JP2010251437A - 圧粉磁心 - Google Patents

圧粉磁心 Download PDF

Info

Publication number
JP2010251437A
JP2010251437A JP2009097603A JP2009097603A JP2010251437A JP 2010251437 A JP2010251437 A JP 2010251437A JP 2009097603 A JP2009097603 A JP 2009097603A JP 2009097603 A JP2009097603 A JP 2009097603A JP 2010251437 A JP2010251437 A JP 2010251437A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
fluoride
dust core
iron
lubricant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009097603A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5094780B2 (ja
Inventor
Takao Imagawa
尊雄 今川
Yuichi Sato
祐一 佐通
Matahiro Komuro
又洋 小室
Hiroyuki Suzuki
啓幸 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2009097603A priority Critical patent/JP5094780B2/ja
Publication of JP2010251437A publication Critical patent/JP2010251437A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5094780B2 publication Critical patent/JP5094780B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】磁束密度が高く、鉄損の少ない高強度な圧粉磁心を提供する。
【解決手段】磁性粉末と、フッ化物粒子と、潤滑材の加熱変性物とを含む圧粉磁心であって、前記磁性粉末は、その表面に酸化層及び/又は絶縁層を有し、相隣る前記磁性粉末の間に前記フッ化物粒子及び前記加熱変性物を有し、相隣る前記酸化層又は前記絶縁層が、前記フッ化物粒子を介して結合している部分を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、圧粉磁心に関する。
近年、環境問題の観点から、電気自動車が注目されている。電気自動車は、動力源としての回転電機(モータ)と、インバータ回路出力としての平滑トランス(リアクトル)とを備えており、これらの部品の効率向上が求められている。
これらの部品に用いる磁心に関しては、鉄損が低く、かつ、磁束密度が高いことは勿論のこと、それらの磁気特性が低周波から高周波までの領域においても低下しないことが求められている。
鉄損には、磁心の比抵抗と密接な関係を有する渦電流損と、鉄粉の製造の過程及びその後のプロセス履歴から生じる鉄粉内の歪から影響を受けるヒステリシス損とがある。
鉄損Wは、下記式(1)のように、渦電流損Weとヒステリシス損Whとの和で表すことができる。ここで、fは周波数、Bmは励磁磁束密度、ρは比抵抗、tは材料の厚さ、k及びkは係数である。
W=We+Wh=(kBm/ρ)f+kBm1.6f (1)
上記式(1)から、渦電流損Weは周波数fの二乗に比例して大きくなるため、特に、高周波での磁気特性を低下させないためには、その渦電流損Weの抑制が不可欠である。圧粉磁心の渦電流の発生を抑えるためには、用いる磁粉のサイズを最適化し、かつ、磁粉一つ一つの表面に絶縁膜を形成させ、その磁粉を用い圧縮成形した圧粉磁心を用いる必要がある。
このような圧粉磁心において絶縁が不十分である場合、比抵抗ρが低下して渦電流損Weが大きくなる。一方、絶縁性を高めるために絶縁被膜を厚くすると、磁心に含まれる軟磁性粉の占める容積の割合が低下し、磁束密度が低下する。
また、磁束密度を向上させるために軟磁性粉の圧縮成形を高圧で行い、軟磁性粉の密度を増加させると、成形時の軟磁性粉の歪が避けられず、ヒステリシス損Whが大きくなるため、結果として鉄損Wの抑制は難しい。特に、低周波領域においては、渦電流損Weが小さいため、鉄損W中のヒステリシス損Whの影響が大きくなる。
このような課題に対して、これまでは、鉄又は鉄を主成分とする合金粉末(以下、磁性粉末又は鉄粉とも呼ぶ。)の表面に絶縁コート(絶縁被膜)を施すことで、粒子間の絶縁を確保し、磁心全体の比抵抗を増加させ、マクロな渦電流損失を低下させる手法が提案されていた。また、ヒステリシス損失の低減に関しては、鉄粉粒径を大きくし、粒子表面の酸化等、磁気的劣化要因を見かけ上希薄化すること、及び、熱処理により圧縮成形時の歪を除去することが有効であることも知られている。
熱処理に関しては、鉄粉表面の絶縁コートを破壊し、磁心比抵抗を低下させて渦電流損失を増加させることから、リン酸塩コート鉄粉で500〜550℃、フッ化物コートで600〜700℃、SiOコートで600〜900℃という制限がある。
ここで、比抵抗だけ考慮すれば、フェライトコアが比抵抗で1〜10Ω・cmを超える利点がある。一方、圧粉磁心は、高密度化することで動作磁束密度を高くできる。フェライトコアの0.5T(テスラ)程度に対し、密度を95%まで高くすれば1.5〜1.6Tの動作磁束密度が得られる。
鉄粉密度を増加させるためには、圧縮成形時、鉄粉にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムなど金属石鹸と呼ばれる塩を粉末で混合し、一緒に成形することが有効である。これにより、鉄粉同士のこすれによる絶縁膜破壊を防止するとともに、鉄粉の回転回り込みを容易にし、低圧力で高密度な成形体が得られる。
しかしながら、添加した潤滑材は、圧粉磁心を形成する際、歪取り熱処理において分解して、炭素、酸素及び窒素並びに金属酸化物を含む混合物に変化する。ここで、この混合物を加熱変性物と呼ぶ。
この加熱変性物が生ずると、圧粉磁心の機械強度が大幅に低下する難点がある。これは信頼性を要する自動車用途や、長期安定動作を要する家電製品への応用に際し、改善を要するものとされていた。
圧粉磁心の機械強度を増加させる手段として、バインダ添加がある。これは鉄粉にシリコン樹脂など熱硬化性樹脂を添加し、歪取り熱処理によりバインダとして機能させる。しかしながら、樹脂は潤滑性がないため、圧縮型に潤滑材を塗布する型潤滑が必要である。このため、磁心密度増加に難点があり、また600℃以上の高温熱処理はバインダ分解の難点があった。
特許文献1には、耐熱性のある絶縁被膜を有する磁性粉及び比抵抗が高く、鉄損等の少ない圧粉磁心の圧粉成形体を提供することを目的として、鉄粉末又は鉄を主成分とする合金粉末の表面に、アルコキシシラン及びその誘導体から選ばれる1種以上と、アルコール及び水を含有する処理液を用いて形成された絶縁膜(シリカ(SiO)絶縁膜)を有する磁性粉の圧粉成形体であって、密度が7.5g/cm以上で、上記磁性粉の平均粒径が30〜200μmであって、上記絶縁膜の平均厚さが1〜700nmであって、比抵抗が1000μΩ・cm以上であることを特徴とする圧粉磁心が開示されている。
特許文献2には、表面に電気絶縁層を有する圧粉磁心用磁性粉を用いて形成した電気装置の圧粉磁心において、前記電気絶縁層が、鉄酸化物の形成を抑制する孤立電子対を有する窒素又は硫黄の少なくとも1種を含む有機化合物からなる防錆剤と、リン酸塩化成処理液を含む絶縁層形成処理液を前記磁性粉に混合し、所定温度で乾燥することにより形成されていることを特徴とする圧粉磁心が開示されている。
特許文献3には、表面に絶縁被膜が被覆された鉄元素を主成分とした粉末からなる磁性粉であって、前記粉末は球状粉末又は表面が平坦化加工された粉末であり、前記絶縁被膜は希土類フッ化物、アルカリ金属フッ化物、又はアルカリ土類金属フッ化物の被膜であることを特徴とする磁性粉、及びこれを用いた圧粉磁心が開示されている。
また、特許文献4には、鉄基粉末の粒子表面に副原料の粒子をバインダーで定着させた鉄基粉末混合物の製造方法において、前記バインダーの融点未満の温度で前記鉄基粉末と前記副原料とを混合しながら、得られる混合物に前記バインダーの溶融液を噴霧して、前記鉄基粉末の粒子表面に前記副原料の粒子を定着させることを特徴とする鉄基粉末混合物の製造方法が開示されている。
特開2007−129154号公報 特開平10−154613号公報 特開2008−016670号公報 特開2007−211275号公報
本発明の目的は、磁束密度が高く、鉄損が少なく、機械的強度が高い圧粉磁心を提供することにある。
本発明の圧粉磁心は、磁性粉末と、フッ化物粒子と、潤滑材の加熱変性物とを含む圧粉磁心であって、前記磁性粉末は、その表面に酸化層及び/又は絶縁層を有し、相隣る前記磁性粉末の間に前記フッ化物粒子及び前記加熱変性物を有し、相隣る前記酸化層又は前記絶縁層が、前記フッ化物粒子を介して結合している部分を有することを特徴とする。
本発明によれば、高密度で、抵抗値が高く、磁気特性に優れ、機械的強度が高い圧粉磁心を得ることができる。
潤滑材を添加しないでリング試料を成形した場合における磁性粉末のコート材の種類による抜き出し圧を比較して示したグラフである。 潤滑材の有無による三点曲げ強度を示すグラフである。 本発明による実施例の圧粉磁心を構成する鉄粉間の構造を示す断面SEM写真である。 本発明による実施例の圧粉磁心を構成する鉄粉間の構造を示す模式断面図である。 本発明による実施例の圧粉磁心成形体の曲げ強度とフッ化マグネシウム添加量との関係を示すグラフである。 本発明による実施例の圧粉磁心成形体の曲げ強度と熱処理温度との関係を示すグラフである。 本発明による実施例の圧粉磁心の比抵抗と熱処理温度との関係を示すグラフである。
本発明は、鉄元素を含んだ磁性粉を圧縮成形することにより製造される圧粉磁心に関し、特に、回転電機(モータなどを含む)、リアクトルなどの電機部品に用いるに好適な圧粉磁心に関する。
我々の検討の結果、上記の特許文献1〜3に記載されたシリカ、リン酸塩及びフッ化物の絶縁被膜のうち、フッ化物の絶縁被膜は、他の絶縁被膜と異なり、潤滑材がなくても圧縮成形時に型に対するダメージが少ないことがわかってきた。
図1は、潤滑材を添加しないでリング試料を成形した後、試料を型から脱離させる際の応力(抜出し圧)を示したグラフである。リング試料の寸法は、外径50mm、内径40mm、厚さ5mmである。コート材(被覆層の主成分)は、フッ化マグネシウム(MgF)、リン酸塩及びシリカ(SiO)の3種類である。
本図から、フッ化物をコーティングした鉄粉は、他のコート材より非常に低い抜出し圧を有すること、すなわち、フッ化物には潤滑能力があることがわかる。しかしながら、フッ化物コートであっても、生産上の圧縮型保護には40MPa以下が必要であるため、潤滑材を必要とする。
一方、潤滑材の使用は、圧粉磁心強度の大幅な低下を招く。
図2は、フッ化物コート(フッ化物被膜)を有する鉄粉におけるステアリン酸亜鉛(潤滑材)の有無による3点曲げ強度の違いを示したものである。図2(a)は、3点曲げ強度試験の試験片並びに支点及び力点を模式的に示す側面図である。図2(b)は、試験結果を示したものである。
図2(a)において、試験片(圧粉磁心)の寸法は、幅55mm、高さ10mm、厚さ5mmである。また、試験片の下部を支持する2か所の支点の間の距離は40mmであり、試験片の中央上部に下向きの力を加える力点を設けてある。
本図より、潤滑材の添加が曲げ強度の大幅な低下を起こすことがわかる。
これは、熱処理によって変性した潤滑材(潤滑材の加熱変性物)が、隣り合う鉄粉のフッ化物被膜の間に存在することにより、フッ化物の焼結が妨げられ、圧粉磁心の機械的強度が大幅に低下するためと考えられる。
圧粉磁心は、成形時圧縮型へのダメージ低減のため、磁性粉末にステアリン酸亜鉛等の金属石鹸粉を混合・添加し、成形する必要がある。しかし、この潤滑材は、圧粉磁心に必要な熱処理時炭化して低強度な加熱変性層になるという点で改善の余地があった。
本発明の目的は、高密度で、抵抗値が高く、磁気特性に優れ、強度が高い圧粉磁心を提供することにある。
本発明は、加熱変性層の構造に工夫を加え、圧粉磁心の強度を増加させるものである。
本発明の圧粉磁心は、鉄又は鉄を主成分とする合金の磁性粉末を用い、この磁性粉末を、潤滑材を添加して圧縮成形し、熱処理を施して作製する圧粉磁心であって、前記磁性粉末が粉末生成時に形成される合金界面上の自然酸化層、及び/又は絶縁層を含む界面層を有し、その界面層に含まれるフッ化物粒子により相隣る前記磁性粉末が架橋(結合)された部分を有し、前記界面層には、前記潤滑材(有機物)の加熱変性物も含まれる構造を有することを特徴とする。
ここで、磁性粉末は、鉄又は鉄を主成分とする合金が主流であるが、コバルト又はニッケルの比率が鉄よりも多い合金も含むものとする。
以下、本発明の特徴を説明する。
本発明は、ステアリン酸亜鉛及びフッ化マグネシウムの粉末の混合物を潤滑材として用いることにより、製造時における潤滑性能に優れ、かつ、機械的強度が高い圧粉磁心を得ようとするものである。
特許文献4には、バインダー(接着剤)としてのステアリン酸亜鉛と、焼結体の切削性改善のためのフッ化カルシウムとを鉄基粉末に混合する構成、及び、このフッ化カルシウムの混合量を鉄基粉末混合物の質量に対して0.5〜5重量%とすることが開示されている。としている。しかしながら、特許文献4においては、鉄基粉末の表面に絶縁被膜(絶縁層)を設けること、及び、その絶縁被膜を、フッ化カルシウムを介して結合(焼結)させることに関する記載はなく、フッ化カルシウム粒子を混合することにより機械的強度を増加させることに関する記載もない。
また、我々の検討結果から、上記のフッ化カルシウムの混合量では機械的強度を向上させる効果が得られないことが判明している。
後述のように、フッ化マグネシウムの添加量は、フッ化マグネシウム及び潤滑材の混合物(潤滑材混合物)の熱処理前における重量(添加量)を基準として2〜40重量%(重量パーセント)が望ましい。すなわち、磁性粉末、フッ化マグネシウム及び潤滑材の混合物の熱処理前における重量を基準とした場合の潤滑材の添加量が0.1〜0.5重量%であることから、フッ化マグネシウムの添加量は、磁性粉末、フッ化マグネシウム及び潤滑材の混合物の熱処理前における重量を基準とした場合、0.002〜0.2重量%(重量基準で0.002〜0.2%ともいう。)が望ましい。
また、圧粉磁心の強度向上のためには、600〜800℃の熱処理を行う必要がある。
以下、本発明について実施例を用いて説明する。
本実施例において、磁性粉末としては、表面にフッ化マグネシウム被膜を形成した鉄粉を用い、潤滑材としては、ステアリン酸亜鉛を用いた。また、フッ化物粒子としては、フッ化マグネシウムの粒子を用いた。
鉄粉の表面に絶縁被膜(絶縁層)を形成するための処理液を以下の手順で作製した。
(1)酢酸マグネシウム4gを100mLの水に導入し、振とう器又は超音波攪拌器を用いて完全に溶解した。
(2)10%に希釈したフッ化水素酸をフッ化マグネシウム(MgF)が生成する化学反応の当量分徐々に加えた。
(3)ゲル状沈殿のMgFが生成した溶液に対して超音波攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。
(4)4000〜6000r.p.m.の回転数で遠心分離した後、上澄み液を取り除き、ほぼ同量のメタノールを加えた。
(5)ゲル状のMgFを含むメタノール溶液を攪拌して完全に懸濁液にした後、超音波攪拌器を用いて1時間以上攪拌した。
(6)上記(4)及び(5)の操作を酢酸イオン、又は硝酸イオン等の陰イオンが検出されなくなるまで、3〜10回繰り返した。
(7)最終的には、ゾル状のメタノール系溶液であるMgFの処理液(MgFの濃度は1g/4mLである。)を得た。
鉄粉400gにボールミル処理を施した後、上記の処理液を用いて鉄粉の表面にフッ化マグネシウムの被膜を形成し、50gずつ取り分けた。取り分けた鉄粉それぞれに、鉄粉(磁性粉末)及びステアリン酸亜鉛(潤滑材)の混合物の熱処理前における重量を基準として0.3重量%(重量パーセント)のステアリン酸亜鉛の粉末、及び、鉄粉、ステアリン酸亜鉛及びフッ化マグネシウムの混合物の熱処理前における重量を基準として1〜80重量%のフッ化マグネシウム(平均粒径0.5μm)を添加し、混合機に投入してそれぞれ30分混錬を行った。
この混錬により得られた混合鉄粉を20g採取し、55×10mm断面の直方体試料に12t/cmの圧力をかけてプレス成形を行った。仕上がり厚さはほぼ5mmである。
この試料を真空中で600℃、0.5時間熱処理し、歪取りを行った。
図3は、本発明による実施例の圧粉磁心を構成する鉄粉間の構造を示す断面SEM写真である。
図中、上下両側の鉄粉の表面にフッ化物コート層(MgF被膜)があり、その間隙に潤滑材変質層(潤滑材の加熱変性物ともいう。)がある。そして、前記間隙の一部にMgF粒子が含まれている。
図4は、本発明による実施例の圧粉磁心を構成する鉄粉間の構造を示す模式断面図である。
図中、左右両側の鉄粉の表面にフッ化物コート層(MgF被膜)があり、その間隙に潤滑材変質層(潤滑材の加熱変性物ともいう。)がある。そして、前記間隙の一部にMgF粒子が含まれている。
本図の中央に位置するMgF粒子は、両側のフッ化物コート層と密着して結合(焼結)している。これにより、鉄粉間の電気的な絶縁状態を維持するとともに、圧粉磁心の機械的強度を向上させている。
この試料を用いて、図2(a)に示す3点曲げ試験を行い、強度測定を行った。
図5は、本発明による実施例の圧粉磁心成形体の曲げ強度とフッ化マグネシウム添加量との関係を示すグラフである。横軸はフッ化マグネシウム及び潤滑材の混合物(潤滑材混合物)中のフッ化マグネシウム添加量(wt%(重量%))を示し、縦軸は曲げ強度を示している。
フッ化マグネシウム添加量0では曲げ強度6MPaと非常に低いが、添加量の増加とともに強度が増加し、添加量10重量%で最大強度37MPaを得た。さらに、添加量を増加させると強度は低下し、80重量%まで増やすと強度は5MPaとなった。
本図から、潤滑材混合物中のフッ化マグネシウム添加量が2〜40重量%であることが望ましいことがわかる。
本実施例においては、絶縁被膜(絶縁層)をフッ化マグネシウムで形成する例を示したが、これに限定されるものではなく、アルカリ土類金属フッ化物又は希土類金属フッ化物等を用いてもよい。
また、本実施例においては、フッ化物粒子がフッ化マグネシウムの粒子である例を示したが、これに限定されるものではなく、アルカリ土類金属フッ化物又は希土類金属フッ化物等の粒子を用いてもよい。
また、本実施例においては、潤滑材がステアリン酸亜鉛である例を示したが、これに限定されるものではなく、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属の塩(ステアリン酸金属塩)を用いてもよく、リチウム、鉄、コバルト、ニッケル、チタン、バナジウム、銅等の金属塩(ステアリン酸金属塩)を用いてもよい。また、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸の塩(脂肪酸金属塩)を用いてもよい。さらに、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルベンゼンリン酸塩等の塩を用いてもよい。
脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸金属塩が望ましく、ステアリン酸金属塩としては、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸リチウムが望ましい。
鉄粉300gにボールミル処理を施した後、実施例1に記載した処理液を用いて鉄粉の表面にフッ化マグネシウムの被膜を形成し、50gずつ取り分けた。取り分けた鉄粉それぞれに、鉄粉(磁性粉末)及びステアリン酸亜鉛(潤滑材)の混合物の熱処理前における重量を基準として0.3重量%のステアリン酸亜鉛の粉末、及び、鉄粉、ステアリン酸亜鉛及びフッ化マグネシウムの混合物の熱処理前における重量を基準として10重量%の平均粒径0.5μmのフッ化マグネシウムを添加し、混合機に投入してそれぞれ30分混錬を行った。
この混錬により得られた混合鉄粉を20g採取し、55×10mm断面の直方体試料に12t/cmの圧力をかけてプレス成形を行った。仕上がり厚さはほぼ5mmである。
この試料を真空中で500〜1000℃、0.5時間熱処理し、歪取りを行った。
この試料を用いて、図2(a)に示す3点曲げ試験を行い、強度測定を行った。
図6は、本発明による実施例の圧粉磁心成形体の曲げ強度と熱処理温度との関係を示すグラフである。
本図より、熱処理温度が高いほど曲げ強度が高くなることがわかる。熱処理温度が500℃の場合、曲げ強度は低いが、熱処理温度が600℃で曲げ強度が高くなる。さらに、900℃で急激に増加することがわかる。すなわち、熱処理温度600℃以上が望ましいことがわかる。
図7は、本発明による実施例の圧粉磁心の比抵抗と熱処理温度との関係を示すグラフである。
本図より、圧粉磁心の比抵抗は、熱処理温度が高いほど低下し、900〜1000℃においては測定限界以下になることがわかる。これは、900℃以上においては、被膜のフッ化マグネシウムが破れ、鉄粉同士の焼結が進行したためと考える。
よって、本図より、熱処理温度は800℃以下が望ましいことがわかる。
図6及び7より、熱処理温度600〜800℃が望ましいことがわかる。

Claims (9)

  1. 磁性粉末と、フッ化物粒子と、潤滑材の加熱変性物とを含む圧粉磁心であって、前記磁性粉末は、その表面に酸化層及び/又は絶縁層を有し、相隣る前記磁性粉末の間に前記フッ化物粒子及び前記加熱変性物を有し、相隣る前記酸化層又は前記絶縁層が、前記フッ化物粒子を介して結合している部分を有することを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記絶縁層が、アルカリ土類金属フッ化物又は希土類金属フッ化物を含むことを特徴とする請求項1記載の圧粉磁心。
  3. 前記フッ化物粒子が、アルカリ土類金属フッ化物又は希土類金属フッ化物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧粉磁心。
  4. 前記潤滑材が、ステアリン酸金属塩を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧粉磁心。
  5. 前記ステアリン酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸リチウムを含むことを特徴とする請求項4記載の圧粉磁心。
  6. 前記フッ化物粒子がフッ化マグネシウムを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧粉磁心。
  7. 前記フッ化物粒子の添加量が、前記磁性粉末、前記フッ化物粒子及び前記潤滑材の混合物の熱処理前における重量基準で0.002〜0.2%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧粉磁心。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧粉磁心を用いたことを特徴とするリアクトル。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧粉磁心を用いたことを特徴とする回転電機。
JP2009097603A 2009-04-14 2009-04-14 圧粉磁心 Expired - Fee Related JP5094780B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009097603A JP5094780B2 (ja) 2009-04-14 2009-04-14 圧粉磁心

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009097603A JP5094780B2 (ja) 2009-04-14 2009-04-14 圧粉磁心

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010251437A true JP2010251437A (ja) 2010-11-04
JP5094780B2 JP5094780B2 (ja) 2012-12-12

Family

ID=43313472

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009097603A Expired - Fee Related JP5094780B2 (ja) 2009-04-14 2009-04-14 圧粉磁心

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5094780B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2871646A1 (en) 2013-11-06 2015-05-13 Basf Se Temperature-stable soft-magnetic powder
JP2016012715A (ja) * 2014-06-06 2016-01-21 アルプス・グリーンデバイス株式会社 圧粉コア、該圧粉コアの製造方法、該圧粉コアを備える電子・電気部品、および該電子・電気部品が実装された電子・電気機器
WO2022121208A1 (zh) 2020-12-09 2022-06-16 横店集团东磁股份有限公司 一种软磁性粉末及其制备方法和用途

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000034505A (ja) * 1998-07-17 2000-02-02 Daido Steel Co Ltd Fe−Si系粉末の焼結方法
JP2002343657A (ja) * 2001-05-18 2002-11-29 Kawasaki Steel Corp 圧粉磁芯の製造方法および圧粉磁芯
JP2006041203A (ja) * 2004-07-28 2006-02-09 Hitachi Ltd 電気機器コア用磁性材料,電気機器コア用磁性材料の製造方法,モータ,家電用モータ,発電機及び電気自動車用モータ
JP2007211275A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Jfe Steel Kk 鉄基粉末混合物の製造方法
JP2008262940A (ja) * 2007-04-10 2008-10-30 Hitachi Ltd 圧粉磁心,圧粉磁心の製造方法、及びこれを用いたモータ
JP2009032860A (ja) * 2007-07-26 2009-02-12 Kobe Steel Ltd 圧粉磁心および圧粉磁心用の鉄基粉末

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000034505A (ja) * 1998-07-17 2000-02-02 Daido Steel Co Ltd Fe−Si系粉末の焼結方法
JP2002343657A (ja) * 2001-05-18 2002-11-29 Kawasaki Steel Corp 圧粉磁芯の製造方法および圧粉磁芯
JP2006041203A (ja) * 2004-07-28 2006-02-09 Hitachi Ltd 電気機器コア用磁性材料,電気機器コア用磁性材料の製造方法,モータ,家電用モータ,発電機及び電気自動車用モータ
JP2007211275A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Jfe Steel Kk 鉄基粉末混合物の製造方法
JP2008262940A (ja) * 2007-04-10 2008-10-30 Hitachi Ltd 圧粉磁心,圧粉磁心の製造方法、及びこれを用いたモータ
JP2009032860A (ja) * 2007-07-26 2009-02-12 Kobe Steel Ltd 圧粉磁心および圧粉磁心用の鉄基粉末

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2871646A1 (en) 2013-11-06 2015-05-13 Basf Se Temperature-stable soft-magnetic powder
WO2015067608A1 (en) 2013-11-06 2015-05-14 Basf Se Temperature-stable soft-magnetic powder
US10373748B2 (en) 2013-11-06 2019-08-06 Basf Se Temperature-stable soft-magnetic powder
JP2016012715A (ja) * 2014-06-06 2016-01-21 アルプス・グリーンデバイス株式会社 圧粉コア、該圧粉コアの製造方法、該圧粉コアを備える電子・電気部品、および該電子・電気部品が実装された電子・電気機器
WO2022121208A1 (zh) 2020-12-09 2022-06-16 横店集团东磁股份有限公司 一种软磁性粉末及其制备方法和用途

Also Published As

Publication number Publication date
JP5094780B2 (ja) 2012-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5580725B2 (ja) 圧粉磁心の製造方法、および該製造方法によって得られた圧粉磁心
JP5050745B2 (ja) リアクトル用コアとその製造方法およびリアクトル
WO2017018264A1 (ja) 圧粉磁心、電磁部品、及び圧粉磁心の製造方法
JP5986010B2 (ja) 圧粉磁心およびそれに用いる磁心用粉末
JP2008063651A (ja) 圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末およびその製造方法ならびに圧粉磁心
JP5189691B1 (ja) 圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末およびその製造方法、ならびに圧粉磁心
JP2009070884A (ja) リアクトル用コアとその製造方法およびリアクトル
US10975457B2 (en) Iron cobalt ternary alloy and silica magnetic core
JP2018041872A (ja) 複合磁性材料、その複合磁性材料を熱硬化して得られる複合磁性成形体、その複合磁性成形体を用いて得られる電子部品、およびそれらの製造方法
JP2008277775A (ja) 圧粉磁心およびその製造方法
JP6476989B2 (ja) 圧粉磁心の製造方法
JP5094780B2 (ja) 圧粉磁心
JP2011243830A (ja) 圧粉磁芯及びその製造方法
JP2012238866A (ja) リアクトル用コアとその製造方法およびリアクトル
JP5513922B2 (ja) 圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末およびその圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末の製造方法並びに圧粉磁心
JP6609255B2 (ja) 軟磁性粉末混合物
WO2006126553A1 (ja) 低磁歪体及びこれを用いた圧粉磁芯
JP2007042883A (ja) 軟磁性材料及びその製造法、該軟磁性材料を含む圧粉磁心
JP2006183121A (ja) 圧粉磁芯用鉄基粉末およびそれを用いた圧粉磁芯
JP2008143720A (ja) マグネタイト−鉄複合粉末およびその製造方法ならびに圧粉磁芯
JP2012172172A (ja) 圧粉成形用粉体およびこれを用いた圧粉成形体ならびにその製造方法
JP4733790B2 (ja) 圧粉磁芯及びその製造方法
JP2009001868A (ja) 圧粉磁心用磁性粉の製造方法
JP2005093350A (ja) 絶縁皮膜、磁心用粉末および圧粉磁心並びにそれらの製造方法
JP2005171350A (ja) 絶縁被膜、磁心用粉末および圧粉磁心並びにそれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110530

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120302

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120911

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120918

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5094780

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150928

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees