JP2000246895A - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置

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JP2000246895A
JP2000246895A JP11053868A JP5386899A JP2000246895A JP 2000246895 A JP2000246895 A JP 2000246895A JP 11053868 A JP11053868 A JP 11053868A JP 5386899 A JP5386899 A JP 5386899A JP 2000246895 A JP2000246895 A JP 2000246895A
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jet recording
recording head
pressure generating
generating chamber
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JP11053868A
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Tetsuji Takahashi
哲司 高橋
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Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動板の能動面側へのインクの侵入を防止し
て圧電材料層の不良の発生を抑え、耐久性を向上したイ
ンクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装
置を提供する。 【解決手段】 ノズル開口に連通する圧力発生室12が
画成される流路形成基板10と、該流路形成基板10の
一方面に振動板を介して設けられ且つ少なくとも下電極
60、圧電体層70及び上電極80を有する圧電素子と
を具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記
振動板は、少なくとも前記圧力発生室12に対向する領
域全面に、有機材料からなる有機膜90を有し、振動板
の能動面側へのインクの侵入を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板の表面に圧電素子を形成して、圧電素
子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
【0003】前者は圧電素子の端面を振動板に当接させ
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
【0006】これによれば圧電素子を振動板に貼付ける
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電アクチュエータの厚みを薄くできて高速
駆動が可能になるという利点がある。なお、この場合、
圧電材料層は振動板の表面全体に設けたままで少なくと
も上電極のみを各圧力発生室毎に設けることにより、各
圧力発生室に対応する圧電アクチュエータを駆動するこ
とができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなインクジェット式記録ヘッドでは、圧電材料層の不
良によって、圧電素子の駆動不良が発生してしまうとい
う問題がある。すなわち、圧電素子の駆動の際に、圧電
材料層に点欠陥等が発生し、この点欠損から小破壊が起
こる場合がある。この小破壊だけで直ちに駆動不良とな
るわけではなく、さらにこの小破壊の衝撃によって振動
板にクラックが入り、このクラックから圧力発生室内の
インクが振動板の能動面側に侵入し、圧電材料層の不良
を引き起こしてしまうという問題がある。
【0008】本発明は、このような事情に鑑み、振動板
の能動面側へのインクの侵入を防止して圧電材料層の不
良の発生を抑え、耐久性を向上したインクジェット式記
録ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供すること
を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室が
画成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面に
振動板を介して設けられ且つ少なくとも下電極、圧電体
層及び上電極を有する圧電素子とを具備するインクジェ
ット式記録ヘッドにおいて、前記振動板は、少なくとも
前記圧力発生室に対向する領域全面に、有機材料からな
る有機膜を有することを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドにある。
【0010】かかる第1の態様では、有機膜によって、
振動板の能動面側へのインクの侵入が防止され、耐久性
が向上される。
【0011】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記有機膜が、少なくとも前記圧力発生室の底面を
構成していることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドにある。
【0012】かかる第2の態様では、圧力発生室内のイ
ンクが振動板の能動面側に侵入するのを防止することが
できる。
【0013】本発明の第3の態様は、第2の態様におい
て、前記有機膜が、前記圧力発生室の内側全面に形成さ
れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
【0014】かかる第3の態様では、圧力発生室内のイ
ンクが振動板の能動面側に侵入するのをより確実に防止
することができる。
【0015】本発明の第4の態様は、第1の態様におい
て、前記有機膜が、前記下電極の下側に設けられている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0016】かかる第4の態様では、圧力発生室内のイ
ンクが振動板の能動面側に侵入するのを防止することが
できる。
【0017】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記有機膜の膜厚が、当該有機膜を除
く前記振動板の膜厚の3倍以下であることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドにある。
【0018】かかる第5の態様では、有機膜を所定の厚
さとすることにより、圧電素子の駆動による振動板の変
位への影響が抑えられる。
【0019】本発明の第6の態様は、第1〜5の何れか
の態様において、前記有機膜が、ポリ−モノクロロ−パ
ラキシリレン、ポリ−パラ−キシリレン、ポリ−ジクロ
ロ−パラキシリレン及びポリイミドからなる群から選択
される材料からなることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
【0020】かかる第6の態様では、有機膜に特定の材
料を用いることにより、略均一な膜厚の有機膜を容易に
形成することができる。
【0021】本発明の第7の態様は、第2〜6の何れか
の態様において、前記有機膜がCVD法によって形成さ
れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
【0022】かかる第7の態様では、有機膜を比較的容
易且つ確実に形成することができる。
【0023】本発明の第8の態様は、第1〜7の何れか
の態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板
に異方性エッチングにより形成され、前記圧電素子の各
層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
【0024】かかる第8の態様では、高密度のノズル開
口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比
較的容易に製造することができる。
【0025】本発明の第9の態様は、第1〜8の何れか
のインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴と
するインクジェット式記録装置にある。
【0026】かかる第9の態様では、ヘッドの耐久性を
向上したインクジェット式記録装置を実現することがで
きる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0028】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、その平面図及び1つの圧力発生室の長
手方向における断面図である。
【0029】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0030】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
【0031】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0032】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板を水酸化カリウム等のアルカリ溶液に浸漬する
と、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(1
11)面と、この第1の(111)面と約70度の角度
をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第
2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチン
グレートと比較して(111)面のエッチングレートが
約1/180であるという性質を利用して行われるもの
である。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の
(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形
成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工
を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列する
ことができる。
【0033】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シ
リコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵さ
れる量がきわめて小さい。
【0034】一方、各圧力発生室12の一端に連通する
各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅
く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリ
コン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハー
フエッチング)することにより形成されている。なお、
ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行わ
れる。
【0035】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
【0036】また、各圧力発生室12と後述する共通イ
ンク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室1
2の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク
供給連通口21を介して連通されており、インクはこの
インク供給連通口21を介して共通インク室31から供
給され、各圧力発生室12に分配される。
【0037】封止板20は、前述の各圧力発生室12に
対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例
えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下
で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラ
スセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21
は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室1
2のインク供給側端部の近傍を横断する一つのスリット
孔21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであっ
てもよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10
の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外
力から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板2
0は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0038】共通インク室形成基板30は、共通インク
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
【0039】インク室側板40は、ステンレス基板から
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのイ
ンク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されて
いる。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生す
るノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するため
のもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を
経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。
本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給
手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側
板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mm
の薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄
肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の
厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0040】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子30
0を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極
膜60、圧電体膜70、及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体膜70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
膜70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施
形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極と
し、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としてい
るが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障は
ない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体
能動部が形成されていることになる。また、ここでは、
圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位
が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称す
る。
【0041】また、圧電素子300とは反対側の少なく
とも弾性膜50上、例えば、本実施形態では、圧力発生
室12の底面及び側面に、有機材料からなる有機膜90
が形成されている。したがって、少なくとも圧力発生室
12に対向する領域の弾性膜50上に形成された有機膜
90は、圧電素子300の駆動によって振動する振動板
の一部となる。
【0042】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10上に、圧電素子300等を形成するプロセ
スを図4及び図5を参照しながら説明する。
【0043】まず、図4(a)に示すように、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
【0044】次に、図4(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料
としては、白金等が好適である。これは、スパッタリン
グ法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、
成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜10
00℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるか
らである。すなわち、下電極膜60の材料は、このよう
な高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければなら
ず、殊に、圧電体膜70としてチタン酸ジルコン酸鉛
(PZT)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電
性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由から白
金が好適である。
【0045】次に、図4(c)に示すように、圧電体膜
70を成膜する。本実施形態では、金属有機物を溶媒に
溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、
さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体
膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成し
た。圧電体膜70の材料としては、PZT系の材料がイ
ンクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適であ
る。なお、この圧電体膜70の成膜方法は、特に限定さ
れず、例えば、スパッタリング法で形成してもよい。
【0046】さらに、ゾル−ゲル法又はスパッタリング
法等によりPZTの前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液
中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法を用い
てもよい。
【0047】次に、図4(d)に示すように、上電極膜
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多
くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態
では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0048】その後、図5(a)に示すように、圧電体
膜70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能
動部320のパターニングを行う。このようにして膜形
成を行った後、図5(b)に示すように、前述したアル
カリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッチング
を行い、圧力発生室12等を形成する。
【0049】その後、図5(c)に示すように、圧力発
生室12の底面、すなわち弾性膜50上及び側面に有機
膜90を形成する。この有機膜90の材料としては、特
に限定されないが、例えば、ポリ−モノクロロ−パラキ
シリレン、ポリ−パラ−キシリレン、ポリ−ジクロロ−
パラキシリレン又はポリイミド等を用いることが好まし
く、本実施形態では、パリレン(商品名:巴工業社製)
をCVD法によって形成した。なお、このパリレンは室
温でのCVDによって成膜することができるため、均一
な厚さの有機膜90を容易に形成することができる。
【0050】このように形成した本実施形態のインクジ
ェット式記録ヘッドの平面図及び断面図を図6に示す。
【0051】図6に示すように、圧電体能動部320は
基本的には圧力発生室12に対向する領域内に設けら
れ、圧電体膜70及び上電極膜80が圧力発生室12の
長手方向一端部から周壁に対向する領域まで連続的に延
設されている。また、下電極膜60は、並設された複数
の圧力発生室12に対応する領域に亘って設けられてい
る。
【0052】また、上述のように圧力発生室12の内面
には、その底面及び側面に有機膜90が設けられてお
り、圧力発生室12に対向する領域では、この有機膜9
0が振動板の一部を構成している。
【0053】この有機膜90は、圧電素子300の駆動
による振動板の振動を大きく妨げない程度の厚さとする
のが好ましい。すなわち、振動板全体の曲げ剛性が所定
値以下となるように有機膜90の膜厚を調整するのが好
ましい。
【0054】例えば、現状の振動板のヤング率Eは、約
1(GPa)であるため、振動板の厚さをTとして、振
動板を厚さ(T×a)だけ増加させたと仮定すると、振
動板全体の曲げ剛性Dは、下記式で表すことができる。
【0055】
【数1】D∝1(GPa)×(T+T×a)3
【0056】また、実験的に、現状の振動板の厚さを変
化させてその変位量の低下を測定したところ、上記式中
において、a≦3であれば、振動板の変位量の低下が約
25%程度に抑えられるこという結果が得られた。
【0057】ここで、本実施形態に用いられる有機膜9
0のヤング率も1(GPa)程度であるため、有機膜9
0の膜厚が(T×a)であると仮定すれば、この場合に
も上記式が成り立つことになる。
【0058】したがって、有機膜90の厚さを(有機膜
を除く)振動板の厚さの約3倍以下とすれば、有機膜9
0を付加した振動板の変位量を、有機膜90を付加しな
い振動板の変位量に対して約25%程度の低下に抑える
ことができる。
【0059】また、以上のような本実施形態の構成によ
れば、有機膜90によって圧力発生室12内のインクが
振動板の能動面側へ侵入するのを防止することができ
る。すなわち、圧電体膜70の小破壊で振動板の一部に
クラックが発生しても有機膜90は軟らかいためクラッ
クが発生しにくく、振動板に圧力発生室側から能動面側
に連続するクラックが生じることがない。これにより、
インクによる圧電体膜70の不良の発生を抑えることが
でき、ヘッドの耐久性を向上することができる。
【0060】なお、本実施形態では、有機膜90を圧力
発生室12の底面及び側面に形成するようにしたが、こ
れに限定されず、例えば、図7に示すように、有機膜9
0Aを圧力発生室12の底面のみを完全に覆って形成す
るようにしてもよい。また、例えば、図8に示すよう
に、有機膜90Bを弾性膜50と下電極膜60との間に
設けるようにしてもよい。
【0061】これらの何れの構成によっても、上述の実
施形態と同様に、有機膜90によって圧力発生室12内
のインクが振動板の能動面側に侵入するのを防止するこ
とができる。したがって、インクによる圧電体膜70の
不良を防止でき、ヘッドの耐久性を向上することができ
る。
【0062】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
【0063】例えば、上述の実施形態では、弾性膜に二
酸化シリコンを用いたが、これに限定されず、例えば、
ジルコニアを用いるようにしてもよい。
【0064】また、例えば、上述した封止板20の他、
共通インク室形成板30をガラスセラミックス製として
もよく、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセ
ラミックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由
である。
【0065】また、上述した実施形態では、ノズル開口
を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直
な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
【0066】このように構成した実施形態の分解斜視図
を図9、その流路の断面を図10にぞれぞれ示す。この
実施形態では、ノズル開口11が圧電振動子とは反対の
ノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11と
圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封止
板20,共通インク室形成板30及び薄肉板41A及び
インク室側板40Aを貫通するように配されている。
【0067】なお、本実施形態は、その他、薄肉板41
Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板
40Aに開口40bを形成した以外は、基本的に上述し
た実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付し
て重複する説明は省略する。
【0068】また、以上説明した各実施形態は、成膜及
びリソグラフィプロセスを応用することにより製造でき
る薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、
勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積
層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシ
ートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を
形成するもの、又は水熱法等の結晶成長により圧電体膜
を形成するもの等、各種の構造のインクジェット式記録
ヘッドに本発明を採用することができる。
【0069】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
【0070】また、これら各実施形態のインクジェット
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図11
は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図
である。
【0071】図11に示すように、インクジェット式記
録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、
インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが
着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び
1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付け
られたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
【0072】そして、駆動モータ6の駆動力が図示しな
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ3に沿
ってプラテン8が設けられている。このプラテン8は図
示しない紙送りモータの駆動力により回転できるように
なっており、給紙ローラなどにより給紙された紙等の記
録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられ
て搬送されるようになっている。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、少なく
とも圧力発生室に対向する領域の振動板に有機材料から
なる有機膜を含むようにしたので、圧電体膜の小破壊等
によって振動板にクラックが発生した場合でも、有機膜
は軟らかいためクラックの発生が極めて少なく、振動板
に圧力発生室側から能動面側に連続するクラックが生じ
ることがない。これにより、圧力発生室内のインクが振
動板の能動面側に侵入することがなく、インクによる圧
電体膜の破壊を防止することができ、耐久性を向上した
インクジェット式記録ヘッドを実現することができると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの平面図及び断面図である。
【図3】図1の封止板の変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面
図である。
【図5】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面
図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図7】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの変形例を示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式
記録ヘッドの分解斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
式記録ヘッドを示す断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るインクジェット式
記録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 11 ノズル開口 12 圧力発生室 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体膜 80 上電極膜 90 有機膜 300 圧電素子 320 圧電体能動部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室が画成
    される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面に振動
    板を介して設けられ且つ少なくとも下電極、圧電体層及
    び上電極を有する圧電素子とを具備するインクジェット
    式記録ヘッドにおいて、 前記振動板は、少なくとも前記圧力発生室に対向する領
    域全面に、有機材料からなる有機膜を有することを特徴
    とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記有機膜が、少な
    くとも前記圧力発生室の底面を構成していることを特徴
    とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記有機膜が、前記
    圧力発生室の内側全面に形成されていることを特徴とす
    るインクジェット式記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記有機膜が、前記
    下電極の下側に設けられていることを特徴とするインク
    ジェット式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記有
    機膜の膜厚が、当該有機膜を除く前記振動板の膜厚の3
    倍以下であることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記有
    機膜が、ポリ−モノクロロ−パラキシリレン、ポリ−パ
    ラ−キシリレン、ポリ−ジクロロ−パラキシリレン及び
    ポリイミドからなる群から選択される材料からなること
    を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項2〜6の何れかにおいて、前記有
    機膜がCVD法によって形成されていることを特徴とす
    るインクジェット式記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、前記圧
    力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングによ
    り形成され、前記圧電素子の各層が成膜及びリソグラフ
    ィ法により形成されたものであることを特徴とするイン
    クジェット式記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の何れかのインクジェット
    式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェッ
    ト式記録装置。
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