例えば、RIE装置でCHF3ガスでドライエッチングすればよい。
次に、図1Eに示すように、基板10の上面に下電極密着層13を、続けて下電極14を形成する。下電極密着層13としてはTiなどを、下電極14としてはPtなどを用い、スパッタなどで成膜することができる。ここで、下電極14は拡散防止層10aとともに、後述する圧電層の元素が基板10へ拡散するのを防止する役割もある。また、下電極14は、後述する圧電層の配向を揃える役割もある。
次に、図1Fに示すように、下電極14の上面に圧電層15を形成する。圧電層15は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)をスパッタなどで成膜したものである。この圧電層15は、圧電特性が得られるペロブスカイト相の〈111〉に配向している。圧電層15は電圧の印加により変形するものであれば、収縮するものでも膨張(伸張)するものでもよい。
次に、図1Gに示すように、圧電層15の上面にリフトオフ用のレジスト16を塗布し、露光、現像してレジストパターンを得る。ここでのパターンは上電極を形成するためのものである。そして、その上に上電極密着層17を、続けて上電極18を形成する。上電極密着層17としてはCrなどを、上電極18としてはAuなどを用い、蒸着などで成膜することができる。
次に、図1Hに示すように、剥離液に浸漬してレジスト16を除去することで、パターニングされた上電極18を得る。
次に、図1Iに示すように、圧力室19を形成する。圧力室19は、マスク層11をマスクにして拡散防止層10aに達するまで基板10を深堀加工することで形成される。深堀加工は、例えば、ICP装置のボッシュプロセスで行うことができる。この加工によりマスク層11はほぼなくなるので、改めて除去する必要はない。圧力室19の水平断面形状は、ここではマスク層11が円形パターンであるので、円形となる。
次に、図1Jに示すように、圧力室19内の拡散防止層10aの下面に、弾性層20を形成する。なお、弾性層20の成膜時に圧力室19内の側壁に極薄く膜が付くが、駆動に影響を与える膜厚ではないので問題にならない。既に拡散防止層10aがあるため、この弾性層20には圧電層15の拡散を防止する機能は不要である。したがって、その材質や種類に大きな制約はなく、少なくともインク耐性を有すればよく、Siなどの半金属やSiO2、Al23、Cr23、MgOなどの金属酸化膜やSiNなどの窒化膜やエポキシ、アクリル、ポリイミドなどの樹脂を用いることができる。
弾性層20は、その残留応力が拡散防止層10aの残留応力より小さくなる手法で成膜する。例えば、圧力室19側からCVD法で成膜した場合、弾性層20の残留応力は圧縮応力であり、拡散防止層10aの残留応力に比べると非常に小さくなる。なお、弾性層20をCVD法で成膜した場合、図1Jに示すように、掘り込まれていない基板10の下面にも成膜されてしまうが、特に問題はないので除去する必要はない。なお、除去する設計でもよい。
また、弾性層20は、十分な弾性によって圧電層15の変形に応じて撓むよう、適切な剛性をもたせる必要がある。膜厚が薄いと剛性が低くなり、圧電層15の変形と同じ動きをしてしまう。この場合、膜を撓ませることができず、また耐久性も低くなる。少なくとも拡散防止層10aより厚くなければ必要な剛性が得られない。また、弾性層20は、それより上の層が薄いために生じる強度不足を補う役割も兼ねているので、十分な厚みが必要である。
次に、図1Kに示すように、基板10の下(図1Kでは基板10の下面に形成された弾性層20の下面)にガラス基板21を、ガラス基板21の下面にノズルプレート22を、陽極接合などで貼り合わせることで、インクジェットヘッド23が完成する。ガラス基板21には圧力室19に連通するインク吐出用の穴21aが空いている。ノズルプレート22には穴21aに連通するインク吐出用の2段穴であるノズル22aが空いている。ノズルプレート22としては、Si、ガラス、ポリイミド、感光性樹脂などを用いることができる。
図2は、インクジェットヘッド23をノズルプレート22側から見た平面図である。ノズル22aが一列に形成されているのがわかる。
以下、インクジェットヘッド23において、弾性層20、拡散防止層10a、下電極密着層13、下電極14、圧電層15、上電極密着層17、上電極18をまとめて振動板と呼ぶ。振動板は圧力室19の上壁にもなっている。
このようにして作製されたインクジェットヘッド23は、インクジェットプリンタ本体(不図示)に取り付けられ、インクジェットヘッドにはインクタンク(不図示)が取り付けられる。インクジェットヘッドとインクタンクとはインク流路(不図示)によって繋がっている。このように構成することにより、所定の電圧を印加すると、圧電層15が変形し、それに応じて振動板全体が変形し、圧力室19内のインクがノズル22aから吐出される。
なお上記の実施形態において、振動板に含まれる層の数には特に限定はなく、上述した数より多くても少なくてもよい。
次に、具体的な実施例について説明する。なお、上記の実施形態と同様の部材には同符号を付すことで各図面に対応させる。
まず、Si基板に熱酸化膜であるSiO2が両面に付いている基板10を用意する(図1A参照)。基板10の厚みは400μmであり、熱酸化膜の厚みは0.1μmである。この熱酸化膜である拡散防止層10aの残留応力は圧縮応力で340MPaである。
次に、TEOS−CVD法によりSiO2からなる2μm厚のマスク層11を、基板10の下面に成膜する(図1B参照)。
次に、マスク層11にレジスト12を塗布し、露光、現像してレジストパターンを得る(図1C参照)。ここでのパターンは、直径300μmの円形である。
次に、レジスト12をマスクにしてRIE装置でCHF3ガスでマスク層11をドライエッチングすることで、レジスト12で保護されていないマスク層11を除去する(図1D参照)。
次に、基板10の上面に20nm厚のTiからなる下電極密着層13を、続けて100nm厚のPtからなる下電極14をスパッタにより成膜する(図1E参照)。
次に、下電極14の上面にPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)をスパッタで600℃で成膜し、5μm厚の圧電層15を成膜する(図1F参照)。
次に、圧電層15の上面にリフトオフ用のレジスト16を塗布し、露光、現像してレジストパターンを得る(図1G参照)。ここでのパターンは上電極を形成するためのものであり、直径300μmの円形である。そして、その上に10nm厚のCrからなる上電極密着層17を、続けて200nm厚のAuからなる上電極18を蒸着により成膜する。
次に、剥離液に浸漬してレジスト16を除去することで、パターニングされた上電極18を得る(図1H参照)。
次に、圧力室19を形成する(図1I参照)。圧力室19は、マスク層11をマスクにして拡散防止層10aに達するまで基板10をICP装置のボッシュプロセスで深堀加工することで形成される。圧力室19の水平断面形状は、ここではマスク層11のパターンと同じ直径300μmの円形となる。
次に、次に、TEOS−CVD法によりSiO2からなる2μm厚の弾性層20を、圧力室19内の拡散防止層10aの下面に成膜する(図1J参照)。この弾性層20の残留応力は圧縮応力で90MPaである。なお、弾性層20は掘り込まれていない基板10の下面にも成膜されてしまうが、特に問題はないので除去しない。
次に、基板10の下(基板10の下面に形成された弾性層20の下面)に200μm厚のガラス基板21を、ガラス基板21の下面に300μm厚のSiからなるノズルプレート22を、陽極接合で貼り合わせることで、インクジェットヘッド23が完成する(図1K参照)。ガラス基板21には圧力室19に連通する直径100μmのインク吐出用の穴21aが空いている。ノズルプレート22には穴21aに連通する直径50μmと20μmのインク吐出用の2段穴であるノズル22aが空いている。
次に、上記の実施例と比較する目的で一般的な構成の以下の比較例を作製した。図3は、比較例のインクジェットヘッド30の縦断面図である。インクジェットヘッド30は、実施例の弾性層20の代わりに、下電極密着層13の下面に拡散防止機能を備えた2μm厚のSiO2からなる弾性層31が形成されてなる。この弾性層31は熱酸化膜であり、下電極密着層13を積層する前に基板10を加熱することにより形成される。その他の構成は上記の実施例のインクジェット23と同じである。
インクジェットヘッド30においては、弾性層31、下電極密着層13、下電極14、圧電層15、上電極密着層17、上電極18をまとめて振動板と呼ぶ。
そして、実施例及び比較例の振動板の初期変形を測定したところ、比較例では圧力室側(下側)に4000〜50000nm撓んでいたが、実施例では圧力室側(下側)に30〜40nm撓んでいるだけであった。
このように、実施例では振動板の初期変形がほとんどないことから、圧電層15を駆動させたときに設計通りの変形量が得られ、必要量のインクを吐出することができる。また初期変形に起因する、弾性層の耐久性が低下するという問題もなく、圧電層15が十分な圧電特性を発揮しないという問題も生じない。
次に、振動板の変形効率を良くするための条件という観点から、上記の実施例と比較例の物性を比較検討する。図4は、実施例の振動板の各層の物性の一覧であり、図5は、比較例の振動板の各層の物性の一覧である。
まず、図4、図5で挙げた膜厚とヤング率との関係について説明する。圧電層15は電圧が印加されると収縮し、圧電層15の周囲の層も収縮させようとする。このとき、周囲の層の剛性が小さければ圧電層15の収縮に追随してしまい振動板全体としては収縮することになるが、周囲の層の剛性がある程度大きければ振動板全体としては撓むことになる。そして周囲の層の剛性がさらに大きければ振動板全体としては変形しなくなる。
ここでいう剛性は、ヤング率に層厚方向の断面積を乗じて算出される剛性である。断面積は層厚×圧力室の幅である。ここで、インクジェットヘッド23、30において圧力室の幅は一定であるので、各層の剛性を比較するにはヤング率×層厚の値を比較すればよいことになる。以下では剛性を比較する際にヤング率×層厚の値を用いる。
ここで、振動板の変形効率を良くするためには、圧電層15の剛性と圧電層15の弾性層側の層の剛性とが近いことが好ましい。比較例では、圧電層15の剛性(=300)と圧電層15の弾性層31側の層の剛性、つまり弾性層31、下電極密着層13、下電極14の剛性の和(=266+2.32+15.2=283.52)とが近くなっている。
これは、弾性層31を厚くすることで、圧電層15の剛性と圧電層15の弾性層31側の層の剛性とが近くなるように設計されている。しかしながら、弾性層31は熱酸化膜であるため実施例の拡散防止層10aと同じく残留応力が大きいので、弾性層31が厚いのと合わせて振動板の初期変形が生じることになる。弾性層31は圧電層15の拡散を防止する機能も必要なため、その材質や種類を変えて残留応力の低減を図ることは困難である。
一方、実施例では、圧電層15の剛性(=300)と圧電層15の弾性層20側の層の剛性、つまり弾性層20、拡散防止層10a、下電極密着層13、下電極14の剛性の和(=266+13.3+2.32+15.2=296.82)とが近くなっている。
これは、弾性層20を厚くすることで、圧電層15の剛性と圧電層15の弾性層20側の層の剛性とが近くなるように設計されている。ここで、弾性層20の残留応力は上述したように90MPaと小さいため、その弾性層20が厚くても振動板の初期変形はほとんど生じない。また、拡散防止層10aの残留応力は上述したように340MPaと大きいが、拡散防止層10aは弾性層20に比べて非常に薄いため振動板の初期変形にはあまり影響しない。
以上より、振動板の変形効率を良くするために、圧電層15の剛性と圧電層15の弾性層側の層の剛性とが近くなるように設計すると、実施例及び比較例のように弾性層20、31を厚くする必要がある。そうすると、比較例では弾性層31を厚くすると弾性層31の残留応力が大きいため振動板の初期変形が生じるが、実施例では弾性層20を厚くしても弾性層20の残留応力が小さいため振動板の初期変形はほとんどない。したがって、実施例では振動板の変形効率を最適に保ちながら、振動板の初期変形も抑えているといえる。
上層の剛性と圧電層の剛性とが近いと変形効率は高くなるが、加工性、耐久性などの観点から、圧電変位をある程度犠牲にして両層構成の剛性を調整した構成をとることもある。
本発明は、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドであって、振動板の変形動作により圧力室内のインクを吐出させるものに利用することができる。
10a 拡散防止層
13 下電極密着層
14 下電極
15 圧電層
17 上電極密着層
18 上電極
19 圧力室
20 弾性層
23 インクジェットヘッド

Claims (9)

  1. 圧力室の側壁となる基板と、前記圧力室の上壁となる振動板とを有し、該振動板の変形動作により前記圧力室内のインクを吐出させるインクジェットヘッドにおいて、
    前記振動板は、下から順に、弾性層と、拡散防止層と、圧電層とを含み、
    前記弾性層は、前記圧力室内の前記拡散防止層の下に形成され、前記拡散防止層より厚く、その残留応力は前記拡散防止層の残留応力より小さいことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記弾性層は、前記拡散防止層、前記圧電層及び前記圧力室の形成後に形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記振動板は、下から順に、前記弾性層、前記拡散防止層、下電極密着層、下電極、前記圧電層、上電極密着層、上電極が積層されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記弾性層が半金属、金属、金属酸化膜、窒化膜又は樹脂であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記弾性層がSi、SiO2又はSiNであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェットヘッド。
  6. 圧力室の側壁となる基板と、前記圧力室の上壁となる振動板とを有し、該振動板は、下から順に、弾性層と、拡散防止層と、圧電層とを含み、前記振動板の変形動作により前記圧力室内のインクを吐出させるインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記基板の上面に前記拡散防止層及び前記圧電層を含む複数の層を積層し、
    前記基板を掘り込んで前記圧力室を形成し、
    前記圧力室内の前記拡散防止層の下に、前記拡散防止層より厚く、前記拡散防止層の残留応力より小さい残留応力を有する前記弾性層を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 前記振動板は、下から順に、前記弾性層、前記拡散防止層、下電極密着層、下電極、前記圧電層、上電極密着層、上電極が積層されてなることを特徴とする請求項6記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 前記弾性層が半金属、金属、金属酸化膜、窒化膜又は樹脂であることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 前記弾性層がSi、SiO2又はSiNであることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェットヘッドの製造方法。
JP2009103119A 2009-04-21 2009-04-21 インクジェットヘッド及びその製造方法 Active JP5332859B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009103119A JP5332859B2 (ja) 2009-04-21 2009-04-21 インクジェットヘッド及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009103119A JP5332859B2 (ja) 2009-04-21 2009-04-21 インクジェットヘッド及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010253692A true JP2010253692A (ja) 2010-11-11
JP5332859B2 JP5332859B2 (ja) 2013-11-06

Family

ID=43315197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009103119A Active JP5332859B2 (ja) 2009-04-21 2009-04-21 インクジェットヘッド及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5332859B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000246895A (ja) * 1999-03-02 2000-09-12 Seiko Epson Corp インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2008085353A (ja) * 2007-10-19 2008-04-10 Seiko Epson Corp 圧電体素子及び液体吐出ヘッド
JP2009061729A (ja) * 2007-09-07 2009-03-26 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000246895A (ja) * 1999-03-02 2000-09-12 Seiko Epson Corp インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2009061729A (ja) * 2007-09-07 2009-03-26 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2008085353A (ja) * 2007-10-19 2008-04-10 Seiko Epson Corp 圧電体素子及び液体吐出ヘッド

Also Published As

Publication number Publication date
JP5332859B2 (ja) 2013-11-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7695118B2 (en) Piezoelectric inkjet printhead and method of manufacturing the same
US7669967B2 (en) Printhead having hydrophobic polymer coated on ink ejection face
US9415593B2 (en) Ink jet head and manufacturing method of the same
US20080225076A1 (en) Method of fabricating printhead having hydrophobic ink ejection face
US7976132B2 (en) Printhead having moving roof structure and mechanical seal
US10232616B2 (en) Liquid ejection head
JP5582251B2 (ja) 圧電アクチュエータおよびそれを備えたインクジェットヘッド
JP5205396B2 (ja) 疎水性のインク噴射面を有する印刷ヘッドを製造する方法
US8485639B2 (en) Inkjet print head and method for manufacturing the same
JP5169973B2 (ja) インクジェットヘッド
JP5332859B2 (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JP4435112B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
US10265956B2 (en) Liquid ejection head and method of manufacturing liquid ejection head
JP2004209740A (ja) 液体吐出ヘッド
JP6373433B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド
JP2010188694A (ja) 液体搬送装置
JP2007237525A (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
JP5904031B2 (ja) 薄膜アクチュエータおよびそれを備えたインクジェットヘッド
WO2011142232A1 (ja) 圧電アクチュエータ及びそれを備えたインクジェットヘッド
JP2007216669A (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
JP2006035517A (ja) 圧電インクジェットヘッド
JP2009124840A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP2007185871A (ja) アクチュエータおよびアクチュエータ形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121204

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130702

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130715

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5332859

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150