JP4478046B2 - 変位センサとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、力を受けて変位する物体の変位量を検出する変位センサに関する。物体の変位量を検出すれば、その物体に作用した力、あるいはその力を発生させた加速度、角加速度、圧力、外力等を測定することができる。ここでいう変位センサは、変位量に依存して変化する物理量を測定することによって、直接的には変位量を検出し、間接的に、加速度、角加速度、圧力、外力等を測定することが可能なセンサのことをいう。
なお、本明細書では、加速度に応じてマス(質量を有する物体)が変位する現象を利用し、マスの変位量からマスに作用した加速度を測定する変位センサを説明する。しかしながら、本明細書で開示する技術を利用する変位センサを、角加速度、圧力、外力等によってマスが変位する環境で用いれば、マスに作用した角加速度、圧力、外力等を測定することもできる。また、本発明の技術を利用する変位センサは、マスの変位量自体を測定するためにも利用できる。
加速度を受けると変位するマスとコンデンサを内蔵した加速度センサが開発されている。コンデンサの一方の電極はマスに形成されている。加速度センサに加速度が作用すると、その加速度に応じてマスが変位し、コンデンサの電極間距離が変化し、コンデンサの静電容量が変化する。コンデンサの静電容量を測定することによって、加速度センサに作用した加速度を測定することができる。その一例が特許文献1に記載されている。
特開平02−134570号公報
特開平02−134570号公報の加速度センサは、マスと、マスを支持するビームと、マスの上下方向に所定の距離を隔てて配置されている2枚のシリコン板を備えている。ビームは適度な剛性に調整されている。マスの上下両面に電極が形成されている。マスの上面に形成されている電極と上方に配置されているシリコン板が対向することによって、第1コンデンサを構成している。マスの下面に形成されている電極と下方に配置されているシリコン板が対向することによって第2コンデンサを構成している。これにより、一対のコンデンサが上下方向に配置されている。第1コンデンサを構成している電極の面積と第2コンデンサを構成している電極の面積は等しく形成されている。また、第1コンデンサの電極間の距離と第2コンデンサの電極間の距離は等しく形成されている。
加速度センサに下向きの加速度が作用すると、マスに加わる慣性力とビームの復元力が釣合う位置までマスは上方向に変位する。マスが上方向に変位すると、第1コンデンサの電極間の距離が小さくなるとともに、第2コンデンサの電極間の距離は大きくなる。したがって、第1コンデンサの静電容量が増大するとともに、第2コンデンサの静電容量は減少する。第1コンデンサの静電容量の増大量と、第2コンデンサの静電容量の減少量は等しい。
図32に示すように、マスに加速度が作用していないとき、即ち、マスが基準位置にあるときのそれぞれのコンデンサの静電容量をC0とする。加速度が作用したためにマスが変位して一方のコンデンサの静電容量がC0+ΔCに変化すれば、他方のコンデンサの静電容量はC0−ΔCに変化する。それぞれのコンデンサの静電容量の差((C0+ΔC)−(C0−ΔC)=2ΔC)を算出すると、加速度に応じた静電容量の変化量ΔCのみを検出することができる。それぞれコンデンサの静電容量の差に相当する量を出力する差動センサとすることによって、センサ出力から基準静電容量C0を除外することができ、変化量が2倍された量2ΔCを出力するセンサを得ることができる。
特許文献1の加速度センサは、マスとその上下方向に配置されているシリコン板との距離を精度よく調整するのが困難である。即ち、コンデンサの電極間の距離を精度よく調整するのが困難である。特許文献1及び従来から知られる加速度センサを製造する場合、ビームを介してマスを支持しているシリコン基板と、コンデンサの一方の電極を構成するシリコン板を、シリコン直接接合法によって接着することによって製造している。シリコン板は、マスから所定の距離を隔てて配置されるように、シリコン基板に対して接着される。
シリコン直接結合法では、シリコン基板とシリコン板を1000°以上に加熱して接着する。高温で接着された加速度センサを室温に戻すと、マスやビームやシリコン板などの熱膨張係数の差、また製造工程時に生じる温度分布のばらつき等により、各構成部材が撓みやすい。そのため、マスとシリコン板で構成されるコンデンサの電極間の距離が一定とならないという事態が起こる。
特許文献1のように、コンデンサの静電容量の変化量から加速度を測定する加速度センサでは、電極間の距離を精度よく製造することが極めて重要である。特に、特開平02−134570号公報のように、一対のコンデンサの静電容量の差を利用する差動センサの場合には、一対のコンデンサの電極間の距離を精密に一致させておかないと、作動センサ出力から基準静電容量の影響を除外することができなくなってしまう。差動センサの場合には、一対のコンデンサの電極間の距離を精密に一致させることが非常に重要である。なお、差動センサの場合に限らず、コンデンサを利用する変位センサの場合には、そのコンデンサの電極間の距離を精度よく形成することが重要である。
本発明では、変位量の測定に利用するコンデンサの電極間の距離を所定値に調整することが容易な変位センサの新規で斬新な構造を提供する。
本発明の変位センサは、導電性下層と、導電性下層上に積層されている絶縁層と、絶縁層上に積層されている導電性上層を有する。導電性下層は、その導電性下層を貫通する溝によって第1下領域と第2下領域に分離されている。第1下領域と第2下領域は、ビームによって接続されている。ビームはしなやかであり、第1下領域に力が作用すると、第1下領域は、第2下領域に対して相対的に変位ないし移動する。絶縁層は、選択された範囲において導電性下層上に積層されている。導電性上層は、選択された範囲において絶縁層上に積層されている。導電性上層は、第1下領域の上方位置から第2下領域の上方位置まで伸びている第1上部分と、第1下領域の上方位置から第2下領域の上方位置まで伸びている第2上部分とを有する。第1上部分と第1下領域の間には空間が形成されており第1上部分と第2下領域の間には絶縁層が形成されている。第2上部分と第1下領域の間には絶縁層が形成されており、第2上部分と第2下領域の間には空間が形成されている。第1上部分が第1コンデンサの一方の電極を形成しており、その第1上部分が空間を介して対向する第1下領域の対向部分が第1コンデンサの他方の電極を形成している。第2上部分が第2コンデンサの一方の電極を形成しており、その第2上部分が空間を介して対向する第2下領域の対向部分が第2コンデンサの他方の電極を形成している。
コンデンサの電極間の距離が変化するためには、上部分と第1下領域の間に空間を形成することが重要である。空間は、上部分と第1下領域の間の空間を除去することによって形成されるが、絶縁層を完全に除去する必要はない。第1下領域と対向する上部分の表面、及び上部分に対向する第1下領域の表面のいずれか一方、又は両者に、薄い絶縁膜が被覆されていてもよい。絶縁層よりも薄い絶縁膜が表面に被覆されていると、上部分と第1下領域の間に空間が確保されるとともに、強い力が作用して上部分と第1下領域が接触したとしても、両者間の短絡を防止することができる。
第1下領域と第2下領域が相対的に変位してしないときの一対のコンデンサの電極間の距離は一致しており、一対のコンデンサの静電容量は等しい。第1下領域と第2下領域が相対的に積層方向に変位すると、第1コンデンサの電極間距離は拡大し、第2コンデンサの電極間距離は縮小する。第1コンデンサと第2コンデンサの静電容量の差を検出することによって、静電容量の変化量を取出すことができる。
ビームは、第1下領域と第2下領域のいずれかを変位可能に支持すればよい。以下では、第1下領域に力が作用すると第1下領域が第2下領域に対して変位するように、ビームが第1下領域と第2下領域を接続している場合を説明する。
上記の変位センサでは、第1コンデンサを構成する第1下領域と、第2コンデンサを構成する第2上部分がビームを介して連結している。したがって、第1下領域が変位して第1コンデンサの電極間の距離が大きくなれば、第2コンデンサの電極間の距離が小さくなる。逆に、第1コンデンサの電極間の距離が小さくなれば、第2コンデンサの電極間の距離が大きくなる。第1コンデンサを構成する電極の面積と第2コンデンサを構成する電極の面積が等しく形成されている。さらに、第1下領域と第2下領域が相対的に変位していないときの第1コンデンサの電極間の距離と第2コンデンサの電極間の距離が等しく形成されている。したがって、第1コンデンサと第2コンデンサの基準位置における静電容量は一致している。静電容量の変化量を差動で検出することができる。
第1下領域は第2下領域によって取囲まれており、第2上部分に対向する第2下領域の対向部分は、第2下領域の残部から絶縁されていることが好ましい。
第2上部分に対向する第2下領域の対向部分を第2下領域の残部から絶縁するためには、例えば第2下領域にスリットを形成して空間的に分離する方法や、第2下領域に絶縁性の領域を形成する方法を挙げることができる。
第2上部分に対向する第2下領域の対向部分は、第2コンデンサの一方の電極を構成している。第2コンデンサを構成する第2下領域の対向部分を、残部の第2下領域から電気的に分離することによって、その残部の第2下領域に影響している電気的なノイズ等の影響が、第2コンデンサを構成する第2下領域に及ぶことを抑制することができる。第2コンデンサで検出される静電容量にノイズが含まれることを抑制することができる。
なお、第2コンデンサを構成する第2下領域の対向部分を第2下領域の残部から絶縁するためのスリット又は絶縁性の領域等は、第2上部分の輪郭線に対応している必要はない。第2上部分に対向する第2下領域に、電気的なノイズ等の影響が及ぶのを低減することができる位置に形成されていればよい。
第1下領域と第2上部分の間に形成されている絶縁層の一部が除去されて第1下領域と第2上部分が電気的に接続されていることが好ましい。この場合、コンデンサ容量検出回路が、第1上部分と、第1下領域上に積層されている第2上部分と、第2下領域のそれぞれに接続されることが好ましい。
第2コンデンサを構成する第2下領域にコンデンサ容量検出回路を直接的に接続するのに代えて、第2コンデンサを構成する第2下領域と第2下領域上に積層されている導電性上層を電気的に接触させ、コンデンサ容量検出回路をその導電性上層に接続させてもよい。コンデンサ容量検出回路を導電性上層に接続すると、他の2つの配線も含めて、コンデンサ容量検出回路の配線を全て導電性上層に対して接続することができる。ワイヤボンディングなどの加工が極めて簡単となる。
第1下領域と第1下領域上に積層されている第2上部分を電気的に隔てると、寄生のコンデンサが形成され得る。この寄生のコンデンサが、コンデンサの静電容量にエラーを与え得る。第1下領域と第1下領域上に積層されている第2上部分によって形成される寄生のコンデンサの影響を、第1下領域と第1下領域上に積層されている第2上部分を電気的に接触させることによって排除することができる。検出される静電容量に、寄生のコンデンサの静電容量を含んでしまうことを抑制することができる。より正確な検出が可能となる。
第1上部分と、第1下領域上に積層されている第2上部分の間に接続されるコンデンサ容量検出回路によって、第1コンデンサの静電容量を検出することができる。第1下領域上に積層されている第2上部分と第2下領域の間に接続されるコンデンサ容量検出回路によって、第2コンデンサの静電容量を検出することができる。第1コンデンサの静電容量と第2コンデンサの静電容量との差を算出する差動センサ得ることができる。
第1下領域と第2下領域を接続するビームを導電性上層で形成することができる。導電性上層の一部でビームを構成し、そのビームの両端部が絶縁層を介して第1下領域と第2下領域に接続されていることが好ましい。
導電性上層を利用してビームを製造すると、ビーム用の部材を別個に用意しなくてもよい。構造が単純化され、作り易い構造とすることができる。
導電性上層の一部でビームを形成する場合、ビームの両端部以外では、導電性上層と導電性下層との間に、空間が形成されていることが好ましい。
この場合のビームも、第1下領域と第2下領域のいずれかを変位可能に接続するものであればよい。以下では、第1下領域に力が作用すると第1下領域が第2下領域に対して変位するように、ビームが第1下領域と第2下領域を接続している場合を説明する。
第2下領域側から張出して第1コンデンサを形成する第1上部分と、第1下領域側から張出して第2コンデンサを形成する第2上部分は短く、それ自体は撓まないことが好ましい。第1上部分と第2上部分が撓むと、第1コンデンサと第2コンデンサの電極間の距離に、第1下領域の変位以外の要素が影響し、測定結果に誤差をもたらす。第1上部分と第2上部分を短くする必要があり、そのためには第1下領域と第2下領域を分離する溝の幅を狭くする必要がある。しかしながら、第1下領域と第2下領域を分離する溝の幅を狭くすると、通常は第1下領域と第2下領域を接続するビーム長が短くなってしまう。ビーム長が長いほうが第1下領域が変位しやすく、センサ感度を向上させることができる。
そこで、第2下領域の上方を長く伸びている導電性上層によってビームを形成する。ビームの両端部以外では、導電性上層と導電性下層との間に、空間が形成されている。これにより、長いビームを得ることができる。コンデンサは絶縁層を除去することによって形成されることから、第1下領域が変位する範囲は、絶縁層の膜厚の範囲内で変位できればよい。したがって、ビームを構成する導電性上層の下方に位置する絶縁層を除去するだけで、ビームの変形に必要なクリアランスを確保することができる。
絶縁層を除去することによってビーム変形に必要なクリアランスを確保すると、第1下領域と第2下領域の間の溝の幅は狭くすることができ、第1下領域と第2下領域を接近させることができるので、第2下領域から張出して第1コンデンサを形成する第1上部分と第1下領域から張出して第2コンデンサを形成する第2上部分を短くすることができる。これにより、延長部が撓みにくくなり、センサ精度を向上させることができる。また、第1下領域を大型で重いものにすることができる。第1下領域が重いと、第1下領域が変位しやすい。長いビームと重い第1下領域を利用することによって、センサ感度を向上させることができる。また、第1上部分と第2上部分を短くすることによって、センサの感度と精度を向上させることができる。
第1下領域が第2下領域によって取囲まれている場合、導電性上層を利用して、第1下領域の上方を通過するとともに、第1下領域を挟んで向い合う第2下領域の2つの部分同士を結ぶ第3上部分と、第1下領域上に絶縁層を介して積層されているとともに第1下領域を挟んで向い合う第2下領域の2つの部分の上方に張出す第4上部分を形成してもよい。この場合、第3上部分と第1下領域の間には空間が形成されている。また、第4上部分と第2下領域の間には空間が形成されている。
この場合のビームは、第1下領域に力が作用すると第1下領域が第2下領域に対して変位するように、第2下領域と第1下領域を接続している。
第3上部分に電圧を印加すると、第1下領域と第3上部分の間に発生する静電引力によって、第1下領域は第3上部分側に引き寄せられる。一方、第4上部分に電圧を印加すると、第2下領域と第4上部分の間に発生する静電引力によって、第2下領域は第4上部分側に引き寄せられる。
上記の変位センサは、第3上部分及び/又は第4上部分に電圧を印加することによって、第1下領域が第2下領域に対して相対的に変位するのを禁止するように用いられる。第1下領域が変位するのを禁止するのに必要とされた第3上部分及び/又は第4上部分に印加した電圧の大きさから、第1下領域に作用した力を検出し、その力を生じせしめた物理量(例えば、加速度)を検出することができる。測定可能な物理量が、ビームの撓み幅で制限されることがなくなるので、測定可能範囲を広くすることができる。
第1積層部の変位を抑制することによって第1積層部に作用する物理量を検出する変位センサは、多軸方向の変位センサとして用いるのが特に好適である。この場合のビームは、
第1下領域が第2下領域に対して、積層方向にも相対変位可能であり、かつ、積層方向に直交する方向にも変位可能であるように、第1下領域と第2下領域を接続していることが好ましい。
積層方向をz軸方向とすると、z軸方向とそれに直交するx軸方向の2軸方向の変位を測定する変位センサとして用いてもよく、さらにy軸方向を加えて3軸方向の変位を測定する変位センサとして用いてもよい。
上記の変位センサによると、第1下領域の変位を禁止しているので、一方の軸方向に働く力によって第1下領域が変位し、他方の軸方向に関する検出値が変動してしまうという問題が生じない。したがって、多軸方向の力の測定を正確に行うことができる。なかでも、3軸加速度センサのように、その構成が複雑化する傾向にある場合に特に有効である。本発明の変位センサによれば、必要に応じて、コンデンサ容量検出回路の全ての配線を導電性上層に接続することができる。したがって、3軸加速度センサの構成を簡単化することができる。
第1下領域は第2下領域によって取囲まれている場合、第2下領域の下面からセンサ支持構造体に向けて伸びる支柱部を形成することによって、センサを支持構造体に固定することができる。この場合、その支柱部の延長上に位置する導電性下層と残部の導電性下層の間に、支柱部を一巡するスリットを形成することが好ましい。
この種の変位センサは一般的に、センサ支持構造体に実装され、センサ支持構造体が測定対象物体に固定されて用いられる。センサ支持構造体を測定対象物体に固定するときに、変位センサに残留応力が作用し、例えば変位センサを構成するビームに撓みが生じるなどの事態が発生することがある。このため、正確な測定が困難になることが多い。また、センサ支持構造体自体の膨張などにより、変位センサに応力が作用することも懸念される。
上記の変位センサでは、スリットにバネとしての機能を持たせる。スリットをバネとして機能させれば、上記の原因によって変位センサに作用する応力を緩和することができる。
なお、変位センサの支柱部とセンサ支持構造体を固定する場合には、絶縁性の固着材を利用するのが好ましい。変位センサの導電性下層を、外部の環境から絶縁することができる。
本発明はまた、導電性下層と絶縁層と導電性上層が積層されている基板から変位センサを製造する方法を提供する。この方法は、導電性下層に導電性下層を貫通する溝を形成して第1下領域と第2下領域に分離する工程と、導電性上層を部分的にエッチングして第1下領域の上方位置から第2下領域の上方位置まで伸びている第1上部分と、第1下領域の上方位置から第2下領域の上方位置まで伸びている第2上部分を残す工程と、第1下領域の上方に位置している範囲の第1上部分と第2下領域の上方に位置している範囲の第2上部分に複数のエッチング孔を形成する工程と、そのエッチング孔に、導電性下層と導電性上層をエッチングせずに絶縁層をエッチングするエッチング材を供給し、第1下領域とその上方に位置している第1上部分の間に介在していた絶縁層及び第2下領域とその上方に位置している第2上部分の間に介在していた絶縁層を除去し、第2下領域とその上方に位置している第1上部分の間に介在している絶縁層及び第1下領域とその上方に位置している第2上部分の間に介在している絶縁層を残す工程を備えている。
本発明の製造方法では、一定の膜厚の絶縁層を、エッチング技術を用いて除去する。絶縁層が除去されることによって形成される導電性上層と導電性下層の間の距離は、絶縁層の膜厚に基づいて調整される。電極間の距離が一定値に調整されたコンデンサを容易に形成することができる。
また、シリコン直接結合法を用いて変位センサを製造する従来技術の場合は、比較的に大きな接着面積を必要とするので、センサの小型化に限界があった。しかしながら、本発明の製造方法を利用すると、エッチング技術を用いることで微小な加工が可能となる。センサの小型化を実現し易い。
本発明によると、電極間の距離が一定値に調整されたコンデンサを容易に製造することができ、センサ特性が一定値に調整された変位センサを歩留まりよく製造することができる。
本発明の好ましい特徴を記述する。
(形態1)
センサは、導電性下層を貫通する溝によって第1下領域と第2下領域に分離されている導電性下層を備えている。センサは、第1下領域が第2下領域に対して相対的に変位した距離を検出する。
(形態2)
第1下領域は第2下領域の中心に位置している。第2下領域は第1下領域を取り囲んでいる。ビームは、第1下領域上の隅部から、第1下領域の重心に対して対称方向に伸びている。
(形態3)
一対の変位センサが並置されている。一方の変位センサのビームは長く、他方の変位センサのビームは短いが、その他の構造・形状は同一である。他方の変位センサのビームは十分に短く、第1下領域の変位を実質的には禁止している。これを参照用センサという。
参照用センサを備えていると、両センサの出力差を取ることによって、電気ノイズや温度ドリフトなどの影響を相殺することができる。差動センサと同様に、静電容量の変化量のみを検出することができる。より正確な測定が可能となる。
以下に、本発明のいくつかの実施例を示す。これは、本発明の例を示すものであり、本発明を限定するものではない。
(第1実施例)
図1〜図3に、第1実施例の加速度センサ1000の構造を模式的に示す。図1は加速度センサ1000の平面図である。図2は図1中のII−II線の縦断面図に対応している。図3は図1中のIII−III線の縦断面図に対応している。加速度センサ1000は、z軸方向(図1では紙面垂直方向であり、図2と図3では紙面上下方向となる)の加速度を測定するために用いられる。
まず、図1〜図3を参照して加速度センサ1000の構造を簡単に説明する。
加速度センサ1000は、積層構造を有するSOI(Silicon on Insulator)基板を利用して形成されている。積層構造は、単結晶シリコンからなる導電性下層40と、導電性下層40上に積層され酸化シリコンからなる絶縁層50と、単結晶シリコンからなる導電性上層20を備えている。絶縁層50は、導電性下層40と導電性上層20を絶縁している。導電性下層40と導電性上層20には、不純物が高濃度に導入されており、実質的に導体である。
導電性下層40は、導電性下層40を貫通する分離溝41によって、第1下領域44と第2下領域42に分離されている。分離溝41は、第1下領域44を第2下領域42から
機械的にも電気的にも分離している。分離溝41は、第1下領域44を一巡している。第2下領域42は、第1下領域44を取り囲んでいる。
図1に示すように、分離溝41よりも外側に位置する導電性上層20と絶縁層50の大部分は除去されており、第2下領域42の表面の大部分が露出している。絶縁層50の中心部分54は、第1下領域44上に積層されている。この絶縁層50の中心部分54を第1絶縁層54という。また、絶縁層50は、選択された範囲において、第2下領域42上に積層されている。具体的には、上部分固定絶縁層52、56、及びビーム固定絶縁層51a、51b、51c、51dを形成するために残された絶縁層に関しては後に説明する。導電性上層20の中心部分24は、第1絶縁層54上に積層されている。導電性上層20の中心部分24は、第1導電性上層という。第1下領域44と第1絶縁層54と第1導電性上層24は連結し、マスMを形成している。第1下領域44と第1絶縁層54と第1導電性上層24が、加速度センサ1000に作用する加速度を受けて変位するマスMとして機能する。
導電性上層20は、コンデンサの一方の電極C1を形成する上部分22を備えている。導電性上層20は、コンデンサの一方の電極C2を形成する上部分26を備えている。上部分22、26は、第1下領域44の上方位置から第2下領域42の上方位置まで伸びている。上部分22、26と第2下領域42の間には絶縁層50が形成されている。上部分22、26と第2下領域42を接続する絶縁層50を上部分固定絶縁膜52、56という。上部分22、26のうちの張出し部分22a、26aと第1下領域44の間には絶縁層50が形成されていない。張出し部分22a、26aと対向部分44a、44bの間の絶縁層50が除去されることによって、空間32、34が形成されている。コンデンサC1は、上部分22のうちの張出し部分22aと第1下領域44のうちの対向部分44aによって形成されている。コンデンサC2は、上部分26のうちの張出し部分26aと第1下領域44のうちの対向部分44bによって形成されている。加速度センサ1000では、張出し部分22a、26aがコンデンサC1、C2の固定電極として機能し、対向部分44a、44bがコンデンサC1、C2の可動電極として機能する。
なお、張出し部分22a、26aに複数の開口が形成されている。複数の開口は、絶縁層50をエッチングするために利用される。これについては後の製造方法の説明のときに詳細する。
加速度センサ1000は、第1下領域44と第2下領域42を接続するビーム84a、84b、84c、84dを備えている。ビーム84a、84b、84c、84dは、第1導電性上層24の隅部から第2下領域42の周辺側に向かって、第2下領域42上を伸びている。ビーム84a、84b、84c、84dは、導電性上層20で形成されている。
図1と3に示すように、ビーム84a、84b、84c、84dの内側端部は、第1絶縁層54を介して第1下領域44に接続している。ビーム84a、84b、84c、84dの外側端部82a、82b、82c、82dは、ビーム固定絶縁膜51a、51b、51c、51dを介して第2下領域42に接続している。
絶縁層50は、ビーム84a、84b、84c、84dの両端部において、導電性上層20と導電性下層40の間に残されている。ビーム84a、84b、84c、84dは、第2下領域42の上方を、第2下領域42の周辺に向けて長く伸びている。
第1下領域44と第1絶縁層54と第1導電性上層24は、第2下領域42に対して変位可能にビーム84a、84b、84c、84dによって支持されている。ビーム84a、84b、84c、84dは、第2下領域42から絶縁層50の厚みに相当する空間36、38を隔てて伸びている。ビーム84a、84b、84c、84dと第2下領域42の間の空間36、38は、絶縁層50を除去することによって形成されている。
なお、加速度センサ1000では、第2下領域42上の導電性上層20と絶縁層50の大部分が除去されている例を説明しているが、これに代えて、ビーム84a、84b、84c、84d周辺の導電性上層20と絶縁層50のみを除去してもよい。要は、周辺を除去することによって、ビーム84a、84b、84c、84dが形成されていればよい。この場合の加速度センサも、同様の作用効果を奏することができる。
図2を用いて、この加速度センサ1000に加速度が作用したときの動作を説明する。加速度センサ1000にz軸方向の加速度が作用すると、マスに加わる慣性力とビーム84a、84b、84c、84dの復元力が釣合う位置までマスMは上下方向に変位する。マスMが変位すると、空間32、34の距離が変化する。例えば図2の紙面上方向の加速度が印加されたとすると、マスMは下方向へ変位する。これにより、空間32、34の距離が大きくなる。コンデンサC1、C2の静電容量は、空間32、34の距離の変化に基づいて変化する。このコンデンサC1、C2の静電容量の変化量を検出して、その変化量を換算して加速度が測定される。
空間32、34が、絶縁層50と同一面内に形成されている。空間32、34の距離は、絶縁層50の厚みと実質的に等しく形成されている。空間32、34は、絶縁層50を除去することによって形成されるので、空間32、34の距離は絶縁層50の厚みに基づいて調整される。絶縁層50の膜厚を予め調整しておけば、空間32、34の距離を所定の値に精度よく調整することができる。したがって、マスMに加速度が作用していないとき、即ち、マスMが基準位置にあるときのコンデンサC1、C2の静電容量を精度よく調整することができる。加速度センサ1000は、所望の特性を備えることが容易な構造と言える。
次に、コンデンサ容量検出回路10を備えることによって、加速度を測定する場合について説明する。図1に示す図示11、12、13はコンデンサ容量検出回路10の接続箇所である。コンデンサ容量回路は、図示11と図示12との間に接続してもよく、図示11と図示13との間に接続してもよく、あるいは図示12と図示13との間に接続してもよい。
まず、図示11と図示12との間にコンデンサ容量回路を接続する場合を説明する。
図示右側の上部分22と、図示左側の上部分26の間にコンデンサ容量検出回路10を接続する。図4に、この間の等価回路を示す(11−12)。この間のコンデンサ容量検出回路10で検出される容量(Ca)は、図示右側の空間32の静電容量(C1)と、図示左側の空間34の静電容量(C2)が直列に接続されている場合と等価な合成容量(Ca)として検出される。空間32と空間34の電極間の距離と対向面積は等しいので、空間32の静電容量(C1)と空間34の静電容量(C2)は等しい。したがって、コンデンサ容量検出回路10を用いて合成容量(Ca)の変化量を検出すれば、空間32及び空間34の静電容量の変化量が検出される。検出された静電容量の変化量から作用した加速度を測定することができる。
次に、図示11と図示13の間にコンデンサ容量回路を接続する場合を説明する。
図示右側の上部分22と、ビーム84bの端部82bとの間にコンデンサ容量検出回路10を接続する。ビーム84bの端部82bに代えて、第1導電性上層24にコンデンサ容量検出回路10を接続させてもよい。第1導電性上層24とビーム84bの端部82bは、導電性のビーム84bで電気的に接続しているので、ビーム84bの端部82bにコンデンサ容量検出回路10を接続させても、第1導電性上層24にコンデンサ容量検出回路10を接続させることと等価である。ビーム84bの端部82bは、加速度に対して変位しないので、コンデンサ容量検出回路10はビーム84bの端部82bに接続させるのが好ましい。
図4に、この間の等価回路を示す(11−13)。この間のコンデンサ容量検出回路10で検出される合成容量(Cb)は、右側の空間32の静電容量(C1)と、第1導電性上層24と第1絶縁層54と第1下領域44で形成される結合容量(C3)が直列に接続されている場合と等価な合成容量(Cb)として検出することができる。
第1導電性上層24と第1絶縁層54と第1下領域44で形成される容量(C3)は、マスMの変位に対して変化しない固定の容量(C3)である。センサ出力に一定のオフセット値が加わることに相当する。センサ出力処理回路に結合容量C3を除去する回路を設けておけば、結合容量C3の影響を除去することができる。第1下領域44と第1導電性上層24を電気的に接触させて、容量(C3)を無くしてもよい。より正確な測定を実現できる。コンデンサ容量検出回路10で検出される静電容量の変化量から、加速度を測定することができる。
なお、図示12と図示13との間にコンデンサ容量回路を接続する場合は、上記の図示11と図示13の間にコンデンサ容量回路を接続する場合と同様の手法を利用して加速度を測定することができる。
マスMがy軸方向を軸として回転運動する場合がある。印加される加速度に対してマスMが回転運動をすると、空間32の電極間の距離が小さくなると空間34の電極間距離は大きくなる。マスMが逆方向に回転運動をすると、空間32の電極間距離が大きくなると空間34の電極間距離は小さくなる。それぞれの空間32、34によって形成されるコンデンサC1、C2にコンデンサ容量検出回路を接続しておけば、それぞれの空間32、34によって形成されるコンデンサC1、C2の静電容量を検出することができる。その差を算出することで静電容量の変化量を差動で検出することができる。
なお、加速度センサ1000では、コンデンサが第1下領域44と上部分22、26の間に形成されているが、これに代えて、コンデンサが第2下領域42と上部分22、26の間に形成されていてもよい。
(第2実施例)
図5と図6に、第2実施例の加速度センサ1100の構造を模式的に示す。なお、第1実施例とほぼ同一の構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。加速度センサ1100は、一対のコンデンサC1、C4の静電容量の変化量を差動で検出するタイプである。
図5と図6に示すように、加速度センサ1100の導電性上層20は、コンデンサC1の一方の電極を形成する第1上部分22を備えている。第1上部分22は、第1下領域44の上方位置から第2下領域42の上方位置まで伸びている。第1上部分22と第2下領域42の間には第1固定絶縁層52が形成されている。第1上部分22のうちの第1張出し部分22aと第1下領域44の間には絶縁層50が形成されていない。第1張出し部分22aと第1下領域44のうちの第1対向部分44aによって、第1コンデンサC1が形成されている。
図5と図6に示すように、加速度センサ1100の導電性上層20はさらに、第2コンデンサC4の一方の電極を形成する第2上部分24を備えている。
第2上部分24は、第1下領域44の上方位置から第2下領域42の上方位置まで伸びている。第2上部分24と第1下領域44の間には第2固定絶縁層54が形成されている。第2上部分24のうちの第2張出し部分24aと第1下領域42の間には絶縁層50が形成されていない。第2張出し部分24aと第2対向部分46aによって、第2コンデンサC4が形成されている。
張出し部分22a、24aと対向部分44a、46bの間の絶縁層50が除去されることによって、空間32、34が形成されている。
加速度センサ1100では、第1張出し部分22aと第2対向部分46aが固定電極であり、第2張出し部分24aと第1対向部分44aが可動電極として機能する。第1コンデンサC1の面積と、第2のコンデンサC4の対向している面積は等しく形成されている。加速度センサ1100は、空間32、34が、絶縁層50と同一面内に形成されている。空間32、34の距離は、絶縁層50の厚みと実質的に等しく形成されている。空間32、34は、絶縁層50を除去することによって形成されるので、空間32、34の距離は絶縁層50の厚みに基づいて調整される。絶縁層50の膜厚を予め調整しておけば、空間32、34の距離を所定の値に精度よく調整することができる。したがって、マスMに加速度が作用していないとき、即ち、マスMが基準位置にあるときのコンデンサC1、C4の静電容量を精度よく調整することができる。加速度センサ1100は、所望の特性を備えることが容易な構造と言える。
図6を用いて、この加速度センサ1100に加速度が作用したときの動作を説明する。加速度センサ1100にz軸方向の加速度が印加されると、マスMに加わる慣性力とビーム84a、84b、84c、84dの復元力が釣合う位置までマスはz軸方向に変位する。マスが変位すると、第1コンデンサC1を構成する第1対向部分44aと、第2コンデンサC4を構成する第2張出し部分24aは連動して変位する。例えば、紙面上方向の加速度が印加されたとすると、マスMは下方向へ変位する。したがって、第1空間32の距離は大きくなり、第2空間34の距離は小さくなる。第1コンデンサC1の対向する面積と第2コンデンサC4の対向する面積は等しいので、それぞれの静電容量の変化量はその大きさが等しく正負が逆である。したがって、それぞれのコンデンサC1とC4の静電容量の差を算出すると、静電容量の変化量のみを約2倍の感度で検出することができる。それぞれのコンデンサC1とC4の静電容量の差を算出すると、コンデンサC1とC4の初期位置の静電容量は相殺される。静電容量の変化量を換算して加速度が測定される。
なお、加速度センサ1100に加速度が作用していないときの第1コンデンサC1と第2コンデンサC4の静電容量は一致していることが好ましいが、この場合に限定されるものではない。第1コンデンサC1の電極間の距離と第2コンデンサC4の電極間の距離が異なっている場合、又は第1コンデンサC1の電極の面積と第2コンデンサC4の電極の面積が異なっている場合は、第1コンデンサC1の静電容量と第2コンデンサC4の静電容量が相違してしまう。この場合、初期位置における第1コンデンサC1の静電容量と第2コンデンサC4の静電容量の差を予め測定しておくことによって、第1コンデンサC1と第2コンデンサC4の静電容量の相違に基づく影響を取り除くことができる。
次に、コンデンサ容量回路を備えることによって加速度を測定する場合について説明する。
図5に示すように、図示11、13、14がコンデンサ容量回路の接続箇所である。
本実施例では、2つのコンデンサ容量検出回路10a、10bを用いる。一つのコンデンサ容量検出回路10bは、第1上部分22とビーム84bの端部82bとの間に接続する(11−13)。このコンデンサ容量検出回路10bによって、第1コンデンサC1の静電容量を検出することができる。他方のコンデンサ容量検出回路10aは、第2下領域42とビーム84bの端部82bとの間に接続する(13−14)。このコンデンサ容量検出回路10aによって、第2コンデンサC4の静電容量を検出することができる。
本実施例では、ビーム84bの端部82bに発振回路を用いて高周波(1KHz〜100MHz)を印加する。すると、第1上部分22とビーム84bの端部82bとの間(11−13)の合成静電容量と、第2下領域42とビーム84bの端部82bとの間(13−14)の合成静電容量を同時に検出することができる。図7に、それぞれのコンデンサ容量検出回路10a、10bによって検出される合成容量の等価回路を示す。C1は第1コンデンサの容量であり、C4は第2コンデンサの容量であり、C3は第1導電性上層24と第1絶縁層54と第1下領域44で形成される静電容量である。静電容量(C3)は、マスMの変位に対して変化しない固定の静電容量(C3)であり、容量C3を除去する回路を設けておけば、静電容量C3の影響を除去することができる。2つのコンデンサ容量検出回路10a、10bで検出されるそれぞれの静電容量の差を算出すると、初期位置の静電容量が相殺されて、静電容量の変化量のみを約2倍の感度で検出することができる。
(第3実施例)
図8と図9に、第3実施例の加速度センサ1200の構造を模式的に示す。加速度センサ1200は、第2実施例の加速度センサ1100の変形例である。
図8と図9に示すように、加速度センサ1200では、第2上部分24の第2張出し部分24aに対向する第2対向部分46aを含む範囲(以下、第2対向下領域46という)が、第2下領域42の残部から絶縁されている。第2対向下領域46は、導電性下層40を貫通するスリット49によって残部の第2下領域42から絶縁されている。スリット49は、分離溝41と連結している。
図9に示すように、第2対向下領域46は絶縁層50の一部53を介して第2下領域42に固定されている。第2対向下領域46は、第2下領域42からスリット49によって電気的に隔てられているものの、絶縁層50の一部53を介して機械的に固定されている。したがって、第2対向下領域46は第2下領域42に対して、作用する加速度に応じて変位することはない。第2対向下領域46は固定電極として機能する。
次に、コンデンサ容量回路を備えることによって加速度を測定する場合について説明する。図8に示すように、図示11、13、15がコンデンサ容量回路の接続箇所である。
本実施例では、2つのコンデンサ容量検出回路10a、10bを用いる。一つのコンデンサ容量検出回路10bは、第1上部分22とビーム84bの端部82bとの間に接続する(11−13)。このコンデンサ容量検出回路10bによって第1コンデンサC1の静電容量を検出することができる。他方のコンデンサ容量検出回路10aは、第1導電性上層24と第2対向下領域46に接続する(13−15)。このコンデンサ容量検出回路10aによって第2コンデンサC4の静電容量を検出することができる。
本実施例の場合も第2実施例と同様に、2つのコンデンサ容量検出回路10a、10bで検出されるそれぞれの静電容量の差を算出することによって、静電容量の変化量のみを検出することができる。
加速度センサ1200では、第2対向下領域46がスリット49によって第2下領域42から電気的に分離されている。第2下領域42に影響している電気的なノイズ等の影響が、コンデンサ容量検出回路10aの測定値に及ぶのを抑制することができる。加速度を正確に測定することができる。
また、第2対向下領域46にコンデンサ容量検出回路10aを接続することが困難な場合は、図10に示す変形例としてもよい。この場合のコンデンサ容量検出回路10aは、絶縁層50の一部53上に形成されている導電性上層20の一部26に接続させている。この構造によると、コンデンサ容量検出回路10aは、導電性上層20の一部26と絶縁層50の一部53と第2対向下領域46によって形成される結合容量を含んで検出することになるが、その結合容量は適当なセンサ出力処理回路を利用して除去することができる。
この変形例の場合は、絶縁層50の一部53と導電性上層20の一部26によって第2対向下領域46を機械的に固定しているので、その機械的な強度を増加させることができる。また、コンデンサ容量検出回路10a、10bの接続点11、13、16が全て導電性上層20上に露出させることができるので、ワイヤボンディングなどの工程が簡単となる。信号線の取り出しが容易な構造といえる。
(第4実施例)
図11と図12に、第4実施例の加速度センサ1400の構造を模式的に示す。
図12に示すように、加速度センサ1400は、第1導電性上層24と第1下領域44が第1埋め込み電極72によって接続されている。第1埋め込み電極72は、第1絶縁層54と第1導電性上層24を貫通するコンタクトホールに充填されている。さらに、第2対向下領域46とそれを固定する導電性上層20の一部26が第2埋め込み電極74によって接続されている。第2埋め込み電極74は、絶縁層50の一部53と導電性上層20の一部26を貫通するコンタクトホールに充填されている。
第1埋め込み電極72によって、測定値は、第2上部分24と第1絶縁層54と第1下領域44に起因する容量の影響を受けない。さらに、第2埋め込み電極74によって、測定値は、導電性上層20の一部26と絶縁層50の一部53と第2対向下領域46に起因する容量の影響を受けない。
図11と図12に示すように、第1検出電極62、第2検出電極64、発振回路用パッド65がコンデンサ容量回路の接続箇所である。
本実施例では、2つのコンデンサ容量検出回路10a、10bを用いる。一つのコンデンサ容量検出回路10bは、第1検出電極62と発振回路用パッド65との間に接続する。このコンデンサ容量検出回路10bによって、第1コンデンサC1の静電容量を検出することができる。他方のコンデンサ容量検出回路10aは、第2検出電極64と発振回路用パッド65との間に接続する。このコンデンサ容量検出回路10aによって、第2コンデンサC4の静電容量を検出することができる。本実施例の場合も、2つのコンデンサ容量検出回路10a、10bで検出されるそれぞれの静電容量の差を算出することによって、静電容量の変化量のみを検出することができる。
発振回路用パッド65に高周波を印加することによって、発振回路用パッド65と第1検出電極62との間の静電容量を検出する。この間の静電容量には、第1埋め込み電極72によって第1絶縁膜54に起因する容量が測定値に影響しないので、第1コンデンサC1の静電容量のみを検出することができる。
また、発振回路用パッド65と第2検出電極64との間の静電容量も同時に検出する。この間の静電容量には、第2埋込み電極74によって絶縁層50の一部53に起因する容量が測定値に影響しないので、第2コンデンサC4の静電容量のみを検出することができる。したがって、第1コンデンサと第2コンデンサC4の静電容量の変化量を正確に検出することができ、ひいては印加される加速度を正確に測定することができる。
次に、第4実施例の変形例の一例である加速度センサ1500の要部断面図を図13に示す。加速度センサ1500では、図12の埋め込み電極72、74を用いて接続させるのではなく、第1導電性上層24が屈曲部76を介して第1下領域44と直接的に接触している。さらに、導電性上層20の一部26が、屈曲部78を介して第2対向下領域46と直接的に接触している。
この実施例を具体化するには、例えば、第1導電性上層24の一部に、四角形のうちの三辺を成すスリットを設けて、残りの一辺から第1導電性上層24の屈曲部76を屈曲させることによって、第1導電性上層24の屈曲部76と第1下領域44を接触させる手法を利用することができる。この場合、スリットを設けた後に、その下方の絶縁層50をエッチング除去すると、スリットに囲まれた第1導電性上層24の屈曲部76が、残りの一辺から自然に屈曲されて、第1下領域44に接触する。製造が極めて簡単化される。また、屈曲した後に、その接触箇所を挟んで所定の電圧を印加すると、接触箇所のシリコンの結晶が溶着されるので接触を強固なものとすることもできる。
また、これまで説明してきたコンデンサ容量検出回路を用いた測定方法とは別の手法を利用して加速度を測定することもできる。その一つの手法を、第4実施例を用いて説明する。
ビーム84bの端部82bをアースして、マスの電位を0Vに固定する。各検出電極62、64にはスイッチを介して所定の電位が印加可能に構成する。そのスイッチを切替えるとコンデンサとオペアンプと発振器を備えているスイッチトキャパシタ回路に接続されるように構成する。
マスMに加速度が作用していない初期位置のときに、前記のスイッチをオンすると、第1コンデンサC1と、第2コンデンサC4には所定の電荷が蓄積される。次に、マスMに加速度が印加されるよりも先にスイッチをオフにしておくと、マスMに加速度が印加されて各コンデンサC1、C4の電極間の距離が変化すれば、各コンデンサC1、C4の静電容量が変化する。その各コンデンサC1、C4の静電容量の大きさに比例した電圧を、スイッチトキャパシタ回路に構成されている差動増幅回路によって算出する。検出された電圧の差から印加された加速度を測定することができる。
また、この他に、いわゆるチャージアンプ式を利用することによって静電容量を検出してもよい。
また、上記の各加速度センサでは、コンデンサC1、C2、C4を構成する空間32、34とビーム84a、84b、84c、84dを構成する空間36、38に関して、絶縁層50を完全に除去することによって形成される例を説明してきた。この例に代えて、空間32、34及び/又は空間36、38において、絶縁層50の一部を厚み方向に残存させることもできる。要は、コンデンサC1、C2、C4の電極間の距離が変化するのに必要な空間が、厚み方向に確保されていればよい。また、ビーム84a、84b、84c、84dが撓むのに必要な空間が、厚み方向に確保されていればよい。
例えば、絶縁層50の一部を、コンデンサC1を構成する対向部分44aの表面に残存させることもできる。強い加速度がコンデンサC1に加わって、第1張出し部分22aが第1対向部分44aに接触したとしても、コンデンサC1が短絡することが防止される。
なお、薄い絶縁膜をコンデンサC1、C2、C4の表面に残存させるのに代えて、絶縁層50を完全に除去した後に、コンデンサC1、C2、C4の表面に短絡防止用の薄い絶縁膜を被覆してもよい。絶縁膜には、酸化シリコン、窒化シリコン等を利用することができる。
また、以下の実施例においても、絶縁層が形成されていない場合を説明するが、その例に代えて、絶縁層の一部を残存させることも、また薄い絶縁膜を形成することもできる。
絶縁膜は絶縁層に比して極めて薄く形成することができるので、コンデンサの静電容量に与える影響を極めて小さくすることができる。この場合、絶縁膜の厚みのばらつきに基づくコンデンサの静電容量の変動の影響を抑制することもできる。
なお、コンデンサの静電容量の差を利用する差動式センサの場合、絶縁膜の厚みが大きい場合にも対処することができる。即ち、絶縁膜の厚みが予め設定された値から変動したとしても、差動センサの一方のコンデンサに設けられている絶縁膜の厚みと、他方のコンデンサに設けられているコンデンサの厚みが略一致していれば、コンデンサの静電容量に与える影響を極めて小さくすることができる。差動式センサの場合、絶縁膜の厚みが大きく形成されていても、双方の絶縁膜の厚みが略一致していれば、コンデンサの静電容量に与える影響を極めて小さくすることができる。
(第5実施例)
図14〜21を参照して、図12に示す加速度センサ1400と略同一構造の加速度センサの製造方法を説明する。
図14に示すように、単結晶シリコンからなる導電性下層240と、その導電性下層240上に形成されている絶縁性の絶縁層250と、その絶縁層250上に形成されている単結晶シリコンからなる導電性上層220とで構成されているSOI(Silicon on Insulator)基板を準備する。
次に、図15に示すように、例えば蒸着法やスパッタ法を用いて、アルミニウムやチタンなどの導電性の材料を導電性上層220上に積層した後に、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術(ウェットエッチング、ドライエッチングなど)を用いて、第1検出電極262と第2検出電極264を所定の位置に形成する。
次に、図16に示すように、導電性下層240の裏面側に酸化膜241を形成した後に、酸化膜241をパターニングし、その開口から異方性エッチング(例えば、水酸化カリウムなど)やRIE(Reactive Ion Etching)法などを用いて、導電性下層240を貫通するトレンチ241a、241b、241cを形成する。このとき、導電性下層240に対する異方性エッチングは、絶縁層250との接触面で終了させることができる。したがって、トレンチ241a、241b、241cを精度よく形成することができる。
次に、図17に示すように、導電性上層220上に第1マスク材227をパターニングして、その開口部から異方性エッチングによって導電性上層220を貫通するトレンチ228a、228b、228cを形成する。なお、第1マスク材227をパターニングする前に、後の工程で絶縁層250を除去したい箇所に対応する導電性上層220の一部(222A、224A)にエッチング孔を予め形成しておく。
次に、図18に示すように、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、第1マスク材227と各トレンチ228a、228b、228cを覆うまで酸化膜282を積層する。酸化膜282上に第2マスク材284を塗布形成するとともに、トレンチ228bに対応する箇所の第2マスク材284を除去する。
次に、図19に示すように、トレンチ228bに充填されている酸化膜282を除去した後に、そのトレンチ228b内と第2マスク材284上に、導電性の多結晶シリコン層286を積層する。なお、この多結晶シリコン層286は導電性であればよく、例えばアルミニウム等の金属で形成してもよい。
次に、図20に示すように、リフトオフ法を用いて、トレンチ228b内に充填されている多結晶シリコン層286を残して、他の多結晶シリコン層286と第2マスク材284を除去する。トレンチ228b内に充填されている多結晶シリコン層286は、導電性下層240の一部244と、導電性上層220の一部224を接続する埋め込み電極272となる。
次に、図21に示すように、シリコン酸化膜を選択的にエッチング除去するフッ酸を用いて、酸化膜282と第1マスク材227をエッチング除去する。このエッチング工程では同時に、トレンチ228a、228cと、導電性上層220の一部に形成されているエッチング孔からフッ酸が侵入するので、その下方の絶縁層250の一部も除去される。この結果、第1空間232と第2空間234が形成される。これにより第1コンデンサと第2コンデンサを形成することができる。
上記の製造方法によると、所定の膜厚の絶縁層250をエッチング除去することで、第1空間232と第2空間234の電極間の距離を調整することができる。コンデンサC1、C4の電極間の距離を一定の距離で形成し易い。所定の特性を備えた加速度センサを安定的に製造することが可能である。また、コンデンサC1、C4の電極間の距離は小さいほど静電容量が大きくなる。コンデンサC1、C4の電極間の距離が小さいほど、同一の変位量に対して静電容量の変化量が大きいセンサを得ることができる。即ち、コンデンサC1、C4の電極間の距離が小さいほど、測定感度が高いセンサを得ることができる。上記の製造方法によると、膜厚の薄い絶縁層250を予め準備しておけば、コンデンサC1、C4の電極間の距離が小さい加速度センサを容易に得ることができる。センサ特性が安定しており、そのセンサ特性が高感度な加速度センサを得ることができる。
なお、第1空間232と第2空間234を形成するときに、導電性上層220及び/又は導電性下層240に接する絶縁層250の一部を残存させてもよい。コンデンサの短絡防止用の絶縁膜を得ることができる。また、絶縁層250を完全に除去した後に、CVD法等を利用して、コンデンサC1、C4を構成する導電性上層220及び/又は導電性下層240の表面に、短絡防止用の薄い絶縁膜を形成してもよい。
絶縁層を除去する条件を制御することによって、薄い絶縁膜の厚みを所望の値にすることができる。CVD法を実行する条件を制御することによって、薄い絶縁膜の厚みを所望の値にすることができる。
(第6実施例)
図22に、第6実施例の加速度センサ1600の平面図を模式的に示す。加速度センサ1600は、z軸方向の加速度を検出するタイプである。加速度センサ1600は、第4実施例に示す加速度センサ1400に制御領域が付加された一例である。第1〜4実施例の加速度センサは、作用する加速度に応じて変位するマスに追随して変化するコンデンサの電極間の距離から加速度を測定するタイプであった。本実施例の加速度センサ1600は、作用する加速度に抗してコンデンサの電極間の距離を一定に保つように制御領域の制御電極に電圧が印加される。制御電極に印加する電圧の大きさから加速度を測定する。
図示311に対応する領域が、加速度を検出する検出領域であり、第4実施例に示す加速度センサ1400に相当する構成が設けられている。図示312と図示313が、第1制御領域312と第2制御領域313である。なお、検出領域311は、第4実施例の加速度センサ1400とその構成が類似しているのでここではその説明を省略する。
第1制御領域312の縦断面図を図23に示す(図22中のXXIII−XXIIIに対応している)。第1制御領域312の導電性上層には、第1下領域344の上方を横断する第3上部分411が形成されている。第3上部分411は第1下領域344を挟んで向かい合う第2下領域342の2つの部分を結んで横断している。第3上部分411のうちの第3張出し部分411aと第1下領域344の間には、絶縁層が形成されていない。第3上部分411と第2下領域342の間には、第3固定絶縁層351、352が形成されている。第3上部分411は、第3固定絶縁層351、352を介して第2下領域342に固定されている。第3張出し部分411aと第1下領域344の間の絶縁層は、エッチング技術によって除去されている。第3上部分411は第1制御電極410に接続している。
第2制御領域313は、その構成が紙面左右対象に形成されている。なお、第2制御領域313の縦断面図を図24に示す(図22中のXXIV−XXIVに対応している)。
第2制御領域313の導電性上層には、第1下領域344上に第4絶縁層354を介して第4上部分416が積層されている。第4上部分416は、第1下領域344を挟んで向い合う第2下領域342の上方に張出している。この張出している部分を張出し部分416a、416bという。
張出し部分416a、416bに対向している第2制御対向下領域415a、415bは、分離溝341とスリット348によって残部の第2下領域342から電気的に絶縁されている。張出し部分416a、416bと第2制御対向下領域415a、415bの間には絶縁層が形成されていない。第4上部分416と第1下領域344の間には第4絶縁層354が形成されている。
第2制御対向下領域415a、415bは、第2制御埋め込み電極414a、414bと第2制御引き出し電極413a、413bを介して第2制御電極412a、412bに接続している。第2制御対向下領域415a、415bは、第2制御引き出し電極413a、413bと絶縁層によって、第2下領域342に対して機械的に固定されている。
次に、加速度センサ1600の動作を図23と図24を用いて説明する。
加速度センサ1600に紙面上方向の加速度が作用すると、マスに加わる慣性力とビーム384a、384b、384c、384dの復元力が釣合う位置までマスは下方向に変位しようとする。このとき第1制御電極410に所定の電圧が印加される。図23に示すように、第1制御電極410に所定の電圧が印加されると、第3張出し部分411aと、第1下領域344の間に静電引力が作用して、マスは初期位置に留まる。初期位置に留まっていることは、検出領域311のコンデンサの電極間の距離が変化していないことから判別される。この電極間の距離が変化しないように、第1制御電極410に印加される電圧が調整される。このとき、第1制御電極410に印加した電圧を2乗した大きさと、作用する加速度の大きさが比例することから、第1制御電極410に印加した電圧の大きさから加速度を測定することができる。
一方、紙面下方向に加速度が作用すると、マスに加わる慣性力とビーム384a、384b、384c、384dの復元力が釣合う位置までマス上方向に変位しようとする。このとき第2制御電極412a、412bに所定の電圧が印加される。図24に示すように、第2制御電極412a、412bに所定の電圧が印加されると、第4張出し部分416a、416bと、第2制御対向下領域415a、415bとの間に静電引力が作用して、第1下領域344は初期位置に留まる。初期位置に留まっていることは、検出領域311のコンデンサの電極間の距離が変化していないことから判別される。この電極間の距離が変化しないように、第2制御電極412a、412bに印加される電圧が調整される。このとき、第2制御電極412a、412bに印加した電圧の大きさから加速度が測定することができる。なお、第2制御領域313が左右対称に形成されているのは、マスが回転運動するのを抑制するためである。
この制御領域312、313を備えた加速度センサ1600によれば、ビームの撓む範囲がコンデンサの電極間の距離の範囲に制限されることがない。広い範囲の加速度を測定することができる。また、ビームの撓む量が大きくなると誤差を生じ易いが、上記の構成によればそのような事態も生じないので正確な測定を可能にする。
上記の各実施例では、ビームがマスの隅部からマスの重心に対して対称方向に伸びている例を説明してきた。この例に限らず、ビームは、例えば図25に示す方向に形成してもよい。
図25(a)に、マス2と、そのマス2を支持するビームを模式的に示す。ビームは、マス2の隅部からy方向に伸びるy方向ビーム3aと、x方向に伸びるx方向ビーム4aを備えている。各ビーム3a、4aは、固定部(3b、4b)を介して周辺基板に固定されている。この例では、マス2のx―y方向への変位が禁止されるので、マス2はz方向のみに変位する。
図25(b)には、yビーム3aのみを備えている例が示されている。この例では、マス2のy方向への変位が禁止されるので、マス2はx方向とz方向の2軸方向に変位することができる。これにより、x方向とz方向の2軸方向の加速度を同時に測定可能な変位センサを構成することができる。例えば、本明細書で説明してきた各実施例の構成をz方向の変位を検出する構成に適用し、x方向の変位の検出には従来公知の技術を適用することができる。
図25(c)には、yビーム3aの一部に、x方向に屈曲する折り曲げ部6を備えている例が示されている。この例では、折り曲げ部6によってマス2がy方向にも変位可能となる。したがって、3軸方向の加速度を同時に測定可能な変位センサを構成することができる。
上記の多軸方向の加速度を測定する変位センサを構成する場合には、制御領域を設けることによって、マスの変位を禁止する構成にするのが好ましい。一方の軸方向へのマスの変位が、他方の軸方向の変位量に影響してしまう事態を回避できるので、正確な測定を実現できる。
(第7実施例)
図26に、3軸方向の加速度を測定可能な加速度センサ1700を示す。図26に、加速度センサ1700の平面図を模式的に示す。
加速度センサ1700の一つの特徴は、対称構造で形成されている点である。なかでもマスが対称構造となっていることから、作用する加速度に対してマスがバランスよく変位することができる。正確な加速度の測定を実現することができる。
まず、図26を参照してz軸方向の加速度を検出する構成を説明する。加速度センサ1700のz軸方向の加速度を検出する構成は、第6実施例の加速度センサ1600の構成が利用されており、さらにその構成が対称構造となるように工夫されている。
図示611に対応する領域が、z軸方向に作用する加速度を検出するz軸第1検出領域(第6実施例の検出領域311に相当する)である。z軸第1検出領域611は、z軸第1検出電極662と、第1上部分622と、第1張出し部分622aを備えている。第1張出し部分622aは、第1空間632を隔てて第1下領域644に対向している。さらに、z軸第1検出領域611は、第2上部分624と、第2張出し部分624aを備えている。第2張出し部分624aは、第2空間634を隔てて第2対向下領域646に対向している。第2対向下領域646は、第2埋込み電極674と引き出し電極626を介してz軸第2検出電極664に電気的に接続している。
第1空間632の静電容量と第2空間634の静電容量は、z軸方向の加速度に追随して正負逆の変化量を示すので、作動で検出することができる。また、第1空間632を構成する構造の左右対称性を確保するために、図面左右対称の位置関係にダミー構造が形成されている。第2空間634を構成する構造の左右対称性を確保するために、図面左右対称の位置関係にダミー構造が形成されている。このダミー構造には、検出回路などの配線が接続されておらず、加速度の検出には実質的に寄与していない。
さらに、マスの重心を挟んでz軸第1検出領域611とは対称の位置関係に、z軸第2検出領域614が形成されている。z軸第2検出領域614の構成は、z軸第1検出領域611と同一である。これにより、マスは極めて対称な形状を実現している。
なお、z軸第1検出領域611とz軸第2検出領域614に形成されている検出電極のうち、対称な位置関係にある検出電極は電気的に接続されている。対称な位置関係の検出電極の一方の組は、配線z1を介してz軸容量検出回路703に入力されている。対称な位置関係の検出電極の他方の組は、配線z2を介してz軸容量検出回路703に入力されている。これにより、z軸方向の加速度を差動で検出することができる。
図示612、613にz軸制御領域が形成されている。z軸制御領域612、613は、第6実施例の加速度センサ1600の制御領域312、313と同一構成が利用されている。ただし、第1下領域644を横断する第3張出し部分811aが、本実施例では紙面上下に2つ形成されている。これにより、対称性が確保されるように工夫されている。
次に、x軸方向とy軸方向の加速度を検出する構成を、図26を用いて説明する。
加速度センサ1700は、第2上部分624の紙面上側に接続された上側ビームユニット123と、第2上部分624の紙面下側に接続された下側ビームユニット125と、第2上部分624の紙面左側に接続された2つのx軸検出電極部121、122と、第2上部分624の紙面右側に接続された2つのx軸制御電極部190、191を備えている。下側ビームユニット125と上側ビームユニット123は略同一の構造で形成されている。x軸検出電極部121、122とx軸制御電極部190、191は略同一の構造で形成されている。対称性が確保されるように工夫されている。
上側ビームユニット123は、2つの固定部134、136と、2つの折曲げ状ビーム130、132と、2つの直線状ビーム126、127と、ビーム連結板128を有する。上側ビームユニット123は、導電性上層を利用して形成されている。上側ビームユニット123と導電性下層の間の絶縁層は、固定部134、136の他は除去されている。これらはエッチング技術を利用して形成することができる。なお、一方の固定部136には、発振回路用電極部139を介して発振回路から高周波が印加可能となっている。
折曲げ状ビーム130、132は、x軸方向に平行に伸びる往きビーム部と戻りビーム部で構成され、それぞれの長さと幅がほぼ等しい。往きビームと戻りビームは幅の広い接続部で連結されている。折曲げ状ビーム130、132は剛性が小さく、y軸方向へ変位可能となっている。また、下側ビームユニット125にも同様の折り曲げ状ビームが構成されていることから、上側の折り曲げ状ビーム130、132と連動してマスがy方向に変位可能となっている。
直線状ビーム126、127はy軸方向に伸びる細長状のビームである。ビーム連結板128の両端には略正方形状の2つの補助板部128b、128cが形成されている。この補助板部128b、128cを介して折曲げ状ビーム130、132が接続されている。一方、ビーム連結板128の下側の両端にはそれぞれ、直線状ビーム126、127の一端が接続されている。直線状ビーム126、127の他端は、第2上部分624に接続されている。
このように、x軸方向に伸びる長尺状のビーム連結板128の上側と下側の両端に上記構造の折曲げ状ビーム130、132と直線状ビーム126、127が接続されている。さらに、直線状ビーム126、127の他端に第2上部分624が接続されている。これにより、マスがしっかりと支持され、ぶれの少ない安定的な変位が可能となる。
上側ビームユニット123のビーム連結板128に電極連結部138が接続されている。電極連結部138に2つのy軸方向検出電極部140、141が接続している。同様に、下側ビームユニットには、y軸方向制御電極部192、193が形成されている。
次に、x軸検出電極部121、122の拡大平面図を図27に示す。なお、実際には、それぞれのx軸検出電極部121、122の間にz軸制御領域612、613が形成されているが、この拡大平面図では便宜上省略して図示する。
x軸検出電極部121、122は、可動電極121a、122aと、固定電極121b、122bと、固定電極端子121c、122cを備えている。可動電極121a、122aと固定電極121b、122bは、エッチング技術を利用して導電性上層を加工することによって形成される。可動電極121a、122aは、第1下領域644に接続している。可動電極121a、122aと第2下領域642の間の絶縁層は除去されている。可動電極121a、122aは、第2下領域642の上方に浮いた状態で形成されている。固定電極端子121c、122cは、第2下領域642上に絶縁層を介して固定されている。固定電極121b、122bは、固定電極端子121c、122cに固定されている。
x軸検出電極部121の可動電極121aは、6本の可動電極指121a−1〜121a−6を備えている。可動電極指121a−1〜121a−6は、2本を一組としてx軸方向に等間隔に並んでいる。各可動電極指121a−1〜121a−6は、中央から離反する向きにy軸方向に伸びている。固定電極121bは、6本の固定電極指121b−1〜121b−6を備えている。固定電極指121b−1〜121b−6は、2本を一組としてx軸方向に等間隔に並んでいる。各固定電極指121b−1〜121b−6は、外側から近接する向きにy軸方向に伸びている。
可動電極121aのy軸の正の向きに伸びる可動電極指121a−1〜121a−3と、固定電極121bのy軸の負の向きに伸びる固定電極指121b−1〜121b−3は、交互に噛み合うように配置されている。可動電極121aのy軸の負の向きに伸びる可動電極指121a−4〜121a−6と、固定電極121bのy軸の正の向きに伸びる固定電極指121b−4〜121b−6も、交互に噛合うように配置されている。
図27に示すように、x軸検出電極部122も前記したx軸検出電極部121と類似した構成となっている。ただし、上側の可動電極121aの左からn番目の可動電極指121a−n(以下「左からn番目の」を省略する)は、固定電極121bの固定電極指121b−nより右側に配置されているが、下側の可動電極122aの可動電極指122a−nは、固定電極122bの固定電極指122b−nより左側に配置されている点で異なる。
このため、例えばマスがx軸の負の向きに変位すると、上側の可動電極121aの可動電極指121a−nと、上側の固定電極121bの固定電極指121b−nの間の距離は減少する。一方、第1下領域644に連結している下側の可動電極122aの可動電極指122a−nと、固定電極122bの固定電極指122b−nの間の距離は増加する。即ち、2つのx軸方向検出電極121、122は互いに相補的な構造となっている。
また、図27に示すように、可動電極121aの可動電極指121a−nと固定電極121bの固定電極指121b−nの間の距離(図中のA)は、可動電極121aの可動電極指121a−nと固定電極121bの固定電極指121b−(n+1)の間の距離(図中のB)に比較して狭い。即ち、可動電極指121a−nとこれに隣り合う2つの固定電極指121b−n、121b−(n+1)の間の距離は異なっている。
このため、可動電極121aと固定電極121b間の静電容量は、可動電極指121a−nと固定電極指121b−n間の静電容量の和のみによって決まるとみなしてよい。
これにより、相補的なx軸方向検出電極部121、122によって、x軸方向の加速度を差動で検出することができる。
また、x軸検出電極部121、122の可動電極121a、122aは、x軸方向とy軸方向に変位可能な第1下領域644に接続されているため、x軸方向のみならず、y軸方向にも変位し得る。
しかしながら、可動電極121aがy軸の正の向きに変位した場合、図27に示すように、可動電極121aの電極指121a−1、121a−2、121a−3と、固定電極121bの電極指121b−1、121b−2、121b−3の対向する面積は増加する。一方、可動電極121aの電極指121a−4、121a−5、121a−6と、固定電極121bの電極指121b−4、121b−5、121b−6の対向する面積は、前記した面積の増加量と同じだけ逆に減少する。
したがって、全体としてみると、可動電極121aと固定電極121bの電極指の対向する面積は一定である。即ち、原理的には、y軸方向に加速度が印加されてマスがy軸方向に変位することの影響は、x軸検出電極121の出力に現れないように構成されている。下側のx軸検出電極122についても同様である。
次に、y軸方向検出電極部140、141に関して説明する。図26に示すように、上側ビームユニット123のビーム連結板128の上側の中央には、T字状の電極連結部138が接続されている。電極連結部138は、y軸方向に伸びる長尺状の第1連結棒138aと、第1連結棒138aの一端が接続されたx軸方向に伸びる長尺状の第2連結棒138bによって構成されている。第2連結棒138bの上側面の両端には、それぞれy軸検出電極部140、141が接続されている。y軸検出電極部140、141はそれぞれ、前記したx軸検出電極部121、122と同様の構成となっており、y軸方向の加速度を差動で検出することができる。
次に、3軸加速度センサの加速度の検出動作を説明する。実際には、3軸の各方向に加速度成分が現れるような加速度が作用されているのが通常であるので、以下では、このような加速度が印加されていることを前提として説明する。x、y、z軸方向の加速度は、各軸方向の検出電極に接続する検出回路701、702、703によって測定される。x軸検出回路701の構成を図28に示し、y軸検出回路の構成を図29に示し、z軸検出回路703の構成を図30に示す。なお、z軸方向の検出動作は、第6実施例とほぼ同様であるので、ここでは説明を省略する。また、x軸方向とy軸方向の検出動作はほぼ同様であることから、ここでは図26と図28を参照して、x軸方向の加速度の検出動作のみを説明する。
x軸方向に加速度が印加されると、上側ビームユニット123の固定部134、136と下側ビームユニット125の固定部150、152によって支持された状態で浮いている第1下領域642は、上側ビームユニット123の直線状ビーム126、127と、下側ビームユニット125の直線状ビーム142、143がx軸方向にたわむことによってx軸方向に変位する。
第1下領域642がx軸方向に変位すると、x軸検出電極121、122のそれぞれの可動電極121a、122aの電極指と固定電極121b、122bの電極指間の距離が変化する。電極指間の距離が変化すると、それぞれのコンデンサ容量検出回路206、208によって電極指間の距離の変化による静電容量の変化量が検出される。静電容量の変化量が検出されると、その容量変化量がx変位算出回路210に入力される。
前記したように、x軸検出電極121、122は、一方の静電容量が増加すると、他方の静電容量が前記増加量と同じだけ減少することから、x変位算出回路210は、上側のx軸検出電極121から検出される正(又は負)の容量変化量と、下側のx軸検出電極122から検出される負(又は正)の容量変化量の差をとり、測定に悪影響のある寄生の容量や外部ノイズの影響を相殺し、また、容量変化量を2倍の感度で検出する。その後、検出した容量変化量に基づいてマスの変位量を算出する。算出された変位量は、x方向フィードバック回路212に入力される。
なお、x変位算出回路210には、他の軸のy軸検出回路702とz軸検出回路703の検出値も入力されている。必要に応じて、この検出値を用いて他軸の変位によってx軸が受ける影響を補償する計算を実施してもよい。
x方向フィードバック回路212に入力された第1下領域644の変位量に基づいて、いずれかのx軸制御電極190、191に所望の大きさの電圧が印加される。x軸制御電極190、191の可動電極指と固定電極指は、それぞれ相補的な構成となっている。したがって、一方の制御電極に電圧を印加すると、その可動電極指と固定電極指との間に静電引力が作用する。結果として、静電引力が作用する方向に、第1下領域644を引き寄せることができる。他方の制御電極に電圧を印加すると、第1下領域644を引き離す方向へ作用させることもできる。
これにより、フィードバック回路212に入力された変位量に基づいて、どちらかのx軸制御電極190、191を選択して所望の電圧を印加する。この結果、x軸方向の正負のいずれの方向に対しても、第1下領域644の変位を禁止することができる。このとき、x軸制御電極190、191に印加した電圧の大きさは、x方向加速度表示装置218に入力される。この加速度表示装置218では、入力された加速度の大きさに対応するx軸方向の加速度を計算して表示する。
y軸方向の加速度の検出動作を簡単に説明する。y軸方向に加速度が印加されると、マスは、上側ビームユニット123の折曲げ状ビーム130、132と、下側ビームユニット125の折曲げ状ビーム146、148がy軸方向にたわむことによってy軸方向に変位する。その後の動作は上記したx軸方向の加速度の検出動作と同様である。
本実施例のように、3軸方向のいずれの方向に対してもマスの変位を禁止する制御領域を用いることで、一方の軸方向の変位が他方の軸方向の変位に影響を与えるといった問題を回避することができるので、加速度を正確に測定することができる。
また、本実施例の加速度センサ1700の構成は対称構造であり、なかでもマスが対称構造なことから、作用する加速度に対してマスはバランスよく変位する。作用する加速度を正確に測定することができる。
さらに、本実施例では、各軸の変位算出回路で算出されたマスの変位量を、別の軸の変位算出回路に入力させている。これにより、僅かに重層する変位量さえも補償させることができるために、極めて正確な加速度の測定を実現している。
(第8実施例)
図31を用いて、第1〜7実施例で説明してきた加速度センサをセンサ支持構造体500に固定する場合を説明する。図31(a)は要部断面図を模式的に示し、(b)は支柱507近傍の要部拡大斜視図を模式的に示す。
図示504が導電性下層であり、図示506が絶縁層であり、図示508が導電性上層である。これが積層構造である。図31(a)の図示503の部分に、上記した第1〜7実施例で説明してきた加速度センサが形成されている。加速度センサが形成されている部分からさらに周辺の導電性下層504(前記実施例の第2下領域に相当する)から、支柱507が伸びて形成されている。支柱507は、例えば導電性下層504の一部を裏面からエッチング除去することによって、残部を支柱507として形成することができる。支柱507の延長上の一端は、導電性上層508の隅部505と結合している。支柱507の他端は絶縁性のダイボンド材502を介してセンサ支持構造体500に結合している。絶縁性のダイボンド材502を用いることによって、加速度センサとセンサ支持構造体500との間を電気的に遮断することができる。これにより、加速度センサ側を任意の電位に保つことができる。外部の電気的な影響を抑制することができる。支柱507と導電性下層504の間に、支柱507を一巡するスリット509が形成されている。
図31(a)、(b)に示すように、スリット509は、絶縁層506と導電性上層508の一部を貫通している。導電性上層508を貫通するスリット509は、導電性上層508を一巡していない。スリット509を形成することによって、隅部505と加速度センサが形成されている領域503との間に、ある種のバネ構造が設けられている。
従来から、加速度センサが形成されている積層構造体をセンサ支持構造体500に固定するときに、所定の位置関係からずれて固定される場合や、あるいはセンサ支持構造体500自体の膨張などにより、加速度センサが形成されている積層構造体に応力が蓄積されることが問題となっていた。この応力により、加速度センサのビームが伸縮し、その結果、加速度センサの感度や零点出力が安定しないという事態が生じていた。
本実施例のように、隅部505と加速度センサが形成されている領域503との間に、ある種のバネ構造を設けることによって、加速度センサに加わる応力を緩和することができる。上記のような事態が発生したとしても、所望のセンサ特性を発揮することができるようになる。なお、スリット509による加速度センサの支持が極めて柔であると、加速度センサが出力する加速度の大きさと位相に誤差が生じる場合があり得る。このような事態を回避するために、例えば、スリット509の形状で規定されるバネ定数と加速度センサが形成されている領域503の質量で決まる共振周波数を、加速度センサの共振周波数の2倍以上に設定することが望ましい。センサ特性への影響を小さくすることができる。
なお、上記の実施例の他に、例えば、センサ支持構造体の一部に溝を形成して、その溝上に加速度センサが配置されるようにしてもよい。この場合、溝以外のセンサ支持構造体と加速度センサが形成されている積層構造体を接続する。両者を接続させる方法は、絶縁性のダイボンド材を用いて固着してもよく、あるいは絶縁層を介して結合させてもよい。センサ支持構造体と加速度センサとが電気的に遮断されているので、外部の電気的な影響を抑制することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
第1実施例の加速度センサの概略平面図を示す。 第1実施例の加速度センサのII-II線断面図を示す。 第1実施例の加速度センサのIII−III線断面図示す。 第1実施例の加速度センサの等価回路を示す。 第2実施例の加速度センサの概略平面図を示す。 第2実施例の加速度センサのVI-VI線断面図を示す。 第2実施例の加速度センサの等価回路を示す。 第3実施例の加速度センサの概略平面図を示す。 第3実施例の加速度センサのIX−IX線断面図を示す。 第3実施例の変形例の一例を示す。 第4実施例の概略平面図を示す。 第4実施例のXII-XII線断面図を示す。 第4実施例の変形例の一例を示す。 第5実施例の加速度センサの製造工程を示す(1)。 第5実施例の加速度センサの製造工程を示す(2)。 第5実施例の加速度センサの製造工程を示す(3)。 第5実施例の加速度センサの製造工程を示す(4)。 第5実施例の加速度センサの製造工程を示す(5)。 第5実施例の加速度センサの製造工程を示す(6)。 第5実施例の加速度センサの製造工程を示す(7)。 第5実施例の加速度センサの製造工程を示す(8)。 第6実施例の加速度センサの概略平面図を示す。 第6実施例の加速度センサのXXIII-XXIII線断面図を示す。 第6実施例の加速度センサのXXIV-XXIV線断面図を示す。 ビーム構造の変形例を示す。 第7実施例の加速度センサの概略平面図を示す。 第7実施例のx軸方向検出電極部の拡大平面図を示す。 x軸検出回路の構成を示す。 y軸検出回路の構成を示す。 z軸検出回路の構成を示す。 (a)台座に固着された加速度センサが形成されている積層構造の断面図を示す。(b)支柱近傍の拡大要部斜視図を示す。 差動検出の説明図を示す。
符号の説明
20:導電性上層
22:上部分
22a:第1張出し部分
24:第1導電性上層
24a:第2張出し部分
32:第1空間
34:第2空間
40:導電性下層
41:分離溝
42:第2下領域
44:第1下領域
46:第2対向下領域
50:絶縁層
62:第1検出電極
64:第2検出電極
72:第1埋め込み電極
74:第2埋め込み電極

Claims (15)

  1. 導電性下層と絶縁層と導電性上層を有する積層を備え、
    導電性下層は、導電性下層を貫通する溝によって第1下領域と第2下領域に分離されており、
    絶縁層は、選択された範囲において導電性下層上に積層されており、
    導電性上層は、選択された範囲において絶縁層上に積層されているとともに、第1下領域の上方位置から第2下領域の上方位置まで伸びている第1上部分と、第1下領域の上方位置から第2下領域の上方位置まで伸びている第2上部分とを有しており、
    ビームが第1下領域と第2下領域を接続しており、
    第1上部分と第1下領域の間には空間が形成されており、
    第1上部分と第2下領域の間には絶縁層が形成されており、
    第2上部分と第1下領域の間には絶縁層が形成されており、
    第2上部分と第2下領域の間には空間が形成されており、
    第1上部分が第1コンデンサの一方の電極を形成しており、その第1上部分が空間を介して対向する第1下領域の対向部分が第1コンデンサの他方の電極を形成しており、
    第2上部分が第2コンデンサの一方の電極を形成しており、その第2上部分が空間を介して対向する第2下領域の対向部分が第2コンデンサの他方の電極を形成している変位センサ。
  2. 第1下領域は第2下領域によって取囲まれており、
    前記第2下領域の対向部分は、第2下領域の残部から絶縁されていることを特徴とする請求項1の変位センサ。
  3. 第1下領域と第2上部分の間に形成されている絶縁層の一部が除去されて第1下領域と第2上部分が電気的に接続されており、
    コンデンサ容量検出回路が、第1上部分と、第1下領域上に積層されている第2上部分と、第2下領域のそれぞれに接続されることを特徴とする請求項2の変位センサ。
  4. ビームは、導電性上層で形成されており、
    ビームの両端部が、絶縁層を介して、第1下領域と第2下領域に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの変位センサ。
  5. ビームの両端部以外では、導電性上層と導電性下層の間に、空間が形成されていることを特徴とする請求項4の変位センサ。
  6. 第1下領域は第2下領域によって取囲まれており、
    導電性上層には、第1下領域の上方を通過するとともに、第1下領域を挟んで向い合う第2下領域の2つの部分を結ぶ第3上部分が形成されており、
    その第3上部分と第1下領域の間には空間が形成されており
    導電性上層には、第1下領域上に絶縁層を介して積層されているとともに、第1下領域を挟んで向い合う第2下領域の2つの部分の上方に張出す第4上部分が形成されており、
    その第4上部分と第2下領域の間には空間が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの変位センサ。
  7. ビームは、第1下領域が第2下領域に対して積層方向に相対変位可能であるとともに、積層方向に直交する方向にも変位可能であるように、第1下領域と第2下領域を接続していることを特徴とする請求項6の変位センサ。
  8. 第1下領域は第2下領域によって取囲まれており、
    第2下領域の下面からセンサ支持構造体に向けて伸びる支柱部が形成されており、
    その支柱部の延長上に位置する導電性下層と残部の導電性下層の間に、支柱部を一巡するスリットが形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの変位センサ。
  9. 導電性下層と絶縁層と導電性上層が積層されている基板から変位センサを製造する方法であり、
    導電性下層に導電性下層を貫通する溝を形成して第1下領域と第2下領域に分離する工程と、
    導電性上層を部分的にエッチングし、第1下領域の上方位置から第2下領域の上方位置まで伸びている第1上部分と、第1下領域の上方位置から第2下領域の上方位置まで伸びている第2上部分を残す工程と、
    第1下領域の上方に位置している範囲の第1上部分と、第2下領域の上方に位置している範囲の第2上部分に複数のエッチング孔を形成する工程と、
    そのエッチング孔に、導電性下層と導電性上層をエッチングせずに絶縁層をエッチングするエッチング材を供給し、第1下領域とその上方に位置している第1上部分の間に介在していた絶縁層及び第2下領域とその上方に位置している第2上部分の間に介在していた絶縁層を除去し、第2下領域とその上方に位置している第1上部分の間に介在している絶縁層及び第1下領域とその上方に位置している第2上部分の間に介在している絶縁層を残す工程と、
    を備えている製造方法。
  10. 前記第1コンデンサの静電容量を検出する第1コンデンサ容量検出回路と、
    前記第2コンデンサの静電容量を検出する第2コンデンサ容量検出回路と、
    前記第1コンデンサ容量検出回路で検出される静電容量と前記第2コンデンサ容量検出回路で検出される静電容量との差を算出する回路と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1の変位センサ。
  11. 前記第2下領域の対向部分と前記第2下領域の残部は、前記絶縁層と前記導電性上層が積層した積層部で固定されていることを特徴とする請求項2の変位センサ。
  12. 第1下領域と第2上部分の間に形成されている絶縁層の一部が除去されて第1下領域と第2上部分が電気的に接続されており、
    コンデンサ容量検出回路が、第1上部分と、第1下領域上に積層されている第2上部分と、前記積層部の導電性上層のそれぞれに接続されることを特徴とする請求項11の変位センサ。
  13. 前記積層部の絶縁層の一部が除去されて前記第2下領域の対向部分と前記積層部の導電性上層が電気的に接続されている請求項11又は12の変位センサ。
  14. 前記積層部の導電性上層の一部が屈曲して前記第2下領域の対向部分と接触している請求項13の変位センサ。
  15. 前記第2上部分の一部が屈曲して第1下領域と接触している請求項3の変位センサ。
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