JP2010103346A - Ipm型集中巻モータ用磁石及びその製造方法、該磁石を用いたipm型集中巻モータ - Google Patents

Ipm型集中巻モータ用磁石及びその製造方法、該磁石を用いたipm型集中巻モータ Download PDF

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Abstract

【課題】 比較的高い使用温度下であっても、高いトルクを発生できて、しかも小型且つ軽量であるIPM型集中巻モータ用の磁石及びその製造方法、該磁石を用いたIPM型集中巻モータを提供する。
【解決手段】磁石は、(Nd,Pr)(Fe,Co)14Bを主相とする配向した板状結晶粒からなり、HR(HR;Dy及び/又はTb)を前記板状結晶粒内よりも高い濃度で含む粒界相を板状結晶粒を覆って与えた内部組織を有する。このような磁石は、LR(LR;Nd,Pr)−T(T;Fe,Co)−B系合金粉末と、HR(HR;Dy及び/又はTb)のフッ化物、酸化物、無機塩のうちの一種以上と、Ca又はMgの単体又は水素化物と、から成形体を冷間成形する成形ステップと、不活性雰囲気又は真空雰囲気中で前記成形体を加熱しながら塑性変形せしめる熱間塑性加工ステップと、から得られる。
【選択図】図4

Description

本発明は、モータ用の磁石及びその製造方法、該磁石を用いたモータに関し、特に、比較的高い温度環境下であっても広い回転数域で高いトルクを発生し、しかも小型且つ軽量であるIPM型集中巻モータ用の磁石及びその製造方法、該磁石を用いたIPM型集中巻モータに関する。
電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)などの駆動モータには、小型且つ軽量であって、広い回転数域で高いトルクを発生可能な永久磁石モータが使用されている。かかる高トルク密度モータの永久磁石には、主に、磁束密度の高いNd−Fe−B系焼結磁石が採用されている。更に、近年、180℃前後といった比較的高い温度環境下での動作が要求され、広い回転数域で使用されて磁石に対して大きな反磁界のかかるリラクタンストルクを必要とする動作も頻繁に発生する。このような動作であっても保磁力の低下の少ないDy(ジスプロシウム)などの重希土類元素を添加したNd−Fe−B系焼結磁石が開発されている。
例えば、特許文献1では、Nd−Fe−B系焼結磁石の表面にスパッタリング法により数μm程度の薄いDy膜を成膜し、続く熱処理によって焼結磁石の内部に向けてDyを拡散させた重希土類元素添加Nd−Fe−B系焼結磁石が開示されている。磁石内部に拡散したDyによりモータの動作温度が上昇し、大きな反磁界が磁石へ印加された場合においても保磁力の低下を低減することが出来る。
ところで、永久磁石の保磁力の低下を低減するには、磁石への反磁界を低減すればよいが、磁気回路の磁石厚さを厚くする、及び、巻き線数を低減するなどの方法も提案されているが、いずれの提案も同じモータ出力を確保するためには、モータを大型化して重くさせてしまう。特に、上記したようなEVやHEVなどの輸送機器での使用には非常に不都合である。
これに対して、例えば、特許文献2では、動作温度の上昇に対して、保磁力だけでなく、残留磁束密度の低下をも低減できるモータ用永久磁石及びその製造方法が開示されている。詳細には、Nd−Fe−B系焼結磁石を得るにあたって、Dy及びTb(テルビウム)を含む重希土類元素を磁石表面からその内部に向けて拡散させる方法を開示している。すなわち、コギングトルクを抑えるために、ロータコア表面に沿って与えられ且つ断面三日月状に永久磁石の端部の厚さを薄くしたNd−Fe−B系焼結磁石において、端部の厚さを薄くした部分に重希土類元素を拡散させて、該部分の保磁力及び残留磁束密度の低下を特に低減させ得ることを述べている。
ここで、特許文献2に開示された永久磁石モータのように、ロータコア表面に永久磁石を配置し、磁石と磁石間のヨークを用いたリラクタンストルクを活用するINSET型SPMモータでは、一般的に、巻き線による反磁界がロータコアとのギャップを介して直接永久磁石に与えられてしまう。故に、永久磁石の減磁耐力が低下し易い。よって、減磁を発生させる原因である反磁界を低減させるために巻き線を分布させて巻く分布巻きを用い、若しくは、リラクタンストルクの利用を制限することが必要となる。つまり、広いモータ回転数域でトルクを維持し、モータを小型化することは困難である。また永久磁石をロータコア表面に保持しているため、ロータコアの回転遠心力に対する強固な保持機構を設けなければならず、機構が複雑になる場合もある。
これに対して、特許文献3に開示された永久磁石モータの如き、ロータコア内部に永久磁石を配置した埋め込み磁石(IPM)型モータが知られている。
特開2004−304038号公報 特開2008−61333号公報 特開平11−98731号公報
特許文献3に開示のIPM型モータの如きにおいて、上記したように、動作温度の上昇に対して保磁力及び残留磁束密度の低下の双方を低減するためには、重希土類元素を磁石の相当範囲に亘って十分に拡散させる必要がある。しかしながら、特許文献2で開示の重希土類元素添加Nd−Fe−B系焼結磁石及びその製造方法では、重希土類元素の拡散に約900℃以上の高温加熱処理を必要とするため、微細な結晶粒径を維持したままこのような加熱処理を行うことは出来ず、保磁力を低下させてしまうのである。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、比較的高い使用温度下であっても、高いトルクを発生できて、しかも小型且つ軽量であるIPM型モータ用の磁石及びその製造方法、該磁石を用いたIPM型モータの提供である。
本発明の磁石は、二種以上の合金粉末及び/又は金属粉末を成形し熱間塑性加工して得られるLR(LR;Nd,Pr)−T(T;Fe,Co)−B系磁石からなるIPM型集中巻モータ用磁石であって、(Nd,Pr)(Fe,Co)14Bを主相とする、配向したサブミクロンオーダの微細板状結晶粒からなり、HR(HR;Dy及び/又はTb)を前記板状結晶粒内よりも高い濃度で含む粒界相を前記板状結晶粒を覆って与えたことを特徴とする。
かかる発明において、熱間塑性加工により得られる組織は、サブミクロンオーダの非常に微細な配向した板状結晶粒組織である。この結晶粒径は、一般的な焼結磁石の結晶粒径5〜10μmと比較して、1結晶粒の体積は数百分の1のレベルである。故に、1の結晶粒の保磁力を向上させるに必要なHR元素をより少なくすることができ、希少なHR元素の使用量を削減できる。また、重希土類元素HR(HR;Dy及び/又はTb)は、結晶粒の粗大化を生じずに熱間塑性加工の行われる温度、例えば、800℃で、一部液相化した結晶粒界相において容易に拡散して富化できるから、この粒界相は板状結晶粒を覆うように形成できる。つまり、本発明によれば、HR成分を合金溶解時で添加する場合と比較して、主結晶内にはHRをほとんど固溶させずに粒界相のみにこれを選択的に拡散できるため、HR元素の使用量が少なくても高い保磁力を得られる。以上により、動作温度の上昇に対して保磁力及び残留磁束密度の低下を低減し、モータに適用されて高いトルクを発生でき得る。このような磁石は、分布巻モータよりも大きな反磁界の生じ易い集中巻モータであっても使用可能であり、特にIPM型集中巻モータに適用されて、モータの小型・軽量化を与え得る。
上記した磁石において、前記HRを3wt.%を越えない範囲で含むことを特徴としてもよい。また、上記した磁石において、前記LRを28〜38wt.%の範囲で含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、動作温度の上昇に対して、保磁力及び残留磁束密度の低下をバランス良く低減し、特にIPM型集中巻モータの動作に適した磁石を得られる。
上記した磁石において、前記板状結晶粒の平均結晶粒径が1μm以下であることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、1の結晶粒の保磁力を向上させるに必要なHR元素をより少なくすることができ、希少なHR元素の使用量をより削減できる。
更に、本発明のIPM型集中巻モータは、上記した磁石を埋設したロータコアと、前記ロータコアと同軸に配置され前記ロータコアの外側面に対向する内側面を有するステータと、前記ステータに直接巻き付けられる巻き線と、を含むことを特徴とする。かかる発明によれば、ロータコア内の磁石は動作温度の上昇に対して保磁力及び残留磁束密度の低下を減じられるので、比較的高い使用温度下であっても、高いトルクを発生でき得る。つまり、同等のトルクを発生させる分布巻モータと比較して、本発明によるモータは、巻線の数を増やす必要がなく、コイルエンドの体積分だけ、小型化及び軽量化できる。
更に、本発明のIPM型集中巻モータ用の磁石の製造方法は、二種以上の合金粉末及び/又は金属粉末を成形し熱間塑性加工して得られる、(Nd,Pr)(Fe,Co)14Bを主相とする、配向したサブミクロンオーダの微細板状結晶粒からなり、HR(HR;Dy及び/又はTb)を前記板状結晶粒内よりも高い濃度で含む粒界相を前記板状結晶粒を覆って与えたLR(LR;Nd,Pr)−T(T;Fe,Co)−B系磁石からなるIPM型集中巻モータ用の磁石の製造方法であって、LR−T(T;Fe,Co)−B系合金粉末と、HR(HR;Dy及び/又はTb)のフッ化物、酸化物、無機塩のうちの一種以上と、Ca又はMgの単体又は水素化物と、から成形体を冷間成形する成形ステップと、不活性雰囲気又は真空雰囲気中で前記成形体を加熱しながら塑性変形せしめる熱間塑性加工ステップと、を含むことを特徴とする。
かかる発明において、熱間塑性加工ステップにより得られる組織は、サブミクロンオーダの非常に微細な配向した板状結晶粒組織である。この結晶粒径は、一般的な焼結磁石の結晶粒径5〜10μmと比較して、1結晶粒の体積は数百分の1のレベルである。故に、1の結晶粒の保磁力を向上させるに必要なHR元素をより少なくすることができ、希少なHR元素の使用量を削減できる。また、重希土類元素HR(HR;Dy及び/又はTb)は、結晶粒の粗大化を生じないような熱間塑性加工ステップの処理温度において、一部液相化した結晶粒界で容易に拡散して富化できるから、この粒界相は板状結晶粒を覆うように形成される。つまり、HR成分を合金溶解時で添加する場合と比較して、主結晶内にはHRをほとんど固溶させずに粒界相のみに選択的に拡散できるため、HR元素の使用量が少なくても高い保磁力を得られる。以上の如く、本発明の製造方法によって得られる磁石は、動作温度の上昇に対して保磁力及び残留磁束密度の低下を低減し、モータに適用されて高いトルクを発生でき得る。また、このような磁石は、分布巻モータよりも大きな反磁界の生じ易い集中巻モータであっても使用可能であり、特にIPM型集中巻モータに適用されて、モータの小型化及び軽量化を与え得る。
上記した製造方法において、前記成形ステップは、LR−T−B系合金粉末に、HRのフッ化物、酸化物、無機塩のうちの一種以上、及び/又は、Ca又はMgの単体又は水素化物を被覆するステップを含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、成形ステップにおいて各成分を成形体に均一に分布させることができる。つまり、重希土類元素を磁石表面から拡散させるよりも短い距離だけ拡散するだけで、板状結晶粒内よりも高い濃度で含まれる粒界相を板状結晶粒を覆うように形成できて、HR元素の使用量が少なくても高い保磁力を得られる。
更に、上記した製造方法において、前記熱間塑性加工ステップは、前記成形体を押し出し、引き抜き、鍛造又は圧延するステップを含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、方向性を与えた強加工を施して、磁石内により均一に配向したサブミクロンオーダの微細な板状結晶粒組織を与えることができる。つまり、焼結磁石などと比べ、より微細な結晶粒を与えて、1の結晶粒の保磁力を向上させるに必要なHR元素をより少なくすることができ、希少なHR元素の使用量を削減できる。また、高い結晶粒界密度を組織に与えるとともに、焼結磁石などの結晶粒界と比較して欠陥密度がより高い結晶粒界を与えるのである。故に、主結晶内にはHRをほとんど固溶させずに粒界のみにこれを選択的に拡散できるため、HR元素の使用量が少なくても高い保磁力を得られる。
更に、上記した製造方法において、前記熱間塑性加工ステップに続いて、前記成形体を熱処理するステップを含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、HR元素は熱処理ステップにおいて、一部液相化した結晶粒界で容易に拡散して富化できるから、粒界相が板状結晶粒をより均一に覆うように形成される。つまり、HR元素の使用量が少なくても高い保磁力を有する磁石を与え得る。
1.IPM型集中巻モータ
本発明による1つの実施例としてのIPM(埋込磁石)型モータについて、図1乃至図4を用いて詳細を説明する。
特に、図1及び図2に示すように、モータ1は、回転出力軸としてのシャフト3を中心軸に有する。シャフト3の長手方向の一部外側面には、これを覆ってロータコア15が取り付けられている。一方、ロータコア15の外側面に対向する内側面を有するステータ20は、シャフト3及びロータコア15と同軸に配置されており、これらを内包している。ステータ20の内側面側には、ティース20aが突設されており、図示しない絶縁物を介して巻き線8が周回方向に直接巻き付けられコイルを形成している。各ティース20aの間を横断する巻き線8aは、コイルエンド5としてステータ20の上下端部にそれぞれまとめられている。かかる集中巻方式のモータ1では、分布巻方式のモータと比較して、コイルエンド5を小さくできるので、モータ1の軸方向の寸法を特に減じることが出来る。
ロータコア15には、シャフト3の長手方向と平行に磁石10が埋め込まれている。更に図3を併せて参照すると、磁石10は、平板状の略直方体(a)若しくは断面略円弧状の細長体(b)に成形されており、後者にあっては、その外側面10a側がシャフト3に対向するようにロータコア15内に埋め込まれる。
なお、磁石10の組織等の詳細については後述するが、この磁石10は、200℃程度以下の比較的高い温度環境下であっても保磁力及び残留磁束密度ともに低下が少なく、かかる磁石10を用いた本発明によるIPM型集中巻モータ1は、このような温度領域であっても巻き線8の数を増加させることなく、高いトルクを発生させることができる。また、集中巻方式を採用してモータの寸法を小型且つ軽量にできるから、高密度トルクモータを得ることが出来るのである。
図4に本発明の1つの実施例としてのIPM型集中巻モータと、比較例としての分布巻モータの諸元と、を並記した。いずれのモータも同等のトルクを得ることが出来るが、本発明のモータによれば、比較例のモータと比べて、モータ軸長で約20%、トルク密度で約25%及び出力密度で約16%増加させ得ることが判る。
2.磁石
本発明による1つの実施例としての磁石について、図3及び図5を用いて詳細に説明する。
図3に示すように、IPM型集中巻モータ1(図1及び2を参照)の磁石10は、平板状の略直方体(a)又は円弧の一部をなすように彎曲した細長体(b)であって、IPM型集中巻モータ10の設計仕様に応じて種々の形状を採用され得る。
図5に示すように、磁石10は、配向した扁平な板状結晶からなっている。板状結晶は、互いの主面を対向させて、つまりその法線を平行となるようにして分散している。かかる板状結晶の主面は、図3に示す略直方体又は細長体の主面と一致していることが好ましい。ここに例示の板状結晶粒サイズは、サブミクロンオーダであって、径が0.2〜0.5μm以下で厚さが0.05〜0.1μm程度である。板状結晶粒の平均結晶粒径は少なくとも1μm以下であることが好ましい。この結晶粒径は、一般的な焼結磁石の結晶粒径5〜10μmと比較して、1結晶粒の体積は数百分の1のレベルであり、1の結晶粒の保磁力を向上させるに必要なHR元素をより少なくすることができ、希少なHR元素の使用量を削減できる。これにより動作温度の上昇に対して保磁力及び残留磁束密度の双方の低下を低減し、モータに適用されて、高いトルクを発生させ得る。
板状結晶は、Nd若しくはNdの一部をPrとしたLRFe14Bを主相とする。但し、LR(Nd,Pr)である。動作温度の上昇に対して、保磁力及び残留磁束密度の双方の低下をバランス良く低減し、特にIPM型集中巻モータの動作に適した磁石を得られるよう、LRは磁石全体の含有量で28〜38wt%の範囲にあることが好ましい。
更に、板状結晶粒同士の粒界には、重希土類元素HR(HR;Dy及び/又はTb)を板状結晶粒内よりも高い濃度で含む粒界相が形成されており、粒界相は板状結晶粒を覆うように与えられている。粒界相は、主に粒界拡散により拡散した重希土類元素HRにより形成される。
ここで、微細な板状結晶粒が配向した高い結晶粒界密度を有する組織では、重希土類元素は、粒界を拡散パスとして、板状結晶粒内よりも高い濃度で含まれる粒界相を板状結晶粒を覆うように形成する。また、後述するように、熱間塑性加工により得られた結晶粒界では、重希土類元素HRは、磁石内に均一にしかも広範囲に亘って速やかに与えられ得る。
なお、上記したような配向した板状結晶により、粒界密度分布には異方性を生じるが、上記したように平均結晶粒径は少なくとも1μm以下の細かい結晶粒であるため、巨視的には、磁石10の内部全体に亘って均一に重希土類元素HRが分散している。
動作温度の上昇に対して、保磁力及び残留磁束密度の双方の低下をバランス良く低減し、特にIPM型集中巻モータの動作に適した磁石を得られるよう、重希土類元素HRは磁石全体の含有量で3wt%を越えない範囲で含まれていることが好ましい。
以上において、例えば、Dyを3.6wt%含む本実施例による1つの磁石は、30℃で保磁力20.7kOe及び残留磁束密度12kG、200℃でも保磁力10kOe程度及び残留磁束密度10kGを達成できた。比較例として、30℃で保磁力22.5kOe及び残留磁束密度12kGであるDyを6.4%含む焼結磁石では、200℃で保磁力5kOe及び残留磁束密度10kGである。つまり、実施例の磁石は比較例の磁石の高温での性能を上回っている。希少金属であるDyの使用量を減じながら、同等以上の性能を得られることはコスト面で非常に好適である。
3.磁石の製造方法
本発明による1つの実施例としての磁石の製造方法について、図6を用いて詳細に説明する。
LR(Nd,Pr)−T(Fe,Co)−B系合金粉末に重希土類元素HRの単体若しくは合金を混合若しくは被覆した混合原料粉末を調製する(S1)。
例えば、Nd−Fe−B系合金、Pr−Fe−Co−B系合金などの所定の成分組成を有する合金を溶解し、単ロール法や双ロール法などの公知の急冷凝固方法で箔帯を作成する。箔帯は、冷却条件及び合金組成により、アモルファス組織のマトリクス中に数十nm程度の微細結晶粒子を分散させた複相組織を有する。この箔帯を衝撃式気流粉砕器などにより粉砕すると、LR−Fe−B系合金粉末が製造できる。かかる粉体は必要に応じて分級されて、所定の大きさの粉体のみを使用してもよい。
また、粉体製造のための他の実施例として、上記したと同様に溶解した所定の成分組成を有する合金溶湯に高温で水素を吸蔵・放出させることで、結晶方位の揃った合金粉末を得ることもできる。粉体の製造には、他の公知の方法も用いられ得る。
続いて、重希土類元素HR(HR;Dy及び/又はTb)のフッ化物、酸化物、無機塩のうちの一種以上を用意し、上記した合金粉末にCa又はMgの単体若しくは水素化物とともに混合若しくは被覆をして混合原料粉末を得る。混合は乾式及び湿式のいずれであってもよく、不活性雰囲気中にてロッキングミキサーなどを用いて乾式混合したり、あるいはヘキサンなどの有機溶媒中で湿式混合してもよい。また、被覆方法としては、合金粉末と被覆材料とを高真空中で加熱処理するなど、公知の多くの方法が用いられ得る。
次に、上記した混合原料粉末を冷間成形し、冷間成形体を得る(S2)。
例えば、原料粉末を冷間プレス機の金型に充填し、筒状、柱状、板状などの所定形状に圧粉成形を行う。
次に、上記した冷間成形体を熱間成形し緻密化し、更に熱間塑性加工を行って熱間塑性加工体を得る(S3)。熱間塑性加工は、板状結晶粒の成長及び粗大化を生じない温度、例えば、500〜900℃程度の温度で行う。これにより結晶粒界が一部液相化し重希土類金属元素が高速で拡散して、重希土類元素に富んだ粒界相が板状結晶粒を覆うように形成される。
例えば、ホットプレス機を用いて熱間成形を行うと組織が緻密化し、続く熱間塑性加工時に割れなどが生じづらくなる。熱間成形後、所定温度を保ったまま押し出し、引き抜き、鍛造及び圧延などの熱間塑性加工を行って、熱間塑性加工体を得る。熱間塑性加工は、多軸塑性加工により結晶粒の微細化が図られ、二軸若しくは一軸加工により、上記したような板状結晶の配向方向が決定できる。
上記したように、図3に示す略直方体又は細長体の磁石1においては、板状結晶の主面が磁石1の主面と略平行であることが好ましい。つまり、図3のT1方向に押し出し、引き抜き及び圧延すると、板状結晶粒の主面が磁石1の主面と略平行となるとともに、板状結晶粒のC軸方向がT1方向に向く。また、図3のT2方向に押し出し等しても、板状結晶粒の主面が磁石1の主面と略平行となるが、板状結晶粒のC軸方向はT2方向に向く。
次に、上記した熱間塑性加工体の熱処理を行う(S4)。
例えば、板状結晶粒の成長、粗大化を生じない温度、例えば、熱間塑性加工の行われる温度と同程度の500〜900℃程度で熱処理を行うことで、重希土類元素HRは、結晶粒界を主に拡散して、重希土類元素HRを板状結晶粒内よりも高い濃度で含む粒界相を板状結晶粒を覆うように与える。
このようにして得られた磁石は、少ない量の重希土類元素であっても、動作温度の上昇に対して保磁力及び残留磁束密度の低下を低減し、モータに適用されて高いトルクを発生でき得る。特にIPM型集中巻モータに適用されると、モータの小型・軽量化を与え得る。
以上、本発明による代表的実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができる。
本発明のモータの断面図である。 図1のA−A線の断面図である。 本発明の磁石の斜視図である。 本発明のモータと比較例との性能の比較の図である。 本発明の磁石の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の磁石の製造方法のフロー図である。
符号の説明
1 モータ
3 シャフト
5 コイルエンド
8 巻き線
10 磁石
15 ロータコア
20 ステータ
20a ティース

Claims (9)

  1. 二種以上の合金粉末及び/又は金属粉末を成形し熱間塑性加工して得られるLR(LR;Nd,Pr)−T(T;Fe,Co)−B系磁石からなるIPM型集中巻モータ用磁石であって、
    (Nd,Pr)(Fe,Co)14Bを主相とする、配向したサブミクロンオーダの微細板状結晶粒からなり、HR(HR;Dy及び/又はTb)を前記板状結晶粒内よりも高い濃度で含む粒界相を前記板状結晶粒を覆って与えたことを特徴とするIPM型集中巻モータ用磁石。
  2. 前記HRを3wt.%を越えない範囲で含むことを特徴とする請求項1記載のIPM型集中巻モータ用磁石。
  3. 前記LRを28〜38wt.%の範囲で含むことを特徴とする請求項1又は2記載のIPM型集中巻モータ用磁石。
  4. 前記板状結晶粒の平均結晶粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載のIPM型集中巻モータ用磁石。
  5. 請求項1乃至4に記載の前記磁石を埋設したロータコアと、前記ロータコアと同軸に配置され前記ロータコアの外側面に対向する内側面を有するステータと、前記ステータに直接巻き付けられる巻き線と、を含むことを特徴とするIPM型集中巻モータ。
  6. 二種以上の合金粉末及び/又は金属粉末を成形し熱間塑性加工して得られる、(Nd,Pr)(Fe,Co)14Bを主相とする、配向したサブミクロンオーダの微細板状結晶粒からなり、HR(HR;Dy及び/又はTb)を前記板状結晶粒内よりも高い濃度で含む粒界相を前記板状結晶粒を覆って与えたLR(LR;Nd,Pr)−T(T;Fe,Co)−B系磁石からなるIPM型集中巻モータ用の磁石の製造方法であって、
    LR−T−B系合金粉末と、HR(HR;Dy及び/又はTb)のフッ化物、酸化物、無機塩のうちの一種以上と、Ca又はMgの単体又は水素化物と、から成形体を冷間成形する成形ステップと、
    不活性雰囲気又は真空雰囲気中で前記成形体を加熱しながら塑性変形せしめる熱間塑性加工ステップと、を含むことを特徴とするIPM型集中巻モータ用磁石の製造方法。
  7. 前記成形ステップは、LR−T−B系合金粉末に、HRのフッ化物、酸化物、無機塩のうちの一種以上、及び/又は、Ca又はMgの単体又は水素化物を被覆するステップを含むことを特徴とする請求項6記載のIPM型集中巻モータ用磁石の製造方法。
  8. 前記熱間塑性加工ステップは、前記成形体を押し出し、引き抜き、鍛造又は圧延するステップを含むことを特徴とする請求項6記載のIPM型集中巻モータ用磁石の製造方法。
  9. 前記熱間塑性加工ステップに続いて、前記成形体を熱処理するステップを含むことを特徴とする請求項6乃至8のうちの1つに記載のIPM型集中巻モータ用磁石の製造方法。
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