JP2010251396A - 可動部分と配線路を備えている装置 - Google Patents

可動部分と配線路を備えている装置 Download PDF

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裕 野々村
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基弘 藤吉
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照久 明石
Hirobumi Funabashi
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Abstract

【課題】振動による装置の特性劣化を抑制しつつ、配線の寄生容量を低減させる技術を提供する。
【解決手段】本装置は、導電層と、その導電層の一部に積層されている絶縁層を備えている基板と、絶縁層上に固定されている固定部分と、その固定部分から絶縁層が存在しない範囲に伸びているとともに導電層から遊離している遊離部分を有しており、その遊離部分が基板に対して振動する構造体と、絶縁層上に固定されている電極パッドと、固定部分と電極パッドを接続している配線路を備えている。その配線路は、絶縁層上に固定されている支持部分と、その支持部分から絶縁層が存在しない範囲に伸びている差渡し部分を備えている。その差渡し部分の共振振動数が遊離部分の共振振動数よりも高いことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板に対して変位可能な可動部分を備えている構造体と、基板に固定されている電極パッドと、構造体と電極パッドを接続する配線路を備えている装置に関する。その装置は、可動部分の変位によって生じた電気信号を配線路と電極パッドを介して外部に出力する受動型の装置であることもあれば、電極パッドと配線路を介して可動部分に電気信号を伝達して可動部分を変位させる能動型の装置であることもある。
特許文献1に、配線パターンを工夫することによってクロストークを低減した角速度センサ900が開示されている。図40に示すように、角速度センサ900は、マス部911と、マス部911を弾性状態で支持する4本の弾性支持部912と、マス部911をX方向に振動させる駆動電極e1、e2と、X方向に振動するマス部911にZ軸周りの角速度が作用するとY方向に生じるコリオリ力に応じて静電容量が変動する検出電極e3、e4を備えている。角速度センサ900は、さらに、駆動端子L1bと駆動電極e1を接続する駆動用配線パターンL1と、駆動端子L2bと駆動電極e2を接続する駆動用配線パターンL2と、検出端子L3bと検出電極e3を接続する検出用配線パターンL3と、検出端子L4bと検出電極e4を接続する検出用配線パターンL4を備えている。この技術では、駆動用配線パターンL1、L2に加える駆動信号から検出用配線パターンL3、L4に及ぶクロストークを抑制するために、補償端子L5bと検出電極e4を接続する補償配線パターンL5を追加してクロストークを相殺する技術が提案されている(たとえば要約)。
一方、特許文献2に、配線に貫通孔や除去領域といった除去部を設けることによって配線自体の面積を小さくする技術が開示されている。この技術によれば、加工のばらつきによる開口部の位置ずれや形状ずれの発生、あるいは酸化膜(絶縁層)の厚さのばらつきが発生しても、配線部における寄生容量の変化を小さいものとすることができる(たとえば段落0074)。
特開平10−300475号公報 特開2008−164625号公報
しかし、従来は、絶縁層の形状を工夫することによって配線の寄生容量を低減する技術的思想は提供されていなかった。
本発明は、上述の課題を解決するために創作されたものであり、振動による装置の特性劣化を抑制しつつ、配線の寄生容量を低減させる技術を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成や態様として例示される技術を提供することができる。
第1構成例は、下記の装置を提供する。この装置は、
・導電層と、その導電層の一部に積層されている絶縁層を備えている基板と、
・絶縁層上に固定されている固定部分と、その固定部分から絶縁層が存在しない範囲に伸びているとともに導電層から遊離している遊離部分を有しており、その遊離部分が基板に対して振動する構造体と、
・絶縁層上に固定されている電極パッドと、
・固定部分と電極パッドを接続している配線路と、
を備えている。
前記配線路は、
・絶縁層上に固定されている支持部分と、その支持部分から絶縁層が存在しない範囲に伸びている差渡し部分を備えており、
・その差渡し部分の共振振動数が遊離部分の共振振動数よりも高いことを特徴とする。
第1構成例の装置では、配線路の差渡し部分の共振振動数が構造体の遊離部分の共振振動数よりも高くなるように構成されているので、配線路の共振現象に起因して装置の動作が損なわれたり検出精度が低下したりすることを抑制しつつ、配線路の寄生容量を低減することができる。
第1構成例の装置は、機械的に変位可能であるために振動することがある遊離部分を備えている装置を意味し、受動型装置であることもあれば能動型装置であることもある。たとえば、加速度あるいは角加速度が作用すると遊離部分が振動ないし変位する現象を利用して加速度あるいは角加速度を検出するセンサであることもある。走査トンネル顕微鏡の探針に生じる変位量を検出する検出装置であることもある。すなわち、配線路を出力線に利用する受動型装置であることもある。逆に、配線路に駆動電力を通電して遊離部を振動ないし変位させる能動型装置であることもある。例えば、遊離部に形成したミラーを振動させる光スイッチあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)であることもある。配線路の一部を出力線とし、他の配線路に駆動電力を通電する複合型の装置であることもある。
第1構成例は、基板を構成する導電層と配線路の間に生じる静電容量を減らすものであり、静電容量型の装置に対して顕著な効果を奏する。例えば、遊離部分の振動を静電容量の変化として検出する加速度センサや角速度センサにおいて顕著な効果が生じる。あるいは、固定部分と遊離部分を向かい合わせておいて両者間に電位差を加えることで遊離部分を変位させるタイプの能動型装置において顕著な効果を奏する。本明細書でいう共振振動数は、複数の共振振動数が存在する場合には、特記しない限り、最小の共振振動数を意味する。配線路の一部を構成する支持部分は、比喩的にいうと橋桁に相当する。その支持部は、配線路の長さ方向に断続的に配置されていてもよいし、配線路の巾方向の一部に配置されていてもよい。
上記の装置では、配線路が、支持部分と差渡し部分で構成される。差渡し部分では、配線路と導電層が大気または真空を介して向かい合う。大気または真空の誘電率は、絶縁層の誘電率よりも低い。配線路に差渡し部分を設けることで、配線路が導電層との間で作り出す寄生静電容量を低減することができる。寄生静電容量によって装置特性が低下する度合いを低減することができる。配線路に差渡し部分を設けると、その差渡し部分に振動が発生する。不用意に差渡し部分を設けると、差渡し部分に生じる振動によって装置特性がかえって低下してしまう。装置が利用する遊離部分の振動数には上限が存在し、遊離部分の共振振動数よりもはるかに高い振動数は装置特性に影響しない。上記の装置は、その現象を積極的に利用する。配線路に差渡し部分を設けて静電容量を減少させると、その差渡し部分に振動が発生する現象が避けられないが、その差渡し部分の共振振動数を構造体を構成している遊離部分の共振振動数よりも高く設定しておくことによって、差渡し部分に生じる振動が装置特性を低下させる問題に対処している。
第2構成例は、構造体を構成する遊離部分と、構造体を構成する固定部分と、配線路と、電極パッドが同一層で形成されている。こうすれば、導電層と絶縁層と導電層が積層されている基板、例えばSOI基板から装置を製造することができる。絶縁層の表面に積層されている導電層を利用して、構造体と配線路と電極パッドを形成することができる。また、絶縁層を残存させることで、構造体の固定部分と、配線路の支持部分を形成し、絶縁層を除去することで、構造体の遊離部分と、配線路の差渡し部分を形成することができる。
第3構成例では、構造体を構成する遊離部分と配線路を構成する差渡し部分に、表面から裏面に貫通する貫通孔が形成されている。こうすれば、貫通孔からエッチング剤を供給できる。遊離部分と差渡し部分の裏面に存在していた絶縁層を簡単に除去することができる。すなわち、絶縁層が存在しない範囲に伸びる遊離部分と差渡し部分を簡単に製造することができる。あるいは、遊離部分と固定部分を作り分けることができ、支持部分と差渡し部分を作り分けることができる。
第1構成例によれば、配線路に生じる寄生容量を低減し、しかも、配線路に生じる振振によって装置特性が低下するのを抑制できる。それによって例えば加速度センサの検出精度を向上することができる。第2と第3構成例によれば、特性の高い装置を簡単に製造することができる。高特性の装置を安価に製造することが可能となる。
第1実施例に係る2軸の加速度センサ10の全体構成を示す説明図。 2軸の加速度センサ素子100の構成を示す拡大図。 加速度センサ10の配線260を含む配線路を示す断面図。 加速度センサ10の配線260を含む配線路を示す断面図。 配線路の共振振動数を算出する概念的な計算式を示す説明図。 第2実施例に係る2軸の加速度センサ10aの全体構成を示す説明図。 加速度センサ10aの配線260aを含む配線路を示す断面図。 加速度センサ10aの配線260aを含む配線路を示す断面図。 第2実施例の配線路が提供する設計自由度を利用した第2実施例の変形例を示す説明図。 第3実施例に係る2軸の加速度センサ10bの全体構成を示す説明図。 加速度センサ10bの配線260bを含む配線路を示す断面図。 加速度センサ10bの配線260bを含む配線路を示す断面図。 第1実施例の配線路の第1の製造方法の工程を示すフローチャート。 第1実施例の配線路の第1の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第1の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第1の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第1の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第1の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第1の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第1の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第1の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第1の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第2の製造方法の工程を示すフローチャート。 第1実施例の配線路の第2の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第2の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第1実施例の配線路の第2の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第2実施例の配線路の第1の製造方法の一部の工程を示す説明図。 第2実施例の配線路の第1の製造方法の一部の工程を示す説明図。 第2実施例の配線路の第1の製造方法の一部の工程を示す説明図。 第2実施例の配線路の第1の製造方法の一部の工程を示す説明図。 第2実施例の配線路の第2の製造方法の一部の工程を示す説明図。 第2実施例の配線路の第2の製造方法の一部の工程を示す説明図。 第2実施例の配線路の第2の製造方法の一部の工程を示す説明図。 第2実施例の配線路の第2の製造方法の一部の工程を示す説明図。 第3実施例の配線路の第2の製造方法の各工程を示すフローチャート。 第3実施例の配線路の第2の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第3実施例の配線路の第2の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第3実施例の配線路の第2の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 第3実施例の配線路の第2の製造方法の各工程の様子を示す説明図。 従来例の角速度センサ900の全体構成を示す説明図。
本発明は、たとえば以下の特徴を単独あるいは組み合わせて備えることによって好ましい形態として実現することもできる。
(特徴1)共振構造体を有するデバイスと電極とを電気的に接続する配線路であって、デバイスと電極とを電気的に接続する配線を形成する第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層とを所定の隙間で相互に支持する配線支持部を有し、配線支持部の外部に第1の導電層と第2の導電層との間に空間を形成する絶縁層と、を備える。配線路は、配線路の基本振動数がデバイスの基本振動数よりも大きくなるように構成されている。こうすれば、配線の共振現象に起因するセンサ素子の動作や検出精度への悪影響を抑制しつつ第1の導電層と第2の導電層との間に形成される寄生容量を低減することができる。
(特徴2)絶縁層は、配線路の基本振動数がデバイスの基本振動数よりも大きくなるように設定された間隔で配線支持部を有している。こうすれば、配線支持部の位置を調整するだけで配線路の基本振動数を簡易に設定することができる。
(特徴3)第1の導電層には、第1の導電層と第2の導電層との間に空間を形成するための透過孔が形成されている。こうすれば、半導体プロセスによって絶縁層を除去することによって簡易に空間を形成することができる。
(特徴4)配線支持部は、配線の幅方向の両端に形成された一対の支持部であって、一対の支持部の間に中間空間を形成する一対の端部支持部を有する。こうすれば、配線の幅方向の両端を絶縁層によって支持することができる。これにより、配線路の剛性を顕著に高めて基本振動数を高く維持しつつ中間に大きな空間を形成することができる。
(特徴5)第1の導電層には、一対の端部支持部と中間空間とを形成するために、配線路の長手方向に延びるスリット状の透過孔が中間空間に対応する位置に間欠的に形成されている。こうすれば、半導体プロセスによって絶縁層を除去することによって簡易に中間空間を形成することができる。
(特徴6)第1の導電層は、配線の幅方向の両端に渡る所定形状の透過孔が配線路の長手方向に並んで形成されている。こうすれば、配線の基本振動数を高く維持しつつ絶縁層を削減して空間面積を大きくすることができる。
(特徴7)透過孔は、第1の導電層を多孔質化することによって形成されている。こうすれば、配線の基本振動数を高く維持しつつ空間面積を大きくすることができる。
(特徴8)配線路は、配線路の共振振動数が共振構造体の共振振動数の10倍よりも大きくなるように構成されている。
(特徴9)配線路は、SOIウェハを使用する製造プロセスで製造される。
(特徴10)配線路の製造プロセスでは、絶縁層エッチングが配線の形成工程と透過孔の形成工程の後に一括して行われる。
(特徴11)共振構造体は、静電容量の変化に応じて計測する加速度センサや角速度センサといった慣性センサである。
以下では、本発明の実施の形態を、次のような順序に従って説明する。
A.本発明の第1実施例に係る加速度センサの構成:
B.本発明の第2実施例に係る加速度センサの構成:
C.本発明の第3実施例に係る加速度センサの構成:
D.配線路の製造方法:
D−1.第1実施例の配線路の製造方法:
D−2.第2実施例の配線路の製造方法:
D−3.第3実施例の配線路の製造方法:
E.変形例:
A.本発明の第1実施例に係る加速度センサの構成:
図1は、本発明の第1実施例に係る2軸の加速度センサ10の全体構成を示す説明図である。加速度センサ10は、X軸方向とY軸方向の2軸の加速度を検出する加速度センサ素子100(共振構造体や構造体の一例)と、6個の電極パッド310〜360(電極の一例)と、加速度センサ素子100と6個の電極パッド310〜360のそれぞれとを接続する6本の配線210〜260と、支持基板500上に備えている。
図2は、2軸の加速度センサ素子100の構成を示す拡大図である。加速度センサ素子100は、絶縁層(後述)を介して支持基板500に固定された固定部分と、支持基板500から遊離している遊離部分とを有している。固定部分は、4個の素子側端子141〜144(固定部分の一例)と、4個の固定櫛歯電極121b〜124b(固定部分の一例)と、を含んでいる。遊離部分は、慣性質量を有するマス部110と、4個の可動櫛歯電極121a〜124aと、4個の弾性支持部131〜134と、を含んでいる。可動櫛歯電極121aは、固定櫛歯電極121bとともに櫛歯電極121を構成し、また、可動櫛歯電極122a〜124aの各々と、固定櫛歯電極122b〜124bの各々は、それぞれ櫛歯電極122〜124を構成する。
このような構成を有する加速度センサ素子100は、以下のような機械的特性を有する。加速度センサ素子100は、支持基板500に対して固定された4個の素子側端子141〜144と、支持基板500から遊離した慣性質量を有するマス部110および4個の可動櫛歯電極121a〜124aと、4個の素子側端子141〜144から伸びてマス部110を弾性状態で支持する4個の弾性支持部131〜134と、を有している。加速度センサ素子100は、このように、慣性質量と弾性体の組み合わせとして構成されているので、所定の振動数の振動入力に対して共振状態を発生させる性質を有することが本願発明者によって見出された。
加速度センサ素子100のY軸方向の加速度検出機能は、櫛歯電極121、122を使用して実現されている。櫛歯電極121は、固定櫛歯電極121bに備えられたX方向に伸びる電極板群125bと、可動櫛歯電極121aに備えられたX方向に伸びる電極板群125aとを備えている。電極板群125aは、電極板群125aのY方向に配置された電極板群125bの近傍であって、かつY方向に配置された電極板群125bから十分に離れた位置に配置されている。これにより、櫛歯電極121の静電容量の支配的要因は、電極板群125aと、電極板群125aのY方向に配置された電極板群125bとの間に形成されるコンデンサとなる。逆に、電極板群125aのY方向に配置された電極板群125bと電極板群125aとの間に形成されたコンデンサの静電容量は、電極板群125aのY方向に配置された電極板群125bと電極板群125aとの間に形成されたコンデンサの静電容量に比べて無視できることになる。
一方、櫛歯電極122の静電容量の支配的要因は、櫛歯電極122がX軸に対して櫛歯電極121と対称の形状を有するので、電極板群126aと、電極板群126aのY方向に配置された電極板群126bとの間に形成されるコンデンサとなる。このように、櫛歯電極122は、櫛歯電極121とY軸方向に逆の特性を有しているので、Y軸方向の変位に関して差動容量の発生を実現することができる。
このような構成と機能とを有する加速度センサ素子100は、以下のように作動する。加速度センサ素子100に対して、たとえばY方向に加速度が加えられると、Y方向にマス部110に加速度に応じた慣性荷重が発生する。この慣性荷重は、4個の弾性支持部131〜134に対して慣性荷重の大きさに応じた弾性変形を生じさせ、マス部110とともに電極板群125aと電極板群126aとの位置を変位させることになる。この結果、電極板群125aと電極板群126aとは、Y方向の加速度に応じた変位量だけY方向に変位することになる。
このような変位は、櫛歯電極121と櫛歯電極122との間に差動容量を発生させる。この変位は、電極板群125aと電極板群125bとの間を狭くして静電容量を増加させる一方、電極板群126aと電極板群126bとの間を広くして静電容量を減少させるからである。このような差動容量は、たとえば固定櫛歯電極121bと固定櫛歯電極122bの電位差の動的な挙動として差動増幅回路によって検出することができる。なお、加速度センサ素子100のX軸方向の加速度検出機能は、櫛歯電極123、124を使用して同様に実現することができる。
このような加速度センサ素子100の構成は、以下のような特徴を有していることが本願発明者によって見いだされた。
(1)支持基板500から遊離した遊離部分を有するので、共振しやすい機械的特性を有している。
(2)加速度は、可動櫛歯電極121a等の微小な変位に基づいて検出されるので、振動によって検出性能が低下する可能性がある。
(3)加速度は、櫛歯電極121〜124で発生する微小な静電容量(センサ容量)の変化に基づいて検出される一方、配線を含む回路の総容量に応じて検出精度(検出分解能)が低下する。本願発明者の解析によれば、検出分解能(加速度の最低検出レベル)は、配線路の寄生容量と櫛歯電極121〜124のセンサ容量の和の大きさに比例して大きくなる(劣化する)ことが見出された。さらに、このような特性は、角速度センサにも同様に見られるものであることが本願発明者によって見出された。
本願発明者は、このような特性を有する加速度センサ素子100に使用される配線路として以下のような構成を創作して、配線路の寄生容量の低減を実現した。
図3及び図4は、加速度センサ10の配線260(図1)を含む配線路を示す断面図である。加速度センサ10は、SOI(Silicon on Insulator)基板から構成されている。SOI基板12は、表面シリコン層WL(第1の導電層の一例)と支持基板500(第2の導電層の一例)との間に絶縁層BL(SiO、絶縁層の一例)を挿入した構造の基板である。配線260は、SOI基板12の表面シリコン層WLに形成されている。なお、半導体製造プロセスと本発明の構成の関係の詳細については後述する。
配線260は、支持基板500の表面の一部に絶縁層BLが積層されている基層502の上に形成されている。配線260は、絶縁層BLに形成された5個の配線支持部261〜265(配線支持部の一例)によって支持基板500上に支持されている。換言すれば、絶縁層BLは、表面シリコン層WLに形成された配線260と支持基板500とを所定の隙間(絶縁層の厚み)で相互に支持する配線支持部261〜265を有し、配線支持部261〜265の外部において配線260と支持基板500との間に5個の空間261v〜265vを形成するように成形されている。配線260は、配線支持部261〜265によって直接的に支持されている支持部と、支持部から張り出して空間261v〜265v上を伸びている差渡し部を備えている。
5個の空間261v〜265vは、配線260に形成された複数の透過孔260hを利用し、後述する半導体製造プロセスによって絶縁層BLを除去することによって形成されている。空間261v〜265vを形成しているのは、配線260と支持基板500との間における比誘電率を小さくして静電容量を小さくするためである。具体的には、このような構成とすることによって、たとえば絶縁層(SiO)の比誘電率「4」を大気の比誘電率「1」まで低減させることができることが本願発明者によって見出された。
本願発明者は、さらに、空間261v〜265vを形成する構成が新規な課題を生じさせることを予測した。新規な課題とは、5個の空間261v〜265vの形成が配線260と配線支持部261〜265とを含む配線路の共振振動数を小さくするという問題である。共振振動数が小さくなるのは、5個の空間261v〜265vの形成が配線路の剛性を低下させるからである。
図5は、配線路の共振振動数を算出するための概念的な計算式を示す説明図である。この計算式F1、F2は、配線路の空間261v〜265vの各部位におけるZ軸方向の振動の固有モードを想定する計算式である。計算式F1、F2によれは、配線路の共振振動数fは、5個の空間261v〜265vの各幅2Lの半分の値L(計算式F1、F2では小文字表記)が3次の項を有するので、それが主要因となって決定されることがわかる。一方、配線の幅wは、空間261v〜265vを形成するための透過孔260hによって実質的に減殺されているので、透過孔260hの形成状態も共振振動数fの決定の副次的な要因となることが分かる。
ただし、配線の幅wは、配線のアドミッタンスやレイアウトに直接的な影響を与えるのに対し、空間261v〜265vの各幅の半分の値Lは、自由に設定できるという特徴を有している。したがって、空間261v〜265vの各幅2Lは、配線路の共振振動数fの設定に効果的に利用可能であることが本願発明者によって見出された。
配線路の共振振動数fを適値に設定することによって、配線に生じる共振現象が加速度センサ素子100へ悪影響を及ぼすことを抑制できる。たとえば、加速度センサ素子100の共振振動数f(複数の共振点が存在するときには、最も小さな振動数を有する共振振動数)よりも配線路の共振振動数fが大きくなるようにすることによって、配線に生じる共振現象が加速度センサ素子100へ悪影響を及ぼすことを抑制できる。上記の条件が成立していれば、加速度センサ素子100の共振点よりも低い振動数において配線路が共振してしまうという事態を回避することができるからである。
本願発明者の解析によって、配線路の共振振動数fを加速度センサ素子100の共振振動数fの2倍よりも大きくすることによって、加速度センサ素子100の許容振動限界の全範囲において加速度と計測値の間に正の相関関係を維持して実用的な計測を実現することができることが見出された。さらに、配線路の共振振動数fを加速度センサ素子100の共振振動数fの10倍よりも大きくすれば、配線路の共振が計測への与える悪影響を殆どなくすことができることも見出された。
このように、第1実施例は、配線路の共振振動数fが加速度センサ素子100の共振振動数fよりも大きくなるように構成されているので、配線に生じる共振現象が加速度センサ素子100の動作を損ねたり検出精度へ悪影響を及ぼすことを抑制しつつ、配線路に生じる寄生容量を低減させることができる。本願発明者は、加速度センサ素子100の共振振動数fよりも過度に高い振動数に耐える構造を配線路が有していても装置の性能向上には寄与しないことに着目し、配線路の構造の剛性や強度の余剰な性能を、装置の性能に顕著な影響を与える寄生容量の低減に利用する方法を見出したのである。
B.本発明の第2実施例に係る加速度センサの構成:
図6は、本発明の第2実施例に係る2軸の加速度センサ10aの全体構成を示す説明図である。第2実施例の加速度センサ10aは、6本の配線210a〜260aを含む配線路が第1実施例の加速度センサ10と相違し、加速度センサ素子100と6個の電極パッド310〜360と支持基板500については第1実施例の構成と共通する。
図7及び図8は、加速度センサ10aの配線260aを含む配線路を示す断面図である。配線260aには、配線260aの長手方向(本明細書では、「電流が流れる方向」を意味する。)に延びるスリット状の透過孔260haが長手方向に間欠的に並んで形成されている。透過孔260haは、配線260aの幅方向(本明細書では、「長手方向にほぼ垂直な方向」を意味する。)の両端に形成された一対の端部支持部261a(端部支持部の一例)の間のトンネル状の中間空間362を形成するために利用される。
なお、「一対の端部支持部261a」は、必ずしも連続している必要はなく、間欠的で非連続な構成としてもよい。「一対の端部支持部261a」が形成されていない各部分は、たとえば配線支持部261〜265(図3)で支持する構成や、空間261v〜265vを形成する構成、あるいはこれらを適宜組み合わせた構成としてもよい。
中間空間362は、配線260aと支持基板500との間において、一対の端部支持部261aの間に形成されている。この中間空間362は、比誘電率を小さくして配線260aと支持基板500の間の静電容量を低減させるという第1実施例と同様の役割を果たすことができる。
一方、第2実施例の配線路は、配線260aの幅方向の両端に形成された一対の端部支持部261a(図8)によって、配線260aの幅方向の両端において支持するように構成されている。このような構造では、共振振動数を高く維持しつつ配線260aと支持基板500との間の空間362(絶縁層が除去された領域)を容易に拡大することができるので、寄生容量の増大を抑制しつつ配線260aの幅方向の設計自由度を顕著に大きくすることができる。
図9は、第2実施例の配線路が提供する設計自由度を利用した第2実施例の変形例としての配線260a1、260a2、260a3を示す説明図である。第1変形例の配線260a1は、三角形の透過孔が配線260a1の長手方向に並んで形成された一例である(トラス構造)。第2変形例の配線260a2は、三角形と四角形の透過孔が配線260a2の長手方向に並んで形成された一例である(トラス構造とラーメン構造の組み合わせ)。第3変形例の配線260a3は、四角形の透過孔が配線260a3の長手方向に並んで形成された一例である(ラーメン構造)。各々の透過孔の巾方向のサイズは、配線の巾の1/2以上とすることが好ましい。この場合、巾方向に1個の透過孔を設けることによって大きな中間空間362を形成することができる。
このように、第2実施例の構成が提供する設計自由度を利用すれば、トラス構造やラーメン構造といった機械工学の分野でよく研究されて利用可能となっている種々の構造様式を利用して配線路を形成することができ、配線路の共振振動数を調整することができる。
C.本発明の第3実施例に係る加速度センサの構成:
図10は、本発明の第3実施例に係る2軸の加速度センサ10bの全体構成を示す説明図である。第2実施例の加速度センサ10bは、6本の配線210b〜260bを含む配線路が第1実施例や第2実施例の加速度センサ10、10aと相違し、加速度センサ素子100と6個の電極パッド310〜360と支持基板500については第1実施例や第2実施例の構成と共通する。
図11及び図12は、加速度センサ10bの配線260bを含む配線路を示す断面図である。配線260bには、配線260bの長手方向において間欠的に多孔質化処理(ポーラス化とも呼ばれる。)された領域260pを有している。多孔質化処理は、たとえば電解液中で配線260bの処理対象位置を陽極として電流を流す陽極化成によって行うことができる。
多孔質化された領域260pは、エッチング液やエッチングガスの透過を可能とするので、半導体製造プロセスにおいて、配線260bの下層の絶縁層の除去を実現することができる。一方、多孔質化処理は、透過孔を形成する場合に比較して剛性低下が顕著に小さいので、共振振動数を十分に高く維持しつつ寄生容量を低減させることができるという利点を有している。
配線260bは、多孔質化処理が施されていない部位に残存する絶縁層として形成された配線支持部261b〜263bと、電極パッド支持部361bとによって支持されている。このような構造形態は、多孔質化による剛性低下(ヤング率低下)を考慮して、第1実施例と同様に配線支持部261b〜263bや電極パッド支持部361bの相互間の距離(2L)を設定することによって簡易に配線路の共振振動数fを設定することができるという利点をも有している。
このように、第3実施例は、配線の共振振動数を高く維持しつつ配線260bと支持基板500との間の比誘電率を小さくすることができるので、上述の構成における構造解析の負担を軽減して簡易に本発明を適用することができるという利点を有している。ただし、第2実施例に係る端部支持部261a(図6〜図9)を利用するような構造形式としてもよい。
D.配線路の製造方法:
第1〜第3実施例の加速度センサ10、10a、10bの配線路は、それぞれ以下の各製造方法で製造できることが本願発明者によって見出された。
D−1.第1実施例の配線路の製造方法:
図13は、第1実施例の配線路の第1の製造方法の工程を示すフローチャートである。図14乃至図22は、第1実施例の配線路の第1の製造方法の各工程の様子を示す説明図である。第1の製造方法は、6本の配線210〜260(図1)を形成する配線形成エッチングの工程と、6本の配線210〜260の各々に透過孔260h等(図1、図3、図4)を形成する透過孔形成エッチング工程と、を含んでいる。
ステップS100では、SOIウェハが準備される。SOIウェハは、図14に示すように、活性層WL1(本実施例では、配線が形成される導電層なので配線層とも呼ばれる。)と支持基板500との間に埋め込み酸化膜BL1(本実施例では、絶縁層とも呼ばれる。)を挿入した構造を有している。
SOIウェハは、配線層WL1並びに支持基板500のいずれもが単結晶シリコンで形成することができるので、高精度のデバイスを高い歩留まりで安定的に製造することができる。加えて、SOIウェハを利用すれば、たとえばプロセスに固有のノウハウを必要とするため実施化が困難なポリシリコンMEMSと異なり、このようなノウハウなしで実施化が可能であるという利点をも有している。ただし、必ずしもSOIウェハを利用する必要はなく、他のウェハを利用するようにしてもよい。
なお、他のウェハを利用する場合には、たとえば支持基板500を不導体として寄生容量を大きく低減することも可能である。ただし、支持基板500を導電体とすれば、支持基板500を利用する配線ルートを利用することができるとともに、たとえば支持基板500を接地して電磁干渉を抑制することできるという利点を有する。
ステップS200では、配線形成用レジストパターニングがSOIウェハに対して行われる。配線形成用レジストパターニングとは、図15に示すように、電極パッド310〜360と、配線210〜260と、素子側端子141〜144と、弾性支持部131〜134と、マス部110と、可動櫛歯電極121a〜124aと、固定櫛歯電極121b〜124bと、に対応する位置にレジストR1を塗布する工程である。
ステップS300では、配線形成用エッチングが行われる。配線形成用エッチングとは、図16に示すように、レジストR1が塗布されていない部分にエッチングを施し、レジストR1が塗布された範囲の配線層WL1を残存させることによって、電極パッド310〜360や配線210〜260等が残存した配線層WL2を製造する工程である。
ステップS400では、レジスト除去が行われる。レジスト除去とは、図17に示すように、後述のレジストパターニングの工程を適切に行うために、その前工程としてレジストR1を除去する処理である。ステップS500では、絶縁層エッチング(1回目)が行われる。1回目の絶縁層エッチングでは、配線形成エッチングで配線層WL1が除去された領域において露出した絶縁層BL1を除去し、これにより残存絶縁層BL2を形成するエッチングである。
ステップS600では、透過孔形成用レジストパターニングが行われる。透過孔形成用レジストパターニングとは、図19に示すように、裏面から絶縁層を除去したい範囲、すなわち、配線路210〜260のうちの差渡し部と、マス部110と、可動櫛歯電極121a〜124aに対応する範囲に、孔R2hを分散して形成し、残部にレジストR2を塗布する工程である。
ステップS700では、図20に示すように、透過孔形成エッチングが行われる。透過孔形成エッチングとは、レジストR2が塗布されていない部分の孔R2hを通してエッチングを施すことによって、さらに透過孔260hが形成された配線層WL3を形成する工程である。この結果、配線路210〜260のうちの差渡し部と、マス部110と、可動櫛歯電極121a〜124aを形成する配線層WL3に、複数の透過孔260h等が分散して形成される。
ステップS800では、絶縁層エッチング(2回目)が行われる。2回目の絶縁層エッチングでは、図21に示すように、孔R2hと透過孔260hとを利用して残存する絶縁層BL2を除去する。この結果、配線路210〜260のうちの差渡し部と、マス部110と、可動櫛歯電極121a〜124aと、の各裏面から絶縁層BL2が除去される。弾性支持部131〜134では巾が狭いことから、透過孔が形成されていなくても、弾性支持部131〜134の裏面から絶縁層BL2が除去される。
裏面から絶縁層が除去された範囲、すなわち、配線路210〜260のうちの差渡し部と、弾性支持部131〜134と、マス部110と、可動櫛歯電極121a〜124aを構成する配線層WL3は、支持基板500から遊離することになる。弾性支持部131〜134は巾が狭いことので、しなやかに弾性変形することができる。マス部110と可動櫛歯電極121a〜124aは、図1のXY面内で変位可能となる。
ステップS900では、図22に示すように、レジスト除去が行われる。レジスト除去が完了すると、加速度センサ10が完成する。なお、この製造方法では、説明の特徴を分かりやすく説明するために、透過孔形成のためのプロセス(ステップS600〜S800)が、配線形成のためのプロセス(ステップS200〜S500)とは別個のプロセスとして行われている。しかし、透過孔形成用レジストパターニング(ステップS600)は、配線形成用レジストパターニング(ステップS200)の一部として実行することもできる。こうすれば、ステップS600〜S800の工程を削減することができるので、マスクや工程の数を削減して低コストでのデバイスの製造が可能となる。
このように、第1実施例の加速度センサ10は、一般的に使用されている半導体製造プロセスによって製造することができる。本願発明者は、さらに、上述の1回目の絶縁層エッチングを省略して製造工程を簡略化した第2の製造方法をも創作した。
図23は、第1実施例の配線路の第2の製造方法の工程を示すフローチャートである。図24乃至図26は、第1実施例の配線路の第2の製造方法の各工程の様子を示す説明図である。第2の製造方法は、1回目の絶縁層エッチング(ステップS500)の工程が削除されているとともに、透過孔形成用レジストパターニング(ステップS600a)の処理内容が変更されている点で上述の第1の製造方法と相違する。
第2の透過孔形成用レジストパターニング(ステップS600a)は、図24に示すように、レジストR2aの塗布領域が上述の透過孔形成用レジストパターニング(ステップS600と図20参照)と相違する。具体的には、絶縁層エッチング(ステップS500、図18)の工程の削除によって残存する絶縁層部分においてレジストの塗布が排除されている。これにより、図25に示されるように、透過孔形成エッチング(ステップS700)においては、残存する絶縁層部分がレジストとしての役割を果たすとともに、図26に示されるように、後の工程(絶縁層エッチング(ステップS800))においては、残存する絶縁層部分が他の絶縁層とともに一回で除去することができる。
このような工程変更によって、後の工程である絶縁層エッチング(ステップS800)では、上述の実施例において1回目の絶縁層エッチング(ステップS500)で除去していた部分を含む絶縁層BL1の全てを一緒に除去することができる。これにより、1回目の絶縁層エッチング(ステップS500)を省略して製造工程を簡略化することができるとともに、レジストの塗布領域を削減することができる。
D−2.第2実施例の配線路の製造方法:
図27乃至図30は、第2実施例の配線路の第1の製造方法の一部の工程を示す説明図である。第2実施例の配線路の製造方法は、第1実施例の配線路の第1の製造方法(図13乃至図22)と比較して、透過孔形成用レジストパターニング(ステップS600b)におけるレジストR2bの塗布領域と、その後工程の絶縁層エッチング(ステップS800a)における絶縁層の除去処理の方法と、がそれぞれ相違する。図27に示すように、レジストR2bには、一対の端部支持部261a(図6乃至図8)の間に中間空間を形成するための孔R2haが形成されている。これにより、図28に示すように、次工程の透過孔形成エッチング(ステップS700)において第2実施例の配線260aの形状が形成されることになる。
絶縁層エッチング(ステップS800a)は、図29に示すように、一対の端部支持部261a(図8)を残存させるように除去量が制御されている点で、絶縁層をすべて除去する上述の第1の製造方法と相違する。これにより、図30に示すように、第2実施例の加速度センサ10aが有する一対の端部支持部261aに支持される配線路の製造を実現することができる。これにより、次工程のレジスト除去(ステップS900)において第2実施例の配線路が形成されることになる。
図31乃至図34は、第2実施例の配線路の第2の製造方法の一部の工程を示す説明図である。図31および図32に示すように、透過孔形成用レジストパターニング(ステップS600c)では、透過孔形成用レジストパターニング(ステップS600a、図24)と同様に絶縁層エッチング(ステップS500)の工程削除によって残存する絶縁層部分においてレジストの塗布が排除されている。
図33から分かるように、絶縁層エッチング(ステップS800a)では、絶縁層BL1をレジストR2cの内外から同時に除去して絶縁層BL3aを形成することができる。絶縁層エッチング(ステップS800a)においては、透過孔形成用レジストパターニング(ステップS600c)のレジストR2cの厚みを調整することによって、一対の端部支持部261a(図33、図34)の位置を調整することができる。
図34から分かるように、上述の第2の製造方法によっても第2実施例の加速度センサ10aとほぼ同一の構成を製造することができる。
D−3.第3実施例の配線路の製造方法:
図35は、第3実施例の配線路の第2の製造方法の各工程を示すフローチャートである。図36乃至図39は、第3実施例の配線路の製造方法の各工程の様子を示す説明図である。この配線路の製造方法は、以下の3点で第1実施例の加速度センサ10の第2の製造方法と相違する。
(1)透過孔形成用レジストパターニング(ステップS600d)におけるレジストの塗布領域が変更されている。ここでは、図36に示すように、多孔質化の対象となる領域がレジストの塗布の対象外となっている。
(2)透過孔形成エッチング(ステップS700)が、図37に示すように、多孔質化工程(ステップS700a)に入れ替えられている。
(3)絶縁層エッチング(ステップS800)とレジスト除去(ステップS900)の順序が入れ替えられている。
このような製造方法によって、第3実施例の加速度センサ10bの配線路を製造することができる。なお、1回目の絶縁層エッチング(ステップS500)を省略しない製造方法(上述の第1の製造方法に対応)も利用することができる。
E.変形例:
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。具体的には、たとえば以下のような変形例も実施可能である。
E−1.第1変形例:上述の実施例では、加速度センサ素子が使用されているが、たとえば角速度センサ、ピエゾ加速度センサ、走査トンネル顕微鏡の探針といった受動素子、あるいはスイッチミラーのような能動素子を使用する構成にも本発明は適用することができる。これらのデバイスは、たとえばマイクロメカニカル構造体(MEMS)といった実装技術によって実現することができる。このように、本発明で利用可能な「共振構造体」は、一般に受動素子や能動素子を含み、たとえば機械的な可動部分を有することに起因して少なくとも一つの共振点を有するデバイスであれば良い。
ただし、本発明は、配線の寄生容量を低減して検出分解能を向上させることができるので、上述のように静電容量の変化に応じて計測する加速度センサや角速度センサといった慣性センサにおいて顕著な効果を奏する。
E−2.第2変形例:上述の実施例や変形例では、SOI基板から製造され、慣性センサとして完成しているが、たとえばSOI基板をコア基板とするビルドアップ工法で多層基板を製造することもできる。多層基板では、必ずしもSOI基板に共振構造体が存在する必要は無く、他の層に存在してもよい。
10、10a、10b…加速度センサ
100…加速度センサ素子
110…マス部
121〜124…櫛歯電極
121a…可動櫛歯電極
121b…固定櫛歯電極
125a、125b…電極板群
131〜134…弾性支持部
141〜144…素子側端子
210、210a、210b、260、260a、260b、260a1、260a2、260a3…配線
260h、260ha…透過孔
261〜265、261b〜263b…配線支持部
261a…端部支持部
261v〜265v…空間
310〜360…電極パッド
361b…電極パッド支持部
500…基板層
900…角速度センサ(従来技術)
911…マス部(従来技術)
912…櫛歯電極(従来技術)
914…弾性支持部(従来技術)

Claims (3)

  1. 導電層と、その導電層の一部に積層されている絶縁層を備えている基板と、
    前記絶縁層上に固定されている固定部分と、その固定部分から前記絶縁層が存在しない範囲に伸びているとともに前記導電層から遊離している遊離部分を有しており、その遊離部分が前記基板に対して振動する構造体と、
    前記絶縁層上に固定されている電極パッドと、
    前記固定部分と前記電極パッドを接続している配線路を備えており、
    その配線路は、前記絶縁層上に固定されている支持部分と、その支持部分から前記絶縁層が存在しない範囲に伸びている差渡し部分を備えており、
    その差渡し部分の共振振動数が前記遊離部分の共振振動数よりも高いことを特徴とする装置。
  2. 前記の遊離部分と固定部分と配線路と電極パッドが、同一層で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記の遊離部分と差渡し部分に、表面から裏面に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
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