JP2005171350A - 絶縁被膜、磁心用粉末および圧粉磁心並びにそれらの製造方法 - Google Patents

絶縁被膜、磁心用粉末および圧粉磁心並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁心用粉末の被覆に好適な、耐熱性に優れる絶縁被膜を提供する。
【解決手段】本発明の絶縁被膜は、P、OおよびNからなる第1元素群と、シャノンにより定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る第2元素とを必須構成元素とする。P、Oおよび第2元素とからなる絶縁被膜中に、さらにNが含まれることで、その耐熱性がより一層高く向上した。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性に優れる絶縁被膜、その絶縁被膜で被覆された磁心用粉末、その磁心用粉末からなる圧粉磁心およびそれらの製造方法に関するものである。
変圧器(トランス)、電動機(モータ)、発電機、スピーカ、誘導加熱器、各種アクチュエータ等、我々の周囲には電磁気を利用した製品が多々ある。これらの製品は交番磁界を利用したものが多く、局所的に大きな交番磁界を効率的に得るために、通常、磁心(軟磁石)をその交番磁界中に設けている。
このような磁心は、その性質上、先ず、飽和磁化が高くて交番磁界中で大きな磁束密度が素早く得られることが求められる。次に、交番磁界中で使用したときに、その周波数に応じて生じる高周波損失が少ないことが求められる。この高周波損失(鉄損)には、渦電流損失、ヒステリシス損失および残留損失があるが、主に問題となるのは、渦電流損失とヒステリシス損失である。さらに、磁心が交番磁界に追従して素早く高磁束密度となるには、その保磁力が小さいことも重要である。なお、この保磁力を低減することで、(初期)透磁率の向上とヒステリシス損失の低減とを併せて図れる。
ところが、これらの要求を同時に満たすことは難しく、単なる鉄心は勿論、薄いケイ素鋼板を積層した従来の磁心等でも、十分な性能が得られていなかった。そこで、最近では、絶縁被膜で被覆した磁性粉末(磁心用粉末)を加圧成形した圧粉磁心を用いて、このような課題の解決を図る傾向にある。すなわち、磁性粉末の各粒子を絶縁被膜で被覆することで比抵抗を増大させて圧粉磁心の高周波損失を低減させると共に、その粉末を高圧成形して高密度の圧粉磁心を得ることで磁束密度の増加を図ろうとするものである。このような圧粉磁心は、例えば、下記の特許文献等に開示されている。
特表2000−504785号公報 特開平6−132109号公報 特許第2710152号公報 特開平10−154613号公報 特開2003−282316号公報
しかし、これまでの圧粉磁心は、未だその性能が十分とはいえなかった。その理由は、先ず、従来の圧粉磁心が、金型寿命等を考慮した低い圧力で磁性粉末を成形していたため、低密度で十分に高い磁束密度が得られなかったことにある。
もっとも、本出願人は、この点に関しては、既に解決済みである。すなわち、超高圧成形を可能とする技術を開発し、絶縁被覆された磁性粉末から真密度に近い高密度化された圧粉磁心を得ることに成功して、既に複数の出願を行っている。
次に、従来の圧粉磁心の性能が不十分であったもう一つの理由は、単に絶縁被膜を磁性粉末の表面に設けるのみでは、高周波損失が十分に低減されなかったことにある。なぜなら、比抵抗を増加させて高周波損失中の渦電流損失を低減させることはこれまでも行われていたが、ヒステリシス損失の低減自体はあまり図られていなかったからである。勿論、渦電流損失に比較してヒステリシス損失を無視し得るような周波数域(超高周波数域)でのみ使用される圧粉磁心なら、あまり問題は無いかもしれない。しかし、多くの製品は、例えば、数百kHz以下程度の周波数域で使用されることが多く、このような周波数領域では、圧粉磁心のヒステリシス損失を必ずしも無視し得ない。
前述したが、圧粉磁心のヒステリシス損失の低減を図るには、圧粉磁心の保磁力の低減が有効である。この保磁力は、磁性粉末粒子内に残留する歪の影響を受け、その歪が多いと保磁力も大きくなる。圧粉磁心の製法上、加圧成形後にその粉末粒子内に多かれ少なかれ残留歪が生じることは避け難い。従って、ヒステリシス損失の低減のためには、磁性粉末粒子内に一旦生じたその残留歪を除去することが必要となる。そして、この歪の除去には、圧粉磁心に残留応力除去焼き鈍し等の熱処理を施すのが有効である。
この熱処理は、磁性粉末の種類にも依るが、一般的なFeを主成分とする磁性粉末の場合、その内部の歪を十分に除去するためには、450℃以上、さらには500℃程度までそれを加熱することが望ましい。
ところが、圧粉磁心をそこまで高温加熱すると、磁性粉末の絶縁被膜として従来用いられてきた樹脂被膜は分解して消失してしまう。また、特許文献1に開示されているリン酸塩被膜(化成被膜)等でも、結晶化して焼結・凝集を生じたり、磁性粉末と反応したりして、その被膜が破壊されることが明らかとなった。これでは、比抵抗が急激に低下して渦電流損失の増大を招き、圧粉磁心の高周波損失を逆に増加させる結果となってしまい、上記熱処理を行うことが無意味となる。
ここで、耐熱性が比較的高いSiO2 、Al23 、ZrO2 、TiO2等の酸化物系の絶縁被膜を用いることも考えられる。しかし、前述したように高密度化した圧粉磁心では、数十nm程度の非常に薄い絶縁被膜の形成が求められているところ、上記酸化物系の絶縁被膜(酸化被膜)では、磁性粉末の表面上をピンホール無く均一にかつ薄くコーティングすることは技術的に困難である。勿論、その酸化被膜を100nm以上に厚くすると、その絶縁被膜の耐熱性は確保されるとしても、得られた圧粉磁心の磁束密度が低くなり、やはり好ましくない。
上記の特許文献2や特許文献3には、クロム(Cr)やマグネシウム(Mg)を必須構成元素とした、耐熱性を高めたガラス状絶縁層に関する開示がある。しかし、特許文献3にもあるように、Crは環境上、その使用が好ましくない。また、本発明者が調査研究したところ、Mgを必須元素とするガラス状絶縁層は、確かに従来のものよりも耐熱性が向上していると思われるが、未だ、その耐熱性は十分ではなかった。また、それらの特許文献に開示されている圧粉磁心は低密度のものに過ぎない。
上記特許文4には、窒素または硫黄の少なくとも1種を含む有機化合物からなる防錆剤とリン酸塩化成処理液とを含む処理液を用いて磁性粉末の表面に絶縁被膜を形成し、その磁性粉末を加圧成形した圧粉磁心を得ている。しかし、この特許文献中には、その絶縁被膜の構造や組成については何らの記載もなく、また、その圧粉磁心は低密度のものに過ぎない。
上記特許文献5に開示されている絶縁被膜は、本発明者が開発したものであって、非常に薄くても優れた耐熱性を示すものである。そして、その絶縁被膜で被覆された磁性粉末を加圧成形してなる圧粉磁心は高密度で優れた磁気特性を示す。しかし、本発明者がさらに研究を進めたところ、その絶縁被膜には未だ改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、安定した耐熱性を示す絶縁被膜およびその製造方法を提供することを目的とする。また、その絶縁被膜で被覆された磁性粉末からなる磁心用粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに、その磁心用粉末を用いて得られる圧粉磁心とその製造方法を提供することを目的とする。
なお、これまでは、絶縁被膜の耐熱性を向上させる目的として、磁性粉末内の残留歪とり(応力除去)を行う場合を例示したが、それに限られるものではない。例えば、焼鈍等の熱処理を行わない場合でも、絶縁被膜の耐熱性を向上させることで、磁心等の高温域における特性を安定させることが可能となる。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、イオン半径の比較的大きな元素を必須構成元素とするリン酸系の絶縁被膜にさらに窒素を導入することで、その耐熱性を向上させ得ることを新たに発見し、この発見に基づいて本発明を完成するに至った。
(絶縁被膜)
すなわち、本発明の絶縁被膜は、リン(P)と酸素(O)と窒素(N)とからなる第1元素群と、シャノン(Shannon,R,D)により定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る第2元素とを必須構成元素とすることを特徴とする。なお、磁性粉末がFeを主成分とするときは、前記第1元素群には、P、OおよびNの他に反応時に磁性粉末から混入するFeが含まれることもある。
P、OおよびN(さらにはFe)からなる第1元素群と上記の第2元素とからなる本発明の絶縁被膜は、従来の絶縁被膜以上に優れた耐熱性を発現することが確認された。本発明の絶縁被膜が優れた耐熱性を発現する理由は、現状、必ずしも明らかではないが、次のように考えることができる。
先ず、本発明者が本発明の絶縁被膜を完成させる至った経緯を説明する。
本発明者は、最初に前述の特許文献1にあるリン酸塩被膜について調査した。このリン酸塩被膜は、P−Fe−O系の非晶質膜からなり、薄く均一であり、しかも、工業的に低コストで形成できる。このため、そのリン酸塩被膜はそれらの点で優れた絶縁被膜である。しかし、このリン酸塩被膜を被覆した磁性粉末からなる圧粉磁心を、残留歪除去のために焼鈍(アニール)した場合、その処理温度が400℃を越えると、急激に圧粉磁心の比抵抗が減少することが確認された。これは、本来、非晶質であったリン酸塩被膜が破壊されて結晶化し、焼結や凝集を起こして、粉末粒子間にできる空隙(3重点)に集積したためと思われる。
次に、リン酸に替えてホウリン酸(ホウ酸とリン酸)を用いて、ホウリン酸塩被膜からなる絶縁被膜を生成し、リン酸塩被膜と同様にその耐熱性を調査した。B−P−Fe−O系の非晶質膜からなるホウリン酸塩被膜の場合も、リン酸塩被膜の場合と同様に、均一な薄膜を形成し易い点で優れるものの、やはり、400℃程度の低温加熱で容易に結晶化し、焼結・凝集を生じて破壊されて、圧粉磁心の比抵抗が急減することが解った。
そこで、本発明者は、これらの絶縁被膜が非晶質のガラス状被膜であることから、ザッカライゼン則を用いて、耐熱性を向上させ得る絶縁被膜を検討した。ザッカライゼン則は、ガラスを構成する網目形成体(網目形成イオン)と網目修飾体(網目修飾イオン)とに関する法則である。この法則に従って、その網目形成体と網目修飾体とを適切に抽出、選択すれば、耐熱性に優れる絶縁被膜を得ることができるのではないかと考えた。
こうして、本発明者が試行錯誤の末に初めに抽出し選択した元素が、網目形成体を構成すると考えられるホウ素(B)、PおよびO(さらにはFe)からなる第1元素群と、網目修飾体を構成すると考えられる第2元素である。この第1元素群からなる網目形成体中に、イオン半径の大きな第2元素である網目修飾体が入って構成される非晶質のガラス状絶縁被膜は、結晶化し難く、粘度が高まって焼結・凝集を生じ難くなると考えられる。そして、その絶縁被膜の耐熱性を実際に確認したところ、例えば、400℃以上、さらには500℃程度の高温まで加熱しても、十分な絶縁性が維持された。
さらに、本発明者が鋭意研究したところ、上記の第1元素群中のBは必ずしも必須元素とする必要がないことも判明した。すなわち、Bを実質的に含まない絶縁被膜であっても、前述したBを含む絶縁被膜と同等程度の耐熱性および比抵抗を発現し得ることが確認された。勿論、第1元素群にBを含める方が好ましいが、Bを含めないことで、高い耐熱性や比抵抗等を維持しながらも、その製造コストは一層低減することが可能となる。
なお、上記の「Bを実質的に含まない」とは、コスト削減および環境負荷等の観点から、意図的にBを含ませようとはしない状態をいい、Bの具体的な存在割合等を問題としているのではない。敢ていうなら、不可避不純物として含む場合は当然に許容される。但し、上述した内容からも解るように、Bは一般的な不純物ではなく、基本的に絶縁被膜の性能を劣化させはしない。むしろ、Bが網目形成体を構成するように存在するときに得られる絶縁被膜は、優れた比抵抗や耐熱性等を発揮する。
第2元素の陽イオンを2価以上としたのは、1価の陽イオン(例えば、Na+、K+)は、水と反応し易く、長期安定性を考慮すると、存在しない方が好ましいからである。また、第2元素のイオン半径として、シャノンのイオン半径を用いたのは、それが現在最も広く用いられているからである。その中でも特に、6配位のイオン半径としたのは、配位数でイオン半径が異なるため、比較対象を明確にするためである。そして、本発明者が、種々の元素について検討したところ、第2元素のイオン半径が0.073nm以上である場合に、絶縁被膜が優れた耐熱性を発現することを見いだした。逆に、イオン半径が0.073nm未満では、耐熱性が従来レベルであり、耐熱性の向上を図れない。なお、イオン半径は0.075nm以上、さらには0.080nm以上であるとより好ましい。また、イオン半径の上限は取扱性等を考慮して、0.170nm以下が好ましい。
このような第2元素の好ましい例として、アルカリ土類金属元素(2A族元素)や希土類元素(3A族元素)等を挙げることができる。アルカリ土類金属元素には、ベリリウム(Be)、Mg、Ca、Sr、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)があるが、BeおよびMgは、6配位のイオン半径が0.073nm未満であり、除かれる。取扱性、安全性、好環境性等を考慮すると、アルカリ土類金属元素から第2元素としては、CaまたはSrが好ましい。また、希土類元素には、スカンジウム(Sc)、Y、ランタノイド元素、アクチノイド元素があるが、同様に、取扱性等を考慮して、Yが好ましい。その他、第2元素となり得る元素として、ランタノイド(La〜Lu)、ビスマス(Bi)を挙げることができる。これらの各元素のイオン半径を価数と共に表1に参考として示した。
なお、これらの第2元素は、1種の元素のみならず、複数種の元素であっても良いことはいうまでもない。
ところで、本発明の絶縁被膜は、上記第1元素群中に、PおよびO(さらにFe、B)の他にNを含んでいる。この点について付言しておく。
前述の特許文献5で既述したように、本発明者は、P、O、FeおよびBからなる第1元素群と上記第2元素とからなる絶縁被膜を先に完成させていた。この絶縁被膜でも十分な耐熱性を有するが、Nを絶縁被膜中に含ませることで、その耐熱性がさらに向上させ得ることを本発明者は新たに見出した。絶縁被膜中におけるNの存在形態や作用の詳細は必ずしも明らかではないが、現状、次のように考えられる。
本発明の絶縁被膜は、ガラス状の絶縁被膜であると考えられるところ、Nがその絶縁被膜の軟化温度(ガラス転移温度のようなもの)を向上させると思われる。すなわち、絶縁被膜中にNを含ませることで、高温域下における絶縁被膜の軟化の程度が従来の絶縁被膜よりも抑止されたり、絶縁被膜が実質的に軟化を開始する温度が従来の絶縁被膜よりも高くなったと考えられる。この点について、圧粉磁心用絶縁被膜の場合を例にとり、さらに詳しく説明する。
ガラス状の絶縁被覆が軟化温度以上の高温域下におかれた場合、その絶縁被覆は軟化して磁性粉末の粒子間にできる隙間(3重点)に凝集したり、拡散や焼結等すると考えられる。このような状態になると、磁性粉末の粒子同士が直接的に接触するようになり、当然に圧粉磁心の比抵抗が低下して圧粉磁心の鉄損等が大きくなる。このような事情は本発明の絶縁被膜でも同様であると考えられるが、本発明の絶縁被膜の場合は、その中にNが存在するため、従来よりも遙かに絶縁被膜が軟化、拡散または焼結等し難くなっていると思われる。従って、絶縁被膜で被覆された磁性粉末(磁心用粉末)を加圧成形した圧粉磁心に焼鈍等の熱処理を加えたとしても、本発明の絶縁被膜であれば、容易に破れたりすることがなく、安定した比抵抗が維持され得る。特に、相対密度が100%近い高密度の圧粉磁心の場合、絶縁被膜は必然的に非常に薄くならざるおえないが、本発明の絶縁被膜であれば、そのような非常に薄い場合でも、焼鈍等の熱処理後に比抵抗が急減することを有効に抑止できる。
このように、本発明の絶縁被膜は従来になく優れた耐熱性を発揮し得るが、その耐熱性を定量的に評価することは必ずしも容易ではない。例えば、Feを主成分とする磁性粉末の表面に被覆した本発明の絶縁被膜の場合、450℃以上の耐熱性を有するが、そのことは必ずしも、全ての絶縁被膜が全く破壊されないことを意味しない。ここで重要なことは、従来の絶縁被膜なら、ほとんどの絶縁被膜が破壊されて比抵抗が急減していたような高温域でさえ、本発明の絶縁被膜であれば、その破壊が抑制されて、圧粉磁心の比抵抗が急減しないことである。従って、仮に圧粉磁心の熱処理によってその比抵抗が多少低下し渦電流損失が増加したとしても、その一方で、残留歪が減少しヒステリシス損失が減少して、全体として高周波損失が低減されれば、本発明の絶縁被膜には十分なメリットが存在することになる。これらを踏まえて、本発明でいう「耐熱温度」とは、絶縁被膜の比抵抗が急減しない温度とする。本発明の絶縁被膜では、この耐熱温度が400℃以上、450℃以上さらには500℃以上ともなり得る。このような絶縁被膜の高耐熱性は、圧粉磁心の高密度化を図る観点から、磁性粉末の各構成粒子を被覆する絶縁被膜を薄膜化しなければならない場合に特に有効である。
もっとも、本発明の絶縁被膜は、耐熱温度が高いため、従来の熱処理(例えば、熱処理温度が400℃以下)なら、十分な耐熱余裕を有する。従って、その程度の熱処理ならば、本発明の絶縁被膜によって、残留歪の除去と大きな比抵抗の安定的確保とが十分に両立され得る。
さらに焼鈍等の熱処理を行わない場合でも、高温環境下で使用される電磁機器の圧粉磁心等に本発明の絶縁被膜を利用すれば、その電磁機器も耐熱性に優れたものとなり、高温域でも安定した性能を発揮し得る。
本発明の絶縁被膜は、上述したように、例えば、圧粉磁心を構成する磁性粉末の表面を被覆する場合に使用されると特に有効であるが、その場合には限られない。例えば、本発明の絶縁被膜は、板状の磁性材料(薄いケイ素鋼板等)の表面を被覆するために使用しても良い。また、磁性材料の被覆に限らず、絶縁性を要する部材の表面に被覆しても良い。特に、高温域での絶縁性が要求される部材の表面に、本発明の絶縁被膜を被覆すると好適である。
(絶縁被膜の製造方法)
このように耐熱性に優れた絶縁被膜は、例えば、次のような本発明の製造方法によって得られる。
(1)すなわち、本発明の絶縁被膜の製造方法は、シャノンにより定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る元素の化合物および/または塩とリン酸とを混合して溶液とした第1被覆処理液に、被覆される相手材を接触させる接触工程と、該接触工程後の相手材を乾燥させる乾燥工程と、該乾燥工程後の相手材を窒化処理する窒化工程とからなり、前述した本発明の絶縁被膜を該相手材の表面に形成させることを特徴とするものであっても良い。
(2)また、本発明の絶縁被膜の製造方法は、シャノンにより定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る元素の化合物および/または塩とリン酸と窒化剤および/または錯化剤とを混合して溶液とした第2被覆処理液に、被覆される相手材を接触させる接触工程と、該接触工程後の相手材を乾燥させる乾燥工程とからなり、前述した本発明の絶縁被膜を該相手材の表面に形成させることを特徴とするものでも良い。
(3)さらに、上記第1被覆処理液を用いつつ、接触工程を活性な窒素を含む窒化雰囲気(アンモニアガス雰囲気等)で行えば、上記窒化工程を省略しても、絶縁被膜中にNを導入することが可能である。そして、本発明の絶縁被膜の形成時間を短縮できる。
なお、本明細書でいう窒化剤とは、結果物である絶縁被膜中にNを導入できるものであれば良く、例えば、後述する活性なNを含む有機物等がある。本発明の錯化剤は、配位結合部分に窒素を有し、接触工程中に相手材から溶出したFeイオン等とその窒素原子とが配位して錯体を形成するものである。すなわち、本発明では、被覆処理中に、絶縁被膜がNを何らかの形で導入でき、P−O−N系被膜を作製できる添加物を、まとめて「窒化剤」と呼んでいる。
(磁心用粉末)
本発明は、上記絶縁被膜を磁性粉末の表面に被覆した磁心用粉末としても把握できる。
すなわち、本発明は、磁性粉末と、該磁性粉末の表面に被覆された本発明の絶縁被膜とからなることを特徴とする磁心用粉末としても良い。
(磁心用粉末の製造方法)
本発明は、その磁心用粉末の製造方法としても把握できる。
(1)すなわち、本発明は、シャノンにより定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る元素の化合物および/または塩とリン酸とを混合して溶液とした第1被覆処理液に、被覆される磁性粉末を接触させる接触工程と、該接触工程後の磁性粉末を乾燥させる乾燥工程と、該乾燥工程後の磁性粉末を窒化処理する窒化工程とからなり、該磁性粉末の表面が前述した本発明の絶縁被膜で被覆された磁心用粉末が得られることを特徴とする磁心用粉末の製造方法としても良い。
(2)すなわち、本発明は、シャノンにより定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る元素の化合物および/または塩とリン酸と窒化剤および/または錯化剤とを混合して溶液とした第2被覆処理液に、被覆される磁性粉末を接触させる接触工程と、該接触工程後の磁性粉末を乾燥させる乾燥工程とからなり、該磁性粉末の表面が前述した本発明の絶縁被膜で被覆された磁心用粉末が得られることを特徴とする磁心用粉末の製造方法としても良い。
(3)また、接触工程を窒化雰囲気で行う場合、上記窒化工程を省略できることは前述したとおりである。
(圧粉磁心)
本発明は、磁性粉末の表面が前述した本発明の絶縁被膜で被覆された磁心用粉末を加圧成形してなる圧粉磁心としても把握できる。
(圧粉磁心の製造方法)
本発明は、その圧粉磁心の製造方法としても把握できる。
すなわち、本発明は、磁性粉末の表面が前述した本発明の絶縁被膜で被覆された磁心用粉末を成形用金型に充填する充填工程と、該成形用金型内の磁心用粉末を加圧成形する成形工程と、からなることを特徴とする圧粉磁心の製造方法としても良い。
なお、本願明細書でいう磁性粉末や磁心用粉末は、8属遷移元素(Fe、Co、Ni等)等の強磁性元素を主成分とするものである。中でも、取扱性、入手性、コスト等から、Feを主成分とするものが好ましい。さらには、高純度(純度99.7%以上)のFe粉が磁性粉末として好ましい。
また、元素や被覆処理液に付した「第1」または「第2」という称呼は、便宜上のものに過ぎない。
発明の実施形態を挙げて、本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含め、本明細書で説明する内容は、本発明に係る絶縁被膜のみならず、磁心用粉末、圧粉磁心およびそれらの製造方法に、適宜、適用できるものであることを断っておく。また、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なることを断っておく。
(1)絶縁被膜
本発明の絶縁被膜は、前述したように、P、OおよびN(さらにはFe、B)の第1元素群と、イオン半径が大きなCa等の第2元素とを必須構成元素とするものである。このうち、少なくともPおよびOは網目形成体元素であり、Ca等が網目修飾体元素であって、それらによってガラス状絶縁被膜が形成されていると考えられる。
勿論、上記P、OおよびNは必須構成元素であって、絶縁被膜がそれ以外の元素を含有していても良い。特に、製造方法にもよるが、絶縁被膜が被覆される相手材の元素(Fe等)を含むことは十分考えられる。また、絶縁被膜がBを含むものであると、その耐熱性がさらに向上するので好ましい。
絶縁被膜は、膜厚が厚いほど抵抗が大きくなる。しかし、圧粉磁心用の磁性粉末を被覆するような場合、膜厚があまり厚いと、圧粉磁心の磁束密度の低下を招く。そこで、圧粉磁心用絶縁被膜である場合は、圧粉磁心の磁束密度と比抵抗とを確保する観点から、その膜厚は、10〜100nm、さらには、10〜50nmであると好ましい。
ところで、本発明の絶縁被膜をX線光電子分光法(XPS:X‐ray Photoelectron Spectroscopy、又は ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)で測定したところ、絶縁被膜中に含まれるP、OおよびNの好ましい存在比が明らかとなった。すなわち、絶縁被膜をX線光電子分光法(XPS)で測定したときに得られる、絶縁被膜中に存在する第1元素群中の各元素の原子比は、Pに対するOの第1原子比(O/P)が1〜30であり、Nに対するPの第2原子比(P/N)が0.5〜10であると好適である。
第1原子比(O/P)が1未満ではP−O系被膜が形成されず、それが30を超えると非常に厚い被膜が形成されて好ましくない。第1原子比(O/P)の下限は2さらには3であると好ましく、その上限は20さらには15であると好ましい。第2原子比(P/N)が0.5未満では窒素を導入した効果が小さく、耐熱性が向上しない。また、それが10を超えると均一な被膜が形成されず、磁性粉末表面に島状にP−O−N系物質が形成される。第2原子比(P/N)の下限は1さらには1.5であると好ましく、その上限は9さらには7であると好ましい。
(2)磁心用粉末
磁心用粉末は、磁性粉末の表面に本発明の絶縁被膜を被覆したものであり、主に、圧粉磁心の製造に用いられる。
磁心用粉末の原料粉末である磁性粉末は、強磁性元素を主成分とするものが好ましく、コスト、入手性等から、Fe粉末が一般的である。特に、純度が99.5%以上、さらには99.8%以上の純鉄粉が好適である。このような鉄粉として、例えばヘガネス社製のABC100.30を用いることができる。この鉄粉は、Fe以外の成分がC:0.001、Mn:0.02、O:0.08(単位:質量%)以下であり、その他の市販鉄粉に比べて不純物が極めて少ない。しかも、その純鉄粉は圧縮性に優れるため、圧粉磁心の製造に適している。
この他、磁性粉末は、純鉄以外に、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の強磁性元素を含有しても良い。例えば、磁性粉末全体を100質量%としたときに、Coを5〜30質量%含むと、磁束密度の向上を図れるので好ましい。この他、SiやAlを0.3〜4質量%程度含んでも良い。勿論、磁気的特性を低下させる不純物元素は少ない程よい。
また、磁性粉末は、複数の粉末を混合した混合粉末でも良い。例えば、純鉄粉とFe−49Co−2V(パーメンジュール)粉、純鉄粉とFe−3Si粉、センダスト(Fe−9Si−6Al)粉と純鉄粉等の混合粉末であっても良い。
圧粉磁心の高密度化のためには、磁心用粉末の粒径が20〜300μm、さらには50〜200μmであると好適である。本発明者が試験したところ、渦電流損失の低減を図る観点からは、その粒径が細かい程好ましく、例えば、50μm以下とすると良い。一方、ヒステリシス損失の低減を図る観点からは、粒径を粗くする方が好ましく、例えば、100μm以上とすると良い。なお、磁心用粉末の分級は、篩い分法等により容易に行える。
(3)圧粉磁心
本発明の圧粉磁心は、上記磁心用粉末を加圧成形したものである。圧粉磁心の構成粒子が本発明の絶縁被膜で被覆されている限り、磁気的特性等は問わない。もっとも、本発明の絶縁被膜によって構成粒子が被覆されているため、高温域まで安定した電気的特性(比抵抗)が確保される。さらに、後述する温間高圧成形を用いると、高密度な圧粉磁心が得られ、その磁気的特性は非常に優れたものとなる。
次に、この圧粉磁心の電気的特性、磁気的特性、機械的特性等について説明する。
圧粉磁心の電気的特性を指標する代表的なものは、比抵抗である。比抵抗は、形状に依存しない圧粉磁心ごとの固有値であり、同形状の圧粉磁心であれば比抵抗が大きいほど、渦電流損失は小さくなる。
本発明の圧粉磁心の場合、その比抵抗が高温域まで安定しているのみならず、その値自体も大きい。例えば、本発明の高密度圧粉磁心の場合で、成形後に熱処理を行わないときの比抵抗は、30μΩm以上、さらには、1000μΩm以上ともなる。熱処理を行ったときでも、熱処理温度が400℃程度なら、圧粉磁心の比抵抗は30μΩm以上、40μΩm以上さらには50μΩm以上ともなる。また、その熱処理温度が450〜500℃程度となっても、10μΩm以上、15μΩm以上さらには20μΩm以上の比抵抗が確保される。絶縁被膜が非常に薄いにも拘らず、熱処理後の圧粉磁心の比抵抗が急減しないのは、前述したように絶縁被膜中に含まれるNに、高温域における絶縁被膜の軟化を抑止する作用が従来以上にあるためと考えられる。
圧粉磁心の磁気的特性を指標する代表的なものは、本来、透磁率かもしれないが、透磁率は、一般的なB−H曲線からも解るように一定ではない。そこで、その代替として、特定強さの磁界中においたときにできる磁束密度で圧粉磁心の磁気的特性を特定することにする。
その特定磁界の一例として、低磁場(2kA/m)と高磁場(10kA/m)とを選択し、それらの磁界中に圧粉磁心を置いたときにできる磁束密度B2k、B10kで本発明の圧粉磁心を評価した。本発明の圧粉磁心の場合、2kA/mの低磁場中でも十分大きな磁束密度B2k≧1.0Tさらに1.1Tを得ることができる。また、10kA/mの高磁場中でも十分大きな磁束密度B10k≧1.6Tさらには1.7Tが得られる。
なお、飽和磁化Msが小さいと、高磁場中で大きな磁束密度が得られないが、本発明の圧粉磁心では、例えば、1.6MA/mの磁場中における飽和磁化Ms≧1.9Tさらには1.95T以上ともなり、高磁界中でも安定した高磁束密度が得られる。
さらに、圧粉磁心の磁気的特性を指標するものとして、保磁力がある。圧粉磁心の場合、保磁力が小さい程、交流磁界に対する追従性が良く、ヒステリシス損失も小さくなる。この保磁力は、前述したように、残留歪を除去することで低減できる。本発明の絶縁被膜の優れた耐熱性を利用して、高温熱処理を行うと、例えば、保磁力bHcが350A/m、320A/m以下さらには300A/m以下ともなり得る。なお、本明細書中でいう保磁力bHcは、最大磁場2kA/mでの磁化曲線から測定した値と定義する。
圧粉磁心の機械的特性を指標する代表的なものとして強度がある。圧粉磁心は、鋳造品や焼結品とは異なり、絶縁被膜で被覆された構成粒子の塑性変形によって、主に機械的に結合されている。このため、本来、その強度は比較的弱い。しかし、後述の温間高圧成形により、本発明の圧粉磁心は、その用途を拡大するのに足る十分な強度を得ている。
特に、本発明の絶縁被膜で被覆された磁性粉末は、それが球状のガスアトマイズ粉からなる場合でも、その絶縁被膜同士の絡みや吸引力等が作用して、圧粉磁心の各構成粒子は強固に結合される。そのため、強度にも優れた粉末成形体(圧粉磁心)が得られる。例えば、圧環強度σが50MPa以上、さらには100MPa以上という高強度が得られる。なお、圧粉磁心の圧環強度σは、JISに規定されていないが、焼結含油軸受の圧環強さ試験方法(JIS Z 2507−1979)により求めることができる。
本発明の圧粉磁心は、その密度を必ずしも問わないが、非常に高密度な圧粉磁心が得られている。圧粉磁心の高密度性を、その見掛密度(ρ)で直接的に指標することも可能であるが、その見掛密度は磁性粉末の組成や絶縁被膜の存在量によって変化するため、高密度性を客観的に一見して評価するのは難しい。そこで、次のような相対密度を用いると、圧粉磁心の高密度性を評価し易い。本発明の粉磁心の場合、その理論密度(ρ0)に対する見掛密度(ρ)の割合である相対密度(ρ/ρ0)が95%以上、96%以上、97%以上、98%以上さらには99%以上ともなる。なお、理論密度(ρ0)は、圧粉磁心の製造に使用した各原材の配合比および真密度から導出されるが、本発明のように樹脂などを添加しない場合、現実には磁性粉末の真密度で代替しても大差ない。
(4)絶縁被膜の製造方法または磁心用粉末の製造方法
絶縁被膜の製造方法も磁心用粉末の製造方法も、相手材(磁性粉末)と被覆処理液との接触工程とその後の乾燥工程とを基本的に備えてなる。そして、被覆処理液の内容や接触工程を行う雰囲気によって、別途、窒化工程を備える場合もある。なお、絶縁被膜の相手材は磁性粉末に限らないが、以下では、相手材が磁性粉末である場合を適宜例示した。
(a)被覆処理液は、基本的にリン酸および本発明でいう第2元素とを含む溶液である。これは、水溶液には限らず、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、グリセリン等の有機溶媒を用いた溶液でも良い。いずれにしても、被覆処理液は、それらの溶媒中にリン酸を混合し、アルカリ土類金属元素や希土類元素の化合物や塩を溶解させてなる。
被覆処理液はさらに、窒化剤や錯化剤を含んでいても良い。工業的に入手し易い窒化剤には、例えば、1、2、3ベンゾトリアゾール(1,2,3-Benzotriazole)、およびその誘導体がある。これらの化学式は下記の通りである。
Figure 2005171350
また、錯化剤には、1、10−フェナントロリン(1,10-Phenanthroline)、エチレンジアミン四酢酸(Ethlenediaminetetraacetic Acid(EDTA))、ベンゾキシアゾール(Benzoxazole)、1−ニトロソ−2−ナフトール(1-Nitroso-2-Naphthol)、ジメチルグリオキシム(Dimethylglyoxime)、およびその誘導体がある。これらの化学式は下記の通りである。
Figure 2005171350
さらに、後述の接触工程を改善するために、磁性粉末(例えば、Fe粉)との濡れ性を向上させて均一な被膜を形成させるための界面活性剤(カップリング剤)、磁性粉末(例えば、Fe粉)の酸化を防止するための防錆剤等を添加しても良い。
(b)接触工程は、例えば、被覆処理液を相手材に噴霧する溶液噴霧法(噴霧工程)、被覆処理液中に浸漬する溶液浸漬法(浸漬工程)等、種々の方法(工程)により行える。溶液噴霧法、溶液浸漬法は大量処理が可能であり、工業的にも有効な方法である。
また、これらの方法に限らず、めっきの如く、電気化学的反応を利用して、相手材の表面に薄く均一な絶縁被膜を形成しても良い。この場合、絶縁被膜によって被覆された相手材の表面は、電気的に絶縁されるため、被覆されていない表面部分(露出している部分)が、自然に、優先的に被覆処理液と反応していくことになる。その結果、相手材(磁性粉末)の表面が順次コーティングされ、相手材の全面がピンホールなく均一に被覆されることとなる。
さらに、この接触工程で用いる被覆処理液の濃度を変更することにより、形成される絶縁被膜の膜厚を調整することも可能である。被覆処理液の濃度を濃くすると、膜厚の厚い絶縁被膜が得られ、薄くすると、膜厚の薄い絶縁被膜が得られる。勿論、薄い膜厚を重ねて形成し、全体的に厚い絶縁被膜としても良い。
また、相手材と被覆処理液との接触時間も、その膜厚に影響するとも考えられる。しかし、現実には、両者の反応時間が短いこともあり、一旦、相手材の表面が被覆されると、接触時間を長くしても、膜厚の変化は少ない。
さらに、この接触工程を窒化雰囲気で行って、窒化剤の使用や乾燥工程後の窒化工程を省略することもできる。このような窒化雰囲気とは、活性な窒素を有するガス雰囲気である。例えば、アンモニアガスおよびヒドラジン雰囲気のように、活性な窒素が存在する雰囲気である。この場合における具体的な被覆処理液と相手材との接触方法として、通常の雰囲気炉やロータリーキルンがある。
(c)乾燥工程は、相手材に付着した余分な被覆処理液やその溶媒を発散させる行程である。この乾燥工程は、加熱乾燥は勿論、自然乾燥でも良い。もっとも、相手材の表面に絶縁被膜を安定的に、素早く定着させるためには、加熱乾燥(加熱乾燥工程)が好ましい。加熱温度は、80〜350℃程度、加熱時間は、10〜180min程度が好ましい。なお、加熱雰囲気は、真空脱気中や窒素中でも良いが大気中でも十分である。
(d)窒化工程は、被覆処理液中に窒化剤等を含めない場合に行うのが良い。この窒化処理は、ガス窒化、プラズマ窒化、液体窒化、ソルト軟窒化およびガス軟窒化等のいずれに依っても良い。窒化条件は処理方法によって異なるが、アンモニアガス(NH3)雰囲気中でガス窒化を行う場合なら、200〜400℃で0.1〜6時間加熱すれば良い。
(5)圧粉磁心の製造方法
圧粉磁心の製造方法は、上述の磁心用粉末を成形用金型に充填する充填工程と、充填された磁心用粉末を加圧成形する成形工程とから基本的になる。圧粉磁心の磁気的特性を向上させる上で重要なのは成形工程である。特に、その成形圧力が、圧粉磁心の高密度化、およびそれに伴う圧粉磁心の高磁束密度化等の観点から非常に重要となる。
もっとも、その成形圧力を大きくすると、成形用金型の内面と磁心用粉末との間でかじりを生じたり、抜圧が過大となったり、金型寿命を極端に低下させたりし易い。このため、従来の成形方法では、その成形圧力を大きくすることが現実には困難であった。
しかし、本発明者は、前述したように、画期的な温間高圧成形法を確立し、それらの課題を解決済である。この温間高圧成形法は、前記充填工程を高級脂肪酸系潤滑剤を内面に塗布した成形用金型へ磁心用粉末を充填する工程とし、前記成形工程をその磁心用粉末と成形用金型の内面との間に金属石鹸被膜が生成される温間高圧成形工程とするものである。
一例を挙げると、磁性粉末をFeを主成分とする粉末とし、高級脂肪酸系潤滑剤をステアリン酸リチウムとした場合、成形用金型の内面に接する圧粉磁心の外表面には、潤滑性に優れたステアリン酸鉄からなる金属石鹸被膜が形成される。このステアリン酸鉄被膜の存在によって、かじり等が生じず、また、非常に低い抜圧で圧粉磁心が成形用金型から取出される。そして、金型の長寿命化も図れる。
次に、この製造方法をさらに詳細に説明する。
(a)充填工程
充填工程に際して、成形用金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布する必要がある(塗布工程)。
塗布する高級脂肪酸系潤滑剤としては、高級脂肪酸自体の他、高級脂肪酸の金属塩であると好適である。高級脂肪酸の金属塩には、リチウム塩、カルシウム塩又は亜鉛塩等がある。特に、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛が好ましい。この他、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸リチウム、オレイン酸リチウム、パルミチン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム等を用いることもできる。
この塗布工程は、加熱された成形用金型内に水または水溶液に分散させた高級脂肪酸系潤滑剤を噴霧する工程であると、好適である。
高級脂肪酸系潤滑剤が水等に分散していると、成形用金型の内面へ高級脂肪酸系潤滑剤を均一に噴霧することが容易となる。さらに、加熱された成形用金型内にそれを噴霧すると、水分が素早く蒸発して、成形用金型の内面へ高級脂肪酸系潤滑剤を均一に付着させることができる。そのときの成形用金型の加熱温度は、後述の成形工程の温度を考慮する必要があるが、例えば、100℃以上に加熱しておけば足る。もっとも、高級脂肪酸系潤滑剤の均一な膜を形成するために、その加熱温度を高級脂肪酸系潤滑剤の融点未満にすることが好ましい。例えば、高級脂肪酸系潤滑剤としてステアリン酸リチウムを用いた場合、その加熱温度を220℃未満とすると良い。
なお、高級脂肪酸系潤滑剤を水等に分散させる際、その水溶液全体の質量を100質量%としたときに、高級脂肪酸系潤滑剤が0.1〜5質量%、さらには、0.5〜2質量%の割合で含まれるようにすると、均一な潤滑膜が成形用金型の内面に形成されて好ましい。
また、高級脂肪酸系潤滑剤を水等へ分散させる際、界面活性剤をその水に添加しておくと、高級脂肪酸系潤滑剤の均一な分散が図れる。そのような界面活性剤として、例えば、アルキルフェノール系の界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)10、アニオン性非イオン型界面活性剤、ホウ酸エステル系エマルボンT−80等を用いることができる。これらを2種以上組合わせて使用しても良い。例えば、高級脂肪酸系潤滑剤としてステアリン酸リチウムを用いた場合、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)10及びホウ酸エステルエマルボンT−80の3種類の界面活性剤を同時に用いると好ましい。それらの1種のみを添加する場合に較べて複合添加した場合、ステアリン酸リチウムの水等への分散性が一層活性化されるからである。
また、噴霧に適した粘度の高級脂肪酸系潤滑剤の水溶液を得るために、その水溶液全体を100体積%とした場合、界面活性剤の割合を1.5〜15体積%とすると好ましい。
この他、少量の消泡剤(例えば、シリコン系の消泡剤等)を添加しても良い。水溶液の泡立ちが激しいと、それを噴霧したときに成形用金型の内面に均一な高級脂肪酸系潤滑剤の被膜が形成され難いからである。消泡剤の添加割合は、その水溶液の全体積を100体積%としたときに、例えば0.1〜1体積%程度であればよい。
水等に分散した高級脂肪酸系潤滑剤の粒子は、最大粒径が30μm未満であると、好適である。最大粒径が30μm以上となると、高級脂肪酸系潤滑剤の粒子が水溶液中に沈殿し易く、成形用金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を均一に塗布することが困難となるからである。
高級脂肪酸系潤滑剤の分散した水溶液の塗布には、例えば、塗装用のスプレーガンや静電ガン等を用いて行うことができる。
なお、本発明者が高級脂肪酸系潤滑剤の塗布量と粉末成形体の抜出圧力との関係を実験により調べた結果、膜厚が0.5〜1.5μm程度となるように高級脂肪酸系潤滑剤を成形用金型の内面に付着させると好ましいことが解った。
(b)成形工程
詳細は明らかではないが、この工程で、前述の金属石鹸被膜がメカノケミカル反応によって生成されると考えられる。
すなわち、その反応によって、磁心用粉末(特に、絶縁被膜)と高級脂肪酸系潤滑剤とが化学的に結合し、金属石鹸の被膜(例えば、高級脂肪酸の鉄塩被膜)が磁心用粉末の成形体表面に形成される。この金属石鹸の被膜は、その粉末成形体の表面に強固に結合し、成形用金型の内表面に付着していた高級脂肪酸系潤滑剤よりも遙かに優れた潤滑性能を発揮する。その結果、成形用金型の内面と粉末成形体の外面との接触面間での摩擦力が著しく低減し、高圧成形が可能になったと考えられる。
なお、磁心用粉末の各粒子は絶縁被膜で被覆されているが、絶縁被膜中に金属石鹸の被膜形成を促進する元素(例えば、磁性粉末の主成分であるFeや本発明でいう第2元素)を主成分として含有しているので、それらを基に高級脂肪酸の金属塩被膜(金属石鹸被膜)が形成されると考えられる。
成形工程における「温間」とは、各状況に応じた適切な加熱条件の下で成形工程を行うことを意味する。もっとも、磁心用粉末と高級脂肪酸系潤滑剤との反応を促進するために、概して成形温度を100℃以上とすると好ましい。また、絶縁被膜の破壊や高級脂肪酸系潤滑剤の変質を防止するために、概して成形温度を200℃以下とすると好ましい。そして、成形温度を120〜180℃とするとより好適である。
成形工程における「加圧」の程度も、所望する圧粉磁心の特性、磁心用粉末、絶縁被膜、高級脂肪酸系潤滑剤の種類、成形用金型の材質や内面性状等に応じて適宜決定されるものであるが、この製造方法を用いると、従来の成形圧力を超越した高圧力下で成形可能である。このため、例えば、成形圧力を700MPa以上、785MPa以上、1000MPa以上、さらには、2000MPaとすることもできる。成形圧力が高圧である程、高密度の圧粉磁心が得られる。もっとも、成形用金型の寿命や生産性を考慮して、その成形圧力を2000MPa以下、より望ましくは1500MPa以下とするのが良い。
なお、本発明者は、この温間高圧成形法を用いた場合、成形圧力が約600MPaで抜出圧力が最大となり、それ以上ではむしろ抜出圧力が低下することを実験により確認している。そして、成形圧力を900〜2000MPaの範囲で変化させたときでさえ、抜出圧力が5MPa程度と、非常に低い値を維持した。このことからも、本発明の製造方法の一つである温間高圧成形法によって形成される金属石鹸被膜が、如何に潤滑性に優れるかが解る。この温間高圧成形法は、高圧成形による高密度化が要求される圧粉磁心の製造方法として最適であることが解る。このような現象は、高級脂肪酸系潤滑剤として、ステアリン酸リチウムを用いた場合に限らず、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛を用いた場合でも同様に生じ得る。
(c)熱処理工程
熱処理工程は、残留する応力や歪を除去するために行う。これにより、圧粉磁心の保磁力が低減され、ヒステリシス損失が低減されると共に交流磁界に対する追従性も良くなり、圧粉磁心の磁気的特性が向上する。
このときの加熱温度は、磁性粉末の材質にも依るが、Feを主成分とする場合、300〜600℃、好ましくは、350〜500℃である。また、加熱時間は、1〜300分、好ましくは、5〜60分である。
加熱時間が300℃未満では残留応力や歪みの除去効果が乏しく、600℃を越えると絶縁被膜の破壊が進行し易くなる。また、加熱時間が1分未満では残留応力や歪みの除去効果が乏しく、300分を越えて加熱してもそれ以上効果が向上しないからである。
本発明の圧粉磁心は、その構成粒子が耐熱性に優れた絶縁被膜で被覆されているため、従来よりも熱処理温度を高くしても(例えば、400〜500℃)、より確実に残留歪の除去を行うことができる。例えば、磁心用粉末の粉末成形体がFeを主成分とする場合なら、その成形体を400℃以上に加熱した後に徐冷する熱処理工程を行えば良い。
勿論、従来レベルの熱処理温度(例えば、300〜400℃)で熱処理工程を行う場合なら、本発明の絶縁被膜は耐熱余裕が大きいため、熱処理後における圧粉磁心の比抵抗の低下割合も少なくてすむ。
(圧粉磁心の用途)
本発明の圧粉磁心は、各種の電磁機器、例えば、モータ、アクチュエータ、トランス、誘導加熱器(IH)、スピーカ等に利用できる。そして、本発明の圧粉磁心は、比抵抗と透磁率とを大きくすることができるから、エネルギー損失を抑制しつつ、各種機器の高性能化、小型化、省エネルギー化等を図ることが可能となる。例えば、自動車エンジン等の燃料噴射弁にこの圧粉磁心を内蔵すると、その圧粉磁心が磁気的特性に優れるのみならず高周波損失も小さいため、小型、高出力と共に高応答性をも実現できる。
さらに、本発明の圧粉磁心は、磁気的特性のみらず、耐熱性にも優れるため、高温環境下で使用される製品に使用すると、一層好ましい。その一例として、特開2001−118725号公報等に記載されているエンジンバルブ駆動に用いられる電磁アクチュエータを挙げることができる。
その他、直流機、誘導機、同期機等のモータに本発明の圧粉磁心を用いると、モータの小型化と高出力化との両立を図れて好適である。
実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(第1実施例:試料No.1〜4)
(A)絶縁被膜および磁心用粉末の製造
磁性粉末として、市販のFe粉末(ヘガネス社製ABC100.30:純度99.8%Fe、単位:質量%)を用意した。ここでは、磁性粉末の分級等を特に行わず、入手した状態のままで使用したので、その粒径は約20〜180μmであった。
この粉末に、次のような絶縁被膜のコーティング処理を行なった。
先ず、表2に示すように、市販されている試薬であるSrO(アルカリ土類金属元素の酸化物):8g、ホウ酸(H3BO3):3gおよびリン酸(H3PO4):21gをイオン交換水200mlに投入し、撹拌、溶解してコーティング原液を得た。このコーティング原液を適宜イオン交換水で希釈して、濃度10%のコーティング液(第1被覆処理液)を得た。コーティング液の濃度が10%(体積%)とは、コーティング原液:1(体積)に対してイオン交換水:9(体積)の割合で希釈したことを意味する。コーティング液の濃度については、以下に示した他の実施例についても同様である。
次に、100mlのビーカに入れた磁性粉末100gの上から、上記コーティング液を20ml滴下した(接触工程)。それを電気炉に入れて、200℃、45min間、大気中で加熱乾燥した(乾燥工程)。乾燥後の磁性粉末は軽く解粉した。
さらに、この解粉後の磁性粉末に対して、窒化処理を行った(窒化工程)。この窒化処理は、アンモニアガス雰囲気炉中で、200℃x0.5〜3時間の条件で行った。なお、このアンモニアガス雰囲気は、アルゴンガス(Ar)、アンモニアガス(NH3)および水素ガス(H2)の混合ガス雰囲気であって、炉中のガスの流量は、それぞれ、Ar:100mil/min、NH3:200mil/min、H2:100mil/minとした。各試料毎の処理時間は表3に併せて示した。
こうして、Fe粉末からなる磁性粉末の表面を絶縁被膜で被覆して、圧粉磁心の原料粉末となる磁心用粉末を得た。
(B)圧粉磁心の製造
得られた各種の磁心用粉末に対して、金型潤滑温間高圧成形法を行うことにより、リング状(外径:φ39mm×内径φ30mm×厚さ5mm)と板状(5mm×10mm×55mm)との2種の試験片をそれぞれの試料ごとに製作した。このリング状試験片は磁気特性評価用および圧環強度評価用であり、板状試験片は電気抵抗評価用である。なお、この圧粉磁心の成形に際して、内部潤滑剤や樹脂バインダー等は、一切、磁心用粉末に混在させなかった。
この温間高圧成形は、具体的には次のようにして行った。
(a)上記の各試験片形状に応じたキャビティを有する超硬製の成形用金型を用意した。この成形用金型をバンドヒータで予め150℃に加熱しておいた。また、この成形用金型の内周面には、予めTiNコート処理を施し、その表面粗さを0.4Zとしておいた。
そして、加熱した成形用金型の内周面に、水溶液に分散させたステアリン酸リチウムをスプレーガンにて、1cm3/秒程度の割合で均一に塗布した(塗布工程)。ここで用いた水溶液は、水に界面活性剤と消泡剤とを添加したものである。界面活性剤には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、(EO)10及びホウ酸エステルエマルボンT−80を用い、それぞれを水溶液全体(100体積%)に対して1体積%づつ添加した。また、消泡剤には、FSアンチフォーム80を用い、水溶液全体(100体積%)に対して0.2体積%添加した。
また、ステアリン酸リチウムには、融点が約225℃で、平均粒径が20μmのものを用いた。その分散量は、上記水溶液100cm3に対して25gとした。そして、これをさらにボールミル式粉砕装置で微細化処理(テフロンコート鋼球:100時間)し、得られた原液を20倍に希釈して最終濃度1%の水溶液として、上記塗布工程に供した。
(b)ステアリン酸リチウムが内面に塗布されたその成形用金型へ、それと同温の150℃に加熱しておいた上記の各種磁心用粉末を充填した(充填工程)。
(c)成形用金型を150℃に保持したまま、1176MPaの成形圧力で、充填された各種磁心用粉末を温間加圧成形した(成形工程)。
なお、この温間高圧成形に際して、いずれの磁心用粉末も成形用金型とかじり等を生じることがなく、5MPa程度の低い抜圧で粉末成形体をその金型から取出すことができた。
(d)得られた粉末成形体に、大気中で、温度:400℃x時間:30分の熱処理を適宜施した(熱処理工程)。
(第2実施例:試料No.5〜10)
第1実施例で使用した濃度10%または濃度5%のコーティング液20mlに、各種添加剤を撹拌、溶解させて、別のコーティング液(第2被覆処理液)を得た。
このコーティング液を用いて、第1実施例と同様にコーティング処理(接触工程および乾燥工程)を行い、各種の磁心用粉末を得た。但し、窒化処理は行わなかった。そして、それらの磁心用粉末を用いて、第1実施例と同様に圧粉磁心を製造した。
ここで使用した添加剤(窒化剤または錯化剤)は、1、2、3ベンゾトリアゾール(1,2,3-Benzotriazole)、1、10−フェナントロリン(1,10-Phenanthroline)、エチレンジアミン四酢酸(Ethlenediaminetetraacetic Acid(EDTA))、ベンゾキシアゾール(Benzoxazole)、1−ニトロソ−2−ナフトール(1-Nitroso-2-Naphthol)、ジメチルグリオキシム(Dimethylglyoxime)である。各試料で使用した添加剤の種類およびその添加量と、コーティング液の濃度とを表4にそれぞれ示した。なお、添加量は、Fe粉末に対する質量%である。つまり、添加量0.02質量%とは、Fe粉末100gに対して添加剤0.02gであるので、Fe粉末:100g、コーティング液:20mlおよび添加剤:0.02gを、前述の100mlビーカーに投入していることになる。
(第3実施例:試料No.11〜28)
第1実施例で使用した濃度10%、5%または2.5%のコーティング液20mlに、1、2、3ベンゾトリアゾール(1,2,3-Benzotriazole)を撹拌、溶解させて、コーティング液(第2被覆処理液)を得た。各試料で使用した添加剤の添加量と、コーティング液の濃度とを表5にそれぞれ示した。
このコーティング液を用いて、第2実施例と同様にして、各種の磁心用粉末および圧粉磁心を製造した。但し、熱処理工程は、熱処理温度を400℃または500℃の両方で行った。
(第4実施例:試料No.29)
第1実施例で使用したSrOに替えて、Y(NO33・6H2Oを使用して、別のコーティング原液を調製した。調製方法は第1実施例の場合と同様であり、コーティング原液の調製に使用した各試薬の量は表2に示した。
このコーティング原液を適宜イオン交換水で希釈して濃度10%にすると共に、そのコーティング液20mlに、1、2、3ベンゾトリアゾール(1,2,3-Benzotriazole):0.02gを撹拌、溶解させて、コーティング液(第2被覆処理液)を得た。
このコーティング液を用いて、第2実施例と同様に、各種の磁心用粉末および圧粉磁心を製造した。
(第5実施例:試料No.30)
第1実施例で使用したSrOに替えて、CaO(アルカリ土類金属元素の酸化物)を使用して、別のコーティング原液を調製した。調製方法は第1実施例の場合と同様であり、コーティング原液の調製に使用した各試薬の量は表2に示した。
このコーティング原液を希釈せず、そのコーティング原液20mlに、1、2、3ベンゾトリアゾール(1,2,3-Benzotriazole):0.02gを撹拌、溶解させて、さらに別のコーティング液(第2被覆処理液)を得た。
このコーティング液を用いて、第2実施例と同様に、各種の磁心用粉末および圧粉磁心を製造した。
(比較例:試料No.C1〜C8)
試料No.C1〜C6では、第1実施例と同様に、いずれの添加剤も添加していないコーティング液を用いて絶縁被膜のコーティング処理を行った。但し、その後の窒化処理は行わなかった。得られた各種の磁心用粉末を用いて、第1実施例と同様にして圧粉磁心を製造した。
試料No.C7では、第4実施例と同様のコーティング原液からなる濃度10%のコーティング液を使用した。この場合も、そこには添加剤を添加しなかった。この未添加のコーティング液を用いて、絶縁被膜のコーティング処理を行い、その後の窒化処理は行わなかった。得られた各種の磁心用粉末を用いて、第1実施例と同様にして圧粉磁心を製造した。
試料No.C8では、第5実施例と同様のコーティング原液を使用したが、そこにも添加剤を添加しなかった。この未添加のコーティング原液を用いて、絶縁被膜のコーティング処理を行い、その後の窒化処理は行わなかった。得られた各種の磁心用粉末を用いて、第1実施例と同様にして圧粉磁心を製造した。
(測定)
先ず、上記の板状試験片を用いて、それらの絶縁被膜の耐熱性を評価した。評価方法としては、成形後のままの試験片(熱処理前の試験片)と、400℃または500℃で熱処理した試験片とについて、(体積)比抵抗を適宜測定した。なお、比抵抗の測定は、マイクロオームメータ(メーカ:ヒューレットパカード(HP)社、型番:34420A)を用いて4端子法により測定した(以下、同様)。その測定結果を各表に併せて示した。
次に、前述したリング状試験片と板状試験片とを各種用意して、それらの磁気的特性と電気的特性とを測定した。ここでは、前述の比抵抗の他、各種磁気特性、密度および圧環強度についても測定した。この測定結果を各表に併せて示した。
なお、磁気的特性の内、静磁場特性は直流自記磁束計(メーカ:東英工業、型番:MODEL−TRF)により測定した。交流磁場特性は交流B−Hカーブトレーサ(メーカ:岩崎通信機(株)、型番:SY−8232)により測定した。表中の交流磁場特性は、圧粉磁心を800Hz、1.0Tの磁場中に置いたときの高周波損失を測定したものである。また、静磁場中の磁束密度は、その磁界の強さを2kA/mおよび10kA/mとしたときにできる磁束密度を示したものであり、各表中にそれぞれB2kおよびB10kとして示した。なお、本明細書中で、保磁力bHcは最大磁場2kA/mでの磁化曲線から測定した値とする。密度は、アルキメデス法により測定した。圧環強度は、焼結含油軸受の圧環強さ試験方法(JIS Z 2507−1979)に準じて測定した。
さらに、磁心用粉末の絶縁被膜をX線光電子分光法(XPS)で測定した。使用した装置は、PHI社製の型式:5500MCであり、測定条件は、X線源:Mg Kα、分析領域:約800μmφとした。その結果得られた第1原子比(O/P)および第2原子比(P/N)を各表に併せて示した。
(評価)
いずれの試験片でも、熱処理前後で比抵抗が低下していたが、実施例のものは比較例のものに対して、熱処理後における比抵抗が高い値で安定していた。特に、添加剤の添加量が増える程、その比抵抗は大きくなっていた。この一例として、第3実施例(コーティング液濃度10%、熱処理温度:400℃)の比抵抗と添加量との関係を図1に示した。この傾向は、熱処理温度が400℃でも500℃でも変らず、熱処理温度が500℃の場合であっても、十分に大きな比抵抗が維持されていた。
また、熱処理前の実施例と比較例とを比較しても、実施例の方が比較例よりも、比抵抗が大きかった。従って、本発明の絶縁被膜は、耐熱性を有するのみならず、それ自身の比抵抗値も高いことがわかる。
一方、各試料の磁気特性(静磁場特性)や機械的強度(圧環強度)は、実施例と比較例との間に実質的な差は殆どなかった。この一例として、第3実施例(コーティング液濃度10%、熱処理温度:400℃)の圧環強度と添加量との関係を図2に示した。従って、磁心用粉末の製造に際して、窒化処理を行ったり、コーティング液に添加剤を溶解させることで、それを使用した圧粉磁心の磁気的特性や機械的特性を犠牲にすることなく、その電気的特性を大きく向上させることができた。つまり、実施例の圧粉磁心では、比較例のものに対して渦電流損を含む全損失(鉄損)をより低減させることができた。
さらに、XPSの測定結果から、本発明に係る耐熱性に優れた絶縁被膜について、その第1原子比(O/P)は1〜20で、第2原子比(P/N)は1〜10が適当であることもわかった。
現状では、コーティング液の濃度と絶縁被膜の膜厚等との定量的関係は明確ではないが、コーティング液の濃度が濃い程、絶縁被膜の膜厚が厚くなり、比抵抗が大きくなり、高周波損失が低減されていると考えられる。従って、コーティング液の濃度次第で高周波損失をさらに低減できると考えられる。ちなみに、実施例についてTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて膜厚を測定したところ、20〜30nmであった。
なお、第3実施例で使用した1、2、3ベンゾトリアゾール(1,2,3-Benzotriazole)は防錆効果を有する。このため、上述した本発明の絶縁被膜による効果は、その防錆効果によるものではないかとも考えられる。しかし、そのような添加剤を添加しないで、適当な条件下で絶縁被膜を形成した磁心用粉末の場合でも、絶縁被膜中に含まれる酸素量以上に錆等によって酸素量が増加することもなかった。また、1、2、3ベンゾトリアゾール以外の前述した添加剤については、著しい防錆効果は報告されていない。しかし、その場合であっても、第2〜5実施例で示したように、絶縁被膜は十分な耐熱性と比抵抗を示した。従って、第3実施例の結果は、使用した添加剤の防錆効果に起因するものではないことがわかる。
以上のように、本発明によれば、耐熱性に優れる絶縁被膜が得られる。その絶縁被膜を磁性粉末に被覆した磁心用粉末、および、その磁心用粉末を加圧成形してなる圧粉磁心は、高温域まで大きな比抵抗を示す。特に、その圧粉磁心を熱処理した場合、残留歪が除去されてヒステリシス損失が低減され、その際に、絶縁被膜が優れた耐熱性を有するために圧粉磁心の比抵抗も急減せず渦電流損が抑制される。従って、全体的な損失(鉄損)の小さい圧粉磁心が得られる。
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本発明に係る第3実施例の圧粉磁心の比抵抗と添加剤の添加量との関係を示すグラフである。 本発明に係る第3実施例で、コーティング液濃度10%、熱処理温度400℃とした圧粉磁心の圧環強度と添加剤の添加量との関係を示すグラフである。

Claims (15)

  1. リン(P)と酸素(O)と窒素(N)とからなる第1元素群と、
    シャノン(Shannon,R,D)により定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る第2元素とを必須構成元素とすることを特徴とする絶縁被膜。
  2. 前記絶縁被膜をX線光電子分光法(XPS)で測定したときに得られる、該絶縁被膜中に存在する前記第1元素群中の各元素の原子比は、Pに対するOの原子比(O/P)が0.5〜30であり、Nに対するPの原子比(P/N)が1〜10である請求項1に記載の絶縁被膜。
  3. 前記第1元素群には、さらに、ホウ素(B)および/または鉄(Fe)が含まれる請求項1に記載の絶縁被膜。
  4. シャノンにより定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る元素の化合物および/または塩とリン酸とを混合して溶液とした第1被覆処理液に、被覆される相手材を接触させる接触工程と、
    該接触工程後の相手材を乾燥させる乾燥工程と、
    該乾燥工程後の相手材を窒化処理する窒化工程とからなり、
    請求項1に記載の絶縁被膜を該相手材の表面に形成させることを特徴とする絶縁被膜の製造方法。
  5. シャノンにより定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る元素の化合物および/または塩とリン酸と窒化剤および/または錯化剤とを混合して溶液とした第2被覆処理液に、被覆される相手材を接触させる接触工程と、
    該接触工程後の相手材を乾燥させる乾燥工程とからなり、
    請求項1に記載の絶縁被膜を該相手材の表面に形成させることを特徴とする絶縁被膜の製造方法。
  6. 磁性粉末と、
    該磁性粉末の表面に被覆された請求項1に記載の絶縁被膜と、
    からなることを特徴とする磁心用粉末。
  7. シャノンにより定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る元素の化合物および/または塩とリン酸とを混合して溶液とした第1被覆処理液に、被覆される磁性粉末を接触させる接触工程と、
    該接触工程後の磁性粉末を乾燥させる乾燥工程と、
    該乾燥工程後の磁性粉末を窒化処理する窒化工程とからなり、
    該磁性粉末の表面が請求項1に記載した絶縁被膜で被覆された磁心用粉末が得られることを特徴とする磁心用粉末の製造方法。
  8. シャノンにより定義された6配位のイオン半径が0.073nm以上である2価以上の陽イオンを生じさせ得る元素の化合物および/または塩とリン酸と窒化剤および/または錯化剤とを混合して溶液とした第2被覆処理液に、被覆される磁性粉末を接触させる接触工程と、
    該接触工程後の磁性粉末を乾燥させる乾燥工程とからなり、
    該磁性粉末の表面が請求項1に記載した絶縁被膜で被覆された磁心用粉末が得られることを特徴とする磁心用粉末の製造方法。
  9. 磁性粉末の表面が請求項1に記載した絶縁被膜で被覆された磁心用粉末を加圧成形してなることを特徴とする圧粉磁心。
  10. 前記絶縁被膜の膜厚は10〜100nmである請求項9に記載の圧粉磁心。
  11. 前記圧粉磁心の理論密度(ρ0)に対する見掛密度(ρ)の割合である相対密度(ρ/ρ0)が95%以上である請求項9に記載の圧粉磁心。
  12. 前記絶縁被膜の耐熱温度は400℃以上である請求項9に記載の圧粉磁心。
  13. 比抵抗ρが5μΩm以上であり、
    保磁力bHcが350A/m以下である請求項9に記載の圧粉磁心。
  14. 磁性粉末の表面が請求項1に記載した絶縁被膜で被覆された磁心用粉末を成形用金型に充填する充填工程と、
    該成形用金型内の磁心用粉末を加圧成形する成形工程と、
    からなることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  15. さらに、前記成形工程後に得られた粉末成形体を熱処理する熱処理工程を備える請求項14に記載の圧粉磁心の製造方法。
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