JP2006041203A - 電気機器コア用磁性材料,電気機器コア用磁性材料の製造方法,モータ,家電用モータ,発電機及び電気自動車用モータ - Google Patents

電気機器コア用磁性材料,電気機器コア用磁性材料の製造方法,モータ,家電用モータ,発電機及び電気自動車用モータ Download PDF

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Abstract

【課題】
Fe粉の成形体を600℃以上の温度で加熱し保磁力を低減させ、前記加熱時にFe粉表面の絶縁皮膜が劣化しない皮膜を形成することが課題である。
【解決手段】
上記課題を解決するために、絶縁皮膜としてフッ素を含む皮膜をゲル状フッ化物を使用してFe粉表面に形成する。さらに、この皮膜がフッ素化合物を含む。
【効果】
Fe粉の成形体について、低保磁力,高磁束密度,高比抵抗を満足させることができ、低損失(高効率)の磁気回路に使用できる。
【選択図】図1

Description

本発明は電気機器コア用磁性材料,磁性材料の製造方法,モータ,家電用モータ,発電機及び電気自動車駆動用モータに関するものである。
従来の渦電流損失を抑えた鉄系粉末はリンや酸素を含む絶縁皮膜を鉄粉表面に被覆したものであり、特開2003−282316号公報(以下、特許文献1)に記載されている。前記従来技術では、絶縁皮膜にB,P,Oとイオン半径の大きな元素を構成元素としている。圧粉磁心の焼鈍工程で残留応力や歪を除去するが、600℃を超えると絶縁皮膜が破壊され易くなる。
特開2003−282316号公報
上記従来の発明では、リンや酸素あるいはホウ素を使用して絶縁皮膜を形成している。このような皮膜は600℃以上に加熱すると上記元素が鉄あるいは鉄粉中の添加元素と拡散あるいは化合物を形成する。このため、絶縁皮膜の破壊あるいは磁気特性の劣化が生じる。鉄系粉末を成形後、歪除去をするために600℃以上の焼鈍をすることにより、軟磁性材の場合は保磁力を低下できヒステリシスを小さくすることができる。また、硬磁性材の場合、希土類元素を選択することで、保磁力を増加させることができる。軟磁性材の場合、ヒステリシスを小さくし、かつ絶縁皮膜が破壊されなければ、ヒステリシス損及び渦電流損の両方が低減できる。このような損失低減を高温の焼鈍で達成させるには、酸素,リン,ホウ素が主相の一部である絶縁皮膜は使用できない。
本発明の一つの特徴は、フッ素を含む皮膜を鉄系粉末表面に形成する点にある。
鉄粉にフッ素を含む皮膜を形成,熱処理,成形することで、高比抵抗,低保磁力,高磁束密度を両立する成形体を提供でき、前記成形体を回転機に適用することにより、低鉄損,高誘起電圧を可能とし、種々の回転機を含む低鉄損を特徴とする磁気回路に適用できる。
本発明の実施例によれば、フッ素を含む皮膜を鉄系粉末表面に形成する。前記皮膜にはフッ素化合物が含有されている。フッ素化合物は、鉄,コバルトなどの室温で強磁性を示す材料に対して容易に拡散しない。このため、鉄,コバルトなどの高い飽和磁束密度をもつ磁性材料にフッ素化合物が接触した場合、融点の1/2の温度に加熱してもその磁気特性の劣化はほとんどない。また、フッ素化合物は絶縁体であるため、鉄系粉末表面に形成させることで、成形体の抵抗を高めることが可能である。上記のようにフッ素化合物と強磁性材料との間で、相分離傾向を示し、かつ絶縁体であることを満足するため、フッ素化合物を鉄系粉末の表面の一部に形成し、成形後の軟磁気特性を焼鈍により改善し、かつ高抵抗を維持することが可能となる。成形後の軟磁気特性改善とは、成形中の歪などにより増大した保磁力あるいはヒステリシスを熱処理(焼鈍)により小さくすることである。熱処理温度は母材により異なるが、母材の融点の1/2以上の温度まで加熱することにより、保磁力あるいはヒステリシスを成形前の値と同等にすることが可能である。またこのような熱処理によりフッ化物の抵抗はほとんど変化しない。保磁力やヒステリシスの低減は、ヒステリシス損失低減につながり、高抵抗は渦電流損失低減に有効である。磁性粉としては、鉄系,コバルト系のいずれの場合も適用可能である。磁気回路に使用する軟磁性材のことを考えると、飽和磁束密度が高く、かつ保磁力やヒステリシスが小さいことが望ましいので、鉄系あるいはコバルト系が応用上重要であり、中でも価格の安い鉄系が最も実用上重要である。鉄系としては20℃で飽和磁束密度が1.0T 以上の特性をもつすべての合金系にフッ素化合物を適用可能である。即ち、鉄系であれば、非晶質や結晶質,添加元素の種類にかかわらずフッ素化合物を使用できる。フッ素化合物は、カルシウムなどの軽元素を含むものや希土類元素を含むもので、MF2あるいはMF3(Mはフッ素化合物を形成する元素であり、Ca,Mg,希土類元素)、MF2およびMF3の混合物、酸素を含有するMF2あるいはMF3、鉄あるいはコバルトを含むMF2あるいはMF3、Mの中に母材に添加した元素の一部が入っているもののいずれかである。
本手法では、フッ素を含む上記皮膜を粉末表面の一部に形成するために、ゲル状フッ化物を使用する。このゲル状フッ化物の一例として、REF3・XH2Oを使用する。このゲル状フッ化物と鉄系粉末を混合させ、粉末表面にフッ素を含む皮膜を形成し加熱により溶媒や水和水を除去する。このような手法によりREF3 の皮膜(REは希土類元素あるいはCa,Mg)を鉄系粉末表面に形成できる。
また、上記目的を達成するために、フッ素を含む皮膜を鉄系粉末表面に形成する。前記皮膜にはフッ素化合物が含有されている。フッ素化合物は、鉄,コバルトなどの室温で強磁性を示す材料に対して容易に拡散しない。このため、鉄,コバルトなどの高い飽和磁束密度をもつ磁性材料にフッ素化合物が接触した場合、融点の1/2の温度に加熱してもその磁気特性の劣化はほとんどない。また、フッ素化合物は絶縁体であるため、鉄系粉末表面に形成させることで、成形体の抵抗を高めることが可能である。上記のようにフッ素化合物と強磁性材料との間で、相分離傾向を示し、かつ絶縁体であることを満足するため、フッ素化合物を鉄系粉末の表面の一部又は全面に形成し、成形後の軟磁気特性を焼鈍により改善し、かつ高抵抗を維持することが可能となる。成形後の軟磁気特性改善とは、成形中の歪などにより増大した保磁力あるいはヒステリシスを熱処理(焼鈍)により小さくすることである。熱処理温度は母材により異なるが、母材の融点の1/2以上の温度まで加熱することにより、保磁力あるいはヒステリシスを成形前の値と同等にすることが可能である。またこのような熱処理によりフッ化物の抵抗はほとんど変化しない。保磁力やヒステリシスの低減は、ヒステリシス損失低減につながり、高抵抗は渦電流損失低減に有効である。磁性粉としては、鉄系,コバルト系のいずれの場合も適用可能である。磁気回路に使用する軟磁性材のことを考えると、飽和磁束密度が高く、かつ保磁力やヒステリシスが小さいことが望ましいので、鉄系あるいはコバルト系が応用上重要であり、中でも価格の安い鉄系が最も実用上重要である。鉄系としては20℃で飽和磁束密度が1.0T 以上の特性をもつすべての合金系にフッ素化合物を適用可能である。即ち、鉄系であれば、非晶質や結晶質,添加元素の種類にかかわらずフッ素化合物を使用できる。フッ素化合物は、カルシウムなどの軽元素を含むものや希土類元素を含むもので、MF2あるいはMF3(Mはフッ素化合物を形成する元素であり、Ca,Mg,希土類元素)、MF2およびMF3の混合物、酸素を含有するMF2あるいはMF3、鉄あるいはコバルトを含むMF2 あるいはMF3、Mの中に母材に添加した元素の一部が入っているもののいずれかである。
本手法では、フッ素を含む上記皮膜を粉末表面の一部に形成するために、M(Mはフッ素化合物を形成する元素であり、Ca,Mg,希土類元素)を含有するイオン,化合物,複合塩を含有する溶液を用いる。また、前記溶液は複数種のMを含んでもよく、Mまたは/及びフッ素を含有する錯体でも良い。更に前記溶液はMの酸化物と水酸化物とを含有しても良い。また、前記溶液の溶媒としては水,メチルアルコール,エチルアルコール,イソプロピルアルコール,アセトン等の水と混合可能な溶媒であれば良く、複数種の溶媒を同時に用いても良い。また、更に、Mとフッ素とを含有する溶液はその溶液中にMとフッ素とを含む化合物に結晶水,多量の溶媒(ゲル状化合物)を含んでいても良い。この溶液と鉄系粉末を混合させ、粉末表面にMとフッ素とを含む皮膜を形成し加熱により溶媒や水和水及び溶媒和した溶媒を除去する。このような手法によりMF2,MF3、あるいはMF2およびMF3の混合物の皮膜(Mは希土類元素あるいはCa,Mg)を鉄系粉末表面に形成できる。
Fe系粉末としてFe−3%Si合金粉末を選択し、平均粒径は50μmである。皮膜形成のための原料としてNd(CH3COO)3 をH2Oで溶解させ、HFを添加する。HFの添加によりゼラチン状のNdF3・XH2Oが形成される。これを遠心分離し、溶媒を除去し、上記Fe粉と混合する。混合物の溶媒を蒸発させ、加熱により水和水を蒸発させる。このようにして形成した皮膜についてXRDにより調べた。その結果を図6に示す。回折パターンより、皮膜は、NdF3である。皮膜の厚さは、ゼラチン状のNdF3・XH2Oの量を制御することで変えることができる。種々の皮膜の厚さを有するFe粉(Fe−3%Si)をWC製金型に挿入し、パンチで冷間成形を試みた。成形圧力は5t/cm2 である。このようにして成形した成形体の密度は7.5g/cm3以上であった。図8に示すように成形体の保磁力は熱処理温度により変化する。本熱処理は不活性ガス中熱処理である。NdF3 膜厚が10nmの場合、成形体の保磁力は700から750℃の熱処理温度で最小値を示し、800℃の熱処理では保磁力が増加する傾向が見られた。これは、結晶粒の成長によるものと考えられ、歪取り熱処理は700から750℃が最適である。成形体の比抵抗は図1に示すように、膜厚10nm以上で40μΩm以上を示し、NdF3 膜が絶縁体であることを示している。このような比抵抗の増加は、他のフッ素化合物の塗布でも認められ、Ca,Mg,La,Ce,Pr,Sm,Gd,Tbの場合比抵抗が塗布平均膜厚10nmで、30μΩm以上となった。このとき塗布した膜はREF3あるいはREF2(REは上記希土類元素あるいはCa,Mg)の結晶構造を持っていた。したがって、比抵抗増大のためのフッ化物は上記REF2あるいはREF3のいずれの化合物でも良い。したがって10nm以上であれば高い比抵抗が得られるが、磁気的特性も考慮すれば、平均膜厚は10nm〜100nmが望ましい。
Nd(CH3COO)3をH2O で溶解、HFを添加したゲル状のフッ化物を超音波粉砕し、平均粒径50μmのFe粉と混合させる。この混合物の溶媒を約200℃に加熱し、溶媒を蒸発させる。その後、約400℃に加熱し、水和水を蒸発させる。このようにして
Fe粉表面にゲル状フッ化物を用いて、NdF3 を形成させることが可能である。このようなREF3 においてREがCa,Mg,La,Ce,Pr,Sm,Gd,Tbの場合にも同様にゲル状フッ化物を使用してフッ化物(REF3)皮膜をFe 粉表面に形成可能である。同様な手法で、Fe粉以外にも、Fe−Co合金粉,Fe−希土類元素,Fe系非晶質の合金粉にもフッ化物を形成可能である。
Fe系粉末としてFe−3%Si合金粉末を選択し(平均粒径は50μm)、皮膜形成のための原料としてNd(CH3COO)3をH2Oで溶解させ、HFを添加しゲル状NdF3・XH2O が形成し、遠心分離し、溶媒を除去し、上記Fe粉と混合する。混合物の溶媒を蒸発させ、加熱により水和水を蒸発させる。前記フッ化物処理を施したFe系粉末を用いて5t/cm2 の圧力で冷間成形すると皮膜の平均厚さが2nm以上であれば、約40
μΩm以上の比抵抗となる。700℃(1時間)の熱処理をしても比抵抗の値はほとんど変化しない。また700℃熱処理後の保磁力は図2に示すように、250から270A/mであり、軟磁気特性に優れている。皮膜の厚さを厚くすると図3に示すように、磁束密度(磁界が10kA/m)が減少する。皮膜の厚さが100nmを超えると磁束密度は
1.7T 以下となり、高い磁束を必要とする磁気回路には使用困難である。したがって、高磁束密度,低保磁力,高比抵抗とするためには、フッ化物の膜厚は2−100nmの範囲である。
図7は本発明によるフッ素を含む皮膜を形成した鉄粉を使用した回転機の径方向断面形状を示す。図7において、回転機の固定子2はティース4とコアバック5からなる固定子鉄心6と、ティース4間のスロット7内にはティース4を取り囲むように巻装された集中巻の電機子巻線8(三相巻線のU相巻線8a,V相巻線8b,W相巻線8cからなる)から構成される。ここで、この回転機は4極6スロットであるから、スロットピッチは電気角で120度である。回転子はシャフト孔9あるいは回転子挿入孔10に挿入し、回転子シャフト3の外周表面に永久磁石1を配置している。固定子2にはNdF3 皮膜を膜厚
10nm形成したFe粉を冷間成形後700℃で加熱処理したものを使用した。占積率が80%のときアモルファス積層体の飽和磁束密度は、1.25T であった。固定子2に
NdF3処理の鉄粉を使用することで、1000rpm 以上の高速回転で珪素鋼板(0.15mmt)を用いた場合よりも効率が高くなることを確認しており、高効率が要求されるエアコンなどの家電モータ,分散電源用発電機,電気自動車駆動モータなどに適している。特に、高温下で使用される電気自動車用モータに適用した場合に本実施例の効果が高い。また、NdF3 処理の鉄粉成形体の飽和磁束密度は、珪素鋼板の値と同等であるため、磁気飽和が問題になることはない。図7のモータについて、NdF3 皮膜を種々の膜厚で形成した鉄粉を冷間成形し700℃で加熱後モータに組み込み、鉄損及び誘起電圧について評価した。その結果を図4及び図5にそれぞれ示す。図4より、鉄損は皮膜の厚さが厚くなるほど減少し、皮膜無しの場合(20W)よりいずれも小さい値を示した。これは、
NdF3 が絶縁体であるため渦電流損が小さくなったこと、及び加熱による保磁力低下でヒステリシス損失も小さくなったためである。誘起電圧は図5に示すようにNdF3 膜厚が100nm以下では誘起電圧の低下は小さいが、150nmでは著しく減少する。これはNdF3 膜厚を150nmで磁束密度が低下しているため、磁気飽和が生じたためと考えられる。
本実施例は、成形時の磁気特性の劣化について渦電流損失を抑えながら加熱処理することができ、ヒステリシス損あるいは渦電流損の小さな高周波磁界で使用する回転電機,磁気回路あるいは電気機器のコアに利用されるものである。
Fe系粉末としてFe−3%Si合金粉末を選択し、平均粒径は50μmである。皮膜形成のための原料としてNd(CH3COO)3 とHF溶液とを用いてNdF3含有溶液を作製する。このNdF3 含有処理液と上記Fe粉と混合する。混合物の水を蒸発させ、200℃,30分熱処理により、上記Fe粉の一部または全面に結晶質または非晶質のNdF3主成分とする膜を形成する。このようにして形成した皮膜についてXRDにより調べた。その結果を図6に示す。回折パターンより、皮膜は、NdF3である。皮膜の厚さは、
NdF3の処理液量又は処理液中のNdF3含有濃度を制御することで変えることができる。種々の皮膜の厚さを有するFe粉(Fe−3%Si)をWC製金型に挿入し、パンチで冷間成形を試みた。成形圧力は5t/cm2 である。このようにして成形した成形体の密度は7.5g/cm3以上であった。図8に示すように成形体の保磁力は熱処理温度により変化する。本熱処理は不活性ガス中熱処理である。NdF3 膜厚が10nmの場合、成形体の保磁力は700から750℃の熱処理温度で最小値を示し、800℃の熱処理では保磁力が増加する傾向が見られた。これは、結晶粒の成長によるものと考えられ、歪取り熱処理は700から750℃が最適である。成形体の比抵抗は図1に示すように、膜厚10nm以上で40μΩm以上を示し、NdF3 膜が絶縁体であることを示している。このような比抵抗の増加は、他のフッ素化合物の塗布でも認められ、Ca,Mg,La,Ce,Pr,Sm,Gd,Tb,Ce,Ho,Er,Tm,Ybの場合比抵抗が塗布平均膜厚10
nmで、30μΩm以上となった。このとき塗布した膜はREF3あるいはREF2(REは上記希土類元素あるいはCa,Mg)の結晶構造を持っていた。したがって、比抵抗増大のためのフッ化物は上記REF2あるいはREF3のいずれの化合物でも良い。
Nd(CH3COO)3 とHF溶液とを用いてNdF3含有溶液を作製する。前記溶液の溶媒の水をメタノールに置換したものをNdF3 含有処理液とする。該処理液を平均粒径
50μmのFe粉と混合させる。混合物のメタノールを蒸発させ、200℃,30分熱処理により、上記Fe粉の一部または全面に結晶質または非晶質のNdF3 主成分とする膜を形成する。その後、約400℃に加熱し、揮発成分を蒸発させる。このようにしてFe粉表面の一部または全面に結晶質または非晶質のNdF3 主成分とする膜を形成させることが可能である。このようなREF3 においてREがCa,Mg,La,Ce,Pr,
Sm,Gd,Tb,Ce,Ho,Er,Tm,Ybの場合にも同様にフッ化物にした処理液を使用してフッ化物(REF3 )皮膜をFe粉表面に形成可能である。同様な手法で、Fe粉以外にも、Fe−Co合金粉,Fe−希土類元素,Fe系非晶質の合金粉にもフッ化物(REF3)を形成可能である。
Fe系粉末としてFe−3%Si合金粉末を選択し(平均粒径は50μm)、皮膜形成のための原料として、Nd2(CO3)3を希硫酸で溶解させ、HFを添加しNdF3を形成させ、遠心分離により、溶媒の水をアセトンで置換した溶液を作製し、上記Fe粉と混合する。混合物の溶媒を蒸発させ、200℃,30分熱処理を該Fe粉に施す。前記フッ化物処理を施したFe系粉末を用いて5t/cm2 の圧力で冷間成形すると皮膜の平均厚さが2nm以上であれば、約40μΩm以上の比抵抗となる。700℃(1時間)の熱処理をしても比抵抗の値はほとんど変化しない。また700℃熱処理後の保磁力は図2に示すように、250から270A/mであり、軟磁気特性に優れている。皮膜の厚さを厚くすると図3に示すように、磁束密度(磁界が10kA/m)が減少する。皮膜の厚さが100
nmを超えると磁束密度は1.7T 以下となり、高い磁束を必要とする磁気回路には使用困難である。したがって、高磁束密度,低保磁力,高比抵抗とするためには、フッ化物の膜厚は2−100nmの範囲である。
図7は本発明によるフッ素を含む皮膜を形成した鉄粉を使用した回転機の径方向断面形状を示す。図7において、回転機の固定子2はティース4とコアバック5からなる固定子鉄心6と、ティース4間のスロット7内にはティース4を取り囲むように巻装された集中巻の電機子巻線8(三相巻線のU相巻線8a,V相巻線8b,W相巻線8cからなる)から構成される。ここで、この回転機は4極6スロットであるから、スロットピッチは電気角で120度である。回転子はシャフト孔9あるいは回転子挿入孔10に挿入し、回転子シャフト3の外周表面に永久磁石1を配置している。固定子2にはNdF3 皮膜を膜厚
10nm形成したFe粉を冷間成形後700℃で加熱処理したものを使用した。占積率が80%のときアモルファス積層体の飽和磁束密度は、1.25T であった。固定子2に
NdF3処理の鉄粉を使用することで、1000rpm 以上の高速回転で珪素鋼板(0.15mmt)を用いた場合よりも効率が高くなることを確認しており、高効率が要求されるエアコンなどの家電モータ,分散電源用発電機,HEV駆動モータなどに適している。また、NdF3 処理の鉄粉成形体の飽和磁束密度は、珪素鋼板の値と同等であるため、磁気飽和が問題になることはない。図7のモータについて、NdF3 皮膜を種々の膜厚で形成した鉄粉を冷間成形し700℃で加熱後モータに組み込み、鉄損及び誘起電圧について評価した。その結果を図4及び図5にそれぞれ示す。図4より、鉄損は皮膜の厚さが厚くなるほど減少し、皮膜無しの場合(20W)よりいずれも小さい値を示した。これは、NdF3が絶縁体であるため渦電流損が小さくなったこと、及び加熱による保磁力低下でヒステリシス損失も小さくなったためである。誘起電圧は図5に示すようにNdF3 膜厚が100
nm以下では誘起電圧の低下は小さいが、150nmでは著しく減少する。これはNdF3膜厚を150nmで磁束密度が低下しているため、磁気飽和が生じたためと考えられる。
比抵抗と皮膜の厚さとの関係。 保磁力と皮膜の厚さとの関係。 磁束密度と皮膜の厚さとの関係。 鉄損と皮膜の厚さとの関係。 誘起電圧と皮膜の厚さとの関係。 ゲル状フッ化物で処理したFe粉のX線回折パターン。 回転機の径方向断面形状。 熱処理温度と保磁力との関係。
符号の説明
1…永久磁石、2…固定子、3…回転子シャフト、4…ティース、5…コアバック、6…固定子鉄心、7…スロット、8…電機子巻線、9…シャフト孔、10…回転子挿入孔、101…珪素鋼板。

Claims (10)

  1. 磁性粉末の表面の少なくとも一部にフッ素を含む皮膜が形成されることを特徴とする電気機器コア用磁性材料。
  2. 請求項1において、前記皮膜がフッ素化合物を含むことを特徴とする電気機器コア用磁性材料。
  3. 請求項2において、前記皮膜がREF2又はREF3(REはNd,Ca,Mg,La,Ce,Pr,Sm,Gd又はTb)を含むことを特徴とする電気機器コア用磁性材料。
  4. 請求項3において、前記皮膜がゼラチン状であることを特徴とする電気機器コア用磁性材料。
  5. 請求項1において、前記皮膜の平均厚さが2〜100nmであることを特徴とする電気機器コア用磁性材料。
  6. 請求項1において、前記皮膜の平均厚さが10〜100nmであることを特徴とする電気機器コア用磁性材料。
  7. 請求項1において、前記磁性粉末は鉄系粉末又はコバルト系粉末であることを特徴とする電気機器コア用磁性材料。
  8. 磁性粉末の表面の少なくとも一部にフッ素を含む皮膜が形成された磁性材料をコアに含むことを特徴とする回転電機。
  9. 請求項8において、前記回転電機は電気自動車駆動用モータであることを特徴とする回転電機。
  10. 磁性粉末の表面の少なくとも一部にフッ素を含む皮膜を形成する工程と、前記皮膜が形成された磁性粉末を熱処理を行う工程とを備えることを特徴とする電気機器コア用磁性材料の製造方法。



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