JP2010251299A - 回路遮断器 - Google Patents

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Atsushi Nakagawa
淳 中川
Akira Makita
陽 牧田
Kentaro Ogura
健太郎 小倉
Takashi Iizuka
貴士 飯塚
Takashi Kurosaki
剛史 黒崎
Shinya Watanabe
真也 渡邉
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Abstract

【課題】排気口部が走行導体の一方側部分にしかない場合においても、限流性能が向上された回路遮断器を得る。
【解決手段】複数の消弧板2が所定の間隙を介して積層され消弧室4の内部に設けられたグリッド3と、上記消弧室の入口側に配設された固定接点5及び可動接点6と、上記固定接点及び可動接点の開極時に発生するアークを上記グリッド方向に移行させる上記グリッドの積層方向一端部側に配設された固定側走行導体7及び上記グリッドの積層方向他端部側に配設された可動側走行導体9と、上記消弧室の出口側における上記固定側走行導体及び上記可動側走行導体の何れか一方側に寄せて配設された排気口部10とを備え、該排気口部とは反対側の走行導体に近接する消弧板2Aの厚さを他の消弧板よりも厚くした。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば配線用遮断器や漏電遮断器などとして好ましく用いられる回路遮断
器に関するものである。
近年における低圧配線用設備の大容量化、省スペース化により、配線用遮断器・漏電遮断器などは外形寸法の小形化が要求されている。小形化における課題の一つとしてあげられるのが過電流を低く抑制する限流性能の向上である。事故時などの過電流の遮断時に、接点間に発生したアークを引き込んで分断し、電極降下電圧の発生及びアークの冷却などによりアーク電圧を高めて限流させるグリッドは、限流性能を左右する部品の一つとなっている。限流性能の向上により回路遮断器の消弧室で処理するアークエネルギーの低下が可能となり、回路遮断器を構成する部品への熱的、電磁力的な負担が軽減して小形化が可
能となる。
上記のような技術課題に対する従来の技術として、消弧室の複数枚の磁性板(消弧板)の両脚部内側に、可動接点の移動軌跡を左右両側から覆う一対の側壁を有する絶縁部材を設け、かつ開極位置における可動接触子の先端を絶縁部材の側壁の上面から突出させるとともに、側壁の磁性板側の上角部を最上位の磁性板の近傍まで延び出させることにより、可動接触子先端に転移したアークを左右の側壁の間隔よりも広い外部空間に押し出し、上角部を逃れたアークを最上位の磁性板に導いて引き伸ばすことができるようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2006−19113号公報(第6頁、図5)
上記のような従来の技術では、流路抵抗の低いところの消弧板を長くすること(消弧板の体積増加)で、アークを接点から離れた消弧板まで導き易くしている。しかし、接点間に発生したアークをグリッドまで移行させる走行導体(アークランナ)が固定接点側と可動接点側に互いに平行に設けられ、排気口部が一対の走行導体の一方側にしかない回路遮断器の場合には、流路抵抗の低い可動側走行導体側にはアークが進入し易く、流路抵抗の高い固定走行導体側にはアークが進入し難くなる。そのため、グリッドが有効に活用できず、限流性能が劣化するという課題があった。
この発明は上記のような従来技術の課題を解消するためになされたもので、排気口部が一対の走行導体の一方側部分にしかない場合においても、限流性能が向上された回路遮断器を得ることを目的としている。
この発明に係る回路遮断器は、複数の消弧板が所定の間隙を介して積層され消弧室の内部に設けられたグリッドと、上記消弧室の入口側に配設された固定接点及び可動接点と、上記固定接点及び可動接点の開極時に発生するアークを上記グリッド方向に移行させる上記グリッドの積層方向一端部側に配設された固定側走行導体、及び上記グリッドの積層方向他端部側に配設された可動側走行導体と、上記消弧室の出口側における上記固定側走行導体及び上記可動側走行導体の何れか一方側に寄せて配設された排気口部とを備え、該排気口部とは反対側の走行導体に近接する消弧板の厚さを他の消弧板よりも厚くしたもので
ある。
この発明によれば、上記複数の消弧板の内、上記排気口部とは反対側の積層方向一端部の消弧板の厚みを他の消弧板よりも厚くしたことで、流路抵抗の高い側の走行導体からアークに働く電磁力が増加され、限流性能が高められる。また、消弧室に与えるダメージを少なくすることができる。
本発明の実施の形態1に係る回路遮断器の要部を示す構成図である。 図1に示された厚みを厚くした消弧板を示す斜視図である。 本発明の実施の形態2に係る回路遮断器の消弧板を示す斜視図である。 本発明の実施の形態3に係る回路遮断器の消弧板を示す斜視図である。 図2〜図4の消弧板について求められたアーク位置に対する電磁力の関係を示す特性図である。 本発明の実施の形態4に係る回路遮断器の要部を示す構成図である。 図6の矢印VII方向に見たときの固定子、固定接点、固定側走行導体、及び消弧板の位置関係を概念的に示す拡大図である。 本発明の実施の形態5に係る回路遮断器の要部を示す構成図である。 本発明の実施の形態6に係る回路遮断器の厚みを厚くした消弧板を示す斜視図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1に係る回路遮断器について、図1、図2、及び図5を参照して説明する。図において、回路遮断器100は、図2に示すような略Y字状の凹部1を有する磁性材料からなる消弧板2を所定の間隙を介して複数枚(ここでは11枚)積層してなるグリッド3と、このグリッド3を収容している消弧室4と、この消弧室4の入口側(凹部1に対向する側である図1の右側)に配設された固定接点5及び可動接点6と、開極時に発生したアークをグリッド3の方向に移行させる、固定接点5に接続された固定側走行導体7、及び可動接点6を有する可動接触子8に接続された可動側走行導体9と、
消弧室4の出口側における可動側走行導体9の側にのみ形成された排気口部10を備えている。
上記消弧板2の内、固定接点5に近い図1の上端部に位置する消弧板2Aは、図1に示すように他の消弧板2よりも厚さが厚く、具体的には約3.3倍の厚さに形成されている。なお、図2は厚い消弧板2Aを示しているが、他の消弧板2も形状は同様であるので、図2で代用している。Y字形状の凹部1が形成された図2の上部側の開口側1aが消弧室4の入口側である接点側に近い図1の右側、図2の下部側の底部側1b部が排気口部10に近い図1の左側となるように向きを揃えて所定の間隙を介して重合され、消弧室4を形成する図示省略している容器に保持されている。固定側走行導体7、及び可動側走行導体
9は、グリッド3部分では互いに平行となるように設けられ、上記排気口部10は可動側走行導体9の側に寄せて、図1の左下側部に設けられている。
また、排気口部10の図の上部のスペース11は、回路遮断器を構成する他の部材の設置に利用される。なお、図1は実施の形態1の典型的な特徴部分に係る消弧室4近傍のみを示したものであり、上記の他に、例えば過電流あるいは短絡電流等の異常電流を検出して開極指令を出すリレー部、同指令の伝達先である駆動機構部、及びこれらを図1の消弧室4部分と共に一体的に収容する絶縁樹脂モールドケースなどを備えている。これら図示省略しているその他の部分は例えば従来技術による一般的な回路遮断器と同様に適宜構成することができる。
次に、上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。回路遮断器に過電流が流れると、可動接触子8の開閉機構(図示省略)が動作し、可動接触子8が開極動作に至り、固定接点5と可動接点6間にアークが発生する。発生したアークは磁気駆動力や圧力勾配により遮断を行うグリッド3まで走行する。図1に示すように流路抵抗の高い固定側走行導体7に対向する1枚の消弧板2Aの厚さが、他の消弧板2の厚さより約3.3倍厚く構成されていることで、厚くしない場合に比べて消弧板2の凹部1の中にあるアークAに働く電磁力は、計算上約1.5倍程度増加する。
図5の特性図は、上記のように流路抵抗の高い側の積層方向端部の消弧板2Aのみを厚く構成したグリッド3について理論的な計算によって求められた、アークA(図2)の位置が消弧板2、2Aの凹部1の開口側1aから底部側1bで変化したときのアークAに働く電磁力の関係を示している。なお、図5の横軸のアーク位置は、原点側(左側)が図2の上側(凹部1の開口側1a)、横軸の右方向側が図2の下側(凹部1の底部側1b)方向を示す。そして、曲線B1が実施の形態1の場合である。
なお、曲線B2、及びB3は後述する実施の形態2、及び3に対応するものである。該図5の曲線B1からも明らかなように、固定接点5(固定側走行導体7)に近い側の積層方向一端部の消弧板2Aの厚みを他の消弧板2よりも厚くしたことで、流路抵抗の高い固定側走行導体7側においてアークに働く電磁力が増大し、アークがグリッド3の奥まで進入し易くなり、グリッド3を有効に活用することができるため、限流性能が向上される。
上記のように、実施の形態1は、間隙を介して積層された複数の消弧板2の内、上記固定接点5に近い側の積層方向一端部の消弧板2Aの厚さを他の消弧板2よりも厚くし、かつ、消弧板2の凹部1を開口側1aが広い略Y字形状にしたものである。該実施の形態1によれば、流路抵抗の高い固定側走行導体7に近接され対向する消弧板2Aの厚さを他の消弧板2よりも厚くしたことにより、固定側走行導体7のアークに働く電磁駆動力が増加する。このため、アークがグリッド3の奥まで、即ち凹部1の底部側1bまで進入し易くなり、グリッド3を有効に活用することができ、限流性能、従って電流遮断性能が向上される。また、消弧室4に与えるダメージを少なくすることができる。更には、回路遮断器が接続されたラインやこれに接続された他の回路遮断器及び負荷などへの負担を軽減することが可能となる。
なお、グリッド3を構成する消弧板2、2Aの枚数と厚さは、例示されたものに限定されるものではなく、遮断器の大きさや排気口部10の形状等により枚数、厚さ共適宜変更することができる。要するに流路抵抗の高い側(この例では固定側走行導体7側)の消弧板を厚くすればよい。なお、消弧板2Aを他の消弧板2の3.3倍としたが、例えば約1.2倍〜4倍程度としても良い。また、厚さを厚くした消弧板2Aを用意する場合、厚さが薄い他の消弧板2を複数枚、例えば2枚〜4枚密着させて重合するようにしても差し支えない。その場合には部品の種類を増やすことなく性能の向上を図ることができ、エネル
ギーの無駄も生じない。また、小型化にも寄与し、耐久性、安全性も向上する。さらに、環境負荷の低減にも寄与できる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る回路遮断器について、図3及び図5を参照して説明する。なお、各図及び各実施の形態を通じて同一符号は同一または相当部分を示すものとする。図において、消弧板2、2Aは、接点側に近い開口側1a部の凹部1の幅が実施の形態1の図2と比較して狭く、排気口部10側の底部側1bに近いほど凹部1の幅が広い略三角形状(△形状)に形成されている。その他の構成は上記実施の形態1と同様である。
上記のように構成された実施の形態2においては、図3の消弧板2、2A中の凹部1の中にあるアークAに働く電磁力は、該アークAの位置が消弧板2、2Aの凹部1内で図3の上下方向に変化したときに、電磁力が図5の曲線B2に示すように変化する。なお、図5の曲線B1〜B3はそれぞれアークAの位置が凹部1内で変化したときに、アークAに働く電磁力がどのように変化するかの傾向を個別に示すものであって、縦軸の値は、曲線B1〜B3毎に異なっているので相互の大小は比較できない。本件発明者等の計算結果では、図2に示す消弧板の同位置(アーク位置と固定側走行導体の消弧板)と比較して、開
口側1aで最大6倍程度増加することが確認され、また、図3の消弧板2、2Aを用いた回路遮断器は、実施の形態1と同様の効果が得られることが確認された。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3に係る回路遮断器について、図4及び図5を参照して説明する。図において、消弧板2、2Aの凹部1は、接点側に近い開口側1aと、排気口部10側に近い底部側1bの幅が一定に形成されている。その他の構成は上記実施の形態1と同様である。
上記のように構成された実施の形態3においては、図4の消弧板2中の凹部1の中にあるアークAに働く電磁力は、該アークAの位置が消弧板2、2Aの凹部1内で図4の上下方向に変化したときに、電磁力が図5の曲線B3に示すように略一定となる。本件発明者等の計算結果では、図2の消弧板の同位置と比較して、約1.5倍程度増加することが確認され、また、図4の消弧板2、2Aを用いた回路遮断器は、実施の形態1と同様の効果が得られることが確認された。
なお、上記実施の形態1〜3では、排気口部10が可動側走行導体9の側に寄せて形成され、流路抵抗の高い固定側走行導体7に近接する消弧板2Aを厚くした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、配置を逆にしても同様の効果が期待できる。即ち、排気口部10を固定側走行導体7の側に寄せて形成し、流路抵抗の高い位置が可動側走行導体9の側となるように接触子を構成し、可動側走行導体9の側の消弧板を厚くするようにしても良い。
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4に係る回路遮断器について、図6及び図7を参照して説明する。なお、この実施の形態4は、固定側走行導体7に近接され、対向している消弧板2Bを、同一形状のものを複数枚(ここでは2枚)重ねることで厚くした上で、該消弧板2Bの形状を、可動側走行導体9側に積層された他の複数の消弧板2の形状と変えたものである。図7に示すように、同一形状のもの2枚が重合された消弧板2Bの凹部1は開口側1aが広く、底部側1bが狭い開口端部が平行な略Y字形状に形成されており、かつ、開口側1aの開口部幅Cは、固定子5bの幅Dよりも大きく形成されている。なお、消弧板2Bの図の下方に積層される他の消弧板2は、例えば実施の形態1と同様の形状で、その開口端部の幅は消弧板2Bよりも狭く形成されている(図示省略)。その他の構成は実施の形態1と同様である。
上記のように実施の形態4においては、固定側走行導体7に近接された消弧板2Bの凹部1の開口部幅Cが固定子5bの幅Dよりも大きく形成されている。一般に、アークがグリッド3に入る段階では、電流値も発弧時と比較して、5〜10倍になっている。よってアーク径も5〜10倍程度拡大する。実施の形態4では、図6、図7に示すように厚みが2倍に形成された消弧板2Bの凹部1の開口部幅Cが固定子5bの幅Dよりも大きく形成されていることで、固定側走行導体7上でのアークの維持が容易になり、アークがグリッド3に入った後も、たとえグリッド3でのアーク維持ができず、グリッド3からアークが出たとしても開口部幅Cが広いため、再びグリッド3に入ることは容易である。
一方、可動側走行導体9側のアークがグリッド3に入ることは、排気口部10がこの例では可動側走行導体9側に寄せて、即ち偏倚させて配設されていることにより、圧力勾配が大きいため固定側走行導体7側のアークより容易である。そのため、可動側走行導体9側の消弧板2の開口部幅(図示省略)を、固定側走行導体7側の消弧板2Bの開口部幅Cよりも狭くすることは、アークによるグリッド3の消耗を減らすために好ましい。なお、固定側走行導体7に近接された消弧板2Bが他の消弧板2よりも厚く形成されていることによる電磁力増加の効果については、実施の形態1〜3で説明した通りである。
本発明者らは、上記アークによるグリッド3の消耗について、固定側走行導体7に近接された消弧板2Bの厚さを図6に示す通り2倍にし、実際の遮断現象を模擬した熱流体シミュレーションを行った。その結果、グリッド3内のガス流量分布のばらつきを、厚くする前と比較して約9%低減することできることが明らかとなった。これにより、グリッド3内の遮断時に発生する熱ガス流分布のばらつきが低減され、グリッド3の消耗が均一化される。
上記のように、実施の形態4によれば、可動側走行導体9の側に偏倚された排気口部10とは反対側に位置する固定側走行導体7に近接された消弧板2Bとして、固定子幅Dよりも大きい開口部幅Cを有する凹部1が形成された消弧板を2枚重ねて厚くする一方、可動側走行導体9側の消弧板2の開口部幅(図示省略)を、固定側走行導体7側の消弧板2Bの開口部幅Cよりも狭くしたので、固定側走行導体7のアークに働く電磁力が増加され、固定側走行導体7側のアークがグリッド3に入り易くなり、アークを固定側走行導体7上に維持することが容易となる。更に、グリッド3の消耗を均一化する効果が得られ、限流性能を向上することができるなどの効果が得られる。
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5に係る回路遮断器について、図8を参照して説明する。なお、この実施の形態5は、固定側走行導体7側の消弧板2Aを厚くした上で、消弧板2A、2の長さ、即ちグリッド3の長さを、排出口部10の側で短くしたものである。図8に示すように、消弧室4に対向する固定側走行導体7の排気口部10側の端部には、該固定側走行導体7を支持する絶縁物からなる支持部材12が設けられている。このため、支持部材12の図の右側端部位置に対応する一点鎖線で示すグリッド削りラインEよりも図の左側に位置する消弧板2A、2の破線で示す部分は、アークの冷却に有効に機能していないことになる。
さらに、グリッド3の長さが破線の部分まで長くなっている場合には、その分、流路抵抗が増加している。これに対して、実施の形態5ではグリッド3を構成する固定側走行導体7の近傍の消弧板2A、及び可動側走行導体9の側に積層された消弧板2の長さを、支持部材12の端部位置と同一線上のグリッド削りラインEの位置まで短くしたことで、固定側走行導体7近傍の流量を増やすことができ、グリッド3内での熱ガス流分布を均一化する効果が得られ、グリッド3の消耗を均一化することが可能となる。
例えば、固定側走行導体7側の消弧板2Aを他より約2倍厚くした上で、グリッド3の長さを背面から1mm程度短くすると、固定側走行導体7のアークに働く電磁力を増加するだけでなく、実際の遮断現象を模擬した熱流体シミュレーションによると、グリッド3内のガス流量分布のばらつきを、厚くする前、及び短くする前と比較して約20%低減することができることが判明した。これにより、グリッド3内の遮断時に発生する熱ガス流分布のばらつきが低減され、グリッド3の消耗が均一化される。
上記のように、この実施の形態5によれば、可動側走行導体9の側に偏倚された排気口部10とは反対側に位置する固定側走行導体7に近接する消弧板2Aを厚くした上で、該消弧板2A、及び積層された他の消弧板2の長さを、排出口部10側で短くしたので、固定側走行導体7のアークに働く電磁力を増加するだけでなく、グリッド3の消耗を均一化する効果を得ることができ、限流性能を向上することができる。
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6に係る回路遮断器について、図9を参照して説明する。なお、図9はこの実施の形態6の典型的な特徴部分である、可動側走行導体9の側に偏倚された排気口部10とは反対側に位置する固定側走行導体7に近接されている消弧板2Cのみを図示している。他の構成部分については適宜他の実施の形態の図面に示された符号を参照して説明する。この実施の形態6は、固定側走行導体7(図1)側の消弧板2Cを他の実施の形態と同様に厚くした上で、図9に示すように該消弧板2Cの形状を凸字形状にしたものである。図9において、消弧板2Cは凸字形状に形成されており、該凸字形状の幅の狭い突部2aの先端部側が消弧室4(図1)の入口側に配設される。他の消弧板2(図1)の形状など、その他の構成は例えば実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
上記のように構成された実施の形態6においては、固定側走行導体7に近接された、厚みを大にした消弧板2Cを凸字形状とし、その固定接点5側に幅の狭い突部2aが形成されていることで、固定接点5側にアークがあるときの固定側走行導体7側のアークに働く電磁力が増加され、さらに固定子5aと消弧板2Cの突部2aのエッジとの距離が短くなるため、走行先である固定子5aと消弧板2Cの突部2aのエッジ間の電界強度が高くなり、固定接点5から固定子5a先端部を経て固定側走行導体7へとアークが向い易くなる。つまり、このような構造にすることで、電磁力と電界の両方の作用で、固定側走行導体7側のアークの固定側走行導体7への移行を促すことができ、アークがグリッド3に入り易くなるという効果が得られる。
なお、上記実施の形態1〜6に記載された発明を、適宜に組み合わせることができることは言うまでもない。
100 回路遮断器、 1 凹部、 1a 開口側、 1b 底部側、 2 消弧板(薄いもの)、 2a 突部、 2A 消弧板(厚いもの)、 2B 消弧板(複数枚重ねたもの)、 2C 消弧板(凸字形状)、 3 グリッド、 4 消弧室、 5 固定接点、 5b 固定子、 6 可動接点、 7 固定側走行導体、 8 可動接触子、 9 可動側走行導体、 10 排気口部、 11 スペース、 12 支持部材。

Claims (9)

  1. 複数の消弧板が所定の間隙を介して積層され消弧室の内部に設けられたグリッドと、上記消弧室の入口側に配設された固定接点及び可動接点と、上記固定接点及び可動接点の開極時に発生するアークを上記グリッド方向に移行させる上記グリッドの積層方向一端部側に配設された固定側走行導体、及び上記グリッドの積層方向他端部側に配設された可動側走行導体と、上記消弧室の出口側における上記固定側走行導体及び上記可動側走行導体の何れか一方側に寄せて配設された排気口部とを備え、該排気口部とは反対側の走行導体に近接する消弧板の厚さを他の消弧板よりも厚くしたことを特徴とする回路遮断器。
  2. 上記排気口部とは反対側の走行導体に近接する消弧板の厚さを他の消弧板よりも約1.2倍〜約4倍厚くしたことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
  3. 上記固定側走行導体に近接する上記積層方向一端部側の消弧板を他の消弧板よりも厚くしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の回路遮断器。
  4. 上記消弧板は、開口側が広く底部側が狭いY字形状の凹部が形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の回路遮断器。
  5. 上記消弧板は、開口側が狭く底部側が広い△形状の凹部が形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の回路遮断器。
  6. 上記消弧板は、開口側から底部側まで幅が略一様の凹部が形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の回路遮断器。
  7. 上記消弧板は固定子幅よりも大きい開口部幅を有する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の回路遮断器。
  8. 上記消弧板の上記排気口部側の端部が、該消弧板から上記走行導体を見通したときの該走行導体の端部の位置と略一致する位置に短縮されていることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の回路遮断器。
  9. 上記排気口部とは反対側の走行導体に近接する消弧板を凸字形状とし、該凸字形状の幅の狭い突部側を上記消弧室の入口側に配設したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の回路遮断器。
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